説明

プリプレグ、プリプレグの製造方法、金属張積層板及び印刷配線板

【課題】無機充填材の凝集に基づく絶縁不良といった問題がないプリプレグおよびその製造方法を提供する。また、当該プリプレグを用いた金属張積層板及び印刷配線板を提供する。
【解決手段】基材に樹脂組成物が含浸されてなり、前記樹脂組成物が無機充填材と3官能性シラン化合物とを含み、前記樹脂組成物のワニスを作製する際の前記3官能性シラン化合物の投入温度が40℃以下であるプリプレグおよびその製造方法である。また、当該プリプレグを用いた金属張積層板及び印刷配線板である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリプレグ、プリプレグの製造方法、金属張積層板及び印刷配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高密度化、小型化、軽量化が急速に進行しているため、厚さの薄いプリプレグおよび金属張積層板の必要性が高まっている。プリプレグの基材としては薄い織布が用いられるようになっている。また、弾性率の向上も求められているため、無機充填材を使用してその特性を引き出すことが行われている。
【0003】
無機充填材を使用したプリプレグ用の樹脂組成物として、水和物または水酸化物を含まない無機充填材と、これに表面処理を施すための3官能性シラン化合物とを含む樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1によれば、当該樹脂組成物は、優れた難燃性を有するとともに電気特性に優れ、成形性、耐薬品性に優れることが記載されている。
【特許文献1】特開2006−28298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の無機充填材を含む樹脂組成物を溶剤で希釈してワニスとすると、当該ワニス中の無機充填材が凝集する場合がある。この状態でワニスをガラス織布などの基材に含浸すると、基材の破れや塗りむらが発生し、絶縁体としての絶縁性が低下するという問題があった。
【0005】
そこで本発明では、無機充填材の凝集に基づく絶縁不良といった問題がないプリプレグおよびその製造方法を提供することを目的とする。また、当該プリプレグを用いた金属張積層板及び印刷配線板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく鋭意研究を行ったところ、本発明者らは下記本発明に想到し、当該目的を達成できることを見出した。すなわち、本発明は下記の通りである。
【0007】
(1)基材に樹脂組成物が含浸されてなり、無機充填材と3官能性シラン化合物とが配合され、前記樹脂組成物のワニスを作製する際の前記3官能性シラン化合物の投入温度が40℃以下であるプリプレグである。
(2)前記(3官能性シラン化合物の投入温度が30〜40℃である(1)に記載のプリプレグである。
(3)前記無機充填材の体積平均粒径が0.5〜6.0μmであり、かつ、比表面積が3.0〜10.0m2/gである(1)または(2)に記載のプリプレグである。
【0008】
(4)無機充填材と3官能性シラン化合物とを配合した樹脂組成物を含むワニスを基材に含浸するプリプレグの製造方法であって、前記ワニスを作製する際の前記3官能性シラン化合物の投入温度を40℃以下とするプリプレグの製造方法である。
(5)前記3官能性シラン化合物の投入温度を30〜40℃とする(4)に記載のプリプレグの製造方法。
【0009】
(6)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のプリプレグまたはその積層体の両面または片面に金属層が形成されてなる金属張積層板。
(7)上記(6)に記載の金属張積層板に回路加工が施されてなる印刷配線板。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、無機充填材の凝集に基づく絶縁不良といった問題がないプリプレグおよびその製造方法を提供することができる。また、当該プリプレグを用いた金属張積層板及び印刷配線板を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[プリプレグ及びその製造方法]
本発明のプリプレグは、基材に樹脂組成物が含浸されてなるものである。樹脂組成物中には、無機充填材と3官能性シラン化合物とが含まれており、その他に樹脂や公知の添加剤が含まれている。以下、これらの構成材料について説明する。
【0012】
(基材)
基材としては、金属箔張り積層板や多層印刷配線板を製造する際に用いられるものであれば特に制限されないが、通常織布や不織布等の繊維基材が用いられる。繊維基材の材質としては、ガラス、アルミナ、ボロン、シリカアルミナガラス、シリカガラス、チラノ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコニア等の無機繊維やアラミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、カーボン、セルロース等の有機繊維等およびこれらの混抄系があり、特にガラス繊維の織布が好ましく用いられる。プリプレグに使用される基材としては、厚さが10μm〜200μmのガラス織布が特に好適に用いられる。
【0013】
(無機充填材)
無機充填材としては、硝酸アルミニウム水和物、硫酸カルシウム水和物、シュウ酸カルシウム水和物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、クレー、ガラス、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、アルミナ、シリカ、酸化チタン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは、数種類を同時に用いても良い。上記無機充填材の中でも、耐熱性、基材の熱膨張性を考慮するとシリカを使用することが好ましい。
【0014】
また、無機充填材の配合量は適宜選択されるが、樹脂組成物の固形分総量に対し20〜30質量%とし、20〜25質量%とすることが好ましい。
配合量が20質量%を下回ると、接続信頼性を確保するための低熱膨張特性を得られない。また、30質量%を上回ると、外層ピール強度の低下やドリル磨耗量の増加が認められる。
なお、樹脂組成物の固形分とは、溶剤分を含まない樹脂成分(溶剤カットされているものであれば溶剤分を除いたもの)及び充填材をいう。例えば,MEKの溶剤でカットされた樹脂の場合、20%溶剤が含まれていれば、残りの80%が固形分となる。また、常温で液体であるような液状エポキシの場合、溶剤分は含まれていないため液体ではあるが100%固形分となる。固形分の測定法としては、ワニス等を1〜2g取り、160℃30分乾燥することで測定することができる。
【0015】
無機充填材の体積平均粒径は0.5〜6.0μmであり、かつ、比表面積は3.0〜10.0m2/gであることが好ましい。無機充填材がこの条件を満たすことで、無機充填材(特にシリカ)の凝集、沈降をより抑えることができ、良好なワニス状態を得ることができる。体積平均粒径は、0.5〜4.5μmであることがより好ましく、比表面積は3.3〜6.1m2/gであることがより好ましい。
なお、上記体積平均粒径は、湿式分散(主に水)によるレーザー回折式粒度分布測定器での測定により求めた50%累積中位径(メジアン径)をいう。比表面積は、粉体粒子表面に吸着占有面積の判った分子を液体窒素の温度で吸着させ、その量から試料の比表面積を求める方法(低温低湿物理吸着によるBET法)にて測定することができる。
【0016】
(3官能性シラン化合物)
3官能性シラン化合物としては、以下に示したものに代表されるシラン化合物が挙げられる(以下、シラン化合物における官能性とは、縮合反応性の官能基を有することを意味する)。
【0017】
すなわち、H3CSi(OCH33、H52Si(OCH33、H73Si(OCH33、H94Si(OCH33、H3CSi(OC253、H52Si(OC253、H73Si(OC253、H94Si(OC253、H3CSi(OC373、H52Si(OC373、H73Si(OC373、H94Si(OC373、H3CSi(OC493、H52Si(OC493、H73Si(OC493、H94Si(OC493等のモノアルキルトリアルコキシシラン、
【0018】
PhSi(OCH33、PhSi(OC253、PhSi(OC373、PhSi(OC493(ただし、Phはフェニル基を示す。以下同様)等のフェニルトリアルコキシシラン、
【0019】
(H3CCOO)3SiCH3、(H3CCOO)3SiC25、(H3CCOO)3SiC37、(H3CCOO)3SiC49等のモノアルキルトリアシルオキシシラン、
【0020】
Cl3SiCH3、Cl3SiC25、Cl3SiC37、Cl3SiC49、Br3SiCH3、Br3SiC25、Br3SiC37、Br3SiC49等のモノアルキルトリハロゲノシランなどが挙げられる。
【0021】
3官能性シラン化合物は上記に限定されるものではないが、なかでもモノアルキルトリアルコキシシランが好ましい。配合量としては、樹脂組成物に対し0.05質量%〜0.5質量%の範囲であることが好ましい。
【0022】
なお、2官能性以下のシラン化合物では、反応性に乏しく、無機充填材への表面処理効果が小さいため、分散性への効果、耐薬品性効果が小さいものとなる。また、4官能性のシラン化合物では、反応性に優れるものの反応が急激に進むため危険を伴う取扱いとなり、また、揮発性の高いものもあるため、添加したシラン化合物の有効利用ができず好ましくない。
【0023】
また、樹脂組成物のワニスを作製する際の3官能性シラン化合物の投入温度は40℃以下とし、30〜40℃とすることが好ましく、30〜35℃とすることがより好ましい。
投入温度が40℃を超えると、加水分解反応が急激に進行するため、添加したシラン化合物の有効利用ができず、凝集発生の原因となる。
ここで、上記「投入温度」とは、ワニスを作製する段階で、3官能性シラン化合物が他の樹脂組成物材料(ワニスにするための溶媒を含む場合有り)に投入(混合)される際の当該樹脂組成物材料の温度をいう。
【0024】
温度以外に3官能性シラン化合物の投入する際の条件として、投入速度は、他の樹脂組成物材料1000リットル当り、500〜1000ml/minとすることが好ましい。投入順序としては、3官能性シラン化合物を除く樹脂組成物の材料を混合した後であることが好ましい。3官能性シラン化合物は、後述する溶媒に溶解した状態で用いることが好ましい。
【0025】
(樹脂)
樹脂としては特に制限されるものではなく熱硬化性樹脂が好ましいが、耐熱性に富む熱可塑性樹脂でも良い。例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、トリアジン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂等が用いられる。また、これらの樹脂は2種類以上併用しても良く、必要に応じて各種硬化剤、硬化促進剤を樹脂に配合し、これらを溶剤、溶液として配合してもかまわない。
【0026】
硬化剤としては、従来公知の種々のものを使用することができる。例えば樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合には、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン等のアミン化合物、無水フタル酸、無水ピロメリット酸等の酸無水物化合物、フェノールノボラック樹脂やクレゾールノボラック樹脂等の多官能性フェノール化合物などを挙げることができる。これらの硬化剤は何種類かを併用することも可能である。硬化剤の配合量は、主材である樹脂100質量部に対して25〜35質量部が好ましい。
【0027】
硬化促進剤の種類や配合量も特に制限されるものではなく、例えばイミダゾール系化合物、有機リン系化合物、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等が用いられ、2種類以上を併用しても良い。硬化促進剤の配合量も特に制限されるものではないが、主材である樹脂100質量部に対して0.01〜10.0質量部が好ましい。
【0028】
本発明のプリプレグは、既述の材料から樹脂組成物のワニスを作製し、これを基材に含浸することで得られる。ワニスとするために使用する溶剤の種類は特に制限はなく、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶剤;テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;N−メチルピロリドン、N、N’−ジメチルホルムアミド、N、N’−ジエチルアセトアミドなどのアミド系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶剤;酢酸エチル、メチルセロソルブアセテートなどのエステル系溶剤;ブチロニトリルなどのニトリル系溶剤等があり、これらは単独で用いても何種類かを混合して用いてもよい。
【0029】
また、ワニス中の固形分は、樹脂の組成や無機充填材の種類及び配合量等により適宜変更できるが、プリプレグを作製する場合は、50〜80質量%であることが好ましく、50〜70質量%であることがより好ましい。
50質量%以上とすることで、ワニス粘度の低下を防ぎ、プリプレグの樹脂分が低くなることを防ぐことができる。80質量%以下とすることで、ワニスの増粘等によりプリプレグの外観等が低下しやすくなるのを防ぐことができる。
なお、固形分の濃度とは、先に説明した「樹脂組成物の固形分」と同様の意味である。
【0030】
[金属張積層板]
本発明の金属張積層板は、本発明のプリプレグまたはその積層体の両面または片面に金属層が形成されてなる。具体的には、当該プリプレグを単独で、またはこれを複数枚積層した積層体を使用し、この両面又は片面に金属箔を重ね、170℃〜240℃の範囲で、1〜8MPaの圧力で、加熱加圧成形することにより得られる。
【0031】
金属箔は、銅箔やアルミニウム箔を用いることが可能で、その厚みは5〜200μmであることが好ましい。また、ニッケル、ニッケル−リン、ニッケル−スズ合金、ニッケル−鉄合金、鉛、鉛−スズ合金等を中間層とし、一方の面に厚さ0.5〜15μmの銅層を形成し、他方の面に厚さ10〜300μmの銅層を設けた3層構造の複合箔、あるいはアルミニウム箔と銅箔を複合した2層構造複合箔を用いることもできる。
【0032】
[印刷配線板]
本発明の印刷配線板は、本発明の金属張積層板に回路加工が施されてなる。
具体的には、従来公知の方法により金属箔表面もしくは金属箔エッチング面に対して回路加工することにより印刷配線板を製造することができる。特に、これらの両面あるいは片面配線板を内層板としてその両側もしくは片側にプリプレグを配してプレス成形後、層間接続のためのドリル等による穴あけ、めっき等を行い、上記と同様に回路加工等を施すことにより多層印刷配線板を製造することもできる。
【実施例】
【0033】
以下に本発明の実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の技術思想を逸脱しない限り、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0034】
[実施例1]
撹拌装置、コンデンサ、温度計を備えたガラスフラスコに、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量:178、ジャパンエポキシレジン株式会社製、エピコート154)9.8質量部、テトラキスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂(エポキシ当量:200、ジャパンエポキシレジン株式会社製、エピコート1031S)3.3質量部、BPAノボラック型フェノール樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、YLH129)19.0質量部、BPA型液状エポキシ樹脂(エポキシ当量:185、ジャパンエポキシレジン株式会社製、エピコート827)1.7質量部、シリカ(福島窯業株式会社製、F05−30、平均粒径4.2μm、比表面積5.8m2/g)25.0質量部、臭素含有樹脂(エポキシ当量:475、ジャパンエポキシレジンエピコート5046)41.0質量部、硬化促進剤として2E4MZ(四国化成株式会社製)0.1質量部、トリメトキシメチルシラン(関東化学(株)社製)0.1質量部をワニス温度40℃でMEK(メチルエチルケトン)に溶解、希釈し、1時間室温(40℃、以下同様)にて撹拌を行い、固形分60質量%の樹脂組成物ワニスになるようにMEKで調整した。
【0035】
このワニスを厚さ約100μmのガラス布(スタイル2116、Eガラス)に含浸後、150℃で5分乾燥して樹脂分50質量%のプリプレグを得た。
このプリプレグを16枚積層し、その両側に12μmの銅箔を重ね、170℃で90分、4.0MPaのプレス条件で、厚さ約1.6mmの銅張積層板を作製した。
【0036】
[実施例2]
撹拌装置、コンデンサ、温度計を備えたガラスフラスコに、(A)フェノールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量:178、ジャパンエポキシレジン株式会社製、エピコート154)11.4質量部、(B)テトラキスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂(エポキシ当量:200、ジャパンエポキシレジン株式会社製、エピコート1031S)2.8質量部、(C)フェノールノボラック型フェノール樹脂(日立化成工業株式会社製、HP1100、Mn:1,400、Mw:9,100、Mw/Mn:6.5、遊離フェノール含有率1.0%)17.6質量部、(D)シリカ(福島窯業株式会社製、F05−30、平均粒径4.2μm、比表面積5.8m2/g)25.6質量部、臭素含有樹脂(エポキシ当量:475、ジャパンエポキシレジンエピコート5046)42.4質量部、硬化促進剤として2E4MZ(四国化成株式会社製)0.1質量部をMEKに溶解、トリメトキシメチルシラン(関東化学(株)社製)0.1質量部をワニス温度40℃でMEKに溶解希釈し、1時間室温にて撹拌を行い、固形分60質量%の樹脂組成物ワニスになるようにMEKで調整した。
【0037】
このワニスを厚さ約100μmのガラス布(スタイル2116、Eガラス)に含浸後、150℃で5分乾燥して樹脂分50質量%のプリプレグを得た。
このプリプレグを16枚積層し、その両側に12μmの銅箔を重ね、170℃で90分、4.0MPaのプレス条件で、厚さ約1.6mmの銅張積層板を作製した。
【0038】
[実施例3〜5]
トリメトキシメチルシランの投入温度を20℃(実施例3)、30℃(実施例4)、35℃(実施例5)とした以外は実施例1と同様にして、プリプレグと銅張積層板を作製した。
【0039】
[比較例1]
トリメトキシメチルシランの投入温度を50℃とした以外は実施例1と同様にして、プリプレグと銅張積層板を作製した。
【0040】
[比較例2]
トリメトキシメチルシランの投入温度を50℃とした以外は実施例2と同様にして、プリプレグと銅張積層板を作製した。
【0041】
[比較例3]
トリメトキシメチルシランの投入温度を45℃とした以外は実施例1と同様にして、プリプレグと銅張積層板を作製した。
【0042】
[比較例4]
トリメトキシメチルシランの代わりに2官能性であるジメトキシジフェニルシラン(関東化学(株)社製)を使用した以外は実施例1と同様にして、プリプレグと銅張積層板を作製した。
【0043】
[比較例5]
トリメトキシメチルシランの代わりに4官能性であるテトラメトキシシラン(関東化学(株)社製)を使用した以外は実施例1と同様にして、プリプレグと銅張積層板を作製した。
【0044】
各実施例及び比較例でプリプレグを作製する際に、ワニス中の無機微粒子の凝集の有無や、ガラス布にワニスを含浸した後の塗りむらを目視により観察した。結果を下記表1に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
比較例と比較すると、実施例1〜5ではワニス中の無機充填材の凝集もなく、塗りむらもなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に樹脂組成物が含浸されてなり、
無機充填材と3官能性シラン化合物とが配合され、
前記樹脂組成物のワニスを作製する際の前記3官能性シラン化合物の投入温度が40℃以下であるプリプレグ。
【請求項2】
前記3官能性シラン化合物の投入温度が30〜40℃である請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項3】
前記無機充填材の体積平均粒径が0.5〜6.0μmであり、かつ、比表面積が3.0〜10.0m2/gである請求項1または2に記載のプリプレグ。
【請求項4】
無機充填材と3官能性シラン化合物とを配合した樹脂組成物を含むワニスを基材に含浸するプリプレグの製造方法であって、
前記ワニスを作製する際の前記3官能性シラン化合物の投入温度を40℃以下とするプリプレグの製造方法。
【請求項5】
前記3官能性シラン化合物の投入温度を30〜40℃とする請求項4に記載のプリプレグの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のプリプレグまたはその積層体の両面または片面に金属層が形成されてなる金属張積層板。
【請求項7】
請求項6に記載の金属張積層板に回路加工が施されてなる印刷配線板。

【公開番号】特開2010−84085(P2010−84085A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257279(P2008−257279)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】