説明

ヘッドアップディスプレイ

【課題】 太陽光がコンバイナの裏面に反射して運転者の目に入るのを防止することができる、いわゆるポップアップ式のヘッドアップディスプレイを提供する。
【解決手段】 コンバイナ3の支持部に、コンバイナ側ギヤ状の第2の保持角度調整部22bを設ける。これにより、コンバイナ3を倒した状態の場合に、コンバイナ3の保持角度を調整可能とする。また、コンバイナ3の回動動力源となるモータと、モータを制御するモータ駆動回路およびECUとを有する構成とする。ECUには、地磁気センサ、傾斜計、GPS受信アンテナから各種情報を有する信号が入力されるようにする。そして、コンバイナ3を倒した状態の場合に、ECUが、太陽の位置を推定して、自動で、コンバイナ3の保持角度を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドアップディスプレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のヘッドアップディスプレイ(以下では、HUDとする)の1つとして、いわゆるポップアップ式のものがある。ポップアップ式のHUDの一例を、図7、8に示す。なお、図7、8では、図1中のHUDと同様の構成部に、図1と同一の符号を付している。
【0003】
図7、8に示すHUDは、ケース1と、ケース1の内部に収納されている表示器2と、ケース1の上面1aに配置されたコンバイナ3と、ケース1の内部に収納されている折り返しミラー4とを有している。ケース1は、ダッシュボード10の上面に配置され、コンバイナ3は、車両のフロントガラスよりも運転者側に位置する。コンバイナ3は、例えば、透明なハーフミラーで構成されている。
【0004】
このHUDは、使用時に、図7に示すように、表示器2から投射された光が、折り返しミラー4で反射して、コンバイナ3に入射される。これにより、運転者は、コンバイナ3に表示された虚像(表示像)6を、車両前方の景色と合わせて視認することができる。
【0005】
さらに、このHUDでは、コンバイナ3に虚像6が表示されるように起こしたり、車両の前後方向に倒したりするように、コンバイナ3を回動させる回動機構部5を有している。これにより、図8に示すように、HUDの非使用時では、コンバイナ3が運転者の視界を邪魔しないようにという観点から、コンバイナ3を倒すことができるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
そして、通常、このHUDの非使用時では、コンバイナ3は、ケース1の上面と接する角度で、保持されるようになっている。
【特許文献1】特開平8−11580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記した構造のHUDでは、以下に説明するように、コンバイナ3を倒した状態にした場合、太陽光が運転者の目に入るという問題が生じる。
【0008】
図9に、非使用時におけるHUDと太陽11、12の光との関係を示す。図9に示すように、例えば、太陽11が車両の前方側に位置する場合では、太陽光11aがコンバイナ3の裏面3aに反射して、その反射光11bが運転者の目に入る場合がある。また、太陽12が、車両の上方側に位置する場合では、太陽光12aがコンバイナ3の裏面3aに反射し、さらに、コンバイナ3での反射光12bがフロントガラス13に反射して、その反射光12cが運転者の目に入る場合がある。このため、HUDの非使用時では、運転者が眩惑してしまう場合がある。
【0009】
なお、運転者の眩惑防止方法としては、コンバイナ3の裏面側を、光の反射を抑制する無反射膜(無反射コート)で皮膜する方法が考えられる。しかし、このような方法であっても、完全には光の反射を抑制することができず、通常、0.5%程度の反射が発生してしまう。月や星、夜間の街灯であれば、明るさから上記した問題を解決できるが、太陽光は極端に明るいため、上記した問題を解決できない。
【0010】
また、他の方法として、コンバイナ3をハーフミラーではなく、全反射の鏡(全面鏡)で構成し、裏面にダッシュボードのような反射対策処理をする方法が考えられる。この方法によれば、上記した問題を解決できるが、コンバイナ3が透明でないため、運転者が車両前方の景色に重ねて表示像を視認するというHUDが通常有する利点を損ない、好ましくない。
【0011】
また、他の方法として、HUDの構成を、非使用時のみ、光を反射しない板(カバー)でコンバイナ3を覆う構成とする方法も考えられる。しかし、この方法では、HUDの機構が複雑となり、HUDの生産コストが高くなるため、好ましくない。
【0012】
本発明は、上記点に鑑み、いわゆるポップアップ式のHUDであって、上記した方法と異なる方法により、太陽光がコンバイナの裏面に反射して運転者の目に入るのを防止することができるHUDを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、コンバイナ(3)は倒れた状態での保持角度が調整可能となっていることを特徴としている。
【0014】
これにより、コンバイナが倒れた状態になっている場合、コンバイナの角度を調整することで、太陽光がコンバイナの裏面に反射して運転者の目に入るのを防止することができる。
【0015】
なお、コンバイナの回動を、手動のほか、モータを用いることにより電動で実現することもできる。また、コンバイナが倒れた状態での保持角度の調整は、手動で行ったり、自動で行ったりすることができる。
【0016】
保持角度の調整を自動で行う場合、具体的には、請求項2に示すように、HUDを以下の構成とする。すなわち、回動手段としてのモータ(25)と、モータ(25)を制御する制御手段(31)とを有し、制御手段(31)が、車両に対する太陽の相対的な位置を検出する太陽位置検出手段(37、38、39)から検出結果が入力されるようにする。そして、コンバイナ(3)が倒れた状態の場合では、制御手段(31)が、検出結果に応じて、モータ(25)を制御することで、コンバイナ(3)の保持角度を調整する構成とする。
【0017】
なお、太陽位置検出手段としては、直接、太陽の位置を検出する手段を用いたり、請求項3に示すように、間接的に、太陽の位置を検出する手段を用いたりすることができる。
【0018】
具体的には、請求項3に示すように、太陽位置検出手段として、車両の進行方向検出手段(37)と、車両の傾斜量検出手段(38)と、車両の絶対位置検出手段(39)と、日時情報取得手段(39)とを用いることができる。これらにより、制御手段は、太陽の位置を推定することができる。
【0019】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態におけるHUDの側面断面図を示す。本実施形態のHUDは、上記背景技術の欄で説明したいわゆるポップアップ式のHUD(図7、8参照)に対して、コンバイナ3が倒れた状態でのコンバイナ3の保持角度を調整可能にしたものである。なお、図1では、図7、8のHUDと同様の構成部には、同一の符号を付している。また、図1中の左側が車両前方であり、図中右側が運転者側である。
【0021】
具体的には、HUDは、ケース1と、表示器2と、コンバイナ3と、折り返しミラー4と、回動機構部5とを有している。
【0022】
ケース1は、略直方体形状であり、例えば、金属により構成されている。なお、ケース1を樹脂により構成することもできる。ケース1は、ケース1の底面に配置されたダッシュボード固定部材1bを介して、ダッシュボードの上面に固定される。ダッシュボード固定部材1bは、軸部1cを有しており、これにより、ケース1が水平面上を回動可能となっている。
【0023】
ケース1が有する上面1aには、開口部1dが設けられている。そして、開口部1dから運転者に表示器2が見えないように、上面1aには、遮光板1eが設けられている。
【0024】
表示器2は、ケース1の内部で、底面に平行な方向に光を投射するようになっている。表示器2は、光源2aと、液晶素子2bと、光学レンズ2cとが表示器用ケース2d内に取り付けられた構成となっている。光源2aとしては、LED(発光ダイオード)や、キセノンランプを用いることができる。なお、表示器2としては、自発光の蛍光表示管(VFD)を用いることもできる。この場合、光源が不要となる。
【0025】
折り返しミラー4は、全面鏡(一般的な鏡)により、構成されている。折り返しミラー4は、表示器2に対向し、かつ、HUDの使用時(図7参照)において、表示器2から投射された光を反射して、開口部1dを介して、コンバイナ3にその光を入射するように、所定の傾斜角度でケース1の内部に配置されている。
【0026】
図2に、コンバイナ3とその回動機構部5を示す。コンバイナ3は、表示部3bと支持部3cとから構成されている。表示部3bは、半透過半反射のハーフミラーにより構成されている。なお、表示部3bを、ハーフミラーの代わりに、ホログラムで構成することもできる。
【0027】
本実施形態の回動機構部5は、回転中心軸21と、コンバイナ側ギヤ22と、減速ギヤ23、24と、モータ25とから構成されている。これらが、本発明の回動手段に相当する。回転中心軸21、減速ギヤ23、24、モータ25は、ケース1に固定されている。
【0028】
回転中心軸21は、コンバイナ3の支持部3bに設けられており、コンバイナ3を回動させるときに中心となる軸である。
【0029】
コンバイナ側ギヤ22は減速ギヤ23、24からの動力をコンバイナ3に伝えるものであり、コンバイナ3の支持部3bと一体となっている。なお、コンバイナ側ギヤ15と支持部3bは一体でなくても良く、これらを貼り合わせることもできる。
【0030】
減速ギヤ23、24はモータ25の回転を減速させるためのものである。なお、本実施形態では、減速ギヤを2つ用いているが、減速ギヤの数を他の数とすることもできる。
【0031】
モータ25は、コンバイナ3を電動で回動させる動力源である。モータ25としては、ステッパモータを用いることができる。これにより、例えば、1ノッチや0.1ノッチごと(所望の角度ごと)に、コンバイナ3を回動させることができる。また、モータ25は図示しないバッテリからの電力供給により、作動する。
【0032】
このような構成の回動機構部により、モータ25が回転すると、その動力が減速ギヤ23、24とコンバイナ側ギヤ22とを介してコンバイナ3に伝達する。これにより、回転中心軸21を中心にして、コンバイナ3を回動させ、コンバイナ3を起きた状態にしたり、倒れた状態にしたりすることができる。
【0033】
また、コンバイナ側ギヤ22は、その両端側が、それぞれ、第1の保持角度調整部22a、第2の保持角度調整部22bになっている。第1の保持角度調整部22aにより、コンバイナ3を起こした状態の場合(図7参照)に、コンバイナ3を適宜の角度だけ回動させることができ、コンバイナ3の保持角度(起立角度)が調整可能となっている。
【0034】
同様に、第2の保持角度調整部22bにより、図1に示すように、コンバイナ3を倒した状態の場合にも、コンバイナ3の保持角度が調整可能となっている。すなわち、第2の保持角度調整部22bにより、コンバイナ3を倒した状態でも、図1中の破線で示すように、任意の角度で、コンバイナ3を保持することができるようになっている。
【0035】
また、HUDは、図1には示していないが、制御手段としてのECU31と、表示回路32と、光源回路33と、モータ駆動回路34と、HUDのON/OFFスイッチ35と、表示位置調整スイッチ36とを有している。図3に、これらの回路ブロックを示す。
【0036】
ECU31は、表示器2の光源2a、液晶素子2c、モータ25を制御するものである。また、ECU31は、後述するように、コンバイナ3が倒れた状態の場合に、保持角度調整制御処理を実行するようになっている。
【0037】
表示回路32は、ECU31からの指示信号を受けて、液晶素子2cに表示する表示内容を制御する回路である。光源回路33は、ECU31からの指示信号を受けて、光源2aを制御する回路である。
【0038】
そして、ECU31に、例えば、図示しない車速センサやナビゲーション装置等から情報が入力されることで、コンバイナ3に、車速や簡易ナビゲーション、ナイトビュー等が表示されるようになっている。
【0039】
また、モータ駆動回路34は、ECU31からの指示信号を受けて、モータ25を駆動させる回路である。運転者がON/OFFスイッチ35を操作することで、ON時では、ON/OFFスイッチ35からECU31にON信号が入力され、ECU31からモータ駆動回路34に作動指示信号が入力されることで、モータ25により、コンバイナ3が起き上がるようになっている。
【0040】
一方、OFF時では、ON時と同様に、ON/OFFスイッチ35からECU31にOFF信号が入力されることで、モータ25により、コンバイナ3が倒れるようになっている。
【0041】
表示位置調整スイッチ36は、HUDの使用時におけるコンバイナ3の起立角度を調整することで、運転者の目の位置(上下方向)の違いを吸収して、コンバイナ3に表示される表示像6の位置を調整するためのものである。
【0042】
例えば、HUDの使用時に、運転者が、この表示位置調整スイッチ36を操作することで、ECU31に作動指示信号が入力され、ECU31がモータ駆動回路34に作動指示信号を出力する。これにより、モータ25が駆動して、コンバイナ3の起立時における保持角度が調整される。
【0043】
ここでは、運転者がスイッチ36を操作することで、コンバイナ3の起立角度を調整する場合を例として説明したが、各種センサを用いることで、シートの位置を検出したり、運転者の目の位置を検出したりして、コンバイナ3の起立角度を自動で調整することもできる。
【0044】
また、ECU31は、図3に示すように、車両に搭載されている各センサ、すなわち、地磁気センサ37、傾斜計38、GPS受信アンテナ(受信機、アンテナ)39から各種情報を有する信号が入力されるようになっている。
【0045】
地磁気センサ37は、車両の進行方向を検出する。傾斜計38は、車両の傾斜量(傾斜角度)を検出する。GPS受信アンテナ39は、衛星との通信により、車両の絶対位置(緯度経度)を検出し、日時も検出する。なお、この日時とは、年月日および時間のことである。
【0046】
これらの地磁気センサ37、傾斜計38、GPS受信アンテナ39が、本発明の太陽位置検出手段に相当する。さらに、この地磁気センサ37と傾斜計38とが、それぞれ、本発明の車両の進行方向検出手段と、車両の傾斜量検出手段とに相当する。また、GPS受信アンテナ39が本発明の車両の絶対位置検出手段および日時情報取得手段に相当する。
【0047】
次に、コンバイナ3が倒れた状態の場合に、太陽光による運転者の眩惑を防止する方法を説明する。
【0048】
運転者がHUDを使用しない場合では、ECU31は、コンバイナ3の保持角度の調整制御処理を実行する。この調整制御処理は、イグニッションスイッチがONで、かつ、HUDがOFFの状態の場合に実行される。
【0049】
この保持角度の調整制御処理では、ECU31は、まず、車両に対する太陽の相対的な位置を推定する。すなわち、ECU31は、地磁気センサ37、傾斜計38、GPS受信アンテナ39から入力された各検出結果(車両の進行方向、車両の傾斜量、車両の緯度経度、日時)から、車両に対する太陽の位置11、12を推定する。
【0050】
続いて、ECU31は、推定した太陽の位置11、12に基づいて、図4に示すように、コンバイナ3の裏面3aに反射した太陽光11a、11bや、コンバイナ3の裏面3aおよびフロントガラス13に反射した太陽光12a、12b、12cが、運転者の目に入らないように、適切なコンバイナ3の保持角度を算出する。
【0051】
そして、ECU31は、コンバイナ3の保持角度が、適切な角度でない場合、適切な保持角度となるように、モータ駆動回路34に作動指示信号を出力する。これにより、モータ25が作動することで、自動的に、コンバイナ3の保持角度が調整される。
【0052】
以上説明したように、本実施形態のHUDでは、コンバイナ3の支持部3bに、コンバイナ側ギヤにより構成された第2の保持角度調整部22bを有しており、コンバイナ3を倒した状態の場合に、コンバイナ3の保持角度が調整可能となっている。
【0053】
さらに、本実施形態のHUDでは、コンバイナ3の回動動力源となるモータ25と、モータ25を制御するモータ駆動回路34およびECU31とを有している。また、ECU31には、地磁気センサ37、傾斜計38、GPS受信アンテナ39から各種情報を有する信号が入力されるようになっている。そして、ECU31は、コンバイナ3が倒れた状態の場合に、上記したコンバイナ3の保持角度調整制御処理を実行することで、コンバイナ3の保持角度を自動調整するようになっている。
【0054】
これにより、コンバイナ3が倒れた状態になっている場合、コンバイナ3の角度を自動調整することで、太陽光がコンバイナ3の裏面3aに反射して運転者の目に入るのを防止することができる。この結果、運転者が、コンバイナ3の裏面3aで反射した太陽光により、眩惑するのを防ぐことができる。
【0055】
(第2実施形態)
第1実施形態では、コンバイナ3が倒れた状態(HUDの非使用時)のとき、コンバイナ3の角度を自動で適切な角度に設定する場合を例として説明したが、本実施形態のように、運転者がコンバイナ3の角度を設定することもできる。
【0056】
図5に、本発明の第2実施形態における回路ブロックを示す。具体的には、本実施形態では、HUDは、外部光反射防止スイッチ41を有している。そして、ECU31は、地磁気センサ37、傾斜計38、GPS受信アンテナ39(図3参照)の代わりに、外部光反射防止スイッチ41から信号が入力されるようになっている。その他の構成要素は、第1実施形態と同じである。
【0057】
ECU31は、この外部光反射防止スイッチ41から入力された信号を受けて、モータ駆動回路34を介して、モータ25を制御し、コンバイナ3が倒れた状態でのコンバイナ3の保持角度を変更するようになっている。
【0058】
例えば、外部光反射防止スイッチ41のボタンを長押しすると、コンバイナ3が回動することで、コンバイナ3の保持角度が所定の角度ずつ変更され、ボタンを放すとコンバイナ3の回動が止まる構成とすることができる。
【0059】
本実施形態では、運転者が、HUDの非使用時において、太陽光がコンバイナ3の裏面に反射したり、さらに、フロントガラス13に反射したりして、目に入ると感じた場合では、外部光反射防止スイッチ41のボタンを押す。
【0060】
そして、運転者は、コンバイナ3の保持角度が適切な角度となった場合に、ボタンを放す。これにより、太陽光がコンバイナ3の裏面に反射して、運転者の目に入るのを防ぐことができる。
【0061】
なお、本実施形態では、外部光反射防止スイッチ41を、表示位置調整スイッチ36とは別に設ける場合を例として説明したが、外部光反射防止スイッチ41と表示位置調整スイッチ36とを1つのスイッチで構成することもできる。
【0062】
(第3実施形態)
第1、第2実施形態では、モータ25を用いて、コンバイナ3の回動を電動で行う場合を例として説明したが、手動でコンバイナ3を回動させることもできる。
【0063】
図6に、本発明の第3実施形態におけるコンバイナ3と回動機構部5の側面図を示す。本実施形態のHUDは、図2中の回動機構部5において、減速ギヤ23、24とモータ25を、回動制止部42に変更した構成となっている。
【0064】
回動制止部42は、突起部42aを有しており、この突起部42aがコンバイナ側ギヤ22の凹部に位置することで、コンバイナ3の回動を制止させるものである。なお、コンバイナ側ギヤ22は、第1の保持角度調整部22a、第2の保持角度調整部22bを有するように、支持部3cの両端側にのみ設けられている。
【0065】
本実施形態においても、コンバイナ3が第2の保持角度調整部22bを有することから、HUDの非使用時において、運転者は、コンバイナ3の保持角度を手動で適切な角度に調整することができる。これにより、運転者は、太陽光がコンバイナ3の裏面に反射しして、目に入ると感じた場合では、コンバイナ3の保持角度を調整することで、太陽光がコンバイナ3の裏面に反射して、運転者の目に入るのを防ぐことができる。
【0066】
(他の実施形態)
(1)第1実施形態では、車両の進行方向検出手段として地磁気センサ37を用い、車両の傾斜量検出手段として傾斜計38を用い、車両の絶対位置検出手段としてGPS受信アンテナ39を用いる場合を例として説明したが、進行方向検出手段、傾斜量検出手段および絶対位置検出手段として、路車間通信用の受信アンテナを用いることもできる。
【0067】
なお、この路車間通信とは、道路に設けられた送信機から車両に搭載された受信アンテナに、道路情報(道路の傾斜、緯度経度等)を送信するものである。
【0068】
この場合、日時情報取得手段として、例えば、GPS受信機およびアンテナを用いることができる。
【0069】
(2)第1実施形態では、太陽位置検出手段として、地磁気センサ37、傾斜計38、GPS受信アンテナ39を用いて、車両に対する太陽の相対的な位置を推測する場合を例として説明したが、太陽位置検出手段として、カメラ等を用いて、直接、太陽の位置を検出することもできる。
【0070】
(3)第1、第2実施形態では、ECU31と、表示回路32と、光源回路33と、モータ駆動回路34とが別々の場合を例として説明したが、これらを1つのECUとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1実施形態におけるHUDの側面断面図である。
【図2】図1中のコンバイナ3とその回動機構部5の側面図である。
【図3】図1のHUDが有する回路のブロック図である。
【図4】図1のHUDの効果を説明するための断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態におけるHUDが有する回路のブロック図である。
【図6】本発明の第3実施形態におけるHUDのコンバイナ3とその回動機構部5の側面図である。
【図7】使用状態における従来のHUDの側面断面図である。
【図8】非使用状態における従来のHUDの側面断面図である。
【図9】本発明が解決する課題を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1…ケース、2…表示器、3…コンバイナ、4…折り返しミラー、5…回動機構部、
11、12…太陽、21…回転中心軸、
22…コンバイナ側ギヤ、22a…第1の保持角度調整部、
22b…第2の保持角度調整部、23、24…減速ギヤ、25…モータ、
31…ECU、32…表示回路、33…光源回路、34…モータ駆動回路、
35…HUDのON/OFFスイッチ、36…表示位置調整スイッチ、
37…地磁気センサ、38…傾斜計、39…GPS受信アンテナ、
41…外部光反射防止スイッチ、42…回動制止部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を投射する表示器(2)と、
車両のフロントガラス(13)よりも運転者側に配置され、前記光が入射されることで、虚像(6)を表示するコンバイナ(3)と、
前記コンバイナ(3)に前記虚像(6)が表示されるように起こしたり、車両の前後方向に倒したりするように、前記コンバイナを回動させる回動手段(5、21、22、23、24、25)とを備えるヘッドアップディスプレイにおいて、
前記コンバイナ(3)は倒れた状態での保持角度が調整可能となっていることを特徴とするヘッドアップディスプレイ。
【請求項2】
前記回動手段としてのモータ(25)と、
前記モータ(25)を制御する制御手段(31)とを有し、
前記制御手段(31)は、車両に対する太陽の相対的な位置を検出する太陽位置検出手段(37、38、39)から検出結果が入力されるようになっており、
前記制御手段(31)は、前記コンバイナ(3)が倒れた状態の場合に、前記検出結果に応じて、前記モータ(25)を制御することで、前記コンバイナ(3)の保持角度を調整するようになっていることを特徴とする請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項3】
前記太陽位置検出手段として、車両の進行方向検出手段(37)と、車両の傾斜量検出手段(38)と、車両の絶対位置検出手段(39)と、日時情報取得手段(39)とを用いることを特徴とする請求項2に記載のヘッドアップディスプレイ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−82593(P2006−82593A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−266668(P2004−266668)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】