説明

ベルト蛇行抑制装置及びこれを備えた画像形成装置

【課題】複数の光センサから出力される複数の出力信号に基づいて無端ベルトの幅方向位置を算出する構成における発光光量の調整動作の際に高精度な制御が要求されない方法を提供する。
【解決手段】エッジセンサ324は、一列に隣接して配列されていて受光量に応じた信号レベルの出力信号Va,Vbをそれぞれ出力する2つの受光領域324e,324fを備え、中間転写ベルト61のベルト幅方向への変位に連動して、受光部に対する光照射位置(光スポットLの位置)が受光領域配列方向に沿って移動するように発光部324gからの光の光路が光反射部材324zによって変更される。光のスポットの受光領域配列方向長さは、当該2つの受光領域全体よりも短い。発光光量の調整時には、当該2つの受光領域から出力される出力信号の総和(Va+Vb)の最大値が規定値Vtとなるように調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端ベルトのベルト幅方向への変位を修正して無端ベルトの蛇行を抑制するベルト蛇行抑制装置及びこれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置のなかには、中間転写ベルト、感光体ベルト、用紙搬送ベルトなどの無端ベルトを用いて画像を形成する画像形成装置がある。一般に、駆動ローラを含む所定数のローラにより張架して無端ベルトを走行させる場合、走行中の無端ベルトが走行方向とは直交する方向(以下「ベルト幅方向」という。)に変位する、いわゆるベルト蛇行が発生することがある。このベルト蛇行は、例えば、その無端ベルトの外周面上に又はその無端ベルトの外周面に担持された記録材上に画像を形成する場合には、画像を歪ませる原因となる。また、例えば、各色画像を互いが重なり合うように無端ベルト上に順次形成してカラー画像を形成する場合には、各色画像間においてベルト幅方向の相対的な位置ズレが発生し、色ズレや色ムラ等が生じる原因となる。特に、このような色ズレや色ムラ等はユーザーに認知されやすいので、上記のようにカラー画像を形成する場合にはベルト蛇行を適切に抑制することが重要となる。
【0003】
無端ベルトの蛇行抑制方式として、その代表的な技術の一つに、無端ベルトを支持する1又は2以上の支持ローラ(以下「ステアリングローラ」という。)の傾きを制御してベルト蛇行を抑制する方式(以下「ステアリング方式」という。)が知られている。このステアリング方式は、無端ベルトの内周面におけるベルト幅方向端部に設けたリブやガイド等を支持ローラ端面等に引っ掛けることでベルト蛇行を抑制する方式に比べて、無端ベルトに加わる外力が小さい。よって、無端ベルトの走行安定性や耐久性などについて信頼性が高いという利点を有している。
【0004】
ステアリング方式を採用する場合、ステアリングローラの制御量(傾斜量)を決めるために、無端ベルトがどの程度ベルト幅方向へ変位したかを検出する必要がある。そして、ステアリングローラを制御して適正にベルト蛇行を抑制するためには、ベルト幅方向への変位量(以下「蛇行量」という。)を高い分解能で検出することが重要となる。しかしながら、要求される検出範囲(蛇行量の範囲)と、要求される検知分解能とを両立することは、以下に説明するように難しいという問題があった。
【0005】
無端ベルトの組み付け時や無端ベルトの交換時など、無端ベルトを作業員の手によってセットした直後においては、適正なベルト幅方向位置から±2〜3mmの位置誤差は避けられない。このような位置誤差を考慮すると、無端ベルトの幅方向への変位量の検出範囲としては、±2〜3mmの範囲が要求される。一方、検知分解能としては、カラー画像を形成する場合の色ズレや色ムラ等を十分に抑制する点からすると、色ズレや色ムラ等を十分に抑制できる範囲内に無端ベルトの蛇行量を抑えるために、0.005mm程度の分解能が要求される。すなわち、要求される検出範囲(±2〜3mm)に対して1000倍以上の検知分解能(0.005mm)が要求されるのである。もちろん、非常に高価なセンサ構成を採用すれば、このような広い検出範囲と高い検知分解能とを両立することは可能である。しかしながら、現実的には、例えば出力電圧範囲が0〜5Vというアナログ出力の低廉な光センサを用いかつ簡素な構成を実現できる安価なセンサ構成において、上記の両立を実現することが必要である。ところが、上述したような0〜5Vのアナログ出力の低廉なセンサを用いて検出範囲に対して1000倍の分解能を得ようとすると、5mV単位の電圧(センサ出力)を検出する必要が出てくる。機器内のノイズやコントローラ側のA/D変換回路(アナログ/デジタル変換回路)の性能面を考慮すると、5mV単位の電圧に対して適正な検出を安定して行うことは困難である。
【0006】
そこで、従来、複数の低廉なセンサを用いて広い検出範囲と高い検知分解能との両立を試みたベルト蛇行抑制装置が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
特許文献1には、正規のベルト幅方向位置から±1mmの範囲での無端ベルトのベルト幅方向変位量を検知する第1検知部と、正規のベルト幅方向位置から±5mmの範囲を超えるオーバーランが生じたことを検知する第2検知部とを備えたベルト蛇行抑制装置が記載されている。このベルト蛇行抑制装置は、第1検知部により検知される蛇行量に応じて無端ベルトの幅方向変位を修正するとともに、オーバーランが生じたことを第2検知部が検知したら無端ベルトの走行を停止して異常報知を行う。第1検知部は、無端ベルトの幅方向変位に連動して所定の支軸を中心に揺動する揺動アームに対し、その揺動方向から対向するように配置された変位センサである。このベルト蛇行抑制装置によれば、第1検知部の検知範囲(正規のベルト幅方向位置から±1mmの範囲)で無端ベルトが変位する間は無端ベルトの蛇行を抑制できるとともに、第1検知部とは別途設けられた第2検知部によりオーバーランの発生が検知されるため、オーバーランによる無端ベルトの破損等の不具合も防止できる。
また、特許文献2には、無端ベルトの幅方向変位に連動して所定の支軸を中心に揺動する揺動アームに対し、支軸からの距離が互いに異なる位置で揺動アームに対してその揺動方向から対向するように2つの変位センサを配置したベルト蛇行抑制装置が記載されている。このベルト蛇行抑制装置において、支軸に近い側の第1変位センサは検知範囲が広くかつ分解能が低いものとなり、支軸から遠い側の第2変位センサは検知範囲が狭くかつ分解能が高いものとなる。このベルト蛇行抑制装置では、第2変位センサの検知範囲(正規のベルト幅方向位置から±1mmの範囲)で無端ベルトが変位する間は第2変位センサの高い検出分解能をもつ出力信号に基づいて無端ベルトの幅方向変位を修正し、第2変位センサの検知範囲を超えて無端ベルトが変位した場合には第1変位センサの低い検出分解能の出力信号に基づいて無端ベルトの幅方向変位を修正する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記特許文献1及び上記特許文献2に記載されたベルト蛇行抑制装置は、いずれも2つのセンサを用いて無端ベルトの幅方向変位を検出しているが、高い検出分解能で検出できる範囲は、単体のセンサで高い検出分解能で検出できる範囲と変わらない。広い検出範囲と高い検知分解能との両立とは、本来、高い検出分解能で広い検出範囲のベルト幅方向変位を検出することであり、この意味において上記特許文献1及び上記特許文献2に記載されたベルト蛇行抑制装置は両立が実現できていない。
【0008】
そこで、本発明者は、特願2010−131386号(以下「先願」という。)の明細書に記載したベルト蛇行抑制装置を考案した。このベルト蛇行抑制装置は、無端ベルトの幅方向への変位に連動して移動する移動部材の光路中に占める割合(遮光量)に応じた出力レベルの信号Va,Vbをそれぞれ出力する複数の光センサを有している。これらの光センサは、高い分解能での検出が望まれる所定の高分解能検出領域(例えば、無端ベルトがベルト幅方向中心位置近傍に位置する領域)内では、いずれも、その無端ベルトの幅方向位置に応じて出力レベルが変化するように配置されている。そして、当該高分解能検出領域内での無端ベルトの幅方向変位量に対する出力レベルの変化量の比率すなわち検出分解能が、当該複数の光センサの個別の検出分解能よりも大きくなるように、当該複数の光センサの出力信号を合成し、その合成信号をベルト変位量として検出するようにしている。よって、各光センサの検出範囲が互いに重複している範囲(高分解能検出領域)内においては、個々の光センサよりも高い検出分解能を得ることができる。これにより、個々の光センサの検出分解能が下げてでも各光センサの検出範囲を広げて、その広い検出範囲を互いに重複させて広い高分解能検出領域を得ることで、この広い高分解能検出領域と同じ広さの検出範囲をもつ単体の光センサでは得られない高い検出分解能を得ることが可能となる。
【0009】
ここで、一般に、光センサの周囲温度が変化したり、光センサの受光面が汚れたりすると、光センサの受光面に照射されている光量とその光センサの出力信号との関係が崩れてしまう。この関係が崩れると、実際には無端ベルトの幅方向位置が目標位置に位置しているにも拘わらず、光センサの出力信号に基づいて算出される無端ベルトの幅方向位置は目標位置からズレるという事態が生じる。この場合、無端ベルトの幅方向位置を目標位置に制御できなくなる。そのため、使用開始時(初期時)や使用開始後の所定のタイミングで、無端ベルトの幅方向位置が目標位置に位置するときのベルト幅方向位置と光センサの出力信号との関係を調整する調整動作が必要となる。この調整動作は、例えば、光センサの受光面に照射される光量が最大となる時にその光センサの出力信号が最大となるように、発光光量を調整することにより行うことができる。
【0010】
一方、上記先願の明細書で提案したベルト蛇行抑制装置の中には、光センサの数が2つである例で、高分解能検出領域の検出に用いる合成信号として、差分信号(Vb−Va)を利用したものがある。この構成においては、無端ベルトの幅方向位置が目標位置にあるときに当該差分信号(Vb−Va)がゼロとなるように調整すれば、光センサの周囲温度が変化したり、光センサの受光面が汚れたりしても、目標位置にあるときの差分信号(Vb−Va)をゼロのまま維持でき、無端ベルトの幅方向位置を目標位置に制御できる。しかしながら、差分信号(Vb−Va)を利用して無端ベルトの幅方向位置を目標位置に制御する場合でも、光センサの周囲温度が変化したり光センサの受光面が汚れたりして各光センサの受光量が落ち込んだ場合、高分解能検出領域が狭まってしまう。すなわち、差分信号(Vb−Va)を用いる場合、高分解能検出領域は、VbがゼロでかつVaが最大となる値(−Vamax)から、VaがゼロでかつVbが最大となる値(Vbmax)までの範囲であるため、各光センサの出力信号の最大値Vamax,Vbmaxが落ち込むと高分解能検出領域が狭まることになる。よって、このような差分信号(Vb−Va)を利用する場合でも、高分解能検出領域を広く維持するために、所定のタイミングで発光光量を調整する調整動作を行うのが望ましい。そして、この発光光量の調整動作としては、2つの光センサの受光面に同時に光が照射されている時に各光センサの出力信号の合計値(Va+Vb)が最大となるように、発光光量を調整するのが簡便である。
【0011】
ところが、本発明者は、更なる研究の結果、この簡便な調整動作で発光光量の調整を行う場合、上記先願の明細書で提案したベルト蛇行抑制装置の構成では、次のような問題が生じることを見出した。
図29(a)は、上記先願の明細書で提案したベルト蛇行抑制装置の一例において、2つの光センサの受光領域424e,424fに、これらの受光領域424e,424fに照射される光のスポットL’を重ねて図示した説明図であり、(b)は、同ベルト蛇行抑制装置に設けられているスリット付きの移動部材を示す説明図である。
図30(a)は、同ベルト蛇行抑制装置において、これらの受光領域424e,424fに照射される光のスポット内における受光領域424e,424fの並び方向(図中上下方向)の光量分布を示すグラフであり、(b)は、この光スポットが照射されている状態で無端ベルトを幅方向に変位させたときの各光センサの出力信号Va,Vbの合計値(Va+Vb)を示すグラフである。
【0012】
図示の例に係るベルト蛇行抑制装置は、無端ベルトの幅方向への変位に連動して、移動部材424dのスリット424iが、受光領域424e,424fの並び方向(図中上下方向)に沿って光路を横切るように構成されている。この構成において、発光光量の調整動作を行う場合、無端ベルトの幅方向位置を、これらの受光領域424e,424fの出力信号の合計値(Va+Vb)が最大となる位置に位置させ、そのときの出力信号合計値が規定の最大値をとるように発光光量を調整することになる。ところが、受光領域424e,424fに照射される光スポットL’の光量分布は、一般に、図30(a)に示すようなものとなる。すなわち、光スポットL’の中心位置が最も光量が多く、中心位置から離れるに従って徐々に光量が少なくなるような分布をとる。そのため、受光領域424e,424fの出力信号の合計値(Va+Vb)が最大となるのは、光スポットL’の中心位置である一点だけである。そのため、発光光量の調整を行う際には、光スポットL’の中心位置がスリット424iの中心位置に一致するように無端ベルトの幅方向位置を決める必要があり、その調整動作に非常に高精度な制御が求められ、その調整動作が煩雑となるという問題が発生する。
【0013】
また、光スポットL’の中心位置がスリット424iの中心位置に一致するように無端ベルトの幅方向位置を決めることが難しいので、発光光量の調整を行う際に、光スポットL’の中心位置とスリット424iの中心位置とがズレた状態で発光光量の調整を行ってしまうおそれがある。このような調整がなされてしまうと、光スポットL’の中心付近をスリット中心位置が通過する際に、各受光領域424e,424fの受光量が飽和状態となってしまい、無端ベルトの幅方向変位量の検知が不能となってしまうという問題も発生する。
【0014】
なお、これらの問題は、上記先願の明細書に記載されたベルト蛇行抑制装置の構成に限らず、複数の光センサから出力される複数の出力信号に基づいて無端ベルトの幅方向位置を算出する構成において、各出力信号の総和の最大値が規定値となるように発光光量を調整するベルト蛇行抑制装置であれば、同様に生じ得る問題である。
【0015】
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、複数の光センサから出力される複数の出力信号に基づいて無端ベルトの幅方向位置を算出する構成における発光光量の調整動作の際に高精度な制御が要求されないベルト蛇行抑制装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数の支持部材に張架された状態で走行する無端ベルトの幅方向位置を検出するベルト幅方向位置検出手段と、該ベルト幅方向位置検出手段の検出結果に基づいて該無端ベルトのベルト幅方向への変位を修正するベルト蛇行修正手段とを有するベルト蛇行抑制装置において、上記ベルト幅方向位置検出手段は、一列に隣接して配列されていて受光量に応じた信号レベルの出力信号をそれぞれ出力する複数の受光領域を備えた受光部と、上記受光部に向けて照射される光を発光する発光部と、上記無端ベルトのベルト幅方向への変位に連動して、上記受光部に対する光照射位置が上記複数の受光領域の配列方向に沿って移動するように上記発光部からの光の光路を変更する光路変更部材と、上記複数の受光領域から出力される複数の出力信号から上記無端ベルトの幅方向位置を算出するベルト幅方向位置算出手段と、所定の調整タイミングで、上記複数の受光領域から出力される出力信号の総和の最大値が規定値となるように、上記発光部の発光光量を調整する発光光量調整手段とを有し、上記受光部に照射される光のスポットの受光領域配列方向長さが、上記複数の受光領域全体の受光領域配列方向長さよりも短くなるように設定されていることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のベルト蛇行抑制装置において、上記光路変更部材は、上記発光部からの光を上記受光部に向けて反射するための光反射面を備えた光反射部材であって、上記無端ベルトのベルト幅方向への変位に連動して該光反射面の角度が変更されるように構成されたものであることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2のベルト蛇行抑制装置において、上記受光部に照射される光のスポットの受光領域配列方向長さが、上記複数の受光領域における一の受光領域の受光領域配列方向長さと略同一となるように設定されていることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、複数の支持部材に張架された状態で走行する無端ベルトの幅方向位置を検出するベルト幅方向位置検出手段と、該ベルト幅方向位置検出手段の検出結果に基づいて該無端ベルトのベルト幅方向への変位を修正するベルト蛇行修正手段とを有するベルト蛇行抑制装置において、上記ベルト幅方向位置検出手段は、一列に隣接して配列されていて受光量に応じた信号レベルの出力信号をそれぞれ出力する複数の受光領域を備えた受光部と、上記複数の受光領域に向けて照射される光を発光する発光部と、上記複数の受光領域全体の受光領域配列方向長さよりも短い受光領域配列方向長さをもつ遮光部又は光透過スリットを備えていて、上記無端ベルトのベルト幅方向端部又は該無端ベルトのベルト幅方向への変位に連動して、該遮光部又は光透過スリットが受光領域配列方向に沿って上記発光部からの光の光路を横切るように移動する移動部材と、上記複数の受光領域から出力される複数の出力信号から上記無端ベルトの幅方向位置を算出するベルト幅方向位置算出手段と、所定の調整タイミングで、上記複数の受光領域から出力される出力信号の総和の最大値が規定値となるように、上記発光部の発光光量を調整する発光光量調整手段とを有し、更に、上記発光部から上記受光部に照射される光のスポット内における光量分布を均一化する光量分布均一化手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4のベルト蛇行抑制装置において、上記光量分布均一化手段は、上記発光部と上記受光部との間の光路上に設けられた光透過型の光量分布補正フィルタであることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項3又は4のベルト蛇行抑制装置において、上記遮光部又は上記光透過スリットの受光領域配列方向長さが、上記複数の受光領域における一の受光領域の受光領域配列方向長さと略同一となるように設定されていることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のベルト蛇行抑制装置において、上記発光光量調整手段が上記発光部の発光光量を調整する際、上記複数の受光領域から出力される各出力信号の中に信号レベルが所定の基準値未満の出力信号が含まれている場合には異常である旨を出力する異常出力手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、複数の支持部材に張架された状態で走行する無端ベルトの外周面上に形成した画像を最終的に記録材に転移させて該記録材上に画像を形成するか、又は、複数の支持部材に張架された状態で走行する無端ベルトの外周面に担持された記録材上に画像を形成する画像形成装置において、上記無端ベルトのベルト幅方向への変位を修正して該無端ベルトの蛇行を抑制するベルト蛇行抑制装置として、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のベルト蛇行抑制装置を用いることを特徴とするものである。
【0017】
請求項1に係る発明では、無端ベルトのベルト幅方向への変位に連動して、受光部の複数の受光領域全体の受光領域配列方向長さよりも短い受光領域配列方向長さをもつ光のスポットが当該複数の受光領域の配列方向に沿って移動する。よって、無端ベルトの幅方向位置と受光部に照射される光のスポット位置(光照射位置)との間には相関関係がある。したがって、当該複数の受光領域から出力される複数の出力信号に基づいて受光部への光照射位置を特定できるので、これらの出力信号から無端ベルトの幅方向位置を算出することができる。
請求項1に係る発明においては、複数の受光領域から出力される出力信号の総和の最大値が規定値となるように発光部の発光光量を調整する。ここで、無端ベルトがベルト幅方向へ変位すると、受光部に照射される光のスポットが互いに隣接して一列に配列されている複数の受光領域の配列方向に沿って移動する。そのため、受光部に照射される光のスポットの受光領域配列方向全域が当該複数の受光領域内に収まっている間は、当該複数の受光領域から出力される出力信号の総和は最大値をとる。そして、この光のスポットの受光領域配列方向長さは、受光部の複数の受光領域全体の受光領域配列方向長さよりも短いので、その光スポットの受光領域配列方向全域は、一定期間、当該複数の受光領域内に収まることになる。したがって、請求項1に係る発明においては、当該複数の受光領域から出力される出力信号の総和が、一定期間、最大値を維持する。発光光量を調整する際、無端ベルトの幅方向位置は当該複数の受光領域から出力される出力信号の総和が最大値となる位置に決められればよい。よって、請求項1に係る発明によれば、発光光量を調整する際、無端ベルトの幅方向位置を一定の幅をもった範囲内に制御すればよく、高精度の制御は要求されない。
【0018】
請求項4に係る発明では、複数の受光領域全体の受光領域配列方向長さよりも短い受光領域配列方向長さをもつ遮光部又は光透過スリットが、無端ベルトのベルト幅方向端部又は該無端ベルトのベルト幅方向への変位に連動して、受光領域配列方向に沿って発光部からの光の光路を横切るように移動する。よって、無端ベルトの幅方向位置と遮光部又は光透過スリットの受光領域配列方向位置との間には相関関係がある。したがって、当該複数の受光領域から出力される複数の出力信号に基づいて遮光部又は光透過スリットの受光領域配列方向位置を特定できるので、これらの出力信号から無端ベルトの幅方向位置を算出することができる。
請求項4に係る発明においては、複数の受光領域から出力される出力信号の総和の最大値が規定値となるように発光部の発光光量を調整する。ここで、遮光部又は光透過スリットの受光領域配列方向長さは、複数の受光領域全体の受光領域配列方向長さよりも短いので、発光部から受光部の当該複数の受光領域へ照射される光の一部は、常に、遮光部又は光透過スリットを形成する移動部材によって遮られる。これにより、受光部に照射される光の光量ムラに起因して、複数の受光領域から出力される出力信号の総和が、無端ベルトの幅方向変位に連動して移動する遮光部又は光透過スリットの移動に応じて常に変動することになる。そのため、当該総和が最大値をとる時期は、瞬間的なものとなる。この場合、発光光量を調整する際、無端ベルトの幅方向位置を当該複数の受光領域から出力される出力信号の総和が最大値となる位置に決めるための制御に高い精度が要求される。そこで、請求項4に係る発明においては、発光部から受光部に照射される光のスポット内における光量分布を均一化する光量分布均一化手段を設けている。これにより、受光部に照射される光の光量ムラが低減する結果、遮光部又は光透過スリットの受光領域配列方向全域が当該複数の受光領域内に収まっている期間は、一定値となる。そして、この期間では、当該複数の受光領域から出力される出力信号の総和は最大値をとることになるので、請求項4に係る発明においては、当該複数の受光領域から出力される出力信号の総和が、一定期間、最大値を維持する。よって、請求項4に係る発明によれば、発光光量を調整する際、無端ベルトの幅方向位置を一定の幅をもった範囲内に制御すればよく、高精度の制御は要求されない。
【発明の効果】
【0019】
以上、本発明によれば、複数の光センサから出力される複数の出力信号に基づいて無端ベルトの幅方向位置を算出する構成における発光光量の調整動作の際に高精度な制御が要求されないという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態に係るプリンタの一例を示す概略構成図である。
【図2】同プリンタの中間転写ベルトを駆動するベルト駆動装置の概略構成を示す説明図である。
【図3】同ベルト駆動装置に設けられるエッジセンサの具体的な構成の一例を示す概略構成図である。
【図4】同エッジセンサを構成する透過型の光センサの概略構成を示す模式図である。
【図5】同ベルト駆動装置のステアリングローラの一端側(駆動端部側)に設けられた傾斜機構の一部を斜め上方から見たときの斜視図である。
【図6】同傾斜機構の一部を斜め下方から見たときの斜視図である。
【図7】同ベルト駆動装置を構成するベルト蛇行抑制装置の制御部分に関わるブロック図である。
【図8】同エッジセンサの制御部分を説明するための説明図である。
【図9】(a)は、同エッジセンサを構成する2つの光センサのセンサ出力Va,Vbとベルト変位量との関係を示すグラフである。(b)は、同2つの光センサのセンサ出力Va,Vbの差(Vb−Va)とベルト変位量との関係を示すグラフである。
【図10】中間転写ベルトの蛇行抑制のための一連の制御の流れを示すフローチャートである。
【図11】同エッジセンサの発光光量の調整動作の流れを示すフローチャートである。
【図12】(a)は、同ベルト蛇行抑制装置において、受光領域に照射される光のスポット内における受光領域の並び方向の光量分布を示すグラフである。(b)は、この光スポットが照射されている状態で無端ベルトを幅方向に変位させたときの各光センサの出力信号の合計値を示すグラフである。
【図13】変形例1における遮光部に設けられる2つのスリットの構成を、2つの光センサの受光部の位置と比較して説明するための説明図である。
【図14】(a)は、同エッジセンサを構成する2つの光センサのセンサ出力Va,Vbとベルト変位量との関係を示すグラフである。(b)は、同2つの光センサのセンサ出力Va,Vbの差(Va−Vb)とベルト変位量との関係を示すグラフである。(c)は、同2つの光センサのセンサ出力Va,Vbの和(Va+Vb)とベルト変位量との関係を示すグラフである。
【図15】(a)は、中間転写ベルトの幅方向位置がエッジセンサの高分解能検出領域C内に位置するときの、同2つの光センサの受光部に対する遮光部の相対位置を例示した説明図である。(b)は、中間転写ベルトの幅方向位置がエッジセンサの高分解能検出領域Cをプラス側に超えた範囲D内に位置するときの、同2つの光センサの受光部に対する遮光部の相対位置を例示した説明図である。(c)は、中間転写ベルトの幅方向位置が範囲Dを更にプラス側に超えたエラー範囲Fに位置するときの、同2つの光センサの受光部に対する遮光部の相対位置を例示した説明図である。
【図16】変形例1におけるベルト蛇行抑制のための制御の流れを示すフローチャートである。
【図17】変形例2におけるエッジセンサの構成を示す正面図である。
【図18】同エッジセンサの構成を示す側面図である。
【図19】(a)〜(c)は、変形例3におけるエッジセンサの3分割受光素子を示す模式図である。
【図20】(a)は、同エッジセンサを構成する3つの受光領域によるセンサ出力Va,Vb,Vcとベルト変位量との関係を示すグラフである。(b)は、同3つの受光領域のうちの2つの受光領域によるセンサ出力Va,Vb,Vcの差(Va−Vb;Vb−Vc)とベルト変位量との関係を示すグラフである。
【図21】変形例4におけるスリット幅Dsと受光領域幅Dpとを比較して説明するための説明図である。
【図22】(a)〜(d)は、スリット幅Dsと受光領域幅Dpとの関係が互いに異なる4つの条件(A)〜(D)について、それぞれ、各センサ出力Va,Vbの出力レベルの概要を示すグラフである。
【図23】(a)は、Ds≒1.7×Dpという条件を満たす場合の各センサ出力Va,Vbの出力レベルの概要を示したグラフである。(b)は、同図(a)の各センサ出力の差分信号(Vb−Va)の概要を示すグラフである。
【図24】変形例5における2つのスリットと2つの受光領域との位置関係を示す説明図である。
【図25】(a)は、変形例6において、横軸にベルト変位量をとり、縦軸に2つの光センサのセンサ出力の出力レベルをとったグラフである。(b)は、同センサ出力の和(Va+Vb)と2つの閾値Vth,Vthsensを示したグラフである。
【図26】変形例6におけるベルト蛇行抑制のための制御の流れを示すフローチャートである。
【図27】実施形態2におけるエッジセンサの概略構成を示す概略構成図である。
【図28】同エッジセンサにおける受光部に設けられた2つの受光領域と、これに照射される光のスポットとの寸法関係の一例を示す説明図である。
【図29】(a)は、先願の明細書で提案したベルト蛇行抑制装置の一例において、2つの光センサの受光領域に、これらの受光領域に照射される光のスポットを重ねて図示した説明図である。(b)は、同ベルト蛇行抑制装置に設けられているスリット付きの移動部材を示す説明図である。
【図30】(a)は、同ベルト蛇行抑制装置において、これらの受光領域に照射される光のスポット内における受光領域の並び方向の光量分布を示すグラフである。(b)は、この光スポットが照射されている状態で無端ベルトを幅方向に変位させたときの各光センサの出力信号の合計値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔実施形態1〕
以下、本発明を、電子写真方式によって画像を形成する画像形成装置としてのプリンタに適用した一実施形態(以下、本実施形態を「実施形態1」という。)について説明する。
まず、実施形態1に係るプリンタの基本的な構成について説明する。
図1は、実施形態1に係るプリンタの一例を示す概略構成図である。
このプリンタは、2つの光書込ユニット1YM、1CKと、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像を形成するための4つのプロセスユニット2Y,2M,2C,2Kとを備えている。また、給紙路30、転写前搬送路31、手差し給紙路32、手差しトレイ33、レジストローラ対34、搬送ベルトユニット35、定着装置40、搬送切替装置50、排紙路51、排紙ローラ対52、排紙トレイ53、第1給紙カセット101、第2給紙カセット102、再送装置等も備えている。
【0022】
第1給紙カセット101及び第2給紙カセット102は、それぞれ内部に記録材としての記録紙Pの束を収容している。そして、給紙ローラ101a,102aの回転駆動により、紙束における一番上の記録紙Pを給紙路30に向けて送り出す。この給紙路30には、後述する2次転写ニップの直前で記録紙を搬送するための転写前搬送路31が続いている。給紙カセット101,102から送り出された記録紙Pは、給紙路30を経て転写前搬送路31に進入する。
【0023】
プリンタ筺体における側面には、手差しトレイ33が筺体に対して開閉可能に配設されており、筺体に対して開いた状態でトレイ上面に紙束が手差しされる。手差しされた紙束における一番上の記録紙Pは、手差しトレイ33の送出ローラによって転写前搬送路31に向けて送り出される。
【0024】
2つの光書込ユニット1YM,1CKは、それぞれ、レーザーダイオード、ポリゴンミラー、各種レンズなどを有しており、プリンタ外部のスキャナによって読み取られた画像情報や、パーソナルコンピュータから送られてくる画像情報に基づいて、レーザーダイオードを駆動する。そして、プロセスユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体3Y,3M,3C,3Kを光走査する。具体的には、プロセスユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体3Y,3M,3C,3Kは、図示しない駆動手段によってそれぞれ図中反時計回り方向に回転駆動される。光書込ユニット1YMは、駆動中の感光体3Y,3Mに対して、レーザー光をそれぞれ回転軸線方向に偏向させながら照射することで、光走査処理を行う。これにより、感光体3Y,3Mには、それぞれ、Y画像情報及びM画像情報に基づいた静電潜像が形成される。また、光書込ユニット1CKは、駆動中の感光体3C,3Kに対して、レーザー光をそれぞれ回転軸線方向に偏向させながら照射することで、光走査処理を行う。これにより、感光体3C,3Kには、それぞれ、C画像情報及びK画像情報に基づいた静電潜像が形成される。
【0025】
プロセスユニット2Y,2M,2C,2Kは、それぞれ、潜像担持体としてのドラム状の感光体3Y,3M,3C,3Kを有している。また、プロセスユニット2Y,2M,2C,2Kは、それぞれ、感光体3Y,3M,3C,3Kの周囲に配設される各種機器を1つのユニットとして共通の支持体に支持しており、それらがプリンタ部本体に対して着脱可能になっている。各プロセスユニット2Y,2M,2C,2Kは、互いに使用するトナーの色が異なる点を除いて同様の構成になっている。Y用のプロセスユニット2Yを例にすると、これは、感光体3Yのほか、これの表面に形成された静電潜像をYトナー像に現像するための現像装置4Yを有している。また、回転駆動される感光体3Yの表面に対して一様帯電処理を施す帯電装置5Yや、後述するY用の1次転写ニップを通過した後の感光体3Yの表面に付着している転写残トナーをクリーニングするドラムクリーニング装置6Yなども有している。
【0026】
図示のプリンタは、4つのプロセスユニット2Y,2M,2C,2Kを、後述する中間転写ベルト61に対してその無端移動方向に沿って並べたいわゆるタンデム型の構成になっている。
【0027】
感光体3Yとしては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いてもよい。
【0028】
現像装置4Yは、図示しない磁性キャリアと非磁性のYトナーとを含有する二成分現像剤(以下、単に「現像剤」という。)を用いて潜像を現像するものである。現像装置4Yとして、二成分現像剤の代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤によって現像を行うタイプのものを使用してもよい。現像装置4Yに対しては、図示しないYトナー補給装置により、Yトナーボトル103Y内のYトナーが適宜補給される。
【0029】
ドラムクリーニング装置6Yとしては、クリーニング部材であるポリウレタンゴム製のクリーニングブレードを感光体3Yに押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、本プリンタでは、回転自在なファーブラシを感光体3Yに当接させる方式のものを採用している。このファーブラシは、図示しない固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体3Y表面に塗布する役割も兼ねている。
【0030】
感光体3Yの上方には、図示しない除電ランプが配設されており、この除電ランプもプロセスユニット2Yの一部になっている。除電ランプは、ドラムクリーニング装置6Yを通過した後の感光体3Y表面を光照射によって除電する。除電された感光体3Yの表面は、帯電装置5Yによって一様に帯電された後、上述した光書込ユニット1YMによる光走査が施される。なお、帯電装置5Yは、図示しない電源から帯電バイアスの供給を受けながら回転駆動するものである。かかる方式に代えて、感光体3Yに対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ方式を採用してもよい。
【0031】
以上、Y用のプロセスユニット2Yについて説明したが、M、C、K用のプロセスユニット2M,2C,2Kも、Y用のものと同様の構成になっている。
【0032】
4つのプロセスユニット2Y,2M,2C,2Kの下方には、転写ユニット60が配設されている。この転写ユニット60は、複数の支持ローラによって張架している無端ベルトである中間転写ベルト61を、感光体3Y,3M,3C,3Kに当接させながら、いずれか1つの支持ローラの回転駆動によって図中時計回り方向に走行(無端移動)させる。これにより、感光体3Y,3M,3C,3Kと中間転写ベルト61とが当接するY、M、C、K用の1次転写ニップが形成されている。
【0033】
Y、M、C、K用の1次転写ニップの近傍では、中間転写ベルトの内周面に囲まれた空間すなわちベルトループ内に配設された1次転写部材としての1次転写ローラ62Y,62M,62C,62Kによって中間転写ベルト61を感光体3Y,3M,3C,3Kに向けて押圧している。これら1次転写ローラ62Y,62M,62C,62Kには、それぞれ図示しない電源によって1次転写バイアスが印加されている。これにより、Y、M、C、K用の1次転写ニップには、感光体3Y,3M,3C,3K上のトナー像を中間転写ベルト61に向けて静電移動させる1次転写電界が形成される。
【0034】
図中時計回り方向の無端移動に伴ってY、M、C、K用の1次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト61の外周面には、各1次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト61の外周面には4色重ね合わせトナー像(以下「4色トナー像」という。)が形成される。
【0035】
中間転写ベルト61の図中下方には、2次転写部材としての2次転写ローラ72が配設されている。この2次転写ローラ72は、中間転写ベルト61における2次転写バックアップローラ68に対する掛け回し箇所にベルト外周面から当接して2次転写ニップを形成している。これにより、中間転写ベルト61の外周面と2次転写ローラ72とが当接する2次転写ニップが形成されている。
【0036】
2次転写ローラ72には図示しない電源によって2次転写バイアスが印加されている。一方、ベルトループ内の2次転写バックアップローラ68は接地されている。これにより、2次転写ニップ内に2次転写電界が形成されている。
【0037】
2次転写ニップの図中右側方には、上述のレジストローラ対34が配設されており、ローラ間に挟み込んだ記録紙Pを中間転写ベルト61上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで2次転写ニップに送り出す。2次転写ニップ内では、中間転写ベルト61上の4色トナー像が2次転写電界やニップ圧の影響によって記録紙Pに一括2次転写され、記録紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。
【0038】
2次転写ニップを通過した中間転写ベルト61の外周面には、2次転写ニップで記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、中間転写ベルト61に当接するベルトクリーニング装置75によってクリーニングされる。
【0039】
2次転写ニップを通過した記録紙Pは、中間転写ベルト61から離間して、搬送ベルトユニット35に受け渡される。この搬送ベルトユニット35は、無端ベルト状の搬送ベルト36を駆動ローラ37と従動ローラ38とによって張架しながら、駆動ローラ37の回転駆動によって図中反時計回り方向に無端移動させる。そして、2次転写ニップから受け渡された記録紙Pを搬送ベルト外周面の張架面に保持しながら、搬送ベルト36の無端移動に伴って搬送して定着手段としての定着装置40に受け渡す。
【0040】
本プリンタにおいては、搬送切替装置50、再送路54、スイッチバック路55、スイッチバック後搬送路56等により、再送手段が構成されている。具体的には、搬送切替装置50は、定着装置40から受け取った記録紙Pのその後の搬送先を、排紙路51と再送路54とで切り替える。記録紙Pの第1面だけに画像を形成する片面モードのプリントジョブの実行時には、記録紙Pの搬送先を排紙路51に設定する。これにより、第1面だけに画像が形成された記録紙Pを、排紙路51経由で排紙ローラ対52に送って、機外の排紙トレイ53上に排紙する。また、記録紙Pの両面に対してそれぞれ画像を形成する両面モードのプリントジョブの実行時において、両面にそれぞれ画像が定着された記録紙Pを定着装置40から受け取ったときにも、記録紙Pの搬送先を排紙路51に設定する。これにより、両面に画像が形成された記録紙Pを、機外の排紙トレイ53上に排紙する。一方、両面モードのプリントジョブの実行時において、第1面だけに画像が定着された記録紙Pを定着装置40から受け取ったときには、記録紙Pの搬送先を再送路54に設定する。
【0041】
再送路54には、スイッチバック路55が繋がっており、再送路54に送られた記録紙Pはこのスイッチバック路55に進入する。そして、記録紙Pの搬送方向の全領域がスイッチバック路55に進入すると、記録紙Pの搬送方向が逆転されて、記録紙Pがスイッチバックする。スイッチバック路55には、再送路54の他に、スイッチバック後搬送路56が繋がっており、スイッチバックした記録紙Pは、このスイッチバック後搬送路56に進入する。このとき、記録紙Pの上下が反転する。そして、上下反転した記録紙Pは、スイッチバック後搬送路56と給紙路30とを経由して2次転写ニップに再送される。2次転写ニップで第2面にもトナー像が転写された記録紙Pは、定着装置40を経由して第2面にトナー像が定着された後、搬送切替装置50と排紙路51と排紙ローラ対52とを経由して、排紙トレイ53上に排紙される。
【0042】
次に、中間転写ベルト61を駆動するベルト駆動装置について説明する。
図2は、本実施形態1におけるベルト駆動装置の概略構成を示す説明図である。
本実施形態1におけるベルト駆動装置は、主に、ベルト蛇行修正用のステアリングローラ63を含む複数の支持ローラ63,67,68,69,71等により張架支持された無端ベルトである中間転写ベルト61と、駆動源であるステアリングモータ23からの駆動力によりステアリングローラ63を傾斜させるための動作を行う傾斜機構と、中間転写ベルト61がベルト幅方向へ変位したベルト変位量(蛇行量)を検出するベルト変位量検出手段としてのエッジセンサ24と、エッジセンサ24が検出したベルト変位量に基づいてステアリングローラ63の傾斜量を決定し、そのステアリングローラ63の傾斜量が決定した傾斜量となるようにステアリングモータ23を制御して傾斜機構の動作を制御するステアリング制御装置21とから構成され、ステアリングローラ63の傾斜量を変更することによって中間転写ベルト61の蛇行を修正するものである。本実施形態1では、傾斜機構及びステアリング制御装置21によりベルト蛇行修正手段が構成されている。また、本実施形態1では、支持ローラ67が駆動ローラであるが、他の支持ローラを駆動ローラとしてもよい。
【0043】
ステアリング制御装置21は、単独のマイクロコンピュータでもよいし、本プリンタに内蔵されているコントローラに実行させてもよい。ステアリング制御装置21は、エッジセンサ24によって検出されたベルト変位量に基づいてステアリングローラ63の傾斜量を調整し、中間転写ベルト61の幅方向位置が目標とする正規位置に一定するようにフィードバック制御を行うものであれば、特に制限されない。
【0044】
図3は、エッジセンサ24の具体的な構成の一例を示す概略構成図である。
図4は、エッジセンサ24を構成する透過型の光センサ24e,24fの概略構成を示す模式図である。
図3に示すように、中間転写ベルト61の一側部には、支軸24cに回転自在に支持された移動部材としてのL字状のアーム部材が配置されている。このアーム部材は、スプリング24aの付勢力(引っ張り力)により、アーム部材の一端を構成する接触部24bが常に中間転写ベルト61の当該一側部に当接するように構成されている。このスプリング24aによる接触部24bの当接圧力は、中間転写ベルト61の側部を変形させない程度の適度な大きさに設定されている。また、アーム部材の他端は遮光部24dとなっており、図4に示すように、この遮光部24dを挟むようにして発光部24gと受光部24hとが対向するように配置された2つの透過型の光センサ24e,24fが設けられている。2つの光センサ24e,24fは、図3に示すように、アーム部材が支軸24cを中心に回動したときに遮光部24dが変位する方向に沿って並んで配置されている。
【0045】
このように構成されたエッジセンサ24では、ベルト蛇行時における中間転写ベルト61の幅方向(図3中矢印B)への動きが、その中間転写ベルト61の側部に当接する接触部24bを介してアーム部材の支軸24cを中心とした回動動作に置き換えられる。そして、アーム部材回動方向における遮光部の先端又は後端が2つの光センサ24e,24fのセンサ領域内にそれぞれ位置している間は、アーム部材の回動動作に対応して各光センサ24e,24fの出力レベルが変動する。したがって、各光センサ24e,24fのセンサ出力は、中間転写ベルト61のベルト変位量(蛇行量)を示すものとなる。本実施形態1において、エッジセンサ24は、図2に示すように、ベルト走行方向において駆動ローラ67と2次転写バックアップローラ68との間に配置されている。
【0046】
2つの光センサ24e,24fは、いずれも、受光部24hが受光した受光量に応じたアナログ電圧を出力する低廉の光センサである。このような光センサとしては、一般的なアナログ出力の透過型フォトインタラプタなどを利用することができる。
【0047】
なお、エッジセンサ24は、中間転写ベルト61の幅方向変位に連動して移動する移動部材の光路中に占める割合に応じた出力レベルの信号をそれぞれ出力する複数の光センサを有するものであって、中間転写ベルト61が所定領域内で幅方向へ変位するときにいずれの光センサも出力レベルが変化するように各光センサを配置したものであれば、どのような構成であってもよい。例えば、本実施形態1では、ベルト蛇行時における中間転写ベルト61の幅方向への動きを移動部材(アーム部材)の回動動作に置き換えた構成であるが、ベルト蛇行時における中間転写ベルト61の幅方向への動きを移動部材の直進動作に置き換えた構成であってもよい。また、移動部材を介在させずに、中間転写ベルト61のベルト幅方向端部を直接検知して、中間転写ベルト61の幅方向への変位量を検出する構成としてもよい。
【0048】
図5は、ステアリングローラ63の一端側(駆動端部側)に設けられた傾斜機構の一部を斜め上方から見たときの斜視図である。
図6は、この傾斜機構の一部を斜め下方から見たときの斜視図である。
本実施形態1において、ステアリングローラ63を傾斜させるための動作を行う傾斜機構は、図2に示すとおり、片持ちのワイヤー方式を採用している。以下、具体的に説明する。
ステアリングモータ23は、その出力軸上に駆動プーリ86を備えている。この駆動プーリ86は、巻き取りプーリ87とともにタイミングベルト88を張架している。巻き取りプーリ87は、タイミングベルト88が巻き付くベルトプーリ部と、ワイヤー80の一端(以下「駆動端」という。)が固定されたワイヤープーリ部とが、同軸上に一体成型されたものである。ステアリングモータ23が回転駆動して駆動プーリ86が回転すると、タイミングベルト88を介して巻き取りプーリ87が回転し、ワイヤー80の駆動端側がワイヤープーリ部に巻き取られる。本実施形態1の巻き取りプーリ87は、ベルトプーリ部の径よりもワイヤープーリ部の径の方が小さく形成されているため、巻き取りプーリ87は減速手段を構成している。
【0049】
本実施形態1において、ワイヤー80の駆動端側は巻き取りプーリ87に固定されている。一方で、ワイヤー80の他端側は、動滑車83に巻き付いていて、その端部はワイヤー保持部材84に固定されている。動滑車83は、長尺なローラホルダ81の一端部に回転可能に支持されている。動滑車83が支持されているローラホルダ81の端部とは反対側の端部には、ステアリングローラ63の駆動端部が回転可能に支持されている。このローラホルダ81は、その長尺方向の途中部分が支軸82に回動可能に支持されている。ローラホルダ81は、引っ張りスプリング85により、支軸82を中心として図2中時計回り方向へ付勢する付勢力が付与されている。この引っ張りスプリング85は、ワイヤー80が巻き付いた動滑車83をワイヤー80に張力がかかる図2中上側の向きに変位させる付勢力を付与するので、ワイヤー80に常時安定して適当な張力を付与する張力付与手段として機能する。
【0050】
また、本実施形態1において、ワイヤー部分80aが引っ張りバネ89により引っ張られていて、これにより、巻き取りプーリ87には図2中反時計回り方向へ回転する付勢力が与えられている。このワイヤー部分80a及び引っ張りバネ89は、ステアリングモータ23の駆動トルクを軽減するためのものである。すなわち、ステアリングモータ23を引っ張りスプリング85による付勢力に抗する向きに回転駆動させる場合、ステアリングモータ23には引っ張りスプリング85の付勢力による駆動負荷が加わるが、その回転駆動方向には引っ張りバネ89による付勢力が加わるため、その駆動付加が軽減される。
【0051】
以上の構成をもつ傾斜機構では、ステアリングモータ23が回転駆動してワイヤー80が巻き取りプーリ87に巻き取られる若しくは繰り出されることで動滑車83が変位し、これによりローラホルダ81が支軸82を中心に回動する。その結果、ステアリングローラ63の駆動端部が他端部に対して相対的に変位し、ステアリングローラ63が傾動する。本実施形態1のように巻き取りプーリ87にワイヤー80を巻き取るワイヤー方式によれば、ワイヤー80の移動可能量が多く取ることができるため、ステアリングローラ63の傾動範囲すなわち制御可能な傾斜量の範囲を広くとることができる。ただし、ステアリングローラ63の傾動範囲が広すぎて、ローラホルダ81が周囲の部品に干渉する恐れがある場合には、ローラホルダ81の回動範囲を所定範囲に規制する規制手段を設けてもよい。本実施形態1では、この規制手段として、図5に示すようにストッパ95が設けられている。
【0052】
また、ワイヤー80の移動可能量が多く取ることができる結果、減速手段を介在させてもステアリングローラ63の傾動範囲を十分に確保することができる。よって、減速手段を介在させてステアリングローラ63の傾斜量を高精度に制御する構成を採用することができる。そのため、本実施形態1では、上述した巻き取りプーリ87におけるベルトプーリ部とワイヤープーリ部との径比、動滑車83の採用、ローラホルダ81における支軸82から各端部までの長さ比(テコの原理)により、ステアリングモータ23の回転駆動を減速してローラホルダ81に伝達する構成を採用し、ステアリングローラ63の傾斜量の分解能を高め、高精度の傾き制御を可能にしている。
【0053】
更に、本実施形態1では、ワイヤー方式を採用しているため、ワイヤーを用いないカム方式に比べて、ステアリングローラ63から離れた位置にステアリングモータ23を配置することができる。よって、ステアリングローラ63の周囲のレイアウト自由度が高い。特に、本実施形態1では、片持ちのワイヤー方式を採用しているため、上記特許文献1に記載されたもののようにループ状のワイヤーを用いる方式と比較して、ワイヤーを通すために必要なスペースが小さくて済むことに加え、その取り回しも容易である。
【0054】
図7は、ベルト駆動装置を構成するベルト蛇行抑制装置の制御部分に関わるブロック図である。
ステアリング制御装置21は、ステアリングモータ23の駆動状態を制御するもので、そのためのモータ制御信号(モータドライブ信号)をステアリングモータ23に出力する。ステアリングモータ23としては、その回転角度や回転速度を高精度に制御可能なステッピングモータやリニアモータ等が用いられる。本実施形態1では、ステアリングモータ23としてステッピングモータを用いている。また、ステアリング制御装置21には、エッジセンサ24が接続されており、エッジセンサ24からのベルト位置情報が入力される。また、ステアリング制御装置21には、後述するフォトインタラプタ25が接続されており、フォトインタラプタ25からの基準傾斜姿勢情報が入力される。また、ステアリング制御装置21には、記憶手段としての記憶装置22が接続されている。この記憶装置22は、フォトインタラプタ25からの基準傾斜姿勢情報が入力された時のステアリングモータの動作量(回転角度)を基準回転角度(動作基準値)として記憶する。
【0055】
ステアリングローラ63の傾斜姿勢が基準傾斜姿勢となっているかどうかは、ステアリングローラ63の傾斜量に応じて当該ステアリングローラと一体的に変位する変位部材の位置を検出することによって確認される。詳しくは、本実施形態1では、ステアリングローラ63の傾動と一体となって回動するローラホルダ81にフィラー91を固定し、これを変位部材として用いる。このフィラー91の移動経路を挟むようにして、フォトインタラプタ25の発光部と受光部が配置されている。このフォトインタラプタ25は、ステアリングローラ63の傾斜姿勢が基準傾斜姿勢である時にフィラー91が位置する箇所に配置される。これにより、ステアリングローラ63の傾斜姿勢が基準傾斜姿勢になった時にフィラー91がフォトインタラプタ25の光路を遮り、受光部の出力レベルが所定値以下となる。フォトインタラプタ25の出力レベルが所定値以下となったときに、ステアリング制御装置21に基準傾斜姿勢情報が入力される。よって、ステアリング制御装置21は、基準傾斜姿勢情報が入力されることで、ステアリングローラ63の傾斜姿勢が実際に基準傾斜姿勢となったかどうかを把握することができる。
【0056】
そして、ステアリング制御装置21は、フォトインタラプタ25からの基準傾斜姿勢情報が入力された時のステアリングモータの動作量(回転角度)を基準回転角度(動作基準値)として、記憶装置22に記憶する。この記憶装置22に記憶される基準回転角度は、所定の調整タイミングが到来するたびに更新される。本実施形態1では、プリンタの電源が投入されるタイミングを調整タイミングとしているので、プリンタの電源が投入されるたびに基準回転角度が更新されることになる。したがって、傾斜機構を構成する構成部材であるワイヤー80が何らかの原因で伸びてしまっても、電源が投入されるたびに、その伸びによる制御誤差がリセットされる。
【0057】
図8は、エッジセンサ24の制御部分を説明するための説明図である。
本実施形態1におけるエッジセンサ24は、アーム部材が図8中時計回り方向に回転するとき、遮光部24dの後端側エッジが第1光センサ24eのセンサ領域に進入するタイミングと、遮光部24dの先端側エッジが第2光センサ24fのセンサ領域に進入するタイミングとがほぼ同時になるように構成され、かつ、遮光部24dの後端側エッジが第1光センサ24eのセンサ領域から出るタイミングと、遮光部24dの先端側エッジが第2光センサ24fのセンサ領域から出るタイミングとがほぼ同時になるように構成されている。これにより、各光センサ24e,24fのセンサ出力Va,Vbは、横軸にベルト変位量(図8中時計回り方向への変位をプラスの向きとし、図8中反時計回り方向への変位をマイナスとする)をとった場合には図9(a)に示すような波形となる。
【0058】
本実施形態1において、光センサ24e,24fの検出範囲(中間転写ベルト61の幅方向変位に応じて出力レベルが変化する範囲)が互いに一致するようになっている。よって、本実施形態1において、2つの光センサ24e,24fの検出範囲が互いに重複する部分が、高い検出分解能でベルト変位量を検出することが要求されるエッジセンサ全体の検出範囲(高分解能検出領域)Cとして利用可能である。ここで、本実施形態1においては、後述するように、ノイズ除去等のための閾値Vthを設け、この閾値を超える出力レベル範囲を用いて検出を行うようにしているので、エッジセンサ24の全体検出範囲(高分解能検出領域)Cは、図9(a)に示すような範囲となる。
なお、本実施形態1では、各光センサ24e,24fの検出範囲が互いに一致するように構成する例であるが、各光センサ24e,24fの検出範囲が互いに重複する部分が存在し、その重複部分の広さが高分解能検出領域として要求される広さを満たしていれば、各光センサ24e,24fの検出範囲が互いにズレていてもよい。
【0059】
本実施形態1において、中間転写ベルト61の幅方向位置が正規の位置(ベルト変位量=0)にあるときに、アーム部材が図8中時計回り方向に回転する場合の遮光部24dの後端側エッジが第1光センサ24eのセンサ領域の略中央に位置し、かつ、遮光部24dの先端側エッジが第2光センサ24fのセンサ領域の略中央に位置するように調整されている。よって、図9(a)に示すグラフにおいて、第1光センサ24eのセンサ出力Vaと第2光センサ24fのセンサ出力Vbとが同じ出力レベルをとるとき(すなわち、Vb−Va=0)に、中間転写ベルト61の幅方向位置が正規の位置(ベルト変位量=0)に位置するということになる。
【0060】
本実施形態1のエッジセンサ24は、図8に示すように、アナログ回路27によって各光センサ24e,24fのセンサ出力の差(Vb−Va)をとり、その差分信号(合成信号)をA/D変換回路28でデジタル信号に変換した後、そのデジタル信号をベルト位置情報としてステアリング制御装置21へ出力する。なお、各光センサ24e,24fのセンサ出力の差分信号(Vb−Va)は、マイコンなどのソフトウェア処理によって得ることもできる。各光センサ24e,24fのセンサ出力の差である差分信号(Vb−Va)は、図9(b)に示すようになる。図9(b)に示すように、この差分信号(Vb−Va)の高分解能検出領域C内における傾きは、個々の光センサ24e,24fにおける傾きよりも大きくなる。この傾きの大きさは、当該高分解能検出領域C内における検出分解能の大きさを示すものである。よって、本実施形態1のエッジセンサ24における高分解能検出領域C内の検出分解能は、個々の光センサ24e,24fの検出分解能よりも高いものとなる。
【0061】
図10は、ベルト蛇行抑制のための制御の流れを示すフローチャートである。
プリントジョブが入力されると(S1)、中間転写ベルト61の駆動を開始し(S2)、プリントジョブに従った画像形成動作が行われる(S3)。この画像形成動作中、エッジセンサ24により中間転写ベルト61の幅方向への変位(蛇行)を検出し(S4)、これにより検出したベルト変位量に基づいて蛇行抑制のために必要なステアリングモータ23の制御量(目標回転角度)を演算し、その演算結果に基づいてステアリングモータ23の回転角度が目標回転角度となるようにステアリングモータ23の回転角度を制御するという蛇行抑制制御を行う。
【0062】
具体的には、本実施形態1では、ステアリング制御モードを適切に切り替えるために閾値Vthが設定されている。この閾値Vthは、図9(a)に示すように、2つの光センサ24e,24fのセンサ出力Va,Vbが交差する地点の電圧値よりも低い電圧値に設定される。そして、ステアリング制御装置21は、各光センサ24e,24fのセンサ出力Va,Vbを取得して、これらのセンサ出力Va,Vbと閾値Vthとを比較して、次のようにステアリング制御モードを切り替える。
【0063】
まず、各光センサ24e,24fのセンサ出力Va,Vbがいずれも閾値Vthを超えている場合(S5のYes)、差分信号(Vb−Va)を用いて、この差分信号(Vb−Va)がゼロとなるように(すなわちベルト変位量をゼロとするように)、ステアリングモータ23を制御し(S6)、中間転写ベルト61の蛇行を修正する。詳しくは、ステアリングローラ63が水平である状態からステアリングモータ23の出力軸を図2中の反時計回りに回転させると、巻き取りプーリ87によりワイヤー80が巻き取られ、ローラホルダ81がθ1方向に回動する。これにより、ステアリングローラ63の駆動端部がローラホルダ81によって持ち上げられ、その持ち上げ量に応じてステアリングローラ63に傾きが生じる。このとき、ステアリングローラ63に巻き付けられた中間転写ベルト61のベルト幅方向位置は、ステアリングローラ63の駆動端部とは反対側へ変位する。これに対して、ステアリングローラ63が水平である状態からステアリングモータ23の出力軸を図2中の時計回りに回転させると、巻き取りプーリ87からワイヤー80が繰り出され、ローラホルダ81がθ2方向に回動する。これにより、ステアリングローラ63の駆動端部がローラホルダ81によって押し下げられ、その押し下げ量に応じてステアリングローラ63に傾きが生じる。このとき、ステアリングローラ63に巻き付けられた中間転写ベルト61のベルト幅方向位置は、ステアリングローラ63の駆動端部側へ変位する。よって、中間転写ベルト61のベルト幅方向への変位(位置変動)を上述のエッジセンサ24によって検出し、検出したベルト変位量を基にステアリングモータ23を駆動してステアリングローラ63の傾きを適宜制御することにより、中間転写ベルト61の蛇行を修正することが可能となる。
【0064】
また、第1光センサ24eのセンサ出力Vaは閾値Vthを超えているが、第2光センサ24fのセンサ出力Vbは閾値Vthを超えていない場合(S7のYes)、中間転写ベルト61は、エッジセンサ24の高分解能検出領域Cをプラス側に超えた幅方向位置の範囲Dに位置していることになる。よって、この場合には、中間転写ベルト61がベルト変位方向マイナス側へ変位するように、ステアリングモータ23を予め決められた一定の制御量で制御する制御モードに切り替える(S8)。これにより、中間転写ベルト61の幅方向位置をステアリング制御可能な位置まで戻すことができる。そして、この制御モードを実行することにより、中間転写ベルト61の幅方向位置が高分解能検出領域C内に相当する位置まで修正されれば、差分信号(Vb−Va)を用いたステアリング制御モード(S6)を実行することができ、これにより中間転写ベルト61の蛇行を修正することができる。
【0065】
また、第2光センサ24fのセンサ出力Vbは閾値Vthを超えているが、第1光センサ24eのセンサ出力Vaは閾値Vthを超えていない場合(S9のYes)、中間転写ベルト61は、エッジセンサ24の高分解能検出領域Cをマイナス側に超えた幅方向位置の範囲Eに位置していることになる。よって、この場合には、中間転写ベルト61がベルト変位方向プラス側へ変位するように、ステアリングモータ23を予め決められた一定の制御量で制御する制御モードに切り替える(S10)。これにより、中間転写ベルト61の幅方向位置をステアリング制御可能な位置まで戻すことができる。そして、この制御モードを実行することにより、中間転写ベルト61の幅方向位置が高分解能検出領域C内に相当する位置まで修正されれば、差分信号(Vb−Va)を用いたステアリング制御モード(S6)を実行することができ、これにより中間転写ベルト61の蛇行を修正することができる。
【0066】
本実施形態1において、中間転写ベルト61が高分解能検出領域Cを超えるほど大きく変位した場合、エッジセンサ24による検出結果から中間転写ベルト61の正確な幅方向位置を把握することができないため、エッジセンサ24の検出結果(ベルト変位量)に基づいたステアリング制御を行うことができない。しかしながら、本実施形態1では、このように中間転写ベルト61が大きく変位した場合でも、その中間転写ベルト61が幅方向どちらの向きに大きく変位したかは、上記のとおり、光センサ24e,24fとは別個のセンサを用いることなく、これらの光センサ24e,24fのセンサ出力Va,Vbから把握することができる。したがって、中間転写ベルト61が高分解能検出領域Cを超えて大きく変位した場合でも、即座に中間転写ベルト61の走行を停止させてメンテナンス作業を要求する必要がなく、メンテナンス作業の頻度を少なくすることができる。
【0067】
一方、各光センサ24e,24fのセンサ出力Va,Vbがいずれも閾値Vthを超えていない場合(S9のNo)、本実施形態1においてこのような状況は正常時には起こり得ないので、センサ出力に異常がある旨を示す異常情報を上位コントローラに通知し、中間転写ベルト61の走行を停止させるセンサ異常処理を行う(S11)。これにより、光センサ24e,24fのハーネス断線や発光部24g及び受光部24hの故障、あるいは、光センサ24e,24fの発光部24gや受光部24hにトナー等の汚れが付着して適正な検出が行えないなどの状況を回復させるなどのメンテナンス作業を行って、正常な検出が可能な状態に復帰させることができる。
上記S4〜S11までの制御は、画像形成動作が終了するまで繰り返される(S12)。
【0068】
本実施形態1においては、エッジセンサ24を、低廉なアナログ出力の2つの光センサ24e,24fで構成することができる。しかも、エッジセンサ24は、各光センサ24e,24fの検出範囲(中間転写ベルト61が幅方向へ変位することで出力レベルが変化する範囲、すなわち、ベルト変位量を検出可能な範囲)内におけるセンサ出力の差をベルト位置情報として出力する。これにより、エッジセンサ24は、個々の光センサ24e,24fの検出分解能よりも高い検出分解能を得ることができる。すなわち、本実施形態1によれば、個々の光センサ24e,24fの検出分解能が下げてでも各光センサ24e,24fの検出範囲を広げることにより、その広い検出範囲を互いに重複させてエッジセンサ全体の検出領域(高分解能検出領域)Cを広げることで、この広い高分解能検出領域Cと同じ広さの検出範囲をもつ単体の光センサ24e,24fでは得られない高い検出分解能を得ることが可能となる。
【0069】
加えて、単体の光センサ24e,24fによりベルト変位量を検出する構成の場合、その光センサの発光部24gや受光部24hがトナー等により汚れ、検出領域全体にわたって受光量が落ちると、中間転写ベルト61の幅方向における正規位置に対応した出力レベルも低下し、正規位置と光センサの出力レベルとの対応関係が崩れてしまう。その結果、ステアリング制御を行っても中間転写ベルト61の幅方向位置を正規位置に維持することができなくなり、ベルトの適正な蛇行抑制を実現できなくなる。これに対し、本実施形態1では、2つの光センサ24e,24fのセンサ出力Va,Vbの差分信号(Vb−Va)に基づいてベルト変位量を検出するので、各光センサ24e,24fの出力レベルが汚れによって低下しても、中間転写ベルト61の幅方向における正規位置に対応した差分信号(Vb−Va)の出力レベルはゼロのまま一定である。よって、本実施形態1によれば、各光センサ24e,24fが経時使用によって汚れても、正規位置と光センサの出力レベルとの対応関係が崩れず、ベルトの適正な蛇行抑制を継続することができる。
【0070】
しかしながら、本実施形態1の構成であっても、光センサの周囲温度が変化したり光センサの受光面が汚れたりして各光センサ24e,24fの受光量が落ち込んだ場合、高分解能検出領域Cが狭まってしまう。すなわち、本実施形態1において、高分解能検出領域Cは、Vbが最大でかつVaがVth以下となる値(Vbmax)から、Vaが最大でかつVbがVth以下となる値(−Vamax)までの範囲であるため、各光センサの出力信号の最大値Vamax,Vbmaxが落ち込むと高分解能検出領域が狭まることになる。よって、このような差分信号(Vb−Va)を利用する場合でも、高分解能検出領域Cを広く維持するためには、所定の調整タイミングで、発光光量を調整する調整動作を行い、各光センサ24e,24fの受光量の落ち込みを回復させることが望ましい。
【0071】
図11は、本実施形態1における発光光量の調整動作の流れを示すフローチャートである。
まず、電源投入時や画質調整制御(プロセスコントロール)時などの所定の調整タイミングが到来したら(S31)、まず、光センサ24e,24fの出力信号Va,Vbを取得する(S32)。このとき、中間転写ベルト61のベルト変位量は、上述したベルト蛇行抑制制御によってゼロに調整されている。したがって、光センサ24e,24fの出力信号Va,Vbは、ベルト変位量がゼロの時点のものである。そして、この出力信号Va,Vbを取得したら、その総和(Va+Vb)を算出し(S33)、この総和(Va+Vb)が予め決められた既定値Vtとなるように、各光センサ24e,24fの発光部24gの発光光量を調整する。
【0072】
なお、個々の光センサ24e,24fについて、その最大光量の受光時における出力信号の値が既定値となるように、各光センサ24e,24fの発光部24gの発光光量を調整する方法でも、各光センサ24e,24fの受光量の落ち込みを回復させることができる。しかしながら、本実施形態1の構成では、各光センサ24e,24fの最大光量の受光時を同時に得るには、中間転写ベルト61をベルト幅方向一旦側に大きく寄せるような制御が必要となり、その調整動作が煩雑なものとなる。これに対し、本実施形態1のように、出力信号Va,Vbの総和(Va+Vb)が既定値Vtとなるように調整する方法であれば、ベルト変位量をゼロのまま調整を行うことができ、簡便である。
【0073】
ここで、発光部24gの光源としては、通常のセンサに用いられるLED光源が用いられている。特に、発光部24gとしては、受光部24hの受光領域上で一定の大きさの光スポットが形成されるのが好ましいので、レンズ等の光学素子によって平行ビームあるいは収束光に調整された光を照射するものが良い。特に半導体レーザ光源を利用するのが良い。ただし、発光部24gから照射される光は光量分布をもつため、通常、受光部24hの受光領域上に照射される光のスポット内は、図12(a)に示すような光量分布となる。ここで、このような光量分布をもつ光スポットを各光センサ24e,24fの受光部に照射した状態では、遮光部24dの中央が両光センサ24e,24fの並び方向中間位置に位置しているとき、すなわち、ベルト変位量がゼロであるときに、光センサの出力信号の総和(Va+Vb)が最大値をとることになる。そして、遮光部24dの中央が両光センサ24e,24fの並び方向中間位置からズレると、光センサの出力信号の総和(Va+Vb)が最大値をとらない値となってしまう。そのため、このようにズレた状態で発光光量を調整してしまうと、光センサの出力信号の総和(Va+Vb)が最大値をとる前の段階で各光センサの受光量が飽和状態となってしまい、ベルト変位量がゼロ付近にあるときに中間転写ベルト61の幅方向変位量が検知できず、適正なベルト蛇行抑制制御ができなくなってしまう。
【0074】
そこで、本実施形態1においては、図4に示したように、各光センサ24e,24fの発光部24gから受光部24hに照射される光のスポット内における光量分布を均一化する光量分布均一化手段として、光量分布補正フィルタ24zを発光部24gの出射面に取り付けている。これにより、各光センサ24e,24fの受光部24hに照射される光のスポット内の光量分布はおおよそ一様なものとなる。その結果、遮光部24dの光センサ並び方向全域が当該2つの光センサ24e,24f内に収まっている期間は、光センサの出力信号の総和(Va+Vb)は、図12(b)に示すように、一定で、最大値をとることになる。よって、本実施形態1によれば、ベルト変位量がゼロである地点を中心とした一定範囲内に中間転写ベルト61の幅方向位置が位置している間は、2つの光センサ24e,24fの出力信号の総和(Va+Vb)が一定の最大値を維持することになる。よって、発光光量を調整する際、中間転写ベルト61のベルト変位量がゼロから多少ズレていても、適正な発光光量調整を行うことができ、ベルト蛇行抑制制御時に光センサの受光量が飽和状態となるような事態は生じない。
【0075】
光量分布補正フィルタ24zとしては、一般的な透過率フィルタを用いることができるが、ビームシェーパーと呼ばれるような回折光学デバイスを用いてもよい。
本実施形態1では、光量分布補正フィルタ24zを発光部24gの出射面に取り付けているが、光路上であればどこでもよく、例えば受光部24hの入射面に取り付けてもよい。
【0076】
〔変形例1〕
次に、上記実施形態1における中間転写ベルト61の蛇行抑制制御の一変形例(以下、本変形例を「変形例1」という。)について説明する。
なお、本変形例1については、上記実施形態1と同様の部分については説明を省略する。
【0077】
図13は、本変形例1におけるアーム部材の遮光部24dに設けられる2つのスリット24i,24jの構成を、各光センサ24e,24fの受光部24hの位置と比較して説明するための説明図である。
本変形例1の構成は、遮光部24dに2つのスリット24i,24jが設けられている点において、上記実施形態1と異なっている。本変形例1において、2つのスリット24i,24jの間隔d2は、2つの光センサ24e,24fの受光部24hの間隔d1よりも広くなるように設定されている。ただし、各光センサ24e,24fの検出範囲(中間転写ベルト61の幅方向変位に応じて出力レベルが変化する範囲)が互いに重複していて、その重複部分の広さが高分解能検出領域として要求される広さを満たすのであれば、2つのスリット24i,24jの間隔d2を2つの光センサ24e,24fの受光部24hの間隔d1に対してどのように設定してもよい。
また、各スリット24i,24jの広さ(アーム部材の回転方向における長さ)Wsは、各光センサ24e,24fの受光部24hの広さ(アーム部材の回転方向における長さ)よりも大きく形成されている。
【0078】
図14(a)は、横軸にベルト変位量(図8中時計回り方向への変位をプラスの向きとし、図8中反時計回り方向への変位をマイナスとする)をとり、縦軸に第1光センサ24eのセンサ出力Va及び第2光センサ24fのセンサ出力の出力レベルをとったグラフである。
図14(b)は、2つの光センサ24e,24bのセンサ出力の差(Va−Vb)を示すグラフである。
図14(c)は、2つの光センサ24e,24bのセンサ出力の和(Va+Vb)を示すグラフである。
図15(a)は、中間転写ベルト61の幅方向位置がエッジセンサ24の高分解能検出領域C内に位置するときの、2つの光センサ24e,24fの受光部24hに対する遮光部24dの相対位置を例示した説明図である。
図15(b)は、中間転写ベルト61の幅方向位置がエッジセンサ24の高分解能検出領域Cをプラス側に超えた範囲D内に位置するときの、2つの光センサ24e,24fの受光部24hに対する遮光部24dの相対位置を例示した説明図である。
図15(c)は、中間転写ベルト61の幅方向位置が範囲Dを更にプラス側に超えたエラー範囲Fに位置するときの、2つの光センサ24e,24fの受光部24hに対する遮光部24dの相対位置を例示した説明図である。
【0079】
本変形例1においては、2つのスリット24i,24jと2つの光センサ24e,24fの受光部24hとの位置関係により、図14(a)〜(c)に示すように、閾値Vthを設けて、次の5種類の領域に区分することができる。すなわち、光センサ24e,24fの検出範囲が重複している高分解能検出領域(両センサ出力Va,Vbが閾値Vthを超えている領域)C、センサ出力Vbは閾値Vthを超えているがセンサ出力Vaは閾値Vthを超えていない領域D、センサ出力Vaは閾値Vthを超えているがセンサ出力Vbは閾値Vthを超えていない領域E、いずれのセンサ出力Va,Vbも閾値Vthを超えていないエラー領域F,Gに区分できる。高分解能検出領域Cでは、各光センサ24e,24fの受光部それぞれの一部がスリット24i,24j内に位置している状態である。領域Dでは、第2光センサ24fの受光部全体がスリット24j内に位置している状態である。領域Eでは、第1光センサ24eの受光部全体がスリット24i内に位置している状態である。エラー領域F,Gでは、いずれの光センサ24e,24fの受光部もスリット24i,24j内に位置していない状態である。
【0080】
本変形例1において、中間転写ベルト61の幅方向位置が正規の位置(ベルト変位量=ゼロ)に位置する場合、光センサ24e,24fの受光部24hに対する遮光部24dの位置は、図15(a)に示すものとなる。この状況から中間転写ベルト61の幅方向位置がベルト変位方向プラス側へ変位すると、遮光部24dのスリット24jが第2光センサ24fのセンサ領域に進入し、更にプラス側へ変位すると、第2光センサ24fのセンサ領域全体(受光部全体)がスリット24j内に位置し、図15(b)に示すものとなる。そして、この状況から更にプラス側へ変位し、遮光部24dのスリット24jが第2光センサ24fのセンサ領域を完全に抜けると、第2光センサ24fのセンサ領域は遮光部24dによって遮光され、図15(c)に示すものとなる。なお、中間転写ベルト61の幅方向位置が正規の位置に位置する状況から、逆にベルト変位方向マイナス側へ変位する場合も同様である。
【0081】
本変形例1における上記実施形態1とは異なる特徴点は、図14(c)に示すように、光センサ24e,24fのセンサ出力Va,Vbの和(Va+Vb)の信号変化からエラー領域F,Gを把握することができる点にある。すなわち、エッジセンサ24の高分解能検出領域Cを超えて中間転写ベルト61が変位しても、まだステアリングローラの傾斜によってこれを再び高分解能検出領域Cへ戻すことが可能な範囲D,E内であれば、中間転写ベルト61の走行を継続したままベルトの蛇行を抑制することが可能である。しかしながら、中間転写ベルトの破損や脱輪などの深刻な問題が生じ得るエラー範囲F,Gまで中間転写ベルト61が変位してしまうオーバーランが生じた場合には、これを高分解能検出領域Cへ戻すよりも中間転写ベルト61の駆動を停止して、メンテナンス作業を行う方が好ましい。本変形例1によれば、センサ出力Va,Vbの和(Va+Vb)が閾値Vth以下となることで、中間転写ベルト61のオーバーランを、ノイズ除去等の影響を排して適切に把握することができる。
【0082】
図16は、本変形例1におけるベルト蛇行抑制のための制御の流れを示すフローチャートである。
なお、上記実施形態1の同じ処理についての説明は省略する。
本変形例1においては、画像形成動作中の蛇行抑制制御において、各光センサ24e,24fのセンサ出力Va,Vbの和(Va+Vb)が閾値Vth以下である場合(S21のYes)、上述したように中間転写ベルトの幅方向位置はオーバーランであるエラー範囲F,Gに位置している。よって、この場合には、オーバーランが生じた旨を示す異常情報を上位コントローラに通知し、中間転写ベルト61の走行を停止させるオーバーラン異常処理を行う(S22)。これにより、オーバーランを解消するためのメンテナンス作業を行って、正常な状態に復帰させることができる。
【0083】
〔変形例2〕
次に、上記実施形態1における中間転写ベルト61の蛇行抑制制御の他の変形例(以下、本変形例を「変形例2」という。)について説明する。
なお、本変形例2は、その基本構成は上記変形例1と同様であるため、上記変形例1と同様の部分については説明を省略する。
【0084】
図17は、本変形例2におけるエッジセンサ124の構成を示す正面図である。
図18は、本変形例2におけるエッジセンサ124の構成を示す側面図である。
本変形例2におけるエッジセンサ124は、中間転写ベルト61の側部に当接する接触部が、L字状のアーム部材の一端部から支軸124cの軸方向に延びる接触ピン124kである点が異なっている。中間転写ベルト61は樹脂フィルムではあるが、強度の高いポリイミドなどの材料が0.05〜0.1mm程度の厚さで形成されている。そのため、接触ピン124kを普通の樹脂材料で形成すると、中間転写ベルトの側部との摩擦によって摩耗してしまい、経時的に正常な検出が困難となるおそれがある。よって、接触ピン124kとしては、中間転写ベルトの側部との摩擦によって摩耗しにくい金属製のものが好ましい。また、中間転写ベルトの側部との摩擦による摩耗を軽減するために接触ピン124kを連れ回り回転自在に構成すると、検知誤差の原因になるため、接触ピン124kとしては回転不能に固定されたものがよい。
【0085】
また、本変形例2におけるエッジセンサ124において、2つの光センサの発光部は単一の発光部124hであり、各受光部は2分割受光素子の各受光領域124e,124fで構成されている。また、遮光部124dには1つのスリット124iが設けられている。このスリット124iの幅(支軸124cを中心としたアーム部材の回転方向における長さ)は、1つの受光領域124e,124fの幅と同程度である。本変形例2によれば、図14(a)〜(c)に示した上記変形例1における2つのセンサ出力Va,Vbと同様のセンサ出力が2分割受光素子の各受光領域124e,124fから出力される。したがって、上記変形例1と同様の制御を行うことで、ベルト蛇行抑制制御を行うとともに、オーバーラン異常処理も行うことができる。
しかも、本変形例2においては、エッジセンサ124を構成する2つの光センサの発光部を1つに集約できるので、より低コストなセンサ構成を実現できる。
【0086】
なお、オーバーラン異常処理を行うためには、2つのセンサ出力Va,Vbの和(Va+Vb)と閾値Vthとから、中間転写ベルト61の幅方向位置がエラー範囲F,Gに位置するかどうかを判断できるように構成する必要がある。本変形例2においては、スリット124iの幅と2分割受光素子の受光領域全体の幅とを調整することにより、2つのセンサ出力Va,Vbの和(Va+Vb)と閾値Vthとからエラー範囲F,Gを検知できるように構成することができる。
また、エッジセンサ124の高分解能検出領域Cの広さについては、スリット124iの幅で調整することができる。
【0087】
〔変形例3〕
次に、上記実施形態1における中間転写ベルト61の蛇行抑制制御の更に他の変形例(以下、本変形例を「変形例3」という。)について説明する。
なお、本変形例3においては、遮光部に設けられるスリット224iの数は上記変形例2の場合と同様に1つであるが、エッジセンサを構成する光センサが3つであり、各受光部は3分割受光素子の各受光領域224a,224b,224cで構成されている。そのほかの構成は上記変形例2と同様であるため、上記変形例2と同様の部分については説明を省略する。
【0088】
図19(a)〜(c)は、本変形例3におけるエッジセンサ124の3分割受光素子を示す模式図である。
図20(a)は、横軸にベルト変位量(図8中時計回り方向への変位をプラスの向きとし、図8中反時計回り方向への変位をマイナスとする)をとり、縦軸に第1受光領域224aのセンサ出力Va、第2受光領域224bのセンサ出力Vb及び第3受光領域224cのセンサ出力Vcの出力レベルをとったグラフである。
図20(b)は、第1受光領域224aのセンサ出力Vaと第2受光領域224bのセンサ出力Vbとの差(Va−Vb)と、第2受光領域224bのセンサ出力Vbと第3受光領域224cのセンサ出力Vcとの差(Vb−Vc)とを示すグラフである。
なお、図19(a)〜(c)において、破線で囲った部分はスリット224iの位置を示すものである。
【0089】
本変形例3においては、スリット224iと3つの受光領域224a,224b,224cとの位置関係により、図20(a)及び(b)に示すように、次の5種類の領域に区分することができる。すなわち、第1受光領域224aによる検出範囲と第2受光領域224bによる検出範囲とが重複している高分解能検出領域C1、第2受光領域224bによる検出範囲と第3受光領域224cによる検出範囲とが重複している高分解能検出領域C2、これらの2つの高分解能検出領域C1,C2に挟まれた制御不要領域H、エッジセンサ24の高分解能検出領域C2を超えて中間転写ベルト61がベルト変位方向プラス側へ変位したときの領域D、エッジセンサ24の高分解能検出領域C1を超えて中間転写ベルト61がベルト変位方向マイナス側へ変位したときの領域Eである。
【0090】
中間転写ベルト61の幅方向位置が高分解能検出領域C1,C2内に位置している場合、本変形例3におけるエッジセンサ224は、差分信号(Va−Vb)又は差分信号(Vb−Vc)を出力する。よって、高分解能検出領域C1,C2内では、上述した変形例2の場合と同様、高い検出分解能でベルト変位量を検出することができる。
一方で、中間転写ベルト61の幅方向位置が制御不要領域H内に位置している場合、中間転写ベルト61の幅方向位置は正規位置の近傍である。そのため、本変形例3では、中間転写ベルト61の幅方向位置が制御不要領域H内に位置している間は、これを許容誤差とみなし、ステアリング制御を行わない。ただし、制御不要領域H内であっても、第1受光領域224aのセンサ出力Vaや第3受光領域224cのセンサ出力Vcを用いて、ステアリング制御を行うようにしてもよい。この場合、高分解能検出領域C1,C2内ほどの高い検出分解能は得られないが、もともとのベルト変位量が小さいので、十分なステアリング制御が可能である。
中間転写ベルト61の幅方向位置が領域D,E内に位置している場合の制御は上記変形例2の場合と同様である。
【0091】
〔変形例4〕
次に、上記実施形態1における中間転写ベルト61の蛇行抑制制御の更に他の変形例(以下、本変形例を「変形例4」という。)について説明する。
なお、本変形例4においては、上記変形例2におけるスリット124iの幅(支軸124cを中心としたアーム部材の回転方向における長さ)Dsと各受光領域124e,124fの幅Dpとを好適化するものであり、その基本構成は上記変形例2と同様である。本変形例4において、2つの受光領域124e,124fの幅Dpは互いに同じものとする。
【0092】
図21は、本変形例4におけるスリット124iの幅(図中上下方向の長さ)Dsと、各受光領域124e,124fの幅(図中上下方向の長さ)Dpとを比較して説明するための説明図である。
本変形例4においては、スリット124iの幅Dsと各受光領域124e,124fの幅Dpとの関係が下記の式(1)の条件を満たすようにする。より好ましくは、下記の式(2)の条件を満たすようにし、更に好ましくは、下記の式(3)の条件を満たすようにする。
Dp < Ds < 2×Dp ・・・(1)
1.5×Dp < Ds < 1.8×Dp ・・・(2)
Ds ≒ 1.7×Dp ・・・(3)
【0093】
図22(a)〜(d)は、スリット124iの幅Dsと各受光領域124e,124fの幅Dpとの関係が互いに異なる4つの条件(A)〜(D)について、それぞれ、各センサ出力Va,Vbの出力レベルの概要を示すグラフである。
なお、ここでいう4つの条件とは、条件(A)がDs<Dpという条件であり、条件(B)がDs=Dpという条件であり、条件(C)がDs=2×Dpという条件であり、条件(D)がDs>2×Dpという条件である。
【0094】
条件(A)の場合(Ds<Dp)、図22(a)に示すように、2つのセンサ出力Va,Vbの波形はいずれも台形状を示す。
スリット124iが移動することにより、スリット124iの移動方向先端が第1受光領域124eに差し掛かった以降は、第1受光領域124eの受光量が徐々に増えるので、センサ出力Vaが徐々に増加する。ここで、条件(A)では、スリット124iの幅Dsが第1受光領域124eの幅Dpよりも小さいため、スリット124iの全体が第1受光領域124eに重複する位置に達しても、センサ出力Vaは、第1受光領域124eの全領域で受光するときの最大受光量Vmaxまでは上昇せず、スリット124iの移動方向先端が第1受光領域124eを通過するまで、Vmax未満の一定電圧に維持される。その後、スリット124iの移動方向先端が第1受光領域124eを通過した以降は、第1受光領域124eの受光量が徐々に減るので、センサ出力Vaは徐々に低下する。
一方、スリット124iの移動方向先端が第2受光領域124fに入ると、第2受光領域124fの受光量が徐々に増えるので、センサ出力Vbが徐々に増加し始める。このセンサ出力Vbの波形は、上述したセンサ出力Vaの波形と同様となる。
この条件(A)において、センサ出力Vaの出力開始からセンサ出力Vbの出力終了までのスリット124iの移動距離は、2×Dp+Dsとなる。
【0095】
条件(B)の場合(Ds=Dp)、図22(b)に示すように、2つのセンサ出力Va,Vbの波形はいずれも三角形状を示す。
スリット124iが移動することにより、スリット124iの移動方向先端が第1受光領域124eに差し掛かった以降は、第1受光領域124eの受光量が徐々に増えるので、センサ出力Vaが徐々に増加する。ここで、条件(B)では、スリット124iの幅Dsが第1受光領域124eの幅Dpと同じであるため、スリット124i内に第1受光領域124eの全体が入り込み、第1受光領域124eの全体で受光することができる。よって、センサ出力Vaは、第1受光領域124eの全領域で受光するときの最大受光量Vmaxまで上昇する。ただし、スリット124iの幅Dsが第1受光領域124eの幅Dpと同じであるため、スリット124i内に第1受光領域124eの全体が入り込んだ直後に、スリット124iの移動方向後端側の遮光部124dが第1受光領域124eに差し掛かる。よって、センサ出力Vaは、最大受光量Vmaxまで上昇した直後に下降し始める。
一方、スリット124iの移動方向先端が第2受光領域124fに入ると、第2受光領域124fの受光量が徐々に増え始め、センサ出力Vbは、上述したセンサ出力Vaと同様の波形となる。
この条件(B)において、センサ出力Vaの出力開始からセンサ出力Vbの出力終了までのスリット124iの移動距離は、3×Dp(=3×Ds)となる。
【0096】
条件(C)の場合(Ds=2×Dp)、図22(c)に示すように、2つのセンサ出力Va,Vbの波形は、いずれも、上記条件(A)と同様の台形形状を示すが、その高さ(センサ出力最大値)は上記条件(A)の場合よりも大きいものとなる。
スリット124iが移動することにより、スリット124iの移動方向先端が第1受光領域124eに差し掛かった以降は、第1受光領域124eの受光量が徐々に増えるので、センサ出力Vaが徐々に増加する。ここで、条件(C)では、スリット124iの幅Dsが第1受光領域124eの幅Dpよりも大きいため、スリット124i内に第1受光領域124eが入り込んでいる間は、第1受光領域124eの全体で受光することができる。よって、センサ出力Vaは、第1受光領域124eの全領域で受光するときの最大受光量Vmaxまで上昇する。また、本条件(C)では、スリット124iの幅Dsが第1受光領域124eの幅Dpの2倍であるため、スリット124i内に第1受光領域124eが入り込んでから、スリット124iが第1受光領域124eの幅Dpに相当する距離を移動するまでの間は、スリット124i内に第1受光領域124eの全体が位置し続けることになる。よって、センサ出力Vaは、スリット124iの移動方向後端側の遮光部124dが第1受光領域124eに差し掛かるまでは、Vmaxで一定に維持され、その後は、徐々に低下する。
一方、スリット124iの移動方向先端が第2受光領域124fに入ると、第2受光領域124fの受光量が徐々に増え始め、センサ出力Vbは、上述したセンサ出力Vaと同様の波形となる。
条件(C)においては、スリット124iの移動方向中心位置が2つの受光領域124e,124fの境界位置に位置するとき、これらの受光領域124e,124fは、いずれも、その全体がスリット124i内に入り込むので、2つのセンサ出力Va,Vbはいずれも最大受光量Vmaxをとる。
また、この条件(C)において、センサ出力Vaの出力開始からセンサ出力Vbの出力終了までのスリット124iの移動距離は、4×Dp(=4×Ds)となる。
【0097】
条件(D)の場合(Ds>2×Dp)、図22(d)に示すように、2つのセンサ出力Va,Vbの波形は、いずれも、上記条件(C)と同様の台形形状を示すが、各センサ出力Va,Vbが最大受光量Vmaxをとる時期が重複する期間が存在する。
条件(D)では、スリット124iの幅Dsが第1受光領域124eの幅Dpの2倍よりも大きいので、スリット124i内に2つの受光領域124e,124fの全体がいずれも入り込む期間が存在する。よって、2つのセンサ出力Va,Vbがいずれも最大受光量Vmaxとなる一定の期間が存在する。
また、この条件(C)において、センサ出力Vaの出力開始からセンサ出力Vbの出力終了までのスリット124iの移動距離は、4×Dp(=4×Ds)よりも長いものとなる。
【0098】
本変形例4においては、上記実施形態1の場合と同様、各センサ出力の差(Vb−Va)をとり、その差分信号(合成信号)をステアリング制御装置21へ出力し、蛇行抑制制御を行う。本変形例4では、検出領域の中心付近の検出分解能を向上させて高分解能検出領域とするとともに、その高分解能検出領域から外れた隣接領域でも検出分解能を落として検出可能とする。
【0099】
Ds<Dpという条件(A)においては、各センサ出力Va,Vbの最大値が最大受光量Vmaxよりも低いため、各センサ出力Va,Vbの最大値として最大受光量Vmaxが得られる条件(B)、(C)、(D)よりも、差分信号(Vb−Va)によって得られる検出分解能が低い。また、スリット124iの幅Dsが各受光領域124e,124fの幅Dpよりも小さいため、全体の検知可能領域(センサ出力Vaの出力が開始されてからセンサ出力Vbの出力が停止するまでの領域)が、スリット124iの幅Dsが各受光領域124e,124fの幅Dp以上である条件(B)、(C)、(D)よりも狭い。
【0100】
また、Ds>2×Dpという条件(D)においては、図22(d)に示すように、各センサ出力Va,Vbの最大値が最大受光量Vmaxをとるので、差分信号(Vb−Va)によって高い検出分解能を得ることができる。しかしながら、条件(D)においては、図22(d)に示すように、検知可能領域の中心付近(高分解能検出領域の中心付近)で、2つのセンサ出力Va,Vbが同じVmaxで一定となる出力一致領域(幅をもった領域)が存在する。この出力一致領域では、差分信号(Vb−Va)の傾き(検出分解能)がゼロとなるので、位置検出(中間転写ベルト61の幅方向位置の検出)が不可能となる。すなわち、条件(D)では、高分解能検出領域の中に、位置検出が不可能な領域が存在してしまう。
【0101】
一方、Ds=Dpという条件(B)及びDs=2×Dpという条件(C)においては、図22(b)及び(c)に示すように、各センサ出力Va,Vbの最大値が最大受光量Vmaxをとるので、差分信号(Vb−Va)によって高い検出分解能を得ることができる。しかも、検知可能領域の中央部分には、2つのセンサ出力Va,Vbが同じVmaxで一定となる出力一致領域が存在しないので、高分解能検出領域の中に差分信号(Vb−Va)の傾き(検出分解能)がゼロとなる地点が存在しない。したがって、高分解能検出領域の一端から他端までの間の全域で高い分解能での位置検出を行うことができる。
よって、本変形例4においては、上記式(1)に示すように、Dp<Ds<2×Dpという条件を満たすように、スリット124iの幅Dsと各受光領域124e,124fの幅Dpとの関係を決定している。
【0102】
図23(a)は、上記式(1)よりも好適な条件である上記式(3)の条件を満たす場合の各センサ出力Va,Vbの出力レベルの概要を示したグラフである。
図23(b)は、図23(a)の各センサ出力の差分信号(Vb−Va)の概要を示すグラフである。
Ds=Dpという条件(B)とDs=2×Dpという条件(C)とを比較すると、その差分信号(Vb−Va)によって得られる高分解能検出領域Cの検出分解能は、条件(C)よりも条件(B)の方が高くなるが、高分解能検出領域Cの広さは、条件(C)よりも条件(B)の方が狭くなる。すなわち、上記式(1)に示す条件(Dp<Ds<2×Dp)の範囲内において、スリット124iの幅Dsと各受光領域124e,124fの幅Dpとの関係を、条件(B)に近付けるほど高い分解能が得られるが高分解能検出領域Cの範囲が狭くなり、条件(C)に近付けるほど高分解能検出領域Cの範囲が広がるが分解能が低いものとなる。ただし、上記式(1)に示す条件(Dp<Ds<2×Dp)の範囲内においては、高分解能検出領域Cに隣接して、個々のセンサ出力Va,Vbの検出分解能に相当する検出分解能が得られる標準分解能検出領域I1,I2が存在する。この標準分解能検出領域I1,I2では、高分解能検出領域Cほどの高い分解能は得られないが、個々のセンサ出力Va,Vbの検出分解能に相当する検出分解能で位置検出を行うことが可能である。そして、上記式(1)に示す条件(Dp<Ds<2×Dp)の範囲内においては、高分解能検出領域Cの範囲が狭くなるほど、標準分解能検出領域I1,I2が広くなるという関係にある。したがって、上記式(1)に示す条件(Dp<Ds<2×Dp)の範囲内において、スリット124iの幅Dsと各受光領域124e,124fの幅Dpとの関係を適宜調整することで、高い検出分解能が得られる高分解能検出領域Cの広さと、検出可能範囲の広さとのバランス調整が可能となる。そして、本変形例4においては、Ds≒1.7×Dpという上記式(3)を満たすと、高分解能検出領域Cの広さと検出可能範囲の広さとの関係が最適となる。
【0103】
〔変形例5〕
次に、上記実施形態1における中間転写ベルト61の蛇行抑制制御の更に他の変形例(以下、本変形例を「変形例5」という。)について説明する。
本変形例5においては、上記変形例4の蛇行抑制制御を行う場合に、2つの受光部として2分割受光素子を用いる構成に代えて、上記変形例1で説明した2つの光センサ24e,24fそれぞれの受光部24hを用いる構成を採用する。この場合、2つの光センサ24e,24fの受光部24hの間隔d1及び2つのスリット24i,24jの間隔d2と各受光領域124e,124fの幅Dpとの関係が下記の式(4)の条件を満たすようにする。これにより、本変形例5におけるスリット24i,24jと各受光領域124e,124fとの位置関係は、図24に示すようなものとなり、2つの光センサ24e,24fのセンサ出力は、上記変形例4におけるセンサ出力と同様のものとなる。
d2 − d1 = Dp ・・・(4)
【0104】
〔変形例6〕
次に、上記実施形態1における中間転写ベルト61の蛇行抑制制御の更に他の変形例(以下、本変形例を「変形例6」という。)について説明する。
本変形例6においては、その基本構成は上記変形例1と同様であるが、ステアリング制御装置21が行う蛇行抑制制御において、オーバーランを検知するための閾値(以下「オーバーラン閾値」という。)Vthに加え、センサの故障を検知するための第2の閾値(以下「センサ故障閾値」という。)Vthsensを設けた点で異なっている。
【0105】
図25(a)は、横軸にベルト変位量をとり、縦軸に2つの光センサ24e,24fのセンサ出力の出力レベルをとったグラフである。
図25(b)は、2つの光センサ24e,24bのセンサ出力の和(Va+Vb)と2つの閾値Vth,Vthsensを示したグラフである。
本変形例6においては、2つのスリット24i,24jと2つの光センサ24e,24fの受光部24hとの位置関係により、図25(a)及び(b)に示すように、2つの閾値Vth,Vthsensを設けて、上記変形例1における5種類の領域に2種類の領域を加えて、7種類の領域に区分することができる。すなわち、光センサ24e,24fの検出範囲が重複している高分解能検出領域(両センサ出力Va,Vbがオーバーラン閾値Vthを超えている領域)C、センサ出力Vbはオーバーラン閾値Vthを超えているがセンサ出力Vaはオーバーラン閾値Vthを超えていない領域D、センサ出力Vaはオーバーラン閾値Vthを超えているがセンサ出力Vbはオーバーラン閾値Vthを超えていない領域E、いずれのセンサ出力Va,Vbもセンサ故障閾値Vthsensは超えているがオーバーラン閾値Vthを超えていないオーバーラン領域F’,G’、いずれのセンサ出力Va,Vbもセンサ故障閾値Vthsensを超えていない故障領域J,Kに区分できる。
このように、上記変形例1におけるエラー領域を、オーバーラン領域F’,G’とセンサ故障領域J,Kとに区分することで、センサ出力結果からエラーの原因を絞り込むことができる。
【0106】
図26は、本変形例6におけるベルト蛇行抑制のための制御の流れを示すフローチャートである。
本変形例6においては、ベルト変位量の検出を行った後(S4)、まず、各光センサ24e,24fのセンサ出力Va,Vbの和(Va+Vb)がセンサ故障閾値Vthsensを超えているか否かを判断する(S31)。この判断において、和(Va+Vb)がセンサ故障閾値Vthsensを超えていないと判断されると(S31のNo)、センサ故障である旨の故障情報を出力するセンサ異常処理を行い(S32)、光センサ24e,24fの交換など必要な作業を行わせる。和(Va+Vb)がセンサ故障閾値Vthsensを超えていると判断された場合(S31のYes)、続いて、和(Va+Vb)がオーバーラン閾値Vthを超えているか否かを判断する(S33)。この判断において、和(Va+Vb)がオーバーラン閾値Vthを超えていないと判断されると(S33のNo)、上記変形例1におけるものと同様のオーバーラン異常処理を行う(S34)。そして、和(Va+Vb)がオーバーラン閾値Vthを超えていると判断された場合には(S33のYes)、上記実施形態1で説明したステアリングモータの制御を行う。
【0107】
〔実施形態2〕
次に、本発明を、電子写真方式によって画像を形成する画像形成装置としてのプリンタに適用した他の実施形態(以下、本実施形態を「実施形態2」という。)について説明する。
本実施形態2の基本構成は、上記実施形態1と同様であるが、ステアリング制御装置21による蛇行抑制制御に用いるエッジセンサ24の構成が異なっている点で、上記実施形態1のものとは異なっている。なお、上記実施形態1と同様の部分については、説明を省略する。
【0108】
図27は、本実施形態2におけるエッジセンサ24の概略構成を示す概略構成図である。
図27に示すように、中間転写ベルト61の一側部には、一端部が支軸324cに回転自在に支持されたアーム部材が配置されている。このアーム部材は、スプリング324aの付勢力(引っ張り力)により、アーム部材の他端を構成する接触部324bが常に中間転写ベルト61の当該一側部に当接するように構成されている。このスプリング324aによる接触部324bの当接圧力は、中間転写ベルト61の側部を変形させない程度の適度な大きさに設定されている。アーム部材の他端(支軸324cに支持された端部)には、光反射部材324zが設けられている。この光反射部材324zは、その光反射面の角度が、支軸324cを回転中心としたアーム部材の回動によって変更されるように配置されている。この光反射部材324zの光反射面は、発光部324gから照射される光を反射して、受光部324hの2つの受光領域324e,324fに案内する。
【0109】
図28は、受光部324hに設けられる2つの受光領域324e,324fと、これに照射される光のスポットLとの寸法関係の一例を示す説明図である。
本実施形態2のエッジセンサ324では、ベルト蛇行時における中間転写ベルト61の幅方向(図27中矢印B)への動きが、その中間転写ベルト61の側部に当接する接触部324bを介してアーム部材の支軸324cを中心とした回動動作に置き換えられる。本実施形態2では、アーム部材の回動動作により光反射部材324zの光反射面の角度が変わると、その光反射面で反射した光の受光部照射位置(光スポットLの位置)が、受光部324hにおける2つの受光領域324e,324fの配列方向(図27及び図28の上下方向)に沿って移動する。よって、中間転写ベルト61の幅方向位置と受光部324hに照射される光スポットLの位置(光照射位置)との間には相関関係がある。そして、光スポットLの位置が2つの受光領域324e,324fの配列方向に沿って移動したとき、各受光領域324e,324fのセンサ出力Va,Vbは、上記実施形態1の場合と同様、図9(a)に示す波形と同様のものとなる。したがって、上記実施形態1と同様、図9(b)に示す差分信号(Vb−Va)を用いて蛇行抑制制御を実施することができる。
【0110】
また本実施形態2では、上記実施形態1と同様、2つの受光領域324e,324fから出力される出力信号Va,Vbの総和(Va+Vb)の最大値が規定値Vtとなるように発光部324gの発光光量を調整する。ここで、発光部324gの光源としては、通常のセンサに用いられるLED光源が用いられており、発光部24gから照射される光は光量分布をもち、そのため、受光部324hの受光領域上に照射される光のスポットL内は、図12(a)に示したような光量分布となる。
【0111】
本実施形態2では、図28に示すように、受光部324hに照射される光のスポットLの受光領域配列方向長さ(図中上下方向長さ)Y2が、当該2つの受光領域324e,324f全体の受光領域配列方向長さ(図中上下方向長さ)Y1よりも短くなるように設定されている。そして、中間転写ベルト61がベルト幅方向へ変位すると、受光部324hに照射される光のスポットLが互いに隣接して一列に配列されている2つの受光領域324e,324fの配列方向に沿って移動する。このような構成により、受光部324hに照射される光のスポットLの受光領域配列方向全域が当該2つの受光領域324e,324f内に収まっている期間は、当該2つの受光領域324e,324fから出力される出力信号Va,Vbの総和(Va+Vb)は、上記実施形態1と同様、図12(b)に示した波形と同様に、一定で、最大値をとることになる。よって、本実施形態2においても、ベルト変位量がゼロである地点を中心とした一定範囲内に中間転写ベルト61の幅方向位置が位置している間は、2つの受光領域324e,324fの出力信号の総和(Va+Vb)が一定の最大値を維持することになる。よって、発光光量を調整する際、中間転写ベルト61のベルト変位量がゼロから多少ズレていても、適正な発光光量調整を行うことができ、ベルト蛇行抑制制御時に光センサの受光量が飽和状態となるような事態は生じない。
【0112】
光反射部材324zとしては、アルミニウム蒸着膜などによる全反射ミラーを用いるのが好適である。白色散乱体のような散乱反射を用いる構成としてもよいが、散乱体の場合には受光領域324e,324fの前にスリットやレンズなどの光入射角によって受光領域上の投影位置を変化させる機能が必要である。
【0113】
以上、上記実施形態2に係るプリンタは、複数の支持ローラ63,67,68,69,71等により張架支持された無端ベルトである中間転写ベルト61の外周面上に形成した画像を最終的に記録材としての記録紙Pに転移させてその記録紙P上に画像を形成するものである。このプリンタは、中間転写ベルト61の幅方向位置を検出するベルト幅方向位置検出手段としてのエッジセンサ324と、エッジセンサ324の検出結果に基づいて中間転写ベルト61のベルト幅方向への変位を修正するベルト蛇行修正手段としてのステアリング制御装置21とを有するベルト蛇行抑制装置を備えている。そして、エッジセンサ324は、一列に隣接して配列されていて受光量に応じた信号レベルの出力信号Va,Vbをそれぞれ出力する2つの受光領域324e,324fを備えた受光部324hと、受光部324hに向けて照射される光を発光する発光部324gと、中間転写ベルト61のベルト幅方向への変位に連動して、受光部324hに対する光照射位置(光スポットLの位置)が当該2つの受光領域324e,324fの配列方向に沿って移動するように発光部324gからの光の光路を変更する光路変更部材としての光反射部材324zと、当該2つの受光領域324e,324fから出力される2つの出力信号Va,Vbから中間転写ベルト61の幅方向位置を算出するベルト幅方向位置算出手段としてのステアリング制御装置21と、所定の調整タイミングで、当該2つの受光領域324e,324fから出力される出力信号の総和(Va+Vb)の最大値が規定値Vtとなるように、発光部324gの発光光量を調整する発光光量調整手段としての図示しない制御部とを有し、受光部324hに照射される光のスポットLの受光領域配列方向長さY2が、当該2つの受光領域324e,324f全体の受光領域配列方向長さY1よりも短くなるように設定されている。これにより、本実施形態2によれば、発光光量を調整する際、中間転写ベルト61のベルト変位量がゼロから多少ズレていても、適正な発光光量調整を行うことができ、ベルト蛇行抑制制御時に各受光領域324e,324fの受光量が飽和状態となるような事態は生じない。
特に、上記実施形態2においては、上記光路変更部材が、発光部324gからの光を受光部324hに向けて反射するための光反射面を備えた光反射部材324zであって、中間転写ベルト61のベルト幅方向への変位に連動して当該光反射面の角度が変更されるように構成されたものである。よって、上述した効果を簡易な構成で得ることができる。
また、上記実施形態2において、受光部324hに照射される光のスポットLの受光領域配列方向長さY2が、当該2つの受光領域324e,324fにおける一の受光領域の受光領域配列方向長さと略同一となるように設定すれば、高分解能検出領域Cの広さを最適化することができる。
一方、上記実施形態1(上記各変形例を含む。以下同じ。)におけるエッジセンサ24,124,224は、一列に隣接して配列されていて受光量に応じた信号レベルの出力信号Va,Vbをそれぞれ出力する複数の受光領域24e,24f;124e,124f;224a,224b,224cを備えた受光部と、当該複数の受光領域に向けて照射される光を発光する発光部24g,124gと、複数の受光領域全体の受光領域配列方向長さよりも短い受光領域配列方向長さをもつ遮光部24d又は光透過スリット24i,24j,124i,224iを備えていて、中間転写ベルト61のベルト幅方向端部又は該無端ベルトのベルト幅方向への変位に連動して、当該遮光部又は光透過スリットが受光領域配列方向に沿って発光部からの光の光路を横切るように移動する移動部材としてのアーム部材と、当該複数の受光領域から出力される複数の出力信号Va,Vb,Vcから中間転写ベルト61の幅方向位置を算出するベルト幅方向位置算出手段としてのステアリング制御装置21と、所定の調整タイミングで、当該複数の受光領域から出力される出力信号の総和(Va+Vb)の最大値が規定値Vtとなるように、発光部の発光光量を調整する発光光量調整手段としての図示しない制御部とを有し、発光部から受光部に照射される光のスポットL内における光量分布を均一化する光量分布均一化手段として、光量分布補正フィルタ24zを有している。これにより、本実施形態1によれば、発光光量を調整する際、中間転写ベルト61のベルト変位量がゼロから多少ズレていても、適正な発光光量調整を行うことができ、ベルト蛇行抑制制御時に各受光領域の受光量が飽和状態となるような事態は生じない。
特に、本実施形態1においては、光量分布均一化手段が、発光部と受光部との間の光路上に設けられた光透過型の光量分布補正フィルタであるため、簡易な構成で、受光部に照射される光のスポットL内における光量分布を均一化することができる。
また、上記実施形態1において、上記遮光部24d又は上記光透過スリット24i,24j,124i,224iの受光領域配列方向長さが、当該2つの受光領域における一の受光領域の受光領域配列方向長さと略同一となるように設定すれば、高分解能検出領域Cの広さを最適化することができる。
【0114】
上記実施形態1及び2において、発光光量を調整する際、当該複数の受光領域から出力される各出力信号Va,Vb,Vcの中に信号レベルが所定の基準値未満の出力信号が含まれている場合には異常である旨を出力する異常出力手段を設けてもよい。
また、上述した説明では、ステアリング制御装置21が行う蛇行抑制制御に用いる信号として、2つのセンサ出力の差分信号(Vb−Va)を用いる場合であったが、2つのセンサ出力の差(Va−Vb)と和(Va+Vb)の比率である(Va−Vb)/(Va+Vb)を用いてもよい。
【符号の説明】
【0115】
21 ステアリング制御装置
23 ステアリングモータ
24,124,224,324 エッジセンサ
24b,324b 接触部
24c,124c,324c 支軸
24d,124d 遮光部
24i,24j,124i,224i スリット
24e,24f,124e,124f,224a,224b,224c,324e,324f 光センサ(受光領域)
24z 光量分布補正フィルタ
61 中間転写ベルト
63 ステアリングローラ
324z 光反射部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0116】
【特許文献1】特開2008−275800号公報
【特許文献2】特開2005−338522号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の支持部材に張架された状態で走行する無端ベルトの幅方向位置を検出するベルト幅方向位置検出手段と、該ベルト幅方向位置検出手段の検出結果に基づいて該無端ベルトのベルト幅方向への変位を修正するベルト蛇行修正手段とを有するベルト蛇行抑制装置において、
上記ベルト幅方向位置検出手段は、
一列に隣接して配列されていて受光量に応じた信号レベルの出力信号をそれぞれ出力する複数の受光領域を備えた受光部と、
上記受光部に向けて照射される光を発光する発光部と、
上記無端ベルトのベルト幅方向への変位に連動して、上記受光部に対する光照射位置が上記複数の受光領域の配列方向に沿って移動するように上記発光部からの光の光路を変更する光路変更部材と、
上記複数の受光領域から出力される複数の出力信号から上記無端ベルトの幅方向位置を算出するベルト幅方向位置算出手段と、
所定の調整タイミングで、上記複数の受光領域から出力される出力信号の総和の最大値が規定値となるように、上記発光部の発光光量を調整する発光光量調整手段とを有し、
上記受光部に照射される光のスポットの受光領域配列方向長さが、上記複数の受光領域全体の受光領域配列方向長さよりも短くなるように設定されていることを特徴とするベルト蛇行抑制装置。
【請求項2】
請求項1のベルト蛇行抑制装置において、
上記光路変更部材は、上記発光部からの光を上記受光部に向けて反射するための光反射面を備えた光反射部材であって、上記無端ベルトのベルト幅方向への変位に連動して該光反射面の角度が変更されるように構成されたものであることを特徴とするベルト蛇行抑制装置。
【請求項3】
請求項1又は2のベルト蛇行抑制装置において、
上記受光部に照射される光のスポットの受光領域配列方向長さが、上記複数の受光領域における一の受光領域の受光領域配列方向長さと略同一となるように設定されていることを特徴とするベルト蛇行抑制装置。
【請求項4】
複数の支持部材に張架された状態で走行する無端ベルトの幅方向位置を検出するベルト幅方向位置検出手段と、該ベルト幅方向位置検出手段の検出結果に基づいて該無端ベルトのベルト幅方向への変位を修正するベルト蛇行修正手段とを有するベルト蛇行抑制装置において、
上記ベルト幅方向位置検出手段は、
一列に隣接して配列されていて受光量に応じた信号レベルの出力信号をそれぞれ出力する複数の受光領域を備えた受光部と、
上記複数の受光領域に向けて照射される光を発光する発光部と、
上記複数の受光領域全体の受光領域配列方向長さよりも短い受光領域配列方向長さをもつ遮光部又は光透過スリットを備えていて、上記無端ベルトのベルト幅方向端部又は該無端ベルトのベルト幅方向への変位に連動して、該遮光部又は光透過スリットが受光領域配列方向に沿って上記発光部からの光の光路を横切るように移動する移動部材と、
上記複数の受光領域から出力される複数の出力信号から上記無端ベルトの幅方向位置を算出するベルト幅方向位置算出手段と、
所定の調整タイミングで、上記複数の受光領域から出力される出力信号の総和の最大値が規定値となるように、上記発光部の発光光量を調整する発光光量調整手段とを有し、
更に、上記発光部から上記受光部に照射される光のスポット内における光量分布を均一化する光量分布均一化手段を設けたことを特徴とするベルト蛇行抑制装置。
【請求項5】
請求項4のベルト蛇行抑制装置において、
上記光量分布均一化手段は、上記発光部と上記受光部との間の光路上に設けられた光透過型の光量分布補正フィルタであることを特徴とするベルト蛇行抑制装置。
【請求項6】
請求項3又は4のベルト蛇行抑制装置において、
上記遮光部又は上記光透過スリットの受光領域配列方向長さが、上記複数の受光領域における一の受光領域の受光領域配列方向長さと略同一となるように設定されていることを特徴とするベルト蛇行抑制装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のベルト蛇行抑制装置において、
上記発光光量調整手段が上記発光部の発光光量を調整する際、上記複数の受光領域から出力される各出力信号の中に信号レベルが所定の基準値未満の出力信号が含まれている場合には異常である旨を出力する異常出力手段を有することを特徴とするベルト蛇行抑制装置。
【請求項8】
複数の支持部材に張架された状態で走行する無端ベルトの外周面上に形成した画像を最終的に記録材に転移させて該記録材上に画像を形成するか、又は、複数の支持部材に張架された状態で走行する無端ベルトの外周面に担持された記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
上記無端ベルトのベルト幅方向への変位を修正して該無端ベルトの蛇行を抑制するベルト蛇行抑制装置として、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のベルト蛇行抑制装置を用いることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2012−58671(P2012−58671A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204422(P2010−204422)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】