説明

ブレーキ制御装置

【課題】複数の電磁弁を有するブレーキ制御装置において、ブレーキ操作の際に大電流が流れる事態を回避する。
【解決手段】ブレーキ制御装置20は、ドライバーによるブレーキ操作に応じて車両に設けられた車輪に制動力を付与するブレーキ制御装置である。ブレーキ制御装置20は、作動流体の流路に設けられた複数の電磁弁と、複数の電磁弁に供給する電流を制御するブレーキECU70と、を備える。ブレーキECU70は、複数の電磁弁のそれぞれに対し、起動電流を供給した後に起動電流より電流値の低い保持電流に切り替える制御を行っており、一つの電磁弁に供給する電流を起動電流から保持電流に切り替えた後に、次の電磁弁に対して起動電流の供給を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられた車輪に付与する制動力を制御するブレーキ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両における制動装置として、車両の走行状況に応じて最適な制動力を車両に与えるよう各車輪の制動力を制御する電子制御ブレーキシステムが多く採用されている。このような電子制御ブレーキシステムは、作動流体の流路に複数の電磁弁を備えている。
【0003】
電磁弁は、ソレノイドコイルを備えており、ソレノイドコイルに供給する電流を制御することによって弁の開状態と閉状態とを切り替えることができる。電磁弁は、起動時には電流値が大きい起動電流を必要とするが、一旦駆動された後は、起動電流よりも電流値が小さい保持電流を供給することで、駆動状態を維持することができる。特許文献1では、電磁弁の起動時は、電磁弁に供給する電流を大きくし、保持状態のときは電流を小さくするように切り替える電流回路が開示されている。
【特許文献1】特開平6−188121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の電磁弁を有する電子制御ブレーキシステムでは、ドライバーによってブレーキ操作がなされた際に、これらの複数の電磁弁を駆動する必要がある。上述したように、電磁弁は、起動時に電流値が大きい起動電流を必要とするから、複数の電磁弁を同時に起動した場合、これらの電磁弁に電流を供給する電源装置は、一度に大電流を供給する必要が生じる。そのため、電磁弁駆動用の電源装置として、電流容量が大きいものを用いる必要があった。
【0005】
また、通常、電源装置の下流には、ソレノイドリレーやフィルタなどの電子部品が設けられる。こうした電子部品に流れる電流が大きくなると、電子部品による電圧降下が大きくなり、各電磁弁に印加される電圧は小さくなる。一方で、各電磁弁を動作させるのに必要な最低動作電圧は決まっているため、各電磁弁の最低動作電圧を確保するためには、電源装置の電圧を高く設定する必要があった。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の電磁弁を有するブレーキ制御装置において、ブレーキ操作の際に大電流が流れる事態を回避することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のブレーキ制御装置は、ドライバーによるブレーキ操作に応じて車両に設けられた車輪に制動力を付与するブレーキ制御装置において、作動流体の流路に設けられた複数の電磁弁と、複数の電磁弁に供給する電流を制御する電流制御部と、を備える。電流制御部は、複数の電磁弁のそれぞれに対し、電磁弁を起動させるための起動電流を供給した後に起動電流より電流値の低い保持電流に切り替える制御を行っており、一つの電磁弁に供給する電流を起動電流から保持電流に切り替えた後に、次の電磁弁に対して起動電流の供給を開始する。
【0008】
この態様によると、ドライバーによってブレーキ操作がなされた際に、起動電流が重畳して流れることがなくなるので、装置に大電流が流れる事態を回避することができる。電流制御部は、複数の電磁弁に対し、起動電流の供給を所定の順序で開始してもよい。
【0009】
本発明の別の態様もまた、ブレーキ制御装置である。この装置は、第1の車輪に制動力を付与するための第1のホイールシリンダと、第1の車輪とは異なる第2の車輪に制動力を付与するための第2のホイールシリンダと、第1のホイールシリンダと第2のホイールシリンダとを連通する主流路と、主流路を、第1のホイールシリンダと連通する第1流路と、第2のホイールシリンダと連通する第2流路と、に分離する常閉型電磁弁である分離弁と、ドライバーによるブレーキ操作部材の操作量に応じて作動流体を加圧するマスタシリンダと、マスタシリンダと第1流路とを連通するマスタ流路と、マスタ流路に設けられた常開型電磁弁であるマスタカット弁と、動力の供給により高圧の液圧を発生させ得る動力液圧源と、動力液圧源と第2流路とを連通する動力液圧源流路と、動力液圧源流路に設けられ、第1および第2のホイールシリンダの液圧を調整する増圧弁と、分離弁、マスタカット弁および増圧弁に供給する電流を制御する電流制御部と、を備える。電流制御部は、ブレーキ操作がなされた際に、分離弁、マスタカット弁および増圧弁に対してそれぞれ異なるタイミングで電流の供給を開始する。
【0010】
この態様によると、電流制御部は、ブレーキ操作がなされた際に、分離弁、マスタカット弁および増圧弁に対してそれぞれ異なるタイミングで電流の供給を開始するので、これらの電磁弁に同時に電流の供給を開始した場合よりも、装置に流れる電流を小さくすることができる。
【0011】
電流制御部は、増圧弁よりも先にマスタカット弁に電流の供給を開始してもよい。常開型電磁弁であるマスタカット弁よりも先に増圧弁に電流の供給を開始すると、作動流体がマスタカット弁を介してマスタシリンダに流れ込み、ドライバーがブレーキ操作に違和感を感じる可能性がある。増圧弁よりも先にマスタカット弁に電流の供給を開始することによって、このような事態を回避することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の電磁弁を有するブレーキ制御装置において、ブレーキ操作の際に大電流が流れる事態を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係るブレーキ制御装置20を示す系統図である。同図に示されるブレーキ制御装置20は、車両用の電子制御式ブレーキシステム(ECB)を構成しており、車両に設けられた4つの車輪に付与される制動力を制御する。
【0015】
ブレーキ制御装置20は、図1に示されるように、車輪(図示せず)ごとに設けられた制動力付与機構としてのディスクブレーキユニット21FR,21FL、21RRおよび21RLと、マスタシリンダユニット10と、動力液圧源30と、液圧アクチュエータ40とを含む。
【0016】
ディスクブレーキユニット21FR,21FL、21RRおよび21RLは、車両の右前輪、左前輪、右後輪、および左後輪のそれぞれに制動力を付与する。マニュアル液圧源としてのマスタシリンダユニット10は、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル24のドライバーによる操作量に応じて加圧されたブレーキフルードをディスクブレーキユニット21FR〜21RLに対して送出する。動力液圧源30は、動力の供給により加圧された作動流体としてのブレーキフルードを、ドライバーによるブレーキペダル24の操作から独立してディスクブレーキユニット21FR〜21RLに対して送出することが可能である。液圧アクチュエータ40は、動力液圧源30またはマスタシリンダユニット10から供給されたブレーキフルードの液圧を適宜調整してディスクブレーキユニット21FR〜21RLに送出する。これにより、液圧制動による各車輪に対する制動力が調整される。本実施形態においては、動力液圧源30および液圧アクチュエータ40を含んで、ホイールシリンダ圧制御系統が構成される。
【0017】
ディスクブレーキユニット21FR〜21RL、マスタシリンダユニット10、動力液圧源30、および液圧アクチュエータ40のそれぞれについて以下で更に詳しく説明する。各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLは、それぞれブレーキディスク22とブレーキキャリパに内蔵されたホイールシリンダ23FR〜23RLを含む。そして、各ホイールシリンダ23FR〜23RLは、それぞれ異なる流体通路を介して液圧アクチュエータ40に接続されている。なお以下では適宜、ホイールシリンダ23FR〜23RLを総称して「ホイールシリンダ23」という。
【0018】
ディスクブレーキユニット21FR〜21RLにおいては、ホイールシリンダ23に液圧アクチュエータ40からブレーキフルードが供給されると、車輪と共に回転するブレーキディスク22に摩擦部材としてのブレーキパッドが押し付けられる。これにより、各車輪に制動力が付与される。なお、本実施形態においてはディスクブレーキユニット21FR〜21RLを用いているが、例えばドラムブレーキ等のホイールシリンダ23を含む他の制動力付与機構を用いてもよい。
【0019】
マスタシリンダユニット10は、本実施形態では液圧ブースタ付きマスタシリンダであり、液圧ブースタ31、マスタシリンダ32、レギュレータ33、およびリザーバ34を含む。液圧ブースタ31は、ブレーキペダル24に連結されており、ブレーキペダル24に加えられたペダル踏力を増幅してマスタシリンダ32に伝達する。動力液圧源30からレギュレータ33を介して液圧ブースタ31にブレーキフルードが供給されることにより、ペダル踏力は増幅される。そして、マスタシリンダ32は、ペダル踏力に対して所定の倍力比を有するマスタシリンダ圧を発生する。
【0020】
マスタシリンダ32とレギュレータ33との上部には、ブレーキフルードを貯留するリザーバ34が配置されている。マスタシリンダ32は、ブレーキペダル24の踏み込みが解除されているときにリザーバ34と連通する。一方、レギュレータ33は、リザーバ34と動力液圧源30のアキュムレータ35との双方と連通しており、リザーバ34を低圧源とすると共に、アキュムレータ35を高圧源とし、マスタシリンダ圧とほぼ等しい液圧を発生する。レギュレータ33における液圧を以下では適宜、「レギュレータ圧」という。
【0021】
動力液圧源30は、アキュムレータ35およびポンプ36を含む。アキュムレータ35は、ポンプ36により昇圧されたブレーキフルードの圧力エネルギを窒素等の封入ガスの圧力エネルギ、例えば14〜22MPa程度に変換して蓄えるものである。ポンプ36は、駆動源としてモータ36aを有し、その吸込口がリザーバ34に接続される一方、その吐出口がアキュムレータ35に接続される。また、アキュムレータ35は、マスタシリンダユニット10に設けられたリリーフバルブ35aにも接続されている。アキュムレータ35におけるブレーキフルードの圧力が異常に高まって例えば25MPa程度になると、リリーフバルブ35aが開弁し、高圧のブレーキフルードはリザーバ34へと戻される。
【0022】
上述のように、ブレーキ制御装置20は、ホイールシリンダ23に対するブレーキフルードの供給源として、マスタシリンダ32、レギュレータ33およびアキュムレータ35を有している。そして、マスタシリンダ32にはマスタ配管37が、レギュレータ33にはレギュレータ配管38が、アキュムレータ35にはアキュムレータ配管39が接続されている。これらのマスタ配管37、レギュレータ配管38およびアキュムレータ配管39は、それぞれ液圧アクチュエータ40に接続される。
【0023】
液圧アクチュエータ40は、複数の流路が形成されるアクチュエータブロックと、複数の電磁弁を含む。アクチュエータブロックに形成された流路には、個別流路41、42,43および44と、主流路45とが含まれる。個別流路41〜44は、それぞれ主流路45から分岐されて、対応するディスクブレーキユニット21FR、21FL,21RR,21RLのホイールシリンダ23FR、23FL,23RR,23RLに接続されている。これにより、各ホイールシリンダ23は主流路45と連通可能となる。
【0024】
また、個別流路41,42,43および44の中途には、ABS保持弁51,52,53および54が設けられている。各ABS保持弁51〜54は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングをそれぞれ有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁弁である。開状態とされた各ABS保持弁51〜54は、ブレーキフルードを双方向に流通させることができる。つまり、主流路45からホイールシリンダ23へとブレーキフルードを流すことができるとともに、逆にホイールシリンダ23から主流路45へもブレーキフルードを流すことができる。ソレノイドに通電されて各ABS保持弁51〜54が閉弁されると、個別流路41〜44におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
【0025】
更に、ホイールシリンダ23は、個別流路41〜44にそれぞれ接続された減圧用流路46,47,48および49を介してリザーバ流路55に接続されている。減圧用流路46,47,48および49の中途には、ABS減圧弁56,57,58および59が設けられている。各ABS減圧弁56〜59は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングをそれぞれ有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁弁である。各ABS減圧弁56〜59が閉状態であるときには、減圧用流路46〜49におけるブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されて各ABS減圧弁56〜59が開弁されると、減圧用流路46〜49におけるブレーキフルードの流通が許容され、ブレーキフルードがホイールシリンダ23から減圧用流路46〜49およびリザーバ流路55を介してリザーバ34へと還流する。なお、リザーバ流路55は、リザーバ配管77を介してマスタシリンダユニット10のリザーバ34に接続されている。
【0026】
主流路45は、中途に分離弁60を有する。この分離弁60により、主流路45は、個別流路41および42と接続される第1流路45aと、個別流路43および44と接続される第2流路45bとに区分けされている。第1流路45aは、個別流路41および42を介して前輪側のホイールシリンダ23FRおよび23FLに接続され、第2流路45bは、個別流路43および44を介して後輪側のホイールシリンダ23RRおよび23RLに接続される。
【0027】
分離弁60は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、ソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁弁である。分離弁60が閉状態であるときには、主流路45におけるブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されて分離弁60が開弁されると、第1流路45aと第2流路45bとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。
【0028】
また、液圧アクチュエータ40においては、主流路45に連通するマスタ流路61およびレギュレータ流路62が形成されている。より詳細には、マスタ流路61は、主流路45の第1流路45aに接続されており、レギュレータ流路62は、主流路45の第2流路45bに接続されている。また、マスタ流路61は、マスタシリンダ32と連通するマスタ配管37に接続される。レギュレータ流路62は、レギュレータ33と連通するレギュレータ配管38に接続される。
【0029】
マスタ流路61は、中途にマスタカット弁64を有する。マスタカット弁64は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、ソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁弁である。開状態とされたマスタカット弁64は、マスタシリンダ32と主流路45の第1流路45aとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。ソレノイドに通電されてマスタカット弁64が閉弁されると、マスタ流路61におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
【0030】
また、マスタ流路61には、マスタカット弁64よりも上流側において、シミュレータカット弁68を介してストロークシミュレータ69が接続されている。すなわち、シミュレータカット弁68は、マスタシリンダ32とストロークシミュレータ69とを接続する流路に設けられている。シミュレータカット弁68は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、ソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁弁である。シミュレータカット弁68が閉状態であるときには、マスタ流路61とストロークシミュレータ69との間のブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されてシミュレータカット弁68が開弁されると、マスタシリンダ32とストロークシミュレータ69との間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。
【0031】
ストロークシミュレータ69は、複数のピストンやスプリングを含むものであり、シミュレータカット弁68の開放時にドライバーによるブレーキペダル24の踏力に応じた反力を創出する。ストロークシミュレータ69としては、ドライバーによるブレーキ操作のフィーリングを向上させるために、多段のバネ特性を有するものが採用されると好ましく、本実施形態のストロークシミュレータ69は多段のバネ特性を有する。
【0032】
レギュレータ流路62は、中途にレギュレータカット弁65を有する。レギュレータカット弁65も、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、ソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁弁である。開状態とされたレギュレータカット弁65は、レギュレータ33と主流路45の第2流路45bとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。ソレノイドに通電されてレギュレータカット弁65が閉弁されると、レギュレータ流路62におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
【0033】
本実施形態においては上述のように、マスタシリンダユニット10のマスタシリンダ32は、次の各要素を含んで構成される第1の系統により前輪側のホイールシリンダ23FRおよび23FLに連通される。第1の系統は、マスタ配管37、マスタ流路61、マスタカット弁64、主流路45の第1流路45a、個別流路41および42、ABS保持弁51および52を含んで構成される。また、マスタシリンダユニット10の液圧ブースタ31およびレギュレータ33は、次の各要素を含んで構成される第2の系統により後輪側のホイールシリンダ23RRおよび23RLに連通される。第2の系統は、レギュレータ配管38、レギュレータ流路62、レギュレータカット弁65、主流路45の第2流路45b、個別流路43および44、ABS保持弁53および54を含んで構成される。
【0034】
よって、ドライバーによるブレーキ操作量に応じて加圧されたマスタシリンダユニット10における液圧は、第1の系統を介して前輪側のホイールシリンダ23FRおよび23FLに伝達される。また、後輪側のホイールシリンダ23RRおよび23RLへは、第2の系統を介してマスタシリンダユニット10における液圧が伝達される。これにより、ドライバーのブレーキ操作量に応じた制動力を各ホイールシリンダ23に発生させることができる。
【0035】
液圧アクチュエータには、マスタ流路61およびレギュレータ流路62に加えて、アキュムレータ流路63も形成されている。アキュムレータ流路63の一端は、主流路45の第2流路45bに接続され、他端は、アキュムレータ35と連通するアキュムレータ配管39に接続される。
【0036】
アキュムレータ流路63は、中途に増圧リニア制御弁66を有する。また、アキュムレータ流路63および主流路45の第2流路45bは、減圧リニア制御弁67を介してリザーバ流路55に接続されている。増圧リニア制御弁66と減圧リニア制御弁67とは、それぞれリニアソレノイドおよびスプリングを有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁弁である。増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67は、それぞれのソレノイドに供給される電流に比例して弁の開度が調整される。
【0037】
増圧リニア制御弁66は、各車輪に対応して複数設けられた各ホイールシリンダ23に対して共通の増圧用制御弁として設けられている。また、減圧リニア制御弁67も同様に、各ホイールシリンダ23に対して共通の減圧用制御弁として設けられている。つまり、本実施形態においては、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67は、動力液圧源30から送出される作動流体を各ホイールシリンダ23へ給排制御する1対の共通の制御弁として設けられている。
【0038】
なお、ここで、増圧リニア制御弁66の出入口間の差圧は、アキュムレータ35におけるブレーキフルードの圧力と主流路45におけるブレーキフルードの圧力との差圧に対応し、減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧は、主流路45におけるブレーキフルードの圧力とリザーバ34におけるブレーキフルードの圧力との差圧に対応する。また、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67のリニアソレノイドへの供給電力に応じた電磁駆動力をF1とし、スプリングの付勢力をF2とし、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧に応じた差圧作用力をF3とすると、F1+F3=F2という関係が成立する。従って、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67のリニアソレノイドへの供給電力を連続的に制御することにより、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧を制御することができる。
【0039】
本実施形態においては、動力液圧源30、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67を含んで圧力制御機構が構成される。圧力制御機構を動作させることによりホイールシリンダ23の液圧が制御される。増圧リニア制御弁66と減圧リニア制御弁67との間に主流路45の第2流路45bが連通されているので、圧力制御機構は、分離弁60の開閉に関わらず後輪側のホイールシリンダ23RRおよび23RLの液圧を制御することができる。分離弁60が開状態であれば、圧力制御機構を動作させることによりすべてのホイールシリンダ23の液圧を制御することができる。
【0040】
ブレーキ制御装置20において、動力液圧源30および液圧アクチュエータ40は、本実施形態における制御手段としてのブレーキECU70により制御される。ブレーキECU70は、CPUを含むマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート等を備える。そして、ブレーキECU70は、上位のハイブリッドECU(図示せず)などと通信可能であり、ハイブリッドECUからの制御信号や、各種センサからの信号に基づいて動力液圧源30のポンプ36や、液圧アクチュエータ40を構成する電磁弁51〜54,56〜59,60,64〜68を制御して、ブレーキ制御を実行可能である。
【0041】
また、ブレーキECU70には、レギュレータ圧センサ71、アキュムレータ圧センサ72、および制御圧センサ73が接続される。レギュレータ圧センサ71は、レギュレータカット弁65の上流側でレギュレータ流路62内のブレーキフルードの圧力、すなわちレギュレータ圧を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。アキュムレータ圧センサ72は、増圧リニア制御弁66の上流側でアキュムレータ流路63内のブレーキフルードの圧力、すなわちアキュムレータ圧を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。制御圧センサ73は、主流路45の第1流路45a内のブレーキフルードの圧力を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。各圧力センサ71〜73の検出値は、所定時間おきにブレーキECU70に順次与えられ、ブレーキECU70の所定の記憶領域に所定量ずつ格納保持される。
【0042】
分離弁60が開状態とされて主流路45の第1流路45aと第2流路45bとが互いに連通している場合、制御圧センサ73の出力値は、増圧リニア制御弁66の低圧側の液圧を示すと共に減圧リニア制御弁67の高圧側の液圧を示すので、この出力値を増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の制御に利用することができる。また、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67が閉鎖されていると共に、マスタカット弁64が開状態とされている場合、制御圧センサ73の出力値は、マスタシリンダ圧を示す。更に、分離弁60が開放されて主流路45の第1流路45aと第2流路45bとが互いに連通しており、各ABS保持弁51〜54が開放される一方、各ABS減圧弁56〜59が閉鎖されている場合、制御圧センサの73の出力値は、各ホイールシリンダ23に作用する作動流体圧、すなわちホイールシリンダ圧を示す。
【0043】
さらに、ブレーキECU70に接続されるセンサには、ブレーキペダル24に設けられたストロークセンサ25も含まれる。ストロークセンサ25は、ブレーキペダル24の操作量としてのペダルストロークを検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。ストロークセンサ25の出力値も、所定時間おきにブレーキECU70に順次与えられ、ブレーキECU70の所定の記憶領域に所定量ずつ格納保持される。なお、ストロークセンサ25以外のブレーキ操作状態検出手段をストロークセンサ25に加えて、あるいは、ストロークセンサ25に代えて設け、ブレーキECU70に接続してもよい。ブレーキ操作状態検出手段としては、例えば、ブレーキペダル24の操作力を検出するペダル踏力センサや、ブレーキペダル24が踏み込まれたことを検出するブレーキスイッチなどがある。
【0044】
ドライバーによってブレーキペダル24が踏み込まれると、ブレーキECU70は、ペダルストロークとマスタシリンダ圧とから車両の目標減速度を算出する。そして、ブレーキECU70は、算出した目標減速度に基づいてホイールシリンダ23の目標液圧を算出し、ホイールシリンダ圧が目標液圧になるように増圧リニア制御弁66や減圧リニア制御弁67に対する供給電流の値を決定する。その結果、ブレーキ制御装置20においては、動力液圧源30から増圧リニア制御弁66を介してブレーキフルードが各ホイールシリンダ23に供給されて各車輪に制動力が付与される。なお、このとき、ブレーキECU70は、分離弁60を開状態として動力液圧源30からのブレーキフルードが前輪側に供給されるようにする一方、マスタカット弁64およびレギュレータカット弁65を閉状態とし、マスタシリンダ32およびレギュレータ33から送出されるブレーキフルードが主流路45へ供給されないようにする。
【0045】
図2は、本実施形態に係るブレーキ制御装置20の電磁弁駆動回路を示す。直流電源装置96は、ブレーキ制御装置20の複数の電磁弁を駆動するための電源装置である。直流電源装置96は、ソレノイドリレー94、フィルタ92等の電子部品を介して複数の電磁弁駆動回路に電流を供給する。フィルタ92を通過し、ノイズ成分が除去された電流は、電源線99を介して並列につながれた複数の電磁弁駆動回路へと流れる。図2では、1つの電磁弁駆動回路88について示し、他の電磁弁駆動回路については図示を省略している。
【0046】
電磁弁駆動回路88は、ブレーキECU70からの制御信号によって、電磁弁のソレノイドコイル90に供給する電流を制御する。電磁弁駆動回路88は、Pチャネル型のFET80と、Nチャネル型のFET82と、フライホイールダイオード84と、電流検出抵抗86と、を備える。
【0047】
FET80のソース端子は、電源線99に接続されている。FET80のゲート端子は、制御信号線97を介してブレーキECU70に接続されている。FET80のドレイン端子と、FET82のドレイン端子との間には、ソレノイドコイル90が接続されている。また、FET80のドレイン端子には、フライホイールダイオード84のカソード端子が接続されており、フライホイールダイオード84のアノード端子は接地されている。FET82のゲート端子は、制御信号線98を介してブレーキECU70に接続されている。FET82のソース端子には、電流検出抵抗86の一方の端子が接続され、電流検出抵抗86の他方の端子は接地されている。また、FET82のソース端子は、電流モニタ線95を介してブレーキECU70に接続されている。
【0048】
電磁弁は、起動時には電流値が大きい起動電流を必要とするが、一旦駆動された後は、起動電流よりも電流値が小さい保持電流を供給することで、駆動状態を維持することができる。電磁弁の状態に応じて供給する電流を変化させることで、消費電流と発熱を低減することができる。本実施形態において、ブレーキECU70は、PWM制御によりFET80のゲート端子に供給する制御信号のデューティー比を変化させ、電磁弁のソレノイドコイル90に供給する電流Iを制御することができる。
【0049】
図3は、ブレーキ操作時における複数の電磁弁に対する電流の供給状態を示すタイミングチャートである。本実施形態に係るブレーキ制御装置20において、ブレーキECU70は、ブレーキ操作がなされた際に、複数の電磁弁に対してそれぞれ異なるタイミングで電流の供給を開始する。ブレーキECU70は、複数の電磁弁のそれぞれに対し、電磁弁を起動させるための起動電流を供給した後に起動電流より電流値の低い保持電流に切り替える制御を行っており、一つの電磁弁に供給する電流を起動電流から保持電流に切り替えた後に、次の電磁弁に対して起動電流の供給を開始する。図3においては、時刻tにドライバーによってブレーキ操作が開始され、時刻tにドライバーによるブレーキ操作が終了したものとする。
【0050】
まず、時刻tにおいてドライバーによってブレーキ操作がなされると、ブレーキECU70は、マスタカット弁64に対して電流の供給を開始する。ブレーキECU70は、このときマスタカット弁64に供給される電流が、マスタカット弁64を駆動、つまり、マスタカット弁64を閉状態にするのに十分な電流Iとなるように、PWM制御を行う。この電流Iを、マスタカット弁64の起動電流と呼ぶ。起動電流Iの供給は、時刻tから時刻tまでの時間Tの間行う。この時間Tは、マスタカット弁64に起動電流Iの供給を開始してからマスタカット弁64の駆動が完了するまでの時間以上となるように設定する。マスタカット弁64の駆動が完了したか否かの検出は、電磁弁の駆動状態を判定するセンサを用いて検出してもよいし、また、予めマスタカット弁64の駆動完了に必要な時間を測定しておいてもよい。
【0051】
時刻tで、ブレーキECU70は、PWM制御を行うことによって、マスタカット弁64に供給する電流を、起動電流Iより電流値が低く、マスタカット弁64の駆動状態を維持するのに十分な保持電流Iに切り替える。
【0052】
ブレーキECU70は、マスタカット弁64に供給する電流を駆動電流Iから保持電流Iに切り替えた時刻t以後に、分離弁60に対して電流の供給を開始する。ブレーキECU70は、このとき分離弁60に供給される電流が、分離弁60を駆動、つまり、分離弁60を開状態にするのに十分な電流Iとなるように、PWM制御を行う。この電流Iを、分離弁60の起動電流と呼ぶ。起動電流Iの供給は、時刻tから時刻tまでの時間Tの間行う。この時間Tは、分離弁60に起動電流Iの供給を開始してから分離弁60の駆動が完了するまでの時間以上となるように設定する。分離弁60の駆動が完了したか否かの検出は、電磁弁の駆動状態を判定するセンサを用いて検出してもよいし、また、予め分離弁60の駆動完了に必要な時間を測定しておいてもよい。
【0053】
時刻tで、ブレーキECU70は、PWM制御を行うことによって、分離弁60に供給する電流を、起動電流Iより電流値が低く、分離弁60の駆動状態を維持するのに十分な保持電流Iに切り替える。
【0054】
ブレーキECU70は、分離弁60に供給する電流を駆動電流Iから保持電流Iに切り替えた時刻t以後に、レギュレータカット弁65に対して電流の供給を開始する。ブレーキECU70は、このときレギュレータカット弁65に供給される電流が、レギュレータカット弁65を駆動、つまり、レギュレータカット弁65を閉状態にするのに十分な電流Iとなるように、PWM制御を行う。この電流Iを、レギュレータカット弁65の起動電流と呼ぶ。起動電流Iの供給は、時刻tから時刻tまでの時間Tの間行う。この時間Tは、レギュレータカット弁65に起動電流Iの供給を開始してからレギュレータカット弁65の駆動が完了するまでの時間以上となるように設定する。レギュレータカット弁65の駆動が完了したか否かの検出は、電磁弁の駆動状態を判定するセンサを用いて検出してもよいし、また、予めレギュレータカット弁65の駆動完了に必要な時間を測定しておいてもよい。
【0055】
時刻tで、ブレーキECU70は、PWM制御を行うことによって、レギュレータカット弁65に供給する電流を、起動電流Iより電流値が低く、レギュレータカット弁65の駆動状態を維持するのに十分な保持電流Iに切り替える。
【0056】
ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65に供給する電流を駆動電流Iから保持電流Iに切り替えた時刻t以後に、増圧リニア制御弁66に対して電流の供給を開始する。上述したように、ブレーキECU70は、ドライバーによってブレーキペダル24が踏み込まれると、ホイールシリンダ23の目標液圧を算出し、ホイールシリンダ圧が目標液圧になるように増圧リニア制御弁66に対して供給する電流の値を決定する。ブレーキECU70は、決定された電流が増圧リニア制御弁66に供給されるよう、増圧リニア制御弁66の駆動回路に対してPWM制御を行う。ブレーキECU70は、ホイールシリンダ圧が目標液圧になった後は、増圧リニア制御弁66に供給する電流を零にし、増圧リニア制御弁66を閉状態にする(時刻t)。
【0057】
その後、時刻tにおいてドライバーがブレーキ操作を終了すると、ブレーキECU70は、減圧リニア制御弁67に対して電流の供給を開始する。ブレーキECU70は、ホイールシリンダ23の目標液圧を算出し、ホイールシリンダ圧が目標液圧になるように減圧リニア制御弁67に対して供給する電流の値を決定する。ブレーキECU70は、決定された電流が減圧リニア制御弁67に供給されるようPWM制御を行う。ブレーキECU70は、ホイールシリンダ圧が目標液圧になった後は、減圧リニア制御弁67に供給する電流を零にし、減圧リニア制御弁67を閉状態にする(時刻t)。
【0058】
減圧リニア制御弁67に供給される電流が零になった時刻t以後、ブレーキECU70は、マスタカット弁64、分離弁60およびレギュレータカット弁65に供給されていた保持電流が零になるようにそれぞれの電磁弁駆動回路を制御する。その結果、マスタカット弁64およびレギュレータカット弁65が開状態、分離弁60が閉状態となり、ブレーキ操作時の電磁弁の動作が終了する。
【0059】
図4は、ブレーキ操作時における複数の電磁弁の制御を示すフローチャートである。ブレーキ操作があった場合(S10のY)、ブレーキECU70は、マスタカット弁64に対して起動電流を供給する(S12)。ブレーキ操作がない場合は、ブレーキ操作がなされるまで待機する(S10のN)。起動電流の供給は、時間Tが経過するまでの間行う(S14のN)。時間Tは、上述したように、マスタカット弁64に起動電流の供給を開始してからマスタカット弁64の駆動が完了するまでの時間以上の時間である。時間Tが経過した場合(S14のY)、ブレーキECU70は、マスタカット弁64に供給する電流を、起動電流から保持電流に切り替える(S16)。
【0060】
その後、ブレーキECU70は、分離弁60に対して起動電流を供給する(S18)。起動電流の供給は、時間Tが経過するまでの間行う(S20のN)。時間Tは、上述したように、分離弁60に起動電流の供給を開始してから分離弁60の駆動が完了するまでの時間以上の時間である。時間Tが経過した場合(S20のY)、ブレーキECU70は、分離弁60に供給する電流を、起動電流から保持電流に切り替える(S22)。
【0061】
その後、ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65に対して起動電流を供給する(S24)。起動電流の供給は、時間Tが経過するまで行う(S26のN)。時間Tは、上述したように、レギュレータカット弁65に起動電流の供給を開始してからレギュレータカット弁65の駆動が完了するまでの時間以上の時間である。時間Tが経過した場合(S26のY)、ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65に供給する電流を、起動電流から保持電流に切り替える(S28)。その後、ブレーキECU70は、増圧リニア制御弁66に対して電流の供給を行い(S30)、ホイールシリンダ23の液圧を増加させ、車輪に制動力を発生させる。以上で、ブレーキ操作時における複数の電磁弁の制御が終了する。
【0062】
以上説明したように、本実施形態に係るブレーキ制御装置20では、ドライバーによってブレーキ操作がなされた際に、複数の電磁弁のそれぞれに対し、起動電流を供給した後に起動電流より電流値の低い保持電流に切り替える制御を行い、一つの電磁弁に供給する電流を起動電流から保持電流に切り替えた後に、次の電磁弁に対して起動電流の供給を開始するように構成した。このようにブレーキ制御装置を構成することで、起動電流が重畳して流れることがなくなり、装置に大電流が流れる事態を回避することができる。これにより、電磁弁駆動用の電源装置として電流容量が大きいものを用いる必要がなくなり、電源装置選択の自由度が増すため、コストの低減に有効である。
【0063】
また、装置に大電流が流れる事態を回避することによって、電流の供給線路に設けられるソレノイドリレー94、フィルタ92などの電子部品による電圧降下が小さくなる。これにより、電源装置の電圧をそれほど大きく設定しなくても電磁弁の最低動作電圧を確保することができるようになる。
【0064】
本実施形態に係るブレーキ制御装置20では、複数の電磁弁に対し、起動電流の供給を所定の順序で開始することが好ましい。特に、上述のように、増圧リニア制御弁66よりも先にマスタカット弁64に電流の供給を開始することが好ましい。常開型電磁弁であるマスタカット弁64よりも先に増圧リニア制御弁66に電流の供給を開始すると、ブレーキフルードがマスタカット弁64を介してマスタシリンダ32に流れ込み、ドライバーがブレーキ操作に違和感を感じる可能性がある。増圧リニア制御弁66よりも先にマスタカット弁64に電流の供給を開始することによって、このような事態を回避することができる。
【0065】
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。これらの実施形態は例示であり、各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態に係るブレーキ制御装置を示す系統図である。
【図2】本実施形態に係るブレーキ制御装置の電磁弁駆動回路を示す図である。
【図3】ブレーキ操作時における複数の電磁弁に対する電流の供給状態を示すタイミングチャートである。
【図4】ブレーキ操作時における複数の電磁弁の制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
20 ブレーキ制御装置、 23 ホイールシリンダ、 24 ブレーキペダル、 30 動力液圧源、 32 マスタシリンダ、 45 主流路、 60 分離弁、 61 マスタ流路、 64 マスタカット弁、 65 レギュレータカット弁、 66 増圧リニア制御弁、 67 減圧リニア制御弁、 70 ブレーキECU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバーによるブレーキ操作に応じて車両に設けられた車輪に制動力を付与するブレーキ制御装置において、
作動流体の流路に設けられた複数の電磁弁と、
前記複数の電磁弁に供給する電流を制御する電流制御部と、
を備え、
前記電流制御部は、前記複数の電磁弁のそれぞれに対し、電磁弁を起動させるための起動電流を供給した後に起動電流より電流値の低い保持電流に切り替える制御を行っており、一つの電磁弁に供給する電流を起動電流から保持電流に切り替えた後に、次の電磁弁に対して起動電流の供給を開始することを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項2】
前記電流制御部は、前記複数の電磁弁に対し、起動電流の供給を所定の順序で開始することを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。
【請求項3】
第1の車輪に制動力を付与するための第1のホイールシリンダと、
前記第1の車輪とは異なる第2の車輪に制動力を付与するための第2のホイールシリンダと、
前記第1のホイールシリンダと前記第2のホイールシリンダとを連通する主流路と、
前記主流路を、前記第1のホイールシリンダと連通する第1流路と、前記第2のホイールシリンダと連通する第2流路と、に分離する常閉型電磁弁である分離弁と、
ドライバーによるブレーキ操作部材の操作量に応じて作動流体を加圧するマスタシリンダと、
前記マスタシリンダと前記第1流路とを連通するマスタ流路と、
前記マスタ流路に設けられた常開型電磁弁であるマスタカット弁と、
動力の供給により高圧の液圧を発生させ得る動力液圧源と、
前記動力液圧源と前記第2流路とを連通する動力液圧源流路と、
前記動力液圧源流路に設けられ、前記第1および第2のホイールシリンダの液圧を調整する増圧弁と、
前記分離弁、マスタカット弁および増圧弁に供給する電流を制御する電流制御部と、
を備え、
前記電流制御部は、ブレーキ操作がなされた際に、前記分離弁、前記マスタカット弁および前記増圧弁に対してそれぞれ異なるタイミングで電流の供給を開始することを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項4】
前記電流制御部は、前記増圧弁よりも先に前記マスタカット弁に電流の供給を開始することを特徴とする請求項3に記載のブレーキ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−230432(P2007−230432A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−56114(P2006−56114)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】