説明

プレス成形方法および成形体

【課題】強化繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料を用いたプレス成形において、作業性と成形性とを兼ね備えたプレス成形方法およびプレス成形方法で得られた成形体の提供
【解決手段】成形型を用いて、強化繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料をプレス成形する方法であって、少なくとも下記2種類の形状を有する成形材料(A)、(B)を積層して配置する工程、前記成形型の下面となる型の上に積層、配置した成形材料(A)、(B)を前記成形型の上面となる型を用いて加圧する工程を有するプレス成形方法。成形材料(A)が前記凹部の型の有する開口部の投影面積以下の投影面積を有する形状、成形材料(B)が少なくとも前記突起部形成用の溝部の投影面積以上の投影面積を有する形状である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強化繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料を用いたプレス成形方法、および前記プレス成形方法で得られた成形体に関するものであり、特に、作業性に優れ、複雑形状に対する成形性に優れるプレス成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、金属材料のプレス成形にて製造されていた自動車、電気・電子機器、家電製品などの各種部品・部材に代表される産業用部品が、強化繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料に代替されている。これは、該成形材料を用いた成形体が高い強度を有し、軽量である点にある。ここで、プレス成形とは、加工機械および型、工具等を用いて金属、プラスチック材料、セラミックス材料などに例示される各種材料に曲げ、剪断、圧縮等の変形を与え、成形、加工をおこなう方法である。また、プレス成形は、比較的均一な精度の製品を多量に生産できることが特徴であり、多量生産をおこなうために高速化、高精度化、品質の安定化などの要求が高く、それらを実現するために作業性、成形性の向上に関する市場の要求は非常に高い。
【0003】
特に、従来の強化繊維とマトリックス樹脂である熱可塑性樹脂を用いた成形材料の成形方法において、溶融温度以上に予備加熱して軟化状態にある該成形材料を雌雄一対からなる金型間に供給し、次いでプレス成形して所望の形状の成形体を得るプレス成形方法は周知である。しかしながら、繊維強化された熱可塑性樹脂成形材料のプレス成形では金型キャビティの形状に賦形せず、得られた成形体の細部まで上記成形材料が充填されないという成形性、特に外観の品位に関する問題があった。
【0004】
そこで、上述したプレス成形における成形体の外観の向上を目的とした、強化繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料において、溝部の形成に関するプレス成形方法が開示されている(特許文献1)。これは、該成形材料の成形に用いる金型の溝部形成面に、5〜25mmに粉砕した該成形材料を用いて、該成形材料の成形温度より高い温度で溶融または軟化する熱可塑性樹脂層を積載し、加熱・加圧・冷却固化してプレス成形をおこなう方法である。
【0005】
しかしながら、上記方法では、表面外観を向上させるために成形材料を粉砕する手間がかかるばかりか、該成形材料を予熱する工程の際に、粉砕片を固定しなければならず、実用的でない。さらに、粉砕片を金型の凹凸部に対応させることは、非常に困難かつ、手間のかかる作業となってしまい、成形サイクルの低下につながり経済性に劣ってしまう。
【0006】
そこで、溝部が設けられた金型を用い、精度よく成形体を作製する圧縮成形方法が開示されている(特許文献2)。これは、炭素繊維とパルプもしくはフッ素樹脂からなる成形材料の圧縮成形方法において、炭素繊維の繊維配向を溝部に沿わせる方法であるが、この方法では、溝部の一方向にしか対応することができず、複雑形状を成形することは不可能である。
【特許文献1】特開平7−68580号公報
【特許文献2】特開2007−172996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の技術的背景に鑑み、本発明は、強化繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料を用いたプレス成形において、煩雑な工程を必要としない優れた作業性と、成形型の複雑形状に対し容易に追随させることができる優れた成形性とを兼ね備えたプレス成形方法、および当該プレス成形方法で得られた成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は以下の構成からなる。すなわち、
(1)開口部とフランジ部とを有し、突起部形成用の溝部が形成された凹部の型と、該凹部の型との間でキャビティが構成されるもう一方の型からなる成形型を用いて、強化繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料をプレス成形する方法であって、前記成形型の下面となる型の上に強化繊維と熱可塑性樹脂からなる、少なくとも下記2種類の形状を有する成形材料(A)、(B)を積層して配置する工程、前記成形型の下面となる型の上に積層、配置した成形材料(A)、(B)を前記成形型の上面となる型を用いて加圧する工程、を有するプレス成形方法。
【0009】
成形材料(A):前記凹部の型の有する開口部の投影面積以下の投影面積を有する形状
成形材料(B):少なくとも前記突起部形成用の溝部の投影面積以上の投影面積を有する形状。
【0010】
(2)前記少なくとも2種類の成形材料(A)、(B)を積層して配置する工程において、前記成形材料(A)を前記成形型の凹部側に配置する、(1)に記載のプレス方法。
【0011】
(3)前記成形材料(B)を、前記突起部形成用の溝部の70%以上を覆うように配置する、(1)または(2)に記載のプレス成形方法。
【0012】
(4)前記成形材料(A)の端部と前記成形材料(B)の端部が重ならないように積層、配置する、(1)〜(3)のいずれかに記載のプレス成形方法。
【0013】
(5)前記成形型が、その一部に前記成形材料(A)を拘束するための皺押さえ部を有する、(1)〜(4)のいずれかに記載のプレス方法。
【0014】
(6)前記成形型が、その上面となる型と前記成形材料(A)、(B)の間に、前記成形材料(A)を拘束するための皺押さえ部材を配置する、(1)〜(4)のいずれかに記載のプレス方法。
【0015】
(7)前記突起部形成用の溝部の深さが0.5mm以上である、(1)〜(6)のいずれかに記載のプレス成形方法。
【0016】
(8)前記成形材料を構成する熱可塑性樹脂の溶融温度以上に予熱して軟化状態で前記成形材料を、前記成形型の下面となる型の上に配置し、次いで前記成形型を閉じて型締を行い、その後加圧冷却する、(1)〜(7)のいずれかに記載のプレス成形方法。
【0017】
(9)前記成形材料が以下の成分(I)、成分(II)を有してなる、(1)〜(8)のいずれかに記載のプレス成形方法。
成分(I):強化繊維:25〜80質量%
成分(II):ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂およびポリアセタール樹脂の群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂:20〜75質量%。
【0018】
(10)前記成分(I)の質量平均繊維長が1〜15mmである、(9)に記載のプレス成形方法。
【0019】
(11)前記成分(I)が、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、鉱物繊維から選択される少なくとも1種である、(9)または(10)に記載のプレス成形方法。
【0020】
(12)前記成分(II)がポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルイミド樹脂から選択される少なくとも1種である(11)に記載のプレス成形方法。
【0021】
(13)請求項(1)〜(12)に記載のプレス成形方法により得られた成形体がボス、リブの少なくとも1種の形状を有する、成形体。
【0022】
(14)自動車、電気・電子機器、家電製品、または、航空機の用途に用いられる部品・部材である(13)に記載の成形体である。
【発明の効果】
【0023】
本発明のプレス成形方法は、強化繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料を用いたプレス成形をおこなう際に、煩雑な工程を踏む必要がないため、優れた作業性、成形型の複雑形状に対し容易に追随させることができ、成形性にも優れる。さらに得られる成形体の表面外観が良好なことから、自動車、電気・電子機器、家電製品などの各種部品・部材に極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明のプレス成形方法について、好ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
【0025】
本発明は、開口部とフランジ部とを有し、突起部形成用の溝部が形成された凹部の型と、該凹部の型との間でキャビティが構成されるもう一方の型からなる成形型を用いて、強化繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料をプレス成形する方法であって、前記成形型の下面となる型の上に強化繊維と熱可塑性樹脂からなる、少なくとも下記2種類の形状を有する成形材料(A)、(B)を積層して配置する工程、前記成形型の下面となる型の上に積層、配置した成形材料(A)、(B)を前記成形型の上面となる型を用いて加圧する工程を有するプレス成形方法である。なお、成形材料(A)、(B)とは、各々、成形材料(A):前記凹部の型の有する開口部の投影面積以下の投影面積を有する形状、成形材料(B):少なくとも前記突起部形成用の溝部の投影面積以上の投影面積を有する形状である。
【0026】
開口部とフランジ部とを有し、突起部形成用の溝部が形成された凹部の型と、該凹部の型との間でキャビティが構成されるもう一方の型からなる成形型とは、図1に示されるように、プレス装置(図示せず)に取り付けられた、少なくとも一対の雌雄(1、2)の成形型から構成される。さらに、これらの成形型は、成形体の形状に応じたキャビティ面(3)を有している。また、キャビティ(4)とは、図2に示すように、該成形型を型締した際の隙間部分を指し、成形体の形状に対応する部分である。
【0027】
本発明は、強化繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料をプレス成形する方法であり、プレス成形の種類は得られる成形体に応じ選択が可能である。ここで、プレス成形とは、加工機械および型、工具等を用いて金属、プラスチック材料、セラミックス材料などに例示される各種材料に曲げ、剪断、圧縮等の変形を与えて成形体を得る方法であるが、その成形形態として絞り、深絞り、フランジ、コールゲート、エッジカーリング、型打ちなどが例示される。また、プレス成形の方法としては、型を用いて成形をおこなう金型プレス法、ラバープレス法(静水圧成形法)押出し成形法などが例示される。上記プレス成形の方法のなかでも、成形圧力、温度の自由度の観点から、金属製の型を用いて成形をおこなう金型プレス法を好ましく用いることができる。
【0028】
上記プレス成形方法のなかでも、強化繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料においては、金型プレス法を用い、該成形材料を型内に予め配置しておき、型締とともに加圧、加熱をおこない、次いで型締をおこなったまま、金型の冷却により該成形材料の冷却をおこない成形体を得るホットプレス法や、予め該成形材料を、前記熱可塑性樹脂の溶融温度以上に、遠赤外線ヒーター、加熱板、高温オーブン、誘電加熱などに例示される加熱装置で加熱し、熱可塑性樹脂を溶融、軟化させた状態で、前記成形型の下面となる型の上に配置し、次いで型を閉じて型締をおこない、その後、加圧冷却する方法であるコールドプレス法を採用することが好ましいが、本発明のプレス成形方法では、上記のプレス成形方法に特に制限はないものの、経済性、作業性に優れたコールドプレス法を採用することが好ましい。
【0029】
さらに、本発明はプレス成形における配置作業の容易さ、すなわち作業性の観点および成形体の外観の向上の観点から、前記成形型の下面となる型の上に強化繊維と熱可塑性樹脂からなる、少なくとも下記2種類の形状を有する成形材料(A)、(B)を積層して配置する工程、さらに、前記成形型の下面となる型の上に積層、配置した成形材料(A)、(B)を前記成形型の上面となる型を用いて加圧する工程を有する。
【0030】
成形材料(A)、(B)の形状については後述するが、該成形材料(A)、(B)の積層の構成としては、少なくとも成形材料(A)、(B)が重なりあっている必要があり、その積層は、成形材料(A)、(B)と順に積層する構成、成形材料(A)で成形材料(B)を挟み込むように積層する構成、成形材料(A)を1層、(B)2層と順に積層する構成、などが例示できる。さらに、本発明の効果を損なわない範囲であれば、前記成形材料(A)、(B)に加え、前記成形材料(A)、(B)以外の成形材料を用いることもできる。
【0031】
前記成形材料(A)、前記成形材料(B)は、それぞれ以下に記載される形状を有する。
【0032】
成形材料(A)は、前記凹部の型の有する開口部の投影面積以下の投影面積を有する形状である。前記凹部の型の有する開口部の投影面積以下の投影面積を有する形状とは、図3に図示される(5)を投影面積とする。これにより、プレス成形において、成形材料(A)が図4に示される得られた成形体(6)のリブ、ボス以外の表面部分が形成されることで、成形体のエッジ部分への未充填を防止することが出来るため、成形体の外観および成形性が満足される。成形材料(A)が前記凹部の型の有する開口部の投影面積よりも大きい投影面積を有する形状であるということは、図5に示される、得られた成形体(6)のリブ(7)、ボスなどの突起部やリブ、ボス以外の表面部分の端部に成形材料の充填ができず、結果、満足な成形体を得ることができないといった事態に陥る。
【0033】
成形材料(B)は、少なくとも前記突起部形成用の溝部の投影面積以上の投影面積を有する形状である。前記突起部形成用の溝部の投影面積とは、図6に示される、斜線部(9)にあたる部分の面積である。
【0034】
成形材料(B)が少なくとも前記突起部形成用の溝部の投影面積未満の投影面積を有する形状であるということは、得られる成形体のリブ、ボスなどの突起部に未充填が発生するなど、結果、満足な成形体を得ることができないといった事態に陥る。
【0035】
さらに、前記成形材料(B)が、前記突起部形成用の溝部の70%を覆うように配置することが好ましい。これは、該成形材料をプレス成形する際に、該成形材料(B)が成形体、特に成形体の突起部への該成形材料の未充填を防止することができるためである。さらに好ましくは80%以上、とりわけ好ましくは90%以上である。
【0036】
本発明は、前記少なくとも下記2種類の形状を有する成形材料(A)、(B)を積層して配置する工程において、前記成形材料(A)が前記成形型の凹部側に配置されることが好ましい。該成形材料を加熱した後に、該成形型に配置する際の作業性、該成形材料(B)が該溝部に押し込まれる際の、図5に示すような成形体への該成形材料が引きつれにより、厚みバラツキや未充填を防止することができるためである。
【0037】
さらに、図7に示すように、前記成形材料(A)の端部と前記成形材料(B)の端部が重なり合わないように積層、配置(10、11)することが好ましい。それらの端部が重なり合わないように積層、配置することで、成形体への該成形材料(B)が該成形型に挟まれることにより、該溝部への未充填を防止することができるためである。
【0038】
また、本発明の効果を十分に発揮するために、前記成形型が、例えば、図8−aに示すように、その一部に前記成形材料(A)を拘束するための皺押さえ部(12)を有することが作業性の観点から好ましい。ここで、図8−a、図8−b、図8−c、に、皺押さえ部を有する前記成形型を用いてプレス成形をおこなった際の、一連の動作の簡略図を示す。このように、皺押さえ部により、成形材料(A)の端部が押さえられ(図8−b)、次いで、プレス成形され、成形体の凹部側の表面が形成され、さらに、成形材料(B)により突起部が形成される。
【0039】
さらに、前記成形型が、その上面となる型と前記成形材料(A)、(B)の間に、前記成形材料(A)を拘束するための皺押さえ部材、例えば、図9(13)、図10(14a、14b)を配置することが成形の精密さを向上させる観点から好ましい。
【0040】
また、図1に示す、前記成形型における、前記凹部の深さ(D)が0.5mm以上であることが、本発明の効果である成形性、作業性を十分に発揮できるため好ましい。なお、実用的に電気・電子機器や自動車などの部材に用いる突起部という点に鑑みれば、前記凹部の深さ(D)は、30mm以下であることが好ましい。
【0041】
前記強化繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料は、以下の成分(I)、成分(II)を有することが好ましい。
【0042】
本発明における強化繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料とは、強化繊維で補強された熱可塑性樹脂であれば特に制限されず、例えば、複数本のストランド状強化繊維に針を突き刺し、互いに繊維を絡まり合わせたマット状ストランド強化繊維に熱可塑性樹脂を積層し、これを加熱、加圧して得られる成形材料、強化繊維束に溶融熱可塑性樹脂を付着させ、加圧して得られる成形材料、強化繊維のみ、あるいは粉末形状、繊維形状の熱可塑性樹脂を分散させ、これを加熱、加圧して得られる成形材料。強化繊維と粉末形状、繊維形状の熱可塑性樹脂を水中に分散、混合した懸濁液から抄造して得られる不織材料を加熱、加圧して得られる成形材料、強化繊維のみを水中に分散した懸濁液から抄造して得られる不織材料に粉末形状、繊維形状、フィルム形状、不織布形状の熱可塑性樹脂を加熱、加圧して、抄造して得られた該強化繊維の不織布材料に該熱可塑性樹脂を接着してなる成形材料などの公知の成形材料が挙げられる。これらのなかでも、該強化繊維の不織布材料に該熱可塑性樹脂を接着してなる成形材料が、強化繊維の分散性および熱可塑性樹脂の形態の自由性や、製造方法の経済性の観点から好ましく用いることができる。
【0043】
また、前記成分(I)は、強化繊維による補強効果が大きく期待できる、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、鉱物繊維から選択される少なくとも1種であることが好ましく、ガラス繊維は低コストで、炭素繊維は高い補強効果が得られるためさらに好ましく、とりわけ好ましくは、強化繊維による熱可塑性樹脂への補強効果が大きい炭素繊維である。
【0044】
さらに、該成分(I)は、25〜80質量%の割合で含有されていることが好ましい。本発明により得られる成形体の機械的特性を鑑みると、30〜75質量%の割合で含有されていることがさらに好ましく、35〜70質量%の割合で含有されていることがとりわけ好ましい。炭素繊維の質量含有量が25質量%以上であることにより、本発明のプレス成形方法により得られる成形体の強化繊維による補強効果が発現するため、構造部材として用いた場合に必要な曲げ強度を発揮できる。また、炭素繊維の質量含有率が80質量%以下であることにより、強化繊維と熱可塑性樹脂の該繊維間への熱可塑性樹脂の含浸を満たすことができ、成形性が確保できる。
【0045】
さらに、前記成分(I)の質量平均繊維長が1〜15mmであることが好ましい。強化繊維の質量平均繊維長は、より好ましくは1.5〜10mmであり、さらに好ましくは2〜6.5mmである。強化繊維の質量平均繊維長が1mmより長いと、繊維補強効果が大きく、構造部材として使用する際に好適である。また、強化繊維の質量平均繊維長が15mmより短いと、該強化繊維の絡み合いによる立体障害を小さくすることができるため、本発明のプレス成形方法より得られる成形体内に欠点の発生を抑えることができるため好ましい。
【0046】
また、前記成分(II)は、本発明の特徴を損なわない範囲であれば、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、液晶ポリエステル等のポリエステルや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィンや、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルニトリル、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、液晶ポリマーなどの結晶性樹脂、スチレン系樹脂の他や、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレートなどの非晶性樹脂、その他、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、更にポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、ポリイソプレン系、フッ素系、およびアクリロニトリル系等の熱可塑エラストマー等や、これらの共重合体および変性体等から選ばれる熱可塑性樹脂が挙げられる。本発明においては、これらの少なくとも1種を熱可塑性樹脂として採用することができる。好ましくは、経済性の観点から、前記成分(II)は、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂およびポリアセタール樹脂の群より選択される少なくとも1つの熱可塑性樹脂であり、さらに好ましくは、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルイミド樹脂から選択される少なくとも1種である。これは、強化繊維間へ熱可塑性樹脂を含浸させる成形性の観点からである。
【0047】
さらに、前記成分(II)の配合量は、20〜75質量%の割合であることが好ましい。上記強化繊維の含有量の観点と同様に、25〜70質量%の割合で含有されていることがさらに好ましく、30〜65質量%の割合で含有されていることがとりわけ好ましい。
【0048】
また、上記成分(II)については、必要に応じて上記した熱可塑性樹脂の混合物あるいはこれらの熱可塑性樹脂を使用したポリマーアロイおよびこれらの変性物を挙げることができ、本発明において熱可塑性樹脂とはこれらを全て包含するものである。このような熱可塑性樹脂中には安定剤、顔料、充填剤などの通常配合される各種の配合剤が任意に含まれていてもよい。
【0049】
さらに、上述した特性を有することから、自動車、電気・電子機器、家電製品、航空機などの各種部品・部材を好ましい用途として、挙げることができる。
【実施例】
【0050】
以下、実施例によって、本発明のプレス成形方法および成形体について具体的に説明するが、下記の実施例は本発明を制限するものではない。
【0051】
(参考例1)
ポリアクリロニトリルを主成分とする重合体から紡糸、焼成処理を行い、総フィラメント数12000本の炭素繊維連続束を得た。この炭素繊維連続束の特性は次の通りであった。
【0052】
単位長さ当たりの質量:1.7g/m
比重:1.8g/cm
引張強度:4.0GPa
引張弾性率:235GPa。
【0053】
(参考例2)
成分(I)として、参考例1で得られた炭素繊維連続束を、カートリッジカッターでカットし、繊維長6.4mmのチョップド糸を得た。界面活性剤(和光純薬工業(株)社製、「n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム」(製品名)の1.5wt%水溶液100リットルを攪拌し、予め泡立てた分散液を作製した。この分散液に、得られたチョップド糸100gを投入し、10分間撹拌した後、長さ1000mm×幅1000mmの抄紙面を有する抄紙機に流し込み、吸引により脱水して、炭素繊維からなる不織布(以下CFと略す)を得た。次に、この炭素繊維からなる不織布を150℃の温度で2時間乾燥した。
【0054】
(参考例3)
成分(II)として、ポリアミド6樹脂(東レ(株)社製、“CM1001”(登録商標))を用いた。
【0055】
240℃の温度に加熱された上下の熱盤面から構成される油圧式プレス機の熱盤面間に、離型シートとしてテフロン(登録商標)シート(厚さ1mm)を用い、ポリアミド6樹脂を挟み込むように配置した。ポリアミド6樹脂は90g投入し、偏りが無いように配置した。ついで、3MPaでプレスした。次に、30℃の温度に温度制御された、上下の熱盤面から構成される油圧式プレス機の冷却盤間に配置し、3MPaで冷却プレスし、長さ1000mm、幅1000mm、厚み0.08mmのポリアミドフィルム(以下PAと略す)を得た。
【0056】
(参考例4)
成分(II)として、酸変性ポリプロピレン樹脂(三井化学(株)社製、“QE510”)を用いた。
【0057】
200℃の温度に加熱された上下の熱盤面から構成される油圧式プレス機の熱盤面間に、離型シートとしてテフロン(登録商標)シート(厚さ1mm)を用い、ポリプロピレン樹脂を挟み込むように配置した。ポリプロピレン樹脂は90g投入し、偏りが無いように配置した。ついで、3MPaでプレスした。次に、30℃の温度に温度制御された、上下の熱盤面から構成される油圧式プレス機の冷却盤間に配置し、3MPaで冷却プレスし、長さ1000mm、幅1000mm、厚み0.1mmのポリプロピレンフィルム(以下PPと略す)を得た。
【0058】
(参考例5)
成分(II)として、酸変性ポリプロピレン樹脂(三井化学(株)社製、“QE510”)を用いた。
【0059】
200℃の温度に加熱された上下の熱盤面から構成される油圧式プレス機の熱盤面間に、離型シートとしてテフロン(登録商標)シート(厚さ1mm)を用い、ポリプロピレン樹脂を挟み込むように配置した。ポリプロピレン樹脂は44g投入し、偏りが無いように配置した。ついで、3MPaでプレスした。次に、30℃の温度に温度制御された、上下の熱盤面から構成される油圧式プレス機の冷却盤間に配置し、3MPaで冷却プレスし、長さ1000mm、幅1000mm、厚み0.05mmのポリプロピレンフィルム(以下PP2と略す)を得た。
【0060】
(参考例6)
参考例2で得られた炭素繊維からなる不織布1枚を、参考例3で得られたPAを前記炭素繊維からなる不織布の両面に1枚ずつ挟み込み、[PA/CF/PA]の構成のシートとした。また、離型シートとしてテフロン(登録商標)シート(厚さ1mm)を用い、該シートを挟み込むように配置した。ついで、240℃の温度に加熱された上下の熱盤面から構成される油圧式プレス機の熱盤面間に配置し、5MPaでプレスした。次に、30℃の温度に温度制御された冷却盤間に配置し、5MPaで冷却プレスし、長さ1000mm、幅1000mm、厚み0.21mmの強化繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料を得た。
【0061】
(参考例7)
成分(II)として、参考例4で得られたPPを用い、加熱時の上下の熱盤面の温度を200℃とした以外は、参考例5と同様の操作をおこない、長さ1000mm、幅1000mm、厚み0.25mmの強化繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料を得た。
【0062】
(参考例8)
成分(II)として、参考例5で得られたPPを前記炭素繊維からなる不織布の片面に1枚重ね合わせ、[PP/CF]の構成のシートとした以外は、参考例5と同様の操作をおこない、長さ1000mm、幅1000mm、厚み0.10mmの強化繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料を得た。
【0063】
(参考例9)
プレス成形に使用する金型として、下記に記す寸法の凹型に図11、凸型に図12に示す金型を用いた。
・図11:W1;120mm、W2;150mm、W3;250mm、W4;300mm、W5;3mm、W6;3mm、W7;100mm、W8;150mm、W9;200mm、D1;13mm、D2;5mm、D3;3mm、H;200mm
・図12:W1;150mm、W2;300mm、W3;100mm、W4;200mm、D1;80mm、H;120mm。
【0064】
(参考例10)
プレス成形に使用する金型として、凹型に図13、凸型に図14に示す金型を用いた。
・図13:W1;3mm、W2;3mm、W3;120mm、W4;150mm、W5;250mm、W6;300mm、W7;100mm、W8;150mm、W9;200mm、D1;13mm、D2;5mm、D3;3mm、H;200mm、φ1;24mm、φ2;30mm
・図14:W1;150mm、W2;300mm、W3;100mm、W4;200mm、D1;80mm、H;120mm。
【0065】
(参考例11)
プレス成形に使用する金型として、下記に記す寸法の凹型に図11、凸型に図12に示す金型を用いた。
・図11:W1;120mm、W2;150mm、W3;250mm、W4;300mm、W5;3mm、W6;3mm、W7;100mm、W8;150mm、W9;200mm、D1;58mm、D2;5mm、D3;50mm、H;200mm
・図12:W1;150mm、W2;300mm、W3;100mm、W4;200mm、D1;80mm、H;120mm。
【0066】
ここで、実施例、比較例により得られる成形体の評価基準を以下に記す。
[表面外観]
A:溝部への未充填部分が無く優れた成形体の表面外観である。
B:実用上問題はないものの、溝部にかすれ状の跡が見られる。
C:未充填や穴あきがあり劣る。
[作業性]
AA:成形材料(A)、(B)の積層や搬送に手間取ることなく、さらに、プレス成形時に前記成形材料(A)、(B)がずれを起こすことなく、作業性に特に優れる。
A:成形材料(A)、成形材料(B)の積層や搬送の手間取ることなく特に優れる。
B:プレス成形時に成形材料(A)、(B)の積層や搬送に若干手間取るが、作業性には問題はない。
C:プレス成形時に成形材料(A)、(B)の積層や搬送に手間取り、作業性に劣る。
【0067】
(実施例1)
参考例7で得た炭素繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料を以下のサイズに裁断し、それぞれ成形材料(A)、成形材料(B)とした。また、金型は参考例9を用い、金型温度を50℃に温調した。
【0068】
成形材料(A):長さ250mm、幅150mm
成形材料(B):長さ110mm、幅90mm
上記成形材料(A)を9層、上記成形材料(B)を3層の順に図7に示すように成形材料(A)、(B)の端部が重ならないように積層(以下シート材と略す)をおこない、その後、該シート材の厚み方向に中心が235℃になるまで遠赤外線ヒーターを具備したオーブン中で予熱した。ついで該シート材を金型キャビティ面の凹部の投影面に該シート材の該成形材料(B)が収まるように配置した。その後、直ちに20mm/秒の速度で該凹部に対応するもう一方の型を降下させ、該シート材をキャビティ内で充填させつつ、キャビティの厚みが3mmになるまで型締をおこなった。その後、この状態を維持するように50秒間加圧、冷却し、その後成形型を開いて、成形体を得た。
【0069】
(実施例2)
参考例6で得た炭素繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料を用い、それぞれ成形材料(A)、成形材料(B)とし、金型温度を80℃に温調した以外は、実施例1と同様の方法でプレス成形をおこない、成形体を得た。
【0070】
(実施例3)
参考例8で得た炭素繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料を以下のサイズに裁断し、それぞれ成形材料(A)、成形材料(B)とした。また、金型は参考例9を用い、金型温度を50℃に温調した。
【0071】
成形材料(A):長さ250mm、幅150mm
成形材料(B):長さ110mm、幅90mm
上記成形材料(A)を20層、上記成形材料(B)を10層の順に図7に示すように成形材料(A)、(B)の端部が重ならないように積層(以下シート材と略す)をおこない、その後、該シート材の厚み方向に中心が235℃になるまで遠赤外線ヒーターを具備したオーブン中で予熱した。ついで該シート材を金型キャビティ面の凹部の投影面に該シート材の該成形材料(B)が収まるように配置した。その後、直ちに20mm/秒の速度で該該凹型に対応するもう一方型を降下させ、該シート材をキャビティ内で充填させつつ、キャビティの厚みが3mmになるまで型締をおこなった。その後、この状態を維持するように50秒間加圧、冷却し、その後成形型を開いて、成形体を得た。
【0072】
(実施例4)
参考例7で得た炭素繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料を用い、金型として参考例10を用いた以外は、実施例2と同様の方法でプレス成形をおこない、図15に示すような複雑形状の成形体を得た。
【0073】
(実施例5)
参考例7で得た炭素繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料を用い、図16に示すように成形材料(A)、(B)を積層した以外は、実施例1と同様の方法でプレス成形をおこない、成形体を得た。
【0074】
(実施例6)
参考例7で得た炭素繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料を用い、それぞれ成形材料(A)、成形材料(B)とし、上記成形材料(A)を3層、上記成形材料(B)を9層の順に図17に示すように積層し、該成形材料(B)については、凹部側に、かつ該開口部の投影面積の50%を覆うように配置した以外は、実施例1と同様の方法でプレス成形をおこない、成形体を得た。
【0075】
(実施例7)
参考例7で得た炭素繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料を用い、図18に示すように成形材料(A)、(B)の端部を重ねて積層した以外は、実施例1と同様の方法でプレス成形をおこない、成形体を得た。
【0076】
(実施例8)
参考例7で得た炭素繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料を用い、図8−aに示す皺押さえ部を有した成形型をもちいた以外は、実施例1と同様の方法でプレス成形をおこない、成形体を得た。
【0077】
(実施例9)
参考例7で得た炭素繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料を用い、図10に示す皺押さえ部材を有した成形型をもちいた以外は、実施例1と同様の方法でプレス成形をおこない、成形体を得た。
【0078】
(実施例10)
参考例7で得た炭素繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料を用い、金型として参考例11を用いた以外は、実施例1と同様の方法でプレス成形をおこない、深い溝部を有する形状の成形体を得た。
【0079】
(比較例1)
実施例1における、成形材料(B)と同様のサイズに裁断した炭素繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料を12枚積層した以外は、実施例1と同様の方法でプレス成形をおこない、成形体を得た。
【0080】
(比較例2)
実施例1における、成形材料(A)と同様のサイズに裁断した炭素繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料を12枚積層した以外は、実施例1と同様の方法でプレス成形をおこない、成形体を得た。
【0081】
上記の実施例1〜10と比較例1、2から、下記のことが明らかである。実施例1〜4で得られた成形体の突起形成部には皺の発生も、未充填もなく図4に示すような良好な外観であった。さらに、実施例8、9においては、実施例1〜4と同様に優れた表面外観を有することに加え、作業時に成形材料(A)および成形材料(B)の搬送やずれを抑制することができ、作業性にも優れていた。実施例5〜7、10により得られた成形体においては、実施例1〜4により得られた成形体よりは、溝部の表面外観にかすれなどがあり若干劣るものの、実用上問題のない成形品が得られた。また、比較例1は図5(8)、比較例2においても図5(8)に示すような、成形体としての欠陥(未充填部分)が見られた。従来法では、上述のとおり、突起部分の成形が困難であることが確認された。
【0082】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0083】
従来法とは異なり、本発明の強化繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料を用いたプレス成形方法においては、煩雑な工程を必要としない優れた作業性と、成形型の複雑形状に対し容易に追随させることができる優れた成形性とを兼ね備えている。そのため本発明のプレス成形方法で得られた成形体は、自動車、電気・電子機器、家電製品、または、航空機の用途に用いられる部品・部材に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】成形型の一実施例の簡略図。
【図2】成形型が形成するキャビティの一実施例の簡略図。
【図3】成形型が形成する凹部の開口部の投影面積一実施例の簡略図。
【図4】本発明のプレス成形方法によりに得られる成形体の一実施例の簡略図。
【図5】従来のプレス成形方法により得られる成形体の一実施例の簡略図。
【図6】成形型が形成する溝部の投影面積の簡略図。
【図7】本発明のプレス成形方法における成形材料の積層構成の一実施例の簡略図。
【図8−a】本発明のプレス成形方法における成形材料の積層構成および皺押さえ部を有する成形型の一実施例の簡略図。
【図8−b】本発明のプレス成形方法における成形材料の積層構成および皺押さえ部を有する成形型の一実施例を用いた際の、プレス成形される様子を示した簡略図。
【図8−c】本発明のプレス成形方法における成形材料の積層構成および皺押さえ部を有する成形型の一実施例を用いた際の、プレス成形される様子を示した簡略図。
【図9】本発明のプレス成形方法における成形材料の積層構成および皺押さえ部材を有する成形型の一実施例の簡略図。
【図10】本発明のプレス成形方法における成形材料の積層構成および皺押さえ部材を有する成形型の一実施例の簡略図。
【図11】実施例および比較例に用いた成形型の凹部の簡略図。
【図12】実施例および比較例に用いた成形型の凸部の簡略図。
【図13】実施例および比較例に用いた成形型の凹部の簡略図。
【図14】実施例および比較例に用いた成形型の凸部の簡略図。
【図15】本発明のプレス成形方法によりに得られる成形体の一実施例の簡略図。
【図16】本発明のプレス成形方法における成形材料の積層構成の一実施例の簡略図。
【図17】本発明のプレス成形方法における成形材料の積層構成の一実施例の簡略図。
【図18】本発明のプレス成形方法における成形材料の積層構成の一実施例の簡略図。
【符号の説明】
【0085】
1 成形型の凸部
2 成形型の凹部
3 成形型から形成されるキャビティ面
4 成形型から形成されるキャビティ
5 キャビティの有する投影面積
6 成形体
7 成形されたリブ部
8 成形されたリブ壁部(未充填)
9 溝部の投影面積
10 成形材料(A)
11 成形材料(B)
12 皺押さえ部
13 皺押さえ部材
14a 皺押さえ部材
14b 皺押さえ部材
15 成形体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部とフランジ部とを有し、突起部形成用の溝部が形成された凹部の型と、該凹部の型との間でキャビティが構成されるもう一方の型からなる成形型を用いて、強化繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料をプレス成形する方法であって、前記成形型の下面となる型の上に強化繊維と熱可塑性樹脂からなる、少なくとも下記2種類の形状を有する成形材料(A)、(B)を積層して配置する工程、前記成形型の下面となる型の上に積層、配置した成形材料(A)、(B)を前記成形型の上面となる型を用いて加圧する工程、を有するプレス成形方法。
成形材料(A):前記凹部の型の有する開口部の投影面積以下の投影面積を有する形状
成形材料(B):少なくとも前記突起部形成用の溝部の投影面積以上の投影面積を有する形状
【請求項2】
前記少なくとも2種類の成形材料(A)、(B)を積層して配置する工程において、前記成形材料(A)を前記成形型の凹部側に配置する、請求項1に記載のプレス方法。
【請求項3】
前記成形材料(B)を、前記突起部形成用の溝部の70%以上を覆うように配置する、請求項1または2に記載のプレス成形方法。
【請求項4】
前記成形材料(A)の端部と前記成形材料(B)の端部が重なり合わないように積層、配置する、請求項1〜3のいずれかに記載のプレス成形方法。
【請求項5】
前記成形型が、その一部に前記成形材料(A)を拘束するための皺押さえ部を有する、請求項1〜4のいずれかに記載のプレス方法。
【請求項6】
前記成形型が、その上面となる型と前記成形材料(A)、(B)の間に、前記成形材料(A)を拘束するための皺押さえ部材を配置する、請求項1〜4のいずれかに記載のプレス方法。
【請求項7】
前記突起部形成用の溝部の深さが0.5mm以上である、請求項1〜6のいずれかに記載のプレス成形方法。
【請求項8】
前記成形材料を構成する熱可塑性樹脂の溶融温度以上に予熱して軟化状態とした前記成形材料を、前記成形型の下面となる型の上に配置し、次いで前記成形型を閉じて型締を行い、その後加圧冷却する、請求項1〜7のいずれかに記載のプレス成形方法。
【請求項9】
前記成形材料が以下の成分(I)、成分(II)を有してなる、請求項1〜8のいずれかに記載のプレス成形方法。
成分(I):強化繊維:25〜80質量%。
成分(II):ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂およびポリアセタール樹脂の群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂:20〜75質量%。
【請求項10】
前記成分(I)の質量平均繊維長が1〜15mmである、請求項9に記載のプレス成形方法。
【請求項11】
前記成分(I)が、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、鉱物繊維から選択される少なくとも1種である、請求項9または10に記載のプレス成形方法。
【請求項12】
前記成分(II)がポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルイミド樹脂から選択される少なくとも1種である、請求項11に記載のプレス成形方法。
【請求項13】
請求項1〜12に記載のプレス成形方法により得られた成形体が、ボス、リブの少なくとも1種の形状を有する成形体。
【請求項14】
自動車、電気・電子機器、家電製品、または、航空機の用途に用いられる部品・部材である、請求項13に記載の成形体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8−a】
image rotate

【図8−b】
image rotate

【図8−c】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2009−196146(P2009−196146A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38414(P2008−38414)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】