ホーニング加工装置及びホーニング加工方法
【課題】面が湾曲しているボア部の加工において、加工量が検出できるホーニング加工技術を提供する。
【解決手段】砥石22よりヘッド本体30の先端側に配置される第1エアマイクロノズル11と、第1エアマイクロノズル11からヘッド本体30の基端側にホーニングヘッド一回転若しくは複数回転当たりの軸方向の送り量だけ離して配置される第2エアマイクロノズル12と、第1エアマイクロノズル11と被加工面との距離を検出する第1距離検出手段13と、第2エアマイクロノズル12と被加工面との距離を検出する第2距離検出手段14と、第1距離検出手段13で得られた距離と第2距離検出手段14で得られた距離との差を求める演算手段16とを備える。
【効果】様々な形状の被加工面に対して加工量の検出を行うことができる。
【解決手段】砥石22よりヘッド本体30の先端側に配置される第1エアマイクロノズル11と、第1エアマイクロノズル11からヘッド本体30の基端側にホーニングヘッド一回転若しくは複数回転当たりの軸方向の送り量だけ離して配置される第2エアマイクロノズル12と、第1エアマイクロノズル11と被加工面との距離を検出する第1距離検出手段13と、第2エアマイクロノズル12と被加工面との距離を検出する第2距離検出手段14と、第1距離検出手段13で得られた距離と第2距離検出手段14で得られた距離との差を求める演算手段16とを備える。
【効果】様々な形状の被加工面に対して加工量の検出を行うことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離検出手段を備えたホーニング加工技術の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ボア部の精密な仕上げにホーニング加工が広く用いられる。仕上げ精度を評価するために被加工面までの距離を検出する手段を備えたホーニング加工装置が提案されている(例えば、特許文献1(第3図)参照。)。
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図10は従来のホーニング加工装置の基本構成を説明する図であり、ホーニング加工装置100は、ボア部101に挿入され、ボア部101の軸方向に移動可能で且つ回転可能なホーニングヘッド102と、このホーニングヘッド102の外周に設けられホーニングヘッド102の姿勢を規制する複数のガイド103とを備える。
【0004】
ガイド103の上部又は下部に、ボア部101に向けて開口するエアマイクロノズル104が設けられている。このエアマイクロノズル104からボア部101にエアを噴射し、エアマイクロノズル104の背圧を検出することで、エアマイクロノズル104とボア部101との距離c1を検出することができる。
そして、加工前の距離c1と加工後の距離c2を検出すれば、加工量を算出することが可能である。
【0005】
ところで、図11に示すように、面が湾曲しているボア部101Bにホーニング加工を行うことがある。ボア部101Bは、(a)に示すように、軸方向に湾曲しており、(b)に示すように、周方向にも湾曲している。
【0006】
このように面が湾曲しているボア部101Bの加工においても、加工量を算出することが求められる。
そこで、このボア部101Bに、特許文献1のホーニング加工装置(図10、符号100)を適用した場合を考える。
【0007】
図12(a)に示すように、ボア部101Bの軸方向において、エアマイクロノズル104とボア部101Bとの距離c3、c4は一定でなく、(b)に示すように、ボア部101Bの周方向においても、エアマイクロノズル104とボア部101Bとの距離c5、c6は一定でない。
【0008】
一般の真円形断面のボア部であれば、エアマイクロノズルとの距離は一定となるため、特許文献1の技術により、加工量の算出は可能である。
しかし、エアマイクロノズル104との距離c3〜c6が一定にならないボア部101Bでは、特許文献1の技術を単に用いても、加工量を算出することは容易でない。したがって、ホーニング加工においてエアマイクロノズルとボア部との距離の検出手段、検出方法に改良が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭62−277262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、面が湾曲している被加工面の加工において、加工量が検出できるホーニング加工技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、筒状の被加工面に挿入され、この被加工面の軸方向に移動可能で且つ回転可能なヘッド本体と、このヘッド本体に取付けられる砥石台と、この砥石台の外周面に取付けられ前記被加工面を研削する砥石とからなるホーニングヘッドを備えるホーニング加工装置において、
前記砥石よりも前記ヘッド本体の先端側にて前記ヘッド本体に設けられ、エアを前記被加工面に噴射する第1エアマイクロノズルと、
この第1エアマイクロノズルから前記ヘッド本体の基端側に前記ヘッド本体一回転若しくは複数回転当たりの軸方向の送り量だけ離して前記ヘッド本体に設けられ、エアを前記被加工面に噴射する第2エアマイクロノズルと、
前記第1エアマイクロノズルの背圧又は流量に対応して、前記第1エアマイクロノズルと前記被加工面との距離を検出する第1距離検出手段と、
前記第2エアマイクロノズルの背圧又は流量に対応して、前記第2エアマイクロノズルと前記被加工面との距離を検出する第2距離検出手段と、
前記第1距離検出手段で得られた距離と前記第2距離検出手段で得られた距離との差を求める演算手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る発明では、被加工面は、内燃機関のシリンダにおけるボア部であって、ボア部は軸方向及び周方向に湾曲している面であることを特徴とする。
【0013】
請求項3に係る発明は、筒状の被加工面に挿入され、この被加工面の軸方向に移動可能で且つ回転可能なヘッド本体と、このヘッド本体に取付けられる砥石台と、この砥石台の外周面に取付けられ前記被加工面を研削する砥石と、この砥石を挟むように前記ヘッド本体の軸方向に沿って配置され、エアを前記被加工面に噴射する第1エアマイクロノズル及び第2エアマイクロノズルとを備えるホーニング加工装置を用い、
前記ヘッド本体を360度回転させながら前記被加工面の軸方向に移動させ、前記第1エアマイクロノズルの背圧又は流量に対応して、前記第1エアマイクロノズルと前記被加工面との距離を検出する第1距離検出工程と、
前記第1エアマイクロノズルの軌跡を前記第2エアマイクロノズルが通るように前記ヘッド本体を更に回転させながら、前記第2エアマイクロノズルの背圧又は流量に対応して、前記第2エアマイクロノズルと前記被加工面との距離を検出する第2距離検出工程と、
前記第1距離検出工程で得られた距離と、前記第2距離検出工程で得られた距離との差を求める演算工程とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明では、第1エアマイクロノズルを砥石よりもヘッド本体の先端側にてヘッド本体に設け、第2エアマイクロノズルを第1エアマイクロノズルからヘッド本体の基端側にヘッド本体一回転若しくは複数回転当たりの軸方向の送り量だけ離してヘッド本体に設け、第1距離検出手段により第1エアマイクロノズルと被加工面との距離を検出し、第2距離検出手段により第2エアマイクロノズルと被加工面との距離を検出し、演算手段により、第1距離検出手段で得た距離と第2距離検出手段で得た距離との差を求めるようにした。
【0015】
第2エアマイクロノズルを第1エアマイクロノズルからヘッド本体一回転若しくは複数回転当たりの軸方向の送り量だけ離してヘッド本体に設けたので、第1エアマイクロノズルの軌跡と第2エアマイクロノズルの軌跡が重なる。この重なる軌跡上において、砥石が通過する前(加工前)の被加工面との距離を第1エアマイクロノズル及び第1距離検出手段にて検出した後、砥石が通過した後(加工後)の被加工面との距離を第2エアマイクロノズル及び第2距離検出手段にて検出することができる。そして、第1距離検出手段で得た距離と第2距離検出手段で得た距離との差演算手段により求めることができる。結果、加工量を得ることができる。
【0016】
ヘッド本体を360度以上回転させながら軸方向に移動させれば、いかなる面形状の被加工面であっても、第1エアマイクロノズルの軌跡と第2エアマイクロノズルの軌跡が重なる。
本発明では、この重なる軌跡上において、被加工面との距離の検出を行うため、被加工面の形状は問わない。したがって、被加工面が湾曲していても加工量を得ることができる。
【0017】
本発明によれば、面が湾曲している被加工面の加工において、加工量が検出できるホーニング加工技術が提供される。
【0018】
請求項2に係る発明では、被加工面は、内燃機関のシリンダにおけるボア部であって軸方向及び周方向に湾曲している面とした。
面が湾曲しているシリンダのボア部の加工において、加工量を検出することができる。
【0019】
請求項3に係る発明では、ヘッド本体を360度回転させながら、第1エアマイクロノズルと被加工面との距離を検出する第1距離検出工程と、第1エアマイクロノズルの軌跡を第2エアマイクロノズルが通るようにヘッド本体を更に回転させながら、第2エアマイクロノズルと被加工面との距離を検出する第2距離検出工程と、第1距離検出工程で得られた距離と、第2距離検出工程で得られた距離との差を求める演算工程とからなる。
【0020】
第1距離検出工程において、砥石が通過する前(加工前)の被加工面と第1マイクロノズルとの距離を検出した後、第2距離検出工程において、砥石が通過した後(加工後)の被加工面と第1エアマイクロノズルとの距離を検出する。第2検出工程は、第1エアマイクロノズルの軌跡上にて第2エアマイクロノズルにより行われる。結果、演算工程において、第1距離検出工程で得られた距離と、第2距離検出工程で得られた距離との差を求めることで、加工量を得ることができる。
【0021】
ヘッド本体を360度以上回転させながら軸方向に移動させれば、いかなる面形状の被加工面であっても、第1エアマイクロノズルの軌跡と第2エアマイクロノズルの軌跡が重なる。
本発明では、この重なる軌跡上において、被加工面との距離の検出を行うため、被加工面の形状は問わない。したがって、被加工面が湾曲していても加工量を得ることができる。
【0022】
本発明によれば、面が湾曲している被加工面の加工において、加工量が検出できるホーニング加工技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るホーニング加工装置の断面図である。
【図2】ホーニングヘッドの分解斜視図である。
【図3】図1の3−3線断面図である。
【図4】図1の4−4線断面図である。
【図5】内燃機関の断面図である。
【図6】シリンダライナの断面図である。
【図7】拡張軸の作用を説明する図である。
【図8】エアマイクロノズルの作用を説明する図である。
【図9】ホーニングヘッドの回転角と距離との関係を示す図である。
【図10】従来のホーニング加工装置の基本構成を説明する図である。
【図11】面が湾曲しているボア部の断面図である。
【図12】ボア部における従来のホーニングヘッドの作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0025】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明に係るホーニング加工装置10は、ホーニングヘッド20と、このホーニングヘッド20の下部に設けられエアを被加工面に噴射する第1エアマイクロノズル11と、ホーニングヘッド20の上部に設けられエアを被加工面に噴射する第2エアマイクロノズル12と、第1エアマイクロノズル11と被加工面との距離を検出する第1距離検出手段13と、第2エアマイクロノズル12と被加工面との距離を検出する第2距離検出手段14と、第1距離検出手段13で得られた距離と第2距離検出手段14で得られた距離との差を求める演算手段16と、この演算手段16で得られた距離の差を評価する差評価手段17と、この差評価手段17で得られた結果を表示する表示手段18とを備える。
【0026】
第1エアマイクロノズル11からエアを噴射しながら、エア背圧を圧力計67で連続的に測定する。第1エアマイクロノズル11の前方に存在する被加工面が第1エアマイクロノズル11に接近すると、エア背圧が上昇する。被加工面が第1エアマイクロノズルから離れると、エア背圧が下がる。この現象を利用して、第1距離検出手段13及び第2距離検出手段14により、第1エアマイクロノズル11及び第2エアマイクロノズル12から被加工面までの距離を計測する。
【0027】
圧力計67、68を流量計に代えてもよい。この場合、第1エアマイクロノズル11から被加工面までの距離が小さくなると、流量が小さくなる。この現象を利用して、第1エアマイクロノズル11及び第2エアマイクロノズル12から被加工面までの距離を計測する。
【0028】
図2に示すように、ホーニングヘッド20は、下部に複数(この例では4個)のスリット21が設けられているヘッド本体30と、このヘッド本体30のスリット21に移動可能に収納される複数(この例では4個)の砥石台40と、これらの砥石台40の各々の外周面に取付けられる砥石22と、この砥石22と砥石台40との間に配置され砥石22を砥石台40の外周面から突出する方向に付勢する弾性部材(この例では圧縮コイルばね)23と、ヘッド本体30に上下に移動可能に設けられ複数の砥石台40を拡張させる拡張軸24とからなる。
【0029】
ヘッド本体30は、円柱状の基部26と、隣り合うスリット21の間に形成され基部26から下方に延びる複数(この例では4個)の柱部27と、これらの柱部27の下端を連結する底部28とからなる。柱部27の上部及び下部のそれぞれに、環状のコイルばね31が嵌る複数(この例では4個)の円弧状の溝32が設けられる。
【0030】
図1に戻る。図1に示すように、砥石22はプレート33に固定される。砥石台40に凹部34が設けられる。プレート33は砥石台40の凹部34に嵌る。プレート33と砥石台40との間に弾性部材23が介在される。プレート33及び砥石台40のそれぞれには、弾性部材23の端部を保持して弾性部材23の姿勢を安定させる座ぐり36が設けられる。弾性部材23によって、プレート33及び砥石22は砥石台40の外周面から突出する方向に付勢される。
【0031】
ヘッド本体30の中心に、拡張軸24が通る軸穴37が延びる。拡張軸24は、下方に行くに従って縮径する複数(この例では上下2個)のテーパ面41を有する。
【0032】
砥石台40は、拡張軸24のテーパ面41に対応した複数(この例では上下2個)のテーパ部42を有する。砥石台40の上端部及び下端部のそれぞれに、ヘッド本体30の溝(図2、符号32)と周方向に並ぶ溝43が設けられる。この溝43とヘッド本体30の溝(図2、符号32)にコイルばね31が嵌る。このコイルばね31の作用により、複数の砥石台40はヘッド本体30の中心軸44に向けて付勢される。結果、砥石台40のテーパ部42は拡張軸24のテーパ面41に押付けられる。
【0033】
このように、拡張軸24はヘッド本体30の中心軸44に向けて付勢されているが、拡張軸24が矢印(1)のように移動すると、テーパ面41が砥石台40のテーパ部42を押し、この結果、複数の砥石台40は軸直角方向(矢印(2)、(3))に移動する。
【0034】
図3に示すように、ヘッド本体30の複数のスリット21は、ヘッド本体30の周方向に沿って等間隔に並んで形成される。これらのスリット21のそれぞれに砥石台40が収納される。
【0035】
プレート33の幅方向の両側にビス穴46が設けられる。砥石台40の凹部34に、ビス穴46に対応する雌ねじ穴47が設けられる。ビス穴46に通され雌ねじ穴47にねじ込まれるビス48は、プレート33を位置決めするストッパの役割を果たす。砥石22及びプレート33は、プレート33と凹部34との隙間51において移動可能となる。
【0036】
さらに、ビス穴46の内径は、ビス48の軸部の外径よりも大きく設定されるため、砥石22及びプレート33は、外力が加わると弾性部材23を伸縮させながら揺動することができる。弾性部材23の作用によって、複数の砥石22は、湾曲した被加工面であっても面に追従しながら、いわゆる倣い加工を行うことができる。
【0037】
なお、弾性部材23は、格別に限定されるものではなく、圧縮コイルばねの他、板ばね、皿ばね、ゴム材などの中から任意に選択可能である。また、砥石1個当たりの弾性部材の個数も任意である。
【0038】
図1に戻る。図1に示すように、第1エアマイクロノズル11は、内部に第1ノズル52を有し、底部28に設けられている雌ねじ穴53にねじ込まれる。第1ノズル52は、ヘッド本体30の内部に形成される第1エア通路54と連通する。
【0039】
第2エアマイクロノズル12は、内部に第2ノズル56を有し、基部26の下端に設けられている雌ねじ穴57にねじ込まれる。第2ノズル56は、ヘッド本体30の内部に形成される第2エア通路58と連通する。
【0040】
第1エアマイクロノズル11と第2エアマイクロノズル12との間のピッチPは、ヘッド本体30一回転若しくは複数回転当たりの軸方向の送り量と一致している。第1エアマイクロノズル11と第2エアマイクロノズル12は、砥石22を挟むようにホーニングヘッド20の中心軸44に沿って並ぶ。
【0041】
図4に示すように、第1エア通路54は、第1エアマイクロノズル11からヘッド本体30の中心に延びる通路61と、この通路61に直交する通路62と、この通路62から柱部(図2、符号27)内部を上方に向けて延びる通路(図1、符号63)とからなる。これら通路61〜63は、拡張軸24の下部が挿入される軸穴37と干渉しないように形成される。
【0042】
図1に戻る。図1に示すように、第1エア通路54及び第2エア通路58は、各々、レギュレータ64、66及び圧力計67、68を介して空圧源71と接続される。圧力計67で検出される情報は、第1エアマイクロノズル11の背圧として第1距離検出手段13へ送られる。圧力計68で検出される情報は、第2エアマイクロノズル12の背圧として第2距離検出手段14へ送られる。
【0043】
第1・第2距離検出手段13、14は、例えば空電変換器であり、得られた背圧の情報をエアマイクロノズル11、12と被加工面との距離に変換する。第1・第2距離検出手段11、12で得られた距離の情報は、演算手段16に送られる。
【0044】
この演算手段16には、ホーニングヘッド20の回転角を検出する回転角検出手段72と、ホーニングヘッド20の軸方向の移動量を検出する移動量検出手段73とが接続される。
【0045】
演算手段16では、第1距離検出手段13で得られた距離と、第2距離検出手段14で得られた距離との差を加工量として求める。このとき、演算手段16では、回転角検出手段72と移動量検出手段73からの情報に基づいて、被加工面における検出点と加工量との関係を求める。求めた結果は差評価手段17に送られる。
【0046】
差評価手段17では、演算手段16で得られた距離の差が予め定めた規格範囲内であるか否かを評価する。この評価の結果は、例えばパソコンのディスプレイなどの表示手段18にて表示され、使用者によって結果の確認がなされる。
【0047】
次に、ホーニングヘッド20の加工対象であるシリンダライナについて、図5及び図6に基づいて説明する。
図5に示されるように、内燃機関80は、クランクケース81と、このクランクケース81の上部に取付けられるシリンダ82と、このシリンダ82の上部に取付けられ、カムシャフト83を支持するシリンダヘッド84と、このシリンダヘッド84の上部に取付けられるヘッドカバー86と、シリンダヘッド84及びシリンダ82をクランクケース81へ組付ける複数の締結ボルト87とからなる。
【0048】
締結ボルト87をクランクケース81に締め付けると、シリンダヘッド84及びシリンダ82が僅かであるが変形する。すると、シリンダ82に内蔵されているシリンダライナ88も変形する。
ピストンの摺動を考えると、シリンダライナ88の内周面(ボア部)が歪みのない円筒であることが求められる。
【0049】
そこで、締結ボルト87で締め付けたときに、ボア部が歪みのない円筒になるように、締め付け前のシリンダライナ88では、変形量を見込んで、軸方向で湾曲させたり、径方向で非円形にするといる対策を講じることが、有効となる。
この対策の具体例を次図で説明する。
【0050】
図6(a)に示すように、シリンダライナ(シリンダスリーブとも呼ばれる)88の内周面がボア部(被加工面)91となる。
【0051】
(b)に示すように、組付け前のボア部91は、組付け後は直線となるような非直線、すなわち軸方向(矢印(4)、(5))に湾曲した面に製造しておく。また、(c)に示すように、組付け前のボア部91は、組付け後は真円断面となるような非真円断面に製造しておく。
【0052】
以上に述べたボア部91にホーニング加工を施し、同時にボア部91における加工量を検出する加工方法について、図7〜図9に基づいて説明する。
ホーニング加工方法は、砥石接触工程、第1距離検出工程、第2距離検出工程、演算工程、差評価工程からなる。
【0053】
砥石接触工程では、図7(a)に示すように、ホーニングヘッド20を矢印(6)のようにボア部91へ下降させる。(b)に示すように、砥石22がボア部91の上端に達したとき、(c)に示すように、拡張軸24を下げ(矢印(7))、砥石台40を拡張させる(矢印(8)、(9))。すると、砥石22がボア部91に当たる。このとき、弾性部材23の作用によって、砥石22がボア部91に弾性的に押し当てられる。
【0054】
次に、第1距離検出工程及び第2距離検出工程を図8に基づいて説明する。
第1距離検出工程では、(a)に示すように、ホーニングヘッド20を矢印(10)のように回転させながら、矢印(11)のように下降させ、砥石22による研削を行う。第1エアマイクロノズル11は螺旋状の軌跡92を描きながら下降する。
【0055】
<Pが、ヘッド本体30一回転当たりの軸方向の送り量と一致している場合:>
(b)に示すように、ホーニングヘッドが360°回転したとき、ホーニングヘッド20の送り量Lは、第1エアマイクロノズル11と第2エアマイクロノズル12との間のピッチPと一致する。したがって、(b)における第2エアマイクロノズル12の位置は、(a)における第1エアマイクロノズル11の位置と一致する。
【0056】
<Pが、ヘッド本体30複数回転当たりの軸方向の送り量と一致している場合:>
(b)に示すように、ホーニングヘッドが、複数回×360°回転したとき、ホーニングヘッド20の送り量Lは、第1エアマイクロノズル11と第2エアマイクロノズル12との間のピッチPと一致する。したがって、(b)における第2エアマイクロノズル12の位置は、(a)における第1エアマイクロノズル11の位置と一致する。
したがって、第1エアマイクロノズル11と第2エアマイクロノズル12との間のピッチPは、ヘッド本体30一回転若しくは複数回転当たりの軸方向の送り量と一致していればよい。
【0057】
(a)から(b)に至る間、第1エアマイクロノズル11からエアを噴射し、圧力計(図1、符号67)で得られた背圧に基づいて、ボア部91との距離c7を第1距離検出手段(図1、符号13)にて検出する。検出した距離c7の情報は、砥石22が通過する前(加工前)の距離c7として演算手段(図1、符号16)に送られる。
【0058】
(b)に示すように、ホーニングヘッド20をさらに矢印(12)のようにn°回転させながら、矢印(13)のように下降させ、砥石22による研削を行う。このとき、第2エアマイクロノズル12は、第1エアマイクロノズル11の軌跡92を辿る。
【0059】
(b)から(c)に至る間、すなわち、ボア部91軸方向の距離Dの範囲において、第2エアマイクロノズル12からエアを噴射し、圧力計(図1、符号68)で得られた背圧に基づいて、ボア部91との距離c8を第2距離検出手段(図1、符号14)にて検出する。検出した距離c8の情報は、砥石22が通過した後(加工後)の距離の情報として演算手段(図1、符号16)に送られる。
【0060】
次に、演算工程を図9に基づいて説明する。図9はホーニングヘッドの回転角と距離との関係を示す図である。
図9(a)に示すように、第2距離検出手段で得た曲線93を回転角360°分、矢印(14)のように平行移動させる。これで、第1距離検出手段で得た曲線94と、第2距離検出手段で得た曲線93の横軸(回転角)の範囲が一致する。
【0061】
結果、(b)に示すように、調べたい検出点における距離の差Δ1、Δ2、Δ3〜Δn、Δ(n+1)が得られる。この距離の差Δ1、Δ2、Δ3〜Δn、Δ(n+1)がボア部(図8、符号91)の加工量である。この加工量の情報は差評価手段(図1、符号17)に送られる。
【0062】
差評価工程では、差評価手段(図1、符号17)にて、これらの差Δ1、Δ2、Δ3〜Δn、Δ(n+1)が、予め定めた規格値の範囲内で有るか否かを評価し、この評価の結果を表示手段(図1、符号18)にて表示する。
例えば、加工量がα未満であることを規格とした場合の評価結果の例を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
表1に示すように、検出点1では、加工量Δ1がα未満であるため、評価は(○)となる。検出点3では、加工量Δ3がαを越えており、評価は(×)となる。検出点3では、加工量Δ4がαと一致したため、評価は(△)となる。
【0065】
このように使用者は、調べたい検出点1〜(n+1)について、加工量を知ることができると同時に、規格値に対する加工量の評価結果を表示手段(図1、符号18)で確認することができる。
【0066】
また、加工量の評価結果を活用してホーニング加工装置(図1、符号10)の加工条件を変更したり、あるいは、評価結果の情報をホーニング加工装置(図1、符号10)にフィードバックすることもできる。
【0067】
なお、本実施例では、ホーニングヘッド(図8、符号20)が下降するときの加工量を求めたが、ホーニングヘッド(図8、符号20)が上昇するときに、加工量を求めてもよい。すなわち、ホーニングヘッド(図8、符号20)が上昇するときに、先行するエアマイクロノズル(図8、符号12)で、加工前のボア部(図8、符号91)との距離を求め、後行するエアマイクロノズル(図8、符号11)で、加工後のボア部(図8、符号91)との距離を求めて、加工量の検出・評価を行ってもよい。
【0068】
また、表示手段(図1、符号18)においては、回転角検出手段(図1、符号72)、移動量検出手段(図1、符号73)で得られたホーニングヘッド(図1、符号20)の回転角及び移動量の情報を表示させてもよい。
【0069】
尚、本発明のホーニング加工技術は、実施の形態では面が湾曲しているボア部の加工に適用したが、真円形断面のボア部の加工に適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明のホーニング加工技術は、面が湾曲しているボア部の加工に好適である。
【符号の説明】
【0071】
10…ホーニング加工装置、11…第1エアマイクロノズル、12…第2エアマイクロノズル、13…第1距離検出手段、14…第2距離検出手段、16…演算手段、20…ホーニングヘッド、22…砥石、30…ヘッド本体、40…砥石台、80…内燃機関、82…シリンダ、91…ボア部(被加工面)、L…軸方向の送り量。
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離検出手段を備えたホーニング加工技術の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ボア部の精密な仕上げにホーニング加工が広く用いられる。仕上げ精度を評価するために被加工面までの距離を検出する手段を備えたホーニング加工装置が提案されている(例えば、特許文献1(第3図)参照。)。
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図10は従来のホーニング加工装置の基本構成を説明する図であり、ホーニング加工装置100は、ボア部101に挿入され、ボア部101の軸方向に移動可能で且つ回転可能なホーニングヘッド102と、このホーニングヘッド102の外周に設けられホーニングヘッド102の姿勢を規制する複数のガイド103とを備える。
【0004】
ガイド103の上部又は下部に、ボア部101に向けて開口するエアマイクロノズル104が設けられている。このエアマイクロノズル104からボア部101にエアを噴射し、エアマイクロノズル104の背圧を検出することで、エアマイクロノズル104とボア部101との距離c1を検出することができる。
そして、加工前の距離c1と加工後の距離c2を検出すれば、加工量を算出することが可能である。
【0005】
ところで、図11に示すように、面が湾曲しているボア部101Bにホーニング加工を行うことがある。ボア部101Bは、(a)に示すように、軸方向に湾曲しており、(b)に示すように、周方向にも湾曲している。
【0006】
このように面が湾曲しているボア部101Bの加工においても、加工量を算出することが求められる。
そこで、このボア部101Bに、特許文献1のホーニング加工装置(図10、符号100)を適用した場合を考える。
【0007】
図12(a)に示すように、ボア部101Bの軸方向において、エアマイクロノズル104とボア部101Bとの距離c3、c4は一定でなく、(b)に示すように、ボア部101Bの周方向においても、エアマイクロノズル104とボア部101Bとの距離c5、c6は一定でない。
【0008】
一般の真円形断面のボア部であれば、エアマイクロノズルとの距離は一定となるため、特許文献1の技術により、加工量の算出は可能である。
しかし、エアマイクロノズル104との距離c3〜c6が一定にならないボア部101Bでは、特許文献1の技術を単に用いても、加工量を算出することは容易でない。したがって、ホーニング加工においてエアマイクロノズルとボア部との距離の検出手段、検出方法に改良が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭62−277262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、面が湾曲している被加工面の加工において、加工量が検出できるホーニング加工技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、筒状の被加工面に挿入され、この被加工面の軸方向に移動可能で且つ回転可能なヘッド本体と、このヘッド本体に取付けられる砥石台と、この砥石台の外周面に取付けられ前記被加工面を研削する砥石とからなるホーニングヘッドを備えるホーニング加工装置において、
前記砥石よりも前記ヘッド本体の先端側にて前記ヘッド本体に設けられ、エアを前記被加工面に噴射する第1エアマイクロノズルと、
この第1エアマイクロノズルから前記ヘッド本体の基端側に前記ヘッド本体一回転若しくは複数回転当たりの軸方向の送り量だけ離して前記ヘッド本体に設けられ、エアを前記被加工面に噴射する第2エアマイクロノズルと、
前記第1エアマイクロノズルの背圧又は流量に対応して、前記第1エアマイクロノズルと前記被加工面との距離を検出する第1距離検出手段と、
前記第2エアマイクロノズルの背圧又は流量に対応して、前記第2エアマイクロノズルと前記被加工面との距離を検出する第2距離検出手段と、
前記第1距離検出手段で得られた距離と前記第2距離検出手段で得られた距離との差を求める演算手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る発明では、被加工面は、内燃機関のシリンダにおけるボア部であって、ボア部は軸方向及び周方向に湾曲している面であることを特徴とする。
【0013】
請求項3に係る発明は、筒状の被加工面に挿入され、この被加工面の軸方向に移動可能で且つ回転可能なヘッド本体と、このヘッド本体に取付けられる砥石台と、この砥石台の外周面に取付けられ前記被加工面を研削する砥石と、この砥石を挟むように前記ヘッド本体の軸方向に沿って配置され、エアを前記被加工面に噴射する第1エアマイクロノズル及び第2エアマイクロノズルとを備えるホーニング加工装置を用い、
前記ヘッド本体を360度回転させながら前記被加工面の軸方向に移動させ、前記第1エアマイクロノズルの背圧又は流量に対応して、前記第1エアマイクロノズルと前記被加工面との距離を検出する第1距離検出工程と、
前記第1エアマイクロノズルの軌跡を前記第2エアマイクロノズルが通るように前記ヘッド本体を更に回転させながら、前記第2エアマイクロノズルの背圧又は流量に対応して、前記第2エアマイクロノズルと前記被加工面との距離を検出する第2距離検出工程と、
前記第1距離検出工程で得られた距離と、前記第2距離検出工程で得られた距離との差を求める演算工程とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明では、第1エアマイクロノズルを砥石よりもヘッド本体の先端側にてヘッド本体に設け、第2エアマイクロノズルを第1エアマイクロノズルからヘッド本体の基端側にヘッド本体一回転若しくは複数回転当たりの軸方向の送り量だけ離してヘッド本体に設け、第1距離検出手段により第1エアマイクロノズルと被加工面との距離を検出し、第2距離検出手段により第2エアマイクロノズルと被加工面との距離を検出し、演算手段により、第1距離検出手段で得た距離と第2距離検出手段で得た距離との差を求めるようにした。
【0015】
第2エアマイクロノズルを第1エアマイクロノズルからヘッド本体一回転若しくは複数回転当たりの軸方向の送り量だけ離してヘッド本体に設けたので、第1エアマイクロノズルの軌跡と第2エアマイクロノズルの軌跡が重なる。この重なる軌跡上において、砥石が通過する前(加工前)の被加工面との距離を第1エアマイクロノズル及び第1距離検出手段にて検出した後、砥石が通過した後(加工後)の被加工面との距離を第2エアマイクロノズル及び第2距離検出手段にて検出することができる。そして、第1距離検出手段で得た距離と第2距離検出手段で得た距離との差演算手段により求めることができる。結果、加工量を得ることができる。
【0016】
ヘッド本体を360度以上回転させながら軸方向に移動させれば、いかなる面形状の被加工面であっても、第1エアマイクロノズルの軌跡と第2エアマイクロノズルの軌跡が重なる。
本発明では、この重なる軌跡上において、被加工面との距離の検出を行うため、被加工面の形状は問わない。したがって、被加工面が湾曲していても加工量を得ることができる。
【0017】
本発明によれば、面が湾曲している被加工面の加工において、加工量が検出できるホーニング加工技術が提供される。
【0018】
請求項2に係る発明では、被加工面は、内燃機関のシリンダにおけるボア部であって軸方向及び周方向に湾曲している面とした。
面が湾曲しているシリンダのボア部の加工において、加工量を検出することができる。
【0019】
請求項3に係る発明では、ヘッド本体を360度回転させながら、第1エアマイクロノズルと被加工面との距離を検出する第1距離検出工程と、第1エアマイクロノズルの軌跡を第2エアマイクロノズルが通るようにヘッド本体を更に回転させながら、第2エアマイクロノズルと被加工面との距離を検出する第2距離検出工程と、第1距離検出工程で得られた距離と、第2距離検出工程で得られた距離との差を求める演算工程とからなる。
【0020】
第1距離検出工程において、砥石が通過する前(加工前)の被加工面と第1マイクロノズルとの距離を検出した後、第2距離検出工程において、砥石が通過した後(加工後)の被加工面と第1エアマイクロノズルとの距離を検出する。第2検出工程は、第1エアマイクロノズルの軌跡上にて第2エアマイクロノズルにより行われる。結果、演算工程において、第1距離検出工程で得られた距離と、第2距離検出工程で得られた距離との差を求めることで、加工量を得ることができる。
【0021】
ヘッド本体を360度以上回転させながら軸方向に移動させれば、いかなる面形状の被加工面であっても、第1エアマイクロノズルの軌跡と第2エアマイクロノズルの軌跡が重なる。
本発明では、この重なる軌跡上において、被加工面との距離の検出を行うため、被加工面の形状は問わない。したがって、被加工面が湾曲していても加工量を得ることができる。
【0022】
本発明によれば、面が湾曲している被加工面の加工において、加工量が検出できるホーニング加工技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るホーニング加工装置の断面図である。
【図2】ホーニングヘッドの分解斜視図である。
【図3】図1の3−3線断面図である。
【図4】図1の4−4線断面図である。
【図5】内燃機関の断面図である。
【図6】シリンダライナの断面図である。
【図7】拡張軸の作用を説明する図である。
【図8】エアマイクロノズルの作用を説明する図である。
【図9】ホーニングヘッドの回転角と距離との関係を示す図である。
【図10】従来のホーニング加工装置の基本構成を説明する図である。
【図11】面が湾曲しているボア部の断面図である。
【図12】ボア部における従来のホーニングヘッドの作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0025】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明に係るホーニング加工装置10は、ホーニングヘッド20と、このホーニングヘッド20の下部に設けられエアを被加工面に噴射する第1エアマイクロノズル11と、ホーニングヘッド20の上部に設けられエアを被加工面に噴射する第2エアマイクロノズル12と、第1エアマイクロノズル11と被加工面との距離を検出する第1距離検出手段13と、第2エアマイクロノズル12と被加工面との距離を検出する第2距離検出手段14と、第1距離検出手段13で得られた距離と第2距離検出手段14で得られた距離との差を求める演算手段16と、この演算手段16で得られた距離の差を評価する差評価手段17と、この差評価手段17で得られた結果を表示する表示手段18とを備える。
【0026】
第1エアマイクロノズル11からエアを噴射しながら、エア背圧を圧力計67で連続的に測定する。第1エアマイクロノズル11の前方に存在する被加工面が第1エアマイクロノズル11に接近すると、エア背圧が上昇する。被加工面が第1エアマイクロノズルから離れると、エア背圧が下がる。この現象を利用して、第1距離検出手段13及び第2距離検出手段14により、第1エアマイクロノズル11及び第2エアマイクロノズル12から被加工面までの距離を計測する。
【0027】
圧力計67、68を流量計に代えてもよい。この場合、第1エアマイクロノズル11から被加工面までの距離が小さくなると、流量が小さくなる。この現象を利用して、第1エアマイクロノズル11及び第2エアマイクロノズル12から被加工面までの距離を計測する。
【0028】
図2に示すように、ホーニングヘッド20は、下部に複数(この例では4個)のスリット21が設けられているヘッド本体30と、このヘッド本体30のスリット21に移動可能に収納される複数(この例では4個)の砥石台40と、これらの砥石台40の各々の外周面に取付けられる砥石22と、この砥石22と砥石台40との間に配置され砥石22を砥石台40の外周面から突出する方向に付勢する弾性部材(この例では圧縮コイルばね)23と、ヘッド本体30に上下に移動可能に設けられ複数の砥石台40を拡張させる拡張軸24とからなる。
【0029】
ヘッド本体30は、円柱状の基部26と、隣り合うスリット21の間に形成され基部26から下方に延びる複数(この例では4個)の柱部27と、これらの柱部27の下端を連結する底部28とからなる。柱部27の上部及び下部のそれぞれに、環状のコイルばね31が嵌る複数(この例では4個)の円弧状の溝32が設けられる。
【0030】
図1に戻る。図1に示すように、砥石22はプレート33に固定される。砥石台40に凹部34が設けられる。プレート33は砥石台40の凹部34に嵌る。プレート33と砥石台40との間に弾性部材23が介在される。プレート33及び砥石台40のそれぞれには、弾性部材23の端部を保持して弾性部材23の姿勢を安定させる座ぐり36が設けられる。弾性部材23によって、プレート33及び砥石22は砥石台40の外周面から突出する方向に付勢される。
【0031】
ヘッド本体30の中心に、拡張軸24が通る軸穴37が延びる。拡張軸24は、下方に行くに従って縮径する複数(この例では上下2個)のテーパ面41を有する。
【0032】
砥石台40は、拡張軸24のテーパ面41に対応した複数(この例では上下2個)のテーパ部42を有する。砥石台40の上端部及び下端部のそれぞれに、ヘッド本体30の溝(図2、符号32)と周方向に並ぶ溝43が設けられる。この溝43とヘッド本体30の溝(図2、符号32)にコイルばね31が嵌る。このコイルばね31の作用により、複数の砥石台40はヘッド本体30の中心軸44に向けて付勢される。結果、砥石台40のテーパ部42は拡張軸24のテーパ面41に押付けられる。
【0033】
このように、拡張軸24はヘッド本体30の中心軸44に向けて付勢されているが、拡張軸24が矢印(1)のように移動すると、テーパ面41が砥石台40のテーパ部42を押し、この結果、複数の砥石台40は軸直角方向(矢印(2)、(3))に移動する。
【0034】
図3に示すように、ヘッド本体30の複数のスリット21は、ヘッド本体30の周方向に沿って等間隔に並んで形成される。これらのスリット21のそれぞれに砥石台40が収納される。
【0035】
プレート33の幅方向の両側にビス穴46が設けられる。砥石台40の凹部34に、ビス穴46に対応する雌ねじ穴47が設けられる。ビス穴46に通され雌ねじ穴47にねじ込まれるビス48は、プレート33を位置決めするストッパの役割を果たす。砥石22及びプレート33は、プレート33と凹部34との隙間51において移動可能となる。
【0036】
さらに、ビス穴46の内径は、ビス48の軸部の外径よりも大きく設定されるため、砥石22及びプレート33は、外力が加わると弾性部材23を伸縮させながら揺動することができる。弾性部材23の作用によって、複数の砥石22は、湾曲した被加工面であっても面に追従しながら、いわゆる倣い加工を行うことができる。
【0037】
なお、弾性部材23は、格別に限定されるものではなく、圧縮コイルばねの他、板ばね、皿ばね、ゴム材などの中から任意に選択可能である。また、砥石1個当たりの弾性部材の個数も任意である。
【0038】
図1に戻る。図1に示すように、第1エアマイクロノズル11は、内部に第1ノズル52を有し、底部28に設けられている雌ねじ穴53にねじ込まれる。第1ノズル52は、ヘッド本体30の内部に形成される第1エア通路54と連通する。
【0039】
第2エアマイクロノズル12は、内部に第2ノズル56を有し、基部26の下端に設けられている雌ねじ穴57にねじ込まれる。第2ノズル56は、ヘッド本体30の内部に形成される第2エア通路58と連通する。
【0040】
第1エアマイクロノズル11と第2エアマイクロノズル12との間のピッチPは、ヘッド本体30一回転若しくは複数回転当たりの軸方向の送り量と一致している。第1エアマイクロノズル11と第2エアマイクロノズル12は、砥石22を挟むようにホーニングヘッド20の中心軸44に沿って並ぶ。
【0041】
図4に示すように、第1エア通路54は、第1エアマイクロノズル11からヘッド本体30の中心に延びる通路61と、この通路61に直交する通路62と、この通路62から柱部(図2、符号27)内部を上方に向けて延びる通路(図1、符号63)とからなる。これら通路61〜63は、拡張軸24の下部が挿入される軸穴37と干渉しないように形成される。
【0042】
図1に戻る。図1に示すように、第1エア通路54及び第2エア通路58は、各々、レギュレータ64、66及び圧力計67、68を介して空圧源71と接続される。圧力計67で検出される情報は、第1エアマイクロノズル11の背圧として第1距離検出手段13へ送られる。圧力計68で検出される情報は、第2エアマイクロノズル12の背圧として第2距離検出手段14へ送られる。
【0043】
第1・第2距離検出手段13、14は、例えば空電変換器であり、得られた背圧の情報をエアマイクロノズル11、12と被加工面との距離に変換する。第1・第2距離検出手段11、12で得られた距離の情報は、演算手段16に送られる。
【0044】
この演算手段16には、ホーニングヘッド20の回転角を検出する回転角検出手段72と、ホーニングヘッド20の軸方向の移動量を検出する移動量検出手段73とが接続される。
【0045】
演算手段16では、第1距離検出手段13で得られた距離と、第2距離検出手段14で得られた距離との差を加工量として求める。このとき、演算手段16では、回転角検出手段72と移動量検出手段73からの情報に基づいて、被加工面における検出点と加工量との関係を求める。求めた結果は差評価手段17に送られる。
【0046】
差評価手段17では、演算手段16で得られた距離の差が予め定めた規格範囲内であるか否かを評価する。この評価の結果は、例えばパソコンのディスプレイなどの表示手段18にて表示され、使用者によって結果の確認がなされる。
【0047】
次に、ホーニングヘッド20の加工対象であるシリンダライナについて、図5及び図6に基づいて説明する。
図5に示されるように、内燃機関80は、クランクケース81と、このクランクケース81の上部に取付けられるシリンダ82と、このシリンダ82の上部に取付けられ、カムシャフト83を支持するシリンダヘッド84と、このシリンダヘッド84の上部に取付けられるヘッドカバー86と、シリンダヘッド84及びシリンダ82をクランクケース81へ組付ける複数の締結ボルト87とからなる。
【0048】
締結ボルト87をクランクケース81に締め付けると、シリンダヘッド84及びシリンダ82が僅かであるが変形する。すると、シリンダ82に内蔵されているシリンダライナ88も変形する。
ピストンの摺動を考えると、シリンダライナ88の内周面(ボア部)が歪みのない円筒であることが求められる。
【0049】
そこで、締結ボルト87で締め付けたときに、ボア部が歪みのない円筒になるように、締め付け前のシリンダライナ88では、変形量を見込んで、軸方向で湾曲させたり、径方向で非円形にするといる対策を講じることが、有効となる。
この対策の具体例を次図で説明する。
【0050】
図6(a)に示すように、シリンダライナ(シリンダスリーブとも呼ばれる)88の内周面がボア部(被加工面)91となる。
【0051】
(b)に示すように、組付け前のボア部91は、組付け後は直線となるような非直線、すなわち軸方向(矢印(4)、(5))に湾曲した面に製造しておく。また、(c)に示すように、組付け前のボア部91は、組付け後は真円断面となるような非真円断面に製造しておく。
【0052】
以上に述べたボア部91にホーニング加工を施し、同時にボア部91における加工量を検出する加工方法について、図7〜図9に基づいて説明する。
ホーニング加工方法は、砥石接触工程、第1距離検出工程、第2距離検出工程、演算工程、差評価工程からなる。
【0053】
砥石接触工程では、図7(a)に示すように、ホーニングヘッド20を矢印(6)のようにボア部91へ下降させる。(b)に示すように、砥石22がボア部91の上端に達したとき、(c)に示すように、拡張軸24を下げ(矢印(7))、砥石台40を拡張させる(矢印(8)、(9))。すると、砥石22がボア部91に当たる。このとき、弾性部材23の作用によって、砥石22がボア部91に弾性的に押し当てられる。
【0054】
次に、第1距離検出工程及び第2距離検出工程を図8に基づいて説明する。
第1距離検出工程では、(a)に示すように、ホーニングヘッド20を矢印(10)のように回転させながら、矢印(11)のように下降させ、砥石22による研削を行う。第1エアマイクロノズル11は螺旋状の軌跡92を描きながら下降する。
【0055】
<Pが、ヘッド本体30一回転当たりの軸方向の送り量と一致している場合:>
(b)に示すように、ホーニングヘッドが360°回転したとき、ホーニングヘッド20の送り量Lは、第1エアマイクロノズル11と第2エアマイクロノズル12との間のピッチPと一致する。したがって、(b)における第2エアマイクロノズル12の位置は、(a)における第1エアマイクロノズル11の位置と一致する。
【0056】
<Pが、ヘッド本体30複数回転当たりの軸方向の送り量と一致している場合:>
(b)に示すように、ホーニングヘッドが、複数回×360°回転したとき、ホーニングヘッド20の送り量Lは、第1エアマイクロノズル11と第2エアマイクロノズル12との間のピッチPと一致する。したがって、(b)における第2エアマイクロノズル12の位置は、(a)における第1エアマイクロノズル11の位置と一致する。
したがって、第1エアマイクロノズル11と第2エアマイクロノズル12との間のピッチPは、ヘッド本体30一回転若しくは複数回転当たりの軸方向の送り量と一致していればよい。
【0057】
(a)から(b)に至る間、第1エアマイクロノズル11からエアを噴射し、圧力計(図1、符号67)で得られた背圧に基づいて、ボア部91との距離c7を第1距離検出手段(図1、符号13)にて検出する。検出した距離c7の情報は、砥石22が通過する前(加工前)の距離c7として演算手段(図1、符号16)に送られる。
【0058】
(b)に示すように、ホーニングヘッド20をさらに矢印(12)のようにn°回転させながら、矢印(13)のように下降させ、砥石22による研削を行う。このとき、第2エアマイクロノズル12は、第1エアマイクロノズル11の軌跡92を辿る。
【0059】
(b)から(c)に至る間、すなわち、ボア部91軸方向の距離Dの範囲において、第2エアマイクロノズル12からエアを噴射し、圧力計(図1、符号68)で得られた背圧に基づいて、ボア部91との距離c8を第2距離検出手段(図1、符号14)にて検出する。検出した距離c8の情報は、砥石22が通過した後(加工後)の距離の情報として演算手段(図1、符号16)に送られる。
【0060】
次に、演算工程を図9に基づいて説明する。図9はホーニングヘッドの回転角と距離との関係を示す図である。
図9(a)に示すように、第2距離検出手段で得た曲線93を回転角360°分、矢印(14)のように平行移動させる。これで、第1距離検出手段で得た曲線94と、第2距離検出手段で得た曲線93の横軸(回転角)の範囲が一致する。
【0061】
結果、(b)に示すように、調べたい検出点における距離の差Δ1、Δ2、Δ3〜Δn、Δ(n+1)が得られる。この距離の差Δ1、Δ2、Δ3〜Δn、Δ(n+1)がボア部(図8、符号91)の加工量である。この加工量の情報は差評価手段(図1、符号17)に送られる。
【0062】
差評価工程では、差評価手段(図1、符号17)にて、これらの差Δ1、Δ2、Δ3〜Δn、Δ(n+1)が、予め定めた規格値の範囲内で有るか否かを評価し、この評価の結果を表示手段(図1、符号18)にて表示する。
例えば、加工量がα未満であることを規格とした場合の評価結果の例を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
表1に示すように、検出点1では、加工量Δ1がα未満であるため、評価は(○)となる。検出点3では、加工量Δ3がαを越えており、評価は(×)となる。検出点3では、加工量Δ4がαと一致したため、評価は(△)となる。
【0065】
このように使用者は、調べたい検出点1〜(n+1)について、加工量を知ることができると同時に、規格値に対する加工量の評価結果を表示手段(図1、符号18)で確認することができる。
【0066】
また、加工量の評価結果を活用してホーニング加工装置(図1、符号10)の加工条件を変更したり、あるいは、評価結果の情報をホーニング加工装置(図1、符号10)にフィードバックすることもできる。
【0067】
なお、本実施例では、ホーニングヘッド(図8、符号20)が下降するときの加工量を求めたが、ホーニングヘッド(図8、符号20)が上昇するときに、加工量を求めてもよい。すなわち、ホーニングヘッド(図8、符号20)が上昇するときに、先行するエアマイクロノズル(図8、符号12)で、加工前のボア部(図8、符号91)との距離を求め、後行するエアマイクロノズル(図8、符号11)で、加工後のボア部(図8、符号91)との距離を求めて、加工量の検出・評価を行ってもよい。
【0068】
また、表示手段(図1、符号18)においては、回転角検出手段(図1、符号72)、移動量検出手段(図1、符号73)で得られたホーニングヘッド(図1、符号20)の回転角及び移動量の情報を表示させてもよい。
【0069】
尚、本発明のホーニング加工技術は、実施の形態では面が湾曲しているボア部の加工に適用したが、真円形断面のボア部の加工に適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明のホーニング加工技術は、面が湾曲しているボア部の加工に好適である。
【符号の説明】
【0071】
10…ホーニング加工装置、11…第1エアマイクロノズル、12…第2エアマイクロノズル、13…第1距離検出手段、14…第2距離検出手段、16…演算手段、20…ホーニングヘッド、22…砥石、30…ヘッド本体、40…砥石台、80…内燃機関、82…シリンダ、91…ボア部(被加工面)、L…軸方向の送り量。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の被加工面に挿入され、この被加工面の軸方向に移動可能で且つ回転可能なヘッド本体と、このヘッド本体に取付けられる砥石台と、この砥石台の外周面に取付けられ前記被加工面を研削する砥石とからなるホーニングヘッドを備えるホーニング加工装置において、
前記砥石よりも前記ヘッド本体の先端側にて前記ヘッド本体に設けられ、エアを前記被加工面に噴射する第1エアマイクロノズルと、
この第1エアマイクロノズルから前記ヘッド本体の基端側に前記ホーニングヘッド一回転若しくは複数回転当たりの軸方向の送り量だけ離して前記ヘッド本体に設けられ、エアを前記被加工面に噴射する第2エアマイクロノズルと、
前記第1エアマイクロノズルの背圧又は流量に対応して、前記第1エアマイクロノズルと前記被加工面との距離を検出する第1距離検出手段と、
前記第2エアマイクロノズルの背圧又は流量に対応して、前記第2エアマイクロノズルと前記被加工面との距離を検出する第2距離検出手段と、
前記第1距離検出手段で得られた距離と前記第2距離検出手段で得られた距離との差を求める演算手段とを備えることを特徴とするホーニング加工装置。
【請求項2】
前記被加工面は、内燃機関のシリンダにおけるボア部であって、ボア部は軸方向及び周方向に湾曲している面であることを特徴とする請求項1記載のホーニング加工装置。
【請求項3】
筒状の被加工面に挿入され、この被加工面の軸方向に移動可能で且つ回転可能なヘッド本体と、このヘッド本体に取付けられる砥石台と、この砥石台の外周面に取付けられ前記被加工面を研削する砥石と、この砥石を挟むように前記ヘッド本体の軸方向に沿って配置され、エアを前記被加工面に噴射する第1エアマイクロノズル及び第2エアマイクロノズルとを備えるホーニング加工装置を用い、
前記ホーニングヘッドを360度回転させながら前記被加工面の軸方向に移動させ、前記第1エアマイクロノズルの背圧又は流量に対応して、前記第1エアマイクロノズルと前記被加工面との距離を検出する第1距離検出工程と、
前記第1エアマイクロノズルの軌跡を前記第2エアマイクロノズルが通るように前記ホーニングヘッドを更に回転させながら、前記第2エアマイクロノズルの背圧又は流量に対応して、前記第2エアマイクロノズルと前記被加工面との距離を検出する第2距離検出工程と、
前記第1距離検出工程で得られた距離と、前記第2距離検出工程で得られた距離との差を求める演算工程とからなることを特徴とするホーニング加工方法。
【請求項1】
筒状の被加工面に挿入され、この被加工面の軸方向に移動可能で且つ回転可能なヘッド本体と、このヘッド本体に取付けられる砥石台と、この砥石台の外周面に取付けられ前記被加工面を研削する砥石とからなるホーニングヘッドを備えるホーニング加工装置において、
前記砥石よりも前記ヘッド本体の先端側にて前記ヘッド本体に設けられ、エアを前記被加工面に噴射する第1エアマイクロノズルと、
この第1エアマイクロノズルから前記ヘッド本体の基端側に前記ホーニングヘッド一回転若しくは複数回転当たりの軸方向の送り量だけ離して前記ヘッド本体に設けられ、エアを前記被加工面に噴射する第2エアマイクロノズルと、
前記第1エアマイクロノズルの背圧又は流量に対応して、前記第1エアマイクロノズルと前記被加工面との距離を検出する第1距離検出手段と、
前記第2エアマイクロノズルの背圧又は流量に対応して、前記第2エアマイクロノズルと前記被加工面との距離を検出する第2距離検出手段と、
前記第1距離検出手段で得られた距離と前記第2距離検出手段で得られた距離との差を求める演算手段とを備えることを特徴とするホーニング加工装置。
【請求項2】
前記被加工面は、内燃機関のシリンダにおけるボア部であって、ボア部は軸方向及び周方向に湾曲している面であることを特徴とする請求項1記載のホーニング加工装置。
【請求項3】
筒状の被加工面に挿入され、この被加工面の軸方向に移動可能で且つ回転可能なヘッド本体と、このヘッド本体に取付けられる砥石台と、この砥石台の外周面に取付けられ前記被加工面を研削する砥石と、この砥石を挟むように前記ヘッド本体の軸方向に沿って配置され、エアを前記被加工面に噴射する第1エアマイクロノズル及び第2エアマイクロノズルとを備えるホーニング加工装置を用い、
前記ホーニングヘッドを360度回転させながら前記被加工面の軸方向に移動させ、前記第1エアマイクロノズルの背圧又は流量に対応して、前記第1エアマイクロノズルと前記被加工面との距離を検出する第1距離検出工程と、
前記第1エアマイクロノズルの軌跡を前記第2エアマイクロノズルが通るように前記ホーニングヘッドを更に回転させながら、前記第2エアマイクロノズルの背圧又は流量に対応して、前記第2エアマイクロノズルと前記被加工面との距離を検出する第2距離検出工程と、
前記第1距離検出工程で得られた距離と、前記第2距離検出工程で得られた距離との差を求める演算工程とからなることを特徴とするホーニング加工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−86282(P2012−86282A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232713(P2010−232713)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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