説明

プラズマ処理システム内でプラズマの閉じ込め状態を検出するための方法および装置

【課題】
【解決手段】容量結合RF駆動プラズマ処理チャンバ内でプラズマ閉じ込めの状態の変化を検出するための方法およびシステムが開示されている。1または複数の実施形態において、プラズマ非閉じ込め検出方法は、静電チャック(ESC)の形態の電力供給された電極におけるRF電圧と、ESCへのウエハの固定に関与する電源(PSU)の開ループ応答とを能動的にポーリングできるアナログまたはデジタル回路を用いる。その回路は、ESCに供給されるRF電圧の変化およびPSUの開ループ応答の変化の両方を検出する手段を提供する。これらの電気信号を同時に監視することにより、開示されているアルゴリズムは、閉じ込め状態から非閉じ込め状態へプラズマが変化した時点を検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体製品の製造において、基板(例えば、半導体ウエハ)は、半導体デバイスを作り出すために、様々な層に対して蒸着、エッチング、および、研磨を連続的に行うことによって処理される。半導体業界では、RF(高周波)駆動プラズマを利用して、基板から材料をドライエッチングするのが一般的な方法である。プラズマエッチング処理の際、処理対象の基板の処理効率および歩留まりを向上させるためにプラズマの安定性および均一性を制御することが最重要である。これは、様々な方法によって実現されうる。その1つは、プラズマチャンバ内の機械的および電気的要素を用いてプラズマ形成を制御することによって、所望の処理領域にプラズマを閉じ込める方法である。これらの構成は当業者に周知であるため、本明細書ではこれ以上詳しく述べない。
【0002】
プラズマ閉じ込めは十分に理解された技術であるが、閉じ込められたプラズマがプラズマチャンバ内で非閉じ込め状態に変化した時点を検出する必要がある。非閉じ込めプラズマは、粒子状汚染物質とプラズマの不均一性とを引き起こし、処理対象の基板の歩留まりの低下および/またはプラズマ処理システムへの損傷につながりうる。プラズマ閉じ込めの変化を検出するための現行の方法は、静電チャック(ESC:electro-static chuck)の外側リングに取り付けられ、プラズマと直接接触する炭化ケイ素ピンを用いる。1998年4月7日発行の米国特許第5,737,177号が、かかる方法を開示している。この機器は、プラズマシース電位のDC測定値を提供することによってプラズマ閉じ込めの変化を検出する比較的信頼性の高い手段を提供しているが、頻繁に交換の必要がある消耗部品であり、高RF電力ではプラズマの不均一性を引き起こす場合があり、粒子状汚染物質の問題を引き起こしうる。プラズマ閉じ込めの変化を検出するための別の方法は、OES技術(発光分光法:Optical Emission Spectroscopy)を利用したものである。しかしながら、OES信号の監視は極度に複雑であり、プラズマ閉じ込め事象を検出する方法としては、しばしば信頼性が低いことがわかっている。
【0003】
したがって、プラズマ処理システム内で非閉じ込めプラズマ事象を検出するための代替方法および構成が望まれる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
添付の図面では、限定ではなく例示を目的として本発明を図示する。なお、これらの添付図面においては、同様の構成要素には同様の符号が付されている。
【0005】
【図1】本発明の一実施形態に従って、閉じ込められた多周波容量性RFプラズマを生成するためのシステム構成の一例を示す図。
【0006】
【図2】本発明の一実施形態に従って、図1のRF要素を単純化した回路を示す図。
【0007】
【図3】本発明の一実施形態に従って、ESC極電圧とプラズマ閉じ込めの状態との相関関係を示す図。
【0008】
【図4】本発明の一実施形態に従って、プラズマ非閉じ込め検出技術を実行するアルゴリズムの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、添付図面に例示されたいくつかの実施形態を参照しつつ、本発明の詳細な説明を行う。以下の説明では、本発明の完全な理解を促すために、数多くの具体的な詳細事項が示されている。しかしながら、当業者にとって明らかなように、本発明は、これらの具体的な詳細事項の一部または全てがなくとも実施することが可能である。また、本発明が不必要に不明瞭となるのを避けるため、周知の処理工程および/または構造については、詳細な説明を省略した。
【0010】
1または複数の実施形態において、容量結合RF駆動プラズマ処理チャンバ内のプラズマ閉じ込めの状態の変化を検出するための方法および装置が開示されている。1または複数の実施形態において、プラズマ非閉じ込め検出方法は、静電チャック(ESC)の形態の電力供給された電極におけるRF電圧と、ESCへのウエハの固定に関与するバイアス電源(PSU)の開ループ応答とを能動的にポーリングできるアナログおよび/またはデジタル回路を用いる。本発明の実施形態は、ESCに供給されるRF電圧の変化およびPSUの開ループ応答の変化の両方の検出を容易にする。これらの電気信号を同時に監視することにより、開示されている技術は、閉じ込め状態から非閉じ込め状態へプラズマが変化した時点を検出することができる。
【0011】
本発明の1または複数の実施形態では、ESCに供給されるRF電圧(RF_VDT_ESC)およびDCバイアスESC電源の開ループ応答(OLR_DC_BIAS)の両方の変化率(導関数)および任意選択的に変化量が検査される。RF_VDT_ESCの変化率が正の値であり、OLR_DC_BIASの変化率が負の値であるレジームでは、異常状態の警告がトリガされる。プラズマ非閉じ込め事象を示すと予め経験的に決定されている特定の閾値を変化の大きさが上回った場合、1または複数の実施形態では、プラズマ非閉じ込め条件が起きたと見なされ、非閉じ込め警告信号が生成される。
【0012】
より詳細には、プラズマが閉じ込め状態から非閉じ込め状態に変化した時に、RF電圧パラメータを用いて算出されたESCバイアス値が実際のプラズマシース電圧に反比例したということが発見されている。システムをさらに検討すると、プラズマが閉じ込め状態から非閉じ込め状態に変化した時に、ESC極の基準電圧の駆動に関与するESC電源ユニット(PSU)DC/DCブリックの開ループ応答が、上昇したプラズマシース電圧の反射を振動させることが発見された。
【0013】
図1は、閉じ込められた多周波容量性RFプラズマを生成するためのシステム構成の一例であり、電力供給される電極は双極ESCである。プラズマは、さらに、1組の環状石英リングによって閉じ込められており、リングは、ガスの流れを制御することによって、プラズマが存在する空間を制御する。
【0014】
プラズマ処理システム100は、3つのRF電源102、104、および、106が整合回路網110を介してESCチャック108にRF電圧を印加する多周波容量結合プラズマ処理システムである。図1の例では、3つのRF周波数(2MHz、27MHz、および、60MHz)が用いられているが、任意の数および範囲の周波数が用いられてよい。
【0015】
ESC108は、2つの極すなわち陽極120および陰極122を有する双極ESCである。ESC PSU 126は、それぞれ、導電体128および130を介して極120および122にクランプ電圧を供給する。中央タップ140は、ESC108のDC電位を駆動して、ESC108のDC電位をバイアスする。
【0016】
コンデンサ分配器網150(コンデンサ152および154を含む)ならびにRF電圧プローブ156は、ESCバイアス設定点信号を導出するために用いられ、その信号は、ESC108に供給されるESCバイアスを制御するために、フィードバック信号としてESC PSU126に入力される。RF電圧プローブ156に関するさらなる詳細については、John Valcore, Jr.によって2010年2月10日に出願され、本願の権利者が所有する米国仮特許出願第61/303,628号「BIAS COMPENSATION APPARATUS AND METHODS THEREFOR」、および、John Valcore, Jr.によって2009年11月19日に出願され、本願の権利者が所有する米国仮特許出願第61/262,886号「METHOD AND DEVICE FOR COMPENSATING WAFER BIAS IN A RF DRIVEN PLASMA CHAMBER」に開示されており、いずれも参照によって本明細書に組み込まれる。
【0017】
後述するように、このフィードバックループに固有の遅延により、プラズマ非閉じ込め事象が起こった時に中央タップ140で検出可能な瞬間的な応答が存在する。この瞬間的な、基本的に開ループの応答は、短時間であり、RF電力プローブ156からのフィードバック信号が補償しうる前に生じる。ESC PSU125(OLR_DC_BIAS)のこの瞬間的な開ループ応答の変化率および任意選択的に変化量を監視することによって、プラズマ非閉じ込め事象を示す2つの指標の一方が検出されうる。プラズマ非閉じ込め事象を示す2つの指標の他方は、上述のように、ESCチャック108に供給されるRF電圧の変化率および任意選択的に変化量である。
【0018】
図1の説明を補完すると、電力供給された電極168上にウエハが典型的に配置されており、電極168は、ESCチャック108の上方に配置されている。処理中、バルクプラズマ170がウエハの上方に形成され、1組の閉じ込めリング172および上側接地電極174によって閉じ込められる。
【0019】
プラズマが閉じ込め状態から非閉じ込め状態へ移行した時にESCチャックに供給されるRF電圧の変化率および量が増大することが発見されている。図2は、図1のRF要素を単純化した回路を示す。図1のインピーダンス整合回路網110および独立したRF電源(102、104、および、106)は、図2の1つのRF電源202に統合されている。図1の電力供給される電極168、接地電極174、および、プラズマ閉じ込めリング172は、電力供給される電極168を示す極板210aと、接地電極174を示す極板210bとを備えた単純な可変コンデンサ210によって表されている。
【0020】
チャンバの静電容量が電極の表面積の一次関数であり、閉じ込めリングがチャンバ内で利用される有効表面積を制御するとすれば、図1の容量性チャンバの等価電気回路の一次近似は、誘導および抵抗回路要素を無視することによって図2のように単純化することができる。この単純化された回路は、プラズマインピーダンス、ESCチャックに供給されるRF電圧の大きさ、および、プラズマ閉じ込めの状態の間の相関関係を示すために利用可能である。
【0021】
RF電力が電圧の関数であり、プラズマインピーダンスが電圧およびチャンバの静電容量の関数であるとすれば、RF電力が一定であり、プラズマが閉じ込め状態から非閉じ込め状態へ移行することによって接地面積を増大させた時にチャンバの静電容量が増大した場合には、ESCチャックに供給されるRF電圧は減少する。一定のRF電力に対するRF電圧と接地面積との間のこの相関は、プラズマ閉じ込めの変化を検出する際の基本的な要素を提供する。
【0022】
より詳細には、静電容量は以下のように定義される:
【0023】
C=K*E*A/D 式1
【0024】
ここで、Cは静電容量、Kは電極の誘電率、Eは自由空間の誘電率、Aは電極の面積、Dは電極間の距離である。
【0025】
閉じ込め状態では、閉じ込めリングは、プラズマを抑制することによって静電容量を抑えるため、電極間で電流が流れる表面積を制限する。非閉じ込めプラズマは、面積Aの増大を引き起こす。Aが増大すると、静電容量Cも式1に従って増大する。
【0026】
理想的なコンデンサについて、インピーダンスは以下のように定義される:
【0027】
Z=SQRT(R^2+(1/(2*Pi*f*C)^2) 式2
【0028】
ここで、R=0、Piは数学定数、fはRF電源の周波数、Cは静電容量である。fが一定である場合、ZがCに反比例することが式2からわかる。
【0029】
電力供給は、以下の式3に従う。
【0030】
P=I*V*cosθ 式3
【0031】
ここで、Pは電力、Iは電流、Vは電圧、θはVおよびIの間の位相である。
【0032】
供給されるRF電力は、インピーダンスの関数である。
【0033】
Z=V/I 式4
【0034】
ここで、Zはインピーダンス、Vは電圧、Iは電流である。
【0035】
R=0の場合、Zは、1/(2*Pi*f*C)と単純化されうる(上記の式2を参照)。
【0036】
Zが近似的に1/(2*Pi*f*C)であるとすれば、式4から以下の式が得られる:
【0037】
1/(2*Pi*f*C)=V/I 式5
【0038】
C=K*E*A/D(式1参照)なので、非閉じ込めプラズマ事象によってAが増大すると、Cは増大し、Zは減少する。
【0039】
さらに、P=I*V*cosθ(式3参照)なので、Pが一定かつθが一定である場合、Cが増大すれば、Vは減少し、Iは増大する。
【0040】
したがって、図2および図2に関連する説明からわかるように、閉じ込めプラズマ状態から非閉じ込めプラズマ状態への移行は、ESCに供給されるRF電圧の増大(正の導関数)を伴う。ESCに供給されるRF電圧のこの増大の検出は、提案されている非閉じ込めプラズマ検出方法における一状態を示すものである。必要に応じて、誤検出を減らすように、大きさの閾値または大きさの変化の閾値が確立されうる。
【0041】
ESCに供給されるRF電圧とプラズマ閉じ込め状態との相関関係に加えて、ESC極電圧とプラズマ閉じ込め状態との間に別の基本的な相関関係が存在することが発見されている。図3は、1または複数のESC極電圧とプラズマ閉じ込め状態との間の相関関係を示す図である。図3のこの単純化したDC等価回路には、極板302a(ESCクランプ電極を表す)および極板302b(ウエハを表す)を含む平行板コンデンサ302が示されている。平行板コンデンサ302は、ESC極とプラズマシースとの間に形成されており、セラミックおよびウエハが2つの極板の間の誘電体を形成する。
【0042】
ESC極はDC電源310によって駆動され、シース電圧はDC源として機能するプラズマの関数である。接地された電極の電圧に対する電力供給された電極の電圧の比が、電力供給された電極の面積に対する接地された電極の面積の比に等しい(その比がDCおよびRFの両方に当てはまる)とすると、接地電極の面積が非閉じ込めプラズマ事象の発生によって増大し、電力供給された電極の面積が一定のままである場合には、シース電圧が増大する。
【0043】
図3において、ESC極でのDC電圧は、ESC PSU310によって供給される電圧、反対側の極における電荷、および、2つの極によって形成された静電容量の関数である。プラズマが閉じ込め状態から非閉じ込め状態へ変化するとシース電圧が増大し、極の間の静電容量は一定のままであるため、ESC極は、シース電圧によって帯電される。この帯電効果は、プラズマが非閉じ込め状態になる時のESC PSU310のインパルス応答に見ることができる。
【0044】
特に、中央タップのDC電圧供給は、ESC極電圧の帯電によって誘導された負荷変動の関数として振動する。中央タップのDC供給は、プラズマシース電位にかかわらずウエハに対して一定のクランプ力を提供する目的で、ESCクランプ電圧供給のための基準電圧を維持するために用いられる。(中央タップに存在する)ESC PSU310の瞬間的な開ループ応答は、プラズマ閉じ込め状態(および、それに応じてプラズマ非閉じ込め状態)の検出に用いられる第2の指標を提供する。
【0045】
プラズマが閉じ込め状態から非閉じ込め状態に変化したことに応じて起きるESCに供給されるRF電圧の変化およびESC PSUの開ループ応答の変化を用いれば、プラズマ閉じ込めの状態変化を検出するために必要なパラメータが得られる。
【0046】
図4は、マイクロプロセッサ内におよび/またはコードによって実装されるアルゴリズムの一例のフローチャートであり、入力パラメータは、ESC PSU中央タップ(402)で測定されたDC電圧、および、RF電圧プローブパラメータ(404)である。RF電圧プローブパラメータ404は、ESCにおけるRF電圧の単一または複合の信号表現である。簡単のために、RF電圧パラメータを広帯域RF(BB RF:Broadband RF)信号と名付け、これ以降、BB RFと呼ぶこととする。
【0047】
BB RF信号およびESC PSU中央タップ電圧は、別個のローパスフィルタ(それぞれ408および406)を通して供給される。図4には、単純移動平均として知られる一次ローパスフィルタが示されている。ただし、アナログまたはデジタルにかかわらず、任意の他の適切なフィルタを用いてもよいことを理解されたい。次いで、各フィルタの出力は、それぞれの信号の電流サンプル(410および412)と比較される。比較はブロック414および416として図示されている。
【0048】
ESC PSU中央タップ電圧(414)に十分な正の大きさの変化(dv/dt>>0)がある場合、イベントフラグが設定される(図4のブロック420における「PSU_EVENT=1」)。同様に、BB RF信号が十分な負の大きさを有する(dv/dt<<0)場合(ブロック416)、イベントフラグが設定される(「RF_EVENT=1」(ブロック422))。いずれかのイベントフラグが同値のデジタル「オン」状態に設定されなかった場合、検出ループは、それぞれの信号について次の利用可能なサンプルのポーリングおよび比較を継続する(ブロック424および426)。
【0049】
両方のイベントフラグがオンに切り換えられた場合(ブロック430)、デルタ関数が算出される。このデルタ関数は、ESC PSU中央タップ導関数の大きさに対するRF BB導関数の大きさを算出する。導関数が互いに対して十分な大きさである場合(ブロック432)、RF供給電力の変更、チャンバへの圧力またはガス流量の変更、もしくは、閉じ込めリング位置の調節など、補正動作を実行できるように、「UNCONFINED_PLASMA=1」というイベントフラグ(434)が、プラズマチャンバの制御に関与するツールホスト(436)に送信される。
【0050】
あるいは、中央タップ電圧の代わりに、または、中央タップ電圧に加えて、ESCベースプレートへの中央タップ電流を監視することも可能である。非閉じ込め事象中に図2に示したコンデンサを帯電させるために必要な突発電流も、潜在的な非閉じ込め処理条件事象を示す別の適切な指標となる。
【0051】
1または複数の実施形態において、プラズマ非閉じ込め検出方法は、アナログローパスフィルタおよびコンパレータを用いてアナログドメイン内で、ならびに/もしくは、DSP、FPGA/CPLD、または、マイクロプロセッサを用いてデジタルドメイン内で実装されてよい。1または複数の実施形態において、RF電圧プローブは、図1に示したように、インピーダンス整合回路網と、電力供給された電極との間の送電ラインに沿った任意の場所に配置されてよい。1または複数の実施形態において、ESC PSU中央タップ電圧は、ESCと、ESC PSUの内部回路との間の任意の場所で測定されてよい。1または複数の実施形態において、図1に示したように、ESCのベースにおいて高インピーダンス電圧分配器が利用され、ESC PSU中央タップ電圧がESC PSUの直接出力で測定される。次いで、これらの信号はいずれも、1または複数の実施形態において、同等の40MHzクロックを有するPIC 18F4523 8ビットマイクロプロセッサ(アリゾナ州チャンドラーのMicrochip Technology社製)に供給されてよい。
【0052】
1または複数の実施形態において、過渡応答のタイムスケールおよび方向は、駆動RF周波数と、各RF周波数に関連する電力量との関数であってよい。1または複数の実施形態において、より大きい電力を有するRF信号が優勢になる傾向にあり、これらの周波数での応答は、より顕著でありうるため、検出の信頼性を高める。これらは、1または複数の実施形態において、検出戦略に組み込まれうる一般的な観察結果である。
【0053】
以上からわかるように、本発明の実施形態は、侵入型のその場監視機器を用いる必要なしに、異常なプラズマ状態(一例としてはプラズマ非閉じ込め)の検出を可能にする。それにより、かかるその場監視機器に関連するプラズマ誘起摩耗、汚染、および、交換/洗浄に関する問題が防止される。ESCに供給されるRF電圧の変化およびESC PSUの開ループ応答の変化の両方を監視すること、ならびに、任意選択的に、誤検出を減らすための閾値設定を行うことによって、本発明の実施形態は、異常なプラズマ状態を検出するためのロバストな技術を提供し、それにより、ツールホストが、タイムリーに正確な測定値を提供すること、または、さらなる損傷を避けるためにツールを停止することを可能にする。
【0054】
代表的な実施形態および最良の形態を開示したが、特許請求の範囲に規定されているように本発明の主題および精神の範囲内で、開示された実施形態に変形および変更を施すことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理チャンバにおいてプラズマ非閉じ込めを検出するための方法であって、前記プラズマ処理チャンバは静電(ESC)チャックを有し、前記方法は、
前記ESCチャックにRF電圧を印加する工程と、
前記ESCチャックにDCバイアス電圧を印加するよう構成されたESC電源ユニットを準備する工程であって、前記ESC電源ユニットは、前記RF電圧を受けるように接続された中央タップを有する、工程と、
プラズマ非閉じ込め状態を示す変化について、前記RF電圧および前記中央タップを同時に監視する工程と、
前記プラズマ非閉じ込め状態が前記監視工程によって検出された場合に、前記プラズマ非閉じ込め状態の存在を示すために信号を供給する工程と、
を備える、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記RF電圧は、少なくとも2つのRF周波数を含む広帯域RF電圧である、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記監視工程は、前記RF電圧の変化を検出する工程を含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記監視工程は、さらに、前記変化の大きさが所定の閾値を超えるか否かを判定する工程を含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記監視工程は、前記RF電圧の正の変化を検出する工程を含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記監視工程は、前記中央タップにおける開ループDC応答の変化を検出する工程を含む、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、前記監視工程は、さらに、前記変化の大きさが所定の閾値を超えるか否かを判定する工程を含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記監視工程は、前記中央タップにおける開ループDC応答の正の変化を検出する工程を含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記開ループDC応答は、開ループDC電圧である、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、前記開ループDC応答は、開ループDC電流である、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、前記監視工程は、前記RF電圧の変化を検出する工程と、前記中央タップにおける開ループDC応答の変化を検出する工程とを含む、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、前記信号は、前記プラズマ非閉じ込め状態の検出に応じて補正動作を自動的に開始するためのフィードバック信号として用いられる、方法。
【請求項13】
プラズマ処理チャンバにおいてプラズマ非閉じ込めを検出するための装置であって、前記プラズマ処理チャンバは静電(ESC)チャックを有し、前記ESCチャックはRF電圧を受けるよう構成され、前記装置は、
前記ESCチャックにDCバイアス電圧を印加するよう構成されたESC電源ユニットであって、前記RF電圧を受けるように接続された中央タップを有する、ESC電源ユニットと、
プラズマ非閉じ込め状態を示す変化について、前記RF電圧と前記中央タップにおける開ループDC応答とを分析するための手段と、
を備える、装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって、前記RF電圧は、少なくとも2つのRF周波数を含む広帯域RF電圧である、装置。
【請求項15】
請求項13に記載の装置であって、前記分析するための手段は、前記RF電圧の正の変化を少なくとも検出するよう構成される、装置。
【請求項16】
請求項13に記載の装置であって、前記分析するための手段は、さらに、前記RF電圧の変化の大きさが所定の閾値を超えるか否かを判定するよう構成される、装置。
【請求項17】
請求項13に記載の装置であって、前記分析するための手段は、前記中央タップにおける開ループDC応答の正の変化を少なくとも検出するよう構成される、装置。
【請求項18】
請求項13に記載の装置であって、前記分析するための手段は、さらに、前記開ループDC応答の変化の大きさが所定の閾値を超えるか否かを判定するよう構成される、装置。
【請求項19】
請求項13に記載の装置であって、前記開ループDC応答は、開ループDC電圧である、装置。
【請求項20】
請求項13に記載の装置であって、前記開ループDC応答は、開ループDC電流である、装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−511815(P2013−511815A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540099(P2012−540099)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/057478
【国際公開番号】WO2011/063262
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】