説明

フロントフォークユニット及び電動アシスト自転車

【課題】効率的な電力供給を可能とするフロントフォークユニット及び電動アシスト自転車を提供する。
【解決手段】フロントフォークユニットは、前輪1を回転可能に支持する脚部2Aと、前輪1に取り付けられ、前輪1を駆動させる電動モータ3と、脚部2Aに取り付けられたバッテリー6Aと、電動モータ3とバッテリー6Aとの間において脚部2Aに取り付けられる制御装置8と、制御装置8及び電動モータ3に電気的に接続される電力ケーブル7とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータを備えるフロントフォークユニット及び電動アシスト自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前輪に取り付けられた電動モータによって前輪を駆動する電動アシスト自転車が知られている。
【0003】
このような電動アシスト自転車は、サドル下方に配置されるバッテリーと、バッテリーから電動モータへ電力を供給する電力ケーブルとを備える(例えば、特許文献1参照)。電動モータは、電力ケーブルを介してバッテリーから供給される電力によって駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−306913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の手法では、電力ケーブルは、バッテリーから電動モータまで引き回されるので、長い電力ケーブルを配設する必要がある。そのため、バッテリーと電動モータとの間で電圧降下が発生し、電動モータに効率的に電力を供給できないという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した状況に鑑みてなされたものであり、効率的な電力供給を可能とするフロントフォークユニット及び電動アシスト自転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴に係るフロントフォークユニットは、電動アシスト自転車の前輪に取り付けられるフロントフォークユニットであって、前輪を回転可能に支持する脚部を有するフロントフォークと、前輪に取り付けられ、前輪に駆動力を与える電動モータと、脚部に取り付けられるバッテリーと、電動モータとバッテリーとの間において脚部に取り付けられ、バッテリーから電動モータに供給される電力を制御する制御装置と、制御装置及び電動モータを電気的に接続する電力ケーブルとを備えることを要旨とする。
【0008】
本発明の特徴に係るフロントフォークユニットは、電動モータと制御装置とを連結するプレートと、プレートを覆うプレートカバーとを備え、電力ケーブルは、プレートとプレートカバーとの間を引き回されていてもよい。
【0009】
本発明の特徴に係るフロントフォークユニットにおいて、フロントフォークは、電動モータに接続される他の脚部を有しており、他の脚部に取り付けられる他のバッテリーとを備えていてもよい。
【0010】
本発明の特徴に係るフロントフォークユニットは、制御装置を操作するための操作装置を備え、操作装置は、バッテリーを挟んで制御装置の反対側に配置されており、操作装置は、バッテリーを固定する鍵機構を有していてもよい。
【0011】
本発明の特徴に係る電動アシスト自転車は、前輪と、前輪に取り付けられるフロントフォークユニットとを備え、フロントフォークユニットは、電動モータと、電動モータに接続される脚部を有するフロントフォークと、脚部に取り付けられるバッテリーと、バッテリーから電動モータに電力を供給する電力ケーブルと、電動モータとバッテリーとの間において脚部に取り付けられ、バッテリーから電動モータに供給される電力を制御する制御装置とを備えることを要旨とする。
【0012】
本発明の特徴に係るフロントフォークユニットにおいて、バッテリーは、脚部の後方において脚部に沿って取り付けられていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、効率的な電力供給を可能とするフロントフォークユニット及び電動アシスト自転車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る電動アシスト自転車100の左側面図である。
【図2】図1の矢印L方向から電動アシスト自転車100を見た矢視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る操作装置10の構成を示す図である。
【図4】本発明の本実施形態に係るフロントフォークユニットの機能を説明するための機能ブロック図である。
【図5】本発明の本実施形態に係るフロントフォークユニットの取り付け状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の本実施形態に係るフロントフォークユニットを車体後方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、図面を用いて、本発明の実施形態について説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0016】
(電動車両の構成)
以下において、本発明の実施形態に係る電動アシスト自転車100の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、電動アシスト自転車100の左側面図である。図2は、図1の矢印L方向から電動アシスト自転車100を見た矢視図である。
【0017】
図1に示すように、電動アシスト自転車100は、前輪1、フロントフォーク2、電動モータ3、回転ハブ4、スポーク5、一対のバッテリー6A,6B、電力ケーブル7、制御装置8、プレート9PLT、プレートカバー9COV、操作装置10、固定部11、トルクセンサ12、フェンダー13及びライト14を備える。
【0018】
前輪1は、フロントフォーク2が有する一対の脚部2A,2Bによって、軸心Sを中心として回転可能に支持される。
【0019】
電動モータ3は、前輪1の中央に取り付けられており、一対の脚部2A,2Bの下端部に固定されている。電動モータ3の駆動力は、回転ハブ4に伝達される。これによって、電動モータ3は、前輪1に駆動力を与える。
【0020】
回転ハブ4は、軸心Sを中心として回転可能に電動モータ3に連結されている。回転ハブ4は、複数のスポーク5によって前輪1に連結されている。
【0021】
一対のバッテリー6A,6Bそれぞれは、一対の脚部2A,2Bそれぞれに沿って取り付けられている。一対のバッテリー6A,6Bは、一対の脚部2A,2Bの後方に取り付けられている。従って、図2に示すように、一対のバッテリー6A,6Bは、車体の中心線Tを中心として、ほぼ対称位置に配置されている。
【0022】
電力ケーブル7は、電動モータ3と制御装置8とを電気的に接続する。電力ケーブル7は、バッテリー6Aから制御装置8に供給される電力を電動モータ3に供給する。
【0023】
制御装置8は、バッテリー6Aから電動モータ3に供給される電力を制御する。具体的には、制御装置8は、ペダルに所定以上の力が加えられたことがトルクセンサ12によって検出された場合に、バッテリー6Aから電動モータ3に電力を供給する。本実施形態において、制御装置8は、電動モータ3とバッテリー6Aとの間において、脚部2Aに取り付けられている。
【0024】
プレート9PLTは、電動モータ3と制御装置8とを連結する。プレート9PLTは、電動モータ3が軸心Sを中心として回転することを抑制するための回転止め部材として機能する。プレートカバー9COVは、プレート9PLTの外側を覆っている。
【0025】
ここで、電力ケーブル7は、プレート9PLTとプレートカバー9COVとの間のスペースに引き回されていることに留意すべきである。従って、電力ケーブル7は、電動モータ3とバッテリー6Aとの間において露出しない。
【0026】
操作装置10は、バッテリー6Aを挟んで制御装置8の反対側、すなわち脚部2A上に配置されている。操作装置10は、制御線15(図1,2において不図示、図4参照)を介して、制御装置8に接続されている。
【0027】
操作装置10は、図2に示すように、鍵機構10KEYを側面に有する。鍵機構10KEYは、バッテリー6Aを操作装置10の下部に固定する。これによって、バッテリー6Aは、脚部2Aに固定される。
【0028】
操作装置10は、図3に示すように、操作・表示パネル部10Pを上面に有する。操作・表示パネル部10Pは、電源スイッチ、バッテリー6Aの残量の表示や制御装置8の設定操作に用いられる。
【0029】
固定部11は、図2に示すように、鍵機構11KEYを側面に有する。鍵機構11KEYは、バッテリー6Bを固定部11の下部に固定する。これによって、バッテリー6Bは、脚部2Bに固定される。
【0030】
トルクセンサ12は、ペダルに加わるトルクの大きさを検出する。トルクセンサ12は、制御線15(図4参照)を介して、制御装置8に接続されている。
【0031】
フェンダー13は、前輪1の上方を覆う泥除けである。本実施形態において、フェンダー13は、フロントフォーク2と一体的に形成されている。
【0032】
ライト14は、バッテリー6Aと電気的に接続されている。ライト14は、操作装置10におけるボタン操作によって、制御装置8からバッテリー6Aの電力が供給され点灯する。ライト14は、制御線15(図4参照)を介して、制御装置8に接続されている。
【0033】
なお、フロントフォーク2、電動モータ3、バッテリー6A、電力ケーブル7、制御装置8、プレート9PLT、プレートカバー9COV、操作装置10は、本実施形態に係るフロントフォークユニットを構成する。
【0034】
(フロントフォークユニットの機能)
次に、本実施形態に係るフロントフォークユニットの機能について、図面を参照しながら説明する。図4は、本実施形態に係るフロントフォークユニットの機能を説明するための機能ブロック図である。
【0035】
図4に示すように、制御装置8は、トルクセンサ12、操作装置10及びライト14それぞれと制御線15を介して接続されている。
【0036】
制御装置8は、トルクセンサ12によって検出されるトルク値に応じて、電力ケーブル7を流れる電力量を制御する。制御装置8は、バッテリー6Aの電力残量を操作・表示パネル部10Pに表示する。制御装置8は、ユーザによる操作・表示パネル部10Pの操作に応じて、制御装置8における設定変更などを受付ける。
【0037】
このように、本実施形態において、電力ケーブル7は、電動モータ3と制御装置8との間のみに引き回されている。また、制御線15は、制御装置8とトルクセンサ12、操作装置10及びライト14との間のみに引き回されている。
【0038】
(フロントフォークユニットの取り付け状態)
次に、本実施形態に係るフロントフォークユニットの取り付け状態について、図面を参照しながら説明する。図5は、本実施形態に係るフロントフォークユニットの取り付け状態を示す斜視図である。図6は、本実施形態に係るフロントフォークユニットを車体後方から見た図である。
【0039】
図5に示すように、脚部2Aには、プレートカバー9COV(プレート9PLTを含む)、制御装置8、バッテリー6A及び操作装置10が電動モータ3側から順に取り付けられている。
【0040】
また、図6に示すように、バッテリー6Aは、制御装置8の上面に突出する凸端子がバッテリーの下面に設けられた凹端子に差し込まれることによって、制御装置8と電気的に接続される。また、操作装置10のケースは、バッテリー6Aの重量を支える台座として機能する。
【0041】
(作用及び効果)
実施形態に係るフロントフォークユニットは、前輪1を回転可能に支持する脚部2Aと、前輪1に取り付けられ、前輪1を駆動させる電動モータ3と、脚部2Aに取り付けられたバッテリー6Aと、電動モータ3とバッテリー6Aとの間において脚部2Aに取り付けられる制御装置8と、制御装置8及び電動モータ3に電気的に接続される電力ケーブル7とを備える。
【0042】
従って、バッテリー6Aから電動モータ3まで引き回される電力ケーブル7の長さを短くすることができる。そのため、電力ケーブル7において電圧降下が発生することを抑制できるので、電動モータ3へ効率的に電力を供給することができる。また、電力ケーブル7の引き回しを簡易にできるので、フロントフォークユニットの生産性を向上することができる。また、フロントフォークユニットを構成するバッテリー6A、電力ケーブル7、制御装置8、プレート9PLT、プレートカバー9COV及び操作装置10全てが脚部2Aに取り付けられるので、電動アシスト自転車100の車体フレームの設計変更などへの影響を小さくすることができる。
【0043】
また、実施形態に係る電力ケーブル7は、プレート9PLTとプレートカバー9COVとの間を引き回される。従って、電力ケーブル7が外部に露出しないので、電力ケーブル7の損傷や劣化を抑制できる。
【0044】
また、実施形態に係る脚部2Bには、バッテリー6Bが取り付けられている。具体的には、バッテリー6Aとバッテリー6Bとは、中心線Tを中心として対称に配置されている。従って、電動アシスト自転車100の操縦安定性を向上することができる。
【0045】
また、実施形態に係るバッテリー6Aは、脚部2Aの後方に沿って取り付けられている。このように、バッテリー6Aは、電動アシスト自転車100の重心に近い位置に配置されるので、電動アシスト自転車100の操縦安定性を向上することができる。
【0046】
また、操作装置10は、バッテリー6Aを固定する鍵機構10KEYを有する。従って、バッテリー6Aの脱落を十全に抑制することができる。
【0047】
(その他の実施形態)
本発明は上記実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0048】
例えば、上記実施形態では、電動アシスト自転車100は、一対の脚部2A,2Bを備えることとしたが、脚部2Aのみを備える構成であってもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、電動アシスト自転車100は、一対のバッテリー6A,6Bを備えることとしたが、バッテリー6Aのみを備える構成であってもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、電動アシスト自転車100は、フェンダー13及びライト14を備えることとしたが、フェンダー13及びライト14を備えていなくてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では特に触れていないが、ライト14は、照度センサによって検出される照度に応じて、自動的に点灯・消灯が制御されてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、バッテリー6Aは、脚部2Aの側方から取り付けられることとしたが(図6参照)、これに限られるものではない。例えば、バッテリー6Aは、脚部2Aの後方から取り付けられてもよい。
【0053】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0054】
1…前輪、2…フロントフォーク、2A,2B…脚部、3…電動モータ、4…回転ハブ、5…スポーク、6A,6B…バッテリー、7…電力ケーブル、8…制御装置、9COV…プレートカバー、9PLT…プレート、10…操作装置、10KEY…鍵機構、10P…操作・表示パネル部、11…固定部、11KEY…鍵機構、12…トルクセンサ、13…フェンダー、14…ライト、15…制御線、100…電動アシスト自転車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動アシスト自転車の前輪に取り付けられるフロントフォークユニットであって、
前記前輪を回転可能に支持する脚部を有するフロントフォークと、
前記前輪に取り付けられ、前記前輪に駆動力を与える電動モータと、
前記脚部に取り付けられるバッテリーと、
前記電動モータと前記バッテリーとの間において前記脚部に取り付けられ、前記バッテリーから前記電動モータに供給される電力を制御する制御装置と、
前記制御装置及び前記電動モータを電気的に接続する電力ケーブルと
を備えることを特徴とするフロントフォークユニット。
【請求項2】
前記電動モータと前記制御装置とを連結するプレートと、
前記プレートを覆うプレートカバーと
を備え、
前記電力ケーブルは、前記プレートと前記プレートカバーとの間を引き回される
ことを特徴とする請求項1に記載のフロントフォークユニット。
【請求項3】
前記フロントフォークは、前記電動モータに接続される他の脚部を有しており、
前記他の脚部に取り付けられる他のバッテリーと
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のフロントフォークユニット。
【請求項4】
前記制御装置を操作するための操作装置を備え、
前記操作装置は、前記バッテリーを挟んで前記制御装置の反対側に配置されており、
前記操作装置は、前記バッテリーを固定する鍵機構を有する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフロントフォークユニット。
【請求項5】
前輪と、
前記前輪に取り付けられるフロントフォークユニットと
を備え、
前記フロントフォークユニットは、
電動モータと、
前記電動モータに接続される脚部を有するフロントフォークと、
前記脚部に取り付けられるバッテリーと、
前記バッテリーから前記電動モータに電力を供給する電力ケーブルと、
前記電動モータと前記バッテリーとの間において前記脚部に取り付けられ、前記バッテリーから前記電動モータに供給される電力を制御する制御装置と
を備えることを特徴とする電動アシスト自転車。
【請求項6】
前記バッテリーは、前記脚部の後方において前記脚部に沿って取り付けられる
ことを特徴とする請求項5に記載の電動アシスト自転車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−25717(P2011−25717A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170263(P2009−170263)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】