説明

ベルトユニット及び画像形成装置

【課題】 ガイドベルトを用いることなく、ベルトの斜行を抑制する。
【解決手段】 従動ローラ13Cの軸方向端部側に、従動ローラ13Cの回転抵抗より大きいテンションローラカラー13Gを設ける。これにより、転写ベルト13Aが斜行し、転写ベルト13Aの端部がテンションローラカラー13Gに接触すると、そのテンションローラカラー13Gに接触した部位には、転写ベルト13Aの回転を停止させる向きの制動力が作用し、この部位で発生する張力が増大する。したがって、転写ベルト13Aは、張力が増大したテンションローラカラー13G側から、この部位より張力が小さい幅方向中央側に斜行するように移動するので、転写ベルト13Aの斜行が矯正される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端状のベルトを回転させるベルトユニット、及びこれを用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ベルトユニットは、周知のごとく、無端状のベルト、ベルトを回転駆動する駆動ローラ、及び駆動ローラとの間でベルトが架け渡されてベルトの回転と共に従動回転する従動ローラ等から構成されている。
【0003】
しかし、ベルトに作用する張力が、幅方向(ベルトの回転方向及び厚み方向と直交する方向)に不均一であると、ベルトは回転しながら、張力が大きい方から小さい方に移動するように斜行してしまう。
【0004】
これに対して、多くの画像形成装置用のベルトユニットでは、通常、ベルト本体の幅方向両端部にガイドベルトを設けたベルト(例えば、特許文献1参照)を使用するとともに、これらガイドベルトにて駆動ローラ及び従動ローラを軸方向両側から挟み込むようにしてベルトの斜行を防止している。
【特許文献1】特開2007−193205号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ガイドベルトは、耐磨耗性や摩擦係数等における要求品質が厳しく、非常に高価な材料であるので、ベルトユニットの製造原価上昇を招いていた。
本発明は、上記点に鑑み、ガイドベルトを用いることなく、ベルトの斜行を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、無端状のベルトと、ベルトを回転駆動する駆動ローラと、駆動ローラとの間でベルトが架け渡され、ベルトの回転と共に従動回転する従動ローラと、従動ローラの軸方向端部のうち少なくとも一方側に設けられ、ベルトが端部側に移動したときにベルトが接触することによりベルトと共に従動回転する制動体とを備え、制動体の回転抵抗は、従動ローラの回転抵抗より大きいことを特徴とする。
【0007】
これにより、請求項1に記載の発明では、従動ローラの軸方向端部側に、従動ローラの回転抵抗より大きい制動体が設けられているので、ベルトが斜行し、ベルトの端部が制動体に接触すると、その制動体に接触した部位には、ベルトの回転を停止させる向きの制動力が作用し、この部位で発生する張力が増大する。
【0008】
したがって、ベルトは、張力が増大した制動体側から、この部位より張力が小さい幅方向中央側に斜行するように移動するので、ガイドベルトを用いることなく、ベルトの斜行を抑制することができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明では、従動ローラの回転軸は、その軸方向と略直交する方向に変位可能に支持されており、さらに、ベルトに発生する張力が増大する向きに回転軸を押圧する押圧手段が備えられていることを特徴とする。
【0010】
これにより、請求項2に記載の発明では、ベルトに張力を付与するテンションローラの軸方向端部に制動体が設けられている構成となるので、効果的にベルトの斜行を抑制することができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明では、制動体に回転抵抗を付与するダンピング手段を備えており、さらに、回転軸は、ダンピング手段が制動体に回転抵抗を付与する際に発生する反力により、ベルトに発生する張力が増大する向きに押圧されることを特徴とする。
【0012】
これにより、請求項3に記載の発明では、ベルトに制動力を作用させることによる張力の増大機能に加えて、回転軸を変位させることによる張力の増大機能が作用するので、ベルトの斜行を確実に抑制することができる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明では、ダンピング手段は、制動体の外周部に形成された歯車部に噛み合って回転しながら制動体に回転抵抗力を付与し、さらに、ダンピング手段は、ダンピング手段と制動体との噛み合い部で発生する反力により、ベルトに発生する張力が増大する向きの成分が含まれるように配置されていることを特徴とする。
【0014】
これにより、請求項4に記載の発明では、回転軸を変位させることによる張力の増大機能を確実に発揮させることができる。
また、請求項5に記載の発明では、制動体は、従動ローラの軸方向両端側に設けられていることを特徴とする。
【0015】
これにより、請求項5に記載の発明では、ベルトの斜行を確実に抑制できる。
また、請求項6に記載の発明では、制動体のうちベルトに接触する部位の摩擦係数は、従動ローラのうちベルトに接触する部位の摩擦係数より大きいことを特徴とする。
【0016】
これにより、請求項6に記載の発明では、確実に制動体からベルトに制動力を作用させることができる。
なお、請求項7に記載の発明では、画像形成手段と、請求項1ないし6のいずれか1つに記載のベルトユニットとを備えることを特徴とするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本実施形態は、画像形成装置用のベルトユニットに本発明に係るベルトユニットを適用したものであり、以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(第1実施形態)
1.図面の説明
図1は本実施形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す中央断面図であり、図2(a)は本実施形態に係るベルトユニット13の特徴を示す図であり、図2(b)は図2(a)の右側面図であり、図3は本実施形態に係るベルトユニット13の作動を示す図であり、図4(a)〜図4(d)は、第1基準線Loと第2基準線L2とのなす角と反力F1との関係を示す図である。
【0018】
2.画像形成装置の構成
2.1.画像形成装置の概略構造
画像形成装置1の筐体3内には、図1に示すように、記録用紙やOHPシート等の記録シート(以下、用紙という。)に現像剤像を転写することにより、用紙に画像を形成する電子写真方式の画像形成部5が収納されており、この画像形成部5は、周知のごとく、プロセスカートリッジ7、露光器9及び定着器11等から構成されている。
【0019】
また、本実施形態に係る画像形成部5は、ダイレクトタンデム方式のカラーレーザプリンタであるため、用紙の搬送方向に沿って直列に複数個(本実施形態では、4個)のプロセスカートリッジ7が配設されている。
【0020】
具体的には、用紙の搬送方向上流側から順に、ブラック用のプロセスカートリッジ7K、イエロー用のプロセスカートリッジ7Y、マゼンタ用のプロセスカートリッジ7M、シアン用のプロセスカートリッジ7Cである。
【0021】
そして、各プロセスカートリッジ7K〜7Cは、収納されている現像剤の色が異なるのみで、その構造等は略同一であり、具体的には、各プロセスカートリッジ7K〜7Cは、現像剤像が担持される感光ドラム7A、及び感光ドラム7Aを帯電させる帯電器7B等から構成されている。なお、図1においては、紙面の都合上、シアン用のプロセスカートリッジ7Cのみに感光ドラム7A及び帯電器7Bの符号を付した。
【0022】
以上に説明した構成において、帯電した感光ドラム7Aを露光器9にて露光して感光ドラム7Aの外周面に静電潜像を形成した後、電荷を帯びた現像剤を感光ドラム7Aに供給すると、感光ドラム7Aの外周面に現像剤像が担持(形成)される。
【0023】
また、用紙を搬送する転写ベルト13Aを挟んで感光ドラム7Aと対向する位置には、感光ドラム7Aに担持された現像剤を用紙に転写させる転写ローラ15が設けられており、感光ドラム7Aに担持されていた現像剤像は、転写ベルト13Aにより搬送される用紙に転写される。そして、現像剤像が転写された用紙は、定着器11に搬送されて加熱され、用紙に転写された現像剤像が用紙に溶着(定着)する。
【0024】
3.ベルトユニット
3.1.ベルトユニットの概要
ベルトユニット13は、転写ベルト13A、駆動ローラ13B、従動ローラ13C、並びに駆動ローラ13B及び従動ローラ13Cを保持するフレーム(図示せず。)等から構成されており、このベルトユニット13は、装置本体に対して着脱可能に組み付けられている。
【0025】
そして、転写ベルト13Aは、樹脂材料(本実施形態では、熱可塑性エラストマー)からなる無端状のベルト部材であって、駆動ローラ13Bと従動ローラ13Cとの間に架け渡されている。
【0026】
また、駆動ローラ13Bは、装置本体に設けられた電動モータ(図示せず。)等の駆動源から動力を得て回転することにより転写ベルト13Aを回転させ、従動ローラ13Cは転写ベルト13Aの回転と共に従動回転する。
【0027】
また、従動ローラ13Cの回転軸13Hは、その軸方向と直交する方向であって、転写ベルト13Aに発生する張力が増減する方向(本実施形態では、図1の左右方向)に変位可能にフレームに組み付けられているとともに、圧縮コイルバネ13F等の弾性付勢手段により張力が増大する向き(本実施形態では、図1の右向き)に押圧されている。
【0028】
このため、本実施形態では、従動ローラ13Cは、転写ベルト13Aに所定の張力を発生させるテンションローラとして機能し、転写ベルト13Aは、転写ベルト13Aと駆動ローラ13Bとの接触部で発生する摩擦力により、駆動ローラ13Bに対して滑ることなく一体的に同一速度で回転する。
【0029】
3.2.テンションローラカラー(制動体)
従動ローラ13Cの軸方向両端側には、図2(a)に示すように、テンションローラカラー13Gが従動ローラ13Cと同軸上に回転可能に設けられており、これらのテンションローラカラー13Gは、図3に示すように、転写ベルト13Aが軸方向端部側に移動してテンションローラカラー13Gに接触したときに、転写ベルト13Aから回転力を受けて転写ベルト13Aと共に従動回転する制動体である。
【0030】
すなわち、テンションローラカラー13Gは、図2(a)に示すように、従動ローラ13Cと略同一直径を有する円柱又は円筒状のものであって、従動ローラ13Cの回転軸13Hの周りに相対的に回転可能に支持されている。
【0031】
また、テンションローラカラー13Gの外周面のうち従動ローラ13C側には、転写ベルト13Aの内周面に接触したときに転写ベルト13Aから回転力を受ける摩擦面13Jが設けられ、一方、テンションローラカラー13Gの外周面のうち摩擦面13Jを挟んで従動ローラ13Cと反対側には、平歯車状の歯車部13Kが設けられている。
【0032】
そして、歯車部13K側には、図2(b)に示すように、歯車部13Kに噛み合って回転しながらテンションローラカラー13Gに回転抵抗力を付与するダンパーギヤ13Lが設けられている。なお、ダンパーギヤ13Lは、内部に封入されたオイルの粘性抵抗を利用して回転抵抗を発生させるダンピング手段である。
【0033】
また、ダンパーギヤ13Lは、ダンパーギヤ13Lとテンションローラカラー13G(歯車部13K)との噛み合い部で発生する反力F1により、転写ベルト13Aに発生する張力が増大する向き(矢印Aで示す向き)の成分が含まれるように配置されている。
【0034】
すなわち、テンションローラカラー13Gは、その噛み合い部において、図2(b)に示すように、テンションローラカラー13Gの回転の向きと反対向きの力をダンパーギヤ13Lから反力F1として受ける。
【0035】
このとき、反力F1は、歯車部13Kとダンパーギヤ13Lとの噛み合い部で発生する力であるので、その方向は、テンションローラカラー13Gの回転中心O1とダンパーギヤ13Lの回転中心O2とを通る第1基準線Loと直交する方向L1に対して、歯車部13Kの圧力角αに相当する角度だけ傾いた方向である。
【0036】
そこで、本実施形態は、第1基準線L1と第2基準線L2とのなす角が圧力角αとなり、かつ、駆動ローラ13B側から従動ローラ13C側に向かう向きの反力F1がテンションローラカラー13Gに作用するようにダンパーギヤ13Lを配置している。
【0037】
なお、第2基準線L2とは、転写ベルト13Aに発生する張力の方向と直交する方向(図2(b)の左右方向)と平行であって、テンションローラカラー13Gの回転中心O1を通る仮想線をいう。
【0038】
4.本実施形態に係る画像形成装置(特に、ベルトユニット)の特徴
本実施形態では、従動ローラ13Cの軸方向端部側に、従動ローラ13Cの回転抵抗より大きな回転抵抗が発生するテンションローラカラー13Gが設けられているので、転写ベルト13Aが斜行し、図3に示すように、転写ベルト13Aの端部がテンションローラカラー13Gに接触すると、そのテンションローラカラー13Gに接触した部位には、転写ベルト13Aの回転を停止させる向きの制動力が作用し、この部位で発生する張力が増大する。
【0039】
したがって、転写ベルト13Aは、張力が増大したテンションローラカラー13G側から、この部位より張力が小さい幅方向中央側に斜行するように移動するので、転写ベルト13Aの斜行が矯正される。
【0040】
そして、本実施形態では、テンションローラカラー13Gが従動ローラ13Cの軸方向両端側に設けられているので、いずれの向きに転写ベルト13Aが斜行しても、その斜行が矯正されるので、転写ベルト13Aの斜行を確実に抑制できる。
【0041】
ところで、本実施形態は、転写ベルト13Aが斜行してテンションローラカラー13Gに転写ベルト13Aが接触したときに、転写ベルト13Aのうちテンションローラカラー13Gに接触した部位に制動力を作用させて転写ベルト13Aの斜行を矯正するものであるので、テンションローラカラー13Gと転写ベルト13Aとが接触する部位(摩擦面13J)にて確実に転写ベルト13Aに制動力を付与する必要がある。
【0042】
そこで、本実施形態では、テンションローラカラー13Gのうち転写ベルト13Aに接触する部位(摩擦面13J)の摩擦係数を、従動ローラ13Cのうち転写ベルト13Aに接触する部位の摩擦係数より大きくすることにより、確実にテンションローラカラー13Gから転写ベルト13Aに制動力を作用させることができるような構成としている。
【0043】
また、本実施形態では、転写ベルト13Aが斜行してテンションローラカラー13Gに転写ベルト13Aが接触すると、転写ベルト13Aが接触した側に配設されたテンションローラカラー13G側(以下、接触側という。)には反力F1が作用し、一方、このテンションローラカラー13Gと逆側に配設されたテンションローラカラー13Gには反力F1が作用しない。
【0044】
このため、従動ローラ13Cの回転軸13Hは、その軸方向と略直交する方向に変位可能に支持されているので、反力F1により接触側が駆動ローラ13Bから離間するように変位するので、転写ベルト13Aのうち接触側において張力が増大する。
【0045】
したがって、転写ベルト13Aは、張力が増大したテンションローラカラー13G側から、この部位より張力が小さい幅方向中央側に斜行するように移動し、転写ベルト13Aの斜行が矯正される。
【0046】
このように、本実施形態では、転写ベルト13Aに制動力を作用させることによる張力の増大機能に加えて、回転軸13H(従動ローラ13C)を変位させることによる張力の増大機能が作用するので、転写ベルト13Aの斜行を確実に抑制することができる。
【0047】
なお、反力F1により従動ローラ13Cが変位するのに対してダンパーギヤ13Lは不動であるものの、従動ローラ13Cの変位量は微量であるので、ダンパーギヤ13Lと歯車部13Kとの噛み合いが外れることはない。
【0048】
また、本実施形態では、従動ローラ13Cは転写ベルト13Aに張力を付与するテンションローラとして機能し、かつ、このテンションローラをなす従動ローラ13Cの軸方向端部にテンションローラカラー13Gが設けられている構成となるので、効果的に転写ベルト13Aの斜行を抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態では、歯車部13Kとダンパーギヤ13Lとの噛み合い部で発生する反力F1を利用して転写ベルト13Aに発生する張力を増大させるので、回転軸13H(従動ローラ13C)を変位させることによる張力の増大機能を確実に発揮させることができる。
【0050】
ところで、本実施形態に係る歯車部13Kの圧力角αは20°であるので、噛み合い部で発生する反力F1を利用して転写ベルト13Aに発生する張力を増大させるにあたって、第1基準線Loと第2基準線L2とのなす角を20°とすることにより、図4(a)に示すように、噛み合い部で発生する反力F1を効果的に転写ベルト13Aの張力を増大させるために利用している。
【0051】
なお、図4(b)〜図4(d)に示すように、第1基準線Loと第2基準線L2とのなす角を20°以外としても、転写ベルト13Aの張力が増大する向きの成分を発生させることができるが、圧力角α以外の角度を用いると、噛み合い部で発生する反力F1を効果的に利用できない。
【0052】
5.発明特定事項と実施形態との対応関係
本実施形態では、テンションローラカラー13Gが特許請求の範囲に記載された制動体に相当し、圧縮コイルバネ13Fが特許請求の範囲に記載された押圧手段に相当し、ダンパーギヤ13Lが特許請求の範囲に記載されたダンピング手段に相当する。
【0053】
(第2実施形態)
上述の実施形態では、テンションローラカラー13G(摩擦面13J)の直径寸法は一定であったが、本実施形態は、図5に示すように、摩擦面13Jのうち従動ローラ13C側の直径寸法φ1が歯車部13K側の直径寸法φ2より小さくなるように、摩擦面13Jを円錐テーパ状としたものである。
【0054】
そして、本実施形態では、摩擦面13Jのうち従動ローラ13C側の直径寸法φ1を従動ローラ13Cの直径寸法φoより小さくし、かつ、摩擦面13Jのうち歯車部13K側の直径寸法φ2を従動ローラ13Cの直径寸法φoより大きくするとともに、摩擦面13Jと歯車部13Kとの間に全周に亘って径方向に突出するフランジ状の鍔部13Mを設けている。
【0055】
以上に述べた構成により、本実施形態では、転写ベルト13Aが斜行して従動ローラ13Cからテンションローラカラー13G側に移動する際に、転写ベルト13Aは滑らかにテンションローラカラー13G(摩擦面13J)に移動させることができるので、テンションローラカラー13Gに移動する際に転写ベルト13Aが損傷してしまうことを未然に防止できる。
【0056】
また、摩擦面13Jのうち従動ローラ13C側の直径寸法φ1が歯車部13K側の直径寸法φ2より小さくなるように、摩擦面13Jを円錐テーパ状としているので、転写ベルト13Aが大きく斜行するほど、転写ベルト13Aに大きな制動力及び張力が作用する。したがって、転写ベルト13Aの斜行を効果的に抑制することができる。
【0057】
なお、本実施形態では、摩擦面13Jのうち従動ローラ13C側の直径寸法φ1を従動ローラ13Cの直径寸法φoより小さくし、かつ、摩擦面13Jのうち歯車部13K側の直径寸法φ2を従動ローラ13Cの直径寸法φoより大きくしたが、本実施形態は、これに限定されるものではなく、例えば、従動ローラ13C側の直径寸法φ1を従動ローラ13Cの直径寸法φoと同一にする、又は摩擦面13Jのうち歯車部13K側の直径寸法φ2を従動ローラ13Cの直径寸法φoとを同一にする等してもよい。
【0058】
(第3実施形態)
上述の実施形態では、テンションローラを兼ねる従動ローラ13Cの軸方向端部側にテンションローラカラー13Gを設けたが、本実施形態は、図6に示すように、従動ローラ13Cとは別に張力付与専用のテンションローラ13Nを設けたものである。
【0059】
すなわち、本実施形態では、図7に示すように、従動ローラ13Cは駆動ローラ13Bと同様にフレームに対して不動で回転し、テンションローラ13Nが、その軸方向と略直交する方向に変位することにより転写ベルト13Aに張力を付与する。
【0060】
なお、図7において、本実施形態に係る従動ローラ13Cは、テンションローラを兼用しないため、テンションローラカラー13Gに代えて、従動ローラカラー13Pが示されているが、この従動ローラカラー13Pの構成はテンションローラカラー13Gと同じである。
【0061】
そして、本実施形態においても、上述の実施形態と同様に、転写ベルト13Aのうち接触側において、従動ローラカラー13Pから転写ベルト13に制動力が作用して張力が増大するので、転写ベルト13Aは、張力が増大した従動ローラカラー13P側から、この部位より張力が小さい幅方向中央側に斜行するように移動し、転写ベルト13Aの斜行が矯正される。
【0062】
なお、図7に示す従動ローラカラー13Pは、第1実施形態と同様に、摩擦面13Jが単純な円周面であったが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、第2実施形態と同様に、摩擦面13Jを円錐テーパ状としてもよい。
【0063】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、テンションローラカラー13G(従動ローラカラー13P)を従動ローラ13Cの軸方向両端側に設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、従動ローラ13Cの軸方向一端側のみにテンションローラカラー13G(従動ローラカラー13P)を設けてもよい。
【0064】
また、上述の実施形態では、テンションローラカラー13G(従動ローラカラー13P)は、歯車部13Kを介してダンパーギヤ13Lから制動力を受けていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、歯車部13Kを廃止し、ベルトや摩擦力を介してダンパーギヤ13Lからテンションローラカラー13G(従動ローラカラー13P)に制動力が作用する構成としてもよい。
【0065】
また、上述の実施形態では、ダンパーギヤ13Lはオイルの粘性抵抗を利用したものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば摩擦抵抗を利用したものであってもよい。
【0066】
また、上述の実施形態では、ダンパーギヤ13Lによりテンションローラカラー13G(従動ローラカラー13P)に回転抵抗を付与したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、テンションローラカラー13G(従動ローラカラー13P)を回転可能に支持する軸受にて所定の回転抵抗が発生するような構成としてもよい。
【0067】
また、上述の実施形態では、第1基準線Loと第2基準線L2とのなす角を20°としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、図4(b)〜図4(d)に示すように、第1基準線Loと第2基準線L2とのなす角を20°(圧力角α)以外の角度としてもよい。
【0068】
また、上述の実施形態では、本発明に係るベルトユニットをダイレクトタンデム方式の画像形成装置に適用したが、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、例えば画像形成装置以外のベルトユニット又はダイレクトタンデム方式以外の画像形成装置にも適用できる。
【0069】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す中央断面図である。
【図2】(a)は本発明の第1実施形態に係るベルトユニット13の特徴を示す図であり、(b)は図2(a)の右側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るベルトユニット13の作動を示す図である。
【図4】(a)〜(d)は、第1基準線Loと第2基準線L2とのなす角と反力F1との関係を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るベルトユニット13の特徴を示す図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係るベルトユニット13の構成を示す図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係るベルトユニット13の特徴を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1…画像形成装置、5…画像形成部、7…プロセスカートリッジ、
7A…感光ドラム、7B…帯電器、7C…プロセスカートリッジ、
7K…プロセスカートリッジ、7M…プロセスカートリッジ、
7Y…プロセスカートリッジ、9…露光器、11…定着器、
13…ベルトユニット、13A…転写ベルト、13B…駆動ローラ、
13C…従動ローラ、13F…バネ、13G…テンションローラカラー、
13H…回転軸、13J…摩擦面、13K…歯車部、13L…ダンパーギヤ、
13M…鍔部、13N…テンションローラ、15…転写ローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状のベルトと、
前記ベルトを回転駆動する駆動ローラと、
前記駆動ローラとの間で前記ベルトが架け渡され、前記ベルトの回転と共に従動回転する従動ローラと、
前記従動ローラの軸方向端部のうち少なくとも一方側に設けられ、前記ベルトが前記端部側に移動したときに前記ベルトが接触することにより前記ベルトと共に従動回転する制動体とを備え、
前記制動体の回転抵抗は、前記従動ローラの回転抵抗より大きいことを特徴とするベルトユニット。
【請求項2】
前記従動ローラの回転軸は、その軸方向と略直交する方向に変位可能に支持されており、
さらに、前記ベルトに発生する張力が増大する向きに前記回転軸を押圧する押圧手段が備えられていることを特徴とする請求項1に記載のベルトユニット。
【請求項3】
前記制動体に回転抵抗を付与するダンピング手段を備えており、
さらに、前記回転軸は、前記ダンピング手段が前記制動体に回転抵抗を付与する際に発生する反力により、前記ベルトに発生する張力が増大する向きに押圧されることを特徴とする請求項2に記載のベルトユニット。
【請求項4】
前記ダンピング手段は、前記制動体の外周部に形成された歯車部に噛み合って回転しながら前記制動体に回転抵抗力を付与し、
さらに、前記ダンピング手段は、前記ダンピング手段と前記制動体との噛み合い部で発生する反力により、前記ベルトに発生する張力が増大する向きの成分が含まれるように配置されていることを特徴とする請求項3に記載のベルトユニット。
【請求項5】
前記制動体は、前記従動ローラの軸方向両端側に設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のベルトユニット。
【請求項6】
前記制動体のうち前記ベルトに接触する部位の摩擦係数は、前記従動ローラのうち前記ベルトに接触する部位の摩擦係数より大きいことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載のベルトユニット。
【請求項7】
画像形成手段と、
請求項1ないし6のいずれか1つに記載のベルトユニットと
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−72071(P2010−72071A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−236562(P2008−236562)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】