説明

ベンズイミダゾリル誘導体

式I(i)(式中R1、R1’、L、E、G、M、Q、U、R2、m、pおよびqが請求項1で示した意味を有している)の新規な化合物は、チロシンキナーゼ、特にTIE−2、およびRafキナーゼの阻害薬であり、腫瘍の治療に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、価値ある特性、特に薬剤の調製に使用することができる特性、を有する新規な化合物を見出す目的を有していた。
【0002】
本発明は、キナーゼシグナル伝達、特にチロシンキナーゼおよび/またはRafキナーゼシグナル伝達の阻害、制御および/または調節に役割を果たす化合物、さらにこれらの化合物を含む医薬品組成物、およびキナーゼ誘発性疾患の治療のための該化合物の使用に関する。
【0003】
具体的には、本発明は、チロシンキナーゼシグナル伝達を、阻害、制御および/または調節する化合物、それらの化合物を含む組成物、および哺乳動物における血管新生、癌、腫瘍増殖、動脈硬化、加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症、炎症性疾患および同種のもの等のチロシンキナーゼ誘発性疾患および状態の治療のための使用方法に関する。
【0004】
チロシンキナーゼは、アデノシン三リン酸の末端リン酸のタンパク質基質内のチロシン残基への移動に触媒作用をする酵素の一種である。チロシンキナーゼは、基質のリン酸化反応を介して多数の細胞機能に対するシグナル伝達において重要な役割を果たしていることが考えられる。シグナル伝達の正確な機構は依然として不明確であるが、チロシンキナーゼは、細胞増殖、発癌および細胞分化における重要な因子であることが示されている。
【0005】
チロシンキナーゼは受容体型チロシンキナーゼまたは非受容体型チロシンキナーゼに分類することができる。受容体型チロシンキナーゼは、細胞外部分、膜貫通部分および細胞内部分を有しており、一方非受容体型チロシンキナーゼは、もっぱら細胞内だけである。受容体型チロシンキナーゼは、異なる生物活性を有するさまざまな膜貫通受容体からなる。かくして、受容体型チロシンキナーゼの約20のサブファミリーが確認されている。HERサブファミリーとして知られる1つのチロシンキナーゼサブファミリーは、EGFR、HER2、HER3およびHER4からなる。受容体のこのサブファミリーに由来するリガンドは、上皮増殖因子、TGF−α、アンフィレグリン(amphiregulin)、HB−EGF、ベータセルリンおよびヘレグリンを含む。これら受容体型チロシンキナーゼの別のサブファミリーは、インスリンサブファミリーであり、それはINS−R、IGF−IRおよびIR−Rを含む。PDGFサブファミリーは、PDGF−αおよびPDGF−β受容体、CSFIR、c−キットおよびFLK−IIを含む。さらに、キナーゼ挿入ドメイン受容体(KDR)、胎児肝臓キナーゼ−1(FLK−1)、胎児肝臓キナーゼ−4(FLK−4)およびfmsチロシンキナーゼ−1(flt−1)からなるFLKファミリーがある。PDGFとFLKファミリーは、その2つの群の類似点のために通常一緒に議論される。受容体型チロシンキナーゼの詳細な論議については、参照により本明細書に組み込まれているPlowmanらによる論文、DN & P7(6):334〜339、1994を参照されたい。
【0006】
非受容体型チロシンキナーゼも同様に、Src、Frk、Btk、Csk、Abl、Zap70、Fes/Fps、Fak、Jak、AckおよびLIMKを含むさまざまなサブファミリーからなる。これらサブファミリーのそれぞれはさらに異なる受容体に細分化される。例えばSrcサブファミリーは最も大きいサブファミリーの1つである。それはSrc、Yes、Fyn、Lyn、Lck、Blk、Hck、FgrおよびYrkを含む。酵素のSrcサブファミリーは腫瘍形成と関連している。非受容体型チロシンキナーゼの詳細な論議については参照により本明細書に組み込まれているBolenによる論文、Oncogene,8:2025〜2031(1993)を参照されたい。
【0007】
受容体型チロシンキナーゼおよび非受容体型チロシンキナーゼは両方共、癌、乾癬および過免疫応答を含むさまざまな病的状態に導く細胞シグナル伝達経路に関与する。さまざまな受容体型チロシンキナーゼおよびそれらに結合する増殖因子が、あるものは血管新生を間接的に促進するかもしれないが、血管新生における役割を果たすことが提唱されている(Mustonen およびAlitalo、J.Cell Biol.129:895〜898、1995)。これらの受容体型チロシンキナーゼの1つは、FLK−1とも呼ばれる胎児肝臓キナーゼ1である。ヒトのFLK−1の類似体は、それが高い親和性でVEGFに結合するために、血管内皮細胞増殖因子受容体2(vascular endothelial cell growth factor receptor 2)またはVEGFR−2としても知られるキナーゼ挿入ドメイン含有受容体(kinase insert domain-containing receptor)KDRである。最後に、この受容体のネズミのバージョンはまた、NYKとも呼ばれている(Oelrichsら、Oncogene 8(1):11〜15,1993)。VEGFおよびKDRは、血管内皮細胞の増殖と血管の形成および出芽に極めて重要な役割を果たすリガンド受容体のペアであり、それぞれ血管形成および血管新生と呼ばれる。
【0008】
血管新生は血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の過剰活性を特徴とする。VEGFは実はリガンドのファミリーからなる(KlagsburnおよびD’Amore、Cytokine & Growth Factor Reviews 7:259〜270,1996)。VEGFは、高い親和力の膜貫通のチロシンキナーゼ受容体KDRと、Flt−1または血管内皮細胞増殖因子受容体1(VEGFR−1)としても知られる同類のfmsチロシンキナーゼ−1とを結合する。細胞培養および遺伝子ノックアウト実験により、各受容体は血管新生の異なる態様の一因となっていることが示されている。KDRはVEGFの分裂促進機能を媒介し、一方Fit−1は細胞癒着と関連するもの等の非分裂促進機能を調節するようである。KDRの抑制はしたがって分裂を促進するVEGFの活動のレベルを調節する。実際に、腫瘍増殖はVEGF受容体拮抗薬の抗血管新生効果により影響されやすいことが示されている(Kimら、Nature 362,pp.841〜844,1993)。
【0009】
VEGFRに対する3つのPTK(タンパク質チロシンキナーゼ)受容体:VEGFR−1(Flt−1)、VEGRF−2(Flk−1またはKDR)およびVEGFR−3(Flt−4)、が同定されている。VEGRF−2が特に重要である。
【0010】
固形腫瘍は、それ故、これらの腫瘍がその増殖を支えるために必要な血管の形成のための血管新生に依存するため、チロシンキナーゼ阻害薬により治療することができる。これらの固形腫瘍としては、単球性白血病、脳、尿生殖路、リンパ系、胃、喉頭および肺の癌腫が挙げられ、肺腺癌および小細胞腺癌を含む。さらなる例として、Raf活性化腫瘍遺伝子(例えば、K−ras、erb−B)の過剰発現または活性化が見られる癌腫が挙げられる。これらの癌腫としては膵臓癌および乳癌が挙げられる。したがって、これらのチロシンキナーゼの阻害薬は、これらの酵素によって引き起こされる増殖性疾患の予防および治療に適している。
【0011】
VEGFの血管新生作用は腫瘍に限定されない。VEGFは糖尿病性網膜症における網膜内またはその付近に生ずる血管新生作用の主な原因となる。網膜内のこの血管増殖は視覚退化を最高にして失明に導く。眼のVEGFのmRNAおよびタンパク質のレベルは、霊長類における網膜静脈閉鎖症およびマウスにおける減少したpO2レベル等の新血管新生をもたらす条件により上昇する。抗VEGFモノクローナル抗体またはVEGF受容体免疫融合体の眼球内注射は、霊長類およびげっ歯類モデルの両方における眼の新血管新生を阻害する。ヒトの糖尿病性網膜症におけるVEGFの誘発の原因とは関係なく、眼のVEGFを阻害することは、この疾患の治療に対して適切である。
【0012】
VEGFの発現はまた、壊死の部位と隣接する動物およびヒトの腫瘍の低酸素領域において著しく増加する。加えて、VEGFは、腫瘍遺伝子のRas、Raf、Srcおよび変異体p53(それらはすべて癌との闘いにおいて重要である)の発現により上方制御される。抗VEGFモノクローナル抗体は、ヌードマウスにおけるヒト腫瘍の増殖を阻害する。同じ腫瘍細胞が培養液中でVEGFを発現し続けるものの、その抗体はそれらの分裂速度を低下しない。したがって、腫瘍から誘導されたVEGFは自己分泌分裂促進因子としては機能しない。VEGFは、それ故そのパラ分泌血管内皮細胞の走化活性および分裂促進活性を通して血管新生を促進することによりインビボの腫瘍の増殖に寄与する。これらのモノクローナル抗体はまた、無胸腺マウスにおいて、一般的にはよく血管新生されていないヒト結腸癌の増殖を阻害し、接種した細胞から起こる腫瘍の数を減少する。
【0013】
細胞質のチロシンキナーゼドメインを取り除くために切断されているが膜アンカーを保持しているマウスKDR受容体のホモログである、Flk−1、Flt−1のVEGF結合コンストラクトのウイルス中の発現は、おそらく膜貫通内皮細胞VEGF受容体との異種二量体形成の優勢な負のメカニズムによって、マウスにおける移植可能な神経膠芽腫の増殖を事実上停止する。ヌードマウスにおける固形腫瘍として通常は増殖する胚性幹細胞は、両方のVEGF対立遺伝子がノックアウトされている場合は検知される腫瘍を生じない。総合すれば、これらのデータは固形腫瘍の増殖におけるVDGFの役割を示している。KDRまたはFlt−1の阻害は、病的血管新生に関与し、腫瘍の増殖は血管新生に依存することが知られているため、これらの受容体は、血管新生が全体的な病変の一部である疾患、例えば、炎症、糖尿病網膜血管新生、ならびにさまざまな形態の癌の治療に適している(Weidnerら、N.Engl.J.Med.,324,pp.1〜8,1991)。
【0014】
内皮特異性受容体型のチロシンキナーゼTIE−2のリガンド、アンジオポイエチン1(Ang1)は、新規血管新生因子である(Davisら、Cell,1996,87:1161〜1169;Partanenら、Mol.Cell Biol.,12:1698〜1707(1992);米国特許第5521073号;同第5879672号;同第5877020号;および同第6030831号)。その頭文字のTIEは「IgおよびEGFホモロジードメインを有するチロシンキナーゼ」を表す。TIEは、もっぱら血管内皮細胞および初期の造血細胞中に発現する受容体型のチロシンキナーゼの種類を識別するために使用される。TIE受容体キナーゼは、鎖間のジスルフィド架橋結合により安定化された細胞外の折り畳み単位からなるEGF様のドメインおよび免疫グロブリン(Ig)様のドメインが存在することを特徴とする(Partanenら、Curr.Topics Microbiol.Immunol.,1999,237:159〜172)。血管発達の初期段階にその機能を発揮するVEGFとは対照的に、Ang1およびその受容体TIE−2は血管発達の後期中すなわち血管変換(血管内腔の形成に関係する変換)および成熟の途中に作用する(Yancopoulosら、Cell,1998,93:661〜664;Peters,K.G.,Circ.Res.,1998,83(3):342〜3;Suriら、Cell 87,1171〜1180(1996))。
【0015】
したがって、TIE−2の阻害は、血管新生による新たな血管系の変換および成熟を妨げ、したがって血管新生の過程を妨げるはずであるものと期待される。その上、VEGFR−2のキナーゼドメイン結合部位の阻害は、チロシン残基のリン酸化反応を妨害し、血管新生の開始を妨げることに寄与するであろう。それ故、TIE−2および/またはVEGFR−2の阻害は、腫瘍の血管新生を妨げ、腫瘍の増殖を遅くするかまたは完全になくすことに寄与することが想定されるはずである。
【0016】
したがって、不適切な血管新生が伴う癌およびその他の疾患の治療を提供することができる。
【0017】
本発明は、未制御または支障のあるTIE−2活性に関連する疾患の予防および/または治療のためにTIE−2を制御、調節または阻害する方法を対象とする。特に本発明による化合物はまた、いくつかの形態の癌の治療において使用することもできる。さらに、本発明による化合物は、いくつかの既存の癌化学療法における相加作用または相乗効果を提供することができかつ/またはいくつかの既存の癌化学療法および放射線治療の有効性を修復するために使用することができる。
【0018】
本発明は、制御されていないかまたは支障のあるVEGFR−2活性に関連する疾患の予防および/または治療のためにVEGFR−2を制御、調節または阻害する方法を対象とする。
【0019】
本発明による化合物は、好ましくは、TIE−2および/またはVEGFR−2キナーゼ活性を有するベンズイミダゾリル誘導体である。
【0020】
本発明はさらにRafキナーゼの阻害薬としての化合物に関する。
【0021】
タンパク質リン酸化反応は細胞機能を制御するための基本的な過程である。タンパク質キナーゼおよびホスファターゼの両方の協調的作用により、リン酸化反応とそれによる特定の目標タンパク質の活性を制御する。タンパク質リン酸化反応の顕著な役割の1つは、細胞外シグナルが、例えばp21ras/Ras経路における一連のタンパク質リン酸化反応および脱リン酸化反応事象により増幅および伝播されるシグナル伝達にある。
【0022】
p21ras遺伝子は、Harvey(H−Ras)およびKirsten(K−Ras)ラット肉腫ウイルスの腫瘍遺伝子として発見された。ヒトにおいて、細胞Ras遺伝子(c−Ras)の独特の突然変異が、多くの異なるタイプの癌と関連付けられている。Rasを構造的に活性化するこれらの突然変異による対立遺伝子は、培養液中で、例えばネズミの細胞株NIH3T3等の細胞を形質転換することが示されている。
【0023】
p21ras腫瘍遺伝子は、ヒトの固形癌の発生および進行に対する主たる寄与体であり、すべてのヒトの癌腫の30%において突然変異を起こす(Boltonら、(1994)Ann.Rep.Med.Chem.,29,165〜74;Bos.(1989)Cancer Res.,49,4682〜9)。Rasタンパク質は、突然変異していないその通常の形態においては、殆どすべての組織内で成長因子受容体により導かれるシグナル伝達カスケードの重要な要素である(Avruchら、(1994)Trends Biochem.Sci.,19,279〜83)。
【0024】
生化学的に、Rasは、グアニンヌクレオチドに結合しているタンパク質であり、GTPに結合した活性形とGDPに結合した静止形の間の循環が、Ras内在性のGTPアーゼ活性およびその他の調節タンパク質により完全に制御される。Ras遺伝子産物は、グアニン三リン酸(GTP)およびグアニン二リン酸(GDP)に結合し、GTPをGDPに加水分解する。Rasは、GTPに結合した状態で活性である。癌細胞中のRas突然変異体において内在性GTPアーゼの活性は低下し、そのタンパク質は、その結果、例えば酵素Rafキナーゼ等の下流のエフェクターに構造的増殖シグナルを伝達する。これによりこれらの突然変異体を持っている細胞の癌性増殖がもたらされる(Magnusonら、(1994)Semin.Cancer Biol.,5,247〜53)。Rasプロト癌遺伝子は、高等真核生物における受容体タイプおよび非受容体タイプのチロシンキナーゼにより惹起された増殖および分化シグナルを変換するために、機能的に損なわれていないC−Raf−1プロト癌遺伝子を必要とする。C−Raf−1プロト癌遺伝子を活性化するためには活性化したRasが必要であるが、RasがRaf−1タンパク質(Ser/Thr)キナーゼを活性化する生化学的ステップは、現在かなり明らかにされている。Rafキナーゼのシグナル伝達を、非活性化抗体をRafキナーゼに投与することによるか、またはRafキナーゼの基質であるドミナントネガティブなRafキナーゼもしくはドミナントネガティブなMEK(MAPKK)の同時発現により阻害することで活性なRasの効果を阻害することによって、形質転換した細胞の正常な増殖表現型への復帰がもたらされることが示されている。Daumら、(1994)Trends Biochem.Sci.,19,474〜80;Fridmanら、(1994)J Biol.Chem.,269,30105〜8、Kolchら、(1991)Nature,349,426〜28)および総説は、Weinstein−Oppenheimerら、Pharm.& Therap.(2000),88,229〜279を参照されたい。
【0025】
同様に、Rafキナーゼの阻害(アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドによる)は、さまざまなヒト腫瘍タイプの増殖の阻害とインビトロおよびインビボにおいて相関している(Moniaら、Nat.Med.1996,2,668〜75)。
【0026】
Rafセリンおよびスレオニン特異的タンパク質キナーゼは、さまざまな細胞系における細胞増殖を刺激する細胞質内酵素である(Rapp,U.R.ら、(1988)The Oncogene Handbookにおいて;T.Curran,E.P.ReddyおよびA.Skalka(編者)Elsevier Science Publishers;The Netherlands,pp.213〜253;Rapp,U.R.ら、(1988)Cold Spring Harbor Sym.Quant.Biol.53:173〜184;Rapp,U.R.ら(1990)Inv Curr.Top.Microbiol.Immunol.PotterおよびMelchers(編者),Berlin,Springer−Verlag 166:129〜139)。
【0027】
3つのアイソザイム:
C−Raf(Raf−1、C−Raf−1、c−far−1またはc−raf1としても知られている)(Bonner,T.I.ら、(1986)Nucleic Acids Res.14:1009〜1015)、A−Raf(Beck,T.W.ら、(1987)Nucleic Acids Res.15:595〜609)、およびB−Raf(Qkawa,S.ら、(1998)Mol.Cell.Biol.8:2651〜2654;Sithanandam,G.ら、(1990)Oncogene:1775)が明らかである。これらの酵素はさまざまな組織中でそれらの発現が異なる。Raf−1は試験したすべての臓器およびすべての細胞株中で発現し、A−RafおよびB−Rafはそれぞれ泌尿生殖器組織および脳組織に発現する(Storm,S.M.(1990)Oncogene 5:345〜351)。
【0028】
Raf遺伝子はプロト癌遺伝子であり、それらは、特別に改変された形態で発現するとき細胞の悪性転換を惹起することができる。発癌活性化をもたらす遺伝的障害は、タンパク質のN−末端の負の制御ドメインの除去またはそれとの干渉により、構造的に活性なタンパク質キナーゼを発生する(Heidecker,G.ら、(1990)Mol.Cell.Biol.10:2503〜2512;Rapp,U.R.ら、(1987)Oncogenes and Cancerにおいて;S.A.Aaronson, J.Bishop, T.Sugimura, M.Terada, K.ToyoshimaおよびP.K.Vogt(編者)、Japan Scientific Press、東京)。大腸菌発現ベクターにより用意された発癌作用があるが野生型ではないRafタンパク質の異形をNIH3T3中に微量注入することにより、形態変換が生じ、DNAの合成が促進される(Rapp,U.R.ら、(1987)Oncogenes and Cancerにおいて;S.A.Aaronson, J.Bishop, T.Sugimura, M.Terada, K.ToyoshimaおよびP.K.Vogt(編者)、Japan Scientific Press、東京;Smith,M.R.ら、(1990)Mol.Cell.Biol.10:3828〜3833)。
【0029】
そのような訳で、活性化されたRaf−1は細胞増殖の細胞内活性化因子である。Raf−1タンパク質セリンキナーゼは、Raf腫瘍遺伝子が、細胞突然変異(Ras復帰変異体細胞)または抗Ras抗体の微量注入のいずれかによる細胞Ras活性の妨害に起因する成長停止に打ち勝つため、分裂促進因子のシグナル伝達の下流のエフェクターの候補である(Rapp,U.R.ら、(1988)The Oncogene Handbookにおいて、T.Curran, E.P.ReddyおよびA.Skalka(編者), Elsevier Science Publishers;オランダ、pp.213〜253;Smith,M.R.ら、(1986)Nature(ロンドン)320:540〜543)。
【0030】
C−Raf機能は、さまざまな膜結合型腫瘍遺伝子による形質転換および血清中に含まれる分裂促進因子による増殖促進に対して必要である(Smith,M.R.ら、(1986)Nature(ロンドン)320:540〜543)。Raf−1タンパク質セリンキナーゼ活性は、分裂促進因子によりリン酸化反応を介して制御され(Morrison,D.K.ら、(1989)Cell 58:648〜657)、それは、また、細胞内分布にも影響を及ぼす(Olah,Z.ら、(1991)Exp.Brain Res.84:403;Rapp,U.R.ら、(1988)Cold Spring Harbor Sym.Quant.Biol.53:173〜184)。Raf−1活性化増殖因子としては、血小板由来増殖因子(PDGF)(Morrison,D.K.ら、(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:8855〜8859)、コロニー刺激因子(Baccarini,M.ら、(1990)EMBO J.9:3649〜3657)、インスリン(Blackshear,P.J.ら、(1990)J.Biol.Chem.265:12115〜12118)、上皮細胞増殖因子(EGF)(Morrison,R.K.ら、(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:8855〜8859)、インターロイキン−2(Turner,B.C.ら、(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:1227)およびインターロイキン−3、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(Carroll,M.P.ら、(1990)J.Biol.Chem.265:19812〜19817)などが挙げられる。
【0031】
細胞の分裂促進因子処理の後、一時的に活性化されたRaf−1タンパク質セリンキナーゼは、核周囲領域および核に転位する(Olah,Z.ら、(1991)Exp.Brain Res.84:403;Rapp,U.R.ら、(1988)Cold Spring Harbor Sym.Quant.Biol.53:173〜184)。活性化したRafを含有する細胞は、それらの遺伝子発現のパターンが変化し(Heidecker,G.ら、(1989)Genes and signal transduction in multistage carcinogenesisにおいて,N.Coburn(編者), Marcel Dekker,Inc., New York, pp.339〜374)、Raf腫瘍遺伝子は、一時的なトランスフェクションアッセイにおいてAp−1/PEA3依存性のプロモーターからの転写を活性化する(Jamal,S.ら、(1990)Science 344:463〜466;Kaibuchi,K.ら、(1989)J.Biol.Chem.264:20855〜20858;Wasylyk,C.ら、(1989)Mol.Cell.Biol.9:2247〜2250)。
【0032】
Raf−1を細胞外の分裂促進因子によって活性化するには、少なくとも2つの独立した経路、タンパク質キナーゼC(KC)を含有する1つおよびタンパク質チロシンキナーゼにより惹起される2番目が存在する(Blackshear,P.J.ら、(1990)J.Biol.Chem.265:12131〜12134;Kovacina,K.S.ら、(1990)J.Biol.Chem.265:12115〜12118;Morrison,D.K.ら、(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:8855〜8859;Siegel,J.N.ら、(1990)J.Biol.Chem.265:18472〜18480;Turner,B.C.ら、(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:1227)。いずれの場合においても活性化にはRaf−1タンパク質のリン酸化反応を必要とする。Raf−1リン酸化反応は、自己リン酸化により増幅されるキナーゼカスケードの結果であり得る、または、ジアシルグリセロールによるPKC活性化に類似した推定上の活性化リガンドのRaf−1制御ドメインへの結合により惹起される自己リン酸化によりもっぱら引き起こされ得る(Nishizuka,Y.(1986)Science 233:305〜312)。
【0033】
細胞制御を達成する主要な機構の1つは、細胞内の生化学的経路を順次調節する膜を越える細胞外シグナルの伝達によるものである。タンパク質リン酸化反応は、細胞内シグナルが分子から分子に伝播し、最後に細胞の応答をもたらす1つの過程である。これらのシグナル伝達カスケードは、多くのタンパク質キナーゼならびにホスファターゼの存在から明らかなように、高度に制御され、しばしば重複する。タンパク質のリン酸化反応は、大部分はセリン、トレオニンまたはチロシン残基において発生し、タンパク質キナーゼは、それ故、それらのリン酸化反応部位の特異性により、すなわち、セリン/トレオニンキナーゼおよびチロシンキナーゼに分類されている。リン酸化反応は、そのような細胞内の遍在性の過程であるためと、細胞の表現型がこれらの経路の活性度に大きく影響されるために、多くの状態および/または疾患は、キナーゼカスケードの分子成分における異常な活性化または機能の変異のいずれかに起因するものと現在では考えられている。このため、多くの注目がそれらの活性を調節することができるこれらタンパク質および化合物の特徴付けに向けられた(総説として:Weinstein−Oppenheimerら、Pharma.&.Therap.,2000,88,229〜279参照)。
【0034】
チロシンキナーゼおよび/またはRafキナーゼのシグナル伝達を特に阻害、制御および/または調節する小化合物の同定が、それ故望ましく、本発明の狙いである。
【0035】
本発明による化合物およびその塩は、非常に有用な薬理学的特性を有すると同時に良好な耐容性を示す。
【0036】
とりわけ、それらはチロシンキナーゼ阻害特性を示す。
本発明による化合物は酵素Rafキナーゼの阻害物質であることがなおその上に見出されている。酵素は、p21rasの下流のエフェクターであるので、その阻害物質は、例えば、Rafキナーゼにより媒介される腫瘍および/または癌細胞の増殖の処理においてRafキナーゼ経路の阻害が示されるヒトまたは動物の医学において使用するための医薬品組成物に適していることが判明している。特に、該化合物は、ヒトおよび動物の固形癌、例えばマウスの癌の治療に適しており、それは、これらの癌の進行が、Rasタンパク質シグナル伝達カスケードに依存し、したがってそのカスケードの妨害による、すなわちRafキナーゼを阻害することによる治療に対して敏感であるためである。したがって、本発明による化合物または医薬品として許容されるそれらの塩は、Rafキナーゼ経路により媒介される疾患、例えば癌腫(例えば、肺、膵臓、甲状腺、膀胱または大腸の)、骨髄疾患(例えば、骨髄性白血病)または腺腫(例えば、大腸絨毛腺腫)、病的血管新生および転移細胞遊走等の固形癌を含む特に癌の治療のために投与される。該化合物は、その上、補体活性化による慢性炎症(Niculescuら、(2002)Immunol.Res.,24:191〜199)およびHIV−1(ヒト免疫不全ウイルスタイプ1)により誘発された免疫不全症(Popikら、(1998)J Virol,72:6406〜6413)の治療に適している。
【0037】
本発明による化合物は、シグナル経路、特に本明細書に記載のシグナル経路、好ましくはRafキナーゼシグナル経路と相互に作用し合うことができることが見出された。本発明による化合物は、酵素に基づくアッセイ、例えば本明細書に記載のアッセイにおいて容易に実証することができる有利な生物活性を好ましくは示す。上記の酵素に基づくアッセイにおいて、本発明による化合物は、適当な範囲、好ましくはミクロモル範囲、より好ましくはナノモル範囲のIC50により通常記録される阻害効果を、好ましくは示しかつ引き起こす。
【0038】
本明細書で述べたように、これらのシグナル経路はさまざまな疾患と関連性がある。したがって、本発明による化合物は、前記シグナル経路の1つまたは複数と相互作用することによって前記シグナル経路に左右される疾患の予防および/または治療に適している。
【0039】
本発明は、それ故、本明細書で説明したシグナル経路のプロモーターまたは阻害剤としての、好ましくは阻害剤としての、本発明による化合物に関する。本発明は、それ故好ましくはRafキナーゼ経路のプロモーターまたは阻害剤としての、好ましくは阻害剤としての、本発明による化合物に関する。本発明は、それ故好ましくはRafキナーゼのプロモーターまたは阻害剤としての、好ましくは阻害剤としての、本発明による化合物に関する。本発明は、さらにより好ましくはA−Raf、B−RafおよびC−Raf−1からなる群から選択される1つまたは複数のRafキナーゼのプロモーターまたは阻害剤としての、好ましくは阻害剤としての本発明による化合物に関する。本発明は、特に好ましくはC−Raf−1のプロモーターまたは阻害剤としての、好ましくは阻害剤としての本発明による化合物に関する。
【0040】
本発明は、さらに、疾患、好ましくはRafキナーゼにより引き起こされ、媒介されかつ/または伝播する本明細書に記載の疾患、特にA−Raf、B−RafおよびC−Raf−1からなる群から選択されたRafキナーゼにより引き起こされ、媒介されかつ/または伝播する疾患の治療および/または予防における本発明による1つまたは複数の化合物の使用に関する。ここで論ずる疾患は、2つの群、過剰増殖性疾患および非過剰増殖性疾患に通常分割される。これに関して、乾癬、関節炎、炎症、子宮内膜症、瘢痕、良性前立腺過形成、免疫疾患、自己免疫疾患および免疫不全疾患は、非癌性疾患として見なされ、そのうち関節炎、炎症、免疫疾患、自己免疫疾患および免疫不全疾患は、通常、非高増殖性疾患と見なされる。これに関して、脳腫瘍、肺癌、扁平上皮癌、膀胱癌、胃癌、膵臓癌、肝癌、腎臓癌、結腸直腸癌、乳癌、頭部癌、頚部癌、食道癌、婦人科癌、甲状腺癌、リンパ腫、慢性白血病および急性白血病は、癌性疾患と見なすべきであり、そのすべてが、通常は高増殖性疾患と見なされる。特に癌細胞増殖、特にRafキナーゼにより媒介される癌細胞増殖は、本発明の標的である疾患である。本発明は、それ故、前記疾患の治療および/または予防における薬剤および/または薬剤活性材料としての本発明による化合物と、前記疾患の治療および/または予防のための医薬品の調製のための本発明による化合物の使用、ならびに本発明による1つまたは複数の化合物を、その投与を必要としている患者に投与をすることを含む前記疾患の治療方法に関する。
【0041】
本発明による化合物は、異種移植腫瘍モデルにおいてインビボの抗増殖性作用を有することを示すことができる。本発明による化合物は、高増殖性疾患を有する患者に、例えば、腫瘍の増殖を阻止するため、リンパ増殖性疾患に伴う炎症を減少させるため、組織修復による移植片拒絶または神経障害を阻止するなどのために投与する。本化合物は予防または治療目的に適する。本明細書で使用する用語「治療」とは、疾患の予防および前から存在する状態の処置の両方を指して使用される。増殖の予防は、顕在的な疾患が進行する前に、例えば腫瘍の増殖を予防する、転移性の増殖を予防する、心血管手術に伴う再狭窄を軽減するなどのため、本発明による化合物を投与することによって達成される。別法では、該化合物は、患者の臨床症状を安定化または改善することによる進行中の疾患の治療のために使用する。
【0042】
ホストまたは患者は、任意の哺乳類の種、例えば、霊長類の種、特にヒト;マウス、ラットおよびハムスターを含むげっ歯類;ウサギ;ウマ、ウシ、イヌ、ネコなどに属することができる。動物モデルは、ヒトの疾患の治療のためのモデルを提供する実験的研究に対して重要である。
【0043】
本発明による化合物による治療に対する特定の細胞の感受性は、インビトロ試験により測定することができる。一般的には、細胞の培養液をさまざまな濃度の本発明による化合物と、活性剤が細胞死を引き起こすかまたは遊走を阻止することを可能にするのに十分な期間、通常は約1時間と1週間の間、混ぜ合わせる。インビトロ試験は、生検試料からの培養細胞株を使用して実施することができる。処理後残っている生存細胞を次に数える。
【0044】
投与量は、使用する特定の化合物、特定の疾患、患者の状態などにより変動する。薬用量は、一般的には、患者の生存率を維持しながら標的組織中の望ましくない細胞の個体群を大幅に減少させるのに十分な量である。その治療は、かなりの、例えば苦痛を与える細胞の少なくとも約50%の減少が起こるまで、一般に継続し、基本的にそれ以上望ましくない細胞が体内に検出されなくなるまで継続することができる。
【0045】
キナーゼ阻害剤を識別するためにさまざまなアッセイ系を利用することができる。シンチレーション近接アッセイ(Sorgら、J.of.Biomolecular Screening,2002,7,11〜19)およびフラッシュプレートアッセイにおいては、γATPを含む基質としてのタンパク質またはペプチドの放射性リン酸化反応を測定する。阻害性化合物の存在下では、探知できる放射性シグナルは減少しているかまたは全くない。さらに、均一時間分解蛍光共鳴エネルギー転移(HTR−FRET)および蛍光偏光(FP)技術が、アッセイ方法として適している(Sillsら、J.of Biomolecular Screening,2002,191〜214)。
【0046】
他の非放射性のELISAアッセイ方法は、特異的リン酸化抗体(ホスホAB)を使用する。そのホスホABはリン酸化した基質のみに結合する。この結合は、第2のペルオキシダーゼ複合抗ヒツジ抗体を使用する化学発光により検知することができる(Rossら、丁度発行されるところ、2002,Biochem.J.、原稿BJ20020786)。
【0047】
細胞増殖の調節解除および細胞死(アポトーシス)と関連する多くの疾患が存在する。重要な状態としては、非限定で以下のものが挙げられる。本発明による化合物は、平滑筋細胞および/または炎症細胞の血管の内膜層中への増殖および/または遊走に関与し、例えば新生内膜閉塞性障害の場合におけるような、その血管を通る限定された血流を引き起こす多数の異なる状態の治療に適している。重要な閉塞性移植血管疾患としては、アテローム性動脈硬化、移植後の冠状動脈血管性疾患、静脈移植狭窄、吻合部周囲人工器官再狭窄、血管形成またはステント留置後の再狭窄、および同種のものが挙げられる。
【0048】
本発明による化合物はまたp38キナーゼ阻害剤としても適する。
p38キナーゼを阻害するその他のヘテロアリール尿素が、WO02/85859に記載されている。
【0049】
従来技術
WO02/44156は、TIE−2および/またはVEGFR2阻害剤以外のベンズイミダゾール誘導体について記載している。WO99/32436はRafキナーゼ阻害剤として置換フェニル尿素を開示している。WO02/062763およびWO02/085857は、Rafキナーゼ阻害剤としてキノリル−、イソキノリル−およびピリジル尿素誘導体を開示している。p38キナーゼ阻害剤としてヘテロアリール尿素がWO02/85859に記載されている。ω−カルボキシアリールジフェニル尿素が、Rafキナーゼ阻害剤としてWO00/42012に、p38キナーゼ阻害剤としてWO00/41698に記載されている。その他のアリール−およびヘテロアリール−置換複素環式尿素が、Rafキナーゼ阻害剤としてWO99/32455に、p38キナーゼ阻害剤としてWO99/32110に開示されている。その他のジフェニル尿素誘導体がWO99/32463から知られている。p38キナーゼ阻害剤としての置換複素環式尿素誘導体がWO99/32111に開示されている。
【0050】
発明の概要
本発明は、式Iの化合物
【0051】
【化1】

【0052】
[式中、
1、R1’は、それぞれ互いに独立して、Hal、A、OH、OA、SA、SO2H、SO2A、SO3H、SO3A、CN、NO2、NH2、NHA、NAA’、NHCOA、CHO、C(=O)A、COOH、COOA、CONH2、CONHAまたはCONAA’を表し、
Lは、CH2、CH2CH2、O、S、SO、SO2、NH、NA、C=OまたはCHOHを意味し、
2は、独立に、R1およびR1’に対して示した意味から選択され、好ましくは、独立に、Hal、A、OH、OA、CN、COOH、COOA、CONH2、CONHAまたはCONAA’から選択され、
E、G、M、QおよびUは、それぞれ互いに独立して、C原子またはN原子を表し、
A、A’は、互いに独立して、1〜10個のC原子を有する非置換または置換アルキル、3〜10個のC原子を有する非置換または置換シクロアルキル、2〜12個のC原子を有する非置換または置換アルコキシアルキル、6〜14個のC原子を有する非置換または置換アリール、7〜15個のC原子を有する非置換または置換アリールアルキル、2〜7個のC原子ならびにN、OおよびSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有する非置換または置換、飽和、不飽和または芳香族複素環、あるいは3〜10個のC原子およびN、OおよびSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有する非置換または置換、飽和、不飽和または芳香族複素環アルキルから選択され、
Halは、F、Cl、BrまたはI、
m、p、qは、それぞれ互いに独立して、0、1、2、3または4、
nは、1、2または3、を意味する]、
ならびにすべての比率のそれらの混合物を含めた医薬品として使用可能なそれらの誘導体、溶媒和物および立体異性体に関する。
【0053】
本発明はまた、これらの化合物の光学活性形態(立体異性体)、光学異性体、ラセミ化合物、ジアステレオマーおよび水和物、溶媒和物にも関する。化合物の溶媒和物という語は、不活性溶媒分子のその化合物へのそれらの相互の引力によって形づくる付加を意味するものと理解される。溶媒和物は、例えば一水和物、二水和物またはアルコキシドである。
【0054】
医薬品として使用可能な誘導体という語は、例えば、本発明による化合物の塩およびまたいわゆるプロドラッグ化合物を意味するものと理解される。
【0055】
プロドラッグ誘導体の語は、例えば、アルキルまたはアシル基、砂糖またはオリゴペプチドを用いて変性し、生物体中で急速に開裂して本発明による有効な化合物を形成する式Iの化合物を意味するものと理解される。
【0056】
これらにはまた、例えばInt.J.Pharm.115,61〜67(1995)に記載されているように、本発明による化合物の生分解性ポリマー誘導体も含まれる。
【0057】
「有効量」という表現は、組織、系、動物またはヒトにおいて、例えば研究者または医師により探究または所望される生物学的または医学的反応を引き起こす薬剤量または医薬活性成分の量を意味する。
【0058】
加えて、「治療有効量」という表現は、この量を受けなかった対象と比較して、以下の結果:疾患、症候群、状態、愁訴、障害または副作用の改善された治療、治癒、予防または除去、または同様に疾患、状態または障害の減少をもたらす量を意味する。
【0059】
「治療有効量」という表現はまた、通常の生理的機能を増すために有効である量も包含する。
【0060】
本発明はまた、本発明による式Iの化合物の混合物、例えば2つのジアステレオマーの、例えば1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:100または1:1000の混合物に関する。これらは特に立体異性を示す化合物の混合物であることが好ましい。
【0061】
例えばR1等の1回より多く現れるすべての基はそれらの意味が互いに独立している。
【0062】
上文および下文で、基およびパラメータR1、L、R1’、R2、m、pおよびqは、特に他に記述がない限り式Iに対して示した意味を好ましくは有する。
【0063】
上文および下文で、基A’は、好ましくは、互いに独立して、特に他に記述がない限り、基Aに対して示した意味から選択される。
【0064】
Aの定義において、アルキルは、好ましくは枝分かれしていない(線状)か、または枝分かれしており、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のC原子を有しており、置換されていてもよい。Aの定義において、置換アルキルはこの項で説明するアルキル基であって、それは好ましくはHal特にClおよびF、OH、Oアルキル、NH2およびN(アルキル)2(式中、アルキルは上記のものであり、好ましくは上記の非置換のアルキルである)から好ましくは選択される、1〜7個、好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個の置換基を有している。Aの定義において、置換アルキルは、特に好ましくは、1〜7個のH原子がFおよび/または塩素により置換されている上記のアルキル基、例えば過塩素化または過フッ素化アルキル基を意味する。このタイプのフッ素置換および/または塩素置換アルキル基は、1、2、3、4または5個のC原子を好ましくは有している。好ましいフッ素置換および/または塩素置換アルキル基は、過フッ素化アルキル基、特にトリフルオロメチル基である。非置換または置換アルキルとは、特に好ましくは、メチル、さらにエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、さらにまたペンチル、1−、2−または3−メチルブチル、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−、2−、3−または4−メチルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−または3,3−ジメチルブチル、1−または2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピル、さらに特に好ましくはトリフルオロメチルを意味する。アルキルは、まさに特に好ましくは、上記のように塩素化および/またはフッ素化されていてもよい1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキル基を意味し、特に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルおよび1,1,1−トリフルオロエチルから選択される。
【0065】
Aの定義において、非置換シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルから好ましくは選択される。Aの定義において、置換シクロアルキルは、上記のシクロアルキル基であって好ましくはHal特にClおよびF、OH、Oアルキル、NH2およびN(アルキル)2(式中、アルキルは上記のものであり、好ましくは上記の非置換のアルキルである)から好ましくは選択される1〜7個、好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個の置換基を有している。
【0066】
Aの定義において、非置換アルコキシアルキルは、式Cu2u+1−O−(CH2)vであって、式中uおよびvがそれぞれ互いに独立して1から6を意味する基である。基Cu2u+1は、上記の枝分かれしていないか枝分かれしたアルキル基を表す。特に好ましくは、uは1または2であり、vは1、2、3または4である。Aの定義において、置換アルコキシアルキルは、上記のアルコキシアルキル基であって好ましくはHal特にClおよびF、OH、Oアルキル、NH2およびN(アルキル)2(式中、アルキルは上記のものであり好ましくは上記の非置換のアルキルである)から好ましくは選択される1〜7個、好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個の置換基を有している。
【0067】
本発明の目的に対して、アルキレンは、1〜10個のC原子、好ましくは1〜4個のC原子を有しており、好ましくはHal特にClおよびF、OH、Oアルキル、NH2およびN(アルキル)2(式中、アルキルは上記のものであり、好ましくは上記の非置換のアルキルである)から好ましくは選択される1〜7個、好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個の置換基を場合によって有していてもよい、好ましくは枝分かれしていないか枝分かれした二価の炭化水素基である。非置換アルキレンとは、好ましくはメチレン、エチレン、n−プロピレン、イソプロピレンまたはn−ブチレン、特にメチレンまたはエチレンを表す。
【0068】
Aの定義において、非置換アリールは、好ましくはベンゼン環、例えばフェニル基、またはベンゼン環の系、例えばアントラセン、フェナントレンまたはナフタレン環系または基である。Aの定義において、置換アリールは、好ましくはHal特にClおよびF、OH、Oアルキル、NH2およびN(アルキル)2(式中、アルキルは上記のものであり、好ましくは上記の非置換のアルキルである)から好ましくは選択される、1〜7個、好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個の置換基を有している上記のアリール基である。
【0069】
Aの定義において、非置換アリールアルキルは、上で定義したアルキレン基に結合した上で定義したアリール基である。好ましい非置換アリールアルキル基の例は、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピルおよびフェニルブチル、特にベンジルおよびフェネチルである。Aの定義において、置換アリールアルキルは、好ましくはHal特にClおよびF、OH、Oアルキル、NH2およびN(アルキル)2(式中、アルキルは上記のものであり、好ましくは上記の非置換のアルキルである)から好ましくは選択される、1〜7個、好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個の置換基を有している上記のアリールアルキル基である。
【0070】
Aの定義において、非置換飽和、不飽和または芳香族複素環は、2〜7個のC原子およびN、OおよびSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有する複素環基である。好ましい非置換飽和複素環の例は、1−ピペリジル、1−ピペラジル、4−モルホリニル、1−ピロリジニル、1−ピラゾリジニル、1−イミダゾリジニル、テトラヒドロフラン−2−イルおよびテトラヒドロフラン−3−イルである。非置換、不飽和または芳香族複素環の例は、チオフェン−2−イルおよびチオフェン−3−イル、フラン−2−イルおよびフラン−3−イル、ピロール−2−イルおよびピロール−3−イル、2−、3−および4−ピリジル、2−、4−および5−オキサゾリル、2−、4−および5−チアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、2−および4−ピリダジル、2−、4−および5−ピリミジル、ならびに2−および3−ピラジニルである。Aの定義において、置換飽和、不飽和または芳香族複素環は、好ましくはHal特にClおよびF、OH、Oアルキル、NH2およびN(アルキル)2(式中、アルキルは上記のものであり、好ましくは上記の非置換のアルキルである)から好ましくは選択される、1〜7個、好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個の置換基を有している上記の複素環基である。置換、飽和、不飽和または芳香族複素環、特に置換飽和複素間の例は、1−(4−メチル)ピペラジル、4−メチルピペラジン−1−イルアミン、1−(2−メチル)ピラゾリジニルおよび1−(3−メチル)イミダゾリジニルである。
【0071】
Aの定義において、非置換複素環アルキルは、上で定義したアルキレン基に結合した、上で定義した複素環基である。Aの定義において、置換複素環アルキルは、好ましくはHal特にClおよびF、OH、Oアルキル、NH2およびN(アルキル)2(式中、アルキルは上記のものであり、好ましくは上記の非置換のアルキルである)から好ましくは選択される、1〜7個、好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個の置換基を有している上記の複素環アルキル基である。
【0072】
Aの定義におけるこれまでの段落で示した解説および意味は、A’の定義においてもまた好ましくは相応して当てはまる。
【0073】
1は、好ましくはAから選択され、Aは上で定義したものであり、ここでは、好ましくは、非置換および/または置換アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、および/または1,1,1−トリフルオロエチル、COOH、COOA(式中、Aは上で定義したものであり、好ましくは非置換または置換、特に好ましくは非置換のアルキル、特にメチルまたはエチルを表す)、SO2A(式中、Aは上で定義したものであり、好ましくは非置換または置換、特に好ましくは非置換のアルキル、特にトリフルオロメチル、メチルまたはエチルを表す)、CN、NO2、Hal特にF、Clおよび/またはBr、およびC(=O)A(式中、Aは上で定義したものであり、好ましくは非置換または置換アルキル、非置換または置換、好ましくは非置換の飽和、不飽和または芳香族、好ましくは不飽和または芳香族の複素環、特にチオフェン−2−イルもしくはチオフェン−3−イルを表す)を表す。
【0074】
1は、特に好ましくは、F、Cl、Br、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、1,1,1−トリフルオロエチル、CN、NO2、COOH、COOCH3、COOCH2CH3、SO2CH3、SO2CF3およびC(=O)A(式中、Aはチオフェン−2−イルを表す)から選択される。
【0075】
1は、特に好ましくは、メチル、トリフルオロメチル、F、Cl、Br、CN、NO2、COOH、COOCH3、SO2CH3およびC(=O)A(式中、Aはチオフェン−2−イルを表す)から選択される。
【0076】
好ましい実施形態において、R1は、メチル、トリフルオロメチル、F、ClおよびBrから選択される。
【0077】
さらに好ましい実施形態において、R1は、CN、NO2、COOH、COOCH3、SO2CH3およびC(=O)A(式中、Aはチオフェン−2−イルを表す)から選択される。
【0078】
1’は、好ましくはAから選択され、Aは上で定義したものであって、ここでは、好ましくは、非置換および/または置換アルキルを表し、特に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、および/または1,1,1−トリフルオロエチル、COOH、COOA(式中、Aは上で定義したものであり、好ましくは非置換または置換、特に好ましくは非置換のアルキルを表し、特にメチルまたはエチル、CN、NO2、Hal特にF、Clおよび/またはBrを表す)を表す。
【0079】
1’は、特に好ましくは、非置換または置換アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、1,1,1−トリフルオロエチル、およびハロゲン、特にF、Clおよび/またはBrから選択される。R1’は、まさに特に好ましくは、メチル、エチル、プロピル、フッ素および臭素から選択される。
【0080】
Lは、好ましくはO、SまたはCH2、特に好ましくはOを意味する。
【0081】
2は、好ましくはAから選択され、Aは上で定義したものであって、ここでは、好ましくは、非置換および/または置換アルキルを表し、特に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、および/または1,1,1−トリフルオロエチル、Hal、特にF、Clおよび/またはBr、CN、NO2、COOH、CONH2、NH2、およびNHA、NAA’、COOA、CONHAおよびCONAA’(式中、AおよびA’は上で定義したものであって、好ましくは非置換または置換、特に好ましくは非置換アルキルを表し、特にメチルプロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルまたはエチルを表す)を表す。
【0082】
2は、特に好ましくは、F、Cl、Br、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、1,1,1−トリフルオロエチル、CN、NO2、NH2、NHCH3、N(CH3)2、COOH、COOCH3、COOCH2CH3、CONH2、CONHCH3、CONHCH2CH3、CON(CH3)2、SO2CH3、およびSO2CF3から選択される。
【0083】
2は、まさに特に好ましくは、メチル、エチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、NH2、CONH2、CONHCH3、CONHCH2CH3およびCON(CH3)2から選択される。
【0084】
E、G、M、QおよびUは、それぞれ互いに独立して、C原子またはN原子を表し、それらの少なくとも1つ、E、G、M、QまたはUが、好ましくはNを表す。E、G、M、QおよびUの1つ、2つまたは3つ、特に好ましくは1つまたは2つは、好ましくはN原子を表す。E、G、M、QおよびUから選択された1つがN原子を表す場合、M、GまたはQが、好ましくはN原子を表す。E、G、M、QおよびUから選択された2つがN原子を表す場合、EおよびMまたはUおよびQが、好ましくはN原子を表す。
【0085】
置換基R2は好ましくは炭素原子に結合する。E、G、M、QまたはUの1つまたは複数がC原子を表す場合、各C原子は、好ましくはCHまたはCR2(式中、R2は独立に各CR2について選択される)から選択される。
【0086】
Lに結合したE、G、M、QおよびUを含有する芳香族または好ましくは複素環式芳香族基は、好ましくは、フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル特に1,2,4−トリアジニルおよび1,3,5−トリアジニルから、特に好ましくは、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニルおよびピラジニルから、特にピリジルおよびピリミジルから選択され、それは、場合により、好ましくは上記の芳香族または複素環式芳香族基のC原子に結合している互いに独立に選択された1、2または3個、好ましくは0、1または2個の置換基R2を有している。
【0087】
mまたはpまたはqは、好ましくは0ではない。特に好ましくは、mが0ではなく、さらにpまたはqが0ではない。特に好ましくは、mが0ではなく、さらにpまたはqが0ではない。
mは、好ましくは1、2または3、特に好ましくは2または3を意味する。
pは、好ましくは0または1、特に好ましくは0を意味する。
qは、好ましくは0、1または2、特に好ましくは0または1、あるいは同様に好ましくは1または2を意味する。
【0088】
優先性がさらに与えられるのは、
2が、A、COOA、CONAまたはCONH2を意味し、
qが、0、1または2を意味する
上文/下文で記載される化合物ならびにすべての比率のそれらの混合物を含めた医薬品として使用可能なそれらの誘導体、溶媒和物および立体異性体である。
【0089】
式Iの化合物において、基
【0090】
【化2】

【0091】
は、好ましくは
【0092】
【化3】

【0093】
(式中、L、R2およびqは、上文/下文で示されている意味を有する)から選択される。qは、ここでは好ましくは0および1から選択され、または同様に好ましくは1および2から選択される。
【0094】
式Iの化合物において、基
【0095】
【化4】

【0096】
は、特に好ましくは
【0097】
【化5】

【0098】
(式中、Lは、上文/下文で示されている意味を有する)から選択され、特に、
【0099】
【化6】

【0100】
(式中、Lは、上文/下文で示されている意味を有する)から選択される。
【0101】
式Iの化合物において、基
【0102】
【化7】

【0103】
は、好ましくは縮合しておらず、すなわち6員の芳香族、E、G、M、QおよびUを含有する環が、好ましくは縮合しているのではなく、代わりに、1つまたは複数の基R2は、縮合したまたは縮合性の基を好ましくは意味しないので、単環式芳香族、特に単環式複素環式芳香族環を好ましくは表す。
【0104】
式Iの特に好ましい化合物は、式Ia
【0105】
【化8】

【0106】
であって、式中、RaおよびRbが、互いに独立して、R1に対して示した意味から、特に好ましくは、R1に対して好ましいもの、特に好ましいものまたは著しく好ましいものとして示した意味から選択される。式1aの化合物において、2つの基RaまたはRbの1つがH以外であること、または基RaおよびRbの両方がH以外であることが特に好ましい。特に好ましいのは、Ra=ClおよびRb=CF3;Ra=HおよびRb=CF3;Ra=HおよびRb=CH3;Ra=CH3およびRb=CH3;Ra=ClおよびRb=Cl;Ra=ClおよびRb=H;Ra=ClおよびRb=CH3;Ra=HおよびRb=NO2;Ra=HおよびRb=CN;Ra=HおよびRb=COOH;Ra=HおよびRb=COOCH3;Ra=HおよびRb=チオフェン−2−イルカルボニル;および/またはRa=HおよびRb=NH2である式Iaの化合物である。
【0107】
式Iの特に好ましい化合物は、式Ib
【0108】
【化9】

【0109】
であって、式中、RcおよびRdが、互いに独立して、R1に対して示した意味から、特に好ましくは、R1に対して好ましいもの、特に好ましいものまたは著しく好ましいものとして示した意味から選択される。式1bの化合物において、2つの基RcまたはRdの1つがH以外であること、または基RcおよびRdの両方がH以外であることが特に好ましい。特に好ましいのは、Rc=CH3およびRd=Cl;Rc=CH3およびRd=H;および/またはRc=CH3およびRd=CH3である式Ibの化合物である。
【0110】
式Iの特に好ましい化合物は、式Ic
【0111】
【化10】

【0112】
であって、式中、ReおよびRfが、互いに独立して、HおよびR1に対して示した意味から、特に好ましくは、HおよびR1に対して好ましいもの、特に好ましいものまたは著しく好ましいものとして示した意味から選択される。式1cの化合物において、2つの基ReまたはRfの1つがH以外であること、または基ReおよびRfの両方がH以外であることが特に好ましい。特に好ましいのは、Re=BrおよびRf=CF3;Re=ClおよびRf=CF3;Re=CF3およびRf=CF3;Re=FおよびRf=CF3;Re=SO2CH3およびRf=Cl;Re=SO2CH3およびRf=COOCH3;Re=CH3およびRf=Cl;Re=ClおよびRf=H;Re=ClおよびRf=CH3;Re=HおよびRf=NO2;Re=HおよびRf=CN;Re=HおよびRf=COOH;Re=HおよびRf=COOCH3;Re=HおよびRf=チオフェン−2−イルカルボニル;またはRe=HおよびRf=NH2である式Icの化合物である。まさに特に好ましいのは、Re=BrおよびRf=CF3;Re=ClおよびRf=CF3;Re=CF3およびRf=CF3;Re=FおよびRf=CF3;Re=SO2CH3およびRf=Cl;Re=ClおよびRf=H;Re=ClおよびRf=CH3;Re=HおよびRf=NO2;Re=HおよびRf=CN;Re=HおよびRf=COOH;Re=HおよびRf=COOCH3;Re=HおよびRf=チオフェン−2−イルカルボニル;またはRe=HおよびRf=NH2である式Icの化合物である。まさに特に好ましいのは、同様に、Re=SO2CH3およびRf=COOCH3および/またはRe=CH3およびRf=Clである式Icの化合物である。
【0113】
式Ia、Ibおよび/またはIcの化合物において、R1’、p、L、E、G、M、Q、U、R2およびqは、上文/下文で示す意味を有する。
【0114】
式Iの化合物への言及は、他に指示の無い限り、すべての関連する従属式および/または部分式、特に従属式Ia、Ibおよび/またはIcならびに好ましくは部分式I.1)からI.12)への言及を含む。
【0115】
式Iの化合物は1つまたは複数のキラリティーの中心を持つことができ、それ故、さまざまな立体異性形態で存在することができる。式Iはすべてのこれらの形態を包含する。
【0116】
したがって、本発明は、特に、少なくとも1つの前記基が、上で示した好ましい意味の1つを有する式Iの化合物に関する。化合物のいくつかの好ましい群は、以下の部分式I.1)からI.12)により表すことができ、それは式Iに適合し、式中これまでより詳細に示されていない基は、式Iに対して示した意味を有しており、ただしその中で、
I.1)において、R1は、互いに独立して、AまたはHal、好ましくはアルキルまたはHalを意味し、
mは、1、2または3を意味し;
I.2)において、R1は、互いに独立して、CH3、CF3、FまたはBrを意味し、
mは、1、2または3を意味し;
I.3)において、R1は、互いに独立して、CN、COOH、COOA、SO2A、SO3A、C(=O)A、NH2、NHAまたはNO2を意味し、
mは、1、2または3、好ましくは1または2を意味し;
I.4)において、R1は、互いに独立して、CN、COOH、COOアルキル、SO2アルキル、SO3アルキル、NH2、NHアルキル、C(=O)アルキル、C(=O)複素環またはNO2を意味し、
mは、1、2または3、好ましくは1または2を意味し;
I.5)において、R1は、互いに独立して、Hal、アルキル、CN、COOH、COOアルキル、SO2アルキル、SO3アルキル、NH2、NHアルキル、C(=O)アルキル、C(=O)複素環またはNO2を意味し、
mは、1、2または3、好ましくは1または2を意味し、
1’は、HalまたはA、好ましくはHalまたはアルキルを意味し、
pは、0または1を意味し;。
【0117】
I.6)において、R1は、互いに独立して、Hal、アルキル、CN、COOH、COOアルキル、SO2アルキル、SO3アルキル、NH2、NHアルキル、C(=O)アルキル、C(=O)複素環またはNO2を意味し、
mは、1、2または3、好ましくは1または2を意味し、
1’は、HalまたはA、好ましくはHalまたはアルキルを意味し、
pは、0または1を意味し、
Lは、O、SまたはCH2、好ましくはOまたはCH2を意味し;
I.7)において、R1は、互いに独立して、Hal、アルキル、CN、COOH、COOアルキル、SO2アルキル、SO3アルキル、NH2、NHアルキル、C(=O)アルキル、C(=O)複素環またはNO2を意味し、
mは、1、2または3、好ましくは1または2を意味し、
1’は、HalまたはA、好ましくはHalまたはアルキルを意味し、
pは、0または1を意味し、
Lは、O、SまたはCH2、好ましくはOまたはCH2を意味し;。
【0118】
I.8)において、R1は、互いに独立して、Hal、アルキル、CN、COOH、COOアルキル、SO2アルキル、SO3アルキル、NH2、NHアルキル、C(=O)アルキル、C(=O)複素環またはNO2を意味し、
mは、1、2または3、好ましくは1または2を意味し、
1’は、HalまたはA、好ましくはHalまたはアルキルを意味し、
pは、0または1を意味し、
Lは、O、SまたはCH2、好ましくはOまたはCH2を意味し、
2は、A、COOA、CONHAまたはCONH2、好ましくはCOOアルキル、CONHアルキルまたはCONH2を意味し、
qは、0、1または2を意味し;
I.9)において、R1は、互いに独立して、Hal、アルキル、CN、COOH、COOアルキル、SO2アルキル、SO3アルキル、NH2、NHアルキル、C(=O)アルキル、C(=O)複素環またはNO2を意味し、
mは、1、2または3、好ましくは1または2を意味し、
1’は、HalまたはA、好ましくはHalまたはアルキルを意味し、
pは、0または1を意味し、
Lは、O、SまたはCH2、好ましくはOまたはCH2を意味し、
2は、A、COOA、CONHAまたはCONH2、好ましくはCOOアルキル、CONHアルキルまたはCONH2を意味し、
qは、0、1または2を意味し、基
【0119】
【化11】

【0120】
は、
【0121】
【化12】

【0122】
(式中、L、R2およびqは上で示した意味を有する)から選択され;
I.10)において、R1’は、HalまたはA、好ましくはHalまたはアルキルを意味し、
pは、0または1を意味し、
Lは、O、SまたはCH2、好ましくはOまたはCH2を意味し、
2は、A、COOA、CONHAまたはCONH2、好ましくはCOOアルキル、CONHアルキルまたはCONH2を意味し、
qは、0、1または2を意味し、基
【0123】
【化13】

【0124】
は、I.9)で示した意味を有しており;
I.11)において、Lは、O、SまたはCH2、好ましくはOまたはCH2を意味し、
2は、A、COOA、CONHAまたはCONH2、好ましくはCOOアルキル、CONHアルキルまたはCONH2を意味し、
qは、0、1または2を意味し、基
【0125】
【化14】

【0126】
は、I.9)で示した意味を有しており;
I.12)において、R2は、A、COOA、CONHAまたはCONH2、好ましくはCOOアルキル、CONHアルキルまたはCONH2を意味し、
qは、0、1または2を意味し、基
【0127】
【化15】

【0128】
は、I.9)で示した意味を有しており;
すべての比率のそれらの混合物を含めた医薬品として使用可能なそれらの誘導体、溶媒和物および立体異性体である。
【0129】
特に好ましいのは化合物(1)〜(41)から選択される本発明による化合物である。
【0130】
【化16】

【0131】
(1)(5−クロロ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)−フェニル]アミン
【0132】
【化17】

【0133】
(2)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル](6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)−アミン
【0134】
【化18】

【0135】
(3)(6−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン
【0136】
【化19】

【0137】
(4)(5−クロロ−4−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]−アミン
【0138】
【化20】

【0139】
(5)(4−ブロモ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)−フェニル]アミン
【0140】
【化21】

【0141】
(6)(4−ブロモ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]アミン
【0142】
【化22】

【0143】
(7)(5,6−ジメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン
【0144】
【化23】

【0145】
(8)(5−クロロ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]アミン
【0146】
【化24】

【0147】
(9)(5,6−ジクロロ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン
【0148】
【化25】

【0149】
(10)(5,6−ジクロロ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン
【0150】
【化26】

【0151】
(11)(5−クロロ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン
【0152】
【化27】

【0153】
(12)(5−クロロ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン
【0154】
【化28】

【0155】
(13)(4−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン
【0156】
【化29】

【0157】
(14)(4−クロロ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)−フェニル]アミン
【0158】
【化30】

【0159】
(15)(4−クロロ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]アミン
【0160】
【化31】

【0161】
(16)(4,5−ジメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン
【0162】
【化32】

【0163】
(17)(5−クロロ−6−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]−アミン
【0164】
【化33】

【0165】
(18)(5−クロロ−6−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]−アミン
【0166】
【化34】

【0167】
(19)(4,6−ビストリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)−フェニル]アミン
【0168】
【化35】

【0169】
(20)(4,6−ビストリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]アミン
【0170】
【化36】

【0171】
(21)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル](6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)−アミン
【0172】
【化37】

【0173】
(22)(6−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン
【0174】
【化38】

【0175】
(23)(4,5−ジメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン
【0176】
【化39】

【0177】
(24)(5−クロロ−4−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]−アミン
【0178】
【化40】

【0179】
(25)(4−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン
【0180】
【化41】

【0181】
(26)(5,6−ジメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン
【0182】
【化42】

【0183】
(27)(4−ブロモ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(2,6−ジメチルピリミジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン
【0184】
【化43】

【0185】
(28)N−メチル−4−[4−(ブロモトリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イルアミノ)−フェノキシ]ピリジン−2−カルボキサミド
【0186】
【化44】

【0187】
(29)2−[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニルアミノ]−3H−ベンズイミダゾール−5−カルボニトリル
【0188】
【化45】

【0189】
(30)[4−(2−アミノ−6−メチルピリミジン−4−イルオキシ)フェニル](4−ブロモ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)アミン
【0190】
【化46】

【0191】
(31)(4−クロロ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(2,6−ジメチルピリミジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン
【0192】
【化47】

【0193】
(32)[4−(2−アミノ−6−メチルピリミジン−4−イルオキシ)フェニル](4−クロロ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)アミン
【0194】
【化48】

【0195】
(33)(6−ニトロ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン
【0196】
【化49】

【0197】
(34)メチル2−[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニルアミノ]−3H−ベンズイミダゾール−5−カルボキシレート
【0198】
【化50】

【0199】
(35)2−[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニルアミノ]−3H−ベンズイミダゾール−5−カルボン酸
【0200】
【化51】

【0201】
(36)メチル7−メタンスルホニル−2−[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニルアミノ]−3H−ベンズイミダゾール−5−カルボキシレート
【0202】
【化52】

【0203】
(37)(4−フルオロ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)−フェニル]アミン
【0204】
【化53】

【0205】
(38)[4−(2,6−ジメチルピリミジン−4−イルオキシ)フェニル](4−フルオロ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)アミン
【0206】
【化54】

【0207】
(39)[4−(2−アミノ−6−メチルピリミジン−4−イルオキシ)フェニル](4−フルオロ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)アミン
【0208】
【化55】

【0209】
(40)N−メチル−4−{4−[6−(1−チオフェン−2−イルメタノイル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イルアミノ]フェノキシ}ピリジン−2−カルボキサミド
【0210】
【化56】

【0211】
(41)N2−[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]−3H−ベンズイミダゾール−2,5−ジアミン
本発明は、式Iの化合物およびそれらの塩、ならびに上文/下文に記載の式Iの化合物および医薬品として使用可能なそれらの誘導体、溶媒和物および立体異性体の調製方法であって、
式IIの化合物
【0212】
【化57】

【0213】
(式中、R1およびmは、上文/下文に示した意味を有する)を、式IIIの化合物
【0214】
【化58】

【0215】
(式中、R1’、L、E、G、M、Q、U、R2およびqは、上文/下文に示した意味を有する)と反応させ、
必要に応じて、得られた式Iの化合物を単離し、かつ/または式Iの塩基または酸をその塩の1つに変換することを特徴とする方法に関する。
【0216】
本発明による化合物、および同様に、それらを調製するための出発材料は、別に、文献(例えば、Houben-WeylのMethoden der organischen Chemie[有機化学の方法]、Georg-Thieme-Verlag,Stuttgart等の標準的な著作物)に記載されているそれ自体知られている方法により、正確には既知であって前記反応に適した条件下で調製する。それ自体知られている別形を使用することもできるがここでさらに詳しく記述することはしない。
【0217】
必要に応じて、出発材料はまた、それらが反応混合物から分離せず、それよりむしろ直ちに本発明による化合物にさらに変換するように、原位置(in situ)で形成させることもできる。
【0218】
式Iの化合物は、好ましくは、式IIの化合物を式IIIの化合物と反応させることによって得る。
【0219】
その反応は、不活性溶媒中、例えばN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド等のカップリング剤の存在下で一般に行われる。使用する条件によって、反応時間は、数分と14日の間であり、反応温度は、約0℃と200℃の間、通常は20℃と150℃の間、特に20℃と130℃の間である。
【0220】
適当な不活性溶媒の例は、ヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンまたはキシレン等の炭化水素類;トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロメタン、クロロホルムまたはジクロロメタン等の塩素化炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールまたはtert−ブタノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)またはジオキサン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルまたはモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)等のグリコールエーテル類;アセトンまたはブタノン等のケトン類;アセトアミド、ジメチルアセトアミドまたはジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド類;アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類;二硫化炭素;ギ酸または酢酸等のカルボン酸類;ニトロメタンまたはニトロベンゼン等のニトロ化合物類;酢酸エチル等のエステル類、あるいは前記溶媒類の混合物である。
【0221】
出発化合物は一般に既知である。それらが新規である場合は、それ自体既知の方法により調製することができる。式IIIのチオイソシアナートは、好ましくは、例えば1,1’−チオカルボニルジイミダゾールとの反応による、対応するアニリン誘導体由来の[脱文(lacuna)]である。
【0222】
本発明による化合物の塩基は、酸を使用した関連する酸付加塩に、例えば等量の塩基と酸をエタノール等の不活性溶媒中で反応させ、続いて蒸発させることにより、変換することができる。この反応のための適当な酸は、特に生理的に許容される塩を生じさせるものである。したがって、無機酸、例えば、硫酸、硝酸、塩化水素酸または臭化水素酸等のハロゲン化水素酸類、オルトリン酸等のリン酸類、スルファミン酸、さらに有機酸、特に、脂肪族、脂環族、芳香脂肪族、芳香族または複素環式一塩基性または多塩基性カルボン酸、スルホン酸または硫酸、例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、ピバリン酸、ジエチル酢酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、メタンまたはエタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンモノおよびジスルホン酸、ラウリル硫酸を使用することが可能である。生理的非許容性の酸との塩、例えばピクリン酸塩は、本発明による化合物の単離および/または精製のために使用することができる。
【0223】
本発明は、さらに、該化合物および/または生理的に許容されるそれらの塩の、特に非化学的方法による薬剤(医薬品組成物)を調製するための使用に関する。それらは、ここで少なくとも1つの固体、液体および/または半液体の賦形剤または補助剤と共に、必要に応じて1つまたは複数のさらなる有効成分と組み合わせて、適当な剤形に変換することができる。
【0224】
本発明は、さらに、本発明による少なくとも1つの化合物および/またはすべての比率のそれらの混合物を含めた医薬品として使用可能なそれらの誘導体、溶媒和物および立体異性体、ならびに場合により賦形剤および/または補助剤を含む薬剤に関する。
【0225】
医薬品製剤は、予め定められた1投薬単位当たりの有効成分の量を含む投薬単位の形で投与することができる。上記単位は、処置する状態、投与の方法ならびに患者の年齢、体重および状態により、例えば、本発明による化合物の0.5mgから1g、好ましくは1mgから700mg、特に好ましくは5mgから100mgを含むことができ、または医薬品製剤は、予め定められた1投薬単位当たりの有効成分の量を含む投薬単位の形で投与することができる。好ましい投薬単位の製剤は、有効成分の上で示した1日量または分割投与量、あるいは対応するそれらの画分を含むものである。さらに、この型の医薬品製剤は、医薬品技術において一般に知られている方法を使用して調製することができる。
【0226】
医薬品製剤は、任意の望ましい適切な方法、例えば、経口(頬側または舌下を含む)、直腸、経鼻、局所(頬側、舌下または経皮を含む)、膣または非経口(皮下、筋肉内、静脈内または皮内を含む)の方法による投与に適合させることができる。上記製剤は、例えば、有効成分を賦形剤(1つまたは複数)または補助剤(1つまたは複数)と組み合わせることにより、医薬品技術において知られているすべての方法を使用して調製することができる。
【0227】
経口投与に適合する医薬品製剤は、例えばカプセルまたは錠剤;粉末または顆粒;水性もしくは非水性液体中の溶液または懸濁液;食用気泡または気泡食品;あるいは水中油滴型乳濁液または油中水滴型乳濁液等の独立単位として投与することができる。
【0228】
したがって、例えば、錠剤またはカプセルの形の経口投与の場合、有効成分要素は、例えばエタノール、グリセロール、水および同種のものなど、経口で、毒性がなく、医薬品に許容される不活性の賦形剤と組み合わせることができる。粉末は、化合物を適当な細かい粒度に粉砕し、それを同じように粉砕した医薬品用賦形剤、例えば食用になる炭水化物等、例えばデンプンまたはマンニトール等と混合することにより調製する。香料、防腐剤、分散剤および染料をさらに存在させることができる。
【0229】
カプセルは、粉末混合物を上記のように調製し、成型したゼラチンの殻にそれを充填することにより製造する。例えば、高分散ケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたは固形のポリエチレングリコール等の流動促進剤および滑剤を充填作業の前に粉末混合物に添加することができる。例えば寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウム等の錠剤分解物質または可溶化剤を、カプセルが摂取された後の薬剤の有効性を改良するためにさらに加えることができる。
【0230】
さらに、所望によりまたは必要に応じて、適当な結合剤、滑剤および錠剤分解物質ならびに染料をその混合物中にさらに組み込むことができる。適当な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、天然糖例えばグルコースまたはβ−ラクトース等、トウモロコシからつくった甘味料、天然および合成ゴム例えばアラビアゴム、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム等、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックス類などが挙げられる。これらの剤形に使用される滑剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。錠剤分解物質としては、それらに限定されないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられる。錠剤は、例えば、粉末混合物を調製し、その混合物を粒状にするか乾式プレスにかけ、滑剤および錠剤分解物質を加え、全体の混合物を加圧成型して錠剤を生じさせることにより製剤化する。粉末混合物は、適当な方法で粉砕した化合物を、上記のような希釈剤または基材および場合により結合剤例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチンまたはポリビニルピロリドン等、溶解遅延剤例えばパラフィン等、吸収促進剤例えば第四級塩等、および/または吸収剤例えばベントナイト、カオリンまたは第二リン酸カルシウム等と混合することにより調製する。粉末混合物は、それを結合剤例えばシロップ、デンプン糊、アカディア(acadia)粘液またはセルロースまたはポリマー材料の溶液等、で湿潤させ、それを加圧して篩を通すことにより顆粒状にすることができる。顆粒化の別法として、粉末混合物を打錠器に通し、不均一の形状の塊りを生じさせてそれを破砕して顆粒を形成させることもできる。その顆粒は、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱物油を添加して錠剤の鋳型へのくっつきを防止するように滑らかにすることができる。その滑らかにした混合物を、次に加圧して錠剤を生じさせる。本発明による化合物はまた、自由に流れる不活性賦形剤と混合し、次いで、顆粒化または乾式プレスのステップを行わずに直接加圧して錠剤を生じさせることもできる。セラックシール層、糖またはポリマー材料の層からなる透明または不透明な保護層およびワックスの光沢層が存在してもよい。異なる用量単位の間を区別することができるように、染料をこれらのコーティングに添加することができる。
【0231】
経口液例えば溶液、シロップおよびエリキシル剤等は、所定量が化合物の事前に特定した量を含むように用量単位の形で調製することができる。シロップは適当な香料の水溶液中に化合物を溶解することによって調製することができ、一方、エリキシル剤は毒性のないアルコール媒体を使用して調製する。懸濁剤は毒性のない媒体中に化合物を分散させることによって製剤化することができる。可溶化剤および乳化剤例えばエトキシレート化イソステアリルアルコール類およびポリオキシエチレンソルビトールエーテル類等、防腐剤、香料添加剤例えばペパーミント油等、あるいは天然甘味料もしくはサッカリン、またはその他の人工甘味料などをさらに添加することができる。
【0232】
経口投与のための用量単位の製剤は、所望に応じて、マイクロカプセルに封入することができる。その製剤はまた、例えば、ポリマー、ワックスおよび同種のもの中の粒子材料のコーティングまたは埋め込みによって、放出が延長または遅延するように調製することができる。
【0233】
本発明による化合物ならびにその塩、溶媒和物および生理的に機能する誘導体はまた、例えば小さい単層小胞、大きい単層小胞および多層小胞等のリポソーム送達系の形で投与することができる。リポソームは、例えばコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリン等さまざまなリン脂質から形成することができる。
【0234】
本発明による化合物ならびにその塩、溶媒和物および生理的に機能する誘導体はまた、化合物分子が結合する個々の担体としてモノクローナル抗体を使用して送達することもできる。該化合物はまた、目標の薬剤の担体としての可溶性ポリマーに結合させることもできる。上記ポリマーは、パルミトイル基により置換されている、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノールまたはポリエチレンオキシドポリリシンを包含し得る。該化合物は、さらに、薬剤の制御放出を達成するのに適する生分解性ポリマーの類、例えば、ポリ乳酸、ポリε−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロキシピラン、ポリシアノアクリラート、およびヒドロゲルの橋かけまたは両親媒性ブロック共重合体に結合させることができる。
【0235】
経皮的投与に適合する医薬品製剤は、レシピエントの表皮に伸ばして密接に接触させる独立した硬膏剤として投与することができる。かくして、例えば、有効成分は、Pharmaceutical Research,3(6),318(1986)の中で一般用語で記載されているイオン泳動により硬膏剤から送達することができる。
【0236】
局所投与に適合する医薬品化合物は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、ローション剤、散剤、液剤、ペースト剤、ゲル剤、スプレー剤、エアロゾル剤または油剤として製剤化することができる。
【0237】
眼またはその他の外部組織、例えば、口および皮膚の治療のためには、製剤は、好ましくは局所の軟膏またはクリームとして適用する。軟膏を与える製剤の場合、有効成分はパラフィンまたは水混和性のクリーム基剤のいずれかと共に使用することができる。別法では、有効成分は水中油滴型クリーム基剤または油中水滴型基剤により製剤化して、クリーム剤を生じさせることができる。
【0238】
眼の局所適用に対応する医薬品製剤としては点眼液が挙げられ、その有効成分は適当な担体、特に水性溶媒中に溶解または懸濁させる。
【0239】
口中の局所適用に対応する医薬品製剤としては、トローチ剤、パステル剤およびうがい薬が含まれる。
【0240】
直腸投与に適合する医薬品製剤は、座剤または浣腸剤の形で投与することができる。
【0241】
担体物質が固体である経鼻投与に適合する医薬品製剤は、例えば20〜500ミクロンの範囲の粒径を有する粗い粉末を含み、それは、鼻呼吸をするやり方で、すなわち、鼻の近くに保持した粉末を含有する容器から鼻腔を通して急速に吸入することにより投与される。担体物質が液体の鼻腔用スプレーまたは鼻点滴剤としての投与に適した製剤は、水または油中の有効成分の溶液を含む。
【0242】
吸入による投与に適合する医薬品製剤は、微細な粒子状粉末または霧を含み、それはさまざまな型のエアロゾルの加圧容器、噴霧器または吸入器により発生させることができる。
【0243】
膣投与に適合する医薬品製剤は、膣坐薬、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡沫またはスプレー製剤として投与することができる。
【0244】
非経口的投与に適合する医薬品製剤としては、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤および溶質を含んでおり、それを用いて製剤を治療されるレシピエントの血液と等張にする水性および非水性の無菌の注射液、ならびに懸濁媒体および増粘剤を含むことができる水性および非水性の無菌の懸濁剤が挙げられる。その製剤は、単回投与または複数回投与の容器、例えば密閉したアンプルおよびガラス瓶で投与することができ、使用直前に無菌の担体液(例えば注射のための水)の添加のみが必要であるように凍結乾燥した状態で保存することができる。
【0245】
処方せんにしたがって調製される注射液または懸濁剤は、無菌の粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。
【0246】
上で特に言及した構成要素に加えて、該製剤が、独特のタイプの製剤に対して技術的に通常のその他の作用物質も含むことができることは言うまでも無く、したがって、例えば、経口投与に適する製剤は香料を含むことができる。
【0247】
本発明の化合物の治療有効量は、例えば、その動物の年齢と体重、治療を必要とする正確な状態、およびその重傷度、製剤の性質および投与の方法を含む多数の要因に依存し、最終的には治療をする医師または獣医により決定される。しかしながら、腫瘍性増殖、例えば結腸癌または乳癌の治療のための本発明による化合物の有効量は、一般に、1日にレシピエント(哺乳類)の体重1kg当たりの0.1から100mgの範囲、特に、典型的には、1日に体重1kg当たりの1から10mgの範囲である。したがって、体重70kgの成熟した哺乳類に対する1日当たりの実際量は、通常、70と700mgの間であり、この量は、1日当たりの単回投与量として、または通常は、全体の1日の投与量が同じになるように1日当たりの連続した分割投与量(例えば、2回、3回、4回、5回または6回等)として投与することができる。塩または溶媒和物あるいはそれらの生理的に機能する誘導体の有効量は、本発明による化合物それ自体の有効量の一部分として決定することができる。同様の投与量が上記のその他の状態の治療に対して適しているものと見なすことができる。
【0248】
本発明は、その上、少なくとも1つの本発明による化合物および/またはすべての比率のそれらの混合物を含めた医薬品として使用可能なそれらの誘導体、溶媒和物および立体異性体と、少なくとも1つのさらなる薬剤有効成分を含む薬剤に関する。
【0249】
本発明はまた、
(a)本発明の化合物および/またはすべての比率のそれらの混合物を含めた医薬品として使用可能なそれらの誘導体、溶媒和物および立体異性体の有効量と、
(b)さらなる薬剤有効成分の有効量
の別々のパックからなるセット(キット)に関する。
【0250】
該セットは、箱、個々の瓶、袋またはアンプル等の適当な容器よりなる。そのセットは、例えば、それぞれが有効量の本発明による化合物ならびに/またはすべての比率のそれらの混合物を含めた医薬品として使用可能なそれらの誘導体、溶媒和物および立体異性体と、有効量のさらなる薬剤有効成分を、溶解された形または凍結乾燥された形で含む。
【0251】
使用
本化合物は、チロシンキナーゼにより誘発される疾患の治療における、哺乳類特に人に対する医薬品有効成分として適している。これらの疾患としては、腫瘍細胞の増殖、固形腫瘍の増殖を促進するする病的な新血管形成(または血管新生)、眼の新血管形成(糖尿病性網膜症、加齢黄斑変性症など)および炎症(乾癬、関節リウマチなど)が挙げられる。
【0252】
本発明は、本発明による化合物および/またはそれらの生理的に許容される塩および溶媒和物の、癌の治療および予防のための薬剤を調製するための使用を含む。治療のため選択される癌腫は、脳癌、尿生殖路癌、リンパ系の癌、胃癌、喉頭癌および肺癌の群から始まる。選択される癌の形態のさらなる群は、単球性白血病、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、神経膠芽腫および乳癌である。
【0253】
同様に含まれるのは、本発明による化合物および/またはそれらの生理的に許容される塩および溶媒和物の、血管新生が関与する疾患の治療または予防のための薬剤を調製するための使用である。
【0254】
血管新生が関与する上記疾患は、網膜血管新生、糖尿病性網膜症、加齢黄斑変性症および同種のもの等の眼疾患である。
【0255】
本発明による化合物ならびに/またはそれらの生理的に許容される塩および溶媒和物の、炎症性疾患の治療または予防のための薬剤を調製するための使用も、また、本発明の範囲に含まれる。上記炎症性疾患の例としては、関節リウマチ、乾癬、接触性皮膚炎、遅延型過敏反応などが挙げられる。
【0256】
同様に含まれるのは、本発明による化合物ならびに/またはそれらの生理的に許容される塩および溶媒和物の、哺乳類におけるチロシンキナーゼ誘発性疾患もしくはチロシンキナーゼ誘発性状態の治療または予防のための薬剤を調製するための使用であって、この方法は、本発明による化合物の治療有効量を、上記治療を必要としている病気の哺乳動物に投与する。その治療量は、その特定の疾患によって変化し、必要以上の努力無しで当該技術に熟達した者によって決定され得る。
【0257】
本発明はまた、本発明による化合物ならびに/またはそれらの生理的に許容される塩および溶媒和物の、網膜血管新生の治療または予防のための薬剤を調製するための使用を含む。
【0258】
糖尿病性網膜症および加齢黄斑変性症等の眼疾患の治療または予防のための方法は、同じく本発明の一部である。関節リウマチ、乾癬、接触性皮膚炎および遅延型過敏反応等の炎症性疾患の治療または予防、ならびに骨肉腫、骨関節炎およびクル病の群に由来する骨の病態の治療または予防のための使用は、同じく本発明の範囲に含まれる。
【0259】
「チロシンキナーゼ誘発性疾患または状態」という表現は、1つまたは複数のキナーゼの活動によって決まる病的状態を指す。チロシンキナーゼは、増殖、接着ならびに遊走および分化を含むさまざまな細胞活動のシグナル伝達経路に直接または間接的に参加する。チロシンキナーゼ活性と関連する疾患としては、腫瘍細胞の増殖、固形腫瘍の増殖を促進する病的な新血管形成、眼の新血管形成(糖尿病性網膜症、加齢黄斑変性症など)および炎症(乾癬、関節リウマチなど)が挙げられる。
【0260】
本発明による化合物は、癌の治療のために患者に投与することができる。本化合物は、腫瘍の血管新生を阻害し、それにより腫瘍の増殖に影響を及ぼす(J.Rakら、Cancer Research,55:4575〜4580,1995)。本発明による化合物の血管新生阻害特性はまた、網膜新生血管と関係するある一定の形の失明の治療にも適している。
【0261】
本発明による化合物はまた、癌化骨軟化症としても知られる、骨肉腫、骨関節炎およびクル病(Hasegawaら,Skeletal Radiol.28,pp.41〜45,1999;Gerberら、Nature Medicine,Vol.5,No.6,pp.623〜628,June 1999)等のある骨の病態の治療にも適している。VEGFは、成熟した破骨細胞中に発現するKDR/Flk−1を介して破骨細胞の骨吸収を直接促進するため(FEBS Let.473:161〜164(2000);Endocrinology,141:1667(2000))、本化合物はまた、骨粗鬆症およびパジェット病等の骨吸収と関係する状態の治療および予防にも適する。
【0262】
該化合物はまた、脳卒中等の脳の虚血の発症の後に起こる組織障害を、虚血に続く脳水腫、組織障害および再灌流傷害を減少することによって(Drug News Perspect 11:265〜270(1998);J.Clin.Invest.104:1613〜1620(1999))、減少または予防するために使用することができる。
【0263】
本発明は、したがって、本発明による化合物、ならびにすべての比率のそれらの混合物を含めた医薬品として使用可能なそれらの誘導体、溶媒和物および立体異性体の、キナーゼシグナル伝達の、阻害、制御および/または調節が役割を果たす疾患の治療用の薬剤を調製するための使用に関する。
【0264】
選択は、ここで、チロシンキナーゼおよびRafキナーゼの群から選ばれるキナーゼに与えられる。
【0265】
そのチロシンキナーゼは好ましくはTIE−2である。
【0266】
本発明による化合物によるチロシンキナーゼの阻害により影響される疾患を治療する薬剤を調製するための、請求項1に記載の化合物、ならびにすべての比率のそれらの混合物を含めた医薬品として使用可能なそれらの誘導体、溶媒和物および立体異性体の使用が選択される。
【0267】
本発明による化合物によるTIE−2の阻害により影響される疾患を治療する薬剤を調製するための使用が特に選択される。
【0268】
特別な選択は、疾患が固形腫瘍である疾患の治療のための使用に与えられる。
固形腫瘍は、脳腫瘍、尿生殖路の腫瘍、リンパ系の腫瘍、胃腫瘍、喉頭腫瘍および肺腫瘍の群から好ましくは選択される。
該固形腫瘍は、さらに、好ましくは、単球性白血病、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、神経膠芽腫および乳癌の群から選択される。
【0269】
本発明は、さらに本発明による化合物の、血管新生が関与する疾患の治療のための使用に関する。
該疾患は好ましくは眼疾患である。
本発明は、さらに、網膜血管新生、糖尿病性網膜症、加齢黄斑変性症および/または炎症性疾患の治療のための使用に関する。
【0270】
該炎症性疾患は、好ましくは、関節リウマチ、乾癬、接触性皮膚炎および遅延型過敏反応の群から選択される。
【0271】
本発明は、さらに、本発明による化合物の、骨の病態の治療のためであって、該骨の病態が、骨肉腫、骨関節炎およびクル病の群を起源とするものである使用に関する。
【0272】
本発明による化合物は、Rafキナーゼ(該Rafキナーゼは、A−Raf、B−RafおよびRaf−1からなる群から選択される)により引き起こされ、媒介されかつ/または伝播する疾患を治療する薬剤を調製するために適している。
【0273】
過剰増殖性疾患および非過剰増殖性疾患の群からの疾患を治療するための使用が好ましい。
【0274】
これらは癌性疾患または非癌性疾患である。
その非癌性疾患は、乾癬、関節炎、炎症、子宮内膜症、瘢痕、良性前立腺過形成、免疫疾患、自己免疫疾患および免疫不全疾患からなる群から選択される。
その癌性疾患は、脳腫瘍、肺癌、扁平上皮癌、膀胱癌、胃癌、膵臓癌、肝癌、腎臓癌、結腸直腸癌、乳癌、頭部癌、頚部癌、食道癌、婦人科癌、甲状腺癌、リンパ腫、慢性白血病および急性白血病からなる群から選択される。
【0275】
本発明による化合物はまた、治療中の状態に対してそれらが特に有用であるために選択される他のよく知られた治療薬と同時に投与することもできる。例えば、骨の状態の場合、有利である組み合わせとしては、アレンドロネートおよびリセドロネート等の再吸収抑制性ビスフォスフォネート、αvβ3拮抗薬等のインテグリン遮断薬(以下でさらに明らかにする)、プレムプロ(Prempro)(登録商標)、プレマリン(Premarin)(登録商標)およびEndometrion(登録商標)等のホルモン補充療法で使用される共役エストロゲン;ラロキシフェン、ドロロキシフェン、CP−336,156(Pfizer)およびラソフォキシフェン(lasofoxifene)等の選択的エストロゲン受容体調節物質(SERM)、カテプシンK阻害薬、およびATPプロトンポンプ阻害薬とのものが挙げられる。
【0276】
本化合物はまた、既知の抗癌剤との組み合わせにも適している。これらの既知の抗癌剤としては、以下の:エストロゲン受容体調節物質、アンドロゲン受容体調節物質、レチノイド受容体調節物質、細胞傷害性作用物質、抗増殖性作用物質、プレニル化タンパク質トランスフェラーゼ阻害薬、HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、HIVプロテアーゼ阻害薬、逆転写酵素阻害薬およびその他の血管新生阻害薬が挙げられる。本化合物は、放射線治療と同時に投与するのに特に適している。放射線治療との組み合わせにおけるVEGF阻害の相乗効果が技術的に記載されている(WO00/61186参照)。
【0277】
「エストロゲン受容体調節物質」とは、その機構は無視して、エストロゲンの受容体への結合を干渉するかまたは阻害する化合物を指す。エストロゲン受容体調節物質の例としては、非限定で、タモキシフェン、ラロキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−l−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル)フェニル2,2−ジメチルプロパノアート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニルヒドラゾンおよびSH646が挙げられる。
【0278】
「アンドロゲン受容体調節物質」とは、機構は無視して、アンドロゲンの受容体への結合を干渉するかまたは阻害する化合物を指す。アンドロゲン受容体調節物質の例としては、フィナステリドおよび他の5α−レダクターゼ阻害薬、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾールおよび酢酸アビラテロンが挙げられる。
【0279】
「レチノイド受容体調節物質」とは、機構は無視して、レチノイドの受容体への結合を干渉するかまたは阻害する化合物を指す。上記レチノイド受容体調節物質の例としては、ベキサロテン、トレチノイン、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、トランス−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチナミドおよびN−4−カルボキシフェニルレチナミドが挙げられる。
【0280】
「細胞傷害性作用物質」とは、主として細胞機能に対する直接作用によるかまたは細胞減数分裂を伴う阻害もしくは干渉により細胞死をもたらす化合物を指し、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、インターカレーター、マイクロチューブリン阻害薬およびトポイソメラーゼ阻害薬が含まれる。
【0281】
細胞傷害性作用物質の例としては、非限定で、チラパザミン、セルテネフ、カケクチン、イフォスアミド、タソネルミン、ロニダミン、カルボプラチン、アルトレタミン、プレドニムスチン、ジブロモズルシトール、ラニムスチン、フォテムスチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、テモロゾマイド、ヘプタプラチン(heptaplatin)、エストラムスチン、トシル酸インプロスルファン、トロフォスファミド、ニムスチン、塩化ジブロスピジウム(dibrospidium chloride)、プミテパ、ロバプラチン、サトラプラチン、プロフィロマイシン、シスプラチン、イロフルベン、デキシフォスファミド、シス−アミンジクロロ(2−メチルピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルフォスファミド、GPX100、(トランス,トランス,トランス)ビス−μ−(ヘキサン−1,6−ジアミン)μ−[ジアミン白金(II))ビス[ジアミン(クロロ)白金(II))テトラクロリド、ジアリジジニルスペルミン(diarizidinylspermine)、三酸化ヒ素、1−(11−ドデシルアミノ−l0−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ビサントレン、ミトザントロン、ピラルビシン、ピナフィド(pinafide)、バイルビシン(valrubicin)、アムルビシン、アンチネオプラストン、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アナマイシン、ガラルビシン(galarubicin)、エリナフィド、MEN10755および4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニルダウノルビシンが挙げられる(WO00/50032参照)。
【0282】
マイクロチューブリン阻害薬の例としては、パクリタキセル、硫酸ビンデシン、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン、ドセタキソール、リゾキシン、ドラスタチン、イセチオン酸ミボブリン、オウリスターチン(auristatin)、セマドチン、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン、クリプトフィシン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、無水ビンブラスチン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258およびBMS188797が挙げられる。
【0283】
トポイソメラーゼ阻害薬のいくつかの例は、トポテカン、ヒカプタミン(hycaptamine)、イリノテカン、ルビテカン、6−エトキシプロピオニル−3’,4’−O−エキソベンジリデンシャルトルーシン(chartreusin)、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパンアミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[デ]ピラノ[3’,4’:b,7]インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)ジオン、ルルトテカン(lurtotecan)、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル](20S)−カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、リン酸エトポシド、テニポシド、ソブゾキサン、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシエトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−l−カルボキシアミド、アスラクライン(asulacrine)、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキソヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]フェナントリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソキノリン−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−デ]アクリジン−6−オン、N−[1−[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]フォルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキシアミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オンおよびジメスナである。
【0284】
「抗増殖性作用物質」としては、アンチセンスRNAおよびアンチセンスDNAのオリゴヌクレオチド、例えば、G3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231、INX3001など、および、代謝拮抗物質、例えば、エノシタビン、カルモフール、テガフル、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキサート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビンオクフォスファート、フォステアビン水酸化ナトリウム(fosteabine sodium hydrate)、ラルチトレキセド、パルチトレキシド(paltitrexid)、エミテフール、チアゾフリン、デシタビン、ノラトレキセド、ペメトレキセド、ネルザラビン、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシシチジン、N−[5−(2,3−ジヒドロベンゾルリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノヘプトピラノシル]アデニン、アピリジン、エクチナサイジン、トロキサシタビン(troxacitabine)、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b]−1,4−チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、アラノシン、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−フォルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワンソニン、ロメトレキソール、デクスラゾキサン、メチオニナーゼ、2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシン、3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾンなどが挙げられる。「抗増殖性作用物質」としてはまた、「血管新生阻害薬」のもとで掲げたもの以外のトラスツズマブ等の増殖因子に対するモノクローナル抗体、および組換えウイルスが介在する遺伝子により送達することができるp53等の腫瘍抑制遺伝子導入も含まれる(例えば、米国特許第6069134号参照)。
【0285】
本発明は、さらに、疾患を治療する薬剤を調製するための本発明による化合物の使用に関するものであり、その疾患は血管新生障害を特徴とする。その疾患は好ましくは癌性の疾患である。
血管新生障害は、VEGFR−1、VEGRF−2および/またはVEGFR−3活性が阻害されることにより好ましくはもたらされる。
したがって、VEGRF−2活性を阻害する薬剤を調製するための本発明による化合物の使用もまた特に優先される。
【0286】
アッセイ
実施例に記載した本発明による化合物は、下記のアッセイ法により試験され、キナーゼ阻害活性を有することが見出された。他のアッセイ法は、文献から知られており当業者により容易に実施することができる(例えば、Dhanabalら、Cancer Res.59:189〜197;Xinら、J.Biol.Chem.274:9116〜9121;Sheuら、Anticancer Res.18:4435〜4441;Ausprunkら、Dev.Biol.38:237〜248;Gimbroneら、J.Natl.Cancer Inst.52:413〜427;Nicosiaら、In Vitro 18:538〜549を参照)。
【0287】
VEGF受容体キナーゼアッセイ
VEGF受容体活性は、放射標識されたリン酸塩を4:1のポリグルタミン酸/チロシン基質(pEY)に組み込むことによって測定する。リン酸化したpEY生成物は、フィルター膜に捕捉され、放射標識されたリン酸塩の組み込みが、シンチレーション計数により数量化される。
【0288】
材料
VEGF受容体キナーゼ
ヒトKDRの細胞間チロシンキナーゼドメイン(Terman,B.I.ら、Oncogene(1991)Vol.6,pp.1677〜1683.)およびFlt−1(Shibuya,M.ら、Oncogene(1990)Vol.5,pp.519〜524)は、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)遺伝子融合タンパク質としてクローン化した。これは、GST遺伝子のカルボキシル末端におけるインフレーム融合物としてのKDRキナーゼの細胞質ドメインをクローン化することによって達成された。可溶性組換え型GSTキナーゼドメイン融合タンパク質を、バキュロウイルス発現ベクター(pAcG2T、Pharmingen社)を使用してヨトウガ(Spodoptera frugiperda(Sf21))由来昆虫細胞(Invitrogen社)中に発現させた。
【0289】
溶解緩衝液
50mMのトリス(pH7.4)、0.5MのNaCl、5mMのDTT、1mMのEDTA、0.5%のトリトンX−100、10%のグリセロール、ロイペプチン、ペプスタチン、アプロチニンの各10mg/ml、および1mMのフェニルメチルスルホニルフッ化物(すべてSigma社)。
【0290】
洗浄緩衝液
50mMのトリス(pH7.4)、0.5MのNaCl、5mMのDTT、1mMのEDTA、0.05%のトリトンX−100、10%のグリセロール、ロイペプチン、ペプスタチン、アプロチニンの各10mg/ml、および1mMのフェニルメチルスルホニルフッ化物
透析用緩衝液
50mMのトリス(pH7.4)、0.5MのNaCl、5mMのDTT、1mMのEDTA、0.05%のトリトンX−100、50%のグリセロール、ロイペプチン、ペプスタチン、アプロチニンの各10mg/ml、および1mMのフェニルメチルスルホニルフッ化物。
【0291】
10×反応緩衝液
200mMのトリス(pH7.4)、1.0MのNaCl、50mMのMnCl2、10mMのDTTおよび5mg/mlのウシ血清アルブミン[BSA](Sigma社)
酵素希釈緩衝液
50mMのトリス(pH7.4)、0.1MのNaCl、1mMのDTT、10%のグリセロール、100mg/mlのBSA。
【0292】
10×基質
750μg/mlのポリ(グルタミン酸/チロシン;4:1)(Sigma社)
停止溶液
30%トリクロロ酢酸、0.2Mのピロリン酸ナトリウム(いずれもFisher社)
洗浄溶液
15%トリクロロ酢酸、0.2Mのピロリン酸ナトリウム
フィルタープレート
ミリポア#MAFC NOB、GF/Cグラスファイバー 96−ウェルプレート。
【0293】
方法A−タンパク質精製
1.Sf21細胞に、5ウイルス粒子/細胞の感染多重度の組換えウイルスにより感染させ、27℃で48時間培養した。
【0294】
2.すべてのステップを4℃で実施した。感染した細胞は、1000×gで遠心分離することにより収集し、1/10容の溶解緩衝液により4℃で30分間溶解させ、続いて100.000×gで1時間の遠心分離をした。その上清を次に溶解緩衝液で平衡化させたグルタチオンセファローズカラム(Pharmacia社)に通し、5容の同じ緩衝液、続いて5容の洗浄緩衝液で洗浄した。組換え型GST−KDRタンパク質を洗浄緩衝液/10mMの還元グルタチオン(Sigma社)により溶出し、透析用緩衝液に向かって透析させた。
【0295】
方法B−VEGF受容体キナーゼアッセイ
1.50%DMSO中のアッセイに5μlの阻害薬または対照を加える
2.5μlの10×反応緩衝液、5μlの25mM ATP/10μCi[33P]ATP(Amersham社)および5μlの10×基質を含有する35μlの反応混合物を加える
3.酵素希釈緩衝液中の10μlのKDR(25nM)を添加することにより反応を開始させる
4.混合し、室温で15分間培養する
5.50μlの停止溶液を加えて反応を停止させる
6.4℃で15分間培養する
7.90μlのアリコートをフィルタープレートに移す
8.吸引し、洗浄溶液により3回洗浄する
9.30μlのシンチレーションカクテルを加え、プレートをシールし、Wallace Microbetaシンチレーションカウンターで数える。
【0296】
ヒト臍静脈内皮細胞有糸分裂誘発アッセイ
増殖因子に対して細胞分裂応答を仲介するVEGF受容体の発現は、血管内皮細胞に大部分は限定される。培養液中のヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)は、VEGFの処置により増殖し、VEGF刺激に対するKDRキナーゼ阻害薬の影響を数量化するアッセイ系として使用することができる。記載されているアッセイにおいて、静止状態のHUVECの単層は、VEGFまたは塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)の添加2時間前に、媒体または試験化合物で処理する。VEGFまたはbFGFに対する細胞分裂の応答は、[3H]チミジンの細胞DNAへの取り込みを計量することによって測定する。
【0297】
材料
HUVEC
初代培養単離品としての凍結HUVECを、クロネティクス社(Clonetics Corp.)から購入する。その細胞は、内皮増殖培地(EGM;クロネティクス社)で得られ、継代3〜7における分裂促進アッセイに使用する。
【0298】
培養皿
NUNCLON 96ウェルポリスチレン組織培養皿(NUNC #167008)
アッセイ培地
1g/mlのグルコース(低グルコースDMEM;Mediatech社)と10%(V/V)のウシ胎仔血清(Clonetics社)を含有するダルベッコ変法イーグル培地
試験化合物
試験化合物の作業原液は、100%ジメチルスルホキシド(DMSO)中に、それらの望ましい最終濃度の400倍の大きさに希釈する。1倍濃度への最終の希釈は、細胞に加える直前にアッセイ培地中で行った。
【0299】
10×増殖因子
ヒトVEGF165(500ng/ml;R&D Systems社)およびbFGF(10ng/ml;R&D Systems社)の溶液をアッセイ培地中で調製する。
10×[3H]チミジン
[メチル−3H]チミジン(20Ci/mmol;Dupont-NEN社)を低グルコースDMEM培地中80μCi/mlに希釈する。
【0300】
細胞洗浄培地
1mg/mlのウシ血清アルブミン(Boehringer-Mannheim社)を含有するハンクの平衡塩類溶液(Hank's balanced salt solution)
細胞溶解液
1N NaOH、2%(w/v)のNa2CO3
【0301】
方法1
EGM中に保存したHUVEC単層を、トリプシン化によって収集し、96ウェルプレートに1ウェル当たり100μlのアッセイ培地につき4000個の細胞密度で蒔く。5%のCO2を含有する湿った雰囲気中、37℃で24時間にわたり細胞増殖を阻止する。
【0302】
方法2
増殖阻止培地を、媒体(0.25%[v/v]のDMSO)または望ましい最終濃度の試験化合物のいずれかを含有する100μlのアッセイ培地により置換する。測定はすべて3回繰り返して行う。細胞を次に、試験化合物が細胞に入るようにするため、37℃/5%CO2で2時間培養する。
【0303】
方法3
2時間にわたる前処理の後、細胞を、アッセイ培地、10×VEGH溶液または10×bFGF溶液のいずれかの10μl/ウェルを添加して刺激する。細胞を次に37℃/5%CO2で培養する。
【0304】
方法4
24時間後、増殖因子の存在下、10×[3H]チミジン(10μl/ウェル)を加える。
【0305】
方法5
3H]チミジンの添加3日後、培地を吸引により除去し、細胞を細胞洗浄培地で2度洗浄する(400μl/ウェルに続いて200μl/ウェル)。洗浄した接着細胞を、次に、細胞溶解液(100μl/ウェル)を加え、37℃に30分加温して可溶化する。細胞溶解物を、150μlの水を含有する7mlのシンチレーションガラス瓶に移す。シンチレーションカクテル(5ml/ガラス瓶)を加え、細胞関連放射能を液体シンチレーション分光法により測定する。
【0306】
これらのアッセイによれば、式Iの化合物はVEGFの阻害薬であり、したがって、眼疾患、例えば糖尿病性網膜症の治療、および癌腫、例えば固形腫瘍の治療等における血管新生の阻害に適している。本化合物は、培養液中のヒト血管内皮細胞のVEGF刺激の有糸分裂誘発を0.01〜5.0μMのIC50値で阻害する。これらの化合物はまた、関係するチロシンキナーゼについての選択性を示す(例えば、FGFR1およびSrcファミリー;SrcキナーゼとVEGFRキナーゼの間の関係、Eliceiriら、Molecular Cell, Vol.4, pp.915〜924, December 1999参照)。
【0307】
TIE−2試験は、例えば、WO02/44156に示されている方法と同様に行うことができる。
該アッセイ法は、放射性33P−ATPの存在下のTie−2キナーゼによる基質ポリ(Glu、Tyr)のリン酸化反応において試験される物質の阻害活性を測定する。そのリン酸化された基質は、培養時間中に「フラッシュプレート」マイクロタイタープレートの表面に結合する。反応混合物を除去した後、マイクロタイタープレートを何回も洗浄し、その表面の放射能をその後測定する。測定される物質の阻害効果により、影響を受けていない酵素反応と比較して低い放射能の結果となる。
【0308】
上文および下文において、温度はすべて℃で示している。以下の実施例において、「従来のワークアップ」とは、必要ならば水を加え、必要ならpHを、最終生成物の構成により2と10の間の値に調整し、混合物を酢酸エチルまたはジクロロメタンで抽出し、相分離し、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させ、生成物をシリカゲルに基づくクロマトグラフィーにより、かつ/または結晶化により精製することを意味する。シリカゲルに基づくRf値;溶離剤:酢酸エチル/メタノール9:1
質量分析法(MS):EI(電子衝撃イオン化)M+
FAB(高速原子衝撃)(M+H)+
ESI(電気スプレーイオン化)(M+H)+
【実施例】
【0309】
実験の部
本発明による化合物は、以下の合成スキームによりまたはそれと同じようにして有利に得ることができる:
【0310】
【化59】

【0311】
実施例1
(6−ニトロ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミンの合成
1.1 4−(4−ピリジニルオキシ)フェニルアミン(2)
【0312】
【化60】

【0313】
a)195g(1.4mol)の4−ニトロフェノールおよび445.2g(1.4mol)のビピリジンをよく混合し、150℃までゆっくり加熱した。150℃で2時間攪拌した後、そのバッチを未だ熱いうちに氷水の5l中に注いだ。その混合物を塩酸を用いて酸性にし、その水相を3lのメチルtert−ブチルエーテルにより2回洗浄した。その水相を濃水酸化ナトリウム溶液を用いて塩基性(pH12)とし、3lのメチルtert−ブチルエーテルにより2回抽出した。混ぜ合わせた有機相を水1lで4回洗浄し、Na2SO4を用いて乾燥し、濾過して蒸発させた。その残留物を100mlのエーテルに溶解し、200mlの石油エーテルを加えることにより生成物を氷浴中で結晶化させた。その結晶を吸引して濾別し、減圧下で乾燥させた。
収量:75g(25%)の1、褐色の結晶。
【0314】
b)化合物1を室温でMeOH中Pd/Cを用いて水素化した。その反応溶液を、珪藻土を通して濾過し、MeOHですすぎ、濾液をその後蒸発させた。その残留物を、ジエチルエーテル:石油エーテル=2:1で蒸解し、吸引して濾別し、石油エーテルですすぎ、減圧下40℃で一晩乾燥した。
収量:50.94g(76%)の2、褐色の結晶。
【0315】
1.2 4−(4−ピリジニルオキシ)フェニルチオイソシアネート(3)
【0316】
【化61】

【0317】
921mg(4.944mmol)および881mg(4.944mmol)の1,1’−チオカルボニルジイミダゾールを、25mlのジクロロメタンに溶解し、室温で3時間かき混ぜる。溶媒を減圧下で除去し、得られた残留物を、溶離液として酢酸エチル/石油エーテル4:1を用いてシリカゲル60によるクロマトグラフィーによって精製する。減圧下の溶媒除去により、915mgの黄色い結晶性の残渣3が生じる。
【0318】
1.3 (6−ニトロ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン(4)
【0319】
【化62】

【0320】
さらなる反応のため、1006mgの4−ニトロ−1,2−フェニレンジアミンおよび調製した150mgのチオイソシアナート3を、5mlのジメチルホルムアミドに溶解し、室温で一晩攪拌する。溶媒を除去した後、残留物をMPLCクロマトグラフィー(Rp18)により精製し、126mgのベンズイミダゾールアミン4を生じさせた。
【0321】
本発明による化合物は、好ましくは下記のHPLCクロマトグラフィーにより精製することができる:
方法(a):
カラム:Chromolith SpeedROD、50×4.6mm2、Merck製
グラジエント:5.5分、t=0、A:B=90:10、t=5.5分:A:B=0:100
流速:2.75ml/分
溶離液:A:水+0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)
B:アセトニトリル+0.08%のTFA
波長:220nm
方法(b):
カラム:Chromolith SpeedROD、50×4.6mm2、Merck製
グラジエント:5.0分、t=0、A:B=95:5、t=4.4分:A:B=25:75、t=4.5分〜t=5.0分:A:B=0:100
流速:2.75ml/分
溶離液:A:水+0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)
B:アセトニトリル+0.08%のTFA
波長:220nm
これらの方法によって得られる保持時間(Rt)は、化合物について下に示されており、上付き文字(aまたはb)により相応するように示されている。
【0322】
精製のため、予備のHPLCを以下の条件で別法として使用することができる:
カラム:RP18(7μm)Lichrosorb250×25
溶離液:A:98H2O、2CH3CN、0.1%のTFA
B:10H2O、90CH3CN、0.1%のTFA
UV: 225nm;流速:10ml/分。
【0323】
以下の化合物が、芳香族ジアミンの対応するチオイソシアナートとの反応により同様に得られる:
(1)(5−クロロ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)−フェニル]アミン(MW=404.77;Rt=1.87a
(2)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル](6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)−アミン(MW=370.33;Rt=1.39a)
(3)(6−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン(MW=316.36;Rt=0.67a)
(4)(5−クロロ−4−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン(MW=350.81;Rt=1.30a)
(5)(4−ブロモ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン(MW=449.23;Rt=2.06a)
(6)(4−ブロモ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン(MW=449.23;Rt=2.35a)
(7)(5,6−ジメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン(MW=330.39;Rt=1.13a
(8)(5−クロロ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン(MW=404.78;Rt=2.08a
(9)(5,6−ジクロロ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン(MW=371.23;Rt=1.51a)
(10)(5,6−ジクロロ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン(MW=371.23;Rt=1.77a
(11)(5−クロロ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン(MW=336.78;Rt=0.81a
(12)(5−クロロ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン(MW=336.78 Rt=1.39a
(13)(4−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル)アミン(MW=316.36;Rt=1.33a
(14)(4−クロロ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル)アミン(MW=404.78;Rt=2.01a
(15)(4−クロロ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン(MW=404.78;Rt=2.25a
(16)(4,5−ジメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン(MW=330.39;Rt=1.21a
(17)(5−クロロ−6−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン(MW=350.81;Rt=1.29a
(18)(5−クロロ−6−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン(MW=350.81;Rt=1.61a)
(19)(4,6−ビストリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン(MW=438.33;Rt=2.24a)
(20)(4,6−ビストリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン(MW=438.33;Rt=2.54a)
(21)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル](6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)アミン(MW=370.33;Rt=1.71a)
(22)(6−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン(MW=316.36;Rt=1.42a
(23)(4,5−ジメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン(MW=330.39;Rt=1.55a
(24)(5−クロロ−4−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン(MW=350.81;Rt=1.69a
(25)(4−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン(MW=316.36;Rt=0.75a
(26)(5,6−ジメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン(MW=330.39;Rt=1.91a
(27)(4−ブロモ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(2,6−ジメチル−ピリミジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン(MW=478.27;Rt=3.09b)
(28)N−メチル−4−[4−(ブロモトリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イルアミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボキサミド(MW=506.28;Rt=3.52b
(29)2−[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニルアミノ]−3H−ベンズイミダゾール−5−カルボニトリル(MW=327.35;Rt=1.97b)
(30)[4−(2−アミノ−6−メチルピリミジン−4−イルオキシ)フェニル](4−ブロモ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)アミン(MW=479.26;Rt=3.01b
(31)(4−クロロ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(2,6−ジメチルピリミジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン(MW=433.82;Rt=3.01b
(32)[4−(2−アミノ−6−メチルピリミジン−4−イルオキシ)フェニル](4−クロロ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)アミン(MW=434.81;Rt=3.01b)
(33)(6−ニトロ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン(MW=347.33;Rt=2.08b
(34)メチル2−[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニルアミノ]−3H−ベンズイミダゾール−5−カルボキシレート(MW=360.37;Rt=2.16b
(35)2−[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニルアミノ]−3H−ベンズイミダゾール−5−カルボン酸(MW=346.35;Rt=1.89b
(36)メチル7−メタンスルホニル−2−[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニルアミノ]−3H−ベンズイミダゾール−5−カルボキシレート(MW=438.46;Rt=2.40)
(37)(4−フルオロ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン(MW=388.32;Rt=2.83b
(38)[4−(2,6−ジメチルピリミジン−4−イルオキシ)フェニル](4−フルオロ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)アミン(MW=417.37;Rt=2.88b)
(39)[4−(2−アミノ−6−メチルピリミジン−4−イルオキシ)フェニル](4−フルオロ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)アミン(MW=418.35;Rt=2.85b)
(40)N−メチル−4−{4−[6−(1−チオフェン−2−イルメタノイル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル−アミノ]フェノキシ}ピリジン−2−カルボキサミド(MW=469.52;Rt=2.93b)
(41)N2−[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]−3H−ベンズイミダゾール−2,5−ジアミン(MW=317.35;Rt=1.55b
【0324】
【表1】

【0325】
以下の実施例は、医薬品組成物に関する。
【0326】
実施例A:注射バイアル
本発明による100gの有効成分および5gのリン酸一水素二ナトリウムの3lの2回蒸留水の溶液を、2Nの塩酸、を用いてpH6.5に調整し、無菌ろ過し、注射バイアルに移し、無菌状態で凍結乾燥し、無菌条件下で密封する。各注射バイアルは5mgの有効成分を含有する。
【0327】
実施例B:坐薬
本発明による20gの有効成分と、100gのダイズレシチンおよび1400gのカカオバターとの混合物を溶融し、型に注ぎ冷却させる。各坐薬は20mgの有効成分を含有する。
【0328】
実施例C:溶液
940mlの2回蒸留水中の、本発明による1gの有効成分、9.38gのNaH2PO4・2H2O、28.48gのNa2HPO4・12H2Oおよび0.1gの塩化ベンザルコニウムから、溶液を調製する。そのpHを6.8に調整し、その溶液を1lとし、放射殺菌により無菌化する。この溶液は点眼液の形で使用することができる。
【0329】
実施例D:軟膏
500mgの本発明による有効成分を、99.5gのワセリンと無菌状態のもとで混合する。
【0330】
実施例E:錠剤
1kgの有効成分、4kgのラクトース、1.2kgのジャガイモデンプン、0.2kgのタルクおよび0.1kgのステアリン酸マグネシウムを、圧縮成型して、各錠剤が10mgの有効成分を含有するように従来どおりに錠剤を生じさせる。
【0331】
実施例F:コーティング錠
錠剤を実施例Eと同様に圧縮成型し、その後、スクロース、ジャガイモデンプン、タルク、トラガカントおよび染料のコーティングで従来どおり被覆する。
【0332】
実施例G:カプセル
2kgの活性成分を、各カプセルが20mgの活性成分を含有するように、従来どおり硬質のゼラチンカプセルに導入する。
【0333】
実施例H:アンプル
60lの2回蒸留水中の1kgの本発明による有効成分の溶液を、無菌ろ過し、アンプル中に移し、無菌条件下で凍結乾燥させ、無菌条件下で密封する。各アンプルは10mgの活性成分を含有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】

[式中、
1、R1’は、それぞれ互いに独立して、Hal、A、OH、OA、SA、SO2H、SO2A、SO3H、SO3A、CN、NO2、NH2、NHA、NAA’、NHCOA、CHO、C(=O)A、COOH、COOA、CONH2、CONHAまたはCONAA’を表し、
Lは、CH2、CH2CH2、O、S、SO、SO2、NH、NA、C=OまたはCHOHを意味し、
2は、独立に、R1およびR1’に対して示した意味から選択され、好ましくは、独立に、Hal、A、OH、OA、CN、COOH、COOA、CONH2、CONHAまたはCONAA’から選択され、
E、G、M、QおよびUは、それぞれ互いに独立して、C原子またはN原子を表し、
A、A’は、互いに独立して、1〜10個のC原子を有する非置換または置換アルキル、3〜10個のC原子を有する非置換または置換シクロアルキル、2〜12個のC原子を有する非置換または置換アルコキシアルキル、6〜14個のC原子を有する非置換または置換アリール、7〜15個のC原子を有する非置換または置換アリールアルキル、2〜7個のC原子ならびにN、OおよびSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有する非置換または置換、飽和、不飽和または芳香族の複素環、あるいは3〜10個のC原子およびN、OおよびSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有する非置換または置換、飽和、不飽和または芳香族の複素環アルキルから選択され、
Halは、F、Cl、BrまたはIを意味し、
m、p、qは、それぞれ互いに独立して、0、1、2、3または4を意味する]、
ならびにすべての比率のそれらの混合物を含めた医薬品として使用可能なそれらの誘導体、溶媒和物および立体異性体。
【請求項2】
基R1が、互いに独立して、A、Hal、CN、COOH、COOA、SO2A、C(=O)A、NH2、NHAおよびNO2から選択され、
mが、1、2または3を意味する
請求項1に記載の化合物、
ならびにすべての比率のそれらの混合物を含めた医薬品として使用可能なそれらの誘導体、溶媒和物および立体異性体。
【請求項3】
基R1が、互いに独立して、メチル、エチル、CF3、OCF3、F、CI、Br、CN、COOH、COOCH3、COOCH2CH3、SO2CH3、NH2、NHCH3、NHCH2CH3、NO2、チオフェン−2−イルカルボニルから選択され、
mが、1、2または3を意味する
請求項1に記載の化合物、
ならびにすべての比率のそれらの混合物を含めた医薬品として使用可能なそれらの誘導体、溶媒和物および立体異性体。
【請求項4】
1’が、HalまたはAを意味し、
pが、0または1を意味する
請求項1から3の一項または複数項に記載の化合物、
ならびにすべての比率のそれらの混合物を含めた医薬品として使用可能なそれらの誘導体、溶媒和物および立体異性体。
【請求項5】
Lが、O、SまたはCH2を意味する
請求項1から4の一項または複数項に記載の化合物、
ならびにすべての比率のそれらの混合物を含めた医薬品として使用可能なそれらの誘導体、溶媒和物および立体異性体。
【請求項6】
2が、A、COOA、CONHAまたはCONH2を意味し、
qが、0、1または2を意味する請求項1から5の一項または複数項に記載の化合物、
ならびにすべての比率のそれらの混合物を含めた医薬品として使用可能なそれらの誘導体、溶媒和物および立体異性体。
【請求項7】
1が、互いに独立して、Hal、アルキル、CN、COOH、COOアルキル、SO2アルキル、NH2、NHアルキル、C(=O)アルキル、C(=O)複素環またはNO2を意味し、
mが、1、2または3、好ましくは1または2を意味し、
1’が、HalまたはA、好ましくはHalまたはアルキルを意味し、
pが、0または1を意味し、
Lが、O、SまたはCH2、好ましくはOまたはCH2を意味し、
2が、A、COOアルキル、CONHアルキルまたはCONH2を意味し、
qが、0、1または2を意味する
請求項1から6の一項または複数項に記載の化合物、
ならびにすべての比率のそれらの混合物を含めた医薬品として使用可能なそれらの誘導体、溶媒和物および立体異性体。
【請求項8】
式I中の基
【化2】

が、
【化3】

(式中、L、R2およびqは、請求項1から7の一項または複数項で示した意味を有する)から選択される
請求項1から7の一項または複数項に記載の化合物、
ならびにすべての比率のそれらの混合物を含めた医薬品として使用可能なそれらの誘導体、溶媒和物および立体異性体。
【請求項9】

(5−クロロ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン;
[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル](6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)アミン;
(6−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン;
(5−クロロ−4−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン;
(4−ブロモ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン;
(4−ブロモ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン;
(5,6−ジメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン;
(5−クロロ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン;
(5,6−ジクロロ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン;
(5,6−ジクロロ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン;
(5−クロロ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン;
(5−クロロ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン;
(4−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン;
(4−クロロ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン;
(4−クロロ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン;
(4,5−ジメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン;
(5−クロロ−6−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン;
(5−クロロ−6−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン;
(4,6−ビストリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン;
(4,6−ビストリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン;
[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル](6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)アミン;
(6−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン;
(4,5−ジメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン;
(5−クロロ−4−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン;
(4−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン;
(5,6−ジメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル]アミン;
(4−ブロモ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(2,6−ジメチル−ピリミジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン;
N−メチル−4−[4−(ブロモトリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イルアミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボキサミド;
2−[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニルアミノ]−3H−ベンズイミダゾール−5−カルボニトリル;
[4−(2−アミノ−6−メチルピリミジン−4−イルオキシ)フェニル](4−ブロモ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)アミン;
(4−クロロ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(2,6−ジメチルピリミジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン;
[4−(2−アミノ−6−メチルピリミジン−4−イルオキシ)フェニル](4−クロロ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)アミン;
(6−ニトロ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン;
メチル2−[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニルアミノ]−3H−ベンズイミダゾール−5−カルボキシレート;
2−[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニルアミノ]−3H−ベンズイミダゾール−5−カルボン酸;
メチル7−メタンスルホニル−2−[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニルアミノ]−3H−ベンズイミダゾール−5−カルボキシレート);
(4−フルオロ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]アミン;
[4−(2,6−ジメチルピリミジン−4−イルオキシ)フェニル](4−フルオロ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)アミン;
[4−(2−アミノ−6−メチルピリミジン−4−イルオキシ)フェニル](4−フルオロ−6−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)アミン;
N−メチル−4−{4−[6−(1−チオフェン−2−イルメタノイル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル−アミノ]フェノキシ}ピリジン−2−カルボキサミド;
2−[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]−3H−ベンズイミダゾール−2,5−ジアミン;
から選択される請求項1から8の一項に記載の化合物、
ならびにすべての比率のそれらの混合物を含めた医薬品として使用可能なそれらの誘導体、溶媒和物および立体異性体。
【請求項10】
請求項1から9に記載の式Iの化合物および医薬品として使用可能なそれらの誘導体、溶媒和物および立体異性体の調製方法であって、
式IIの化合物
【化4】

(式中、R1およびmは、請求項1で示した意味を有する)を、式IIIの化合物
【化5】

(式中、R1'、L、E、G、M、Q、U、R2およびqは、請求項1で示した意味を有する)と反応させ、
必要に応じて式Iの化合物を単離し、かつ/または式Iの塩基または酸をその塩の1つに変換することを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1から9の一項に記載の少なくとも1つの化合物および/またはすべての比率のそれらの混合物を含めた医薬品として使用可能なそれらの誘導体、溶媒和物および立体異性体、ならびに任意に賦形剤および/または補助剤を含む薬剤。
【請求項12】
請求項1から9の一項に記載の化合物、ならびにすべての比率のそれらの混合物を含めた医薬品として使用可能なそれらの誘導体、溶媒和物および立体異性体の使用であって、キナーゼシグナル伝達の阻害、制御および/または調節が役割を果たす疾患を治療する薬剤を調製するための使用。
【請求項13】
前記キナーゼがチロシンキナーゼおよびRafキナーゼの群から選択される請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記チロシンキナーゼがTIE−2である請求項13に記載の使用。
【請求項15】
請求項1に記載の化合物、ならびにすべての比率のそれらの混合物を含めた医薬品として使用可能なそれらの誘導体、溶媒和物および立体異性体の請求項12に記載の使用であって、請求項1から9の一項に記載の化合物によるチロシンキナーゼの阻害に影響される疾患を処置するための薬剤を調製するための使用。
【請求項16】
請求項1から9の一項に記載の化合物によるTIE−2の阻害に影響される疾患を処置する薬剤を調製するための請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記処置すべき疾患が固形腫瘍である請求項15または16に記載の使用。
【請求項18】
前記固形腫瘍が、脳腫瘍、尿生殖路の腫瘍、リンパ系の腫瘍、胃腫瘍、喉頭腫瘍および肺腫瘍の群を起源とする請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記固形腫瘍が、単球性白血病、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、膠芽細胞腫および乳癌の群を起源とする請求項17に記載の使用。
【請求項20】
血管新生が関係する疾患を処置するための請求項15または16に記載の使用。
【請求項21】
前記疾患が眼疾患である請求項20に記載の使用。
【請求項22】
網膜血管新生、糖尿病性網膜症、老化による黄斑変性症および/または炎症性疾患を処置するための請求項15または16に記載の使用。
【請求項23】
前記炎症性疾患が、関節リウマチ、乾癬、接触性皮膚炎および遅延型過敏反応の群を起源とする請求項22に記載の使用。
【請求項24】
骨の病態を処置するための請求項15または16に記載の使用であって、該骨の病態が、骨肉腫、骨関節炎およびクル病の群を起源とする使用。
【請求項25】
請求項1に記載の少なくとも1つの化合物および/またはすべての比率のそれらの混合物を含めた医薬品として使用可能なそれらの誘導体、溶媒和物および立体異性体、ならびに少なくとも1つのさらなる薬剤有効成分を含む薬剤。
【請求項26】
(a)請求項1に記載の化合物および/またはすべての比率のそれらの混合物を含めた医薬品として使用可能なそれらの誘導体、溶媒和物および立体異性体の有効量と、
(b)さらなる薬剤有効成分の有効量
の別々のパックからなるセット(キット)。
【請求項27】
固形腫瘍を処置する薬剤を調製するための請求項1に記載の化合物および/または生理的に許容されるそれらの塩および溶媒和物の使用であって、請求項1から9の一項に記載の化合物の治療有効量を、1)エストロゲン受容体調節物質、2)アンドロゲン受容体調節物質、3)レチノイド受容体調節物質、4)細胞傷害性作用物質、5)抗増殖性作用物質、6)プレニル化タンパク質トランスフェラーゼ阻害薬、7)HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、8)HIVプロテアーゼ阻害薬、9)逆転写酵素阻害薬および10)その他の血管新生阻害薬の群からの化合物と組み合わせて投与する使用。
【請求項28】
固形腫瘍を処置する薬剤を調製するための請求項1から9の一項に記載の化合物および/または生理的に許容されるそれらの塩および溶媒和物の使用であって、請求項1から9の一項に記載の化合物の治療有効量を、放射線治療、ならびに1)エストロゲン受容体調節物質、2)アンドロゲン受容体調節物質、3)レチノイド受容体調節物質、4)細胞傷害性作用物質、5)抗増殖性作用物質、6)プレニル化タンパク質トランスフェラーゼ阻害薬、7)HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、8)HIVプロテアーゼ阻害薬、9)逆転写酵素阻害薬および10)別の血管新生阻害薬の群からの化合物と組み合わせて投与する使用。
【請求項29】
請求項1から9の一項に記載の化合物の治療有効量を成長因子受容体阻害薬と組み合わせて投与するTIE−2活性を阻害することに基づく疾患を処置する薬剤を調製するための請求項12、13または14に記載の使用。
【請求項30】
Rafキナーゼにより引き起こされ、媒介されかつ/または伝播する疾患を治療する薬剤を調製するための請求項1に記載の化合物、ならびにすべての比率のそれらの混合物を含めた医薬品として使用可能なそれらの誘導体、溶媒和物および立体異性体の請求項12または13に記載の使用。
【請求項31】
Rafキナーゼが、A−Raf、B−RafおよびRaf−1からなる群から選択される請求項30に記載の使用。
【請求項32】
疾患が、過剰増殖性疾患および非過剰増殖性疾患の群から選択される請求項30に記載の使用。
【請求項33】
前記疾患が癌性である請求項30または32に記載の使用。
【請求項34】
前記疾患が非癌性である請求項30または32に記載の使用。
【請求項35】
前記非癌性疾患が、乾癬、関節炎、炎症、子宮内膜症、瘢痕、良性前立腺過形成、免疫疾患、自己免疫疾患および免疫不全症からなる群から選択される請求項30、32または34に記載の使用。
【請求項36】
前記疾患が、脳腫瘍、肺癌、扁平上皮癌、膀胱癌、胃癌、膵臓癌、肝癌、腎臓癌、結腸直腸癌、乳癌、頭部癌、頚部癌、食道癌、婦人科癌、甲状腺癌、リンパ腫、慢性白血病および急性白血病からなる群から選択される請求項30、32または33の一項に記載の使用。

【公表番号】特表2007−509096(P2007−509096A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536006(P2006−536006)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【国際出願番号】PCT/EP2004/011550
【国際公開番号】WO2005/042520
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】