プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
【課題】基板に対してプラズマ処理を行う装置についてダミー基板を用いずにプラズマによりクリーニングするにあたり、載置台表面の損傷を抑制することのできる技術を提供すること。
【解決手段】プラズマエッチング処理後に、サセプタ3の表面を露出した状態でプラズマエッチング装置の真空容器1の内部をプラズマPによりクリーニングし真空容器1の内部に付着した反応生成物Aを除去する。このとき、プラズマPに直流電圧を印加する。これにより、高密度なプラズマPを得ながらそのプラズマPのイオンエネルギーを低減させることができるため、良好なクリーニングを行いつつサセプタ3の表面の損傷を抑えることができる。
【解決手段】プラズマエッチング処理後に、サセプタ3の表面を露出した状態でプラズマエッチング装置の真空容器1の内部をプラズマPによりクリーニングし真空容器1の内部に付着した反応生成物Aを除去する。このとき、プラズマPに直流電圧を印加する。これにより、高密度なプラズマPを得ながらそのプラズマPのイオンエネルギーを低減させることができるため、良好なクリーニングを行いつつサセプタ3の表面の損傷を抑えることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ処理装置の真空容器内をプラズマによりクリーニングする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程における半導体ウエハ表面に対して行われるプラズマ処理では、処理の回数が増えるにつれて真空容器の内壁や載置台などに付着する反応生成物の付着量が増加する。付着量が多くなると処理環境が変わるため、ウエハ間での処理の均一性が悪くなることがあり、またパーティクルの発生要因となる。このため、例えば定期的にクリーニングガスをプラズマ化させたプラズマにより真空容器内をクリーニングすることが行われ、例えばフッ化炭素(CF)系のガスをプラズマ化させてプラズマエッチングを行う装置にあっては、クリーニングガスとして酸素(O2)ガスを用いて、CF系の反応生成物をアッシングするようにしている。この場合、載置台の表面の損傷を防止するため、通常載置台にダミーウエハを載置した上でプラズマによるクリーニングが行われる。しかし、この方法では真空容器へのダミーウエハの搬入、搬出ステップが必要になるのでスループットの低下の要因になるし、またダミーウエハのコストが高いため、製造コストが高くなる不利益がある。そこでダミーウエハを用いずにクリーニングを行う場合もあるが、載置台の表面がプラズマに曝されるため、当該表面が荒れてしまい、その荒れの程度が大きくなると載置台とウエハとの熱伝達の状態が変わり、ウエハのプロセス温度が設定温度から外れてしまうことから、結果として静電チャックの交換頻度が多くなってしまう。
【0003】
特許文献1には、プラズマエッチング時に直流電力を重畳することが記載されているが、本発明のようにプラズマエッチング装置内部の洗浄工程にて適用している訳ではない。特許文献2には、基板処理室の洗浄方法が記載されているが、直流電力の重畳の記載は見られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−180358号公報
【特許文献2】特開2007−214512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような背景の下になされたものであり、その目的は基板に対してプラズマ処理を行う装置についてダミー基板を用いずにプラズマによりクリーニングするにあたり、載置台表面の損傷を抑制することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプラズマ処理装置は、
真空容器内に設けられた第1の電極を兼用する載置台に基板を載置し、この第1の電極と第2の電極との間に高周波電力を印加して処理ガスをプラズマ化し、得られたプラズマにより基板に対してプラズマ処理を行う平行平板型のプラズマ処理装置において、
前記プラズマに晒される領域に設けられた直流電圧印加用の電極と、
この電極に直流電圧を印加する直流電圧電源部と、
前記真空容器内をクリーニングするためのクリーニングガスを供給するためのクリーニングガス供給部と、
前記載置台に基板が存在しない状態で処理容器内にクリーニングガスを供給するステップと、前記第1の電極及び第2の電極間に高周波電力を印加してクリーニングガスをプラズマ化するステップと、クリーニングガスをプラズマ化する間、前記電極に直流電圧を印加するステップと、を実行するように制御信号を出力する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明のプラズマ処理方法は、
真空容器内に設けられた第1の電極を兼用する載置台に基板を載置し、この第1の電極と当該第1の電極に対向する第2の電極との間に高周波電力を印加して処理ガスをプラズマ化し、得られたプラズマにより基板に対してプラズマ処理を行う工程と、
前記載置台に基板が存在しない状態で処理容器内にクリーニングガスを供給し、前記第1の電極及び第2の電極間に高周波電力を印加してクリーニングガスをプラズマ化する工程と、
この工程を行っているときに、前記プラズマに晒される領域に設けられた直流電圧印加用の電極に直流電圧を印加する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、プラズマ処理装置の真空容器内部に付着した反応生成物を、載置台に基板が存在しない状態でプラズマによりクリーニングするにあたって、プラズマに直流電圧を印加することにより、プラズマの高い電子密度を維持しつつ、プラズマのイオンエネルギーを低下させることができる。これにより、良好なクリーニングを行うことができ、またプラズマによるスパッタ作用が低下するので載置台表面の損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態におけるプラズマエッチング装置を示す縦断側面図である。
【図2】前記プラズマエッチング装置における制御部を示すブロック図である。
【図3】前記実施形態におけるエッチング処理及びクリーニング処理の工程を説明するフロー図である。
【図4】前記実施形態における付着物のクリーニング処理を説明する模式図である。
【図5】本発明の作用を説明する模式図である。
【図6】本発明における他の実施形態を示す模式図である。
【図7】本発明の実施例に係わる静電チャックの表面の形状を説明する模式図である。
【図8】本発明の実施例における試験結果である。
【図9】本発明の実施例における試験結果である。
【図10】本発明の実施例における試験結果である。
【図11】本発明の実施例における試験結果である。
【図12】本発明の実施例における試験結果である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のプラズマ処理装置の一実施形態であるプラズマエッチング装置について図1を参照しながら説明する。エッチング装置は、容量結合型平行平板プラズマエッチング装置として構成されている。
【0011】
真空容器1の底部には、セラミックス等からなる絶縁層21を介して支持台2が配置され、この支持台2上には例えばアルミニウムからなり下部電極を構成するサセプタ3が設けられている。サセプタ3の上部には周縁に沿って段部31が形成されており、サセプタ3の上部中央の凸部32には、ウエハWを静電力で吸着保持する静電チャック33が設けられており、チャック電極には直流電源34がスイッチ35を介して電気的に接続されている。下部電極であるサセプタ3には、整合器36を介してプラズマ生成用の第1の高周波電源37が電気的に接続されており、また整合器38を介してイオン引き込み用のバイアス電力を供給するための第2の高周波電源39が接続されている。
【0012】
静電チャック33を囲うように サセプタ3上部に形成された前記段部31の上には、エッチングの均一性を向上させるための、フォーカスリングなどと呼ばれているリング部材22が配置されている。
【0013】
支持台2の内部には、例えば支持台2の周方向に沿って冷媒室23が設けられている。この冷媒室23には、外部に設けられた図示しないチラーユニットより配管24、25を介して所定温度の冷媒例えば冷却水が循環供給され、冷媒の温度によってサセプタ3上のウエハWの処理温度を制御することができる。また図示しない伝熱ガス供給機構からの伝熱ガス例えばヘリウム(He)ガスがガス供給ラインを介して静電チャック33の上面とウエハWの裏面との間に供給される。
【0014】
下部電極であるサセプタ3の上方には、サセプタ3と対向するようにガスシャワーヘッドを兼用する上部電極4が設けられており、上部電極4及び下部電極(サセプタ)3の間の空間がプラズマ生成空間となる。この上部電極4は、本体部41と電極板をなす上部天板42とを備えており、絶縁性遮蔽部材11を介して、真空容器1の上部に支持されている。本体部41は導電性材料例えば表面が陽極酸化処理されたアルミニウムからなり、その下部に前記上部天板42を着脱自在に支持できるように構成されている。
【0015】
本体部41の内部には、本体部41の上部のガス導入口43に連通するガス拡散室44が設けられ、このガス拡散室44からは例えば多数のガス吐出孔45が均等に分散されるように形成されている。ガス拡散室44に供給された処理ガスは、ガス吐出孔45を介して処理雰囲気にシャワー状に分散されて供給される。
【0016】
本体部41の上部のガス導入口43には、ガス供給管5が接続され、その基端側は分岐管51、61、81に分岐されている。第1の分岐管51には、処理ガス供給源52が第1のガス供給系53を介して接続されている。この処理ガスとしては、炭素元素(C)及びフッ素元素(F)が有効成分として含まれるガス、例えばCF系ガスやCHF系のガスあるいはこれらの混合ガスなどが挙げられる。CF系ガスには例えばC4F8ガス、C4F6ガス及びC5F8ガスなどがあり、CHF系ガスとしては例えばCHF3ガス及びCH2F2ガスなどが挙げられる。第2の分岐管61には、クリーニングガス供給源6が第2のガス供給系62を介して接続されている。クリーニングガスには例えば酸素(O2)ガスを用いて、真空容器1内のポリマーからなる付着物をO2ガスのプラズマによりアッシングし除去する。第3の分岐管81には、アルゴン(Ar)ガス供給源8が第3のガス供給系82を介して接続されている。このArガスは、プラズマの安定化のためにクリーニングガスと混合して用いる。これらのガス供給系53、62、82には、バルブ54、55、63、64、83、84及び流量調節部56、65、85などが含まれ、後述の制御部7からの制御信号によりガスの給断、流量調整などが行われる。
【0017】
前記上部電極4には、スイッチ46を介して可変直流電源47が電気的に接続されており、この可変直流電源47はオン、オフスイッチ46により給電のオン、オフが可能となっている。後述で裏付けられているように、上部電極4に適切な大きさの直流電圧を印加することにより、プラズマの電子密度を低下させることなくプラズマのイオンエネルギーを低減させることができる。このため、ダミーウエハを用いずにプラズマクリーニングを行った場合でも、プラズマイオンによる静電チャック33の表面の損傷を抑えながら真空容器1内の付着物をアッシングし除去することができる。この印加する直流電圧の適切な大きさは例えば−200V〜−320V、より好ましくは−200V〜−300Vである。
【0018】
真空容器1の底部には排気ポート12が設けられており、この排気ポート12には排気管13により圧力調整部14を介して真空排気機構15が接続されている。これにより、真空容器1内を所望の真空圧まで減圧可能となっている。また、真空容器1の側壁にはゲートバルブ17により開閉可能なウエハWの搬入出口16が設けられている。また真空容器1の底部における真空容器1の側壁と支持台2との間には、バッフル板18が設けられている。
【0019】
本プラズマエッチング装置には、制御部7が設けられている。この制御部7は、図2に示すように、CPU71とレシピ記憶部72とを備えており、このレシピ記憶部72には、エッチング処理における例えば処理条件の運転パラメータのデータなどからなる処理レシピ73や、真空容器1内のクリーニング処理における例えば処理条件の運転パラメータのデータなどからなるクリーニングレシピ74が、例えばCD−ROMやDVD−Rなどの記憶媒体を介して格納されている。第1の高周波電源37、第2の高周波電源39、可変直流電源47、オン、オフスイッチ46、第1のガス供給系53及び第2のガス供給系62等は、処理レシピ73及びクリーニングレシピ74に基づき制御部7により制御される。75は、バスである。
【0020】
次に本実施形態の作用について説明する。今、真空容器1内をクリーニングし、本装置の運用を再開したとすると、制御部7では図3のステップS1にて処理回数を「1」にセットし(n=1とし)、エッチング処理を開始する(ステップS2)。先ずゲートバルブ17を開状態とし、真空容器1の外部に設けられた図示しない搬送アームにより搬入出口16を介してエッチング対象の被処理基板であるウエハWを真空容器1内に搬入し、図示しない昇降ピンを介してサセプタ3上に載置し、静電チャック33に静電吸着する。ゲートバルブ17を閉じた後、処理ガス供給源52から炭素及びフッ素を含む化合物のガスを含む処理ガスを所定の流量でガスシャワーヘッド(上部電極)4を介して真空容器1内へ供給しつつ、真空容器1内の圧力を例えば0.1Pa〜150Paの真空雰囲気とする。また下部電極であるサセプタ3に第1の高周波電源37からプラズマ生成用の高周波電力を所定のパワーで印加するとともに、第2の高周波電源39よりイオン引き込み用の高周波電力を所定のパワーで印加する。これにより処理ガスがプラズマ化し、生成されたプラズマ中のラジカルやイオンによってウエハWの被処理面がエッチングされる。エッチング処理を完了したウエハWは、搬入動作と逆の動作で真空容器1の外部に搬出される。続いて後続のウエハWに対してエッチング処理が行われ(ステップS3、S4、S2)、ウエハWの処理枚数が予め設定された設定枚数に達すると、真空容器1内部のクリーニング処理を行う工程(ステップS5)に移る。
【0021】
クリーニング工程開始時点では、図4に示すように、サセプタ3の表面がプラズマ処理領域に対して露出した状態であり、真空容器1の内壁、リング部材22等の、サセプタ3におけるウエハWの載置領域周辺には、エッチング処理により生成した反応生成物Aが付着している。この例では、処理ガスとしてはCF系やCHF系のガスが用いられていることから、エッチングによりポリマーを主成分とする反応生成物Aが真空容器1内に付着している。この状態で、即ちダミーウエハをサセプタ3上に載置することなく、ウエハWの載置領域が露出したまま、クリーニングガス供給源6からクリーニングガス例えばO2ガスを所定の流量例えば700sccm(standard cc/min.)で真空容器1内へ供給すると共に、Arガス供給源8からArガスを所定の流量例えば700sccmで真空容器1内へ供給する。そして真空容器1内の圧力を例えば400mTorrに設定した後、プラズマ生成用の40MHzの高周波電力を例えば800Wで印加する。そして可変直流電源47から上部電極4に例えば−200V〜−320Vの直流電圧を印加する。クリーニングガス(O2ガス)は、高周波電力によりプラズマ化し、真空容器1内に付着した付着物であるポリマーAは、酸素ラジカルやイオンによってアッシング(灰化)されて、真空容器1の外に排出される。クリーニング処理は例えば1分間行われる。
【0022】
ここで、プラズマクリーニングの処理中に起こる作用の詳細について、直流電圧の印加による効果を含めて図5を用いて説明する。直流電圧を上部電極に印加しない場合には、図5(a)に示すように、高周波電圧Vapが下部電極に印加されることにより、プラズマポテンシャルVpのプラズマが発生する。このときのプラズマポテンシャルVpと高周波電圧Vapとの差分電圧が、プラズマ中のイオンエネルギーとなる。
【0023】
上部電極3に直流電圧を印加してプラズマに直流電圧を加えると、高周波電圧Vapの振幅が小さくなる。このことは、後述の実施例にて、高周波電圧VapのVpp(上側ピーク値と下側ピーク値との差分)の測定結果から裏付けられている。また直流電圧の印加によりサセプタ3及びリング部材22等の直流電位Vdcが下がる(負電圧の絶対値が大きくなる)。高周波電圧Vapの振幅が小さくなるとプラズマポテンシャルVpも低下するため、結果としてイオンエネルギーの最大値Vmが小さくなる。
【0024】
一方、イオンエネルギーは、プラズマ中のアルゴンイオンや酸素イオンによる物理的なスパッタ作用の強さと深く関係しており、特にこのイオンエネルギーの最大値Vm、即ちプラズマポテンシャルVp及び高周波電圧Vapが最小の時点でのイオンエネルギーが大きいと、サセプタ3表面に対するスパッタ作用が大きくなり、表面の荒れが大きくなる。この表面荒れの程度によりウエハWの処理状態は左右される。従って、プラズマに直流電圧を加えることでイオンエネルギーの最大値Vmが低下することから、サセプタ3におけるウエハWの載置領域の表面荒れが抑えられた状態で真空容器1内のクリーニングが達成される。なおプラズマ生成用のイオンエネルギーを小さくするためだけであれば、第1の高周波電源37のパワーを小さくすればよいが、そうするとガスの解離の度合が小さくなってプラズマ密度(詳しくはプラズマの活性種の密度)が低下し、効果的なクリーニングを行うことができない。従って、本実施形態のクリーニング手法は、十分なプラズマ密度を確保しつつイオンエネルギーを低下させて、過度なスパッタ作用を抑制しているということができる。
【0025】
上述の実施形態によれば、プラズマエッチング処理後に、サセプタ3の表面を露出した状態でプラズマPにより真空容器1内部をクリーニングし、クリーニング時のプラズマPに直流電圧を印加している。従って、高密度なプラズマを得ながらイオンエネルギーを低減させることができ、良好なクリーニングを行いつつ、サセプタ3の表面の損傷を抑えることができる。既述のように、サセプタ3の表面荒れの程度によりサセプタ3とウエハWとの間の熱伝達性が変わることから、通常ウエハレスクリーニングでは、クリーニング回数が増えるにつれてウエハW間の処理の均一性が低下する。これを避けるために、静電チャック33の交換等の定期的なメンテナンスが必要になるが、サセプタ3の表面の損傷が抑えられることで、メンテナンスサイクルを長くできる(メンテナンスの頻度を低くできる)効果がある。ウエハレスクリーニングは、ダミーウエハを用いない点で有利であるが、サセプタ3の表面の損傷の課題があることから、上述の実施形態は有効な技術である。
【0026】
上述の実施形態では、直流電圧をガスシャワーヘッドを兼ねる上部電極4に印加していたが、図6に示すように、プラズマ処理領域の側面に臨むように電極9aを配置し、この電極9aに直流電圧を印加してもよい。なお図6中、上述の実施形態と同様の機能を果たす機構については、上述の実施形態における符号に「a」を付してその説明を省略した。また本発明は、上下2周波のプラズマ処理装置(上部電極にプラズマ発生用の高周波電力を供給し、下部電極にバイアス用の高周波電力を供給する装置)において上部電極に直流電圧を印加してもよいし、先の実施形態と同様の下部2周波のプラズマ処理装置においてフォーカスリングと呼ばれる、プラズマの状態調整用のリング部材22に直流電圧を印加してもよい。
上述の実施形態では、クリーニングガスとしてO2ガスを用いているが、クリーニングガスは、除去対象の付着物の組成に応じたガスを選択すればよい。例えば、ポリシリコン薄膜をエッチングするときのガスとしてO2ガスが含まれる場合にエッチングにより生成する生成物である酸化ケイ素系付着物に対しては、例えばフッ素ガスを用いてもよい。またクリーニングガスは、例えば他種のクリーニングガスと混合して用いてもよい。
上述の実施形態では、プラズマエッチング処理後のクリーニングを対象としているが、本発明はそれに限らず、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)処理後に、真空容器内に付着した薄膜に対して例えばCF系のクリーニングガスあるいはフッ素ガスをプラズマ化してクリーニングを行う場合に適用してもよい。
【実施例】
【0027】
ここからは、本発明に関して行った実験について述べる。
(実験1: 静電チャック表面の損傷試験)
静電チャック33bの表面には、図7に示すように、無数の微小な円柱状の島状部分91bが表面全体に亘って形成されており、ウエハW載置時にはこの島状部分91bの平らな上面においてウエハWと接触する。このため、プラズマクリーニングの前後で島状部分91bの形状が変わらないことが重要である。ダミーウエハを用いずにプラズマクリーニングを行うと、この島状部分91bの形状が変化し、ウエハWとの接触面積も減少することが懸念される。ウエハWと島状部分91bとの接触面積が減少すると、ウエハWとサセプタとの間の熱伝達の挙動が変わってしまい、半導体デバイスの品質を一定に保つことが難しくなる。そこで、ある一定の処理条件の下、ダミーウエハを用いずに静電チャック33bの表面を処理領域に露出した状態で、プラズマクリーニング処理を行い、直流電圧の印加の有無による島状部分91bの形状変化について調査した。プラズマ処理前の検体を参考例1とし、直流電圧を印加してプラズマ処理を行った場合及び直流電圧を印加しなかった場合の検体を夫々、実施例1及び比較例1とした。処理条件は、以下の通りである。
・真空容器内の圧力: 53.3Pa(400mTorr)
・第1の高周波電力: 800W
・クリーニングガスの種類及び流量: O2ガス、700sccm
・プラズマ処理時間: 50時間
・印加直流電圧: 0V(比較例1)、−300V(実施例1)
プラズマ処理の後、ウエハWの中央部及び周縁部夫々における島状部分91bの上面の損傷状態を走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)により観察すると共に、ウエハWの中央部及び周縁部夫々における島状部分91bの上面の表面粗さ(算術平均粗さRa)及び島状部分91bの上面の直径を測定して、プラズマ処理前の値と比較した。この試験結果のうち、島状部分91bの上面の表面粗さ及び直径について表1に示す。なお表1には、プラズマ処理前との差分の値を記載している。
実施例1は、島状部分91bの表面粗さ及び直径共に参考例1と略同等であるが、比較例1は、実施例1よりも表面粗さが増加し直径は減少していた。このことから、ダミーウエハを用いないプラズマクリーニング処理において、直流電圧を印加することにより、静電チャック33bの表面の損傷を軽減できることが確認された。
【0028】
(実験2: プラズマのスパッタ作用による浸食試験)
印加直流電圧の大きさにより、プラズマによるスパッタ作用の強さがどのように変化するかを定量するために、内部が清浄な真空容器にポリシリコンのチップを載置してプラズマ処理を行い、そのポリシリコンチップの厚さ、表面粗さ(Ra)及びSEMによる表面の観察を行った。処理条件は、以下の通りである。
・真空容器内の圧力: 53.3Pa(400mTorr)
・第1の高周波電力: 800W
・クリーニングガスの種類及び流量: O2ガス、700sccm
・プラズマ処理時間: 5時間
・印加直流電圧: 0V(比較例2)、−300V(実施例2)
本実験のパラメータである印加直流電圧の大きさは0V及び−300Vとして、その検体を夫々比較例2、実施例2とし、処理前の検体を参考例2とした。その結果を図8に示す。
まず比較例2については、参考例2と比較して表面粗さが減少しSEM観察においても表面が滑らかになっていることがわかる。またチップの厚さも減少している。これは、プラズマのスパッタ作用によるものと考えられる。実施例2については、チップの厚さ、表面粗さ及びSEM観察のいずれにおいても参考例2と略同等の結果であった。従って、プラズマに直流電圧を加えることでプラズマによるスパッタ作用を軽減できることが確認された。
【0029】
(実験3: プラズマのスパッタ作用による浸食試験)
印加直流電圧の有無により、プラズマによるスパッタ作用の力の強さ(以下、スパッタ力という)がどのように変化するかを定量するために、熱酸化(Th−SiO2)膜が形成されたウエハに対してプラズマ処理を行い、ウエハの径方向位置におけるスパッタレートを測定した。処理条件は、以下の通りである。
・真空容器内の圧力: 53.3Pa(400mTorr)
・第1の高周波電力: 800W
・クリーニングガスの種類及び流量: アルゴン(Ar)ガス、700sccm
・プラズマ処理時間: 1分間
・印加直流電圧: 0V(比較例3)、−300V(実施例3)
−300Vの直流電圧を印加した検体を実施例3とし、印加しなかったものを比較例3とした。その結果を図9に示す。
比較例3では、ウエハの中央部から周縁部まで略均一に0.2nm/min〜0.3nm/minのスパッタレートであった。一方、実施例3では、ウエハのどの位置においても全くスパッタされなかった。このことから、直流電圧を印加することにより、プラズマによるスパッタ作用を抑えられることが確認された。
【0030】
(実験4: 印加直流電圧とVppとの関係)
既述のように、プラズマのスパッタ力は、プラズマのイオンエネルギーの最大値Vmの大きさと大いに関係があるが、このイオンエネルギーの最大値Vmは高周波電圧VapのVpp(上側ピーク値と下側ピーク値との差分)と深く関係している。従って、このVppを測定することにより、プラズマのスパッタ力を推測することができる。この実験4では、印加する直流電圧の大きさを変えてそのときのVppを測定して、スパッタ力を低く抑えることが可能な適切な印加直流電圧の大きさを調査した。運転条件は、以下の通りである。
・真空容器内の圧力: 53.3Pa(400mTorr)
・第1の高周波電力: 800W
・クリーニングガスの種類及び流量: O2ガス、700sccm
・印加直流電圧: 0V、−300V
この結果を図10に示す。
−300Vの印加直流電圧を印加することによりVppが低下した。このことから、直流電圧を印加することによりプラズマによるスパッタ力を軽減できることが示唆された。
【0031】
(実験5: 印加直流電圧とイオンエネルギーとの関係)
イオンエネルギーの最大値VmはプラズマポテンシャルVpと深く関係している。従って、このプラズマポテンシャルVpを測定することにより、プラズマのスパッタ力を推測することができる。この実験5では、印加する直流電圧の大きさを変えてそのときのプラズマポテンシャルVpを測定して、スパッタ力を低く抑えることが可能な適切な印加直流電圧の大きさを調査した。運転条件は、以下の通りである。
・真空容器内の圧力: 53.3Pa(400mTorr)
・第1の高周波電力: 800W
・クリーニングガス中のイオンの種類: Ar+イオン、CF+イオン、CF3+イオン
・印加直流電圧: 0V、−300V
この結果を図11に示す。
いずれのガス種においても−300Vの直流電圧を印加することにより、プラズマポテンシャルVpが低下した。このことから、様々な種類のプラズマガスにおいて、直流電圧の印加により、イオンエネルギーが低下することが示唆された。
【0032】
(実験6: 印加直流電圧とアッシュレート及びメモリ効果との関係)
印加直流電圧の大きさを変えながら、プラズマ処理におけるアッシュレート及びメモリ効果を測定した。メモリ効果については、真空容器内に通常のエッチング処理では起こり得ないくらいに大量のCF系付着物を事前に生成、付着させておいた上で、プラズマ処理を行い調査した。アッシュレート及びメモリ効果共に、ウエハの周縁部において測定した。処理条件は、以下の通りである。
・真空容器内の圧力: 53.3Pa(400mTorr)
・第1の高周波電力: 800W
・クリーニングガスの種類及び流量: O2ガス、700sccm
・プラズマ処理時間: 1分間
・印加直流電圧: 0V、−150V、−300V
その結果を図12に示す。
アッシュレートについては、印加直流電圧が0Vから−150Vにかけては横ばいであったが、−300Vではアッシュレートは増加した。一方、メモリ効果については、0Vから−300Vにかけては減少し続けた。このことから、直流電圧をかけることにより、真空容器内のクリーニング効果を高めることができ、またその際のメモリ効果についても低減できることが確認された。
【0033】
【表1】
【符号の説明】
【0034】
W ウエハ
1 真空容器
3 サセプタ(下部電極)
37 第1の高周波電源
39 第2の高周波電源
4 ガスシャワーヘッド(上部電極)
46 オン、オフスイッチ
47 可変直流電源
53 第1のガス供給系
62 第2のガス供給系
7 制御部
82 第3のガス供給系
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ処理装置の真空容器内をプラズマによりクリーニングする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程における半導体ウエハ表面に対して行われるプラズマ処理では、処理の回数が増えるにつれて真空容器の内壁や載置台などに付着する反応生成物の付着量が増加する。付着量が多くなると処理環境が変わるため、ウエハ間での処理の均一性が悪くなることがあり、またパーティクルの発生要因となる。このため、例えば定期的にクリーニングガスをプラズマ化させたプラズマにより真空容器内をクリーニングすることが行われ、例えばフッ化炭素(CF)系のガスをプラズマ化させてプラズマエッチングを行う装置にあっては、クリーニングガスとして酸素(O2)ガスを用いて、CF系の反応生成物をアッシングするようにしている。この場合、載置台の表面の損傷を防止するため、通常載置台にダミーウエハを載置した上でプラズマによるクリーニングが行われる。しかし、この方法では真空容器へのダミーウエハの搬入、搬出ステップが必要になるのでスループットの低下の要因になるし、またダミーウエハのコストが高いため、製造コストが高くなる不利益がある。そこでダミーウエハを用いずにクリーニングを行う場合もあるが、載置台の表面がプラズマに曝されるため、当該表面が荒れてしまい、その荒れの程度が大きくなると載置台とウエハとの熱伝達の状態が変わり、ウエハのプロセス温度が設定温度から外れてしまうことから、結果として静電チャックの交換頻度が多くなってしまう。
【0003】
特許文献1には、プラズマエッチング時に直流電力を重畳することが記載されているが、本発明のようにプラズマエッチング装置内部の洗浄工程にて適用している訳ではない。特許文献2には、基板処理室の洗浄方法が記載されているが、直流電力の重畳の記載は見られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−180358号公報
【特許文献2】特開2007−214512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような背景の下になされたものであり、その目的は基板に対してプラズマ処理を行う装置についてダミー基板を用いずにプラズマによりクリーニングするにあたり、載置台表面の損傷を抑制することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプラズマ処理装置は、
真空容器内に設けられた第1の電極を兼用する載置台に基板を載置し、この第1の電極と第2の電極との間に高周波電力を印加して処理ガスをプラズマ化し、得られたプラズマにより基板に対してプラズマ処理を行う平行平板型のプラズマ処理装置において、
前記プラズマに晒される領域に設けられた直流電圧印加用の電極と、
この電極に直流電圧を印加する直流電圧電源部と、
前記真空容器内をクリーニングするためのクリーニングガスを供給するためのクリーニングガス供給部と、
前記載置台に基板が存在しない状態で処理容器内にクリーニングガスを供給するステップと、前記第1の電極及び第2の電極間に高周波電力を印加してクリーニングガスをプラズマ化するステップと、クリーニングガスをプラズマ化する間、前記電極に直流電圧を印加するステップと、を実行するように制御信号を出力する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明のプラズマ処理方法は、
真空容器内に設けられた第1の電極を兼用する載置台に基板を載置し、この第1の電極と当該第1の電極に対向する第2の電極との間に高周波電力を印加して処理ガスをプラズマ化し、得られたプラズマにより基板に対してプラズマ処理を行う工程と、
前記載置台に基板が存在しない状態で処理容器内にクリーニングガスを供給し、前記第1の電極及び第2の電極間に高周波電力を印加してクリーニングガスをプラズマ化する工程と、
この工程を行っているときに、前記プラズマに晒される領域に設けられた直流電圧印加用の電極に直流電圧を印加する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、プラズマ処理装置の真空容器内部に付着した反応生成物を、載置台に基板が存在しない状態でプラズマによりクリーニングするにあたって、プラズマに直流電圧を印加することにより、プラズマの高い電子密度を維持しつつ、プラズマのイオンエネルギーを低下させることができる。これにより、良好なクリーニングを行うことができ、またプラズマによるスパッタ作用が低下するので載置台表面の損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態におけるプラズマエッチング装置を示す縦断側面図である。
【図2】前記プラズマエッチング装置における制御部を示すブロック図である。
【図3】前記実施形態におけるエッチング処理及びクリーニング処理の工程を説明するフロー図である。
【図4】前記実施形態における付着物のクリーニング処理を説明する模式図である。
【図5】本発明の作用を説明する模式図である。
【図6】本発明における他の実施形態を示す模式図である。
【図7】本発明の実施例に係わる静電チャックの表面の形状を説明する模式図である。
【図8】本発明の実施例における試験結果である。
【図9】本発明の実施例における試験結果である。
【図10】本発明の実施例における試験結果である。
【図11】本発明の実施例における試験結果である。
【図12】本発明の実施例における試験結果である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のプラズマ処理装置の一実施形態であるプラズマエッチング装置について図1を参照しながら説明する。エッチング装置は、容量結合型平行平板プラズマエッチング装置として構成されている。
【0011】
真空容器1の底部には、セラミックス等からなる絶縁層21を介して支持台2が配置され、この支持台2上には例えばアルミニウムからなり下部電極を構成するサセプタ3が設けられている。サセプタ3の上部には周縁に沿って段部31が形成されており、サセプタ3の上部中央の凸部32には、ウエハWを静電力で吸着保持する静電チャック33が設けられており、チャック電極には直流電源34がスイッチ35を介して電気的に接続されている。下部電極であるサセプタ3には、整合器36を介してプラズマ生成用の第1の高周波電源37が電気的に接続されており、また整合器38を介してイオン引き込み用のバイアス電力を供給するための第2の高周波電源39が接続されている。
【0012】
静電チャック33を囲うように サセプタ3上部に形成された前記段部31の上には、エッチングの均一性を向上させるための、フォーカスリングなどと呼ばれているリング部材22が配置されている。
【0013】
支持台2の内部には、例えば支持台2の周方向に沿って冷媒室23が設けられている。この冷媒室23には、外部に設けられた図示しないチラーユニットより配管24、25を介して所定温度の冷媒例えば冷却水が循環供給され、冷媒の温度によってサセプタ3上のウエハWの処理温度を制御することができる。また図示しない伝熱ガス供給機構からの伝熱ガス例えばヘリウム(He)ガスがガス供給ラインを介して静電チャック33の上面とウエハWの裏面との間に供給される。
【0014】
下部電極であるサセプタ3の上方には、サセプタ3と対向するようにガスシャワーヘッドを兼用する上部電極4が設けられており、上部電極4及び下部電極(サセプタ)3の間の空間がプラズマ生成空間となる。この上部電極4は、本体部41と電極板をなす上部天板42とを備えており、絶縁性遮蔽部材11を介して、真空容器1の上部に支持されている。本体部41は導電性材料例えば表面が陽極酸化処理されたアルミニウムからなり、その下部に前記上部天板42を着脱自在に支持できるように構成されている。
【0015】
本体部41の内部には、本体部41の上部のガス導入口43に連通するガス拡散室44が設けられ、このガス拡散室44からは例えば多数のガス吐出孔45が均等に分散されるように形成されている。ガス拡散室44に供給された処理ガスは、ガス吐出孔45を介して処理雰囲気にシャワー状に分散されて供給される。
【0016】
本体部41の上部のガス導入口43には、ガス供給管5が接続され、その基端側は分岐管51、61、81に分岐されている。第1の分岐管51には、処理ガス供給源52が第1のガス供給系53を介して接続されている。この処理ガスとしては、炭素元素(C)及びフッ素元素(F)が有効成分として含まれるガス、例えばCF系ガスやCHF系のガスあるいはこれらの混合ガスなどが挙げられる。CF系ガスには例えばC4F8ガス、C4F6ガス及びC5F8ガスなどがあり、CHF系ガスとしては例えばCHF3ガス及びCH2F2ガスなどが挙げられる。第2の分岐管61には、クリーニングガス供給源6が第2のガス供給系62を介して接続されている。クリーニングガスには例えば酸素(O2)ガスを用いて、真空容器1内のポリマーからなる付着物をO2ガスのプラズマによりアッシングし除去する。第3の分岐管81には、アルゴン(Ar)ガス供給源8が第3のガス供給系82を介して接続されている。このArガスは、プラズマの安定化のためにクリーニングガスと混合して用いる。これらのガス供給系53、62、82には、バルブ54、55、63、64、83、84及び流量調節部56、65、85などが含まれ、後述の制御部7からの制御信号によりガスの給断、流量調整などが行われる。
【0017】
前記上部電極4には、スイッチ46を介して可変直流電源47が電気的に接続されており、この可変直流電源47はオン、オフスイッチ46により給電のオン、オフが可能となっている。後述で裏付けられているように、上部電極4に適切な大きさの直流電圧を印加することにより、プラズマの電子密度を低下させることなくプラズマのイオンエネルギーを低減させることができる。このため、ダミーウエハを用いずにプラズマクリーニングを行った場合でも、プラズマイオンによる静電チャック33の表面の損傷を抑えながら真空容器1内の付着物をアッシングし除去することができる。この印加する直流電圧の適切な大きさは例えば−200V〜−320V、より好ましくは−200V〜−300Vである。
【0018】
真空容器1の底部には排気ポート12が設けられており、この排気ポート12には排気管13により圧力調整部14を介して真空排気機構15が接続されている。これにより、真空容器1内を所望の真空圧まで減圧可能となっている。また、真空容器1の側壁にはゲートバルブ17により開閉可能なウエハWの搬入出口16が設けられている。また真空容器1の底部における真空容器1の側壁と支持台2との間には、バッフル板18が設けられている。
【0019】
本プラズマエッチング装置には、制御部7が設けられている。この制御部7は、図2に示すように、CPU71とレシピ記憶部72とを備えており、このレシピ記憶部72には、エッチング処理における例えば処理条件の運転パラメータのデータなどからなる処理レシピ73や、真空容器1内のクリーニング処理における例えば処理条件の運転パラメータのデータなどからなるクリーニングレシピ74が、例えばCD−ROMやDVD−Rなどの記憶媒体を介して格納されている。第1の高周波電源37、第2の高周波電源39、可変直流電源47、オン、オフスイッチ46、第1のガス供給系53及び第2のガス供給系62等は、処理レシピ73及びクリーニングレシピ74に基づき制御部7により制御される。75は、バスである。
【0020】
次に本実施形態の作用について説明する。今、真空容器1内をクリーニングし、本装置の運用を再開したとすると、制御部7では図3のステップS1にて処理回数を「1」にセットし(n=1とし)、エッチング処理を開始する(ステップS2)。先ずゲートバルブ17を開状態とし、真空容器1の外部に設けられた図示しない搬送アームにより搬入出口16を介してエッチング対象の被処理基板であるウエハWを真空容器1内に搬入し、図示しない昇降ピンを介してサセプタ3上に載置し、静電チャック33に静電吸着する。ゲートバルブ17を閉じた後、処理ガス供給源52から炭素及びフッ素を含む化合物のガスを含む処理ガスを所定の流量でガスシャワーヘッド(上部電極)4を介して真空容器1内へ供給しつつ、真空容器1内の圧力を例えば0.1Pa〜150Paの真空雰囲気とする。また下部電極であるサセプタ3に第1の高周波電源37からプラズマ生成用の高周波電力を所定のパワーで印加するとともに、第2の高周波電源39よりイオン引き込み用の高周波電力を所定のパワーで印加する。これにより処理ガスがプラズマ化し、生成されたプラズマ中のラジカルやイオンによってウエハWの被処理面がエッチングされる。エッチング処理を完了したウエハWは、搬入動作と逆の動作で真空容器1の外部に搬出される。続いて後続のウエハWに対してエッチング処理が行われ(ステップS3、S4、S2)、ウエハWの処理枚数が予め設定された設定枚数に達すると、真空容器1内部のクリーニング処理を行う工程(ステップS5)に移る。
【0021】
クリーニング工程開始時点では、図4に示すように、サセプタ3の表面がプラズマ処理領域に対して露出した状態であり、真空容器1の内壁、リング部材22等の、サセプタ3におけるウエハWの載置領域周辺には、エッチング処理により生成した反応生成物Aが付着している。この例では、処理ガスとしてはCF系やCHF系のガスが用いられていることから、エッチングによりポリマーを主成分とする反応生成物Aが真空容器1内に付着している。この状態で、即ちダミーウエハをサセプタ3上に載置することなく、ウエハWの載置領域が露出したまま、クリーニングガス供給源6からクリーニングガス例えばO2ガスを所定の流量例えば700sccm(standard cc/min.)で真空容器1内へ供給すると共に、Arガス供給源8からArガスを所定の流量例えば700sccmで真空容器1内へ供給する。そして真空容器1内の圧力を例えば400mTorrに設定した後、プラズマ生成用の40MHzの高周波電力を例えば800Wで印加する。そして可変直流電源47から上部電極4に例えば−200V〜−320Vの直流電圧を印加する。クリーニングガス(O2ガス)は、高周波電力によりプラズマ化し、真空容器1内に付着した付着物であるポリマーAは、酸素ラジカルやイオンによってアッシング(灰化)されて、真空容器1の外に排出される。クリーニング処理は例えば1分間行われる。
【0022】
ここで、プラズマクリーニングの処理中に起こる作用の詳細について、直流電圧の印加による効果を含めて図5を用いて説明する。直流電圧を上部電極に印加しない場合には、図5(a)に示すように、高周波電圧Vapが下部電極に印加されることにより、プラズマポテンシャルVpのプラズマが発生する。このときのプラズマポテンシャルVpと高周波電圧Vapとの差分電圧が、プラズマ中のイオンエネルギーとなる。
【0023】
上部電極3に直流電圧を印加してプラズマに直流電圧を加えると、高周波電圧Vapの振幅が小さくなる。このことは、後述の実施例にて、高周波電圧VapのVpp(上側ピーク値と下側ピーク値との差分)の測定結果から裏付けられている。また直流電圧の印加によりサセプタ3及びリング部材22等の直流電位Vdcが下がる(負電圧の絶対値が大きくなる)。高周波電圧Vapの振幅が小さくなるとプラズマポテンシャルVpも低下するため、結果としてイオンエネルギーの最大値Vmが小さくなる。
【0024】
一方、イオンエネルギーは、プラズマ中のアルゴンイオンや酸素イオンによる物理的なスパッタ作用の強さと深く関係しており、特にこのイオンエネルギーの最大値Vm、即ちプラズマポテンシャルVp及び高周波電圧Vapが最小の時点でのイオンエネルギーが大きいと、サセプタ3表面に対するスパッタ作用が大きくなり、表面の荒れが大きくなる。この表面荒れの程度によりウエハWの処理状態は左右される。従って、プラズマに直流電圧を加えることでイオンエネルギーの最大値Vmが低下することから、サセプタ3におけるウエハWの載置領域の表面荒れが抑えられた状態で真空容器1内のクリーニングが達成される。なおプラズマ生成用のイオンエネルギーを小さくするためだけであれば、第1の高周波電源37のパワーを小さくすればよいが、そうするとガスの解離の度合が小さくなってプラズマ密度(詳しくはプラズマの活性種の密度)が低下し、効果的なクリーニングを行うことができない。従って、本実施形態のクリーニング手法は、十分なプラズマ密度を確保しつつイオンエネルギーを低下させて、過度なスパッタ作用を抑制しているということができる。
【0025】
上述の実施形態によれば、プラズマエッチング処理後に、サセプタ3の表面を露出した状態でプラズマPにより真空容器1内部をクリーニングし、クリーニング時のプラズマPに直流電圧を印加している。従って、高密度なプラズマを得ながらイオンエネルギーを低減させることができ、良好なクリーニングを行いつつ、サセプタ3の表面の損傷を抑えることができる。既述のように、サセプタ3の表面荒れの程度によりサセプタ3とウエハWとの間の熱伝達性が変わることから、通常ウエハレスクリーニングでは、クリーニング回数が増えるにつれてウエハW間の処理の均一性が低下する。これを避けるために、静電チャック33の交換等の定期的なメンテナンスが必要になるが、サセプタ3の表面の損傷が抑えられることで、メンテナンスサイクルを長くできる(メンテナンスの頻度を低くできる)効果がある。ウエハレスクリーニングは、ダミーウエハを用いない点で有利であるが、サセプタ3の表面の損傷の課題があることから、上述の実施形態は有効な技術である。
【0026】
上述の実施形態では、直流電圧をガスシャワーヘッドを兼ねる上部電極4に印加していたが、図6に示すように、プラズマ処理領域の側面に臨むように電極9aを配置し、この電極9aに直流電圧を印加してもよい。なお図6中、上述の実施形態と同様の機能を果たす機構については、上述の実施形態における符号に「a」を付してその説明を省略した。また本発明は、上下2周波のプラズマ処理装置(上部電極にプラズマ発生用の高周波電力を供給し、下部電極にバイアス用の高周波電力を供給する装置)において上部電極に直流電圧を印加してもよいし、先の実施形態と同様の下部2周波のプラズマ処理装置においてフォーカスリングと呼ばれる、プラズマの状態調整用のリング部材22に直流電圧を印加してもよい。
上述の実施形態では、クリーニングガスとしてO2ガスを用いているが、クリーニングガスは、除去対象の付着物の組成に応じたガスを選択すればよい。例えば、ポリシリコン薄膜をエッチングするときのガスとしてO2ガスが含まれる場合にエッチングにより生成する生成物である酸化ケイ素系付着物に対しては、例えばフッ素ガスを用いてもよい。またクリーニングガスは、例えば他種のクリーニングガスと混合して用いてもよい。
上述の実施形態では、プラズマエッチング処理後のクリーニングを対象としているが、本発明はそれに限らず、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)処理後に、真空容器内に付着した薄膜に対して例えばCF系のクリーニングガスあるいはフッ素ガスをプラズマ化してクリーニングを行う場合に適用してもよい。
【実施例】
【0027】
ここからは、本発明に関して行った実験について述べる。
(実験1: 静電チャック表面の損傷試験)
静電チャック33bの表面には、図7に示すように、無数の微小な円柱状の島状部分91bが表面全体に亘って形成されており、ウエハW載置時にはこの島状部分91bの平らな上面においてウエハWと接触する。このため、プラズマクリーニングの前後で島状部分91bの形状が変わらないことが重要である。ダミーウエハを用いずにプラズマクリーニングを行うと、この島状部分91bの形状が変化し、ウエハWとの接触面積も減少することが懸念される。ウエハWと島状部分91bとの接触面積が減少すると、ウエハWとサセプタとの間の熱伝達の挙動が変わってしまい、半導体デバイスの品質を一定に保つことが難しくなる。そこで、ある一定の処理条件の下、ダミーウエハを用いずに静電チャック33bの表面を処理領域に露出した状態で、プラズマクリーニング処理を行い、直流電圧の印加の有無による島状部分91bの形状変化について調査した。プラズマ処理前の検体を参考例1とし、直流電圧を印加してプラズマ処理を行った場合及び直流電圧を印加しなかった場合の検体を夫々、実施例1及び比較例1とした。処理条件は、以下の通りである。
・真空容器内の圧力: 53.3Pa(400mTorr)
・第1の高周波電力: 800W
・クリーニングガスの種類及び流量: O2ガス、700sccm
・プラズマ処理時間: 50時間
・印加直流電圧: 0V(比較例1)、−300V(実施例1)
プラズマ処理の後、ウエハWの中央部及び周縁部夫々における島状部分91bの上面の損傷状態を走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)により観察すると共に、ウエハWの中央部及び周縁部夫々における島状部分91bの上面の表面粗さ(算術平均粗さRa)及び島状部分91bの上面の直径を測定して、プラズマ処理前の値と比較した。この試験結果のうち、島状部分91bの上面の表面粗さ及び直径について表1に示す。なお表1には、プラズマ処理前との差分の値を記載している。
実施例1は、島状部分91bの表面粗さ及び直径共に参考例1と略同等であるが、比較例1は、実施例1よりも表面粗さが増加し直径は減少していた。このことから、ダミーウエハを用いないプラズマクリーニング処理において、直流電圧を印加することにより、静電チャック33bの表面の損傷を軽減できることが確認された。
【0028】
(実験2: プラズマのスパッタ作用による浸食試験)
印加直流電圧の大きさにより、プラズマによるスパッタ作用の強さがどのように変化するかを定量するために、内部が清浄な真空容器にポリシリコンのチップを載置してプラズマ処理を行い、そのポリシリコンチップの厚さ、表面粗さ(Ra)及びSEMによる表面の観察を行った。処理条件は、以下の通りである。
・真空容器内の圧力: 53.3Pa(400mTorr)
・第1の高周波電力: 800W
・クリーニングガスの種類及び流量: O2ガス、700sccm
・プラズマ処理時間: 5時間
・印加直流電圧: 0V(比較例2)、−300V(実施例2)
本実験のパラメータである印加直流電圧の大きさは0V及び−300Vとして、その検体を夫々比較例2、実施例2とし、処理前の検体を参考例2とした。その結果を図8に示す。
まず比較例2については、参考例2と比較して表面粗さが減少しSEM観察においても表面が滑らかになっていることがわかる。またチップの厚さも減少している。これは、プラズマのスパッタ作用によるものと考えられる。実施例2については、チップの厚さ、表面粗さ及びSEM観察のいずれにおいても参考例2と略同等の結果であった。従って、プラズマに直流電圧を加えることでプラズマによるスパッタ作用を軽減できることが確認された。
【0029】
(実験3: プラズマのスパッタ作用による浸食試験)
印加直流電圧の有無により、プラズマによるスパッタ作用の力の強さ(以下、スパッタ力という)がどのように変化するかを定量するために、熱酸化(Th−SiO2)膜が形成されたウエハに対してプラズマ処理を行い、ウエハの径方向位置におけるスパッタレートを測定した。処理条件は、以下の通りである。
・真空容器内の圧力: 53.3Pa(400mTorr)
・第1の高周波電力: 800W
・クリーニングガスの種類及び流量: アルゴン(Ar)ガス、700sccm
・プラズマ処理時間: 1分間
・印加直流電圧: 0V(比較例3)、−300V(実施例3)
−300Vの直流電圧を印加した検体を実施例3とし、印加しなかったものを比較例3とした。その結果を図9に示す。
比較例3では、ウエハの中央部から周縁部まで略均一に0.2nm/min〜0.3nm/minのスパッタレートであった。一方、実施例3では、ウエハのどの位置においても全くスパッタされなかった。このことから、直流電圧を印加することにより、プラズマによるスパッタ作用を抑えられることが確認された。
【0030】
(実験4: 印加直流電圧とVppとの関係)
既述のように、プラズマのスパッタ力は、プラズマのイオンエネルギーの最大値Vmの大きさと大いに関係があるが、このイオンエネルギーの最大値Vmは高周波電圧VapのVpp(上側ピーク値と下側ピーク値との差分)と深く関係している。従って、このVppを測定することにより、プラズマのスパッタ力を推測することができる。この実験4では、印加する直流電圧の大きさを変えてそのときのVppを測定して、スパッタ力を低く抑えることが可能な適切な印加直流電圧の大きさを調査した。運転条件は、以下の通りである。
・真空容器内の圧力: 53.3Pa(400mTorr)
・第1の高周波電力: 800W
・クリーニングガスの種類及び流量: O2ガス、700sccm
・印加直流電圧: 0V、−300V
この結果を図10に示す。
−300Vの印加直流電圧を印加することによりVppが低下した。このことから、直流電圧を印加することによりプラズマによるスパッタ力を軽減できることが示唆された。
【0031】
(実験5: 印加直流電圧とイオンエネルギーとの関係)
イオンエネルギーの最大値VmはプラズマポテンシャルVpと深く関係している。従って、このプラズマポテンシャルVpを測定することにより、プラズマのスパッタ力を推測することができる。この実験5では、印加する直流電圧の大きさを変えてそのときのプラズマポテンシャルVpを測定して、スパッタ力を低く抑えることが可能な適切な印加直流電圧の大きさを調査した。運転条件は、以下の通りである。
・真空容器内の圧力: 53.3Pa(400mTorr)
・第1の高周波電力: 800W
・クリーニングガス中のイオンの種類: Ar+イオン、CF+イオン、CF3+イオン
・印加直流電圧: 0V、−300V
この結果を図11に示す。
いずれのガス種においても−300Vの直流電圧を印加することにより、プラズマポテンシャルVpが低下した。このことから、様々な種類のプラズマガスにおいて、直流電圧の印加により、イオンエネルギーが低下することが示唆された。
【0032】
(実験6: 印加直流電圧とアッシュレート及びメモリ効果との関係)
印加直流電圧の大きさを変えながら、プラズマ処理におけるアッシュレート及びメモリ効果を測定した。メモリ効果については、真空容器内に通常のエッチング処理では起こり得ないくらいに大量のCF系付着物を事前に生成、付着させておいた上で、プラズマ処理を行い調査した。アッシュレート及びメモリ効果共に、ウエハの周縁部において測定した。処理条件は、以下の通りである。
・真空容器内の圧力: 53.3Pa(400mTorr)
・第1の高周波電力: 800W
・クリーニングガスの種類及び流量: O2ガス、700sccm
・プラズマ処理時間: 1分間
・印加直流電圧: 0V、−150V、−300V
その結果を図12に示す。
アッシュレートについては、印加直流電圧が0Vから−150Vにかけては横ばいであったが、−300Vではアッシュレートは増加した。一方、メモリ効果については、0Vから−300Vにかけては減少し続けた。このことから、直流電圧をかけることにより、真空容器内のクリーニング効果を高めることができ、またその際のメモリ効果についても低減できることが確認された。
【0033】
【表1】
【符号の説明】
【0034】
W ウエハ
1 真空容器
3 サセプタ(下部電極)
37 第1の高周波電源
39 第2の高周波電源
4 ガスシャワーヘッド(上部電極)
46 オン、オフスイッチ
47 可変直流電源
53 第1のガス供給系
62 第2のガス供給系
7 制御部
82 第3のガス供給系
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器内に設けられた第1の電極を兼用する載置台に基板を載置し、この第1の電極と第2の電極との間に高周波電力を印加して処理ガスをプラズマ化し、得られたプラズマにより基板に対してプラズマ処理を行う平行平板型のプラズマ処理装置において、
前記プラズマに晒される領域に設けられた直流電圧印加用の電極と、
この電極に直流電圧を印加する直流電圧電源部と、
前記真空容器内をクリーニングするためのクリーニングガスを供給するためのクリーニングガス供給部と、
前記載置台に基板が存在しない状態で処理容器内にクリーニングガスを供給するステップと、前記第1の電極及び第2の電極間に高周波電力を印加してクリーニングガスをプラズマ化するステップと、クリーニングガスをプラズマ化する間、前記電極に直流電圧を印加するステップと、を実行するように制御信号を出力する制御部と、を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記プラズマ処理は、CF系のガスを用いて基板をエッチングする処理であり、前記クリーニングガスは、酸素ガスであることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記電極に印加する直流電圧は、−200V〜−320Vであることを特徴とする請求項2記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
真空容器内に設けられた第1の電極を兼用する載置台に基板を載置し、この第1の電極と当該第1の電極に対向する第2の電極との間に高周波電力を印加して処理ガスをプラズマ化し、得られたプラズマにより基板に対してプラズマ処理を行う工程と、
前記載置台に基板が存在しない状態で処理容器内にクリーニングガスを供給し、前記第1の電極及び第2の電極間に高周波電力を印加してクリーニングガスをプラズマ化する工程と、
この工程を行っているときに、前記プラズマに晒される領域に設けられた直流電圧印加用の電極に直流電圧を印加する工程と、を含むことを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項1】
真空容器内に設けられた第1の電極を兼用する載置台に基板を載置し、この第1の電極と第2の電極との間に高周波電力を印加して処理ガスをプラズマ化し、得られたプラズマにより基板に対してプラズマ処理を行う平行平板型のプラズマ処理装置において、
前記プラズマに晒される領域に設けられた直流電圧印加用の電極と、
この電極に直流電圧を印加する直流電圧電源部と、
前記真空容器内をクリーニングするためのクリーニングガスを供給するためのクリーニングガス供給部と、
前記載置台に基板が存在しない状態で処理容器内にクリーニングガスを供給するステップと、前記第1の電極及び第2の電極間に高周波電力を印加してクリーニングガスをプラズマ化するステップと、クリーニングガスをプラズマ化する間、前記電極に直流電圧を印加するステップと、を実行するように制御信号を出力する制御部と、を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記プラズマ処理は、CF系のガスを用いて基板をエッチングする処理であり、前記クリーニングガスは、酸素ガスであることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記電極に印加する直流電圧は、−200V〜−320Vであることを特徴とする請求項2記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
真空容器内に設けられた第1の電極を兼用する載置台に基板を載置し、この第1の電極と当該第1の電極に対向する第2の電極との間に高周波電力を印加して処理ガスをプラズマ化し、得られたプラズマにより基板に対してプラズマ処理を行う工程と、
前記載置台に基板が存在しない状態で処理容器内にクリーニングガスを供給し、前記第1の電極及び第2の電極間に高周波電力を印加してクリーニングガスをプラズマ化する工程と、
この工程を行っているときに、前記プラズマに晒される領域に設けられた直流電圧印加用の電極に直流電圧を印加する工程と、を含むことを特徴とするプラズマ処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−204644(P2012−204644A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68370(P2011−68370)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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