説明

ホーン間隔測定調整具

【課題】 アークホーンからの落下を確実に防止でき、しかもホーンの間隔の測定および調整にも使用することが可能なホーン間隔測定調整具を提供する。
【解決手段】 一方の主ホーン13の先端部が挿入可能な第1の保持部21bを有する第1の測定バー21と、第1の測定バー21と相対移動可能に連結され他方の主ホーン13の先端部に挿入可能な第2の保持部26を有する第2の測定バー25と、第1の測定バー21に設けられ第1の保持部21bから第2の測定バー25の基準点Zまでの距離を表示する第1の目盛部22と、第2の測定バー25に設けられ基準点Zに対する一方の主ホーン13の先端部と他方の主ホーン13の先端部との間の測定距離の差を表示する第2の目盛部27とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、架空送電線における落雷によるがいしの絶縁破壊を防止するために用いられるアークホーンの間隔測定具に関し、とくにアークホーンの間隔の測定と調整を可能にしたホーン間隔測定調整具に関する。
【背景技術】
【0002】
架空送電線は、鉄塔との絶縁を確保するため絶縁耐力に優れた送電用がいしを介して鉄塔に支持されている。送電用がいしは、両端に連結用金具が取付けられており、各連結用金具には落雷によるがいしの絶縁破壊を防止するためのアークホーンが装着されている。アークホーンの間隔は、絶縁距離を適正に保つために、例えば許容誤差が±2パーセントに設定されている。
【0003】
従来からアークホーンの間のギャップ長を測定するゲージが知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1のゲージは、一端側に一方のアークホーンの先端部に掛けるための段状の係止部が形成されており、他端側にはギャップ長が許容範囲内にある場合のみに他方のアークホーンの先端部が嵌合する段部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−357402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のゲージは、ギャップ長が許容範囲外であれば、ゲージを外してアークホーンを調整する必要があり、作業性が悪いという問題がある。また、特許文献1のゲージは、ギャップ長が長すぎると、ゲージをアークホーンに対して係止させることができず、ゲージの落下によりがいしを破損させるおそれがある。したがって、ゲージは、測定時にアークホーンに対して確実に保持させることが望まれる。また、ゲージは、アークホーンの間隔の測定だけでなく間隔の調整も行うことができれば、汎用性が高く便利である。
【0006】
そこでこの発明は、アークホーンからの落下を確実に防止でき、しかもホーンの間隔の測定および調整にも使用することが可能なホーン間隔測定調整具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、一方のアークホーンの先端部が挿入可能な第1の保持部を有する第1の測定バーと、前記第1の測定バーと相対移動可能に連結され他方のアークホーンの先端部に挿入可能な第2の保持部を有する第2の測定バーと、前記第1の測定バーと前記第2の測定バーのいずれかに設けられ前記第1の保持部から前記第2の測定バーの基準点までの距離を表示する第1の目盛部と、前記第2の測定バーに設けられ前記基準点に対する前記一方のアークホーンの先端部と前記他方のアークホーンの先端部との間の測定距離の差を表示する第2の目盛部と、を備えたことを特徴とするホーン間隔測定調整具である。
【0008】
この発明によれば、第1の測定バーと第2の測定バーとを相対移動させて、第1の保持部から第2の測定バーの基準点までの距離を規定値に設定する。そして、一方のアークホーンの先端部を第1の保持部に挿入するとともに、他方のアークホーンの先端部を第2の保持部に挿入することで、基準点に対する一方のアークホーンの先端部と他方のアークホーンの先端部との間の測定距離の差が第2の目盛部に表示される。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のホーン間隔測定調整具において、前記第1の測定バーと前記第2の測定バーとの相対移動をロックするロック手段を有することを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のホーン間隔測定調整具において、前記第1の保持部は、前記アークホーンの角度に応じて揺動可能であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、一方のアークホーンの先端部に第1の測定バーの第1の保持部が保持され、他方のアークホーンの先端部に第2の測定バーの第2の保持部が保持されるので、ホーン間隔測定調整具をアークホーンに対して確実に保持させることができ、落下によるがいしの破損を防止することができる。
【0012】
また、ホーン間隔測定調整具がアークホーンに対して保持された状態では、第2の目盛部には、基準点に対する一方のアークホーンの先端部と他方のアークホーンの先端部との間の測定距離の差が表示されるので、第2の目盛部を見ながらアークホーンの位置を調整することが可能となり、作業能率を高めることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、ロック手段により第1の測定バーと第2の測定バーとの相対移動をロックすることができるので、アークホーンの間隔の規定値に応じて第1の測定バーと第2の測定バーとの相対位置を変えることが可能となり、規定値が多岐にわたる場合でもアークホーンの間隔の測定および調整が可能となる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、第1の保持部はアークホーンの角度に応じて揺動可能であるので、アークホーンの種類によってアークホーンの角度が異なる場合でも、測定および調整が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1に係わるホーン間隔測定調整具の正面図である。
【図2】図1のホーン間隔測定調整具の底面図である。
【図3】図1のホーン間隔測定調整具の側面図である。
【図4】図1のホーン間隔測定調整具が適用される長幹がいしの正面図である。
【図5】図4の長幹がいしに装着されるアークホーンの正面図である。
【図6】図1のホーン間隔測定調整具の変形例を示す部分拡大断面図である。
【図7】図4の長幹がいしの変形例を示す正面図である。
【図8】図7の長幹がいしに装着されるアークホーンの正面図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係わるホーン間隔測定調整具の正面図である。
【図10】図9のホーン間隔測定調整具の平面図である。
【図11】図9のホーン間隔測定調整具の側面図である。
【図12】図9のホーン間隔測定調整具を用いた懸垂がいしのアークホーン間隔の測定状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
つぎに、この発明の実施の形態について図面を用いて詳しく説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1ないし図8は、この発明の実施の形態1を示している。図4は、架空送電線路に設けられる長幹がいし1を示している。長幹がいし1は、複数の笠部が形成された磁器棒2を有している。磁器棒2の軸方向の両端部には、連結用金具3が接着によって取付けられている。長幹がいし1は、一本単独または数本連結して使用される。図4に示す長幹がいし1の左側の連結用金具3の本体部3aは、連結ボルト3cを介して送電用鉄塔(図示略)側の連結具5と連結されている。長幹がいし1の右側の連結用金具3の本体部3aは、別の長幹がいし1を介して送電線(図示略)側に連結されている。
【0018】
長幹がいし1には、雷による絶縁破壊から磁器棒2を保護するアークホーン10が取付けられている。アークホーン10は、図5に示すように、ホーン保持用クランプ11と、主ホーン13と、連結棒14と、円弧ホーン15を有している。ホーン保持用クランプ11は、2分割型のクランプであり、連結用金具3の外周に長幹がいし1の軸心Cを中心として上下方向にそれぞれ設けられている。すなわち、ホーン保持用クランプ11は、長幹がいし1の連結用金具3を上下方向からクランプするようになっており、締結部11b同士をボルト(図示略)により締結することにより、連結用金具3の本体部3aに形成された周方向に延びる凸条部(図示略)に装着されている。
【0019】
図5に示すように、一方のホーン保持用クランプ11の円弧部11aには、主ホーン13が取付けられている。主ホーン13は、断面形状が円形の金属棒から構成されており、金属棒の表面には亜鉛メッキが施されている。主ホーン13の一端は、保持用クランプ11の円弧部11aに溶接W1によって接合されている。図4および図5に示すように、主ホーン13は、保持用クランプ11の円弧部11aから起端部側が上方に直線状に延び、中間部は磁器棒2側に向けて斜め方向に延び、終端部側が再び直線状に延びている。主ホーン13の先端部は、半球面状に形成されている。
【0020】
他方のホーン保持用クランプ11の円弧部11aには、下方に延びる連結棒14が取付けられている。連結棒14は、断面形状が円形の金属棒から構成されている。連結棒14の起端部は、ホーン保持用クランプ11の円弧部11aに溶接W2によって接合されている。連結棒14の他端部は、図4に示すように直角に屈曲されており、屈曲された端部には、円弧ホーン15が溶接によって接合されている。円弧ホーン15は、長幹がいし1の軸心Cを中心とした略C字状に形成されている。
【0021】
図1は、長幹がいし1に適用されるホーン間隔測定調整具20を示している。ホーン間隔測定調整具20は、携帯に便利な例えばアルミニウム合金などの軽合金から構成されている。ホーン間隔測定調整具20は、第1の測定バー21と、第2の測定バー25とを有している。第1の測定バー21は、第2の測定バー25に対して矢印F1方向に移動可能に連結され細長の部材から構成される長尺部21aを有している。長尺部21aの一端には、第1の保持部21bが形成されている。第1の保持部21bには、長幹がいし1の一方の主ホーン13の先端部が挿入可能となっている。第1の保持部21bにおける主ホーン13の先端部が挿入可能な第1の保持空間部21cは、開口部から奥側に行くにつれて縮径するテーパー状となっており、第1の保持空間部21cの奥部の径は、主ホーン13の先端部の径よりも僅かに大に設定されている。
【0022】
長尺部21aの他側には、第1の測定バー21と第2の測定バー25との相対位置を表示する第1の目盛部22が設けられている。第1の測定バー21と第2の測定バー25との相対位置は、第1の目盛部22に対する第2の測定バー25の端面の位置により特定される。第1の目盛部22は、第1の保持部21bから第2の測定バー25の基準点Zまでの距離を表示する機能を有している。この実施の形態1においては、第1の測定バー21が第2の測定バー25の保持溝25aに摺動可能に嵌合されており、第2の測定バー25側には第1の測定バー21と第2の測定バー25との相対移動をロックするロック手段としてのロックネジ29が設けられている。ロックネジ29は、第2の測定バー25に螺合されており、ロックネジ29によって第1の測定バー21を押圧することにより、第1の測定バー21と第2の測定バー25との相対移動がロックされるようになっている。
【0023】
第2の測定バー25には、長幹がいし1における他方の主ホーン13の先端部が挿入可能な第2の保持部26が設けられている。第2の保持部26における主ホーン13の先端部が挿入可能な第2の保持空間部26aは、開口部から奥側に行くにつれて同じ断面積を有している。第2の保持空間部26aにおける第1の測定バー21と第2の測定バー25との相対移動方向の長さは、主ホーン13の径に対して数倍に設定されている。第2の測定バー25の他端には、落下防止用の紐(図示略)が挿通される金具25bが設けられている。
【0024】
第2の測定バー25の第2の保持部26の下側には、第2の目盛部27が設けられている。第2の保持空間部26aに主ホーン13の先端部が挿入された状態では、挿入された主ホーン13の位置を第2の目盛部27によって読み取ることが可能となっている。上述したように、第2の測定バー25の端面によって示される第1の目盛部22の測定値は、第1の保持部21bから第2の目盛部27の基準点Zまでの距離を示しており、この第1の目盛部22の測定値が規定値になるように、ロックネジ29にて第1の測定バー21と第2の測定バー25の動きをロックすることが可能となっている。第2の目盛部27は、基準点Zに対する一方の主ホーン13の先端部と他方の主ホーン13の先端部との間の測定距離の差を表示する機能を有している。
【0025】
図1および図2に示すように、第1の測定バー21の第1の保持部21bには、落下防止用の第1の磁石23が設けられている。第1の磁石23は、第1の保持部21bの外周面に沿う円弧状に形成されている。第2の測定バー25の第2の保持部26には、落下防止用の第2の磁石28が設けられている。第2の磁石25は、長方形に形成されており、第2の保持部26の両側外面に接合されている。
【0026】
図7および図8は、架空送電線の送電電圧が実施の形態1よりも高い場合に用いられる主ホーン13´および円弧ホーン15´を装着した長幹がいし1の例を示している。ホーン保持用クランプ11から延びる主ホーン13´は、先端部が図8に示すように円形に形成されている。また、連結棒14を介してホーン保持用クランプ11と連結される円弧ホーン15´は、先端部が図7に示すように円形に形成されている。
【0027】
図6は主ホーン13´の先端部を保持するための第1の保持部21dを示している。第1の保持部21dには、主ホーン13´の先端部が挿入可能な第1の保持空間部21eが形成されている。第1の保持空間部21eは、主ホーン13´の先端部が容易に挿入可能な大きさに設定されている。測定時には、主ホーン13´の先端部を第1の保持空間部21eにおける第2の測定バー25に近い壁面21fに接触させるようになっている。
【0028】
つぎに、実施の形態1におけるホーン間隔測定調整具20の取扱手順および作用について説明する。
【0029】
図1に示す長幹がいし1の主ホーン13の間隔を測定する際には、ホーン間隔測定調整具20を長幹がいし1に向けて移動させ、一方の主ホーン13を第1の保持部21bの第1の保持空間部21cを挿入し、他方の主ホーン13を第2の保持部26の第1の保持空間部26aを挿入する。この状態では、一方の主ホーン13は第1の保持部21bに対してほぼガタなく嵌合しており、他方の主ホーン13を第2の保持部26の側面側に位置する第2の保持空間部26aを介して目視することができる。これにより、他方の主ホーン13が第2の目盛部27のどの位置にあるかを把握することができ、一方の主ホーン13と他方の主ホーン13との間隔を測定することができる。
【0030】
ここで、測定時にはホーン間隔測定調整具20は、一方の主ホーン13の先端部に第1の測定バー21の第1の保持部21bが保持され、他方の主ホーン13の先端部に第2の測定バー25の第2の保持部26が保持された状態となるので、ホーン間隔測定調整具20から手を離しても、ホーン間隔測定調整具20が落下することはなくなる。また、ホーン間隔測定調整具20が主ホーン13に保持された状態では、第2の目盛部27には、基準点Zに対する一方の主ホーン13の先端部と他方の主ホーン13の先端部との間の測定距離の差が表示されるので、第2の目盛部27を見ながら主ホーン13の位置を調整することが可能となり、主ホーン13の間の距離L1を許容範囲内(2%以内)に調整することが可能となる
【0031】
このように、ホーン間隔測定調整具20を主ホーン13に対して確実に保持させることができるので、従来のような測定具の落下による長幹がいし1の破損を確実に防止することができる。また、ホーン間隔測定調整具20を主ホーン13に対して保持させた状態で主ホーン13の位置を調整することができるので、一人での作業が可能になるとともに、作業能率を高めることができる。
【0032】
(実施の形態2)
図9ないし図12は、この発明の実施の形態2を示している。図12は、架空送電線路に設けられる懸垂がいし40のホーン間隔測定調整具30によるホーン間隔の測定状態を示している。図12において、懸垂がいし40は直列に複数連結されており、両端に位置する懸垂がいし40の近傍にはそれぞれ主ホーン42、45が設けられている。一方の主ホーン42は、保持金具41に連結されている。この保持金具41には、懸垂がいし40の外周に位置する円弧ホーン44が連結金具43を介して接続されている。保持金具41には、送電線側の引張り金具48が接続されている。他方の主ホーン45は、別の保持金具41に連結されている。主ホーン45側の保持金具41には、懸垂がいし40の外周に位置する円弧ホーン47が連結金具46を介して接続されており、主ホーン45側の保持金具41には、送電用鉄塔側の引張り金具49が接続されている。
【0033】
図9は、懸垂がいし40に適用されるホーン間隔測定調整具30を示している。ホーン間隔測定調整具30は、携帯に便利な例えばアルミニウム合金などの軽合金から構成されている。ホーン間隔測定調整具30は、第1の測定バー31と、第2の測定バー35とを有している。第1の測定バー31は、第2の測定バー35に対して矢印F2方向に移動可能に連結されている。第1の測定バー31の一端には、第1の保持部33が形成されている。第1の保持部33は、第1の測定バー31の一端に設けられた支持部32の軸部32aを中心として上下方向に揺動可能に支持されており、主ホーン42の角度に応じて揺動可能となっている。
【0034】
第1の保持部33には、主ホーン42の先端部が挿入可能となっている。第1の保持部33における主ホーン42の先端部が挿入可能な第1の保持空間部33aは、開口部から奥側に行くにつれて縮径するテーパー状となっており、第1の保持空間部33aの奥部の内面33bの径は、主ホーン42の先端部の径よりも僅かに大に設定されている。
【0035】
第2の測定バー35には、第1の測定バー31と第2の測定バー35との相対位置を表示する第1の目盛部36が設けられている。第1の測定バー31と第2の測定バー35との相対位置は、第1の目盛部36に対する第1の測定バー31の端面の位置により特定される。第1の目盛部36は、第1の保持部33から第2の測定バー35の基準点Zまでの距離を表示する機能を有している。この実施の形態2においては、第2の測定バー35が第1の測定バー31の保持溝31aに摺動可能に嵌合されており、第1の測定バー31側には第1の測定バー31と第2の測定バー35との相対移動をロックするロック手段としてのロックネジ34が設けられている。ロックネジ34は、第1の測定バー31に螺合されており、ロックネジ34によって第2の測定バー35を押圧することにより、第1の測定バー31と第2の測定バー35との相対移動がロックされるようになっている。
【0036】
第2の測定バー35には、懸垂がいし40における他方の主ホーン45の先端部が挿入可能な第2の保持部35cが設けられている。第2の保持部35cにおける主ホーン45の先端部が挿入可能な第2の保持空間部35aは、開口部から奥側に行くにつれて同じ断面積を有している。第2の保持空間部35aにおける第1の測定バー31と第2の測定バー35との相対移動方向の長さは、主ホーン45の径に対して数倍に設定されている。第2の測定バー35の他方には、落下防止用の紐(図示略)が挿通される金具35bが設けられている。
【0037】
第2の測定バー35における第2の保持部35cの近傍には、第2の目盛部37が設けられている。第2の目盛部37は、第1の目盛部36の表示に基づき一方の主ホーン42の先端部と他方の主ホーン45の先端部との間の距離L2を測定する機能を有している。第2の保持空間部35cに主ホーン45の先端部45aが挿入された状態では、挿入された主ホーン45の先端部45aの位置を第2の目盛部37によって読み取ることが可能となっている。ここで、上述したように、第1の測定バー31の端面によって示される第1の目盛部36の測定値は、第1の保持部33から第2の目盛部37の基準点Zまでの距離を示しており、この第1の目盛部36の測定値が規定値になるように、ロックネジ34にて第1の測定バー31と第2の測定バー35の動きをロックすることが可能となっている。第2の目盛部37は、基準点Zに対する一方の主ホーン42の先端部42aと他方の主ホーン45の先端部45aとの間の測定距離の差を表示する機能を有している。
【0038】
つぎに、実施の形態2におけるホーン間隔測定調整具30の取扱手順および作用について説明する。
【0039】
図12に示す懸垂がいし40の主ホーン42、45の間隔を測定する際には、ホーン間隔測定調整具30を懸垂がいし40に向けて移動させ、一方の主ホーン42を第1の保持部33の第1の保持空間部33aに挿入し、他方の主ホーン45を第2の保持部35cの第1の保持空間部35aに挿入する。この状態では、一方の主ホーン42は第1の保持部33に対してほぼガタなく嵌合しており、他方の主ホーン45を第2の保持部35cの側面側に位置する第2の保持空間部35aを介して目視することができる。これにより、他方の主ホーン45の先端部45aが第2の目盛部37のどの位置にあるかを把握することができ、一方の主ホーン42と他方の主ホーン45との間隔を測定することができる。
【0040】
ここで、測定時にはホーン間隔測定調整具30は、一方の主ホーン42の先端部に第1の測定バー31の第1の保持部33が保持され、他方の主ホーン45の先端部に第2の測定バー35の第2の保持部35cが保持された状態となるので、ホーン間隔測定調整具30から手を離しても、ホーン間隔測定調整具30は落下することはなくなる。したがって、ホーン間隔測定調整具30を双方の主ホーン42、45に保持させた状態で、主ホーン42、45の位置を修正することができ、主ホーン42、45の間隔を調整することも可能となる。
【0041】
このように、ホーン間隔測定調整具30を主ホーン42、45に対して確実に保持させることができるので、落下による懸垂がいし40の破損を確実に防止することができる。また、ホーン間隔測定調整具30を主ホーン42、45に対して保持させた状態で主ホーン42、45の位置を調整することができるので、主ホーン42、45間の距離L2を許容範囲内(2%以内)に調整することが可能となる。さらに、第1の保持部33は主ホーン42の角度に応じて揺動可能であるので、アークホーンの種類によって主ホーン42の角度が異なる場合でも、測定および調整が可能となる。
【0042】
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、実施の形態1においては、ホーン間隔測定調整具20、30は、携帯に便利な例えばアルミニウム合金などの軽合金から構成したが、さらに軽量化が可能な炭素繊維で補強した合成樹脂などから構成してもよい。また、ロック手段としてロックネジ29、34を採用しているが、ロック手段はロックネジ29、34に限られず、カム式のロック機構を用いた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 長幹がいし
13 主ホーン(アークホーン)
20 ホーン間隔測定調整具
21 第1の測定バー
21b 第1の保持部
22 第1の目盛部
25 第2の測定バー
26 第2の保持部
27 第2の目盛部
29 ロックネジ(ロック手段)
30 ホーン間隔測定調整具
31 第1の測定バー
33 第1の保持部
35 第2の測定バー
35c 第2の保持部
36 第1の目盛部
37 第2の目盛部
34 ロックネジ(ロック手段)
40 懸垂がいし
42 主ホーン(アークホーン)
45 主ホーン(アークホーン)
Z 基準点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方のアークホーンの先端部が挿入可能な第1の保持部を有する第1の測定バーと、
前記第1の測定バーと相対移動可能に連結され他方のアークホーンの先端部に挿入可能な第2の保持部を有する第2の測定バーと、
前記第1の測定バーと前記第2の測定バーのいずれかに設けられ前記第1の保持部から前記第2の測定バーの基準点までの距離を表示する第1の目盛部と、
前記第2の測定バーに設けられ前記基準点に対する前記一方のアークホーンの先端部と前記他方のアークホーンの先端部との間の測定距離の差を表示する第2の目盛部と、
を備えたことを特徴とするホーン間隔測定調整具。
【請求項2】
前記第1の測定バーと前記第2の測定バーとの相対移動をロックするロック手段を有することを特徴とする請求項1に記載のホーン間隔測定調整具。
【請求項3】
前記第1の保持部は、前記アークホーンの角度に応じて揺動可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のホーン間隔測定調整具。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−67024(P2011−67024A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216097(P2009−216097)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】