説明

プレガバリンのエナンチオ選択的製造方法

本発明は、(S)−プレガバリンまたはその薬学的に許容される酸付加塩の新規なエナンチオ選択的製造方法であって、一般式(I)のキラル化合物のジオキソラン環を酸加水分解して一般式(II)の化合物を取得し、化合物(II)を酸化して一般式(III)の化合物を取得し、化合物(III)を一般式(IV)の化合物に変換し、化合物(IV)を塩基性加水分解に供して一般式(V)の化合物を取得し、一般式(V)の化合物を還元して鏡像異性的に純粋なS−プレガバリンを取得することを含んでなる方法を提供する。本発明はまた、本方法に関与する新規キラル中間体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(S)−プレガバリン(pregabalin)、またはその塩、とりわけ、薬学的に許容される塩のエナンチオ選択的製造方法に関する。キラリティーは、D−マンニトールビスアセトニド(D-mannitol bisacetonide)を使用して上記方法の初期に導入され、出発化合物(S)−4−((S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)ピロリジン−2−オンが取得され、これは所望によりアミン保護基により保護され、上記方法を通して維持される。本発明はまた、上記方法に関与する新しいキラル中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
(S)−プレガバリンは、(S)−3−(アミノメチル)−5−メチルヘキサン酸としても知られており、てんかん、疼痛、不安神経症、および社会恐怖症の治療に使用するためのガバペンチン、NEURONTIN(登録商標)の後継化合物(follow-up compound)として開発された。(S)−プレガバリンおよびガバペンチンは両方とも、中枢神経系(CNS)において主要な阻害的役割を果たすと考えられている神経伝達物質、4−アミノ酪酸(GABA)の類似体である。(S)−プレガバリンは、2004年12月31日時点で、糖尿病および帯状疱疹に伴う神経痛の治療用に米国において承認されている。
【0003】
(S)−プレガバリンは、GAD(L−グルタミン酸デカルボキシラーゼ)を活性化することが見出されており、発作に用量依存的な予防効果を示すCNS活性化合物である。(S)−プレガバリンは、GADを活性化するため抗けいれん治療に有用であり、脳シナプスの30パーセントで放出されている、脳の主な抑制性伝達物質の1つであるGABAの産生を促進することが見出されている。(S)−プレガバリンは、鎮痛作用、抗けいれん作用、および抗不安作用を示す。
【0004】
プレガバリンの薬理活性は主としてS−エナンチオマーに起因するため、R−エナンチオマーが実質的に存在しないプレガバリンのSエナンチオマーを製造するための幾つかの方法が開発されてきた。
【0005】
典型的には、ラセミ混合物を合成し、その後引き続きそのR−およびS−エナンチオマーに分離する。「マロネート」合成(例えば米国特許第5,840,956号を参照)または「ホフマン転位」合成(例えば米国特許第5,616,793号を参照)のような様々な最新の手法が、公知であり、それらの手法では、ラセミ化合物を分離する古典的方法を使用して(S)−プレガバリンを取得する。これには、所望の(S)−プレガバリンを分離および精製するために、キラル物質を有する塩の製造が必要である。これには大掛かりな製造工程が必要であり、分離剤関連の追加コストがかかる。分離剤の部分的再利用は実現可能だが、追加処理およびコストが必要である。さらに、不要な(R)―プレガバリンは効率的に再利用できず、廃棄物として廃棄される。従って、ラセミ化合物の半分だけが目的であるため、プレガバリンの最大収率は50%である。これにより、生産コストおよび生産能力の要因である、工程の有効スループットが低下する。
【0006】
Serfass, L. et al. (Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 8 (1998) 2599-2602)は、クライゼン転位またはウィティッヒ反応のいずれかによって一般的ジエン前駆体から取得される、シスおよびトランス3−置換ビニル−γ−アミノ酪酸類似体の立体選択的合成が開示されている。ラセミ体プレガバリンは、(i)Pd/Cによる水素化ステップおよび(ii)6NのHClを用いた酸加水分解からなる2ステップの工程で、前駆体9iから製造される(2601ページのスキーム2を参照)。
【0007】
Domingos, J. L. O. et al (Tetrahedron: Asymmetry 15 (2004) 2313-2314)は、キラルなピロリジン−2−オンの製造を開示しており、これは、(R)−バクロフェン等のγ−アミノ酸の製造における中間体として重要である。
【0008】
代わりの手法としては、(S)−プレガバリンは、キラル助剤またはキラル触媒を含んでなる様々な経路により合成されている。
【0009】
プレガバリンを製造するための1つの手法は、対応する前駆体α,β−不飽和イミドに対するTMSCN(トリメチルシリルシアニド)の共役付加に、キラルなアルミニウムサレン触媒を使用することを含んでなる(Highly enantioselective, catalytic conjugate addition of cyanide to α, β-unsaturated imides" Jacobsen et al. , J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 4442-43)。この経路は、高度なエナンチオマー純度を生成するが、キラルなアルミニウムサレン触媒のような高価な試薬、および比較的高価なシアニド供給源TMSCNを使用するため、大規模合成の実施には制限を伴う。
【0010】
プレガバリンを生成する別の方法は、下記式(3d):
【化1】

に示すキラル化合物のヒドロシアノ化を含んでなり("Diastereoselective Conjugate Addition of Cyanide to α,β-unsaturated oxazolidinones: Enantioslective Synthesis of ent-Pregabalin and Baclofen"; Armstrong A. et al., Synlett, 2006 no. 10, pp 1589-1591)、このヒドロシアノ化により、触媒としてのサマリウム(III)イソプロポキシドの存在下で、式(4d)
【化2】

の主要ジアステレオマーが生成する。ジアステレオマーはその後、酸化白金によるニトリルの水素化に供されて、随伴する副次的な開裂によりラクタムを生成し、ラクタムは酸加水分解による開環に供されて、エナンチオマー純度を保持したent−プレガバリンを生成する。
【0011】
この工程は、高度に純粋なエナンチオマー(S)−プレガバリンを直接生成するものの、触媒系が比較的高価であり、高価なキラル出発物質の合成であるため、幾つかの欠点を持つ。
【0012】
(S)−プレガバリンは商業的な医薬品として開発されており、上記で言及した欠点の少なくとも幾つかを克服し、(S)−プレガバリンを大規模合成するための代替的で効率的な対費用効果の高い新規方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の1つの目的は、(S)−プレガバリン、または薬学的に許容される酸付加塩のエナンチオ選択的製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、驚くべきことに、下記式(I)
【化3】

(式中、Rは、Hまたは保護基である)の出発キラル化合物から(S)−プレガバリンを製造しうることを見出した。
【0015】
本方法には、本発明の別の目的である新しいキラル中間体も関与する。式(I)の出発物質は、市販のD−マンニトールビスアセトニドから有利に製造され、光学純度は本工程を通して維持される。
【0016】
本発明の別の目的は、(S)−プレガバリンまたは薬学的に許容される酸付加塩の製造における、式(I)の中間体の使用に関する。
【0017】
さらなる目的は、D−マンニトールビスアセトニドから取得される式(I)の化合物から、(S)−プレガバリン、または薬学的に許容される酸付加塩を製造する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、純粋な(S)−プレガバリンまたは薬学的に許容される酸付加塩のエナンチオ選択的製造方法に関する。
【0019】
本方法は、スキーマ1に表わされており、本明細書において、本発明の方法とも称する。
【0020】
【化4】

スキーマ1
【0021】
従って、本発明の方法は、一般式(V)の化合物(式中、Rが水素またはアミンの保護基を表わす)の二重結合の還元を含んでなる。上記アミンの保護基は、ベンジル、Boc、Cbz、4−メトキシベンジル(PMB)、またはベンジルオキシメチル(BOM)等の、任意の従来の保護基であってもよい。
【0022】
以下の選択肢の1つによって還元を実施する:
(i)パラジウム触媒または白金触媒の存在下で水素を用いる、
(ii)パラジウム触媒または白金触媒の存在下での、HCONHまたはシクロヘキサジエンからの水素転移、または
(iii)パラジウム触媒または白金触媒、およびHClの存在下での水素化。
【0023】
選択肢(i)〜(iii)によると、パラジウム触媒または白金触媒は、Pd/C、Pd(OH)/C、PdCl/C、PtO/C、およびそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。好適な溶媒は、メタノール、エタノール、酢酸、またはそれらの混合物である。
【0024】
特定の実施形態によれば、溶媒としてのMeOH中、およびHCl等の酸の存在下で、触媒Pd(OH)/Cを使用して、(S)−プレガバリンの塩酸塩を取得する。
【0025】
本発明の方法は、その中性形態の、または薬学的に許容される酸付加塩としての(S)−プレガバリン(VI)を提供する。従って、取扱いおよび投与を容易にするために、遊離アミンが塩に変換されていてもよい。そのような塩を形成するために一般的に使用される酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、およびリン酸等の無機酸、並びにp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p−ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、および酢酸等の有機酸である。薬学的に許容される好ましい塩は、塩化水素酸(hydrochloride acid)により形成される塩である。
【0026】
(S)−プレガバリンの酸付加塩は、化合物(V)の還元前または還元後に、対応する酸を(S)−プレガバリンに加えることにより製造されてもよい。
【0027】
本発明の方法によれば、化合物(V)は、一般式(IV)の化合物の加水分解により製造される。本発明の特定の態様によれば、加水分解は塩基性媒体中で実施される。好ましい態様によれば、塩基は、LiOH、NaOH、KOH、Ba(OH)、およびそれらの混合物から選択される。
【0028】
本発明の方法によれば、化合物(IV)は、以下の選択肢の1つによって一般式(III)の化合物から取得される:
選択肢1):
塩基、好ましくはBuLiまたはtert−BuOKと、式PhPCH(CHX(式中、Xが臭素またはヨウ素である)の化合物との反応から生じる混合物を用いて、式(III)の化合物を処理すること;
選択肢2):
BuLi、tert−BuOK、またはNaHのような塩基と、(EtO)P(O)CH(CHとの反応から生じる混合物を用いて、式(III)の化合物を処理すること:または、
選択肢3):
a)以下の試薬のうち1つ:i−PrLi、またはi−PrMgX(式中、X=塩素、臭素、ヨウ素である)を用いて、式(III)の化合物を処理し、
b)さらに、HCl、HSO、p−TsOHにより、または、ピリジンもしくはトリエチルアミンの存在下で塩化メシルを用いて処理することにより、脱水すること。
【0029】
本発明の特定の態様によれば、化合物(III)は、窒素雰囲気下で、溶媒としての無水THFの存在下、トリフェニルホスホニウムヨージドおよびBuLiを用いて処理される。
【0030】
本発明の好ましい態様によれば、式(III)の化合物は、N−保護されており、従って上記で言及した反応条件下においてより可溶性である。その結果生じる生成物であるN−保護された式(IV)の化合物は、容易に精製することができる。これは、本発明の方法におけるこの実施形態の更なる利点を構成する。
【0031】
本発明の方法によれば、化合物(III)は、一般式(II)の化合物を酸化することにより取得される。酸化は、好ましくはMeOH−HO等の溶媒中で過ヨウ素酸ナトリウムを用いて実施される。
【0032】
化合物(II)は、一般式(I):
【化5】

の化合物のジオキソラン環の酸加水分解により取得され、この酸加水分解は、例えば適切な溶媒中の以下の反応物の1つ:HCl、AcOH、CFCOH、スルホン酸(p−TsOH)、スルホン酸イオン交換樹脂、HClO、シュウ酸、クエン酸、またはそれらの混合物、の存在下で行われる。本発明の特定の態様によれば、化合物(I)は、MeOH中でHClを用いて処理される。本発明の別の特定の態様によれば、化合物(I)は、メタノールに溶解され、lewatit(登録商標)(湿潤)イオン交換樹脂の存在下で還流される。
【0033】
別の態様によれば、本発明は、本発明の方法に関与する新しい中間体に関する。この中間体は、新規のキラル化合物であり、精製および単離されていてもよい。
【0034】
本発明の方法の利点の1つは、光学純度が本方法を通して維持されることにある。
この意味で、本発明は、一般式(I)の化合物に関する:
【化6】

(式中、Rは、Bn、Boc、Cbz、4−メトキシベンジル(PMB)、およびベンジルオキシメチル(BOM)から選択される保護基であり、本発明の更なる目的である)。
【0035】
本発明は、別の態様によれば、一般式(II)の化合物にも関する:
【化7】

(式中、Rは、水素、Boc、Cbz、PMB(4−メトキシベンジル)、BOM(ベンジルオキシメチル)を表わし、本発明の別の目的である)。
【0036】
更に、本発明は、一般式(III)の化合物に関する:
【化8】

(式中、Rは、水素、ベンジル、Boc、Cbz、PMB、またはBOMを表わし、本発明の別の目的である)。
【0037】
更なる態様によれば、本発明は、一般式(IV)の化合物に関する:
【化9】

(式中、Rは、水素、ベンジル、Boc、Cbz、PMB、またはBOMを表わす)。
【0038】
更なる追加的な態様によれば、本発明は、一般式(V)の化合物に関する:
【化10】

(式中、Rは、水素、ベンジル、Boc、Cbz、PMB、BOMを表わす)。
【0039】
本発明は、(S)−プレガバリンの製造における、式(I)の化合物の使用に関する:
【化11】

(式中、Rは、水素、ベンジル、Boc、Cbz、PMB、またはBOMを表わす)。
【0040】
出発化合物は、市販製品であるD−マンニトールビスアセトニドから、以下のスキーマ2に示したように取得することができる。
【0041】
【化12】

スキーマ2
【0042】
この経路によると、式(I)の化合物、(スキーマ2の化合物(5)および(6))
【化13】

は、前駆体D−マンニトールビスアセトニド(1)から出発して酸化により製造されて化合物(2)を生成し、従ってキラリティーを導入する。この反応の化学量論によると、1molの(1)は、2molの(2)を生成する。本発明の好ましい態様によれば、D−マンニトールビスアセトニドの酸化は、好ましくは比率が9:1のTHF−HO等の適切な溶媒中で、過ヨウ素酸ナトリウムを用いて実施される。
【0043】
その後、化合物(2)を、窒素雰囲気下、無水ジクロロメタン等の不活性溶媒中で、トリエチルホスホノアセテート((EtO)P(O)CHCOEt)、およびt−BuOK等の塩基を用いて処理し、化合物(3)を取得し、
【化14】

その後、化合物(3)を、THF等の不活性溶媒中で、NOCHおよびフッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム(TBAF)で処理し、化合物(4)を取得し、
化合物(4)の還元とその後の環化により、式(I)の化合物(式中、Rが水素である)が生成される。化合物(4)は、白色固体結晶を取得するために精製されてもよい。
【化15】

【0044】
本発明の特定の態様によれば、還元および環化は、メタノール等の溶媒の存在下で、Pd(OH)/Cを触媒としてNHHCOを用いて実施される。
【0045】
所望により、遊離アミン基を、従来のアミン保護基で公知の方法によって更に保護して、式(I)の化合物(式中、Rがベンジル、Boc、Cbz、PMB、またはBOMである)を生成してもよい。前記保護基の導入は、本発明の方法に関与する中間体の幾つかが、対応する遊離アミン型の精製がより容易であるという更なる利点を表わす。
【0046】
従って、本発明の方法は、所望によりアミン保護基を有する上記式のキラル化合物から開始される。
【0047】
本発明の方法は、プレガバリンを製造する従来法に対して幾つかの利点を表わす。例えば、不要であり費用がかかるR−エナンチオマーを取り除く必要性がない。本発明の方法は、あまりにも高価なキラル助剤または触媒を必要とせず、古典的な分離とは異なり、本発明の方法は、化学量論的で高価な量のキラル分離剤を必要としない。
【0048】
別の重要な利点は、出発物質D−マンニトールビスアセトニドがより安価で入手が容易であることである。エナンチオ選択は、キラル化合物(I)を用いる本工程の初期に生じ、キラリティーは、本方法を通して保持される。
従って、本工程は、経済的および環境的な利点を表わす。
【0049】
上述したものは、本発明の説明である。しかしながら、本発明は、本明細書に記載されている以下の詳細な実施形態に限定されず、特許請求の範囲内にある等価な改変を全て包含する。
【実施例】
【0050】
実施例1
1.1 (R)−2,2−ジメチル−l,3−ジオキソラン−4−カルバルデヒドの合成
【化16】

【0051】
NaIO(16g、74.8mmol)を、(1S,2S)−1,2−ビス((R)−2,2−ジメチル−l,3−ジオキソラン−4−イル)エタン−l,2−ジオール(20g、76.2mmol)の9:1THF−HO攪拌溶液(280mL)に加え、その結果生じた混合物を4時間撹拌した。生成した沈殿物をろ過し、ほとんどのTHFを減圧下で蒸発させた。その後、水(20ml)を加え、水溶液をジクロロメタンで抽出した(6×50mL)。一緒にした有機抽出液をMgSOで乾燥し、溶媒を取り除いて((R)−2,2−ジメチル−l,3−ジオキソラン−4−カルバルデヒドを生成し(16.8g、収率85%)、これをそれ以上精製せずに次のステップで使用した。
【0052】
H−NMR(250MHz、CDCl
1.4(s、3H)、1.5(s、3H)、4.1(m、2H)、4.4(m、1H)、9.7(d,H−H=2Hz,1H)。
・IR(薄膜):3417、2985、1735、1372、1064cm−1
・外観:無色の油性物。
【0053】
1.2 (E)−3−((S)−2,2−ジメチル−l,3−ジオキソラン−4−イル)アクリレートの合成
【化17】

【0054】
カリウムtert−ブトキシド(7.8g、69.2mmol)を、窒素雰囲気下で、トリエチルホスホノアセテート(13.9mL、69.4mmol)の無水ジクロロメタン攪拌氷冷溶液(200mL)に加えた。混合物を20分間0℃で撹拌した。その後、ジクロロメタン(10mL)中の(R)−2,2−ジメチル−l,3−ジオキソラン−4−カルバルデヒド(7.5g、57.7mmol)を加え、混合物を1.5時間0℃で撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をEtOAc(75mL)に注ぎ、NaHCO飽和水溶液で連続的に洗浄した。有機相をMgSOで乾燥し、溶媒を取り除いた。ジクロロメタンを溶出液として使用して、残留物(10.5g)をBaker(登録商標)シリカゲルでクロマトグラフィー分離し、純粋な(E)−3−((S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)アクリレート(8.2g、収率71%)を唯一のまたは主要な異性体として生成した。
【0055】
H−NMR(250MHz、CDCl
1.3(t、H−H=7Hz、3H)、1.4(s、3H)、1.5(s、3H)、3.7(dd、H−H=7Hz、H−H=8.25Hz、1H)、4.2(m、3H)、4.7(m、2H)、6.1(dd、H−H=1.5Hz、H−H=15.5Hz、1H)、6.9(dd、H−H=5.75Hz、H−H=15.5Hz、1H)。
13C−NMR(62.5MHz、CDCl
14.1(1C)、25.6(1C)、26.3(1C)、60.4(1C)、68.7(1C)、74.8(1C)、110.0(1C)、122.3(1C)、144.5(1C)、165.8(1C)。
・IR(薄膜):2985、1772、1662、1371、1059cm−1
・外観:無色の油性物。
【0056】
1.3 (S)−エチル3−((S)−2,2−ジメチル−l,3−ジオキソラン−4−イル)−4−ニトロブタノエートの合成
【化18】

【0057】
ニトロメタン(3.5mL、64.6mmol)およびTBAF(フッ化テトラブチルアンモニウム)のTHF(64.6mL、64.6mmol)中1M溶液を、(E)−エチル−3−(2,2−ジメチル−l,3−ジオキソラン−4−イル)アクリラート(9.5g、47.4mmol)のTHF撹拌冷却(−5℃)溶液(250mL)に連続的に加えた。混合物を3時間−5℃で撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をEtOAc(150mL)に注ぎ、NaHCO飽和水溶液と塩水で連続的に洗浄した。有機相をMgSOで乾燥し、溶媒を取り除いた。ジクロロメタンを溶出液として使用して、残留物(12.5g)をBaker(登録商標)シリカゲルでクロマトグラフィー分離し、純粋な(S)−エチル−3−((S)−2,2−ジメチル−l,3−ジオキソラン−4−イル)−4−ニトロブタノエートを生成した(10.3g、収率83%)。
【0058】
H−NMR(250MHz、CDCl
1.1(t、H−H=7Hz、3H)、1.3(s、3H)、1.4(s、3H)、2.5(m、2H)、2.7(m、1H)、3.7(m、1H)、4.1(m、4H)、4.6(m、2H)。
13C−NMR(62.5MHz、CDCl
14.1(1C)、24.9(1C)、26.3(1C)、33.5(1C)、37.8(1C)、60.9(1C)、67.3(1C)、75.3(1C)、75.4(1C)、109.6(1C)、170.8(1C)。
・IR(薄膜):2985、1730、1552、1373、852cm−1
・外観:無色の油性物。
【0059】
1.4 (S)−4−((S)−2,2−ジメチル−l,3−ジオキソラン−4−イル)ピロリジン−2−オンの合成
【化19】

【0060】
ギ酸アンモニウム(4.2g、66.6mmol)および20%Pd(OH)/C(2.3g)を、(S)−エチル3−((S)−2,2−ジメチル−l,3−ジオキソラン−4−イル)−4−ニトロブタノエート(4)(3.8g、14.6mmol)のメタノール溶液(200mL)に連続的に注意深く加えた。混合物を、一晩加熱還流した。Celite(登録商標)でろ過することにより触媒を取り除き、メタノールで洗浄し、EtOAcを溶出液として使用して、Baker(登録商標)シリカゲルでクロマトグラフィー分離し、純粋な(S)−4−((S)−2,2−ジメチル−l,3−ジオキソラン−4−イル)ピロリジン−2−オン(I)(2.3g、収率85%)を生成した。
【0061】
H−NMR(250MHz、CDCl
1.4(s、3H)、1.5(s、3H)、2.1(dd、H−H=9.25Hz、H−H=17.25Hz、1H)、2.4(dd、H−H=9Hz、H−H=17Hz、1H))、2.6(m、1H)、3.4(dd、H−H=5.75Hz、H−H=9.75Hz、1H)、3.6(m、2H)、4.1(m、2H)、6.0(ブロードシングレット、1H)。
13C−NMR(62.5MHz、CDCl
25.7(1C)、27.0(1C)、33.0(1C)、38.1(1C)、44.9(1C)、67.9(1C)、77.7(1C)、109.5(1C)、177.5(1C)。
・IR(固体):3229、2985、1687、1371、1051cm−1
・mp=84〜86℃(EtOAc/ペンタン)
・外観:白色固体、結晶。
【0062】
1.5 (S)−4−((S)−1,2−ジヒドロキシエチル)ピロリジン−2−オン)の合成
【化20】

【0063】
(S)−4−((S)−2,2−ジメチル−l,3−ジオキソラン−4−イル)ピロリジン−2−オン(1.5g、8.1mmol)のメタノール溶液(25mL)を、lewatit(登録商標)(湿潤)イオン交換樹脂(30mg)の存在下で4時間還流した。反応混合物をろ過し、ろ液を減圧下で濃縮し、(S)−4−((S)−1,2−ジヒドロキシエチル)ピロリジン−2−オン(1.1g、収率100%)を生成した。
【0064】
H−NMR(250MHz、メタノール−d
2.4(m、2H)、2.7(m、1H)、3.6(m、5H)。
13C−NMR(62.5MHz、メタノール−d
35.3(1C)、39.3(1C)、46.4(1C)、66.6(1C)、75.7(1C)、181.3(1C)。
・IR(薄膜):3354、3248、2914、1650、1021cm−1
・mp=84〜86℃(EtOAc/ペンタン)
・外観:白色固体。
【0065】
1.6 (S)−5−オキソピロリジン−3−カルバルデヒドの合成
【化21】

【0066】
NaIO(1.2g、5.6mmol)を、(S)−4−((S)−l,2−ジヒドロキシエチル)ピロリジン−2−オン(680mg、4.7mmol)の4:1メタノール−H0撹拌溶液(45mL)に加え、その結果生じた混合物を30分間0℃で撹拌した。生成した沈殿物をろ過し、溶媒を取り除いて(S)−5−オキソピロリジン−3−カルバルデヒド(529mg、収率100%)を生成し、これをそれ以上精製せずに次のステップで使用した。
【0067】
H−NMR(250MHz、アセトン−d
2.5(m、2H)、3.2(m、1H)、3.6(m、2H)、6.7(ブロードシングレット、1H)、9.7(d、H−H=1Hz、1H)。
・外観:淡黄色油性物。
【0068】
1.7 (R)−4−(2−メチルプロプ−1−エニル)ピロリジン−2−オンの合成
【化22】

【0069】
ヘキサン(2.5mL、6.2mmol)中のn−BuLi 2.5Mを、窒素雰囲気下で、トリフェニルホスホニウムヨージド(1.9g、4.5mmol)の無水THF撹拌氷冷溶液(60mL)に加えた。混合物を1時間0℃で撹拌した。その後、(S)−5−オキソピロリジン−3−カルバルデヒド(200mg、1.8mmol)のTHF溶液(10+5mL)をカニューレで加え、混合物を室温に到達させて3時間撹拌した。溶媒を圧力下で蒸発させ、残留物をEtOAc(25mL)に注ぎ、NaHCO飽和水溶液で連続的に洗浄した。有機相をMgSOで乾燥し、溶媒を取り除いた。EtOAcを溶出液として使用して、残留物(320mg)をBaker(登録商標)シリカゲルでクロマトグラフィー分離し、純粋な(R)−4−(2−メチルプロプ−1−エニル)ピロリジン−2−オンを生成した(100mg、収率41%)。
【0070】
H−NMR(250MHz、CDCl
1.7(d、H−H=1.25Hz、3H)、1.8(d、H−H=1.25Hz、3H)、2.1(dd、H−H=8.75Hz、H−H=17Hz、2H)、2.5(dd、H−H=8.75Hz、H−H=16.5Hz、1H)、3.0(dd、H−H=7Hz、H−H=9Hz、1H)、3.3(sept、JH−H=9Hz、1H)、3.5(t、JH−H=7.5Hz、1H)、5.1(d、H−H=7.5Hz、1H)、6.1(ブロードシングレット、1H)。
13C−NMR(62.5MHz、CDCl
18.0(1C)、25.5(1C)、34.2(1C)、37.2(1C)、48.3(1C)、125.5(1C)、131.4(1C)、178.3(1C)。
・外観:無色の油性物。
【0071】
1.8 (S)−4−イソブチルピロリジン−2−オンの合成
【化23】

【0072】
メタノール(5mL)中の(R)−4−(2−メチルプロプ−1−エニル)ピロリジン−2−オン(100mg、0.7mmol)を、室温、6気圧で12時間、20%Pd(OH)/C(40mg)で水素化した。ろ過により触媒を取り除き、メタノールで洗浄した。ろ液を蒸発させて、純粋な(S)−4−イソブチルピロリジン−2−オン(100mg、収率100%)を生成した。
【0073】
H−NMR(250MHz、CDCl
0.9(d、H−H=2.5Hz、3H)、0.9(d、H−H=2.5Hz、3H)、1.4(t、H−H=5Hz、2H)、1.6(sept、JH−H=5Hz、1H)、2.2(dd、H−H=8.25Hz、H−H=14.25Hz、1H)、2.6(m、1H)、3.1(t、H−H=6.25Hz、1H)、3.7(t、H−H=6.25Hz、1H)、7.0(ブロードシングレット、1H)。
・外観:無色の油性物。
【0074】
1.9 (S)−3−(アミノメチル)−5−メチルヘキサン酸の合成
【化24】

【0075】
6NのHCl(4.4mL)を、(S)−4−イソブチルピロリジン−2−オン(100mg、0.7mmol)に加え、混合物を6時間加熱還流(120℃)した。冷却後、混合物を水(4mL)で希釈し、ジクロロメタンで洗浄した(4×6mL)。水相を凍結乾燥して、(S)−3−(アミノメチル)−5−メチルヘキサン酸(112mg、収率100%)を生成した。
【0076】
H−NMR(250MHz、DO)
0.8(t、H−H=6Hz、6H)、1.2(t、H−H=7.5Hz、2H)、1.6(sept、H−H=6Hz、1H)、2.2(m、1H)、2.4(t、H−H=6Hz、2H)、2.9(d、H−H=6.5Hz、2H)。
13C−NMR(62.5MHz、DO)
21.7(1C)、22.4(1C)、24.8(1C)、31.3(1C)、36.7(1C)、40.6(1C)、43.5(1C)、177.2(1C)。
・[α]=+10.0(c 0.50、HO);Lit. [α]=+10.1(c 1.1、HO)。
・外観:白色固体。
【0077】
実施例2
2.1 (S)−l−ベンジル−4−((S)−2,2−ジメチル−l,3−ジオキソラン−4−イル)ピロリジン−2−オンの合成

1 Hoekstra, M. S.; Sobieray, D. M.; Schwindt, M. A.; Mulhern, T. A.; Grote, T. M.; Huckabee, B. K.; Hendrickson, V. S.; Franklin, L. C; Granger, E. J.; Karrick, G. L. Org. Process Res. Dev.1997, 1,26.
【化25】

【0078】
パラフィン油(60%、0.24g、6.0mmol)中の水素化ナトリウムを、氷浴上で、(S)−4−((S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)ピロリジン−2−オン(1.0g、5.4mmol)の無水THF撹拌溶液(75mL)に加えた。混合物を0℃で30分間撹拌し、臭化ベンジル(0.7mL、5.7mmol)を滴下した。反応混合物を室温にまで暖め、更に3時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をEtOAc(100mL)に注ぎ、水で数回洗浄した。有機相をMgSOで乾燥し、溶媒を取り除いた。EtOAc−ヘキサン(2:3)を溶出液として使用して、残留物(0.8g)をBaker(登録商標)シリカゲルでクロマトグラフィー分離し、純粋な(S)−1−ベンジル−4−((S)−2,2−ジメチル−l,3−ジオキソラン−4−イル)ピロリジン−2−オン(0.9g、収率60%)を生成した。
【0079】
H−NMR(250MHz、CDCl
1.3(s、3H)、1.4(s、3H)、2.2(m、1H)、2.5(m、2H)、3.3(m、2H)、3.5(m、1H)、4.0(m、2H)、4.3(d、H−H=12Hz)、4.5(d、H−H=12Hz)、7.3(m、5H)。
13C−NMR(62.5MHz、CDCl
25.0(1C)、26.3(1C)、33.0(1C)、34.0(1C)、46.1(1C)、48.3(1C)、67.0(1C)、77.1(1C)、109.0(1C)、127.3(1C)、127.8(2C)、128.4(2C)、136.0(1C)、173.3(1C)。
・IR(薄膜):2983、2240、1682、1427、1062cm−1
・HRMS:ESI−QTOF(MeOH)
1621NO+Naの質量計算値:298.1414g/mol
1621NO+Naの実測値:298.1407g/mol
・[α]−6.5(c 3.40、CHCl
・外観:無色の油性物。
【0080】
2.2 (S)−l−ベンジル−4−((S)−1,2−ジヒドロキシエチル)ピロリジン−2−オンの合成
【化26】

【0081】
(S)−1−ベンジル−4−((S)−2,2−ジメチル−l,3−ジオキソラン−4−イル)ピロリジン−2−オン(600mg、2.2mmol)のメタノール溶液(25mL)を、lewatit(登録商標)(湿潤)イオン交換樹脂(30mg)の存在下で4時間還流した。反応混合物をろ過し、ろ液を減圧下で濃縮し、(S)−l−ベンジル−4−((S)−1,2−ジヒドロキシエチル)ピロリジン−2−オン(510mg、収率100%)を生成した。
【0082】
H−NMR(250MHz、メタノール−d
1.9(ブロードシングレット、2H)、2.3(m、1H)、2.5(m、2H)、3.4(m、3H)、3.7(m、2H)、4.5(m、2H)、7.3(m、5H)。
・外観:淡黄色油性物。
【0083】
2.3 (S)−l−ベンジル−5−オキソピロリジン−3−カルバルデヒドの合成
【化27】

【0084】
NaIO(375mg、1.8mmol)を、(S)−l−ベンジル−4−((S)−1,2−ジヒドロキシエチル)ピロリジン−2−オン(340mg、1.5mmol)の4:1メタノール−HO(10mL)撹拌溶液に加え、その結果生じた混合物を30分間0℃で撹拌した。生成した沈殿をろ過し、ほとんどのメタノールを減圧下で蒸発させた。その後、15mLの水を加え、水溶液をEtOAcで抽出した(4×20mL)。一緒にした有機抽出物をMgSOで乾燥し、溶媒を取り除いて(S)−l−ベンジル−5−オキソピロリジン−3−カルバルデヒドを生成し(290mg、収率100%)、これをそれ以上精製しないで次のステップで使用した。
【0085】
H−NMR(250MHz、アセトン−d
2.6(m、1H)、3.3(m、2H)、3.6(m、2H)、4.5(s、2H)、7.3(m、5H)、9.7(d、H−H=1.5Hz、1H)。
・外観:黄色油性物。
【0086】
2.4 (R)−l−ベンジル−4−(2−メチルプロプ−1−エニル)ピロリジン−2−オンの合成
【化28】

【0087】
ヘキサン(2.9mL、7.3mmol)中のn−BuLi 2.5Mを、窒素雰囲気下で、トリフェニルホスホニウムヨージド(3.1g、7.1mmol)の無水THF撹拌氷冷溶液(20mL)に加えた。混合物を1時間0℃で撹拌した。その後、(S)−l−ベンジル−5−オキソピロリジン−3−カルバルデヒド(290mg、1.4mmol)のTHF溶液(10+5mL)をカニューレで加え、混合物を室温に到達させて3時間撹拌した。溶媒を圧力下で蒸発させ、残留物をEtOAc(25mL)に注ぎ、NaHCO飽和水溶液で連続的に洗浄した。有機相をMgSOで乾燥し、溶媒を取り除いた。EtOAc−ヘキサン(2:3)を溶出液として使用して、残留物(430mg)をBaker(登録商標)シリカゲルでクロマトグラフィー分離し、純粋な(R)−l−ベンジル−4−(2−メチルプロプ−1−エニル)ピロリジン−2−オン(236mg、収率72%)を生成した。
【0088】
解析:
H−NMR(250MHz、CDCl
1.6(d、H−H=1Hz、3H)、1.7(d、H−H=1Hz、3H)、2.2(dd、H−H=7.75Hz、H−H=15.5Hz、1H)、2.6(dd、H−H=7.75Hz、H−H=16.25Hz、1H)、2.9(dd、H−H=6.75Hz、H−H=9.25Hz、1H)、3.2(m、1H)、3.4(dd、H−H=8.0Hz、H−H=9.5Hz、1H)、4.4(d、H−H=21.25Hz、1H)、4.5(d、H−H=21.5Hz、1H)、5.1(c.a.、1H)、7.3(m、5H)。
13C−NMR(62.5MHz、CDCl
17.9(1C)、25.4(1C)、30.9(1C)、38.2(1C)、46.3(1C)、52.5(1C)、125.7(1C)、127.4(1C)、128.0(2C)、128.7(2C)、133.8(1C)、136.4(1C)、174.2(1C)。
・IR(薄膜):2913、2239、1678、1422、1028cm−1
・HRMS:ESI−QTOF(MeOH)
1519NO+Naの質量計算値:252.1359g/mol
1519NO+Naの実測値:252.1361g/mol
・[α]−9.1(c 4.42、CHCl
・外観:無色の油性物。
【0089】
2.5 (S)−l−ベンジル−4−イソブチルピロリジン−2−オンの合成
【化29】

【0090】
メタノール(5mL)中の(R)−l−ベンジル−4−(2−メチルプロプ−1−エニル)ピロリジン−2−オン(100mg、0.4mmol)を、室温、6気圧で24時間、20%Pd(OH)/C(40mg)で水素化した。ろ過により触媒を取り除き、メタノールで洗浄した。ろ液を蒸発させて、純粋な(S)−l−ベンジル−4−イソブチルピロリジン−2−オン(100mg、収率100%)を生成した。
【0091】
H−NMR(250MHz、CDCl
0.8(d、H−H=4Hz、3H)、0.9(d、H−H=3.75Hz、3H)、1.3(m、2H)、1.5(m、1H)、2.1(dd、H−H=7.75Hz、H−H=16.75Hz、1H)、2.4(m、1H)、2.5(dd、H−H=9.0Hz、H−H=16.25Hz、1H)、2.8(dd、H−H=7.5Hz、H−H=9.75Hz、1H)、3.3(dd、H−H=8.25Hz、H−H=10.75Hz、1H)、4.4(d、H−H=19.5Hz、1H)、4.5(d、H−H=19.25Hz、1H)、7.3(m、5H)。
13C−NMR(62.5MHz、CDCl
22.4(1C)、22.5(1C)、26.0(1C)、29.7(1C)、37.9(1C)、43.9(1C)、46.4(1C)、52.5(1C)、127.5(1C)、128.1(2C)、128.6(2C)、136.6(1C)、174.4(1C)。
・IR(薄膜):2953、2077、1683、1493、1246、1086cm−1
・HRMS:ESI−QTOF(MeOH)
1521NO+Naの質量計算値:254.1515g/mol
1521NO+Naの実測値:254.1511g/mol
・[α]+4.0(c 3.50、CHCl
・外観:無色の油性物。
【0092】
実施例3
3.1 (S)−tert−ブチル4−((S)−2,2−ジメチル−l,3−ジオキソラン−4−イル)−2−オキソピロリジン−l−カルボキシレートの合成
【化30】

【0093】
(S)−4−((S)−2,2−ジメチル−l,3−ジオキソラン−4−イル)ピロリジン−2−オン(500mg、2.7mmol)のジクロロメタン撹拌溶液(25mL)に、トリエチルアミン(0.4mL、2.9mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(330mg、2.7mmol)、およびBoc無水物(1.2mL、5.4mmol)を連続的に加えた。遮光された混合物を、室温で12時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、EtOAc−ヘキサン(1:2)を溶出液として使用して、残留物をBaker(登録商標)シリカゲルでクロマトグラフィー分離し、EtOAc/ペンタン中で結晶化することができる、純粋な(S)−tert−ブチル4−((S)−2,2−ジメチル−l,3−ジオキソラン−4−イル)−2−オキソピロリジン−l−カルボキシレート(770mg、収率100%)を生成した。
【0094】
解析:
H−NMR(250MHz、CDCl
1.4(s、3H)、1.5(s、3H)、1.6(s、9H)、2.3(m、1H)、2.4(m、1H)、2.6(m、1H)、3.7(m、2H)、3.9(dd、H−H=6Hz、H−H=10.5Hz、1H)、4.1(m、2H)。
13C−NMR(62.5MHz、CDCl
25.2(1C)、26.6(1C)、28.0(1C)、33.8(1C)、35.5(1C)、48.4(1C)、67.5(1C)、77.1(1C)、82.9(1C)、109.7(1C)、149.9(1C)、172.7(1C)。
・IR(固体):2982、1789、1686、1149、1044cm−1
・mp=106〜108℃(EtOAC/ペンタン)。
・HRMS:ESI−QTOF(MeOH)
1423NO+Naの質量計算値:308.1468g/mol
1423NO+Naの実測値:308.1475g/mol
・[α]−9.8(c 1.53、CHCl
・外観:白色固体、結晶。
【0095】
3.2 (S)−tert−ブチル4−((S)−1,2−ジヒドロキシエチル)−2−オキソピロリジン−l−カルボキシレートの合成
【化31】

【0096】
(S)−tert−ブチル4−((S)−2,2−ジメチル−l、3−ジオキソラン−4−イル)−2−オキソピロリジン−1−カルボキシレート(3.0g、10.5mmol)を、90%酢酸水溶液(240mL)に溶解した。混合物を、26時間室温、遮光下で撹拌した。エタノール(220mL)をこの溶液に加え、その後溶媒を減圧下で蒸発させた。メタノールおよびEtOAc(2×120mL)をそれぞれ加えて、この作業を容易にした。最後に、MeOH−CHCl(1:9)を溶出液として使用して、残留物をBaker(登録商標)シリカゲルでクロマトグラフィー分離し、純粋な(S)−tert−ブチル4−((S)−1,2−ジヒドロキシエチル)−2−オキソピロリジン−l−カルボキシレート(1.8g、収率75%)を白色固体として生成した。
【0097】
H−NMR(250MHz、CDCl
1.5(s、9H)、2.5(m、3H)、3.5(m、2H)、3.7(m、2H)、3.9(m、1H)。
13C−NMR(62.5MHz、CDCl
28.0(3C)、32.9(1C)、35.8(1C)、48.6(1C)、64.8(1C)、73.3(1C)、83.2(1C)、150.0(1C)、174.2(1C)。
・IR(固体):3544、3483、2970、1761、1678、1154、1043cm−1
・mp=92〜94℃(MeOH/CHCl)。
・HRMS:ESI−QTOF(MeOH)
11H19NO+Naの質量計算値:268.1155g/mol
11H19NO+Naの実測値:268.1159g/mol
・[α]−10.5(c 1.33、CHCl
・外観:白色固体、結晶。
【0098】
3.3 (S)−tert−ブチル4−ホルミル−2−オキソピロリジン−1−カルボキシレートの合成
【化32】

【0099】
NaIO(440mg、2.1mmol)を、(S)−tert−ブチル4−((S)−1,2−ジヒドロキシエチル)−2−オキソピロリジン−1−カルボキシレート(420mg、1.7mmol)の4:1メタノール−HO撹拌溶液(14mL)に加え、その結果生じた混合物を、30分間0℃で撹拌した。生成した沈殿物をろ過し、溶媒を減圧下で取り除いた。その後、水(15mL)を加え、水溶液をEtOAcで抽出した(6×20mL)。一緒にした有機抽出物をMgSOで乾燥し、溶媒を蒸発させた。EtOAcを溶出液として使用して、残留物(440mg)をBaker(登録商標)シリカゲルでクロマトグラフィー分離し、(S)−tert−ブチル4−ホルミル−2−オキソピロリジン−1−カルボキシレート(290mg、収率80%)を白色固体として生成した。
【0100】
H−NMR(250MHz、CDCl
1.4(s、9H)、2.7(m、2H)、3.2(m、1H)、3.8(dd、H−H=9.25Hz、H−H=11Hz、1H)、4.0(dd、H−H=4.75Hz、H−H=11.25Hz、1H)、9.6(s、1H)。
13C−NMR(62.5MHz、CDCl
28.0(3C)、32.2(1C)、41.1(1C)、45.0(1C)、83.2(1C)、149.2(1C)、171.3(1C)、198.4(1C)。
・IR(固体):2974、1770、1691、1155、1047cm−1
・mp=120〜122℃(EtOAc)。
・HRMS:ESI−QTOF(MeCN)
1015NO+Naの質量計算値:232.0893g/mol
1015NO+Naの実測値:232.0890g/mol
・[α]+12.7(c 1.12、CHCl
・外観:白色固体、結晶。
【0101】
3.4 (R)−tert−ブチル4−(2−メチルプロプ−1−エニル)−2−オキソピロリジン−l−カルボキシレートの合成
【化33】

【0102】
ヘキサン(0.6mL、1.5mmol)中のn−BuLi 2.5Mを、窒素雰囲気下で、イソプロピルトリフェニルホスホニウムヨージド(610mg、1.4mmol)の無水THF撹拌氷冷溶液(15mL)に加えた。混合物を1時間0℃で撹拌した。その後、(S)−tert−ブチル4−ホルミル−2−オキソピロリジン−l−カルボキシレート(100mg、0.5mmol)のTHF溶液(10+5mL)をカニューレで加え、混合物を室温に到達させて3時間撹拌した。飽和NHCl溶液(0.1mL)を加え、溶媒を圧力下で蒸発させた。残留物をEtOAc(40mL)に注ぎ、NaHCO飽和水溶液で連続的に洗浄した。有機相をMgSOで乾燥し、溶媒を取り除いた。EtOAc−ヘキサン(2:3)を溶出液として使用して、残留物(310mg)をBaker(登録商標)シリカゲルでクロマトグラフィー分離し、純粋な(R)−tert−ブチル4−(2−メチルプロプ−1−エニル)−2−オキソピロリジン−1−カルボキシレート(67mg、収率60%)を生成した。
【0103】
H−NMR(250MHz、CDCl
1.5(s、9H)、1.6(d、H−H=1Hz、3H)、1.7(d、H−H=1Hz、3H)、2.3(dd、H−H=9.5Hz、H−H=17Hz、1H)、2.6(dd、H−H=8Hz、H−H=17Hz、1H)、3.2(sextuplet、H−H=8.5Hz、1H)、3.3(dd、H−H=8Hz、H−H=10.5Hz、1H)、3.9(dd、H−H=8Hz、H−H=10.5Hz、1H)、5.1(c.a.、1H)。
13C−NMR(62.5MHz、CDCl
18.2(1C)、25.7(1C)、28.2(3C)、30.5(1C)、40.2(1C)、52.2(1C)、82.8(1C)、124.4(1C)、135.3(1C)、150.1(1C)、173.6(1C)。
・IR(固体):2978、2931、1786〜1751、1713、1455、1084cm−1
・HRMS:ESI−QTOF(MeOH)
1321NO+Naの質量計算値:262.1414g/mol
1321NO+Naの実測値:262.1407g/mol
・[a]−11.3(c 2.12、CHCl
・外観:無色の油性物。
【0104】
3.5 (R)−3−((tert−ブトキシカルボニルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサ−4−エン酸)の合成
【化34】

【0105】
1Nの水酸化リチウム溶液(1.3mL、1.3mmol)を、(R)−tert−ブチル4−(2−メチルプロプ−1−エニル)−2−オキソピロリジン−l−カルボキシレート(100mg、0.4mmol)の0.2Mテトラヒドロフラン溶液に加えた。混合物を室温で4時間撹拌した。減圧下でテトラヒドロフランを取り除いた後、10%酢酸を添加することにより塩基性水相を酸性化し、酢酸エチルで抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSOで乾燥し、溶媒を取り除いた。最後に、MeOH−CHCl(1:9)を溶出液として使用して、残留物をBaker(登録商標)シリカゲルでクロマトグラフィー分離し、純粋な(R)−3−((tert−ブトキシカルボニルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサ−4−エン酸(106mg、収率100%)を生成し、これをそれ以上精製せずに次のステップで使用した。
【0106】
H−NMR(250MHz、CDCl
1.5(s、9H)、1.7(s、3H)、1.8(s、3H)、2.3(m、2H)、3.0(m、2H)、3.2(m、1H)、4.7(ブロードシングレット、1H)、4.9(c.a.,1H)。
13C−NMR(62.5MHz、CDCl
18.2(1C)、25.9(1C)、28.4(3C)、29.7(1C)、37.9(1C)、44.5(1C)、79.4(1C)、124.2(1C)、135.5(1C)、156.2(1C)、177.1(1C)。
・IR(薄膜):3326、2969、2855、1707、1644、1166、1081cm−1
・HRMS:ESI−QTOF(MeOH)
1323NO+Naの質量計算値:280.1519g/mol
1323NO+Naの実測値:280.1526g/mol
・[α]+4.8(c 2.95、CHCl
・外観:淡黄色濃厚油性物。
【0107】
3.6 (S)−3−(アミノメチル)−5−メチルヘキサン酸の合成
【化35】

【0108】
6NのHCl(0.3mL、1.8mmol)を、(R)−3−((tert−ブトキシカルボニルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサ−4−エン酸(106mg、0.4mmol)の3:1エタノール−HO溶液(5mL)に加えた。室温、6気圧で12時間、混合物を20%Pd(OH)/C(40mg)で水素化した。ろ過により触媒を取り除き、メタノールで洗浄した。ろ液を蒸発させて、純粋な(S)−3−(アミノメチル)−5−メチルヘキサン酸(82mg、収率100%)を生成した。
【0109】
H−NMR(250MHz、DO)
0.8(t、H−H=6Hz、6H)、1.2(t、H−H=7.5Hz、2H)、1.6(sept、H−H=6Hz、1H)、2.2(m、1H)、2.4(t、H−H=6Hz、2H)、2.9(d、H−H=6.5Hz、2H)。
13C−NMR(62.5MHz、DO)
21.7(1C)、22.4(1C)、24.8(1C)、31.3(1C)、36.7(1C)、40.6(1C)、43.5(1C)、177.2(1C)。
・[α]=+10.0(c 0.50、HO);Lit. [α]=+10.1(c 1.1、HO)。
・外観:白色固体。
【0110】
実施例4
4.1 (S)−ベンジル(4−((S)−2,2−ジメチル−l,3−ジオキソラン−4−イル)−2−オキソピロリジン−l−カルボキシレートの合成
【化36】

【0111】
パラフィン油(60%、85mg、3.5mmol)中の水素化ナトリウムを、氷浴上で、(S)−4−((S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)ピロリジン−2−オン(300mg、1.6mmol)の無水THF撹拌溶液(15mL)に加えた。混合物を0℃で1時間撹拌し、クロロギ酸ベンジル(0.3mL、2.1mmol)を滴下した。反応混合物を室温にまで暖め、一晩撹拌した。MeOH(2mL)、その後水(5mL)を滴下した。ほとんどのTHFを減圧下で蒸発させ、EtOAcで抽出した(4×25mL)。有機相を、NaHCO飽和水溶液および塩水で数回洗浄した。有機相をMgSOで乾燥し、溶媒を取り除いた。EtOAc−ヘキサン(1:2)を溶出液として使用して、残留物(460mg)をBaker(登録商標)シリカゲルでクロマトグラフィー分離し、純粋な(S)−ベンジル(4−((S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)−2−オキソピロリジン−l−カルボキシレート(310mg、収率60%)を生成した。
【0112】
H−NMR(250MHz、CDCl
1.3(s、3H)、1.4(s、3H)、2.3(m、1H)、2.5(m、1H)、2.6(m、1H)、3.7(m、1H)、3.8(m、1H)、3.9(m、1H)、4.1(m、2H)、5.3(s、2H)、7.4(m、5H)。
13C−NMR(62.5MHz、CDCl
25.1(1C)、26.6(1C)、33.9(1C)、35.4(1C)、48.2(1C)、67.4(1C)、68.0(1C)、76.9(1C)、109.7(1C)、128.3(1C)、128.4(2C)、128.5(2C)、135.1(1C)、151.1(1C)、172.4(1C)。
・IR(薄膜):、2981、1795、1692、1288、1048cm−1
・[α]=−13.2(c 1.52、CHCl
・mp=76〜78℃(EtOAc/ヘキサン)
・HRMS:ESI−QTOF(MeOH)
1721NO+Naの質量計算値:342.1312g/mol
1721NO+Naの実測値:342.1314g/mol
・外観:白色固体、結晶。
【0113】
4.2 (S)−ベンジル4−((S)−1,2−ジヒドロキシエチル)−2−オキソピロリジン−1−カルボキシレートの合成
【化37】

【0114】
(S)−ベンジル(4−((S)−2,2−ジメチル−l,3−ジオキソラン−4−イル)−2−オキソピロリジン−1−カルボキシレート(180mg、0.6mmol)をMeOH(5mL)に溶解し、12NのHCl(0.25mL)を加えた。混合物を、5時間、室温、遮光下で撹拌した。その後、溶媒を蒸発させ、MeOH−CHCl(1:9)を溶出液として使用して、残留物をBaker(登録商標)シリカゲルでクロマトグラフィー分離し、純粋な(S)−ベンジル4−((S)−1,2−ジヒドロキシエチル)−2−オキソピロリジン−l−カルボキシレート(120mg、収率76%)を生成した。
【0115】
H−NMR(250MHz、メタノール−d
1.9(ブロードシングレット、2H)、2.3(m、1H)、2.5(m、2H)、3.5(m、3H)、3.8(m、2H)、5.1(m、2H)、7.4(m、5H)。
・外観:淡黄色油性物。
【0116】
4.3 (S)−ベンジル4−ホルミル−2−オキソピロリジン−l−カルボキシレートの合成
【化38】

【0117】
NaIO(110mg、0.5mmol)を、(S)−ベンジル4−((S)−1,2−ジヒドロキシエチル)−2−オキソピロリジン−1−カルボキシレート(120mg、0.4mmol)の4:1メタノール−HO撹拌溶液(5mL)に加え、その結果生じた混合物を、30分間0℃で撹拌した。生成した沈殿物をろ過し、溶媒を減圧下で取り除いた。その後、水(15mL)を加え、水溶液をEtOAcで抽出した(6×20mL)。一緒にした有機抽出物をMgSOで乾燥し、溶媒を蒸発させて(S)−ベンジル4−ホルミル−2−オキソピロリジン−1−カルボキシレート(100mg、収率94%)を生成し、これをそれ以上精製せずに次のステップで使用した。
【0118】
H−NMR(250MHz、CDCl
2.6(m、1H)、3.4(m、2H)、3.9(m、2H)、5.1(s、2H)、7.4(m、5H)、9.7(d、H−H=1.5Hz、1H)。
・外観:無色の油性物。
【0119】
4.4 (R)−ベンジル4−(2−メチルプロプ−1−エニル)−2−オキソピロリジン−1−カルボキシレートの合成
【化39】

【0120】
ヘキサン(0.6mL、1.5mmol)中のn−BuLi 2.5Mを、窒素雰囲気下で、イソプロピルトリフェニルホスホニウムヨージド(570mg、1.3mmol)の無水THF撹拌氷冷溶液(15mL)に加えた。混合物を1時間0℃で撹拌した。その後、(S)−ベンジル4−ホルミル−2−オキソピロリジン−l−カルボキシレート(100mg、0.4mmol)のTHF溶液(10+5mL)をカニューレで加え、混合物を室温に到達させて3時間撹拌した。その後、飽和NHCl溶液(0.1mL)を加え、溶媒を圧力下で蒸発させた。残留物をEtOAc(25mL)に注ぎ、NaHCO飽和水溶液で連続的に洗浄した。有機相をMgSOで乾燥し、溶媒を取り除いた。EtOAc−ヘキサン(2:3)を溶出液として使用して、残留物(320mg)をBaker(登録商標)シリカゲルでクロマトグラフィー分離し、純粋な(R)−ベンジル4−(2−メチルプロプ−1−エニル)−2−オキソピロリジン−1−カルボキシレート(65mg、収率60%)を生成した。
【0121】
H−NMR(250MHz、CDCl
1.6(s、3H)、1.7(s、3H)、2.3(dd、H−H=10.75Hz、H−H=18.25Hz、1H)、2.6(dd、H−H=8.75Hz、H−H=17.75Hz、1H)、3.2(m、1H)、3.4(dd、H−H=8.5Hz、H−H=11Hz、1H)、4.0(dd、H−H=7.75Hz、H−H=10.5Hz、1H)、5.1(c.a.、1H)、5.3(s、2H)、7.4(m、5H)。
13C−NMR(62.5MHz、CDCl
18.2(1C)、25.6(1C)、30.6(1C)、39.8(1C)、51.9(1C)、68.1(1C)、123.9(1C)、126.9(1C)、127.2(1C)、128.3(2C)、128.5(2C)、135.5(1C)、151.2(1C)、173.4(1C)。
・外観:無色の油性物。
【0122】
4.5 (R)−3−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサ−4−エン酸の合成
【化40】

【0123】
1Nの水酸化リチウム溶液(0.7mL、0.7mmol)を、(R)−ベンジル4−(2−メチルプロプ−1−エニル)−2−オキソピロリジン−l−カルボキシレート(65mg、0.2mmol)の0.2Mテトラヒドロフラン溶液に加えた。混合物を室温で6時間撹拌した。減圧下でテトラヒドロフランを取り除いた後、5%HClを添加することにより塩基性水相を酸性化し、酢酸エチルで抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSOで乾燥し、溶媒を取り除いて純粋な(R)−3−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサ−4−エン酸(69mg、収率100%)を生成し、これをそれ以上精製しないで次のステップで使用した。
【0124】
H−NMR(250MHz、CDCl
1.6(s、3H)、1.7(s、3H)、2.3(m、2H)、3.1(m、1H)、3.3(m、1H)、3.5(m、1H)、4.9(c.a.、1H)、5.1(s、2H)、7.4(m、5H)。
・外観:極淡黄色の油性物。
【0125】
4.6 (S)−3−(アミノメチル)−5−メチルヘキサン酸の合成
【化41】

【0126】
(R)−3−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサ−4−エン酸(69mg、0.2mmol)を、96%エタノール(3mL)に溶解し、室温、6気圧で16時間、混合物を20%Pd(OH)/C(40mg)で水素化した。ろ過により触媒を取り除き、メタノールで洗浄した。ろ液を蒸発させて、純粋な(S)−3−(アミノメチル)−5−メチルヘキサン酸(37mg、収率100%)を生成した。
【0127】
H−NMR(250MHz、DO)
0.8(t、H−H=6Hz、6H)、1.2(t、H−H=7.5Hz、2H)、1.6(sept、H−H=6Hz、1H)、2.2(m、1H)、2.4(t、H−H=6Hz、2H)、2.9(d、H−H=6.5Hz、2H)。
13C−NMR(62.5MHz、DO)
21.7(1C)、22.4(1C)、24.8(1C)、31.3(1C)、36.7(1C)、40.6(1C)、43.5(1C)、177.2(1C)。
・[α]=+10.0(c 0.50、HO);Lit. [α]=+10.1(c 1.1、HO)。
・外観:白色固体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(V)の化合物を還元することを含んでなる、(S)−プレガバリンまたは薬学的に許容される酸付加塩のエナンチオ選択的製造方法。
【化1】

(式中、Rは、水素またはアミンの保護基を表す。)
【請求項2】
前記アミンの保護基が、ベンジル、Boc、Cbz、PMB、またはBOMである、請求項1に記載の(S)−プレガバリンのエナンチオ選択的製造方法。
【請求項3】
前記還元が、
(i)パラジウム触媒または白金触媒の存在下で水素により、または
(ii)パラジウム触媒または白金触媒の存在下でHCONHまたはシクロヘキサジエンからの水素転移により、または
(iii)パラジウム触媒または白金触媒、およびHClの存在下での水素化により実施される、請求項1または2に記載の(S)−プレガバリンのエナンチオ選択的製造方法。
【請求項4】
前記パラジウム触媒または白金触媒が、Pd/C、Pd(OH)/C、PdCl/C、PtO/C、およびそれらの混合物から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
化合物(V)が、一般式(IV)の化合物の加水分解により製造される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の(S)−プレガバリンのエナンチオ選択的製造方法。
【化2】

【請求項6】
前記加水分解が塩基を用いて実施される、請求項5に記載の(S)−プレガバリンのエナンチオ選択的製造方法。
【請求項7】
前記塩基が、LiOH、NaOH、KOH、Ba(OH)、およびそれらの混合物から選択される、請求項6に記載の(S)−プレガバリンのエナンチオ選択的製造方法。
【請求項8】
化合物(IV)が、式(III)の化合物:
【化3】

を、塩基と式PhPCH(CHXの化合物(式中、Xが臭素またはヨウ素である)とを反応させることにより生じる混合物で処理することにより取得される、請求項5〜7のいずれか一項に記載の(S)−プレガバリンのエナンチオ選択的製造方法。
【請求項9】
前記塩基が、BuLiまたはtert−BuOKである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
化合物(IV)が、式(III)の化合物を、塩基と(EtO)P(O)CH(CHとの反応から生じる混合物で処理することにより取得される、請求項5〜7のいずれか一項に記載の(S)−プレガバリンのエナンチオ選択的製造方法。
【請求項11】
前記塩基が、BuLi、tert−BuOK、およびNaHから選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
化合物(IV)が、
a)一般式(III)の化合物を、以下の試薬のうち1つ:i−PrLiまたはi−PrMgX(式中、Xが塩素、臭素、またはヨウ素である)で処理し、
b)さらに、HCl、HSO、p−TsOHにより、または、ピリジンもしくはトリエチルアミン存在下での塩化メシルを用いた処理により、脱水すること
により取得される、請求項5〜7のいずれか一項に記載の(S)−プレガバリンのエナンチオ選択的製造方法。
【請求項13】
化合物(III)が、一般式(II)の化合物の酸化により製造される、請求項8〜12のいずれか一項に記載の(S)−プレガバリンのエナンチオ選択的製造方法。
【化4】

【請求項14】
前記酸化が過ヨウ素酸ナトリウムを用いて実施される、請求項13に記載の(S)−プレガバリンをエナンチオ選択的製造方法。
【請求項15】
化合物(II)が、一般式(I)の化合物のジオキソラン環の酸加水分解により取得される、請求項13または14に記載の(S)−プレガバリンのエナンチオ選択的製造方法。
【化5】

【請求項16】
前記酸加水分解が、以下の反応物のうち1つ:HCl、AcOH、CFCOH、スルホン酸(p−TsOH)、スルホン酸イオン交換樹脂、HClO、シュウ酸、クエン酸、またはそれらの混合物の存在下で実施される、請求項15に記載の(S)−プレガバリンのエナンチオ選択的製造方法。
【請求項17】
a)一般式(I)の化合物:
【化6】

のジオキソラン環を酸加水分解して一般式IIの化合物を取得し、
【化7】

b)化合物(II)を酸化して一般式(III)の化合物を取得し、
【化8】

c)以下の選択肢のいずれかにより、化合物(III)を反応させることにより、化合物(III)を一般式(IV)の化合物に変換し、
【化9】

− A)塩基と、式PhPCH(CHX(式中、Xが臭素またはヨウ素である)の化合物とを用いること、
− B)塩基と、(EtO)P(O)CH(CHとを用いること、または
− C)以下の試薬のうち1つ:i−PrLi、またはi−PrMgX(式中、Xが塩素、臭素、ヨウ素である)を用い、さらに、HCl、HSO、p−TsOHにより、または、ピリジンもしくはトリエチルアミンの存在下での塩化メシルを用いた処理により、脱水すること、
d)化合物(IV)を酸加水分解または塩基性加水分解に供して、一般式(V)の化合物を取得し、
【化10】

e)化合物(V)を還元して、鏡像異性的に純粋なS−プレガバリンを取得し、
f)所望により、(S)−プレガバリンを、その薬学的に許容される酸付加塩に変換すること
を含んでなる、先行する請求項のいずれかに記載の(S)−プレガバリンのエナンチオ選択的製造方法。
【請求項18】
一般式(I)の化合物:
【化11】

(式中、Rは、Bn、Boc、Cbz、PMB、またはBOMから選択される保護基である)。
【請求項19】
一般式(II)の化合物:
【化12】

(式中、Rは、水素、Boc、Cbz、PMB、またはBOMを表わす)。
【請求項20】
一般式(III)の化合物:
【化13】

(式中、Rは、水素、ベンジル、Boc、Cbz、PMB、またはBOMを表わす)。
【請求項21】
一般式(IV)の化合物:
【化14】

(式中、Rは、水素、ベンジル、Boc、Cbz、PMB、またはBOMを表わす)。
【請求項22】
一般式(V)の化合物:
【化15】

(式中、Rは、水素、ベンジル、Boc、Cbz、PMB、またはBOMを表わす)。
【請求項23】
(S)−プレガバリンの製造における、式(I)の化合物の使用:
【化16】

(式中、Rは、水素、ベンジル、Boc、Cbz、PMB、またはBOMを表わす)。
【請求項24】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の(S)−プレガバリンのエナンチオ選択的製造方法であって、
前記式(I)の化合物が、以下の工程:
(i)D−マンニトールビスアセトニド(1)を酸化し、
【化17】

(ii)塩基およびトリエチルホスホノアセテートを用いて、工程(i)で得られた化合物(2)を処理して、化合物(3)を取得し、
【化18】

(iii)NOCHおよびフッ化テトラn−ブチルアンモニウムを用いて、工程(ii)で得られた化合物(3)を処理して、化合物(4)を取得し、
(iv)化合物(4)を還元した後に引き続き環化して、化合物(I)を生成し、
【化19】

(v)式中、R=水素であり、
(vi)所望により、工程(v)で得られた化合物を、保護基−Rで保護すること
により製造される、方法。

【公表番号】特表2010−533681(P2010−533681A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516506(P2010−516506)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/059375
【国際公開番号】WO2009/010554
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(500031124)ラボラトリオス・デル・ドクトル・エステベ・ソシエダッド・アノニマ (55)
【Fターム(参考)】