ブームスプレーヤ
【課題】センタブームの昇降移動やサイドブームの開閉移動時の操作が簡単であるとともに、誤操作によるサイドブーム等の破損を防止することができるブームスプレーヤを提供する。
【解決手段】走行装置と、センタブームと、サイドブームと、センタブームを昇降移動させる昇降移動手段と、サイドブームを開閉移動させる開閉移動手段と、サイドブーム4の閉位置および開位置に対応する閉位置および開位置の操作位置の間を回動操作されることにより、開閉移動手段を操作する開閉操作レバーとを備えたブームスプレーヤにおいて、開閉操作レバーが閉位置から所定開度の位置の範囲にあるときに昇降移動手段によりセンタブームを下降移動させた場合に、センタブームが所定位置になると昇降移動手段によるセンタブームの下降移動を停止させる下降移動停止手段80を備えている。
【解決手段】走行装置と、センタブームと、サイドブームと、センタブームを昇降移動させる昇降移動手段と、サイドブームを開閉移動させる開閉移動手段と、サイドブーム4の閉位置および開位置に対応する閉位置および開位置の操作位置の間を回動操作されることにより、開閉移動手段を操作する開閉操作レバーとを備えたブームスプレーヤにおいて、開閉操作レバーが閉位置から所定開度の位置の範囲にあるときに昇降移動手段によりセンタブームを下降移動させた場合に、センタブームが所定位置になると昇降移動手段によるセンタブームの下降移動を停止させる下降移動停止手段80を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブームスプレーヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブームスプレーヤとしては、例えば、図16および図17に示すように、走行可能な走行装置1の前側にブーム装置2が設けられ、このブーム装置2が中央のセンタブーム3と左右一対のサイドブーム4とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。センタブーム3およびサイドブーム4はそれぞれ、昇降移動および開閉移動できるようになっており、作業者が運転席で、これらの昇降移動および開閉移動をそれぞれ単独で操作できるようになっている。センタブーム3およびサイドブーム4にはそれぞれ、複数のノズルを備えたノズルパイプが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−7109号公報
【特許文献2】特開2010−99564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、図16および図17に示すように、センタブーム3の長さが走行装置1に左右の車輪(前輪)11、11の外側の間の距離よりも短い場合、センタブーム3が車輪11の高さより高くなくて下方に位置していると、サイドブーム4がこの車輪11に接触するので、サイドブーム4を図17において開位置から角度αまでしか閉移動させることができず、このためサイドブーム4を閉状態にすることができない。サイドブーム4をこの状態から閉位置にするためには、図18および図19に示すように、センタブーム3を上昇移動させて車輪11の高さよりも高くした後、サイドブーム4を閉移動させる必要がある。
【0005】
このように、従来、センタブーム3あるいはサイドブーム4の操作中に、これらのセンタブーム3、サイドブーム4が走行装置1の車輪11等に接触しそうになると、作業者が目視で接触するかどうかを確認し、作業者がセンタブーム3の昇降移動操作あるいはサイドブーム4の開閉移動操作を接触する直前に停止し、接触を回避している。
このため、作業者のセンタブーム3、サイドブーム4の操作が煩雑になるとともに、操作を誤るとサイドブーム4等を破損させてしまう虞がある。
【0006】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、センタブームの昇降移動やサイドブームの開閉移動時の操作が簡単であるとともに、誤操作によるサイドブーム等の破損を防止することができるブームスプレーヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、請求項1に記載のブームスプレーヤは、
走行可能な走行装置(1)と、
この走行装置(1)に、この走行装置(1)の左右方向に平行に配置されかつ昇降移動可能に設けられるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたセンタブーム(3)と、
このセンタブーム(3)の左右端部の少なくとも一方に設けられ、かつ、このセンタブーム(3)から一直線状に延びるように位置する開位置と、前記走行装置(1)の前後方向に略沿うように位置する閉位置との間で開閉移動可能であるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたサイドブーム(4)と、
前記センタブーム(3)を昇降移動させる昇降移動手段(8)と、
前記サイドブーム(4)を開閉移動させる開閉移動手段(9)とを備えたブームスプレーヤにおいて、
前記サイドブーム(4)が閉位置から所定開度の位置の範囲にあるときに前記昇降移動手段(8)により前記センタブーム(3)を下降移動させた場合に、前記センタブーム(3)が所定位置になると前記昇降移動手段(8)による前記センタブーム(3)の下降移動を停止させる下降移動停止手段(80)を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明においては、前記下降移動停止手段が設けられているので、サイドブームが閉位置から所定開度の位置までの範囲にあるときに昇降移動手段によりセンタブームを下降移動させると、センタブームが所定位置になると昇降移動手段によるセンタブームの下降移動が自動的に停止する。したがって、センタブームの前記所定位置を閉位置から所定開度の位置の範囲にあるサイドブームが走行装置の一部に衝突する直前のサイドブームの高さ位置に対応する位置に設定しておくことにより、サイドブームが閉位置から所定開度の位置の範囲にあるときに、センタブームを下降させても、サイドブームが走行装置の一部に衝突する前に、自動的にセンタブームの下降を停止させることができる。したがって、ブームの操作が簡単になるとともに、誤操作によるサイドブーム等の破損を防止することができる。
【0009】
また、請求項2に記載のブームスプレーヤは、
走行可能な走行装置(1)と、
この走行装置(1)に、この走行装置(1)の左右方向に平行に配置されかつ昇降移動可能に設けられるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたセンタブーム(3)と、
このセンタブーム(3)の左右端部の少なくとも一方に設けられ、かつ、このセンタブーム(3)から一直線状に延びるように位置する開位置と、前記走行装置(1)の前後方向に略沿うように位置する閉位置との間で開閉移動可能であるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたサイドブーム(4)と、
前記センタブーム(3)を昇降移動させる昇降移動手段(8)と、
前記サイドブーム(4)を開閉移動させる開閉移動手段(9)と、
前記サイドブーム(4)の閉位置および開位置に対応する閉位置および開位置の操作位置の間を回動操作されることにより、前記開閉移動手段(9)を操作する開閉操作レバー(42)とを備えたブームスプレーヤにおいて、
前記開閉操作レバー(42)が閉位置から所定回動した位置の範囲にあるときに前記昇降移動手段(8)により前記センタブーム(3)を下降移動させた場合に、前記センタブーム(3)が所定位置になると前記昇降移動手段(8)による前記センタブーム(3)の下降移動を停止させる下降移動停止手段(80)を備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明においては、前記下降移動停止手段が設けられているので、閉位置から所定回動した位置までの範囲にあり、したがってサイドブームが閉位置から所定開度までの範囲にあるときに昇降移動手段によりセンタブームを下降移動させると、センタブームが所定位置になると昇降移動手段によるセンタブームの下降移動が自動的に停止する。したがって、センタブームの前記所定位置を閉位置から所定開度の位置の範囲にあるサイドブームが走行装置の一部に衝突する直前のサイドブームの高さ位置に対応する位置に設定しておくことにより、サイドブームが閉位置から所定開度の位置の範囲にあるときに、センタブームを下降させても、サイドブームが走行装置の一部に衝突する前に、自動的にセンタブームの下降を停止させることができる。したがって、ブームの操作が簡単になるとともに、誤操作によるサイドブーム等の破損を防止することができる。
【0011】
また、請求項3に記載のブームスプレーヤは、
走行可能な走行装置(1)と、
この走行装置(1)に、この走行装置(1)の左右方向に平行に配置されかつ昇降移動可能に設けられるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたセンタブーム(3)と、
このセンタブーム(3)の左右端部の少なくとも一方に設けられ、かつ、このセンタブーム(3)から一直線状に延びるように位置する開位置と、前記走行装置(1)の前後方向に略沿うように位置する閉位置との間で開閉移動可能であるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたサイドブーム(4)と、
前記センタブーム(3)を昇降移動させる昇降移動手段(8)と、
前記サイドブーム(4)を開閉移動させる開閉移動手段(9)とを備えたブームスプレーヤにおいて、
前記センタブーム(3)が最下位置から所定高さ位置の範囲にあるときに前記開閉移動手段(9)による前記サイドブーム(4)の閉移動を阻止する閉移動阻止手段(81)を備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明においては、前記閉移動阻止手段が設けられているので、センタブームが最下位置から所定高さ位置までの範囲にあるときに、開閉移動手段によるサイドブームの閉移動を阻止されて、サイドブームの閉移動が停止する。したがって、センタブームが最下位置から所定高さ位置の範囲にあるときに、誤って開閉移動手段によりサイドブームを閉移動させて、サイドブームが車輪等の走行装置の一部に衝突させることを防止できるので、サイドブーム等の破損を防止することができる。
【0013】
また、請求項4に記載のブームスプレーヤは、
走行可能な走行装置(1)と、
この走行装置(1)に、この走行装置(1)の左右方向に平行に配置されかつ昇降移動可能に設けられるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたセンタブーム(3)と、
このセンタブーム(3)の左右端部の少なくとも一方に設けられ、かつ、このセンタブーム(3)から一直線状に延びるように位置する開位置と、前記走行装置(1)の前後方向に略沿うように位置する閉位置との間で開閉移動可能であるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたサイドブーム(4)と、
前記センタブーム(3)を昇降移動させる昇降移動手段(8)と、
前記サイドブーム(4)を開閉移動させる開閉移動手段(9)とを備えたブームスプレーヤにおいて、
前記開閉移動手段(9)により前記サイドブーム(4)が開位置から閉位置に移動するときに、前記サイドブーム(4)が所定位置になると前記昇降移動手段(8)による前記センタブーム(3)の上昇移動を開始させる上昇移動開始手段(95)を備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明においては、前記上昇移動開始手段が設けられているので、サイドブームが開位置から閉位置に移動するときに、サイドブームが所定位置になると昇降移動手段によるセンタブームの上昇移動を開始する。したがって、サイドブームの前記所定位置をサイドブームが車輪等の走行装置の一部に衝突する直前の高さ位置に対応する位置に設定しておくことにより、サイドブームが走行装置の一部に衝突する前に、センタブームを上昇移動させて、これによりサイドブームを走行装置の一部に衝突させることなく、自動的に上昇移動させることができる。
【0015】
また、請求項5に記載のブームスプレーヤは、
走行可能な走行装置と、
この走行装置(1)に、この走行装置(1)の左右方向に平行に配置されかつ昇降移動可能に設けられるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル85)が設置されたセンタブーム(3)と、
このセンタブーム(3)の左右端部の少なくとも一方に設けられ、かつ、このセンタブーム(3)から一直線状に延びるように位置する開位置と、前記走行装置(1)の前後方向に略沿うように位置する閉位置との間で開閉移動可能であるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたサイドブーム(4)と、
前記センタブーム(3)を昇降移動させる昇降移動手段(8)と、
前記サイドブーム(4)を開閉移動させる開閉移動手段(9)と、
前記サイドブーム(4)の閉位置および開位置に対応する閉位置および開位置の操作位置の間を回動操作されることにより、前記開閉移動手段(9)を操作する開閉操作レバー(42)とを備えたブームスプレーヤにおいて、
前記開閉移動手段(9)により前記サイドブーム(4)が開位置から閉位置に移動するときに、前記開閉操作レバー(42)が所定位置になると前記昇降移動手段(8)による前記センタブーム(3)の上昇移動を開始させる上昇移動開始手段(95)を備えていることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明においては、前記上昇移動開始手段が設けられているので、サイドブームが開位置から閉位置に移動するときに、開閉操作レバーが所定位置になると昇降移動手段によるセンタブームの上昇移動を開始する。したがって、開閉操作レバーの前記所定位置をサイドブームが車輪等の走行装置の一部に衝突する直前の高さ位置に対応する位置に設定しておくことにより、サイドブームが走行装置の一部に衝突する前に、センタブームを上昇移動させて、これによりサイドブームを走行装置の一部に衝突させることなく、自動的に上昇移動させることができる。
【0017】
なお、上記における括弧内の符号は、図面において対応する要素を便宜的に表記したものであり、したがって本発明は図面上の記載に限定されるものではない。これは、「特許請求の範囲」の記載についても同様である。
【発明の効果】
【0018】
本発明のブームスプレーヤによれば、センタブームの昇降移動やサイドブームの開閉移動時の操作が簡単であるとともに、誤操作によるサイドブーム等の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るブームスプレーヤを示す図であって、前半分の斜視図である。
【図2】同、要部拡大斜視図である。
【図3】同、開閉操作レバー部を前から見た図である。
【図4】同、開閉操作レバーおよび平行リンク機構の側面図である。
【図5】同、開閉操作レバーおよび平行リンク機構の要部側面図である。
【図6】同、開閉操作レバーおよび平行リンク機構の要部側面図である。
【図7】同、(a)、(b)、(c)は停止スイッチ部の側面図である。
【図8】同、開閉操作レバーの操作位置を示す側面図である。
【図9】同、サイドブームの開閉位置を示す平面図である。
【図10】同、平行リンク機構の可動範囲を示す側面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係るブームスプレーヤを示す図であって、起動スイッチ部を示す側面図である。
【図12】同、起動スイッチ部の側面図である。
【図13】同、配線図である。
【図14】同、開閉操作レバーおよび平行リンク機構の側面図である。
【図15】同、開閉操作レバーおよび平行リンク機構の要部側面図である。
【図16】従来のブームスプレーヤを示す図であって、前半部の平面図である。
【図17】同、前半部の側面図である。
【図18】同、センタブームを上昇移動させた状態の前半部の平面図である。
【図19】同、センタブームを上昇移動させた状態の前半部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1から図7に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る自走式ブームスプレーヤは、前後左右の4つの車輪11で走行可能な走行装置1を備えている。この走行装置1は、原動機を備えており、この原動機の駆動力により自走可能である。走行装置1の機体12の中央部には、薬剤(薬液)を貯留する薬剤タンク13が設置されている。また、機体12の前端部には、運転部14が設けられている。運転部14の運転席15は薬剤タンク13の前端部に設けられている。なお、本実施の形態においては、前側および後側とはそれぞれ、走行装置1の進行方向前側および後側をいい、左側および右側とはそれぞれ、走行装置1の進行方向左側および右側をいう。
【0021】
走行装置1の前側には、ブーム装置2が設けられている。このブーム装置2は、走行装置1の左右方向に水平に配置されたセンタブーム3とこのセンタブーム3の両端部に取り付けられた左右一対のサイドブーム4とを備えている。センタブーム3の長さは、走行装置1に前側の左右の車輪(前輪)11、11の外側の間の距離よりも短くなっており。したがって、前側から見て、左右の車輪11、11はセンタブーム3の両端から突出している。センタブーム3およびサイドブーム4にはそれぞれ、各ブーム3、4の長さ方向に沿って等間隔に薬剤を吐出する複数のノズル5を備えたノズルパイプ6が取り付けられている。各ノズル5には、走行装置1に設けられたポンプにより薬剤タンク13からの薬剤が圧送され、各ノズル5から薬剤が噴霧されるようになっている。
【0022】
センタブーム3は、平行リンク機構(リンク機構)7を介して走行装置1に取り付けられており、この平行リンク機構7を電動シリンダ8が作動させることにより、センタブーム3が昇降移動するようになっている。すなわち、平行リンク機構7は左右一対の平行リンク70、70を備えており、各平行リンク70の基端側のリンク71が走行装置1の前側に固定されているとともに、各平行リンク70の先端側のリンク72にセンタブーム3が固定されており、そして各平行リンク70の上側のリンク73同士および下側のリンク74同士はそれぞれ、中間部において連結部材75により連結されており、下側のリンク74同士を連結している連結部材75の左右方向中央部とセンタブーム3の左右方向中央部との間に、電動シリンダ8が設けられている。
【0023】
電動シリンダ8は、連結部材75およびセンタブーム3とそれぞれ前後方向に回動可能に連結されている。この電動シリンダ8が伸長すると平行リンク機構7が基端側のリンク71を中心に上方に回動し、これに伴ってセンタブーム3が上昇し、一方電動シリンダ8が縮小すると平行リンク機構7が基端側のリンク71を中心に下方に回動し、これに伴ってセンタブーム3が下降する。電動シリンダ8は、運転部14に設置されたトグルスイッチ31により作動させるようになっている。トグルスイッチ31は、一方側(上側)に倒れている時には電動シリンダ8が伸長し、他方側(下側)に倒れている時には電動シリンダ8が縮小し、どちらにも倒していない時には電動シリンダ8が作動せずに停止するようになっている。
【0024】
各サイドブーム4は、センタブーム3の左右の端部に各端部を中心にして略90度の範囲で斜め後方に回動可能に取り付けられており、センタブーム3から一直線状に延びるように位置する開位置(使用位置)と、走行装置1の側部に前後方向に略沿うように位置する閉位置(格納位置)とに開閉移動可能となっている。閉位置において、サイドブーム4は、先端側が基端側よりも少し上方に位置する斜めになるようになっている。左右のサイドブーム4、4はそれぞれ、閉位置において、機体12の前端部に設けられた左右の支持部材(ブーム受け部材)40、40に支持される。
【0025】
サイドブーム4を開閉移動させる開閉移動手段としては、プッシュプルワイヤ9が用いられている。すなわち、各サイドブーム4とセンタブーム3とはそれぞれ、ベルクランク41により回動可能に連結されており、各ベルクランク41と運転部14に設置された左右一対の開閉操作レバー42とがそれぞれ、プッシュプルワイヤ9により連結されている。ベルクランク41とセンタブーム3との間には、サイドブーム4が開位置になるようにベルクランク41を回動させるように付勢する引張コイルばね(付勢手段)43が設けられている。
【0026】
開閉操作レバー42は、前後方向に回動可能に設けられており、一番前側の位置あるときに、サイドブーム4が開位置(図1において点線で示す位置(Oの位置))にあり、開閉操作レバーを引くにつれて、プッシュプルワイヤ9のインナワイヤが後方に引かれてベルクランク41が回動し、これによりサイドブーム4が回動し、次第に閉位置側に移動する。開閉操作レバー42が閉位置(図1において実線で示す位置(Fの位置))になると、サイドブーム4が閉位置になる。
他方、開閉操作レバー42を前側に倒して開閉操作レバー42を閉位置Fから次第に開位置Oにしていくと、ベルクランク41が回動し、サイドブーム4が次第に開位置側に移動する。
【0027】
開閉操作レバー42は、位置決め板(位置決め部材)45によって複数(この例では、O(開位置)、A、B、C、D、E、F(閉位置)の7段階)の位置に保持できるようになっている(図8参照)。すなわち、位置決め板45には、前後方向に延びる左右一対の溝46、46が形成されており、各溝46、46には左右の開閉操作レバー42、42が前後方向に回動可能に挿入されている。そして、各溝46には、所定間隔をおいて7つの凹部が形成されており、これらの凹部に開閉操作レバー42が係止できるようになっている。
【0028】
各開閉操作レバー42の板状の各基端部51は、機体12に設けられた軸52に互いに別個に前後方向に回動可能に取り付けられており、これにより各開閉操作レバー42は、この軸52を中心にしてかつ互いに別個に前後方向に回動可能に設けられている。軸52にはまた、ベルクランク状の検出具53がこの軸51を中心にかつ各開閉操作レバー42とは別個に前後方向に回動可能に設けられている。
【0029】
このく字状の検出具53の後側の腕部54の先端部には、開閉操作レバー42の回動方向と交差するように突出する当接部(検出部)55が設けられており、開閉操作レバー42が後側に所定角度回動したときにこの当接部55に開閉操作レバー42の基端部51の後端部が当接し、これ以降の開閉操作レバー42の回動に伴って検出具53が開閉操作レバー42とともに回動するようになっている。
【0030】
検出具53の前側の腕部56の先端部には、コ字状の金具(当接部材)61が設けられており、この金具61の平行な一対の板状部分には、ロッド62の上端部分がこのロッド62の長手方向に移動可能に挿入されている。このロッド62の金具61から上方に突出している上端部の外側には、有底筒状のドッグ(停止部材)63が挿入され、そしてロッド62に螺合されたナット64により上端から抜け出るのを阻止されている。ドッグ63の底部と金具61との間には、圧縮コイルばね(付勢手段)65が設けられており、ドッグ63と金具61とを離間させる方向に付勢している。この圧縮コイルばね65の付勢力によりドッグ63はナット64に押し付けられている。
【0031】
ロッド62の下端部は、平行リンク機構7の一方(右側)の平行リンク70の上側のリンク73における基端側のリンク71側の端部に前後方向に回動可能に取り付けられている。これにより、平行リンク機構7が上方に回動するとロッド62が検出具53の金具61に対して上方に移動し、平行リンク機構7が下方に回動するとロッド62が検出具53の金具61に対して下方に移動するようになっている。
【0032】
また、検出具53の前側の腕部56の先端部には、ドッグ63の近傍に停止スイッチ67が設置されている。停止スイッチ67は、その接触子69を押されることによりONとなり、これにより電動シリンダ8を停止するようになっている。
【0033】
次に、このブームスプレーヤのブーム装置2の動作について説明する。
左右の開閉操作レバー42が閉位置(Fの位置)にあるとき、すなわちサイドブーム4は閉位置のときで、かつサイドブーム4が支持部材40よりも上側に位置しているときに、トグルスイッチ31を下側に倒すと、電動シリンダ8が縮小して行き、平行リンク機構7が下側に回動し、これによりセンタブーム3がサイドブーム4とともに下降して行く。
そうすると、平行リンク機構7の上側のリンク73の一端に固定されているロッド62が下方に移動するので、検出具53が軸52を中心に前方に回動する。そして、図5に示すように、検出具53の当接部55が閉位置(Fの位置)にある開閉操作レバー42の基端部51に当接し、それ以降の回動を阻止される。
【0034】
そうすると、リンク73とともにロッド62は下方に移動しているので、図7の(a)から(c)に示すように、ドッグ63が圧縮コイルばね65の付勢力に抗して検出具53の金具61に接近して行き、停止スイッチ67の接触子69を押す。停止スイッチ67の接触子69が押されると、停止スイッチ67がONとなり、これにより電動シリンダ8が停止して平行リンク機構7の下側への回動が停止し、センタブーム3の下降が停止する。
なお、左右のサイドブーム4、4のうちの少なくとも一方が閉位置にあれば、センタブーム3の下降移動は停止する。
【0035】
この停止スイッチ67がONとなる位置、すなわちセンタブーム3の下降が停止する位置は、閉位置のサイドブーム4が支持部材40の直上の位置になるように設定されている。
図8に示す開閉操作レバー42のA、B、C、D、E、Fの各位置に対応するサイドブーム4の平面視における各位置は、図9の通りであり、そして開閉操作レバー42のA、B、C、D、E、Fの各位置に対応するセンタブーム3の側面視における各位置は、可動範囲は図10の通りである。なお、図10において、開閉操作レバー42のA、B、C、D、Eの各位置におけるサイドブーム4の位置を、開閉操作レバー42がFの位置になる場合のサイドブーム4と平行に記載してあるが、実際には閉位置(Fの位置)から開位置(Aの位置)に向かうにつれて次第にサイドブーム4は水平になって行く。
【0036】
これらの図から分かるように、開閉操作レバー42がFの位置(閉位置)にあるとき、すなわちサイドブーム4は閉位置のときには、平行リンク機構7は、最上位置(センタブーム3が最上位置)からサイドブーム4が支持部材40の直上の位置になるまで下側に回動し、それ以降の回動は停止スイッチ67により阻止されるようになっている。これにより、サイドブーム4が支持部材40に衝突しないようになっている。
【0037】
また、例えば、開閉操作レバー42がEの位置にあるとき、すなわちサイドブーム4が図9においてEの位置のとき(平面視においてサイドブーム4と車輪11が一部重なっている)には、平行リンク機構7は、最上位置(センタブーム3が最上位置)からサイドブーム4が側面視において車輪11の直上の位置になるまで下側に回動し、それ以降の回動は停止スイッチ67により阻止されるようになっている。これにより、サイドブーム4が車輪11に衝突しないようになっている。
ここで、平行リンク機構(リンク機構)7、検出具53、当接部(検出部)55、金具(当接部材)61、ロッド62、ドッグ(停止部材)63、圧縮コイルばね(付勢手段)65および停止スイッチ67等により、下降移動停止手段80が構成されている。
【0038】
次に、図6に示すように、左右の開閉操作レバー42を閉位置(Fの位置)から開方向に操作すると、開閉操作レバー42の基端部51が検出具53の当接部55から離れるので検出具53が回動できるようになり、このため図7の(c)の状態の検出具53の金具61が圧縮コイルばね65の付勢力によりドッグ63から離れるように移動する。このとき、ロッド62およびドッグ63は動かないで停止している。この検出具53の金具61の移動に伴って検出具53の腕部56に設置された停止スイッチ67もドッグ63から離れる方向に移動し、これにより停止スイッチ67の接触子69がドッグ64により押されなくなり、停止スイッチ67がOFFとなる。これにより、センタブーム3(およびサイドブーム4)をさらに下降させることが可能になる。開閉操作レバー42のA、B、C、D、Eの各位置における下降可能範囲は、上述したように、図10に示す通りである。
【0039】
次に、図10の一点鎖線で示すように、平行リンク機構7が最下位置(センタブーム3が最下位置)で開閉操作レバー42が開位置(Oの位置)にあるときに、開閉操作レバー42を閉方向に回動すると、この開閉操作レバー42の基端部51が検出具53の当接部55に当接し、これにより検出具53が圧縮コイルばね65の付勢力に抗して開閉操作レバー42とともに回動する。この検出具53の回動に伴って、検出具53の金具61がドッグ63に当接すると、それ以降の検出具53の回動が阻止され、これに伴い開閉操作レバー42の回動が阻止される。これにより、サイドブーム4の閉移動が停止する。検出具53の金具61がドッグ63に当接する位置は、開閉操作レバー42がAの位置であり、したがって図9に示すように、サイドブーム4が車輪11に衝突する前にサイドブーム4の閉回動を停止する。
ここで、平行リンク機構(リンク機構)7、検出具53、当接部(検出部)55、金具(当接部材)61、ロッド62、ドッグ(停止部材)63、圧縮コイルばね(付勢手段)65等により、閉移動阻止手段81が構成されている。
【0040】
また、サイドブーム4を閉位置にする場合には、図10において平行リンク機構7をFの範囲にまで上側に回動させる(上昇させる)。このようにすると、ロッド62が上方に移動し、これに伴いドッグ63が検出具53の金具61から十分離間するので、金具61がドッグ63に当接することなく、開閉操作レバー42を閉位置(Fの位置)まで回動させることができる。
このように、平行リンク機構7を上昇させるにつれて、検出具53の金具61がドッグ63に当接することなく、開閉操作レバー42を閉方向に移動させることができ、これによりサイドブーム4をより閉じることができるようになる。
【0041】
このように構成されたブームスプレーヤにあっては、開閉操作レバー42が所定の位置にあり、したがってサイドブーム4が所定角度閉じた位置にあるとき、平行リンク機構7を電動シリンダ8により下側に回動移動させて、センタブーム3をサイドブームとともに下降させると、検出具53の当接部(検出部)55が開閉操作レバー42に当接し(開閉操作レバー42の位置を検出し)、この当接に基づいて(この検出結果に基づいて)、停止スイッチ67をONにし(作動させ)、サイドブーム3が所定高さ位置で停止するようにセンタブーム3の下降移動を停止させる。したがって、サイドブーム4が所定角度閉じた位置にあるときに、センタブーム3(およびサイドブーム4)を下降させても、サイドブーム4がサイドブーム4の支持部材40や走行装置1の車輪11等に衝突する前に、自動的にセンタブーム3(およびサイドブーム4)の下降を停止させることができる。このように、ブーム装置2の操作が簡単になるとともに、誤操作によるサイドブーム4あるいは支持部材40の破損を防止することができる。
【0042】
また、このようにして、センタブーム3(およびサイドブーム4)の下降が停止した後に、開閉操作レバー42を開方向に操作すると、開閉操作レバー42が検出具53の当接部55から離れて検出具53が回動できるようになり、これにより検出具53の金具61が圧縮コイルばね65の付勢力によりドッグ63から離れるので、停止スイッチ67がOFFとなり、このためセンタブーム3(およびサイドブーム4)をさらに下降させることが可能になる。したがって、センタブーム3(およびサイドブーム4)の下降が自動的に停止したときは、開閉操作レバー42をさらに開方向の所定の位置にすると、センタブーム3(およびサイドブーム4)をさらに下降させることができる。
【0043】
また、平行リンク機構7が最下位置(センタブーム3が最下位置)で開閉操作レバー42が開位置(Oの位置)にあるときに、開閉操作レバー42を閉方向に回動すると、この開閉操作レバー42が検出具53の当接部55に当接し、検出具53を回動させて、これにより検出具53の金具61がドッグ63に当接し、それ以降の検出具53の回動が阻止されるので、開閉操作レバー42の回動が阻止され、このためサイドブーム4の閉移動が停止する。このとき、検出具53の金具61がドッグ63に当接する位置は、サイドブーム4が車輪11に衝突する前にサイドブーム4の閉回動を停止するような位置になっているので、サイドブーム4の破損を防止できる。
【0044】
また、平行リンク機構7を十分に上側に回動させる(上昇させる)と、ロッド62が上方に移動し、これによりドッグ63が検出具53の金具61から十分離間するので、金具61がドッグ63に当接することなく、開閉操作レバー42を閉位置(Fの位置)まで回動させることができるため、サイドブーム4を閉位置にすることができる。
このように、平行リンク機構7を上昇させるにつれて、検出具53の金具61がドッグ63に当接することなく、開閉操作レバー42を閉方向に移動させることができるので、サイドブーム4をより閉じることができる。
【0045】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
本実施の形態では、図11および図12に示すように、検出具53の前側の腕部56の先端部のドッグ63の近傍に、起動スイッチ90が設置されている。起動スイッチ90は、停止スイッチ67と反対側に設けられている。この起動スイッチ90は、接触子91が押されることでONとなる。また、本実施の形態の配線図は、図13に示す通りであり、電動シリンダ8は、A側がマイナスでB側がプラスのときに、伸長するようになっている。また、コイルが通電の時に、リレーに付いているスイッチが入るようになっている。電動シリンダ8は、トグルスイッチ31により縮小しているときに、停止スイッチ67がONになると停止し、トグルスイッチ31がOFFのときに、起動スイッチがONになると、電動シリンダ8が伸長するようになっている。また、コイルが通電の時に、リレーに付いているスイッチが入るようになっている。本実施の形態のその他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0046】
このブームスプレーヤにおいては、サイドブーム4を開位置から閉じるために、開閉操作レバー42を図14に示す開位置(Oの位置)から図15に示すように閉方向に回動させると、サイドブーム4が車輪11に衝突する高さ位置にある場合に、サイドブーム4が車輪11に衝突する直前に、図15に示すように、開閉操作レバー42の基端部51が検出具53の当接部55を押して、検出具52を軸52を中心に後方に回動させる。これにより、図11から図12に示すように、検出具53の金具61、停止スイッチ67および起動スイッチ90が圧縮コイルばね65の付勢力に抗してドッグ63に接近して行き、そして検出具53の金具61がドッグ63に当接するとともに、ドッグ63が停止スイッチ67の接触子69および起動スイッチ90の接触子91を押す。停止スイッチ67の接触子69および起動スイッチ90の接触子91が押されると、停止スイッチ67および起動スイッチ90がONとなる。そうすると、電動シリンダ8が伸長して、平行リンク機構7を上側に回動させて、センタブーム3およびサイドブーム4を上昇させ、これによりサイドブーム4が車輪11に衝突するのを回避する。サイドブーム4が車輪11に衝突する直前に、開閉操作レバー42の基端部51が検出具53の当接部55を押して、ドッグ63が停止スイッチ67および起動スイッチ90がONとなるように、各部材の位置関係が設定されている。
【0047】
開閉操作レバー42を閉位置(Fの位置)まで回動してサイドブーム4が閉位置になると、開閉操作レバー42の基端部51が検出具53の当接部55を押さなくなるので、検出具53の後方への回動が停止する。一方、平行リンク機構7は上側に回動しているので、ロッド62が停止している検出具53の金具61に対して上方に移動し、これによりドッグ63が金具61から離間する。そうすると、起動スイッチ90の接触子91がドッグ63で押されなくなり、起動スイッチ90がOFFとなる。これにより、電動シリンダ8が停止し、平行リンク機構7の上側への回動が停止し、センタブーム3およびサイドブーム4の上昇が停止する。
ここで、平行リンク機構(リンク機構)7、検出具53、当接部(検出部)55、金具(当接部材)61、ロッド62、ドッグ(停止部材)63、圧縮コイルばね(付勢手段)65および起動スイッチ90等により、上昇移動開始手段95が構成されている。
【0048】
このブームスプレーヤにあっては、上昇移動開始手段95を設けたので、サイドブーム4を開位置から閉じる操作をしたときに、開閉操作レバー42の位置を検出し、サイドブーム4が走行装置1の車輪11に衝突する高さ位置にある場合には、サイドブーム4が車輪11に衝突しない高さ位置まで平行リンク機構7を上側に自動的に回動させることができる。
【0049】
また、サイドブーム4が閉位置になると、起動スイッチ90がOFFとなるので、平行リンク機構7の上側への回動を自動的に停止できて、センタブーム3(およびサイドブーム4)の上昇を自動的に停止することができる。
【0050】
したがって、開閉操作レバー42が開位置にあるときに、開閉操作レバー42を閉位置にすると、サイドブーム4が閉位置になるまで閉じて行く間、サイドブーム4が車輪11等に衝突しないように自動的に平行リンク機構7を上側に回動させて、自動的にセンタブーム3(およびサイドブーム4)を上昇させ、そしてサイドブーム4が閉位置になると、自動的にセンタブーム3(およびサイドブーム4)の上昇が停止する。
このように、サイドブーム4を閉じると走行装置1の車輪等に衝突する高さ位置にサイドブーム4が位置していても、開閉操作レバー42を閉位置にするという1回の操作で、サイドブーム4を走行装置1の車輪等に衝突させることなく、サイドブーム4を閉位置にすることができる。
【0051】
なお、上述の各実施の形態では、ブーム装置2を走行装置1の前側に設けるようにしたが、後側など他の場所でもよい。
また、上述の各実施の形態では、サイドブーム4は左右両側に設けるようにしたが、一方側だけに設けるようにしてもよい。
また、上述の各実施の形態では、センタブーム3を昇降移動させる昇降移動手段としては、電動シリンダ8を用いたが、油圧シリンダ等の他のアクチュエータを用いた他の動力式でもよい。
また、上述の各実施の形態では、サイドブーム4を開閉(回動)移動させる開閉移動手段としては、プッシュプルワイヤ9を用いたが、ロッド等を用いた他の手動式としてもよいし、あるいはシリンダ等のアクチュエータを用いた動力式としてもよい。
【0052】
また、上述の実施の形態では、平行リンク機構(リンク機構)7、検出具53、当接部(検出部)55、金具(当接部材)61、ロッド62、ドッグ(停止部材)63、圧縮コイルばね(付勢手段)65および停止スイッチ67等により、下降移動停止手段80を構成したが、これに限らず、下降移動停止手段80を別の構成としてもよい。例えば、下降移動停止手段80を、サイドブーム4が閉位置にあることを検出するサイドブーム位置検出手段と、センタブーム3の位置を検出するセンタブーム位置検出手段と、これらのサイドブーム位置検出手段およびセンタブーム位置検出手段の検出結果に基づいて、サイドブーム4が閉位置にあるときにセンタブーム3を下降移動させた場合に、センタブーム3が所定位置になると昇降移動手段によるセンタブーム3の下降移動を停止させる停止手段等により構成するようにしてもよい。また、サイドブーム位置検出手段は、開閉操作レバー42の位置からサイドブーム4の位置を検出するようにしてもよい。
【0053】
また、上述の実施の形態では、平行リンク機構(リンク機構)7、検出具53、当接部(検出部)55、金具(当接部材)61、ロッド62、ドッグ(停止部材)63、圧縮コイルばね(付勢手段)65等により、閉移動阻止手段81を構成するようにしたが、これに限らず、閉移動阻止手段81を別の構成としてもよい。例えば、閉移動阻止手段81を、センタブーム3が最下位置にあることを検出するセンタブーム位置検出手段と、このセンタブーム位置検出手段の検出結果に基づいて、センタブーム3が最下位置にあるときに開閉移動手段9によるサイドブーム4の閉移動を停止させる停止手段等により構成するようにしてもよい。
【0054】
また、上述の実施の形態では、平行リンク機構(リンク機構)7、検出具53、当接部(検出部)55、金具(当接部材)61、ロッド62、ドッグ(停止部材)63、圧縮コイルばね(付勢手段)65および起動スイッチ90等により、上昇移動開始手段95を構成したが、これに限らず、上昇移動開始手段95を別の構成としてもよい。例えば、上昇移動開始手段95を、サイドブーム4の位置を検出するサイドブーム位置検出手段と、このサイドブーム位置検出手段の検出結果に基づいて、開閉移動手段9によりサイドブーム4が開位置から閉位置に移動するときに、サイドブーム4が所定位置になると昇降移動手段8によるセンタブーム(3)の上昇移動を開始させる開始手段等により構成するようにしてもよい。また、サイドブーム位置検出手段は、開閉操作レバー42の位置からサイドブーム4の位置を検出するようにしてもよい。
【0055】
また、上述の各実施の形態では、本発明を自走式ブームスプレーヤに適用した場合について説明したが、搭載式やけん引式や車載式等の他の形式のブームスプレーヤにも適用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 走行装置
2 ブーム装置
3 センタブーム
4 サイドブーム
5 ノズル
7 平行リンク機構(リンク機構)
8 電動シリンダ(昇降移動手段)
9 プッシュプルワイヤ(開閉移動手段)
42 開閉操作レバー
53 検出具
55 当接部(検出部)
61 金具(当接部材)
62 ロッド
63 ドッグ(停止部材)
65 圧縮コイルばね(付勢手段)
67 停止スイッチ
80 下降移動停止手段
81 閉移動阻止手段
90 起動スイッチ
95 上昇移動開始手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブームスプレーヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブームスプレーヤとしては、例えば、図16および図17に示すように、走行可能な走行装置1の前側にブーム装置2が設けられ、このブーム装置2が中央のセンタブーム3と左右一対のサイドブーム4とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。センタブーム3およびサイドブーム4はそれぞれ、昇降移動および開閉移動できるようになっており、作業者が運転席で、これらの昇降移動および開閉移動をそれぞれ単独で操作できるようになっている。センタブーム3およびサイドブーム4にはそれぞれ、複数のノズルを備えたノズルパイプが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−7109号公報
【特許文献2】特開2010−99564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、図16および図17に示すように、センタブーム3の長さが走行装置1に左右の車輪(前輪)11、11の外側の間の距離よりも短い場合、センタブーム3が車輪11の高さより高くなくて下方に位置していると、サイドブーム4がこの車輪11に接触するので、サイドブーム4を図17において開位置から角度αまでしか閉移動させることができず、このためサイドブーム4を閉状態にすることができない。サイドブーム4をこの状態から閉位置にするためには、図18および図19に示すように、センタブーム3を上昇移動させて車輪11の高さよりも高くした後、サイドブーム4を閉移動させる必要がある。
【0005】
このように、従来、センタブーム3あるいはサイドブーム4の操作中に、これらのセンタブーム3、サイドブーム4が走行装置1の車輪11等に接触しそうになると、作業者が目視で接触するかどうかを確認し、作業者がセンタブーム3の昇降移動操作あるいはサイドブーム4の開閉移動操作を接触する直前に停止し、接触を回避している。
このため、作業者のセンタブーム3、サイドブーム4の操作が煩雑になるとともに、操作を誤るとサイドブーム4等を破損させてしまう虞がある。
【0006】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、センタブームの昇降移動やサイドブームの開閉移動時の操作が簡単であるとともに、誤操作によるサイドブーム等の破損を防止することができるブームスプレーヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、請求項1に記載のブームスプレーヤは、
走行可能な走行装置(1)と、
この走行装置(1)に、この走行装置(1)の左右方向に平行に配置されかつ昇降移動可能に設けられるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたセンタブーム(3)と、
このセンタブーム(3)の左右端部の少なくとも一方に設けられ、かつ、このセンタブーム(3)から一直線状に延びるように位置する開位置と、前記走行装置(1)の前後方向に略沿うように位置する閉位置との間で開閉移動可能であるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたサイドブーム(4)と、
前記センタブーム(3)を昇降移動させる昇降移動手段(8)と、
前記サイドブーム(4)を開閉移動させる開閉移動手段(9)とを備えたブームスプレーヤにおいて、
前記サイドブーム(4)が閉位置から所定開度の位置の範囲にあるときに前記昇降移動手段(8)により前記センタブーム(3)を下降移動させた場合に、前記センタブーム(3)が所定位置になると前記昇降移動手段(8)による前記センタブーム(3)の下降移動を停止させる下降移動停止手段(80)を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明においては、前記下降移動停止手段が設けられているので、サイドブームが閉位置から所定開度の位置までの範囲にあるときに昇降移動手段によりセンタブームを下降移動させると、センタブームが所定位置になると昇降移動手段によるセンタブームの下降移動が自動的に停止する。したがって、センタブームの前記所定位置を閉位置から所定開度の位置の範囲にあるサイドブームが走行装置の一部に衝突する直前のサイドブームの高さ位置に対応する位置に設定しておくことにより、サイドブームが閉位置から所定開度の位置の範囲にあるときに、センタブームを下降させても、サイドブームが走行装置の一部に衝突する前に、自動的にセンタブームの下降を停止させることができる。したがって、ブームの操作が簡単になるとともに、誤操作によるサイドブーム等の破損を防止することができる。
【0009】
また、請求項2に記載のブームスプレーヤは、
走行可能な走行装置(1)と、
この走行装置(1)に、この走行装置(1)の左右方向に平行に配置されかつ昇降移動可能に設けられるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたセンタブーム(3)と、
このセンタブーム(3)の左右端部の少なくとも一方に設けられ、かつ、このセンタブーム(3)から一直線状に延びるように位置する開位置と、前記走行装置(1)の前後方向に略沿うように位置する閉位置との間で開閉移動可能であるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたサイドブーム(4)と、
前記センタブーム(3)を昇降移動させる昇降移動手段(8)と、
前記サイドブーム(4)を開閉移動させる開閉移動手段(9)と、
前記サイドブーム(4)の閉位置および開位置に対応する閉位置および開位置の操作位置の間を回動操作されることにより、前記開閉移動手段(9)を操作する開閉操作レバー(42)とを備えたブームスプレーヤにおいて、
前記開閉操作レバー(42)が閉位置から所定回動した位置の範囲にあるときに前記昇降移動手段(8)により前記センタブーム(3)を下降移動させた場合に、前記センタブーム(3)が所定位置になると前記昇降移動手段(8)による前記センタブーム(3)の下降移動を停止させる下降移動停止手段(80)を備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明においては、前記下降移動停止手段が設けられているので、閉位置から所定回動した位置までの範囲にあり、したがってサイドブームが閉位置から所定開度までの範囲にあるときに昇降移動手段によりセンタブームを下降移動させると、センタブームが所定位置になると昇降移動手段によるセンタブームの下降移動が自動的に停止する。したがって、センタブームの前記所定位置を閉位置から所定開度の位置の範囲にあるサイドブームが走行装置の一部に衝突する直前のサイドブームの高さ位置に対応する位置に設定しておくことにより、サイドブームが閉位置から所定開度の位置の範囲にあるときに、センタブームを下降させても、サイドブームが走行装置の一部に衝突する前に、自動的にセンタブームの下降を停止させることができる。したがって、ブームの操作が簡単になるとともに、誤操作によるサイドブーム等の破損を防止することができる。
【0011】
また、請求項3に記載のブームスプレーヤは、
走行可能な走行装置(1)と、
この走行装置(1)に、この走行装置(1)の左右方向に平行に配置されかつ昇降移動可能に設けられるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたセンタブーム(3)と、
このセンタブーム(3)の左右端部の少なくとも一方に設けられ、かつ、このセンタブーム(3)から一直線状に延びるように位置する開位置と、前記走行装置(1)の前後方向に略沿うように位置する閉位置との間で開閉移動可能であるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたサイドブーム(4)と、
前記センタブーム(3)を昇降移動させる昇降移動手段(8)と、
前記サイドブーム(4)を開閉移動させる開閉移動手段(9)とを備えたブームスプレーヤにおいて、
前記センタブーム(3)が最下位置から所定高さ位置の範囲にあるときに前記開閉移動手段(9)による前記サイドブーム(4)の閉移動を阻止する閉移動阻止手段(81)を備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明においては、前記閉移動阻止手段が設けられているので、センタブームが最下位置から所定高さ位置までの範囲にあるときに、開閉移動手段によるサイドブームの閉移動を阻止されて、サイドブームの閉移動が停止する。したがって、センタブームが最下位置から所定高さ位置の範囲にあるときに、誤って開閉移動手段によりサイドブームを閉移動させて、サイドブームが車輪等の走行装置の一部に衝突させることを防止できるので、サイドブーム等の破損を防止することができる。
【0013】
また、請求項4に記載のブームスプレーヤは、
走行可能な走行装置(1)と、
この走行装置(1)に、この走行装置(1)の左右方向に平行に配置されかつ昇降移動可能に設けられるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたセンタブーム(3)と、
このセンタブーム(3)の左右端部の少なくとも一方に設けられ、かつ、このセンタブーム(3)から一直線状に延びるように位置する開位置と、前記走行装置(1)の前後方向に略沿うように位置する閉位置との間で開閉移動可能であるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたサイドブーム(4)と、
前記センタブーム(3)を昇降移動させる昇降移動手段(8)と、
前記サイドブーム(4)を開閉移動させる開閉移動手段(9)とを備えたブームスプレーヤにおいて、
前記開閉移動手段(9)により前記サイドブーム(4)が開位置から閉位置に移動するときに、前記サイドブーム(4)が所定位置になると前記昇降移動手段(8)による前記センタブーム(3)の上昇移動を開始させる上昇移動開始手段(95)を備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明においては、前記上昇移動開始手段が設けられているので、サイドブームが開位置から閉位置に移動するときに、サイドブームが所定位置になると昇降移動手段によるセンタブームの上昇移動を開始する。したがって、サイドブームの前記所定位置をサイドブームが車輪等の走行装置の一部に衝突する直前の高さ位置に対応する位置に設定しておくことにより、サイドブームが走行装置の一部に衝突する前に、センタブームを上昇移動させて、これによりサイドブームを走行装置の一部に衝突させることなく、自動的に上昇移動させることができる。
【0015】
また、請求項5に記載のブームスプレーヤは、
走行可能な走行装置と、
この走行装置(1)に、この走行装置(1)の左右方向に平行に配置されかつ昇降移動可能に設けられるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル85)が設置されたセンタブーム(3)と、
このセンタブーム(3)の左右端部の少なくとも一方に設けられ、かつ、このセンタブーム(3)から一直線状に延びるように位置する開位置と、前記走行装置(1)の前後方向に略沿うように位置する閉位置との間で開閉移動可能であるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたサイドブーム(4)と、
前記センタブーム(3)を昇降移動させる昇降移動手段(8)と、
前記サイドブーム(4)を開閉移動させる開閉移動手段(9)と、
前記サイドブーム(4)の閉位置および開位置に対応する閉位置および開位置の操作位置の間を回動操作されることにより、前記開閉移動手段(9)を操作する開閉操作レバー(42)とを備えたブームスプレーヤにおいて、
前記開閉移動手段(9)により前記サイドブーム(4)が開位置から閉位置に移動するときに、前記開閉操作レバー(42)が所定位置になると前記昇降移動手段(8)による前記センタブーム(3)の上昇移動を開始させる上昇移動開始手段(95)を備えていることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明においては、前記上昇移動開始手段が設けられているので、サイドブームが開位置から閉位置に移動するときに、開閉操作レバーが所定位置になると昇降移動手段によるセンタブームの上昇移動を開始する。したがって、開閉操作レバーの前記所定位置をサイドブームが車輪等の走行装置の一部に衝突する直前の高さ位置に対応する位置に設定しておくことにより、サイドブームが走行装置の一部に衝突する前に、センタブームを上昇移動させて、これによりサイドブームを走行装置の一部に衝突させることなく、自動的に上昇移動させることができる。
【0017】
なお、上記における括弧内の符号は、図面において対応する要素を便宜的に表記したものであり、したがって本発明は図面上の記載に限定されるものではない。これは、「特許請求の範囲」の記載についても同様である。
【発明の効果】
【0018】
本発明のブームスプレーヤによれば、センタブームの昇降移動やサイドブームの開閉移動時の操作が簡単であるとともに、誤操作によるサイドブーム等の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るブームスプレーヤを示す図であって、前半分の斜視図である。
【図2】同、要部拡大斜視図である。
【図3】同、開閉操作レバー部を前から見た図である。
【図4】同、開閉操作レバーおよび平行リンク機構の側面図である。
【図5】同、開閉操作レバーおよび平行リンク機構の要部側面図である。
【図6】同、開閉操作レバーおよび平行リンク機構の要部側面図である。
【図7】同、(a)、(b)、(c)は停止スイッチ部の側面図である。
【図8】同、開閉操作レバーの操作位置を示す側面図である。
【図9】同、サイドブームの開閉位置を示す平面図である。
【図10】同、平行リンク機構の可動範囲を示す側面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係るブームスプレーヤを示す図であって、起動スイッチ部を示す側面図である。
【図12】同、起動スイッチ部の側面図である。
【図13】同、配線図である。
【図14】同、開閉操作レバーおよび平行リンク機構の側面図である。
【図15】同、開閉操作レバーおよび平行リンク機構の要部側面図である。
【図16】従来のブームスプレーヤを示す図であって、前半部の平面図である。
【図17】同、前半部の側面図である。
【図18】同、センタブームを上昇移動させた状態の前半部の平面図である。
【図19】同、センタブームを上昇移動させた状態の前半部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1から図7に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る自走式ブームスプレーヤは、前後左右の4つの車輪11で走行可能な走行装置1を備えている。この走行装置1は、原動機を備えており、この原動機の駆動力により自走可能である。走行装置1の機体12の中央部には、薬剤(薬液)を貯留する薬剤タンク13が設置されている。また、機体12の前端部には、運転部14が設けられている。運転部14の運転席15は薬剤タンク13の前端部に設けられている。なお、本実施の形態においては、前側および後側とはそれぞれ、走行装置1の進行方向前側および後側をいい、左側および右側とはそれぞれ、走行装置1の進行方向左側および右側をいう。
【0021】
走行装置1の前側には、ブーム装置2が設けられている。このブーム装置2は、走行装置1の左右方向に水平に配置されたセンタブーム3とこのセンタブーム3の両端部に取り付けられた左右一対のサイドブーム4とを備えている。センタブーム3の長さは、走行装置1に前側の左右の車輪(前輪)11、11の外側の間の距離よりも短くなっており。したがって、前側から見て、左右の車輪11、11はセンタブーム3の両端から突出している。センタブーム3およびサイドブーム4にはそれぞれ、各ブーム3、4の長さ方向に沿って等間隔に薬剤を吐出する複数のノズル5を備えたノズルパイプ6が取り付けられている。各ノズル5には、走行装置1に設けられたポンプにより薬剤タンク13からの薬剤が圧送され、各ノズル5から薬剤が噴霧されるようになっている。
【0022】
センタブーム3は、平行リンク機構(リンク機構)7を介して走行装置1に取り付けられており、この平行リンク機構7を電動シリンダ8が作動させることにより、センタブーム3が昇降移動するようになっている。すなわち、平行リンク機構7は左右一対の平行リンク70、70を備えており、各平行リンク70の基端側のリンク71が走行装置1の前側に固定されているとともに、各平行リンク70の先端側のリンク72にセンタブーム3が固定されており、そして各平行リンク70の上側のリンク73同士および下側のリンク74同士はそれぞれ、中間部において連結部材75により連結されており、下側のリンク74同士を連結している連結部材75の左右方向中央部とセンタブーム3の左右方向中央部との間に、電動シリンダ8が設けられている。
【0023】
電動シリンダ8は、連結部材75およびセンタブーム3とそれぞれ前後方向に回動可能に連結されている。この電動シリンダ8が伸長すると平行リンク機構7が基端側のリンク71を中心に上方に回動し、これに伴ってセンタブーム3が上昇し、一方電動シリンダ8が縮小すると平行リンク機構7が基端側のリンク71を中心に下方に回動し、これに伴ってセンタブーム3が下降する。電動シリンダ8は、運転部14に設置されたトグルスイッチ31により作動させるようになっている。トグルスイッチ31は、一方側(上側)に倒れている時には電動シリンダ8が伸長し、他方側(下側)に倒れている時には電動シリンダ8が縮小し、どちらにも倒していない時には電動シリンダ8が作動せずに停止するようになっている。
【0024】
各サイドブーム4は、センタブーム3の左右の端部に各端部を中心にして略90度の範囲で斜め後方に回動可能に取り付けられており、センタブーム3から一直線状に延びるように位置する開位置(使用位置)と、走行装置1の側部に前後方向に略沿うように位置する閉位置(格納位置)とに開閉移動可能となっている。閉位置において、サイドブーム4は、先端側が基端側よりも少し上方に位置する斜めになるようになっている。左右のサイドブーム4、4はそれぞれ、閉位置において、機体12の前端部に設けられた左右の支持部材(ブーム受け部材)40、40に支持される。
【0025】
サイドブーム4を開閉移動させる開閉移動手段としては、プッシュプルワイヤ9が用いられている。すなわち、各サイドブーム4とセンタブーム3とはそれぞれ、ベルクランク41により回動可能に連結されており、各ベルクランク41と運転部14に設置された左右一対の開閉操作レバー42とがそれぞれ、プッシュプルワイヤ9により連結されている。ベルクランク41とセンタブーム3との間には、サイドブーム4が開位置になるようにベルクランク41を回動させるように付勢する引張コイルばね(付勢手段)43が設けられている。
【0026】
開閉操作レバー42は、前後方向に回動可能に設けられており、一番前側の位置あるときに、サイドブーム4が開位置(図1において点線で示す位置(Oの位置))にあり、開閉操作レバーを引くにつれて、プッシュプルワイヤ9のインナワイヤが後方に引かれてベルクランク41が回動し、これによりサイドブーム4が回動し、次第に閉位置側に移動する。開閉操作レバー42が閉位置(図1において実線で示す位置(Fの位置))になると、サイドブーム4が閉位置になる。
他方、開閉操作レバー42を前側に倒して開閉操作レバー42を閉位置Fから次第に開位置Oにしていくと、ベルクランク41が回動し、サイドブーム4が次第に開位置側に移動する。
【0027】
開閉操作レバー42は、位置決め板(位置決め部材)45によって複数(この例では、O(開位置)、A、B、C、D、E、F(閉位置)の7段階)の位置に保持できるようになっている(図8参照)。すなわち、位置決め板45には、前後方向に延びる左右一対の溝46、46が形成されており、各溝46、46には左右の開閉操作レバー42、42が前後方向に回動可能に挿入されている。そして、各溝46には、所定間隔をおいて7つの凹部が形成されており、これらの凹部に開閉操作レバー42が係止できるようになっている。
【0028】
各開閉操作レバー42の板状の各基端部51は、機体12に設けられた軸52に互いに別個に前後方向に回動可能に取り付けられており、これにより各開閉操作レバー42は、この軸52を中心にしてかつ互いに別個に前後方向に回動可能に設けられている。軸52にはまた、ベルクランク状の検出具53がこの軸51を中心にかつ各開閉操作レバー42とは別個に前後方向に回動可能に設けられている。
【0029】
このく字状の検出具53の後側の腕部54の先端部には、開閉操作レバー42の回動方向と交差するように突出する当接部(検出部)55が設けられており、開閉操作レバー42が後側に所定角度回動したときにこの当接部55に開閉操作レバー42の基端部51の後端部が当接し、これ以降の開閉操作レバー42の回動に伴って検出具53が開閉操作レバー42とともに回動するようになっている。
【0030】
検出具53の前側の腕部56の先端部には、コ字状の金具(当接部材)61が設けられており、この金具61の平行な一対の板状部分には、ロッド62の上端部分がこのロッド62の長手方向に移動可能に挿入されている。このロッド62の金具61から上方に突出している上端部の外側には、有底筒状のドッグ(停止部材)63が挿入され、そしてロッド62に螺合されたナット64により上端から抜け出るのを阻止されている。ドッグ63の底部と金具61との間には、圧縮コイルばね(付勢手段)65が設けられており、ドッグ63と金具61とを離間させる方向に付勢している。この圧縮コイルばね65の付勢力によりドッグ63はナット64に押し付けられている。
【0031】
ロッド62の下端部は、平行リンク機構7の一方(右側)の平行リンク70の上側のリンク73における基端側のリンク71側の端部に前後方向に回動可能に取り付けられている。これにより、平行リンク機構7が上方に回動するとロッド62が検出具53の金具61に対して上方に移動し、平行リンク機構7が下方に回動するとロッド62が検出具53の金具61に対して下方に移動するようになっている。
【0032】
また、検出具53の前側の腕部56の先端部には、ドッグ63の近傍に停止スイッチ67が設置されている。停止スイッチ67は、その接触子69を押されることによりONとなり、これにより電動シリンダ8を停止するようになっている。
【0033】
次に、このブームスプレーヤのブーム装置2の動作について説明する。
左右の開閉操作レバー42が閉位置(Fの位置)にあるとき、すなわちサイドブーム4は閉位置のときで、かつサイドブーム4が支持部材40よりも上側に位置しているときに、トグルスイッチ31を下側に倒すと、電動シリンダ8が縮小して行き、平行リンク機構7が下側に回動し、これによりセンタブーム3がサイドブーム4とともに下降して行く。
そうすると、平行リンク機構7の上側のリンク73の一端に固定されているロッド62が下方に移動するので、検出具53が軸52を中心に前方に回動する。そして、図5に示すように、検出具53の当接部55が閉位置(Fの位置)にある開閉操作レバー42の基端部51に当接し、それ以降の回動を阻止される。
【0034】
そうすると、リンク73とともにロッド62は下方に移動しているので、図7の(a)から(c)に示すように、ドッグ63が圧縮コイルばね65の付勢力に抗して検出具53の金具61に接近して行き、停止スイッチ67の接触子69を押す。停止スイッチ67の接触子69が押されると、停止スイッチ67がONとなり、これにより電動シリンダ8が停止して平行リンク機構7の下側への回動が停止し、センタブーム3の下降が停止する。
なお、左右のサイドブーム4、4のうちの少なくとも一方が閉位置にあれば、センタブーム3の下降移動は停止する。
【0035】
この停止スイッチ67がONとなる位置、すなわちセンタブーム3の下降が停止する位置は、閉位置のサイドブーム4が支持部材40の直上の位置になるように設定されている。
図8に示す開閉操作レバー42のA、B、C、D、E、Fの各位置に対応するサイドブーム4の平面視における各位置は、図9の通りであり、そして開閉操作レバー42のA、B、C、D、E、Fの各位置に対応するセンタブーム3の側面視における各位置は、可動範囲は図10の通りである。なお、図10において、開閉操作レバー42のA、B、C、D、Eの各位置におけるサイドブーム4の位置を、開閉操作レバー42がFの位置になる場合のサイドブーム4と平行に記載してあるが、実際には閉位置(Fの位置)から開位置(Aの位置)に向かうにつれて次第にサイドブーム4は水平になって行く。
【0036】
これらの図から分かるように、開閉操作レバー42がFの位置(閉位置)にあるとき、すなわちサイドブーム4は閉位置のときには、平行リンク機構7は、最上位置(センタブーム3が最上位置)からサイドブーム4が支持部材40の直上の位置になるまで下側に回動し、それ以降の回動は停止スイッチ67により阻止されるようになっている。これにより、サイドブーム4が支持部材40に衝突しないようになっている。
【0037】
また、例えば、開閉操作レバー42がEの位置にあるとき、すなわちサイドブーム4が図9においてEの位置のとき(平面視においてサイドブーム4と車輪11が一部重なっている)には、平行リンク機構7は、最上位置(センタブーム3が最上位置)からサイドブーム4が側面視において車輪11の直上の位置になるまで下側に回動し、それ以降の回動は停止スイッチ67により阻止されるようになっている。これにより、サイドブーム4が車輪11に衝突しないようになっている。
ここで、平行リンク機構(リンク機構)7、検出具53、当接部(検出部)55、金具(当接部材)61、ロッド62、ドッグ(停止部材)63、圧縮コイルばね(付勢手段)65および停止スイッチ67等により、下降移動停止手段80が構成されている。
【0038】
次に、図6に示すように、左右の開閉操作レバー42を閉位置(Fの位置)から開方向に操作すると、開閉操作レバー42の基端部51が検出具53の当接部55から離れるので検出具53が回動できるようになり、このため図7の(c)の状態の検出具53の金具61が圧縮コイルばね65の付勢力によりドッグ63から離れるように移動する。このとき、ロッド62およびドッグ63は動かないで停止している。この検出具53の金具61の移動に伴って検出具53の腕部56に設置された停止スイッチ67もドッグ63から離れる方向に移動し、これにより停止スイッチ67の接触子69がドッグ64により押されなくなり、停止スイッチ67がOFFとなる。これにより、センタブーム3(およびサイドブーム4)をさらに下降させることが可能になる。開閉操作レバー42のA、B、C、D、Eの各位置における下降可能範囲は、上述したように、図10に示す通りである。
【0039】
次に、図10の一点鎖線で示すように、平行リンク機構7が最下位置(センタブーム3が最下位置)で開閉操作レバー42が開位置(Oの位置)にあるときに、開閉操作レバー42を閉方向に回動すると、この開閉操作レバー42の基端部51が検出具53の当接部55に当接し、これにより検出具53が圧縮コイルばね65の付勢力に抗して開閉操作レバー42とともに回動する。この検出具53の回動に伴って、検出具53の金具61がドッグ63に当接すると、それ以降の検出具53の回動が阻止され、これに伴い開閉操作レバー42の回動が阻止される。これにより、サイドブーム4の閉移動が停止する。検出具53の金具61がドッグ63に当接する位置は、開閉操作レバー42がAの位置であり、したがって図9に示すように、サイドブーム4が車輪11に衝突する前にサイドブーム4の閉回動を停止する。
ここで、平行リンク機構(リンク機構)7、検出具53、当接部(検出部)55、金具(当接部材)61、ロッド62、ドッグ(停止部材)63、圧縮コイルばね(付勢手段)65等により、閉移動阻止手段81が構成されている。
【0040】
また、サイドブーム4を閉位置にする場合には、図10において平行リンク機構7をFの範囲にまで上側に回動させる(上昇させる)。このようにすると、ロッド62が上方に移動し、これに伴いドッグ63が検出具53の金具61から十分離間するので、金具61がドッグ63に当接することなく、開閉操作レバー42を閉位置(Fの位置)まで回動させることができる。
このように、平行リンク機構7を上昇させるにつれて、検出具53の金具61がドッグ63に当接することなく、開閉操作レバー42を閉方向に移動させることができ、これによりサイドブーム4をより閉じることができるようになる。
【0041】
このように構成されたブームスプレーヤにあっては、開閉操作レバー42が所定の位置にあり、したがってサイドブーム4が所定角度閉じた位置にあるとき、平行リンク機構7を電動シリンダ8により下側に回動移動させて、センタブーム3をサイドブームとともに下降させると、検出具53の当接部(検出部)55が開閉操作レバー42に当接し(開閉操作レバー42の位置を検出し)、この当接に基づいて(この検出結果に基づいて)、停止スイッチ67をONにし(作動させ)、サイドブーム3が所定高さ位置で停止するようにセンタブーム3の下降移動を停止させる。したがって、サイドブーム4が所定角度閉じた位置にあるときに、センタブーム3(およびサイドブーム4)を下降させても、サイドブーム4がサイドブーム4の支持部材40や走行装置1の車輪11等に衝突する前に、自動的にセンタブーム3(およびサイドブーム4)の下降を停止させることができる。このように、ブーム装置2の操作が簡単になるとともに、誤操作によるサイドブーム4あるいは支持部材40の破損を防止することができる。
【0042】
また、このようにして、センタブーム3(およびサイドブーム4)の下降が停止した後に、開閉操作レバー42を開方向に操作すると、開閉操作レバー42が検出具53の当接部55から離れて検出具53が回動できるようになり、これにより検出具53の金具61が圧縮コイルばね65の付勢力によりドッグ63から離れるので、停止スイッチ67がOFFとなり、このためセンタブーム3(およびサイドブーム4)をさらに下降させることが可能になる。したがって、センタブーム3(およびサイドブーム4)の下降が自動的に停止したときは、開閉操作レバー42をさらに開方向の所定の位置にすると、センタブーム3(およびサイドブーム4)をさらに下降させることができる。
【0043】
また、平行リンク機構7が最下位置(センタブーム3が最下位置)で開閉操作レバー42が開位置(Oの位置)にあるときに、開閉操作レバー42を閉方向に回動すると、この開閉操作レバー42が検出具53の当接部55に当接し、検出具53を回動させて、これにより検出具53の金具61がドッグ63に当接し、それ以降の検出具53の回動が阻止されるので、開閉操作レバー42の回動が阻止され、このためサイドブーム4の閉移動が停止する。このとき、検出具53の金具61がドッグ63に当接する位置は、サイドブーム4が車輪11に衝突する前にサイドブーム4の閉回動を停止するような位置になっているので、サイドブーム4の破損を防止できる。
【0044】
また、平行リンク機構7を十分に上側に回動させる(上昇させる)と、ロッド62が上方に移動し、これによりドッグ63が検出具53の金具61から十分離間するので、金具61がドッグ63に当接することなく、開閉操作レバー42を閉位置(Fの位置)まで回動させることができるため、サイドブーム4を閉位置にすることができる。
このように、平行リンク機構7を上昇させるにつれて、検出具53の金具61がドッグ63に当接することなく、開閉操作レバー42を閉方向に移動させることができるので、サイドブーム4をより閉じることができる。
【0045】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
本実施の形態では、図11および図12に示すように、検出具53の前側の腕部56の先端部のドッグ63の近傍に、起動スイッチ90が設置されている。起動スイッチ90は、停止スイッチ67と反対側に設けられている。この起動スイッチ90は、接触子91が押されることでONとなる。また、本実施の形態の配線図は、図13に示す通りであり、電動シリンダ8は、A側がマイナスでB側がプラスのときに、伸長するようになっている。また、コイルが通電の時に、リレーに付いているスイッチが入るようになっている。電動シリンダ8は、トグルスイッチ31により縮小しているときに、停止スイッチ67がONになると停止し、トグルスイッチ31がOFFのときに、起動スイッチがONになると、電動シリンダ8が伸長するようになっている。また、コイルが通電の時に、リレーに付いているスイッチが入るようになっている。本実施の形態のその他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0046】
このブームスプレーヤにおいては、サイドブーム4を開位置から閉じるために、開閉操作レバー42を図14に示す開位置(Oの位置)から図15に示すように閉方向に回動させると、サイドブーム4が車輪11に衝突する高さ位置にある場合に、サイドブーム4が車輪11に衝突する直前に、図15に示すように、開閉操作レバー42の基端部51が検出具53の当接部55を押して、検出具52を軸52を中心に後方に回動させる。これにより、図11から図12に示すように、検出具53の金具61、停止スイッチ67および起動スイッチ90が圧縮コイルばね65の付勢力に抗してドッグ63に接近して行き、そして検出具53の金具61がドッグ63に当接するとともに、ドッグ63が停止スイッチ67の接触子69および起動スイッチ90の接触子91を押す。停止スイッチ67の接触子69および起動スイッチ90の接触子91が押されると、停止スイッチ67および起動スイッチ90がONとなる。そうすると、電動シリンダ8が伸長して、平行リンク機構7を上側に回動させて、センタブーム3およびサイドブーム4を上昇させ、これによりサイドブーム4が車輪11に衝突するのを回避する。サイドブーム4が車輪11に衝突する直前に、開閉操作レバー42の基端部51が検出具53の当接部55を押して、ドッグ63が停止スイッチ67および起動スイッチ90がONとなるように、各部材の位置関係が設定されている。
【0047】
開閉操作レバー42を閉位置(Fの位置)まで回動してサイドブーム4が閉位置になると、開閉操作レバー42の基端部51が検出具53の当接部55を押さなくなるので、検出具53の後方への回動が停止する。一方、平行リンク機構7は上側に回動しているので、ロッド62が停止している検出具53の金具61に対して上方に移動し、これによりドッグ63が金具61から離間する。そうすると、起動スイッチ90の接触子91がドッグ63で押されなくなり、起動スイッチ90がOFFとなる。これにより、電動シリンダ8が停止し、平行リンク機構7の上側への回動が停止し、センタブーム3およびサイドブーム4の上昇が停止する。
ここで、平行リンク機構(リンク機構)7、検出具53、当接部(検出部)55、金具(当接部材)61、ロッド62、ドッグ(停止部材)63、圧縮コイルばね(付勢手段)65および起動スイッチ90等により、上昇移動開始手段95が構成されている。
【0048】
このブームスプレーヤにあっては、上昇移動開始手段95を設けたので、サイドブーム4を開位置から閉じる操作をしたときに、開閉操作レバー42の位置を検出し、サイドブーム4が走行装置1の車輪11に衝突する高さ位置にある場合には、サイドブーム4が車輪11に衝突しない高さ位置まで平行リンク機構7を上側に自動的に回動させることができる。
【0049】
また、サイドブーム4が閉位置になると、起動スイッチ90がOFFとなるので、平行リンク機構7の上側への回動を自動的に停止できて、センタブーム3(およびサイドブーム4)の上昇を自動的に停止することができる。
【0050】
したがって、開閉操作レバー42が開位置にあるときに、開閉操作レバー42を閉位置にすると、サイドブーム4が閉位置になるまで閉じて行く間、サイドブーム4が車輪11等に衝突しないように自動的に平行リンク機構7を上側に回動させて、自動的にセンタブーム3(およびサイドブーム4)を上昇させ、そしてサイドブーム4が閉位置になると、自動的にセンタブーム3(およびサイドブーム4)の上昇が停止する。
このように、サイドブーム4を閉じると走行装置1の車輪等に衝突する高さ位置にサイドブーム4が位置していても、開閉操作レバー42を閉位置にするという1回の操作で、サイドブーム4を走行装置1の車輪等に衝突させることなく、サイドブーム4を閉位置にすることができる。
【0051】
なお、上述の各実施の形態では、ブーム装置2を走行装置1の前側に設けるようにしたが、後側など他の場所でもよい。
また、上述の各実施の形態では、サイドブーム4は左右両側に設けるようにしたが、一方側だけに設けるようにしてもよい。
また、上述の各実施の形態では、センタブーム3を昇降移動させる昇降移動手段としては、電動シリンダ8を用いたが、油圧シリンダ等の他のアクチュエータを用いた他の動力式でもよい。
また、上述の各実施の形態では、サイドブーム4を開閉(回動)移動させる開閉移動手段としては、プッシュプルワイヤ9を用いたが、ロッド等を用いた他の手動式としてもよいし、あるいはシリンダ等のアクチュエータを用いた動力式としてもよい。
【0052】
また、上述の実施の形態では、平行リンク機構(リンク機構)7、検出具53、当接部(検出部)55、金具(当接部材)61、ロッド62、ドッグ(停止部材)63、圧縮コイルばね(付勢手段)65および停止スイッチ67等により、下降移動停止手段80を構成したが、これに限らず、下降移動停止手段80を別の構成としてもよい。例えば、下降移動停止手段80を、サイドブーム4が閉位置にあることを検出するサイドブーム位置検出手段と、センタブーム3の位置を検出するセンタブーム位置検出手段と、これらのサイドブーム位置検出手段およびセンタブーム位置検出手段の検出結果に基づいて、サイドブーム4が閉位置にあるときにセンタブーム3を下降移動させた場合に、センタブーム3が所定位置になると昇降移動手段によるセンタブーム3の下降移動を停止させる停止手段等により構成するようにしてもよい。また、サイドブーム位置検出手段は、開閉操作レバー42の位置からサイドブーム4の位置を検出するようにしてもよい。
【0053】
また、上述の実施の形態では、平行リンク機構(リンク機構)7、検出具53、当接部(検出部)55、金具(当接部材)61、ロッド62、ドッグ(停止部材)63、圧縮コイルばね(付勢手段)65等により、閉移動阻止手段81を構成するようにしたが、これに限らず、閉移動阻止手段81を別の構成としてもよい。例えば、閉移動阻止手段81を、センタブーム3が最下位置にあることを検出するセンタブーム位置検出手段と、このセンタブーム位置検出手段の検出結果に基づいて、センタブーム3が最下位置にあるときに開閉移動手段9によるサイドブーム4の閉移動を停止させる停止手段等により構成するようにしてもよい。
【0054】
また、上述の実施の形態では、平行リンク機構(リンク機構)7、検出具53、当接部(検出部)55、金具(当接部材)61、ロッド62、ドッグ(停止部材)63、圧縮コイルばね(付勢手段)65および起動スイッチ90等により、上昇移動開始手段95を構成したが、これに限らず、上昇移動開始手段95を別の構成としてもよい。例えば、上昇移動開始手段95を、サイドブーム4の位置を検出するサイドブーム位置検出手段と、このサイドブーム位置検出手段の検出結果に基づいて、開閉移動手段9によりサイドブーム4が開位置から閉位置に移動するときに、サイドブーム4が所定位置になると昇降移動手段8によるセンタブーム(3)の上昇移動を開始させる開始手段等により構成するようにしてもよい。また、サイドブーム位置検出手段は、開閉操作レバー42の位置からサイドブーム4の位置を検出するようにしてもよい。
【0055】
また、上述の各実施の形態では、本発明を自走式ブームスプレーヤに適用した場合について説明したが、搭載式やけん引式や車載式等の他の形式のブームスプレーヤにも適用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 走行装置
2 ブーム装置
3 センタブーム
4 サイドブーム
5 ノズル
7 平行リンク機構(リンク機構)
8 電動シリンダ(昇降移動手段)
9 プッシュプルワイヤ(開閉移動手段)
42 開閉操作レバー
53 検出具
55 当接部(検出部)
61 金具(当接部材)
62 ロッド
63 ドッグ(停止部材)
65 圧縮コイルばね(付勢手段)
67 停止スイッチ
80 下降移動停止手段
81 閉移動阻止手段
90 起動スイッチ
95 上昇移動開始手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能な走行装置(1)と、
この走行装置(1)に、この走行装置(1)の左右方向に平行に配置されかつ昇降移動可能に設けられるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたセンタブーム(3)と、
このセンタブーム(3)の左右端部の少なくとも一方に設けられ、かつ、このセンタブーム(3)から一直線状に延びるように位置する開位置と、前記走行装置(1)の前後方向に略沿うように位置する閉位置との間で開閉移動可能であるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたサイドブーム(4)と、
前記センタブーム(3)を昇降移動させる昇降移動手段(8)と、
前記サイドブーム(4)を開閉移動させる開閉移動手段(9)とを備えたブームスプレーヤにおいて、
前記サイドブーム(4)が閉位置から所定開度の位置の範囲にあるときに前記昇降移動手段(8)により前記センタブーム(3)を下降移動させた場合に、前記センタブーム(3)が所定位置になると前記昇降移動手段(8)による前記センタブーム(3)の下降移動を停止させる下降移動停止手段(80)を備えていることを特徴とするブームスプレーヤ。
【請求項2】
走行可能な走行装置(1)と、
この走行装置(1)に、この走行装置(1)の左右方向に平行に配置されかつ昇降移動可能に設けられるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたセンタブーム(3)と、
このセンタブーム(3)の左右端部の少なくとも一方に設けられ、かつ、このセンタブーム(3)から一直線状に延びるように位置する開位置と、前記走行装置(1)の前後方向に略沿うように位置する閉位置との間で開閉移動可能であるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたサイドブーム(4)と、
前記センタブーム(3)を昇降移動させる昇降移動手段(8)と、
前記サイドブーム(4)を開閉移動させる開閉移動手段(9)と、
前記サイドブーム(4)の閉位置および開位置に対応する閉位置および開位置の操作位置の間を回動操作されることにより、前記開閉移動手段(9)を操作する開閉操作レバー(42)とを備えたブームスプレーヤにおいて、
前記開閉操作レバー(42)が閉位置から所定回動した位置の範囲にあるときに前記昇降移動手段(8)により前記センタブーム(3)を下降移動させた場合に、前記センタブーム(3)が所定位置になると前記昇降移動手段(8)による前記センタブーム(3)の下降移動を停止させる下降移動停止手段(80)を備えていることを特徴とするブームスプレーヤ。
【請求項3】
走行可能な走行装置(1)と、
この走行装置(1)に、この走行装置(1)の左右方向に平行に配置されかつ昇降移動可能に設けられるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたセンタブーム(3)と、
このセンタブーム(3)の左右端部の少なくとも一方に設けられ、かつ、このセンタブーム(3)から一直線状に延びるように位置する開位置と、前記走行装置(1)の前後方向に略沿うように位置する閉位置との間で開閉移動可能であるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたサイドブーム(4)と、
前記センタブーム(3)を昇降移動させる昇降移動手段(8)と、
前記サイドブーム(4)を開閉移動させる開閉移動手段(9)とを備えたブームスプレーヤにおいて、
前記センタブーム(3)が最下位置から所定高さ位置の範囲にあるときに前記開閉移動手段(9)による前記サイドブーム(4)の閉移動を阻止する閉移動阻止手段(81)を備えていることを特徴とするブームスプレーヤ。
【請求項4】
走行可能な走行装置(1)と、
この走行装置(1)に、この走行装置(1)の左右方向に平行に配置されかつ昇降移動可能に設けられるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたセンタブーム(3)と、
このセンタブーム(3)の左右端部の少なくとも一方に設けられ、かつ、このセンタブーム(3)から一直線状に延びるように位置する開位置と、前記走行装置(1)の前後方向に略沿うように位置する閉位置との間で開閉移動可能であるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたサイドブーム(4)と、
前記センタブーム(3)を昇降移動させる昇降移動手段(8)と、
前記サイドブーム(4)を開閉移動させる開閉移動手段(9)とを備えたブームスプレーヤにおいて、
前記開閉移動手段(9)により前記サイドブーム(4)が開位置から閉位置に移動するときに、前記サイドブーム(4)が所定位置になると前記昇降移動手段(8)による前記センタブーム(3)の上昇移動を開始させる上昇移動開始手段(95)を備えていることを特徴とするブームスプレーヤ。
【請求項5】
走行可能な走行装置と、
この走行装置(1)に、この走行装置(1)の左右方向に平行に配置されかつ昇降移動可能に設けられるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル85)が設置されたセンタブーム(3)と、
このセンタブーム(3)の左右端部の少なくとも一方に設けられ、かつ、このセンタブーム(3)から一直線状に延びるように位置する開位置と、前記走行装置(1)の前後方向に略沿うように位置する閉位置との間で開閉移動可能であるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたサイドブーム(4)と、
前記センタブーム(3)を昇降移動させる昇降移動手段(8)と、
前記サイドブーム(4)を開閉移動させる開閉移動手段(9)と、
前記サイドブーム(4)の閉位置および開位置に対応する閉位置および開位置の操作位置の間を回動操作されることにより、前記開閉移動手段(9)を操作する開閉操作レバー(42)とを備えたブームスプレーヤにおいて、
前記開閉移動手段(9)により前記サイドブーム(4)が開位置から閉位置に移動するときに、前記開閉操作レバー(42)が所定位置になると前記昇降移動手段(8)による前記センタブーム(3)の上昇移動を開始させる上昇移動開始手段(95)を備えていることを特徴とするブームスプレーヤ。
【請求項1】
走行可能な走行装置(1)と、
この走行装置(1)に、この走行装置(1)の左右方向に平行に配置されかつ昇降移動可能に設けられるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたセンタブーム(3)と、
このセンタブーム(3)の左右端部の少なくとも一方に設けられ、かつ、このセンタブーム(3)から一直線状に延びるように位置する開位置と、前記走行装置(1)の前後方向に略沿うように位置する閉位置との間で開閉移動可能であるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたサイドブーム(4)と、
前記センタブーム(3)を昇降移動させる昇降移動手段(8)と、
前記サイドブーム(4)を開閉移動させる開閉移動手段(9)とを備えたブームスプレーヤにおいて、
前記サイドブーム(4)が閉位置から所定開度の位置の範囲にあるときに前記昇降移動手段(8)により前記センタブーム(3)を下降移動させた場合に、前記センタブーム(3)が所定位置になると前記昇降移動手段(8)による前記センタブーム(3)の下降移動を停止させる下降移動停止手段(80)を備えていることを特徴とするブームスプレーヤ。
【請求項2】
走行可能な走行装置(1)と、
この走行装置(1)に、この走行装置(1)の左右方向に平行に配置されかつ昇降移動可能に設けられるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたセンタブーム(3)と、
このセンタブーム(3)の左右端部の少なくとも一方に設けられ、かつ、このセンタブーム(3)から一直線状に延びるように位置する開位置と、前記走行装置(1)の前後方向に略沿うように位置する閉位置との間で開閉移動可能であるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたサイドブーム(4)と、
前記センタブーム(3)を昇降移動させる昇降移動手段(8)と、
前記サイドブーム(4)を開閉移動させる開閉移動手段(9)と、
前記サイドブーム(4)の閉位置および開位置に対応する閉位置および開位置の操作位置の間を回動操作されることにより、前記開閉移動手段(9)を操作する開閉操作レバー(42)とを備えたブームスプレーヤにおいて、
前記開閉操作レバー(42)が閉位置から所定回動した位置の範囲にあるときに前記昇降移動手段(8)により前記センタブーム(3)を下降移動させた場合に、前記センタブーム(3)が所定位置になると前記昇降移動手段(8)による前記センタブーム(3)の下降移動を停止させる下降移動停止手段(80)を備えていることを特徴とするブームスプレーヤ。
【請求項3】
走行可能な走行装置(1)と、
この走行装置(1)に、この走行装置(1)の左右方向に平行に配置されかつ昇降移動可能に設けられるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたセンタブーム(3)と、
このセンタブーム(3)の左右端部の少なくとも一方に設けられ、かつ、このセンタブーム(3)から一直線状に延びるように位置する開位置と、前記走行装置(1)の前後方向に略沿うように位置する閉位置との間で開閉移動可能であるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたサイドブーム(4)と、
前記センタブーム(3)を昇降移動させる昇降移動手段(8)と、
前記サイドブーム(4)を開閉移動させる開閉移動手段(9)とを備えたブームスプレーヤにおいて、
前記センタブーム(3)が最下位置から所定高さ位置の範囲にあるときに前記開閉移動手段(9)による前記サイドブーム(4)の閉移動を阻止する閉移動阻止手段(81)を備えていることを特徴とするブームスプレーヤ。
【請求項4】
走行可能な走行装置(1)と、
この走行装置(1)に、この走行装置(1)の左右方向に平行に配置されかつ昇降移動可能に設けられるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたセンタブーム(3)と、
このセンタブーム(3)の左右端部の少なくとも一方に設けられ、かつ、このセンタブーム(3)から一直線状に延びるように位置する開位置と、前記走行装置(1)の前後方向に略沿うように位置する閉位置との間で開閉移動可能であるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたサイドブーム(4)と、
前記センタブーム(3)を昇降移動させる昇降移動手段(8)と、
前記サイドブーム(4)を開閉移動させる開閉移動手段(9)とを備えたブームスプレーヤにおいて、
前記開閉移動手段(9)により前記サイドブーム(4)が開位置から閉位置に移動するときに、前記サイドブーム(4)が所定位置になると前記昇降移動手段(8)による前記センタブーム(3)の上昇移動を開始させる上昇移動開始手段(95)を備えていることを特徴とするブームスプレーヤ。
【請求項5】
走行可能な走行装置と、
この走行装置(1)に、この走行装置(1)の左右方向に平行に配置されかつ昇降移動可能に設けられるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル85)が設置されたセンタブーム(3)と、
このセンタブーム(3)の左右端部の少なくとも一方に設けられ、かつ、このセンタブーム(3)から一直線状に延びるように位置する開位置と、前記走行装置(1)の前後方向に略沿うように位置する閉位置との間で開閉移動可能であるとともに、その長手方向に沿って複数個のノズル(5)が設置されたサイドブーム(4)と、
前記センタブーム(3)を昇降移動させる昇降移動手段(8)と、
前記サイドブーム(4)を開閉移動させる開閉移動手段(9)と、
前記サイドブーム(4)の閉位置および開位置に対応する閉位置および開位置の操作位置の間を回動操作されることにより、前記開閉移動手段(9)を操作する開閉操作レバー(42)とを備えたブームスプレーヤにおいて、
前記開閉移動手段(9)により前記サイドブーム(4)が開位置から閉位置に移動するときに、前記開閉操作レバー(42)が所定位置になると前記昇降移動手段(8)による前記センタブーム(3)の上昇移動を開始させる上昇移動開始手段(95)を備えていることを特徴とするブームスプレーヤ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−11312(P2012−11312A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150416(P2010−150416)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000141174)株式会社丸山製作所 (134)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000141174)株式会社丸山製作所 (134)
【Fターム(参考)】
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