説明

プロピレンポリマー組成物

低い量の不純物、特に、低い量のアルミニウムおよびホウ素の残留物を有するポリプロピレン

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低い量の不純物を有する新規なプロピレンポリマーならびに同の製造方法およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不純物で汚染された慣用のポリマーは、該不純物は時には多少低いレベルにあるけれども、高純度が必要とされるある種の最終用途、たとえばキャパシタフィルムまたはある種の食品もしくは医療の用途には不適当なものになる。ポリマー製品の灰分含有量は、望まれていない不純物の指標の一つである。不純物は金属性および非金属性不純物を包含し、これらはしばしば重合に使用された触媒系に由来し、特にアルミニウム、チタン、ケイ素、ハロゲン(たとえばClおよびF)およびホウ素の残留物である。この特有の問題は、とりわけ担持メタロセン触媒が用いられる場合に生じることがある。というのは、同触媒の低活性の故に通常、かなり高い量の触媒が必要とされるからである。有害な副作用として、高い量の残留触媒成分でポリマー製品は汚染される。これらの残留物の非常に低いレベルを達成するために、ポリマー製品は製造後にしばしば洗浄される。
【0003】
もちろん非常に要求の厳しい用途については、不純物の量だけでなく、たとえば製品の剛性のような機械的特性も考慮されなければならない。
【0004】
分子量分布(MWD)1.7〜5を有するプロピレンホモポリマーを、特許文献1は開示する。このポリマーのペンタッド含有量は93%より高く、キシレン可溶分(XS)は1重量%より低い。その上、このプロピレンホモポリマー中のアルミニウムおよび塩素のレベルは25ppmより低い。高度にフッ素化されたトリアリールホウ素活性化剤化合物の存在下に、フッ素化シリカに担持されたメタロセン触媒を使用する2段階プロセスによって、該ポリマーは調製される。このプロピレンホモポリマー中のアルミニウムおよび塩素のレベルは、とりわけホウ素に基づいた助触媒の使用の故に低減されており、このことはその結果として該ポリマーにホウ素残留物をもたらし得る。
【特許文献1】国際公開第02/16455号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、低い量の不純物を有するさらに先のプロピレンポリマーを提供することであり、たとえばキャパシタフィルム、食品包装または医療包装の物品のような非常に要求の厳しい最終用途に該製品を適したものにする。好ましくは、とりわけ、高い剛性のような良好な機械的特性が要求される最終用途に、プロピレンポリマーが適していることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発見は、最終プロピレンポリマー中に有意に低減された量の残留物を含有するプロピレンポリマーが製造されることができて、何らかの洗浄段階が必要とされることなく、要求の厳しい最終用途に該ポリマーの使用が可能になることである。また、このようなポリマーを製造するのに非常に適した触媒系を使用する方法も提供される。
【0007】
したがって、とりわけ、主に触媒に由来する、低いAl含有物および有利なほど低い量の他の残留物を含むプロピレンポリマーを、本願の発明は提供する。したがって、アルミニウム残留含有量25ppm未満、より好ましくは10ppm未満、さらにより好ましくは9ppm未満、およびホウ素残留含有量25ppm未満、より好ましくは10ppm未満、さらにより好ましくは9ppm未満を、本発明のプロピレンポリマーは含んでいる。
【発明の効果】
【0008】
触媒成分から生じる非常に低い量の金属性または非金属性残留物を有するこのようなポリマーは、このような残留物の存在が避けられなければならない非常に要求の厳しい最終用途、たとえばキャパシタフィルムまたは食品包装もしくは医療包装の物品のような最終用途に適したものになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
非常に好ましい実施態様では、上記の低含有量のAlおよびBの残留物ならびにそれに加えて低減された量のケイ素(Si)残留物もしくは塩素(Cl)残留物または低減された量のケイ素残留物と塩素残留物との双方を、該プロピレンポリマーは含んでいる。好ましくは、プロピレンポリマー中のケイ素残留含有量は10ppm未満、より好ましくは5ppm未満である。所望の最終用途によっては、1ppm未満のSi残留物さえもプロピレンポリマーは含有することができる。プロピレンポリマー中の塩素含有量は10ppm未満、より好ましくは5ppm未満である。所望の最終用途によっては、本発明のプロピレンポリマーは1ppmという低さのCl残留物さえも含有することができる。
【0010】
さらなる実施態様では、アルミニウム、ホウ素およびケイ素の残留物の全量は10ppm未満である。他の実施態様では、Al、B、SiおよびClの全量は15ppm未満、より好ましくは10ppm未満である。
【0011】
以上でまたは以下で使用される「アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、塩素(Cl)もしくはケイ素(Si)の含有物」または「Al、B、ClもしくはSiの残留物」の語句は、元素または非元素の形態(たとえば、イオン/非イオンの形態、たとえば酸化物の形態)をしており、触媒に主に由来しプロピレンポリマーから回収されることができるAl、B、ClおよびSiの何らかの残留物を意味する。後ほど「測定方法および定義」の下に以下に規定される方法を使用して、これらの残留物は測定されることができる。
【0012】
好まれる実施態様では、触媒系に由来する何らかのホウ素残留物を、プロピレンポリマーは含んでいない。1以上の触媒活性成分から選択された1以上の触媒成分と任意的に助触媒としての1以上の活性化剤とを、触媒系は含んでいる。触媒系が重合反応器に供される前に、たとえば担体物質に担持されて、これら成分は一緒にされることができ、またはこれら成分は重合反応器に別々に添加されることができる。
【0013】
プロピレンポリマーの純度は、その揮発分の量によってさらに特性付けられることができる。揮発分は、ポリマーから室温またはわずかに高められた温度で蒸気として逸散される物質である。したがって、揮発分含有量は400ppm未満、より好ましくは300ppm未満、さらにより好ましくは200ppm未満であることが好まれる。後ほど「測定方法および定義」の下に以下に記載される方法によって、揮発分含有量は測定されることができる。
【0014】
本発明のプロピレンポリマー中の揮発分の量だけでなく、好ましくは非揮発性残留物の量も有意に低減されることができる。灰分含有物とは、ある組成物を高い分解温度に付した後に残留する該組成物の非揮発性無機物質である。後ほど「測定方法および定義」の下に以下に記載される方法によって、灰分含有量は測定されることができる。プロピレンポリマーの灰分含有量は50ppm未満、より好ましくは40ppm未満、最も好ましくは30ppm未満であることが特に好まれる。
【0015】
好ましい実施態様では、とりわけ上述の非常に要求の厳しい用途については、プロピレンポリマーは高結晶性プロピレンポリマーである。高立体規則性、すなわち高アイソタクチシティーによって、高結晶性プロピレンポリマーは特性付けられる。一般に、より良好な機械的特性、特に改良された剛性を有するので、高アイソタクチックのプロピレンポリマーが好まれる。したがって、NMR分光分析法によって測定された少なくとも0.940、より好ましくは少なくとも0.945、さらにより好ましくは少なくとも0.950のmmmmペンタッド濃度で表現されたアイソタクチシティーを、プロピレンポリマーが有することが好まれる(測定方法については、「測定方法および定義」の下の以下を参照せよ。)。
【0016】
キシレン可溶分は、沸騰キシレン中に溶解させ、冷却する溶液から不溶部分を結晶化させることによって測定された、冷キシレン中に可溶性のポリマーの一部である(該方法については、以下の「測定方法および定義」を参照せよ。)。低分子量および低立体規則性を有するポリマー鎖を、キシレン可溶分の画分は有する。したがって、本発明の好ましい実施態様として、高結晶化度を有するプロピレンポリマーはキシレン可溶分2.0重量%未満、より好ましくは1.5重量%未満、さらにより好ましくは1.0重量%未満を有する。
【0017】
分子量分布(MWD)(本明細書では多分散度としても測定される)は、ポリマー中の分子の数とその個々の鎖長との関係である。分子量分布は、たとえばゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されることができ、その場合、重量平均分子量(M)と数平均分子量(M)との比として分子量分布は表現される。数平均分子量(M)および重量平均分子量(M)ならびに分子量分布(MWD)は、ISO 16014に従って測定される。
【0018】
広い分子量分布はプロピレンポリマーの加工性を改良するので、したがって、好都合には多分散度(M/M)は20まで、好ましくは10まで、より好ましくは8までである。他の実施態様では、多分散度(M/M)は1〜8である。
【0019】
その上、ポリマーの分子量は、さらにそのメルトフローレート(MFR)によって表現されることができる。メルトフローレート(MFR)は主に平均分子量に依存する。分子量の増加はMFR値の減少を意味する。
【0020】
特定の温度および圧力の条件下に排出されたポリマーのg/10分単位で、メルトフローレートMFRは測定され、ポリマーの粘度の尺度である。2.16kgの荷重下に測定されたメルトフローレート(ISO 1133)はMFRと表示される。
【0021】
プロピレンポリマーは10g/10分まで、より好ましくは6g/10分まで、さらにより好ましくは4g/10分までのMFRを有することが好まれる。MFRの好ましい範囲は1〜10g/10分である。
【0022】
プロピレンポリマーは、ポリマーのホモポリマーおよびコポリマーの双方を包含する。本発明に従うホモポリマーは、ポリマー中に0.2重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、さらにより好ましくは0.05重量%未満、なおさらにより好ましくは0.005重量%未満のプロピレン以外の他のアルファオレフィンを有する。最も好まれるのは、他のアルファオレフィンが検出されないことである。
【0023】
プロピレンポリマーがプロピレンコポリマーの場合には、該コポリマーは好ましくはランダムプロピレンコポリマーである。エチレン、C−アルファオレフィン、C−アルファオレフィン、C−アルファオレフィン、C−アルファオレフィン、C−アルファオレフィン、C−アルファオレフィン、C10−アルファオレフィン、C11−アルファオレフィンおよびC12−アルファオレフィンからなるリストから、コモノマーは選択されることができる。アルファオレフィンは直鎖、分枝鎖、脂環式または芳香環式のアルファオレフィンであることができる。好ましくは、コモノマーはエチレンである。コモノマーの量は限定されず、たとえば慣用される量が所望の最終用途に応じて使用されることができる。1の実施態様では、プロピレンコポリマー中のコモノマーの含有量は2重量%まで、好ましくは1.5重量%までであることができる。他の実施態様では、より低い量、たとえば0.8重量%まで、好ましくは0.5重量%までが望まれることがある。
【0024】
好ましくは、プロピレンポリマーはホモポリマーである。
【0025】
本発明はさらに、分子量分布(MWD)に関して単峰性および多峰性のプロピレンポリマーの双方を包含する。
【0026】
広い分子量分布(MWD)を有するプロピレンポリマーは、重量平均分子量分布(MWD)に関して単峰性(非常に広い単一の極大値)または多峰性、好ましくは双峰性であることができる。「多峰性」または「多峰性分布」は、いくつかの相対的極大値を有する頻度分布を表現する。特に、「ポリマーのモーダリティ(modality)」の表現は、その分子量分布(MWD)曲線の形状、すなわちポリマー重量画分の分子量の関数としてのそのポリマー重量画分量のグラフの外観をいう。
【0027】
単一のモノマー混合物、単一の重合触媒および単一の一組のプロセス条件(すなわち、温度、圧力等)を使用して単一重合段階で製造されたポリマーの分子量分布(MWD)は単一の極大値を示す、すなわちこのようなポリマーは単峰性であり、該極大値の幅は触媒の選択物、反応器の選択物、プロセス条件等に依存する。
【0028】
単峰性プロピレンの代わりとして、本発明は少なくとも2の成分、すなわち
(i)プロピレンホモポリマーまたはコポリマー、および
(ii)他のプロピレンホモポリマーまたはコポリマー
を含んでいるプロピレンポリマーも包含し、該成分(i)および(ii)は重量平均分子量(M)に関しておよび/またはコモノマー分布において異なっている。
【0029】
成分(i)もしくは(ii)または双方がコポリマーであれば、これらは好ましくはランダムコポリマーである。さらにその上、成分(i)および(ii)は同一のまたは異なったコモノマー含有量を有する。異なったコモノマー含有量の場合には、該プロピレンポリマーはコモノマー分布に関して多峰性を有する。
【0030】
成分(i)および(ii)のうちの一方は、成分(i)および(ii)のうちの他方よりも、すなわちより高い分子量成分よりも低い分子量、したがって高いMFRを有することが好まれる。したがって、さらなる実施態様として、少なくとも双峰性プロピレンポリマー、好ましくは少なくとも双峰性ホモプロピレンが提供され、これはより低い分子量(LMW)成分およびより高い分子量(HMW)成分を含んでいる。それらの重量比は様々であることができる。全プロピレンポリマーから計算されて、成分(i)の量は30〜70重量%、好ましくは40〜60重量%、より好ましくは45〜55重量%であり、成分(ii)の量は30〜70重量%、好ましくは40〜60重量%、より好ましくは45〜55重量%であることができる。
【0031】
好まれる実施態様では、上記のプロピレンポリマーは反応器で造られたプロピレンポリマー(反応器粉体とも呼ばれる。)である。反応器で造られたプロピレンポリマーとは、本明細書では重合プロセスから得られた反応生成物を意味する、すなわち反応器で造られたプロピレンポリマーは、何らかの洗浄または処理の段階に付されて、(1)触媒に主に由来するAlおよびBの残留物、好ましくはAl、B、ClおよびSiの残留物が減少または除去されてはいない。また、好ましくは反応器で造られたプロピレンポリマーは、(2)従来技術で知られた様式の何らかの脱灰段階に付されて、該ポリマーの灰分含有量が減少または除去されてはいない。所望であれば、最適化のために、たとえば以下のもの、すなわち製品のAl、B、Cl、Siおよび灰分の含有物のうちの1以上をさらに低減するために、公知の様式の後続の処理段階、たとえば洗浄段階で、この実施態様の反応器で造られたプロピレンポリマーはその後にさらに処理されてもよい。
【0032】
その上、シングルサイト触媒(SSC)重合によって、プロピレンポリマーは得られることができることが特に好まれる。従来技術で知られたメタロセンおよび非メタロセン触媒を、SSCは包含する。好ましくはメタロセンで触媒された重合によって、より好ましくは以下に規定された製造方法および/または触媒を使用して、プロピレンポリマーは得られることができる。
【0033】
さらに好都合な実施態様では、固形の、非シリカ物質で担持された触媒、好ましくは固形の、非シリカ物質で担持されたシングルサイトに基づいた触媒、たとえばメタロセンに基づいた触媒によって、プロピレンポリマーは得られることができる。
【0034】
本発明のさらに好ましい実施態様に従うと、(1)触媒活性成分として少なくともメタロセン錯体を、任意的に助触媒としての活性化剤と一緒に含んでおり、かつ(2)少なくとも30kgPP/触媒g、典型的には少なくとも40kgPP/触媒g、好ましくは少なくとも50kgPP/触媒g、より好ましくは少なくとも60kgPP/触媒gの生産性を有する固形触媒によって、上記のプロピレンポリマーは得られることができる。上記の生産性は当業界で知られた表現であり、触媒の触媒活性を表す。「kgPP/触媒g」の語句は、触媒1gを用いて製造されたポリプロピレンの量を意味する。
【0035】
加えて、本発明は、高純度の必要条件を有する各種の最終用途に、上記のプロピレンポリマーをそれ自体でまたはポリマーブレンドの一成分として使用する方法も包含する。したがって、本発明はさらに、本発明のプロピレンポリマーを含んでいる物品を提供する。このような物品は医療、食品の用途のための容器および包装物品ならびに電気の用途物(たとえば、キャパシタフィルム用途)を包含する。
【0036】
したがって、それ自体でまたはさらなる1または複数のポリマー成分とのブレンドとして、任意的に添加剤(たとえば、従来技術で周知のもの)の存在下に、プロピレンポリマーは加工されて、各種の最終用途物が公知の様式で製造されることができる。たとえば、プロピレンポリマーは成型されまたは押出されて物品へと、たとえばフィルム、1軸および2軸配向フィルム、繊維ならびに成型物品へとされることができる。このような押出または成型物品は、従来技術で知られた単層および多層物品を包含する。さらにその上、フィルムはキャストおよびブローンフィルムを包含する。高純度の故に、食品包装および医療包装の分野にならびに電気用途に、本発明のプロピレンポリマーは非常に適している。
【0037】
その上、本発明は層状構造物、好ましくはフィルムに関し、該層状構造物は上記のプロピレンポリマーを含んでいる少なくとも1の層を有する。好ましくは該フィルムの層は、上記のプロピレンポリマーから本質的になる。加えて、本発明のプロピレンポリマーを含んでいるフィルムは、2軸配向フィルムおよび/またはキャパシタフィルムであることができる。
【0038】
従来技術で周知の方法に従ってまたはそれに類似して、フィルムを包含する物品は製造されることができる。
【0039】
その上、本発明は、該プロピレンポリマーを製造するための重合方法も提供する。
【0040】
本発明のプロピレンポリマーを調製する方法は、触媒、好ましくは非シリカ物質で担持された触媒の存在下にプロピレンを重合する段階を少なくとも含む。「非シリカ物質で担持された触媒」は、本明細書では活性触媒成分の一部または全部が、1または複数の触媒成分が慣用的にシリカ担体粒子の孔へ含浸されているシリカ担持触媒の場合のようには、固形の、多孔性シリカに基づいた担体物質に担持されていないことを意味する。
【0041】
原則として、ポリマー組成物を製造するための、スラリーおよび気相重合を包含する任意の重合方法が使用されることができる。スラリー重合は好ましくはバルク重合である。「バルク」とは、モノマーを少なくとも60重量%含んでいる反応媒体中における重合を意味する。
【0042】
本発明は、少なくとも上記のプロピレンホモポリマーまたはコポリマー成分(i)を含んでいるプロピレンポリマーを製造する方法も提供し、該方法ではプロピレンが、任意的に1以上のコモノマーと一緒に重合触媒の存在下に重合される。プロピレンポリマーが成分(i)のみからなる場合には、該方法は単一段階方法である。
【0043】
異なった分子量分布(MWD)を有するおよび/または異なったコモノマー含有量を有する少なくとも2の異なった成分(i)および(ii)を含んでいる、多峰性、たとえば少なくとも双峰性のポリマーの場合には、その重合プロセスの際に該成分のそれぞれまたは一部をインシチュー(現場)でブレンドすること(インシチュープロセス)によって、またはその代わりに、別途に製造された2以上の成分を従来技術で知られた様式で機械的にブレンドすることによって、プロピレンポリマーは製造されることができる。
【0044】
たとえば、(1)重合条件を変えること、(2)少なくとも2の異なった触媒を使用すること、(3)マルチサイト、たとえばデュアルサイト(dual site)触媒を使用すること、および(4)少なくとも2の異なったコモノマー供給原料を使用することのうちの1以上を選択することによって、1の反応器で多峰性プロピレンポリマーを製造することも可能である。
【0045】
あるいは、本発明はさらに、少なくとも2の異なった上記のプロピレンホモポリマーまたはコポリマー成分(i)および(ii)を含んでいるプロピレンポリマーを製造する方法を提供し、該方法では1以上の重合反応器を使用する多段階重合方法で重合触媒の存在下にプロピレンを、任意的に1以上のコモノマーと一緒に重合することによって、各成分(i)および(ii)が製造され、該1以上の重合反応器は同じものでも異なっていてもよく、たとえば少なくともループ−ループ、気相−気相またはループ反応器および気相反応器の任意の組み合わせでもよい。同じまたは異なった重合方法を使用して並列にまたは逐次的に、各段階は実施されることができる。逐次段階の場合には、第一段階を除いて先行する段階で生成された重合成分の存在下に各段階の重合を実施することによって、各成分、たとえば(i)および(ii)は任意の順番で製造されることができる。好ましくは、第一段階に添加され使用された触媒が、後続の1または複数の段階中に存在する。あるいは、同じまたは異なった触媒が、後続の1または複数の段階に添加されることができる。
【0046】
多峰性プロピレンポリマーを製造するためのマルチゾーン(multizone)気相反応器として知られたバルク/気相反応器も、多段階方法は包含する。
【0047】
したがって、さらなる実施態様は上記のポリマー組成物のいずれかを製造する方法を提供し、該上記のポリマー組成物は(i)プロピレンホモポリマーまたはコポリマー成分、および任意的に(ii)プロピレンホモポリマーまたはコポリマー成分を含んでおり、ここで該方法は、
(a) スラリー反応器、好ましくはループ反応器中でプロピレンを、任意的に1以上のコモノマーと一緒に、重合触媒の存在下に重合して、第一のプロピレンポリマー成分(成分(i)および(ii)のうちの一方)を製造する段階、および
任意的に、段階(a)の反応生成物を後続の気相反応器に移送する段階、および
(b) 気相反応器中でプロピレンを、任意的に1以上のコモノマーと一緒に、段階(a)の反応生成物の存在下に重合して、本発明のプロピレンポリマーを得るための第二のポリマー成分(成分(i)および(ii)のうちの他方)を製造する段階、および
該得られた組成物を回収する段階
を含む。
【0048】
好まれる多段階方法は、「ループ−気相」法、たとえば欧州特許第0887379号または国際公開第92/12182号のような特許文献に記載されたデンマーク国、Borealis社によって開発された(BORSTAR(商標)技術として知られた)ようなものである。
【0049】
ポリマー組成物が少なくとも多峰性MWDを有するならば、より低い分子量(LMW)画分およびより高い分子量(HMW)画分は、別々の段階(a)および(b)で任意の順番で造られることができる。
【0050】
任意的におよび好ましくは、該方法は、当業界で知られた様式の予備重合段階を含んでいてもよく、これは重合段階(a)に先行することができる。
【0051】
所望であれば、さらなるエラストマー性コモノマー成分、いわゆるゴム成分が、得られたプロピレンポリマー中へと取り込まれて、上述のポリマーの異相コポリマーが生成されることができる。少なくともエチレンコモノマーを有するゴム成分、好ましくはエラストマー性プロピレンポリマーが、好ましくは気相重合段階(b)の後に、1以上の気相反応器を使用する後続の第二のまたはそれ以上の気相重合において製造されることができる。
【0052】
本発明の方法は、好ましくは連続方法である。
【0053】
好ましくは、上記のプロピレンポリマーを製造する方法では、段階(a)のスラリー反応器の条件は以下の通りであることができる。すなわち、
− 温度は40℃〜110℃、好ましくは60℃〜100℃、70℃〜90℃の範囲内である。
− 圧力は20バール〜80バール、好ましくは30バール〜60バールの範囲内である。
− 分子量を調節するためにそれ自体知られた様式で、水素が添加されることができる。
【0054】
その後、スラリー(バルク)反応器(段階a)からの反応混合物は気相反応器、すなわち段階(b)に移送され、そこの段階(b)における条件は好ましくは以下の通りである。すなわち、
− 温度は50℃〜130℃、好ましくは60℃〜100℃の範囲内である。
− 圧力は5バール〜50バール、好ましくは15バール〜35バールの範囲内である。
− 分子量を調節するためにそれ自体知られた様式で、水素が添加されることができる。
【0055】
滞留時間は両反応器帯域において様々であることができる。プロピレンポリマーを製造する方法の1の実施態様では、スラリー反応器、たとえばループ反応器の滞留時間は0.5〜5時間、たとえば0.5〜2時間の範囲であり、気相反応器の滞留時間は一般に1〜8時間であろう。
【0056】
所望であれば、スラリー反応器、好ましくはループ反応器中で超臨界条件下に、および/または気相反応器中では凝縮モードとして、公知の様式で重合は実施されることができる。
【0057】
本発明の方法または上記もしくは下記のその任意の実施態様は、本発明内のプロピレンポリマー組成物を製造しさらに目的に適うようにするための非常に適した手段を可能にする。たとえば、該ポリマー組成物の特性は公知の様式で、たとえば以下のプロセスパラメータ、すなわち温度、水素供給量、コモノマー供給量、たとえば気相反応器へのプロピレン供給量、触媒、(使用されるならば)外部ドナーのタイプおよび量、両成分たとえば成分(i)および(ii)の割合、の1以上によって調節されまたは制御されることができる。。
【0058】
上記の反応器で造られたプロピレンポリマーを得るための非常に適した手段を、上記の方法は可能にする。
【0059】
原則として、本発明のプロピレンポリマーをもたらす任意の触媒が使用されることができる。好ましくは、該触媒は、活性な触媒成分として少なくともシングルサイト触媒成分、たとえばメタロセンまたは非メタロセンの触媒成分、好ましくはメタロセン錯体を含んでいる固形の非シリカ物質で担持された触媒である。該触媒は、任意的に活性化剤を助触媒として含んでいてもよい。好ましくは、メタロセン成分と助触媒成分としての活性化剤とを、触媒は含んでいる。さらに好ましいのは、助触媒がアルミニウムを含有する、すなわちAl含有助触媒、たとえばアルミノキサンであることである。
【0060】
さらに好ましい実施態様では、固形非シリカ物質で担持された触媒重合によって、プロピレンポリマーは得られることができ、該触媒重合においては触媒は好ましくはAlに基づいた助触媒を有している。より好ましくは、当該固形非シリカ物質で担持された触媒は、何らかのホウ素含有助触媒を含んでいない、より好ましくは、何らかのホウ素に基づいた触媒成分を含んでいない。「非シリカ物質で担持された触媒」とは、シリカ担体または変性シリカ担体以外のものである支持体または担体物質を意味する。
【0061】
国際公開第03/051934号に記載された乳化固化技術によって、触媒が得られることができることが特に好ましい。この文書は、引用によって本願の明細書にその全体が含まれる。したがって、触媒は、好ましくは周期表(IUPAC)の第3〜10族またはアクチニドもしくはランタニドの遷移金属の有機金属化合物を含んでおり、固形触媒粒子の形態をしており、かつ
a) 1以上の触媒成分の溶液を用意する段階、
b) 当該溶液をこれと非混和性の溶媒中に分散させて、乳化物を生成し、その中に当該1以上の触媒成分が分散相の小滴で存在している段階、および
c) 当該分散相を固化させて当該小滴を固形粒子に転化し、任意的に当該粒子を回収して当該触媒を得る段階
を含む方法によって得られることができる、非シリカ物質で担持されたメタロセン触媒である。
【0062】
当該溶液を生成するために、好ましくは溶媒、より好ましくは有機溶媒が使用される。さらにより好ましくは、該有機溶媒は直鎖アルカン、環式アルカン、直鎖アルケン、環式アルケン、芳香族炭化水素およびハロゲン含有炭化水素からなる群から選択される。
【0063】
その上、連続相を形成する該非混和性溶媒は不活性溶媒であり、より好ましくは該非混和性溶媒はフッ素化有機溶媒および/もしくはその官能化誘導体を含んでおり、さらにより好ましくは該非混和性溶媒は半、高度または過フッ素化炭化水素および/もしくはその官能化誘導体を含んでいる。パーフルオロ炭化水素またはその官能化誘導体、好ましくはC〜C30パーフルオロアルカン、アルケンもしくはシクロアルカン、より好ましくはC〜C10パーフルオロアルカン、アルケンもしくはシクロアルカン、特に好ましくはパーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタンもしくはパーフルオロ(メチルシクロヘキサン)またはこれらの混合物を、当該非混和性溶媒が含んでいることが特に好まれる。
【0064】
さらにその上、当該連続相および当該分散相を含んでいる乳化物は、従来技術で知られた2相系または多相系であることが好まれる。該乳化物を生成するために、乳化剤が使用されてもよい。乳化系の生成後、当該溶液中の触媒成分から当該触媒がインシチューで生成される。
【0065】
原則として、乳化剤は、乳化物の生成および/または安定化に寄与し、かつ触媒の触媒活性に何らかの有害な効果をもたらさない任意の適当な薬剤であることができる。乳化剤はたとえば、従来技術で知られた、任意的に1または複数のヘテロ原子が割り込んだ炭化水素、好ましくは任意的に官能基を有するハロゲン化炭化水素、好ましくは半、高度または過フッ素化炭化水素に基づいた界面活性剤であることができる。あるいは、たとえば界面活性剤前駆体を触媒溶液の一化合物と反応させることによって、乳化物調製の際に乳化剤は調製されてもよい。当該界面活性剤前駆体は、少なくとも1の官能基を有するハロゲン化炭化水素、たとえば高度フッ素化C〜C30アルコールであることができ、これはたとえばアルミノキサンのような助触媒成分と反応する。
【0066】
分散された小滴から固形粒子を生成するために、原則として任意の固化方法が使用されることができる。1の好ましい実施態様に従うと、温度変化処理によって固化は実施される。したがって、毎分10℃まで、好ましくは毎分0.5〜6℃、より好ましくは毎分1〜5℃の緩やかな温度変化に、乳化物は付される。さらにより好まれるのは、10秒間未満、好ましくは6秒間未満以内に、40℃超、好ましくは50℃超の温度変化に乳化物が付されることである。
【0067】
好ましくは5〜200μm、より好ましくは10〜100μmの平均サイズ範囲を、回収された粒子は有する。
【0068】
その上、好ましくは球形、所定の粒度分布および50m/g未満、好ましくは30m/g未満、より好ましくは20m/g未満の表面積を、固化粒子の形態は有し、その場合に当該粒子は上記の方法によって得られる。
【0069】
触媒成分、連続相および分散相の系、乳化物生成方法、乳化剤ならびに固化方法のさらなる詳細、実施態様および実施例については、たとえば上記の国際公開第03/051934号が参照される。
【0070】
触媒活性成分は好ましくは式(I)

の遷移金属化合物であり、
この式で、
Mは、周期表(IUPAC)の第3〜10族またはアクチニドもしくはランタニドの遷移金属化合物であり、
各Xは、独立に一価アニオン性配位子、たとえばσ配位子であり、
各Lは独立に、Mに配位している有機配位子であり、
Rは、2の配位子Lを連結している架橋基であり、
mは1、2または3であり、
nは0または1であり、
qは1、2または3であり、および
m+qは該金属の価数に等しい。
【0071】
当該触媒活性成分は、好ましくはシングルサイト(SS)触媒成分、たとえばメタロセンおよび非メタロセンである。
【0072】
より好まれる定義では、各Lは独立に、
(a)置換もしくは非置換のシクロペンタジエン、またはシクロペンタジエンの単、複、もしくは多縮合誘導体であって、任意的にさらなる置換基および/もしくは周期表(IUPAC)の第13〜16族の1以上のヘテロ環原子を有するもの、または
(b)周期表の第13〜16族の原子からなる非環式のη〜ηまたはηの配位子であって、その中で開鎖配位子が1もしくは2、好ましくは2の芳香族もしくは非芳香族の環と縮合されていてもよいもの、および/またはさらなる置換基を有していてもよいもの、または
(c)芳香族もしくは非芳香族もしくは部分飽和の環系から選択された非置換または置換された単、複、もしくは多環式の環系からなり、炭素環原子および任意的に周期表の第15および16族から選択された1以上のヘテロ原子を有する、環式のσ、η〜ηまたはηの、単、複、または多座配位子
である。
【0073】
「σ配位子」とは、シグマ結合を介して1以上の場所で金属に結合されている基を公知の様式で意味する。
【0074】
好まれる実施態様に従うと、当該有機遷移金属化合物(I)は、メタロセンとして知られた一群の化合物である。当該メタロセンは、少なくとも1、一般に1、2または3、たとえば1または2の有機配位子を有し、これは該金属にη結合されており、例としてはη2〜6配位子、たとえばη配位子である。好ましくは、メタロセンは第4〜6族遷移金属であり、少なくとも1のη配位子を有する。
【0075】
好ましくは、メタロセン化合物は式(II)

を有し、
この式で、MはZr、HfまたはTiであり、m=1または2であり、少なくとも1のCpは独立にシクロペンタジエニル、インデニル、テトラヒドロインデニルまたはフルオレニルであり、ここで当該Cpのそれぞれは非置換または置換されていてもよく;任意的な1以上の置換基は、ハロゲン、ヒドロカルビル(たとえば、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C3〜C12シクロアルキル、C6〜C20アリールまたはC7〜C20アリールアルキル)、環部分中に1、2、3または4のヘテロ原子を有するC3〜C12シクロアルキル、C6〜C20ヘテロアリール、C1〜C20ハロアルキル、−SiR''、−OSiR''、−SR''、−PR''または−NR''を包含する群から独立に選択されることができ、各R''は独立にハロゲンまたはヒドロカルビル、たとえばC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C3〜C12シクロアルキルまたはC6〜C20アリールであり;または、たとえば−NR''の場合には、2の置換基R''はこれらが結合されている窒素原子とともに環、たとえば5または6員環を形成することができ;好ましくは、mは2であり、かつ両Cp環はインデニル環であり、そのそれぞれが、該インデニル部分の5員環において、より好ましくは2の位置において1または2の置換基、好ましくは1の置換基(2の位置におけるこのような置換基は、好ましくはアルキル、例としてC1〜C6アルキル、たとえばメチルもしくはエチル、またはトリアルキルオキシシロキシから選択され、ここで各アルキルはC1〜C6アルキル、たとえばメチルもしくはエチルから独立に選択される。)を、および該インデニル部分の6員環において、より好ましくは4の位置において1以上の置換基、好ましくは1の置換基(4の位置におけるこのような置換基は、好ましくはC6〜C20芳香族またはヘテロ芳香族の環部分、たとえばフェニルもしくはナフチル、好ましくはフェニルであり、これは任意的に1以上の置換基、たとえばC1〜C6アルキルで置換されている。)を、独立に有する。メタロセンのCp配位子は好ましくは、架橋構成員Rで連結され、インデニルの場合には典型的には1の位置において連結されている。架橋構成員Rは、たとえばC、Siおよび/またはGe、好ましくはCおよび/またはSiから選択された1以上の架橋原子を有することができる。1の好ましい架橋RはR'Si=であり、ここでR'は、たとえばC1〜C10アルキル、C1〜C20アルキル、たとえばC6〜C12アリール、またはC7〜C40、たとえばC7〜C12アリールアルキルの1以上から独立に選択され、ここでアルキルそれ自体またはアリールアルキルの1部としてのアルキルは、好ましくはC1〜C6アルキル、たとえばエチルまたはメチル、好ましくはメチルであり、アリールは好ましくはフェニルである。架橋R'Si=は、好ましくはたとえばC1〜C6アルキルSi=、ジフェニルSi=またはC1〜C6アルキルフェニルSi=、たとえばMeSi=である。
【0076】
上記の活性触媒成分は商業的に入手可能であり、または文献に記載された方法に従って調製されることができる。適したシングルサイト触媒、好ましくはメタロセンの例およびその調製方法として、上記の国際公開第03/051934号ならびに欧州特許第836608号、欧州特許第576970号および欧州特許第722956号が参照されるが、これらに限定されるものではない。
【0077】
上述の通り、国際公開第03051934号に記載されたような助触媒としての活性化剤を、触媒系はさらに含んでいてもよく、その内容は引用によって本明細書に取り込まれる。
【0078】
所望であれば、メタロセンおよび非メタロセンのための助触媒として好まれるのはアルミノキサン、とりわけC1〜C10アルキルアルミノキサン、最もとりわけメチルアルミノキサン(MAO)である。単独の助触媒としてまたは1もしくは複数の他の助触媒と一緒に、このようなアルミノキサンは使用されることができる。したがって、アルミノキサンの他にまたはそれに加えて、他のカチオン錯体形成性触媒活性化剤が使用されることができる。当該活性化剤は商業的に入手可能であり、または従来技術文献に従って調製されることができる。
【0079】
さらなるアルミノキサン助触媒は、とりわけ国際公開第9428034号に記載され、その内容は引用によって本明細書に取り込まれる。これらは、40まで、好ましくは3〜20の−(Al(R''')O)−繰返し単位(この式で、R'''は水素、C1〜C10アルキル(好ましくはメチル)もしくはC6〜C18アリールまたはこれらの混合物である。)を有する直鎖または環式のオリゴマーである。
【0080】
このような活性化剤の使用方法および量は、当業者の技能の範囲内にある。例として、ホウ素活性化剤の場合、5:1〜1:5、好ましくは2:1〜1:2、たとえば1:1の遷移金属とホウ素活性化剤との比が使用されることができる。好まれるアルミノキサン、たとえばメチルアルミノキサン(MAO)の場合、アルミノキサンによって与えられるAlの量は、たとえば1〜10000、好適には5〜8000、好ましくは10〜7000、例として100〜4000、たとえば1000〜3000の範囲にあるAl:遷移金属のモル比を与えるように選択されることができる。典型的には、固形(不均一)触媒の場合、該比は好ましくは500未満である。
【0081】
本発明の触媒に用いられるべき助触媒の量はしたがって様々であり、当業者に周知の様式で選択された条件および特定の遷移金属化合物に依存する。
【0082】
有機遷移化合物を含んでいる溶液中に含有されるべき任意の追加成分は、分散段階の前にまたはその代りにその後に、当該溶液に添加されることができる。
【0083】
測定方法および定義
【0084】
以下の語句の定義および測定方法は、他様に規定されない限り、本発明の上記の一般的記載ならびに以下の実施例に適用される。
【0085】
元素分析
【0086】
触媒に主に由来するポリマー中の元素残留物、とりわけAl、B、およびSiの残留物の含有量を測定するために、以下に記載された元素分析が使用された。当該Al、B、およびSiの残留物は任意の形態、たとえば元素またはイオンの形態をしていることができ、たとえば以下に記載されたICP法を使用して、プロピレンポリマーから回収され検知されることができる。該方法はポリマーのTi含有量を測定するために使用されることもできる。同じような結果をもたらすであろう他の公知の方法も使用されることができることが理解される。
【0087】
ICP(誘導結合プラズマ発光)分光分析法
【0088】
ICP測定器:Al、Si、およびBの含有量を測定するための測定器は、ICP Optima 2000 DV、PSN 620785(納入業者はベルギー国、PerkinElmer Instruments社)で、この測定器のソフトウェア付きであった。
【0089】
検出限界は0.1ppm(Al)、0.1ppm(Si)および0.1ppm(B)である。
【0090】
ポリマーサンプルはまず公知の様式で灰化され、次に適当な酸性溶媒中に溶解された。較正曲線のための標準物の希釈物はサンプルと同じ溶媒中に溶解され、サンプルの濃度が標準較正曲線内に属するであろうようにその濃度は選択される。
【0091】
ppm:とは、100万分の1重量部を意味する。
【0092】
灰分含有量:ISO 3451−1(1997)標準規格に従って、灰分含有量は測定される。
【0093】
計算された灰分、AlおよびBの含有量:
【0094】
灰分および上記の元素、すなわちAlおよび/またはBは、実施例に例示された触媒の重合活性に基づいてプロピレンポリマーから計算されることもできる。触媒に由来する当該残留物の存在の上限を、これらの値は与えるだろう。
【0095】
したがって、推定触媒残留物は触媒組成および重合生産性に基づき、ポリマー中の触媒残留物は、
全触媒残留物[ppm]=1/生産性[kgPP/g触媒]*1000
Al残留物[ppm]=wAl、触媒[%]*全触媒残留物[ppm]/100
Zr残留物[ppm]=wZr、触媒[%]*全触媒残留物[ppm]/100
に従って、推定されることができる(同様な計算が、たとえばB、ClおよびSiの残留物にも適用される。)。
【0096】
粒度分布:は、コールターカウンター(Coulter Counter)LS 200を用いて室温でn−ヘプタンを媒体として測定される。
【0097】
NMR
【0098】
NMR分光分析測定法
【0099】
1,2,4−トリクロロベンゼン/ベンゼン−d6(90/10重量比)中に溶解されたサンプルから、130℃におけるBruker 400MHz分光分析計を用いて、ポリプロピレンのC13NMRスペクトルが記録された。ペンタッド分析については、文献に記載された方法に従って同定が実施される。
(T.Hayashi、Y.Inoue、R.Chujo、およびT.Asakura、「Polymer」、1988年、第29巻、p.138〜143、およびChujo R.ら、「Polymer」、1994年、第35巻、p.339)
【0100】
従来技術で周知の様式でmmmmペンタッド濃度を測定するために、NMR測定が使用された。
【0101】
揮発分含有量:は、教科書(S.A.LiebmanおよびE.J.Levy編、「Pyrolysis and GC in Polymer Analysis」、1985年、Marcel Dekker社刊)に記載されたいわゆる静的ヘッドスペース分析法によって測定されることができる。ガスクロマトグラフ/ヘッドスペースガスクロマトグラフ(GC−HS)分析法は、自動車産業において広く使用されている。Volkswagen会社が標準規格を開発し、これがプラスチック産業において全般的に受け入れられ使用されている。これは「VW標準規格PV 3341」として知られている。キャパシタフィルムに使用される要件に従って、試験時間は1時間、試験温度は160℃であった。
【0102】
ポリマーの分子量MおよびM、ならびに多分散度M/Mとして表現された分子量分布MWDは、2の混合床および1の10Å TSKゲルのカラム(TOSOHAAS 16S)および示差屈折率検出器を備えた135℃で操作されるMillipore Waters ALC/GPCを用いて測定された。1,2,4−トリクロロベンゼン溶媒が1ml/分の流量で加えられた。狭い分子量分布のポリスチレン標準物ならびに狭いおよび広いポリプロピレンを用いて、カラムは較正された。ISO 16014も参照される。
【0103】
キシレン可溶分(XS、重量%):の分析は公知の方法に従い、撹拌下135℃におけるp−キシレン250ml中に、ポリマー2.0gが溶解された。30±2分間後、該溶液は環境温度で15分間放置冷却され、それから25±0.5℃で30分間静置された。溶液はろ過され窒素流中で蒸発され、真空下90℃で残留物が乾燥されて、最後に一定重量に達した。
XS%=(100×m×v)/(m×v)、この式で
=初期ポリマー量(g)
=残留物の重量(g)
=初期体積(ml)
=分析されたサンプルの体積(ml)
【0104】
融解温度T、結晶化温度T、および結晶化度:は、サンプル5〜10mgについてMettler TA820示差走査熱量計(DSC)法を用いて測定された。30℃〜225℃間の10℃/分の冷却および加熱の走査の間に、結晶化および融解の両曲線は得られた。融解および結晶化の温度は、吸熱曲線および発熱曲線のピークとして取られた。
【0105】
同様に、融解および結晶化のエンタルピー(HmおよびHc)は、ISO 11357−3に従うDSC法によって測定された。
【0106】
塩素残留含有量:X線蛍光(XRF)分光分析法を使用して公知の様式で、サンプルから塩素残留物の含有量は測定される。分析計はPhilips PW2400、PSN 620487X線蛍光分析計(納入業者はベルギー国、Philips社)、ソフトウェアはX47であった。Clの検出限界は1ppmである。
【0107】
MFR:は、ISO 1133(230℃、荷重2.16kg)に従って測定された。
【0108】
剛性フィルムTD(横断方向)、剛性フィルムMD(機械方向)、破断伸びTDおよび破断伸びMD:これらはISO 527−3に従って測定された。
【0109】
ヘイズおよび透明度:は、ASTM D1003に従って測定された。
【0110】
実験の部
【0111】
使用された原料物質および化学薬品は商業的に入手可能であり、または文献に記載された公知の方法に従って調製されることができる。
【実施例1】
【0112】
触媒の調製
【0113】
従来技術で知られた様式でAlとZrとの比(Al/Zr)を291に調整したことを除いて、国際公開第03/051934号の実施例5に記載されたように、触媒は調製された(Zr=0.42重量%およびAl=36.27重量%)。
【0114】
触媒の特性解析:
【0115】
上述の方法によってAlおよびZrの含有量が分析され、Alは36.27重量%およびZrは0.42重量%であった。(コールターカウンターによって分析された)平均粒子直径は20μmであり、粒度分布が図1に示される。
【0116】
重合
【0117】
プロピレンの重合に、5リットルのステンレス鋼反応器が使用された。液状プロピレン(Borealis社重合級)1100gが反応器に供給された。トリエチルアルミニウム(100%、Crompton社から購入された。)0.1mlが捕捉剤として、および水素(品質6.0、Åga社によって供給された。)15ミリモルが連鎖移動剤として供給された。反応器温度が30℃に設定された。触媒21.4mgが窒素の過圧力で反応器中へと流し込まれた。約14分間の時間で70℃まで反応器は加熱された。重合が70℃で50分間続けられ、次にプロピレンが流し出され、水素5ミリモルが供給され、(ガス状)プロピレンを供給することによって反応器圧力が20バールまで増加された。重合が気相で210分間続けられ、次に反応器は減圧排気され、ポリマーが乾燥され秤量された。
【0118】
ポリマー収量は790gと秤量され、これは36.9kgPP/g触媒の生産性に等しい。
【0119】
灰分含有量:灰分含有量は68ppmと分析された。
【0120】
推定残留物:
【0121】
全触媒残留物は27ppmと推定された。
【0122】
Al残留物は9.8ppmと推定された。
【0123】
Zr残留物は0.1ppmと推定された。
【実施例2】
【0124】
実施例1におけるように触媒が調製された(Al/Zr=291)。
【0125】
重合
【0126】
プロピレンの重合に、5リットルのステンレス鋼反応器が使用された。液状プロピレン(Borealis社重合級)1100gが反応器に供給された。トリエチルアルミニウム(100%、Crompton社から購入された。)0.1mlが捕捉剤として、および水素(品質6.0、Åga社によって供給された。)15ミリモルが連鎖移動剤として供給された。反応器温度が30℃に設定された。触媒30.6mgが窒素の過圧力で反応器中へと流し込まれた。約14分間の時間で70℃まで反応器は加熱された。重合が70℃で40分間続けられ、次にプロピレンが流し出され、水素5ミリモルが供給され、(ガス状)プロピレンを供給することによって反応器圧力が20バールまで増加された。重合が気相で181分間続けられ、次に反応器は減圧排気され、ポリマーが乾燥され秤量された。
【0127】
ポリマー収量は890gと秤量され、これは29kgPP/g触媒の生産性に等しい。
【0128】
灰分含有量:灰分含有量は47ppmと分析された。
【0129】
推定残留物:
【0130】
全触媒残留物は34ppmと推定された。
【0131】
Al残留物は12ppmと推定された。
【0132】
Zr残留物は0.1ppmと推定された。
【実施例3】
【0133】
実施例1におけるのと同じ触媒がこの実施例に使用された(Al/Zr=291)。
【0134】
重合
【0135】
プロピレンの重合に、5リットルのステンレス鋼反応器が使用された。液状プロピレン(Borealis社重合級)1100gが反応器に供給された。トリエチルアルミニウム(100%、Crompton社から購入された。)0.1mlが捕捉剤として、および水素(品質6.0、Åga社によって供給された。)20ミリモルが連鎖移動剤として供給された。反応器温度が30℃に設定された。触媒29.4mgが窒素の過圧力で反応器中へと流し込まれた。約14分間の時間で70℃まで反応器は加熱された。重合が70℃で55分間続けられ、次にプロピレンが流し出され、水素10ミリモルが供給され、(ガス状)プロピレンを供給することによって反応器圧力が20バールまで増加された。重合が気相で189分間続けられ、次に反応器は減圧排気され、ポリマーが乾燥され秤量された。
【0136】
ポリマー収量は815gと秤量され、これは27.7kgPP/g触媒の生産性に等しい。
【0137】
推定残留物:
【0138】
全触媒残留物は36ppmと推定された。
【0139】
Al残留物は13ppmと推定された。
【0140】
Zr残留物は0.2ppmと推定された。
【実施例4】
【0141】
触媒の調製
【0142】
Al/Zr=271(Al=34.50重量%およびZr=0.43重量%)の比を使用したことを除いて、実施例1に記載されたように触媒が調製された。
【0143】
重合
【0144】
プロピレンの重合に、5リットルのステンレス鋼反応器が使用された。液状プロピレン(Borealis社重合級)1100gが反応器に供給された。トリエチルアルミニウム(100%、Crompton社から購入された。)0.2mlが捕捉剤として、および水素(品質6.0、Åga社によって供給された。)15ミリモルが連鎖移動剤として供給された。反応器温度が30℃に設定された。触媒29.1mgが窒素の過圧力で反応器中へと流し込まれた。約14分間の時間で70℃まで反応器は加熱された。重合が70℃で50分間続けられ、次にプロピレンが流し出され、水素5ミリモルが供給され、(ガス状)プロピレンを供給することによって反応器圧力が20バールまで増加された。重合が気相で144分間続けられ、次に反応器は減圧排気され、ポリマーが乾燥され秤量された。
【0145】
ポリマー収量は901gと秤量され、これは31kgPP/g触媒の生産性に等しい。
【0146】
推定残留物:
【0147】
全触媒残留物は32ppmと推定された。
【0148】
Al残留物は11ppmと推定された。
【0149】
Zr残留物は0.1ppmと推定された。
【実施例5】
【0150】
実施例1におけるのと同じ触媒が使用された(Al/Zr=291)。
【0151】
重合
【0152】
プロピレンの重合に、5リットルのステンレス鋼反応器が使用された。液状プロピレン(Borealis社重合級)1100gが反応器に供給された。トリエチルアルミニウム(100%、Crompton社から購入された。)0.05mlが捕捉剤として、および水素(品質6.0、Åga社によって供給された。)30ミリモルが連鎖移動剤として供給された。反応器温度が30℃に設定された。触媒20.1mgが窒素の過圧力で反応器中へと流し込まれた。約15分間の時間で70℃まで反応器は加熱された。重合が70℃で40分間続けられ、次にプロピレンが流し出され、(ガス状)プロピレンを供給することによって反応器圧力が20バールまで増加された。重合が気相で370分間続けられ、次に反応器は減圧排気され、ポリマーが乾燥され秤量された。
【0153】
ポリマー収量は1096gと秤量され、これは54.4kgPP/g触媒の生産性に等しい。
【0154】
推定残留物:
【0155】
全触媒残留物は18ppmと推定された。
【0156】
Al残留物は6.5ppmと推定された。
【0157】
Zr残留物は0.08ppmと推定された。
【0158】
実施例1〜5のプロピレンポリマーの実験データが以下の表1に示される。いずれかの触媒を除去する何らかの処理段階なしに、重合プロセスから直接得られたときに既にある、本発明のプロピレンポリマーの有利な特性を、該データは示す。また、本発明のポリマーの有利な機械的特性が、以下のこの表から明らかである。
【表1】


【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】コールターカウンターによる触媒粒度分布のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム残留含有量25ppm未満およびホウ素残留含有量25ppm未満を有するプロピレンポリマー。
【請求項2】
高結晶性プロピレンポリマーである、請求項1に従うプロピレンポリマー。
【請求項3】
NMR分光分析法によって測定されたmmmmペンタッド濃度0.940超のアイソタクチシティーを有する、請求項1または2に従うプロピレンポリマー。
【請求項4】
アルミニウム残留含有量が10ppm未満である、請求項1〜3のいずれか1項に従うプロピレンポリマー。
【請求項5】
ホウ素残留含有量が10ppm未満である、請求項1〜4のいずれか1項に従うプロピレンポリマー。
【請求項6】
灰分含有量が50ppm未満である、請求項1〜5のいずれか1項に従うプロピレンポリマー。
【請求項7】
ケイ素残留含有量が10ppm未満である、請求項1〜6のいずれか1項に従うプロピレンポリマー。
【請求項8】
アルミニウム、ホウ素およびケイ素の残留の全量が10ppm未満である、請求項1〜7のいずれか1項に従うプロピレンポリマー。
【請求項9】
プロピレンポリマー中の塩素残留含有量が10ppm未満、より好ましくは5ppm未満である、請求項1〜8のいずれか1項に従うプロピレンポリマー。
【請求項10】
160℃において1時間のGC−HS法によって測定された揮発分含有量が400ppm未満である、請求項1〜9のいずれか1項に従うプロピレンポリマー。
【請求項11】
反応器で造られたプロピレンポリマーである、請求項1〜10のいずれか1項に従うプロピレンポリマー。
【請求項12】
プロピレンホモポリマーである、請求項1〜11のいずれか1項に従うプロピレンポリマー。
【請求項13】
キシレン可溶分(XS)2.0重量%未満を有する、請求項1〜12のいずれか1項に従うプロピレンポリマー。
【請求項14】
20.0以下のM/Mを有する、請求項1〜13のいずれか1項に従うプロピレンポリマー。
【請求項15】
10g/10分までのMFRを有する、請求項1〜14のいずれか1項に従うプロピレンポリマー。
【請求項16】
好ましくは助触媒としてのホウ素含有活性化剤の不存在下に、メタロセンによって触媒された重合によって得られることができる、請求項1〜15のいずれか1項に従うプロピレンポリマー。
【請求項17】
好ましくは助触媒としてのAl含有活性化剤の存在下に、固形の、非シリカ物質で担持された触媒によって得られることができる、請求項1〜16のいずれか1項に従うプロピレンポリマー。
【請求項18】
(1)任意的に助触媒としての活性化剤と一緒に、触媒活性成分として少なくともメタロセン錯体を含んでおりかつ(2)少なくとも30kgPP/触媒g、好ましくは少なくとも40(kgPP)/(触媒g)、より好ましくは少なくとも50(kgPP)/(触媒g)の生産性を有する固形触媒によって得られることができる、請求項1〜17のいずれか1項に従うプロピレンポリマー。
【請求項19】
少なくとも2のプロピレンホモポリマーまたはコポリマー成分(i)および(ii)を含んでおり、該成分(i)および(ii)のうち一方がより高いMFRを有するLMW成分であり、該成分(i)および(ii)のうち他方がより低いMFRを有するHMW成分である、請求項1〜18のいずれか1項に従うプロピレンポリマー。
【請求項20】
非シリカ物質で担持された触媒、好ましくは固形の、非シリカ物質で担持された触媒の存在下に、プロピレンを重合する段階を含む、請求項1〜19のいずれか1項に従うプロピレンポリマーを製造する方法。
【請求項21】
触媒が、周期表(IUPAC)の第3〜10族またはアクチニドもしくはランタニドの遷移金属の有機金属化合物を含んでおり、固形触媒粒子の形態をしており、かつ
a) 1以上の触媒成分の溶液を用意する段階、
b) 当該溶液をこれと非混和性の溶媒中に分散させて、1以上の触媒成分が分散相の小滴で存在している乳化物を生成する段階、および
c)当該分散相を固化させて当該小滴を固形粒子に転化し、任意的に当該粒子を回収して当該触媒を得る段階
を含む方法によって得られることができる、非シリカ物質で担持されたメタロセン触媒である、請求項20に従う方法。
【請求項22】
触媒が、式(I)

(この式で、
Mは、請求項18で規定された遷移金属であり、
各Xは、独立にσ配位子であり、
各Lは独立に、Mに配位している有機配位子であり、
Rは、2の配位子Lを連結している架橋基であり、
mは1、2または3であり、
nは0または1であり、
qは1、2または3であり、および
m+qは該金属の価数に等しい。)
の遷移金属化合物の触媒成分を含んでいる、請求項20または21に従う方法。
【請求項23】
触媒がさらに、アルミニウムに基づいた助触媒、好ましくはアルミノキサン助触媒を含んでいる、請求項20〜22のいずれか1項に従う方法。
【請求項24】
非混和性溶媒が、パーフルオロ炭化水素またはその官能化誘導体、好ましくはC〜C30パーフルオロアルカン、-アルケンまたは-シクロアルカンを含んでいる、請求項20〜23のいずれか1項に従う方法。
【請求項25】
(b)乳化系が、任意的に乳化剤を使用することによって生成され、かつ(c)当該触媒が、当該溶液中の触媒成分からインシチューで生成される、請求項20〜24のいずれか1項に従う方法。
【請求項26】
固化が、温度変化処理によって実施される、請求項20〜25のいずれか1項に従う方法。
【請求項27】
触媒が、式(I)

(この式で、
Mは、Zr、HfまたはTiであり、
各Xは、独立にσ配位子であり、
各Lは独立に、π結合を介してMに結合されている置換または非置換のシクロペンタジエニル配位子、好ましくはシクロペンタジエニル、インデニル、テトラヒドロインデニルまたはフルオレニルを含んでいる有機配位子であり、その場合に当該Lのそれぞれは非置換であっても、1以上の置換基によって置換されていてもよく、
Rは、2の配位子Lを連結している架橋基であり、
mは1、2または3であり、
nは0または1であり、
qは1、2または3であり、および
m+qは該金属の価数に等しい。)
のメタロセン触媒成分を含んでいる、請求項20〜26のいずれか1項に従う方法。
【請求項28】
a) 請求項20〜27のいずれか1項に従う方法によって得られることができる触媒の存在下に、プロピレンモノマーを、任意的に1以上のコモノマーと一緒に重合して、第一のプロピレンポリマー成分を製造する段階、
b) 段階a)の反応生成物を後続の気相反応器に移送する段階、および
c) プロピレンモノマーを、任意的に1以上のコモノマーの存在下に、段階a)の反応生成物の存在下に重合して、請求項1〜19のいずれか1項に従うプロピレンポリマーを得るために第二のプロピレンポリマー成分を製造する段階、および該得られた組成物を回収する段階
を含む多段階方法である、請求項20〜27のいずれか1項に従う方法。
【請求項29】
請求項20〜28のいずれか1項に従う方法によって得られることができるプロピレンポリマー。
【請求項30】
メタロセン触媒の存在下に、アルファオレフィンモノマーを、任意的に1以上のコモノマーと一緒に重合することによって得られることができるαオレフィンポリマーのアルミニウムおよびホウ素の含有量を低減する方法であって、該ポリマーが請求項20〜28のいずれか1項に従う方法を使用して製造される方法。
【請求項31】
請求項1〜19および29のいずれか1項に従うプロピレンポリマーを、フィルム、繊維または成型物品のために使用する方法。
【請求項32】
請求項1〜19および29のいずれか1項に従うプロピレンポリマーを、食品包装または医療包装の物品のために使用する方法。
【請求項33】
請求項1〜19および29のいずれか1項に従うプロピレンポリマーを含んでいる物品。
【請求項34】
フィルム、繊維または成型物品である、請求項33に従う物品。
【請求項35】
食品包装または医療包装の物品である、請求項33に従う物品。
【請求項36】
1以上の層を含んでいる層状構造物、好ましくはフィルムであって、該1以上の層のうち少なくとも1の層が請求項1〜19および29のいずれか1項に従うプロピレンポリマーを含んでいる層状構造物、好ましくはフィルム。
【請求項37】
請求項1〜19および29のいずれか1項に従うプロピレンポリマーから本質的になる少なくとも1の層を含んでいる、請求項34または36に従うフィルム。
【請求項38】
キャパシタフィルムである、請求項34、36および37のいずれか1項に従うフィルム。
【請求項39】
請求項1〜19および29のいずれか1項に従うプロピレンポリマーを含んでいる2軸配向ポリプロピレンフィルム。

【図1】
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【公表番号】特表2009−500479(P2009−500479A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519875(P2008−519875)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006736
【国際公開番号】WO2007/006537
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(500224380)ボレアリス テクノロジー オイ (39)
【Fターム(参考)】