説明

プログラム、情報記憶媒体及び画像生成装置

【課題】 ブラー処理の対象とするオブジェクトを対象としないオブジェクトとを区別して、スピード感の溢れるリアルな画像を生成すること。
【解決手段】 移動体を含むゲーム空間を、視点から見て移動体の前方空間と後方空間とに分割する。次いで、上記視点を基に、後方空間の画像(後方背景画像)IM1と、前方空間の画像(前方背景画像)IM5とを生成し、後方背景画像IM1及び前方背景画像IM5のそれぞれに所定のブラー処理を施して、後方背景ブラー画像IM2及び前方背景ブラー画像IM6を生成する。また、上記視点を基に移動体の画像IM3を生成する。そして、移動体ブラー画像IM4に移動体画像IM3を上書き合成し、合成後の画像IM11に後方背景ブラー画像IM6を上書き合成して、ゲーム空間の画像IM22を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所与の視点に基づき、仮想三次元空間中を移動する移動体を含んだ空間画像を生成する画像生成装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
仮想三次元空間中を移動する移動体を含んだ画像を生成するゲーム装置等の画像生成装置が知られている。かかる画像生成装置において、移動体のスピード感(速度感)を演出することを目的としてブラー処理を行う技術が知られている。ブラー処理とは、現実世界において、移動している物体がブレて撮影される様子を再現する視覚効果処理である。
【0003】
ブラー処理としては、例えば、(1)現フレームに係る静止画像に、従前のフレーム(1〜数フレーム)の画像を合成(例えば、半透明合成)することで、ブラーを表現する方法がある。また、他のブラー処理として、(2)現フレームに係る静止画像に、該画像を少しづつ(例えば、1〜数ピクセルづつ)ずらした画像を半透明合成(例えば、α合成)する方法がある。
【0004】
尚、ブラー処理とは異なるが、移動体オブジェクトのスピード感を表現する技術として、特許文献1には、移動体オブジェクトに追従するように視点が設定された際に適用される技術が開示されている。かかる技術では、視点に基づく画像の中央に視界クリア領域を設定し、この視界クリア領域以外の領域にぼかし処理を施す。移動体オブジェクトの移動速度が上昇する程、視界クリア領域を狭くすることで、移動体オブジェクトのスピード感を表現することができる。
【特許文献1】特許第3442736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したブラー処理の方法では、特に高速で移動する移動体の画像を生成する際に、次のような不都合が生じていた。
【0006】
即ち、(1)従前のフレームでの画像を合成する方法では、移動体の速度が速くなる程、各フレームの画像中における移動体の位置変化が大きくなるために、表示される移動体の「残像」の間隔が長く「とびとび」になり、リアルさに欠ける不自然な画像となっていた。また、合成する画像それぞれを一次的に記憶しておくための一定のメモリ容量が必要であった。
【0007】
また、(2)画像をずらして半透明合成する方法では、画像全体にブラーがかかることになる。このため、移動体は勿論、樹木や建物といった画像内に写っている全てのオブジェクトにブラーがかかることとなり、リアルさに欠ける不自然な画像となっていた。
【0008】
例えば、視点の位置を固定として視点の姿勢を変化させる(例えば、パンさせるといった、いわゆる「流し撮り」に相当する)、或いは、移動体に対する視点の相対的な距離・姿勢を固定として視点の位置を変化させる(即ち、視点を移動体に追従させる)等、視線方向が常に移動体に向くように視点を設定する場合には、レンダリングされる画像における移動体の位置・姿勢は殆ど変化しないため、移動体にはブラーがかからず、この移動体を除く背景等のみにブラーがかかった画像となることが望ましい。また、視点の位置・種瀬を固定として、移動体のスピード感を表現しようとする場合には、レンダリングされる画像中において、視点との相対的な位置が変化する移動体のみにブラーがかかり、相対的な位置が変化しない背景等にはブラーがかからない画像(シャッタースピードを遅くしたような画像)となることが望ましい。
【0009】
上記事情に鑑み、本発明は、ブラー処理の対象とするオブジェクトを対象としないオブジェクトとを区別して、スピード感の溢れるリアルな画像を生成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、第1の発明は、
コンピュータに、所与の視点(例えば、図3の仮想カメラ30)に基づき、仮想三次元空間中を移動する移動体(例えば、図3の移動体10)を含んだ空間画像を生成させるためのプログラム(例えば、図10のゲームプログラム410)であって、
前記空間画像中の所定位置に前記移動体が配置されるように前記移動体の移動に応じて前記視点を制御する視点制御手段(例えば、図10の仮想カメラ制御部213;図14のステップS21)、
前記視点に基づいて、前記移動体を除く前記仮想三次元空間の画像を背景画像として生成する背景画像生成手段(例えば、図10の背景画像生成部131;図15のステップT11〜T12,T16)、
前記生成された背景画像に所定のブラー処理を施して背景ブラー画像を生成するブラー処理手段(例えば、図10の背景ブラー処理部131;図15のステップT13,T17)、
前記視点に基づいて前記移動体の画像を生成する移動体画像生成手段(例えば、図10の移動体画像生成部135;図15のステップT14)、
前記生成された移動体の画像を前記ブラー処理手段により生成された背景ブラー画像に合成して空間画像を生成する空間画像生成手段(例えば、図10の画像合成部137;図15のステップT15,T18)、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0011】
また、第16の発明は、
所与の視点に基づき、仮想三次元空間中を移動する移動体を含んだ空間画像を生成するための画像生成装置(例えば、図1,図10の家庭用ゲーム装置1200)であって、
前記空間画像中の所定位置に前記移動体が配置されるように前記移動体の移動に応じて前記視点を制御する視点制御手段(例えば、図10の仮想カメラ制御部213)と、
前記視点に基づいて、前記移動体を除く前記仮想三次元空間の画像を背景画像として生成する背景画像生成手段(例えば、図10の背景画像生成部131)と、
前記生成された背景画像に所定のブラー処理を施して背景ブラー画像を生成するブラー処理手段(例えば、図10の背景ブラー処理部133)と、
前記視点に基づいて前記移動体の画像を生成する移動体画像生成手段(例えば、図10の移動体画像生成部135)と、
前記生成された移動体の画像を前記ブラー処理手段により生成された背景ブラー画像に合成して空間画像を生成する空間画像生成手段(例えば、図10の画像合成部137)と、
を備える画像生成装置である。
【0012】
この第1又は第16の発明によれば、仮想三次元空間中を移動する移動体を含んだ空間画像の生成において、空間画像中の所定位置に移動体が表示されるように移動体の移動に応じて視点が制御され、この視点に基づいて生成された、移動体を除く仮想三次元空間の画像(背景画像)に所定のブラー処理が施されて背景ブラー画像が生成される。そして、この背景ブラー画像に、上記視点に基づいて生成された移動体の画像が合成されて、空間画像が生成される。従って、画像中の所定位置に配置される移動体(位置・姿勢は殆ど変化しない。)にはブラーがかからず、この移動体を除く背景等にのみブラーがかかった、移動体のスピード感溢れるリアルな空間画像を生成できる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明のプログラムにおいて、
前記視点制御手段が、前記視点の視線方向を前記移動体に向けるように制御する視線方向制御手段(例えば、図19の仮想カメラ制御部213;図14のステップS13)を有し、
前記ブラー処理手段が、前記視線方向制御手段によって制御された視線方向の変化に基づきブラー方向を可変して前記ブラー処理を行う、
ように前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0014】
この第2の発明によれば、視線方向が移動体を向くように視点が制御され、この視線方向の変化に基づいてブラー方向が可変されてブラー処理が行われる。視線方向が移動体を向くように視点を設定する場合、この視線方向の変化方向は移動体の移動方向に沿った方向となり、また、移動体を除く背景等の視点に対する相対的な位置変化方向は、視線方向の変化方向の逆方向に沿った方向となる。このため、例えばブラー方向を視線方向の変化方向とは逆方向とすることで、背景等に移動体の移動方向とは逆方向にブラーがかかった、より自然な空間画像を生成できる。
【0015】
第3の発明は、第2の発明のプログラムにおいて、
前記ブラー処理手段が、前記生成された背景画像の複製を、前記視線方向制御手段によって制御された視線方向の変化方向と逆方向にずらして合成することで前記背景ブラー画像を生成するように前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0016】
この第3の発明によれば、背景画像の複製を視線方向の変化方向と逆方向にずらして合成することで背景ブラー画像が生成される。従って、移動体を除く背景等に、移動体の移動方向とは逆方向にブラーがかかった、より自然な空間画像を生成できる。
【0017】
第4の発明は、第2の発明のプログラムにおいて、
前記ブラー処理手段が、更に、前記視線方向制御手段によって制御された視線方向の変化量に基づきブラーの程度を可変して前記ブラー処理を行うように前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0018】
この第4の発明によれば、視線方向の変化量に基づいてブラーの程度が可変されて、ブラー処理が行われる。視線方向が移動体を向くように視点を設定し、例えばこの視点の前方を移動体が通過するように移動する場合には、移動体の視点に対する相対的な移動速度が速い程、視線方向の変化量は大きくなるので、視点の視線方向の変化量が大きい程、ブラーの程度を大きく(強く)することで、移動体のスピード感をより効果的に表現した空間画像を生成できる。
【0019】
第5の発明は、第1の発明のプログラムにおいて、
前記視点制御手段が、前記移動体を追従するように前記視点を制御する追従制御手段を有し、
前記ブラー処理手段が、前記追従制御手段による前記視点の位置変化の方向に基づきブラー方向を可変して前記ブラー処理を行う、
ように前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0020】
この第5の発明によれば、移動体を追従するように視点が制御され、この視点の位置変化の方向に基づいてブラー方向が可変されてブラー処理が行われる。移動体に追従するように視点を設定する場合、視点の位置変化方向は移動体の移動方向に略一致し、移動体を除く背景等の視点に対する相対的な位置変化方向は、視点の位置変化方向とは逆方向になる。このため、ブラー方向を視点の位置変化方向と逆方向にすることで、視点が追従している移動体にはブラーがかからず、背景等には移動体の移動方向と逆方向にブラーがかかった、より自然な空間画像を生成できる。
【0021】
第6の発明は、第5の発明のプログラムにおいて、
前記ブラー処理手段が、前記生成された背景画像の複製を、前記追従制御手段による前記視点の位置変化の方向と逆方向にずらして合成することで前記背景ブラー画像を生成するように前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0022】
この第6の発明によれば、背景画像の複製を、視点の位置変化の方向と逆方向にずらして合成することで、ブラー画像が生成される。従って、移動体を除く背景等に、移動体の移動方向とは逆方向にブラーがかかった空間画像を生成できる。
【0023】
第7の発明は、第5の発明のプログラムにおいて、
前記追従制御手段が、前記移動体の移動後方から前記移動体を追従するように前記視点を制御し、
前記ブラー処理手段が、前記生成された背景画像の複製を、前記追従制御手段による前記視点の位置変化の方向と逆方向にずらして合成していくとともに、ずらすに従って大きさを大きくして合成することで前記背景ブラー画像を生成する、
ように前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0024】
この第7の発明によれば、移動体の移動後方から移動体を追従するように視点が制御され、背景画像の複製を、視点の位置変化の方向と逆方向にずらして合成するとともに、ずらすに従って大きさを大きくして合成することで、背景ブラー画像が生成される。移動体の移動後方から追従するように視点を設定する場合、視点の位置変化方向と移動体の移動方向とは略一致するので、空間画像における背景の位置変化方向は、視点の位置変化方向と逆方向になる。従って、背景等が“手前”に流れるようにブラーがかかった空間画像を生成できる。また、背景画像の複製をずらすに従って大きさを大きくして合成することで、背景等が“手前”に流れてくるにつれて大きくなるように表示されるので、スピード感を出しつつ遠近感をも表現した、より自然な空間画像を生成できる。
【0025】
第8の発明は、第5の発明のプログラムにおいて、
前記ブラー処理手段が、更に、前記追従制御手段による前記視点の位置の変化量に基づきブラーの程度を可変して前記ブラー処理を行うように前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0026】
この第8の発明によれば、視点の位置の変化量に基づいてブラーの程度が可変されて、ブラー処理が行われる。移動体を追従するように視点が制御される場合、視点の位置の変化量は移動体の移動速度にほぼ比例したものとなる。即ち、移動体の移動速度が速い程、視点の位置の変化量は大きくなる。従って、例えば視点の位置の変化量が大きい程、ブラーの程度を大きく(強く)することで、より効果的に移動体のスピード感を表現した空間画像を生成できる。
【0027】
第9の発明は、第1〜第8の何れかの発明のプログラムにおいて、
前記背景画像生成手段が、
前記視点から見て前記移動体の後方の前記仮想三次元空間の画像を後方背景画像として生成する後方背景画像生成手段(例えば、図10の背景画像生成部131;図15のステップT12)と、
前記視点から見て前記移動体の前方の前記仮想三次元空間の画像を前方背景画像として生成する前方背景画像生成手段(例えば、図10の背景画像生成部131;図15のステップT16)と、
を有するように前記コンピュータを機能させ、
前記ブラー処理手段が、
前記生成された後方背景画像に前記ブラー処理を施して後方背景ブラー画像を生成する後方ブラー処理手段(例えば、図10の背景ブラー処理部133;図15のステップS13)と、
前記生成された前方背景画像に前記ブラー処理を施して前方背景ブラー画像を生成する前方ブラー処理手段(例えば、図10の背景ブラー処理部133;図15のステップS17)と、
を有するにように前記コンピュータを機能させ、
前記空間画像生成手段が、前記生成された後方背景ブラー画像に前記生成された移動体の画像を合成し、更に前記生成された前方背景ブラー画像を合成することで前記空間画像を生成するように前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0028】
この第9の発明によれば、背景画像として、視点から見て移動体の後方の仮想三次元空間の画像(後方背景画像)と、前方の仮想三次元空間の画像(前方背景画像)とが生成され、この後方背景画像及び前方背景画像それぞれに所定にブラー処理が施されて後方背景ブラー画像及び前方背景ブラー画像が生成される。そして、後方背景ブラー画像に移動体の画像が合成され、更に前方背景ブラー画像が合成されて、空間画像が生成される。
【0029】
視点から見て移動体の手前方に在るオブジェクトにより移動体の一部或いは全部が遮蔽される場合、移動体を除く仮想三次元空間全体の画像(背景画像)にブラー処理を施し、これに移動体画像を合成すると、生成される空間画像では、この遮蔽するオブジェクトが移動体の手前に表示されず、移動体の後方に隠れるように表示されてしまうといった不都合が生じる。そこで、この第9の発明のように、背景画像を後方背景画像と前方背景画像とに分けて生成し、それぞれにブラー処理を施して移動体画像と合成することで、この遮蔽するオブジェクトが、移動体の手前方に移動体を遮蔽するように表示されるとともに、他の背景のオブジェクトと同様にブラーがかかった、自然な空間画像を生成できる。
【0030】
第10の発明は、
コンピュータに、視線方向及び配置位置が予め設定された視点(例えば、図3の仮想カメラ30)に基づき、仮想三次元空間中を移動する移動体(例えば、図3の移動体10)を含んだ空間画像を生成させるためのプログラム(例えば、図23のゲームプログラム410)であって、
前記視点に基づいて前記移動体の画像を移動体画像として生成する移動体画像生成手段(例えば、図23の移動体画像生成部135;図27のステップT23)、
前記生成された移動体画像に所定のブラー処理を施して移動体ブラー画像を生成するブラー処理手段(例えば、図23の移動体ブラー処理部136;図27のステップT24)、
前記視点から見て前記移動体の後方の前記仮想三次元空間の画像を後方背景画像として生成する後方背景画像生成手段(例えば、図23の背景画像生成部131;図27のステップT22)、
前記視点から見て前記移動体の前方の前記仮想三次元空間の画像を前方背景画像として生成する前方背景画像生成手段(例えば、図23の背景画像生成部131;図27のステップT26)、
前記生成された後方背景画像に前記生成された移動体ブラー画像を合成し、更に前記生成された前方背景画像を合成することで前記空間画像を生成する空間画像生成手段(例えば、図23の画像合成部138;図27のステップT25,T27)、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0031】
また、第14の発明は、
視線方向及び配置位置が予め設定された視点に基づき、仮想三次元空間中を移動する移動体を含んだ空間画像を生成するための画像生成装置(例えば、図1,図23の家庭用ゲーム装置1200)であって、
前記視点に基づいて前記移動体の画像を移動体画像として生成する移動体画像生成手段(例えば、図23の移動体画像生成部135)と、
前記生成された移動体画像に所定のブラー処理を施して移動体ブラー画像を生成するブラー処理手段(例えば、図23のブラー処理部136)と、
前記視点から見て前記移動体の後方の前記仮想三次元空間の画像を後方背景画像として生成する後方背景画像生成手段(例えば、図23の背景画像生成部131)と、
前記視点から見て前記移動体の前方の仮想三次元区間の画像を前方背景画像として生成する前方背景画像生成手段(例えば、図23の背景画像生成部131)と、
前記生成された後方背景画像に前記生成された移動体ブラー画像を合成し、更に前記生成された前方背景画像を合成することで前記空間画像を生成する空間画像生成手段(例えば、図23の画像合成部138)と、
を備える画像生成装置である。
【0032】
この第10又は第14の発明によれば、仮想三次元空間中を移動する移動体を含んだ空間画像の生成において、視線方向及び配置位置が予め設定された視点に基づいて生成された、移動体の画像(移動体画像)に所定のブラー処理が施されて移動体ブラー画像が生成される。そして、上記視点に基づいて生成された、移動体の後方の仮想三次元空間の画像(後方背景画像)に移動体ブラー画像が合成され、更に移動体の前方の仮想三次元空間の画像(前方背景画像)が合成されて、空間画像が生成される。従って、生成される空間画像では、移動体の位置は変化し、移動体を除く背景等の位置は変化しないで表示される。そして、位置が変化しない背景等にはブラーがかからず、位置が変化する移動体にブラーがかかった、スピード感溢れるリアルな空間画像を生成できる。
【0033】
また、仮想三次元空間全体の画像を、移動体の後方の三次元空間の画像(後方背景画像)と前方の画像(前方背景画像)とに分けて生成し、移動体ブラー画像と合成することで、視点から見て移動体の手前方に、移動体の一部或いは全部を遮蔽するオブジェクトが在る場合であっても、この遮蔽するオブジェクトが移動体の手前方で移動体を遮蔽するように表示された、自然な空間画像を生成できる。
【0034】
第11の発明は、
コンピュータに、所与の視点(例えば、図3の仮想カメラ30)に基づき、仮想三次元空間中を移動する移動体(例えば、図3の移動体10)を含んだ空間画像を生成させるためのプログラム(例えば、図10又は図23のゲームプログラム410)であって、
前記視点に基づいて前記移動体の画像を移動体画像として生成する移動体画像生成手段(例えば、図10又は図23の移動体画像生成部135)、
前記視点から見て前記移動体の後方の前記仮想三次元空間の画像を後方背景画像として生成する後方画像生成手段(例えば、図10又は図23の背景画像生成部131)、
前記視点から見て前記移動体の前方の前記仮想三次元空間の画像を前方背景画像として生成する前方画像生成手段(例えば、図10又は図23の背景画像生成部131)、
前記生成された移動体画像、後方背景画像及び前方背景画像のうちの少なくとも一の画像にブラー処理を施すブラー処理手段(例えば、図10の背景ブラー処理部133、又は、図23の移動体ブラー処理部136)、
前記生成された後方背景画像に前記生成された移動体画像を合成し、更に前記生成された前方背景画像を合成することで前記空間画像を生成する手段であって、該後方背景画像、移動体画像及び前方背景画像のうち、前記ブラー処理手段によりブラー処理が施された画像については該ブラー処理が施された画像を合成する空間画像生成手段(例えば、図10の画像合成部137、又は、図23の画像合成部138)、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0035】
また、第15の発明は、
所与の視点(例えば、図3の仮想カメラ30)に基づき、仮想三次元空間中を移動する移動体(例えば、図3の移動体10)を含んだ空間画像を生成するための画像生成装置(例えば、図1,図10,図23の家庭用ゲーム装置1200)であって、
前記視点に基づいて前記移動体の画像を移動体画像として生成する移動体画像生成手段(例えば、図10又は図23の移動体画像生成部135)と、
前記視点から見て前記移動体の後方の前記仮想三次元空間の画像を後方背景画像として生成する後方画像生成手段(例えば、図10又は図23の背景画像生成部131)と、
前記視点から見て前記移動体の前方の前記仮想三次元空間の画像を前方背景画像として生成する前方画像生成手段(例えば、図10又は図23の背景画像生成部131)と、
前記生成された移動体画像、後方背景画像及び前方背景画像のうちの少なくとも一の画像にブラー処理を施すブラー処理手段(例えば、図10の背景ブラー処理部133、又は、図23の移動体ブラー処理部136)と、
前記生成された後方背景画像に前記生成された移動体画像を合成し、更に前記生成された前方背景画像を合成することで前記空間画像を生成する手段であって、該後方背景画像、移動体画像及び前方背景画像のうち、前記ブラー処理手段によりブラー処理が施された画像については該ブラー処理が施された画像を合成する空間画像生成手段(例えば、図10の画像合成部137、又は、図23の画像合成部138)と、
を備える画像生成装置である。
【0036】
この第11又は第15の発明によれば、仮想三次元空間中を移動する移動体を含んだ空間画像の生成において、所与の視点に基づいて、移動体の画像(移動体画像)と、所与の視点から見て移動体の後方の仮想三次元空間の画像(後方背景画像)及び前方の画像(前方背景画像)とが生成され、これら移動体画像、後方背景画像及び前方背景画像の少なくとも一の画像にブラー処理が施される。そして、後方背景画像に移動体画像が合成され、更に前方背景画像が合成されて、空間画像が生成されるが、このとき、ブラー処理が施された画像については、このブラー処理が施された画像が合成される。
【0037】
従って、例えば、空間画像中の所定位置に移動体が表示されるように視点制御される場合には、後方背景画像及び前方背景画像にブラー処理を施すことで、画像中での位置が変化しない移動体についてはブラーがかからず、この移動体を除く背景等にのみブラーがかかった、スピード感溢れるリアルな空間画像を生成できる。また、視点の視線方向及び配置位置が予め設定されている場合には、移動体画像にブラー処理を施すことで、画像中での位置が変化しない背景等にはブラーがかからず、位置が変化する移動体にブラーがかかった、スピード感溢れるリアルな空間画像を生成できる。
【0038】
また、仮想三次元空間全体の画像を、移動体の後方の三次元空間の画像(後方背景画像)と前方の画像(前方背景画像)とに分けて生成し、移動体ブラー画像と合成することで、視点から見て移動体の手前方に、移動体の一部或いは全部を遮蔽するオブジェクトが在る場合であっても、この遮蔽するオブジェクトが移動体の手前方で移動体を遮蔽するように表示された、自然な空間画像を生成できる。
【0039】
更に、第12の発明は、第1〜第11の何れかの発明のプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な情報記憶媒体である。
【0040】
ここで「情報記憶媒体」とは、記憶されている情報をコンピュータが読み取り可能な、例えばハードディスクやMO、CD−ROM、DVD、メモリカード、ICメモリ等の記憶媒体である。従って、この第12の発明によれば、該情報記憶媒体に記憶されている情報をコンピュータに読み取らせて演算処理を実行させることで、第1〜第11の何れかの発明と同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、仮想三次元空間中を移動する移動体を含む空間画像を生成する際に、ブラーをかけるオブジェクトとかけないオブジェクトが区別された、自然な画像が生成される。即ち、移動体が空間画像中の所定位置に移動体が表示されるように視点を設定する場合には、画像中での位置が変化しない移動体にはブラーがかからず、画像中での位置が変化する背景等にブラーがかかった空間画像が生成される。また、視線方向及び配置位置が一定である視点を設定する場合には、画像中での位置が変化する移動体にブラーがかかり、画像中での位置が変化しない背景等にはブラーがかからない空間画像が生成される。
【0042】
また、移動体を除く仮想三次元空間の画像(背景画像)を、視点から見て移動体の後方空間の画像(後方背景画像)と前方空間の画像(前方背景画像)とに分けて生成し、移動体画像と生成して空間画像を生成することで、視点から見て移動体の手前方に移動体の一部或いは全部を遮蔽するオブジェクトが在る場合に、この遮蔽するオブジェクトが移動体の後方に隠れるように表示されてしまういった不都合を回避し、移動体の手前方に移動体を遮蔽するように表示される。即ち、移動体と背景等との前後関係を考慮した自然な空間画像を生成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、図面を参照して、本発明に好適な実施形態を説明する。尚、以下では、本発明をバイクレースゲームに適用した場合を説明するが、本発明の適用可能な実施形態がこれに限定されるものではない。
【0044】
[外観]
図1は、本発明を適用した家庭用ゲーム装置の概略外観図である。同図に示すように、家庭用ゲーム装置1200は、本体装置1220と、プレーヤがゲーム操作を入力するための方向キー1212やボタンスイッチ1214を有するゲームコントローラ1210と、スピーカ1232を有するディスプレイ1230と、を備える。ゲームコントローラ1210は本体装置1220に接続され、ディスプレイ1230は、画像信号及び音信号を伝送可能なケーブル1202によって本体装置1220に接続されている。
【0045】
本体装置1220がゲーム処理を行うために必要なプログラムやデータ等を含むゲーム情報等は、例えば本体装置1220に着脱自在な情報記憶媒体であるCD−ROM1240やメモリカード1252、ICカード1254等に格納されている。或いは、ゲーム情報等は、本体装置1220が具備する通信装置1224を介して通信回線Nに接続し、外部装置から取得することとしても良い。ここで、通信回線Nとは、データ授受が可能な通信路を意味する。即ち、通信回線Nとは、直接接続のための専用線(専用ケーブル)やイーサネット(登録商標)等によるLANの他、電話通信網やケーブル網、インターネット等の通信網を含む意味であり、また、通信方式については有線/無線を問わない。
【0046】
また、本体装置1220は、例えばCPUの他、ROMやRAM等のメモリを搭載した制御ユニット1222、CD−ROM1240等の情報記憶媒体の読取装置を具備する。本体装置1220は、CD−ROM1240等から読み出したゲーム情報と、ゲームコントローラ1210からの操作信号とに基づいて種々のゲーム処理を実行し、ゲーム画面の画像信号及びゲーム音の音信号を生成する。そして、生成した画像信号及び音信号をディスプレイ1230に出力して、ディスプレイ1230にゲーム画面を表示させるとともに、スピーカ1232からゲーム音を出力させる。プレーヤは、ディスプレイ1230に表示されたゲーム画面を見、スピーカ1232から出力されるゲーム音を聞きながら、ゲームコントローラ1210を操作してゲームを楽しむ。
このような家庭用ゲーム装置1200に適用される2つの実施形態を、以下、順に説明する。
【0047】
[第1実施形態]
先ず、第1実施形態を説明する。
【0048】
<ゲーム画面>
図2は、第1実施形態におけるゲーム画面の一例を示す図である。ゲーム画面は、仮想三次元空間に背景やキャラクタ等のオブジェクトを配置して設定されたゲーム空間(オブジェクト空間)の様子を、仮想カメラ等の所与の視点から見た三次元CG画像として表示される。そして、図3は、図3のゲーム画面が表示されるときのゲーム空間を示す図である。
【0049】
図4に示すように、ゲーム空間には、ワールド座標系(X,Y,Z)のX−Z平面に平行であり、Y軸正方向側を上面とする地表面を基準として、地面21やレースコース22等の地形オブジェクトが配置されてゲームフィールドが構成される。尚、ゲームフィールドは起伏を有さない略平面に形成されていることとする。そして、このゲームフィールドに、木26a,26bや建物、フェンスといった景観形成用オブジェクトや、バイクを模した移動体10、視点である仮想カメラ30等が配置される。
【0050】
移動体10は、プレーヤの操作入力に従って制御されるプレーヤキャラクタであり、主にレースコース22上を移動する。また、地形オブジェクトや景観形成用オブジェクトといった移動体10以外のオブジェクト(以下、包括して「背景オブジェクト」と称する。)は、移動しない(位置が変化しない)オブジェクトである。
【0051】
第1実施形態において、仮想カメラ30は、ゲーム空間中の所定位置に、視線方向が移動体10(詳細には、移動体10の代表点の位置)を向くように設定される。具体的には、位置は一定のまま、移動体10の移動に伴って姿勢を変化させることで、常に視線方向が移動体10を向いているように制御される。
【0052】
仮想カメラ30のローカル座標系であるカメラ座標系(Xc,Yc,Zc)は、図4に示すように、仮想カメラ30の中心を原点Oとして、視線方向がZc軸正方向に一致し、仮想カメラ30の鉛直上方向がYc軸正方向に一致し、右方向がXc軸正方向に一致するように設定されている。そして、仮想カメラ30の姿勢は、このXc軸、Yc軸及びZc軸の各軸周りに適当に回転させることで制御される。また、仮想カメラ30の姿勢は、このXc軸、Yc軸及びZc軸の各軸周りの回転角度(θx,θy,θz)によって表現される。
【0053】
上述のように、移動体10は略平面であるゲームフィールド上を移動し、その位置はY軸に沿った方向には変化しない(即ち、Y座標値は変化しない)。このため、仮想カメラ30を、Xc軸及びZc軸周りには殆ど回転させることなく、主にYc軸周りに回転させるように制御することで、常に、視線方向が移動体10に向くように制御することができる。
【0054】
従って、第1実施形態におけるゲーム画面では、図2に示すように、画面のほぼ中央に移動体10が配置されて表示される。また、仮想カメラ30の視線方向が向いている移動体10は、画面中での位置が変化せず、レースコース12や木26a,26bといった背景オブジェクトは、画面中の位置が変化して表示される。
【0055】
即ち、ゲーム画面において、画面中での位置が変化しない移動体10は背景オブジェクトに比べてその輪郭・色彩等が明瞭に表示され、画面中での位置が変化する背景オブジェクトについては、移動体10の移動方向と逆方向にブラーがかかって表示される。同図では、移動体10の移動方向は図中右方向であり、レースコース22や木26a,26bといった背景オブジェクトには、図中左方向にブラーがかかって表示されている。
【0056】
また、図2に示すゲーム画面では、仮想カメラ30の視野内において仮想カメラ30と移動体10との間に存在する木26bにより、仮想カメラ30から見て移動体10の一部が遮蔽されているが、この木26bについてもブラーがかかって表示される。即ち、移動体との前後関係に関わらず、移動体である移動体10にはブラーがかからず、移動体10以外の背景オブジェクトにブラーがかかるといった、移動体のスピード感を表現しつつも自然な画像となる。
【0057】
<画像生成原理>
第1実施形態におけるゲーム画像の生成原理を説明する。ここでは、図3に示した状態のゲーム空間の画像を生成する場合を例に挙げて説明する。
【0058】
先ず、図5に示すように、移動体10及び仮想カメラ30に基づいて、ゲーム空間が2つの空間に分割される。図5(a)は、仮想カメラ30の視線方向に沿ったゲーム空間の垂直断面図であり、同図(b)は、ゲーム空間の平面図である。同図に示すように、ゲーム空間は、移動体10の位置(移動体10の代表点の位置)を含み、仮想カメラ30の視線方向に平面視直交する垂直面40によって、仮想カメラ30から見て移動体10の後方の空間(後方空間)と、前方の空間(前方空間)との2つの空間に分割される。
【0059】
図6は、第1実施形態における画像生成手順を説明するための図である。第1実施形態では、2つのフレームバッファ(A),(B)を用いて画像生成が行われる。フレームバッファ(A)は、最終的に表示される画像が格納されるメインバッファであり、フレームバッファ(B)は、作業用バッファとして用いられる。同図において、左側がフレームバッファ(A)に格納される画像を示し、右側がフレームバッファ(B)に格納される画像を示している。
【0060】
図6に示すように、移動体である移動体10を除いた後方空間について、仮想カメラ30に基づくレンダリングが行われ、該後方空間の画像(後方背景画像)IM1がフレームバッファ(A)に描画される。尚、同図において、各画像中のほぼ中央横方向に亘る一点鎖線は、後方空間と前方空間との境界を示している。後方背景画像IM1では、この境界線の主に上部分に色情報(RGBα値(赤、緑、青の原色値及び透明度の値))が設定され、後述する前方背景画像IM5では、この境界線の主に下部分に色情報が設定される。次に、このフレームバッファ(A)に格納されている後方背景画像IM1に対する所定のブラー処理が行われ、後方背景ブラー画像IM2が生成される。尚、ブラー処理の詳細については後述する。
【0061】
また、移動体10について、仮想カメラ30に基づくレンダリングが行われ、移動体の画像(移動体画像)IM3がフレームバッファ(B)に描画される。そして、フレームバッファ(A)に格納されている後方背景ブラー画像IM2に、フレームバッファ(B)に格納されている移動体画像IM3が上書き合成される。
【0062】
続いて、移動体10を除いた前方空間について、仮想カメラ30に基づくレンダリングが行われ、前方空間の画像(前方背景画像)IM5がフレームバッファ(B)に描画される。このとき、フレームバッファ(B)には上述した移動体画像IM3が格納されているが、これはクリアされて前方背景画像IM5に更新される。そして、このフレームバッファ(B)に格納されている前方背景画像IM5に対する所定のブラー処理が行われ、前方背景ブラー画像IM6が生成される。ここで行われるブラー処理は、上述した後方背景画像IM1に対するブラー処理と同様の処理である。
【0063】
その後、フレームバッファ(A)に格納されている画像(後方背景ブラー画像IM2に移動体画像IM3を上書き合成した画像)IM11に、フレームバッファ(B)に格納されている前方背景ブラー画像IM6が上書き合成されて空間画像IM12が生成される。そして、この生成された空間画像IM12が、ゲーム画像として表示される。
【0064】
<ブラー処理>
ブラー処理について説明する。ブラー処理としては公知の手法を用いても良いが、本実施形態では次のように行う。即ち、ブラー処理の対象となっている画像(以下、「対象画像」と称する。第1実施形態では、後方背景画像IM1或いは前方背景画像IM5である。)を1〜数ピクセルづつ右/左方向にずらした複数枚の画像(対象画像の複製。以下、「複製画像」と称する。)を、該対象画像と半透明合成することでブラー画像を生成する。
【0065】
画像をずらす方向及び合成する複製画像の枚数(合成枚数)Nは、第1実施形態では、仮想カメラ30の視線方向の変化に基づいて決定される。第1実施形態では、仮想カメラ30は、主にYc軸周りに回転するように制御されるため、Yc軸周りの回転角度(ヨー角)θyの前フレームからの変位を視線方向の変化として扱い、このヨー角θyの変化角度Δθyに基づいて、画像をずらす方向及び合成する合成枚数Nが決定される。
【0066】
図7は、仮想カメラ30のYc軸正方向から見た平面図である。同図に示すように、変化角度Δθyの正負は、Yc軸正方向から見て時計周り方向への回転を「正」、反時計回り方向への回転を「負」とされる。即ち、変化角度Δθyは、仮想カメラ30の視線方向が、仮想カメラ30を基準として右方向へ変化した場合には「正」、左方向へ変化した場合には「負」となる。また、変化角度Δθyの絶対値|Δθy|は、視線方向の変化量に相当する。仮想カメラ30の視線方向は常に移動体10に向くように制御されているので、移動体10の移動速度が速い程、視線方向が大きく変化し、変化角度Δθyの絶対値|Δθy|は大きくなる。但し、変化角度Δθyは、−180[°]<Δθy≦180[°]、の範囲の値を取ることとする。
【0067】
そして、この変化角度Δθyの正負により画像をずらす方向が決定され、変化角度Δθyの絶対値|Δθy|により合成枚数Nが決定される。
【0068】
具体的には、変化角度Δθyが「正」(Δθy>0)の場合には、図8(a)に示すように、対象画像60を左方向に1ピクセルづつずらしたN枚の複製画像70が生成される。また、変化角度Δθyが「負」(Δθy<0)の場合には、同図(b)に示すように、対象画像60を右方向に1ピクセルづつずらしたN枚の複製画像70が生成される。即ち、仮想カメラ30の視線方向が「右」方向に変化した場合には、「左」方向に画像がずらされるので、ブラー方向は「左」となる。また、仮想カメラ30の視線方向が「左」方向に変化した場合には、「右」方向に画像がずらされるので、ブラー方向は「右」となる。つまり、ブラー方向は、仮想カメラ30の視線方向の変化方向とは逆方向となる。
【0069】
また、合成枚数Nは、変化角度Δθyの絶対値|Δθy|の大きさに応じた値であり、絶対値|Δθy|が大きい程、合成枚数Nが多くなるように決定される。この合成枚数Nは、施されるブラーの程度に相当する。移動体10の移動速度が速い程、変化角度Δθyの絶対値|Δθy|が大きくなるので、合成枚数Nが多くなり、施されるブラーの程度が大きく(強く)なる。但し、|Δθy|=0、の場合には、N=0、とされる。即ち、視線方向が変化していない(Δθy=0)場合には、複製画像70は「0枚」となり、対象画像60にはブラーがかけられない。
【0070】
続いて、対象画像60とこれらN枚の複製画像70とが半透明合成(例えば、α合成)されることで、ブラー画像が生成される。このとき、ずらしたピクセル数が最も大きい複製画像70から順に半透明合成される。尚、このときの半透明合成における合成割合は50%(透明度50%)一定とするが、他の割合であっても良い。
【0071】
具体的には、図9に示すように、対象画像60を1ピクセルずらした複製画像70(1)から、Nピクセルずらした複製画像70(N)までの、合計N枚の複製画像70(1)〜70(N)の内、先ず、ずらしたピクセル数が最も大きい複製画像70(N)と、ずらしたピクセル数が次に大きい複製画像70(N−1)とが半透明合成される。次に、この合成後の画像80(1)と複製画像70(N−2)とが半透明合成され、続いて、この合成後の画像80(2)と複製画像70(N−3)とが半透明合成されるといった具合に、複製画像70(1)〜70(N)が、順に2つづつ半透明合成される。最後に、N枚の複製画像70(1)〜70(N)を順に半透明合成した画像80(N−1)と対象画像60とが半透明合成された画像80(N)が生成される。そして、この画像80(N)から、対象画像60に相当する部分が、該対象画像60にブラー処理が施されたブラー画像90となる。即ち、生成されたブラー画像90は、対象画像60の色情報が最も強く反映され、ずらした方向(ブラー方向)に向かうにつれてブラーが薄くなっていく画像となる。
【0072】
このようなブラー処理によれば、対象画像60を、仮想カメラ30のヨー角θyの変化角度Δθyの正負に応じた方向に1ピクセルづつずらし、変化角度Δθyの絶対値|Δθy|の大きさに応じた枚数Nの複製画像を、該対象画像60と半透明合成することで、ブラー画像が生成される。即ち、生成されるブラー画像は、仮想カメラ30の視線方向の変化方向とは逆方向に、視線方向の変化量に応じたブラーをかけた画像となる。
【0073】
<機能構成>
図10は、第1実施形態での家庭用ゲーム装置1200の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、家庭用ゲーム装置1200は、操作入力部100と、処理部200と、画像表示部310と、音出力部320と、記憶部400と、を備えて構成される。
【0074】
操作入力部100は、プレーヤによる操作指示を受け付け、操作に応じた操作信号を処理部200に出力する。この機能は、例えばボタンスイッチやレバー、ダイヤル、マウス、キーボード、各種センサ等によって実現される。図1では、ゲームコントローラ1210がこれに該当する。
【0075】
処理部200は、家庭用ゲーム装置1200の全体制御やゲームの進行、画像生成等の各種演算処理を行う。この機能は、例えばCPU(CISC型、RISC型)、ASIC(ゲートアレイ等)等の演算装置やその制御プログラムにより実現される。図1では、制御ユニット1222に実装されているCPU等がこれに該当する。
【0076】
また、処理部200は、主にゲームの実行に係る演算処理を行うゲーム演算部210と、ゲーム演算部210の処理によって求められた各種のデータに基づき、仮想カメラ等の所与の視点から見た仮想三次元空間(ゲーム空間)の画像を生成する画像生成部130と、効果音やBGM等のゲーム音を生成する音生成部150と、を含んでいる。
【0077】
ゲーム演算部210は、操作入力部100から入力された操作信号や、記憶部400から読み出したゲーム情報(プログラム及びデータ)等に基づいて種々のゲーム処理を実行する。ゲーム処理としては、例えばゲーム空間への背景オブジェクト(地面21やレースコース22、木26a,26b等)や移動体10等の各種オブジェクトの配置処理、視点である仮想カメラ30の制御処理、操作入力部100からの操作信号に基づく、プレーヤキャラクタである移動体10の制御処理、各種オブジェクトのヒット判定処理等がある。また、第1実施形態では、ゲーム演算部210は、移動体制御部211と、仮想カメラ制御部213と、を含んでいる。
【0078】
移動体制御部211は、移動体10の移動を制御する。具体的には、フレーム毎に、現在の移動速度及び移動方向や、操作入力部100から入力される操作信号等に従って次フレームでの移動体10の位置を演算し、演算した位置に移動体10を配置する。
【0079】
移動体10のモデルデータは、移動体モデル情報422に格納されている。
また、移動体10の移動に関するデータは、移動体移動情報423に格納されている。図11に、移動体移動情報423のデータ構成の一例を示す。同図によれば、移動体移動情報423には、移動体10の、現フレーム及び次フレームでの位置423aと、移動ベクトル423bとが格納される。移動ベクトル423bは、移動速度及び移動方向を表すベクトルである。位置423a及び移動ベクトル423bは、ワールド座標系(X,Y,Z)により表現されており、フレーム毎に移動体制御部211により更新される。
【0080】
仮想カメラ制御部213は、ゲーム空間に視点である仮想カメラ30を設定する。具体的には、ゲーム空間の予め定められた所定位置に、視線方向が移動体10に向くように設定する。即ち、1フレーム毎に、移動体制御部211によって演算された次フレームでの移動体10の位置に視線方向が向くように、仮想カメラ30の姿勢を変化させて制御する。
【0081】
仮想カメラ30の設定値は、仮想カメラ設定情報425に格納される。図12に、仮想カメラ設定情報425のデータ構成の一例を示す。同図によれば、仮想カメラ設定情報425には、現フレーム及び次フレームでの仮想カメラ30の位置425aと、姿勢425bと、が格納される。位置425aは、ワールド座標系(X,Y,Z)での位置座標(x,y,z)で表現される。また、姿勢425bは、カメラ座標系(Xc,Yc,Zc)の各軸周りの回転角度(θx,θy,θz)で表現される。第1実施形態では、位置425aは一定であり、姿勢425bは、フレーム毎に仮想カメラ制御部213により更新される。
【0082】
画像生成部130は、ゲーム演算部210による演算結果に基いてゲーム画面を表示するためのゲーム画像(3DCG画像)を生成し、生成した画像の画像信号を画像表示部310に出力する。第1実施形態では、画像生成部130は、背景画像生成部131と、背景ブラー処理部133と、移動体画像生成部135と、画像合成部137とを含み、2つのフレームバッファ140A,140Bを有する。この画像生成部130が記憶部400の画像生成プログラム411に従った処理を実行することで、図2に示したように、移動体10にはブラーがかからず、これを除く背景オブジェクトのみにブラーがかかった画像が生成される。
【0083】
背景画像生成部131は、移動体10を除くゲーム空間の画像(背景画像)を生成する。具体的には、仮想カメラ30及び移動体10に基づいて、ゲーム空間を、仮想カメラ30から見て移動体10の後方空間及び前方空間の2つの空間に分割する。そして、後方空間及び前方空間のそれぞれについて仮想カメラ30に基づくレンダリングを行い、後方背景画像及び前方背景画像を生成する。生成された後方背景画像はフレームバッファ140Aに格納され、前方背景画像はフレームバッファ140Bに格納される。
【0084】
背景ブラー処理部133は、背景画像生成部131によって生成された背景画像に対する所定のブラー処理を行って背景ブラー画像を生成する。具体的には、背景画像生成部131によって生成された、フレームバッファ140Aに格納されている後方背景画像に対するブラー処理を行って後方背景ブラー画像を生成し、フレームバッファ140Bに格納されている前方背景画像に対してブラー処理を行って前方ブラー画像を生成する。
【0085】
具体的には、背景ブラー処理部133は、仮想カメラ設定情報425を参照して、現フレームと次フレームとの間の仮想カメラ30のヨー角θyの変化角度Δθyを、次式に従って算出する。
Δθy=θy1−θy0 ・・(1)
上式において、「θy1」は、次フレームでの仮想カメラ30のヨー角θyであり、「θy0」は、現フレームでの仮想カメラ30のヨー角θyである。
【0086】
次に、背景ブラー処理部133は、ブラー程度設定情報427を参照して、算出した変化角度θyの絶対値|θy|の大きさを基に、合成する複製画像の枚数(合成枚数)Nを決定する。そして、ブラー処理の対象としている画像(後方背景画像IM1或いは前方背景画像IM5)を、算出した変化角度Δθyの正負に応じた方向へ1ピクセルづつずらしたN枚の複製画像を、ずらしたピクセル数が最も大きい複製画像から順に半透明合成し、合成後の画像と対象画像とを半透明合成することで、対象画像にブラー処理を施したブラー画像を生成する。
【0087】
ブラー程度設定情報427とは、ブラー処理の際に合成する複製画像の枚数(合成枚数)Nを決定するための情報であり、例えば図13に示すグラフの関数式として格納されている。同図では、横軸を変化角度Δθyの絶対値|Δθy|とし、縦軸を合成枚数Nとしたグラフを示している。同図に示すグラフに従えば、合成枚数Nは、|Δθy|=0、の場合には「0」であり、絶対値|Δθy|の増加に伴って増加する。そして、|Δθy|=10[°]、で上限値である「Nm」となり、これ以降は、絶対値|Δθy|の増加に関わらず、常に上限値「Nm」である。尚、図13に示すグラフは一例に過ぎず、例えば一次関数や二次関数等としても良いし、上限値を設けなくとも良い。
【0088】
移動体画像生成部135は、移動体10について、仮想カメラ30に基づくレンダリングを行い、移動体画像を生成する。生成した移動体画像は、フレームバッファ140Bに格納される。
【0089】
画像合成部137は、背景ブラー処理部133により生成された後方背景ブラー画像及び前方背景ブラー画像と、移動体画像生成部135によって生成された移動体画像とを合成して空間画像を生成する。具体的には、フレームバッファ140Aに格納されている後方背景ブラー画像に、フレームバッファ140Bに格納されている移動体画像を上書き合成する。次いで、このフレームバッファ140Aに格納されている合成後の画像に、フレームバッファ140Bに格納されている前方背景ブラー画像を上書き合成して空間画像を生成し、この空間画像をゲーム画像として画像表示部310に表示させる。
【0090】
画像表示部310は、画像生成部130からの画像信号に基づいて、例えば1/60秒毎に1フレームの画面を再描画しながらゲーム画面を表示する。この機能は、例えばCRT、LCD、ELD、PDP、HMD等のハードウェアによって実現される。図1では、ディスプレイ1230がこれに該当する。
【0091】
音生成部150は、ゲーム中に使用される効果音やBGM等のゲーム音を生成し、生成したゲーム音の音信号を音出力部320に出力する。
【0092】
音出力部320は、音生成部150からの音信号に基づいて、BGMや効果音等のゲーム音声を出力する。この機能は、例えばスピーカ等によって実現される。図1では、スピーカ1232がこれに相当する。
【0093】
記憶部400は、処理部200に家庭用ゲーム装置1200を統合的に制御させるための諸機能を実現するためのシステムプログラムや、ゲームを実行させるために必要なプログラムやデータ等を記憶するとともに、処理部200の作業領域として用いられ、処理部200が各種プログラムに従って実行した演算結果や操作入力部100から入力される入力データ等を一時的に記憶する。この機能は、例えば各種ICメモリやハードディスク、CD−ROM、DVD、MO、RAM、VRAM等によって実現される。図1では、制御ユニット1222に実装されているROMやRAM等がこれに該当する。
【0094】
また、記憶部400は、処理部200をゲーム演算部210として機能させるためのゲームプログラム410及びゲームデータを記憶する。第1実施形態では、ゲームプログラム410には、処理部200を画像生成部130として機能させるための画像生成プログラム411が含まれ、ゲームデータとして、背景オブジェクト情報421と、移動体モデル情報422と、移動体移動情報423と、仮想カメラ設定情報425と、ブラー程度設定情報427と、を記憶している。
【0095】
背景オブジェクト情報421とは、ゲーム空間を設定するための、地面21やレースコース22、木26a,26bといった背景オブジェクトのデータであり、該背景オブジェクトの位置や姿勢、モデルデータ、テクスチャデータ等を含んでいる。
【0096】
<処理の流れ>
図14は、第1実施形態における処理の流れを説明するためのフローチャートである。尚、ゲームの進行にかかる処理は従来と同様に実行可能であるため、ここでは、画像生成にかかる処理を中心に説明する。
【0097】
図14によれば、先ず、ゲーム演算部210が、背景オブジェクト情報421に基づき、仮想三次元空間に背景オブジェクトを配置してゲーム空間を設定する。そして、移動体制御部211が、ゲーム空間中の所定の初期位置に移動体10を配置し、仮想カメラ制御部213が、所定の初期位置に所定の初期姿勢で仮想カメラ30を配置する(ステップS11)。その後、1フレーム毎にループAの処理が実行される。
【0098】
ループAでは、移動体制御部211が、移動体移動情報423を参照して、現フレームでの移動体10の位置及び移動ベクトルや、操作入力部100からの操作入力信号等に基づいて、次フレームでの移動体10の位置を演算し、演算した位置に移動体10を配置する(ステップS12)。次いで、仮想カメラ制御部213が、演算された次フレームでの移動体10の位置に視線方向が向くように仮想カメラ30の姿勢を演算し、演算した姿勢に仮想カメラ30を制御する(ステップS13)。その後、画像生成部130が、画像生成処理を実行する(ステップS14)。
【0099】
図15は、画像生成処理の流れを説明するためのフローチャートである。この処理は、画像生成部130が画像生成プログラム411を実行することで実現される。同図に示すように、画像生成処理では、背景画像生成部131が、移動体オブジェクト及び移動体10を基準に、ゲーム空間を、仮想カメラ30から見て移動体10の後方空間及び前方空間に分割する(ステップT11)。
【0100】
次いで、背景画像生成部131は、仮想カメラ30を基に移動体10を除く後方空間をレンダリングして、後方背景画像をフレームバッファ140Aに描画する(ステップT12)。そして、背景ブラー処理部133が、仮想カメラ設定情報425及びブラー程度設定情報427を参照し、現フレームから次フレーム間の仮想カメラ30の視線方向の変化に基づいて、フレームバッファ140Aに格納されている後方背景画像に対するブラー処理を行い、後方背景ブラー画像を生成する(ステップT13)。
【0101】
また、移動体画像生成部135が、仮想カメラ30を基に移動体10をレンダリングし、フレームバッファ140Bに移動体画像を描画する(ステップT14)。そして、画像合成部137が、フレームバッファ140Aに格納されている後方背景ブラー画像に、フレームバッファ140Bに格納されている移動体画像を上書き合成する(ステップT15)。
【0102】
続いて、背景画像生成部131が、仮想カメラ30を基に、移動体10を除く前方空間をレンダリングして、前方背景画像をフレームバッファ140Bに描画する。このとき、フレームバッファ140Bに格納されている画像(移動体画像)をクリアして、前方背景画像に更新する(ステップT16)。
【0103】
次いで、背景ブラー処理部133が、フレームバッファ140Bに格納されている後方背景画像に対して、前方背景画像(ステップT13)と同様に、現フレームから次フレーム間の仮想カメラ30の視線方向の変化に基づいてブラー処理を行い、前方背景ブラー画像を生成する(ステップT17)。
【0104】
その後、画像合成部137が、フレームバッファ140Aに格納されている画像(後方背景ブラー画像に移動体画像を上書き合成した画像)に、フレームバッファ140Bに格納されている前方背景ブラー画像を上書き合成して空間画像を生成し(ステップT18)、生成した空間画像をゲーム画像として画像表示部310に表示させる(ステップT19)。
以上の処理を行うと、画像生成部130は画像生成処理を終了して、図14のステップS14を終了する。
【0105】
画像生成処理が終了すると、1フレーム分のループAの処理が終了する。その後は、例えば移動体10が所定のゴール地点に到達する、或いは、所定の制限時間が経過する等してゲーム終了となるまでの間、1フレーム毎にループAを繰り返し実行し、ゲーム終了となると、本処理は終了となる。
【0106】
<ハードウェア構成>
図16は、本実施の形態における家庭用ゲーム装置1200のハードウェア構成の一例を示す図である。同図によれば、家庭用ゲーム装置1200は、CPU1002と、ROM1004と、RAM1006と、情報記憶媒体1008と、画像生成IC1010と、音生成IC1012と、I/Oポート1014,1016とを有し、システムバス1030により相互にデータの入出力が可能に接続されている。また、画像生成IC1010には表示装置1018が接続され、音生成IC1012にはスピーカ1020が接続され、I/Oポート1014にはコントロール装置1022が接続され、I/Oポート1016には通信装置1024が接続されている。
【0107】
CPU1002は、情報記憶媒体1008に格納されているプログラムやデータ、ROM1004に格納されているシステムプログラムやデータ、コントロール装置1022によって入力される操作入力信号等に従って、家庭用ゲーム装置1200全体の制御や各種データ処理を行う。このCPU1002は、図10の処理部200に該当する。
【0108】
ROM1004、RAM1006及び情報記憶媒体1008は、図10の記憶部400に該当する。ROM1004は、家庭用ゲーム装置1200のシステムプログラムや、図10の記憶部400に記憶されている情報の内、特に、予め設定されているプログラムやデータ等を記憶する。RAM1006は、CPU1002の作業領域として用いられる記憶手段であり、例えば、ROM1004や情報記憶媒体1008の所与の内容、1フレーム分の画像データ、CPU1002の演算結果等が格納される。また、情報記憶媒体1008は、ICメモリカードや本体装置に着脱自在なハードディスクユニット、MO等によって実現される。
【0109】
画像生成IC1010は、CPU1002からの画像情報に基づいて表示装置1018に表示するゲーム画面の画素情報を生成する集積回路である。表示装置1018は、画像生成IC1010で生成された画素情報に基づくゲーム画面を表示する。この画像生成IC1010は、図10の画像生成部130に該当し、表示装置1018は、図10の画像表示部310、図1のディスプレイ1230に該当する。
【0110】
音生成IC1012は、情報記憶媒体1008やROM1004に記憶される情報に基づいて効果音やBGM等のゲーム音を生成する集積回路であり、生成されたゲーム音はスピーカ1020によって出力される。この音生成IC1012は、図10の音生成部150に該当し、スピーカ1020は、図10の音出力部320、図1のスピーカ1232に該当する。
【0111】
尚、画像生成IC1010、音生成IC1012等で行われる処理は、CPU1002或いは汎用のDSP等によってソフトウェア的に実行されることとしても良い。
【0112】
コントロール装置1022は、プレーヤがゲームの進行に応じて種々のゲーム操作を入力するための装置である。このコントロール装置1022は、図10の操作入力部100、図1のゲームコントローラ1210に該当する。
【0113】
通信装置1024は、家庭用ゲーム装置1200内部で使用される各種情報を外部とやり取りするための装置であり、他の家庭用ゲーム装置と接続されてゲームプログラムに応じた所与の情報を送受信したり、通信回線を介してゲームプログラム等の情報を送受信する等に利用される。この通信装置1204は、図1の本体装置1220に具備される通信装置1224に該当する。
【0114】
<作用・効果>
以上のように、第1実施形態では、仮想カメラ30は、移動体10を含むゲーム空間の所定位置に、視線方向が移動体10を向くように制御される。この仮想カメラ30に基づくゲーム空間の画像を生成する際には、先ず、ゲーム空間が、仮想カメラ30から見て移動体10の前方空間と後方空間とに分割され、前方空間の画像(前方背景画像)IM5及び後方空間の画像(後方背景画像)IM1が生成される。そして、前方背景画像IM5及び後方背景画像IM1のそれぞれに所定のブラー処理が施されて、後方背景ブラー画像IM2及び前方背景ブラー画像IM6が生成される。その後、後方背景ブラー画像IM2に移動体10の画像(移動体画像)IM3が上書き合成され、更に前方背景ブラー画像IM6が上書き合成されて空間画像IM12が生成され、この空間画像IM12がゲーム画像としてゲーム画面に表示される。
【0115】
従って、ゲーム画面では、ほぼ画面中央に移動体10が表示され、この画面中での位置が変化しない移動体10にはブラーがかからず、画面中での位置が変化する背景等にブラーがかかって表示される。また、上記所定のブラー処理として、処理対象の画像(前方背景画像IM5及び後方背景画像IM1)を仮想カメラ30の視線方向と逆方向にずらして、該対象画像と半透明合成することで、移動体10の移動方向とは逆方向にブラーがかかった、より自然な画像が生成される。
【0116】
<変形例>
尚、第1実施形態を次のように変形しても良い。
【0117】
(A)仮想カメラ30を移動体10に追従させる
例えば、仮想カメラ30を移動体10に追従するように制御しても良い。即ち、視線方向を一定とし、位置を変化させて視線方向が移動体10を向くように制御する。この場合、対象画像(後方背景画像及び前方背景画像)に対するブラー処理は、仮想カメラ30の位置変化方向に基づいて行う。仮想カメラ30を移動体10に追従させる場合、仮想カメラ30の位置変化方向は移動体10の移動方向に沿った方向となる。このため、ブラー処理の際に、対象画像を、仮想カメラ30の位置変化方向の逆方向にずらすことで、背景等に、移動体10の移動方向とは逆方向にブラーがかかった空間画像が生成される。
【0118】
(A−1)移動体10の移動後方に追従
具体的には、図17(a)に示すように、仮想カメラ30を、移動体10の移動後方に追従するように設定する。この場合、仮想カメラ30の視線方向は移動体10の移動方向(仮想カメラ30の位置変化方向に等しい。)に略一致する。そして、同図(b)に示すように、画像中での移動体10の移動方向は「上」方向となり、背景等には「下」方向にブラーがかかった画像が生成される。即ち、背景等が“手前”に流れてくるような空間画像となる。
【0119】
またこのとき、対象画像からずらすピクセル数が多くなる程、画像の大きさを大きくして合成することで、背景が、“手前”に流れてくる程、大きく表示されて、移動体10のスピード感及び遠近感をより効果的に表現することができる。
【0120】
(A−2)移動体10に並走
また、図18(a)に示すように、仮想カメラ30を、移動体10の移動方向に対して横方向の位置に、移動体10と並走するように設定する。この場合、仮想カメラ30の視線方向は、移動体10の移動方向(仮想カメラ30の位置変化方向に等しい。)に略直交する。そして、同図(b)に示すように、画像中での移動体10の移動方向は「右」方向となり、背景等には、「左」方向にブラーがかかった画像が生成される。
【0121】
尚、同図では、移動体10の移動方向に対して「右」方向から移動体10を見るように仮想カメラ30を設定した場合を示しているが、「左」方向から見るように仮想カメラ30を設定した場合には、画像中での移動体10の移動方向は「左」方向となり、背景等には、「右」方向にブラーがかかった画像が生成される。
【0122】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を説明する。
第2実施形態では、仮想カメラ30の位置及び姿勢を一定とする場合の実施形態である。また、第2実施形態において、上述した第1実施形態と同一要素については同符合を付し、詳細な説明を省略する。
【0123】
<ゲーム画面>
図19は、第2実施形態におけるゲーム画面の一例を示す図である。第2実施形態では、仮想カメラ30は、ゲーム空間の予め定められた所定位置に、予め定められた姿勢で配置される。即ち、位置及び視線方向が一定となる。具体的には、仮想カメラ30は、レースコース22からある程度の距離をおいた位置であって、レースコース22を略横方向から見るような位置に、ゲーム空間をやや斜め上方から見下ろすような姿勢で固定配置される。
【0124】
従って、同図に示すように、第2実施形態では、ゲーム画面において、移動体10は位置が変化し、レースコース12や木26a,26bといった背景オブジェクトは位置が変化しないで表示される。画面中での移動体10の位置の変化方向は、ゲーム空間における仮想カメラ30に対する移動体10の相対的な移動方向に相当する。仮想カメラ30は、移動体10が移動するレースコース22を略横方向から見る位置に、視線方向をやや下方に向けた姿勢で設定されるので、移動体10は、ゲーム画面を略左右方向(横方向)に横切るように位置が変化する。同図では、移動体10は、図中右方向に向かって位置が変化するように表示されている。
【0125】
そして、ゲーム画面では、画面中での位置が変化する移動体10のみにブラーがかかって表示され、レースコース22や木26a,26bといった、画面中での位置が変化しない背景オブジェクトにはブラーがかからずにに、移動体10に比べてその輪郭・色彩等が明瞭に表示される。
【0126】
<画像生成原理>
第2実施形態におけるゲーム画像の生成原理を説明する。ここでは、第1実施形態において図3に示したゲーム空間の画像を生成する場合を例に挙げて説明する。
【0127】
図20は、第2実施形態における画像生成手順を示す図である。第2実施形態では、第1実施形態と同様に2つのフレームバッファ(A),(B)が用いられる。同図において、左側がフレームバッファ(A)に格納される画像を示し、右側がフレームバッファ(B)に格納される画像を示している。また、同図における各画像中の一点鎖線は、後方空間と前方空間との境界を示している。
【0128】
先ず、第1実施形態と同様に、移動体10及び仮想カメラ30を基に、ゲーム空間が後方空間及び前方空間の2つの空間に分割される。次に、移動体10を除く後方空間について、仮想カメラ30に基づくレンダリングが行われ、後方背景画像IM1がフレームバッファ(A)に描画される。
【0129】
また、移動体10について、仮想カメラ30に基づくレンダリングが行われ、移動体画像IM3がフレームバッファ(B)に描画される。続いて、フレームバッファ(B)に格納されている移動体画像IM3に対する所定のブラー処理が行われ、移動体ブラー画像IM4が生成される。ここで行われるブラー処理の詳細については、後述する。そして、フレームバッファ(A)に格納されている後方背景画像IM1に、フレームバッファ(B)に格納されている移動体ブラー画像IM4が上書き合成される。
【0130】
次いで、移動体10を除く前方空間について、仮想カメラ30に基づくレンダリングが行われ、前方背景画像IM5がフレームバッファ(B)に描画される。このとき、フレームバッファ(B)には移動体ブラー画像IM4が格納されているが、これをクリアして前方背景画像IM5に更新される。その後、フレームバッファ(A)に格納されている画像(後方背景画像IM1に移動体ブラー画像IM4を上書き合成した画像)IM21に、フレームバッファ(B)に格納されている前方背景画像IM5が上書き合成されて空間画像IM22が生成され、生成された空間画像IM22がゲーム画像として表示される。
【0131】
<ブラー処理>
第2実施形態におけるブラー処理を説明する。第2実施形態において、ブラー処理は、仮想カメラ30の視線方向の変化に基づく第1実施形態と異なり、仮想カメラ30と移動体10との相対的な位置の変化方向に基づいて行われる。具体的には、対象画像(第2実施形態では、移動体画像IM3)と、該対象画像を右/左方向に1ピクセルづつずらしたN枚の複製画像とを半透明合成することでブラー画像が生成される点では第1実施形態と同様であるが、画像をずらす方向及び合成する複製画像の枚数(合成枚数)Nが、仮想カメラ30と移動体10との相対的な位置の変化方向に基づいて決定される点が、第1実施形態と異なる。
【0132】
第2実施形態では、仮想カメラ30は、位置及び視線方向が一定に設定されるため、仮想カメラ30に基づく画像中での移動体10の位置の変化は、ゲーム空間における仮想カメラ30と移動体10との相対的な位置の変化に相当する。仮想カメラ30は、移動体10を略横方向から見る位置に、視線方向がやや下向きになる姿勢で設定されるため、該仮想カメラ30に基づく画像において、移動体10は略左右方向(横方向)に位置が変化して表示される。従って、画像中での移動体10の位置変化は、左右方向(横方向)への位置変化に比較して、上下方向(縦方向)への位置変化が小さい。このため、画像中での移動体10の左右方向(横方向)への変化距離Δuを、仮想カメラ30に対する移動体10の相対的な位置変化として扱い、この変化距離Δuに基づいて、画像をずらす方向及び合成枚数Nが決定される。
【0133】
図21は、仮想カメラ30に基づく画像における移動体10の位置の変化を説明するための図である。同図に示すように、画像における移動体10の位置が、p0(u0,v0)からp1(u1,v1)に変化した場合には、該移動体10の位置の変化距離Δuは、次式(2)で与えられる。尚、画像中の位置は、該画像に設定された座標系(U,V)での位置座標(u,v)で表現されている。また、画像中での移動体10の位置pは、該移動体10のゲーム空間での位置と、仮想カメラ30の設定値である位置、姿勢及び画角とから求められる。即ち、ゲーム空間の座標系であるワールド座標系上での位置座標を、仮想カメラ30の設定値に従って透視投影変換処理することで画像中での位置pが求められる。
Δu=u1−u0 ・・・(2)
【0134】
但し、変化距離Δuは、画像の左右方向(横方向)の長さに対する割合で表現される。即ち、変化距離Δuは、−1.0≦Δu≦1.0、の範囲の値を取る。
【0135】
変化距離Δuの正負は、同図に示すように、画像中右方向への変化を「正」、左方向への変化を「負」とされる。また、変化距離Δuの絶対値|Δu|は、仮想カメラ30に対する移動体10の相対的な位置の変化量に相当する。仮想カメラ30は位置及び姿勢が一定に設定されているので、移動体10の移動速度が速い程、移動距離Δuの絶対値|Δu|は大きくなる。
【0136】
そして、この変化距離Δuの正負により画像をずらす方向が決定され、変化距離Δuの絶対値|Δu|により合成枚数Nが決定される。
【0137】
具体的には、移動距離Δuが「正」(Δu>0)の場合には、図22(a)に示すように、対象画像60を左方向に1ピクセルづつずらしたN枚の複製画像70が生成される。また、移動距離Δuが「負」(Δu<0)の場合には、同図(b)に示すように、対象画像60を右方向に1ピクセルづつずらしたN枚の複製画像70が生成される。即ち、ゲーム空間において、仮想カメラ30に対して移動体10が相対的に「右」方向に移動した場合には、「左」方向に画像がずらされるので、ブラー方向は「左」となる。また、仮想カメラ30に対して移動体10が相対的に「左」方向に移動した場合には、「右」方向に画像がずらされるので、ブラー方向は「右」となる。つまり、ブラー方向は、仮想カメラ30に対する移動体10の相対的な位置変化方向とは逆方向となる。
【0138】
また、合成枚数Nは、移動距離Δuの絶対値|Δu|の大きさに応じた値であり、絶対値|Δu|が大きい程、合成枚数Nが多くなるように決定される。移動体10の移動速度が速い、即ち仮想カメラ30に対する移動体10の相対的な移動速度が速い程、移動距離Δuの絶対値|Δu|が大きくなるので、合成枚数Nが多くなり、施されるブラーの程度が大きく(強く)なる。但し、|Δu|=0、の場合には、N=0、される。即ち、移動体10が移動していない(停止している)場合には複製画像70は「0枚」となり、対象画像60にはブラーがかけられない。
【0139】
そして、第1実施形態と同様に、対象画像60とこれらN枚の複製画像70とが半透明合成(α合成)されることで、ブラー画像が生成される。
【0140】
<機能構成>
図23は、第2実施形態での家庭用ゲーム装置1200の機能構成を示すブロック図である。同図によれば、第2実施形態では、ゲーム演算部210は、移動体制御部211と、仮想カメラ制御部214と、を含んでいる。
【0141】
仮想カメラ制御部214は、ゲーム空間に視点である仮想カメラ30を設定する。具体的には、仮想カメラ設定情報426に従って、ゲーム空間の予め定められた所定位置に、予め定められた所定姿勢で、仮想カメラ30を配置する。
【0142】
図24に、仮想カメラ設定情報426のデータ構成の一例を示す。同図に示すように、仮想カメラ設定情報426は、仮想カメラ30の位置426aと、姿勢426bと、画角426cとを格納している。これらの位置426a、姿勢426b及び画角426cは、予め設定される固定値である。
【0143】
また、画像生成部130は、背景画像生成部131と、移動体画像生成部135と、移動体ブラー処理部136と、画像合成部138とを含み、フレームバッファ140A,140Bを有している。
【0144】
移動体ブラー処理部136は、移動体画像生成部135によって生成された、フレームバッファ140Bに格納されている移動体画像IM3に対するブラー処理を行って、移動体ブラー画像を生成する。具体的には、移動体ブラー処理部136は、移動体移動情報423及び仮想カメラ設定情報426を参照して、現フレームと次フレームとの間の、仮想カメラ30に基づく画像における移動体10の位置の変化距離Δuを、式(2)に従って算出する。次いで、ブラー程度設定情報428を参照して、算出した変化距離Δuの絶対値|Δu|の大きさを基に合成枚数Nを決定する。そして、対象画像(移動体画像IM3)を変化距離Δuの正負に応じた方向に1ピクセルづつずらしたN枚の複製画像と、該対象画像とを半透明合成することで、対象画像にブラー処理を施したブラー画像を生成する。
【0145】
ブラー程度設定情報428とは、第2実施形態における合成枚数Nを決定するための情報であり、例えば図25に示すグラフの関数式として格納されている。同図では、横軸を変化距離Δuの絶対値|Δu|とし、縦軸を合成枚数Nとしたグラフを示している。同図に示すグラフに従えば、合成枚数Nは、|Δu|=0、の場合には「0」であり、絶対値|Δu|の増加に伴って増加する。そして、|Δu|=0.1、で上限値である「Nm」となり、これ以降は、絶対値|Δu|の増加に関わらず、常に上限値「Nm」である。尚、図25に示すグラフは一例に過ぎず、例えば一次関数や二次関数等としても良いし、上限値を設けなくとも良い。
【0146】
画像合成部138は、背景画像生成部131によって生成された後方背景画像及び前方背景画像、移動体ブラー処理部136によって生成された移動体ブラー画像を合成して空間画像を生成する。具体的には、フレームバッファ140Aに格納されている後方背景画像に、フレームバッファ140Bに格納されている移動体ブラー画像を上書き合成する。次いで、このフレームバッファ140Aに格納されている合成後の画像に、フレームバッファ140Bに格納されている前方背景画像を上書き合成して空間画像を生成し、この生成した空間画像をゲーム画像として画像表示部310に表示させる。
【0147】
また、第2実施形態では、記憶部400が記憶するゲームプログラム410には、処理部200を画像生成部130として機能させるための画像生成プログラム412が含まれ、記憶部400は、ゲームデータとして、背景オブジェクト情報421と、移動体モデル情報422と、移動体移動情報423と、仮想カメラ設定情報426と、ブラー程度設定情報428と、を記憶している。
【0148】
<処理の流れ>
図26は、第2実施形態における処理の流れを説明するためのフローチャートである。尚、ゲームの進行にかかる処理は従来と同様に実行可能であるため、ここでは、画像生成にかかる処理を中心に説明する。
【0149】
図26によれば、先ず、ゲーム演算部210が、背景オブジェクト情報421に基づき、三次元仮想空間に背景オブジェクトを配置してゲーム空間を設定し、移動体制御部211が、設定されたゲーム空間中の所定の初期位置に移動体10を配置する(ステップS21)。次いで、仮想カメラ制御部214が、仮想カメラ設定情報426に基づいて、ゲーム空間の所定位置に所定姿勢で仮想カメラ30を設定する(ステップS22)。その後、1フレーム毎にループBの処理が実行される。
【0150】
ループBでは、移動体制御部211が、移動体移動情報423を参照等して、次フレームでの移動体10の位置を演算し、演算した位置に移動体10を配置する(ステップS23)。その後、画像生成部130が画像生成処理を実行する(ステップS24)。
【0151】
図27は、画像生成処理の流れを説明するためのフローチャートである。この処理は、画像生成部130が画像生成プログラム412を実行することで実現される。同図に示すように、画像生成処理では、背景画像生成部131が、移動体及び仮想カメラ30を基に、ゲーム空間を、仮想カメラ30から見て移動体10の後方空間及び前方空間に分割する(ステップT11)。次いで、仮想カメラ30を基に、移動体10を除く後方空間をレンダリングして、フレームバッファ140Aに後方背景画像を描画する(ステップT22)。
【0152】
また、移動体画像生成部135が、仮想カメラ30を基に移動体10をレンダリングし、フレームバッファ140Bに移動体画像を描画する(ステップT23)。次いで、移動体ブラー処理部136が、移動体移動情報423、仮想カメラ設定情報426及びブラー程度設定情報428を参照して、現フレームから次フレーム間の、仮想カメラ30に対する移動体10の相対的な位置変化方向に基づいて、フレームバッファ140Bに格納されている移動体画像に対するブラー処理を行い、移動体ブラー画像を生成する(ステップT24)。そして、画像合成部138が、フレームバッファ140Aに格納されている後方背景画像に、フレームバッファ140Bに格納されている移動体ブラー画像を上書き合成する(ステップT25)。
【0153】
続いて、背景画像生成部131が、仮想カメラ30を基に、移動体10を除く前方空間をレンダリングし、フレームバッファ140Aに前方背景画像を描画する。このとき、フレームバッファ140Bに格納されている画像(移動体ブラー画像)をクリアして、前方背景画像に更新する(ステップT26)。
【0154】
その後、画像合成部138が、フレームバッファ140Aに格納されている画像(後方背景画像に移動体ブラー画像を合成した画像)に、フレームバッファ140Bに格納されている前方背景画像を上書き合成して空間画像を生成し(ステップT27)、生成した空間画像をゲーム画像として画像表示部310に表示させる(ステップT28)。
以上の処理を行うと、画像生成部130は画像生成処理を終了して、図26のステップS24を終了する。
【0155】
画像生成処理が終了すると、1フレーム分のループBの処理が終了する。その後は、ゲームが終了となるまでの間、1フレーム毎にループBを繰り返し実行し、ゲーム終了となると、本処理は終了となる。
【0156】
<作用・効果>
以上のように、第2実施形態では、仮想カメラ30は、移動体10を含むゲーム空間の所定位置に、所定の視線方向で設定される。即ち、位置及び姿勢が一定である。この仮想カメラ30に基づくゲーム空間の画像を生成する際には、先ず、ゲーム空間が、仮想カメラ30から見て移動体10の前方空間と後方空間とに分割され、前方空間の画像(前方背景画像)IM5及び後方空間の画像(後方背景画像)IM1が生成される。また、移動体10の画像(移動体画像)IM3が生成され、この移動体画像IM3に所定のブラー処理が施されて、移動体ブラー画像IM4が生成される。そして、後方背景画像IM1に移動体ブラー画像IM4が上書き合成され、更に前方背景画像IM5が上書き合成されて空間画像IM22が生成され、この空間画像IM22がゲーム画像としてゲーム画面に表示される。
【0157】
従って、ゲーム画面では、移動体10は、画像中において位置が変化して表示され、この移動体10にブラーがかかり、画面中での位置が変化しない背景等にはブラーがかからないで表示される。また、上記所定のブラー処理として、処理対象の画像(移動体画像IM3)を仮想カメラ30の位置変化方向と逆方向にずらして該対象画像と半透明合成することで、移動体10に、該移動体10の移動方向とは逆方向にブラーがかかった、自然な画像が生成される。
【0158】
[変形例]
尚、本発明の適用は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0159】
(A)ブラー処理
例えば上述した各実施形態では、ブラー処理の際に、処理対象の画像(対象画像)を1ピクセルづつずらして半透明合成することで、該対象画像にブラーを施したブラー画像を生成しているが、これを次のように行うこととしても良い。
【0160】
(A−1)対象画像を大きくする
上述した各実施形態でのブラー処理では、生成されたブラー画像の、対象画像をずらした方向と逆方向の端部には、ブラー処理が完全に施されていない画像部分が生じる。例えば、図9に示したように、対象画像を「右」方向にずらした場合には、生成されるブラー画像の左端部からNピクセルの画像部分は、中途半端にブラーがかかった画像となる。このブラーが中途半端にかかった画像部分は、合成枚数Nが比較的少ない場合には問題とはならないが、合成枚数Nが比較的大きく、ブラー画像全体に対する割合が大きい場合には、不自然な画像となり得る。
【0161】
そこで、このような不都合を解消するため、図28(a)に示すように、対象画像60を、本来の大きさから、合成枚数Nの最大値Nmに等しいピクセル数づつ上下左右の各方向に拡大した拡大対象画像62として生成する。そして、ブラー処理の際には、同図(b)に示すように、この拡大対象画像62を1ピクセルづつずらして半透明合成することで、拡大対象画像62にブラー処理を施した拡大ブラー画像92を生成する。次いで、同図(c)に示すように、この拡大ブラー画像92から、対象画像60の大きさに相当する中央部分を取り出し、これを、対象画像60のブラー画像90とする。
【0162】
(A−2)対象画像の濃度を低下させる
また、上述した各実施形態では、対象画像を1ピクセルづつずらしたN枚の複製画像を半透明合成したが、対象画像の濃度を低下させた画像を1ピクセルずつずらして加算合成することで、ブラー画像を生成することとしても良い。具体的には、図29(a)に示すようなブラー処理の対象の画像(対象画像)60から、同図(b)に示すように、その濃度を「1/N」に低下させた画像74を生成する。ここで、「濃度」とはRGB値を表し、「濃度を低下させる」とはこのRGB値を小さくすることを意味する。そして、同図(c)に示すように、N枚のこの画像74を1ピクセルづつずらしてRGB値を加算合成することで、ブラー画像を生成する。
【0163】
(B)適用するゲーム装置
上述した実施形態では、本発明を家庭用ゲーム装置に適用した場合について説明したが、図1に示した家庭用ゲーム装置1200のみではなく、業務用ゲーム装置や携帯型ゲーム装置、多数のプレーヤが参加する大型アトラクション装置等の種々の装置にも同様に適用できる。
【0164】
例えば、図30は、本発明を業務用ゲーム装置に適用した一例を示す外観図である。同図によれば、業務用ゲーム装置1300は、ゲーム画面を表示するディスプレイ1302と、ゲームの効果音やBGMを出力するスピーカ1304と、前後左右方向を入力するジョイスティック1306と、プッシュボタン1308と、演算処理によって業務用ゲーム装置1300を統合的に制御して所与のゲームを実行する制御ユニット1310とを備える。
【0165】
制御ユニット1310は、CPU等の演算処理装置と、業務用ゲーム装置1300の制御及びゲームの実行に必要なプログラムやデータが格納されたROMを搭載する。制御ユニット1310に搭載されるCPUは、ROMに記憶されたプログラムやデータを適宜読み出して演算処理することによって、ゲーム処理等の種々の処理を実行する。プレーヤは、ディスプレイ1302に表示されたゲーム画面を見て、スピーカ1304から出力されるゲーム音声を聞きながら、ジョイスティック1306やプッシュボタン1308を操作してゲームを楽しむ。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】本発明を適用した家庭用ゲーム装置の外観例。
【図2】第1実施形態におけるゲーム画面例。
【図3】ゲーム空間の設定例。
【図4】仮想カメラの座標系(カメラ座標系)の説明図。
【図5】ゲーム空間の分割の説明図。
【図6】第1実施形態における空間画像の生成手順。
【図7】仮想カメラの視線方向の変化の説明図。
【図8】仮想カメラの視線方向の変化に基づく画像をずらす方向の説明図。
【図9】ブラー処理での画像の合成手順。
【図10】第1実施形態における家庭用ゲーム装置の機能構成図。
【図11】移動体移動情報のデータ構成例。
【図12】第1実施形態における仮想カメラ設定情報のデータ構成例。
【図13】第1実施形態におけるブラー程度設定情報のグラフ例。
【図14】第1実施形態における全体処理の流れ図。
【図15】図14の処理中に実行される画像生成処理の流れ図。
【図16】本発明を適用した家庭用ゲーム装置のハードウェア構成例。
【図17】仮想カメラを移動体の移動後方に追従するように設定した場合の説明図。
【図18】仮想カメラを移動体に並走して追従するように設定した場合の説明図。
【図19】第2実施形態におけるゲーム画面例。
【図20】第2実施形態における空間画像の生成手順。
【図21】画像中での移動体の位置方向の変化の説明図。
【図22】画像中での移動体の位置方向の変化に基づく画像をずらす方向の説明図。
【図23】第2実施形態における家庭用ゲーム装置の機能構成図。
【図24】第2実施形態における仮想カメラ設定情報のデータ構成例。
【図25】第2実施形態におけるブラー程度設定情報のグラフ例。
【図26】第2実施形態における全体処理の流れ図。
【図27】図26の処理中に実行される画像生成処理の流れ図。
【図28】対象画像を大きくしてブラー処理する場合の説明図。
【図29】対象画像の濃度を低下させてブラー処理する場合の説明図。
【図30】本発明を適用した業務用ゲーム装置の外観例。
【符号の説明】
【0167】
1200 家庭用ゲーム装置
100 操作入力部
200 処理部
210 ゲーム演算部
211 移動体制御部
213、214 仮想カメラ制御部
130 画像生成部
131 背景画像生成部
133 背景ブラー処理部
135 移動体画像生成部
136 移動体ブラー処理部
137、138 画像合成部
140A、140B フレームバッファ(A),(B)
310 画像表示部
320 音出力部
400 記憶部
410 ゲームプログラム
411、412 画像生成プログラム
421 背景オブジェクト情報
422 移動体モデル情報
423 移動体移動情報
425、426 仮想カメラ設定情報
427、428 ブラー程度設定情報
10 移動体(バイク)
30 仮想カメラ
IM1 後方背景画像
IM2 後方背景ブラー画像
IM3 移動体画像
IM4 移動体ブラー画像
IM5 前方背景画像
IM6 前方背景ブラー画像
IM12,IM22 空間画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、所与の視点に基づき、仮想三次元空間中を移動する移動体を含んだ空間画像を生成させるためのプログラムであって、
前記空間画像中の所定位置に前記移動体が配置されるように前記移動体の移動に応じて前記視点を制御する視点制御手段、
前記視点に基づいて、前記移動体を除く前記仮想三次元空間の画像を背景画像として生成する背景画像生成手段、
前記生成された背景画像に所定のブラー処理を施して背景ブラー画像を生成するブラー処理手段、
前記視点に基づいて前記移動体の画像を生成する移動体画像生成手段、
前記生成された移動体の画像を前記ブラー処理手段により生成された背景ブラー画像に合成して空間画像を生成する空間画像生成手段、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のプログラムであって、
前記視点制御手段が、前記視点の視線方向を前記移動体に向けるように制御する視線方向制御手段を有し、
前記ブラー処理手段が、前記視線方向制御手段によって制御された視線方向の変化に基づきブラー方向を可変して前記ブラー処理を行う、
ように前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項3】
請求項2に記載のプログラムであって、
前記ブラー処理手段が、前記生成された背景画像の複製を、前記視線方向制御手段によって制御された視線方向の変化方向と逆方向にずらして合成することで前記背景ブラー画像を生成するように前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項4】
請求項2に記載のプログラムであって、
前記ブラー処理手段が、更に、前記視線方向制御手段によって制御された視線方向の変化量に基づきブラーの程度を可変して前記ブラー処理を行うように前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項5】
請求項1に記載のプログラムであって、
前記視点制御手段が、前記移動体を追従するように前記視点を制御する追従制御手段を有し、
前記ブラー処理手段が、前記追従制御手段による前記視点の位置変化の方向に基づきブラー方向を可変して前記ブラー処理を行う、
ように前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムであって、
前記ブラー処理手段が、前記生成された背景画像の複製を、前記追従制御手段による前記視点の位置変化の方向と逆方向にずらして合成することで前記背景ブラー画像を生成するように前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項7】
請求項5に記載のプログラムであって、
前記追従制御手段が、前記移動体の移動後方から前記移動体を追従するように前記視点を制御し、
前記ブラー処理手段が、前記生成された背景画像の複製を、前記追従制御手段による前記視点の位置変化の方向と逆方向にずらして合成していくとともに、ずらすに従って大きさを大きくして合成することで前記背景ブラー画像を生成する、
ように前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項5に記載のプログラムであって、
前記ブラー処理手段が、更に、前記追従制御手段による前記視点の位置の変化量に基づきブラーの程度を可変して前記ブラー処理を行うように前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載のプログラムであって、
前記背景画像生成手段が、
前記視点から見て前記移動体の後方の前記仮想三次元空間の画像を後方背景画像として生成する後方背景画像生成手段と、
前記視点から見て前記移動体の前方の前記仮想三次元空間の画像を前方背景画像として生成する前方背景画像生成手段と、
を有するように前記コンピュータを機能させ、
前記ブラー処理手段が、
前記生成された後方背景画像に前記ブラー処理を施して後方背景ブラー画像を生成する後方ブラー処理手段と、
前記生成された前方背景画像に前記ブラー処理を施して前方背景ブラー画像を生成する前方ブラー処理手段と、
を有するにように前記コンピュータを機能させ、
前記空間画像生成手段が、前記生成された後方背景ブラー画像に前記生成された移動体の画像を合成し、更に前記生成された前方背景ブラー画像を合成することで前記空間画像を生成するように前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項10】
コンピュータに、視線方向及び配置位置が予め設定された視点に基づき、仮想三次元空間中を移動する移動体を含んだ空間画像を生成させるためのプログラムであって、
前記視点に基づいて前記移動体の画像を移動体画像として生成する移動体画像生成手段、
前記生成された移動体画像に所定のブラー処理を施して移動体ブラー画像を生成するブラー処理手段、
前記視点から見て前記移動体の後方の前記仮想三次元空間の画像を後方背景画像として生成する後方背景画像生成手段、
前記視点から見て前記移動体の前方の前記仮想三次元空間の画像を前方背景画像として生成する前方背景画像生成手段、
前記生成された後方背景画像に前記生成された移動体ブラー画像を合成し、更に前記生成された前方背景画像を合成することで前記空間画像を生成する空間画像生成手段、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項11】
コンピュータに、所与の視点に基づき、仮想三次元空間中を移動する移動体を含んだ空間画像を生成させるためのプログラムであって、
前記視点に基づいて前記移動体の画像を移動体画像として生成する移動体画像生成手段、
前記視点から見て前記移動体の後方の前記仮想三次元空間の画像を後方背景画像として生成する後方画像生成手段、
前記視点から見て前記移動体の前方の前記仮想三次元空間の画像を前方背景画像として生成する前方画像生成手段、
前記生成された移動体画像、後方背景画像及び前方背景画像のうちの少なくとも一の画像にブラー処理を施すブラー処理手段、
前記生成された後方背景画像に前記生成された移動体画像を合成し、更に前記生成された前方背景画像を合成することで前記空間画像を生成する手段であって、該後方背景画像、移動体画像及び前方背景画像のうち、前記ブラー処理手段によりブラー処理が施された画像については該ブラー処理が施された画像を合成する空間画像生成手段、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか一項に記載のプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な情報記憶媒体。
【請求項13】
所与の視点に基づき、仮想三次元空間中を移動する移動体を含んだ空間画像を生成するための画像生成装置であって、
前記空間画像中の所定位置に前記移動体が配置されるように前記移動体の移動に応じて前記視点を制御する視点制御手段と、
前記視点に基づいて、前記移動体を除く前記仮想三次元空間の画像を背景画像として生成する背景画像生成手段と、
前記生成された背景画像に所定のブラー処理を施して背景ブラー画像を生成するブラー処理手段と、
前記視点に基づいて前記移動体の画像を生成する移動体画像生成手段と、
前記生成された移動体の画像を前記ブラー処理手段により生成された背景ブラー画像に合成して空間画像を生成する空間画像生成手段と、
を備える画像生成装置。
【請求項14】
視線方向及び配置位置が予め設定された視点に基づき、仮想三次元空間中を移動する移動体を含んだ空間画像を生成するための画像生成装置であって、
前記視点に基づいて前記移動体の画像を移動体画像として生成する移動体画像生成手段と、
前記生成された移動体画像に所定のブラー処理を施して移動体ブラー画像を生成するブラー処理手段と、
前記視点から見て前記移動体の後方の前記仮想三次元空間の画像を後方背景画像として生成する後方背景画像生成手段と、
前記視点から見て前記移動体の前方の仮想三次元区間の画像を前方背景画像として生成する前方背景画像生成手段と、
前記生成された後方背景画像に前記生成された移動体ブラー画像を合成し、更に前記生成された前方背景画像を合成することで前記空間画像を生成する空間画像生成手段と、
を備える画像生成装置。
【請求項15】
所与の視点に基づき、仮想三次元空間中を移動する移動体を含んだ空間画像を生成するための画像生成装置であって、
前記視点に基づいて前記移動体の画像を移動体画像として生成する移動体画像生成手段と、
前記視点から見て前記移動体の後方の前記仮想三次元空間の画像を後方背景画像として生成する後方画像生成手段と、
前記視点から見て前記移動体の前方の前記仮想三次元空間の画像を前方背景画像として生成する前方画像生成手段と、
前記生成された移動体画像、後方背景画像及び前方背景画像のうちの少なくとも一の画像にブラー処理を施すブラー処理手段と、
前記生成された後方背景画像に前記生成された移動体画像を合成し、更に前記生成された前方背景画像を合成することで前記空間画像を生成する手段であって、該後方背景画像、移動体画像及び前方背景画像のうち、前記ブラー処理手段によりブラー処理が施された画像については該ブラー処理が施された画像を合成する空間画像生成手段と、
を備える画像生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2006−92156(P2006−92156A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−275493(P2004−275493)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(000134855)株式会社ナムコ (1,157)
【Fターム(参考)】