説明

フレキシブルプリント配線板、接続構造、電子機器

【課題】フレキシブルプリント配線板の両端部分の剛性を強くすることで、熱圧着時や熱圧着後において、フレキシブルプリント配線板の両端部分で反りやうねり等の変形が生じることを効果的に防止することができるフレキシブルプリント配線板、該フレキシブルプリント配線板が異方性導電材を介して、複数の電極端子を備える他のプリント配線板と電気接続されてなる接続構造及び該接続構造を備える電子機器の提供を課題とする。
【解決手段】複数の電極端子12aを並列してなる電極端子領域Fが、異方性導電材30を介して、他の電極端子領域と電気接続されるフレキシブルプリント配線板10であって、前記複数の電極端子12aが並ぶ配列方向における、前記電極端子領域Fの外側に対応する、前記フレキシブルプリント配線板10の両端に、剛性補強部12cを形成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント配線板、該フレキシブルプリント配線板が異方性導電材を介して複数の電極端子を備える他のプリント配線板と電気接続されてなる接続構造及び該接続構造を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板に備える複数の電極端子を露出させた実装用の接続部に、半導体パッケージを、いわゆるフリップチップボンディングなどによって実装したり、或いは複数のプリント配線板を、それぞれの配線板に備える多数の電極端子を露出させた接続部同士で電気接続したりするエレクトロニクス実装の分野においては、ますます機器の小型化、薄型化が加速しており、更なる高密度実装化、高接続信頼性を実現できる技術が要求されている。
エレクトロニクス実装における実装法の1つに、熱接着性を有する異方性導電材を用いる方法がある。
異方性導電材は、例えば粉末状の導電成分を、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の結着剤(バインダー)中に分散させた構造を有する。
このような異方性導電材は、熱圧着時の加熱、加圧によって厚み方向に圧縮されることで、導電成分同士が互いに近接若しくは接触して導電ネットワークを形成する結果、厚み方向の導電抵抗(接続抵抗という)が低くなる。
しかしこの際、異方性導電材の面方向は、絶縁抵抗が高く導電率が低い初期の状態を維持する。従って異方性導電材によれば、面方向の絶縁抵抗によって隣り合う電極端子間の絶縁を維持して短絡を防止しながら、厚み方向の接続抵抗によって接続領域に配列された多数の電極端子―電極端子間を一度に、そしてそれぞれ独立して電気接続することができる。
またそれと共に、プリント配線板間を熱圧着によって機械的に強固に固定でき、しかもこれらの部材の接続領域を結着剤によって封止できるため、実装作業が容易である。
このような異方性導電材を用いて相互のプリント配線板を電気接続してなる接続構造においては、接続工程において、相互の電極端子を正確に位置合わせした状態で電気接続することが必要となる。
よって、従来は相互のプリント配線板に位置合わせ用のガイド孔やアライメントマークを形成しておき、それらを基準として相互のプリント配線板の位置合わせを目視やCCDカメラ等を用いて行うものが一般的である。
このようなガイド孔やアライメントマークを備えるプリント配線板に関する従来技術を示すものとして、例えば下記特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−209581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1は、プリント配線板、液晶表示装置及び電子機器に関する発明で、液晶表示装置の透明基板とフレキシブルプリント配線板とをアライメントマークを基準として位置合わせするときに、フレキシブルプリント配線板側のアライメントマークを認識し易くできるメリットがある。
しかし、上記特許文献1のようにガイド孔やアライメントマークを備える従来のフレキシブルプリント配線板においては、位置合わせ精度が要求される電極端子等の近傍にガイド孔やアライメントマークを形成するものが一般的であった。
より具体的には、フレキシブルプリント配線板の外形を、両サイドに大きくし、電極端子等の外側にガイド孔やアライメントマークを形成するものが一般的であった。
しかしフレキシブルプリント配線板の外形を両サイドに大きくした部分は、アライメントマークのみを導電性金属で形成し、それ以外の部分は絶縁性の基板とカバーレイとで形成するものが一般的であったことから、両サイドに大きくした部分の剛性は弱く、熱圧着時や熱圧着後において、フレキシブルプリント配線板の両端部分で反りやうねり等の変形が生じ易く、取り扱いが困難になると共に、作業性が悪いという問題があった。
【0005】
そこで本発明は上記従来技術における問題点を解消し、フレキシブルプリント配線板の両端部分の剛性を強くすることで、熱圧着時や熱圧着後において、フレキシブルプリント配線板の両端部分で反りやうねり等の変形が生じることを効果的に防止することができるフレキシブルプリント配線板、該フレキシブルプリント配線板が異方性導電材を介して、複数の電極端子を備える他のプリント配線板と電気接続されてなる接続構造及び該接続構造を備える電子機器の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のフレキシブルプリント配線板は、複数の電極端子を並列してなる電極端子領域が、異方性導電材を介して熱圧着されることで、複数の電極端子を並列してなる他の電極端子領域と電気接続されるフレキシブルプリント配線板であって、前記複数の電極端子が並ぶ配列方向における、前記電極端子領域の外側に対応する、前記フレキシブルプリント配線板の両端に、前記フレキシブルプリント配線板の剛性を補強するための剛性補強部を形成してあることを第1の特徴としている。
【0007】
上記本発明の第1の特徴によれば、複数の電極端子を並列してなる電極端子領域が、異方性導電材を介して熱圧着されることで、複数の電極端子を並列してなる他の電極端子領域と電気接続されるフレキシブルプリント配線板であって、前記複数の電極端子が並ぶ配列方向における、前記電極端子領域の外側に対応する、前記フレキシブルプリント配線板の両端に、前記フレキシブルプリント配線板の剛性を補強するための剛性補強部を形成してあることから、熱圧着時や熱圧着後において、複数の電極端子が並ぶ配列方向における、電極端子領域の外側に対応する、フレキシブルプリント配線板の両端部分において、反りやうねり等の変形が生じることを効果的に防止することができる。
よって熱圧着時においては、フレキシブルプリント配線板の位置合わせを容易且つ正確に行うことができ、作業性の良いフレキシブルプリント配線板とすることができる。
また熱圧着後においては、電気的及び機械的な接続信頼性を維持できるフレキシブルプリント配線板とすることができる。
【0008】
また本発明のフレキシブルプリント配線板は、上記本発明の第1の特徴に加えて、前記剛性補強部を、前記フレキシブルプリント配線板を構成している導電層で形成してあることを第2の特徴としている。
【0009】
上記本発明の第2の特徴によれば、上記本発明の第1の特徴による作用効果に加えて、前記剛性補強部を、前記フレキシブルプリント配線板を構成している導電層で形成してあることから、別部材を用いることなく、簡単な構成で剛性補強部を形成することができる。
【0010】
また本発明の接続構造は、請求項1又は2に記載のフレキシブルプリント配線板が、異方性導電材を介して、複数の電極端子を並列してなる電極端子領域を備える他のプリント配線板と電気接続されていることを第3の特徴としている。
【0011】
上記本発明の第3の特徴によれば、接続構造は、請求項1又は2に記載のフレキシブルプリント配線板が、異方性導電材を介して、複数の電極端子を並列してなる電極端子領域を備える他のプリント配線板と電気接続されていることから、作業性が良いと共に、電気的及び機械的な接続信頼性を維持できる接続構造とすることができる。
【0012】
また本発明の電子機器は、請求項3に記載の接続構造を備えることを第4の特徴としている。
【0013】
上記本発明の第4の特徴によれば、電子機器は、請求項3に記載の接続構造を備えることから、作業性が良いと共に、電気的及び機械的な接続信頼性を維持できる電子機器とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のフレキシブルプリント配線板によれば、熱圧着時や熱圧着後において、複数の電極端子が並ぶ配列方向における、電極端子領域の外側に対応する、フレキシブルプリント配線板の両端部分において、反りやうねり等の変形が生じることを効果的に防止することができる。
よって熱圧着時においては、フレキシブルプリント配線板の位置合わせを容易且つ正確に行うことができ、作業性の良いフレキシブルプリント配線板とすることができる。
また熱圧着後においては、電気的及び機械的な接続信頼性を維持できるフレキシブルプリント配線板とすることができる。
また本発明の接続構造によれば、作業性が良いと共に、電気的及び機械的な接続信頼性を維持できる接続構造とすることができる。
また本発明の電子機器によれば、作業性が良いと共に、電気的及び機械的な接続信頼性を維持できる電子機器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る接続構造を示す図で、(a)は全体斜視図、(b)は分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板における剛性補強部を示す図で、(a)はフレキシブルプリント配線板の要部の平面図、(b)は(a)のA―A線方向における要部の断面図である。
【図3】従来のフレキシブルプリント配線板を示す図で、(a)はフレキシブルプリント配線板の要部の平面図、(b)は(a)のB−B線方向における要部の断面図で、フレキシブルプリント配線板に熱処理を施していない状態を示し、(c)は(a)のB−B線方向における要部の断面図で、フレキシブルプリント配線板に熱処理を施した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の図面を参照して、本発明に係るフレキシブルプリント配線板、該フレキシブルプリント配線板が異方性導電材を介して、複数の電極端子を備える他のプリント配線板と電気接続されてなる接続構造及び該接続構造を備える電子機器についての実施形態を説明し、本発明の理解に供する。しかし、以下の説明は本発明の実施形態であって、特許請求の範囲に記載の内容を限定するものではない。
【0017】
まず図1を参照して、本発明に係る接続構造1は、2枚のフレキシブルプリント配線板が、異方性導電材により相互に電気接続されてなる接続構造であり、図示しない電子機器内部に配設されるものである。
この接続構造1は、図1に示すように、フレキシブルプリント配線板10、20と、異方性導電材30とから構成される。
なお本実施形態においては、図示しない加熱バーからの熱及び圧力を異方性導電材30を介して受ける、いわゆる受圧側のフレキシブルプリント配線板をフレキシブルプリント配線板10とし、加熱バーからの熱及び圧力を異方性導電材30に加えるいわゆる加圧側のフレキシブルプリント配線板をフレキシブルプリント配線板20とする構成としてある。
【0018】
前記フレキシブルプリント配線板10は、基板の片面に導電層を備える、いわゆる片面フレキシブルプリント配線板である。
このフレキシブルプリント配線板10は、図1に示すように、主として基板11と、電極端子12aと、導体配線12bと、剛性補強部12cと、アライメントマーク12dと、カバーレイ13と、ガイド孔14とから構成される。
【0019】
前記基板11は、フレキシブルプリント配線板10の基台となる絶縁層であり、樹脂フィルムで形成されている。
樹脂フィルムとしては、柔軟性に優れた樹脂材料からなるものが使用される。例えばポリイミドフィルムやポリエステルフィルム等のフレキシブルプリント配線板を形成する樹脂フィルムとして通常用いられるものであれば、如何なるものであってもよい。
また、特に柔軟性に加えて高い耐熱性をも有しているものが望ましい。例えばポリアミド系の樹脂フィルムや、ポリイミド、ポリアミドイミドなどのポリイミド系の樹脂フィルムやポリエチレンナフタレートを好適に用いることができる。
また耐熱性樹脂としては、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等、フレキシブルプリント配線板を形成する耐熱性樹脂として通常用いられるものであれば、如何なるものであってもよい。
なお基板11としては、樹脂フィルムの表面に導電性金属からなる導電層を耐熱性接着樹脂等で積層した、いわゆる金属張積層基板を用いる構成としてもよい。
【0020】
前記電極端子12aは、異方性導電材30を介してフレキシブルプリント配線板20の電極端子22aと電気接続される電極端子であり、図1(b)に示すように、カバーレイ13が積層されることなく、露出状態で基板11上に配設されている。
また本実施形態においては、図1(b)における破線で囲む領域に、複数の電極端子12aを並列配置させることで、フレキシブルプリント配線板20との接続部となる電極端子領域Fを形成してある。
またこの電極端子12aは、基板11の表面に積層される導電性金属からなる、後述する導電層12をエッチングする等の公知の形成方法を用いて形成される。
なお導電性金属としては、銅、銀、金等、フレキシブルプリント配線板の電極端子を形成するものとして通常用いられるものであれば如何なるものであってもよい。
また電極端子12aの大きさ、厚み、数、フレキシブルプリント配線板10上の配置位置等は本実施形態のものに限るものではなく、適宜変更可能である。
【0021】
前記導体配線12bは、フレキシブルプリント配線板10の配線パターンを形成するものである。
体配線12bは、図2(b)に簡略化して示すように、既述した電極端子12aと同様に、基板11の表面に積層される導電性金属からなる導電層12をエッチングする等の公知の形成方法を用いて形成される。
なお導体配線12bの大きさ、厚み、数、配置位置等は本実施形態のものに限るものではなく、適宜変更可能である。
【0022】
前記剛性補強部12cは、フレキシブルプリント配線板10の剛性を補強するためのものである。本実施形態においては、図1(b)、図2(a)において破線で示すように、複数の電極端子12aが並ぶ配列方向における、電極端子領域Fの外側に対応する、フレキシブルプリント配線板10の両端部分の領域に、既述した電極端子12a、導体配線12bと同様に、フレキシブルプリント配線板10を構成する基板11の表面に積層される導電性金属からなる導電層12をエッチングする等の公知の形成方法を用いて形成してある。
更に具体的には、図2(a)に示すように、複数の電極端子12aが並ぶ配列方向における、電極端子領域Fの外側にアライメントマーク12d及びガイド孔14を形成するために、フレキシブルプリント配線板10の外形を両サイドに大きくした長さN部分で、且つ導体配線12bや図示しない導体回路パターン等が何も形成されていない領域に形成してある。
【0023】
このような構成とすることで、図2(b)に示すように、長さN部分で、且つ導体配線12bや図示しない導体回路パターン等が何も形成されていない領域において、基板11とカバーレイ13との間に剛性補強部12cを、言わば芯材として介在させることができる。よってフレキシブルプリント配線板10の両端部分の剛性を強くすることができる。
これにより熱圧着時や熱圧着後において、フレキシブルプリント配線板10の両端部分、特に位置合わせ精度が要求される電極端子領域F、アライメントマーク12d、ガイド孔14の近傍領域において、反りやうねり等の変形が生じることを効果的に防止することができる。
従って熱圧着時においては、フレキシブルプリント配線板10、20の位置合わせを容易且つ正確に行うことができ、作業性の良いフレキシブルプリント配線板10、20及び接続構造1とすることができる。
また熱圧着後においては、電気的及び機械的な接続信頼性を維持できるフレキシブルプリント配線板10、20及び接続構造1とすることができる。
【0024】
つまり図3(a)、(b)に示すように、従来のフレキシブルプリント配線板40においては、フレキシブルプリント配線板40の外形を両サイドに大きくした長さN部分で、且つ導体配線42bや図示しない導体回路パターン等が何も形成されていない領域R部分は、樹脂フィルムで形成される基板41と、該基板41の表面に積層されるカバーレイ43とのみで形成されていた。
よって領域R部分の剛性は弱く、熱圧着時や熱圧着後において、図3(c)に示すように、領域R部分で反りやうねり等の変形が生じ易く、取り扱いが困難になると共に、作業性が悪いという問題があった。
なお従来のフレキシブルプリント配線板40は、フレキシブルプリント配線板40に対して剛性補強部を備えていない点のみが異なることから、フレキシブルプリント配線板10と同一部材、同一機能を果たすものには、下1桁の番号及びアルファベットを同一とし、詳細な説明を省略するものとする。
【0025】
これに対して本発明の構成とすることで、熱圧着時や熱圧着後において、フレキシブルプリント配線板10の両端部分、特に電極端子領域F、アライメントマーク12d、ガイド孔14の近傍領域において、反りやうねり等の変形が生じることを効果的に防止することができる。
【0026】
更に既述したように、剛性補強部12cは、電極端子12a、導体配線12bと同様に、フレキシブルプリント配線板10を構成する、基板11の表面に積層される導電性金属からなる導電層12をエッチングする等の公知の形成方法を用いて形成してあることから、別部材、別工程を用いることなく、電極端子12a、導体配線12bと同一部材、同一工程という簡単な構成で剛性補強部12cを形成することができる。つまり図2(b)に示すように、剛性補強部12cの幅Sが、導体配線12bの幅Tよりも幅広な、いわゆるダミー導体配線として剛性補強部12cを形成することができる。
なおここで「ダミー導体配線」とは、導体配線12bと同一な導電性金属で形成されるが、電気的に独立し、フレキシブルプリント配線板10内で導通機能を備えないもののことを意味するものとする。
【0027】
なお剛性補強部12cの大きさ、厚み、形状、フレキシブルプリント配線板10における配置位置は、本実施形態のものに限る必要はなく、適宜変更可能である。但し、電極端子領域Fの外側にアライメントマーク12d及びガイド孔14を形成するために、フレキシブルプリント配線板10の外形を両サイドに大きくした部分で、且つ導体配線12bや図示しない導体回路パターン等が何も形成されていない領域の剛性を補強できる大きさ、厚み、形状、配置位置とすることが必要である。
また本実施形態においては、剛性補強部12cを、電極端子12a及び導体配線12bと同様に、基板11の表面に積層される導電性金属からなる導電層12をエッチングする等の公知の形成方法を用いて形成する構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、剛性補強部12cを電極端子12a及び導体配線12bと別部材、別工程で形成する構成としてもよい。
例えば、基板11に接着剤を介して補強板を貼り付ける構成とすることができる。なお補強板としては、金属板、樹脂板等を用いることができる。また接着剤としては、熱硬化性接着剤、両面テープ等を用いることができる。
【0028】
前記アライメントマーク12dは、接続構造1の形成時にフレキシブルプリント配線板10、20の位置決めを行うためのものである。
このアライメントマーク12dは、既述した電極端子12a、導体配線12b、剛性補強部12cと同様に、基板11の表面に積層される導電性金属からなる導電層12をエッチングする等の公知の形成方法を用いて形成される。
なおアライメントマーク12dの大きさ、厚み、形状、フレキシブルプリント配線板10における配置位置等は、本実施形態のものに限るものではなく、適宜変更可能である。が、フレキシブルプリント配線板10における配置位置は、位置合わせ精度が要求される電極端子領域Fの近傍とすることが望ましい。
【0029】
前記カバーレイ13は、フレキシブルプリント配線板10の絶縁層を構成するものである。
なおカバーレイ13としては、接着剤付きポリイミドフィルム、感光性レジスト、液状レジスト等を用いることができる。
【0030】
前記ガイド孔14は、既述したアライメントマーク12dと同じく、接続構造1の形成時にフレキシブルプリント配線板10、20の位置決めを行うために形成される貫通孔である。
このガイド孔14は、打ち抜き加工等を用いて形成される。
なおガイド孔14の大きさ、厚み、形状、フレキシブルプリント配線板10における配置位置等は、本実施形態のものに限るものではなく、適宜変更可能である。しかし、フレキシブルプリント配線板10における配置位置は、位置合わせ精度が要求される電極端子領域Fの近傍とすることが望ましい。
【0031】
本実施形態のフレキシブルプリント配線板20も、基板の片面に導電層を備える、いわゆる片面フレキシブルプリント配線板である。
前記フレキシブルプリント配線板20は、主として基板21と、電極端子22aと、導体配線22bと、剛性補強部22cと、アライメントマーク22dと、カバーレイ23と、ガイド孔24とから構成される。
なお、フレキシブルプリント配線板20は、フレキシブルプリント配線板10と同一構成のフレキシブルプリント配線板であることから、フレキシブルプリント配線板10と同一部材、同一機能を果たすものには、下1桁の番号及びアルファベットを同一なものとし、以下の詳細な説明を省略するものとする。
【0032】
前記異方性導電材30は、結着剤(バインダー)の中に導電成分を含有させたものであり、熱圧着時の加熱、加圧によって厚み方向に導通性を有すると共に、面方向に絶縁性を有し、更に部材同士を接着させる接着性を有する。
なお結着剤としては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等、異方性導電材30を形成する結着剤として通常用いられるものであれば、如何なるものであってもよい。
また導電成分としては、ニッケル等、異方性導電材30を形成する導電成分として通常用いられるものであれば、如何なるものであってもよい。
【0033】
また異方性導電材30の大きさは、図2(a)に仮想線で示すように、横方向の長さUを対向する電極端子12aの長さWよりもやや長いものとし、縦方向の長さXを電極端子12aの長さYよりもやや短いものとする、略四角形で囲まれる領域を被覆できる大きさとすることが望ましい。
なお本実施形態においては、異方性導電材30として膜状に形成された異方性導電フィルムを用いる構成としてある。
勿論、このような構成に限るものではなく、異方性導電材30として異方性導電ペーストを用いる構成としてもよい。
【0034】
このような構成からなる接続構造1は、例えばフレキシブルプリント配線板10に異方性導電材30を仮接着させた状態で、電極端子12aと、電極端子22aとが対面するようにフレキシブルプリント配線板20を配置し、ガイド孔14とガイド孔24とで大まかな位置決めを行った後に、アライメントマーク12dとアライメントマーク22dとで高精度な位置決めを行い、フレキシブルプリント配線板20の上部から加熱バーにより所定の温度、圧力、時間で熱圧着することで形成することができる。
勿論、接続構造1の形成方法は、本実施形態のものに限るものではなく、フレキシブルプリント配線板10、20を異方性導電材30を介して電気接続できるものであれば如何なる形成方法であってもよい。
【0035】
そしてこのように形成される接続構造1は、図示しない携帯電話機等の電子機器内部に配設される。このような構成とすることで、作業効率が良いと共に、電気的及び機械的な接続信頼性を維持できる電子機器とすることができる。
【0036】
なお本実施形態においては、受圧側及び加圧側のフレキシブルプリント配線板10、20を、いわゆる片面フレキシブルプリント配線板とする構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、何れか一方若しくは両方を、いわゆる両面フレキシブルプリント配線板とする構成としてもよい。
また本実施形態においては、接続構造1を構成する受圧側及び加圧側のフレキシブルプリント配線板10、20の両方に剛性補強部12c、22cを設ける構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、何れか一方のフレキシブルプリント配線板のみに剛性補強部を設ける構成としてもよい。が、受圧側及び加圧側の両方に剛性補強部を設ける構成とすることが望ましい。
またフレキシブルプリント配線板10、20の大きさ、形状等も本実施形態のものに限る必要はなく、適宜変更可能である。
また本実施形態においては、接続構造1を構成する受圧側及び加圧側のプリント配線板10、20を、共にフレキシブルプリント配線板とする構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、受圧側及び加圧側の何れか一方のプリント配線板を、剛性補強部を備えるフレキシブルプリント配線板とするものであれば、他方のプリント配線板はリジットプリント配線板等、他のプリント配線板とする構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、電極端子を備え、該電極端子が、異方性導電材を介して他の電極端子と電気接続されるフレキシブルプリント配線板において、熱圧着時や熱圧着後に、フレキシブルプリント配線板の両端部分で反りやうねり等の変形が生じることを効果的に防止することができることで、作業性が良く、電気的及び機械的な接続信頼性を維持できることから、電極端子を備えるフレキシブルプリント配線板が、異方性導電材を介して、電極端子を備える他のプリント配線板と電気接続される構造を備える電子機器の分野における産業上の利用性が高い。
【符号の説明】
【0038】
1 接続構造
10 フレキシブルプリント配線板
11 基板
12 導電層
12a 電極端子
12b 導体配線
12c 剛性補強部
12d アライメントマーク
13 カバーレイ
14 ガイド孔
20 フレキシブルプリント配線板
21 基板
22a 電極端子
22b 導体配線
22c 剛性補強部
22d アライメントマーク
23 カバーレイ
24 ガイド孔
30 異方性導電材
40 フレキシブルプリント配線板
41 基板
42a 電極端子
42b 導体配線
42d アライメントマーク
43 カバーレイ
44 ガイド孔
F 電極端子領域
N 長さ
R 領域
S 長さ
T 長さ
U 長さ
W 長さ
X 長さ
Y 長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極端子を並列してなる電極端子領域が、異方性導電材を介して熱圧着されることで、複数の電極端子を並列してなる他の電極端子領域と電気接続されるフレキシブルプリント配線板であって、前記複数の電極端子が並ぶ配列方向における、前記電極端子領域の外側に対応する、前記フレキシブルプリント配線板の両端に、前記フレキシブルプリント配線板の剛性を補強するための剛性補強部を形成してあることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【請求項2】
前記剛性補強部を、前記フレキシブルプリント配線板を構成している導電層で形成してあることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のフレキシブルプリント配線板が、異方性導電材を介して、複数の電極端子を並列してなる電極端子領域を備える他のプリント配線板と電気接続されていることを特徴とする接続構造。
【請求項4】
請求項3に記載の接続構造を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−249383(P2011−249383A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118078(P2010−118078)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(500400216)住友電工プリントサーキット株式会社 (197)
【Fターム(参考)】