説明

ベルトループ緩め装置

【課題】 緩み量の設定が簡便であり、ミシンに被縫製物等をセットする際に作業者の作業の障害にならずに、生産性、作業性を向上させることができるミシンのベルトループ緩め装置を提供すること。
【解決手段】
ミシン本体側方に配置されると共に、縫製時の被縫製物の搬送方向に沿って往復動可能に配置された移動部材11と、
移動部材に支持され、伸縮可能な駆動シリンダ20と、
一端側が駆動シリンダに支持され、他端が被縫製物の内方に進退可能な緩め部材18と、
移動部材に連結され、緩め部材を前記搬送方向に沿って移動可能としたループ緩めモータ6と、
被縫製物の緩め量の設定値を入力する入力設定手段35と、
身頃に被縫製物を縫い付ける際、被縫製物に所定量の緩みを形成するために、設定値に基づき、緩め部材を折り返し位置に移動させるように、ループ緩めモータを制御する駆動制御手段36とを備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業用ミシンによる縫製時のベルトループ緩め装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ズボンの腰帯などの身頃に、図11に示すような、3つの閂止が形成される仕様のベルトループを縫い付けるミシンが知られている。
【0003】
この図11に示す仕様のベルトループを縫製するには、先ず、図12(1)に示すように、図示しないベルトループ用のテープ材搬送装置から搬送される長尺に切断されたテープ材Tの長手方向一端部に第1閂止Xを形成して被縫製物に縫い付ける。続いて、図12(2)に示すように、テープ材供給装置としてのループクランプ(図示しない)によりテープ材Tの他端を把持し、第1閂止Xを覆うようにテープ材Tを折り返した後に、第1閂止Xから所定の距離となる位置に第2閂止Yを形成する。さらに、図12(3)に示すように、ループクランプによりテープ材Tの他端が第1閂止Xを越えるように折り返し、他端に第3閂止Zを形成する。
【0004】
そして、前記第2閂止Yを形成してからテープ材Tを折り返す際にはベルトループを緩めるための緩め部材Sを第2閂止Yのテープ材Tの上面に位置させ、緩め部材を巻回するようにしてテープ材Tを折り返した後、緩め部材を被縫製物搬送機構の送り部材とともに移動させることにより、縫製されたベルトループに適切な緩みが付与されるように構成されていた。
【0005】
緩め部材は、被縫製物搬送機構を構成する搬送用シリンダの作動により、ミシン本体の作業者位置の手前側と奥側との間を正・逆両方向に移動可能に、被縫製物搬送機構の送り部材に搭載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−113484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来におけるベルトループの緩め量を調整するときは、緩め部材の位置を、ミシンに刻設されたスケール等を目視確認しながら送り部材の移動経路に沿って移動させて調整していた。よって、緩め量の調整に時間がかかり、同じ仕様のベルトループであっても、設定の度ごとや作業者の加減によって異なる仕上がりとなりやすく、再現性も低いという問題があった。
【0008】
また、前述のように、緩め部材は送り部材に搭載され、被縫製物のセット位置付近に位置するため、被縫製物のセット時に障害となり、セット作業性が悪くなるという問題もあった。
【0009】
そこで、本発明はこのような点に鑑み、緩み量の設定が簡便であり、ミシンに被縫製物等をセットする際に作業者の作業の障害にならずに、生産性、作業性を向上させることができるミシンのベルトループ緩め装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ミシン本体側方に配置されると共に、縫製時の被縫製物の搬送方向に沿って往復動可能に配置された移動部材(11)と、前記移動部材に支持され、伸縮可能な駆動シリンダ(20)と、一端側が前記駆動シリンダに支持され、他端が前記被縫製物の内方に進退可能な緩め部材(18)と、前記移動部材に連結され、前記緩め部材を前記搬送方向に沿って移動可能としたループ緩めモータ(6)と、前記被縫製物の緩め量の設定値を入力する入力設定手段(35)と、身頃に前記被縫製物を縫い付ける際、前記被縫製物に所定量の緩みを形成するために、前記設定値に基づき、前記緩め部材を折返し位置に移動させるように、前記ループ緩めモータを制御する駆動制御手段(36)とを備える構成とした。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明に加えて、前記移動部材に固定された移動ベース(15)と、前記移動ベースの水平面を回動自在に支持された支持部材(16)とを備え、前記支持部材に前記緩め部材の他端が支持されると共に、前記駆動シリンダの駆動により、前記緩め部材が被縫製物に係合する折返し位置に移動可能である構成とした。
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明に加えて、被縫製物(テープ材T)を保持し、水平一平面に沿って移動可能なクランプ部材(33)と、前記被縫製物が縫い付けられる身頃を保持する保持部材(31、34)と、前記保持部材を前記被縫製物の搬送方向に沿って移動させる搬送用モータ(32)とを備え、前記駆動制御手段が、ミシン針の駆動により第1閂止め、第2閂止めを形成した後、前記設定値に基づき、折返し位置に前記緩め部材を移動させ、その後、前記ループ緩めモータと前記搬送用モータを同一方向に所定量移動させて、第3閂止めを形成するように制御する構成とした。
請求項4記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の発明に加えて、前記移動部材の原点位置を検出する原点位置検出手段(21、22)を備え、前記原点位置検出手段と前記入力手段の設定値に基いて、前記ループ緩めモータを制御して、前記折返し位置に前記緩め部材を移動可能な構成とした。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、緩み量の設定が簡便であり、また、ミシンに身頃、被縫製物等をセットする際に、緩め部材等を作業者の邪魔にならないところに退避させることができるので、生産性、作業性を向上させることができ、ベルトループの仕様に沿ったデータ管理も可能となり、緩み量の調整値の再現性も高く、品質の安定化を図ることができるといった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態のベルトループ緩め装置の全体斜視図
【図2】本実施形態のベルトループ緩め装置の制御系ブロック図
【図3】本実施形態のベルトループ緩め装置の駆動動作説明図(1)
【図4】本実施形態のベルトループ緩め装置の駆動動作説明図(2)
【図5】本実施形態のベルトループ緩め装置の駆動動作説明図(3)
【図6】本実施形態のベルトループ緩め装置の駆動動作説明図(4)
【図7】本実施形態のベルトループ緩め装置の駆動動作説明図(5)
【図8】本実施形態のベルトループ緩め装置の駆動動作説明図(6)
【図9】本実施形態のベルトループ緩め装置の駆動動作説明図(7)
【図10】ベルトループの形成手順(1)〜(3)を示す概略説明図
【図11】3つの閂止が形成される仕様のベルトループの説明図
【図12】従来におけるベルトループの形成手順(1)〜(3)を示す概略説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図1乃至図10に基づき説明する。なお、以下の説明において、ミシン本体2に対する作業者位置側を前方、ミシン本体奥部側を後方とし、前方から後方に向かう方向を前後方向とする。また、水平一平面において、前後方向に直交する方向を左右方向とする。また、前後方向と左右方向に直行する方向を上下方向とする。また、図3乃至図10には、針落ち位置を符号NPで示す。
なお、図示省略したが、第3図に示すミシン本体2の後方には閂止めミシンの本体駆動機構が配置されている。また、第3図に示すのミシン本体2右側には、クランプ部材としのループクランプ33を水平一平面に沿って、前後方向、左右方向に移動させる、クランプ部材移動手段としての不図示のクランプ部材X駆動モータ、Y駆動モータが配置されている。ループクランプ33は、被縫製物としてのテープ材Tを保持して、水平一平面に沿って移動可能である。
【0014】
本実施形態のベルトループ緩め装置1は、ミシン本体2の左側方であって、ミシン本体2の針の上下動位置から大きく離間して配設されるモータベース3を備えている。
モータベース3には、図1に示すように、図中両矢印で示す被縫製物の搬送方向(前後方向と同一方向)に並列されて、板状の支柱壁4,4が立設されている。
この2枚の支柱壁4,4の側面間には、ループ緩めモータとしての送りモータ6を固定する側壁5が形成されている。この送りモータ6は、エンコーダ6A(図2)を備えたパルスモータであり、周面にギア7が形成された駆動軸8を有する。駆動軸8は、側壁5に形成された軸孔9から被縫製物の搬送方向に交差する方向に水平に突出させるようにして固定されている。
【0015】
2枚の支柱壁4,4にはそれぞれ、移動部材としての棒状のラック軸11を嵌挿させる軸受12,12が対向位置に形成されている。このラック軸11は、ミシン本体2の側方において、ラック軸11の周面に形成されたギア13を送りモータ6のギア7と噛合する。また、ラック軸11は、縫製時における被縫製物の搬送方向と平行に支持されている。
このため、送りモータ6の正逆の回転駆動力が伝達されると、ラック軸11は、被縫製物の搬送方向に沿って、前進/後退移動を可能に構成されている。
【0016】
そして、ラック軸(移動部材)11の先端部には、移動ベース15が固定されている。この移動ベース15の上面には、支持部材16と、駆動部材としてのシリンダ20が配置されている。
【0017】
支持部材16は、移動ベース15に垂直に突設された揺動軸17により、水平面を回動自在に支持されている。ベルトループを緩めるためのワイヤ状の緩め部材18が基端部18bにおいて支持部材16に固定されている。支持部材16は、緩め部材18の開放先端部18aをミシン本体2側へ向けて支持している。
【0018】
シリンダ(駆動シリンダ)20は、シリンダ本体20aと、シリンダ本体部20aから前後動する駆動シャフト20bを備えている。駆動シャフト20bの先端が緩め部材18の中間部に連結されている。また、シリンダ本体20aは、移動ベース15の上面における支持部材16の配設位置よりも反ミシン本体2側に配設されている。このため、駆動シャフト20bを伸縮させると、緩め部材18の先端部18aが、準備位置と、テープ材T(被縫製物)が折り返される折返し位置の間を移動する。
【0019】
また、ラック軸11には原点位置を記したセンサ検出板21が配設されている。また、モータベース3の支柱壁4には、センサ検出板21の原点位置を検出可能なセンサ22が配設されている。センサ検出板21とセンサ22により原点位置検出手段が構成されている。
【0020】
そして、ベルトループ緩め装置1は、ミシンの操作パネル等を兼用した入力設定手段35を備えている。入力設定手段35は、縫製開始前に、図10に示す、ベルト材Tの一端側から第1閂止Xまでの長さc、第1閂止Xから第2閂止Yまでの長さa、第2閂止Yからベルトループの緩め量d(dはα/2と一致する。)、第2閂止Yから第3閂止Zまでの長さb、第3閂止Zからベルト材Tの他端側までの長さe等が入力できる。
また、ベルトループ緩め装置1と、クランプ部材33を移動させる移動手段は、CPUとしての駆動制御手段36に制御される。
また、入力設定手段35からの設定値に基づいて、前記センサ22により原点検出された後の前記エンコーダ6Aの出力により移動量をみながら、送りモータ6を正逆方向に回転駆動させ、緩め部材18を前後方向に移動させる。そして、シリンダ20を前進させて、緩め部材18を被縫製内方の、折返し位置に移動させる。
前記送りモータ6のエンコーダ6Aの検出値に応じて送りモータ6を制御することにより、緩め部材18の移動量(緩め量)を制御することができる。
ミシン本体2の上面側には、支持板34が配置されている。支持板34はテープ材T(被縫製物)が縫い付けられる身頃を下方より支持する。
支持板34の上方には、身頃押え31が配置されている。身頃押え31は、不図示のシリンダにより上下動可能で、上方より下降して支持板34と協働して身頃を挟持する。
支持板34と身頃押え31で、身頃を保持する保持部材を構成する。
支持板34と身頃押え31から構成される保持部材は、共にボールねじ40先端側に連結されている。ボールねじ40の後端側は、パルスモータである搬送用モータ32に連結さている。このため、搬送用モータ32を回動させると、支持板34と身頃押え31が前後方向に沿って移動する。なお、図3等に示すように、ボールねじ40は、搬送用モータの原点センサ32aの下方に隠れて配置されている。
搬送用モータ32は、エンコーダ32B(図2)を備えるとともに、原点検出のためのセンサ32a(第2原点検出手段)が関連配置されている。
すなわち、前記搬送用モータ32のエンコーダ32bの検出値に応じて搬送用モータ32を制御することにより、保持部材(支持板34と身頃押え31)に挟持された身頃を前後方向に沿って移動させ、その停止位置(縫製位置等)を制御することができる。
【0021】
図2において制御系を説明する。
駆動制御手段としてのCPU36には、記憶手段としての周知のROMやRAM(不図示)が接続されている。また、駆動制御手段36には、不図示のI/Oインタフェースを介して、入力設定手段35、センサ22、センサ32a、送りモータ6、エンコーダ6A、駆動シリンダ20、搬送用モータ32、エンコーダ32b、センサ32a、ループクランプ33が接続されている。
なお、CPU36は、不図示の閂止めミシンを駆動するミシン本体側CPUと、接続されている。そして、各縫製位置に至るとCPU36からの信号によりミシンが駆動して縫い目が形成される。
【0022】
次に、本実施形態のベルトループ緩め装置1の駆動動作について、図3乃至図10を用いて説明する。
【0023】
先ず、ミシンの電源を入れると、初期動作として、駆動制御手段36は送りモータ6を正方向へ回転駆動させ、ラック軸11を一旦前進させる。センサ検出板21の原点位置をセンサ22が検出したら、送りモータ6を逆方向へ回転駆動させ、ラック軸11を後退させ、作業者の作業の邪魔にならない待機位置に待機させる(図3参照)。なお、原点位置を検出後、駆動制御手段36は、ラック軸11の移動量を検出された原点位置を基準として計算するものとする。
【0024】
この状態で、作業者は、ミシンの入力設定手段35から予めミシンの記憶手段に管理されているベルトループの仕様を選択し、必要に応じて設定されている緩め量d等の数値(設定値)の変更を加え、記憶させる。この設定値の中には、図10に示す、ベルト材Tの一端側から第1閂止Xまでの長さc、第1閂止Xから第2閂止Yまでの長さa、第2閂止Yからベルトループの緩め量d(dはα/2と一致する。)、第2閂止Yから第3閂止Zまでの長さb、第3閂止Zからベルト材Tの他端側までの長さe等が含まれる。
なお、設定された数値は、電源を再投入した場合であっても呼び出し可能として、再現性を持たせておく。
【0025】
最初に、支持板34上に不図示の身頃を載置する。次に、身頃押え31が下降して、支持板34と協働して身頃を把持する。
次に、テープ材(被縫製物)Tの一端側を把持したループクランプ(クランプ部材)33が、身頃上方の、第1閂止めを形成する第1縫製位置に、テープ材(被縫製物)Tを移動させる。
次に、不図示のミシン押えが下降して、テープ材(被縫製物)Tを押圧する。
次に、ループクランプ33は、前後方向の前方に向けてループクランプ33が移動する。この際、テープ材の後端側はミシン押えが押圧しているので、ループクランプ33はテープ材Tを滑るように移動する。
次に、ミシンを駆動して、テープ材Tを身頃に縫い付けて第1閂止Xを形成する(図4及び図10(1)参照)。
【0026】
次に、ミシン押えを上昇させる。
次に、ループクランプ33がテープ材Tを把持する。
次に、ミシン押えと身頃との空間を、ループクランプ33が、前後方向に沿って、前方から後方に移動する。第1閂止X形成後の、この移動によりテープ材Tは折り曲げられ、テープ材Tが第1閂止Xの上部を被覆するように折り返す。
次に、搬送用モータ32を駆動させて身頃を作業者位置側となる前方(図10右方)へ、矢印A(図10(2))で示す方向に、所定の移動量aだけ戻すように搬送して、身頃とテープ材Tを第2縫製位置に移動させる。
次に、ミシン押えを下降させる。
次に、針Nを駆動させて、身頃にテープ材T縫い付け、第2閂止Yを形成する(図5及び図10(2)参照)。
【0027】
第2閂止Yの縫製中に、ベルトループ緩め装置1は、送りモータ6を正方向に回転駆動させてラック軸11を図6の位置に前進させ、緩め部材18の先端部18aを針脇に待機させる(図6参照)。
この送りモータ(ループ緩めモータ)6の駆動量は、後述するように、緩め部材18の先端部18aが折返し位置において、第2閂止Y位置からd=α/2後方側に配置されるように設定される。なお、図6に示す、緩め部材18の先端部18aの位置を準備位置とする。
【0028】
第2閂止Yの縫製が完了したら、ミシン押えを上昇させる。
次に、準備位置にある緩め部材18に対して、緩めシリンダ20が前進駆動されると、緩め部材18が反時計方向に回転する。この反時計方向への回転より、緩め部材18の先端部18aが、第2閂止め形成位置から後方に向けてα/2分進んだ折返し位置に移動する(図7参照)。折返し位置に移動した緩め部材18の先端部18aは、第2閂止めYが形成されたテープ材Tを上方から軽く押圧し、係合した状態となる。
【0029】
次に、ループクランプ33を針上位置で停止している針Nの下を通過させて前方(図10右方)へ移動させる。これにより、テープ材Tが緩め部材18の外側の周囲を回る。
それと同時に、送りモータ6を、逆方向に回転させて、緩め部材18を後方に向けて所定量b移動させる。このとき、送りモータ6はエンコーダ6Aの検出に応じて、制御される。
同時に、エンコーダ32bの検出に応じて搬送用モータ32を駆動させて、身頃とテープ材Tを後方に向けて(図10左方)所定量b移動させる。
【0030】
次に、ミシン押えが下降すると同時に、ループクランプ33がテープ材Tの把持を解除するので、テープ材Tは身頃上に押圧される。
次に、ループクランプ33を初期位置へ退避させる。
次に、駆動シリンダ20を後退駆動して、緩め部材18をテープ材Tから抜く(図9参照)。この状態で、テープ材Tの他端部を針Nにおいて身頃に縫い付けて第3閂止Zを形成する。
【0031】
このように、本実施形態のベルトループ緩め装置1によれば、ベルトループの緩み量の設定を設定入力部からの数値入力によって行い、入力された数値に基づいて送りモータ6の駆動を制御し、緩み量の調整を行なうので、緩み量の設定にかかる時間(ダウンタイム)を著しく短縮することができ、生産性を向上させることができる。
【0032】
また、緩み量の調整値の再現性が高く、ベルトループの仕様に沿ったデータ管理も可能となり、品質の安定化を図ることができる。
【0033】
さらに、ミシンに被縫製物等をセットする際に、作業者の邪魔にならないところ、具体的には、作業者位置に対するミシン本体2の奥部側方(待機位置)に緩め部材18を退避させているので、作業性が向上する。
【0034】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更できるものとする。
例えば、送りモータ6と、搬送用モータ32は、共に、原点センサ22、32a、とエンコーダ6A、32bをそれぞれ備えたパルスモータである。このエンコーダ6A、32bを備えていない両パルスモータにより、各原点位置から両パルスモータを駆動制御することも容易に考えられる。
【0035】
例えば、ベルトループ緩め装置の送りモータは、駆動源としてのシリンダに変更し、移動部材としてのラック軸は駆動シャフトを用いることも可能である。
【0036】
また、本発明のベルトループ緩め装置が利用されるベルトループの仕様も図11に示したような3つの閂止が形成されるものに限らない。
【符号の説明】
【0037】
1 ベルトループ緩め装置
2 ミシン本体
3 モータベース
4 支柱壁
5 側壁
6 送りモータ(ループ緩めモータ)
7 ギア
8 駆動軸
9 軸孔
11 ラック軸(移動部材)
12 軸受
13 ギア
15 移動ベース
16 支持部材
17 揺動軸
18 緩め部材
18a 開放先端部
18b 基端部
20 ループ緩めシリンダ(駆動シリンダ)
20a シリンダ本体
20b 駆動シャフト
21 センサ検出板(原点位置検出手段)
22 センサ(原点位置検出手段)
31 身頃押え(保持部材)
34 支持板(保持部材)
32 搬送用モータ
33 ループクランプ(クランプ部材)
35 入力設定手段
36 駆動制御手段
T テープ材(被縫製物)
N 針
NP 針落ち位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミシン本体側方に配置されると共に、縫製時の被縫製物の搬送方向に沿って往復動可能に配置された移動部材と、
前記移動部材に支持され、伸縮可能な駆動シリンダと、
一端側が前記駆動シリンダに支持され、他端が前記被縫製物の内方に進退可能な緩め部材と、
前記移動部材に連結され、前記緩め部材を前記搬送方向に沿って移動可能としたループ緩めモータと、
前記被縫製物の緩め量の設定値を入力する入力設定手段と、
身頃に前記被縫製物を縫い付ける際、前記被縫製物に所定量の緩みを形成するために、前記設定値に基づき、前記緩め部材を折返し位置に移動させるように、前記ループ緩めモータを制御する駆動制御手段とを備えたことを特徴とするベルトループ緩め装置。
【請求項2】
前記移動部材に固定された移動ベースと、
前記移動ベースの水平面を回動自在に支持された支持部材とを備え、
前記支持部材に前記緩め部材の他端が支持されると共に、前記駆動シリンダの駆動により、前記緩め部材が被縫製物に係合する折返し位置に移動可能であることを特徴とする請求項1に記載のベルトループ緩め装置。
【請求項3】
被縫製物を保持し、水平一平面に沿って移動可能なクランプ部材と、
前記被縫製物が縫い付けられる身頃を保持する保持部材と、
前記保持部材を前記被縫製物の搬送方向に沿って移動させる搬送用モータとを備え、
前記駆動制御手段が、ミシン針の駆動により第1閂止め、第2閂止めを形成した後、前記設定値に基づき、前記折返し位置に前記緩め部材を移動させ、その後、前記ループ緩めモータと前記搬送用モータを同一方向に所定量移動させて、第3閂止めを形成するように制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のベルトループ緩め装置。
【請求項4】
前記移動部材の原点位置を検出する原点位置検出手段を備え、
前記原点位置検出手段と前記入力手段の設定値に基いて、前記ループ緩めモータを制御して、前記折返し位置に前記緩め部材を移動可能とすることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のベルトループ緩め装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−261928(P2009−261928A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85312(P2009−85312)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】