ベルト式無段変速機
【課題】変速速度や動力伝達効率などを向上させることのできる樹脂ブッシュを構成したベルト式無段変速機を提供する。
【解決手段】軸部2,4と一体の固定シーブ7,9とその固定シーブ7,9に対して接近・離隔するように軸部2,4に軸線方向に移動可能に取り付けられた可動シーブ8,10とによって形成された駆動プーリ3および従動プーリ5を備え、それら駆動プーリ3と従動プーリ5との少なくとも一方における軸部2,4の外周面と可動シーブ8,10の内周面とに軸部2,4と前記可動シーブ8,10との摺動を円滑にする円筒状の摺動部材12,13が介在させられているベルト式無段変速機において、摺動部材12,13は、摺動部材の半径方向の荷重を受けて弾性的に圧縮変形するように構成されるとともに、その両端側での硬度が互いに異なる。
【解決手段】軸部2,4と一体の固定シーブ7,9とその固定シーブ7,9に対して接近・離隔するように軸部2,4に軸線方向に移動可能に取り付けられた可動シーブ8,10とによって形成された駆動プーリ3および従動プーリ5を備え、それら駆動プーリ3と従動プーリ5との少なくとも一方における軸部2,4の外周面と可動シーブ8,10の内周面とに軸部2,4と前記可動シーブ8,10との摺動を円滑にする円筒状の摺動部材12,13が介在させられているベルト式無段変速機において、摺動部材12,13は、摺動部材の半径方向の荷重を受けて弾性的に圧縮変形するように構成されるとともに、その両端側での硬度が互いに異なる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のプーリに巻き掛けられてそれら複数のプーリ間で動力伝達を行うベルト式無段変速機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
変速比を無段階すなわち連続的に変化させることのできる無段変速機として、ベルトを伝動部材としたベルト式無段変速機が知られている。ベルト式無段変速機は、ベルトとプーリとの間の摩擦力を利用してトルクを伝達するように構成されているから、ベルトとプーリとは基本的には滑りを生じない。したがって変速比を変更するためにプーリに対するベルトの巻き掛け半径を変更する場合、プーリおよびベルトが回転していることにより、ベルトの各部分がプーリに新たに巻掛かる際に、先行する部分とは半径方向に異なる位置に順次ずれて巻掛かることにより、ベルトの巻き掛け半径が次第に変化する。すなわち、車両の走行に必要なトルクを伝達できる定常的な状態では、無段変速機を回転させつつ変速比を変化させることになる。これは、乾式のベルト式無段変速機および湿式のベルト式無段変速機のいずれでも同様である。
【0003】
車両が発進する場合には大きい駆動力が要求されるので、無段変速機の変速比は発進時に最大変速比γmaxとすることが望ましい。しかしながら、無段変速機の変速比は無段変速機が回転している状態で変更できるので、車両が停止する直前に最大変速比γmaxとする必要があるが、急減速や急停止する場合などには、変速が間に合わずに、発進時の変速比を最大に設定できない場合がある。この場合、車両の発進において駆動力が不足するため、車両の発進が困難となる可能性がある。特に乾式ベルトは、湿式ベルトよりもプーリとベルトとの摩擦係数が大きいため、最大変速比γmaxまで戻りにくい。
【0004】
ところで、この種の動力伝達装置は、略円錐である可動シーブの円錐面(テーパ面)の母線と固定シーブの回転軸直交平面とがなす角で定義されたプーリの傾き角度(倒れ角)が大きいほど、変速速度が速くなることが知られている。このような特性を生かして最大変速比γmaxまでベルトを素速く戻す発明が、特許文献1や特許文献2に記載されている。
【0005】
特許文献1に記載された無段変速機は、変速速度を速くすることを目的としたものであって、駆動プーリおよび従動プーリにおける可動シーブの傾き角度(倒れ角)を変速比に応じて変化させるように構成されている。具体的には、プーリ軸の外周面に段付のテーパ部を形成するとともに、段部で区分されているそれらのテーパ部のテーパ角を異ならせ、また可動シーブの内周面を、プーリ軸のテーパ部と対応する段付のテーパ形状に形成し、大きい変速比を設定する場合には、その可動シーブの傾き角度を大きくし、これとは反対に小さい変速比を設定する場合には、可動シーブの傾き角度が小さくなるように構成されている。
【0006】
また、特許文献2には、出力プーリにおける固定シーブが出力軸に対して傾くことができるように取り付けられ、またその固定シーブの背面の外周側の部分に対向する箇所には、固定シーブの背面を押圧するピストンを備えた傾動アクチュエータが設けられた変速機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−184973号公報
【特許文献2】特開2002−206605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1,2に記載された装置は、可動プーリを積極的に傾けるように構成されているので、変速速度を向上させることができる。しかし、複数の部品で構成する必要があるため、無段変速機の構造が複雑になり、材料費や組み付け工数などのコストが高くなってしまうので、この点での改善の余地がある。
【0009】
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、可動シーブを支持しているブッシュを改良して変速速度や動力伝達効率などを向上させることのできるベルト式無段変速機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、軸部と一体の固定シーブとその固定シーブに対して接近・離隔するように前記軸部に軸線方向に移動可能に取り付けられた可動シーブとによってそれぞれ形成された駆動プーリおよび従動プーリを備え、それら駆動プーリと従動プーリとの少なくとも一方における前記軸部の外周面と前記可動シーブの内周面とに前記軸部と前記可動シーブとの摺動を円滑にする円筒状の摺動部材が介在させられているベルト式無段変速機において、前記摺動部材は、前記摺動部材の半径方向の荷重を受けて弾性的に圧縮変形するように構成されるとともに、その両端側での硬度が互いに異なることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記駆動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で前記固定シーブ側の一端部で高く、前記摺動部材の軸線方向で前記可動シーブ側の他端部で低いことを特徴とするベルト式無段変速機である。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記従動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で前記固定シーブ側の一端部で低く、前記摺動部材の軸線方向で前記可動シーブ側の他端部で高いことを特徴とするベルト式無段変速機である。
【0013】
また、請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記駆動プーリまたは前記従動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で一定に構成されており、もう一方の前記従動プーリまたは前記駆動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、その両端側で互いに異なることを特徴とするベルト式無段変速機である。
【0014】
また、請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記駆動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で一定に構成されており、前記従動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で前記固定シーブ側の一端部で低く、前記摺動部材の軸線方向で前記可動シーブ側の他端部で高いことを特徴とするベルト式無段変速機である。
【0015】
そして、請求項6の発明は、請求項4の発明において、前記従動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で一定に構成されており、前記駆動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で前記固定シーブ側の一端部で高く、前記摺動部材の軸線方向で前記可動シーブ側の他端部で低いことを特徴とするベルト式無段変速機である。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、駆動プーリと従動プーリとの少なくとも一方におけるプーリ軸と可動シーブとの間に円筒状をなす摺動部材が設けられており、その摺動部材は、摺動部材の半径方向の荷重を受けて弾性的に圧縮変形するように構成されるとともに、その両端側での硬度が互いに異なるよう形成されている。また、駆動プーリに設けられている摺動部材の硬度は、摺動部材の軸線方向で固定シーブ側の一端部で高く、摺動部材の軸線方向で可動シーブ側の他端部で低く形成されている。さらに、従動プーリに設けられている摺動部材の硬度は、摺動部材の軸線方向で固定シーブ側の一端部で低く、摺動部材の軸線方向で可動シーブ側の他端部で高く形成されている。したがって、摺動部材の硬度に応じてプーリの傾きを変化させることができるので、無段変速機の構造は簡素となり、その結果、材料費や組み付け工数などのコストを低減させることができる。
【0017】
また、変速比が最大側に近づいた場合、駆動プーリ側において、可動シーブと加圧接触している摺動部材の接触部分は、その軸線方向で固定シーブ側の一端部よりも硬度が低いため、その半径方向の荷重を受けて弾性的に圧縮変形する。その結果、駆動プーリの傾きが大きくなり、最大変速比まで変速速度が速くなることで、ベルト戻り性能を向上させることができる。一方、従動プーリ側において、可動シーブと加圧接触している摺動部材の接触部分は、その軸線方向で可動シーブ側の一端部よりも硬度が低いため、その半径方向の荷重を受けて弾性的に圧縮変形する。その結果、従動プーリの傾きが大きくなり、変速速度が速くなることで、よりアップシフトがしやすくなるため、車両走行性能を向上させることができる。
【0018】
さらに、変速比が常用域の最小側に近づいた場合、駆動プーリ側において、可動シーブと加圧接触している摺動部材の接触部分は、その軸線方向で可動シーブ側の一端部よりも硬度が高いため、その半径方向の荷重を受けて弾性的に圧縮変形しない。その結果、駆動プーリは傾かないため、プーリとベルトとの接触面圧は高くならず、ベルトの摩耗を防ぐことができ、ベルトの耐久性や効率性を向上させることができる。一方、従動シーブ側において、可動シーブと加圧接触している摺動部材の接触部分は、その軸線方向で固定シーブ側の一端部よりも硬度が高いため、その半径方向の荷重を受けて弾性的に圧縮変形しない。その結果、従動プーリは傾かないため、プーリとベルトとの接触面圧は高くならず、ベルトの摩耗を防ぐことができ、ベルトの耐久性や効率性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明にかかる無段変速機の第1実施例を示す模式図である。
【図2】この発明における駆動プーリに設けられた樹脂ブッシュの構成と硬度とを示す模式図である。
【図3】この発明における従動プーリに設けられた樹脂ブッシュの構成と硬度とを示す模式図である。
【図4】この発明にかかる無段変速機の第1実施例において変速比最大側時の動作を示す模式図である。
【図5】この発明にかかる無段変速機の第1実施例において変速比最小側時の動作を示す模式図である。
【図6】この発明にかかる無段変速機の第2実施例の構成を示す模式図である。
【図7】この発明にかかる無段変速機の第3実施例の構成を示す模式図である。
【図8】この発明における樹脂ブッシュの他の例を示す模式図である。
【図9】この発明にかかる無段変速機の第4実施例の構成を示す模式図である。
【図10】この発明における樹脂ブッシュの他の例を示す半径方向に沿う断面図である。
【図11】この発明における樹脂ブッシュの他の例を示す半径方向に沿う断面を拡大した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。図1は、この発明に係る乾式ベルトの無段変速機の第1実施例を模式的に示している。まず、構成について説明する。無段変速機1は、駆動軸2と同一軸線上に配置された駆動プーリ3と、従動軸4と同一軸線上に配置された従動プーリ5と、これらに巻き掛けられたベルト6とを有している。各プーリ3,5は、互いに接近・離隔する固定シーブ7,9と可動シーブ8,10とから構成され、これらのシーブの間に、ベルト11を巻き掛けるいわゆるV溝が形成されるようになっている。その固定シーブ7,9は軸部2,4に一体化され、これに対して可動シーブ8,10は軸部2,4と一体に回転するものの軸部の軸線に沿って前後動するように構成されている。固定シーブ7,9の軸部2,4は、ケーシング(図示せず)で固定されている軸受部(図示せず)に嵌合されており、軸受部によって回転自在に支持されている。この軸受部は、ケーシングもしくはその一部を構成しているエンドカバー(図示せず)の内面に突出した軸状の部分であって、ケーシングもしくはエンドカバーの一部として一体に形成され、あるいは軸状の部材をケーシングもしくはエンドカバーの内面に取り付けることにより形成されている。そして、可動シーブ8,10の背面側には、可動シーブ8,10を前後動させるための油圧アクチュエータ(図示せず)が設けられている。
【0021】
この発明において、自己潤滑性の円筒状である摺動部材(樹脂ブッシュ)12,13が、駆動プーリ3と従動プーリ5との少なくとも一方における固定シーブ7,9の軸部2,4の外周面と可動シーブ8,10の内周面との間に介在されており、軸部2,4と可動シーブ8,10との摺動を円滑にするよう構成されている。樹脂ブッシュ12,13は、樹脂ブッシュの半径方向の荷重を受けて弾性的に圧縮変形するように構成されるとともに、その両端側での硬度が互いに異なるよう形成されている。図2を用いて具体的に説明すると、駆動プーリ3に設けられている樹脂ブッシュ12の硬度は、樹脂ブッシュ12の軸線方向で固定シーブ側の一端部14で高く、樹脂ブッシュ12の軸線方向で可動シーブ側の他端部15で低く構成されている。また、図3に示すように、従動プーリ5に設けられている樹脂ブッシュ13の硬度は、樹脂ブッシュ13の軸線方向で固定シーブ側の一端部16で低く、樹脂ブッシュ13の軸線方向で可動シーブ側の他端部17で高く構成されている。
【0022】
次に、作用について説明する。上記のベルトを、図1に示すように駆動プーリ3および従動プーリ5に巻き掛けるとともに、動力源のトルクが駆動プーリ3に伝達されると、駆動プーリ3が軸部2を中心に回転し、その駆動プーリ3の動力が摩擦力によりエレメント6に伝達される。エレメント6はゴムベルト11によって結合されており、駆動プーリ3から押し出されるエレメント6が先行するエレメント6を押し、そのエレメント6が従動プーリ5に巻き掛かることによりトルクが伝達される従動プーリ5が軸部4を中心に回転する。
【0023】
エレメント6がプーリ3,5に巻き掛かった状態では、固定シーブ7,9と可動シーブ8,10との挟圧力によりエレメント6に対してはこれをプーリ3,5の半径方向で外側に押す力が作用し、ゴムベルト11がこれに抵抗するように結束力を生じさせ、結局、ゴムベルト11の張力により、エレメント6はプーリ3,5の半径方向で内側に向けて押圧される。その押圧力により固定シーブ7,9と可動シーブ8,10とに対してはこれらをプーリの半径方向で内側に向かう荷重Fp,Fsが作用し、その結果、固定シーブ7,9の軸部2,4の軸線上を摺動する可動シーブ8,10はその軸部2,4の半径方向で内側に向けて押圧された状態となる。つまり、エレメント6がプーリ3,5に巻き掛かった状態では、ゴムベルト11の張力により、可動シーブ8,10は固定プーリの軸部2,4の半径方向で内側に向けて押圧され、その結果、可動シーブ8,10の内周面と固定プーリの軸部2,4の外周面とが加圧接触状態となる。
【0024】
駆動プーリ3の軸部2の外周面には、円筒状をなし、かつ樹脂ブッシュ12の軸線方向で固定シーブ側の一端部14で高く、樹脂ブッシュ12の軸線方向で可動シーブ側の他端部15で低い硬度で構成されている樹脂ブッシュ12が設けられている。また、従動プーリ5の軸部4の外周面には、円筒状をなし、かつ樹脂ブッシュ13の軸線方向で固定シーブ側の一端部16で低く、樹脂ブッシュ13の軸線方向で可動シーブ側の他端部17で高い硬度で構成されている樹脂ブッシュ13が設けられている。このため、エレメント6がプーリ3,5に巻き掛かった状態では、可動シーブ8,10と樹脂ブッシュ12,13とが加圧接触状態となる。つまり、樹脂ブッシュの硬度に応じてプーリの傾きを変化させることができるので、無段変速機の構造は簡素となり、その結果、材料費や組み付け工数などのコストを低減させることができる。
【0025】
変速比が最大側に近づく場合の作用を、図4を用いて説明する。駆動プーリ側において、可動シーブ8と加圧接触している樹脂ブッシュ12の接触部分は、その軸線方向で固定シーブ側の一端部14よりも硬度が低いため、その半径方向の荷重Fpを受けて弾性的に圧縮変形する。樹脂ブッシュ12の接触部が圧縮変形することで可動シーブ8の傾き角度(駆動プーリ3の傾き角度)が大きくなり、その結果、変速速度を向上させることができ、ベルト戻り性能を向上させることができる。
【0026】
さらに、従動プーリ5の可動シーブ10と樹脂ブッシュ13とが加圧接触する状態において、樹脂ブッシュ13の接触部は、その軸線方向で可動シーブ側の一端部17よりも硬度が低いため、その半径方向の荷重Fsを受けて弾性的に圧縮変形する。樹脂ブッシュが圧縮変形することで可動シーブ10の傾き角度(従動プーリ5の傾き角度)が大きくなり、その結果、前述の駆動プーリにおける作用に加え、アップシフト性能が向上し、車両走行性能を向上させることができる。
【0027】
次に変速比が常用域の最小側に近づく場合の作用を、図5を用いて説明する。駆動プーリ側において、可動シーブ8と加圧接触している樹脂ブッシュ12の接触部分は、その軸線方向で可動シーブ側の一端部15よりも硬度が高いため、その半径方向の荷重Fpを受けても弾性的に圧縮変形しにくい。つまり、車両走行時において常用域となる変速比最小側では、駆動プーリ8は傾かないため、その結果、プーリとベルトとの接触面圧は高くならず、ベルトの摩耗を防ぐことができ、ベルトの耐久性や効率性を向上させることができる。一方、従動シーブ側において、可動シーブ10と加圧接触している樹脂ブッシュ13の接触部分は、その軸線方向で固定シーブ側の一端部16よりも硬度が高いため、その半径方向の荷重を受けても弾性的に圧縮変形しにくい。つまり、車両走行時において常用域となる変速比最小側では、従動プーリ10は傾かないため、その結果、プーリとベルトとの接触面圧は高くならず、ベルトの摩耗を防ぐことができ、ベルトの耐久性や効率性を向上させることができる。
【0028】
つぎに、図6を用いて、この発明の第2実施例を説明する。まず、構成について説明する。前述の第1実施例では、この発明における樹脂ブッシュ12,13が、駆動プーリ3と従動プーリ5とに設けられた構成の例を示しているが、この第2実施例で示す無段変速機1は、この発明における樹脂ブッシュ13が従動プーリ5に設けられ、樹脂ブッシュ18の軸線方向で硬度が一定に構成された樹脂ブッシュ18が駆動プーリ3に設けられている。
【0029】
つぎに、作用について説明する。変速比が最大側に近づいた場合、従動プーリ側において、可動シーブ10と加圧接触している樹脂ブッシュ13の接触部分は、その軸線方向で可動シーブ側の一端部17よりも硬度が低いため、その半径方向の荷重Fsを受けて弾性的に圧縮変形する。その結果、従動プーリ5の傾きが大きくなり、変速速度が速くなることで、よりアップシフトがしやすくなるため、車両走行性能を向上させることができる。
【0030】
さらに、変速比が常用域の最小側に近づいた場合、従動シーブ側において、可動シーブ10と加圧接触している樹脂ブッシュ13の接触部分は、その軸線方向で固定シーブ側の一端部16よりも硬度が高いため、その半径方向の荷重を受けても弾性的に圧縮変形しにくい。つまり、車両走行時において常用域となる変速比最小側では、従動プーリ5は傾かないため、プーリとベルトとの接触面圧は高くならず、その結果、ベルトの摩耗を防ぐことができ、ベルトの耐久性や効率性を向上させることができる。
【0031】
つぎに、図7を用いて、この発明の第3実施例を説明する。まず、構成について説明する。前述の第1実施例では、この発明における樹脂ブッシュが、駆動プーリと従動プーリとに設けられた構成の例を示しているが、この第3実施例で示す無段変速機は、この発明における樹脂ブッシュ12が駆動プーリ3に設けられ、樹脂ブッシュ19の軸線方向で硬度が一定に構成された樹脂ブッシュ19が従動プーリ5に設けられている。
【0032】
つぎに、作用について説明する。変速比が最大側に近づいた場合、駆動プーリ側において、可動シーブ8と加圧接触している樹脂ブッシュ12の接触部分は、その軸線方向で固定シーブ側の一端部14よりも硬度が低いため、その半径方向の荷重を受けて弾性的に圧縮変形する。その結果、駆動プーリ3の傾きが大きくなり、最大変速比まで変速速度が速くなることで、ベルト戻り性能を向上させることができる。
【0033】
さらに、変速比が常用域の最小側に近づいた場合、駆動プーリ側において、可動シーブ8と加圧接触している樹脂ブッシュ12の接触部分は、その軸線方向で可動シーブ側の一端部15よりも硬度が高いため、その半径方向の荷重を受けても弾性的に圧縮変形しにくい。つまり、車両走行時において常用域となる変速比最小側では、駆動プーリ3は傾かないため、その結果、プーリとベルトとの接触面圧は高くならず、ベルトの摩耗を防ぐことができ、ベルトの耐久性や効率性を向上させることができる。
【0034】
つぎに、この発明の第4実施例を説明する。まず、構成について説明する。前述の第1実施例ないし第3実施例では、この発明における樹脂ブッシュは、樹脂ブッシュの半径方向の荷重を受けて弾性的に圧縮変形するように構成されるとともに、その両端側での硬度が互いに異なるよう形成されており、具体的な一例をあげると、樹脂ブッシュは、硬度が異なるいくつかの樹脂部材を軸線方向に配列することで構成されている。一方で、図8に示す一例のように、第4実施例の円筒状である樹脂ブッシュ20は、格子状に形成されるとともに、その両端側での格子の大きさが互いに異なるよう形成されている。図9を用いて具体的に説明すると、自己潤滑性の樹脂ブッシュ21,22は、駆動プーリ3と従動プーリ5との少なくとも一方における固定シーブ7,9の軸部2,4の外周面と可動シーブ8,10の内周面との間に介在されており、軸部2,4と可動シーブ8,10との摺動を円滑にするよう構成されている。駆動プーリ3に設けられている樹脂ブッシュ21の格子の大きさは、樹脂ブッシュの軸線方向で固定シーブ側の一端部23で小さく、樹脂ブッシュ21の軸線方向で可動シーブ側の他端部24で大きく構成されている。また、従動プーリ5に設けられている樹脂ブッシュ22の格子の大きさは、樹脂ブッシュ22の軸線方向で固定シーブ側の一端部25で大きく、樹脂ブッシュ22の軸線方向で可動シーブ側の他端部26で小さく構成されている。なお、第4実施例の樹脂ブッシュは、少なくとも一方のプーリに設けられていればよい。
【0035】
次に、作用について説明する。この発明における第4実施例の樹脂ブッシュは、単一の樹脂で構成することができるため、材料コストなどの製造コストを抑えることができる。
【0036】
また、変速比が最大側に近づいた場合、駆動プーリ側において、可動シーブ8と加圧接触している樹脂ブッシュ21の接触部分は、その軸線方向で固定シーブ側の一端部23よりも格子の大きさが大きいため、その強度は一端部23よりも相対的に低くなり、その半径方向の荷重Fpを受けて弾性的に圧縮変形する。樹脂ブッシュ21の接触部が圧縮変形することで可動シーブ8の傾き角度(駆動プーリ3の傾き角度)が大きくなり、その結果、変速速度を向上させることができ、ベルト戻り性能を向上させることができる。
【0037】
さらに、従動プーリ側において、可動シーブ10と加圧接触している樹脂ブッシュ22の接触部分は、その軸線方向で可動シーブ側の一端部26よりも格子の大きさが大きいため、その強度は相対的に低くなり、その半径方向の荷重Fsを受けて弾性的に圧縮変形する。樹脂ブッシュ22が圧縮変形することで可動シーブ10の傾き角度(従動プーリ5の傾き角度)が大きくなり、その結果、前述の駆動プーリにおける作用に加え、アップシフト性能が向上し、車両走行性能を向上させることができる。
【0038】
さらに、可動シーブ8,10と樹脂ブッシュ21,22とが加圧接触している状態において、図10を用いて説明すると、樹脂ブッシュ21,22の接触部における格子の空間27には、中空部28の空気が取り込まれている。これを時間軸に沿って詳しく説明すると、接触初期時において、可動シーブ8,10と接触する樹脂ブッシュ21,22の接触部分は、その軸線方向で格子の大きさが大きいため、その強度は相対的に低くなり、図11(a)に示すようにその半径方向の荷重Fp,Fsを受けて弾性的に圧縮変形する。さらに、図11(b)に示すように接触初期後において、荷重Fp,Fsにより格子の空間27における気圧が高まるため、可動シーブ8,10とプーリの軸部2,4との接触荷重が緩和され、その結果、樹脂ブッシュ21,22の接触部の摺動抵抗を低減させることができる。
【0039】
また、変速比が常用域の最小側に近づいた場合、駆動プーリ側において、可動シーブ8と加圧接触している樹脂ブッシュ21の接触部分は、その軸線方向で可動シーブ側の一端部24よりも格子の大きさが小さいため、その強度は一端部24よりも相対的に高くなり、その半径方向の荷重Fpを受けても弾性的に圧縮変形しにくい。つまり、車両走行時において常用域となる変速比最小側では、駆動プーリ5は傾かないため、その結果、プーリとベルトとの接触面圧は高くならず、ベルトの摩耗を防ぐことができ、ベルトの耐久性や効率性を向上させることができる。一方、従動シーブ側において、可動シーブ10と加圧接触している樹脂ブッシュ22の接触部分は、その軸線方向で固定シーブ側の一端部25よりも格子の大きさが小さいため、その強度は一端部25よりも相対的に高くなり、その半径方向の荷重を受けても弾性的に圧縮変形しにくい。つまり、車両走行時において常用域となる変速比最小側では、従動プーリ5は傾かないため、その結果、プーリとベルトとの接触面圧は高くならず、ベルトの摩耗を防ぐことができ、ベルトの耐久性や効率性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0040】
2…(駆動プーリの)軸部、 4…(従動プーリの)軸部、 7,9…固定シーブ、 8,10…可動シーブ、 12,13,21,22…樹脂ブッシュ。
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のプーリに巻き掛けられてそれら複数のプーリ間で動力伝達を行うベルト式無段変速機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
変速比を無段階すなわち連続的に変化させることのできる無段変速機として、ベルトを伝動部材としたベルト式無段変速機が知られている。ベルト式無段変速機は、ベルトとプーリとの間の摩擦力を利用してトルクを伝達するように構成されているから、ベルトとプーリとは基本的には滑りを生じない。したがって変速比を変更するためにプーリに対するベルトの巻き掛け半径を変更する場合、プーリおよびベルトが回転していることにより、ベルトの各部分がプーリに新たに巻掛かる際に、先行する部分とは半径方向に異なる位置に順次ずれて巻掛かることにより、ベルトの巻き掛け半径が次第に変化する。すなわち、車両の走行に必要なトルクを伝達できる定常的な状態では、無段変速機を回転させつつ変速比を変化させることになる。これは、乾式のベルト式無段変速機および湿式のベルト式無段変速機のいずれでも同様である。
【0003】
車両が発進する場合には大きい駆動力が要求されるので、無段変速機の変速比は発進時に最大変速比γmaxとすることが望ましい。しかしながら、無段変速機の変速比は無段変速機が回転している状態で変更できるので、車両が停止する直前に最大変速比γmaxとする必要があるが、急減速や急停止する場合などには、変速が間に合わずに、発進時の変速比を最大に設定できない場合がある。この場合、車両の発進において駆動力が不足するため、車両の発進が困難となる可能性がある。特に乾式ベルトは、湿式ベルトよりもプーリとベルトとの摩擦係数が大きいため、最大変速比γmaxまで戻りにくい。
【0004】
ところで、この種の動力伝達装置は、略円錐である可動シーブの円錐面(テーパ面)の母線と固定シーブの回転軸直交平面とがなす角で定義されたプーリの傾き角度(倒れ角)が大きいほど、変速速度が速くなることが知られている。このような特性を生かして最大変速比γmaxまでベルトを素速く戻す発明が、特許文献1や特許文献2に記載されている。
【0005】
特許文献1に記載された無段変速機は、変速速度を速くすることを目的としたものであって、駆動プーリおよび従動プーリにおける可動シーブの傾き角度(倒れ角)を変速比に応じて変化させるように構成されている。具体的には、プーリ軸の外周面に段付のテーパ部を形成するとともに、段部で区分されているそれらのテーパ部のテーパ角を異ならせ、また可動シーブの内周面を、プーリ軸のテーパ部と対応する段付のテーパ形状に形成し、大きい変速比を設定する場合には、その可動シーブの傾き角度を大きくし、これとは反対に小さい変速比を設定する場合には、可動シーブの傾き角度が小さくなるように構成されている。
【0006】
また、特許文献2には、出力プーリにおける固定シーブが出力軸に対して傾くことができるように取り付けられ、またその固定シーブの背面の外周側の部分に対向する箇所には、固定シーブの背面を押圧するピストンを備えた傾動アクチュエータが設けられた変速機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−184973号公報
【特許文献2】特開2002−206605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1,2に記載された装置は、可動プーリを積極的に傾けるように構成されているので、変速速度を向上させることができる。しかし、複数の部品で構成する必要があるため、無段変速機の構造が複雑になり、材料費や組み付け工数などのコストが高くなってしまうので、この点での改善の余地がある。
【0009】
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、可動シーブを支持しているブッシュを改良して変速速度や動力伝達効率などを向上させることのできるベルト式無段変速機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、軸部と一体の固定シーブとその固定シーブに対して接近・離隔するように前記軸部に軸線方向に移動可能に取り付けられた可動シーブとによってそれぞれ形成された駆動プーリおよび従動プーリを備え、それら駆動プーリと従動プーリとの少なくとも一方における前記軸部の外周面と前記可動シーブの内周面とに前記軸部と前記可動シーブとの摺動を円滑にする円筒状の摺動部材が介在させられているベルト式無段変速機において、前記摺動部材は、前記摺動部材の半径方向の荷重を受けて弾性的に圧縮変形するように構成されるとともに、その両端側での硬度が互いに異なることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記駆動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で前記固定シーブ側の一端部で高く、前記摺動部材の軸線方向で前記可動シーブ側の他端部で低いことを特徴とするベルト式無段変速機である。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記従動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で前記固定シーブ側の一端部で低く、前記摺動部材の軸線方向で前記可動シーブ側の他端部で高いことを特徴とするベルト式無段変速機である。
【0013】
また、請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記駆動プーリまたは前記従動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で一定に構成されており、もう一方の前記従動プーリまたは前記駆動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、その両端側で互いに異なることを特徴とするベルト式無段変速機である。
【0014】
また、請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記駆動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で一定に構成されており、前記従動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で前記固定シーブ側の一端部で低く、前記摺動部材の軸線方向で前記可動シーブ側の他端部で高いことを特徴とするベルト式無段変速機である。
【0015】
そして、請求項6の発明は、請求項4の発明において、前記従動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で一定に構成されており、前記駆動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で前記固定シーブ側の一端部で高く、前記摺動部材の軸線方向で前記可動シーブ側の他端部で低いことを特徴とするベルト式無段変速機である。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、駆動プーリと従動プーリとの少なくとも一方におけるプーリ軸と可動シーブとの間に円筒状をなす摺動部材が設けられており、その摺動部材は、摺動部材の半径方向の荷重を受けて弾性的に圧縮変形するように構成されるとともに、その両端側での硬度が互いに異なるよう形成されている。また、駆動プーリに設けられている摺動部材の硬度は、摺動部材の軸線方向で固定シーブ側の一端部で高く、摺動部材の軸線方向で可動シーブ側の他端部で低く形成されている。さらに、従動プーリに設けられている摺動部材の硬度は、摺動部材の軸線方向で固定シーブ側の一端部で低く、摺動部材の軸線方向で可動シーブ側の他端部で高く形成されている。したがって、摺動部材の硬度に応じてプーリの傾きを変化させることができるので、無段変速機の構造は簡素となり、その結果、材料費や組み付け工数などのコストを低減させることができる。
【0017】
また、変速比が最大側に近づいた場合、駆動プーリ側において、可動シーブと加圧接触している摺動部材の接触部分は、その軸線方向で固定シーブ側の一端部よりも硬度が低いため、その半径方向の荷重を受けて弾性的に圧縮変形する。その結果、駆動プーリの傾きが大きくなり、最大変速比まで変速速度が速くなることで、ベルト戻り性能を向上させることができる。一方、従動プーリ側において、可動シーブと加圧接触している摺動部材の接触部分は、その軸線方向で可動シーブ側の一端部よりも硬度が低いため、その半径方向の荷重を受けて弾性的に圧縮変形する。その結果、従動プーリの傾きが大きくなり、変速速度が速くなることで、よりアップシフトがしやすくなるため、車両走行性能を向上させることができる。
【0018】
さらに、変速比が常用域の最小側に近づいた場合、駆動プーリ側において、可動シーブと加圧接触している摺動部材の接触部分は、その軸線方向で可動シーブ側の一端部よりも硬度が高いため、その半径方向の荷重を受けて弾性的に圧縮変形しない。その結果、駆動プーリは傾かないため、プーリとベルトとの接触面圧は高くならず、ベルトの摩耗を防ぐことができ、ベルトの耐久性や効率性を向上させることができる。一方、従動シーブ側において、可動シーブと加圧接触している摺動部材の接触部分は、その軸線方向で固定シーブ側の一端部よりも硬度が高いため、その半径方向の荷重を受けて弾性的に圧縮変形しない。その結果、従動プーリは傾かないため、プーリとベルトとの接触面圧は高くならず、ベルトの摩耗を防ぐことができ、ベルトの耐久性や効率性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明にかかる無段変速機の第1実施例を示す模式図である。
【図2】この発明における駆動プーリに設けられた樹脂ブッシュの構成と硬度とを示す模式図である。
【図3】この発明における従動プーリに設けられた樹脂ブッシュの構成と硬度とを示す模式図である。
【図4】この発明にかかる無段変速機の第1実施例において変速比最大側時の動作を示す模式図である。
【図5】この発明にかかる無段変速機の第1実施例において変速比最小側時の動作を示す模式図である。
【図6】この発明にかかる無段変速機の第2実施例の構成を示す模式図である。
【図7】この発明にかかる無段変速機の第3実施例の構成を示す模式図である。
【図8】この発明における樹脂ブッシュの他の例を示す模式図である。
【図9】この発明にかかる無段変速機の第4実施例の構成を示す模式図である。
【図10】この発明における樹脂ブッシュの他の例を示す半径方向に沿う断面図である。
【図11】この発明における樹脂ブッシュの他の例を示す半径方向に沿う断面を拡大した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。図1は、この発明に係る乾式ベルトの無段変速機の第1実施例を模式的に示している。まず、構成について説明する。無段変速機1は、駆動軸2と同一軸線上に配置された駆動プーリ3と、従動軸4と同一軸線上に配置された従動プーリ5と、これらに巻き掛けられたベルト6とを有している。各プーリ3,5は、互いに接近・離隔する固定シーブ7,9と可動シーブ8,10とから構成され、これらのシーブの間に、ベルト11を巻き掛けるいわゆるV溝が形成されるようになっている。その固定シーブ7,9は軸部2,4に一体化され、これに対して可動シーブ8,10は軸部2,4と一体に回転するものの軸部の軸線に沿って前後動するように構成されている。固定シーブ7,9の軸部2,4は、ケーシング(図示せず)で固定されている軸受部(図示せず)に嵌合されており、軸受部によって回転自在に支持されている。この軸受部は、ケーシングもしくはその一部を構成しているエンドカバー(図示せず)の内面に突出した軸状の部分であって、ケーシングもしくはエンドカバーの一部として一体に形成され、あるいは軸状の部材をケーシングもしくはエンドカバーの内面に取り付けることにより形成されている。そして、可動シーブ8,10の背面側には、可動シーブ8,10を前後動させるための油圧アクチュエータ(図示せず)が設けられている。
【0021】
この発明において、自己潤滑性の円筒状である摺動部材(樹脂ブッシュ)12,13が、駆動プーリ3と従動プーリ5との少なくとも一方における固定シーブ7,9の軸部2,4の外周面と可動シーブ8,10の内周面との間に介在されており、軸部2,4と可動シーブ8,10との摺動を円滑にするよう構成されている。樹脂ブッシュ12,13は、樹脂ブッシュの半径方向の荷重を受けて弾性的に圧縮変形するように構成されるとともに、その両端側での硬度が互いに異なるよう形成されている。図2を用いて具体的に説明すると、駆動プーリ3に設けられている樹脂ブッシュ12の硬度は、樹脂ブッシュ12の軸線方向で固定シーブ側の一端部14で高く、樹脂ブッシュ12の軸線方向で可動シーブ側の他端部15で低く構成されている。また、図3に示すように、従動プーリ5に設けられている樹脂ブッシュ13の硬度は、樹脂ブッシュ13の軸線方向で固定シーブ側の一端部16で低く、樹脂ブッシュ13の軸線方向で可動シーブ側の他端部17で高く構成されている。
【0022】
次に、作用について説明する。上記のベルトを、図1に示すように駆動プーリ3および従動プーリ5に巻き掛けるとともに、動力源のトルクが駆動プーリ3に伝達されると、駆動プーリ3が軸部2を中心に回転し、その駆動プーリ3の動力が摩擦力によりエレメント6に伝達される。エレメント6はゴムベルト11によって結合されており、駆動プーリ3から押し出されるエレメント6が先行するエレメント6を押し、そのエレメント6が従動プーリ5に巻き掛かることによりトルクが伝達される従動プーリ5が軸部4を中心に回転する。
【0023】
エレメント6がプーリ3,5に巻き掛かった状態では、固定シーブ7,9と可動シーブ8,10との挟圧力によりエレメント6に対してはこれをプーリ3,5の半径方向で外側に押す力が作用し、ゴムベルト11がこれに抵抗するように結束力を生じさせ、結局、ゴムベルト11の張力により、エレメント6はプーリ3,5の半径方向で内側に向けて押圧される。その押圧力により固定シーブ7,9と可動シーブ8,10とに対してはこれらをプーリの半径方向で内側に向かう荷重Fp,Fsが作用し、その結果、固定シーブ7,9の軸部2,4の軸線上を摺動する可動シーブ8,10はその軸部2,4の半径方向で内側に向けて押圧された状態となる。つまり、エレメント6がプーリ3,5に巻き掛かった状態では、ゴムベルト11の張力により、可動シーブ8,10は固定プーリの軸部2,4の半径方向で内側に向けて押圧され、その結果、可動シーブ8,10の内周面と固定プーリの軸部2,4の外周面とが加圧接触状態となる。
【0024】
駆動プーリ3の軸部2の外周面には、円筒状をなし、かつ樹脂ブッシュ12の軸線方向で固定シーブ側の一端部14で高く、樹脂ブッシュ12の軸線方向で可動シーブ側の他端部15で低い硬度で構成されている樹脂ブッシュ12が設けられている。また、従動プーリ5の軸部4の外周面には、円筒状をなし、かつ樹脂ブッシュ13の軸線方向で固定シーブ側の一端部16で低く、樹脂ブッシュ13の軸線方向で可動シーブ側の他端部17で高い硬度で構成されている樹脂ブッシュ13が設けられている。このため、エレメント6がプーリ3,5に巻き掛かった状態では、可動シーブ8,10と樹脂ブッシュ12,13とが加圧接触状態となる。つまり、樹脂ブッシュの硬度に応じてプーリの傾きを変化させることができるので、無段変速機の構造は簡素となり、その結果、材料費や組み付け工数などのコストを低減させることができる。
【0025】
変速比が最大側に近づく場合の作用を、図4を用いて説明する。駆動プーリ側において、可動シーブ8と加圧接触している樹脂ブッシュ12の接触部分は、その軸線方向で固定シーブ側の一端部14よりも硬度が低いため、その半径方向の荷重Fpを受けて弾性的に圧縮変形する。樹脂ブッシュ12の接触部が圧縮変形することで可動シーブ8の傾き角度(駆動プーリ3の傾き角度)が大きくなり、その結果、変速速度を向上させることができ、ベルト戻り性能を向上させることができる。
【0026】
さらに、従動プーリ5の可動シーブ10と樹脂ブッシュ13とが加圧接触する状態において、樹脂ブッシュ13の接触部は、その軸線方向で可動シーブ側の一端部17よりも硬度が低いため、その半径方向の荷重Fsを受けて弾性的に圧縮変形する。樹脂ブッシュが圧縮変形することで可動シーブ10の傾き角度(従動プーリ5の傾き角度)が大きくなり、その結果、前述の駆動プーリにおける作用に加え、アップシフト性能が向上し、車両走行性能を向上させることができる。
【0027】
次に変速比が常用域の最小側に近づく場合の作用を、図5を用いて説明する。駆動プーリ側において、可動シーブ8と加圧接触している樹脂ブッシュ12の接触部分は、その軸線方向で可動シーブ側の一端部15よりも硬度が高いため、その半径方向の荷重Fpを受けても弾性的に圧縮変形しにくい。つまり、車両走行時において常用域となる変速比最小側では、駆動プーリ8は傾かないため、その結果、プーリとベルトとの接触面圧は高くならず、ベルトの摩耗を防ぐことができ、ベルトの耐久性や効率性を向上させることができる。一方、従動シーブ側において、可動シーブ10と加圧接触している樹脂ブッシュ13の接触部分は、その軸線方向で固定シーブ側の一端部16よりも硬度が高いため、その半径方向の荷重を受けても弾性的に圧縮変形しにくい。つまり、車両走行時において常用域となる変速比最小側では、従動プーリ10は傾かないため、その結果、プーリとベルトとの接触面圧は高くならず、ベルトの摩耗を防ぐことができ、ベルトの耐久性や効率性を向上させることができる。
【0028】
つぎに、図6を用いて、この発明の第2実施例を説明する。まず、構成について説明する。前述の第1実施例では、この発明における樹脂ブッシュ12,13が、駆動プーリ3と従動プーリ5とに設けられた構成の例を示しているが、この第2実施例で示す無段変速機1は、この発明における樹脂ブッシュ13が従動プーリ5に設けられ、樹脂ブッシュ18の軸線方向で硬度が一定に構成された樹脂ブッシュ18が駆動プーリ3に設けられている。
【0029】
つぎに、作用について説明する。変速比が最大側に近づいた場合、従動プーリ側において、可動シーブ10と加圧接触している樹脂ブッシュ13の接触部分は、その軸線方向で可動シーブ側の一端部17よりも硬度が低いため、その半径方向の荷重Fsを受けて弾性的に圧縮変形する。その結果、従動プーリ5の傾きが大きくなり、変速速度が速くなることで、よりアップシフトがしやすくなるため、車両走行性能を向上させることができる。
【0030】
さらに、変速比が常用域の最小側に近づいた場合、従動シーブ側において、可動シーブ10と加圧接触している樹脂ブッシュ13の接触部分は、その軸線方向で固定シーブ側の一端部16よりも硬度が高いため、その半径方向の荷重を受けても弾性的に圧縮変形しにくい。つまり、車両走行時において常用域となる変速比最小側では、従動プーリ5は傾かないため、プーリとベルトとの接触面圧は高くならず、その結果、ベルトの摩耗を防ぐことができ、ベルトの耐久性や効率性を向上させることができる。
【0031】
つぎに、図7を用いて、この発明の第3実施例を説明する。まず、構成について説明する。前述の第1実施例では、この発明における樹脂ブッシュが、駆動プーリと従動プーリとに設けられた構成の例を示しているが、この第3実施例で示す無段変速機は、この発明における樹脂ブッシュ12が駆動プーリ3に設けられ、樹脂ブッシュ19の軸線方向で硬度が一定に構成された樹脂ブッシュ19が従動プーリ5に設けられている。
【0032】
つぎに、作用について説明する。変速比が最大側に近づいた場合、駆動プーリ側において、可動シーブ8と加圧接触している樹脂ブッシュ12の接触部分は、その軸線方向で固定シーブ側の一端部14よりも硬度が低いため、その半径方向の荷重を受けて弾性的に圧縮変形する。その結果、駆動プーリ3の傾きが大きくなり、最大変速比まで変速速度が速くなることで、ベルト戻り性能を向上させることができる。
【0033】
さらに、変速比が常用域の最小側に近づいた場合、駆動プーリ側において、可動シーブ8と加圧接触している樹脂ブッシュ12の接触部分は、その軸線方向で可動シーブ側の一端部15よりも硬度が高いため、その半径方向の荷重を受けても弾性的に圧縮変形しにくい。つまり、車両走行時において常用域となる変速比最小側では、駆動プーリ3は傾かないため、その結果、プーリとベルトとの接触面圧は高くならず、ベルトの摩耗を防ぐことができ、ベルトの耐久性や効率性を向上させることができる。
【0034】
つぎに、この発明の第4実施例を説明する。まず、構成について説明する。前述の第1実施例ないし第3実施例では、この発明における樹脂ブッシュは、樹脂ブッシュの半径方向の荷重を受けて弾性的に圧縮変形するように構成されるとともに、その両端側での硬度が互いに異なるよう形成されており、具体的な一例をあげると、樹脂ブッシュは、硬度が異なるいくつかの樹脂部材を軸線方向に配列することで構成されている。一方で、図8に示す一例のように、第4実施例の円筒状である樹脂ブッシュ20は、格子状に形成されるとともに、その両端側での格子の大きさが互いに異なるよう形成されている。図9を用いて具体的に説明すると、自己潤滑性の樹脂ブッシュ21,22は、駆動プーリ3と従動プーリ5との少なくとも一方における固定シーブ7,9の軸部2,4の外周面と可動シーブ8,10の内周面との間に介在されており、軸部2,4と可動シーブ8,10との摺動を円滑にするよう構成されている。駆動プーリ3に設けられている樹脂ブッシュ21の格子の大きさは、樹脂ブッシュの軸線方向で固定シーブ側の一端部23で小さく、樹脂ブッシュ21の軸線方向で可動シーブ側の他端部24で大きく構成されている。また、従動プーリ5に設けられている樹脂ブッシュ22の格子の大きさは、樹脂ブッシュ22の軸線方向で固定シーブ側の一端部25で大きく、樹脂ブッシュ22の軸線方向で可動シーブ側の他端部26で小さく構成されている。なお、第4実施例の樹脂ブッシュは、少なくとも一方のプーリに設けられていればよい。
【0035】
次に、作用について説明する。この発明における第4実施例の樹脂ブッシュは、単一の樹脂で構成することができるため、材料コストなどの製造コストを抑えることができる。
【0036】
また、変速比が最大側に近づいた場合、駆動プーリ側において、可動シーブ8と加圧接触している樹脂ブッシュ21の接触部分は、その軸線方向で固定シーブ側の一端部23よりも格子の大きさが大きいため、その強度は一端部23よりも相対的に低くなり、その半径方向の荷重Fpを受けて弾性的に圧縮変形する。樹脂ブッシュ21の接触部が圧縮変形することで可動シーブ8の傾き角度(駆動プーリ3の傾き角度)が大きくなり、その結果、変速速度を向上させることができ、ベルト戻り性能を向上させることができる。
【0037】
さらに、従動プーリ側において、可動シーブ10と加圧接触している樹脂ブッシュ22の接触部分は、その軸線方向で可動シーブ側の一端部26よりも格子の大きさが大きいため、その強度は相対的に低くなり、その半径方向の荷重Fsを受けて弾性的に圧縮変形する。樹脂ブッシュ22が圧縮変形することで可動シーブ10の傾き角度(従動プーリ5の傾き角度)が大きくなり、その結果、前述の駆動プーリにおける作用に加え、アップシフト性能が向上し、車両走行性能を向上させることができる。
【0038】
さらに、可動シーブ8,10と樹脂ブッシュ21,22とが加圧接触している状態において、図10を用いて説明すると、樹脂ブッシュ21,22の接触部における格子の空間27には、中空部28の空気が取り込まれている。これを時間軸に沿って詳しく説明すると、接触初期時において、可動シーブ8,10と接触する樹脂ブッシュ21,22の接触部分は、その軸線方向で格子の大きさが大きいため、その強度は相対的に低くなり、図11(a)に示すようにその半径方向の荷重Fp,Fsを受けて弾性的に圧縮変形する。さらに、図11(b)に示すように接触初期後において、荷重Fp,Fsにより格子の空間27における気圧が高まるため、可動シーブ8,10とプーリの軸部2,4との接触荷重が緩和され、その結果、樹脂ブッシュ21,22の接触部の摺動抵抗を低減させることができる。
【0039】
また、変速比が常用域の最小側に近づいた場合、駆動プーリ側において、可動シーブ8と加圧接触している樹脂ブッシュ21の接触部分は、その軸線方向で可動シーブ側の一端部24よりも格子の大きさが小さいため、その強度は一端部24よりも相対的に高くなり、その半径方向の荷重Fpを受けても弾性的に圧縮変形しにくい。つまり、車両走行時において常用域となる変速比最小側では、駆動プーリ5は傾かないため、その結果、プーリとベルトとの接触面圧は高くならず、ベルトの摩耗を防ぐことができ、ベルトの耐久性や効率性を向上させることができる。一方、従動シーブ側において、可動シーブ10と加圧接触している樹脂ブッシュ22の接触部分は、その軸線方向で固定シーブ側の一端部25よりも格子の大きさが小さいため、その強度は一端部25よりも相対的に高くなり、その半径方向の荷重を受けても弾性的に圧縮変形しにくい。つまり、車両走行時において常用域となる変速比最小側では、従動プーリ5は傾かないため、その結果、プーリとベルトとの接触面圧は高くならず、ベルトの摩耗を防ぐことができ、ベルトの耐久性や効率性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0040】
2…(駆動プーリの)軸部、 4…(従動プーリの)軸部、 7,9…固定シーブ、 8,10…可動シーブ、 12,13,21,22…樹脂ブッシュ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部と一体の固定シーブとその固定シーブに対して接近・離隔するように前記軸部に軸線方向に移動可能に取り付けられた可動シーブとによって形成された駆動プーリおよび従動プーリを備え、それら駆動プーリと従動プーリとの少なくとも一方における前記軸部の外周面と前記可動シーブの内周面とに前記軸部と前記可動シーブとの摺動を円滑にする円筒状の摺動部材が介在させられているベルト式無段変速機において、
前記摺動部材は、前記摺動部材の半径方向の荷重を受けて弾性的に圧縮変形するように構成されるとともに、その両端側での硬度が互いに異なることを特徴とするベルト式無段変速機。
【請求項2】
前記駆動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で前記固定シーブ側の一端部で高く、前記摺動部材の軸線方向で前記可動シーブ側の他端部で低いことを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機。
【請求項3】
前記従動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で前記固定シーブ側の一端部で低く、前記摺動部材の軸線方向で前記可動シーブ側の他端部で高いことを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機。
【請求項4】
前記駆動プーリまたは前記従動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で一定に構成されており、もう一方の前記従動プーリまたは前記駆動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、その両端側で互いに異なることを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機。
【請求項5】
前記駆動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で一定に構成されており、前記従動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で前記固定シーブ側の一端部で低く、前記摺動部材の軸線方向で前記可動シーブ側の他端部で高いことを特徴とする請求項4に記載のベルト式無段変速機。
【請求項6】
前記従動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で一定に構成されており、前記駆動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で前記固定シーブ側の一端部で高く、前記摺動部材の軸線方向で前記可動シーブ側の他端部で低いことを特徴とする請求項4に記載のベルト式無段変速機。
【請求項1】
軸部と一体の固定シーブとその固定シーブに対して接近・離隔するように前記軸部に軸線方向に移動可能に取り付けられた可動シーブとによって形成された駆動プーリおよび従動プーリを備え、それら駆動プーリと従動プーリとの少なくとも一方における前記軸部の外周面と前記可動シーブの内周面とに前記軸部と前記可動シーブとの摺動を円滑にする円筒状の摺動部材が介在させられているベルト式無段変速機において、
前記摺動部材は、前記摺動部材の半径方向の荷重を受けて弾性的に圧縮変形するように構成されるとともに、その両端側での硬度が互いに異なることを特徴とするベルト式無段変速機。
【請求項2】
前記駆動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で前記固定シーブ側の一端部で高く、前記摺動部材の軸線方向で前記可動シーブ側の他端部で低いことを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機。
【請求項3】
前記従動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で前記固定シーブ側の一端部で低く、前記摺動部材の軸線方向で前記可動シーブ側の他端部で高いことを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機。
【請求項4】
前記駆動プーリまたは前記従動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で一定に構成されており、もう一方の前記従動プーリまたは前記駆動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、その両端側で互いに異なることを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機。
【請求項5】
前記駆動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で一定に構成されており、前記従動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で前記固定シーブ側の一端部で低く、前記摺動部材の軸線方向で前記可動シーブ側の他端部で高いことを特徴とする請求項4に記載のベルト式無段変速機。
【請求項6】
前記従動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で一定に構成されており、前記駆動プーリに設けられている前記摺動部材の硬度は、前記摺動部材の軸線方向で前記固定シーブ側の一端部で高く、前記摺動部材の軸線方向で前記可動シーブ側の他端部で低いことを特徴とする請求項4に記載のベルト式無段変速機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−132524(P2012−132524A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286197(P2010−286197)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]