説明

プリント配線板、電子機器

【課題】アースの性能を確保しつつ、広い実装面積を得ることができるランドを有するプリント配線板を提供する。
【解決手段】プリント配線板31は、辺部を有し、辺部の近傍に固定孔部36が設けられた基板と、固定孔部36の周辺に設けられたランド34と、ランド34と同等の高さを有するとともに固定孔部36と辺部との間に位置し、固定孔部36にねじ26が通された場合に、ランド34とは異なる位置でねじ26の頭部と当接する高さ調整部37と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランドを有するプリント配線板およびこれを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、プリント配線板のねじ止め用の固定孔部の周囲にグランド用のランドを設けたものが開示されている。このプリント配線板は、基板本体と、基板本体を貫通するように設けられた固定孔部と、基板本体の表面で固定孔部の周囲の位置にドーナツ型に設けられたランドと、ランドの表面に印刷されたクリーム半田と、を備えている。
【0003】
このようなプリント配線板では、ランドの腐食を防止するとともにアース接続を確実に行うため、通常ランドの表面には半田メッキ処理が施される。このプリント配線板では、他の部品の実装パターンにクリーム半田を供給する際に、併せてランドの表面にも半田の供給を行い、半田メッキ処理に比してコスト的に有利なプリント配線板を提供している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−244080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、デジタル機器の小型化、高機能化に伴い、プリント配線板上への高密度実装および広い実装面積の確保の要求が高まっている。しかしながら、上記従来のようにドーナツ形のランドを設けたのでは、ランドを設けるためのスペースを確保する分、プリント配線板上の実装面積が小さくなる問題がある。また、プリント配線板上で広い実装面積を確保するには、固定孔部を基板の外周部に極力寄せて配置することが有効であるが、従来のプリント配線板では、ドーナツ形のランドを形成するためのマージンを固定孔部の周囲に確保する必要があり、固定孔部を十分外側に配置できない。
【0006】
このマージンは、ランドの設置に必要なスペースだけでなく、ランドのパターンをエッチングで形成する際のバラツキをも考慮して規定する必要がある。それは、導体であるランドが縁部に接して形成されると、ランドがプリント配線板の端面に露出することになり、他の部品とプリント配線板とがショートする恐れがあるからである。よって、この点からも固定孔部の周囲に十分なマージンを確保する必要がある。
【0007】
一方、上記のマージンを小さくするために、ドーナツ形のランドの幅を小さくすることが考えられる。しかし、ランドの幅を小さくすると、パターン形成時のばらつきによってランドのパターンが途切れてしまう可能性がある。また、ランドの強度も低下するため、固定孔部にねじを止める際に、ランドのパターンが剥がれやすくなる。さらに、ランドは、筐体との間でアースを行う箇所であるため、ランドの幅を小さくすると、ランドとねじとの接触面積が小さくなり、アースの確実性が低下する可能性がある。
【0008】
以上から、上記従来のプリント配線板では、近年の高密度実装および広い実装面積の確保の要求に十分に対応することができなくなっていた。
【0009】
本発明の目的は、アースの性能を確保しつつ、広い実装面積を得ることができるランドを有するプリント配線板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明の一つの形態にかかるプリント配線板は、辺部を有し、前記辺部の近傍に固定孔部が設けられた基板と、前記固定孔部の周辺に設けられたランドと、前記ランドと同等の高さを有するとともに前記固定孔部と前記辺部との間に位置し、前記固定孔部にねじが通された場合に、前記ランドとは異なる位置で前記ねじの頭部と当接する高さ調整部と、を具備する。
【0011】
前記目的を達成するため、本発明の一つの形態にかかる電子機器は、内面にグランド層を有する筐体と、前記筐体に収容されたプリント配線板と、前記プリント配線板を前記筐体に固定するとともに、前記グランド層と電気的に接続されるねじと、を具備する電子機器であって、前記プリント配線板は、辺部を有し、前記辺部の近傍に固定孔部が設けられた基板と、前記固定孔部の周辺に設けられたランドと、前記ランドと同等の高さを有するとともに前記固定孔部と前記辺部との間に位置し、前記ランドとは異なる位置で前記ねじの頭部と当接する高さ調整部と、を具備する。
【0012】
前記目的を達成するため、本発明の他の形態にかかる電子機器は、内面にグランド層を有する筐体と、前記筐体に収容されたプリント配線板と、前記プリント配線板を前記筐体に固定するとともに、前記グランド層と電気的に接続されたねじと、を具備する電子機器であって、前記プリント配線板は、辺部を有し、前記辺部の近傍に固定孔部が設けられた基板と、前記固定孔部の周辺に設けられたランドと、前記固定孔部と前記辺部との間に位置し、前記ランドとは異なる位置で前記ねじの頭部と当接することで、該ねじの傾きを抑制する高さ調整部と、を具備する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、アースの性能を確保しつつ、広い実装面積を得ることができるランドを有するプリント配線板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係るポータブルコンピュータを示す斜視図。
【図2】図1に示すポータブルコンピュータの本体ユニットの水平方向に沿った断面図。
【図3】図2に示す本体ユニットの筐体の内部に収容されるプリント配線板の一部を拡大して示す平面図。
【図4】図3に示すプリント配線板の縦方向に沿った断面図。
【図5】第2の実施形態にかかるポータブルコンピュータのプリント配線板の一部を拡大して示す平面図。
【図6】第3の実施形態にかかるポータブルコンピュータのプリント配線板の一部を拡大して示す平面図。
【図7】第4の実施形態にかかるポータブルコンピュータのプリント配線板の一部を拡大して示す平面図。
【図8】第5の実施形態にかかるハードディスク装置の筐体の内部に収容されるプリント配線板を示す斜視図。
【図9】図8に示すプリント配線板の縦方向に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図1から図4を参照して、電子機器の第1の実施形態について説明する。図1に示すように、電子機器の一例であるポータブルコンピュータは、いわゆるノート型のパーソナルコンピュータである。図1、2において、前方向を矢印F、後方向を矢印Rとして説明を進める。
【0016】
図1に示すように、ポータブルコンピュータ11は、本体ユニット12と、ディスプレイユニット13と、本体ユニット12とディスプレイユニット13とを連結するヒンジ機構14と、を備えている。ヒンジ機構14は、ディスプレイユニット13を支持しており、ディスプレイユニット13を本体ユニット12に対して回動させることができる。ディスプレイユニット13は、ディスプレイ15と、ディスプレイ15の周囲を取り囲むカバー16と、を有している。ディスプレイ15は、例えば、液晶ディスプレイで構成される。
【0017】
本体ユニット12は、合成樹脂製の筐体21と、キーボード22と、ポインティングデバイスであるタッチパッド23およびボタン24と、を有している。図2と図4に示すように、本体ユニット12は、さらに、筐体21の内部に、プリント回路板25と、プリント回路板25を筐体21に固定するためのねじ26と、を有している。プリント回路板25は、プリント配線板31と、プリント配線板31上に実装される複数の回路部品32と、を有している。複数の回路部品32には、例えば、CPUやノースブリッジが含まれている。図2では、ねじ26の図示を省略している。筐体21の内面には、導電性のグランド層46が均一に被覆されている。グランド層46は、ポータブルコンピュータ11から外部に電磁波が漏洩することを防止する。
【0018】
プリント配線板31は、例えば銅製の配線層を複数積層した銅張積層板である。プリント配線板31は、基板本体33と、基板本体33上に設けられるランド34および高さ調整部37と、基板本体33の表面を覆うソルダーレジスト層38と、ランド34とグランド部41とを電気的に接続するスルーホールめっき52と、を有している。基板本体33は、基材としてガラスクロスを通した樹脂製の絶縁層と、絶縁層に挟まれて設けられる配線層とを交互に積層して形成されている。基板本体33は、基板本体33の外周の一部を規定する一対の辺部である第1の辺部35Aおよび第2の辺部35Bと、第1の辺部35Aおよび第2の辺部35Bに隣接する位置に設けられる固定孔部36と、を有している。固定孔部36は、第1の辺部35Aおよび第2の辺部35Bに寄って配置されている。
【0019】
図3と図4に示すように、グランド部41は、スルーホールめっき52、ランド34ねじ26、を介してグランド層46にアースされている。
【0020】
図2から図4に示すように、基板本体33は、さらに、固定孔部36のほかに、プリント配線板31を筐体21にねじ止めするための貫通孔42を有している。貫通孔42の周囲には、従来型の形状、つまりドーナツ形の第2のランド43が形成されている。プリント配線板31を筐体21に固定する際には、固定孔部36および貫通孔42の内側にねじ26が通される。
【0021】
ねじ26は、ランド34又は第2のランド43に覆い被さるとともに、ランド34又は第2のランド43に接触される頭部26Aと、固定孔部36又は貫通孔42の内側に通される軸部26Bと、を有している。軸部26Bの外周部には、雄ねじが形成されている。
【0022】
ランド34は、固定孔部36の周囲の位置で、固定孔部36の近傍に設けられている。ランド34は、固定孔部36から基板本体33の中央部45に向かう方向D1と、一対の辺部35A、35Bの延びる方向に沿った方向D2との間の範囲内で、固定孔部36から周囲に向けて広がっている。すなわち、ランド34は、固定孔部36を中心とした扇形をなしており、基板本体33の中央部45に向けて展開するように配置されている。本実施形態におけるランド34の扇形の展開角度は、例えば、約90度である。ランド34は、基板本体33の表層にある銅箔を例えばエッチングすることにより、上記した扇形に形成される。
【0023】
高さ調整部37は、例えば、ソルダーレジストで形成されており、絶縁性を有している。高さ調整部37は、基板本体33の表面に被覆されたソルダーレジスト層38と連続するように形成されている。高さ調整部37は、固定孔部36と一対の辺部35A、35Bとの間の位置に設けられる。より具体的には、高さ調整部37は、辺部35に沿って帯状に配置されている。高さ調整部37は、ランド34の上面の高さと同等の高さを有している。高さ調整部37およびソルダーレジスト層38は、ランド34をエッチングで形成した後に、基板本体33の表面に対してソルダーレジストを印刷(スクリーン印刷)すること形成される。ソルダーレジスト層38および高さ調整部37と、ランド34との間には、隙間39が設けられている。ソルダーレジスト層38および高さ調整部37は、基板本体33に対して位置ずれして印刷されることがあるが、この隙間39は、位置ずれしたソルダーレジスト層38および高さ調整部37がランド34に重ねて形成されることを防止する。
【0024】
なお、本実施形態では、貫通孔42を複数個設け、固定孔部36を一つ設けるようにしているが、これに限定されるものではなく、貫通孔42の代わりに固定孔部36を複数個配置するようにしてもよい。また本実施形態において、高さ調整部37は、ソルダーレジストで形成されているが、これに限定されるものではない。高さ調整部37は、絶縁性を有するものであればどのようなものでもよく、たとえば、基板本体33の表面に印刷されたシルクによっても形成してもよい。また、本実施形態では、固定孔部36の内面には、めっきが施されていないが、固定孔部36の内面にめっきを被覆してめっきスルーホールとして形成してもよい。
【0025】
第1の実施形態によれば、ポータブルコンピュータ11は、内面に導電性のグランド層46を有する筐体21と、筐体21の内部に収容されるプリント配線板31と、プリント配線板31を筐体21に固定するとともに、プリント配線板31をグランド層46にアースするねじ26と、を具備し、プリント配線板31は、外周の一部を規定する一対の辺部35A、35Bと、一対の辺部35A、35Bに隣接する位置に設けられるとともにねじ26が通される固定孔部36と、を有する基板本体33と、固定孔部36の近傍に設けられるとともに、固定孔部36から基板本体33の中央部45に向かう方向D1と、一対の辺部35A、35Bの延びる方向に沿った方向D2との間の範囲内で、固定孔部36から周囲に向けて広がるランド34と、固定孔部36と一対の辺部35A、35Bとの間の位置に設けられるとともに、ランド34の高さと同等の高さを有する絶縁性の高さ調整部37と、を具備する。
【0026】
この構成によれば、ランド34は、基板本体33の中央部45に向かう方向D1に形成され、固定孔部36と辺部35との間の位置には、ランド34が形成されない。これにより、ランド34を固定孔部36と辺部35との間の位置に配置するためのスペースが不要となり、固定孔部36を辺部35に極力近づけて配置することができる。このため、プリント配線板31上に広い実装領域を確保することができる。また、ランド34の高さと同等の高さを有する高さ調整部37を有しているため、固定孔部36にねじ26を締結してプリント配線板31を固定する際に、ねじ26が傾いて設置されてしまうことがない。このため、ランド34に対してねじ26が浮いてしまうことがなく、プリント配線板31のアースを確実に行うことができる。
【0027】
本実施形態において、ランド34は、固定孔部36を中心に中央部45に向けて展開した扇形をなしている。この構成によれば、十分な強度を持ったランド34を簡単な形状で実現することができる。特に、ランド34の形状が扇形になっているため、ねじ26の頭部26Aがランド34に接触しやすくなり、プリント配線板31と筐体21のグランド層46との間のアースを確実に行うことができる。
【0028】
続いて、図5を参照して、ポータブルコンピュータの第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の電子機器の一例であるポータブルコンピュータ11は、固定孔部36が1つの辺部35に近傍に設けられている点、およびランド54の形状が異なる点で第1の実施形態と異なっているが、他の部分は共通している。このため、主として第1の実施形態と異なる部分について説明し、共通する箇所については共通の符号を付して説明を省略する。
【0029】
第2の実施形態のポータブルコンピュータ11のプリント配線板51は、基板本体33と、基板本体33上に設けられるランド54および高さ調整部37と、基板本体33の表面を覆うソルダーレジスト層38と、ランド54とグランド部41とを電気的に接続するスルーホールめっき52と、を有している。
【0030】
基板本体33は、基板本体33の外周の一部を規定する1つの辺部35と、この1つの辺部35に隣接する位置に設けられる固定孔部36と、を有している。固定孔部36は、1つの辺部35に寄って配置されている。
【0031】
ランド54は、固定孔部36の周囲で、固定孔部36の近傍に設けられている。ランド54は、固定孔部36から基板本体33の中央部45に向かう方向D1と、辺部35の延びる方向に沿った方向D2との間の範囲内で、固定孔部36から周囲に向けて広がっている。ランド54は、固定孔部36を中心とした扇形をなしており、基板本体33の中央部45に向けて展開するように配置されている。本実施形態におけるランド54の展開角度は、例えば、約180度である。
【0032】
高さ調整部37は、例えば、ソルダーレジストで形成されており、絶縁性を有している。高さ調整部37は、基板本体33の表面に被覆されたソルダーレジスト層38と連続するように形成されている。高さ調整部37は、固定孔部36と1つの辺部35との間の位置に設けられており、辺部35に沿って帯状に配置されている。高さ調整部37は、ランド54の上面の高さと同等の高さを有している。高さ調整部37およびソルダーレジスト層38は、ランド54をエッチングで形成した後に、基板本体33の表面に対してソルダーレジストを印刷(スクリーン印刷)すること形成される。ソルダーレジスト層38および高さ調整部37と、ランド54との間には、隙間39が設けられている。高さ調整部37をシルクによって形成してもよいことは第1の実施形態と同様である。
【0033】
第2の実施形態によれば、固定孔部36が1つの辺部35に近傍に設けられる場合であっても、ランド34は、基板本体33の中央部45に向かう方向D1に形成され、固定孔部36と辺部35との間の位置には、ランド34が形成されない。よって、固定孔部36を辺部35に極力近づけて配置することができ、プリント配線板31上に広い実装領域を確保することができる。また、ランド34の高さと同等の高さを有する高さ調整部37を有しているため、固定孔部36にねじ26を締結してプリント配線板51を固定する際に、ねじ26が傾いて設置されてしまうことがない。このため、プリント配線板51のアースを確実に行うことができる。
【0034】
続いて、図6を参照して、ポータブルコンピュータの第3の実施形態について説明する。第3の実施形態の電子機器の一例であるポータブルコンピュータ11は、プリント配線板71の高さ調整部72の構成と、固定孔部36およびランド34の設置位置と、が第1の実施形態と異なっているが、他の部分は共通している。このため、主として第1の実施形態と異なる部分について説明し、共通する箇所については共通の符号を付して説明を省略する。
【0035】
第3の実施形態のポータブルコンピュータ11のプリント配線板71は、基板本体33と、基板本体33上に設けられるランド34および高さ調整部72と、基板本体33の表面を覆うソルダーレジスト層38と、ランド54とグランド部41とを電気的に接続するスルーホールめっき52と、を有している。
【0036】
基板本体33は、基板本体33の外周の一部を規定する一対の辺部である第1の辺部35Aおよび第2の辺部35Bと、第1の辺部35Aおよび第2の辺部35Bに隣接する位置に設けられる固定孔部36と、を有している。固定孔部36は、1つの辺部35に極力寄せて配置されている。
【0037】
ランド34は、固定孔部36の周囲で、固定孔部36の近傍に設けられている。ランド34は、固定孔部から基板本体33の中央部45に向かう方向D1と、辺部35の延びる方向に沿った方向D2との間の範囲内で、固定孔部36から周囲に向けて広がっている。ランド34は、扇形をなしており、基板本体33の中央部45に向けて展開するように配置されている。本実施形態におけるランド34の展開角度は、例えば、約90度である。
【0038】
高さ調整部37は、例えば、ソルダーレジストで形成されており、絶縁性を有している。高さ調整部37は、基板本体33の表面に被覆されたソルダーレジスト層38とは、独立に形成されている。高さ調整部72は、固定孔部36と1つの辺部35との間の位置に設けられているが、辺部35とランド34の辺部35に対向する部分34Aとの間の位置から外れた位置に配置されている。高さ調整部72は、一対の辺部35A、35B同士が交わる位置、つまりプリント配線板71の角部に配置されている。
【0039】
高さ調整部72は、ランド34の上面の高さと同等の高さを有している。高さ調整部72およびソルダーレジスト層38は、ランド34をエッチングで形成した後に、基板本体33の表面に対してソルダーレジストを印刷(スクリーン印刷)すること形成される。ソルダーレジスト層38と、ランド34との間には、隙間39が設けられている。なお、本実施形態のように、高さ調整部72をソルダーレジスト層38から分離して形成するようにしても、製造工程が複雑になることはない。
【0040】
第3の実施形態によれば、高さ調整部72は、辺部35とランド34の辺部35に対向する部分34Aとの間の位置から外れた位置であって、一対の辺部35A、35B同士が交わる位置に配置される。この構成によれば、高さ調整部72は、辺部35とランド345の辺部35に対向する部分34Aとの間の位置には配置されず、プリント配線板71のいわゆる角部に配置されることになる。このため、第1の実施形態のものに比して、高さ調整部72の設置に要するスペースが小さくなり、その空いたスペースにランド34の一部を配置させるように、固定孔部36およびランド34をプリント配線板71の角部に寄せて配置させることができる。これにより、第1の実施形態のものに比して、プリント配線板71上により一層広い実装スペースを確保することができる。
【0041】
続いて、図7を参照して、ポータブルコンピュータの第4の実施形態について説明する。第4の実施形態の電子機器の一例であるポータブルコンピュータ11は、プリント配線板81の高さ調整部72の構成と、固定孔部36およびランド54の設置位置と、が第2の実施形態と異なっているが、他の部分は共通している。このため、主として第2の実施形態と異なる部分について説明し、共通する箇所については共通の符号を付して説明を省略する。
【0042】
第3の実施形態のポータブルコンピュータ11のプリント配線板81は、基板本体33と、基板本体33上に設けられるランド54および高さ調整部72と、基板本体33の表面を覆うソルダーレジスト層38と、ランド54とグランド部41とを電気的に接続するスルーホールめっき52と、を有している。
【0043】
基板本体33は、基板本体33の外周の一部を規定する1つの辺部35と、1つの辺部35に隣接する位置に設けられる固定孔部36と、を有している。固定孔部36は、1つの辺部35に極力寄せて配置されている。
【0044】
ランド54は、固定孔部36の周囲で、固定孔部36の近傍に設けられている。ランド54は、固定孔部36から基板本体33の中央部45に向かう方向D1と、辺部35の延びる方向に沿った方向D2との間の範囲内で、固定孔部36から周囲に向けて広がっている。ランド54は、扇形をなしており、基板本体33の中央部45に向けて展開するように配置されている。本実施形態におけるランド54の展開角度は、例えば、約180度である。
【0045】
高さ調整部72は、例えば、ソルダーレジストで形成されており、絶縁性を有している。高さ調整部72は、基板本体33の表面に被覆されたソルダーレジスト層38とは、独立に形成されている。高さ調整部72は、固定孔部36と1つの辺部35との間の位置に設けられているが、辺部35とランド54の辺部35に対向する部分54Aとの間の位置から外れた位置に配置されている。すなわち、高さ調整部72は、1つの辺部35のうち、固定孔部36に正対している部分の近傍にのみ設けられている。
【0046】
高さ調整部72は、ランド54の上面の高さと同等の高さを有している。高さ調整部72およびソルダーレジスト層38は、ランド54をエッチングで形成した後に、基板本体33の表面に対してソルダーレジストを印刷(スクリーン印刷)すること形成される。ソルダーレジスト層38および高さ調整部72と、ランド54との間には、隙間39が設けられている。なお、本実施形態のように、高さ調整部72をソルダーレジスト層38から分離して形成するようにしても、製造工程が複雑になることはない。
【0047】
第4の実施形態によれば、高さ調整部72は、辺部35とランド54の辺部35に対向する部分54Aとの間の位置から外れた位置に配置される。この構成によれば、第1の実施形態のものに比して、高さ調整部72の設置に要するスペースが小さくなるため、その空いたスペースにランド54の一部を配置させるように、固定孔部36およびランド34をプリント配線板81の辺部35に寄せて配置させることができる。これにより、第2の実施形態のものに比して、プリント配線板81上により一層広い実装スペースを確保することができる。
【0048】
続いて、図8、図9を参照して、電子機器の第5の実施形態について説明する。第5の実施形態では、電子機器の一例として、ハードディスク装置91に適用した場合を例に説明する。電子機器の一例であるハードディスク装置91は、各部の構成が第1〜第4の実施形態と異なっているが、プリント配線板31の構成において第1の実施形態とおおむね共通している。このため、主として第2の実施形態と異なる部分について説明し、共通する箇所については共通の符号を付して説明を省略する。
【0049】
ハードディスク装置91は、筐体21と、筐体21の内部に収容されるプリント回路板25と、複数のディスクを収容した収容部92と、複数のディスクを回転駆動するスピンドルモータ93などを有している。ハードディスク装置91は、さらに、プリント回路板25を筐体21に固定するためのねじ26を有している。プリント回路板25は、プリント配線板31と、プリント配線板31上に配置された複数の回路部品と、を有しているが、図9では回路部品の図示を省略している。
【0050】
プリント配線板31は、スピンドルモータ93を配置するための開口部94を有している点が第2の実施形態と異なっているが、他の構成は第1の実施形態のものと同様である。プリント配線板31の基板本体33は、周囲に扇形のランド34が設けられた一つの固定孔部36と、周囲にドーナツ形の第2のランド43が設けられた2つの貫通孔42と、を有している。ランド34は、第1の実施形態のランド34と同形態である。高さ調整部37は、ソルダーレジストで形成されているが、これをシルクによって形成してもよいことは第1の実施形態と同様である。
【0051】
第5の実施形態によれば、電子機器の一例としてハードディスク装置91を用いる場合であっても、固定孔部36を辺部35に極力近づけて配置することができる。このため、プリント配線板31上に広い実装領域を確保することができる。また、ランド34の高さと同等の高さを有する高さ調整部37を有しているため、固定孔部にねじを締結してプリント配線板31を固定する際に、ねじ26が傾いて設置されてしまうことがない。このため、ランド34に対してねじ26が浮いてしまうことがなく、プリント配線板31のアースを確実に行うことができる。
【0052】
なお、第5の実施形態では、第1の実施形態のプリント配線板31と同様のものを用いるようにしているが、これに限定されるものではなく、第2〜第4の実施形態のプリント配線板を用いても良い。
【0053】
本発明の電子機器は、ポータブルコンピュータ11用、ハードディスク装置91用に限らず、例えば携帯電話のようなその他の電子機器に対しても実施可能である。その他、電子機器は、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0054】
11…ポータブルコンピュータ、21…筐体、26…ねじ、31、51、71、81…プリント配線板、33…基板本体、34、54…ランド、34A、54A…辺部に対向する部分、35…辺部、36…固定孔部、37、72…高さ調整部、45…中央部、46…グランド層、91…ハードディスク装置、D1…中央部に向かう方向、D2…辺部の延びる方向に沿った方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
辺部を有し、前記辺部の近傍に固定孔部が設けられた基板と、
前記固定孔部の周辺に設けられたランドと、
前記ランドと同等の高さを有するとともに前記固定孔部と前記辺部との間に位置し、前記固定孔部にねじが通された場合に、前記ランドとは異なる位置で前記ねじの頭部と当接する高さ調整部と、
を具備することを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
前記ランドは、前記辺部に沿う方向と交差する方向に向かって、前記基板上に広がった領域を有することを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板。
【請求項3】
前記ランドの領域は、前記辺部に沿って延びた端部を有することを特徴とする請求項2に記載のプリント配線板。
【請求項4】
内面にグランド層を有する筐体と、
前記筐体に収容されたプリント配線板と、
前記プリント配線板を前記筐体に固定するとともに、前記グランド層と電気的に接続されたねじと、
を具備する電子機器であって、
前記プリント配線板は、
辺部を有し、前記辺部の近傍に固定孔部が設けられた基板と、
前記固定孔部の周辺に設けられたランドと、
前記ランドと同等の高さを有するとともに前記固定孔部と前記辺部との間に位置し、前記ランドとは異なる位置で前記ねじの頭部と当接した高さ調整部と、
を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項5】
前記ランドは、前記辺部に沿う方向と交差する方向に向かって、前記基板上に広がった領域を有することを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記ランドの領域は、前記辺部に沿って延びた端部を有することを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
内面にグランド層を有する筐体と、
前記筐体に収容されたプリント配線板と、
前記プリント配線板を前記筐体に固定するとともに、前記グランド層と電気的に接続されたねじと、
を具備する電子機器であって、
前記プリント配線板は、
辺部を有し、前記辺部の近傍に固定孔部が設けられた基板と、
前記固定孔部の周辺に設けられたランドと、
前記固定孔部と前記辺部との間に位置し、前記ランドとは異なる位置で前記ねじの頭部と当接することで、該ねじの傾きを抑制する高さ調整部と、
を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項8】
前記ランドは、前記辺部に沿う方向と交差する方向に向かって、前記基板上に広がった領域を有することを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記ランドの領域は、前記辺部に沿って延びた端部を有することを特徴とする請求項8記載の電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−67991(P2010−67991A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−274443(P2009−274443)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【分割の表示】特願2008−232392(P2008−232392)の分割
【原出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】