プレキャスト床版およびその構築方法
【課題】各PC板を軽量化しつつ床版の剛性を高め、容易且つ高速に施工することが可能なプレキャスト床版、およびその施工方法を提供する。
【解決手段】各PC板11〜13は、略長方形を呈し、その短辺と略平行に床版用ケーブル挿通孔25が内部に形成された床版本体21と、床版本体21の下面に長辺と略平行に延在する梁31と、床版本体21の下面に短辺と略平行に延在し且つリブ用ケーブル45挿通孔が短辺と略平行に内部に形成されたリブ41とから構成される。接合端面22a,22bには隣接するPC板の接合端面との間に目地溝26を形成する凹部27が形成されている。プレキャスト床版1は、各10枚のPC板から構成される3つのPC板群2,3,4から構成され、リブ用PCケーブル56はそれぞれ1つのPC板群2,3,4を接合し、床版用PCケーブル51は3つのPC板群2,3,4をまとめて接合するように構成する。
【解決手段】各PC板11〜13は、略長方形を呈し、その短辺と略平行に床版用ケーブル挿通孔25が内部に形成された床版本体21と、床版本体21の下面に長辺と略平行に延在する梁31と、床版本体21の下面に短辺と略平行に延在し且つリブ用ケーブル45挿通孔が短辺と略平行に内部に形成されたリブ41とから構成される。接合端面22a,22bには隣接するPC板の接合端面との間に目地溝26を形成する凹部27が形成されている。プレキャスト床版1は、各10枚のPC板から構成される3つのPC板群2,3,4から構成され、リブ用PCケーブル56はそれぞれ1つのPC板群2,3,4を接合し、床版用PCケーブル51は3つのPC板群2,3,4をまとめて接合するように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルや橋梁などに適用され、プレキャストコンクリート板(以下、単に「PC板」と記す)を接合して構築されるプレキャスト床版、およびその構築方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シールドトンネル工事や連続桁橋梁工事などの床版架設法では、従来、場所打ちコンクリートによる施工法が主流であったが、この工法では施工や養生に長時間を要し工期が長くなるとともに、その品質を一定に保つのが困難であったため、最近では、工場で製作されたPC板を現場に配置し接合することによって床版を構築する方法が一般的になりつつある。このようなPC板の接合構造として、接合端面の下部にコンクリートの突出部を備え、その上部の接合端面から水平方向に更に突出したループ鉄筋を備えたプレキャスト板を、隣り合うPC板の突出部を突き合わせ、ラップしたループ鉄筋に主筋等を組んで間詰めコンクリートを打設するループ継手が多く採用されている(例えば特許文献1)。
【0003】
一方、ループ継手による接合方法では間詰めコンクリートの養生に時間がかかるうえ、コンクリートを打設し所定強度が出るまで工事車両などが床版上を通行することができないために、他の接合方法として、並列する縦桁上に長方形のPC板を橋軸方向に敷き並べ、ポストテンション方式で締め付けることにより、複数のPC板を容易かつ高速に接合する方法も知られている。この方法に関しては、PC板を軽量化、剛性化した発明として、PC板の長手方向にPC鋼線を通してプレストレスを与えるとともに、橋軸方向の断面形状を門型(溝型材の溝を下にした状態)とし、隣り合うPC板との接合面に、スタッドを囲んでモルタルが充填されるずれ止め用の欠きを有するPC板を用いた道路橋のプレキャスト床版が提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
さらに、隣接するPC板の間にモルタルを充填せずに、より短期間にPC板の接合を行うことを可能とした発明として、前述の並列する縦桁上にPC板を敷き並べてポストテンション方式で締め付けるプレキャスト床版工において、PC板が両接合端面の下側にリブを有し、これにより接合面積が大きくなった接合端面に接着剤を塗布して接合したうえで、軸方向に設けられたPC鋼材によって接合面にプレストレスが導入されたプレキャスト床版が提案されている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2001−49621号公報
【特許文献2】特開平7−102529号公報
【特許文献3】特開平9−273117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のプレキャスト床版では、軸方向に設けられる複数のPC鋼材は、縦断面において同一高さに並列配置されており、PC板を軸方向に締め付けて接合する機能は果たすものの、活荷重による床版軸方向の曲げモーメントに対してこれを効率的に打ち消すような配置構成とはされていない。また、PC板の接合面全体に接着剤を用いた場合には、例えばトンネルなどの空気の停滞しやすい空間で用いるには大型の換気設備が必要になる他、接着剤の塗布厚が限定されるために施工誤差による隙間が生じる可能性がある。
【0006】
本発明は、このような背景に鑑みなされたもので、長方形のPC板をその延長方向に順に敷き並べ、これらをポストテンション方式で締め付けることにより接合するプレキャスト床版において、各PC板を軽量化しつつ床版の剛性を高め、容易且つ高速に施工可能とする。更には床版接合部を確実に密実とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数のPC板を延長方向に直列配置し、隣接するPC板を互いに接合して構築されるプレキャスト床版であって、略長方形を呈し、その短辺と略平行に床版緊張材挿通孔が内部に形成された床版本体と、当該床版本体の下面に前記長方形の長辺と略平行に延在する梁と、前記床版本体の下面に前記短辺と略平行に延在し且つリブ緊張材挿通孔が前記短辺と略平行に内部に形成されたリブとから構成され、互いの長辺を連接して直列配置された複数のPC板と、前記直列配置された複数のPC板の前記床版緊張材挿通孔に挿入された床版緊張材と、前記直列配置された複数のPC板の前記リブ緊張材挿通孔に挿入されたリブ緊張材と、前記床版緊張材を緊張した状態でその両端を定着する床版緊張材定着具と、前記リブ緊張材を緊張した状態でその両端を定着するリブ緊張材定着具とを有する構成とする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のプレキャスト床版において、前記リブ緊張材は、前記複数のPC板を複数群に分割して緊張すべく複数本に分割され、前記リブ緊張材定着具は、当該リブ緊張材の分割された本数に応じて設けられた構成とする。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のプレキャスト床版において、前記リブ緊張材定着具は、一方が、前記直列配置されたPC板の一端が隣接する他の床版に設けられ、他方が、当該直列配置されたPC板の他端に配置されたPC板に設けられた構成とする。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のプレキャスト床版において、前記床版緊張材定着具は、一方が、前記直列配置されたPC板の一端が隣接する他の床版に設けられ、他方が、前記直列配置されたPC板の他端に配置されたPC板に設けられた構成とする。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のプレキャスト床版において、前記各PC板は、隣接するPC板との接合端面の少なくとも一方の上部に、当該隣接するPC板の接合端面との間に目地溝を形成する凹部を有し、前記目地溝に充填材が充填された構成とする。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、複数のPC板を接合してプレキャスト床版を構築する方法であって、略長方形を呈し、その短辺に略平行に形成された床版緊張材挿通孔を備え、前記短辺に略平行に延在し且つ前記短辺に略平行に形成されたリブ緊張材挿通孔を内部に備えたリブを下面に備えた前記PC板を、隣接する前記床版緊張材挿通孔および隣接する前記リブ緊張材挿通孔がそれぞれ互いに連通するように、1群を構成する枚数だけ直列配置する第1工程と、前記連通した1群のリブ緊張材挿通孔に1群用のリブ緊張材を挿入する第2工程と、前記直列配置された1群のPC板の両端近傍にて前記1群用のリブ緊張材を緊張し定着する第3工程と、前記第1工程、第2工程、および第3工程を少なくとも1回繰り返す工程と、前記連通した複数群の床版緊張材挿通孔に複数群用の床版緊張材を挿入する工程と、前記直列配置された複数群のPC板の両端近傍にて前記複数群用の床版緊張材を緊張し定着する工程とを含む構成とする。
【0013】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のプレキャスト床版の構築方法において、前記各PC板は、隣接するPC板との接合端面の少なくとも一方の上部に、前記隣接するPC板の接続面との間に目地溝を形成する凹部を有し、前記複数群用の床版緊張材を緊張する前に、前記目地溝に充填材を充填する工程を更に含む構成とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載のプレキャスト床版によれば、PC板の下面に梁を備えることにより、長スパンの桁間にも適用できるようになる。換言すれば、同じスパン長の桁間に適用するのであれば、より剛性の高い床版を提供することができ、或いは梁構造を採用して床版をより薄くすることによってPC板の軽量化を図ることができる。また、ループ継手のように継手部分に打設したコンクリートの硬化や養生のために長期間を要する必要がないため工期を短縮することが可能である他、継手のコンクリートを打設するまで工事車両が床版上を通行できない等の不都合もない。さらに、緊張材を用いて複数枚のPC板をまとめて接合できるため、各PC板を個別に接合する作業手間が省けて工期の短縮を図ることが可能である。また、PC板の下面に軸方向のリブを備えることによって軸方向のリブ下縁側に発生する引張応力度に対して、リブ下縁に緊張材を挿入して軸方向のポストテンションを付与することにより、効率良く軸方向の圧縮応力度を導入することができ、支点間方向だけでなく軸方向についても剛性が高められる。
【0015】
請求項2に記載のプレキャスト床版によれば、リブ緊張材を任意の長さ、例えば作業速度に合わせた長さとすることにより、作業サイクルごとにPC板を連結し、連結した1群のPC板を次のサイクルのための作業ヤードとして使用可能とする他、資材運搬用のレールなどの仮設備を、連結した1群のPC板上に延長または移動可能とし、或いは工事車両の通行を可能とする。一方で、床版緊張材の挿入・緊張作業を必要最小限の回数に抑えることで、作業効率の向上を図ることができる。また、請求項3および請求項4に記載のプレキャスト床版によれば、リブ緊張材および床版緊張材を緊張してPC板をそれぞれ接合するにあたり、既に接合した1群のPC板或いは床版に対しても接合することにより、これらの一体化を図ることができる。さらに請求項5に記載のプレキャスト床版によれば、PC板間の接合面の隙間が生じず床版を密実に一体形成することにより、プレストレスを適切に与えて床版の剛性を高めることが可能となる。
【0016】
請求項6に記載のプレキャスト床版の構築方法によれば、請求項2に記載の発明の効果と同様に、床版緊張材の挿入・緊張作業を必要最小限の回数に抑えることで、作業効率の向上が図られる。また、請求項7に記載のプレキャスト床版の構築方法によれば、養生期間が必要となる目地溝への充填材の充填作業の回数が最小とされて工期の短縮が図られる他、請求項5に記載の発明の効果と同様に、各PC板の接合部が密実となって床版緊張材によるプレストレスを適切に与えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0018】
<実施形態の構成>
図1は実施形態に係るプレキャスト床版1を構成するPC板のうち中間部に配置される中間部用PC板11を底面側から見た斜視図である。中間部用PC板11は、平面が長方形の床版本体21と、床版本体21の長辺に沿ってその下面に形成された2列の梁31a,31bと、床版本体21の短辺に平行にその下面に形成されたリブ41a,41b,42a,42b,42cとから構成されている。
【0019】
床版本体21の長辺側の端面は、中間部用PC板11を直列に敷き並べる延長方向Dに対して略直角に延在し、隣接するPC板と接合される接合端面22a,22bをなしている。接合端面22a,22bには隣接するPC板の接合端面との間に目地溝26(図4,図5参照)を形成する凹部27が形成されている。2列の梁31a,31bは、その外側の側面32a,32bが床版本体21の両接合端面22a,22bよりもわずかに内側に入った位置に形成されている。一方、リブ41a,41bは床版本体21の短辺側の端面23a,23bと面一に形成され、リブ42a,42b,42cは両端に形成されたリブ41aとリブ41bとの間に中央寄りに配列されている。
【0020】
床版本体21は短辺と略平行に延在する6本の床版用シース24を内部に備えており、これにより6列の床版用ケーブル挿通孔25(床版緊張材挿通孔)が形成されている。また、中間に配列されたリブ42a,42b,42cは短辺と略平行に延在するリブ用シース44をそれぞれ一本ずつ内部に備えており、これにより3列のリブ用ケーブル挿通孔45(リブ緊張材挿通孔)が形成されている。一方、梁31a,31bはこれと平行に延在するPC鋼線33を内部に備えており、PC板の工場での製造時に与えられた緊張力によって梁31a,31bの軸方向に圧縮応力が加えられている。
【0021】
図2は実施形態に係るプレキャスト床版1を構成するPC板のうち、延長方向Dの端部に配置される端部用PC板13を底面側から見た斜視図である。端部用PC板13は、その基本構成は前述の中間部用PC板11と変わりないが、床版用ケーブル挿通孔25に挿入される床版用PCケーブル51(図4参照)の両端を緊張した状態で定着する床版PCケーブル定着具52と、リブ用ケーブル挿通孔45に挿入されるリブ用PCケーブル56(図5参照)の両端を緊張した状態で定着するリブPCケーブル定着具57とを備えている点で中間部用PC板11と異なる。
【0022】
図3は端部用PC板13を延長方向D側から見た正面図を示しており、図4は図3中のIV−IV断面を示しており、図5は図3中のV−V断面を示している。図2〜図4に示すように、床版PCケーブル定着具52は、一端に床版用シース24が接続され、他端が、床版本体21の接合端面22に形成された切欠き部53に臨んで端部用PC板13のコンクリート内に埋め込まれている。同様に、リブPCケーブル定着具57は、一端にリブ用シース44が接続され、他端が、リブ42a,42b,42cの接合面43に形成された切欠き部58に臨んで端部用PC板13のコンクリート内に埋め込まれている。
【0023】
また、端部用PC板13には、図4に示すように、延長方向D側に配置される他のPC板11dを接合するための床版PCケーブル定着具54が、床版PCケーブル定着具52に近接してこれとは反対向きに埋め込まれている。床版PCケーブル定着具54はその端面が床版本体21に形成された切欠き部55に臨んで設けられており、この切欠き部55を介して他のPC板11dを接合する床版用PCケーブル51dの定着が行われる。同様に図5に示すように、端部用PC板13には、延長方向D側に配置される他のPC板11dを接合するためのリブPCケーブル定着具59が、リブPCケーブル定着具57に近接してこれとは反対向きに埋め込まれている。リブPCケーブル定着具59はその端面がリブ42に形成された切欠き部60に臨んで設けられており、この切欠き部60を介して他のPC板11dを接合するリブ用PCケーブル56dの定着が行われる。
【0024】
図7を参照しつつ本実施形態のプレキャスト床版1の構成について説明すると、プレキャスト床版1は、各10枚のPC板から構成される3つのPC板群2,3,4から構成される。PC板のタイプには中間部用PC板11および端部用PC板13の他に、2つのPC板群2,3の延長方向D端部に配置される群端部用PC板12がある。詳細図については省略するが、群端部用PC板12は、その基本構成は前述の中間部用PC板11と変わりなく、リブ用PCケーブル56の両端を緊張した状態で定着するリブPCケーブル定着具57(図5参照)のみを備えている点で中間部用PC板11および端部用PC板13と異なる。
【0025】
リブ用PCケーブル56a,56b,56cはそれぞれ1つのPC板群2,3,4を接合し、床版用PCケーブル51は3つのPC板群2,3,4をまとめて接合する。したがって、リブ用PCケーブル56a,56b,56cの長さは床版用PCケーブル51を3分割した長さと略同一であり、1枚のプレキャスト床版1につき、床版PCケーブル定着具52,54は一対備わっているのに対し、リブPCケーブル定着具57,59は1枚のプレキャスト床版1につき、3対備わっている。
【0026】
<実施形態の構築方法>
次に図6,図7を参照してプレキャスト床版1の構築方法について説明する。図6は1枚のプレキャスト床版1を構築する方法を表すフロー図であり、図7は当該方法を説明するための模式図である。ステップ1として、先ず第1のPC板群2を構成する10枚のPC板をその長辺が延長方向Dに対して直角となるように桁上に直列に配置する。10枚のPC板とは、9枚の中間部用PC板11と1枚の群端部用PC板12である。なお、PC板を配置する延長方向D手前側には既に接合された他のプレキャスト床版1dが構築されており、その端部には第1のPC板群2を接合するための床版PCケーブル定着具54とリブPCケーブル定着具59aとが埋め込まれている。
【0027】
次にステップ2として、第1のPC板群2に形成された3列のリブ用ケーブル挿通孔45aにそれぞれリブ用PCケーブル56aを挿入する。ステップ3では、リブ用PCケーブル56aの先端の定着具57aからジャッキを用いて緊張し、リブPCケーブル定着具57a,59aによって定着する。これにより、第1のPC板群2のリブ部分にプレストレスが導入されて一体化されるとともに、隣接する他のプレキャスト床版1dとも連結される。図示はしないが、PCケーブル定着具52,54,57,59は、PCケーブルを把持するテーパ状の雄コーン(くさび)を、雄コーンの外形に適合した挿入孔を有する雌コーンに挿入することによりPCケーブルを定着し、定着後には、いずれの段階で行うかは問わないが、リブ用ケーブル挿通孔45aにグラウト注入を行ってリブ用PCケーブル56aとリブ用シース44(シース42)とを一体化する。
【0028】
次にステップ4では、第2のPC板群3を構成する10枚のPC板を第1のPC板群2に連接して桁上に配置する。10枚のPC板は第1群と同様に9枚の中間部用PC板11と1枚の群端部用PC板12である。なお、第1のPC板群2の群端部用PC板12には第2のPC板群3を接合するためのリブPCケーブル定着具59bが埋め込まれている。次にステップ5として、第2のPC板群3に形成された3列のリブ用ケーブル挿通孔45bにそれぞれリブ用PCケーブル56bを挿入する。ステップ6では、これらリブ用PCケーブル56bの先端の定着具57bからジャッキで緊張し、リブPCケーブル定着具57b,59bによって定着する。
【0029】
更にステップ7では、第3のPC板群4を構成する10枚のPC板を第2のPC板群3に連接して桁上に配置する。10枚のPC板は9枚の中間部用PC板11と1枚の端部用PC板13である。なお、第2のPC板群3の群端部用PC板12には第3のPC板群4を接合するリブPCケーブル定着具59cが埋め込まれている。次にステップ8として、第3のPC板群4に形成された3列のリブ用ケーブル挿通孔45cにそれぞれリブ用PCケーブル56cを挿入する。ステップ9では、これらリブ用PCケーブル56cの先端の定着具57cからジャッキで緊張し、リブPCケーブル定着具57c,59cにより定着する。
【0030】
次にステップ10として、第1〜第3のPC板群2,3,4に形成された4列の床版用ケーブル挿通孔25にそれぞれ床版用PCケーブル51を挿入する。ステップ11では、各PC板間の接合面に形成された目地溝26に繊維補強モルタル28(充填材)を充填し、所定強度が発現するまで養生を行う。最後にステップ12として、挿入された床版用PCケーブル51の先端の定着具52からジャッキで緊張し、床版PCケーブル定着具52,54により定着する。リブ用PCケーブル56と同様に、定着後には、いずれの段階で行うかは問わないが、床版用ケーブル挿通孔25にグラウト注入を行って床版用PCケーブル51と床版用シース24(床版本端21)とを一体化する。これにより、プレキャスト床版1の床版本体部分にもプレストレスが導入されて一体化されるとともに、先に構築した他のプレキャスト床版1dとも接合される。なお、なお、端部用PC板13にはその後構築するプレキャスト床版を接合する床版PCケーブル定着具54eとリブPCケーブル定着具59eが埋め込まれている。
【0031】
<実施形態の作用効果>
PC板11〜13はその下面に梁31a,31bを備えていることにより、長スパンの桁間にも適用することができる。同じスパン長の桁間であれば、より剛性の高いプレキャスト床版1として提供することができ、或いは床版本体21をより薄くすることによってPC板11〜13の軽量化を図ることが可能である。また、PC板11〜13は、下面に軸方向のリブ42a,42b,42cを備えていることによって、軸方向のリブ下縁側に発生する引張応力度に対して、各リブ42a,42b,42cの下縁にリブ用PCケーブル56を挿入して軸方向のポストテンションを導入することにより、軸方向の圧縮応力度が与えられ、しいては支点間方向だけでなく軸方向についても剛性が高められている。
【0032】
さらに、床版用PCケーブル51およびリブ用PCケーブル56を用いて複数枚のPC板をまとめて接合したことにより、PC板の接合作業の回数および時間が縮小されて工期の短縮が図られている。また、PC板間に形成される目地溝26の幅(延長方向D長さ)を小さく(例えば30mm)し、リブ用PCケーブル56を作業サイクルに合わせて床版用PCケーブル51の3分の1の長さとしたことにより、繊維補強モルタル28を充填する前であっても工事用車両などを通行可能とし、且つ作業サイクルごとに工事車両の通行可能範囲を拡大するとともに、連結したPC板群2,3,4を次サイクルのための作業ヤードとして使用可能とし、或いは資材運搬用のレールなどの仮設備をPC板群2,3,4上に延長または移動可能としている。
【0033】
また、リブ用PCケーブル56および床版用PCケーブル51を緊張するリブPCケーブル定着具59および床版PCケーブル定着具54を、既に接合したPC板群2,3、或いは既に接合された他のプレキャスト床版1dに埋め込んだことによって、PC板群2,3,4、或いはプレキャスト床版1を接合する際に、これらを隣接するPC板に同時に接合して一体化することが可能となっている。さらに、PC板間に形成される目地溝26に繊維補強モルタル28を充填することにより、PC板間の接合端面22の隙間が生じるのを防止してプレキャスト床版1を密実に一体形成することにより、プレストレスが適切に導入されている。
【0034】
プレキャスト床版1の構築方法については、リブ用PCケーブル56を作業サイクルに合わせて床版用PCケーブル51の3分の1の長さとしたことにより、床版用PCケーブル51およびリブ用PCケーブル56の挿入・緊張作業を必要最小限の回数として作業効率の向上が図られている。また、養生期間を要する目地溝26への繊維補強モルタル28の充填作業回数を最小限にしたことによっても工期の短縮が図られている。
【実施例】
【0035】
次に、図8,図9を参照してプレキャスト床版1を道路用シールドトンネルに適用した実施例について説明する。図8はシールドトンネル61の縦断面図であり、図9はシールドトンネル61の横断面図である。シールドトンネル61は、その延長方向Dに掘進するシールドマシン62の後方テール部分でセグメント63を組み立てることにより、その円筒状の外壁部分が構築される。円筒状のシールドトンネル61を道路として使用するために、その下半部分に床版を構築する必要があるが、本発明によるプレキャスト床版1を利用して床版を構築している。
【0036】
セグメント63を組み立て、後続台車64が通過した後、ブラケット取り付け台車65を利用して、左右のブラケット66,67がセグメント63内面に取り付けられる。ブラケット66,67上には床版ホイストクレーン70用のレール68,69、および床版受桁71,72がトンネル軸方向に延在するように敷設される。既に接合された他のプレキャスト床版1d上にはPC板運搬台車用のレールが敷設されており、この軌道上を走行する台車73に積載されてPC板11が坑口から運搬される。運搬されたPC板11は床版ホイストクレーン70によって床版受桁71,72上に配置される。PC板11と床版受桁71,72との間には高さ調整およびがたつき防止用のゴム支承(図示せず)が配置されている。各PC板11〜13の接合手順については、前述したとおりである。
【0037】
本発明によるプレキャスト床版1をシールドトンネル61に適用した場合の効果を説明するために、以下に従来のPC板を用いたシールドトンネル61における床版工の1例について説明する。
【0038】
図10は道路用のシールドトンネル61において、従来のPC板82を用いてプレキャスト床版81を構築する様子を示した横断面図であり、図11は図10中のXI−XI断面図である。プレキャスト床版81は複数のPC板82を接合して構築され、各PC板82は床版本体83とその下面に形成されたハンチ84とから構成されている。PC板82は、その両端が側壁85,86に支持されており、本発明を構成するPC板11〜13と比較して支点間の曲げ応力度が小さいため、その中間部がプレキャストRCの中壁87によって支持されている。
【0039】
図11に示すように、各PC板82はその長辺側の両接合端面の下部にコンクリート突出部91を有し、その上部の接合端面から更に水平方向に突出し床面に垂直なループ鉄筋92を備えており、隣接するPC板82を付き合わせた状態に配置すると、継ぎ目溝93が形成されるとともに、継ぎ目溝93内でループ鉄筋92がラップした状態となる。この状態で主筋94および配力筋95を組んでコンクリートを打設することにより、隣接するPC板82同士が接合される。そのため、継ぎ目溝93にコンクリートを打設するまではPC板82は固定されておらず、また、コンクリートが硬化するまではプレキャスト床版81を養生しておかねばならない。したがって、設置したPC板82とは別に資材運搬用の軌道を確保する必要があり、一般的には図10に示すように、セグメント63内面のプレキャスト床版81よりも高い位置にブラケット88,89を取り付け、その上に仮設のI型鋼90を敷き並べて軌道96を確保する。
【0040】
このように、本発明によるプレキャスト床版1を道路用のシールドトンネル61に適用することにより、PC板11〜13を重量化することなく、支点間のスパン長を長大にして中壁87を省略することが可能とされている。また、リブ用PCケーブル56を定着した後にはPC板群2,3,4を直ちに作業用および軌道用として使用することができるため、仮設のI型鋼90を設置・撤去する必要もない。さらに、本発明の一般的作用効果として記載した上記作用効果も当然に得ることができる。
【0041】
以上で具体的実施形態についての説明を終えるが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明のプレキャスト床版はシールドトンネルに限らず、本プレキャスト床版を橋梁や高架橋、下方に地下空間を有する道路など、更には建築用スラブなどに適用してもよい。また、各PC板の接合面は、何も塗布されないまま接合されもよいが、接合面に接着材やモルタルを塗布して接合してもよい。この場合、換気などを行う必要のない無機系の材料であって、短時間で高強度を得られる材料を用いるのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施形態に係る床版の中間部に配置されるPC板の底面側からの斜視図
【図2】実施形態に係る床版の1端部に配置されるPC板の底面側からの斜視図
【図3】図2に示すPC板の正面図
【図4】図3中のIV−IV断面図
【図5】図3中のV−V断面図
【図6】実施形態に係る床版構築方法のフロー図
【図7】実施形態に係る床版構築方法を説明する模式図
【図8】シールドトンネルに適用した実施例の縦断面図
【図9】シールドトンネルに適用した実施例の横断面図
【図10】従来のプレキャスト床版をシールドトンネルに適用した例の縦断面図
【図11】図10中のXI−XI断面図
【符号の説明】
【0043】
1 プレキャスト床版
2 第1のPC板群
3 第2のPC板群
4 第3のPC板群
11 中間部用PC板
12 群端部用PC板
13 端部用PC板
21 床版本体
22 接合端面
23 床版用シース
25 床版用ケーブル挿通孔(床版緊張材挿通孔)
26 目地溝
27 凹部
28 繊維補強モルタル(充填材)
31 梁
41,42 リブ
44 リブ用シース
45 リブ用ケーブル挿通孔(リブ緊張材挿通孔)
51 床版用PCケーブル(床版緊張材)
52,54 床版PCケーブル定着具(床版緊張材定着具)
56 リブ用PCケーブル(リブ緊張材)
57,59 リブPCケーブル定着具(リブ緊張材定着具)
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルや橋梁などに適用され、プレキャストコンクリート板(以下、単に「PC板」と記す)を接合して構築されるプレキャスト床版、およびその構築方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シールドトンネル工事や連続桁橋梁工事などの床版架設法では、従来、場所打ちコンクリートによる施工法が主流であったが、この工法では施工や養生に長時間を要し工期が長くなるとともに、その品質を一定に保つのが困難であったため、最近では、工場で製作されたPC板を現場に配置し接合することによって床版を構築する方法が一般的になりつつある。このようなPC板の接合構造として、接合端面の下部にコンクリートの突出部を備え、その上部の接合端面から水平方向に更に突出したループ鉄筋を備えたプレキャスト板を、隣り合うPC板の突出部を突き合わせ、ラップしたループ鉄筋に主筋等を組んで間詰めコンクリートを打設するループ継手が多く採用されている(例えば特許文献1)。
【0003】
一方、ループ継手による接合方法では間詰めコンクリートの養生に時間がかかるうえ、コンクリートを打設し所定強度が出るまで工事車両などが床版上を通行することができないために、他の接合方法として、並列する縦桁上に長方形のPC板を橋軸方向に敷き並べ、ポストテンション方式で締め付けることにより、複数のPC板を容易かつ高速に接合する方法も知られている。この方法に関しては、PC板を軽量化、剛性化した発明として、PC板の長手方向にPC鋼線を通してプレストレスを与えるとともに、橋軸方向の断面形状を門型(溝型材の溝を下にした状態)とし、隣り合うPC板との接合面に、スタッドを囲んでモルタルが充填されるずれ止め用の欠きを有するPC板を用いた道路橋のプレキャスト床版が提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
さらに、隣接するPC板の間にモルタルを充填せずに、より短期間にPC板の接合を行うことを可能とした発明として、前述の並列する縦桁上にPC板を敷き並べてポストテンション方式で締め付けるプレキャスト床版工において、PC板が両接合端面の下側にリブを有し、これにより接合面積が大きくなった接合端面に接着剤を塗布して接合したうえで、軸方向に設けられたPC鋼材によって接合面にプレストレスが導入されたプレキャスト床版が提案されている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2001−49621号公報
【特許文献2】特開平7−102529号公報
【特許文献3】特開平9−273117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のプレキャスト床版では、軸方向に設けられる複数のPC鋼材は、縦断面において同一高さに並列配置されており、PC板を軸方向に締め付けて接合する機能は果たすものの、活荷重による床版軸方向の曲げモーメントに対してこれを効率的に打ち消すような配置構成とはされていない。また、PC板の接合面全体に接着剤を用いた場合には、例えばトンネルなどの空気の停滞しやすい空間で用いるには大型の換気設備が必要になる他、接着剤の塗布厚が限定されるために施工誤差による隙間が生じる可能性がある。
【0006】
本発明は、このような背景に鑑みなされたもので、長方形のPC板をその延長方向に順に敷き並べ、これらをポストテンション方式で締め付けることにより接合するプレキャスト床版において、各PC板を軽量化しつつ床版の剛性を高め、容易且つ高速に施工可能とする。更には床版接合部を確実に密実とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数のPC板を延長方向に直列配置し、隣接するPC板を互いに接合して構築されるプレキャスト床版であって、略長方形を呈し、その短辺と略平行に床版緊張材挿通孔が内部に形成された床版本体と、当該床版本体の下面に前記長方形の長辺と略平行に延在する梁と、前記床版本体の下面に前記短辺と略平行に延在し且つリブ緊張材挿通孔が前記短辺と略平行に内部に形成されたリブとから構成され、互いの長辺を連接して直列配置された複数のPC板と、前記直列配置された複数のPC板の前記床版緊張材挿通孔に挿入された床版緊張材と、前記直列配置された複数のPC板の前記リブ緊張材挿通孔に挿入されたリブ緊張材と、前記床版緊張材を緊張した状態でその両端を定着する床版緊張材定着具と、前記リブ緊張材を緊張した状態でその両端を定着するリブ緊張材定着具とを有する構成とする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のプレキャスト床版において、前記リブ緊張材は、前記複数のPC板を複数群に分割して緊張すべく複数本に分割され、前記リブ緊張材定着具は、当該リブ緊張材の分割された本数に応じて設けられた構成とする。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のプレキャスト床版において、前記リブ緊張材定着具は、一方が、前記直列配置されたPC板の一端が隣接する他の床版に設けられ、他方が、当該直列配置されたPC板の他端に配置されたPC板に設けられた構成とする。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のプレキャスト床版において、前記床版緊張材定着具は、一方が、前記直列配置されたPC板の一端が隣接する他の床版に設けられ、他方が、前記直列配置されたPC板の他端に配置されたPC板に設けられた構成とする。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のプレキャスト床版において、前記各PC板は、隣接するPC板との接合端面の少なくとも一方の上部に、当該隣接するPC板の接合端面との間に目地溝を形成する凹部を有し、前記目地溝に充填材が充填された構成とする。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、複数のPC板を接合してプレキャスト床版を構築する方法であって、略長方形を呈し、その短辺に略平行に形成された床版緊張材挿通孔を備え、前記短辺に略平行に延在し且つ前記短辺に略平行に形成されたリブ緊張材挿通孔を内部に備えたリブを下面に備えた前記PC板を、隣接する前記床版緊張材挿通孔および隣接する前記リブ緊張材挿通孔がそれぞれ互いに連通するように、1群を構成する枚数だけ直列配置する第1工程と、前記連通した1群のリブ緊張材挿通孔に1群用のリブ緊張材を挿入する第2工程と、前記直列配置された1群のPC板の両端近傍にて前記1群用のリブ緊張材を緊張し定着する第3工程と、前記第1工程、第2工程、および第3工程を少なくとも1回繰り返す工程と、前記連通した複数群の床版緊張材挿通孔に複数群用の床版緊張材を挿入する工程と、前記直列配置された複数群のPC板の両端近傍にて前記複数群用の床版緊張材を緊張し定着する工程とを含む構成とする。
【0013】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のプレキャスト床版の構築方法において、前記各PC板は、隣接するPC板との接合端面の少なくとも一方の上部に、前記隣接するPC板の接続面との間に目地溝を形成する凹部を有し、前記複数群用の床版緊張材を緊張する前に、前記目地溝に充填材を充填する工程を更に含む構成とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載のプレキャスト床版によれば、PC板の下面に梁を備えることにより、長スパンの桁間にも適用できるようになる。換言すれば、同じスパン長の桁間に適用するのであれば、より剛性の高い床版を提供することができ、或いは梁構造を採用して床版をより薄くすることによってPC板の軽量化を図ることができる。また、ループ継手のように継手部分に打設したコンクリートの硬化や養生のために長期間を要する必要がないため工期を短縮することが可能である他、継手のコンクリートを打設するまで工事車両が床版上を通行できない等の不都合もない。さらに、緊張材を用いて複数枚のPC板をまとめて接合できるため、各PC板を個別に接合する作業手間が省けて工期の短縮を図ることが可能である。また、PC板の下面に軸方向のリブを備えることによって軸方向のリブ下縁側に発生する引張応力度に対して、リブ下縁に緊張材を挿入して軸方向のポストテンションを付与することにより、効率良く軸方向の圧縮応力度を導入することができ、支点間方向だけでなく軸方向についても剛性が高められる。
【0015】
請求項2に記載のプレキャスト床版によれば、リブ緊張材を任意の長さ、例えば作業速度に合わせた長さとすることにより、作業サイクルごとにPC板を連結し、連結した1群のPC板を次のサイクルのための作業ヤードとして使用可能とする他、資材運搬用のレールなどの仮設備を、連結した1群のPC板上に延長または移動可能とし、或いは工事車両の通行を可能とする。一方で、床版緊張材の挿入・緊張作業を必要最小限の回数に抑えることで、作業効率の向上を図ることができる。また、請求項3および請求項4に記載のプレキャスト床版によれば、リブ緊張材および床版緊張材を緊張してPC板をそれぞれ接合するにあたり、既に接合した1群のPC板或いは床版に対しても接合することにより、これらの一体化を図ることができる。さらに請求項5に記載のプレキャスト床版によれば、PC板間の接合面の隙間が生じず床版を密実に一体形成することにより、プレストレスを適切に与えて床版の剛性を高めることが可能となる。
【0016】
請求項6に記載のプレキャスト床版の構築方法によれば、請求項2に記載の発明の効果と同様に、床版緊張材の挿入・緊張作業を必要最小限の回数に抑えることで、作業効率の向上が図られる。また、請求項7に記載のプレキャスト床版の構築方法によれば、養生期間が必要となる目地溝への充填材の充填作業の回数が最小とされて工期の短縮が図られる他、請求項5に記載の発明の効果と同様に、各PC板の接合部が密実となって床版緊張材によるプレストレスを適切に与えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0018】
<実施形態の構成>
図1は実施形態に係るプレキャスト床版1を構成するPC板のうち中間部に配置される中間部用PC板11を底面側から見た斜視図である。中間部用PC板11は、平面が長方形の床版本体21と、床版本体21の長辺に沿ってその下面に形成された2列の梁31a,31bと、床版本体21の短辺に平行にその下面に形成されたリブ41a,41b,42a,42b,42cとから構成されている。
【0019】
床版本体21の長辺側の端面は、中間部用PC板11を直列に敷き並べる延長方向Dに対して略直角に延在し、隣接するPC板と接合される接合端面22a,22bをなしている。接合端面22a,22bには隣接するPC板の接合端面との間に目地溝26(図4,図5参照)を形成する凹部27が形成されている。2列の梁31a,31bは、その外側の側面32a,32bが床版本体21の両接合端面22a,22bよりもわずかに内側に入った位置に形成されている。一方、リブ41a,41bは床版本体21の短辺側の端面23a,23bと面一に形成され、リブ42a,42b,42cは両端に形成されたリブ41aとリブ41bとの間に中央寄りに配列されている。
【0020】
床版本体21は短辺と略平行に延在する6本の床版用シース24を内部に備えており、これにより6列の床版用ケーブル挿通孔25(床版緊張材挿通孔)が形成されている。また、中間に配列されたリブ42a,42b,42cは短辺と略平行に延在するリブ用シース44をそれぞれ一本ずつ内部に備えており、これにより3列のリブ用ケーブル挿通孔45(リブ緊張材挿通孔)が形成されている。一方、梁31a,31bはこれと平行に延在するPC鋼線33を内部に備えており、PC板の工場での製造時に与えられた緊張力によって梁31a,31bの軸方向に圧縮応力が加えられている。
【0021】
図2は実施形態に係るプレキャスト床版1を構成するPC板のうち、延長方向Dの端部に配置される端部用PC板13を底面側から見た斜視図である。端部用PC板13は、その基本構成は前述の中間部用PC板11と変わりないが、床版用ケーブル挿通孔25に挿入される床版用PCケーブル51(図4参照)の両端を緊張した状態で定着する床版PCケーブル定着具52と、リブ用ケーブル挿通孔45に挿入されるリブ用PCケーブル56(図5参照)の両端を緊張した状態で定着するリブPCケーブル定着具57とを備えている点で中間部用PC板11と異なる。
【0022】
図3は端部用PC板13を延長方向D側から見た正面図を示しており、図4は図3中のIV−IV断面を示しており、図5は図3中のV−V断面を示している。図2〜図4に示すように、床版PCケーブル定着具52は、一端に床版用シース24が接続され、他端が、床版本体21の接合端面22に形成された切欠き部53に臨んで端部用PC板13のコンクリート内に埋め込まれている。同様に、リブPCケーブル定着具57は、一端にリブ用シース44が接続され、他端が、リブ42a,42b,42cの接合面43に形成された切欠き部58に臨んで端部用PC板13のコンクリート内に埋め込まれている。
【0023】
また、端部用PC板13には、図4に示すように、延長方向D側に配置される他のPC板11dを接合するための床版PCケーブル定着具54が、床版PCケーブル定着具52に近接してこれとは反対向きに埋め込まれている。床版PCケーブル定着具54はその端面が床版本体21に形成された切欠き部55に臨んで設けられており、この切欠き部55を介して他のPC板11dを接合する床版用PCケーブル51dの定着が行われる。同様に図5に示すように、端部用PC板13には、延長方向D側に配置される他のPC板11dを接合するためのリブPCケーブル定着具59が、リブPCケーブル定着具57に近接してこれとは反対向きに埋め込まれている。リブPCケーブル定着具59はその端面がリブ42に形成された切欠き部60に臨んで設けられており、この切欠き部60を介して他のPC板11dを接合するリブ用PCケーブル56dの定着が行われる。
【0024】
図7を参照しつつ本実施形態のプレキャスト床版1の構成について説明すると、プレキャスト床版1は、各10枚のPC板から構成される3つのPC板群2,3,4から構成される。PC板のタイプには中間部用PC板11および端部用PC板13の他に、2つのPC板群2,3の延長方向D端部に配置される群端部用PC板12がある。詳細図については省略するが、群端部用PC板12は、その基本構成は前述の中間部用PC板11と変わりなく、リブ用PCケーブル56の両端を緊張した状態で定着するリブPCケーブル定着具57(図5参照)のみを備えている点で中間部用PC板11および端部用PC板13と異なる。
【0025】
リブ用PCケーブル56a,56b,56cはそれぞれ1つのPC板群2,3,4を接合し、床版用PCケーブル51は3つのPC板群2,3,4をまとめて接合する。したがって、リブ用PCケーブル56a,56b,56cの長さは床版用PCケーブル51を3分割した長さと略同一であり、1枚のプレキャスト床版1につき、床版PCケーブル定着具52,54は一対備わっているのに対し、リブPCケーブル定着具57,59は1枚のプレキャスト床版1につき、3対備わっている。
【0026】
<実施形態の構築方法>
次に図6,図7を参照してプレキャスト床版1の構築方法について説明する。図6は1枚のプレキャスト床版1を構築する方法を表すフロー図であり、図7は当該方法を説明するための模式図である。ステップ1として、先ず第1のPC板群2を構成する10枚のPC板をその長辺が延長方向Dに対して直角となるように桁上に直列に配置する。10枚のPC板とは、9枚の中間部用PC板11と1枚の群端部用PC板12である。なお、PC板を配置する延長方向D手前側には既に接合された他のプレキャスト床版1dが構築されており、その端部には第1のPC板群2を接合するための床版PCケーブル定着具54とリブPCケーブル定着具59aとが埋め込まれている。
【0027】
次にステップ2として、第1のPC板群2に形成された3列のリブ用ケーブル挿通孔45aにそれぞれリブ用PCケーブル56aを挿入する。ステップ3では、リブ用PCケーブル56aの先端の定着具57aからジャッキを用いて緊張し、リブPCケーブル定着具57a,59aによって定着する。これにより、第1のPC板群2のリブ部分にプレストレスが導入されて一体化されるとともに、隣接する他のプレキャスト床版1dとも連結される。図示はしないが、PCケーブル定着具52,54,57,59は、PCケーブルを把持するテーパ状の雄コーン(くさび)を、雄コーンの外形に適合した挿入孔を有する雌コーンに挿入することによりPCケーブルを定着し、定着後には、いずれの段階で行うかは問わないが、リブ用ケーブル挿通孔45aにグラウト注入を行ってリブ用PCケーブル56aとリブ用シース44(シース42)とを一体化する。
【0028】
次にステップ4では、第2のPC板群3を構成する10枚のPC板を第1のPC板群2に連接して桁上に配置する。10枚のPC板は第1群と同様に9枚の中間部用PC板11と1枚の群端部用PC板12である。なお、第1のPC板群2の群端部用PC板12には第2のPC板群3を接合するためのリブPCケーブル定着具59bが埋め込まれている。次にステップ5として、第2のPC板群3に形成された3列のリブ用ケーブル挿通孔45bにそれぞれリブ用PCケーブル56bを挿入する。ステップ6では、これらリブ用PCケーブル56bの先端の定着具57bからジャッキで緊張し、リブPCケーブル定着具57b,59bによって定着する。
【0029】
更にステップ7では、第3のPC板群4を構成する10枚のPC板を第2のPC板群3に連接して桁上に配置する。10枚のPC板は9枚の中間部用PC板11と1枚の端部用PC板13である。なお、第2のPC板群3の群端部用PC板12には第3のPC板群4を接合するリブPCケーブル定着具59cが埋め込まれている。次にステップ8として、第3のPC板群4に形成された3列のリブ用ケーブル挿通孔45cにそれぞれリブ用PCケーブル56cを挿入する。ステップ9では、これらリブ用PCケーブル56cの先端の定着具57cからジャッキで緊張し、リブPCケーブル定着具57c,59cにより定着する。
【0030】
次にステップ10として、第1〜第3のPC板群2,3,4に形成された4列の床版用ケーブル挿通孔25にそれぞれ床版用PCケーブル51を挿入する。ステップ11では、各PC板間の接合面に形成された目地溝26に繊維補強モルタル28(充填材)を充填し、所定強度が発現するまで養生を行う。最後にステップ12として、挿入された床版用PCケーブル51の先端の定着具52からジャッキで緊張し、床版PCケーブル定着具52,54により定着する。リブ用PCケーブル56と同様に、定着後には、いずれの段階で行うかは問わないが、床版用ケーブル挿通孔25にグラウト注入を行って床版用PCケーブル51と床版用シース24(床版本端21)とを一体化する。これにより、プレキャスト床版1の床版本体部分にもプレストレスが導入されて一体化されるとともに、先に構築した他のプレキャスト床版1dとも接合される。なお、なお、端部用PC板13にはその後構築するプレキャスト床版を接合する床版PCケーブル定着具54eとリブPCケーブル定着具59eが埋め込まれている。
【0031】
<実施形態の作用効果>
PC板11〜13はその下面に梁31a,31bを備えていることにより、長スパンの桁間にも適用することができる。同じスパン長の桁間であれば、より剛性の高いプレキャスト床版1として提供することができ、或いは床版本体21をより薄くすることによってPC板11〜13の軽量化を図ることが可能である。また、PC板11〜13は、下面に軸方向のリブ42a,42b,42cを備えていることによって、軸方向のリブ下縁側に発生する引張応力度に対して、各リブ42a,42b,42cの下縁にリブ用PCケーブル56を挿入して軸方向のポストテンションを導入することにより、軸方向の圧縮応力度が与えられ、しいては支点間方向だけでなく軸方向についても剛性が高められている。
【0032】
さらに、床版用PCケーブル51およびリブ用PCケーブル56を用いて複数枚のPC板をまとめて接合したことにより、PC板の接合作業の回数および時間が縮小されて工期の短縮が図られている。また、PC板間に形成される目地溝26の幅(延長方向D長さ)を小さく(例えば30mm)し、リブ用PCケーブル56を作業サイクルに合わせて床版用PCケーブル51の3分の1の長さとしたことにより、繊維補強モルタル28を充填する前であっても工事用車両などを通行可能とし、且つ作業サイクルごとに工事車両の通行可能範囲を拡大するとともに、連結したPC板群2,3,4を次サイクルのための作業ヤードとして使用可能とし、或いは資材運搬用のレールなどの仮設備をPC板群2,3,4上に延長または移動可能としている。
【0033】
また、リブ用PCケーブル56および床版用PCケーブル51を緊張するリブPCケーブル定着具59および床版PCケーブル定着具54を、既に接合したPC板群2,3、或いは既に接合された他のプレキャスト床版1dに埋め込んだことによって、PC板群2,3,4、或いはプレキャスト床版1を接合する際に、これらを隣接するPC板に同時に接合して一体化することが可能となっている。さらに、PC板間に形成される目地溝26に繊維補強モルタル28を充填することにより、PC板間の接合端面22の隙間が生じるのを防止してプレキャスト床版1を密実に一体形成することにより、プレストレスが適切に導入されている。
【0034】
プレキャスト床版1の構築方法については、リブ用PCケーブル56を作業サイクルに合わせて床版用PCケーブル51の3分の1の長さとしたことにより、床版用PCケーブル51およびリブ用PCケーブル56の挿入・緊張作業を必要最小限の回数として作業効率の向上が図られている。また、養生期間を要する目地溝26への繊維補強モルタル28の充填作業回数を最小限にしたことによっても工期の短縮が図られている。
【実施例】
【0035】
次に、図8,図9を参照してプレキャスト床版1を道路用シールドトンネルに適用した実施例について説明する。図8はシールドトンネル61の縦断面図であり、図9はシールドトンネル61の横断面図である。シールドトンネル61は、その延長方向Dに掘進するシールドマシン62の後方テール部分でセグメント63を組み立てることにより、その円筒状の外壁部分が構築される。円筒状のシールドトンネル61を道路として使用するために、その下半部分に床版を構築する必要があるが、本発明によるプレキャスト床版1を利用して床版を構築している。
【0036】
セグメント63を組み立て、後続台車64が通過した後、ブラケット取り付け台車65を利用して、左右のブラケット66,67がセグメント63内面に取り付けられる。ブラケット66,67上には床版ホイストクレーン70用のレール68,69、および床版受桁71,72がトンネル軸方向に延在するように敷設される。既に接合された他のプレキャスト床版1d上にはPC板運搬台車用のレールが敷設されており、この軌道上を走行する台車73に積載されてPC板11が坑口から運搬される。運搬されたPC板11は床版ホイストクレーン70によって床版受桁71,72上に配置される。PC板11と床版受桁71,72との間には高さ調整およびがたつき防止用のゴム支承(図示せず)が配置されている。各PC板11〜13の接合手順については、前述したとおりである。
【0037】
本発明によるプレキャスト床版1をシールドトンネル61に適用した場合の効果を説明するために、以下に従来のPC板を用いたシールドトンネル61における床版工の1例について説明する。
【0038】
図10は道路用のシールドトンネル61において、従来のPC板82を用いてプレキャスト床版81を構築する様子を示した横断面図であり、図11は図10中のXI−XI断面図である。プレキャスト床版81は複数のPC板82を接合して構築され、各PC板82は床版本体83とその下面に形成されたハンチ84とから構成されている。PC板82は、その両端が側壁85,86に支持されており、本発明を構成するPC板11〜13と比較して支点間の曲げ応力度が小さいため、その中間部がプレキャストRCの中壁87によって支持されている。
【0039】
図11に示すように、各PC板82はその長辺側の両接合端面の下部にコンクリート突出部91を有し、その上部の接合端面から更に水平方向に突出し床面に垂直なループ鉄筋92を備えており、隣接するPC板82を付き合わせた状態に配置すると、継ぎ目溝93が形成されるとともに、継ぎ目溝93内でループ鉄筋92がラップした状態となる。この状態で主筋94および配力筋95を組んでコンクリートを打設することにより、隣接するPC板82同士が接合される。そのため、継ぎ目溝93にコンクリートを打設するまではPC板82は固定されておらず、また、コンクリートが硬化するまではプレキャスト床版81を養生しておかねばならない。したがって、設置したPC板82とは別に資材運搬用の軌道を確保する必要があり、一般的には図10に示すように、セグメント63内面のプレキャスト床版81よりも高い位置にブラケット88,89を取り付け、その上に仮設のI型鋼90を敷き並べて軌道96を確保する。
【0040】
このように、本発明によるプレキャスト床版1を道路用のシールドトンネル61に適用することにより、PC板11〜13を重量化することなく、支点間のスパン長を長大にして中壁87を省略することが可能とされている。また、リブ用PCケーブル56を定着した後にはPC板群2,3,4を直ちに作業用および軌道用として使用することができるため、仮設のI型鋼90を設置・撤去する必要もない。さらに、本発明の一般的作用効果として記載した上記作用効果も当然に得ることができる。
【0041】
以上で具体的実施形態についての説明を終えるが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明のプレキャスト床版はシールドトンネルに限らず、本プレキャスト床版を橋梁や高架橋、下方に地下空間を有する道路など、更には建築用スラブなどに適用してもよい。また、各PC板の接合面は、何も塗布されないまま接合されもよいが、接合面に接着材やモルタルを塗布して接合してもよい。この場合、換気などを行う必要のない無機系の材料であって、短時間で高強度を得られる材料を用いるのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施形態に係る床版の中間部に配置されるPC板の底面側からの斜視図
【図2】実施形態に係る床版の1端部に配置されるPC板の底面側からの斜視図
【図3】図2に示すPC板の正面図
【図4】図3中のIV−IV断面図
【図5】図3中のV−V断面図
【図6】実施形態に係る床版構築方法のフロー図
【図7】実施形態に係る床版構築方法を説明する模式図
【図8】シールドトンネルに適用した実施例の縦断面図
【図9】シールドトンネルに適用した実施例の横断面図
【図10】従来のプレキャスト床版をシールドトンネルに適用した例の縦断面図
【図11】図10中のXI−XI断面図
【符号の説明】
【0043】
1 プレキャスト床版
2 第1のPC板群
3 第2のPC板群
4 第3のPC板群
11 中間部用PC板
12 群端部用PC板
13 端部用PC板
21 床版本体
22 接合端面
23 床版用シース
25 床版用ケーブル挿通孔(床版緊張材挿通孔)
26 目地溝
27 凹部
28 繊維補強モルタル(充填材)
31 梁
41,42 リブ
44 リブ用シース
45 リブ用ケーブル挿通孔(リブ緊張材挿通孔)
51 床版用PCケーブル(床版緊張材)
52,54 床版PCケーブル定着具(床版緊張材定着具)
56 リブ用PCケーブル(リブ緊張材)
57,59 リブPCケーブル定着具(リブ緊張材定着具)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のPC板を延長方向に直列配置し、隣接するPC板を互いに接合して構築されるプレキャスト床版であって、
略長方形を呈し、その短辺と略平行に床版緊張材挿通孔が内部に形成された床版本体と、当該床版本体の下面に前記長方形の長辺と略平行に延在する梁と、前記床版本体の下面に前記短辺と略平行に延在し且つリブ緊張材挿通孔が前記短辺と略平行に内部に形成されたリブとから構成され、互いの長辺を連接して直列配置された複数のPC板と、
前記直列配置された複数のPC板の前記床版緊張材挿通孔に挿入された床版緊張材と、
前記直列配置された複数のPC板の前記リブ緊張材挿通孔に挿入されたリブ緊張材と、
前記床版緊張材を緊張した状態でその両端を定着する床版緊張材定着具と、
前記リブ緊張材を緊張した状態でその両端を定着するリブ緊張材定着具と
を有することを特徴とするプレキャスト床版。
【請求項2】
前記リブ緊張材は、前記複数のPC板を複数群に分割して緊張すべく複数本に分割され、前記リブ緊張材定着具は、当該リブ緊張材の分割された本数に応じて設けられたことを特徴とする請求項1に記載のプレキャスト床版。
【請求項3】
前記リブ緊張材定着具は、一方が、前記直列配置されたPC板の一端が隣接する他の床版に設けられ、他方が、当該直列配置されたPC板の他端に配置されたPC板に設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプレキャスト床版。
【請求項4】
前記床版緊張材定着具は、一方が、前記直列配置されたPC板の一端が隣接する他の床版に設けられ、他方が、前記直列配置されたPC板の他端に配置されたPC板に設けられたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のプレキャスト床版。
【請求項5】
前記各PC板は、隣接するPC板との接合端面の少なくとも一方の上部に、当該隣接するPC板の接合端面との間に目地溝を形成する凹部を有し、
前記目地溝に充填材が充填されたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のPC板の接合構造。
【請求項6】
複数のPC板を接合してプレキャスト床版を構築する方法であって、
略長方形を呈し、その短辺に略平行に形成された床版緊張材挿通孔を備え、前記短辺に略平行に延在し且つ前記短辺に略平行に形成されたリブ緊張材挿通孔を内部に備えたリブを下面に備えた前記PC板を、隣接する前記床版緊張材挿通孔および隣接する前記リブ緊張材挿通孔がそれぞれ互いに連通するように、1群を構成する枚数だけ直列配置する第1工程と、
前記連通した1群のリブ緊張材挿通孔に1群用のリブ緊張材を挿入する第2工程と、
前記直列配置された1群のPC板の両端近傍にて前記1群用のリブ緊張材を緊張し定着する第3工程と、
前記第1工程、第2工程、および第3工程を少なくとも1回繰り返す工程と、
前記連通した複数群の床版緊張材挿通孔に複数群用の床版緊張材を挿入する工程と、
前記直列配置された複数群のPC板の両端近傍にて前記複数群用の床版緊張材を緊張し定着する工程と
を含むことを特徴とするプレキャスト床版の構築方法。
【請求項7】
前記各PC板は、隣接するPC板との接合端面の少なくとも一方の上部に、前記隣接するPC板の接続面との間に目地溝を形成する凹部を有し、
前記複数群用の床版緊張材を緊張する前に、前記目地溝に充填材を充填する工程を更に含むことを特徴とする請求項6に記載のプレキャスト床版の構築方法。
【請求項1】
複数のPC板を延長方向に直列配置し、隣接するPC板を互いに接合して構築されるプレキャスト床版であって、
略長方形を呈し、その短辺と略平行に床版緊張材挿通孔が内部に形成された床版本体と、当該床版本体の下面に前記長方形の長辺と略平行に延在する梁と、前記床版本体の下面に前記短辺と略平行に延在し且つリブ緊張材挿通孔が前記短辺と略平行に内部に形成されたリブとから構成され、互いの長辺を連接して直列配置された複数のPC板と、
前記直列配置された複数のPC板の前記床版緊張材挿通孔に挿入された床版緊張材と、
前記直列配置された複数のPC板の前記リブ緊張材挿通孔に挿入されたリブ緊張材と、
前記床版緊張材を緊張した状態でその両端を定着する床版緊張材定着具と、
前記リブ緊張材を緊張した状態でその両端を定着するリブ緊張材定着具と
を有することを特徴とするプレキャスト床版。
【請求項2】
前記リブ緊張材は、前記複数のPC板を複数群に分割して緊張すべく複数本に分割され、前記リブ緊張材定着具は、当該リブ緊張材の分割された本数に応じて設けられたことを特徴とする請求項1に記載のプレキャスト床版。
【請求項3】
前記リブ緊張材定着具は、一方が、前記直列配置されたPC板の一端が隣接する他の床版に設けられ、他方が、当該直列配置されたPC板の他端に配置されたPC板に設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプレキャスト床版。
【請求項4】
前記床版緊張材定着具は、一方が、前記直列配置されたPC板の一端が隣接する他の床版に設けられ、他方が、前記直列配置されたPC板の他端に配置されたPC板に設けられたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のプレキャスト床版。
【請求項5】
前記各PC板は、隣接するPC板との接合端面の少なくとも一方の上部に、当該隣接するPC板の接合端面との間に目地溝を形成する凹部を有し、
前記目地溝に充填材が充填されたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のPC板の接合構造。
【請求項6】
複数のPC板を接合してプレキャスト床版を構築する方法であって、
略長方形を呈し、その短辺に略平行に形成された床版緊張材挿通孔を備え、前記短辺に略平行に延在し且つ前記短辺に略平行に形成されたリブ緊張材挿通孔を内部に備えたリブを下面に備えた前記PC板を、隣接する前記床版緊張材挿通孔および隣接する前記リブ緊張材挿通孔がそれぞれ互いに連通するように、1群を構成する枚数だけ直列配置する第1工程と、
前記連通した1群のリブ緊張材挿通孔に1群用のリブ緊張材を挿入する第2工程と、
前記直列配置された1群のPC板の両端近傍にて前記1群用のリブ緊張材を緊張し定着する第3工程と、
前記第1工程、第2工程、および第3工程を少なくとも1回繰り返す工程と、
前記連通した複数群の床版緊張材挿通孔に複数群用の床版緊張材を挿入する工程と、
前記直列配置された複数群のPC板の両端近傍にて前記複数群用の床版緊張材を緊張し定着する工程と
を含むことを特徴とするプレキャスト床版の構築方法。
【請求項7】
前記各PC板は、隣接するPC板との接合端面の少なくとも一方の上部に、前記隣接するPC板の接続面との間に目地溝を形成する凹部を有し、
前記複数群用の床版緊張材を緊張する前に、前記目地溝に充填材を充填する工程を更に含むことを特徴とする請求項6に記載のプレキャスト床版の構築方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−266960(P2008−266960A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−110182(P2007−110182)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(000174943)三井住友建設株式会社 (346)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(000174943)三井住友建設株式会社 (346)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]