説明

ベッドの荷重検出器

【課題】荷重検出性能に優れたベッドの荷重検出器を提供する。
【解決手段】荷重検出器1は、ベッド設置面15上に載置される基板部2と、基板部2にベッド設置面15に対して上方に離間した状態に略水平状に支持され、先端部にベッドの脚部が載置される載置板部7が一体に形成された片持ち梁部5と、片持ち梁部5の歪みを検出し、ベッドの脚部に掛かる荷重の検出に用いられる信号を出力する歪み検出センサ8と、を備えている。片持ち梁部5が基板部2に一体に形成されるとともに、片持ち梁部5と基板部2が押出材製である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ベッドの脚部とベッド設置面との間に介在されるベッドの荷重検出器、その製造方法、ベッドの在床状況検出装置、ベッドの在床状況検出方法、及びベッドの在床状況監視システムに関する。
【0002】
なお本明細書では、「アルミニウム」の語はその合金を含む意味において用いられる。
【背景技術】
【0003】
例えば、ベッド寝床部上の被験者(例:病人、高齢者、被介護者、健康人、乳幼児)の在床状況を検出する装置として、ベッドの脚部にロードセルを付設し、このロードセルからの出力信号に基づいて被験者の在床状況を検出するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、ベッドの脚部とベッド設置面との間に介在されるベッドの荷重検出器として、基体の上面に、感歪抵抗体が装着されたセンサ基板を設置し、その上側に、ベッドの脚部からの荷重を受けて感歪抵抗体を起歪させる荷重受け板を配置したものが知られている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−79585号公報
【特許文献2】特開2000−105884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ベッドの荷重検出器が、例えば、ベッド設置面上に載置される基板部と、基板部にベッド設置面に対して上方に離間した状態に略水平状に支持され、先端部にベッドの脚部が載置される載置板部を有する片持ち梁部と、を備えた片持ち梁式の荷重検出器であって、片持ち梁部と基板部とをそれぞれ個別に製造し、その後、片持ち梁部を基板部にボルト等の機械的締結手段により一体化して荷重検出器を製造する場合には、次の難点があった。
【0006】
すなわち、こうして製造された荷重検出器では、片持ち梁部の載置板部に荷重が繰り返し加わることによってボルト等の機械的締結手段に緩みが生じ、その結果、正確な荷重を検出できなくなるという難点があった。
【0007】
そこで、この難点を解消するため、片持ち梁部が基板部に一体に形成された荷重検出器を鋳造やダイカストにより製造することが考えられる。しかしながら、こうして製造された荷重検出器は、片持ち梁部に生じる歪み量のばらつきが大きいことが、本発明者らの実験により判明した。このように歪み量のばらつきが大きいと、荷重検出器により検出される荷重のばらつきが大きくなるという問題が発生する。
【0008】
本発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、荷重検出性能に優れたベッドの荷重検出器、その製造方法、ベッドの在床状況検出装置、ベッドの在床状況検出方法、及びベッドの在床状況監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は以下の手段を提供する。
【0010】
[1] ベッド設置面上に載置される基板部と、
基板部にベッド設置面に対して上方に離間した状態に略水平状に支持され、先端部にベッドの脚部が載置される載置板部が一体に形成された片持ち梁部と、
片持ち梁部の歪みを検出し、ベッドの脚部に掛かる荷重の検出に用いられる信号を出力する歪み検出センサと、を備え、
片持ち梁部が基板部に一体に形成されるとともに、片持ち梁部と基板部が押出材製であることを特徴とするベッドの荷重検出器。
【0011】
[2] 基板部は、互いに離間して対向配置された左右一対の側辺部と、該左右両側辺部の間に互いに離間して対向配置され、左右両側辺部の一端部同士及び他端部同士をそれぞれ相互に連結した前後一対の連結辺部と、を有し、
載置板部が基板部の左右両側辺部と前後両連結辺部との間で下降変位可能になるように、片持ち梁部が基板部の後連結辺部の上部に一体に形成されている前項1記載のベッドの荷重検出器。
【0012】
[3] 基板部の後連結辺部の下端部に、該後連結辺部から片持ち梁部の下側の位置に突出する突片部が一体に形成されるとともに、片持ち梁部と突片部との間に荷重検出器の幅方向に貫通した空洞部が設けられており、
歪み検出センサからの出力信号を制御する制御手段が突片部上に設置されている前項2記載のベッドの荷重検出器。
【0013】
[4] 基板部の左右両側辺部のうち少なくとも一方の側辺部に、載置板部の上面に向かって上り勾配のスロープが形成されている前項2又は3記載のベッドの荷重検出器。
【0014】
[5] 片持ち梁部にその幅方向に貫通したロバーバル機構形成孔が設けられることにより、片持ち梁部にロバーバル機構が形成されており、
片持ち梁部に歪み検出センサとして少なくとも1個の歪みゲージが装着されている前項1〜4のいずれかに記載のベッドの荷重検出器。
【0015】
[6] ベッド設置面上に載置される基板部と、
基板部にベッド設置面に対して上方に離間した状態に略水平状に支持され、先端部にベッドの脚部が載置される載置板部を一体に有する片持ち梁部と、
片持ち梁部の歪みを検出し、ベッドの脚部に掛かる荷重の検出に用いられる信号を出力する歪み検出センサと、を備えたベッドの荷重検出器の製造方法であって、
長尺な押出素材をその押出方向に所定の幅で切断することにより、素材を得る切断工程と、
片持ち梁部が基板部に一体に形成された状態になるように素材から載置板部と片持ち梁部を切削加工により形成する形成工程と、を含むことを特徴とするベッドの荷重検出器の製造方法。
【0016】
[7] 基板部は、互いに離間して対向配置された左右一対の側辺部と、該左右両側辺部の間に互いに離間して対向配置され、左右両側辺部の前端部同士及び後端部同士をそれぞれ相互に連結した前後一対の連結辺部と、を有しており、
載置板部が基板部の左右両側辺部と前後両連結辺部との間で下降変位可能になるように、片持ち梁部が基板部の後連結辺部の上部に一体に形成されており、
基板部の後連結辺部の下端部に、該後連結辺部から片持ち梁部の下側の位置に突出する突片部が一体に形成されるとともに、片持ち梁部と突片部との間に荷重検出器の幅方向に貫通した空洞部が設けられており、
片持ち梁部にその幅方向に貫通したロバーバル機構形成孔が設けられることにより、片持ち梁部にロバーバル機構が形成されており、
押出素材は、その押出時に形成され、その押出方向に延びたロバーバル機構形成孔用貫通孔及び空洞部用貫通孔を有しており、
前記形成工程は、
素材の載置板部対応部位の下面を座ぐり加工する第1座ぐり加工工程と、
素材の載置板部対応部位と突片部対応部位との間の境界部の下面を、空洞部用貫通孔と連通するように座ぐり加工することにより、素材の載置板部対応部位を突片部対応部位から分離する第2座ぐり加工工程と、
素材の左右各側辺部対応部位と片持ち梁部対応部位との間の境界部と、素材の左右各側辺部対応部位と載置板部対応部位との間の境界部と、素材の前連結辺部対応部位と載置板部対応部位との間の境界部とを、スリット加工することにより、素材の片持ち梁部対応部位と載置板部対応部位を、素材の左右各側辺部対応部位と前連結辺部対応部位から分離するスリット加工工程と、を備えている前項6記載のベッドの荷重検出器の製造方法。
【0017】
[8] 基板部の左右両側辺部のうち少なくとも一方の側辺部に、載置板部の上面に向かって上り勾配のスロープが形成されており、
前記形成工程は、素材の左右両側辺部対応部位のうち少なくとも一方の側辺部対応部位に、素材の載置板部対応部位の上面に向かって上り勾配のスロープを形成するスロープ形成工程を備えている前項7記載のベッドの荷重検出器の製造方法。
【0018】
[9] 前項1〜5のいずれかに記載のベッドの荷重検出器と、
荷重検出器の歪み検出センサからの出力信号に基づいて、被験者の在床状況を演算する演算手段と、を備えていることを特徴とするベッドの在床状況検出装置。
【0019】
[10] 前項1〜5のいずれかに記載のベッドの荷重検出器をベッド設置面上に設置するとともに、荷重検出器の載置板部上にベッドの脚部を載置し、この状態で、荷重検出器の歪み検出センサからの出力信号を用いて被験者の在床状況を検出することを特徴とするベッドの在床状況検出方法。
【0020】
[11] 前項1〜5のいずれかに記載のベッドの荷重検出器と、
荷重検出器の歪み検出センサからの出力信号に基づいて、被験者の在床状況を演算する演算手段と、
演算出段の演算結果を報知する報知手段と、を備えていることを特徴とするベッドの在床状況監視システム。
【発明の効果】
【0021】
本発明は以下の効果を奏する。
【0022】
[1]の発明では、片持ち梁部が基板部に一体に形成されているので、載置板部に荷重が繰り返し加わることによる荷重の検出精度の低下を防止できる。さらに、片持ち梁部を基板部に一体化するための機械的締結手段としてのボルトを挿通するボルト挿通孔の加工やタップ孔の加工を行う必要がないので、荷重検出器を容易に製造できる。
【0023】
さらに、片持ち梁部と基板部が押出材製であることにより、片持ち梁部に生じる歪み量のばらつきを小さくすることができる。これにより、荷重検出器の荷重検出性能が向上する。
【0024】
[2]の発明では、基板部は、互いに離間して対向配置された左右一対の側辺部と、該左右両側辺部の間に互いに離間して対向配置され、左右両側辺部の一端部同士及び他端部同士をそれぞれ相互に連結した前後一対の連結辺部と、を有し、載置板部が基板部の左右両側辺部と前後両連結辺部との間で下降変位可能になるように、片持ち梁部が基板部の後連結辺部の上部に一体に形成されているので、載置板部の下側には基板部が存在していない。これにより、ベッド設置面に対する載置板部の上面の高さを出来る限り低い位置に設定できる。したがって、この載置板部上にベッドの脚部を載置した場合に、ベッド寝床部の低床化を図ることができる。
【0025】
[3]の発明では、片持ち梁部と突片部との間に荷重検出器の幅方向に貫通した空洞部が設けられているので、載置板部に荷重が加わったときに片持ち梁部が確実に撓みうるものとなる。さらに、歪み検出センサからの出力信号を制御する制御手段が突片部上に設置されているので、制御手段を荷重検出器に内蔵させることができ、もって荷重検出器のコンパクト化を図ることができる。
【0026】
[4]の発明では、基板部の左右両側辺部のうち少なくとも一方の側辺部に、載置板部の上面に向かって上り勾配のスロープが形成されていることから、ベッドの脚部をベッド設置面から載置板部上に載置したり載置板部上からベッド設置面に降ろしたりする際に、ベッドの脚部をスロープ上を通過させることにより、ベッドの脚部の載置作業と降ろし作業を容易に行うことができる。
【0027】
[5]の発明では、片持ち梁部にロバーバル機構が形成されているので、片持ち梁部の歪みを正確に検出できる。
【0028】
[6]の発明では、本発明に係るベッドの荷重検出器を製造することができる。
【0029】
[7]の発明では、本発明に係るベッドの荷重検出器を確実に製造することができる。
【0030】
[8]の発明では、本発明に係るベッドの荷重検出器であって、基板部の左右両側辺部のうち少なくとも一方の側辺部に、載置板部の上面に向かって上り勾配のスロープが形成されたものを製造できる。
【0031】
[9]の発明では、被験者の在床状況を正確に検出することができる。
【0032】
[10]の発明では、被験者の在床状況を正確に検出することができる。
【0033】
[11]の発明では、被験者の在床状況を監視することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
次に、本発明の幾つかの実施形態について図面を参照して以下に示す。
【0035】
図1において、(1)は本発明の第1実施形態に係るベッドの荷重検出器である。図16において、(30)は、本発明の第1実施形態に係るベッドの在床状況検出装置である。この在床状況検出装置(30)は、本第1実施形態の荷重検出器(1)を複数個備えている。この在床状況検出装置(30)の構成は後述する。
【0036】
ベッド(50)は、医療施設(例:病院)、高齢者施設、介護施設、養護施設、一般家庭などで使用されるものであり、例えば一般に市販されているものである。このベッド(50)の寝床部(51)は平面視四角形状に形成されている。このベッド(50)は、ベッド設置面(15)上に設置されるものである。ベッド設置面(15)は、例えば、病室、寝室、検査室、診察室等における床面からなる。ベッド(50)は、ベッド寝床部(51)を所定高さ位置に水平状に支持する4個の脚部(52)(52)(52)(52)を有している。各脚部(52)の下端部には、ベッド移動用キャスタ(53)が取り付けられている。
【0037】
ベッド寝床部(51)上には、被験者(H)として、例えば、病人、認知症患者、高齢者、健康人、乳幼児等が睡眠、休息、検査、診察等のために様々な姿勢(例:仰臥姿勢、側臥姿勢、伏臥姿勢)で在床する。
【0038】
而して、図16に示すように、本第1実施形態の荷重検出器(1)は、ベッド(50)の脚部(52)に掛かる荷重を検出するものであり、ベッド(50)の脚部(52)とベッド設置面(15)との間に介在されるものである。ここで上述したように、ベッド(50)の脚部(52)の下端部にはベッド移動用キャスタ(53)が取り付けられていることから、本第1実施形態では、荷重検出器(1)は、ベッド(50)の脚部(52)の下端部のキャスタ(53)とベッド設置面(15)との間に介在されるものである。ただし本発明では、ベッド(50)の脚部(52)の下端部には必ずしもキャスタ(53)は設けられていなくても良い。
【0039】
なお本実施形態では、例えば最大2000N(200kgf)の荷重が1個の荷重検出器(1)に掛かることを想定している。
【0040】
ここで本明細書では、荷重検出器(1)の構成を理解し易くするため、図1及び図16に示すようにベッド(50)の脚部(52)に掛かる荷重を荷重検出器(1)により検出するために荷重検出器(1)がベッド(50)の脚部(52)とベッド設置面(15)との間に介在された状態において、ベッド寝床部(51)の長さ方向を荷重検出器(1)の前後方向(即ち長さ方向)とし、ベッド寝床部(51)の幅方向を荷重検出器(1)の左右方向(即ち幅方向)とする。ただし本発明では、荷重検出器(1)の前後方向や左右方向はこれに限定されるものではなく、任意に決定されるべきものである。
【0041】
荷重検出器(1)の長さ(即ち、荷重検出器(1)の前後方向の長さ)は例えば100〜300mmの範囲内に設定されており、またその幅(即ち、荷重検出器(1)の左右方向の長さ)は例えば100〜300mmの範囲内に設定されており、またその最大厚さ(最大高さ)は例えば10〜60mmの範囲内に設定されている。ただし本発明では、荷重検出器(1)の各寸法は上記の範囲内であることに限定されるものではなく、ベッド(50)の脚部(52)のキャスタ(53)の大きさ、ベッド(50)の重量、被験者(H)の体重、荷重検出器(1)の材質などに応じて様々に設定されるものである。
【0042】
荷重検出器(1)は、図1〜図4に示すように、基板部(2)と、片持ち梁部(5)と、歪み検出センサとしての4個の歪みゲージ(8)(8)(8)(8)とを備えている。
【0043】
荷重検出器(1)の基板部(2)と片持ち梁部(5)は金属押出材製であり、詳述すると本第1実施形態ではアルミニウム押出材製である。また、この荷重検出器(1)の幅方向が押出素材(20)の押出方向(E)に設定されている(図5参照)。ただし本発明では、片持ち梁部(5)と基板部(2)は、アルミニウム以外の金属押出材製であっても良い。
【0044】
基板部(2)は、ベッド設置面(15)上に載置されるものであり、片持ち梁部(5)を片持ち梁状に支持するものである。
【0045】
この基板部(2)は、互いに離間して対向配置された左右一対の側辺部(2a)(2a)と、該左右両側辺部(2a)(2a)の間に互いに離間して配置された前後一対の連結辺部(2b)(2c)とを有している。そして、左右両側辺部(2a)(2a)の前端部同士が前連結辺部(2b)を介して相互に一体に連結されるとともに、左右両側辺部(2a)(2a)の後端部同士が後連結辺部(2c)を介して相互に一体に連結されている。これにより、この基板部(2)は平面視略ロ字状(ロ字状)に形成されている。
【0046】
なお、この基板部(2)の下面にはベッド設置面(15)に対するゴム製滑り止め片(図示せず)が必要に応じて貼着される。
【0047】
片持ち梁部(5)は、所定の長さを有するものであり、弾性的に撓曲(即ち屈曲)可能な起歪体として機能するものである。この片持ち梁部(5)の先端部(即ち自由端部)には載置板部(7)が一体に形成されている。図3及び図16に示すように、この載置板部(7)上にはベッド(50)の脚部(52)のキャスタ(53)が載置される。
【0048】
この片持ち梁部(5)は基板部(2)の所定の部位に一体に形成されている。詳述すると、この片持ち梁部(5)は、基板部(2)の後連結辺部(2c)の上端部に、基板部(2)の左右両側辺部(2a)(2a)の間において後連結辺部(2c)の前方向に水平に突出した片持ち梁状に一体に形成されている。これにより、片持ち梁部(5)は、ベッド設置面(15)に対して上方に離間した状態に水平状に後連結辺部(2c)の上端部に支持されている。
【0049】
さらに、図3及び図4に示すように、片持ち梁部(5)の載置板部(7)の下面全面は、基板部(2)の左右両側辺部(2a)(2a)及び前後両連結辺部(2b)(2c)の下面よりも例えば1〜5mmの深さで凹んでいる。そのため、図3に示すように、基板部(2)がベッド設置面(15)上に載置された状態において、載置板部(7)の下面の高さ位置は、基板部(2)の左右両側辺部(2a)(2a)及び前後両連結辺部(2b)(2c)の下面よりも少し高い位置に設定されている。これにより、載置板部(7)はベッド設置面(15)から上方に少し離間した状態に配置される。したがって、載置板部(7)が基板部(2)の左右両側辺部(2a)(2a)と前後両連結辺部(2b)(2c)との間で下降変位可能になるように、片持ち梁部(5)が基板部(2)の後連結辺部(2c)の上端部に一体に形成されている。
【0050】
載置板部(7)の上面の高さ位置は、片持ち梁部(5)の上面の高さよりも低い位置に設定されており、これにより、載置板部(7)の上面と片持ち梁部(5)の上面との間に段部(7d)が形成されている。この段部(7d)は、ベッド(50)の脚部(52)のキャスタ(53)を載置板部(7)上に載置する際に該キャスタ(53)の移動を止めるストッパ壁部として機能している。
【0051】
片持ち梁部(5)の長さは例えば20〜120mmの範囲内に設定されており、またその幅は例えば30〜150mmの範囲内に設定されており、またその厚さは例えば10〜30mmの範囲内に設定されている。
【0052】
載置板部(7)の長さは例えば70〜150mmの範囲内に設定されており、またその幅は例えば60〜150mmの範囲内に設定されており、またその厚さは例えば10〜50mmの範囲内に設定されている。基板部(2)の下面又はベッド設置面(15)に対する載置板部(7)の上面の高さは例えば5〜20mmの範囲内に設定されている。
【0053】
ただし本発明では、片持ち梁部(5)及び載置板部(7)の各寸法は上記の範囲内であることに限定されるものではなく、ベッド(50)の脚部(52)のキャスタ(53)の大きさ、ベッド(50)の重量、被験者(H)の体重、片持ち梁部(5)及び載置板部(7)の材質などに応じて様々に設定されるものである。
【0054】
また、図3及び図4に示すように、基板部(2)の後連結辺部(2c)の下端部には、該後連結辺部(2c)から片持ち梁部(5)の下側の位置に突出する突片部(2d)が一体に形成されている。さらに、片持ち梁部(5)と突片部(2d)との間に、荷重検出器(1)の幅方向に貫通した断面四角形状の空洞部(9)が設けられている。この突片部(2d)の先端部は載置板部(7)には当接しておらず、すなわち、突片部(2b)の先端部と載置板部(7)との間には隙間が僅かに設けられている。
【0055】
また、片持ち梁部(5)にはその幅方向に貫通した断面略メガネ状のロバーバル機構形成孔(6a)が設けられ、これにより、片持ち梁部(5)にロバーバル機構(6)が形成されている。
【0056】
また、図1に示すように、基板部(2)の左右各側辺部(2a)には、載置板部(7)の上面に向かって上り勾配のスロープ(3)が形成されており、これにより、各側辺部(2a)の上面が載置板部(7)の上面に向かって上り勾配のスロープ面に形成されている。さらに、図1及び図3に示すように、基板部(2)の前連結辺部(2b)には、載置板部(7)の上面に向かって上り勾配のスロープ(3)が形成されており、これにより、前連結辺部(2b)の上面が載置板部(7)の上面に向かって上り勾配のスロープ面に形成されている。
【0057】
歪みゲージ(8)は、片持ち梁部(5)の歪み(該歪みの変動を含む)を検出し、これにより、ベッド(50)の脚部(52)に掛かる荷重の検出に用いられる信号、即ち荷重検出信号を出力するものである。本第1実施形態では、歪みゲージ(8)の個数は4個である。
【0058】
これらの歪みゲージ(8)(8)(8)(8)は、互いに電気的に接続されてブリッジ回路(詳述するとホイートストンブリッジ回路)が形成されている。図3に示すように、これらの歪みゲージ(8)(8)(8)(8)は、片持ち梁部(5)のロバーバル機構(6)が形成された部位の上面に貼着されて片持ち梁部(5)に装着されている。これらの歪みゲージ(8)(8)(8)(8)は、載置板部(7)に荷重が下方向に加わることにより片持ち梁部(5)に生じた歪みを検出し、これにより、荷重検出信号として電気的な信号を出力するものである。詳述すると、こられの歪みゲージ(8)(8)(8)(8)から出力される信号(即ち、荷重検出信号)とは、これらの歪みゲージ(8)(8)(8)(8)が組み込まれたブリッジ回路から出力される電圧である。
【0059】
図3において、(10)は制御手段である。この制御手段(10)は、制御基板(10a)上に搭載された状態で、基板部(2)の突片部(2d)上に固定状態に設置されている。この制御手段(10)は、複数個の歪みゲージ(8)(8)(8)(8)が組み込まれたブリッジ回路からの出力信号を制御するものであり、詳述すると、ブリッジ回路からの出力信号を増幅する増幅部、増幅された信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換部、変換された信号を後述する演算手段(31)に送信する通信部などを有している。この制御手段(10)と複数個の歪みゲージ(8)(8)(8)(8)とは信号線(図示せず)を介して連結されている。
【0060】
次に、本第1実施形態の荷重検出器(1)の製造方法について、図5〜図15を参照して以下に説明する。
【0061】
まず、図5に示すように、荷重検出器(1)の断面形状(詳述すると縦断面形状)と同じ断面形状(詳述すると横断面形状)の長尺な押出素材(20)を準備する。この押出素材(20)は公知の押出装置(図示せず)により容易に製造することができる。この押出素材(20)の断面形状は荷重検出器(1)の断面形状と同じであることから、この押出素材(20)は、その押出方向(E)に延びたロバーバル機構形成孔(6a)用貫通孔(26a)と空洞部(9)用貫通孔(29)とを有している。これらの貫通孔(26a)(29)はいずれも押出素材(20)の押出時に形成されたものである。
【0062】
この押出素材(20)をその押出方向(E)に荷重検出器(1)(詳述すると、荷重検出器(1)の基板部(2))の幅で切断する[切断工程]。これにより、荷重検出器(1)製造用の素材(21)(即ち、切断素材)を得る。なお(C)は、押出素材(20)の切断予定線である。
【0063】
図6に示すように、こうして得られた素材(21)は、荷重検出器(1)を構成する全ての部位に対応する部位を有しており、すなわち、基板部対応部位(22)と左右両側辺部対応部位(22a)(22a)と前後両連結辺部対応部位(22b)(22c)と突片部対応部位(22d)(図7及び図8参照)と片持ち梁部対応部位(25)と載置板部対応部位(27)とを有している。
【0064】
次いで、片持ち梁部(5)が基板部(2)の後連結部(2c)の上端部に一体に形成された状態になるように、この素材(21)から片持ち梁部(5)と基板部(2)を切削加工により形成する[形成工程]。
【0065】
この形成工程について詳述すると次のとおりである。
【0066】
図7及び図8に示すように、素材(21)の載置板部対応部位(27)の下面(27y)を所定の深さに座ぐり加工する[第1座ぐり加工工程]。これにより、素材(21)の載置板部対応部位(27)の下面(27y)の高さ位置が、素材(1)の左右両側辺部対応部位(22a)(22a)及び前後両連結辺部対応部位(22b)(22c)の下面よりも少し高い位置に設定される。
【0067】
次いで、図9及び図10に示すように、素材(21)の載置板部対応部位(27)と突片部対応部位(22d)との間の境界部(27z)の下面を、空洞部(9)用貫通孔(29)と連通するように座ぐり加工する[第2座ぐり加工工程]。これにより、素材(21)の載置板部対応部位(27)を突片部対応部位(22d)から分離する。
【0068】
次いで、図11に示すように、素材(21)の左右各側辺部対応部位(22a)と片持ち梁部対応部位(25)との間の境界部(28a)と、素材(21)の左右各側辺部対応部位(22a)と載置板部対応部位(27)との間の境界部(28b)と、素材(21)の前連結辺部対応部位(22b)と載置板部対応部位(27)との間の境界部(28c)とを、これらの上面から一括してスリット加工する[スリット加工工程]。これにより、図12及び図13に示すように、各境界部にスリット溝(28)が形成され、その結果、素材(21)の片持ち梁部対応部位(25)と載置板部対応部位(27)が、素材(21)の左右各側辺部対応部位(22a)と前連結辺部対応部位(22b)から分離される。
【0069】
次いで、図14及び図15に示すように、素材(21)の左右各側辺部対応部位(22a)の上面(22z)を削ることにより、該各側辺部対応部位(22a)に、素材(21)の載置板部対応部位(27)の上面に向かって上り勾配のスロープ(3)を形成する[スロープ形成工程]。なお、素材(21)の前連結辺部対応部位(22b)には、押出素材(20)の押出時に形成されたスロープ(3)が予め形成されている。
【0070】
以上の工程により、上記第1実施形態の荷重検出器(1)が製造される。
【0071】
次いで、こうして製造された荷重検出器(1)の片持ち梁部(5)のロバーバル機構(6)が形成された部位の上面に、ブリッジ回路を構成する4個の歪みゲージ(8)(8)(8)(8)を貼着する。また、荷重検出器(1)の突片部(2d)上に、制御手段(10)を搭載した制御基板(10a)を固定状態に設置する。
【0072】
なお本第1実施形態では、第1座ぐり加工工程、第2座ぐり加工工程、スリット加工工程及びスロープ形成工程は、この順に行われている。しかるに本発明では、これらの工程を行う順序は、これに限定されるものではなく、任意に決定されるもので様々に変更可能である。
【0073】
次に、本第1実施形態のベッドの在床状況検出装置(30)を以下に説明する。
【0074】
図16に示すように、本第1実施形態のベッドの在床状況検出装置(30)は、ベッド寝床部(51)上の被験者(H)の在床状況として、被験者(H)の寝姿に対応した値、離床、在床(入床)、被験者(H)の体動の有無、被験者(H)が上体を起こしたか否かなどを検出するものである。
【0075】
この検出装置(30)は、ベッド(50)の各脚部(52)とベッド寝床面(15)との間に介在される上記第1実施形態の4個の荷重検出器(1)(1)(1)(1)と、演算手段(31)と、通信手段(32)と、報知手段(33)とを備えている。
【0076】
演算手段(31)は、これらの荷重検出器(1)(1)(1)(1)の歪み検出センサとしての歪みゲージ(8)(詳述すると、歪みゲージ(8)が組み込まれたブリッジ回路)からの出力信号に基づいて、被験者(H)の在床状況を演算するものである。この演算手段(31)は、例えば、CPUと、ROM、RAM等の記憶部とを有するコンピュータにより構成されている。(34)は、各荷重検出器(1)からの出力信号を演算手段(31)に送信する信号線である。なお本発明では、各荷重検出器(1)からの出力信号は例えば無線通信手段により演算手段(31)に送信されるように構成されていても良い。
【0077】
この演算手段(31)は、寝室、病室、ナースステーション、監視室、介護者の詰め所などに設置されるものである。
【0078】
通信手段(32)は、例えばモデムにより構成されており、演算手段(31)の演算結果として、被験者(H)の在床状況に関する情報を、電話回線網、インターネット、有線LAN、無線LANなどの無線通信網又は有線通信網を介して報知手段(33)に送信するものである。電話回線網としては、例えば、固定電話の回線網や携帯電話(PHSを含む)の回線網が用いられる。
【0079】
報知手段(33)は、演算手段(31)の演算結果として、被験者(H)の在床状況に関する情報を報知対象者に対して報知するものである。報知対象者としては、看護師、介護者、監視者などが挙げられる。
【0080】
この報知手段(33)は、報知スピーカ、報知ランプ、表示手段などを有している。報知スピーカは、所定の情報を音声やブザー音等の音で報知対象者に対して報知するものである。報知ランプは、所定の情報をランプの点灯や点滅等で報知対象者に対して報知するものである。表示手段は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRT等により構成されており、所定の情報を文字、図等の表示により報知対象者に対して報知するものである。
【0081】
この報知手段(33)は、ナースステーション、監視室、介護者の詰め所などに設置されたり、あるいは固定電話機や携帯電話機などに搭載されるものである。
【0082】
次に、本第1実施形態の荷重検出器(1)及び在床状況検出装置(30)を用いて遂行されるベッドの在床状況検出方法について以下に説明する。
【0083】
まず、ベッド設置面(15)上における、ベッド(50)の各脚部(52)のキャスタ(53)に対応する位置に、それぞれ荷重検出器(1)を載置する。次いで、各荷重検出器(1)の載置板部(7)上にベッド(50)の対応する脚部(52)のキャスタ(53)を載置する。そして、各荷重検出器(1)の歪みゲージ(8)(8)(8)(8)から出力される信号について、ベッド(50)の荷重を風袋とした風袋処理を演算手段(31)により行う。
【0084】
その後、この状態で、ベッド寝床部(51)上に被験者(H)が在床する。すると、各荷重検出器(1)の片持ち梁部(5)の載置板部(7)に、ベッド(50)の脚部(52)のキャスタ(53)から被験者(H)の体重に対応する荷重が下方向に加わる。これにより、載置板部(7)が基板部(2)の左右両側辺部(2a)(2a)と前後両連結辺部(2b)(2c)との間で下降変位するとともに、載置板部(7)が下降変位するのに伴い、片持ち梁部(5)の先端部が下方に変位するように片持ち梁部(5)が弾性的に僅かに撓曲(屈曲)する。その結果、片持ち梁部(5)に歪みが生じる。この歪みが、歪み検出センサとしての4個の歪みゲージ(8)(8)(8)(8)により検出される。そして、これらの歪みゲージ(8)(8)(8)(8)が組み込まれたブリッジ回路から電圧が、ベッド(50)の各脚部(52)に掛かる荷重の検出に用いられる電気的な信号(即ち、荷重検出信号)として出力される。この出力信号(詳述すると出力電圧)に基づいて、ベッド(50)の各脚部(52)に掛かる荷重が演算手段(31)により演算される。さらに、この荷重に基づいて被験者(H)の在床状況が演算手段(31)により演算される。
【0085】
ここで、この演算手段(31)により演算される被験者(H)の在床状況が、例えば被験者(H)がベッド寝床部(51)上に在床(入床)したか否かである場合、この演算手段(31)で行われる演算は次のとおりである。
【0086】
4個の荷重検出器(1)(1)(1)(1)からの総出力信号、あるいはこの総出力信号に基づいて演算された総荷重が、予め設定された所定の閾値よりも大きいか否かを判定する。この判定結果において総出力信号又は総荷重が閾値よりも大きいと判定された場合、被験者(H)がベッド寝床部(51)上に在床したと判定する。一方、総出力信号又は総荷重が閾値以下であると判定された場合、被験者(H)がベッド寝床部(51)上に在床していないと判定する。このような演算が演算手段(31)により行われる。
【0087】
ただし本発明では、演算手段(31)により演算される被験者(H)の在床状況は、上記の在床状況であることに限定されるものではなく、その他に、被験者(H)の寝姿に対応した値、離床、体動の有無、被験者(H)が上体を起こしたか否かなどが挙げられる。また本発明では、演算手段(31)の演算方法は上記の方法であることに限定されるものではない。
【0088】
演算手段(31)の演算結果としての被験者(H)の在床状況に関する情報は、通信手段(32)により演算手段(31)から報知手段(33)に送信され、そして、報知手段(33)により報知対象者に対して報知される。これにより、報知対象者は被験者(H)の在床状況に関する情報を知ることができる。
【0089】
而して、本第1実施形態の荷重検出器(1)は次の利点がある。
【0090】
即ち、本第1実施形態の荷重検出器(1)では、片持ち梁部(5)が基板部(2)に一体に形成されているので、載置板部(7)に荷重が繰り返し加わることによる荷重の検出精度の低下を防止できる。したがって、長期に亘って荷重検出器(1)を使用できる。さらに、片持ち梁部(5)を基板部(2)に一体化するための機械的締結手段としてのボルトを挿通するボルト挿通孔の加工やタップ孔の加工を行う必要がないので、荷重検出器(1)を容易に製造できる。
【0091】
さらに、片持ち梁部(5)と基板部(2)が押出材製であることにより、片持ち梁部(5)に生じる歪み量のばらつきを小さくすることができる。これにより、荷重検出器(1)の荷重検出性能が向上する。もとより、片持ち梁部(5)と基板部(2)がアルミニウム押出材製であるから、荷重検出器(1)の軽量化を図ることができる。
【0092】
ここで、本発明者らは、片持ち梁部(5)が基板部(2)に一体に形成された荷重検出器(1)を押出材から製造するのではなく、鋳造やダイカストにより製造した場合、なぜ片持ち梁部(5)に生じる歪み量のばらつきが大きいのかについて推察した。その結果、鋳造材やダイカスト材中に存在する微細な鋳巣が歪み量のばらつきを生じさせているとの結論に達した。これに対して、片持ち梁部(5)が基板部(2)に一体に形成された荷重検出器(1)を押出材から製造した場合には、押出材中には鋳巣が存在しないので、歪み量のばらつきを格段に小さくすることができ、もって荷重検出精度の向上を図ることができる。
【0093】
さらに、基板部(2)は、互いに離間して対向配置された左右一対の側辺部(2a)(2a)と、該左右両側辺部(2a)(2a)の間に互いに離間して対向配置され、左右両側辺部(2a)(2a)の一端部同士及び他端部同士をそれぞれ相互に連結した前後一対の連結辺部(2b)(2c)と、を有し、載置板部(7)が基板部(2)の左右両側辺部(2a)(2a)と前後両連結辺部(2b)(2c)との間で下降変位可能になるように、片持ち梁部(5)が基板部(2)の後連結辺部(2c)の上端部に一体に形成されているので、載置板部(7)の下側には基板部(2)が存在していない。これにより、ベッド設置面(15)に対する載置板部(7)の上面の高さ位置を出来る限り低い位置に設定できる。したがって、この載置板部(7)上にベッド(50)の脚部(52)のキャスタ(53)を載置した場合に、ベッド寝床部(51)の低床化を図ることができる。
【0094】
さらに、基板部(2)の左右両側辺部(2a)(2a)にそれぞれ載置板部(7)の上面に向かって上り勾配のスロープ(3)(3)が形成されていることから、ベッド(50)の脚部(52)のキャスタ(53)をベッド設置面(15)から載置板部(7)上に載置したり載置板部(7)上からベッド設置面(15)に降ろしたりする際に、ベッド(50)の脚部(52)のキャスタ(53)をスロープ(3)上を通過させることにより、ベッド(50)の脚部(52)の載置作業と降ろし作業を容易に行うことができる。
【0095】
さらに、片持ち梁部(5)と突片部(2d)との間に荷重検出器(1)の幅方向に貫通した空洞部(9)が設けられているので、載置板部(7)に荷重が加わったときに片持ち梁部(5)が確実に撓みうるものとなる。さらに、歪み検出センサとしての歪みゲージ(8)からの出力信号を制御する制御手段(10)を搭載した制御基板(10a)が突片部(2d)上に設置されているので、制御手段(10)を荷重検出器(1)に内蔵させることができ、もって荷重検出器(1)のコンパクト化を図ることができる。
【0096】
さらに、片持ち梁部(5)にロバーバル機構(6)が形成されているので、片持ち梁部(5)の歪みを正確に検出できる。
【0097】
また、本第1実施形態の荷重検出器(1)の製造方法は、長尺な押出素材(20)をその押出方向(E)に荷重検出器(1)の幅で切断することにより、素材(1)を得る切断工程と、片持ち梁部(5)が基板部(2)の後連結辺部(2c)の上端部に一体に形成された状態になるように素材(21)から載置板部(7)と片持ち梁部(5)を切削加工により形成する形成工程と、を含んでいるので、本第1実施形態の荷重検出器(1)を確実に製造することができる。
【0098】
さらに、荷重検出器(1)の製造方法における形成工程は、第1座ぐり加工工程と、第2座ぐり加工工程と、スリット加工工程と、スロープ形成工程とを備えているので、本第1実施形態の荷重検出器(1)を更に確実に製造することができる。
【0099】
本第1実施形態のベッドの在床状況検出装置(30)は、本第1実施形態の荷重検出器(1)を備えているので、検出荷重のばらつきが小さい等の上述した利点を有している。したがって、この検出装置(30)によれば、被験者(H)の在床状況を正確に検出することができる。
【0100】
本第1実施形態のベッドの在床状況監視システム(40)は、本第1実施形態の在床状況検出装置(30)を備えている。したがって、この監視システム(40)によれば、被験者(H)の在床状況を遠隔地等で監視することができる。
【0101】
図17及び図18は、本発明の第2実施形態に係るベッドの荷重検出器(1)を説明する図である。
【0102】
この荷重検出器(1)は、基板部(2)が載置される敷き板(12)を具備している。この敷き板(12)は、基板部(2)がベッド設置面(15)上に載置される際に基板部(2)の下に敷かれるものであり、例えば樹脂製である。
【0103】
この敷き板(12)の左右両側縁部には左右一対の側枠部(13)(13)が一体に形成されている。図17に示すように、該両側枠部(13)(13)は、敷き板(12)上に基板部(2)が載置された状態のもとで、基板部(2)の左右両側辺部(2a)(2a)の外側に配置されるものである。また、図18に示すように、敷き板(12)の中央部には、載置板部(7)の底面形状(即ち四角形状)に対応する断面形状(即ち断面四角形状)の開孔(12a)が設けられている。そして、基板部(2)が敷き板(12)上に載置された状態において、載置板部(7)が基板部(2)の左右両側辺部(2a)(2a)と前後両連結辺部(2b)(2c)の間と、更にこの開孔(12a)の内側とで下降変位可能になるように、片持ち梁部(5)が基板部(2)の後連結辺部(2c)の上端部に一体に形成されている。
【0104】
また、この荷重検出器(1)では、基板部(2)の左右両側辺部(2a)(2a)にはスロープは形成されておらず、その代わりに、敷き板(12)の左右両側枠部(13)(13)に載置板部(7)の上面に向かって上り勾配のスロープ(14)(14)が形成されている。したがって、この敷き板(12)を用いることにより、基板部(2)の左右両側辺部(2a)(2a)にスロープを形成する必要がなく、すなわちスロープ形成工程を省略することができる。
【0105】
以上で本発明の幾つかの実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に示したものに限定されるものではなく、様々に設定変更可能である。
【0106】
例えば、本実施形態では、荷重検出器(1)の片持ち梁部(5)と基板部(2)の材質はアルミニウムであるが、本発明では、その他に、アルミニウム以外の金属、例えば、鋼、銅(その合金を含む)であっても良いし、その他の材料であっても良い。
【0107】
また、本実施形態では、片持ち梁部(5)は基板部(2)の後連結辺部(2c)の上端部に一体に形成されている。しかるに、本発明では、片持ち梁部(5)が一体に形成される基板部(2)の部位は、後連結辺部(2c)であることに限定されるものではなく、基板部(2)であれば良い。具体的に例示すると、本発明では、片持ち梁部(5)は、例えば、基板部(2)の左右両側辺部(2a)(2a)のいずれか一方の側辺部(2a)の上部に一体に形成されていても良いし、前連結辺部(2b)の上部に一体に形成されていても良い。
【0108】
また本発明では、基板部(2)の左右両側辺部(2a)(2a)にそれぞれスロープ(3)(3)が形成されていても良いし、いずれか一方の側辺部(2a)にのみスロープ(3)が形成されていも良い。
【0109】
また本発明では、歪み検出センサとして1個の歪みゲージ(8)が片持ち梁部(5)に装着されていても良いし、2個や3個以上の歪みゲージ(8)が片持ち梁部(5)に装着されていても良い。
【0110】
また本発明では、歪み検出センサは、歪みゲージ(8)以外のセンサ、例えば、電導性エラストマセンサ(即ち、電導性ゴムセンサや電導性樹脂センサ等)、電歪デバイスセンサ、圧電デバイスセンサ、磁歪デバイスセンサであっても良いし、これらのセンサからなる群より選択される1個又は2個以上のセンサであっても良い。
【実施例】
【0111】
次に、本発明の具体的な実施例及び比較例を以下に示す。ただし本発明は、後述する実施例に限定されるものではない。
【0112】
<実施例>
上記第1実施形態の荷重検出器(1)を準備した。この荷重検出器(1)の片持ち梁部(5)と基板部(2)はアルミニウム押出材(材質:A6061)製であって、片持ち梁部(5)が基板部(2)の後連結辺部(2c)の上端部に一体に形成されている。
【0113】
この荷重検出器(1)の載置板部(7)上における位置依存性を調べた。その測定位置は図2に示した4箇所A、B、C、Dである。その結果を表1に示す。
【0114】
なお、位置依存性の算出方法は次のとおりである。
【0115】
各測定位置において、荷重X(単位:kgf)と、荷重検出器(1)の歪みゲージ(8)から出力される電圧Y(単位:mV)との関係式Y=a・X+bを求めた。なおこの関係式において、bは無荷重時の出力電圧である。そして、4箇所の測定位置で求められた関係式におけるaの値に基づいて、次式(i)により位置依存性(単位:%)を算出した。
【0116】
位置依存性={(aの最大値)/(aの最小値)−1}×100 …(i)
【0117】
<比較例>
片持ち梁部(5)が基板部(2)の後連結辺部(2c)の上端部にアルミニウムダイカストにより一体に形成されたこと以外は、実施例と同じ構成の荷重検出器を準備した。使用したアルミニウムダイカスト材は、JIS(日本工業規格) ADC12である。
【0118】
この荷重検出器(1)の載置板部(7)上における位置依存性を調べた。その測定位置及び測定方法は実施例と同じである。その結果を表1に示す。
【0119】
【表1】

【0120】
表1に示すように、実施例の位置依存性は比較例の位置依存性よりも良好である。したがって、実施例の荷重検出器(1)は検出荷重のばらつきが小さく、すなわち実施例の荷重検出器(1)は荷重検出性能に優れていることを確認できた。なお、比較例の位置依存性が悪い原因は、ダイカスト材中に不可避的に存在する鋳巣の影響によるものと推測される。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、例えば、ベッドの脚部とベッド設置面との間に介在されるベッドの荷重検出器、その製造方法、ベッドの在床状況検出装置、ベッドの在床状況検出方法、及びベッドの在床状況監視システムに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係るベッドの荷重検出器の斜視図である。
【図2】図2は、同荷重検出器の平面図である。
【図3】図3は、図2中のX−X線断面図である。
【図4】図4は、同荷重検出器の底面図である。
【図5】図5は、同荷重検出器製造用素材と押出素材の斜視図である。
【図6】図6は、素材の拡大斜視図である。
【図7】図7は、第1座ぐり加工工程後の素材の底面図である。
【図8】図8は、図7中のX−X線断面図である。
【図9】図9は、第2座ぐり加工工程後の素材の底面図である。
【図10】図10は、図9中のX−X線断面図である。
【図11】図11は、スリット加工後の素材の平面図である。
【図12】図12は、図11中のX−X線断面図である。
【図13】図13は、図11中のY−Y線断面図である。
【図14】図14は、スロープ形成工程後の素材の平面図である。
【図15】図15は、スロープ形成工程後の素材の斜視図である。
【図16】図16は、同荷重検出器を使用状態で示す概略斜視図である。
【図17】図17は、本発明の第2実施形態に係るベッドの荷重検出器を敷き板上に載置した状態で示す斜視図である。
【図18】図18は、同荷重検出器を敷き板から分離した状態で示す斜視図である。
【符号の説明】
【0123】
1…荷重検出器
2…基板部
2a…側辺部
2b…前連結辺部
2c…後連結辺部
2d…突片部
3…スロープ
5…片持ち梁部
6…ロバーバル機構
6a…ロバーバル機構形成孔
7…載置板部
8…歪みゲージ(歪み検出センサ)
9…空洞部
10…制御手段
10a…制御基板
12…敷き板
15…ベッド設置面
20…押出素材
21…素材
22…基板部対応部位
22a…側辺部対応部位
22b…前連結辺部対応部位
22c…後連結辺部対応部位
22d…突片部対応部位
25…片持ち梁部対応部位
26a…ロバーバル機構形成孔用貫通孔
27…載置板部対応部位
27y…下面
27z…境界部
28…スリット溝
28a〜28c…境界部
29…空洞部用貫通孔
30…在床状況検出装置
31…演算手段
32…通信手段
33…報知手段
40…在床状況監視システム
50…ベッド
51…寝床部
52…脚部
53…キャスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッド設置面上に載置される基板部と、
基板部にベッド設置面に対して上方に離間した状態に略水平状に支持され、先端部にベッドの脚部が載置される載置板部が一体に形成された片持ち梁部と、
片持ち梁部の歪みを検出し、ベッドの脚部に掛かる荷重の検出に用いられる信号を出力する歪み検出センサと、を備え、
片持ち梁部が基板部に一体に形成されるとともに、片持ち梁部と基板部が押出材製であることを特徴とするベッドの荷重検出器。
【請求項2】
基板部は、互いに離間して対向配置された左右一対の側辺部と、該左右両側辺部の間に互いに離間して対向配置され、左右両側辺部の一端部同士及び他端部同士をそれぞれ相互に連結した前後一対の連結辺部と、を有し、
載置板部が基板部の左右両側辺部と前後両連結辺部との間で下降変位可能になるように、片持ち梁部が基板部の後連結辺部の上部に一体に形成されている請求項1記載のベッドの荷重検出器。
【請求項3】
基板部の後連結辺部の下端部に、該後連結辺部から片持ち梁部の下側の位置に突出する突片部が一体に形成されるとともに、片持ち梁部と突片部との間に荷重検出器の幅方向に貫通した空洞部が設けられており、
歪み検出センサからの出力信号を制御する制御手段が突片部上に設置されている請求項2記載のベッドの荷重検出器。
【請求項4】
基板部の左右両側辺部のうち少なくとも一方の側辺部に、載置板部の上面に向かって上り勾配のスロープが形成されている請求項2又は3記載のベッドの荷重検出器。
【請求項5】
片持ち梁部にその幅方向に貫通したロバーバル機構形成孔が設けられることにより、片持ち梁部にロバーバル機構が形成されており、
片持ち梁部に歪み検出センサとして少なくとも1個の歪みゲージが装着されている請求項1〜4のいずれかに記載のベッドの荷重検出器。
【請求項6】
ベッド設置面上に載置される基板部と、
基板部にベッド設置面に対して上方に離間した状態に略水平状に支持され、先端部にベッドの脚部が載置される載置板部を一体に有する片持ち梁部と、
片持ち梁部の歪みを検出し、ベッドの脚部に掛かる荷重の検出に用いられる信号を出力する歪み検出センサと、を備えたベッドの荷重検出器の製造方法であって、
長尺な押出素材をその押出方向に所定の幅で切断することにより、素材を得る切断工程と、
片持ち梁部が基板部に一体に形成された状態になるように素材から載置板部と片持ち梁部を切削加工により形成する形成工程と、を含むことを特徴とするベッドの荷重検出器の製造方法。
【請求項7】
基板部は、互いに離間して対向配置された左右一対の側辺部と、該左右両側辺部の間に互いに離間して対向配置され、左右両側辺部の前端部同士及び後端部同士をそれぞれ相互に連結した前後一対の連結辺部と、を有しており、
載置板部が基板部の左右両側辺部と前後両連結辺部との間で下降変位可能になるように、片持ち梁部が基板部の後連結辺部の上部に一体に形成されており、
基板部の後連結辺部の下端部に、該後連結辺部から片持ち梁部の下側の位置に突出する突片部が一体に形成されるとともに、片持ち梁部と突片部との間に荷重検出器の幅方向に貫通した空洞部が設けられており、
片持ち梁部にその幅方向に貫通したロバーバル機構形成孔が設けられることにより、片持ち梁部にロバーバル機構が形成されており、
押出素材は、その押出時に形成され、その押出方向に延びたロバーバル機構形成孔用貫通孔及び空洞部用貫通孔を有しており、
前記形成工程は、
素材の載置板部対応部位の下面を座ぐり加工する第1座ぐり加工工程と、
素材の載置板部対応部位と突片部対応部位との間の境界部の下面を、空洞部用貫通孔と連通するように座ぐり加工することにより、素材の載置板部対応部位を突片部対応部位から分離する第2座ぐり加工工程と、
素材の左右各側辺部対応部位と片持ち梁部対応部位との間の境界部と、素材の左右各側辺部対応部位と載置板部対応部位との間の境界部と、素材の前連結辺部対応部位と載置板部対応部位との間の境界部とを、スリット加工することにより、素材の片持ち梁部対応部位と載置板部対応部位を、素材の左右各側辺部対応部位と前連結辺部対応部位から分離するスリット加工工程と、を備えている請求項6記載のベッドの荷重検出器の製造方法。
【請求項8】
基板部の左右両側辺部のうち少なくとも一方の側辺部に、載置板部の上面に向かって上り勾配のスロープが形成されており、
前記形成工程は、素材の左右両側辺部対応部位のうち少なくとも一方の側辺部対応部位に、素材の載置板部対応部位の上面に向かって上り勾配のスロープを形成するスロープ形成工程を備えている請求項7記載のベッドの荷重検出器の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれかに記載のベッドの荷重検出器と、
荷重検出器の歪み検出センサからの出力信号に基づいて、被験者の在床状況を演算する演算手段と、を備えていることを特徴とするベッドの在床状況検出装置。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれかに記載のベッドの荷重検出器をベッド設置面上に設置するとともに、荷重検出器の載置板部上にベッドの脚部を載置し、この状態で、荷重検出器の歪み検出センサからの出力信号を用いて被験者の在床状況を検出することを特徴とするベッドの在床状況検出方法。
【請求項11】
請求項1〜5のいずれかに記載のベッドの荷重検出器と、
荷重検出器の歪み検出センサからの出力信号に基づいて、被験者の在床状況を演算する演算手段と、
演算出段の演算結果を報知する報知手段と、を備えていることを特徴とするベッドの在床状況監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−65700(P2008−65700A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−244564(P2006−244564)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】