説明

ブロックの高さ調整具及びブロック積重方法

【課題】エレベーターシャフト等のブロック積重構造物を構築するに際し、ブロックの寸法精度が良好でない場合であってもブロックの高さ調整を正確にしかも作業性よく行うことのできるブロックの高さ調整具を提供する。
【解決手段】上下のブロック間に所要間隙Gを設けて上のブロックBaを下のブロックBbに対して高さ調整し、その状態を保持させるブロックの高さ調整具である。下のブロックBbに着脱可能に固定される下の固定部材61と、上のブロックBaに着脱可能に固定される上の固定部材62を具える。上の固定部材62の水平片106と、下の固定部材61の水平片73には、調整ボルト63を横方向に着脱可能に嵌入させる欠切部109,81が設けられている。調整ボルト63の上側雄ネジ部65と下側雄ネジ部69の夫々には、上下のナット部材66,67、70,71が螺合されている。上下のナット部材を螺合操作して上のブロックを高さ調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロックの高さ調整具に関するものであり、又、これを用いるブロック積重方法に関するものである。より詳しくは、エレベータが設置されていない既設の4階建てや5階建てのような中層集合住宅にエレベータを簡易に設置するためのエレベータシャフト等を構築する際に、上下のブロック間に所要間隙を設けて該上のブロックを該下のブロックに対して高さ調整し、該高さ調整された状態を保持させ、最終的には上下のブロックから取り外し容易なブロックの高さ調整具に関するものであり、又、該ブロックの高さ調整具を用いるブロック積重方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エレベータが設置されていない既設の4階建てや5階建てのような中層集合住宅にエレベータを簡易に設置する目的でエレベータシャフトを構築することが行われているが、その一例として特開2000−185884号公報が開示する構築工法が提案されている。
【0003】
この構築工法は、平面形状が略コ字形を呈するブロックの複数を基礎上に積み重ねることによりエレベータシャフトを構築するのであり、積み重ねられるブロックの接合面に接着材を塗布することにより各ブロックを一体化し、基礎内に下端部を埋め込んだ高張力の軸芯(PC鋼棒等の軸芯)を、上下連続する鉛直方向の連通孔に挿通し、その高張力の軸芯の少なくとも上端部をブロックの最上部で引っ張り、最上層のブロックを下方へ押圧することにより、積み重ねられたブロック同士を締め付け、高張力の軸芯が挿通された挿通孔内にモルタルを充填する構成を採用していた。
【0004】
かかるエレベータシャフトは、前記のように、積み重ねられるブロックの接合面に接着材を塗布することにより各ブロックを一体化するものであったため、寸法精度の高いブロックを用いなければエレベータシャフトの各部を精度よく構築できないと考えられる。積重して構築されるエレベータシャフトの精度がブロックの製造誤差に左右されるからである。各ブロックの製造方法が同公報には明記されていないが、各ブロックを精度よく製造するためには、通常はマッチキャストの製造方法によらざるを得ないと考えられる。しかしながらマッチキャストの製造方法は、一方向に延長する長尺の定盤上で、製造済みのブロックを型枠代わりにして順を追ってブロックを製造していく方法であるために、生産性が非常に悪く製造コストの上昇を招く問題があった他、作業スペースの有効活用が図れない問題もある等、実用性に乏しい製造方法であった。
【0005】
このような問題点を解決するために、特開2004−352457号公報が開示するエレベータシャフトにおけるシャフトユニット(ブロック)の接合構造が提案されている。該接合構造において、シャフトユニット同士又は基礎ユニット上にシャフトユニットを接合する際に、先ず、下部側柱部より突出する主筋廻りにレベル及び高さ調整用の複数の鉄板ライナーを設置してレベル調整を行い、且つ周囲にはモルタルの漏れ防止用のシリコンスポンジゴムを設置しておき、上部側のユニットを吊り降ろして下部側主筋の突出端をスリーブ内に位置させる構成が採用されている。このような構成を採用することにより、ブロックに製造誤差が生じている場合であっても鉄板ライナーによって所要のレベル及び高さを調整し得る利点があった。
【0006】
しかしながら、かかる鉄板ライナーによってレベル及び高さの調整をせんとするときは、使用する鉄板の厚さに制約されるために精度の高い調整を行うことができない問題があったばかりか、設置された鉄板ライナーが障害となって、注入されたモルタルが各部に均一に行き渡らない場合が生じた。又、ブロックの製造誤差によって、積重されるシャフトユニットの下面が全ての鉄板ライナーの上面に正しく当接するとは限らず浮いた部分が生じやすく、このようになると、鉄板ライナーの上面と上のシャフトユニットの下面との間にモルタルが正しく充填されない場合も生じた。その結果、充填されたモルタルによる支持力が不完全となって、例えば地震発生時等において、エレベータシャフトの強度が不安定化する恐れがあった。
【0007】
このような問題点を解決するために、同公報が開示する図面の図4に記載されているような、上下端にナットが螺合されたボルトと、接合されるべきシャフトユニット(ブロック)の上下端側に夫々固定されたL型ブラケットとからなる調整連結具を介し、該ナットの螺合操作によって精度よく高さ調整する手段が提案されていた。かかる調整連結具を用いて上下のシャフトユニット(ブロック)同士を連結する手段によるときは、レベル及び高さ調整を精度よく行うことができると共に、上下のシャフトユニット間に形成された間隙には前記したような鉄板ライナーが存在しないために、該間隙の各部にモルタルを均一に充填させることができる利点もあった。
【0008】
しかしながら該調整連結具を用いる場合は、ブラケットやボルト、ナットがシャフトユニット(ブロック)の外面に露出状態となるために、エレベータシャフトの見栄えが悪いだけでなく、エレベータ昇降路の有効面積を狭めてしまうという問題があった。
【0009】
かかるボルトやナットをブロックの内側に納めた状態でブロック相互を連結する手段の一つとして、特開平9−125418号公報が開示するものが提案されている。しかしながら、ブロックに設けた挿通孔を挿通するボルトやナット等を用いる該ブロック相互の連結手段は、ブロック相互を連結した後にこれらを取り外して再利用することは予定されていなかった。仮に、連結されたブロック間に形成された間隙にモルタル等を充填して後、これらを取り外して再利用せんとしても、ナットを外した後でなければ、ブラケットやブロックに設けた挿通孔からボルトを取り外すことができないために、ボルトやナット、ブラケット等の再利用のために多くの手間を要して作業能率が悪い問題が発生することになり、実用的でなかった。
【0010】
【特許文献1】特開2000−185884号公報(4−5頁、図1、図2)
【特許文献2】特開2004−352457号公報(3頁、図3、図4)
【特許文献3】特開平9−125418号公報(4頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記問題点に鑑みて開発されたものであり、ブロックを積重してエレベータシャフトや煙突、擁壁等のブロック積重構造物を構築するに際して、ブロックの寸法精度が良好でない場合であってもブロックの高さ調整を正確に然も能率的に行うことができ、その上、高さ調整のための調整ボルトをブロックに取り付けたり取り外したりするのが容易であって作業性に優れるブロックの高さ調整具の提供を課題とするものである。又、該高さ調整具を用いてブロックを精度よく然も能率的に積重可能なブロック積重方法の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用する。
即ち本発明に係るブロックの高さ調整具の第1の態様は、上下のブロック間に所要間隙を設けて該上のブロックを該下のブロックに対して高さ調整し、該高さ調整された状態を保持させるためのブロックの高さ調整具であって、該下のブロックに着脱可能に固定され且つ水平状態に突出する下の水平片を具える下の固定部材と、該上のブロックに着脱可能に固定され且つ水平状態に突出する上の水平片を具える上の固定部材と、該上下の水平片に対して着脱可能の調整ボルトを具え、該下の水平片と該上の水平片には、前記調整ボルトを横方向に着脱可能に嵌入させるための欠切部が設けられており、又、該調整ボルトの上側雄ネジ部には、前記上の水平片を上下から締め付け状態で挾持する上下のナット部材が螺合される一方、該調整ボルトの下側雄ネジ部には、前記下の水平片を上下から締め付け状態で挾持する上下のナット部材が螺合されていることを特徴とするものである。
【0013】
本発明に係るブロックの高さ調整具の第2の態様は、上下のブロック間に所要間隙を設けて該上のブロックを該下のブロックに対して高さ調整し、該高さ調整された状態を保持させるためのブロックの高さ調整具であって、該下のブロックに着脱可能に固定され且つ水平状態に突出する下の水平片を具える下の固定部材と、該上のブロックに着脱可能に固定され且つ水平状態に突出する上の水平片を具える上の固定部材と、該上下の水平片に対して着脱可能の調整ボルトを具え、該下の水平片と該上の水平片には、前記調整ボルトを横方向に着脱可能に嵌入させるための欠切部が設けられており、又、該調整ボルトの上側雄ネジ部には、前記上の水平片を上下から締め付け状態で挾持する上下のナット部材が螺合される一方、該調整ボルトの下端にボルト頭部が設けられ、且つ該ボルト頭部の上側に位置させて、該ボルト頭部と協働して前記下の水平片を締め付け状態で挾持するナット部材が前記調整ボルトの下側雄ネジ部に螺合されていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係るブロックの高さ調整具の第3の態様は、上下のブロック間に所要間隙を設けて該上のブロックを該下のブロックに対して高さ調整し、該高さ調整された状態を保持させるためのブロックの高さ調整具であって、該下のブロックに着脱可能に固定され且つ水平状態に突出する下の水平片を具える下の固定部材と、該上のブロックに着脱可能に固定され且つ水平状態に突出する上の水平片を具える上の固定部材と、該上下の水平片に対して着脱可能の調整ボルトを具え、該下の水平片と該上の水平片には、前記調整ボルトを横方向に着脱可能に嵌入させるための欠切部が設けられており、又、該調整ボルトの下側雄ネジ部には、前記下の水平片を上下から締め付け状態で挾持する上下のナット部材が螺合される一方、該調整ボルトの上端にボルト頭部が設けられ、且つ該ボルト頭部の下側に位置させて、該ボルト頭部と協働して前記上の水平片を締め付け状態で挾持するナット部材が前記調整ボルトに螺合されていることを特徴とするものである。
【0015】
前記第1の態様において、前記上の水平片に、前記調整ボルトが該上の水平片に設けられている前記欠切部の開放端に向けて移動するのを阻止するように前記ナット部材と当接状態に係合し得る規制係合部を設けると共に、前記下の水平片に、前記調整ボルトが該下の水平片に設けられている前記欠切部の開放端に向けて移動するのを阻止するように前記ナット部材と当接状態に係合し得る規制係合部を設けるのがよい。
【0016】
前記第2の態様において、前記上の水平片に、前記調整ボルトが該上の水平片に設けられている前記欠切部の開放端に向けて移動するのを阻止するように前記ナット部材と当接状態に係合し得る規制係合部を設けると共に、前記下の水平片に、前記調整ボルトが該下の水平片に設けられている前記欠切部の開放端に向けて移動するのを阻止するように前記ナット部材又は前記ボルト頭部と当接状態に係合し得る規制係合部を設けるのがよい。
【0017】
前記第3の態様において、前記上の水平片に、前記調整ボルトが該上の水平片に設けられている前記欠切部の開放端に向けて移動するのを阻止するように前記ナット部材又は前記ボルト頭部と当接状態に係合し得る規制係合部を設けると共に、前記下の水平片に、前記調整ボルトが該下の水平片に設けられている前記欠切部の開放端に向けて移動するのを阻止するように前記ナット部材と当接状態に係合し得る規制係合部を設けるのがよい。
【0018】
このように規制係合部を設ける場合、前記ナット部材は座金を具えたものとし、該座金の縁部が前記規制係合部に当接状態に係合し得るように構成するのがよい。又、このように規制係合部を設ける場合で、前記調整ボルトがボルト頭を有する場合、該ボルト頭は座金を具えたものとし、該座金の縁部が前記規制係合部と当接状態に係合し得るように構成するのがよい。
【0019】
前記各ブロックの高さ調整具において、前記上のブロックを前記下のブロックに向けて吊り下ろす際に該上のブロックの縁部をガイドするガイド片が前記下の固定部材に設けられたものとし、該ガイド片は、前記縁部を上下方向でガイドする垂直ガイト面を具えた垂直ガイド片部の上端に、前記縁部を前記垂直ガイド面に向けてガイドする、外方に向けて上方に傾斜する傾斜ガイド面を具えた傾斜ガイド片部が連設されたものとして構成するのがよい。
【0020】
又前記各ブロックの高さ調整具において、前記上のブロックを前記下のブロックに向けて吊り下ろす際に該下のブロックの縁部をガイドするガイド片が前記上の固定部材に設けられたものとし、該ガイド片は、前記縁部を上下方向でガイドする垂直ガイド面を具えた垂直ガイド片部の下端に、前記縁部を前記垂下ガイド面に向けてガイドする、外方に向けて下方に傾斜する傾斜ガイド面を具えた傾斜ガイド片部が連設されたものとして構成するのがよい。
【0021】
本発明に係るブロック積重方法は、上下のブロック間に周方向に連続して介在された弾性止水材を圧縮状態にして、該上下のブロック間に所要間隙を設けて該上のブロックを該下のブロックに対して高さ調整して該高さ調整された状態を保持させる際に前記第1の態様に係るブロックの高さ調整具を用いるブロック積重方法であって、前記上のブロックを前記下のブロックの前記弾性止水材上に載置して後、前記上下の固定部材が前記上下のブロックに固定された状態で、上側雄ネジ部の上下に所要間隔を置いて前記上下のナット部材が螺合されると共に下側雄ネジ部の上下に所要間隔を置いて前記上下のナット部材が螺合されてなる前記調整ボルトを、該上側雄ネジ部に螺合されている前記上下のナット部材間と、該下側雄ネジ部に螺合されている前記上下のナット部材間に、前記上下の水平片に設けられている上下の切欠部が介在するように、該上下の欠切部に横方向に嵌入させ、前記下側雄ネジ部の上下のナット部材を締め付けて前記下の水平片を挾持状態とする。その後、前記上側雄ネジ部のナット部材を螺合操作することによって、前記上の固定部材を介して前記上のブロックの高さ調整を行うと共に、該高さ調整された状態で前記弾性止水材を、止水を確保できる所要の圧縮状態とし、この状態で、該上下のナット部材を締め付けて前記上の水平片を挾持状態とする。その後、該弾性止水材によって囲まれた充填空間に液状充填材を充填し、該液状充填材が硬化した後に、前記上側雄ネジ部のナット部材と前記下側雄ネジ部のナット部材を緩めて前記調整ボルトを横移動させることによって該調整ボルトを前記上下の水平片から取り外すと共に、前記上下の固定部材を上下のブロックから取り外すことを特徴とするものである。
【0022】
本発明に係るブロック積重方法の他の態様は、上下のブロック間に周方向に連続して介在された弾性止水材を圧縮状態にして、該上下のブロック間に所要間隙を設けて該上のブロックを該下のブロックに対して高さ調整して該高さ調整された状態を保持させる際に前記第1の態様に係るブロックの高さ調整具を用いるブロック積重方法であって、前記上のブロックを前記下のブロックの前記弾性止水材上に載置して後、前記上下の固定部材が前記上下のブロックに固定された状態で、上側雄ネジ部の上下に所要間隔を置いて前記上下のナット部材が螺合されると共に下側雄ネジ部の上下に所要間隔を置いて前記上下のナット部材が螺合されてなる前記調整ボルトを、該上側雄ネジ部に螺合されている前記上下のナット部材間と、該下側雄ネジ部に螺合されている前記上下のナット部材間に、前記上下の水平片に設けられている上下の切欠部が介在するように、該上下の欠切部に横方向に嵌入させ、前記上側雄ネジ部の上下のナット部材を締め付けて前記上の水平片を挾持状態とする。その後、前記下側雄ネジ部のナット部材を螺合操作することによって、前記上の固定部材を介して前記上のブロックの高さ調整を行うと共に、該高さ調整された状態で前記弾性止水材を、止水を確保できる所要の圧縮状態とし、この状態で、該上下のナット部材を締め付けて前記下の水平片を挾持状態とする。その後、該弾性止水材によって囲まれた充填空間に液状充填材を充填し、該液状充填材が硬化した後に、前記上側雄ネジ部のナット部材と前記下側雄ネジ部のナット部材を緩めて前記調整ボルトを横移動させることによって該調整ボルトを前記上下の水平片から取り外すと共に、前記上下の固定部材を上下のブロックから取り外すことを特徴とするものである。
【0023】
本発明に係るブロック積重方法のその他の態様は、上下のブロック間に周方向に連続して介在された弾性止水材を圧縮状態にして、該上下のブロック間に所要間隙を設けて該上のブロックを該下のブロックに対して高さ調整して該高さ調整された状態を保持させる際に前記第2の態様に係るブロックの高さ調整具を用いるブロック積重方法であって、前記上のブロックを前記下のブロックの前記弾性止水材上に載置して後、前記上下の固定部材が前記上下のブロックに固定された状態で、上側雄ネジ部の上下に所要間隔を置いて前記上下のナット部材が螺合されると共に下側雄ネジ部に前記ナット部材が螺合されてなる前記調整ボルトを、該上側雄ネジ部に螺合されている前記上下のナット部材間と、該下側雄ネジ部に螺合されている前記ナット部材と前記ボルト頭部との間に、前記上下の水平片に設けられている上下の切欠部が介在するように、該上下の欠切部に横方向に嵌入させ、前記下側雄ネジ部のナット部材を締め付けて該ナット部材と前記ボルト頭部との間で前記下の水平片を挾持状態とする。その後、前記上側雄ネジ部のナット部材を螺合操作することによって、前記上の固定部材を介して前記上のブロックの高さ調整を行うと共に、該高さ調整された状態で前記弾性止水材を、止水を確保できる所要の圧縮状態とし、この状態で、前記上側雄ネジ部の前記上下のナット部材を締め付けて前記上の水平片を挾持状態とする。その後、該弾性止水材によって囲まれた充填空間に液状充填材を充填し、該液状充填材が硬化した後に、前記上側雄ネジ部のナット部材と前記下側雄ネジ部のナット部材を緩めて前記調整ボルトを横移動させることによって該調整ボルトを前記上下の水平片から取り外すと共に、前記上下の固定部材を上下のブロックから取り外すことを特徴とするものである。
【0024】
本発明に係るブロック積重方法のその他の態様は、上下のブロック間に周方向に連続して介在された弾性止水材を圧縮状態にして、該上下のブロック間に所要間隙を設けて該上のブロックを該下のブロックに対して高さ調整して該高さ調整された状態を保持させる際に前記第3の態様に係るブロックの高さ調整具を用いるブロック積重方法であって、前記上のブロックを前記下のブロックの前記弾性止水材上に載置して後、前記上下の固定部材が前記上下のブロックに固定された状態で、上側雄ネジ部に前記ナット部材が螺合されると共に下側雄ネジ部の上下に所要間隔を置いて前記上下のナット部材が螺合されてなる前記調整ボルトを、該上側雄ネジ部に螺合されている前記ナット部材と前記ボルト頭部との間と、該下側雄ネジ部に螺合されている前記上下のナット部材間に、前記上下の水平片に設けられている上下の切欠部が介在するように、該上下の欠切部に横方向に嵌入させ、前記上側雄ネジ部のナット部材を締め付けて該ナット部材と前記ボルト頭部との間で前記上の水平片を挾持状態とする。その後、前記下側雄ネジ部のナット部材を螺合操作することによって、前記上の固定部材を介して前記上のブロックの高さ調整を行うと共に、該高さ調整された状態で前記弾性止水材を、止水を確保できる所要の圧縮状態とし、この状態で、前記下側雄ネジ部の前記上下のナット部材を締め付けて前記下の水平片を挾持状態とする。その後、該弾性止水材によって囲まれた充填空間に液状充填材を充填し、該液状充填材が硬化した後に、前記下側雄ネジ部のナット部材と前記上側雄ネジ部のナット部材を緩めて前記調整ボルトを横移動させることによって該調整ボルトを前記上下の水平片から取り外すと共に、前記上下の固定部材を上下のブロックから取り外すことを特徴とするものである。
【0025】
前記各ブロック積重方法において、前記上下のブロックは、エレベーターシャフトを構成するブロックとし、前記上下の固定部材は、該上下のブロックの内面の所要部位に固定されるように構成するのがよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明によるときは、例えばエレベータシャフトを構成するブロック等としての、積重される個々のブロックに製造誤差が生じていて寸法精度が良好でない場合であっても、かかる製造誤差を吸収してブロックを精度よく積重できる。これにより、各ブロックの鉛直度や各ブロックの高さが精度よく設定されたエレベータシャフト等の各種のブロック積重構造物を構築できることになる。加えて、このように製造誤差を吸収できることから、寸法精度が高い反面、生産性が非常に悪く又製造コストの上昇を招く等の問題のあったマッチキャストの製造方法によって製造されたブロックを用いることなく、一般のブロックを用いてブロック積重施工を行い得ることとなり、高い施工経済性を達成できる。
然も本発明においては、上側雄ネジ部と下側雄ネジ部にナット部材が螺合されてなる調整ボルトを、上下の固定部材に対して着脱容易に構成しているため、上下の固定部材を上下のブロックに固定して上下の水平片を突出状態にしさえすれば、螺合されているナット部材が障害となることなく、該調整ボルトを、欠切部が設けられた前記上下の水平片に容易に取り付けることができる。これにより、上のブロックの高さ調整を能率的に行うことができる。又、高さ調整具を取り外す際は、螺合されているナット部材を適宜緩めるだけで、該ナット部材が障害となることなく調整ボルトを上下の水平片から容易に取り外すことができる。そして、該上下の固定部材は調整ボルトと独立しているため、これが障害となることなく、該上下の固定部材を、安全且つ容易に取り付け取り外しできる。もしも、欠切部に代えて挿通孔を採用した場合は、調整ボルトの着脱作業に困難が伴うこととなる。
このように本発明によるときは、上のブロックの高さ調整を精度よく然も能率的に行うことができると共に、高さ調整後における高さ調整具のブロックからの取り外しも容易であるため、該取り外した高さ調整具を別の施工現場で再利用できる利点もある。
【0027】
(2) 又本発明に係るブロック積重方法によるときは、弾性止水材を介在させて上のブロックを下のブロック上に設置するため、ライナープレートを用いてブロックの高さ調整を行う従来の高さ調整手段とは異なり、ブロックの高さを微調整することが可能である。加えて、積重されたライナープレートがグラウト等の充填材の充填を不均一化する恐れもないことから、充填空間に均一に充填された液状充填材の硬化よって、強度的に安定したブロック積重構造物を構築できることになる。
【0028】
(3) 前記上下の固定部材の何れか一方にガイド片が設けられている場合は、該ガイド片のガイド作用によって、上のブロックを設置する際に、下のブロックに対する上のブロックの横方向での位置決めを容易に行うことができる。
【0029】
(4) 上下の水平片に規制係合部を設ける場合は、ナット部材が該規制係合部と当接状態に係合することにより調整ボルトが欠切部の開放端に向けて移動するのを阻止できるため、ブロックの高さ調整状態をより安全に保持させることができる。
【0030】
(5) 本発明を、エレベータシャフトを構成するブロックの積重施工に応用する場合において、前記上下の固定部材を上下のブロックの内面に固定するときは、ブロックを積重することよって形成されるブロックの内部空間で足場を設置できる。従って、足場の組み立て作業を簡易化し得ると共に、ブロックの高さ調整作業等を行うに際して作業者の移動距離を少なくでき施工能率の向上を期し得る。又、ブロックの内部空間で足場を設置することから、ブロックを取り囲むように足場を設ける場合とは異なり、全ての高さ調整具の装着状態を目視で確認することが容易であって、確実且つ安全な施工が可能となる。又、このように、前記上下の固定部材を上下のブロックの内面に固定するときは、上のブロック又は下のブロックにガイド片を設けた場合は、ブロックを吊り下ろす際にブロックの内面側の縁部が該ガイド片に擦られて損傷されることがあっても、上下の固定部材を上下のブロックの外面に固定する場合とは異なり、ガイド片によってブロックの外面側が損傷されることはないため、該ガイド片がエレベータシャフトの外観を損なう恐れがない。
【実施例1】
【0031】
図1〜3は、本発明に係るブロックの高さ調整具(以下高さ調整具という)1を、プレキャストコンクリート製のブロックBを順次積重して構築されるエレベータシャフトに応用した場合を示すものである。
【0032】
図4〜6は、該エレベータシャフト2の全体構成を示すもので、例えば地上5階建ての既存の集合住宅に増設されるものである。より詳しくは、平面視で正方形筒状を呈する上端開放の基礎部6上に、前記ブロックBの複数個が、上下のブロックBa,Bb間にグラウト充填層7(図8)を介在させて積重されると共に、最上段のブロックB上に屋根ブロック9が設置され、この状態で、前記基礎部6と前記ブロックBの複数個と、前記屋根ブロック9の全体が、上下方向に延長する緊締材(本実施例においては、図7に示すように、カップラ10で相互が連結されたPC鋼棒11)12を用いて緊結一体化されることによってエレベータシャフト2が構築されている。該エレベータシャフト2の内部には、内周面13(図4)が上下方向で面一状態の昇降路15が形成されており、該上下方向の昇降路15内で、図示しないエレベータかごが昇降可能である。本実施例においては図4〜5に示すように、エレベータかごの乗降口に連なるエレベータ出入口16が、1階部17と、2階と3階の間の踊り場19と、3階と4階の間の踊り場20と、4階と5階の間の踊り場21に連なるように4箇所設けられている。
【0033】
前記基礎部6は、図4、図6、図8に示すように、前記昇降路15の下端部分を構成する凹部22を有し、該凹部22の深さは900mm程度に設定されている。そして該基礎部6には、前記エレベータ出入口16側を除くコ字状の上端面23(図6)のコーナ部25,25,25,25にPC鋼棒が突設されると共に、隣り合うコーナ部間に所要本数(例えば3本乃至4本)のPC鋼棒11が突設されており、該PC鋼棒11の上端部分26が前記上端面23から若干突出している。該突出した上端部分26には、長ナットとしてのカップラ10(図8)を介して別のPC鋼棒11が、上方に突出するように連結される。本実施例においては、合計14本のPC鋼棒11を用いている。コーナ部25(図6)に配置されるPC鋼棒11としては例えば32mmのものを用い、中間に配置されるPC鋼棒11としては例えば17mmのものを用いる。
【0034】
エレベータシャフト2を構築する前記ブロックBは、本実施例においては、第1のブロック1Bと第2のブロック2Bと第3のブロック3Bと第4のブロック4Bと第5のブロック5Bと第6のブロック6Bの6種類からなる。
【0035】
該第1のブロック1Bは図6〜9に示すように、前記基礎部6の上端面23に載設される平面視で略コ字状の正方形の筒状を呈する。より具体的には、図6に示すように、左右の側壁部27,27の後端29,29相互が後壁部30で連結され、前記エレベータ出入口16を構成するために前面部が開放部31とされ、上下高さは比較的大きく設定され、鉛直方向の連通孔32が設けられている。又、該第1のブロック1Bの前記左右の側壁部27,27と前記後壁部30には、前記基礎部6の上端面23で突出されているPC鋼棒11の配置に合わせて、PC鋼棒11の挿通孔33(図8)が上下方向に貫通状態に設けられている。該挿通孔33の下端部分は、前記カップラ10を収容し得るように稍拡大した拡大孔部35(図8)とされている。該第1のブロック1Bの主要部の寸法を例示すれば、前記連通孔32の一辺長は1720mm程度に、左右の側壁部27,27と後壁部30の肉厚は150mm程度に、ブロック高さは、前記エレベータ出入口16の高さを考慮して2350mm程度に設定されている。又、前記挿通孔33の径は、該PC鋼棒11の挿通を容易とするために該PC鋼棒の直径よりも若干大きく形成されている。
【0036】
又前記第2のブロック2Bは、該第1のブロック1B上に載設されるものであり、図6〜7、図9に示すように、前記第1のブロック1Bに設けられている連通孔32と連通し得る連通孔32が鉛直方向に設けられた、平面視で正方形の筒状に形成されている。そして、前記第1のブロック1Bに設けられた各挿通孔33と位置合わせして、PC鋼棒11の挿通孔33が、周壁部36に上下方向に貫通状態に設けられている。該第2のブロック2Bの主要部の寸法を例示すれば、該連通孔32の一辺長は前記第1のブロック1Bにおけると同様に設定されると共に、その上下高さは小さく、例えば320mm程度に設定されている。
【0037】
又、前記第3のブロック3Bは、前記第2のブロック2B上に載設されるものであり、図6〜7、図10〜11に示すように、該第2のブロック2Bに設けられている連通孔32と連通し得る連通孔32が鉛直方向に設けられた平面視で正方形の筒状に形成されている。そして、前記第1のブロック1Bに設けられた各挿通孔33と位置合わせして、PC鋼棒11の挿通孔33が、周壁部37に上下方向に貫通状態に設けられている。該挿通孔33の下端部分は、前記と同様のカップラ10を収容し得るように稍拡大した拡大孔部35とされている。該第2のブロック2Bの主要部の寸法を例示すれば、該連通孔32の一辺長は前記第1のブロック1Bにおけると同様に設定されると共に、その上下高さは比較的小さく、例えば1760mm程度に設定されている。
【0038】
又前記第4のブロック4Bは、図6〜7、図12に示すように、前記第3のブロック3Bに設けられている連通孔32と連通し得る連通孔32が鉛直方向に設けられた平面視で正方形の筒状に形成されてなる、上下高さの小さい角筒部39に、前記集合住宅5の前記踊り場の床部40に接続される連絡通路部41が突設されている。そして該角筒部39の周壁部42には、前記第1のブロック1Bに設けられている挿通孔33と連通し得る挿通孔33が上下方向に貫通状態に設けられている。該第4のブロック4Bの主要部の寸法を例示すれば、該連通孔32の一辺長は前記第1のブロック1Bにおけると同様に設定されると共に、その上下高さは、例えば320mm程度に設定されている。又、該連絡通路部41の突出長さは1800mm程度に設定されている。
【0039】
又前記第5のブロック5Bは、図6〜7に示す構成を有しており、ブロック高さが前記第1のブロック1Bの高さよりも若干小さく2280mm程度に設定されている他は、該第1のブロック1Bにおけると同様に構成されており、同一構成部分には該第1のブロック1Bにおけると同一の符号が付されている。
【0040】
又前記第6のブロック6Bは、図4〜7に示すように、前記昇降路15の上端部分を形成するものであり、ブロック高さが820mmと小さく設定されると共に、挿通孔33が前記拡大孔部35を有さないことの他は、前記第3のブロック3Bにおけると同様に構成されている。
【0041】
又前記屋根ブロック9は、図4〜7、図13に示すように、前記昇降路15の上端43を塞ぐ閉蓋部44に庇部45を突設してなる、コ字状の周壁部46を除いた部分が窪んだ構成を有している。そして、該周壁部46に、前記第1のブロック1Bに設けられている挿通孔33と連通し得る挿通孔33が上下方向に貫通状態に設けられると共に、該挿通孔33の上端部分は、前記緊締材12の上端を止着する止着具47を収容するために稍拡大した拡大孔部49とされている。
【0042】
前記エレベータシャフト3は、かかる構成を有する基礎部6と第1〜6のブロック1B,2B,3B,4B,5B,6Bと屋根ブロック9とを用いて前記のように構築されるのであるが、その構造をより具体的に説明すれば図4〜5、図7に示すように、先ず、前記基礎部6上に前記第1のブロック1B(1段目のブロックB1)が、前記開放部31が1階のエレベータ出入口16を形成するように載置されると共に、その上に前記第2のブロック2B(2段目のブロックB2)が載置され、更にその上に前記第3のブロック3B(3段目のブロックB3)が載置されている。又、該第3のブロック3B上に前記第4のブロック4B(4段目のブロックB4)が、その連絡通路部41を前記2階と3階の間の踊り場19に連なるように載置されると共に、その上に前記第5のブロック5B(5段目のブロックB5)が、その開放部31が2階と3階の間のエレベータ出入口16を形成するように載置されている。又、該第5のブロック5B上に前記第4のブロック4B(6段目のブロックB6)が、その連絡通路部41を前記3階と4階の間の踊り場20に連なるように載置されると共に、その上に前記第5のブロック5B(7段目のブロックB7)が、その開放部31が3階と4階の間のエレベータ出入口16を形成するように載置されている。又、該第5のブロック5B上に前記第4のブロック4B(8段目のブロックB8)が、その連絡通路部41を前記4階と5階の間の踊り場21に連なるように載置されると共に、その上に前記第5のブロック5B(9段目のブロックB9)が、その開放部31が4階と5階の間のエレベータ出入口16を形成するように載置されている。又、該第5のブロック5B上に前記第6のブロック6B(10段目のブロックB10)が載置され、これにより、鉛直方向に連続し且つ内周面13が上下方向で面一状態の前記昇降路15が形成されている。そして、該昇降路15の上端43を塞ぐように前記屋根ブロック9が載置される。
【0043】
このようにして、前記基礎部6上に順次ブロックBが積重されるのであるが、上下のブロックBa,Bb相互間には、載置されるブロックの製造上の寸法誤差を考慮して、積重されるブロックの鉛直度とその設置高さを調整する目的で前記グラウト充填層7(例えば図11)が設けられている。又、前記PC鋼棒11は、図7に示すように、前記2段目のブロックB2の上端面51と、前記4段目のブロックB4の上端面52と、前記6段目のブロックB6の上端面53と、前記8段目のブロックB8の上端面55で若干突出し、図7、図11に示すように、該突出した上端部分56に、カップラ10を介して別のPC鋼棒11が連結されており、該カップラ10が、前記3段目のブロックB3の前記挿通孔33の拡大孔部35と、前記5段目のブロックB5の前記挿通孔33の拡大孔部35と、前記7段目のブロックB7の前記挿通孔33の拡大孔部35と、前記9段目のブロックB9の前記挿通孔33の拡大孔部35内に納められている。このようにカップラ10を介して連結されたPC鋼棒11は、前記緊締材12を構成している。
【0044】
そして図13に示すように、該緊締材12の上端部57が前記屋根ブロック9の前記挿通孔33に挿通されると共に、該緊締材12が上方に引っ張られて緊張され、且つ該緊張状態が前記止着具47で止着されている。該止着具47は、前記屋根ブロック9の挿通孔33の拡大孔部35に収容されている。緊締材12のかかる緊張によって該屋根ブロック9が下方に押圧され、積重されたブロック同士が締め付け一体化され、前記エレベータシャフト2が構築されている。
【0045】
前記高さ調整具1は、例えば前記のように積重される上下のブロックBa,Bb間に前記グラウト充填層7(図11)を設けるために用いられるものである。より具体的には、図2に示すように、グラウト充填用の充填空間59を形成するために、該上のブロックBaを該下のブロックBbに対して所要に高さ調整し、該高さ調整された状態を保持させる。
【0046】
該高さ調整具1は、本実施例においては図1〜3、図14〜15に示すように、各ブロックBの内面60に着脱可能に固定されるものであり、下のブロックBbに着脱可能に固定される下の固定部材61と、前記上のブロックBaに着脱可能に固定される上の固定部材62と、該上下の固定部材62,61に対して着脱可能の調整ボルト63と、該調整ボルト63の上側雄ネジ部65の上下に螺合される上下のナット部材66,67と、該調整ボルト63の下側雄ネジ部69の上下に螺合される上下のナット部材70,71とを具えている。
【0047】
前記下の固定部材61は、図1〜3、図14〜15に示すように、前記下のブロックBbの内面60の上端側の部分60aに当接状態に固定される横長矩形板状の下の垂直固定片72の上端に、ブロック内方に向けて水平状態に突出する下の水平片73が屈曲形成されてなるアングル状部75の、該下の垂直固定片72の上端で、ガイド片76が上方に突設されている。
【0048】
前記下の垂直固定片72の左右両側には、図14〜15に示すように、前記下のブロックBbの内面60に設けられたインサート77,77に螺合せしめられる固定ボルト(直径は例えば16mm)79,79を挿通させるためのボルト挿通孔80,80が設けられている。又、前記下の水平片73の左右方向の中央部分には、前記調整ボルト63の下側部分を横方向に着脱可能に嵌入させるための欠切部81が、該下の水平片73の先端82で開放して基端側に延びるように設けられており、該欠切部81の奥端は、前記調整ボルト63の外周面形状に沿う円弧状縁83として形成されている。又、前記下の水平片73の上面74の、前記欠切部81の両側で且つ該下の水平片73の先端82寄り部位に位置させて、前記上のナット部材70の先端部分84と図3に示すように当接状態に係合し得る規制係合部86,86が、突片87,87を溶接して形成されている。
【0049】
又前記ガイド片76は、図1〜2、図14に示すように、上方に突出する垂直ガイド片部89の上端に、外方(本実施例においてはブロック内方)に向けて上方に傾斜する傾斜ガイド片部90を連設してなり、該垂直ガイド片部89の内面が垂直ガイド面91とされると共に、該傾斜ガイド片部90の内面が傾斜ガイド面92とされている。該傾斜ガイド面92及び該垂直ガイド面91は、後述するように、上のブロックBaの内側の縁部93をガイドするものであり、該垂直ガイド面91と前記下の垂直固定片72の内面95は面一状態を呈している。
【0050】
そして本実施例においては、図14〜15に示すように、前記下の水平片73の下面96の両側に、該下面96と前記下の垂直固定片72の外面97側とを連結するように三角形板状の補強片99,99が設けられると共に、前記欠切部81の両側で、前記下の水平片73の下面96と前記下の垂直固定片72の外面97とを連結するように矩形板状の補強片100,100が設けられている。又、前記ガイド片76の外面101と前記下の水平片73の上面74とがなす入隅部分において、該外面101と該上面74とを連結するように三角形板状の補強片103,103が設けられている。
【0051】
かかる構成を有する下の固定部材61の主要部の寸法を例示すれば、前記アングル状部75の肉厚は10mm程度に設定されると共にその左右幅は120mm程度に設定され、前記ガイド片76の肉厚は9mm程度に設定され、又、前記欠切部81の溝幅は23mm程度に設定されている。
【0052】
又前記上の固定部材62は、図1〜2、14に示すように、前記上のブロックBaの内面60の下端側の部分60bに当接状態に固定される横長矩形板状の上の垂直固定片105の下端に、ブロック内方に向けて水平状態に突出する上の水平片106が屈曲形成されてなるアングル状部104を有し、前記上の垂直固定片105の左右両側には、図14に示すように、前記上のブロックBaの内面60に設けられたインサート77,77に螺合せしめられる固定ボルト79,79(直径は例えば16mm)を挿通せるためのボルト挿通孔80,80が設けられている。又、前記上の水平片106の左右方向の中央部分には、前記調整ボルト63の上側部分を横方向に着脱可能に嵌入させるための欠切部109が、該上の水平片106の先端107で開放して基端側に延びるように設けられており、該欠切部109の奥端は、前記調整ボルト63の外周面形状に沿うように円弧状縁108として形成されている。又、前記上の水平片106の上面110の、前記欠切部109の両側で且つ該上の水平片106の先端寄り部位に位置させて、前記上のナット部材66の先端部分111と図3に示すように当接状態に係合し得る規制係合部112,112が、突片113,113を溶接して形成されている。
【0053】
そして本実施例においては、前記上の水平片106の上面110の両側に、該上面110と前記上の垂直固定片105の外面116とを連結するように三角形板状の補強片117,117が設けられると共に、前記欠切部109の両側で、前記上の水平片106の上面110と前記上の垂直固定片105の外面116とを連結するように矩形板状の補強片119,119が設けられている。
【0054】
かかる構成を有する上の固定部材62の主要部の寸法を例示すれば、前記アングル状部104の肉厚は10mm程度に設定されると共にその左右幅は120mm程度に設定され、又、前記欠切部109の溝幅は23mm程度に設定されている。
【0055】
前記調整ボルト63は、図1〜3、図14に示すように、前記上側雄ネジ部65と前記下側雄ネジ部69を上下に有する両切りボルトとして構成されており、例えば外径が20mmであって、前記上下の切欠部109,81の溝幅よりも若干小さい。かかる構成を有する調整ボルト63の前記上側雄ネジ部65には、前記上の水平片106の前記欠切部109の縁部分120(図3)を上下から締め付け状態で挾持する上下のナット部材66,67が螺合される一方、該調整ボルト63の前記下側雄ネジ部69には、前記下の水平片73の前記欠切部81の縁部分121(図3)を上下から締め付け状態で挾持する前記上下のナット部材70,71が螺合されている。調整ボルト63として両切りボルトを用いる本実施例においては、その上側雄ネジ部65及び下側雄ネジ部69に対する上下のナット部材66,67、70,71の螺合が、後述のボルト頭部171を具える調整ボルト63を用いる場合に比して容易である。
【0056】
前記上下のナット部材66,67、70,71は同様の構成を有しており、図1〜3、図14に示すように、前記調整ボルト63に螺合されるナット本体114と、円環状を呈して比較的薄肉に形成された既製品の第1の座金123と、6mm程度の比較的厚肉に形成された例えば正方形板状を呈する第2の座金125とから構成されている。該第1の座金123は前記ナット本体114を締め付ける際の滑りを良好にするためのものであり、又前記第2の座金125は、前記欠切部109,81の縁部分120,121を覆うように配置されて、ナット本体114による締め付け荷重を前記上下の水平片106,73に分散状態に伝達させるためのものである。
【0057】
そして、図3に示すように、前記上側雄ネジ部65に螺合する上のナット部材66を構成する第2の座金125の先端部分111が、前記上の水平片106の上面110に突設された規制係合部112,112と当接状態に係合することによって、前記上側雄ネジ部65が前記欠切部109の開放端122側に向けて移動するのが確実に阻止される。又、前記下側雄ネジ部69に螺合する上のナット部材70を構成する第2の座金125の先端部分84が、前記下の水平片73の上面74に突設された規制係合部86,86と当接状態に係合することによって、前記下側雄ネジ部69が前記欠切部81の開放端118側に向けて移動するのが確実に阻止される。
【0058】
かかる構成の高さ調整具1を用いて、上下のブロックBa,Bb間に所要間隙Gを設けて該上のブロックBaを該下のブロックBbに対して高さ調整し、該高さ調整された状態を保持させる作業工程を、前記エレベータシャフト3の最下端に位置する前記第1のブロック1B上に前記第2のブロック2Bを積重する場合を例にとって説明する。
【0059】
そのために、先ず図16〜17に示すように、前記基礎部6上に所要に設置された前記第1のブロック1B(1段目のブロックB1)の内面60の上端側の部分60aに前記下の固定部材61が固定された状態とする。又、前記第1のブロック1Bの、平面視でコ字形を呈する上端面128の縁部に沿って環状に、弾性止水材124の下面126を貼着状態としておく。
【0060】
該弾性止水材124としては例えば図17に示すような、一辺長が20mmの正方形断面を呈するスポンジ状の弾性止水材(例えばEPDM)を用いることができ、該弾性止水材124が5〜13mmの範囲で圧縮状態とされることにより、後述の如く形成された充填空間59(図2)にグラウトが注入された際に加わる注入圧力でグラウトが漏れることのない止水性を発揮するものである。
【0061】
前記下の固定部材61は、本実施例においては図18に示すように、前記左右の側壁部27,27の内面60の上端側の部分60aの、前記開放部31寄り部位と、前記後壁部30の内面60の両端側に位置させて、何れもハンチ129,129,129,129の縁部130から稍退いた部位で固定される。その固定のために、前記内面60に、図14に示す如く、前記下の垂直固定片72の両側に設けられているボルト挿通孔80,80を挿通する固定ボルト79,79を螺合させるためのインサート77,77が埋設されている。然して、該両ボルト挿通孔80,80に固定ボルト79,79を挿通しこれを該インサート77,77に螺合し締め付けることにより、図2に示すように、前記下の水平片73が前記内面60から水平状態に突出し、且つ、前記ガイド片76が、図17に示すように、前記第1のブロック1Bの上端面128から上方に突出状態となる。
【0062】
前記弾性止水材124は、前記第1のブロック1Bを前記基礎部6に据え付けるに先立って上端面128に貼着しておいてもよく、該第1のブロック1Bを据え付けた後に該上端面128に貼着してもよい。又、前記下の固定部材61は、第1のブロック1Bを据え付けるに先立って該第1のブロックの内面60に固定しておいてもよく、或いは該第1のブロック1Bを据え付けた後に該内面60に固定してもよい。要するに、第2のブロック2Bを設置するに先立って、弾性止水材124や下の固定部材61の、前記第1のブロック1Bに対する固定が完了しておればよい。
【0063】
なお前記第1のブロック1Bは、図8〜9に示すように、前記基礎部6の上端面23で突出状態とされたPC鋼棒11の14本を対応の挿通孔33に挿通させた状態で吊り下ろされ、鉛直度が確保され且つ高さが調整された状態で該基礎部6に固定されており、図16〜17に示すように、前記PC鋼棒11の夫々の上端側が前記第1のブロック1Bの上端面128で上方に突出状態とされる。これにより、環状の弾性止水材124が形成する空間部108でPC鋼棒11が介在した状態となる。このように第1のブロック1Bを据え付けた後、その内部空間131で足場を組み立てる。
【0064】
その後、図19〜20に示すように、前記第2のブロック2Bを、PC鋼棒11の前記突出部分132が対応の挿通孔33に挿通するように位置合わせして吊り下ろし、図21に示すように、前記弾性止水材124上に載置する。
【0065】
然る後、前記上の固定部材62の前記上の垂直固定片105を、そのボルト挿通孔80,80に固定ボルト79,79を挿通し、これを該第2のブロック2Bの内面60の下端側の部分60bに埋設されているインサート77,77に螺合し締め付ける。なお該第2のブロック2Bに埋設されたインサート77,77は、図14に示すと同様に、前記第1のブロック1Bに埋設されたインサート77,77の配置に合わせて該インサート77,77の直上で前記内面60に埋設されている。これにより、前記上の水平片106が前記第2のブロック2Bの内面60から水平に突出した状態となる。そして該上下の水平片106,73は、図1に示すと同様に、第2のブロック2B(上のブロックBa)を前記弾性止水材124を介して第1のブロック1B(下のブロックBb)上に据え付けた状態で上下対向状態となり、前記上下の欠切部109,81が上下対向状態となる。
【0066】
第2のブロック2Bに対する前記上の固定部材62の固定は、前記第2のブロック2Bを前記弾性止水材124上に載置するに先立って上の垂直固定片105を第2のブロック2Bの内面60に固定して行ってもよく、或いは、該第2のブロック2Bを弾性止水材124上に載置した後に前記上の垂直固定片105を前記内面60に固定して行ってもよい。本実施例においては、第2のブロック2Bを前記弾性止水材124上に載置した後に、前記上の固定部材62を該第2のブロック2Bの内面60に固定することとしている。
【0067】
図19〜20は、第2のブロック2Bを、据え付けられた前記第1のブロック1Bの上側で吊り下ろす際におけるガイド片76のガイド作用を説明するものであり、第1のブロック1Bの上端の四隅で上方に突出状態にある前記ガイド片76,76,76,76の外側で形成された空間(図16、図18〜20)にブロック下端部分135が納まるように前記第2のブロック2Bを吊り下ろす。この吊り下ろしの際、図19〜20に示すように、前記左右の側壁部27,27に設けられているガイド片76a,76aの前記傾斜ガイド面92,92に第2のブロック2Bの対向側壁部136,136の内側の縁部93,93が適宜ガイドされ、且つ前記垂直ガイド面91,91にガイドされて、第2のブロック2Bが下降する。これにより、該第2のブロック2Bの水平面内における位置が所要に設定されることになる。
【0068】
なお、前記後壁部30の上端で突出しているガイド片76b,76bによって上のブロック2Bの内側の縁部93をガイドさせるためには、図19に矢印で示すように、前記第2のブロック2Bの前の側壁部94を、その内側から前方に向けて押圧しながら、後の側壁部30の内側の縁部93を前記左右のガイド片76,76の前記垂直ガイド面91,91に当接させつつ第2のブロック2Bを吊り下ろす。
【0069】
このような作業工程を経ることによって、第2のブロック2Bの鉛直度と、該第2のブロック2Bの前記第1のブロック1Bに対する高さが、概略設定されることになる。そしてこの状態で、上下の水平片106,73が対向し、上下の欠切部109,81が対向状態となる。
【0070】
この状態で図1、図21に示すように、上側雄ネジ部65の上下に所要間隔を置いて上下のナット部材66,67が螺合されると共に前記下側雄ネジ部69の上下に所要間隔を置いて上下のナット部材70,71が螺合されてなる前記調整ボルト63を、該上下の欠切部109,81に横方向に嵌入させる。この嵌入工程を具体的に説明すれば、該上側雄ネジ部65に螺合されている該上下のナット部材66,67間(本実施例においては、前記上下の第2の座金125,125間)65aと、前記下側雄ネジ部69に螺合されている前記上下のナット部材70,71間(本実施例においては前記上下の第2の座金125,125間)69aに、前記上下の欠切部109,81が介在し得るように、該上下の第2の座金125,125間に存する上側雄ネジ部65aを前記上の欠切部109の開放端122(図1)に位置合わせすると共に、前記上下の第2の座金125,125間に存する前記下側雄ネジ部69aを前記下の欠切部81の開放端118(図1)に位置合わせする。この状態で、図21に示すように、該調整ボルト63を上下の欠切部109,81に横方向に嵌入させる。この際、図3に示すように、前記第2の座金125の外端部分111,84が前記両側の規制係合部112,86に当接した状態とする。
【0071】
その後、図22に示すように、前記下側雄ネジ部69に螺合されている上下のナット部材70,71を締め付けて前記下の水平片73を挾持状態とする。これにより前記調整ボルト63は、ボルト下端部分139が前記下の水平片73に固定されて垂直立設状態となる。
【0072】
然る後、前記上側雄ネジ部65に螺合されている上下のナット部材66,67を螺合操作することにより、前記上の固定部材62を介し、上下のブロックBa,Bb間に所要間隙G(図2)を設けて、前記上のブロックBaの高さ調整を行うことができる。本実施例においては、ブロックの四隅において高さ調整具1,1,1,1が配設されているため、夫々の高さ調整具1の前記上側雄ネジ部65の上下のナット部材66,67を、上のナット部材66を下方に向けて螺合操作することによって、或いは、下のナット部材67を上方に向けて螺合操作することによって、前記2段目のブロックB2の鉛直度を確保できると共に、該2段目のブロックB2を1段目のブロックB1に対して所要に高さ調整できる。
【0073】
この高さ調整についてより詳しく説明すれば、図23−1に示すように、前記下のナット部材67を緩めた状態で前記上のナット部材66を下方向に螺合することにより、該2段目のブロックB2が載置されて弾性圧縮状態にある前記弾性止水材124を更に弾性圧縮させることができる。逆に、図23−2に示すように、前記上のナット部材66を緩めた状態で前記下のナット部材67を上方向に螺合することにより、前記2段目のブロックB2を持ち上げることができ、前記弾性止水材124は、それに応じた分だけ弾性復元し得る。上下のナット部材66,67のかかる螺合操作によって、2段目のブロックB2の鉛直度と高さを微調整できるのである。
【0074】
ブロックの4箇所における高さ調整は、ブロックの製造誤差や重量の偏り等によって、各部が同じように行われるとは限らず、一部又は全ての高さ調整具において所要の高さ調整を行い、全体として、載置した2段目のブロックB2の鉛直度と高さを微調整する。例えば、20mmの弾性止水材124が、2段目のブロックB2の設置によって15mmに圧縮された場合、これを更に3mm圧縮させる場合とか、該弾性止水材124が部分的に8mmに圧縮されたとき、これを2mm持ち上げる場合がある。
【0075】
そして、自由状態にあった弾性止水材124の上下の肉厚20mmが、5〜13mmの範囲で圧縮状態とされることにより所要の止水効果(グラウト漏れを防止できる止水効果)が得られる。このように高さ調整された状態で、1段目のブロックB1と2段目のブロックB2の接合部分140(図2)に、弾性止水材124によって囲まれた、液状充填材の前記充填空間59が形成されることになる。
【0076】
このように調整した状態で、図2に示すように、前記上側雄ネジ部65の上下のナット部材66,67を締め付けて前記上の水平片106を挾持状態とする。この状態で、図3に示すように、上下の第2の座金125,125の先端部分111,84が、上下の水平片106,73の上面110,74に突設されている前記両側の規制係合部112,112、86,86に当接状態に係合しているため、前記上下のナット部材66,67を締め付けた高さ調整状態で、前記調整ボルト63が前記上下の欠切部109,81の開放端122,118に向けて移動するのが阻止され、従って、前記高さ調整状態が確実に保持されることになる。
【0077】
このようにして2段目のブロックB2を設置して後、該2段目のブロックB2の上端高さに合わせて前記足場を上方向に延長する。
【0078】
その後、図10に示すように、前記2段目のブロックB2上に前記第3のブロック3Bからなる3段目のブロックB3を据え付けるのであるが、その据え付け要領は前記と同様である。より具体的に説明すれば、図11に示すと同様に、該2段目のブロックB2の上端面51から突出したPC鋼棒の夫々の上端部分56に、前記カップラ10を介して別のPC鋼棒11を、上方に突出するように連結する。併せて、前記上端面51の内外の縁部分で周方向に、前記と同様構成の弾性止水材124,124をその下面126で貼着する。これにより、図25(A)に示すように、前記PC鋼棒11を間に介在させた空間部108が該内外の弾性止水材124,124によって形成される。
【0079】
そして、前記下の固定部材61を、図10、図24に示すように、前記2段目のブロックB2の内面60の上端側の部分60aの、左右の側壁部142,142の内面60の前端寄りと、後の壁部143の内面60の両端側において、何れもハンチ129,129,129,129の縁部130から稍退いた部位でボルト固定する。このボルト固定は、図25(A)に示すように、前記下の垂直固定片72を固定ボルト79,79で固定して行う。これにより、図25(A)に示すように、前記下の水平片73が前記内面60から水平状態に突出し、前記ガイド片76が、前記2段目のブロックB2の上端面51から上方に突出状態となる。
【0080】
その後、前記第3のブロック3B(3段目のブロックB3)を、前記PC鋼棒11の夫々を対応の挿通孔33に挿通させた状態で、前記弾性止水材124上に吊り下ろす。この吊り下ろしの際、前記下の固定部材61が有する前記ガイド片76,76,76,76が、3段目のブロックB3の内側の縁部93をガイドする。この吊り下ろしの際、後の側壁部143に突設されているガイド片76,76の垂直ガイド面91,91に3段目のブロックB3の内側の縁部93が当接するように、該第3のブロック3Bの前の側壁部149(図6、図25(B))を、図25(B)に矢印で示すように、内側から外方に向けて押圧する。これによって、該3段目のブロックB3の水平面内における位置が所要に設定されることになる。
【0081】
このようにして第3のブロック3B(3段目のブロックB3)を前記弾性止水材124上に載置した後、図25(B)に示すように、前記と同様の要領で、前記上の固定部材62を該3段目のブロックB3の内面60にボルト固定する。その後、図21に示すと同様にして、前記調整ボルト63の上側雄ネジ部65と下側雄ネジ部69を前記上下の欠切部109,81に横方向に嵌入させ、前記下側雄ネジ部69に螺合されている上下のナット部材70,71を締め付けて前記下の水平片73を挾持状態とする。その後、前記と同様にして、上側雄ネジ部65に螺合されている上下のナット部材66,67を所要に螺合操作することによって、上の固定部材62を介して前記3段目のブロックB3の高さ調整を行うと共に、該高さ調整された状態で前記弾性止水材124を、止水を確保できる所要の圧縮状態とする。各高さ調整具1をこのように高さ調整することにより、3段目のブロックB3の鉛直度を確保できると共に、該3段目のブロックB3を2段目のブロックB2に対して所要に高さ調整できる。
【0082】
前記上下の固定部材61,62の固定作業や高さ調整作業は、前記足場を利用してブロックの内部空間で行うことができる。このようにして3段目のブロックB3を調整した後、該3段目のブロックB3の上端高さに略合わせて足場を上方向に延長する。
【0083】
このようにして3段目のブロックB3を弾性止水材124上に載置した状態で、図10に示すように、前記連結されたPC鋼棒11の上端部分150が、該3段目のブロックB3の上端面151から上方に突出状態となる。
【0084】
その後、3段目のブロックB3の内面60に、図12に示すように、前記と同様の要領で、下の固定部材61がボルト固定される。その後、前記第4のブロック4B(4段目のブロックB4)を、前記PC鋼棒11の夫々の対応の挿通孔33に挿通させた状態で吊り下ろし、前記と同様にして、3段目のブロックB3の上面151の内外の縁部分に周設された弾性止水材124上に吊り下ろす。この吊り下ろしの際に、前記ガイド片76のガイド作用によって、該4段目のブロックB4の水平面内における位置が所要に設定されることになる。
【0085】
このように4段目のブロックB4を載置した状態で、図12に示すように、前記PC鋼棒11の上端部分153が前記4段目のブロックB4の上端面52の稍上方に突出状態となるので、この上端部分153に、カップラ10を介して、図7に示すように新たなPC鋼棒11を連結する。その後、図12に示すように、前記上の固定部材62を、前記4段目のブロックB4の角筒部の内面60に前記と同様にして固定する。その後、図21に示すと同様にして、前記調整ボルト63の上側雄ネジ部65と下側雄ネジ部69を、前記上下の水平片106,73に設けられている上下の欠切部109,81に横方向に嵌入させ、図22に示すと同様にして、該調整ボルト63の下端部分139を前記下の水平片73に固定状態とする。然る後、前記上側雄ネジ部65に螺合されている上下のナット部材66,67を図23〜24に示すと同様に螺合操作することにより、4段目のブロックB4の高さ調整を行い、4個の高さ調整具1,1,1,1の高さ調整作用によって、4段目のブロックB4の鉛直度を確保すると共に、該4段目のブロックB4を前記3段目のブロックB3に対して所要に高さ調整する。この状態で、3段目のブロックB3と4段目のブロックB4との接合部分に、図2に示すと同様にして、弾性止水材124によって囲まれた、液状充填材の前記充填空間59が形成されることになる。
【0086】
その後、図7に示すように、カップラ10でPC鋼棒11,11相互を順次連結しながら、前記と同様にして、順次、第5のブロック5B(5段目のブロックB5)、第4のブロック4B(6段目のブロックB6)、第5のブロック5B(7段目のブロックB7)、第4のブロック4B(8段目のブロックB8)、第5のブロック5B(9段目のブロックB9)、第6のブロック6B(10段目のブロックB10)を、相互間に弾性止水材124を介在させ且つ高さ調整具1による高さ調整を行いながら積重していく。そして、該ブロックの積み上げに合わせて足場も上方に延長していく。
【0087】
然る後、図7、図13に示すように、最上段に位置する前記10段目のブロックB10の上端に前記屋根ブロック9を据え付ける。その際、該10段目のブロックB10の上端面159で突出するPC鋼棒の突出部分160の夫々を、前記屋根ブロック9に設けられている対応の挿通孔33に挿通させる。そして、10段目のブロック(最上段のブロック)B10と屋根ブロック9とは、例えば、アングル状固定片を用いて接合される。
【0088】
このようにしてブロック積重を完了した後、図26に示すように、前記夫々の充填空間59にグラウト162a等の液状充填材162を充填するのであるが、その充填は例えば次のようにして行う。前記充填空間59に、高さ調整具1が存在しない部分で、グラウト注入孔163と空気抜き孔とを設け、図26に示すように、該グラウト注入孔163からグラウト注入ホース165を介して、前記充填空間59にグラウト162aを注入する。その際、前記のように弾性圧縮状態にある前記弾性止水材124が、充填されるグラウト162aの漏れを防止し得る止水性を発揮する。そして、前記空気抜き孔から排気されて充填空間59にグラウト162aが円滑に注入され、前記空気抜き孔からのグラウト材の流出によって、充填空間59にグラウトが充填されたことを確認できる。
【0089】
充填空間59の夫々にこのようにしてグラウト162aを充填し、充填完了後、該グラウト注入孔163及び空気抜き孔を詰め栓等で閉じ、該充填されたグラウトを養生硬化させる。硬化したグラウトは前記グラウト充填層7(図8、図7)を構成し、その上に位置するブロックの荷重を安定的に支持できる。このようにグラウトが硬化した後、図13に示すように、前記屋根ブロック9に設けられている挿通孔33の前記拡大孔部49の底面で突出状態にある緊締材12の上端部分169に支持プレート170を嵌めると共に、該上端部分169を上方に引っ張って所要の緊張状態とし、且つ該緊張状態を前記止着具47で止着し、該止着具47を前記拡大孔部49に収容させる。これらにより、鉛直度と水平度が正しく確保された状態でブロック相互が強固に連結一体化され、エレベータの出入口16が所定高さ位置に正しく形成された前記エレベータシャフト2を構築できることになる。なお、止着具47を収容した後に前記拡大孔部49にモルタル168を充填する。
【0090】
然る後、前記上側雄ネジ部65に螺合されている上下のナット部材66,67と、前記下側雄ネジ部69に螺合されている上下のナット部材70,71を緩めると共に、前記第2の座金125と前記規制係合部112,86との係合状態を解除する。その後、該調整ボルト63を横移動させて該調整ボルト63を前記上下の水平片106,73から取り外すと共に、前記上下の固定部材62,61を、前記固定ボルト79を除去することによって上下のブロックBa,Bbから取り外す。このように高さ調整具1を取り外すために、前記昇降路15の有効断面を狭める問題を生じさせない。そして、このように取り外した上下の固定部材62,61と調整ボルト63は、別の施工現場で再利用できる。又、このように上下の固定部材62,61を取り外すと、取り外した跡にインサートの開口が生ずるが、本実施例においては、上下の固定部材61,62を上下のブロックBa,Bbの内面60,60に固定することとしているため、図27に示すように上下のブロックBa,Bbの外面167,167に固定する場合とは異なり、上下の固定部材61,62を取り外した後にブロックに残るインサート77の孔部によってエレベータシャフトの外観が損なわれる恐れがない。
【0091】
そして本実施例においては、前記のようにブロックの内部空間で足場を設置するため、足場の組み立て作業を簡易化し得ると共に、高さ調整具1をブロックBの内面60に取り付ける等の作業に際して作業者の移動距離を少なくでき能率的に施工できることとなる。しかも、足場に乗った作業者は、全ての高さ調整具の装着状態を目視で容易に確認できるため、確実且つ安全な施工が可能となる。
【0092】
もしも、高さ調整具1を図27に示すように、ブロックBの外面167に固定することとすれば、ブロックを取り囲むように足場を設ける必要があるために足場が大掛かりになって施工コストの上昇を招くばかりでなく、作業者が足場を周方向に移動しなければならないことから作業上の移動距離も大きくなって作業能率が悪い。又、必要な箇所に高さ調整具が取り付けられているか否かを確認しにくくなる不利益もある。又、ブロックの外面に高さ調整具1を設ける場合は、吊り下ろすブロックの外側の縁部166(図27)が前記ガイド片76の前記傾斜ガイド面92や前記垂直ガイド面91にガイドされることになるが、この際、ブロックの外面に塗装が施してある場合は、その塗装がガイド片76に擦られて損傷されることにより、エレベータシャフトの外観が損なわれることになる。又、上下の固定部材61,62を取り外した後に残るインサートの孔部は適宜モルタルで埋めることになるが、モルタル埋設部がエレベータシャフトの外観を損なうことになる。かかることから、エレベーターシャフトを構築する場合は、ブロックの外面に高さ調整具1を固定することは好ましくないと言える。
【0093】
前記緊締材による緊結は、前記高さ調整具1を取り外した後に行ってもよいのであるが、緊結の安定性向上の面からは取り外す前に行うのが好ましい。
【0094】
前記上のブロックの高さ調整に際しては、前記とは逆に、図28〜29に示すように、前記上側雄ネジ部65の上下のナット部材66,67を締め付けて前記上の水平片106を挾持状態として後、前記下側雄ネジ部69の上下のナット部材70,71を螺合操作することによって、前記上の固定部材62を介して前記上のブロックBaの高さ調整を行うこともできる。より具体的には、図28に示すように、前記下側雄ネジ部69に螺合されている上のナット部材70を緩めた状態で前記下のナット部材71を上方向に螺合させれば、前記弾性止水材124を稍圧縮状態にしながら該上のブロックBaを下方向に移動させることができる。逆に図29に示すように、下のナット部材71を緩めた状態で前記上のナット部材70を下方向に螺合されることにより、前記弾性止水材124を弾性復元させながら前記上のブロックBaを上方向に移動させる微調整を行うことができる。
【実施例2】
【0095】
図30〜31は、前記調整ボルト63を、下端にボルト頭部171が設けられた頭付きのボルトとして構成した場合を示すものであり、上下の固定部材62,61の構成は前記と同様である。
【0096】
本実施例においては、該調整ボルト63の下側雄ネジ部69に、前記ボルト頭部171と協働して前記下の固定部材61の下の水平片73を締め付け状態に挾持するナット部材172が螺合される一方、前記調整ボルト63の上側雄ネジ部65には、前記上の固定部材62に設けられている上の水平片106を上下から締め付け状態で挾持する上下のナット部材66,67が螺合されている。なお本実施例においても前記と同様、該ナット部材172,66、67は、前記調整ボルト63に螺合されるナット本体114と、円環状を呈して比較的薄肉に形成された既製品の第1の座金123と、6mm程度の比較的厚肉に形成された例えば正方形板状を呈する第2の座金125とから構成されている。又前記ボルト頭部171は、ボルト頭173と、前記と同様構成の第1の座金123と第2の座金125とからなる。
【0097】
かかる構成を有する高さ調整具1を用いて、例えば図30に示すように、前記上下のブロックBa,Bb間に所要間隙Gを設けて該上のブロックBaを該下のブロックBbに対して所要に高さ調整し、該高さ調整された状態を保持させるに際しては、前記上のブロックBaを図20に示したと同様の要領によって前記ガイド片76にガイドさせつつ吊り下ろして、前記下のブロックBbの上端に設けられた前記弾性止水材124上に載置する。その後図31に示すように、上側雄ネジ部65の上下に所要間隔を置いて前記上下のナット部材66,67が螺合されると共に下側雄ネジ部69に前記ナット部材172が螺合されてなる前記調整ボルト63を、該上側雄ネジ部65に螺合されている上下のナット部材66,67間(前記上下の第2の座金125,125間)65aと、前記下側雄ネジ部69に螺合されている前記ナット部材172と前記ボルト頭部171との間(前記上下の第2の座金125,125間との間)69aに、前記上下の水平片106,73に設けられている上下の欠切部109,81が介在するように、該上下の欠切部109,81に横方向に嵌入させ、前記下側雄ネジ部69のナット部材172を締め付けて該ナット部材172と前記ボルト頭部171との間で前記下の水平片73を挾持状態とする。これにより調整ボルト63は、その下端部分139が該下の水平片73に固定されて垂直立設状態となる。その後、前記上側雄ネジ部65の上下のナット部材66,67を螺合操作することによって、前記上の固定部材62を介して前記上のブロックBaの所要の高さ調整を行うと共に、該高さ調整された状態で前記弾性止水材124を、止水を確保できる所要の圧縮状態とし、この状態で、図30に示すように、前記上側雄ネジ部65の前記上下のナット部材66,67を締め付けて前記上の水平片106を挾持状態とする。かかる上のブロックBaの高さ調整の要領は、実施例1における場合と同様であるため、その具体的な説明は省略する。
【0098】
その後、該弾性止水材124によって囲まれた充填空間59に、グラウト等の液状充填材を充填し、該液状充填材が硬化した後に、前記と同様にして、緊締材12でブロック相互を強固に連結一体化する。然る後、前記上側雄ネジ部65の上下のナット部材66,67と前記下側雄ネジ部69のナット部材172を緩めて前記調整ボルト63を外方に向けて横移動させることにより該調整ボルト63を前記上下の水平片106,73から取り外すと共に、前記上下の固定部材62,61を上下のブロックBba,Bbから取り外す。
【実施例3】
【0099】
図32〜33は、本発明に係る高さ調整具1のその他の実施例を示すものであり、調整ボルト63を、上端にボルト頭部171が設けられた頭付きのボルトとして構成した場合を示すものであり、上下の固定部材62,61の構成は前記と同様である。
【0100】
本実施例においては、該調整ボルト63の上側雄ネジ部65に、前記ボルト頭部171と協働して前記上の固定部材62に設けられている上の水平片106を締め付け状態に挾持するナット部材175が螺合される一方、前記調整ボルト63の下側雄ネジ部69には、前記下の固定部材61に設けられている下の水平片73を上下から締め付け状態で挾持する上下のナット部材70,71が螺合されている。なお本実施例においても前記と同様、該ナット部材175,70,71は、前記調整ボルト63に螺合されるナット本体114と、円環状を呈して比較的薄肉に形成された既製品の第1の座金123と、6mm程度の比較的厚肉に形成された例えば正方形板状を呈する第2の座金125とから構成されている。又前記ボルト頭部171は、ボルト頭173と、前記と同様構成の第1の座金123と第2の座金125とからなる。
【0101】
かかる構成を有する高さ調整具1を用いて、例えば図32に示すように、前記上下のブロックBa,Bb間に所要間隙Gを設けて該上のブロックBaを該下のブロックBbに対して所要に高さ調整し、該高さ調整された状態を保持させるに際しては、先ず図33に示すように、前記上のブロックBaを図20に示したと同様の要領によって前記ガイド片76にガイドさせつつ吊り下ろして、前記下のブロックBbの上端に設けられた前記弾性止水材124上に載置する。
【0102】
その後図33に示すように、下側雄ネジ部69の上下に所要間隔を置いて前記上下のナット部材70,71が螺合されると共に上側雄ネジ部65に前記ナット部材175が螺合されてなる前記調整ボルト63を、前記上側雄ネジ部65に螺合されている前記ナット部材175と前記ボルト頭部171との間(前記上下の第2の座金125,125間との間)65aと、前記下側雄ネジ部69に螺合されている上下のナット部材70,71間(前記上下の第2の座金125,125間)69aに、前記上下の水平片106,73に設けられている上下の欠切部109,81が介在するように、該上下の欠切部109,81に横方向に嵌入させ、前記上側雄ネジ部65のナット部材175を締め付けて該ナット部材175と前記ボルト頭部171との間で前記上の水平片106を挾持状態とする。
【0103】
これにより調整ボルト63は、その上端部分176が該上の水平片106に固定されて垂下状態となる。その後、前記下側雄ネジ部69の上下のナット部材70,71を螺合操作することによって、前記上の固定部材62を介して前記上のブロックBaの所要の高さ調整を行うと共に、該高さ調整された状態で前記弾性止水材124を、止水を確保できる所要の圧縮状態とし、この状態で、図32に示すように、前記下側雄ネジ部69の前記上下のナット部材70,71を締め付けて前記下の水平片73を挾持状態とする。かかる上のブロックBaの高さ調整の要領は、実施例1における場合と同様であるため、その具体的な説明は省略する。
【0104】
その後、該弾性止水材124によって囲まれた充填空間59に、グラウト等の液状充填材を充填し、該液状充填材が硬化した後に、前記と同様にして、緊締材12でブロック相互を強固に連結一体化し、然る後、前記上側雄ネジ部65の前記ナット部材175と前記下側雄ネジ部69の上下のナット部材70,71を緩めて前記調整ボルト63を外方に向けて横移動させることによって該調整ボルト63を前記上下の水平片106,73から取り外すと共に、前記上下の固定部材62,61を上下のブロックBba,Bbから取り外す。
【実施例4】
【0105】
図34〜36は、本発明に係る高さ調整具1のその他の実施例を示すものであり、実施例1と比較した場合、上下の固定部材62,61の構成が異なるが、調整ボルト63として両切りボルトを用い、該両切りボルトの上側雄ネジ部65に上下のナット部材66,67が螺合され、その下側雄ネジ部69に上下のナット部材70,71が螺合されている点は前記と同様である。
【0106】
該下の固定部材61は、下のブロックBbの内面60の上端側の部分60aに埋設されたインサート177に螺合されるネジ軸部179の外端部に、水平状態に突出する比較的幅狭の矩形板状の下の水平片73が設けられ、該下の水平片73には、先端で開放して基端側に延びる欠切部81が設けられており、該欠切部81の両側をなす突出部分180,180の上面181,181に、突部からなる規制係合部86,86が設けられている。
【0107】
又前記上の固定部材62は前記下の固定部材61と同様の構成を有しており、前記上のブロックBaの内面60の下端側の部分60bに埋設されたインサート182に螺合されるネジ軸部183の外端部に、水平状態に突出する比較的幅狭の矩形板状の上の水平片106が設けられ、該上の水平片106には、先端で開放して基端側に延びる欠切部109が設けられており、該欠切部109の両側をなす突出部分185,185の上面186,186に、突部からなる規制係合部112,112が設けられている。
【0108】
かかる構成を有する上下の固定部材62,61は、そのネジ軸部183,179が前記上下のインサート182,177に所要長さ螺合され、上下の欠切部109,81が上下対向状態となるように、即ち、上下の欠切部109,81の軸線が上下方向を向くように位置決めされる。本実施例においては該位置決め状態を固定するために、該ネジ軸部183,179を螺合した後に、該ネジ軸部183,179に座金187を介して予め螺合しておいた固定ナット189,189を締め付ける。なお本実施例においては、上のブロックBaを下のブロックBbに向けて吊り下ろす際に該上のブロックBaの縁部93をガイドするガイド片76が前記下の固定部材61に設けられる。該ガイド片76は、例えば図34に示すように、上下方向に長い長片状に形成されると共に、垂直ガイド片部184の上端に、外方に向けて上方に傾斜する傾斜ガイド片部190が連設されている。そして、該垂直ガイド片部184の下端部分191に、前記下の固定部材61のネジ軸部179を挿通させる挿通孔192が設けられている。
【0109】
然して図35〜36に示すように、座金187を介在させて前記ネジ軸部179を前記挿通孔192に挿通させ、この状態で該ネジ軸部179を前記インサート177に所定長さ螺合させ、前記下の水平片73の向きを、前記欠切部81の軸線が上下方向となるように位置決めして後、前記固定ナット189を締め付けると、下の水平片73が所要の突出状態で固定されると共に、前記ガイド片76が、その垂直ガイド片部184が前記下のブロックBbの上端面195よりも上方に突出した垂直状態で固定されることになる。
【0110】
かかる構成を有する高さ調整具1を用いてブロックを積重する方法は実施例1で説明したと同様であり、図35、図36には、上下のブロックBa,Bb間に所要間隙Gを設けて該上のブロックBaを該下のブロックBbに対して高さ調整し、該高さ調整された状態を保持している状態が示されている。
【実施例5】
【0111】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0112】
(1) 前記実施例においては、ガイド片76を下の固定部材61に設けているが、図37〜38に示すように上の固定部材62に設けてもよい。この場合は例えば、前記上の垂直固定片105の下端にガイド片76が下方に突出する如く設けられる。該ガイド片76は、垂直ガイド片部89の下端に、外方に向けて下方に傾斜する傾斜ガイド片部90が連設されてなり、該傾斜ガイド片部90の内面が、前記下のブロックBbの縁部93をガイドする傾斜ガイド面92とされると共に、前記垂直ガイド片部89の内面が、該縁部93を上下方向でガイドする垂直ガイド面91とされている。このように構成した場合は、上のブロックBaを弾性止水材124上に載せるに先立って、該上の固定部材62を、インサート77に螺合する固定ボルト79を介して該上のブロックBaの内面60の下端部分60bに固定しておく。
図39は、ガイド片76の他の態様を示すものであり、例えば下の垂直固定片72の両側端に張り出すように設けられている。該ガイド片76は、上の垂直固定片105に設けられてもよい。
ガイド片76を上の固定部材62に設ける構成は、実施例4における高さ調整具1における場合にも同様に採用でき、この場合は、前記ガイド片76を上下逆向きにした状態で、前記挿通孔192にネジ軸部183が挿通せしめられて、該ガイド片76が上のブロックBaの内面60の下端側の部分60bに下方突出状態に固定される。
なお、前記上下の固定部材62,61が、かかるガイド片76を具えないこともある。
【0113】
(2) 上下の水平片106,73に規制係合部112,86を設ける場合、該規制係合部112,86は図40に示すように、該上下の水平片106,73の上面110,74に設けられた凹部196,197の先端部分196a,197aとして構成されることもある。この場合は図41〜42に示すように、該先端部分196a,197aが前記ナット部材(本実施例においては前記第2の座金125の先端部分85,85)66,70と係合することにより、調整ボルト63が前記欠切部109,81の開放端122,118に向けて移動するのが阻止される。
突部や凹部等として設けられる規制係合部112,86は、該規制係合部112,86とナット部材との係合状態を目視により容易に確認できる上からは、上下の水平片106,73の上面110,74に設けるのが好ましいが、該上下の水平片106,73の下面にのみ設けられてもよい。或いは上面と下面の双方に設けられてもよい。
なお、かかる構成の規制係合部112,86は、前記上下のナット部材66,67、70,71や前記ナット部材172、前記ナット部材175を締め付けた状態で、調整ボルト63が不用意に欠切部109,81の開放端122,118に向けて移動する恐れがない場合は省略されることもある。
【0114】
(3) 前記上下のナット部材66,67、70,71は、前記第2の座金125を省略し、前記ナット本体114と第1の座金123とから構成されることもある。又、ナット本体114と座金とを一体化したものとして構成されることもある。
【0115】
(4) 図43〜44は、上下の水平片106,73(図43〜44においては上の水平片106に代表させている)に設ける欠切部109,81(図43〜44においては上の水平片106に代表させている)の他の態様を示すものであり、図43に示す上下の欠切部109,81は、上下の水平片106,73の先端82,82で開放して基端側に延長し且つその内端でL字状に屈曲する如く形成されている。又図44に示す上下の欠切部109,81は、上下の水平片106,73の側縁203で開放し、対向側縁205に向かって延びるU字状に形成されている。
【0116】
(5) 下の固定部材61を、下の垂直固定片72と上の水平片73とを具えるアングル状に構成すると共に、上の固定部材62を、上の垂直固定片105と上の水平片106とからなるアングル状に構成する場合、実施例1においては、該上下の垂直固定片105,72を、その両側において固定ボルト79,79でブロックBに固定しているが、その上下において固定ボルト79でブロックBに固定してもよい。
【0117】
(6) 本発明が応用されるブロックが、前記のようなエレベータシャフトを構成するブロックとして応用される場合、これらのブロックが前記ハンチ129を具えないものとして構成されることもある。
又本発明が応用されるブロックは、前記の他、煙突や擁壁等の構築物を構成するブロックであることもある。そしてこれらのブロックは、筒状を呈するものの他、中が詰まったブロックであることもある。
前記エレベータシャフトを構築する場合は、施工の安定性を確保するために、ブロックの四隅の4箇所に高さ調整具1を装着することとしているが、ブロックの形態やその用途等に応じ、所要間隔を隔てた3箇所に装着されることの他、5箇所や6箇所に装着されることもある。
【0118】
(7) 本発明に係るブロック積重方法においては、上下のブロック間に、弾性止水材124を、周方向に連続した状態で且つ圧縮状態で介在させるが、該弾性止水材124の介在状態は、図16に示すような一連状態のものや、内外二重環状のものの他、中が詰まったブロックであるときは一重環状とされることもある。
又該弾性止水材124は、前記したEPDM等のスポンジ状を呈するものの他、発泡していない弾性止水材であってもよい。
又、弾性止水材124によって囲まれた前記充填空間59に充填される液状充填材は、前記したグラウトの他、樹脂液であってもよい。
前記実施例においては、該弾性止水材124は、上のブロックBaを載置するに先立って下のブロックBbの上端面に固定することとしているが、これとは逆に、載置される上のブロックの下端面に固定しておいてもよい。
【0119】
(8) 積重状態にあるブロック相互は、前記したようにPC鋼棒からなる緊締材で緊締一体化されることの他、鉄筋を用いて一体化されることもあり、或いは、鉄板等を用いた連結板でブロック相互を一体化することもある。更には、ブロック相互を、グラウトを介在させた凹凸の嵌め合わせによって接合することもある。
なお、充填空間59に液状充填材162が充填されるのみで、前記緊締材や鉄筋、連結板等の連結部材を用いない場合もある。
【0120】
(9) 上下の固定部材62,61は、水平状態に突出する上の水平片106や下の水平片73を具えるものであれば、その構成は前記したものには特定されず、角材や溝形鋼を用いる等して各種に構成され得る。
【0121】
(10)規制係合部を突部として形成する場合、該突部は、座金の先端部分の形状が円形の場合は湾曲面に形成されてもよい等、座金の先端部分の形状に合わせて所要に設定できる。
【0122】
(11)前記エレベータ出入口16は、各階の廊下に連なるように設けられることもある。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】高さ調整具をその使用状態で示す斜視図である。
【図2】その断面図である。
【図3】その断面図の部分拡大図である。
【図4】エレベーターシャフトを示す断面図である。
【図5】エレベーターシャフトを示す斜視図である。
【図6】エレベーターシャフトを構成するブロックを分解して示す斜視図である。
【図7】エレベーターシャフトのブロック相互の連結状態を示す部分断面図である。
【図8】基礎部と1段目のブロックとの連結状態を示す断面図である。
【図9】高さ調整具を用いて、1段目のブロック上に2段目のブロックを積重した状態を示す断面図である。
【図10】高さ調整具を用いて、2段目のブロック上に3段目のブロックを積重した状態を示す断面図である。
【図11】2段目のブロックと3段目のブロックとの連結状態を示す断面図である。
【図12】高さ調整具を用いて、3段目のブロック上に4段目のブロックを積重した状態を示す断面図である。
【図13】10段目のブロックと屋根ブロックとの連結状態を示す断面図である。
【図14】本発明に係る高さ調整具を説明する分解斜視図である。
【図15】下の固定部材を示す斜視図である。
【図16】基礎部上に1段目のブロックを積重した状態を示す斜視図である。
【図17】その上端部分を示す断面図である。
【図18】第1のブロックに下の固定部材を固定した状態を示す平面図である。
【図19】1段目のブロック上に2段目のブロックを積重する工程を説明する斜視図である。
【図20】その断面図である。
【図21】1段目のブロック上に2段目のブロックを積重した状態で上下の固定部材に調整ボルトを装着した状態を示す断面図である。
【図22】調整ボルトの下端部分を下の固定部材に固定した状態を示す断面図である。
【図23−1】2段目のブロックの高さ調整の工程を説明する断面図である。
【図23−2】2段目のブロックの高さ調整の他の工程を説明する断面図である。
【図24】2段目のブロックに下の固定部材を取り付けた平面図である。
【図25】3段目のブロックの高さ調整の工程を説明する断面図である。
【図26】ブロックの積重完了後に、ブロック相互間に形成された充填空間にグラウトを充填する作業工程を説明する断面図である。
【図27】ブロックの外面に高さ調整具を装着する場合の問題点を説明する断面図である。
【図28】ブロックの高さ調整を行う他の作業工程を説明する断面図である。
【図29】ブロックの高さ調整を行う他の作業工程を説明する断面図である。
【図30】下端にボルト頭部を具える調整ボルトを用いてブロックの高さ調整を行う作業工程を説明する断面図である。
【図31】下端にボルト頭部を具える調整ボルトを用いてブロックの高さ調整を行う作業工程を説明する断面図である。
【図32】上端にボルト頭部を有する調整ボルトを用いてブロックの高さ調整を行う作業工程を説明する断面図である。
【図33】上端にボルト頭部を有する調整ボルトを用いてブロックの高さ調整を行う作業工程を説明する断面図である。
【図34】本発明に係る高さ調整具の他の構成を説明する分解斜視図である。
【図35】その使用状態を示す斜視図である。
【図36】その断面図である。
【図37】ガイド片が設けられた上の固定部材を示す斜視図である。
【図38】そのガイド片のブロックガイド状態を示す断面図である。
【図39】ガイド片の他の態様を示す斜視図である。
【図40】凹部としての規制係合部が設けられた上下の固定部材を示す斜視図である。
【図41】その使用状態を示す斜視図である。
【図42】その使用状態を示す断面図である。
【図43】欠切部の他の態様を示す平面図である。
【図44】欠切部のその他の態様を示す平面図である。
【符号の説明】
【0124】
1 高さ調整具
2 エレベーターシャフト
11 PC鋼棒
12 緊締材
59 充填空間
61 下の固定部材
62 上の固定部材
63 調整ボルト
65 上側雄ネジ部
66 上のナット部材
67 下のナット部材
69 下側雄ネジ部
70 上のナット部材
71 下のナット部材
73 下の水平片
76 ガイド片
79 固定ボルト
86 規制係合部
105 上の垂直固定片
106 上の水平片
109 欠切部
112 規制係合部
123 第1の座金
125 第2の座金
124 弾性止水片
171 ボルト頭部
172 ナット部材
175 ナット部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下のブロック間に所要間隙を設けて該上のブロックを該下のブロックに対して高さ調整し、該高さ調整された状態を保持させるためのブロックの高さ調整具であって、該下のブロックに着脱可能に固定され且つ水平状態に突出する下の水平片を具える下の固定部材と、該上のブロックに着脱可能に固定され且つ水平状態に突出する上の水平片を具える上の固定部材と、該上下の水平片に対して着脱可能の調整ボルトを具え、該下の水平片と該上の水平片には、前記調整ボルトを横方向に着脱可能に嵌入させるための欠切部が設けられており、又、該調整ボルトの上側雄ネジ部には、前記上の水平片を上下から締め付け状態で挾持する上下のナット部材が螺合される一方、該調整ボルトの下側雄ネジ部には、前記下の水平片を上下から締め付け状態で挾持する上下のナット部材が螺合されていることを特徴とするブロックの高さ調整具。
【請求項2】
上下のブロック間に所要間隙を設けて該上のブロックを該下のブロックに対して高さ調整し、該高さ調整された状態を保持させるためのブロックの高さ調整具であって、該下のブロックに着脱可能に固定され且つ水平状態に突出する下の水平片を具える下の固定部材と、該上のブロックに着脱可能に固定され且つ水平状態に突出する上の水平片を具える上の固定部材と、該上下の水平片に対して着脱可能の調整ボルトを具え、該下の水平片と該上の水平片には、前記調整ボルトを横方向に着脱可能に嵌入させるための欠切部が設けられており、又、該調整ボルトの上側雄ネジ部には、前記上の水平片を上下から締め付け状態で挾持する上下のナット部材が螺合される一方、該調整ボルトの下端にボルト頭部が設けられ、且つ該ボルト頭部の上側に位置させて、該ボルト頭部と協働して前記下の水平片を締め付け状態で挾持するナット部材が前記調整ボルトの下側雄ネジ部に螺合されていることを特徴とするブロックの高さ調整具。
【請求項3】
上下のブロック間に所要間隙を設けて該上のブロックを該下のブロックに対して高さ調整し、該高さ調整された状態を保持させるためのブロックの高さ調整具であって、該下のブロックに着脱可能に固定され且つ水平状態に突出する下の水平片を具える下の固定部材と、該上のブロックに着脱可能に固定され且つ水平状態に突出する上の水平片を具える上の固定部材と、該上下の水平片に対して着脱可能の調整ボルトを具え、該下の水平片と該上の水平片には、前記調整ボルトを横方向に着脱可能に嵌入させるための欠切部が設けられており、又、該調整ボルトの下側雄ネジ部には、前記下の水平片を上下から締め付け状態で挾持する上下のナット部材が螺合される一方、該調整ボルトの上端にボルト頭部が設けられ、且つ該ボルト頭部の下側に位置させて、該ボルト頭部と協働して前記上の水平片を締め付け状態で挾持するナット部材が前記調整ボルトに螺合されていることを特徴とするブロックの高さ調整具。
【請求項4】
前記上の水平片に、前記調整ボルトが該上の水平片に設けられている前記欠切部の開放端に向けて移動するのを阻止するように前記ナット部材と当接状態に係合し得る規制係合部が設けられると共に、前記下の水平片に、前記調整ボルトが該下の水平片に設けられている前記欠切部の開放端に向けて移動するのを阻止するように前記ナット部材と当接状態に係合し得る規制係合部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のブロックの高さ調整具。
【請求項5】
前記上の水平片に、前記調整ボルトが該上の水平片に設けられている前記欠切部の開放端に向けて移動するのを阻止するように前記ナット部材と当接状態に係合し得る規制係合部が設けられると共に、前記下の水平片に、前記調整ボルトが該下の水平片に設けられている前記欠切部の開放端に向けて移動するのを阻止するように前記ナット部材又は前記ボルト頭部と当接状態に係合し得る規制係合部が設けられていることを特徴とする請求項2記載のブロックの高さ調整具。
【請求項6】
前記上の水平片に、前記調整ボルトが該上の水平片に設けられている前記欠切部の開放端に向けて移動するのを阻止するように前記ナット部材又は前記ボルト頭部と当接状態に係合し得る規制係合部が設けられると共に、前記下の水平片に、前記調整ボルトが該下の水平片に設けられている前記欠切部の開放端に向けて移動するのを阻止するように前記ナット部材と当接状態に係合し得る規制係合部が設けられていることを特徴とする請求項3記載のブロックの高さ調整具。
【請求項7】
前記ナット部材は座金を具え、該座金の縁部が前記規制係合部に当接状態に係合し得ることを特徴とする請求項4、5又は6記載のブロックの高さ調整具。
【請求項8】
前記ボルト頭は座金を具え、該座金の縁部が前記規制係合部と当接状態に係合し得ることを特徴とする請求項5又は6記載のブロックの高さ調整具。
【請求項9】
前記上のブロックを前記下のブロックに向けて吊り下ろす際に該上のブロックの縁部をガイドするガイド片が前記下の固定部材に設けられており、該ガイド片は、前記縁部を上下方向でガイドする垂直ガイト面を具えた垂直ガイド片部の上端に、前記縁部を前記垂直ガイド面に向けてガイドする、外方に向けて上方に傾斜する傾斜ガイド面を具えた傾斜ガイド片部が連設されてなることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のブロックの高さ調整具。
【請求項10】
前記上のブロックを前記下のブロックに向けて吊り下ろす際に該下のブロックの縁部をガイドするガイド片が前記上の固定部材に設けられており、該ガイド片は、前記縁部を上下方向でガイドする垂直ガイド面を具えた垂直ガイド片部の下端に、前記縁部を前記垂下ガイド面に向けてガイドする、外方に向けて下方に傾斜する傾斜ガイド面を具えた傾斜ガイド片部が連設されてなることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のブロックの高さ調整具。
【請求項11】
上下のブロック間に周方向に連続して介在された弾性止水材を圧縮状態にして、該上下のブロック間に所要間隙を設けて該上のブロックを該下のブロックに対して高さ調整して該高さ調整された状態を保持させる際に請求項1記載のブロックの高さ調整具を用いるブロック積重方法であって、
前記上のブロックを前記下のブロックの前記弾性止水材上に載置して後、前記上下の固定部材が前記上下のブロックに固定された状態で、上側雄ネジ部の上下に所要間隔を置いて前記上下のナット部材が螺合されると共に下側雄ネジ部の上下に所要間隔を置いて前記上下のナット部材が螺合されてなる前記調整ボルトを、該上側雄ネジ部に螺合されている前記上下のナット部材間と、該下側雄ネジ部に螺合されている前記上下のナット部材間に、前記上下の水平片に設けられている上下の切欠部が介在するように、該上下の欠切部に横方向に嵌入させ、前記下側雄ネジ部の上下のナット部材を締め付けて前記下の水平片を挾持状態として後、前記上側雄ネジ部のナット部材を螺合操作することによって、前記上の固定部材を介して前記上のブロックの高さ調整を行うと共に、該高さ調整された状態で前記弾性止水材を、止水を確保できる所要の圧縮状態とし、この状態で、該上下のナット部材を締め付けて前記上の水平片を挾持状態とし、その後、該弾性止水材によって囲まれた充填空間に液状充填材を充填し、該液状充填材が硬化した後に、前記上側雄ネジ部のナット部材と前記下側雄ネジ部のナット部材を緩めて前記調整ボルトを横移動させることによって該調整ボルトを前記上下の水平片から取り外すと共に、前記上下の固定部材を上下のブロックから取り外すことを特徴とするブロック積重方法。
【請求項12】
上下のブロック間に周方向に連続して介在された弾性止水材を圧縮状態にして、該上下のブロック間に所要間隙を設けて該上のブロックを該下のブロックに対して高さ調整して該高さ調整された状態を保持させる際に請求項1記載のブロックの高さ調整具を用いるブロック積重方法であって、
前記上のブロックを前記下のブロックの前記弾性止水材上に載置して後、前記上下の固定部材が前記上下のブロックに固定された状態で、上側雄ネジ部の上下に所要間隔を置いて前記上下のナット部材が螺合されると共に下側雄ネジ部の上下に所要間隔を置いて前記上下のナット部材が螺合されてなる前記調整ボルトを、該上側雄ネジ部に螺合されている前記上下のナット部材間と、該下側雄ネジ部に螺合されている前記上下のナット部材間に、前記上下の水平片に設けられている上下の切欠部が介在するように、該上下の欠切部に横方向に嵌入させ、前記上側雄ネジ部のナット部材を締め付けて前記上の水平片を挾持状態として後、前記下側雄ネジ部のナット部材を螺合操作することによって、前記上の固定部材を介して前記上のブロックの高さ調整を行うと共に、該高さ調整された状態で前記弾性止水材を、止水を確保できる所要の圧縮状態とし、この状態で、該上下のナット部材を締め付けて前記下の水平片を挾持状態とし、その後、該弾性止水材によって囲まれた充填空間に液状充填材を充填し、該液状充填材が硬化した後に、前記上側雄ネジ部のナット部材と前記下側雄ネジ部のナット部材を緩めて前記調整ボルトを横移動させることによって該調整ボルトを前記上下の水平片から取り外すと共に、前記上下の固定部材を上下のブロックから取り外すことを特徴とするブロック積重方法。
【請求項13】
上下のブロック間に周方向に連続して介在された弾性止水材を圧縮状態にして、該上下のブロック間に所要間隙を設けて該上のブロックを該下のブロックに対して高さ調整して該高さ調整された状態を保持させる際に請求項2記載のブロックの高さ調整具を用いるブロック積重方法であって、
前記上のブロックを前記下のブロックの前記弾性止水材上に載置して後、前記上下の固定部材が前記上下のブロックに固定された状態で、上側雄ネジ部の上下に所要間隔を置いて前記上下のナット部材が螺合されると共に下側雄ネジ部に前記ナット部材が螺合されてなる前記調整ボルトを、該上側雄ネジ部に螺合されている前記上下のナット部材間と、該下側雄ネジ部に螺合されている前記ナット部材と前記ボルト頭部との間に、前記上下の水平片に設けられている上下の切欠部が介在するように、該上下の欠切部に横方向に嵌入させ、前記下側雄ネジ部のナット部材を締め付けて該ナット部材と前記ボルト頭部との間で前記下の水平片を挾持状態として後、前記上側雄ネジ部のナット部材を螺合操作することによって、前記上の固定部材を介して前記上のブロックの高さ調整を行うと共に、該高さ調整された状態で前記弾性止水材を、止水を確保できる所要の圧縮状態とし、この状態で、前記上側雄ネジ部の前記上下のナット部材を締め付けて前記上の水平片を挾持状態とし、その後、該弾性止水材によって囲まれた充填空間に液状充填材を充填し、該液状充填材が硬化した後に、前記上側雄ネジ部のナット部材と前記下側雄ネジ部のナット部材を緩めて前記調整ボルトを横移動させることによって該調整ボルトを前記上下の水平片から取り外すと共に、前記上下の固定部材を上下のブロックから取り外すことを特徴とするブロック積重方法。
【請求項14】
上下のブロック間に周方向に連続して介在された弾性止水材を圧縮状態にして、該上下のブロック間に所要間隙を設けて該上のブロックを該下のブロックに対して高さ調整して該高さ調整された状態を保持させる際に請求項3記載のブロックの高さ調整具を用いるブロック積重方法であって、
前記上のブロックを前記下のブロックの前記弾性止水材上に載置して後、前記上下の固定部材が前記上下のブロックに固定された状態で、上側雄ネジ部に前記ナット部材が螺合されると共に下側雄ネジ部の上下に所要間隔を置いて前記上下のナット部材が螺合されてなる前記調整ボルトを、該上側雄ネジ部に螺合されている前記ナット部材と前記ボルト頭部との間と、該下側雄ネジ部に螺合されている前記上下のナット部材間に、前記上下の水平片に設けられている上下の切欠部が介在するように、該上下の欠切部に横方向に嵌入させ、前記上側雄ネジ部のナット部材を締め付けて該ナット部材と前記ボルト頭部との間で前記上の水平片を挾持状態として後、前記下側雄ネジ部のナット部材を螺合操作することによって、前記上の固定部材を介して前記上のブロックの高さ調整を行うと共に、該高さ調整された状態で前記弾性止水材を、止水を確保できる所要の圧縮状態とし、この状態で、前記下側雄ネジ部の前記上下のナット部材を締め付けて前記下の水平片を挾持状態とし、その後、該弾性止水材によって囲まれた充填空間に液状充填材を充填し、該液状充填材が硬化した後に、前記下側雄ネジ部のナット部材と前記上側雄ネジ部のナット部材を緩めて前記調整ボルトを横移動させることによって該調整ボルトを前記上下の水平片から取り外すと共に、前記上下の固定部材を上下のブロックから取り外すことを特徴とするブロック積重方法。
【請求項15】
前記上下のブロックは、エレベーターシャフトを構成するブロックであって、前記上下の固定部材は該上下のブロックの内面の所要部位に固定されることを特徴とする請求項11〜14の何れかに記載のブロック積重方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23−1】
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【図23−2】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公開番号】特開2007−269454(P2007−269454A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−97774(P2006−97774)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000137074)株式会社ホクコン (40)
【Fターム(参考)】