説明

ボタン電話システム及びそれに用いる音声データ通信方法

【課題】 NATルータを跨ったIP電話機間の音声パケットを直接通信可能なボタン電話システムを提供する。
【解決手段】 ルータ4はNAT機能41と、ポートフォワード機能42とを有し、IPネットワーク100から1個のグローバルIPアドレスがアサインされると、ポートフォワード機能42にてグローバルIPの特定ポート宛のデータをLAN内の指定IPアドレスに転送する。ルータ4はこのポートフォワード機能42を利用し、そのポートフォワードの情報をIP電話機2,3,6,7毎にボタン電話装置1側に登録する。これによって、ルータ4にて変換されるIPアドレスをボタン電話装置1側がパス制御時に理解可能となり、正確な情報で各々のIP電話機2,3,6,7のパス制御が可能となり、容易にかつ安価にルータ4越えの通話パス制御が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボタン電話システム及びそれに用いる音声データ通信方法に関し、特にIP(Internet Protocol)電話機を収容するボタン電話システムにおけるIP電話機間の音声データの通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、伝送路のブロードバンド化に伴って、IP電話機が普及してきている。これに伴って、少数の電話回線を多数の電話機で使用可能とするボタン電話システムにも、IP電話機を収容可能とするシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、NAT(Network Address Translation)ルータ経由の通信を行った場合のアドレス解決方法としては、u−PnP(universal−Plug and Play)プロトコル等に対応したルータを使用し、ネットワーク機器からu−PnP等のプロトコルによってルータ内でのNAT変換等を参照して通信させる方法がある。
【0004】
一方、IP電話機間のダイレクト通信の場合には、制御データについて、呼制御を司る部分(この場合には、ボタン電話システム)と通信を行い、音声データに関してIP電話機間でダイレクトに通信が行われる。
【0005】
【特許文献1】特開2003−283658号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来のIP電話機間のダイレクトの音声パケット通信では、制御データを通信するIPアドレス(呼制御を司るシステム、この場合にはボタン電話システム)と、RTP(Real−time Transport Protocol)パケットをダイレクトに通信するためのIPアドレス(この場合には、通話が確立した相手IP電話機)とが異なるので、ルータ越えで通話を行う場合、単純にNAT変換を利用することができない。
【0007】
また、従来の音声パケット通信において、通話パスを確立するためには、RTPパケットを一旦、呼制御を司る装置(この場合には、ボタン電話システム)で終端し、RTPパケットを目的のIP電話機にフォワードする機能を追加するか、あるいは特別なuPnP等のルータを制御するプロトコルをサポートしたルータに交換し、かつ呼制御を司る装置(この場合には、ボタン電話システム)でもuPnPプロトコルに対応しなければならず、システムのコストアップとなってしまう。
【0008】
また、IPネットワーク接続のために、ルータにてセキュリティ対策を行っている環境では、IP電話機を制御する制御パケットと音声パケットとの送付先アドレスが異なるために、ルータのNAT変換機能で対応することができず、音声通信が不可能となってしまう。
【0009】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、NATルータを跨ったIP電話機間の音声パケットを直接通信することができるボタン電話システム及びそれに用いる音声データ通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるボタン電話システムは、NAT(Network Address Translation)ルータによる外部からの不正進入を防止するセキュリティ環境化に設置されたIP(Internet Protocol)電話機を収容するボタン電話システムであって、前記NATルータ外のIP電話機と前記NATルータ内のIP電話機との間で音声パケットをダイレクトに通信するための双方のアドレスを解決する手段を備えている。
【0011】
本発明による音声データ通信方法は、NAT(Network Address Translation)ルータによる外部からの不正進入を防止するセキュリティ環境化に設置されたIP(Internet Protocol)電話機を収容するボタン電話システムに用いる音声データ通信方法であって、前記ボタン電話システム側に、前記NATルータ外のIP電話機と前記NATルータ内のIP電話機との間で音声パケットをダイレクトに通信するための双方のアドレスを解決するステップを備えている。
【0012】
すなわち、本発明のボタン電話システムは、IP(Internet Protocol)電話機毎に使用するRTP(Real−time Transport Protocol)パケット(音声パケット)のUDP(User Datagram Protocol)ポート番号をボタン電話システム内でユニークとなるように指定し、IP電話機がボタン電話システムにレジストレーションされる時にIPアドレスと使用するRTPポート番号を通知している。
【0013】
また、本発明のボタン電話システムでは、ルータに設定されているポートフォワード情報及びルータにアサインされたグローバルIPアドレス情報を予めボタン電話システム内にも設定しておくことによって、NAT(Network Address Translation)ルータの先のIP電話機とのRTP(音声パケット)通信を行う場合に、ルータに設定されているポートフォワード情報にしたがって、ボタン電話システムと同一のLAN(Local Area Network)内のIP電話機間の通話の場合、レジストレーション時に入手したIPアドレスで通信可能となり、ボタン電話システム側からのパス制御が可能となる。さらに、本発明のボタン電話システムでは、使用するRTPポート番号をボタン電話システムからの指示で呼毎に変更させることが可能となる。
【0014】
よって、本発明のボタン電話システムでは、u−PnP(universal−Plug and Play)に対応していない安価なルータにおいても、ルータの一般的な機能であるポートフォワード機能を利用し、IP電話機間のダイレクト通信(Peer to Peer通信)においても、音声データのIPアドレス解決が可能となる。
【0015】
つまり、本発明のボタン電話システムでは、IP電話機毎に使用するRTP(音声パケット)ポート番号をユニークに指定し、かつこのポート番号毎にルータ上のポートフォワード機能でLAN内の決められたIP電話機のIPアドレス及びポート番号にパケットフォワードされるように設定することによって、LAN内のIP電話機とWAN(Wide Area Network)(NATルータを越えた)のIP電話機とのダイレクト通話(Peer to Peer通話)が、u−PnPのプロトコル等に対応した特別なルータを準備することなく、また音声パケットを一旦ボタン電話システム内で終端して目的のIP電話機にパケットフォワードすることなく、その呼制御を司るボタン電話システム側のデータ設定及びルータの設定追加だけで可能となる。
【0016】
この場合、本発明のボタン電話システムでは、上記のポートフォワード情報及びルータにアサインされたグローバルIPアドレスをボタン電話システム内に予め記憶させる。これらの情報によって、本発明のボタン電話システムでは、NATルータの外側のIP電話機及びLAN内のIP電話機に対し、NAT変換を考慮したIPアドレス及びRTPポート番号での音声パス制御が可能となる。
【0017】
また、本発明のボタン電話システムでは、内部にDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ機能が内蔵されている場合、ボタン電話システムでの制御で各IP電話機のIPアドレスが変更可能となり、かつ使用するRTPポート番号も変更することで、固定IPアドレス/固定ポートでの盗聴防止につながるので、IP電話機が使用するIPアドレス及びRTPポート番号をボタン電話システムの制御で定期的に変更することによって、簡易セキュリティ機能として使用することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、以下に述べるような構成及び動作とすることで、NATルータを跨ったIP電話機間の音声パケットを直接通信することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施例によるボタン電話システムの構成を示すブロック図である。図1において、本発明の一実施例によるボタン電話システムは、電話回線を効率よく使用するために、少数の電話回線を多数の電話機で使用可能とするシステムであり、IP(Internet Protocol)電話機ネットワークに接続可能となっている。
【0020】
本発明の一実施例によるボタン電話システムは、ボタン電話装置1と、IP電話機2,3と、本システムをファイアウォール5を介してIPネットワーク100に接続するためのルータ4とから構成されている。IPネットワーク100にはIP電話機6,7が接続されている。
【0021】
ボタン電話装置1はLAN(Local Area Network)インタフェースを有し、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ機能11と、内蔵して呼制御を司る呼制御部12と、ネットワークデバイスを管理するデバイス管理部13と、IP電話機2,3個々に呼制御の振る舞い方を指定するパラメータを格納するデータベース14とから構成されている。
【0022】
電話機2,3,6はLANインタフェースを有する電話機で、制御信号及び音声データのデータ通信をIP層のプロトコルを使用して行っている。電話機7はPC(パーソナルコンピュータ)にインストールするIPソフトフォンであり、機能に関してはIP電話機と同様とする。
【0023】
ルータ4はNAT(Network Address Translation)機能41と、ポートフォワード機能42とを有し、IPネットワーク100から1個のグローバルIPアドレスがアサインされると、ポートフォワード機能42にてグローバルIPの特定ポート宛のデータをLAN内の指定IPアドレスに転送する。
【0024】
図2は図1の各ネットワークデバイスのIPアドレス、ポート番号及びルータ4のポートフォワード設定例の表を示す図である。図2において、ボタン電話装置1のローカルIPアドレスは“X”であり、制御データ(シグナルデータ)のポート番号を“M”とする。同様に、IP電話機2のローカルIPアドレスは“Y”であり、RTP(Real−time Transport Protocol)ポート番号を“y”とし、IP電話機3のローカルIPアドレスは“Z”であり、RTPポート番号を“z”とする。
【0025】
IP電話機6はWAN(Wide Area Network)側に位置し、グローバルIPアドレスを“A”、RTPポート番号を“a”とし、IP電話機7(IPソフトフォン)はグローバルIPアドレスを“B”、RTPポート番号を“b”とする。
【0026】
また、ルータ4には1つのグローバルIPアドレス“C”がアサインされており、ローカルIPアドレスは不要で、デフォルトゲートウェイのIPアドレス“D”設定で問題なく、逆方向であるWAN側からのデータをLANに通すためのポートフォワード設定を、ポート“M“のデータをIPアドレス“X”(ボタン電話装置1)へ、ポート“x”のデータをIPアドレス“X”(ボタン電話装置1)へ、ポート“y”のデータをIPアドレス“Y”(IP電話機2)へ、ポート“z”のデータをIPアドレス“Z”(IP電話機3)へポートフォワードするように設定している。
【0027】
図3は図1のボタン電話装置1内のデータベース14への情報登録動作を示すシーケンスチャートである。図3において、ボタン電話装置1内のデータベース14には予めルータ4でのポートフォワード設定に一致した情報が登録される。
【0028】
各IP電話機2,3,6,7はその登録操作において、LAN内からのレジストか、WANからの接続かを指定し、ボタン電話装置1は各IP電話機2,3,6,7から登録要求(レジスト要求)及びIP/MAC(Media Access Control)アドレス情報を受けると、このIP電話機2,3,6,7の登録(レジスト)を許可する場合、受信したIPアドレスを記憶し、レジスト要求に対するレジストACK(ACKnowledgement)(デバイス管理登録許可)を返すとともに、「使用するRTPポート番号」を通知する。
【0029】
図4は図1のボタン電話装置1に設定されるデータベース14のリストを示す図である。図4において、データベース14のリストの種類にはシステムベースのデータとIP電話機2,3,6,7毎のデータとが存在する。
【0030】
システムベースのデータにはシグナル用のポート番号指定(M)、ルータ4のグローバルIPアドレス指定(C)及びデフォルトゲートウェイ設定(D)が存在する。
【0031】
また、IP電話機ベースのデータには各IP電話機2,3,6,7が使用するRTPポート番号を設定する。このRTPポート番号はIP電話機2,3,6,7毎にユニークな設定が必要となる。
【0032】
つまり、IP電話機ベースのデータには使用するRTPポート番号(IP電話機2=y,IP電話機3=z,IP電話機6=a)、電話機番号指定(IP電話機2=1000,IP電話機3=2000,IP電話機6=3000,IP電話機7=4000,・・・)が存在する。
【0033】
図5は図1のボタン電話装置1内のデバイス管理データを示す図である。図5において、ボタン電話装置1内のデバイス管理部13はIP電話機2,3,6,7の登録時に、IP電話機2,3,6,7から受信したMACアドレス、IPアドレス、接続形態指定の情報をIP電話機2,3,6,7単位に管理する。
【0034】
図5ではIP電話機2のMACアドレス(O)、IPアドレス(Y)、接続形態指定(LAN)と、IP電話機3のMACアドレス(P)、IPアドレス(Z)、接続形態指定(LAN)と、IP電話機6のMACアドレス(Q)、IPアドレス(A)、接続形態指定(WAN)と、IP電話機7のMACアドレス(R)、IPアドレス(B)、接続形態指定(WAN)とが管理されている。
【0035】
図6は本発明の一実施例によるIP電話機間でのダイレクト接続(Peer to Peer接続)の動作を示すフローチャートである。図6では、実際に2台のIP電話機の音声パスをIP電話機間でダイレクト接続する場合の接続相手のIPアドレス及びRTPポート番号を決定する動作を示している。
【0036】
IP電話機はバス接続相手のIP電話機がLAN内か、WAN側かと、自IP電話機がLAN内か、WAN側かとに応じて、接続に通知するIPアドレス及びRTPポート番号を求め、パス接続指示を行う。
【0037】
図7は本発明の一実施例において使用するRTP(音声パケット)ポート番号をダイナミックに変更する動作を示すシーケンスチャートである。図7では使用するRTP(音声パケット)ポート番号をダイナミックに変更する動作を示している。
【0038】
ボタン電話装置1は通話パス切断処理後、使用するRTPを変更する場合に空きのRTPポートを検索し、IP電話機2,3,6,7に「使用するRTPポート番号」の変更指示を行う。
【0039】
これら図1〜図7を参照して本発明の一実施例によるボタン電話システムの動作について説明する。まず始めに、ボタン電話装置1でのデータベース14の設定を行う(図4参照)。
【0040】
ボタン電話装置1でのデータベース14にはグローバルIPアドレス(ルータ4)として“C”、シグナリング用のポート番号として“M”、デフォルトゲートウェイ設定として“D”、各IP電話機2,3,6,7で使用するRTPポート番号をユニークになるように設定する。
【0041】
次に、ルータ4のポートフォワード設定を行う(図2参照)。この場合には、LAN内に接続されている、または接続する予定のIP電話機台数分のポートフォワード設定がルータ4に必要となる。
【0042】
ルータ4のポートフォワード設定には各IP電話機2,3,6,7で使用するRTPポート番号を各IP電話機2,3,6,7のLAN内のIPアドレスと同じRTPポート番号にフォワードするように指定する。この場合、WAN側のIP電話機の設定は不要である。
【0043】
続いて、ボタン電話装置1における制御処理について説明する。各IP電話機2,3,6,7はボタン電話装置1に接続する前に、各IP電話機2,3,6,7側でボタン電話装置1のIPアドレス(グローバルIPアドレス)を記憶させる(図3のa1)。その後、各IP電話機2,3,6,7はレジスト操作にてボタン電話装置1への登録(レジスト要求)操作を行う。この場合、LAN内の接続であるか、WANからの接続であるかをレジスト操作にて指定する(図3のb2)。
【0044】
レジスト操作実行後、各IP電話機2,3,6,7はボタン電話装置1に対して、レジスト要求コマンド[自IPアドレス/自MACアドレス及び接続形態(LANまたはWAN)を含む]を送出する(図3のb3)。
【0045】
ボタン電話装置1はレジスト要求コマンドを受信すると、登録可能なIP電話機と判断した場合に受信したIP電話機2,3,6,7のMACアドレス/IPアドレス及び接続形態(LANまたはWAN)からデバイス管理テーブルを作成する(図3のa4、図5参照)
【0046】
その後、ボタン電話装置1はレジストされたIP電話機2,3,6,7が使用するRTPポート番号を予め登録されたデータベース(図4参照)から求め(図3のa5)、レジストACKコマンド(使用するRTPポート番号含む)をレジストしてきたIP電話機2,3,6,7に返信する(図3のa6)。
【0047】
IP電話機2,3,6,7はレジストACKコマンドを受信すると、使用するRTPポート番号を記憶する(図3のa7)。
次に、IP電話機2,3,6,7間の通話を確立するためのRTPパケットの送受信をすべく相手IP電話機のIPアドレス及びRTPポート番号の求め方の手順について説明する。
【0048】
最初に、IP電話機2,3,6,7はパス接続相手のIP電話機の接続形態(LANまたはWAN)を求め、次に自IP電話機の接続形態(LANまたはWAN)を求め、この結果の組み合わせによって、以下の手順を決定してパス制御を実行する。
【0049】
IP電話機2,3,6,7はパス接続相手のIP電話機及び自IP電話機の接続形態がともにLAN内の場合(図6ステップS1,S2)、あるいはパス接続相手のIP電話機及び自IP電話機の接続形態がともにWANの場合(図6ステップS1,S4)、デバイス管理テーブル(図5参照)にて登録・管理されているIPアドレス及びデータベース14に予め登録された使用するRTPポート番号(図4参照)にてパス接続制御を指示する(図6ステップS3)。
【0050】
また、IP電話機2,3,6,7はパス接続相手のIP電話機の接続形態がLAN内で、自IP電話機の接続形態がWANの場合(図6ステップS1,S2)、あるいはパス接続相手のIP電話機の接続形態がWANで、自IP電話機の接続形態がLAN内の場合、システムデータで登録されているグローバルIPアドレス(ルータ4)(図4参照)及びデータベース14に予め登録された使用するRTPポート番号(図4参照)にてパス制御を指示する(図6ステップS5)。
【0051】
具体的には、同一形態内の通話(LAN内同士またはWAN内同士)の場合には、上記のステップS3に示すように、レジスト時に登録してきたIPアドレスを使用する。
【0052】
また、LAN−WANに跨る通話の場合には、上記のステップS5に示すように、LAN内のIP電話機2,3にポートフォワードで変換されたIPアドレスを、WAN側のIP電話機6,7にルータ4にアサインされたグローバルIPアドレスを通知する。尚、RTPポート番号に関しては予め登録された番号を一貫して使用する。
【0053】
このように、本実施例では、上記のようなIPアドレス及びRTPポート番号のアドレス解決方式によって、NATルータを越えたIP電話機間の通話が確立可能となる。
【0054】
尚、簡易セキュリティ機能として、通話パス切断時にボタン電話装置1側の設定にて使用可能なRTPポート番号が存在する場合には、データベース14の使用RTPポート番号を変更するとともに、IP電話機2,3,6,7に対して使用RTPポート番号の変更指示を行い、それを受信したIP電話機2,3,6,7は記憶していた使用RTPポート番号を変更し、次のパス接続から有効とする(図7のb1〜b4)。
【0055】
このように、本実施例では、IP電話機2,3,6,7毎に使用するRTP(音声パケット)ポート番号をユニークに指定し、かつそのポート番号毎にルータ4上のポートフォワード機能42でLAN内の決められたIP電話機のIPアドレス及びポート番号にパケットフォワードされるように設定する。
【0056】
そこで、本実施例では、このポートフォワード情報及びルータ4にアサインされたグローバルIPアドレスをボタン電話装置1内に予め記憶させている。これらの情報によって、ボタン電話装置1ではNATルータの外側のIP電話機6,7及びLAN内のIP電話機2,3に対してNAT変換を考慮したIPアドレス及びRTPポート番号での音声パス制御が可能となる。
【0057】
よって、本実施例では、LAN内のIP電話機2,3とWAN(NATルータを越えた)のIP電話機6,7とのダイレクト(Peer to Peer)音声通話が、u−PnPのプロトコル等に対応した特別なルータを準備することなく、また音声パケットを一旦ボタン電話装置1内で終端して目的のIP電話機にパケットフォワードすることなく、その呼制御を司るボタン電話装置1側のデータ設定及びルータの設定追加だけで可能となる。
【0058】
また、本実施例では、ボタン電話装置1内にDHCPサーバ機能11が内蔵している場合、ボタン電話装置1の制御で各IP電話機2,3,6,7のIPアドレスを変更することができ、かつ使用するRTPポート番号も変更することで、固定IPアドレス/固定ポートでの盗聴防止を図ることができる。
【0059】
よって、本実施例では、IP電話機2,3,6,7が使用するIPアドレス及びRTPポート番号をボタン電話装置1の制御によって定期的に変更するで、本実施例の方式を簡易セキュリティ機能として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施例によるボタン電話システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1の各ネットワークデバイスのIPアドレス、ポート番号及びルータのポートフォワード設定例の表を示す図である。
【図3】図1のボタン電話装置内のデータベースへの情報登録動作を示すシーケンスチャートである。
【図4】図1のボタン電話装置に設定されるデータベースのリストを示す図である。
【図5】図1のボタン電話装置内のデバイス管理データを示す図である。
【図6】本発明の一実施例によるIP電話機間でのダイレクト接続の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施例において使用するRTPポート番号をダイナミックに変更する動作を示すシーケンスチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1 ボタン電話装置
2,3,6,7 IP電話機
4 ルータ
5 ファイアウォール
11 DHCPサーバ機能
12 呼制御部
13 デバイス管理部
14 データベース
41 NAT機能
42 ポートフォワード機能
100 IPネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
NAT(Network Address Translation)ルータによる外部からの不正進入を防止するセキュリティ環境化に設置されたIP(Internet Protocol)電話機を収容するボタン電話システムであって、前記NATルータ外のIP電話機と前記NATルータ内のIP電話機との間で音声パケットをダイレクトに通信するための双方のアドレスを解決する手段を有することを特徴とするボタン電話システム。
【請求項2】
前記アドレスを解決する手段は、前記IP電話機毎に使用するRTP(Real−time Transport Protocol)ポート番号を指定し、当該RTPポート番号を前記NATルータのポートフォワード機能を用いて期待するIP電話機に転送自在とすることを特徴とする請求項1記載のボタン電話システム。
【請求項3】
前記アドレスを解決するためのポートフォワード設定情報、前記NATルータのグローバルIPアドレス及び前記IP電話機毎に使用する前記RTPポート番号を登録することで、前記NATルータの内外のRTPポートを一元管理し、音声パス制御の際のIPアドレスに対応付けることを特徴とする請求項2記載のボタン電話システム。
【請求項4】
前記IP電話機の登録時に当該IP電話機が前記NATルータの内か外かを指定することで、パス制御のためのアドレスを求める手段を含み、前記NATルータ内のLAN(Local Area Network)内と前記NATルータ外のWAN(Wide Area Network)側との組み合わせによるアドレス解決方法を使用することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか記載のボタン電話システム。
【請求項5】
設定された使用するRTPポート番号を前記IP電話機各々に通知する手段を含み、上位装置側からの指示によって使用するRTPポート番号を制御自在とし、通話毎にダイナミックなRTPポート番号の変更を行うことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか記載のボタン電話システム。
【請求項6】
NAT(Network Address Translation)ルータによる外部からの不正進入を防止するセキュリティ環境化に設置されたIP(Internet Protocol)電話機を収容するボタン電話システムに用いる音声データ通信方法であって、前記ボタン電話システム側に、前記NATルータ外のIP電話機と前記NATルータ内のIP電話機との間で音声パケットをダイレクトに通信するための双方のアドレスを解決するステップを有することを特徴とする音声データ通信方法。
【請求項7】
前記アドレスを解決するステップは、前記IP電話機毎に使用するRTP(Real−time Transport Protocol)ポート番号を指定し、当該RTPポート番号を前記NATルータのポートフォワード機能を用いて期待するIP電話機に転送自在とすることを特徴とする請求項6記載の音声データ通信方法。
【請求項8】
前記アドレスを解決するためのポートフォワード設定情報、前記NATルータのグローバルIPアドレス及び前記IP電話機毎に使用する前記RTPポート番号を登録することで、前記NATルータの内外のRTPポートを一元管理し、音声パス制御の際のIPアドレスに対応付けることを特徴とする請求項7記載の音声データ通信方法。
【請求項9】
前記ボタン電話システム側に、前記IP電話機の登録時に当該IP電話機が前記NATルータの内か外かを指定することで、パス制御のためのアドレスを求めるステップを含み、前記NATルータ内のLAN(Local Area Network)内と前記NATルータ外のWAN(Wide Area Network)側との組み合わせによるアドレス解決方法を使用することを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか記載の音声データ通信方法。
【請求項10】
設定された使用するRTPポート番号を前記IP電話機各々に通知する手段を含み、上位装置側からの指示によって使用するRTPポート番号を制御自在とし、通話毎にダイナミックなRTPポート番号の変更を行うことを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか記載の音声データ通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−74302(P2006−74302A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−253686(P2004−253686)
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】