ブラシレスDCモータの制御装置およびそれを用いた送風装置
【課題】ブラシレスDCモータの磁束量ばらつきによるモータ出力ばらつきを抑制することができるブラシレスDCモータの制御装置を提供する。
【解決手段】インバータ回路9、ブラシレスDCモータの回転数を検出する回転数検出手段10、ブラシレスDCモータへの印加電圧を検出する印加電圧検出手段11、ブラシレスDCモータが所望の出力となるように検出した誘起電圧と回転数に基づいてインバータ回路9を制御する出力制御手段12、ブラシレスDCモータの回転数検出と同時に誘起電圧と電気角を検出し、誘起電圧と電気角の検出結果に応じて、出力制御手段12に予め記憶した基準となる印加電圧あるいは印加電圧に比例関係のあるデューティの制御パラメータを変更して、ブラシレスDCモータの磁束量のばらつきを補正する補正手段13を備える。
【解決手段】インバータ回路9、ブラシレスDCモータの回転数を検出する回転数検出手段10、ブラシレスDCモータへの印加電圧を検出する印加電圧検出手段11、ブラシレスDCモータが所望の出力となるように検出した誘起電圧と回転数に基づいてインバータ回路9を制御する出力制御手段12、ブラシレスDCモータの回転数検出と同時に誘起電圧と電気角を検出し、誘起電圧と電気角の検出結果に応じて、出力制御手段12に予め記憶した基準となる印加電圧あるいは印加電圧に比例関係のあるデューティの制御パラメータを変更して、ブラシレスDCモータの磁束量のばらつきを補正する補正手段13を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシレスDCモータの制御装置、またはそれを用いた送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブラシレスDCモータの制御装置は、インバータを用いて軸出力が所望の値となるように制御し、空調用のファンなどの仕事量を制御するように構成しているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、特許文献1における換気装置について、図14を参照しながら説明する。特許文献1では、図14に示すように、DCモータ101で駆動する送風機を備えており、風量を一定に制御する制御機能を持つ換気装置について、換気装置の制御回路102によって制御関数に基づいてDCモータ101を駆動し、定風量制御するようにしている。その制御関数に関しては、この換気装置と同じ任意の基準換気装置によってあらかじめ取得された関数である。制御関数に換気装置の送風機のDCモータ101のばらつき分を補正値として取り入れる。補正値は基準換気装置のDCモータ101が安定した任意の低回転数を回転数検出回路103にて検出し、そのときの指令電圧値を指令電圧生成回路104にて測定し、この指令電圧値と換気装置のDCモータ101が基準換気装置のDCモータ101と同じ安定した低回転数のときの指令電圧値との差を算出して求める。求めた指令電圧値との差を補正値として取り込み、記憶素子105に記憶しておくことで、電源投入時にのみ補正処理を行なって、DCモータ101の風量一定制御の風量制御精度の悪化を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−82634号公報(要約、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のこの種の換気装置では、安定した任意の低回転数の時の指令電圧値を観測する必要があり、設置された後に部品交換する際など、ダクト長や外風などの設置環境や外乱要素で風量を左右する要因があった際には、安定した補正が困難になるという課題がある。特に、低回転数域では、モータに印加する電圧デューティも小さく、安定性に課題がある。また、モータのばらつき要因としては、着磁ばらつき、巻線ばらつきなどがあり、その中でも着磁ばらつきの結果として誘起電圧のばらつきが比率的大きいが、それらのばらつきを総合的なばらつきとして補正を加える方式であるため、補正定数が線形になるとは考え難く、実際的な補正係数の選定が困難となるという課題もある。
【0006】
本発明は、前記の問題を解決し、ダクト長、外風などの設置環境や外乱要素が含まれる要因があった場合でも、モータの回転状態にある中での任意の回転数における誘起電圧を測定し、その誘起電圧のばらつきに応じてモータのばらつきを補正するため、安定した補正が可能となり、また、モータのばらつき要因として比率的に大きい誘起電圧乃至誘起電圧に比例する定数による特化した補正を行なうことで、モータの軸出力一定制御(送風機の場合では風量一定制御)の制御確度を向上することができるブラシレスDCモータの制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、この目的を達成するために、交流電源を全波整流する整流手段と、上段と下段からなり、それぞれ複数のスイッチング素子でブリッジ接続されたインバータ回路と、前記ブラシレスDCモータの印加電圧を検出する印加電圧検出手段と、前記ブラシレスDCモータの回転数を検出する回転数検出手段と、前記ブラシレスDCモータが所望の出力となるように検出した印加電圧と回転数に基づいて前記インバータ回路を制御する出力制御手段と、前記ブラシレスDCモータの回転数の検出と同時に誘起電圧と電気角を検出し、誘起電圧と電気角の検出結果に応じて、前記出力制御手段に予め記憶した基準となる指令電圧あるいは指令電圧に比例関係のあるデューティの制御パラメータを変更して、前記ブラシレスDCモータの磁束量のばらつきを補正する補正手段を備えたことを特徴とするものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ブラシレスDCモータの制御装置は、交流電源を全波整流する整流手段と、上段と下段からなり、それぞれ複数のスイッチング素子でブリッジ接続されたインバータ回路と、前記ブラシレスDCモータの印加電圧を検出する印加電圧検出手段と、前記ブラシレスDCモータの回転数を検出する回転数検出手段と、前記ブラシレスDCモータが所望の出力となるように検出した印加電圧と回転数に基づいて前記インバータ回路を制御する出力制御手段と、前記ブラシレスDCモータの回転数の検出と同時に誘起電圧と電気角を検出し、誘起電圧と電気角の検出結果に応じて、前記出力制御手段に予め記憶した基準となる指令電圧あるいは指令電圧に比例関係のあるデューティの制御パラメータを変更して、前記ブラシレスDCモータの磁束量のばらつきを補正する補正手段を備える構成にして、モータ個々の磁束量ばらつき、磁束密度に比例関係にある誘起電圧ばらつきを検出することになり、主たるモータばらつき要因の補正が可能となり、ダクト長、外風などの設置環境や外乱要素が含まれるファクタがあった場合でも、モータの回転状態にある中での任意の回転数における誘起電圧を測定し、その誘起電圧のばらつきに応じてモータのばらつきを補正するため、安定した補正が可能となり、また、モータのばらつき要因として比率的に大きい誘起電圧乃至誘起電圧に比例する定数による特化した補正を行なうことで、モータの軸出力一定制御(送風機の場合では風量一定制御)の制御確度を向上することができるブラシレスDCモータの制御装置を提供することを目的としている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1の送風装置3の構成図
【図2】同制御装置2の構成図
【図3】同制御パラメータを示す図
【図4】同補正手段13のフローチャート
【図5】本発明の実施の形態2の制御装置2bの構成図
【図6】同誘起電圧の検出のフローチャート
【図7】本発明の実施の形態3の制御装置2cの構成図
【図8】同インバータ回路9の変調のフローチャート
【図9】本発明の実施の形態4の制御装置2dの構成図
【図10】同送風量とモータ効率、ファン効率および比率の特性を示す図
【図11】本発明の実施の形態5の制御装置2eの構成図
【図12】本発明の実施の形態6の制御装置2fの構成図
【図13】同温度変換の対応表を示す図
【図14】従来の換気装置(送風装置)の構成図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の請求項1記載のブラシレスDCモータの制御装置は、交流電源を全波整流する整流手段と、上段と下段からなり、それぞれ複数のスイッチング素子でブリッジ接続されたインバータ回路と、前記ブラシレスDCモータの印加電圧を検出する印加電圧検出手段と、前記ブラシレスDCモータの回転数を検出する回転数検出手段と、前記ブラシレスDCモータが所望の出力となるように検出した印加電圧と回転数に基づいて前記インバータ回路を制御する出力制御手段と、前記ブラシレスDCモータの回転数の検出と同時に誘起電圧と電気角を検出し、誘起電圧と電気角の検出結果に応じて、前記出力制御手段に予め記憶した基準となる指令電圧あるいは指令電圧に比例関係のあるデューティの制御パラメータを変更して、前記ブラシレスDCモータの磁束量のばらつきを補正する補正手段を備えるようにしたものである。これにより、モータ個々の磁束量ばらつき、磁束密度に比例関係にある誘起電圧ばらつきを同時に検出することになり、主たるモータばらつき要因の補正が可能となり、ダクト長、外風などの設置環境や外乱要素が含まれるファクタがあった場合でも、モータの回転状態にある中での任意の回転数における誘起電圧を測定し、その誘起電圧のばらつきに応じてモータのばらつきを補正するため、設置された後に部品交換する際であっても安定した補正が可能となり、また、モータのばらつき要因として比率的に大きい誘起電圧乃至誘起電圧に比例する定数による特化した補正を行なうことで、モータの軸出力一定制御(送風機の場合では風量一定制御)の制御確度を向上することができるという効果を奏する。
【0011】
また、請求項2記載のブラシレスDCモータの制御装置は、初回運転時にのみ補正手段によるブラシレスDCモータの磁束量のばらつき補正を実行する構成としたものである。これにより、常時補正を行なう必要がなく、簡単な構成でブラシレスDCモータの誘起電圧ばらつき補正として磁束量ばらつきの補正ができ、モータの主たるばらつき要因を補正することができるという効果を奏する。
【0012】
また、請求項3記載のブラシレスDCモータの制御装置は、補正手段は、所定の回転数よりも高速となった後に実行する構成としたものである。これにより、誘起電圧の小さいモータであっても、誘起電圧は回転数に比例することから、検出下限値を下回ったり、あるいは検出誤差の拡大を防止することができるという効果を奏する。
【0013】
また、請求項4記載のブラシレスDCモータの制御装置は、誘起電圧の検出を三相のうち何れか一相を選択的に検出する構成としたものである。これにより、三相全ての相電圧を検出する必要がなく、より簡単な回路構成にて実現することができ、より安価な回路構成とすることができるという効果を奏する。
【0014】
また、請求項5記載のブラシレスDCモータの制御装置は、インバータ回路の変調は、矩形波通電により実行し、上段と下段のスイッチング素子が共にオフ状態となる何れかの一相より誘起電圧を検出する構成としたものである。これにより、誘起電圧を検出する際であっても、連続した通電が可能となるため、検出の際の精度を向上することができ、より確度の高い補正制御を可能することができるという効果を奏する。
【0015】
また、請求項6記載のブラシレスDCモータの制御装置は、インバータ回路の変調は、正弦波通電により実行し、上段と下段のスイッチング素子が共にオフ状態となるように意図的に通電パターンを生成して、誘起電圧の検出を実行する構成としたものである。これにより、休止区間を強制的に生成するため、誘起電圧の測定が可能となり、また正弦波通電することにより、モータのトルクリプルが縮小するため、より静音化、あるいは低振動化を図ることができるブラシレスDCモータの制御装置を提供することができる。
【0016】
また、請求項7記載のブラシレスDCモータの制御装置は、補正手段は、少なくとも2回以上ブラシレスDCモータの誘起電圧と回転数の同時検出した結果から前記誘起電圧の平均値と回転数の平均値をそれぞれ演算し、誘起電圧の平均値と平均回転数の演算結果に応じて、ばらつき補正を実行する構成としたものである。これにより、トルクリプルによる供給電流、あるいは誘起電圧の測定ばらつき、あるいは外来ノイズ、自己ノイズによる検出値のばらつきを補正し、より安定した補正を可能とすることができるという効果を奏する。
【0017】
また、請求項8記載のブラシレスDCモータの制御装置は、インバータ回路の変調は、回転始動時および誘起電圧の検出時のみ矩形波通電で実行し、その他の期間では正弦波通電で実行する構成としたものである。これにより、誘起電圧を検出する際であっても、連続した通電が可能となるため、検出の際の精度を向上することができ、より確度の高い補正制御を可能とし、また、通常時は正弦波通電することにより、モータのトルクリプルが縮小するため、より静音化、あるいは低振動化を図ることができるという効果を奏する。
【0018】
また、請求項9記載のブラシレスDCモータの制御装置は、誘起電圧の検出は、誘起電圧がゼロとなるポイントを除外した何れかの電気角で実行する構成としたものである。これにより、誘起電圧を同時に三相分同時検出する必要がなくなり、処理時間の短縮が図れ、マイクロプロセッサの制御周期を上げることができ、外部への雑音を低減できると同時に、種々の付加機能の向上が図ることができるという効果を奏する。
【0019】
また、請求項10記載の送風装置は、本ブラシレスDCモータの制御装置を搭載し、負荷として送風ファンを接続し、所望の送風量に制御する構成としたものである。これにより、前述効果のあるブラシレスDCモータを搭載しているため、装置個々の制御ばらつき低減による能力ばらつきを低減することができ、また、部品交換時であっても、交換後の部品に応じて安定した補正が可能となり、また、モータのばらつき要因として比率的に大きい誘起電圧乃至誘起電圧に比例する定数による特化した補正を行なうことで、モータの軸出力一定制御(風量一定制御)の制御確度を向上することができるという効果を奏する。
【0020】
また、請求項11記載のブラシレスDCモータの制御装置は、出力制御手段は、所望の回転数における前記送風ファンのファン効率とブラシレスDCモータのモータ効率の比率に基づいた印加電圧あるいは回転数の効率補正係数を演算し、前記ブラシレスDCモータの磁束量のばらつき補正結果を二次補正する構成としたものである。これにより、回転数に応じて異なるファン効率、モータ効率、およびファン効率とモータ効率の比率を制御パラメータに反映しているため、送風量制御における近似部分を縮小することができ、送風量制御の精度の向上を図ることができるという効果を奏する。
【0021】
また、請求項12記載のブラシレスDCモータの制御装置あるいは送風装置は、出力制御手段は、所望の回転数における前記送風ファンのファン効率とブラシレスDCモータのモータ効率の比率に基づいた印加電圧あるいは回転数の効率補正係数を演算し、前記ブラシレスDCモータの磁束量のばらつき補正結果を二次補正する構成としたものである。これにより、モータ個々の磁束量ばらつき、磁束密度に比例関係にある誘起電圧ばらつきを同時に検出することになり、主たるモータばらつき要因の補正が可能となり、ダクト長、外風などの設置環境や外乱要素が含まれるファクタがあった場合でも、モータの回転状態にある中での任意の回転数における誘起電圧を測定し、その誘起電圧のばらつきに応じてモータのばらつきを補正するため、設置された後に部品交換する際であっても安定した補正が可能となり、また、モータのばらつき要因として比率的に大きい誘起電圧乃至誘起電圧に比例する定数による特化した補正を行なうことで、モータの軸出力一定制御(送風機の場合では風量一定制御)の制御確度を向上しつつ、回転数に応じて異なるファン効率、モータ効率、およびファン効率とモータ効率の比率を制御パラメータに反映しているため、送風量制御における近似部分を縮小することができ、送風量制御の精度を更に向上することができるという効果を奏する。
【0022】
(実施の形態1)
本発明におけるブラシレスDCモータ1の制御装置2を搭載した送風装置3の構成について、図1を参照しながら構成について説明する。図1に示すように、送風装置3は、制御装置2と送風ファン4と本体ケーシング5と、吹き出し口6を備えている。また、制御装置2は、図2に示すように、交流電源7を全波整流する整流手段8と、スイッチング素子9a〜9fで構成したインバータ回路9と、ブラシレスDCモータ1の回転数を検出する回転数検出手段10と、ブラシレスDCモータ1への印加電圧を検出する印加電圧検出手段11と、ブラシレスDCモータ1が所望の出力となるように検出した回転数と印加電圧を制御する出力制御手段12と、ブラシレスDCモータ1の回転数検出と同時に誘起電圧と電気角を印加電圧検出手段11にて検出し、誘起電圧と電気角の検出結果に応じて、出力制御手段12に予め記憶した基準となる電流あるいは回転数の制御パラメータを変更して、ブラシレスDCモータ1の磁束量のばらつきを補正する補正手段13を備えており、ブラシレスDCモータ1の負荷としての送風ファン4を回転させることで所望の送風量となるように制御する。
【0023】
はじめに、ブラシレスDCモータ1の電流と回転数を制御することで所望の送風量となるように制御できることについて説明する。ブラシレスDCモータ1の出力Pは、トルク定数Ktと電流Iと回転数Nから数式1により計算することができる。
【0024】
【数1】
【0025】
ここで、ブラシレスDCモータ1への印加電圧をV、誘起電圧をE、巻線抵抗をR、誘起電圧定数をKeとすると、数式1は数式2に変換することができる。
【0026】
【数2】
【0027】
また、送風ファン4は一般流体における相似則より、送風ファン4の軸動力Lは、羽根径Dの5乗と送風ファン4の回転数NFの3乗の乗算結果に比例する(数3)。また、風量Qは羽根径の3乗と送風ファン4の回転数NFの乗算結果に比例する(数4)。従って、数式3、数式4より送風ファン4の軸動力Lは、定数kを用いて、〔数5〕のように計算することができる。
【0028】
【数3】
【0029】
【数4】
【0030】
【数5】
【0031】
ここで、送風ファン4とブラシレスDCモータ1が直結していることから、送風ファン4の軸動力LとブラシレスDCモータ1の出力P、送風ファン4の回転数NFとブラシレスDCモータ1の回転数Nは等しいと考えられる。従って、送風量は定数K1とブラシレスDCモータ1のトルク定数Kt、印加電圧V、巻線抵抗R、誘起電圧定数Ke、回転数Nより数式6のように計算することができる。
【0032】
【数6】
【0033】
これは、所定の風量Qaに対して、各々の印加電圧Vaに対応する回転数Naが唯一存在することとなるため、印加電圧と回転数を制御することで、間接的に送風量を制御することが可能となることを示している。この理論計算は、図3に示すように、目標送風量Qa1、Qa2、Qa3(例えば3つの送風量ノッチとした場合)に対して、印加電圧Vaと回転数Naを制御パラメータとして出力制御手段12に記憶し、制御パラメータ上に実際の検出値が近づくように制御することで実現する。
【0034】
次に、前述の理論計算に基づいて、送風ファン4による送風量が所望の風量となるように制御した場合、ブラシレスDCモータ1の個体差によるばらつき要因は、送風装置3の個々の調整にて抑える必要がある。ここで、ブラシレスDCモータ1のばらつき要因のうち、送風量ばらつきへの影響度の高い要因は、磁束φのばらつきであり、5〜6%程度を占める。磁束φは、磁束密度Bに比例し、磁束密度Bはトルク定数Kt、あるいは誘起電圧定数Keに比例するため、トルク定数Ktあるいは誘起電圧定数Keのばらつき成分を検出して、予め記憶した基準となる回転数の制御パラメータを変更することで、ブラシレスDCモータ1の磁束ばらつき要因を補正して所望の送風量と実際の送風量の誤差を抑制することができる。
【0035】
次に、補正手段13の補正量を演算するフローチャートについて、図4を参照しながら説明する。図4に示すように、補正手段13は、運転初回時のみ実行するように構成している。はじめに、出力制御手段12によりインバータ回路9をスイッチングし、ブラシレスDCモータ1を駆動する。補正手段13は、ブラシレスDCモータ1の回転数を入力し、所定の回転数よりも高回転となったか否かを判定する。誘起電圧は、三相のうち何れか一相を検出する。インバータ回路9は、矩形波通電により変調を行ない、スイッチング素子9a〜9fのうち、誘起電圧を検出する何れか一相の上段、下段のスイッチング素子(例えば9a、9b)が共にオフ状態となるタイミングにて検出する。検出は、少なくとも2回以上ブラシレスDCモータ1の回転数と誘起電圧を同時検出し、誘起電圧がゼロとなるポイントを除外した電気角での誘起電圧を採用する。また、電気角の検出は、検出時のカウント値を1回転当たりの内部カウント値にて除算することで演算する。演算した結果から、誘起電圧がゼロとなるポイント(例えば、演算結果が0.0、0.25、0.5.0.75となったポイント)を除外した電気角を検出し、前述の誘起電圧の検出に利用する。さらに、検出した結果から回転数と誘起電圧の平均値を計算する。演算した回転数と誘起電圧の平均値の結果から、その回転数における標準の誘起電圧との比率を演算する。計算した比率を〔数6〕の誘起電圧定数Keに乗算し、制御パラメータの各印加電圧の標準値におけるばらつき補正後の回転数を逆算する。この逆算した補正後の回転数を基に制御パラメータを更新することで、ばらつき補正を完了する。
【0036】
以上のように、ブラシレスDCモータ1の誘起電圧と電気角の検出結果に応じて、出力制御手段12に予め記憶した基準となる回転数の制御パラメータを変更して、ブラシレスDCモータ1の磁束量のばらつきを補正する補正手段13を備え、個体差としてのブラシレスDCモータ1の磁束のばらつきを補正して送風量を制御することができる。
【0037】
なお、本実施の形態1では、補正手段13による補正は回転数を補正する一例を示したが、ブラシレスDCモータ1の印加電圧を補正する構成としても良い。
【0038】
また、インバータ回路9により変調を行ない、パルス幅で印加電圧を制御する構成としたが、整流手段8とインバータ回路9の間に直流電圧を適した電圧に変換するDC−DC変換手段を備えて、印加電圧を制御する構成としても良い。
【0039】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2におけるブラシレスDCモータ1の制御装置2bの構成について、図5を参照しながら説明する。
【0040】
なお、実施の形態1と同一機能を有するものは、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0041】
図5に示すように、インバータ回路9の変調を正弦波通電により実行し、スイッチング素子9a〜9fが共にオフ状態となるように意図的に通電パターンを生成して、誘起電圧の検出を実行する出力制御手段12bを備えている。
【0042】
次に、図6に出力制御手段12bの誘起電圧の検出のフローチャートを示す。図6に示すように、誘起電圧の検出のフローチャートは、運転初回時のみ実行するように構成している。はじめに、出力制御手段12bによりインバータ回路9をスイッチングし、ブラシレスDCモータ1を駆動する。次に、ブラシレスDCモータ1の回転数を入力し、所定の回転数よりも高回転となったか否かを判定する。所定の回転数を超えていない場合は、更に高回転となるようにインバータ回路9の変調を変更する。所定の回転数を超えている場合は、インバータ回路9へのスイッチングを停止し、ブラシレスDCモータ1の誘起電圧を検出する。誘起電圧の検出は、少なくとも2回以上ブラシレスDCモータ1の回転数と誘起電圧を同時検出し、誘起電圧がゼロとなるポイントを除外した電気角での誘起電圧を採用する。また、電気角の検出は、検出時のカウント値を1回転当たりの内部カウント値にて除算することで演算する。演算した結果から、誘起電圧がゼロとなるポイント(例えば、演算結果が0.0、0.25、0.5.0.75となったポイント)を除外した電気角を検出し、前述の誘起電圧の検出に利用する。さらに、検出した結果から回転数と誘起電圧の平均値を計算する。少なくとも2回以上検出して、平均を演算するのは、ブラシレスDCモータ1への励磁を停止することから、送風ファン4を含む回転体の慣性力、摩擦力、送風による抗力などによる回転数、誘起電圧の減衰発生と、ノイズによる検出誤差の低減を図るためである。演算した回転数と誘起電圧の平均値の結果から、その回転数における標準の誘起電圧との比率を演算する。次に、計算した比率を数式6の誘起電圧定数Keに乗算し、制御パラメータの各印加電圧の標準値におけるばらつき補正後の回転数を逆算する。この逆算した補正後の回転数を基に制御パラメータを更新することで、ばらつき補正を完了する。
【0043】
以上のように、インバータ回路9の変調を正弦波通電により実行し、スイッチング素子9a〜9fが共にオフ状態となるように意図的に通電パターンを生成して、誘起電圧の検出を実行する出力制御手段12bを備え、個体差としてのブラシレスDCモータ1の磁束のばらつきを補正して送風量を制御することができる。
【0044】
なお、本実施の形態2では、補正対象を回転数とした一例を示したが、ブラシレスDCモータ1の印加電圧を補正する構成としても良い。
【0045】
また、インバータ回路9により変調を行ない、パルス幅で印加電圧を制御する構成としたが、整流手段8とインバータ回路9の間に直流電圧を適した電圧に変換するDC−DC変換手段を備えて、印加電圧を制御する構成としても良い。
【0046】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3におけるブラシレスDCモータ1の制御装置2cの構成について、図7を参照しながら説明する。
【0047】
なお、実施の形態1および2と同一機能を有するものは、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0048】
図7に示すように、インバータ回路9の変調を回転始動時および誘起電圧検出時のみ矩形波通電で実行し、その他の期間では正弦波通電で実行する出力制御手段12cを備えている。
【0049】
次に、図8に出力制御手段12cのインバータ回路9の変調のフローチャートを示す。図8に示すように、変調のフローチャートは、回転始動時と誘起電圧検出時、乃至その他の通常期間に分岐している。通常期間は誘起電圧検出により補正した制御パラメータによりブラシレスDCモータ1を回転制御し、送風ファン4により所望の送風量となるように制御する。また、回転始動時は、ブラシレスDCモータ1の回転数の変化率が大きいため、矩形波通電にて所定の回転数を超えた際に、正弦波通電に切り替える。また、誘起電圧検出時は、運転初回時のみ実行するように構成しており、矩形波通電で駆動して所定の回転数を超えた場合に、ブラシレスDCモータ1の誘起電圧を検出する。誘起電圧の検出は、少なくとも2回以上ブラシレスDCモータ1の回転数と誘起電圧を同時検出し、誘起電圧がゼロとなるポイントを除外した電気角での誘起電圧を採用する。また、電気角の検出は、検出時のカウント値を1回転当たりの内部カウント値にて除算することで演算する。演算した結果から、誘起電圧がゼロとなるポイント(例えば、演算結果が0.0、0.25、0.5.0.75となったポイント)を除外した電気角を検出し、前述の誘起電圧の検出に利用する。さらに、検出した結果から回転数と誘起電圧の平均値を計算する。演算した回転数と誘起電圧の平均値の結果から、その回転数における標準の誘起電圧との比率を演算する。計算した比率を〔数6〕の誘起電圧定数Keに乗算し、制御パラメータの各印加電圧の標準値におけるばらつき補正後の回転数を逆算する。この逆算した補正後の回転数を基に制御パラメータを更新することで、ばらつき補正を完了する。その後に制御パラメータの書換えフラグをセットし、リスタート時には、書換えフラグがセットされたか否かに応じて、通常運転あるいは誘起電圧による補正のための運転かを判別する。
【0050】
以上のように、インバータ回路9の変調を矩形波通電により実行し、スイッチング素子9a〜9fが共にオフ状態となる通電タイミングで誘起電圧の検出を実行し、また通常運転時には正弦波通電で駆動する出力制御手段12cを備え、個体差としてのブラシレスDCモータ1の磁束のばらつきを補正して送風量を制御することができ、通常時は正弦波通電で駆動するため、より低騒音、低振動化を図ることができる。
【0051】
なお、インバータ回路9により変調を行ない、パルス幅で印加電圧を制御する構成としたが、整流手段8とインバータ回路9の間に直流電圧を適した電圧に変換するDC−DC変換手段を備えて、印加電圧を制御する構成としても良い。
【0052】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4におけるブラシレスDCモータ1の制御装置2dの構成について、図9を参照しながら説明する。
【0053】
なお、実施の形態1〜3と同一機能を有するものは、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0054】
図9に示すように、制御装置2dは、交流電源7を全波整流する整流手段8と、スイッチング素子9a〜9fで構成したインバータ回路9と、ブラシレスDCモータ1の印加電圧を検出する印加電圧検出手段11と、ブラシレスDCモータ1の回転数を検出する回転数検出手段10と、ブラシレスDCモータ1が所望の出力となるように検出した回転数と印加電圧を制御する出力制御手段12dを備えており、ブラシレスDCモータ1の負荷としての送風ファン4を回転させることで所望の送風量となるように制御する。
【0055】
次に、印加電圧あるいは回転数の効率補正係数を演算し、ブラシレスDCモータ1の磁束量のばらつき補正結果を二次補正する方法について、以下説明する。ブラシレスDCモータ1の効率ηMを加味した特性方程式は、数式7により計算することができる。
【0056】
【数7】
【0057】
また、送風ファン4は一般流体における相似則として、〔数5〕による送風ファン4の軸動力Lは同様にファン効率をηFとすると、数式8のように計算することができる。
【0058】
【数8】
【0059】
ここで、送風ファン4とブラシレスDCモータ1が直結していることから、送風ファン4の軸動力LとブラシレスDCモータ1の出力P、送風ファン4の回転数NFとブラシレスDCモータ1の回転数Nは等しいと考えられる。従って、送風量は定数k2とブラシレスDCモータ1のトルク定数Kt、誘起電圧定数Ke、印加電圧V、電流I、巻線抵抗R、モータ効率ηM、ファン効率ηFより〔数9〕のように計算することができる。
【0060】
【数9】
【0061】
従って、所定の風量Qbに対して、所望の印加電圧Vbにおける回転数Nbが唯一存在することとなるため、所望の風量における印加電圧と回転数を制御することで、間接的に送風量を制御することが可能となることを示している。但し、図10に示すように、所望の風量Qb1、Qb2、Qb3におけるモータ効率ηM1、ηM2、ηM3、ファン効率ηF1、ηF2、ηF3、およびモータ効率とファン効率の比率ηMF1、ηMF2、ηMF3は一定ではないため、各特性に応じた制御パラメータとして出力制御手段12dに記憶する。この制御パラメータ上に実際の検出値が近づくように制御することで所望の風量となるように制御することになる。
【0062】
以上のように、所望の回転数におけるモータ効率ηM、ファン効率ηFおよびモータ効率とファン効率の比率ηMFに応じた印加電圧あるいは回転数の効率補正係数を演算し、ブラシレスDCモータ1の磁束量のばらつき補正結果を二次補正して、ブラシレスDCモータ1を制御して、送風量制御における近似部分を縮小することができ、送風量をより精度良く制御することができる。
【0063】
なお、インバータ回路9により変調を行ない、パルス幅で印加電圧を制御する構成としたが、整流手段8とインバータ回路9の間に直流電圧を適した電圧に変換するDC−DC変換手段を備えて、印加電圧を制御する構成としても良い。
【0064】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5におけるブラシレスDCモータ1の制御装置2eの構成について、図11を参照しながら説明する。
【0065】
なお、実施の形態1〜4と同一機能を有するものは、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0066】
図11に示すように、制御装置2eは、交流電源7を全波整流する整流手段8と、上段と下段からなり、スイッチング素子9a〜9fで構成したインバータ回路9と、ブラシレスDCモータ1の回転数を検出する回転数検出手段10と、ブラシレスDCモータ1への印加電圧を検出する印加電圧検出手段11と、ブラシレスDCモータ1が所望の回転数となるように制御する出力制御手段12eと、ブラシレスDCモータ1の回転数検出と同時に誘起電圧と電気角速度を検出し、電気角速度から演算した回転数と誘起電圧の検出結果に応じて、出力制御手段12eに予め記憶した基準となる印加電圧および回転数の制御パラメータを変更して、ブラシレスDCモータ1の磁束量のばらつきを補正する補正手段13を備えており、ブラシレスDCモータ1の負荷としての送風ファン4を回転させることで所望の送風量となるように制御する。また、出力制御手段12eは、印加電圧あるいは回転数の効率補正係数を演算し、ブラシレスDCモータ1の磁束量のばらつき補正結果を二次補正するように構成する。
【0067】
以上のように、所望の風量におけるモータ効率ηM、ファン効率ηFおよびモータ効率とファン効率の比率ηMFに応じた制御パラメータを出力制御手段12eに予め記憶して、ブラシレスDCモータ1を制御して、送風量制御における近似部分を縮小することができ、更にブラシレスDCモータ1の誘起電圧と電気角の検出結果に応じて、出力制御手段12eに予め記憶した基準となる印加電圧と回転数の制御パラメータを変更して、ブラシレスDCモータ1の磁束量のばらつきを補正する補正手段13を備え、個体差としてのブラシレスDCモータ1の磁束のばらつきを補正するため、より精度良く送風量を制御することができる。
【0068】
なお、インバータ回路9により変調を行ない、パルス幅で印加電圧を制御する構成としたが、整流手段8とインバータ回路9の間に直流電圧を適した電圧に変換するDC−DC変換手段を備えて、印加電圧を制御する構成としても良い。
【0069】
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6におけるブラシレスDCモータ1の制御装置2fの構成について、図12を参照しながら説明する。
【0070】
なお、実施の形態1〜5と同一機能を有するものは、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0071】
図12に示すように、制御装置2fは、交流電源7を全波整流する整流手段8と、上段と下段からなり、スイッチング素子9a〜9fで構成したインバータ回路9と、ブラシレスDCモータ1の回転数を検出する回転数検出手段10と、ブラシレスDCモータ1への印加電圧を検出する印加電圧検出手段11と、ブラシレスDCモータ1が所望の回転数となるように制御する出力制御手段12fと、ブラシレスDCモータ1の回転数検出と同時に誘起電圧と電気角速度を検出し、電気角速度から演算した回転数と誘起電圧の検出結果に応じて、出力制御手段12fに予め記憶した基準となる印加電圧および回転数の制御パラメータを変更して、ブラシレスDCモータ1の磁束量のばらつきを補正する補正手段13と、補正手段13からの補正量を入力して記憶し、補正量の変化から送風空気の温度変化に換算して空気密度分として送風量の補正を行なう第二補正手段14を備える。
【0072】
ここで、空気密度による体積は、基準となる温度t0における送風量をQ0とすると、温度t1における送風量Q1は比例計算にて演算することができ、〔数10〕で示すことができる。
【0073】
【数10】
【0074】
一方、ブラシレスDCモータ1は磁束ばらつきを有しており、個々に応じて補正量は異なる。したがって、前述の補正量の変化量から環境変化による変化のみを補正量から切り分ける必要があることから、その時点における補正量を初期補正量で除算することで、変化量すなわち環境変化成分のみを切り分けることができる。切り分けた環境変化成分(例えばA1〜A8)は、図13に示す対応表にてブラシレスDCモータ1の温度(T1〜T8)、すなわち送風空気の温度に関係性のある状態変数に変換する。この温度を数式10のt1に代入して送風量Q1を演算して、送風量の誤差を演算して補正を行なう。
【0075】
以上のように、逐次変動する送風空気の温度変化による送風量の制御誤差を第二補正手段14から出力制御手段12fを通して抑制制御することが可能となり、送風量制御の精度を更に向上することができる。
【0076】
なお、インバータ回路9による変調を行ない、パルス幅で印加電圧を制御する構成としたが、整流手段8とインバータ回路9の間に直流電圧を適した電圧に変換するDC−DC変換手段を備えて、印加電圧を制御する構成としても良い。
【0077】
また、送風空気の温度を直接検出する温度検出手段を備えて、送風空気の空気密度を判定して送風量の補正を行なう構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明にかかるブラシレスDCモータの制御装置は、交流電源を全波整流する整流手段と、上段と下段からなり、それぞれ複数のスイッチング素子でブリッジ接続されたインバータ回路と、前記ブラシレスDCモータの印加電圧を検出する印加電圧検出手段と、前記ブラシレスDCモータの回転数を検出する回転数検出手段と、前記ブラシレスDCモータが所望の出力となるように検出した印加電圧と回転数に基づいて前記インバータ回路を制御する出力制御手段と、前記ブラシレスDCモータの回転数の検出と同時に誘起電圧と電気角を検出し、誘起電圧と電気角の検出結果に応じて、前記出力制御手段に予め記憶した基準となる指令電圧あるいは指令電圧に比例関係のあるデューティの制御パラメータを変更して、前記ブラシレスDCモータの磁束量のばらつきを補正する補正手段を備えるような構成にして、回転状態にあるモータの回転数と、モータ個々の磁束量ばらつき、磁束密度に比例関係にある誘起電圧ばらつきを同時に検出することになり、主たるモータばらつき要因の補正が可能となり、ダクト長、外風などの設置環境や外乱要素が含まれるファクタがあった場合でも、モータの回転状態にある中での任意の回転数における誘起電圧を測定し、その誘起電圧のばらつきに応じてモータのばらつきを補正するため、安定した補正が可能となり、また、モータのばらつき要因として比率的に大きい誘起電圧乃至誘起電圧に比例する定数による特化した補正を行なうことで、モータの軸出力一定制御(送風機の場合では風量一定制御)の制御確度を向上することができるため、換気扇などの換気風量を一定にするような用途にも利用することができ有用である。
【符号の説明】
【0079】
1 ブラシレスDCモータ
2、2b、2c、2d、2e、2f 制御装置
3 送風装置
4 送風ファン
5 本体ケーシング
6 吹き出し口
7 交流電源
8 整流手段
9 インバータ回路
9a〜9f スイッチング素子
10 回転数検出手段
11 印加電圧検出手段
12 出力制御手段
12b 出力制御手段
12c 出力制御手段
12d 出力制御手段
12e 出力制御手段
12f 出力制御手段
13 補正手段
14 第二補正手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシレスDCモータの制御装置、またはそれを用いた送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブラシレスDCモータの制御装置は、インバータを用いて軸出力が所望の値となるように制御し、空調用のファンなどの仕事量を制御するように構成しているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、特許文献1における換気装置について、図14を参照しながら説明する。特許文献1では、図14に示すように、DCモータ101で駆動する送風機を備えており、風量を一定に制御する制御機能を持つ換気装置について、換気装置の制御回路102によって制御関数に基づいてDCモータ101を駆動し、定風量制御するようにしている。その制御関数に関しては、この換気装置と同じ任意の基準換気装置によってあらかじめ取得された関数である。制御関数に換気装置の送風機のDCモータ101のばらつき分を補正値として取り入れる。補正値は基準換気装置のDCモータ101が安定した任意の低回転数を回転数検出回路103にて検出し、そのときの指令電圧値を指令電圧生成回路104にて測定し、この指令電圧値と換気装置のDCモータ101が基準換気装置のDCモータ101と同じ安定した低回転数のときの指令電圧値との差を算出して求める。求めた指令電圧値との差を補正値として取り込み、記憶素子105に記憶しておくことで、電源投入時にのみ補正処理を行なって、DCモータ101の風量一定制御の風量制御精度の悪化を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−82634号公報(要約、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のこの種の換気装置では、安定した任意の低回転数の時の指令電圧値を観測する必要があり、設置された後に部品交換する際など、ダクト長や外風などの設置環境や外乱要素で風量を左右する要因があった際には、安定した補正が困難になるという課題がある。特に、低回転数域では、モータに印加する電圧デューティも小さく、安定性に課題がある。また、モータのばらつき要因としては、着磁ばらつき、巻線ばらつきなどがあり、その中でも着磁ばらつきの結果として誘起電圧のばらつきが比率的大きいが、それらのばらつきを総合的なばらつきとして補正を加える方式であるため、補正定数が線形になるとは考え難く、実際的な補正係数の選定が困難となるという課題もある。
【0006】
本発明は、前記の問題を解決し、ダクト長、外風などの設置環境や外乱要素が含まれる要因があった場合でも、モータの回転状態にある中での任意の回転数における誘起電圧を測定し、その誘起電圧のばらつきに応じてモータのばらつきを補正するため、安定した補正が可能となり、また、モータのばらつき要因として比率的に大きい誘起電圧乃至誘起電圧に比例する定数による特化した補正を行なうことで、モータの軸出力一定制御(送風機の場合では風量一定制御)の制御確度を向上することができるブラシレスDCモータの制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、この目的を達成するために、交流電源を全波整流する整流手段と、上段と下段からなり、それぞれ複数のスイッチング素子でブリッジ接続されたインバータ回路と、前記ブラシレスDCモータの印加電圧を検出する印加電圧検出手段と、前記ブラシレスDCモータの回転数を検出する回転数検出手段と、前記ブラシレスDCモータが所望の出力となるように検出した印加電圧と回転数に基づいて前記インバータ回路を制御する出力制御手段と、前記ブラシレスDCモータの回転数の検出と同時に誘起電圧と電気角を検出し、誘起電圧と電気角の検出結果に応じて、前記出力制御手段に予め記憶した基準となる指令電圧あるいは指令電圧に比例関係のあるデューティの制御パラメータを変更して、前記ブラシレスDCモータの磁束量のばらつきを補正する補正手段を備えたことを特徴とするものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ブラシレスDCモータの制御装置は、交流電源を全波整流する整流手段と、上段と下段からなり、それぞれ複数のスイッチング素子でブリッジ接続されたインバータ回路と、前記ブラシレスDCモータの印加電圧を検出する印加電圧検出手段と、前記ブラシレスDCモータの回転数を検出する回転数検出手段と、前記ブラシレスDCモータが所望の出力となるように検出した印加電圧と回転数に基づいて前記インバータ回路を制御する出力制御手段と、前記ブラシレスDCモータの回転数の検出と同時に誘起電圧と電気角を検出し、誘起電圧と電気角の検出結果に応じて、前記出力制御手段に予め記憶した基準となる指令電圧あるいは指令電圧に比例関係のあるデューティの制御パラメータを変更して、前記ブラシレスDCモータの磁束量のばらつきを補正する補正手段を備える構成にして、モータ個々の磁束量ばらつき、磁束密度に比例関係にある誘起電圧ばらつきを検出することになり、主たるモータばらつき要因の補正が可能となり、ダクト長、外風などの設置環境や外乱要素が含まれるファクタがあった場合でも、モータの回転状態にある中での任意の回転数における誘起電圧を測定し、その誘起電圧のばらつきに応じてモータのばらつきを補正するため、安定した補正が可能となり、また、モータのばらつき要因として比率的に大きい誘起電圧乃至誘起電圧に比例する定数による特化した補正を行なうことで、モータの軸出力一定制御(送風機の場合では風量一定制御)の制御確度を向上することができるブラシレスDCモータの制御装置を提供することを目的としている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1の送風装置3の構成図
【図2】同制御装置2の構成図
【図3】同制御パラメータを示す図
【図4】同補正手段13のフローチャート
【図5】本発明の実施の形態2の制御装置2bの構成図
【図6】同誘起電圧の検出のフローチャート
【図7】本発明の実施の形態3の制御装置2cの構成図
【図8】同インバータ回路9の変調のフローチャート
【図9】本発明の実施の形態4の制御装置2dの構成図
【図10】同送風量とモータ効率、ファン効率および比率の特性を示す図
【図11】本発明の実施の形態5の制御装置2eの構成図
【図12】本発明の実施の形態6の制御装置2fの構成図
【図13】同温度変換の対応表を示す図
【図14】従来の換気装置(送風装置)の構成図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の請求項1記載のブラシレスDCモータの制御装置は、交流電源を全波整流する整流手段と、上段と下段からなり、それぞれ複数のスイッチング素子でブリッジ接続されたインバータ回路と、前記ブラシレスDCモータの印加電圧を検出する印加電圧検出手段と、前記ブラシレスDCモータの回転数を検出する回転数検出手段と、前記ブラシレスDCモータが所望の出力となるように検出した印加電圧と回転数に基づいて前記インバータ回路を制御する出力制御手段と、前記ブラシレスDCモータの回転数の検出と同時に誘起電圧と電気角を検出し、誘起電圧と電気角の検出結果に応じて、前記出力制御手段に予め記憶した基準となる指令電圧あるいは指令電圧に比例関係のあるデューティの制御パラメータを変更して、前記ブラシレスDCモータの磁束量のばらつきを補正する補正手段を備えるようにしたものである。これにより、モータ個々の磁束量ばらつき、磁束密度に比例関係にある誘起電圧ばらつきを同時に検出することになり、主たるモータばらつき要因の補正が可能となり、ダクト長、外風などの設置環境や外乱要素が含まれるファクタがあった場合でも、モータの回転状態にある中での任意の回転数における誘起電圧を測定し、その誘起電圧のばらつきに応じてモータのばらつきを補正するため、設置された後に部品交換する際であっても安定した補正が可能となり、また、モータのばらつき要因として比率的に大きい誘起電圧乃至誘起電圧に比例する定数による特化した補正を行なうことで、モータの軸出力一定制御(送風機の場合では風量一定制御)の制御確度を向上することができるという効果を奏する。
【0011】
また、請求項2記載のブラシレスDCモータの制御装置は、初回運転時にのみ補正手段によるブラシレスDCモータの磁束量のばらつき補正を実行する構成としたものである。これにより、常時補正を行なう必要がなく、簡単な構成でブラシレスDCモータの誘起電圧ばらつき補正として磁束量ばらつきの補正ができ、モータの主たるばらつき要因を補正することができるという効果を奏する。
【0012】
また、請求項3記載のブラシレスDCモータの制御装置は、補正手段は、所定の回転数よりも高速となった後に実行する構成としたものである。これにより、誘起電圧の小さいモータであっても、誘起電圧は回転数に比例することから、検出下限値を下回ったり、あるいは検出誤差の拡大を防止することができるという効果を奏する。
【0013】
また、請求項4記載のブラシレスDCモータの制御装置は、誘起電圧の検出を三相のうち何れか一相を選択的に検出する構成としたものである。これにより、三相全ての相電圧を検出する必要がなく、より簡単な回路構成にて実現することができ、より安価な回路構成とすることができるという効果を奏する。
【0014】
また、請求項5記載のブラシレスDCモータの制御装置は、インバータ回路の変調は、矩形波通電により実行し、上段と下段のスイッチング素子が共にオフ状態となる何れかの一相より誘起電圧を検出する構成としたものである。これにより、誘起電圧を検出する際であっても、連続した通電が可能となるため、検出の際の精度を向上することができ、より確度の高い補正制御を可能することができるという効果を奏する。
【0015】
また、請求項6記載のブラシレスDCモータの制御装置は、インバータ回路の変調は、正弦波通電により実行し、上段と下段のスイッチング素子が共にオフ状態となるように意図的に通電パターンを生成して、誘起電圧の検出を実行する構成としたものである。これにより、休止区間を強制的に生成するため、誘起電圧の測定が可能となり、また正弦波通電することにより、モータのトルクリプルが縮小するため、より静音化、あるいは低振動化を図ることができるブラシレスDCモータの制御装置を提供することができる。
【0016】
また、請求項7記載のブラシレスDCモータの制御装置は、補正手段は、少なくとも2回以上ブラシレスDCモータの誘起電圧と回転数の同時検出した結果から前記誘起電圧の平均値と回転数の平均値をそれぞれ演算し、誘起電圧の平均値と平均回転数の演算結果に応じて、ばらつき補正を実行する構成としたものである。これにより、トルクリプルによる供給電流、あるいは誘起電圧の測定ばらつき、あるいは外来ノイズ、自己ノイズによる検出値のばらつきを補正し、より安定した補正を可能とすることができるという効果を奏する。
【0017】
また、請求項8記載のブラシレスDCモータの制御装置は、インバータ回路の変調は、回転始動時および誘起電圧の検出時のみ矩形波通電で実行し、その他の期間では正弦波通電で実行する構成としたものである。これにより、誘起電圧を検出する際であっても、連続した通電が可能となるため、検出の際の精度を向上することができ、より確度の高い補正制御を可能とし、また、通常時は正弦波通電することにより、モータのトルクリプルが縮小するため、より静音化、あるいは低振動化を図ることができるという効果を奏する。
【0018】
また、請求項9記載のブラシレスDCモータの制御装置は、誘起電圧の検出は、誘起電圧がゼロとなるポイントを除外した何れかの電気角で実行する構成としたものである。これにより、誘起電圧を同時に三相分同時検出する必要がなくなり、処理時間の短縮が図れ、マイクロプロセッサの制御周期を上げることができ、外部への雑音を低減できると同時に、種々の付加機能の向上が図ることができるという効果を奏する。
【0019】
また、請求項10記載の送風装置は、本ブラシレスDCモータの制御装置を搭載し、負荷として送風ファンを接続し、所望の送風量に制御する構成としたものである。これにより、前述効果のあるブラシレスDCモータを搭載しているため、装置個々の制御ばらつき低減による能力ばらつきを低減することができ、また、部品交換時であっても、交換後の部品に応じて安定した補正が可能となり、また、モータのばらつき要因として比率的に大きい誘起電圧乃至誘起電圧に比例する定数による特化した補正を行なうことで、モータの軸出力一定制御(風量一定制御)の制御確度を向上することができるという効果を奏する。
【0020】
また、請求項11記載のブラシレスDCモータの制御装置は、出力制御手段は、所望の回転数における前記送風ファンのファン効率とブラシレスDCモータのモータ効率の比率に基づいた印加電圧あるいは回転数の効率補正係数を演算し、前記ブラシレスDCモータの磁束量のばらつき補正結果を二次補正する構成としたものである。これにより、回転数に応じて異なるファン効率、モータ効率、およびファン効率とモータ効率の比率を制御パラメータに反映しているため、送風量制御における近似部分を縮小することができ、送風量制御の精度の向上を図ることができるという効果を奏する。
【0021】
また、請求項12記載のブラシレスDCモータの制御装置あるいは送風装置は、出力制御手段は、所望の回転数における前記送風ファンのファン効率とブラシレスDCモータのモータ効率の比率に基づいた印加電圧あるいは回転数の効率補正係数を演算し、前記ブラシレスDCモータの磁束量のばらつき補正結果を二次補正する構成としたものである。これにより、モータ個々の磁束量ばらつき、磁束密度に比例関係にある誘起電圧ばらつきを同時に検出することになり、主たるモータばらつき要因の補正が可能となり、ダクト長、外風などの設置環境や外乱要素が含まれるファクタがあった場合でも、モータの回転状態にある中での任意の回転数における誘起電圧を測定し、その誘起電圧のばらつきに応じてモータのばらつきを補正するため、設置された後に部品交換する際であっても安定した補正が可能となり、また、モータのばらつき要因として比率的に大きい誘起電圧乃至誘起電圧に比例する定数による特化した補正を行なうことで、モータの軸出力一定制御(送風機の場合では風量一定制御)の制御確度を向上しつつ、回転数に応じて異なるファン効率、モータ効率、およびファン効率とモータ効率の比率を制御パラメータに反映しているため、送風量制御における近似部分を縮小することができ、送風量制御の精度を更に向上することができるという効果を奏する。
【0022】
(実施の形態1)
本発明におけるブラシレスDCモータ1の制御装置2を搭載した送風装置3の構成について、図1を参照しながら構成について説明する。図1に示すように、送風装置3は、制御装置2と送風ファン4と本体ケーシング5と、吹き出し口6を備えている。また、制御装置2は、図2に示すように、交流電源7を全波整流する整流手段8と、スイッチング素子9a〜9fで構成したインバータ回路9と、ブラシレスDCモータ1の回転数を検出する回転数検出手段10と、ブラシレスDCモータ1への印加電圧を検出する印加電圧検出手段11と、ブラシレスDCモータ1が所望の出力となるように検出した回転数と印加電圧を制御する出力制御手段12と、ブラシレスDCモータ1の回転数検出と同時に誘起電圧と電気角を印加電圧検出手段11にて検出し、誘起電圧と電気角の検出結果に応じて、出力制御手段12に予め記憶した基準となる電流あるいは回転数の制御パラメータを変更して、ブラシレスDCモータ1の磁束量のばらつきを補正する補正手段13を備えており、ブラシレスDCモータ1の負荷としての送風ファン4を回転させることで所望の送風量となるように制御する。
【0023】
はじめに、ブラシレスDCモータ1の電流と回転数を制御することで所望の送風量となるように制御できることについて説明する。ブラシレスDCモータ1の出力Pは、トルク定数Ktと電流Iと回転数Nから数式1により計算することができる。
【0024】
【数1】
【0025】
ここで、ブラシレスDCモータ1への印加電圧をV、誘起電圧をE、巻線抵抗をR、誘起電圧定数をKeとすると、数式1は数式2に変換することができる。
【0026】
【数2】
【0027】
また、送風ファン4は一般流体における相似則より、送風ファン4の軸動力Lは、羽根径Dの5乗と送風ファン4の回転数NFの3乗の乗算結果に比例する(数3)。また、風量Qは羽根径の3乗と送風ファン4の回転数NFの乗算結果に比例する(数4)。従って、数式3、数式4より送風ファン4の軸動力Lは、定数kを用いて、〔数5〕のように計算することができる。
【0028】
【数3】
【0029】
【数4】
【0030】
【数5】
【0031】
ここで、送風ファン4とブラシレスDCモータ1が直結していることから、送風ファン4の軸動力LとブラシレスDCモータ1の出力P、送風ファン4の回転数NFとブラシレスDCモータ1の回転数Nは等しいと考えられる。従って、送風量は定数K1とブラシレスDCモータ1のトルク定数Kt、印加電圧V、巻線抵抗R、誘起電圧定数Ke、回転数Nより数式6のように計算することができる。
【0032】
【数6】
【0033】
これは、所定の風量Qaに対して、各々の印加電圧Vaに対応する回転数Naが唯一存在することとなるため、印加電圧と回転数を制御することで、間接的に送風量を制御することが可能となることを示している。この理論計算は、図3に示すように、目標送風量Qa1、Qa2、Qa3(例えば3つの送風量ノッチとした場合)に対して、印加電圧Vaと回転数Naを制御パラメータとして出力制御手段12に記憶し、制御パラメータ上に実際の検出値が近づくように制御することで実現する。
【0034】
次に、前述の理論計算に基づいて、送風ファン4による送風量が所望の風量となるように制御した場合、ブラシレスDCモータ1の個体差によるばらつき要因は、送風装置3の個々の調整にて抑える必要がある。ここで、ブラシレスDCモータ1のばらつき要因のうち、送風量ばらつきへの影響度の高い要因は、磁束φのばらつきであり、5〜6%程度を占める。磁束φは、磁束密度Bに比例し、磁束密度Bはトルク定数Kt、あるいは誘起電圧定数Keに比例するため、トルク定数Ktあるいは誘起電圧定数Keのばらつき成分を検出して、予め記憶した基準となる回転数の制御パラメータを変更することで、ブラシレスDCモータ1の磁束ばらつき要因を補正して所望の送風量と実際の送風量の誤差を抑制することができる。
【0035】
次に、補正手段13の補正量を演算するフローチャートについて、図4を参照しながら説明する。図4に示すように、補正手段13は、運転初回時のみ実行するように構成している。はじめに、出力制御手段12によりインバータ回路9をスイッチングし、ブラシレスDCモータ1を駆動する。補正手段13は、ブラシレスDCモータ1の回転数を入力し、所定の回転数よりも高回転となったか否かを判定する。誘起電圧は、三相のうち何れか一相を検出する。インバータ回路9は、矩形波通電により変調を行ない、スイッチング素子9a〜9fのうち、誘起電圧を検出する何れか一相の上段、下段のスイッチング素子(例えば9a、9b)が共にオフ状態となるタイミングにて検出する。検出は、少なくとも2回以上ブラシレスDCモータ1の回転数と誘起電圧を同時検出し、誘起電圧がゼロとなるポイントを除外した電気角での誘起電圧を採用する。また、電気角の検出は、検出時のカウント値を1回転当たりの内部カウント値にて除算することで演算する。演算した結果から、誘起電圧がゼロとなるポイント(例えば、演算結果が0.0、0.25、0.5.0.75となったポイント)を除外した電気角を検出し、前述の誘起電圧の検出に利用する。さらに、検出した結果から回転数と誘起電圧の平均値を計算する。演算した回転数と誘起電圧の平均値の結果から、その回転数における標準の誘起電圧との比率を演算する。計算した比率を〔数6〕の誘起電圧定数Keに乗算し、制御パラメータの各印加電圧の標準値におけるばらつき補正後の回転数を逆算する。この逆算した補正後の回転数を基に制御パラメータを更新することで、ばらつき補正を完了する。
【0036】
以上のように、ブラシレスDCモータ1の誘起電圧と電気角の検出結果に応じて、出力制御手段12に予め記憶した基準となる回転数の制御パラメータを変更して、ブラシレスDCモータ1の磁束量のばらつきを補正する補正手段13を備え、個体差としてのブラシレスDCモータ1の磁束のばらつきを補正して送風量を制御することができる。
【0037】
なお、本実施の形態1では、補正手段13による補正は回転数を補正する一例を示したが、ブラシレスDCモータ1の印加電圧を補正する構成としても良い。
【0038】
また、インバータ回路9により変調を行ない、パルス幅で印加電圧を制御する構成としたが、整流手段8とインバータ回路9の間に直流電圧を適した電圧に変換するDC−DC変換手段を備えて、印加電圧を制御する構成としても良い。
【0039】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2におけるブラシレスDCモータ1の制御装置2bの構成について、図5を参照しながら説明する。
【0040】
なお、実施の形態1と同一機能を有するものは、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0041】
図5に示すように、インバータ回路9の変調を正弦波通電により実行し、スイッチング素子9a〜9fが共にオフ状態となるように意図的に通電パターンを生成して、誘起電圧の検出を実行する出力制御手段12bを備えている。
【0042】
次に、図6に出力制御手段12bの誘起電圧の検出のフローチャートを示す。図6に示すように、誘起電圧の検出のフローチャートは、運転初回時のみ実行するように構成している。はじめに、出力制御手段12bによりインバータ回路9をスイッチングし、ブラシレスDCモータ1を駆動する。次に、ブラシレスDCモータ1の回転数を入力し、所定の回転数よりも高回転となったか否かを判定する。所定の回転数を超えていない場合は、更に高回転となるようにインバータ回路9の変調を変更する。所定の回転数を超えている場合は、インバータ回路9へのスイッチングを停止し、ブラシレスDCモータ1の誘起電圧を検出する。誘起電圧の検出は、少なくとも2回以上ブラシレスDCモータ1の回転数と誘起電圧を同時検出し、誘起電圧がゼロとなるポイントを除外した電気角での誘起電圧を採用する。また、電気角の検出は、検出時のカウント値を1回転当たりの内部カウント値にて除算することで演算する。演算した結果から、誘起電圧がゼロとなるポイント(例えば、演算結果が0.0、0.25、0.5.0.75となったポイント)を除外した電気角を検出し、前述の誘起電圧の検出に利用する。さらに、検出した結果から回転数と誘起電圧の平均値を計算する。少なくとも2回以上検出して、平均を演算するのは、ブラシレスDCモータ1への励磁を停止することから、送風ファン4を含む回転体の慣性力、摩擦力、送風による抗力などによる回転数、誘起電圧の減衰発生と、ノイズによる検出誤差の低減を図るためである。演算した回転数と誘起電圧の平均値の結果から、その回転数における標準の誘起電圧との比率を演算する。次に、計算した比率を数式6の誘起電圧定数Keに乗算し、制御パラメータの各印加電圧の標準値におけるばらつき補正後の回転数を逆算する。この逆算した補正後の回転数を基に制御パラメータを更新することで、ばらつき補正を完了する。
【0043】
以上のように、インバータ回路9の変調を正弦波通電により実行し、スイッチング素子9a〜9fが共にオフ状態となるように意図的に通電パターンを生成して、誘起電圧の検出を実行する出力制御手段12bを備え、個体差としてのブラシレスDCモータ1の磁束のばらつきを補正して送風量を制御することができる。
【0044】
なお、本実施の形態2では、補正対象を回転数とした一例を示したが、ブラシレスDCモータ1の印加電圧を補正する構成としても良い。
【0045】
また、インバータ回路9により変調を行ない、パルス幅で印加電圧を制御する構成としたが、整流手段8とインバータ回路9の間に直流電圧を適した電圧に変換するDC−DC変換手段を備えて、印加電圧を制御する構成としても良い。
【0046】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3におけるブラシレスDCモータ1の制御装置2cの構成について、図7を参照しながら説明する。
【0047】
なお、実施の形態1および2と同一機能を有するものは、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0048】
図7に示すように、インバータ回路9の変調を回転始動時および誘起電圧検出時のみ矩形波通電で実行し、その他の期間では正弦波通電で実行する出力制御手段12cを備えている。
【0049】
次に、図8に出力制御手段12cのインバータ回路9の変調のフローチャートを示す。図8に示すように、変調のフローチャートは、回転始動時と誘起電圧検出時、乃至その他の通常期間に分岐している。通常期間は誘起電圧検出により補正した制御パラメータによりブラシレスDCモータ1を回転制御し、送風ファン4により所望の送風量となるように制御する。また、回転始動時は、ブラシレスDCモータ1の回転数の変化率が大きいため、矩形波通電にて所定の回転数を超えた際に、正弦波通電に切り替える。また、誘起電圧検出時は、運転初回時のみ実行するように構成しており、矩形波通電で駆動して所定の回転数を超えた場合に、ブラシレスDCモータ1の誘起電圧を検出する。誘起電圧の検出は、少なくとも2回以上ブラシレスDCモータ1の回転数と誘起電圧を同時検出し、誘起電圧がゼロとなるポイントを除外した電気角での誘起電圧を採用する。また、電気角の検出は、検出時のカウント値を1回転当たりの内部カウント値にて除算することで演算する。演算した結果から、誘起電圧がゼロとなるポイント(例えば、演算結果が0.0、0.25、0.5.0.75となったポイント)を除外した電気角を検出し、前述の誘起電圧の検出に利用する。さらに、検出した結果から回転数と誘起電圧の平均値を計算する。演算した回転数と誘起電圧の平均値の結果から、その回転数における標準の誘起電圧との比率を演算する。計算した比率を〔数6〕の誘起電圧定数Keに乗算し、制御パラメータの各印加電圧の標準値におけるばらつき補正後の回転数を逆算する。この逆算した補正後の回転数を基に制御パラメータを更新することで、ばらつき補正を完了する。その後に制御パラメータの書換えフラグをセットし、リスタート時には、書換えフラグがセットされたか否かに応じて、通常運転あるいは誘起電圧による補正のための運転かを判別する。
【0050】
以上のように、インバータ回路9の変調を矩形波通電により実行し、スイッチング素子9a〜9fが共にオフ状態となる通電タイミングで誘起電圧の検出を実行し、また通常運転時には正弦波通電で駆動する出力制御手段12cを備え、個体差としてのブラシレスDCモータ1の磁束のばらつきを補正して送風量を制御することができ、通常時は正弦波通電で駆動するため、より低騒音、低振動化を図ることができる。
【0051】
なお、インバータ回路9により変調を行ない、パルス幅で印加電圧を制御する構成としたが、整流手段8とインバータ回路9の間に直流電圧を適した電圧に変換するDC−DC変換手段を備えて、印加電圧を制御する構成としても良い。
【0052】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4におけるブラシレスDCモータ1の制御装置2dの構成について、図9を参照しながら説明する。
【0053】
なお、実施の形態1〜3と同一機能を有するものは、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0054】
図9に示すように、制御装置2dは、交流電源7を全波整流する整流手段8と、スイッチング素子9a〜9fで構成したインバータ回路9と、ブラシレスDCモータ1の印加電圧を検出する印加電圧検出手段11と、ブラシレスDCモータ1の回転数を検出する回転数検出手段10と、ブラシレスDCモータ1が所望の出力となるように検出した回転数と印加電圧を制御する出力制御手段12dを備えており、ブラシレスDCモータ1の負荷としての送風ファン4を回転させることで所望の送風量となるように制御する。
【0055】
次に、印加電圧あるいは回転数の効率補正係数を演算し、ブラシレスDCモータ1の磁束量のばらつき補正結果を二次補正する方法について、以下説明する。ブラシレスDCモータ1の効率ηMを加味した特性方程式は、数式7により計算することができる。
【0056】
【数7】
【0057】
また、送風ファン4は一般流体における相似則として、〔数5〕による送風ファン4の軸動力Lは同様にファン効率をηFとすると、数式8のように計算することができる。
【0058】
【数8】
【0059】
ここで、送風ファン4とブラシレスDCモータ1が直結していることから、送風ファン4の軸動力LとブラシレスDCモータ1の出力P、送風ファン4の回転数NFとブラシレスDCモータ1の回転数Nは等しいと考えられる。従って、送風量は定数k2とブラシレスDCモータ1のトルク定数Kt、誘起電圧定数Ke、印加電圧V、電流I、巻線抵抗R、モータ効率ηM、ファン効率ηFより〔数9〕のように計算することができる。
【0060】
【数9】
【0061】
従って、所定の風量Qbに対して、所望の印加電圧Vbにおける回転数Nbが唯一存在することとなるため、所望の風量における印加電圧と回転数を制御することで、間接的に送風量を制御することが可能となることを示している。但し、図10に示すように、所望の風量Qb1、Qb2、Qb3におけるモータ効率ηM1、ηM2、ηM3、ファン効率ηF1、ηF2、ηF3、およびモータ効率とファン効率の比率ηMF1、ηMF2、ηMF3は一定ではないため、各特性に応じた制御パラメータとして出力制御手段12dに記憶する。この制御パラメータ上に実際の検出値が近づくように制御することで所望の風量となるように制御することになる。
【0062】
以上のように、所望の回転数におけるモータ効率ηM、ファン効率ηFおよびモータ効率とファン効率の比率ηMFに応じた印加電圧あるいは回転数の効率補正係数を演算し、ブラシレスDCモータ1の磁束量のばらつき補正結果を二次補正して、ブラシレスDCモータ1を制御して、送風量制御における近似部分を縮小することができ、送風量をより精度良く制御することができる。
【0063】
なお、インバータ回路9により変調を行ない、パルス幅で印加電圧を制御する構成としたが、整流手段8とインバータ回路9の間に直流電圧を適した電圧に変換するDC−DC変換手段を備えて、印加電圧を制御する構成としても良い。
【0064】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5におけるブラシレスDCモータ1の制御装置2eの構成について、図11を参照しながら説明する。
【0065】
なお、実施の形態1〜4と同一機能を有するものは、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0066】
図11に示すように、制御装置2eは、交流電源7を全波整流する整流手段8と、上段と下段からなり、スイッチング素子9a〜9fで構成したインバータ回路9と、ブラシレスDCモータ1の回転数を検出する回転数検出手段10と、ブラシレスDCモータ1への印加電圧を検出する印加電圧検出手段11と、ブラシレスDCモータ1が所望の回転数となるように制御する出力制御手段12eと、ブラシレスDCモータ1の回転数検出と同時に誘起電圧と電気角速度を検出し、電気角速度から演算した回転数と誘起電圧の検出結果に応じて、出力制御手段12eに予め記憶した基準となる印加電圧および回転数の制御パラメータを変更して、ブラシレスDCモータ1の磁束量のばらつきを補正する補正手段13を備えており、ブラシレスDCモータ1の負荷としての送風ファン4を回転させることで所望の送風量となるように制御する。また、出力制御手段12eは、印加電圧あるいは回転数の効率補正係数を演算し、ブラシレスDCモータ1の磁束量のばらつき補正結果を二次補正するように構成する。
【0067】
以上のように、所望の風量におけるモータ効率ηM、ファン効率ηFおよびモータ効率とファン効率の比率ηMFに応じた制御パラメータを出力制御手段12eに予め記憶して、ブラシレスDCモータ1を制御して、送風量制御における近似部分を縮小することができ、更にブラシレスDCモータ1の誘起電圧と電気角の検出結果に応じて、出力制御手段12eに予め記憶した基準となる印加電圧と回転数の制御パラメータを変更して、ブラシレスDCモータ1の磁束量のばらつきを補正する補正手段13を備え、個体差としてのブラシレスDCモータ1の磁束のばらつきを補正するため、より精度良く送風量を制御することができる。
【0068】
なお、インバータ回路9により変調を行ない、パルス幅で印加電圧を制御する構成としたが、整流手段8とインバータ回路9の間に直流電圧を適した電圧に変換するDC−DC変換手段を備えて、印加電圧を制御する構成としても良い。
【0069】
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6におけるブラシレスDCモータ1の制御装置2fの構成について、図12を参照しながら説明する。
【0070】
なお、実施の形態1〜5と同一機能を有するものは、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0071】
図12に示すように、制御装置2fは、交流電源7を全波整流する整流手段8と、上段と下段からなり、スイッチング素子9a〜9fで構成したインバータ回路9と、ブラシレスDCモータ1の回転数を検出する回転数検出手段10と、ブラシレスDCモータ1への印加電圧を検出する印加電圧検出手段11と、ブラシレスDCモータ1が所望の回転数となるように制御する出力制御手段12fと、ブラシレスDCモータ1の回転数検出と同時に誘起電圧と電気角速度を検出し、電気角速度から演算した回転数と誘起電圧の検出結果に応じて、出力制御手段12fに予め記憶した基準となる印加電圧および回転数の制御パラメータを変更して、ブラシレスDCモータ1の磁束量のばらつきを補正する補正手段13と、補正手段13からの補正量を入力して記憶し、補正量の変化から送風空気の温度変化に換算して空気密度分として送風量の補正を行なう第二補正手段14を備える。
【0072】
ここで、空気密度による体積は、基準となる温度t0における送風量をQ0とすると、温度t1における送風量Q1は比例計算にて演算することができ、〔数10〕で示すことができる。
【0073】
【数10】
【0074】
一方、ブラシレスDCモータ1は磁束ばらつきを有しており、個々に応じて補正量は異なる。したがって、前述の補正量の変化量から環境変化による変化のみを補正量から切り分ける必要があることから、その時点における補正量を初期補正量で除算することで、変化量すなわち環境変化成分のみを切り分けることができる。切り分けた環境変化成分(例えばA1〜A8)は、図13に示す対応表にてブラシレスDCモータ1の温度(T1〜T8)、すなわち送風空気の温度に関係性のある状態変数に変換する。この温度を数式10のt1に代入して送風量Q1を演算して、送風量の誤差を演算して補正を行なう。
【0075】
以上のように、逐次変動する送風空気の温度変化による送風量の制御誤差を第二補正手段14から出力制御手段12fを通して抑制制御することが可能となり、送風量制御の精度を更に向上することができる。
【0076】
なお、インバータ回路9による変調を行ない、パルス幅で印加電圧を制御する構成としたが、整流手段8とインバータ回路9の間に直流電圧を適した電圧に変換するDC−DC変換手段を備えて、印加電圧を制御する構成としても良い。
【0077】
また、送風空気の温度を直接検出する温度検出手段を備えて、送風空気の空気密度を判定して送風量の補正を行なう構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明にかかるブラシレスDCモータの制御装置は、交流電源を全波整流する整流手段と、上段と下段からなり、それぞれ複数のスイッチング素子でブリッジ接続されたインバータ回路と、前記ブラシレスDCモータの印加電圧を検出する印加電圧検出手段と、前記ブラシレスDCモータの回転数を検出する回転数検出手段と、前記ブラシレスDCモータが所望の出力となるように検出した印加電圧と回転数に基づいて前記インバータ回路を制御する出力制御手段と、前記ブラシレスDCモータの回転数の検出と同時に誘起電圧と電気角を検出し、誘起電圧と電気角の検出結果に応じて、前記出力制御手段に予め記憶した基準となる指令電圧あるいは指令電圧に比例関係のあるデューティの制御パラメータを変更して、前記ブラシレスDCモータの磁束量のばらつきを補正する補正手段を備えるような構成にして、回転状態にあるモータの回転数と、モータ個々の磁束量ばらつき、磁束密度に比例関係にある誘起電圧ばらつきを同時に検出することになり、主たるモータばらつき要因の補正が可能となり、ダクト長、外風などの設置環境や外乱要素が含まれるファクタがあった場合でも、モータの回転状態にある中での任意の回転数における誘起電圧を測定し、その誘起電圧のばらつきに応じてモータのばらつきを補正するため、安定した補正が可能となり、また、モータのばらつき要因として比率的に大きい誘起電圧乃至誘起電圧に比例する定数による特化した補正を行なうことで、モータの軸出力一定制御(送風機の場合では風量一定制御)の制御確度を向上することができるため、換気扇などの換気風量を一定にするような用途にも利用することができ有用である。
【符号の説明】
【0079】
1 ブラシレスDCモータ
2、2b、2c、2d、2e、2f 制御装置
3 送風装置
4 送風ファン
5 本体ケーシング
6 吹き出し口
7 交流電源
8 整流手段
9 インバータ回路
9a〜9f スイッチング素子
10 回転数検出手段
11 印加電圧検出手段
12 出力制御手段
12b 出力制御手段
12c 出力制御手段
12d 出力制御手段
12e 出力制御手段
12f 出力制御手段
13 補正手段
14 第二補正手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷を回転駆動するブラシレスDCモータの制御装置であって、交流電源を全波整流する整流手段と、上段と下段からなり、それぞれ複数のスイッチング素子でブリッジ接続されたインバータ回路と、前記ブラシレスDCモータの印加電圧を検出する印加電圧検出手段と、前記ブラシレスDCモータの回転数を検出する回転数検出手段と、前記ブラシレスDCモータが所望の出力となるように検出した印加電圧と回転数に基づいて前記インバータ回路を制御する出力制御手段と、前記ブラシレスDCモータの回転数の検出と同時に誘起電圧と電気角を検出し、誘起電圧と電気角の検出結果に応じて、前記出力制御手段に予め記憶した基準となる指令電圧あるいは指令電圧に比例関係のあるデューティの制御パラメータを変更して、前記ブラシレスDCモータの磁束量のばらつきを補正する補正手段を備えたことを特徴とするブラシレスDCモータの制御装置。
【請求項2】
初回運転時にのみ補正手段によるブラシレスDCモータの磁束量のばらつき補正を実行することを特徴とする請求項1記載のブラシレスDCモータの制御装置。
【請求項3】
補正手段は、所定の回転数よりも高速となった後に実行することを特徴とする請求項1あるいは2記載のブラシレスDCモータの制御装置。
【請求項4】
誘起電圧は、三相のうち何れか一相を選択的に検出することを特徴とする請求項1〜3何れかに記載のブラシレスDCモータの制御装置。
【請求項5】
インバータ回路の変調は、矩形波通電により実行し、上段と下段のスイッチング素子が共にオフ状態となる何れかの一相より誘起電圧を検出することを特徴とする請求項1〜4何れかに記載のブラシレスDCモータの制御装置。
【請求項6】
インバータ回路の変調は、正弦波通電により実行し、上段と下段のスイッチング素子が共にオフ状態となるように意図的に通電パターンを生成して、誘起電圧の検出を実行することを特徴とする請求項1〜4何れかに記載のブラシレスDCモータの制御装置。
【請求項7】
補正手段は、少なくとも2回以上ブラシレスDCモータの回転数と誘起電圧の同時検出した結果から前記回転数と前記誘起電圧の平均値をそれぞれ演算し、平均回転数と誘起電圧の平均値の演算結果に応じて、ばらつき補正を実行することを特徴とする請求項1〜6何れかに記載のブラシレスDCモータの制御装置。
【請求項8】
インバータ回路の変調は、回転始動時および誘起電圧の検出時のみ矩形波通電で実行し、その他の期間では正弦波通電で実行することを特徴とする請求項1〜4乃至7の何れかに記載のブラシレスDCモータの制御装置。
【請求項9】
誘起電圧の検出は、誘起電圧がゼロとなるポイントを除外した何れかの電気角で実行することを特徴とする請求項1〜8何れかに記載のブラシレスDCモータの制御装置。
【請求項10】
負荷として送風ファンを接続し、所望の送風量に制御することを特徴とする請求項1〜9何れかに記載のブラシレスDCモータの制御装置を用いた送風装置。
【請求項11】
出力制御手段は、所望の回転数における前記送風ファンのファン効率とブラシレスDCモータのモータ効率の比率に基づいた印加電圧あるいは回転数の効率補正係数を演算し、前記ブラシレスDCモータの磁束量のばらつき補正結果を二次補正することを特徴とするブラシレスDCモータの制御装置。
【請求項12】
出力制御手段は、所望の回転数における前記送風ファンのファン効率とブラシレスDCモータのモータ効率の比率に基づいた印加電圧あるいは回転数の効率補正係数を演算し、前記ブラシレスDCモータの磁束量のばらつき補正結果を二次補正することを特徴とする請求項1〜10何れかに記載のブラシレスDCモータの制御装置を用いた送風装置。
【請求項13】
送風空気の温度、あるいは関係性のある状態変数を検出し、送風空気の空気密度を判定して送風量の補正を行なう第二補正手段を備えたことを特徴とする請求項10〜12何れかに記載のブラシレスDCモータの制御装置を用いた送風装置。
【請求項1】
負荷を回転駆動するブラシレスDCモータの制御装置であって、交流電源を全波整流する整流手段と、上段と下段からなり、それぞれ複数のスイッチング素子でブリッジ接続されたインバータ回路と、前記ブラシレスDCモータの印加電圧を検出する印加電圧検出手段と、前記ブラシレスDCモータの回転数を検出する回転数検出手段と、前記ブラシレスDCモータが所望の出力となるように検出した印加電圧と回転数に基づいて前記インバータ回路を制御する出力制御手段と、前記ブラシレスDCモータの回転数の検出と同時に誘起電圧と電気角を検出し、誘起電圧と電気角の検出結果に応じて、前記出力制御手段に予め記憶した基準となる指令電圧あるいは指令電圧に比例関係のあるデューティの制御パラメータを変更して、前記ブラシレスDCモータの磁束量のばらつきを補正する補正手段を備えたことを特徴とするブラシレスDCモータの制御装置。
【請求項2】
初回運転時にのみ補正手段によるブラシレスDCモータの磁束量のばらつき補正を実行することを特徴とする請求項1記載のブラシレスDCモータの制御装置。
【請求項3】
補正手段は、所定の回転数よりも高速となった後に実行することを特徴とする請求項1あるいは2記載のブラシレスDCモータの制御装置。
【請求項4】
誘起電圧は、三相のうち何れか一相を選択的に検出することを特徴とする請求項1〜3何れかに記載のブラシレスDCモータの制御装置。
【請求項5】
インバータ回路の変調は、矩形波通電により実行し、上段と下段のスイッチング素子が共にオフ状態となる何れかの一相より誘起電圧を検出することを特徴とする請求項1〜4何れかに記載のブラシレスDCモータの制御装置。
【請求項6】
インバータ回路の変調は、正弦波通電により実行し、上段と下段のスイッチング素子が共にオフ状態となるように意図的に通電パターンを生成して、誘起電圧の検出を実行することを特徴とする請求項1〜4何れかに記載のブラシレスDCモータの制御装置。
【請求項7】
補正手段は、少なくとも2回以上ブラシレスDCモータの回転数と誘起電圧の同時検出した結果から前記回転数と前記誘起電圧の平均値をそれぞれ演算し、平均回転数と誘起電圧の平均値の演算結果に応じて、ばらつき補正を実行することを特徴とする請求項1〜6何れかに記載のブラシレスDCモータの制御装置。
【請求項8】
インバータ回路の変調は、回転始動時および誘起電圧の検出時のみ矩形波通電で実行し、その他の期間では正弦波通電で実行することを特徴とする請求項1〜4乃至7の何れかに記載のブラシレスDCモータの制御装置。
【請求項9】
誘起電圧の検出は、誘起電圧がゼロとなるポイントを除外した何れかの電気角で実行することを特徴とする請求項1〜8何れかに記載のブラシレスDCモータの制御装置。
【請求項10】
負荷として送風ファンを接続し、所望の送風量に制御することを特徴とする請求項1〜9何れかに記載のブラシレスDCモータの制御装置を用いた送風装置。
【請求項11】
出力制御手段は、所望の回転数における前記送風ファンのファン効率とブラシレスDCモータのモータ効率の比率に基づいた印加電圧あるいは回転数の効率補正係数を演算し、前記ブラシレスDCモータの磁束量のばらつき補正結果を二次補正することを特徴とするブラシレスDCモータの制御装置。
【請求項12】
出力制御手段は、所望の回転数における前記送風ファンのファン効率とブラシレスDCモータのモータ効率の比率に基づいた印加電圧あるいは回転数の効率補正係数を演算し、前記ブラシレスDCモータの磁束量のばらつき補正結果を二次補正することを特徴とする請求項1〜10何れかに記載のブラシレスDCモータの制御装置を用いた送風装置。
【請求項13】
送風空気の温度、あるいは関係性のある状態変数を検出し、送風空気の空気密度を判定して送風量の補正を行なう第二補正手段を備えたことを特徴とする請求項10〜12何れかに記載のブラシレスDCモータの制御装置を用いた送風装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−115125(P2012−115125A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159661(P2011−159661)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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