説明

フレームレス放射線外科療法システム及びその方法

【課題】改善したフレームレス放射線治療システム及び、その使用方法を提供する。
【解決手段】放射線治療装置10はデータプロセッサー12、ディスクまたはテープ、及び、患者14の三次元画像を格納する格納装置を含む。ビーム発生装置20は目的領域に向けられる外科用平行電離ビームを照射する。ビーム発生装置はケーブル22によってビーム発生装置20に接続された制御卓24に配置されたスイッチ23を切り替えることにより、オペレーターによって起動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は本出願によって1999年3月16日に出願された米国特許出願No.09/270,404「Apparatus and Method for Compensating for Respiratory and Patient Motion During Treatment」の継続出願であり、その出願の内容は参照として本願にも組み込まれる。
【0002】
本発明は患者を治療するシステム及び、その使用方法に関し、特に、患者に対する正確な投与量または線量を与えるために、治療または処置を制御するシステム及び方法に関する。さらに詳細に述べると、本発明は特定の基準点(または、参照点)を含む周辺領域に対する目的領域の相対的な位置を示す、事前に取得された参照用データ(または、基準用データ)を利用して、患者の特定の目的領域に正確な外科的処置を実施するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
放射線治療(または、放射線外科)等の、外科的処置を制御するために、処置の目標付けを手動で操作することを含む、多様な技術が使用されている。これらの従来技術の多くは十分な程度な精度を有しておらず、多くの場合、目的領域の周辺の健康な組織にも不必要に(放射線等の)処置を施してしまい、それらを損傷または殺傷してしまう。また、十分な精度を有す他の従来技術は扱いが非常に困難であり、特定の種類の処置以外には使用されていない。そのような技術は、フレームベースの定位脳手術(stereotaxy)等に代表されるように、通常、比較的容易に固定することができる身体部分に対してのみ使用される。
【0004】
すなわち、フレームベースの定位脳手術は、脳腫瘍等の、脳の目的領域(または、目標部位)に放射線治療用のビームを正確に放射することができるように、患者の頭部を固定することを必要とする。これを実施するために、患者の頭部は、患者が処置用ベッドに載せられた後、処置用のテーブル等に動かないように取り付けられたフレームに、適当な取り付け手段によって動かないように固定される。これにより、処置中、患者は患者の頭部を全く動かすことができず、それによって、処置の正確な目標付けが可能になる。しかしながら、フレームベースのシステムは、数週または数ヶ月等の、特定の期間にわたって患者に少ない投与量または線量を繰り返し与えることが必要な反復的な処置(または、分割された処置)に対して使用できないという問題点を有する。
【0005】
反復的な処置は健康な組織が回復することを可能にしながら、目的領域に全体として(または、結果として)比較的多量な(放射線等の)投与量または線量を与えることを可能にするので、多様な用途に利用されることが望まれている。しかしながら、(例えば、数週または数ヶ月等の)治療期間中、患者の頭部をフレームに固定したままにしておくことは実質的に不可能である。また、頭部から一旦、フレームを取り除き、次の治療時にフレームを前回と全く同じ場所に配置することも実質的に不可能である。したがって、フレームベースの定位脳手術は十分な精度を有しているが、繰り返して処置することが必要な治療等には使用することができない。
【0006】
もう1つの典型的な位置付けシステムは、患者に物理的なフレームを取り付ける必要がない、フレームレス定位脳手術(frameless stereotaxy)である。フレームレス定位脳手術システムの1つの例は本出願人の特許文献1に開示されており、その内容は参照として本願にも組み込まれる。フレームレス定位脳手術においては、一般に、コンピュータートモグラフィ(または、コンピューター断層撮影)によって、目的領域の周辺の領域の画像が処置前に取得される。そして、処置中、X線画像等によって、立体像(stereo image)が生成される。そして、目的領域の場所を正確に突きとめるために、立体像と処置前に得られた画像とが相関(または、比較)させられる。そして、目的領域の周辺の健康な組織を不必要に損傷せずに、目的領域を正確に処置するために、処置前走査画像と立体像との間の相関に基づいて、ロボット(または、自動装置)上に配置された放射線源が自動的に目標付けられる。
【特許文献1】米国特許第5207223号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、現在のフレームレス定位技術(stereotaxic technique)には、それの効果を制限してしまう制限が存在する。第1に、現存する多くの手術室が限られた空間しか持たないのに対し、従来のフレームレス定位システムは外科用(または、処置用)の放射線ビーム及び2つのビーム投影器(beam imager)を支持するロボット(または、自動装置)の動作のための、比較的広い空間を必要とする。第2に、2つのビーム発生器(beam generator)及び2つのビーム投影器(beam imager)を備えることは非常にコスト高であり、治療システムの製造が非常に高価なものになってしまう。
【0008】
また、システムが柔らかい組織の目標物の場所を突きとめるために使用された場合、システムは通常、マーカー等の、X線を使用して識別可能な、適当な形式の移植された基準物を必要とする。さらに、従来の多くのフレームレスシステムにおいて、呼吸やその他の患者の動作は目的領域の識別を妨げ、画像の品質を劣化させ、目的領域の追跡を困難にする。したがって、本発明の目的は上述の制限及び問題を克服する、改善したフレームレス放射線治療システム及び、その使用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は患者内の目的物の場所を正確かつ選択的に突きとめ、処置するための方法及び装置を提供する。目的物の周辺の三次元マッピング(または、三次元写像)が外科的操作と結合される。目的物の場所を正確に突きとめ、処置するために、互いに、ゼロ度以外の、既知の角度を持った2つまたはそれ以上の診断用ビーム(diagnostic beam)が、マッピング領域内(または、処置前にマッピングされた領域内)の投射の像を生成するためにマッピング領域内を通過させられる。
【0010】
処置に対する正確な位置付け及び目標付けを達成するために、目的領域(または、目標部位)を含む患者の身体の一部に対する三次元マッピングが生成され、基準用データまたは参照用データとして格納される。その後、互いに、ゼロ度以外の、予め決められた角度を持った2つまたはそれ以上の診断用ビームがマッピング領域(または、マッピングされた領域)を通過させられる。1つまたはそれ以上の診断用ビームからの画像を取得するために、Adlerの米国特許No.5,207,223等に開示されている、単一の画像用カメラまたは記録媒体が使用されてもよい。詳細に述べると、単一の画像用カメラまたは記録媒体は1つまたはそれ以上の部分に区分化され、第1の診断用ビームからの画像が記録媒体の第1の部分に取り込まれ、第2の診断用ビームからの画像が記録媒体の第2の部分に取り込まれる。さらに、取り込まれた画像がコンピューターにダウンロードされ、次の診断用ビームからの画像が取り込まれる。
【0011】
診断用画像が生成されると、Adler特許に開示されているように、それらは患者及び目的領域に対する情報を生成するために、事前に格納された三次元基準データと比較される。診断用画像は予め決められた時間間隔で、事前に取得され三次元基準データと比較されてもよい。比較の結果は、外科処置用ビームの焦点を目的領域に維持し、処置用ビームの線量を適当に制御することを確実にするために、処置用ビームの目標付けの調節をするために使用される。本発明のこの構成により、より正確な処置を行うことができ、損傷を受ける健康な細胞及び組織及び、それによる合併症の併発を減少させることができ、結果として、より強力で効果的な処置を行うことが可能になる。
【0012】
本発明の第1の実施例に従うと、1つまたは複数の診断用ビーム装置及び、患者の下または患者の寝台の付近に配置された単一の記録媒体が使用される。1つの実施例において、単一の診断用ビーム装置は診断用ビームが予め決められた複数の異なった場所から予め決められた角度で目的領域(または、目標部位)を通過するように、予め決められた異なった場所に予め決められた様式で移動する。したがって、診断用ビーム装置によって生成された各々の画像は互いに、ゼロ度以外の、予め決められた角度を持つ(または、互いに、ゼロ度以外の、予め決められた角度で投射される)。そして、診断用画像が生成されると、それらの診断用画像の情報を使用して外科処置用ビームの制御処理が実施される。
【0013】
本発明の好まれる実施例に従うと、1つの診断用ビーム装置が使用され、上述されたように、1つの記録媒体が患者の下に配置される。好まれる実施例において、診断用ビーム装置の移動によって形成される目的領域の診断用画像は呼吸や脈搏等の患者の動きに対してゲート制御(gate)される。この構成により、処置中の患者の動きが補正されるので、診断用ビームによって取得された画像は、従来技術のように、呼吸動作等の目的領域の動きによって画像及び、その画像を使用して行われる目標付けの精度が劣化することがない。
【0014】
移動する診断用ビームによって形成された一連の診断用ビーム画像は処置前に得られた正確なCTスキャン(コンピュータートモグラフィスキャン)と比較される、患者の(比較的粗い)CTスキャンを生成するために処理される。また、診断用ビーム及び処置用ビームは目的領域の正確な位置付けを確実にするために、患者の呼吸サイクル中の予め決められたタイミングで(または、予め決められた位相中に)励起されトリガされる(または、照射される)。
【0015】
本発明の1つの側面に従うと、本発明は外科処置用ビームを患者に向けるためのシステムを提供する。システムは処置中患者を支持するための処置用ベッド及び、処置中患者に向けられる診断用ビームを発生するための、1つまたは複数の診断用ビーム発生器を備える。診断用ビームは、ビームが互いに他のビームに対してゼロ度以外の、予め決められた角度で照射されるように、予め決められた、異なった場所に配置される。システムはさらに、2つまたはそれ以上の診断用ビーム発生器からの診断用ビームを受信するために、処置ベッドに隣接して配置された単一の画像受信装置(または、画像受信素子)を含む。画像受信装置は全ての診断用ビームからの画像を取り込むことができるように配置される。
【0016】
本発明のもう1つの側面に従うと、処置用ビームを患者に向けるためのシステムは処置中、患者を支持するための処置用ベッド及び、処置中、患者に向けられる診断用ビームを発生するための、単一の診断用ビーム発生器を備える。システムはさらに、診断用ビーム発生器が1つまたは複数の場所の間を移動することを可能にする、診断用ビーム発生器を支持するトラック(または、レール)を備える。この構成により、診断用ビーム発生器は互いに、異なった場所に配置された場合に対して、ゼロ度以外の、予め決められた角度で照射される。システムはさらに、異なった場所で照射された、診断用ビーム発生器からの診断用ビームを、連続的な様式(または、順次的な様式)で受信するために、処置ベッドに隣接して配置された画像受信装置(または、画像受信素子)を含む。画像受信装置は全ての診断用ビームからの画像を取り込むことができるように配置される。
【0017】
本発明のもう1つの側面に従うと、患者を処置(または、治療)するための方法が提供される。方法は、処置用ビームによって処置(または、治療)される目的領域(または、目標部位)を含む、患者の一部の領域の三次元マッピングを利用すること、及び、患者に向けられる1つまたは複数の診断用ビームを発生することを含む。そして、診断用ビームが互いに、ゼロ度以外の角度で患者の目的領域を通過したときに、1つまたは複数の画像が1つまたは複数の画像記録装置(または、画像記録素子)に取り込まれる(または、キャプチャーされる)。そして、処置中に処置用ビームの動き(または、ビームの焦点の位置及び線量)を制御するために、診断用ビームからの画像と三次元マッピングからの画像が比較される。
【0018】
画像の比較を実施するために、この分野で周知の方法で、処置中/現況画像(または、処置中の現在の画像)と処置前データ(または、処置前に得られたデータ)とが相関されてもよい。処置前データは解剖学的構造の相対的な配置に対する空間的な情報を与え、それによって、処置中の目的領域(または、目標部位)の現在の位置が計算される。目的領域の位置を正確に計算するために、相関方法は処置前データが処置中画像データに最適な状態で一致するように、処置前データを変形させること、または、その逆に、処置中データが処置前データにより良く一致するように処置中データを変形させることを含んでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は特に、放射線治療システム及び放射線治療方法に適しているので、以下の説明において、本発明は放射線治療と共に説明される。しかしながら、本発明に従ったシステムがバイオプシーニードル(または、生検用針)の配置、アブレーティブ(ablative)、超音波及び他のエネルギー集中型処置、レーザー治療のレーザービームの配置、または、小線源照射療法のための放射線シード(radioactive seed)の配置等の、健康な組織の損傷を避けるために、処置を患者の目的領域に正確に配置することが必要な、他の医療用器具を使用する他の処置または治療等に対しても大きな有用性を有することは明白である。以下の説明において、本発明の理解を助けるために、本発明を説明する前に、まず、典型的な放射線治療措置について説明する。
【0020】
図1−3は脳定位固定放射線治療用装置10の例を図示している。放射線治療装置10はマイクロプロセッサー12等のデータプロセッサー及び、患者14の三次元画像を格納するテープ格納装置13を含んでもよい(図3参照)。三次元画像は外科処置中に生成される画像との比較のために、(既にロードされている場合を除いて)データプロセッサーにロードされる。三次元画像はコンピューター支援トモグラフィ(CAT)スキャンや磁気共鳴画像(MRI)等の、多様な技術を使用して生成することができるだろう。
【0021】
放射線治療装置10はまた、起動されたときに、目的領域(または、目標部位)18に向けられた外科用平行電離ビーム(collimated surgical ionizing beam)を照射するビーム装置(または、ビーム発生装置)20を含んでもよい(図2参照)。外科用平行電離ビームは目的領域を壊死させるために十分な程度の強度を持つ。線形加速器(好まれるものとして、X線線形加速器)等の、電離ビームや重粒子ビーム(heavy particle beam)を発生するための、多様なビーム発生装置を使用することができるだろう。例えば、X線ビーム装置は商業上入手可能なものであってもよい。ビーム装置はケーブル22を介してビーム装置20に接続された制御卓24に配置されたスイッチ23を切り替えることにより、オペレーターによって起動されてもよい。
【0022】
放射線治療装置10はまた、三次元画像によって事前に画像が取得された領域を通過する第1診断用ビーム26及び第2診断用ビーム28を出力するための装置を含んでもよい。診断用ビームは、図2に示されているように、互いに、例えば90度等の、ゼロ度以外の予め決められた角度を持つように配置される。診断用ビームは第1X線発生器30及び第2X線発生器32によってそれぞれ生成される。第1及び第2の画像受信器34及び36、または、単一の受信器は診断用ビーム26及び28によって投射される画像を生成するために、診断用ビームを受信し、受信した診断用画像を三次元画像と比較するために、診断用画像をマイクロプロセッサー12に供給する(図4参照)。
【0023】
放射線治療装置10はまた、電離ビームの焦点が連続的に(または、常に)目的領域18に合うように、処置用ビーム装置20及び(または)患者14の相対的な位置を調節するための装置を含んでもよい。図1に示された放射線治療装置において、処置用ビーム装置及び患者の位置は構台(または、ガントリー)40と傾斜可能な先端44を備えた可動手術台38により6つの自由度と共に変更することができる。患者に対する処置用ビーム装置の位置はまた、ビーム装置が患者の身体に対して縦方向または横方向に前後する動きを含む、患者の周囲での多様な動きをすることを可能にするための、プロセッサーによって制御可能なロボットアームメカニズム(robotic arm mechanism)を使用することによって達成されてもよい。
【0024】
図3は上述した、マイクロプロセッサー12、テープ装置13、ビーム装置20、ロボットアーム46または構台40、X線カメラ装置30、32、34、36、及び、オペレーター用制御卓24を含む放射線治療装置10のブロック図である。また、装置10はビーム装置が偶発的に起動されないことを確実にするための連動式安全装置(または、セーフティーインターロック)50を含んでもよい。装置10はまた、処置の進行状況の追跡及び処置の制御のための、オペレーター用ディスプレイ48を備えてもよい。放射線治療の詳細な情報は本出願人の米国特許No.5,207,223に説明されており、その内容は本願にも参照として組み込まれる。
【0025】
上述のシステムは呼吸や脈拍による動きが処置用ビームの精度に影響を与えない、(例えば、画像上で見ることができる骨格構造等に対して)静的な目的領域(または、目標部位)の処置または治療に対して非常に適している。しかしながら、上述のシステムは呼吸等の動作の影響を受ける解剖学的な場所または部位の治療が困難であるという欠点を持つ。本発明に従ったフレームレス治療システムは図1−3と共に上述された従来のシステムに改善をもたらす。本発明に従ったフレームレス治療システム及び治療方法を以下に詳細に説明する。
【0026】
図4は本発明に従ったフレームレス治療システム180の好まれる実施例を図示している。本発明のこの実施例は(例えば、骨等の)容易に識別可能な周辺領域が存在せず、呼吸の動作が目的領域(または、目標部位)の位置に影響を与える場所または部位の治療において、埋め込み式のマーカーを使用せずに目的領域(または、目標部位)を識別することが必要な場合等に、特に有用である。この実施例に対する、例としての目的領域は肺の腫瘍である。
【0027】
治療システム180は処置中に患者103が載せられる手術台または寝台102を含んでもよい。治療システムはまた、手術台の下または患者の下に配置される診断用ビーム記録装置(または、診断用ビーム記録素子)104及び、1つまたは複数の診断用ビーム発生器106(図4には1つだけ図示)を含んでもよい。記録装置104は診断用ビーム装置が予め決められた、1つまたは複数の異なった場所で起動されたときに投射される画像を記録する。記録装置104は診断用ビームによって生成される画像を取り込む(または、キャプチャーする)ことができれば、どのような装置または素子であってもよい。
【0028】
好まれる実施例において、記録装置104は診断用ビーム発生器106によって発生されたX線ビームを取り込むことができるアモルファスシリコン板(amorphous silicon plate)である。記録装置104は記録装置及び診断用ビーム発生器の動作を制御するコンピューターに接続されていてもよい。この実施例の記録装置はまた、第1診断用ビームを取り込む第1部分105及び、第2診断用ビームを取り込む第2部分107を含む。診断用ビームは同時的に励起(または、作動)されてもよいし、連続的に(または、順次的に)励起(または、作動)されてもよい。本出願人が所有するAdlerの米国特許No.5,207,223には、1つまたは複数の診断用ビームに対する記録媒体が開示されている。
【0029】
図4にはロボット(または、自動装置)及び処置用ビーム発生器(図5参照)は図示されていない。システムはまた、診断用ビーム発生器が異なった場所に移動することを可能にするトラック(または、レール)152を含んでもよい。(図4において、第1位置154に配置されたときの診断用ビーム発生器106は実線で示されており、第2位置に配置されたときの診断用ビーム発生器は点線で示されている。)診断用ビームは異なった場所に配置された場合に、互いの場所に対して、ゼロ度以外の角度を持つように構成されている。したがって、この実施例において、診断用ビーム発生器106は上述のように異なった角度からの画像を生成するために、周期的に第1位置154から他の位置に移動する。
【0030】
図5に示されている構成要素に加え、システムはまた、診断用ビーム発生器の位置を制御するためのコントローラーを含んでもよい。診断用ビーム発生器の位置はまた、コンピューターによって制御されてもよい。上述の構成に加え、システム180はまた、外部マーカー追跡装置182を含んでもよい。外部マーカー追跡装置182は光学カメラで位置を検出することが可能な受動マーカー(passive marker)や、赤外線ビーム等の1つまたは複数の外部マーカー追跡ビーム184を発生する、1つまたは複数の外部マーカー追跡ビーム発生器184を備えてもよい。システムはまた、本出願人による前記出願に詳細に説明されているような、呼吸動作中に患者の外側の動き(または、患者の胸の表面の動き)を測定するための、患者に取り付けられた、1つまたは複数の外部マーカー188を含んでもよい。以下に、システムの動作を詳細に説明する。
【0031】
図5は図4の治療システム100を詳細に示すためのブロック図である。詳細に述べると、システム100はビーム発生器106、108及び画像記録装置104を含む、システムの多様な構成要素の動作を制御するコンピューター110を含む。システムはまた、処置用ビームを発生する(線形加速器等の)処置用ビーム装置112及び、処置用ビームの位置付け(または、目標付け)をするロボット(または、線形加速器操縦装置)114を含んでもよい。処置用ビーム装置及びロボット114はコンピューター110によって制御されてもよい。また、コンピューター110はマルチプロセッサーコンピューターであってもよい。コンピューターは処置用ビーム発生器112、ロボット114、及びビーム発生器106、108に制御命令を送信し、それらから状態信号を受信する。コンピューターはまた、上述したように、画像記録装置104の動作を制御するために画像記録装置に制御信号を送信し、画像記録装置から画像データを受信する。
【0032】
システムはまた、例えば患者以外の人への放射線による悪影響を避けるために、患者以外の全ての人が処置室からいなくなるまで診断用ビーム及び処置用ビームが起動されないことを確実にするための、連動式安全装置(または、セーフティーインターロック)116を含んでもよい。(ビームはコンピューターに状態信号が受信されたときのみ起動される。)システムはまた、画像記録装置によって生成された画像、処置前に取得されたCT三次元画像及び、画像の比較を実施し、処置用ビームの動きを制御する、多様な処置計画ソフトウェア(treatment planning software)等を格納するための格納装置(または、テープ装置)118を含んでもよい。
【0033】
システムはさらに、外科医等のユーザーがシステムを操作し、処置を監視することを可能にする、オペレーター用制御卓120及びオペレーター用ディスプレイ122を含んでもよい。コンピューターの処置計画ソフトウェアは処置中に、処置ロボットをどのように制御し、処置用ビームをどのように照射するかを決定するために、処置前画像(または、処置前に取得された画像)を診断用ビーム発生器による画像と比較する。そして、コンピューターは比較結果及び外科医が入力したコマンドに基づいて、目的領域(または、目標部位)の周辺の健康な組織に損傷を与えることなく、患者に適当な投与量または線量を適用するために処置用ビームを制御する。以下に、好まれる実施例を使用した処置方法を詳細に説明する。
【0034】
図6は図4のシステムを使用した、本発明に従った処置方法200を図示しているフローチャートである。ステップ202において、処置または治療の前に、目的領域(または、目標部位)を含む患者の一部の場所または部位の三次元マッピングが生成される。三次元マッピングはコンピュータートモグラフィ(CT)、磁気共鳴トモグラフィ(MR)等の、この分野で周知の装置を使用して生成することができるだろう。作成された三次元マッピングは格納装置118に格納される。マッピングは周辺の領域に対する目的領域の場所を突きとめるために、マッピング内で識別可能な周辺の領域に対する目的領域の相対的な配置を示す。例えば、目的領域は肺の腫瘍であってもよい。
【0035】
そして、実際の治療日に、患者は、図4に示されているように、処置ベッドに載せられる。次に、ステップ203において、患者の呼吸サイクルが決定される。患者の呼吸サイクルは処置中の他の多様な時間にも測定される。呼吸サイクルは光学式または超音波式ディジタイザー及び(または)ストレインゲージ(strain gauge)によって胸の表面の動きを観測することによって決定されてもよいし、患者が吐き出す空気の流量の測定によって決定されてもよいし、あるいは、他の周知の方法を使用して決定されてもよい。ステップ204において、システムは連動式安全装置の状態に基づいて、処置を始動できるかを決定する。処置の始動が安全でない場合、方法は安全が確認されるまで、連動式安全装置の状態をチェックする。
【0036】
ステップ206において、記録装置(または、記録素子)上に画像を生成するために、コンピューターによって診断用ビーム発生器がトラック上の適当な位置に配置され、励起(または、作動)させられる。好まれる実施例において、診断用ビーム発生器はX線発生器であり、画像記録装置(または、画像記録素子)はX線への応答で画像を生成する、この分野で周知の、アモルファスシリコン画像生成器(amorphous silicon imager)である。そして、ステップ208において、第1の診断用ビームによって生成された画像はコンピューターによって、コンピューターに接続した格納装置にダウンロードされ、画像記録装置はリセットされる(または、画像記録装置内の画像が消去される)。図7及び図8と共に後で説明されるように、各画像は呼吸サイクル中の同じ位相(または、同じタイミング)で取得される。
【0037】
ステップ210において、診断用ビームに対する他の配置があるかどうかが決定される。診断用ビームに対して他の配置が存在する場合、方法は他の配置で発生器を励起し、画像を生成し、さらに生成された画像を格納装置にダウンロードするためにステップ206に戻る。この実施例において、診断用ビーム発生器のトラック(または、レール)に沿った動きは、各画像が互いに、ゼロ度以外の角度を持ち、かつ、呼吸サイクルの同じ位相(または、同じタイミング)で取得される複数の画像を生成するように制御される。本発明に従うと、方法は連続的(または、順次的)な様式で画像を生成するために、診断用ビーム発生器を異なった場所で連続的(または、順次的)に励起(または、作動)する。本発明に従うと、処置中の異なった時間における目的領域の位置を決定するために、診断用ビーム発生器によって、一連の反復的な画像が周期的に生成されてもよい。
【0038】
生成された一連の診断用ビーム画像は処置中の患者の3D画像(または、三次元画像)を生成するために、従来のCTと同等のアルゴリズムを使用して処理されてもよい。一連の診断用画像が3D画像に変換された後、ステップ212において、その3D画像は特定の時間における目的領域の場所または位置を決定するために、この分野で周知の方法で、事前に作成された三次元処置前マッピングと比較される。そして、ステップ214において、処置用ビームの焦点が常に目的領域(または、目標部位)に合うように、比較結果に基づいて、処置用ビームの目標付けが調節される。診断用画像が反復して作成される場合、新規の画像の組が生成されるたびに、新規の画像がマッピングと比較され、目的領域の位置の変化を補正するために処置用ビームの目標付けが調節される。この様式により、目的領域は正確に追跡され、処置用ビームの焦点は常に目的領域に合わされる。
【0039】
処置中の3D画像の再構成において、特定の構造の配置が可視(または、識別可能)である場合もあるが、特定の構造または目的領域がどちらも全く(または、ほとんど)不可視(または、識別不可能)である場合もあるし、または、可視可能(または、識別可能)であっても、コンピューターによって自動的にセグメント化(segment)するのが困難である場合もある。このような場合、システムは明らかに識別可能な構造の位置が処置前画像データに最も良くマッチする(または、一致する)ような様式で、処置中画像を変形(deform)するステップを含んでもよい。また、このような方法を使用することによって、解剖学的領域全体の正確な変形のパターンが推定されてもよい。処置前画像データ中において識別可能であるが、処置中データにおいて明確に識別可能でない目的領域及び(または)健康で重要な組織は図13と共に後で詳細に説明される様式で推定されてもよい。
【0040】
図7はサイン波によって表されている、人間の典型的な呼吸サイクルのグラフ260を図示している。グラフのy軸は胸の動きを示しており、呼吸サイクル中に胸が外側及び内側に動いていることを示している。呼吸サイクル中の第1点262は胸が最大に拡張したときを示しており、第2点264は胸が拡張及び収縮していないときを示している。呼吸サイクルは上述したように、多様な技術を使用して決定することができるだろう。本発明に従うと、診断用ビーム及び処置用ビームの励起(または、作動)は励起(または、作動)が呼吸サイクル中の第1点または第2点に対応する点で起きるように、周期的なタイミングで行われてもよい。また、ビームの励起は呼吸サイクル中に複数回行われてもよい。これにより、ビームは呼吸サイクル中の常に同じ位相またはタイミングで励起(または、作動)されるので、処置または治療の精度が改善される。
【0041】
図8は本発明に従った、呼吸サイクルに基づいた診断用ビームまたは処置用ビームを励起(または、作動)するための方法270のフローチャートである。ステップ272において、処置が開始され、患者の呼吸サイクルが決定される。ステップ274において、システムは呼吸サイクル中の予め決められた点であるかを決定し、予め決められた点でない場合、予め決められた点になるまで待機する。呼吸サイクル中の予め決められた点に到達した後、システムはステップ276でビームを励起してもよい。以下に、本発明の第2の実施例を説明する。
【0042】
図9は本発明に従ったフレームレス治療システム150の第2の実施例を図示している。本発明のこの実施例は、目的領域(または、目標部位)の周辺の領域の位置を突きとめることが可能であるが、周辺の領域が目的領域に対して(例えば、骨等の)固定した関係を持たない場合であって、かつ、呼吸動作が目的領域の場所に影響を及ぼさない、目的領域の基準物不在目標付け(fiducial-less targeting)に対して特に有効である。この実施例の目的領域の1つの例は前立腺である。
【0043】
システム150は手術台102、画像記録装置104、診断用ビーム発生器106等の、前述の実施例と同様な部材を含んでもよく、それらの部材は前述の実施例と同一または同様な番号で示されている。前述の実施例と同様に、ロボット(または、自動装置)及び処置用ビーム発生器は図示されていない。この実施例においても、治療システムのコストを削減するために、単一の診断用ビーム発生器106が使用されてもよい。
【0044】
この実施例において、システムはまた、診断用ビーム発生器が異なった場所に移動することを可能にするトラック(または、レール)152を含む。(図9において、第1位置154に配置されたときの診断用ビーム発生器106は実線で示されており、第2位置に配置されたときの診断用ビーム発生器は点線で示されている。)診断用ビームは異なった場所に配置された場合に、互いの場所に対して、ゼロ度以外の角度を持つように構成されている。したがって、この実施例において、診断用ビーム発生器106は上述のように、異なった角度からの画像を生成するために、周期的に第1位置154から他の位置に移動する。実施例はまた、図5に示されている部材と同様な部材を含んでもよく、また、コンピューターによって制御される、診断用ビームを配置するためのコントローラーを含んでもよい。以下に、第2の実施例を使用して処置または治療を行うための方法を詳細に説明する。
【0045】
図10は図9のシステムを使用して、本発明に従った処置または治療を行うための方法160のフローチャートである。ステップ162において、処置または治療の前に、目的領域(または、目標部位)を含む患者の一部の場所または部位の三次元マッピングが生成される。三次元マッピングはコンピュータートモグラフィ(CT)等の、この分野で周知の装置を使用して生成されてもよい。生成された三次元マッピングは格納装置118に格納される。
【0046】
マッピングは周辺の領域に対する目的領域の場所を突きとめるために、マッピング内で識別可能な周辺の領域に対する目的領域の相対的な場所または位置を示す。例えば、目的領域は前立腺の腫瘍であってもよく、周辺領域は膀胱であってもよい。そして、実際の治療日に、患者は、図9に示されているように、処置ベッドに載せられる。ステップ164において、システムは連動式安全装置(safety interlock)の状態に基づいて、処置を開始できるかを決定する。処置の開始が安全でない場合、方法は安全が確認されるまで、連動式安全装置の状態をチェックする。
【0047】
ステップ166において、記録装置上に画像を生成するために、コンピューターによって診断用ビーム発生器がトラック上の適当な位置に配置され、励起(または、作動)させられる。好まれる実施例において、診断用ビーム発生器はX線発生器であり、画像記録装置はX線への応答で画像を生成する、この分野で周知の、アモルファスシリコン画像生成器(amorphous silicon imager)である。そして、ステップ168において、第1の診断用ビームによって生成された画像はコンピューターによって、コンピューターに接続した格納装置にダウンロードされ、画像記録装置はリセットされる(または、画像記録装置の画像が消去される)。
【0048】
ステップ170において、診断用ビームに対する他の配置があるかどうかが決定される。診断用ビームに対して他の配置が存在する場合、方法は他の配置で発生器を励起し、画像を生成し、さらに生成された画像を格納装置にダウンロードするためにステップ166に戻る。この実施例において、診断用ビーム発生器のトラックに沿った動きは、各画像が互いに、ゼロ度以外の角度を持つように取得された複数の画像を生成するように制御される。
【0049】
本発明に従うと、方法は時間的に連続的(または、順次的)な様式で画像を生成するために、診断用ビーム発生器を異なった場所で連続的(または、順次的)に励起(または、作動)する。本発明に従うと、(処置中の)異なった時間における目的領域の場所または位置を決定するために、診断用ビーム発生器によって、一連の反復的な画像が周期的に生成されてもよい。診断用ビームによって生成された二次元(2D)画像は処置前3Dマッピングと比較するために、従来のCTと同等な(または、CTに類似した)画像を生成するために処理されてもよい。
【0050】
診断用画像が生成された後、ステップ172において、特的の時間における目的領域の場所を決定するために、2つまたはそれ以上の画像が、周知の技術を使用して、取得された三次元処置前マッピングと比較される。前述の実施例と同様に、この比較処理は変形(deform)のステップを含んでもよい。ステップ174において、処置用ビームの焦点が常に目的領域に合うように、比較結果に基づいて、処置用ビームの目標付けが調節される。診断用画像が反復して生成される場合、新規の画像の組が生成されるたびに、新規の画像がマッピングと比較され、目的領域の位置の変化を補正するために処置用ビームの目標付けが調節される。この様式により、目的領域は正確に追跡され、処置用ビームの焦点は常に目的領域に合わされる。
【0051】
図11は特に、骨等の、固定された基準点または参照点と固定した関係を持つ目的領域を処置または治療するのに適した、本発明に従ったフレームレス治療システム100のもう1つの実施例を図示している。すなわち、本発明のこの実施例の目的領域は骨等の周辺または骨に囲まれた部分であるので、この実施例は、例えば患者の脊椎や脳を処置または治療するのに適している。もちろん、本発明の他の実施例が他の目的領域の処置または治療にも適していることは理解されなければならない。
【0052】
この実施例においては、単一の検出装置または記録装置が患者の寝台の下に配置される。この実施例では、2つの診断用ビーム使用され、ビームは連続的(または、順次的)に励起(または、作動)されてもよいし、同時に励起(または、作動)されてもよい。そして、各ビームからの各画像は単一の検出板/カメラの異なった領域に投射される。診断用ビームの同時的な起動は、任意の3D配置の明確な時間を表すタイムスタンプ(または、時刻表示)が必要な場合に、特に有用である。
【0053】
治療システム100は処置中に患者が載せられる手術台または寝台102を含む。図示されている実施例は、患者の脳を処置または治療する例を示している。治療システムはまた、手術台の下または患者の下に配置される診断用ビーム記録装置104及び、1つまたは複数の診断用ビーム発生器106、108(図11には2つの診断用ビーム発生器を図示)を含んでもよい。記録装置(または、記録素子)104は診断用ビーム装置106、108が励起(または、作動)されたときに生成される画像を記録する。
【0054】
記録装置104は診断用ビームによって生成される画像を取り込む(または、キャプチャーする)ことができれば、どのような装置または素子であってもよい。好まれる実施例において、記録装置104は診断用ビーム発生器106、108によって発生されたX線ビームを取り込むことができる、アモルファスシリコン板(amorphous silicon plate)である。記録装置104は記録装置及び診断用ビーム発生器の動作を制御するコンピューターに接続されていてもよい。この実施例の記録装置は第1診断用ビームを取り込む第1部分105及び、第2診断用ビームを取り込む第2部分107を含む。診断用ビームは同時的に励起(または、作動)されてもよいし、連続的に(または、順次的に)励起(または、作動)されてもよい。
【0055】
本発明に従うと、診断用ビーム発生器106、108は、各診断用ビーム発生器が異なった時間、または同時に画像を生成するように、予め決められた時間間隔で、異なった時間に、または同時に励起するようにコンピューターによって制御されてもよい。また、診断用ビーム発生器は、各診断用ビームがゼロ度以外の、異なった角度で患者を通過し、それによって、診断用ビーム間の角度もまたゼロ度以外の角度になるように異なった場所に配置される。この構成は2つの画像から二次元または三次元の画像を生成することを可能にする。
【0056】
動作中、まず、第1の診断用ビーム発生器106が目的領域を通過し、記録装置(または、記録素子)上に画像を生成する診断用ビームを照射するために励起される。記録装置によって現像または生成された画像はコンピューターにダウンロードされ、記録装置自体の画像(または、画像情報)は消去される。次に、第2の診断用ビーム発生器108が励起され、第2の診断用ビームによって生成された画像が、記録装置(または、記録素子)によって記録される。この画像もまたコンピューターにダウンロードされ、第1画像と共にコンピューターに格納される。
【0057】
そして、これらの診断用画像(または、診断用画像の合成画像)をCTスキャン等の、処置前3D画像と比較することにより、治療システムの処置用ビーム(図示せず)を目的領域(または、目標部位)に正確に目標付ける(または、診断用ビームの焦点を合わせ、診断用ビームの線量を制御する)ことができる。図11において、図解を明瞭にするために、処置用ビーム発生器及び処置用ビームロボットは図示されていない。以下に、図12と共に、この実施例の動作を詳細に説明する。
【0058】
図12は、図11のシステムを使用して、本発明に従った処置の方法130を図示しているフローチャートである。詳細に述べると、まず、処置または治療の前に、ステップ132において、目的領域を含む患者の部分または部位の三次元マッピングが生成される。三次元マッピングはコンピュータートモグラフィ等の、従来の技術を使用して生成することができるだろう。そして、領域の三次元マッピングは格納装置118に格納される。マッピングはマッピング内で識別可能であり、かつ、画像記録装置によって生成されるX線画像にも現れる周辺領域に対する目的領域の場所または位置を示す。例えば、目的領域は脳腫瘍であり、周辺領域は頭蓋骨であってもよい。
【0059】
そして、実際の治療日に、患者は、図11に示されているように、処置ベッドに載せられる。ステップ134において、システムは連動式安全装置の状態に基づいて、処置を開始できるかを決定する。処置の開始が安全でない場合、方法は安全が確認されるまで、連動式安全装置の状態をチェックする。
【0060】
ステップ206において処置または治療が開始されると、記録装置上に画像を生成するために、コンピューターによって第1の診断用ビーム発生器が励起(または、作動)させられる。好まれる実施例において、診断用ビーム発生器はX線発生器であり、画像記録装置はX線への応答で画像を生成する、この分野で周知の、アモルファスシリコン画像生成器(amorphous silicon imager)である。そして、ステップ138において、第1の診断用ビームによって生成された画像はコンピューターによって、コンピューターに接続した格納装置にダウンロードされ、画像記録装置はリセットされる。
【0061】
ステップ140において、励起されるべき他の診断用ビームがあるかどうかが決定される。励起すべき他の診断用ビームが存在する場合、方法は他の診断用ビーム発生器を励起し、画像を生成し、さらに生成された画像を格納装置にダウンロードするためにステップ136に戻る。この実施例においては、互いに、ゼロ度以外の、予め決められた角度を持って配置された2つの診断用ビーム発生器が存在する。本発明に従うと、方法は連続的または同時的な様式で、各診断用ビームからの画像を生成するために、診断用ビーム発生器を連続的または同時的に励起(または、作動)する。本発明に従うと、処置中の異なった時間における目的領域の場所または位置を決定するために、各診断用ビーム発生器からの、反復的な画像の組が周期的に生成されてもよい。
【0062】
診断用画像が生成された後、ステップ142において、特定の時間における目的領域の場所または位置を決定するために、生成された2つの画像は、この分野で周知の方法で、三次元処置前マッピングと比較される。ステップ144において、処置用ビームの焦点が常に、目的領域に合うように、比較結果に基づいて、処置用ビームの目標付けが調節される。診断用画像が反復して生成される場合、新規の画像の組が生成されるたびに、新規の画像がマッピングと比較され、目的領域の位置の変化を補正するために処置用ビームの目標付けが調節される。この様式により、目的領域は正確に追跡され、処置用ビームの焦点は常に目的領域に合わされる。
【0063】
図13は処置前画像250及び、診断用ビームによって生成された処置中画像データ252を図示している。示されているように、診断用ビームによって生成された処置中画像は(処置前画像に比べて)不鮮明であり、画像中の構造及び(または)目的領域を見つけ出すのが困難である。一方、処置前画像250は非常に鮮明であり、身体の各構造を明確に識別することができる。それゆえ、示されている処置中画像から目的領域の位置を推定することを可能にするために、処置中画像(または、処置前画像)は線形補間(linear interpolation)やワーピング(warping)等の、多様な周知の変形技術を使用して、処置中画像(または、処置前画像)及び画像内の構造が処置前画像(または、処置中画像)に最もマッチ(または、一致)するまで変形(deform)させられ、結果として、変形画像254が形成される。そして、変形が完了した後、構造の配置から目的領域の配置が推定される。変形技術は上述した全ての実施例に対して使用することができる。
【0064】
上述の実施例は単一の診断用ビーム源(または、複数の診断用ビーム源)を使用した実施例を示しているが、本発明の実施例は単一の診断用ビーム源(または、複数の診断用ビーム源)を使用した実施例には限定されない。例えば、システムは5つの固定式のビーム源を使用してもよいし、2つ以上の移動式のビーム源を使用して構成されてもよい。固定式のビーム源を使用した場合、それらは呼吸サイクル中の特定のタイミングで起動されてもよい。米国特許出願No.09/270,404に記載されているように、そのような構成を使用することにより、呼吸動作に対応する変形モデルに対する、より詳細な情報を得ることができる。
【0065】
ここまで、本発明は本発明の特定の実施例に関連して説明されてきたが、付随する請求の範囲によって規定される本発明の意図及び範囲から外れることなく、これらの実施例に対して多用な変更または改良を行うことができることは当業者に明白であるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】典型的なフレームレス放射線治療システムを図示している図である。
【図2】図1に示されているシステムの診断用ビーム及び処置用ビームを図示している。
【図3】図1のシステムの治療システムのブロック図である。
【図4】本発明に従ったフレームレス治療システムの好まれる実施例を図示している図である。
【図5】図4の治療システムの詳細を図示するためのブロック図である。
【図6】図4のシステムを使用した、本発明に従った処置の方法を図示しているフローチャートである。
【図7】患者の呼吸サイクルを図示しているグラフである。
【図8】本発明に従った、呼吸追跡と共に患者を処置する方法を図示しているフローチャートである。
【図9】本発明に従ったフレームレス治療システムの第2の実施例を図示している。
【図10】図9のシステムを使用して、本発明に従った処置の方法を図示しているフローチャートである。
【図11】本発明に従ったフレームレス治療システムの第3の実施例を図示している。
【図12】図11のシステムを使用して、本発明に従った処置の方法を図示しているフローチャートである。
【図13】処置前データと処置中データとの最適な一致を確立し、より正確な目的位置を推論するための、処置前データ及び(または)処置中データの変形を図示している。
【符号の説明】
【0067】
10 放射線治療装置
12 データプロセッサー
13 格納装置(テープ装置)
14 患者
18 目的領域
20 処置用ビーム発生装置
22 ケーブル
23 スイッチ
24 オペレーター用制御卓
26,28 診断用ビーム
30,32 X線発生器
34,36 画像受信器
38 可動手術台
40 構台(ガントリー)
44 傾斜可能な先端
46 ロボットアーム
48 オペレーター用ディスプレイ
50 連動式安全装置(セーフティーインターロック)
100 フレームレス治療システム
102 手術台
103 患者
104 画像記録装置
105 画像記録装置の第1部分
106 診断用ビーム発生器
107 画像記録装置の第2部分
108 診断用ビーム発生器
110 コンピューター
112 処置用ビーム発生器
114 ロボット(自動装置)
116 連動式安全装置(セーフティーインターロック)
118 格納装置(テープ装置)
120 オペレーター用制御卓
122 オペレーター用ディスプレイ
150 フレームレス治療システム
152 トラック(レール)
154 診断用ビーム発生器の第1位置
180 フレームレス治療システム
182 外部マーカー追跡装置
184 外部マーカー追跡ビーム発生器
188 外部マーカー
250 処置前画像データ
252 処置中画像データ
254 変形された処置前画像データ
260 呼吸サイクルのグラフ
262 呼吸サイクルの第1点(胸が最大に拡張した点)
264 呼吸サイクルの第2点(胸が拡張及び収縮していない点)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の移動する目的領域を処置するためのシステムであって:
処置用ビームを発生するために構成された処置用ビーム発生器;
患者の呼吸サイクルを追跡するために構成された追跡システム;
呼吸サイクル中に複数の異なった角度から、前記移動する目的領域を含む領域の複数の処置中の画像を生成するために構成された画像システム;及び、
患者の呼吸サイクルに対する補正を行うために前記移動する目的領域を追跡するように前記処置用ビーム発生器の位置を連続的に調節するために構成された処理システムであって、前記処置用ビームを呼吸サイクル中の複数の異なった時点に前記移動する目的領域に適用するように構成された処理システムを備えるシステム。
【請求項2】
前記処置用ビーム発生器の位置を連続的に調節するために前記処理システムが:
前記複数の処置中の画像から前記移動する目的領域を含む領域の複数の三次元画像を合成し;
患者の呼吸サイクルを前記移動する目的領域を含む領域の複数の処置中の三次元画像と相関させ;そして、
前記複数の三次元画像を前記移動する目的領域を含む領域の複数の処置前の三次元画像と比較するために構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記処理システムがさらに、前記移動する目的領域を含む領域の複数の処置中の画像を変形させるために構成されており、処置中の三次元画像と処置前の三次元画像の一致を向上させるために前記変形された複数の処置中の画像が利用される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記処理システムがさらに、前記移動する目的領域を含む領域の処置前の画像を変形させるために構成されており、処置中の三次元画像と処置前の三次元画像の一致を向上させるために前記変形された処置前の画像が利用される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記画像システムが:
複数の異なった角度からの複数の診断用ビームを発生するために構成された移動可能な診断用画像ビーム発生器;及び、
前記複数の診断用画像ビームの各々が前記移動する目的領域を含む領域を通過した後に前記移動する目的領域を含む領域の画像を取得するために構成された画像装置を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記画像システムが:
2つまたはそれ以上の角度の各々からの複数の診断用画像ビームを発生するために構成された2つまたはそれ以上の診断用ビーム発生器;及び、
前記複数の診断用画像ビームの各々が前記移動する目的領域を含む領域を通過した後に前記移動する目的領域を含む領域の画像を取得するために構成された2つまたはそれ以上の画像装置を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記移動する目的領域を含む領域の前記処置前三次元画像がコンピューター断層画像及び磁気共鳴画像のうちの1つを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記処置用ビーム発生器の位置を連続的に調節するために構成されたロボットアームをさらに供える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ロボットアームが6つの自由度で前記処置用ビーム発生器の患者に対する位置を連続的に調整するために構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記処置用ビーム発生器が線形加速器を備え、前記処置用ビームがX線ビームを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記画像システムがX線画像システムを備える、請求項1に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−23347(P2008−23347A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−212216(P2007−212216)
【出願日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【分割の表示】特願2002−526277(P2002−526277)の分割
【原出願日】平成13年9月14日(2001.9.14)
【出願人】(501363143)アキュレイ インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】