ボディマス再分布性を有する物質
ボディマス組成を変える能力、および/またはACE阻害活性を有する1つ以上の化合物、または生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグを被験者に投与することを含む、全脂肪の割合を減少する、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の比率を増加することによりボディマス分布を変えることによるボディマス分布の変更法が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は治療用調合剤とボディマス分布変更法に関する。より詳しくは本発明はボディマスを変える方法に使用するフラボノイド、ポリフェノール、ポリペプチド、ロイシンおよび他の分枝鎖アミノ酸、および乳製品生活性物質を含む治療用調合剤に関する。
【背景技術】
【0002】
文書、行動または知識項目が言及される、または議論される本明細書において、この参照文献または議論が文書、行動または知識項目またはその任意の組み合わせが優先日付、入手し得る出版物、公知、一般的常識であることを承認するものでなく、また本明細書が関与するいかなる問題を解決する試みにも関係することが知られていものではない。
無脂肪ボディマスの増加
体が相当量の無脂肪ボディマスを失う症候として悪液質(体の虚弱化および消耗)を伴ういくつかの疾患がある。この様な疾患の例には糖尿病、癌、アルツハイマー病、神経性過食症および拒食症が含まれる。
【0003】
従って、脂肪組織の増加を最小にして、理想的には割合を減らして無脂肪ボディマスの割合の増加を可能にする治療が必要である。
ポリフェノール
ポリフェノール(複数のフェノール性水酸基を有する化合物)は、ワイン、ブドウ、ココアおよびサトウキビを含む様々な食物源に見出される植物化学物質に分類される。ポリフェノール(またはフェノール類)はすべて、共通の基本的化学成分、すなわちフェノール性環構造を有する。アントシアニンおよびカテキン等のいくつかの小分類中に同定されたポリフェノールは少なくとも8000種ある。天然ポリフェノールはフェノール酸等の単純な分子から、タンニン等の高度に重合した化合物の範囲に及ぶ。ポリフェノールの抱合型は最も一般的であり、様々な糖分子、有機酸および脂質(脂肪)がフェノール性環構造に結合している。抱合化学構造の差が、異なる化学分類および化合物の作用方式と健康における性質の違いの原因である。
【0004】
ポリフェノールは以下を含むいくつかの健康上の利点を有すると考えられる:
・ 抗酸化剤活性
・ 癌予防性
・ 心臓病および高血圧保護
・ 抗菌/抗ウイルス活性
・ 抗炎症活性
・ 眼科的性質および
・ 血管保護および強化
ポリフェノールは多くの果実、野菜および花の鮮やかな色の色素(ピンクから深紅色、紫および青にわたる)の素であり、植物を疾病および紫外光線から保護し、発芽まで種子が傷つくことを防止する助けになる。
【0005】
規則的な果実および野菜の摂取と疾患の予防に対する疫学的データは明瞭であるが、残念ながら、単離したフェノール性抗酸化剤を含む補助食品は疾患の予防に関して十分に研究されてこなかった。緑茶、HCA(ヒドロキシクエン酸)およびイヌリンは、これらの製品がグルコース吸収を遅らせる、および/またはインスリンを食欲を制御するように規制するという仮定に基づき、体重減少の利点を主張している。しかし、これはヒトによる制御された臨床実験でさらに証明される必要がある(Functional Food Update 01, National Center of Excellence in Functional Foods, Australia, 2006年6月)。
サトウキビ
アントシアニンは分子に結合した糖ユニットを有するフラビリウム塩であり、主として6種のアントシアニジン−ペラゴニジン、シアニジン、デルフィニジン、ペオニジン、ペチュニジンおよびマルビジン−から誘導される。これらの化合物はB環中のヒドロキシル基の位置と数で異なるが、それらは全て3位に糖ユニットを有し水溶性である。ペチュニジングループを除いて、全てのアントシアニンクラスの代表例はサトウキビ中に存在する。
全てのアントシアニンに共通の基本構造は以下の通りである:
【0006】
【化1】
【0007】
茶
水に次いで、茶は世界中で最も広く消費される飲料の1つである。約300万メートルトンの乾燥茶が毎年生産され、その20%は緑茶、2%はウーロン茶、残りは紅茶である(International tea committee Annual Bulletin of Statistics 2002)。紅茶、ウーロン茶および緑茶は茶の木(Camellia sinensis;ツバキ科の仲間)の葉から製造される。様々な種類の茶が葉の酸化度を変えて製造される。緑茶は新鮮な収穫された葉を高温で蒸気処理して製造され、酸化酵素を不活性化している。これは緑茶中に存在する高いポリフェノール含有量を保存する。紅茶の葉は最も酸化されており、ウーロン茶の葉の酸化は緑茶と紅茶の中間である。
【0008】
茶中のポリフェノールの主成分はフラボノール、具体的にはカテキンである。これらの小さい分子は紅茶およびウーロン茶を製造する酸化プロセス中に相互に反応して、テアフラビンおよびテアルビジンと呼ばれるより大きい、非常に色彩のある化合物を生成する。
【0009】
茶から抽出されたポリフェノールの潜在的な薬学的利益を追究するの多くの研究が最近行われている。茶から一般的に抽出される最も強力な化学保護剤は(−)エピガロカテキン−3−ガレート(EGCG)である。ポリフェノールの血中コレステロール濃度に対する効果の研究で注目された、代謝を増加し脂肪を燃焼する能力から、緑茶ポリフェノールが体重減少を助けることも主張されている。茶ポリフェノールから製造された医薬は、中国で腎炎、慢性肝炎および白血病の治療の一部となっている。他の国でも、緑茶栄養補助剤が販売されている。
【0010】
全てのカテキンに共通の基本構造は以下の通りである:
【0011】
【化2】
【0012】
ココア
テオブロマカカオはポリフェノールを含むフラボノイドの豊かな資源である。ヒトによるダークチョコレートの摂取についてのある研究は、フラボノイドに富んだチョコレートが内皮機能を改善し、血漿中のエピカテキン濃縮を増加することを示している。しかしながら、その研究は酸化ストレス尺度、脂質プロフィル、血圧、体重またはボディマス指数になんらの変化も見出さなかった[Englerら、「フラボノイドに富んだダークチョコレートは健常成人における内皮機能を改善し血漿エピカテキン濃度を増加する(Flavonoid−rich Dark Chocolate Improves Endothelial Function and Increases Plasma Epichatechin Concentration in Healthy Adult)」、J Am Coll Nutr 2004; 23(3):197−204]。
【0013】
ダークチョコレートの摂取に関する他の研究も、血漿の抗酸化能または血清脂質の酸化感受性になんらの変化も見出さなかった。その研究は、チョコレート脂肪酸がLDLの脂肪酸組成を変化させ、それを酸化損傷に対してより抵抗性にする一方、ココアポリフェノールがHDLコレステロールの濃度を増加し得ることを見出した[Mursuら、「ダークチョコレート摂取は健常な人におけるHDLコレステロール濃度を増加し、チョコレート脂肪酸は脂質の過酸化を阻害し得る(Dark chocolate consumption increases hdl cholesterol concentration and chocolate fatty acids may inhibit lipid peroxidation in healthy humans)」, Free Radic Biol Med, 2004, Nov 1; 37(9), 1351−9]。
ACE阻害剤
ACEは体の主な内分泌系の1つであるレニン−アンギオテンシン−アルドステロン系の重要な部分である。ACEはアンギオテンシンI(ANG−I)を切断し、血圧、体内ナトリウムおよび体液恒常性を調節し、その機能を細胞受容体AT−1およびAT−2を経て媒介する強力な血管収縮アンギオテンシンII(AGN−II)とする。ACE阻害剤は血圧低下効果と左心室機能不全と糖尿病性神経障害の治療とに有用であることが示されている。
【0014】
ANG−IIの様々な役割の研究は複数ある:
・ 器官形成(Oliverio MI, Madsen K., Best CF, Ito M., Maeda N, Smithies O, Coffman TM , 「アンギオテンシンIIに対するAT1A受容体を欠くマウスにおける腎臓の成長 と発達(Renal growth and development in mic e lacking AT1A receptor for angiotensin II)」, Am J Physiol 1998; 274: F43−F50)
・ プレ脂肪細胞の形成
・ ヒトプレ脂肪細胞がAT−1受容体サブタイプに対する高い親和性を表す(Cran dall DL, Armellino DC, Busler DE, McHen dry−Rinde B, Kral JG, 「ヒトプレ脂肪細胞中のアンギオテン シンII受容体:細胞周期調節における役割(Angiotensin II rec eptors in human preadiposite: role in c ell cycle regulation)」、Endocrinology, 1 999; 140:154−158)
・ 白色脂肪細胞組織がアンギオテンシノーゲン生産の重要な部位であることが報告され ている(Cassis LA, Saye J, Peach MJ, 「ラットのア ンギオテンシンメッセンジャーRNAの部位と発達(Location and de velopment of rat angiotensin messenger RNA)」、1988;Hypertension 11:591−596)
・ 脂肪細胞形成の刺激または脂肪細胞の形成(Darimont C, Vassau x G, Alihaud G,
Negrel R, 「プレ脂肪細胞の分化:アンギオテンシンIIによる脂肪細胞の 刺激に対するプロスタサイクリンのパラクリン性役割(Differentiatio n of preadiposite cells: paracrine role of prostacyclin upon stimulation of ad ipose cells by angiotensin−II)」、Endocri nology 1994; 135:2030−2036;Saint−Marc P , Kozak LP, Aihaud G, Darimont C, Negre l R,「白色胃脂肪細胞組織の栄養因子としてのアンギオテンシン−II:脂肪細胞 形成の刺激(Angiotensin−II as a trophic facto r of white adipose tissue: stimulation of adipose cell formation)」、Endocrinolo gy 2001; 142:487−492)
・ プレ脂肪細胞およびヒト脂肪細胞における脂肪生成の増加およびトリグリセリド蓄積 (Jones BH, Standridge MK, Moustaid N.「ア ンギオテンシン−IIが3T3−L1およびヒト脂肪細胞における脂肪生成を増加する (Angiotensin−II increases lipogenesis i n 3t3−l1 and human adipose cells)」、Endo crinology 1997; 138:1512−1519)
・ ACE阻害剤(ロサルタン)で処理したラットは脂肪細胞のサイズの減少を示す(Z orad S, Fickova M, Zlezna B, Macho L, K ral JG 「脂肪細胞組織代謝と細胞充実性の調節におけるアンギオテンシン−I Iおよびその受容体の役割(The role of angiotensin−II and its receptor in regulation of adip ose tissue metabolism and cellularity)」 、Gen Physiol. Biophys. 1955; 14:383−391 )
全体として、これらの研究はANG−IIが脂肪細胞組織の発達に重要な役割を果たすことを示している。
【0015】
複数の研究により、ACE阻害剤が体重増加を減少するのに有用であることも示されている。
・ 双方の遺伝子型で食物摂取は同様であっても、アンギオテンシン欠乏マウスでは正常 野生型マウスより体重増加が少ない(Messiera F, Seydoux J, Geloen A, Quignard_Boulange A, Turban S, Saint−Marc P, Fukamizu A, Negrel R, Ailhaud GおよびTeboul M 「アンギオテンシン欠乏マウスは脂肪細 胞組織の発達の変化と歩行活性の増加を伴う食餌誘発体重増加の欠落を示す(Angi otensin−deficient mice exhibit impairme nt of diet−induced weight gain with alt eration in adipose tissue development a nd increase in locomotor activity)」、End ocrinology 2001; 142(12):5220−5225))
・ げっ歯類の過食はANG−II生産の増加をもたらし、継続的なANG−IIの注入 は体重の用量依存性減少を示す結果となる(Cassis LA, Marshall DE, Fettinger MJ, Rosenbluth B, Lodder RA「体重のアンギオテンシン−IIによる調節への寄与機構(Mechanism s contributing to angiotensin ii regula tion of body weight)」Am. J. Physiol. En docrinol. Metab. 1998; 274:E867−E876)
・ 肥満高血圧性被検者では脂肪細胞中のANG−IIが増加し、インスリン抵抗性の発 症における重要な要因であると思われる。これはプレ脂肪細胞の漸増の阻害により悪化 し、その結果脂肪が肝臓および骨格筋に再分布する。このため、ACE阻害は2型糖尿 病の発症を遅らせ、代謝症候群における脂肪細胞組織レニン−アンギオテンシン受容体 系の病態生理学上の役割を有する可能性とがある(Engeli S, Schlin g P, Gorzelniak K, Boschmann M, Janke J , Ailhaud G, Teboul M, Massiera F, Shar ma AM,「脂肪細胞組織レニン−アンギオテンシン−アルドステロン系:代謝症候 群における役割(The adipose−tissue rennin−angio tensin−aldosterone system: role in meta bolic syndrome)」、The International Jour nal of Biochemistry & Cell Biology 2003 ; 35:807−825)
しかしながら、これらの研究のいずれもボディマス組成を変える方法、例えば脂肪質量を減少し無脂肪筋肉の質量を増加する方法を明らかにしなかった。無脂肪ボディマスの増加は必ずしも体重減少と関連しない。従って、依然として悪液質に罹患した被検者を助けるこの様な方法が必要とされる。
乳製品生理化成物質、ロイシン、ACE阻害ペプチドおよび他の分枝鎖アミノ酸
ミルク生理活性物質、ロイシンおよび他の分枝鎖アミノ酸は天然のアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤である。ACE阻害ペプチドはチーズ熟成中の乳酸菌によるミルク蛋白質の酵素分解により放出される。それらはまた、発酵中のミルクおよびホエーから単離し得る(Fitzgerald RJ, Murray BA、「生物活性ペプチドおよび乳酸発酵(Bioactive peptides and lactic fermentation)」、International Journal of Dairy Technology,
2006;59(2):118−125)。ACE阻害乳製品ペプチドは520μmを超えるIC50値を有し、十分な量が発行ミルクおよび発酵乳製品の抽出物から配送されると思われる。乳製品を用いる体重減少が提案されているが(Zemel MBら「糖尿病被検者における全体的および臓器脂肪減少の乳製品による促進(Dairy augmentation of total and central fat loss in obese subjects)」、Int. J. Obes. Relat. Metab. Disord. 2005; 29(4):391−7)、体重減少管理における役割は最近疑問視されている(Gunther CWら、「乳製品が1年の実施で若い女性における体重または脂肪質量の変化をもたらさない(Dairy products do not lead to alteration in body weight or fat mann in young women in a 1−y intervention)」、Am. J. Clin. Nutr.2005;81:751−756)。
肥満
無脂肪ボディマスの割合を増加する方法は、肥満に悩む被検者の治療にも有用である。
【0016】
誰でも体の中に脂肪組織が必要である。体脂肪が多すぎる場合、その結果は肥満である。世界保健機構によれば、成人の3億人以上が肥満であり、11億人以上が体重過剰である。体重過剰および肥満のアメリカ人の数は1960年以来増加し続け、この傾向は減速していない。米国の成人の半分以上(64.5パーセント)が体重過剰であり、ほぼ3分の1(30.5パーセント)が肥満である。毎年、米国では肥満による過剰死亡が30万人以上であり、肥満に関するアメリカの成人の健康管理費用は約1千億ドルに達する。これは喫煙に次ぐ2番目に予防できる死亡である。
【0017】
肥満は高血圧、糖尿病(2型)、心臓病、卒中、胆嚢炎および乳癌、前立腺癌および結腸癌等の病状を発症する危険性を増加する。肥満の傾向は、高カロリーと組み合わさった身体運動の欠如、低コスト食品等の我々の環境で促進される。もしそれを維持できれば、わずか10%の体重減少でも健康を改善し得る。
【0018】
肥満であることと体重過剰であることとは同じ条件ではない。バスルームの体重計により体重の目安が得られ、体重変化を追跡する助けになるが、体重過剰または肥満である場合、または肥満および関連する健康状態を発症する危険がある場合、体重計は最良の方法ではない。
【0019】
肥満であるかどうかを決めるためには、ボディマス指数(BMI)とウエスト周りの長さが必要である。BMIが健康な体重であることを示しても、健康な範囲以上のウエストサイズであることがある。
【0020】
● BMIは身長と体重の双方に基づく数である。この数値は、ある人が体重過剰であ る度合いを判断する助けになり、一般の人に対して全体脂肪の合理的な評価を与える 。BMIは体重そのものより心臓病および2型糖尿病等の健康状態とより良く相関す る。BMIは完璧ではない。運動選手等のある人達は高いBMIが測定されるが、脂 肪より筋肉が多い。BMIの「線引き」は、健康な体重、体重過剰、肥満または極度 の肥満であるかどうかを判断する助けにする数字である。BMIが健康/体重表とは 異なることに注意することが重要である。
【0021】
● 18.5〜24.9=健康な体重
● 25〜29.9=体重過剰
● 30〜34.9=肥満(クラス1)
● 35〜39.9=肥満(クラス2)
● 40以上=過度の肥満(クラス3)
● ウエスト周りの測定が、特に腹部脂肪に関係する危険度を決めるために用いら れる。
【0022】
● 男性:40インチ以上
● 女性:35インチ以上
ウエスト測定値が上記以上であり、BMIが25〜34.9の間であれば、タイプ2糖尿病、高血圧および心臓血管病を発症する危険度が高い。
肥満の原因
遺伝性、環境および行動を含み、肥満をもたらす多くの因子がある。
【0023】
● 遺伝子:個人によっては体重を増加し脂肪を蓄積する遺伝的傾向がある。この傾向 のある誰もが肥満になるわけではないが、遺伝的素質のない人でも肥満になることが ある。いくつかの遺伝子が肥満に寄与すると同定され、研究者達は新しい治療の開発 を導き得るヒトにおける遺伝標的を同定するためのヒト肥満遺伝子マップを作成しつ つある。
【0024】
● 環境:健康な体重を増進する環境とは、栄養食物の合理的な分量の摂取と規則的な 身体活動を勧める環境である。健康な環境は肥満を阻止・治療し体重減少を維持する ために全ての個人で重要である。環境における危険度の高い状態を認識し、意識的に 避けることは、体重制御の努力の助けになる。
【0025】
● 行動:生涯にわたる健康な体重管理を行うことには、規則的な身体活動と栄養に気 をつけた食事が含まれる。体重減少と維持のための具体的な行動戦略には食餌療法と 運動パターンを日記に記録し追跡すること、低カロリー食を摂取すること、脂肪から のカロリーを制限すること、運動により日常的にカロリーを消費すること、定期的に 体重をモニターすること、現実的なゴールを設定すること、および社会的支援ネット ワークを広げることが含まれる。
【0026】
上記の知識にも係わらず、世界における肥満した人の数は増加しつつある。従って、ボディマス分布を変える方法が必要になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
驚くべきことに、全体的なボディマス分布を変える程に、ある化合物が体の食物処理を変更することが発見された。具体的には、これらの化合物を加えない同じ食物の消費と比較して、これらの化合物を食物に添加すると無脂肪質量の脂肪質量に対する比率を増加する結果となる。言い換えれば、これらの化合物は消費された食物から作られる脂肪の量を減らすことができる。これらのボディマス変更化合物にはポリフェノールとミルク生物活性化合物が含まれる。
【0028】
フラボノイドとポリフェノールがACE阻害活性を有することも見出されている。理論に縛られるつもりはないが、ACE阻害活性がこれらの化合物のボディマス組成を変える能力と関連していると考えられる。しかしながら、これらの化合物のボディマス組成を変える能力が、抗酸化性(すなわちポリフェノール)および/またはカルシウム取り込み効果(すなわちミルク蛋白質)とも関連していることは認められている。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の第1の態様では、少なくとも1つのヒドロキシル基を有し、ボディマス組成を変化する能力を有する、有効量の1つまたは複数の化合物、または生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグを被検者に投与することを含む、全体の脂肪の比率を減少する、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の比率を増加することによるボディマスの分布を変える方法が提供される
本発明の第1の態様はまた、少なくとも1つのヒドロキシル基を有し、ボディマス組成を変化する能力を有する、有効量の1つまたは複数の化合物、または生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグ、および許容し得る担体を含む治療用調合物を被検者に投与することを含む方法を提供する。
本発明の第1の態様はまた、少なくとも1つのヒドロキシル基を有し、ボディマス組成を変化する能力を有する、有効量の1つ以上の化合物、またはその生理学的に許容し得るアナログ、誘導体またはそのプロドラッグと、許容し得る担体とを含む、脂肪の全体的な割合を減少する、および/または無脂肪質量の脂肪質量に対する割合を増加するために使用するボディマスの分布を変える治療用調合物を提供する。
【0030】
本発明の第1の態様はまた、脂肪の全体的な割合を減少する、および/または無脂肪質量の脂肪質量に対する比率を増加することによりボディマスの分布を変えるための薬剤の製造において、有効量の少なくとも1つのヒドロキシル基を有し、ボディマス組成を変化する能力を有する1つまたは複数の化合物、または生理学的に許容し得るアナログ、誘導体またはそのプロドラッグと、適当な担体との併用を提供する。
【0031】
本明細書において、用語「少なくとも1つのヒドロキシル基を有し、ボディマス組成を変化する能力を有する化合物」とは、脂質の割合を減少、および/または無脂肪質量の脂肪質量に対する比率を増加することによりボディマス組成を変化させる、ヒドロキシル基を含む任意の化合物を指す。その化合物は動物または植物由来の天然起源であるか、合成で製造される。動物起源の一例はペプチドを含む蛇毒である。植物起源の例は緑茶、ワイン、ココア、サトウキビ、サトウダイコン、サトウキビおよびサトウダイコン廃棄物、糖蜜およびMagnolia lilifloraおよびMagnolia officinalis等の生薬由来のポリフェノールである。この様な化合物の他の例には(i)アントシアニン、カテキン、ポリフェノール、カルコン、フラボノール、フラボン等のフラボノイド、および(ii)ポリペプチド、ロイシンおよび他の分枝鎖アミノ酸、およびホエーの抽出物等の乳製品生理活性物質が含まれる。少なくとも1つのヒドロキシル基を有し、ボディマス組成を変化する能力を有する化合物がフラボノイド、ポリフェノール、ミルク蛋白質、ACE阻害ペプチド、糖蜜、糖蜜抽出物、高フェノール糖およびその混合物でなる群より選ばれることが好ましい。
【0032】
本発明の第2の態様では、ACE阻害活性を有する有効量の1つ以上の化合物、または生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグを被検者に投与することを含む、脂肪の全体の割合を減少する、および/または無脂肪質量の脂肪質量に対する比率を増加することによる、ボディマスの分布を変える方法が提供される。
【0033】
本発明の第2の態様はまた、ACE阻害活性を有する有効量の1つ以上の化合物、または生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグ、および許容し得る担体を被検者に投与することを含む、治療用調合物を被検者に投与することを含む方法を提供する。
【0034】
本発明の第2の態様はまた、ACE阻害活性を有する有効量の1つ以上の化合物、または生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグを含む、脂肪の全体の割合を減少する、および/または無脂肪質量の脂肪質量に対する比率を増加することにより、ボディマスの分布を変えるために使用する治療用調合物を提供する。
【0035】
本発明の第2の態様はまた、脂肪の全体の割合を減少する、および/または無脂肪質量の脂肪質量に対する比率を増加することによりボディマスの分布を変えるための薬剤の製造において、ACE阻害活性を有する有効量の1つ以上の化合物、または生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグと、許容し得る担体との併用を提供する。
【0036】
本明細書では、用語「ACE阻害活性を有する化合物」とはACE阻害性を有し、脂肪の割合を減少する、および/または無脂肪質量の脂肪質量に対する比率を増加することによりボディマス組成を変化する能力を有する任意の化合物を指す。その化合物は動物または植物等の天然起源であっても、合成で製造されてもよい。動物起源の例はペプチドを含む蛇毒である。植物起源の例はココア、サトウキビ、サトウダイコン、サトウキビおよびサトウダイコン廃棄物、糖蜜、ブドウ、ワイン、果物(ベリー類、石果、梨果、熱帯果実、ジュース)、野菜(球根、根、塊茎、葉、幹)、ハーブ、スパイス、ビーンズ、豆類、穀物(オオムギ、ソバ、コーン、キビ、カラスムギ、コメ、ライムギ、モロコシ、コムギ)、ナッツ(アーモンド、ビンロウジ、カシュー、ハシバミ、ピーナッツ、ペカン、クルミ)、脂肪種子、植物油、ビール、リンゴ酒、種子、緑茶、Magnolia liliflosaおよびMangolia officinalis等の生薬およびそれらの混合物由来のポリフェノールである。この様な化合物の他の例には(i)アントシアニン、カテキン、ポリフェノール、カルコン、フラボノール、フラボン等のフラボノイド、および(ii)ポリペプチド、ロイシンおよび他の分枝鎖アミノ酸およびホエー抽出物等の乳製品生物活性物質が含まれる。ACE阻害性を有する化合物がフラボノイド、ポリフェノー利、ミルク蛋白質、ココア、ココア製品、ココア抽出物、ブドウ抽出物、糖蜜、糖蜜抽出物、高フェノール糖およびそれらの混合物でなる群より選ばれることが好ましい。
【0037】
本発明の第3の態様では、有効量の1つ以上のポリフェノールまたは生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグを被検者に投与することを含む、脂肪の全体の割合を減少する、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の比率を増加することによるボディマス分布を変える方法が提供される。
本発明の第3の態様はまた、有効量の1つ以上のポリフェノールまたは生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグと、許容し得る担体とを含む治療用調合物を被検者に投与することを含む方法を提供する。
【0038】
本発明の第3の態様はまた、有効量の1つ以上のポリフェノールまたは生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグと、許容し得る担体とを含む治療用調合物を被検者に投与することを含む、脂肪の全体の割合を減少する、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の比率を増加することによりボディマス分布を変えるために使用する治療用調合物を提供する。
【0039】
本発明の第3の態様はまた、脂肪の全体の割合を減少する、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の比率を増加することによるボディマス分布を変えるための薬剤の製造において、有効量の1つ以上のポリフェノールまたは生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグと、許容し得る担体との併用を提供する。
【0040】
本明細書で、用語「ポリフェノール」はココア、サトウキビ、サトウダイコン、サトウキビおよびサトウダイコン廃棄物、糖蜜、ブドウ、ワイン、果物(ベリー類、石果、梨果、熱帯果実、ジュース)、野菜(球根、根、塊茎、葉、幹)、ハーブ、スパイス、ビーンズ、豆類、穀物(オオムギ、ソバ、コーン、キビ、カラスムギ、コメ、ライムギ、モロコシ、コムギ)、ナッツ(アーモンド、ビンロウジ、カシュー、ハシバミ、ピーナッツ、ペカン、クルミ)、脂肪種子、植物油、茶、コーヒー、ビール、リンゴ酒、種子、緑茶、Magnolia liliflosaおよびMangolia officinalis等の生薬およびそれらの混合物起源の、またはそれらに由来する任意のポリフェノールを指す。ポリフェノールが糖蜜、糖蜜抽出物、高フェノール糖およびそれらの混合物起源であることが好ましい。ポリフェノールが高い抗酸化剤活性を有することが好ましい。
【0041】
第4の態様では、被検者に有効量の糖蜜またはその抽出物を投与することを含む、脂肪の全体の割合を減少する、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の比率を増加することによるボディマス分布を変える方法を提供する。
本発明の第4の態様はまた、有効量の糖蜜またはその抽出物と、許容し得る担体とを含む治療用調合物を被検者に投与することを含む方法を提供する。
本発明の第4の態様はまた、有効量の糖蜜またはその抽出物と、許容し得る担体とを含む、脂肪の全体の割合を減少する、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の比率を増加することにより、ボディマス分布を変化するために使用する治療用調合物を提供する。
【0042】
本発明の第4の態様はまた、脂肪の全体の割合を減少する、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の比率を増加することによりボディマス分布を変えるための薬剤の製造における、有効量の糖蜜またはその抽出物と、適当な担体との併用を提供する。
【0043】
本明細書で用いる用語「有効量」は、無脂肪質量の増加または脂肪質量の減少によるボディマス分布の変化に十分な量を指す。被検者の無脂肪質量の量が増加するか、または被検者の脂肪質量の量が減少する場合、無脂肪質量の脂肪質量に対する比率が増加する。無脂肪質量の脂肪質量に対する比率の変化が、必然的に全体重の変化に関与することに注意。動物に対する有効量の例は、食餌の1〜2%である。ヒトが一日当たり1000gの食物を消費し、ポリフェノールの通常の消費が1g/日であるとすると、有効量は2〜20mg/日、より好ましくは2〜10g/日であると思われる。
【0044】
ある化合物の脂肪の割合を減少する能力、および/または無脂肪質量の脂肪質量に対する比率を増加する能力を、実施例中で議論されるマウス実験を用いて試験できる。対照と比較して統計的に有意の変化が得られた場合、その化合物を本発明で使用することができる。マウス実験の典型的な結果は、脂肪の割合の8〜12%の減少、または無脂肪質量の脂肪質量に対する比率の4〜7%の増加である。悪液質に罹患したヒトでは、無脂肪質量の脂肪質量に対する比率の少なくとも1〜2%の増加が理想的である。
【0045】
用語「治療用調合物」は腸内または腹腔内調合物、機能性食品、栄養補助剤、機能性食物およびハーブ調合物を含む広い用語である。適当な調合物の例には錠剤、粉末、咀嚼性錠剤、カプセル、経口懸濁物、懸濁物、エマルジョンまたは液体、子供用調合物、腸内投与剤、機能性食品、座薬、経鼻スプレー、飲料および食品が含まれる。担体はデンプンまたはポリマー結合剤、甘味剤、着色剤、乳化剤および被覆等の任意の適当な賦形剤を含み得る。担体は、好ましくは砂糖またはチョコレート等の食品製品または食品成分である。
【0046】
治療用調合物は被検者への投与に適した任意の形でよい。治療用調合物を局所、経口または他の投与経路で投与し得る。
【0047】
本明細書で用いる用語「被検者」は動物である。本明細書に記載の調合物および方法で恩恵を受け得る動物のタイプに制限はない。好ましくは被検者は哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。「動物」はウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ロバ等の家畜、ニワトリ、アヒル、シチメンチョウおよびガチョウ等の家禽、ネコ、イヌ等の家庭動物も含む。ヒトであるかヒト以外の動物であるかに係わらず、被検者は個体、動物、患者、宿主または受容者も指す。本発明の調合物と方法はヒト用医薬、化粧品および審美産業、様々な薬剤の他、一般動物、家畜および野生動物学に応用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
(実施例)
本発明の様々な実施態様を以下の非限定実施例を参照して説明する。
実施例1
本実施例では、本発明の方法で使用し得るフェノール性粉末のフェノール含有量と抗酸化剤活性とを比較する。
(方法)
3種のフェノール性粉末、すなわちIFT(International Food Technology Company)、Hansenブドウ抽出物HW65−10フェノール性粉末およびVinlife(商標)ブドウ種子抽出粉末のフェノール含有量および抗酸化剤活性を比較した。粉末を5mg/mlの濃度で80%メタノールに溶解した。個々の分析の適した濃度にするにはさらに水で希釈しなければならなかった。これらの分析の結果を表1(下記)に示す。
(結果)
表1の結果から、粉末の相対的な抗酸化剤効率を比較することができる。表2は3種の粉末の非活性、すなわちフェノール単位あたりの抗酸化剤単位を示す。
「表」
【0049】
(考察)
これらの結果は、糖蜜粉末のフェノール含有量と抗酸化剤比活性がそれ以外の2種の粉末より低いことを示している。これは恐らく、様々な粉末間のフェノールプロフィルの差によるものと思われる。HPLC分析では、強力な抗酸化剤である没食子酸等の単純なフェノール酸の含有量が糖蜜では低いことを示唆している。これらの化合物はXAD16樹脂に結合するには疎水性が不十分であると思われる。しかしながら、異なった抽出法によりこの様なより小さい親水性化合物を抽出することが可能であると思われ、それらが本発明に記載の方法で用いられる糖蜜抽出物に含有され得る。
実施例2
本実施例では未補強チョコレートと比較してフェノール補強チョコレートの抗酸化能を調べた。
(方法)
対照ミルクチョコレートの6片の抗酸化剤能(約100gのブロックの各列から1片)と、フェノール強化ミルクチョコレートの12片(交互に第1および第3、第2および第4の各列から2片)を分析のために選んだ。ミルクチョコレートはCool Health Pty Ltd.から提供された。重さ1.7〜2gの各試料を正確に秤量し、50mLチューブに入れた。20mLのヘプタンを加えてチョコレートを脱脂した。試料を遠心分離し、ヘプタンを静かに流し出した。試量をドラフト内に開放して放置しヘプタンの痕跡を除いた。2×20mL分の80%メタノールを用いて抗酸化剤を抽出したが、最初は2時間の抽出、2回目は終夜抽出した。第1および第2抽出液を一緒にし、水で5倍希釈後にABTS法を用いて二重分析した。
(結果)
「表」
【0050】
(考察)
対照チョコレートの抗酸化剤能はグラムあたり1.587±0.039mgカテキン当量(平均値±標準偏差)であった。フェノール強化チョコレートの抗酸化剤能はグラムあたり1.961±0.142mgカテキン当量(平均値±標準偏差)であった。これは対照チョコレートと比べて21.2%の増加である。従って、チョコレートマトリックス中に有効量のポリフェノールを添加し、本発明に記載の方法に使用するに適した調合物を製造することが可能である。
実施例3
本実施例では、砂糖精製プロセスの異なった工程における様々なサトウキビ製品の抽出物のポリフェノール含有量を調べた。最初に得られる絞汁、最終絞汁、シロップ、糖蜜、低ポル糖、ミルマッド、茎頂部および泡のカテキン当量評価を行った。
(結果)
「表」
【0051】
「表」
【0052】
この分析から、糖蜜およびミルマッドからの抽出物は相当量のポリフェノールを含み、従って本発明に記載の方法に使用するに適した調合物中に添加し得ることが分かった。
実施例4
本実施例は、本発明に記載の方法に使用するための調合物に使用し得るポリフェノールを含有する糖製品の製造を示す。
【0053】
図1のフローチャートは、こりフェノールに富んだサトウキビ糖蜜を製造するために用いるプロセスを示す。サトウキビ糖蜜の抽出は特許出願No.2005/117608により詳細に議論される。
【0054】
全体で99%のスクロース、グルコースおよびフラクトース(グルコースとフラクトースの量は0.5%を超えない)、および1%の有機酸、無機物、ポリフェノール、抗酸化剤およびポリサッカライドの混合物を含む高ポルスクロースベースを調製した。この混合物は以下の組成を有する:
・ グラムあたり600〜2100μgトランスアコニット酸、蓚酸、シスアコニット酸 、クエン酸、燐酸、グルコン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、蟻酸および酢酸の混合物 であり、混合物の殆どはグラムあたり200〜600μgの範囲のトランスアコニット 酸である
・ カルシウムとマグネシウムとカリウムの比率が50:15:35である、グラムあた り150〜600μgの無機物
・ ポリフェノールグラムあたり0.2〜0.5mgカテキン当量
・ 抗酸化剤活性がグラムあたり0.4〜1.2マイクロモルの範囲である抗酸化剤、お よび
・ グラムあたり20〜60μgのポリサッカライド。
【0055】
高ポルスクロースベースと上記で得られたポリフェノールに富んだ抽出物とを組み合わせて、ポリフェノールに富んだ甘味剤を調製した。
【0056】
Micromass Platform ES/MSで電子スプレーマススペクトロメトリー(ES/MS)を行った。試料をメタノール/水(80:20)に溶解し、20μLループに注入し、メタノール/水(80:20)で溶出した。コーン電圧40kV、質量範囲50〜700Daで負イオンモードでMS分析を行った。糖生成物は相当量のポリフェノールを含み、本発明に記載の方法で使用するに適した調合物中に添加可能であった。
実施例5
本実施例では、本発明に記載の方法に使用し得るポリフェノールを含む市販チョコレートの製造を示す。
(干しブドウへの浸透)
浸透混合物:以下の混合物(25リットル)が、1000kgのチョコレートに対して十分である125kgの干しブドウに浸透するに十分であった。
【0057】
20リットルのワイン、例えばShiraz、MerlotまたはPinot Noir
5リットルのブドウ皮/種子抽出物
125mLの香味料
上記混合物を大きい容器中でよく混ぜ、ブドウ皮/種子抽出物と香味料とがワインと確実によく混ざり、ブレンドされるようにゆっくり攪拌する。
【0058】
香味料は、完成したチョコレートに必要な特質とプロフィルによって、任意の天然または合成香味料でよい。香味料はアルコール、モノサッカライド、ポリサッカライド、ポリデキストロース、ポリデキストリン、デキストリン、ポリオール、デンプン、プロピレングリコール、植物油、トリグリセリドまたは他の適当なベース/キャリアを有し得る。
【0059】
非アルコール浸透混合物も、必要あればワイン等を非アルコール、脱アルコール等に置き換えて利用できる。さらに、非アルコールまたは脱アルコール香味料を浸透混合物に添加し、チョコレート中の干しブドウの味と多様性を改善することができる。
【0060】
干しブドウ中への浸透:干しブドウと浸透混合物とを容器中で合せ、容器を回転して内容物をよく混合する。続いて容器を規則的に24時間回転する。余分な液体を濾過して絞り、浸透干しブドウを乾燥棚上に広げ、空気を干しブドウ上に終夜流して温室(40℃)に放置する。
(ブドウ種子粉末と香味料とを含むチョコレートの調製)
「表」
【0061】
正しい順序でコンチェに添加し、チョコレートの平均粒径が20μ以下(18〜20μの範囲)になるまで40℃で12〜16時間練り合わせる。次にShiraz、PinotまたはMerlotのいずれかの様にチョコレートに香味を加える。チョコレートはココアバターに対するミルク脂肪の比率0.13を有する。
【0062】
健康増進のため通常より多い量のポリフェノールを添加する場合、香味を増強するばかりでなく苦味を減少する役割もある一定範囲の香味料を加えることにより、チョコレート中の真の単一品種ワイン香味を増加することができる。香料化学の当業者は良い味、口当たりおよび他の官能性を改善するためにどの様な香味料混合物を使用し得るかを知っていると考えられる。
【0063】
種子粉末の調製(0.5メートルトンのチョコレート用):Vinlife(Tarac Technologies)ブドウ種子粉末2.25kgを秤量し、5kgの溶融(45℃)ココアバターに加える。攪拌しながらゆっくり添加し、粉末がココアバター中に均一の分散したことを確認する。混合中に空気の取り込みを避けるが、粉末がココアバター中によく分散したことを確認する。
【0064】
チョコレートへ種子粉末の添加:保持タンク中で40〜45℃に保持された0.5メートルトン(500kg)のワイン香味チョコレートに、分散種子粉末を含む5kgのココアバターを添加する。ゆっくり添加し、タンク中で5分間、または均一に分散するまで混合する。
(浸干しブドウのチョコレートへの添加)
濾過し液切りした干しブドウ(約5.5〜5.8kg)を40kgの香味を付け調節したチョコレートと混合した。干しブドウの均一な分布を保証するため、混合物をよく混ぜなければならない。
【0065】
次に干しブドウ/チョコレート混合物を型抜きし冷却する。
【0066】
ココアバター中に分散したワインおよび水溶性ポリフェノールが浸透した乾燥干しブドウまたは果実を用いることにより、一般的に困難なチョコレート等の食物中への添加の問題を解決することができる。ワイン香味を用いて味をさらに改善し、本発明に記載の方法に使用するポリフェノールおよび抗酸化剤含有量、およびACE阻害活性が増強された独特の味の製品を製造できる。
実施例6
本実施例では、糖ポリフェノールまたは実施例4の糖蜜抽出物を試験し、マウスのボディマス分布に対する効果を測定した。
(方法)
本実施例では疾患のない6週齢雄C57Bl/6Jマウス(n=65)を使用した。マウスをAnimal Resource Center、Canning Vale、WA、Australiaから購入した。
動物舎に到着の数日後に、マウスを通常の固形飼料(脂肪3%)から高脂肪高炭水化物飼料(脂肪21%、蛋白質20%、炭水化物49%、セルロース5%、ビタミンおよび無機物5%)に移行した。飼料はSpecialty Food、Glen Forrest、WA、Australiaで特別に調合した。 全てのマウスをグループあたり2匹、12:12の明暗サイクル、19〜21℃で飼育した。
【0067】
3グループのマウス(グループあたりn=13匹)を(1)1%ポリフェノール含有粉末、(2)2%ポリフェノール含有粉末、(3)糖蜜、(4)1%スクロース(対照)を含む高脂肪高炭水化物飼料で飼育した。本実施例で用いた飼料は98〜99%基本飼料プラス1〜2%の上記添加物を組み合わせて製造した。マウスにその飼料を9週間与えた。
【0068】
9週間の期間中、食物と水の摂取量および体重を毎週測定した。9週目にマウスの体組成を2重エネルギーX線吸光光度分析法(DEXA)で測定した。
2重エネルギーX線吸光光度分析法(DEXA):マウスの体全体の組成を、小動物用に最適化したソフトウエアパッケージを備えたDEXA(Norland XR−36)を用いて評価した。軽い麻酔(KetamilおよびRompun)下にマウスを走査した。体脂肪%、骨中無機物含有量(BMC)、骨中無機物密度(BMD)および無脂肪質量等の情報を提供する体全体の走査モードを使用した。マウスは腹臥位で、走査テーブル中央に長軸に平行に置いた。
(結果と考察)
共に1および2%(PP1%、PP2%)高脂肪飼料に添加されたフェノール粉末と糖蜜とは、体脂肪を減少し(グラム−図4参照、体重の%−図5参照)無脂肪質量を増加した(図3参照)。体重と骨中無機物含有量は顕著には変化しなかった(図2および6)。制限食による干渉の9週後にDEXAを行った。DEXA体重(無脂肪組織、骨および脂肪組織の和)は、体重計で測定した体重との関連が高かった(r=0.98)。
【0069】
図2〜7で、一元配置の分散分析による統計的解析とそれに続く対照に対するフィッシャーLSDポストホック試験で*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001が得られた。
【0070】
食物と水の摂取の間で差はなかった(図示せず)。数値は糖蜜が体脂肪を減少することを示さなかった:脂肪%、平均値(SEM);対照=36.9(2.3)、糖蜜=30.2(1.7)、PP1%=26.3(1.6)、PP2%=25.0(2.8)
(結論)
無脂肪筋肉質量を有意に増加し、脂肪の割合を有意に減少することにより、ポリフェノール粉末が体組成を変化することを結果は示した。平均して11.9%の減少と、無脂肪筋肉質量の6%の増加は、肥満、糖尿および悪液質に罹患した対象の予後を有意に改善すると思われる。
実施例7
本実施例では、実施例6で使用された実施例4の糖蜜抽出物を、抗酸化剤能(ORAC)とα−グルコシダーゼおよびα−アミダーゼ活性について試験した。
(材料と方法)
試料の調製:試料をすり潰し、約50mgを5mLのメタノールに溶解した。試料を渦流攪拌し、30分間超音波処理し、5分間遠心分離した(1900 RCF)。上澄みを集め、乾固した。試料を10mg/mLでメタノールに再溶解した。
【0071】
糖蜜粉末試料は直接水可溶であった。ORAC分析前に糖蜜粉末を1mg/mLの濃度で燐酸緩衝液(pH7.4)に溶解した。糖蜜粉末試料を上記と同様に抽出し、比較ORACデータとした。α−アミラーゼおよびα−グルコシダーゼ分析の前に糖蜜粉末を、水に溶解した。
【0072】
酸素ラディカル吸光度(ORAC)分析:本実験で用いたORAC分析では、37℃で2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸(AAPH)により誘発されたパーオキシラディカルに対する試験試料中の抗酸化剤の除去活性を測定した。蛍光プローブとしてフルオレセインを使用した。試料に対する親水性ORAC値を測定した。
【0073】
AWA(アセトン:水:酢酸70:29.5:0.5)による逐次希釈で、初期スクリーンからの概略抗酸化剤能によって試料に対して適切な濃度から出発し、抽出物/試料をORAC手順を用いて4重に分析した。正の対照として緑茶抽出物を用い、試料調製毎に抽出物を準備した。
【0074】
糖蜜粉末試料を燐酸緩衝液(pH7.4)に直接溶解し分析したが、この場合AWAの代わりに燐酸緩衝液(pH7.4)を用いた。緑茶メタノール抽出物を正の対照として用い、燐酸緩衝液(pH7.4)に溶解した。
【0075】
ビタミンEの水溶性アナログであるTrolox(トロロックス)を参照標準試料としてし使用した。AWA中で100、50、25および12.5μMに調製したトロロックスから標準曲線を作成した。
【0076】
簡単に言えば、20μLの試料/標準/対照/ブランク(AWA)、10μLのフルオレセイン(6.0×10-7M)および170μLのAAPH(20mM)を各ウエルに加えた。負荷直後に、プレートを37℃に予熱したプレートリーダーに移し、1分間隔で蛍光を35回測定した。蛍光の読取値を溶媒のブランクウエルと対比した。トロロックス濃度と蛍光減衰曲線下の実質面積間の回帰式を用いてORAC値を計算し、試料gあたりのマイクロモルトロロックス当量(TE)として表した。
グルコース代謝酵素阻害分析
α−グルコシダーゼ:本分析前に糖蜜粉末試料を水に溶解した。フコイダン(Fucoidan)を正の対照として用い、水に溶解した。
【0077】
グルコシダーゼ酵素を0.7mg/Lの濃度で酢酸緩衝液(50mM、pH4.5)に溶解した。これにより最終濃度が0.2U/mLとなった。96ウエルプレートの各ウエルに50μLの酵素を添加した。酵素の代わりに酢酸緩衝液を入れた対応するウエルセットも作成した。試料/対照を3重に各ウエルに加え(5μL)、次いで基質4−ニトロフェニル−α−D−グルコピラノシドを加えた(最終濃度2mM)。プレートに蓋をし、振盪して37℃で30分間インキュベーションした。0.2MNa2CO3(100μL/ウエル)を加えて反応を停止した。Victor2プレートリーダーを用いて吸光度を405nmで測定した。
【0078】
試料、基質および緩衝液を含むウエルの吸光度をグルコシダーゼ酵素を含む対応するウエルの吸光度から差し引き、試料による阻害パーセントを溶媒対照に対比して計算した。
【0079】
α−アミラーゼ:糖蜜粉末試料を水に溶解した。正の対照としてアカルボース(Acarbose)を用いた。アカルボース錠剤を砕き、50%エタノール水溶液に溶解した(56mg/mL)。溶液を超音波処理し、2000RCFで10分間遠心分離した。上澄を集め、4℃で保存した。
【0080】
試料1のα−アミラーゼ活性に対する効果を測定するため、Enzchek Ultra Amylase分析キットを用いた(分子プローブE33651)。簡単に言えば、貯蔵液を水で1:10に希釈してa1×反応緩衝液(キットから供給)を調製した。100μLの50mM酢酸ナトリウム(pH4.0)、次いで900μLの1×反応緩衝液を加え、次いで1×反応緩衝液で20倍希釈することにより、凍結乾燥デンプン基質(BODIPY(登録商標)FLコンジュゲートコーン由来のDQ(商標)デンプン)を調製した。ブタα−アミラーゼ(Sigma A3176)を0.5mg/mLで蒸留水に溶解してアミラーゼ保存液を調製した。アミラーゼ保存液を1×反応緩衝液で希釈して125U/mLの濃度とした。
【0081】
96ウエルプレートフォーマットを用いて分析を行った。各ウエルに100μLのアミラーゼ酵素溶液を加え、次いで試料と対照とを加えた(5μL/ウエル)。次いで基質溶液(95μL/ウエル)を加え、Victorプレートリーダーを用いて蛍光(励起485nm、発光530nm)を測定した。
(結果と考察)
各製品の収率を表6に示す。
「表」
【0082】
抗酸化剤能:メタノール抽出物を製造して調整した試料の抗酸化剤能を表7に示す。糖蜜粉末試料は最大の抗酸化剤能を示し、抽出物を作成した場合、ORAC値は5020μモルTE/試料で、緩衝液中に直接溶解した場合、4395μモルTE/試料であった(表8)。これらの値は対応する緑茶の値よりかなり高かった。
「表」
【0083】
(グルコース代謝酵素阻害分析)
α−グルコシダーゼの阻害:フコイダン対照と比較して、糖蜜粉末試料1のα−グルコシダーゼの阻害は限定的であった(表9)。糖蜜粉末試料が高いバックグラウンド吸光度を示すので、それをグルコシダーゼ酵素を含む対応するウエルの測定値から差し引いてもこの分析からのデータは問題である。阻害が相対的に低いバックグラウンド吸光度を有する溶媒対照と対比して測定されるので、この可能性はα−グルコシダーゼ活性を過剰に見積もることになる。
「表」
【0084】
(α−アミラーゼの阻害)
対照であるアカルボースと比較して試料1はα−アミラーゼ活性を阻害しなかった(表10)。試料1がα−アミラーゼ活性を十分に阻害しないため、IC50値をこのデータから計算することはできなかった。試料をより高い濃度で試験できればIC50を計算できたと思われるが、この様な濃度の生物学的関連性は疑問である。
「表」
【0085】
(結論)
本実施例は、糖蜜抽出物が強力な抗酸化剤であるという抗酸化剤能の他の測定法により実施例1および4を明白に支持する。糖蜜粉末の相対的力価は以下の通りである:
ブドウ種子抽出物>ブドウ抽出物>糖蜜粉末>緑茶
緑茶、HCA(ヒドロキシクエン酸)およびイヌリン等の製品は、この様な製品の摂取がグルコース吸収を遅らせる、および/またはインスリンの食欲制御を調節するという仮説に基づき体重減少の恩恵を主張している。グルコース吸収はグルコシダーゼとアミラーゼによって制御されている。糖蜜抽出物は弱いグルコシダーゼ活性を有し、従って体組成変化は他の作用機序によるものと考えられる。その機構にはACE阻害が含まれるという可能性が高い。
実施例8
本実施例は茶から抽出されたポリフェノールのボディマス分布に対する効果を検討する。
(方法)
動物と処置:雄Sprague Dawleyラット(n=48)を3週齢でAnimal Resource Center(Canning Vale、WA)から購入した。ラットを1週間Purinaラット固形飼料と水に順応させた。4週齢から全ての動物に半合成高脂質飼料(脂肪15%、表6)(Specialty Food、Glen Forest、WA)を与え、4種の液体試料のうちの1つを投与した:緑茶、紅茶、エピガロカテキン没食子酸塩(EGCG)または水。茶と茶抽出物は液体摂取の100%で与えた。ラットを高脂質飼料と茶試料で29週まで飼育した。食物と液体の摂取を毎日測定し、体重を毎週記録した。
「表」
【0086】
緑茶および紅茶:緑茶および紅茶ティーバッグ(Dilmah天然緑茶(商標)およびDilmah紅茶(商標))を地元小売商から購入した。10個のティーバッグ(茶葉約2g/バッグ)を蓋付き容器中で3分間、1リットルの沸騰水道水に浸した。次に抽出した茶からティーバッグを除き、冷たい水道水で茶試料を容積2リットルにした。これによりティーバッグ1つにつき約200mlの水となった。茶試料を2日おきに新しく調製した。
【0087】
エピガロカテキン没食子酸塩:エピガロカテキン没食子酸塩(EGCG(98%)、Sapphire Bioscience、VIC)を飲料水に溶解し、1mg/kg/日の用量で投与した。EGCG試料は毎日新しく調製した。
グルコース耐性試験:液体を自由に取らせてラットを終夜絶食させた。翌日の朝、ラットを拘束し、尾を局所麻酔薬(キシロカイン)中に1分間浸した。尾の先端から小さな断片を切り取り、少量の血が出るまで尾を付け根から先端へマッサージした。血液試料を集め(Hemocueミクロキュベット)、断食基礎血糖試料を採取した(Hemocue Glucostat血糖アナライザー)。次に矯正給餌により経口グルコース負荷(40%グルコース、ボーラス投与、2g/体重kg)を与え、30分間隔で2時間、血糖値を測定した。
【0088】
2重エネルギーX線吸光光度分析法(DEXA):Hologic QDR−4000/W吸光度光度計を用いて2重エネルギーX線吸光光度分析法により体内消費を測定した。ラットを軽く麻酔し(Nembutal、I.P、40mg/kg)、走査プラットホーム上に仰臥させた。尾を定位置にテープで止め、全身走査を行った。脂肪、無脂肪および全質量を測定すると同時に、脂肪比率パーセントおよび骨中無機物含有量を測定した。DEXAで測定した全質量はラットを秤量した質量との相関が高かった。
【0089】
統計的解析:グルコース耐性試験の結果を二元配置の分散分析(反復測定)を用いて比較し、DEXAと血漿インスリンとの結果を比較するために一元配置の分散分析を用いた。2つの解析の後にLSD検定を行った。p<0.05の場合に有意の差とした。全ての結果は平均値±SEMで表される。
(結果と考察)
図8〜16は得られた結果を示す:
・ 処置の結果として血糖値の変化は観測されなかった。
・ 全ての処置でラットの体重は同様であった。ポリフェノールは全体重を変化させなか った。
・ 11および18週で、緑茶および紅茶処置に対する脂肪質量の割合は水処置の対照よ り有意に低かった。18週でEGCGに対する脂肪質量の割合の結果も有意に異なって いた。18週で、脂肪質量のグラム数は水処置のものより有意に低かった。水対照と同 じ食餌である場合、ポリフェノールによって脂肪の生成がより少なくなった。
・ 11および18週で、緑茶およびEGCG処置に対する無脂肪質量のグラム数は水対 照のものより有意に高かった。ポリフェノールによって無脂肪質量の生成がより多くな った。緑茶と紅茶との間のポリフェノール含有量の差が、水対照と比較して紅茶が無脂 肪質量を有意に変化させなかったという事実に対する理由であると思われる。
実施例9
本実施例では、脂肪質量減少の表現型を示すかどうかを決定するため、アンギオテンシン変換酵素ノックアウト(ACE−/−)マウスの評価を行った。
(材料と方法)
マウス:雄および雌の異型接合ACEノックアウトマウス(+/−)をPierre Meneson研究室(Insern、U367、Paris、France)から購入した。マウスを動物舎中でC57BL/6J基礎飼料で飼育した。異型(ACE+/−)マウスを交配し、野生型(ACE+/+)および同型接合ACEゼロ子孫(ACE−/−)を生産した。ACE(−/−)およびACE(+/+)子孫の遺伝子型を決めるため、2重ラベルTaqman(商標)プローブ法(Appled Biosystems、Foster City、CA)を取り込むリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応を用いた。マウスを傾斜グリル蓋付きの個別プラスチックケージ(Wiretainers、Melbourne、Australia)中に入れた。食餌(Barastoc、Mouse Breederキューブ、Barastoc Stockfeeds、Autralia)を傾斜部上で任意に取ることができ、水道水にも自由に接近できた。マウスを12時間の明暗サイクルに維持した。12月齢であり、同じ飼育籠の条件に保った年齢の一致する雄ACE(+/+)および雌ACE(−/−)ペアを研究のために選んだ。摂取した食物と水の量を1週間、毎日モニターした。
【0090】
磁気共鳴イメージング(MRI)技術による脂肪組織分布のインビボ可視化:局部体脂肪分布を磁気共鳴イメージング(MRI)で可視化した。水平4.7TOxford磁石を備えたBruker BIOSPEC47/30スキャナーで映像を得た。プロトン密度強調軸方向映像を以下のパラメーターで得た:スライス数20;スライス厚み1mm;視野(FOV)6cm;マトリックス256×256;繰り返し時間(TR)815ms;エコー時間(TE)17.9ms。マウスを誘導チャンバー中に置き、医薬グレード空気中の濃度5%、ついで濃度2%に減少したのイソフルラン(Abbott Australiasia Pty Ltd、Sydney、Australia)に曝して、麻酔した。
【0091】
2重エネルギーX線分光吸光度法による体組成分析(DEXA):ACE(−/−)およびACE(+/+)マウスの体全体の組成の評価を、小動物用に最適化したソフトウエアパッケージ(バージョン3.07)を備えたDEXA(Hologic QDR4500、Hologic Inc. USA)を用いて行った。ケタミン(Apex Lab.の100mg/mLのKetaplex0.75mL)およびキシラジン(Bayerの20mg/mLのRumpun0.25mL)の混合物で軽い麻酔(0.02ml/体重g)を行い、伏臥位でマウスを走査した。
【0092】
血液分析:実験の最後に、上記のケタミンとキシラジンの混合物を腹腔注射する麻酔下で心臓から放血してマウスを殺した。ヘパリン被覆注射器で血液を集め、毛細管に試料を吸入後直ちにヘマトクリットを測定し、その後ミクロ遠心器(HERMLE Z233M−2、Medos Company Pty Ltd、Victoria、Australia)中で、10,000rpmで5分間遠心分離した。続いて血漿を冷却遠心器(Sorval−RT7)中で3,000rpm、15分間遠心して分離し、生化学分析が終了するまで−80℃で保存した。血漿トリグリセリド、全コレステロールおよび血糖値を市販キット(Beckman−Coulter Inc.、Fulerton、CA、USA)に記載の手順に従って分光光度法で測定した。ACE(−/−)およびACE(+/+)マウス(n=6)で、血漿レプチンを前記の様に測定した。
【0093】
体芯温度(直腸温度)の測定:デュアルチャネルFluke52(John Fluke Manufacturing)電子温度計に接続したK型熱電対で温度を測定した。直腸温度を測定するため、熱電対(先端をシリコンで被覆)を各マウスの肛門括約筋中に2cm挿入した。熱電対の先端と接続ワイヤーを局所麻酔剤および潤滑剤として5%w/vリドカインゲル(キシロカイン、Astra Pharmaceuticals)で被覆した。温度測定を4日連続で同時刻に行い、これらの4回の実験の平均値を採用した。
【0094】
走行ホイール上の自発身体活動:グリル蓋を有する個々のプラスチックケージに固定した速度計(走行ホイール径で補正したSigma Sport BC700)を備えた走行ホイールで、マウスが14日間の間いつでも自由に走れるようにしておいた。走行距離(km)および速度(km/h)を毎日、10日間測定した。マウスに食餌と水を自由に与えた。
【0095】
糞塊脂肪含有量の分析:糞をマウスケージから1週間採集し、分析まで冷凍庫(−20℃)中に保存した。クロロホルム:メタノール2:1溶液を用いて5gの糞から脂質を抽出した。室温で24時間抽出後に全脂質含有量を重量分析で求めた。資質抽出残渣につき糞の乾燥重量を測定した。脂肪の重量を糞の残渣の重量に加えて、糞の全乾燥重量を求めた。
【0096】
統計解析:全てのデータは平均値±SEMで報告される。2つのグループの差をスチューデントt検定(Statistica、Statsoft、USA)で解析した。
(結果)
「表」
【0097】
数値は平均値±SEMで表される。***p<0.001(ACE−/−対ACE+/+)
体重、体脂肪、食餌及び水の摂取:ACE(+/+)マウスと比較して、ACE(−/−)マウスは14〜16%体重が少なく(p<0.01;図17A);体脂肪が50〜55%少なかった(p<0.001;図17B)。ACE(−/−)マウスはACE(+/+)マウスと比較して無脂肪ボディマスの比率が顕著に増加していた(図17C)。
【0098】
食餌の摂取は同程度であったが(図18A)、ACE(−/−)マウスの水の摂取はACE(+/+)マウスの2倍以上であった(p<0.001;図18B)。ACE(−/−)マウスの血中レプチンレベルはACE(+/+)マウスより低い傾向であり(1.5±0.3対8.1±2.8nmol/L;F(1,4)df=5.60、p<0.07、グループあたりn=3)、体脂肪と相関していた(r=0.85、p<0.05)。
骨:骨無機物含有比率(2.2±0.06対2.1±0.05、グループあたりn=7)または骨中無機物密度(0.076±0.002対0.078±0.001g/cm2、グループあたりn=7)のいずれも、ACE(−/−)マウスとACE(+/+)マウスとの間で有意差は見られなかった。
【0099】
MRIによる局部脂肪質量の可視化:プロトン密度強調MRI像で明るく白い領域は脂肪である。一連の軸方向のイメージを目で比較すると、ACE(+/+)マウスと比較して、ACE(−/−)マウスで脂肪組織が顕著に減少していることが示された(図19)。この効果は、矢印で示す腹部脂肪質量で最も顕著である。
【0100】
体芯温度、自発身体運動レベルおよび脂肪排出:体芯温度(図20A)、自発運動(平均走行距離、図20B;速度、図20C)または糞中の脂肪の割合(図20D)ではACE(−/−)マウスとACE(−/−)マウスとの間で有意差は見られなかった。
【0101】
ヘマトクリットおよび血漿組成:ACE(+/+)マウスと比較してACE(−/−)マウスではヘマトクリットが低かった(p<0.001)。血漿グルコース、トリグリセリド(TG)またはコレステロールレベルに差はなかった(表12)。
結論
ACE欠乏動物モデルと様々なポリフェノール源(茶、糖蜜および糖蜜抽出物)を用いて同じ生理学的変化を与えると、その結果はACE阻害機構を経てポリフェノールが作用する影響を支持している。
【0102】
明細書とクレームで用いた用語「comprising」および用語「comprising」の他の複数の形式は、クレーム対象である本発明からいかなる変形または追加を除外するよう制限するものではない。
【0103】
本発明に対する修正および改良は当業者に容易に自明のことであると思われる。この様な修正と改善も、本発明の範囲内であることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0104】
本発明の様々な実施態様/態様を以下の図面を参照して説明し、(アステリスクは有意な差を強調するものである)。
【図1】実施例4で用いる抽出法を示す。
【図2】実施例6の骨中無機物含有量の結果を示す。
【図3】実施例6の徐脂肪体重の結果を示す。
【図4】実施例6の脂肪質量の結果を示す。
【図5】実施例6の脂肪の割合の結果を示す。
【図6】実施例6のDEXAの結果による全体重を示す。
【図7】実施例6の全体重の結果を示す。
【図8】実施例8のグルコース負荷時点の体重を示す。
【図9】実施例8のDEXA分析時の体重を示す。
【図10】実施例8のDEXA分析時の脂肪質量の割合を示す。
【図11】実施例8のDEXA分析時の脂肪質量(グラム)を示す。
【図12】実施例8のDEXA分析時の無脂肪質量(グラム)を示す。
【図13】実施例8の血糖の結果を示す。
【図14】実施例8の食物摂取の結果を示す。
【図15】実施例8の液体摂取の結果を示す。
【図16】実施例8の肝臓脂肪酸化の結果を示す。
【図17】ACE+/−マウス(白抜きバー)およびACE−/−マウス(黒塗りバー)における体重(A)、体脂肪の比率(B)および無脂肪質量の比率(C)を示す。数値は平均値±SEM(グループあたりn=7)、*p<0.05;**p<0.01;***p<0.001
【図18】ACE+/+マウス(白抜きバー)およびACE−/−マウス(黒塗りバー)における食物摂取(A)及び水摂取(B)を示す。数値は平均値±SEM(グループあたりn=7)、***p<0.001
【図19】ACE+/+マウス(A)およびACE−/−マウス(B)の体全体のプロトン密度強調軸方向MRI像を示す。明るく白い領域は脂肪を示す。画像の各シリーズは1匹の動物から得られたデータを示す。白矢印の先端は男性様脂肪を示す。
【図20】直腸温度(A)、自発走行ホイール活性(ACE+/+マウス(白抜きバー)およびACE−/−マウス(塗つぶしバー)における一日あたり走行距離(B)、速度(C)、および糞中の脂肪の割合(D))。数値は平均値±SEM(直腸温度および自発走行ホイール活性測定ではグループあたりn=5;糞脂肪分析ではACE(−/−):n=6、ACE(+/+):n=7)。
【技術分野】
【0001】
本発明は治療用調合剤とボディマス分布変更法に関する。より詳しくは本発明はボディマスを変える方法に使用するフラボノイド、ポリフェノール、ポリペプチド、ロイシンおよび他の分枝鎖アミノ酸、および乳製品生活性物質を含む治療用調合剤に関する。
【背景技術】
【0002】
文書、行動または知識項目が言及される、または議論される本明細書において、この参照文献または議論が文書、行動または知識項目またはその任意の組み合わせが優先日付、入手し得る出版物、公知、一般的常識であることを承認するものでなく、また本明細書が関与するいかなる問題を解決する試みにも関係することが知られていものではない。
無脂肪ボディマスの増加
体が相当量の無脂肪ボディマスを失う症候として悪液質(体の虚弱化および消耗)を伴ういくつかの疾患がある。この様な疾患の例には糖尿病、癌、アルツハイマー病、神経性過食症および拒食症が含まれる。
【0003】
従って、脂肪組織の増加を最小にして、理想的には割合を減らして無脂肪ボディマスの割合の増加を可能にする治療が必要である。
ポリフェノール
ポリフェノール(複数のフェノール性水酸基を有する化合物)は、ワイン、ブドウ、ココアおよびサトウキビを含む様々な食物源に見出される植物化学物質に分類される。ポリフェノール(またはフェノール類)はすべて、共通の基本的化学成分、すなわちフェノール性環構造を有する。アントシアニンおよびカテキン等のいくつかの小分類中に同定されたポリフェノールは少なくとも8000種ある。天然ポリフェノールはフェノール酸等の単純な分子から、タンニン等の高度に重合した化合物の範囲に及ぶ。ポリフェノールの抱合型は最も一般的であり、様々な糖分子、有機酸および脂質(脂肪)がフェノール性環構造に結合している。抱合化学構造の差が、異なる化学分類および化合物の作用方式と健康における性質の違いの原因である。
【0004】
ポリフェノールは以下を含むいくつかの健康上の利点を有すると考えられる:
・ 抗酸化剤活性
・ 癌予防性
・ 心臓病および高血圧保護
・ 抗菌/抗ウイルス活性
・ 抗炎症活性
・ 眼科的性質および
・ 血管保護および強化
ポリフェノールは多くの果実、野菜および花の鮮やかな色の色素(ピンクから深紅色、紫および青にわたる)の素であり、植物を疾病および紫外光線から保護し、発芽まで種子が傷つくことを防止する助けになる。
【0005】
規則的な果実および野菜の摂取と疾患の予防に対する疫学的データは明瞭であるが、残念ながら、単離したフェノール性抗酸化剤を含む補助食品は疾患の予防に関して十分に研究されてこなかった。緑茶、HCA(ヒドロキシクエン酸)およびイヌリンは、これらの製品がグルコース吸収を遅らせる、および/またはインスリンを食欲を制御するように規制するという仮定に基づき、体重減少の利点を主張している。しかし、これはヒトによる制御された臨床実験でさらに証明される必要がある(Functional Food Update 01, National Center of Excellence in Functional Foods, Australia, 2006年6月)。
サトウキビ
アントシアニンは分子に結合した糖ユニットを有するフラビリウム塩であり、主として6種のアントシアニジン−ペラゴニジン、シアニジン、デルフィニジン、ペオニジン、ペチュニジンおよびマルビジン−から誘導される。これらの化合物はB環中のヒドロキシル基の位置と数で異なるが、それらは全て3位に糖ユニットを有し水溶性である。ペチュニジングループを除いて、全てのアントシアニンクラスの代表例はサトウキビ中に存在する。
全てのアントシアニンに共通の基本構造は以下の通りである:
【0006】
【化1】
【0007】
茶
水に次いで、茶は世界中で最も広く消費される飲料の1つである。約300万メートルトンの乾燥茶が毎年生産され、その20%は緑茶、2%はウーロン茶、残りは紅茶である(International tea committee Annual Bulletin of Statistics 2002)。紅茶、ウーロン茶および緑茶は茶の木(Camellia sinensis;ツバキ科の仲間)の葉から製造される。様々な種類の茶が葉の酸化度を変えて製造される。緑茶は新鮮な収穫された葉を高温で蒸気処理して製造され、酸化酵素を不活性化している。これは緑茶中に存在する高いポリフェノール含有量を保存する。紅茶の葉は最も酸化されており、ウーロン茶の葉の酸化は緑茶と紅茶の中間である。
【0008】
茶中のポリフェノールの主成分はフラボノール、具体的にはカテキンである。これらの小さい分子は紅茶およびウーロン茶を製造する酸化プロセス中に相互に反応して、テアフラビンおよびテアルビジンと呼ばれるより大きい、非常に色彩のある化合物を生成する。
【0009】
茶から抽出されたポリフェノールの潜在的な薬学的利益を追究するの多くの研究が最近行われている。茶から一般的に抽出される最も強力な化学保護剤は(−)エピガロカテキン−3−ガレート(EGCG)である。ポリフェノールの血中コレステロール濃度に対する効果の研究で注目された、代謝を増加し脂肪を燃焼する能力から、緑茶ポリフェノールが体重減少を助けることも主張されている。茶ポリフェノールから製造された医薬は、中国で腎炎、慢性肝炎および白血病の治療の一部となっている。他の国でも、緑茶栄養補助剤が販売されている。
【0010】
全てのカテキンに共通の基本構造は以下の通りである:
【0011】
【化2】
【0012】
ココア
テオブロマカカオはポリフェノールを含むフラボノイドの豊かな資源である。ヒトによるダークチョコレートの摂取についてのある研究は、フラボノイドに富んだチョコレートが内皮機能を改善し、血漿中のエピカテキン濃縮を増加することを示している。しかしながら、その研究は酸化ストレス尺度、脂質プロフィル、血圧、体重またはボディマス指数になんらの変化も見出さなかった[Englerら、「フラボノイドに富んだダークチョコレートは健常成人における内皮機能を改善し血漿エピカテキン濃度を増加する(Flavonoid−rich Dark Chocolate Improves Endothelial Function and Increases Plasma Epichatechin Concentration in Healthy Adult)」、J Am Coll Nutr 2004; 23(3):197−204]。
【0013】
ダークチョコレートの摂取に関する他の研究も、血漿の抗酸化能または血清脂質の酸化感受性になんらの変化も見出さなかった。その研究は、チョコレート脂肪酸がLDLの脂肪酸組成を変化させ、それを酸化損傷に対してより抵抗性にする一方、ココアポリフェノールがHDLコレステロールの濃度を増加し得ることを見出した[Mursuら、「ダークチョコレート摂取は健常な人におけるHDLコレステロール濃度を増加し、チョコレート脂肪酸は脂質の過酸化を阻害し得る(Dark chocolate consumption increases hdl cholesterol concentration and chocolate fatty acids may inhibit lipid peroxidation in healthy humans)」, Free Radic Biol Med, 2004, Nov 1; 37(9), 1351−9]。
ACE阻害剤
ACEは体の主な内分泌系の1つであるレニン−アンギオテンシン−アルドステロン系の重要な部分である。ACEはアンギオテンシンI(ANG−I)を切断し、血圧、体内ナトリウムおよび体液恒常性を調節し、その機能を細胞受容体AT−1およびAT−2を経て媒介する強力な血管収縮アンギオテンシンII(AGN−II)とする。ACE阻害剤は血圧低下効果と左心室機能不全と糖尿病性神経障害の治療とに有用であることが示されている。
【0014】
ANG−IIの様々な役割の研究は複数ある:
・ 器官形成(Oliverio MI, Madsen K., Best CF, Ito M., Maeda N, Smithies O, Coffman TM , 「アンギオテンシンIIに対するAT1A受容体を欠くマウスにおける腎臓の成長 と発達(Renal growth and development in mic e lacking AT1A receptor for angiotensin II)」, Am J Physiol 1998; 274: F43−F50)
・ プレ脂肪細胞の形成
・ ヒトプレ脂肪細胞がAT−1受容体サブタイプに対する高い親和性を表す(Cran dall DL, Armellino DC, Busler DE, McHen dry−Rinde B, Kral JG, 「ヒトプレ脂肪細胞中のアンギオテン シンII受容体:細胞周期調節における役割(Angiotensin II rec eptors in human preadiposite: role in c ell cycle regulation)」、Endocrinology, 1 999; 140:154−158)
・ 白色脂肪細胞組織がアンギオテンシノーゲン生産の重要な部位であることが報告され ている(Cassis LA, Saye J, Peach MJ, 「ラットのア ンギオテンシンメッセンジャーRNAの部位と発達(Location and de velopment of rat angiotensin messenger RNA)」、1988;Hypertension 11:591−596)
・ 脂肪細胞形成の刺激または脂肪細胞の形成(Darimont C, Vassau x G, Alihaud G,
Negrel R, 「プレ脂肪細胞の分化:アンギオテンシンIIによる脂肪細胞の 刺激に対するプロスタサイクリンのパラクリン性役割(Differentiatio n of preadiposite cells: paracrine role of prostacyclin upon stimulation of ad ipose cells by angiotensin−II)」、Endocri nology 1994; 135:2030−2036;Saint−Marc P , Kozak LP, Aihaud G, Darimont C, Negre l R,「白色胃脂肪細胞組織の栄養因子としてのアンギオテンシン−II:脂肪細胞 形成の刺激(Angiotensin−II as a trophic facto r of white adipose tissue: stimulation of adipose cell formation)」、Endocrinolo gy 2001; 142:487−492)
・ プレ脂肪細胞およびヒト脂肪細胞における脂肪生成の増加およびトリグリセリド蓄積 (Jones BH, Standridge MK, Moustaid N.「ア ンギオテンシン−IIが3T3−L1およびヒト脂肪細胞における脂肪生成を増加する (Angiotensin−II increases lipogenesis i n 3t3−l1 and human adipose cells)」、Endo crinology 1997; 138:1512−1519)
・ ACE阻害剤(ロサルタン)で処理したラットは脂肪細胞のサイズの減少を示す(Z orad S, Fickova M, Zlezna B, Macho L, K ral JG 「脂肪細胞組織代謝と細胞充実性の調節におけるアンギオテンシン−I Iおよびその受容体の役割(The role of angiotensin−II and its receptor in regulation of adip ose tissue metabolism and cellularity)」 、Gen Physiol. Biophys. 1955; 14:383−391 )
全体として、これらの研究はANG−IIが脂肪細胞組織の発達に重要な役割を果たすことを示している。
【0015】
複数の研究により、ACE阻害剤が体重増加を減少するのに有用であることも示されている。
・ 双方の遺伝子型で食物摂取は同様であっても、アンギオテンシン欠乏マウスでは正常 野生型マウスより体重増加が少ない(Messiera F, Seydoux J, Geloen A, Quignard_Boulange A, Turban S, Saint−Marc P, Fukamizu A, Negrel R, Ailhaud GおよびTeboul M 「アンギオテンシン欠乏マウスは脂肪細 胞組織の発達の変化と歩行活性の増加を伴う食餌誘発体重増加の欠落を示す(Angi otensin−deficient mice exhibit impairme nt of diet−induced weight gain with alt eration in adipose tissue development a nd increase in locomotor activity)」、End ocrinology 2001; 142(12):5220−5225))
・ げっ歯類の過食はANG−II生産の増加をもたらし、継続的なANG−IIの注入 は体重の用量依存性減少を示す結果となる(Cassis LA, Marshall DE, Fettinger MJ, Rosenbluth B, Lodder RA「体重のアンギオテンシン−IIによる調節への寄与機構(Mechanism s contributing to angiotensin ii regula tion of body weight)」Am. J. Physiol. En docrinol. Metab. 1998; 274:E867−E876)
・ 肥満高血圧性被検者では脂肪細胞中のANG−IIが増加し、インスリン抵抗性の発 症における重要な要因であると思われる。これはプレ脂肪細胞の漸増の阻害により悪化 し、その結果脂肪が肝臓および骨格筋に再分布する。このため、ACE阻害は2型糖尿 病の発症を遅らせ、代謝症候群における脂肪細胞組織レニン−アンギオテンシン受容体 系の病態生理学上の役割を有する可能性とがある(Engeli S, Schlin g P, Gorzelniak K, Boschmann M, Janke J , Ailhaud G, Teboul M, Massiera F, Shar ma AM,「脂肪細胞組織レニン−アンギオテンシン−アルドステロン系:代謝症候 群における役割(The adipose−tissue rennin−angio tensin−aldosterone system: role in meta bolic syndrome)」、The International Jour nal of Biochemistry & Cell Biology 2003 ; 35:807−825)
しかしながら、これらの研究のいずれもボディマス組成を変える方法、例えば脂肪質量を減少し無脂肪筋肉の質量を増加する方法を明らかにしなかった。無脂肪ボディマスの増加は必ずしも体重減少と関連しない。従って、依然として悪液質に罹患した被検者を助けるこの様な方法が必要とされる。
乳製品生理化成物質、ロイシン、ACE阻害ペプチドおよび他の分枝鎖アミノ酸
ミルク生理活性物質、ロイシンおよび他の分枝鎖アミノ酸は天然のアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤である。ACE阻害ペプチドはチーズ熟成中の乳酸菌によるミルク蛋白質の酵素分解により放出される。それらはまた、発酵中のミルクおよびホエーから単離し得る(Fitzgerald RJ, Murray BA、「生物活性ペプチドおよび乳酸発酵(Bioactive peptides and lactic fermentation)」、International Journal of Dairy Technology,
2006;59(2):118−125)。ACE阻害乳製品ペプチドは520μmを超えるIC50値を有し、十分な量が発行ミルクおよび発酵乳製品の抽出物から配送されると思われる。乳製品を用いる体重減少が提案されているが(Zemel MBら「糖尿病被検者における全体的および臓器脂肪減少の乳製品による促進(Dairy augmentation of total and central fat loss in obese subjects)」、Int. J. Obes. Relat. Metab. Disord. 2005; 29(4):391−7)、体重減少管理における役割は最近疑問視されている(Gunther CWら、「乳製品が1年の実施で若い女性における体重または脂肪質量の変化をもたらさない(Dairy products do not lead to alteration in body weight or fat mann in young women in a 1−y intervention)」、Am. J. Clin. Nutr.2005;81:751−756)。
肥満
無脂肪ボディマスの割合を増加する方法は、肥満に悩む被検者の治療にも有用である。
【0016】
誰でも体の中に脂肪組織が必要である。体脂肪が多すぎる場合、その結果は肥満である。世界保健機構によれば、成人の3億人以上が肥満であり、11億人以上が体重過剰である。体重過剰および肥満のアメリカ人の数は1960年以来増加し続け、この傾向は減速していない。米国の成人の半分以上(64.5パーセント)が体重過剰であり、ほぼ3分の1(30.5パーセント)が肥満である。毎年、米国では肥満による過剰死亡が30万人以上であり、肥満に関するアメリカの成人の健康管理費用は約1千億ドルに達する。これは喫煙に次ぐ2番目に予防できる死亡である。
【0017】
肥満は高血圧、糖尿病(2型)、心臓病、卒中、胆嚢炎および乳癌、前立腺癌および結腸癌等の病状を発症する危険性を増加する。肥満の傾向は、高カロリーと組み合わさった身体運動の欠如、低コスト食品等の我々の環境で促進される。もしそれを維持できれば、わずか10%の体重減少でも健康を改善し得る。
【0018】
肥満であることと体重過剰であることとは同じ条件ではない。バスルームの体重計により体重の目安が得られ、体重変化を追跡する助けになるが、体重過剰または肥満である場合、または肥満および関連する健康状態を発症する危険がある場合、体重計は最良の方法ではない。
【0019】
肥満であるかどうかを決めるためには、ボディマス指数(BMI)とウエスト周りの長さが必要である。BMIが健康な体重であることを示しても、健康な範囲以上のウエストサイズであることがある。
【0020】
● BMIは身長と体重の双方に基づく数である。この数値は、ある人が体重過剰であ る度合いを判断する助けになり、一般の人に対して全体脂肪の合理的な評価を与える 。BMIは体重そのものより心臓病および2型糖尿病等の健康状態とより良く相関す る。BMIは完璧ではない。運動選手等のある人達は高いBMIが測定されるが、脂 肪より筋肉が多い。BMIの「線引き」は、健康な体重、体重過剰、肥満または極度 の肥満であるかどうかを判断する助けにする数字である。BMIが健康/体重表とは 異なることに注意することが重要である。
【0021】
● 18.5〜24.9=健康な体重
● 25〜29.9=体重過剰
● 30〜34.9=肥満(クラス1)
● 35〜39.9=肥満(クラス2)
● 40以上=過度の肥満(クラス3)
● ウエスト周りの測定が、特に腹部脂肪に関係する危険度を決めるために用いら れる。
【0022】
● 男性:40インチ以上
● 女性:35インチ以上
ウエスト測定値が上記以上であり、BMIが25〜34.9の間であれば、タイプ2糖尿病、高血圧および心臓血管病を発症する危険度が高い。
肥満の原因
遺伝性、環境および行動を含み、肥満をもたらす多くの因子がある。
【0023】
● 遺伝子:個人によっては体重を増加し脂肪を蓄積する遺伝的傾向がある。この傾向 のある誰もが肥満になるわけではないが、遺伝的素質のない人でも肥満になることが ある。いくつかの遺伝子が肥満に寄与すると同定され、研究者達は新しい治療の開発 を導き得るヒトにおける遺伝標的を同定するためのヒト肥満遺伝子マップを作成しつ つある。
【0024】
● 環境:健康な体重を増進する環境とは、栄養食物の合理的な分量の摂取と規則的な 身体活動を勧める環境である。健康な環境は肥満を阻止・治療し体重減少を維持する ために全ての個人で重要である。環境における危険度の高い状態を認識し、意識的に 避けることは、体重制御の努力の助けになる。
【0025】
● 行動:生涯にわたる健康な体重管理を行うことには、規則的な身体活動と栄養に気 をつけた食事が含まれる。体重減少と維持のための具体的な行動戦略には食餌療法と 運動パターンを日記に記録し追跡すること、低カロリー食を摂取すること、脂肪から のカロリーを制限すること、運動により日常的にカロリーを消費すること、定期的に 体重をモニターすること、現実的なゴールを設定すること、および社会的支援ネット ワークを広げることが含まれる。
【0026】
上記の知識にも係わらず、世界における肥満した人の数は増加しつつある。従って、ボディマス分布を変える方法が必要になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
驚くべきことに、全体的なボディマス分布を変える程に、ある化合物が体の食物処理を変更することが発見された。具体的には、これらの化合物を加えない同じ食物の消費と比較して、これらの化合物を食物に添加すると無脂肪質量の脂肪質量に対する比率を増加する結果となる。言い換えれば、これらの化合物は消費された食物から作られる脂肪の量を減らすことができる。これらのボディマス変更化合物にはポリフェノールとミルク生物活性化合物が含まれる。
【0028】
フラボノイドとポリフェノールがACE阻害活性を有することも見出されている。理論に縛られるつもりはないが、ACE阻害活性がこれらの化合物のボディマス組成を変える能力と関連していると考えられる。しかしながら、これらの化合物のボディマス組成を変える能力が、抗酸化性(すなわちポリフェノール)および/またはカルシウム取り込み効果(すなわちミルク蛋白質)とも関連していることは認められている。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の第1の態様では、少なくとも1つのヒドロキシル基を有し、ボディマス組成を変化する能力を有する、有効量の1つまたは複数の化合物、または生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグを被検者に投与することを含む、全体の脂肪の比率を減少する、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の比率を増加することによるボディマスの分布を変える方法が提供される
本発明の第1の態様はまた、少なくとも1つのヒドロキシル基を有し、ボディマス組成を変化する能力を有する、有効量の1つまたは複数の化合物、または生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグ、および許容し得る担体を含む治療用調合物を被検者に投与することを含む方法を提供する。
本発明の第1の態様はまた、少なくとも1つのヒドロキシル基を有し、ボディマス組成を変化する能力を有する、有効量の1つ以上の化合物、またはその生理学的に許容し得るアナログ、誘導体またはそのプロドラッグと、許容し得る担体とを含む、脂肪の全体的な割合を減少する、および/または無脂肪質量の脂肪質量に対する割合を増加するために使用するボディマスの分布を変える治療用調合物を提供する。
【0030】
本発明の第1の態様はまた、脂肪の全体的な割合を減少する、および/または無脂肪質量の脂肪質量に対する比率を増加することによりボディマスの分布を変えるための薬剤の製造において、有効量の少なくとも1つのヒドロキシル基を有し、ボディマス組成を変化する能力を有する1つまたは複数の化合物、または生理学的に許容し得るアナログ、誘導体またはそのプロドラッグと、適当な担体との併用を提供する。
【0031】
本明細書において、用語「少なくとも1つのヒドロキシル基を有し、ボディマス組成を変化する能力を有する化合物」とは、脂質の割合を減少、および/または無脂肪質量の脂肪質量に対する比率を増加することによりボディマス組成を変化させる、ヒドロキシル基を含む任意の化合物を指す。その化合物は動物または植物由来の天然起源であるか、合成で製造される。動物起源の一例はペプチドを含む蛇毒である。植物起源の例は緑茶、ワイン、ココア、サトウキビ、サトウダイコン、サトウキビおよびサトウダイコン廃棄物、糖蜜およびMagnolia lilifloraおよびMagnolia officinalis等の生薬由来のポリフェノールである。この様な化合物の他の例には(i)アントシアニン、カテキン、ポリフェノール、カルコン、フラボノール、フラボン等のフラボノイド、および(ii)ポリペプチド、ロイシンおよび他の分枝鎖アミノ酸、およびホエーの抽出物等の乳製品生理活性物質が含まれる。少なくとも1つのヒドロキシル基を有し、ボディマス組成を変化する能力を有する化合物がフラボノイド、ポリフェノール、ミルク蛋白質、ACE阻害ペプチド、糖蜜、糖蜜抽出物、高フェノール糖およびその混合物でなる群より選ばれることが好ましい。
【0032】
本発明の第2の態様では、ACE阻害活性を有する有効量の1つ以上の化合物、または生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグを被検者に投与することを含む、脂肪の全体の割合を減少する、および/または無脂肪質量の脂肪質量に対する比率を増加することによる、ボディマスの分布を変える方法が提供される。
【0033】
本発明の第2の態様はまた、ACE阻害活性を有する有効量の1つ以上の化合物、または生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグ、および許容し得る担体を被検者に投与することを含む、治療用調合物を被検者に投与することを含む方法を提供する。
【0034】
本発明の第2の態様はまた、ACE阻害活性を有する有効量の1つ以上の化合物、または生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグを含む、脂肪の全体の割合を減少する、および/または無脂肪質量の脂肪質量に対する比率を増加することにより、ボディマスの分布を変えるために使用する治療用調合物を提供する。
【0035】
本発明の第2の態様はまた、脂肪の全体の割合を減少する、および/または無脂肪質量の脂肪質量に対する比率を増加することによりボディマスの分布を変えるための薬剤の製造において、ACE阻害活性を有する有効量の1つ以上の化合物、または生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグと、許容し得る担体との併用を提供する。
【0036】
本明細書では、用語「ACE阻害活性を有する化合物」とはACE阻害性を有し、脂肪の割合を減少する、および/または無脂肪質量の脂肪質量に対する比率を増加することによりボディマス組成を変化する能力を有する任意の化合物を指す。その化合物は動物または植物等の天然起源であっても、合成で製造されてもよい。動物起源の例はペプチドを含む蛇毒である。植物起源の例はココア、サトウキビ、サトウダイコン、サトウキビおよびサトウダイコン廃棄物、糖蜜、ブドウ、ワイン、果物(ベリー類、石果、梨果、熱帯果実、ジュース)、野菜(球根、根、塊茎、葉、幹)、ハーブ、スパイス、ビーンズ、豆類、穀物(オオムギ、ソバ、コーン、キビ、カラスムギ、コメ、ライムギ、モロコシ、コムギ)、ナッツ(アーモンド、ビンロウジ、カシュー、ハシバミ、ピーナッツ、ペカン、クルミ)、脂肪種子、植物油、ビール、リンゴ酒、種子、緑茶、Magnolia liliflosaおよびMangolia officinalis等の生薬およびそれらの混合物由来のポリフェノールである。この様な化合物の他の例には(i)アントシアニン、カテキン、ポリフェノール、カルコン、フラボノール、フラボン等のフラボノイド、および(ii)ポリペプチド、ロイシンおよび他の分枝鎖アミノ酸およびホエー抽出物等の乳製品生物活性物質が含まれる。ACE阻害性を有する化合物がフラボノイド、ポリフェノー利、ミルク蛋白質、ココア、ココア製品、ココア抽出物、ブドウ抽出物、糖蜜、糖蜜抽出物、高フェノール糖およびそれらの混合物でなる群より選ばれることが好ましい。
【0037】
本発明の第3の態様では、有効量の1つ以上のポリフェノールまたは生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグを被検者に投与することを含む、脂肪の全体の割合を減少する、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の比率を増加することによるボディマス分布を変える方法が提供される。
本発明の第3の態様はまた、有効量の1つ以上のポリフェノールまたは生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグと、許容し得る担体とを含む治療用調合物を被検者に投与することを含む方法を提供する。
【0038】
本発明の第3の態様はまた、有効量の1つ以上のポリフェノールまたは生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグと、許容し得る担体とを含む治療用調合物を被検者に投与することを含む、脂肪の全体の割合を減少する、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の比率を増加することによりボディマス分布を変えるために使用する治療用調合物を提供する。
【0039】
本発明の第3の態様はまた、脂肪の全体の割合を減少する、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の比率を増加することによるボディマス分布を変えるための薬剤の製造において、有効量の1つ以上のポリフェノールまたは生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグと、許容し得る担体との併用を提供する。
【0040】
本明細書で、用語「ポリフェノール」はココア、サトウキビ、サトウダイコン、サトウキビおよびサトウダイコン廃棄物、糖蜜、ブドウ、ワイン、果物(ベリー類、石果、梨果、熱帯果実、ジュース)、野菜(球根、根、塊茎、葉、幹)、ハーブ、スパイス、ビーンズ、豆類、穀物(オオムギ、ソバ、コーン、キビ、カラスムギ、コメ、ライムギ、モロコシ、コムギ)、ナッツ(アーモンド、ビンロウジ、カシュー、ハシバミ、ピーナッツ、ペカン、クルミ)、脂肪種子、植物油、茶、コーヒー、ビール、リンゴ酒、種子、緑茶、Magnolia liliflosaおよびMangolia officinalis等の生薬およびそれらの混合物起源の、またはそれらに由来する任意のポリフェノールを指す。ポリフェノールが糖蜜、糖蜜抽出物、高フェノール糖およびそれらの混合物起源であることが好ましい。ポリフェノールが高い抗酸化剤活性を有することが好ましい。
【0041】
第4の態様では、被検者に有効量の糖蜜またはその抽出物を投与することを含む、脂肪の全体の割合を減少する、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の比率を増加することによるボディマス分布を変える方法を提供する。
本発明の第4の態様はまた、有効量の糖蜜またはその抽出物と、許容し得る担体とを含む治療用調合物を被検者に投与することを含む方法を提供する。
本発明の第4の態様はまた、有効量の糖蜜またはその抽出物と、許容し得る担体とを含む、脂肪の全体の割合を減少する、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の比率を増加することにより、ボディマス分布を変化するために使用する治療用調合物を提供する。
【0042】
本発明の第4の態様はまた、脂肪の全体の割合を減少する、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の比率を増加することによりボディマス分布を変えるための薬剤の製造における、有効量の糖蜜またはその抽出物と、適当な担体との併用を提供する。
【0043】
本明細書で用いる用語「有効量」は、無脂肪質量の増加または脂肪質量の減少によるボディマス分布の変化に十分な量を指す。被検者の無脂肪質量の量が増加するか、または被検者の脂肪質量の量が減少する場合、無脂肪質量の脂肪質量に対する比率が増加する。無脂肪質量の脂肪質量に対する比率の変化が、必然的に全体重の変化に関与することに注意。動物に対する有効量の例は、食餌の1〜2%である。ヒトが一日当たり1000gの食物を消費し、ポリフェノールの通常の消費が1g/日であるとすると、有効量は2〜20mg/日、より好ましくは2〜10g/日であると思われる。
【0044】
ある化合物の脂肪の割合を減少する能力、および/または無脂肪質量の脂肪質量に対する比率を増加する能力を、実施例中で議論されるマウス実験を用いて試験できる。対照と比較して統計的に有意の変化が得られた場合、その化合物を本発明で使用することができる。マウス実験の典型的な結果は、脂肪の割合の8〜12%の減少、または無脂肪質量の脂肪質量に対する比率の4〜7%の増加である。悪液質に罹患したヒトでは、無脂肪質量の脂肪質量に対する比率の少なくとも1〜2%の増加が理想的である。
【0045】
用語「治療用調合物」は腸内または腹腔内調合物、機能性食品、栄養補助剤、機能性食物およびハーブ調合物を含む広い用語である。適当な調合物の例には錠剤、粉末、咀嚼性錠剤、カプセル、経口懸濁物、懸濁物、エマルジョンまたは液体、子供用調合物、腸内投与剤、機能性食品、座薬、経鼻スプレー、飲料および食品が含まれる。担体はデンプンまたはポリマー結合剤、甘味剤、着色剤、乳化剤および被覆等の任意の適当な賦形剤を含み得る。担体は、好ましくは砂糖またはチョコレート等の食品製品または食品成分である。
【0046】
治療用調合物は被検者への投与に適した任意の形でよい。治療用調合物を局所、経口または他の投与経路で投与し得る。
【0047】
本明細書で用いる用語「被検者」は動物である。本明細書に記載の調合物および方法で恩恵を受け得る動物のタイプに制限はない。好ましくは被検者は哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。「動物」はウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ロバ等の家畜、ニワトリ、アヒル、シチメンチョウおよびガチョウ等の家禽、ネコ、イヌ等の家庭動物も含む。ヒトであるかヒト以外の動物であるかに係わらず、被検者は個体、動物、患者、宿主または受容者も指す。本発明の調合物と方法はヒト用医薬、化粧品および審美産業、様々な薬剤の他、一般動物、家畜および野生動物学に応用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
(実施例)
本発明の様々な実施態様を以下の非限定実施例を参照して説明する。
実施例1
本実施例では、本発明の方法で使用し得るフェノール性粉末のフェノール含有量と抗酸化剤活性とを比較する。
(方法)
3種のフェノール性粉末、すなわちIFT(International Food Technology Company)、Hansenブドウ抽出物HW65−10フェノール性粉末およびVinlife(商標)ブドウ種子抽出粉末のフェノール含有量および抗酸化剤活性を比較した。粉末を5mg/mlの濃度で80%メタノールに溶解した。個々の分析の適した濃度にするにはさらに水で希釈しなければならなかった。これらの分析の結果を表1(下記)に示す。
(結果)
表1の結果から、粉末の相対的な抗酸化剤効率を比較することができる。表2は3種の粉末の非活性、すなわちフェノール単位あたりの抗酸化剤単位を示す。
「表」
【0049】
(考察)
これらの結果は、糖蜜粉末のフェノール含有量と抗酸化剤比活性がそれ以外の2種の粉末より低いことを示している。これは恐らく、様々な粉末間のフェノールプロフィルの差によるものと思われる。HPLC分析では、強力な抗酸化剤である没食子酸等の単純なフェノール酸の含有量が糖蜜では低いことを示唆している。これらの化合物はXAD16樹脂に結合するには疎水性が不十分であると思われる。しかしながら、異なった抽出法によりこの様なより小さい親水性化合物を抽出することが可能であると思われ、それらが本発明に記載の方法で用いられる糖蜜抽出物に含有され得る。
実施例2
本実施例では未補強チョコレートと比較してフェノール補強チョコレートの抗酸化能を調べた。
(方法)
対照ミルクチョコレートの6片の抗酸化剤能(約100gのブロックの各列から1片)と、フェノール強化ミルクチョコレートの12片(交互に第1および第3、第2および第4の各列から2片)を分析のために選んだ。ミルクチョコレートはCool Health Pty Ltd.から提供された。重さ1.7〜2gの各試料を正確に秤量し、50mLチューブに入れた。20mLのヘプタンを加えてチョコレートを脱脂した。試料を遠心分離し、ヘプタンを静かに流し出した。試量をドラフト内に開放して放置しヘプタンの痕跡を除いた。2×20mL分の80%メタノールを用いて抗酸化剤を抽出したが、最初は2時間の抽出、2回目は終夜抽出した。第1および第2抽出液を一緒にし、水で5倍希釈後にABTS法を用いて二重分析した。
(結果)
「表」
【0050】
(考察)
対照チョコレートの抗酸化剤能はグラムあたり1.587±0.039mgカテキン当量(平均値±標準偏差)であった。フェノール強化チョコレートの抗酸化剤能はグラムあたり1.961±0.142mgカテキン当量(平均値±標準偏差)であった。これは対照チョコレートと比べて21.2%の増加である。従って、チョコレートマトリックス中に有効量のポリフェノールを添加し、本発明に記載の方法に使用するに適した調合物を製造することが可能である。
実施例3
本実施例では、砂糖精製プロセスの異なった工程における様々なサトウキビ製品の抽出物のポリフェノール含有量を調べた。最初に得られる絞汁、最終絞汁、シロップ、糖蜜、低ポル糖、ミルマッド、茎頂部および泡のカテキン当量評価を行った。
(結果)
「表」
【0051】
「表」
【0052】
この分析から、糖蜜およびミルマッドからの抽出物は相当量のポリフェノールを含み、従って本発明に記載の方法に使用するに適した調合物中に添加し得ることが分かった。
実施例4
本実施例は、本発明に記載の方法に使用するための調合物に使用し得るポリフェノールを含有する糖製品の製造を示す。
【0053】
図1のフローチャートは、こりフェノールに富んだサトウキビ糖蜜を製造するために用いるプロセスを示す。サトウキビ糖蜜の抽出は特許出願No.2005/117608により詳細に議論される。
【0054】
全体で99%のスクロース、グルコースおよびフラクトース(グルコースとフラクトースの量は0.5%を超えない)、および1%の有機酸、無機物、ポリフェノール、抗酸化剤およびポリサッカライドの混合物を含む高ポルスクロースベースを調製した。この混合物は以下の組成を有する:
・ グラムあたり600〜2100μgトランスアコニット酸、蓚酸、シスアコニット酸 、クエン酸、燐酸、グルコン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、蟻酸および酢酸の混合物 であり、混合物の殆どはグラムあたり200〜600μgの範囲のトランスアコニット 酸である
・ カルシウムとマグネシウムとカリウムの比率が50:15:35である、グラムあた り150〜600μgの無機物
・ ポリフェノールグラムあたり0.2〜0.5mgカテキン当量
・ 抗酸化剤活性がグラムあたり0.4〜1.2マイクロモルの範囲である抗酸化剤、お よび
・ グラムあたり20〜60μgのポリサッカライド。
【0055】
高ポルスクロースベースと上記で得られたポリフェノールに富んだ抽出物とを組み合わせて、ポリフェノールに富んだ甘味剤を調製した。
【0056】
Micromass Platform ES/MSで電子スプレーマススペクトロメトリー(ES/MS)を行った。試料をメタノール/水(80:20)に溶解し、20μLループに注入し、メタノール/水(80:20)で溶出した。コーン電圧40kV、質量範囲50〜700Daで負イオンモードでMS分析を行った。糖生成物は相当量のポリフェノールを含み、本発明に記載の方法で使用するに適した調合物中に添加可能であった。
実施例5
本実施例では、本発明に記載の方法に使用し得るポリフェノールを含む市販チョコレートの製造を示す。
(干しブドウへの浸透)
浸透混合物:以下の混合物(25リットル)が、1000kgのチョコレートに対して十分である125kgの干しブドウに浸透するに十分であった。
【0057】
20リットルのワイン、例えばShiraz、MerlotまたはPinot Noir
5リットルのブドウ皮/種子抽出物
125mLの香味料
上記混合物を大きい容器中でよく混ぜ、ブドウ皮/種子抽出物と香味料とがワインと確実によく混ざり、ブレンドされるようにゆっくり攪拌する。
【0058】
香味料は、完成したチョコレートに必要な特質とプロフィルによって、任意の天然または合成香味料でよい。香味料はアルコール、モノサッカライド、ポリサッカライド、ポリデキストロース、ポリデキストリン、デキストリン、ポリオール、デンプン、プロピレングリコール、植物油、トリグリセリドまたは他の適当なベース/キャリアを有し得る。
【0059】
非アルコール浸透混合物も、必要あればワイン等を非アルコール、脱アルコール等に置き換えて利用できる。さらに、非アルコールまたは脱アルコール香味料を浸透混合物に添加し、チョコレート中の干しブドウの味と多様性を改善することができる。
【0060】
干しブドウ中への浸透:干しブドウと浸透混合物とを容器中で合せ、容器を回転して内容物をよく混合する。続いて容器を規則的に24時間回転する。余分な液体を濾過して絞り、浸透干しブドウを乾燥棚上に広げ、空気を干しブドウ上に終夜流して温室(40℃)に放置する。
(ブドウ種子粉末と香味料とを含むチョコレートの調製)
「表」
【0061】
正しい順序でコンチェに添加し、チョコレートの平均粒径が20μ以下(18〜20μの範囲)になるまで40℃で12〜16時間練り合わせる。次にShiraz、PinotまたはMerlotのいずれかの様にチョコレートに香味を加える。チョコレートはココアバターに対するミルク脂肪の比率0.13を有する。
【0062】
健康増進のため通常より多い量のポリフェノールを添加する場合、香味を増強するばかりでなく苦味を減少する役割もある一定範囲の香味料を加えることにより、チョコレート中の真の単一品種ワイン香味を増加することができる。香料化学の当業者は良い味、口当たりおよび他の官能性を改善するためにどの様な香味料混合物を使用し得るかを知っていると考えられる。
【0063】
種子粉末の調製(0.5メートルトンのチョコレート用):Vinlife(Tarac Technologies)ブドウ種子粉末2.25kgを秤量し、5kgの溶融(45℃)ココアバターに加える。攪拌しながらゆっくり添加し、粉末がココアバター中に均一の分散したことを確認する。混合中に空気の取り込みを避けるが、粉末がココアバター中によく分散したことを確認する。
【0064】
チョコレートへ種子粉末の添加:保持タンク中で40〜45℃に保持された0.5メートルトン(500kg)のワイン香味チョコレートに、分散種子粉末を含む5kgのココアバターを添加する。ゆっくり添加し、タンク中で5分間、または均一に分散するまで混合する。
(浸干しブドウのチョコレートへの添加)
濾過し液切りした干しブドウ(約5.5〜5.8kg)を40kgの香味を付け調節したチョコレートと混合した。干しブドウの均一な分布を保証するため、混合物をよく混ぜなければならない。
【0065】
次に干しブドウ/チョコレート混合物を型抜きし冷却する。
【0066】
ココアバター中に分散したワインおよび水溶性ポリフェノールが浸透した乾燥干しブドウまたは果実を用いることにより、一般的に困難なチョコレート等の食物中への添加の問題を解決することができる。ワイン香味を用いて味をさらに改善し、本発明に記載の方法に使用するポリフェノールおよび抗酸化剤含有量、およびACE阻害活性が増強された独特の味の製品を製造できる。
実施例6
本実施例では、糖ポリフェノールまたは実施例4の糖蜜抽出物を試験し、マウスのボディマス分布に対する効果を測定した。
(方法)
本実施例では疾患のない6週齢雄C57Bl/6Jマウス(n=65)を使用した。マウスをAnimal Resource Center、Canning Vale、WA、Australiaから購入した。
動物舎に到着の数日後に、マウスを通常の固形飼料(脂肪3%)から高脂肪高炭水化物飼料(脂肪21%、蛋白質20%、炭水化物49%、セルロース5%、ビタミンおよび無機物5%)に移行した。飼料はSpecialty Food、Glen Forrest、WA、Australiaで特別に調合した。 全てのマウスをグループあたり2匹、12:12の明暗サイクル、19〜21℃で飼育した。
【0067】
3グループのマウス(グループあたりn=13匹)を(1)1%ポリフェノール含有粉末、(2)2%ポリフェノール含有粉末、(3)糖蜜、(4)1%スクロース(対照)を含む高脂肪高炭水化物飼料で飼育した。本実施例で用いた飼料は98〜99%基本飼料プラス1〜2%の上記添加物を組み合わせて製造した。マウスにその飼料を9週間与えた。
【0068】
9週間の期間中、食物と水の摂取量および体重を毎週測定した。9週目にマウスの体組成を2重エネルギーX線吸光光度分析法(DEXA)で測定した。
2重エネルギーX線吸光光度分析法(DEXA):マウスの体全体の組成を、小動物用に最適化したソフトウエアパッケージを備えたDEXA(Norland XR−36)を用いて評価した。軽い麻酔(KetamilおよびRompun)下にマウスを走査した。体脂肪%、骨中無機物含有量(BMC)、骨中無機物密度(BMD)および無脂肪質量等の情報を提供する体全体の走査モードを使用した。マウスは腹臥位で、走査テーブル中央に長軸に平行に置いた。
(結果と考察)
共に1および2%(PP1%、PP2%)高脂肪飼料に添加されたフェノール粉末と糖蜜とは、体脂肪を減少し(グラム−図4参照、体重の%−図5参照)無脂肪質量を増加した(図3参照)。体重と骨中無機物含有量は顕著には変化しなかった(図2および6)。制限食による干渉の9週後にDEXAを行った。DEXA体重(無脂肪組織、骨および脂肪組織の和)は、体重計で測定した体重との関連が高かった(r=0.98)。
【0069】
図2〜7で、一元配置の分散分析による統計的解析とそれに続く対照に対するフィッシャーLSDポストホック試験で*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001が得られた。
【0070】
食物と水の摂取の間で差はなかった(図示せず)。数値は糖蜜が体脂肪を減少することを示さなかった:脂肪%、平均値(SEM);対照=36.9(2.3)、糖蜜=30.2(1.7)、PP1%=26.3(1.6)、PP2%=25.0(2.8)
(結論)
無脂肪筋肉質量を有意に増加し、脂肪の割合を有意に減少することにより、ポリフェノール粉末が体組成を変化することを結果は示した。平均して11.9%の減少と、無脂肪筋肉質量の6%の増加は、肥満、糖尿および悪液質に罹患した対象の予後を有意に改善すると思われる。
実施例7
本実施例では、実施例6で使用された実施例4の糖蜜抽出物を、抗酸化剤能(ORAC)とα−グルコシダーゼおよびα−アミダーゼ活性について試験した。
(材料と方法)
試料の調製:試料をすり潰し、約50mgを5mLのメタノールに溶解した。試料を渦流攪拌し、30分間超音波処理し、5分間遠心分離した(1900 RCF)。上澄みを集め、乾固した。試料を10mg/mLでメタノールに再溶解した。
【0071】
糖蜜粉末試料は直接水可溶であった。ORAC分析前に糖蜜粉末を1mg/mLの濃度で燐酸緩衝液(pH7.4)に溶解した。糖蜜粉末試料を上記と同様に抽出し、比較ORACデータとした。α−アミラーゼおよびα−グルコシダーゼ分析の前に糖蜜粉末を、水に溶解した。
【0072】
酸素ラディカル吸光度(ORAC)分析:本実験で用いたORAC分析では、37℃で2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸(AAPH)により誘発されたパーオキシラディカルに対する試験試料中の抗酸化剤の除去活性を測定した。蛍光プローブとしてフルオレセインを使用した。試料に対する親水性ORAC値を測定した。
【0073】
AWA(アセトン:水:酢酸70:29.5:0.5)による逐次希釈で、初期スクリーンからの概略抗酸化剤能によって試料に対して適切な濃度から出発し、抽出物/試料をORAC手順を用いて4重に分析した。正の対照として緑茶抽出物を用い、試料調製毎に抽出物を準備した。
【0074】
糖蜜粉末試料を燐酸緩衝液(pH7.4)に直接溶解し分析したが、この場合AWAの代わりに燐酸緩衝液(pH7.4)を用いた。緑茶メタノール抽出物を正の対照として用い、燐酸緩衝液(pH7.4)に溶解した。
【0075】
ビタミンEの水溶性アナログであるTrolox(トロロックス)を参照標準試料としてし使用した。AWA中で100、50、25および12.5μMに調製したトロロックスから標準曲線を作成した。
【0076】
簡単に言えば、20μLの試料/標準/対照/ブランク(AWA)、10μLのフルオレセイン(6.0×10-7M)および170μLのAAPH(20mM)を各ウエルに加えた。負荷直後に、プレートを37℃に予熱したプレートリーダーに移し、1分間隔で蛍光を35回測定した。蛍光の読取値を溶媒のブランクウエルと対比した。トロロックス濃度と蛍光減衰曲線下の実質面積間の回帰式を用いてORAC値を計算し、試料gあたりのマイクロモルトロロックス当量(TE)として表した。
グルコース代謝酵素阻害分析
α−グルコシダーゼ:本分析前に糖蜜粉末試料を水に溶解した。フコイダン(Fucoidan)を正の対照として用い、水に溶解した。
【0077】
グルコシダーゼ酵素を0.7mg/Lの濃度で酢酸緩衝液(50mM、pH4.5)に溶解した。これにより最終濃度が0.2U/mLとなった。96ウエルプレートの各ウエルに50μLの酵素を添加した。酵素の代わりに酢酸緩衝液を入れた対応するウエルセットも作成した。試料/対照を3重に各ウエルに加え(5μL)、次いで基質4−ニトロフェニル−α−D−グルコピラノシドを加えた(最終濃度2mM)。プレートに蓋をし、振盪して37℃で30分間インキュベーションした。0.2MNa2CO3(100μL/ウエル)を加えて反応を停止した。Victor2プレートリーダーを用いて吸光度を405nmで測定した。
【0078】
試料、基質および緩衝液を含むウエルの吸光度をグルコシダーゼ酵素を含む対応するウエルの吸光度から差し引き、試料による阻害パーセントを溶媒対照に対比して計算した。
【0079】
α−アミラーゼ:糖蜜粉末試料を水に溶解した。正の対照としてアカルボース(Acarbose)を用いた。アカルボース錠剤を砕き、50%エタノール水溶液に溶解した(56mg/mL)。溶液を超音波処理し、2000RCFで10分間遠心分離した。上澄を集め、4℃で保存した。
【0080】
試料1のα−アミラーゼ活性に対する効果を測定するため、Enzchek Ultra Amylase分析キットを用いた(分子プローブE33651)。簡単に言えば、貯蔵液を水で1:10に希釈してa1×反応緩衝液(キットから供給)を調製した。100μLの50mM酢酸ナトリウム(pH4.0)、次いで900μLの1×反応緩衝液を加え、次いで1×反応緩衝液で20倍希釈することにより、凍結乾燥デンプン基質(BODIPY(登録商標)FLコンジュゲートコーン由来のDQ(商標)デンプン)を調製した。ブタα−アミラーゼ(Sigma A3176)を0.5mg/mLで蒸留水に溶解してアミラーゼ保存液を調製した。アミラーゼ保存液を1×反応緩衝液で希釈して125U/mLの濃度とした。
【0081】
96ウエルプレートフォーマットを用いて分析を行った。各ウエルに100μLのアミラーゼ酵素溶液を加え、次いで試料と対照とを加えた(5μL/ウエル)。次いで基質溶液(95μL/ウエル)を加え、Victorプレートリーダーを用いて蛍光(励起485nm、発光530nm)を測定した。
(結果と考察)
各製品の収率を表6に示す。
「表」
【0082】
抗酸化剤能:メタノール抽出物を製造して調整した試料の抗酸化剤能を表7に示す。糖蜜粉末試料は最大の抗酸化剤能を示し、抽出物を作成した場合、ORAC値は5020μモルTE/試料で、緩衝液中に直接溶解した場合、4395μモルTE/試料であった(表8)。これらの値は対応する緑茶の値よりかなり高かった。
「表」
【0083】
(グルコース代謝酵素阻害分析)
α−グルコシダーゼの阻害:フコイダン対照と比較して、糖蜜粉末試料1のα−グルコシダーゼの阻害は限定的であった(表9)。糖蜜粉末試料が高いバックグラウンド吸光度を示すので、それをグルコシダーゼ酵素を含む対応するウエルの測定値から差し引いてもこの分析からのデータは問題である。阻害が相対的に低いバックグラウンド吸光度を有する溶媒対照と対比して測定されるので、この可能性はα−グルコシダーゼ活性を過剰に見積もることになる。
「表」
【0084】
(α−アミラーゼの阻害)
対照であるアカルボースと比較して試料1はα−アミラーゼ活性を阻害しなかった(表10)。試料1がα−アミラーゼ活性を十分に阻害しないため、IC50値をこのデータから計算することはできなかった。試料をより高い濃度で試験できればIC50を計算できたと思われるが、この様な濃度の生物学的関連性は疑問である。
「表」
【0085】
(結論)
本実施例は、糖蜜抽出物が強力な抗酸化剤であるという抗酸化剤能の他の測定法により実施例1および4を明白に支持する。糖蜜粉末の相対的力価は以下の通りである:
ブドウ種子抽出物>ブドウ抽出物>糖蜜粉末>緑茶
緑茶、HCA(ヒドロキシクエン酸)およびイヌリン等の製品は、この様な製品の摂取がグルコース吸収を遅らせる、および/またはインスリンの食欲制御を調節するという仮説に基づき体重減少の恩恵を主張している。グルコース吸収はグルコシダーゼとアミラーゼによって制御されている。糖蜜抽出物は弱いグルコシダーゼ活性を有し、従って体組成変化は他の作用機序によるものと考えられる。その機構にはACE阻害が含まれるという可能性が高い。
実施例8
本実施例は茶から抽出されたポリフェノールのボディマス分布に対する効果を検討する。
(方法)
動物と処置:雄Sprague Dawleyラット(n=48)を3週齢でAnimal Resource Center(Canning Vale、WA)から購入した。ラットを1週間Purinaラット固形飼料と水に順応させた。4週齢から全ての動物に半合成高脂質飼料(脂肪15%、表6)(Specialty Food、Glen Forest、WA)を与え、4種の液体試料のうちの1つを投与した:緑茶、紅茶、エピガロカテキン没食子酸塩(EGCG)または水。茶と茶抽出物は液体摂取の100%で与えた。ラットを高脂質飼料と茶試料で29週まで飼育した。食物と液体の摂取を毎日測定し、体重を毎週記録した。
「表」
【0086】
緑茶および紅茶:緑茶および紅茶ティーバッグ(Dilmah天然緑茶(商標)およびDilmah紅茶(商標))を地元小売商から購入した。10個のティーバッグ(茶葉約2g/バッグ)を蓋付き容器中で3分間、1リットルの沸騰水道水に浸した。次に抽出した茶からティーバッグを除き、冷たい水道水で茶試料を容積2リットルにした。これによりティーバッグ1つにつき約200mlの水となった。茶試料を2日おきに新しく調製した。
【0087】
エピガロカテキン没食子酸塩:エピガロカテキン没食子酸塩(EGCG(98%)、Sapphire Bioscience、VIC)を飲料水に溶解し、1mg/kg/日の用量で投与した。EGCG試料は毎日新しく調製した。
グルコース耐性試験:液体を自由に取らせてラットを終夜絶食させた。翌日の朝、ラットを拘束し、尾を局所麻酔薬(キシロカイン)中に1分間浸した。尾の先端から小さな断片を切り取り、少量の血が出るまで尾を付け根から先端へマッサージした。血液試料を集め(Hemocueミクロキュベット)、断食基礎血糖試料を採取した(Hemocue Glucostat血糖アナライザー)。次に矯正給餌により経口グルコース負荷(40%グルコース、ボーラス投与、2g/体重kg)を与え、30分間隔で2時間、血糖値を測定した。
【0088】
2重エネルギーX線吸光光度分析法(DEXA):Hologic QDR−4000/W吸光度光度計を用いて2重エネルギーX線吸光光度分析法により体内消費を測定した。ラットを軽く麻酔し(Nembutal、I.P、40mg/kg)、走査プラットホーム上に仰臥させた。尾を定位置にテープで止め、全身走査を行った。脂肪、無脂肪および全質量を測定すると同時に、脂肪比率パーセントおよび骨中無機物含有量を測定した。DEXAで測定した全質量はラットを秤量した質量との相関が高かった。
【0089】
統計的解析:グルコース耐性試験の結果を二元配置の分散分析(反復測定)を用いて比較し、DEXAと血漿インスリンとの結果を比較するために一元配置の分散分析を用いた。2つの解析の後にLSD検定を行った。p<0.05の場合に有意の差とした。全ての結果は平均値±SEMで表される。
(結果と考察)
図8〜16は得られた結果を示す:
・ 処置の結果として血糖値の変化は観測されなかった。
・ 全ての処置でラットの体重は同様であった。ポリフェノールは全体重を変化させなか った。
・ 11および18週で、緑茶および紅茶処置に対する脂肪質量の割合は水処置の対照よ り有意に低かった。18週でEGCGに対する脂肪質量の割合の結果も有意に異なって いた。18週で、脂肪質量のグラム数は水処置のものより有意に低かった。水対照と同 じ食餌である場合、ポリフェノールによって脂肪の生成がより少なくなった。
・ 11および18週で、緑茶およびEGCG処置に対する無脂肪質量のグラム数は水対 照のものより有意に高かった。ポリフェノールによって無脂肪質量の生成がより多くな った。緑茶と紅茶との間のポリフェノール含有量の差が、水対照と比較して紅茶が無脂 肪質量を有意に変化させなかったという事実に対する理由であると思われる。
実施例9
本実施例では、脂肪質量減少の表現型を示すかどうかを決定するため、アンギオテンシン変換酵素ノックアウト(ACE−/−)マウスの評価を行った。
(材料と方法)
マウス:雄および雌の異型接合ACEノックアウトマウス(+/−)をPierre Meneson研究室(Insern、U367、Paris、France)から購入した。マウスを動物舎中でC57BL/6J基礎飼料で飼育した。異型(ACE+/−)マウスを交配し、野生型(ACE+/+)および同型接合ACEゼロ子孫(ACE−/−)を生産した。ACE(−/−)およびACE(+/+)子孫の遺伝子型を決めるため、2重ラベルTaqman(商標)プローブ法(Appled Biosystems、Foster City、CA)を取り込むリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応を用いた。マウスを傾斜グリル蓋付きの個別プラスチックケージ(Wiretainers、Melbourne、Australia)中に入れた。食餌(Barastoc、Mouse Breederキューブ、Barastoc Stockfeeds、Autralia)を傾斜部上で任意に取ることができ、水道水にも自由に接近できた。マウスを12時間の明暗サイクルに維持した。12月齢であり、同じ飼育籠の条件に保った年齢の一致する雄ACE(+/+)および雌ACE(−/−)ペアを研究のために選んだ。摂取した食物と水の量を1週間、毎日モニターした。
【0090】
磁気共鳴イメージング(MRI)技術による脂肪組織分布のインビボ可視化:局部体脂肪分布を磁気共鳴イメージング(MRI)で可視化した。水平4.7TOxford磁石を備えたBruker BIOSPEC47/30スキャナーで映像を得た。プロトン密度強調軸方向映像を以下のパラメーターで得た:スライス数20;スライス厚み1mm;視野(FOV)6cm;マトリックス256×256;繰り返し時間(TR)815ms;エコー時間(TE)17.9ms。マウスを誘導チャンバー中に置き、医薬グレード空気中の濃度5%、ついで濃度2%に減少したのイソフルラン(Abbott Australiasia Pty Ltd、Sydney、Australia)に曝して、麻酔した。
【0091】
2重エネルギーX線分光吸光度法による体組成分析(DEXA):ACE(−/−)およびACE(+/+)マウスの体全体の組成の評価を、小動物用に最適化したソフトウエアパッケージ(バージョン3.07)を備えたDEXA(Hologic QDR4500、Hologic Inc. USA)を用いて行った。ケタミン(Apex Lab.の100mg/mLのKetaplex0.75mL)およびキシラジン(Bayerの20mg/mLのRumpun0.25mL)の混合物で軽い麻酔(0.02ml/体重g)を行い、伏臥位でマウスを走査した。
【0092】
血液分析:実験の最後に、上記のケタミンとキシラジンの混合物を腹腔注射する麻酔下で心臓から放血してマウスを殺した。ヘパリン被覆注射器で血液を集め、毛細管に試料を吸入後直ちにヘマトクリットを測定し、その後ミクロ遠心器(HERMLE Z233M−2、Medos Company Pty Ltd、Victoria、Australia)中で、10,000rpmで5分間遠心分離した。続いて血漿を冷却遠心器(Sorval−RT7)中で3,000rpm、15分間遠心して分離し、生化学分析が終了するまで−80℃で保存した。血漿トリグリセリド、全コレステロールおよび血糖値を市販キット(Beckman−Coulter Inc.、Fulerton、CA、USA)に記載の手順に従って分光光度法で測定した。ACE(−/−)およびACE(+/+)マウス(n=6)で、血漿レプチンを前記の様に測定した。
【0093】
体芯温度(直腸温度)の測定:デュアルチャネルFluke52(John Fluke Manufacturing)電子温度計に接続したK型熱電対で温度を測定した。直腸温度を測定するため、熱電対(先端をシリコンで被覆)を各マウスの肛門括約筋中に2cm挿入した。熱電対の先端と接続ワイヤーを局所麻酔剤および潤滑剤として5%w/vリドカインゲル(キシロカイン、Astra Pharmaceuticals)で被覆した。温度測定を4日連続で同時刻に行い、これらの4回の実験の平均値を採用した。
【0094】
走行ホイール上の自発身体活動:グリル蓋を有する個々のプラスチックケージに固定した速度計(走行ホイール径で補正したSigma Sport BC700)を備えた走行ホイールで、マウスが14日間の間いつでも自由に走れるようにしておいた。走行距離(km)および速度(km/h)を毎日、10日間測定した。マウスに食餌と水を自由に与えた。
【0095】
糞塊脂肪含有量の分析:糞をマウスケージから1週間採集し、分析まで冷凍庫(−20℃)中に保存した。クロロホルム:メタノール2:1溶液を用いて5gの糞から脂質を抽出した。室温で24時間抽出後に全脂質含有量を重量分析で求めた。資質抽出残渣につき糞の乾燥重量を測定した。脂肪の重量を糞の残渣の重量に加えて、糞の全乾燥重量を求めた。
【0096】
統計解析:全てのデータは平均値±SEMで報告される。2つのグループの差をスチューデントt検定(Statistica、Statsoft、USA)で解析した。
(結果)
「表」
【0097】
数値は平均値±SEMで表される。***p<0.001(ACE−/−対ACE+/+)
体重、体脂肪、食餌及び水の摂取:ACE(+/+)マウスと比較して、ACE(−/−)マウスは14〜16%体重が少なく(p<0.01;図17A);体脂肪が50〜55%少なかった(p<0.001;図17B)。ACE(−/−)マウスはACE(+/+)マウスと比較して無脂肪ボディマスの比率が顕著に増加していた(図17C)。
【0098】
食餌の摂取は同程度であったが(図18A)、ACE(−/−)マウスの水の摂取はACE(+/+)マウスの2倍以上であった(p<0.001;図18B)。ACE(−/−)マウスの血中レプチンレベルはACE(+/+)マウスより低い傾向であり(1.5±0.3対8.1±2.8nmol/L;F(1,4)df=5.60、p<0.07、グループあたりn=3)、体脂肪と相関していた(r=0.85、p<0.05)。
骨:骨無機物含有比率(2.2±0.06対2.1±0.05、グループあたりn=7)または骨中無機物密度(0.076±0.002対0.078±0.001g/cm2、グループあたりn=7)のいずれも、ACE(−/−)マウスとACE(+/+)マウスとの間で有意差は見られなかった。
【0099】
MRIによる局部脂肪質量の可視化:プロトン密度強調MRI像で明るく白い領域は脂肪である。一連の軸方向のイメージを目で比較すると、ACE(+/+)マウスと比較して、ACE(−/−)マウスで脂肪組織が顕著に減少していることが示された(図19)。この効果は、矢印で示す腹部脂肪質量で最も顕著である。
【0100】
体芯温度、自発身体運動レベルおよび脂肪排出:体芯温度(図20A)、自発運動(平均走行距離、図20B;速度、図20C)または糞中の脂肪の割合(図20D)ではACE(−/−)マウスとACE(−/−)マウスとの間で有意差は見られなかった。
【0101】
ヘマトクリットおよび血漿組成:ACE(+/+)マウスと比較してACE(−/−)マウスではヘマトクリットが低かった(p<0.001)。血漿グルコース、トリグリセリド(TG)またはコレステロールレベルに差はなかった(表12)。
結論
ACE欠乏動物モデルと様々なポリフェノール源(茶、糖蜜および糖蜜抽出物)を用いて同じ生理学的変化を与えると、その結果はACE阻害機構を経てポリフェノールが作用する影響を支持している。
【0102】
明細書とクレームで用いた用語「comprising」および用語「comprising」の他の複数の形式は、クレーム対象である本発明からいかなる変形または追加を除外するよう制限するものではない。
【0103】
本発明に対する修正および改良は当業者に容易に自明のことであると思われる。この様な修正と改善も、本発明の範囲内であることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0104】
本発明の様々な実施態様/態様を以下の図面を参照して説明し、(アステリスクは有意な差を強調するものである)。
【図1】実施例4で用いる抽出法を示す。
【図2】実施例6の骨中無機物含有量の結果を示す。
【図3】実施例6の徐脂肪体重の結果を示す。
【図4】実施例6の脂肪質量の結果を示す。
【図5】実施例6の脂肪の割合の結果を示す。
【図6】実施例6のDEXAの結果による全体重を示す。
【図7】実施例6の全体重の結果を示す。
【図8】実施例8のグルコース負荷時点の体重を示す。
【図9】実施例8のDEXA分析時の体重を示す。
【図10】実施例8のDEXA分析時の脂肪質量の割合を示す。
【図11】実施例8のDEXA分析時の脂肪質量(グラム)を示す。
【図12】実施例8のDEXA分析時の無脂肪質量(グラム)を示す。
【図13】実施例8の血糖の結果を示す。
【図14】実施例8の食物摂取の結果を示す。
【図15】実施例8の液体摂取の結果を示す。
【図16】実施例8の肝臓脂肪酸化の結果を示す。
【図17】ACE+/−マウス(白抜きバー)およびACE−/−マウス(黒塗りバー)における体重(A)、体脂肪の比率(B)および無脂肪質量の比率(C)を示す。数値は平均値±SEM(グループあたりn=7)、*p<0.05;**p<0.01;***p<0.001
【図18】ACE+/+マウス(白抜きバー)およびACE−/−マウス(黒塗りバー)における食物摂取(A)及び水摂取(B)を示す。数値は平均値±SEM(グループあたりn=7)、***p<0.001
【図19】ACE+/+マウス(A)およびACE−/−マウス(B)の体全体のプロトン密度強調軸方向MRI像を示す。明るく白い領域は脂肪を示す。画像の各シリーズは1匹の動物から得られたデータを示す。白矢印の先端は男性様脂肪を示す。
【図20】直腸温度(A)、自発走行ホイール活性(ACE+/+マウス(白抜きバー)およびACE−/−マウス(塗つぶしバー)における一日あたり走行距離(B)、速度(C)、および糞中の脂肪の割合(D))。数値は平均値±SEM(直腸温度および自発走行ホイール活性測定ではグループあたりn=5;糞脂肪分析ではACE(−/−):n=6、ACE(+/+):n=7)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのヒドロキシル基と、ボディマス組成を変化させる能力とを有する1つ以上の有効量の化合物、または生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグを被験者に投与することを含むことを特徴とする、脂肪の全体的な割合を減少および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の割合を増加することによるボディマス分布を変化させる方法。
【請求項2】
少なくとも1つのヒドロキシル基と、ボディマス組成を変化させる能力とを有する化合物がフラボノイド、ポリフェノール、ミルク蛋白質、糖蜜抽出物、高フラボノイド糖およびそれらの混合物でなる群より選ばれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリフェノールがワイン、ココア、サトウキビ、サトウダイコン、糖蜜、糖蜜抽出物、サトウキビおよびサトウダイコン廃棄物およびそれらの混合物起源であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
有効量が摂取した全食物の1〜2重量%である請求項2に記載の方法。
【請求項5】
ヒトに対する有効量が2〜20g/日であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
悪液質に罹患したヒトの脂肪質量に対する無脂肪質量の比率の増加が少なくとも1〜2%であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つのヒドロキシル基と、ボディマス組成を変化させる能力とを有する有効量の1つ以上の化合物、または生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグと、許容し得る担体とをを含む治療用調合物を被験者に投与することを含むことを特徴とする、脂肪の全体的な割合を減少および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の割合を増加することによるボディマス分布を変化させる方法。
【請求項8】
治療用調合物が機能性食品の形であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
機能性食品がチョコレート製品、糖製品およびそれらの混合物でなる群より選ばれることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのヒドロキシル基と、ボディマス組成を変化させる能力とを有する有効量の1つ以上の化合物、または生理学的に許容し得るアナログ、誘導体またはそのプロドラッグと、許容し得る担体とを含む治療用調合物を含むことを特徴とする、脂肪の全体的な割合を減少、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の割合を増加することによるボディマス分布を変化させるために使用する治療用調合物。
【請求項11】
治療用調合物が機能性食品ことを特徴とする請求項10に記載の治療用調合物。
【請求項12】
機能性食品がチョコレート製品、糖製品およびそれらの混合物でなる群より選ばれることを特徴とする請求項11に記載の治療用調合物。
【請求項13】
脂肪の全体的な割合を減少および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の割合を増加することによるボディマス分布を変化させる医薬の製造における、少なくとも1つのヒドロキシル基と、ボディマス組成を変化させる能力とを有する有効量の1つ以上の化合物、または生理学的に許容し得るアナログ、誘導体またはそのプロドラッグと、許容し得る担体と、適当な担体との併用。
【請求項14】
ACE阻害活性を有する1つ以上の有効量の化合物または生理学的に許容し得る誘導体またはそれらのプロドラッグを被験者に投与することを含むことを特徴とする、脂肪の全体的な割合を減少および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の割合を増加することによるボディマス分布を変化させる方法。
【請求項15】
ACE阻害性を有する化合物がフラボノイド、ポリフェノール、ミルク蛋白質、ココア、ココア製品、ココア抽出物、ブドウ抽出物、糖蜜抽出物、高フラボノイド糖およびそれらの混合物でなる群より選ばれることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ポリフェノールがワイン、ココア、サトウキビ、サトウダイコン、およびサトウキビおよびサトウダイコン廃棄物およびそれらの混合物でなる群起源であることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
有効量が全摂取食物の1〜2重量%であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項18】
ヒトに対する有効量が2〜20g/日であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項19】
悪液質に罹患したヒトの脂肪質量に対する無脂肪質量の比率が少なくとも1〜2%であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項20】
ACE阻害活性を有する1つ以上の有効量の化合物、または生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグと、許容し得る担体とを含む治療用配合物を被験者に投与することを含むことを特徴とする、全体の脂肪の割合を減少する、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の比率を増加することにより、ボディマスの分布を変える方法。
【請求項21】
治療用配合物が機能性食品の形であることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
機能性食品がチョコレート製品、糖製品およびそれらの混合物でなる群より選ばれることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ACE阻害活性を有する有効量の1つ以上の化合物、または生理学的に許容し得るアナログ、誘導体またはそのプロドラッグと、許容し得る担体とを含む治療用調合物を被験者に投与することを含むことを特徴とする、脂肪の全体的な割合を減少、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の割合を増加することによるボディマス分布を変化させるために使用する治療用調合物。
【請求項24】
治療用調合物が機能性食品であることを特徴とする請求項23に記載の治療用調合物。
【請求項25】
機能性食品がチョコレート製品、糖製品およびそれらの混合物でなる群より選ばれることを特徴とする請求項24に記載の治療用調合物。
【請求項26】
脂肪の全体的な割合を減少、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の割合を増加することによりボディマスを変化させるための医薬の製造において、ACE阻害活性を有する有効量の1つ以上の化合物、または生理学的に許容し得るアナログ、誘導体またはそのプロドラッグと、許容し得る担体との併用。
【請求項27】
有効量の1つ以上のポリフェノールまたは生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグを投与することを含むことを特徴とする、脂肪の全体的な割合を減少、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の割合を増加することによりボディマスを変化させる方法。
【請求項28】
ポリフェノールがココア、サトウキビ、サトウダイコン、サトウキビおよびサトウダイコン廃棄物、糖蜜、ブドウ、ワイン、果実、野菜、ハーブ、スパイス、ビーンズ、豆類、穀物、ナッツ、脂肪種子、植物油、茶、コーヒー、ビール、リンゴ酒、種子、緑茶およびそれらの混合物起源または由来であることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
1つ以上のポリフェノールが高い抗酸化剤活性を有することを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項30】
有効量が全摂取食料の1〜2重量%であることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項31】
ヒトに対する有効量が2〜20g/日であることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項32】
有効量の1つ以上のポリフェノールまたは生理学的に許容し得る誘導体またはそれらのプロドラッグと、許容し得る担体とを含む治療用配合物を被験者に投与することを特徴とする方法。
【請求項33】
有効量の1つ以上のポリフェノールまたは生理学的に許容し得るアナログ、誘導体またはそれらのプロドラッグと、許容し得る担体とを含むことを特徴とする、全脂肪の割合を減少する、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の比率を増加することによりボディマス分布を変化させるために使用する治療用調合物。
【請求項34】
全脂肪の割合を減少する、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の比率を増加することによりボディマス分布を変化させるための医薬の製造において、有効量の1つ以上のポリフェノールまたは生理学的に許容し得るアナログ、誘導体またはそれらのプロドラッグと、適当な担体との併用。
【請求項35】
有効量の糖蜜またはその抽出物を被験者に投与することを含むことを特徴とする、全脂肪の割合を減少する、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の比率を増加することによりボディマス分布を変化させる方法。
【請求項36】
糖蜜またはその抽出物が高い抗酸化剤活性を有することを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項37】
有効量が全食料摂取の1〜2重量%であることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項38】
ヒトに対する有効量が2〜20g/日であることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項39】
悪液質に罹患したヒトの脂肪質量に対する無脂肪質量の比率の増加が少なくとも1〜2%であることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項40】
有効量の糖蜜またはその抽出物と、許容し得る担体とを被験者に投与すること含むことを特徴とする方法。
【請求項41】
有効量の糖蜜またはのそ抽出物と、許容し得る担体とを含むことを特徴とする、全脂肪の割合を減少する、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の比率を増加することによりボディマス分布を変化させるために使用する治療用配合物。
【請求項42】
全脂肪の割合を減少する、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の比率を増加することにより体脂肪分布を変化させるための医薬の製造において、有効量の糖蜜またはその抽出物と、適当な担体との併用。
【請求項1】
少なくとも1つのヒドロキシル基と、ボディマス組成を変化させる能力とを有する1つ以上の有効量の化合物、または生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグを被験者に投与することを含むことを特徴とする、脂肪の全体的な割合を減少および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の割合を増加することによるボディマス分布を変化させる方法。
【請求項2】
少なくとも1つのヒドロキシル基と、ボディマス組成を変化させる能力とを有する化合物がフラボノイド、ポリフェノール、ミルク蛋白質、糖蜜抽出物、高フラボノイド糖およびそれらの混合物でなる群より選ばれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリフェノールがワイン、ココア、サトウキビ、サトウダイコン、糖蜜、糖蜜抽出物、サトウキビおよびサトウダイコン廃棄物およびそれらの混合物起源であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
有効量が摂取した全食物の1〜2重量%である請求項2に記載の方法。
【請求項5】
ヒトに対する有効量が2〜20g/日であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
悪液質に罹患したヒトの脂肪質量に対する無脂肪質量の比率の増加が少なくとも1〜2%であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つのヒドロキシル基と、ボディマス組成を変化させる能力とを有する有効量の1つ以上の化合物、または生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグと、許容し得る担体とをを含む治療用調合物を被験者に投与することを含むことを特徴とする、脂肪の全体的な割合を減少および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の割合を増加することによるボディマス分布を変化させる方法。
【請求項8】
治療用調合物が機能性食品の形であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
機能性食品がチョコレート製品、糖製品およびそれらの混合物でなる群より選ばれることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのヒドロキシル基と、ボディマス組成を変化させる能力とを有する有効量の1つ以上の化合物、または生理学的に許容し得るアナログ、誘導体またはそのプロドラッグと、許容し得る担体とを含む治療用調合物を含むことを特徴とする、脂肪の全体的な割合を減少、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の割合を増加することによるボディマス分布を変化させるために使用する治療用調合物。
【請求項11】
治療用調合物が機能性食品ことを特徴とする請求項10に記載の治療用調合物。
【請求項12】
機能性食品がチョコレート製品、糖製品およびそれらの混合物でなる群より選ばれることを特徴とする請求項11に記載の治療用調合物。
【請求項13】
脂肪の全体的な割合を減少および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の割合を増加することによるボディマス分布を変化させる医薬の製造における、少なくとも1つのヒドロキシル基と、ボディマス組成を変化させる能力とを有する有効量の1つ以上の化合物、または生理学的に許容し得るアナログ、誘導体またはそのプロドラッグと、許容し得る担体と、適当な担体との併用。
【請求項14】
ACE阻害活性を有する1つ以上の有効量の化合物または生理学的に許容し得る誘導体またはそれらのプロドラッグを被験者に投与することを含むことを特徴とする、脂肪の全体的な割合を減少および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の割合を増加することによるボディマス分布を変化させる方法。
【請求項15】
ACE阻害性を有する化合物がフラボノイド、ポリフェノール、ミルク蛋白質、ココア、ココア製品、ココア抽出物、ブドウ抽出物、糖蜜抽出物、高フラボノイド糖およびそれらの混合物でなる群より選ばれることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ポリフェノールがワイン、ココア、サトウキビ、サトウダイコン、およびサトウキビおよびサトウダイコン廃棄物およびそれらの混合物でなる群起源であることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
有効量が全摂取食物の1〜2重量%であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項18】
ヒトに対する有効量が2〜20g/日であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項19】
悪液質に罹患したヒトの脂肪質量に対する無脂肪質量の比率が少なくとも1〜2%であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項20】
ACE阻害活性を有する1つ以上の有効量の化合物、または生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグと、許容し得る担体とを含む治療用配合物を被験者に投与することを含むことを特徴とする、全体の脂肪の割合を減少する、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の比率を増加することにより、ボディマスの分布を変える方法。
【請求項21】
治療用配合物が機能性食品の形であることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
機能性食品がチョコレート製品、糖製品およびそれらの混合物でなる群より選ばれることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ACE阻害活性を有する有効量の1つ以上の化合物、または生理学的に許容し得るアナログ、誘導体またはそのプロドラッグと、許容し得る担体とを含む治療用調合物を被験者に投与することを含むことを特徴とする、脂肪の全体的な割合を減少、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の割合を増加することによるボディマス分布を変化させるために使用する治療用調合物。
【請求項24】
治療用調合物が機能性食品であることを特徴とする請求項23に記載の治療用調合物。
【請求項25】
機能性食品がチョコレート製品、糖製品およびそれらの混合物でなる群より選ばれることを特徴とする請求項24に記載の治療用調合物。
【請求項26】
脂肪の全体的な割合を減少、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の割合を増加することによりボディマスを変化させるための医薬の製造において、ACE阻害活性を有する有効量の1つ以上の化合物、または生理学的に許容し得るアナログ、誘導体またはそのプロドラッグと、許容し得る担体との併用。
【請求項27】
有効量の1つ以上のポリフェノールまたは生理学的に許容し得る誘導体またはそのプロドラッグを投与することを含むことを特徴とする、脂肪の全体的な割合を減少、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の割合を増加することによりボディマスを変化させる方法。
【請求項28】
ポリフェノールがココア、サトウキビ、サトウダイコン、サトウキビおよびサトウダイコン廃棄物、糖蜜、ブドウ、ワイン、果実、野菜、ハーブ、スパイス、ビーンズ、豆類、穀物、ナッツ、脂肪種子、植物油、茶、コーヒー、ビール、リンゴ酒、種子、緑茶およびそれらの混合物起源または由来であることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
1つ以上のポリフェノールが高い抗酸化剤活性を有することを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項30】
有効量が全摂取食料の1〜2重量%であることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項31】
ヒトに対する有効量が2〜20g/日であることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項32】
有効量の1つ以上のポリフェノールまたは生理学的に許容し得る誘導体またはそれらのプロドラッグと、許容し得る担体とを含む治療用配合物を被験者に投与することを特徴とする方法。
【請求項33】
有効量の1つ以上のポリフェノールまたは生理学的に許容し得るアナログ、誘導体またはそれらのプロドラッグと、許容し得る担体とを含むことを特徴とする、全脂肪の割合を減少する、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の比率を増加することによりボディマス分布を変化させるために使用する治療用調合物。
【請求項34】
全脂肪の割合を減少する、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の比率を増加することによりボディマス分布を変化させるための医薬の製造において、有効量の1つ以上のポリフェノールまたは生理学的に許容し得るアナログ、誘導体またはそれらのプロドラッグと、適当な担体との併用。
【請求項35】
有効量の糖蜜またはその抽出物を被験者に投与することを含むことを特徴とする、全脂肪の割合を減少する、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の比率を増加することによりボディマス分布を変化させる方法。
【請求項36】
糖蜜またはその抽出物が高い抗酸化剤活性を有することを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項37】
有効量が全食料摂取の1〜2重量%であることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項38】
ヒトに対する有効量が2〜20g/日であることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項39】
悪液質に罹患したヒトの脂肪質量に対する無脂肪質量の比率の増加が少なくとも1〜2%であることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項40】
有効量の糖蜜またはその抽出物と、許容し得る担体とを被験者に投与すること含むことを特徴とする方法。
【請求項41】
有効量の糖蜜またはのそ抽出物と、許容し得る担体とを含むことを特徴とする、全脂肪の割合を減少する、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の比率を増加することによりボディマス分布を変化させるために使用する治療用配合物。
【請求項42】
全脂肪の割合を減少する、および/または脂肪質量に対する無脂肪質量の比率を増加することにより体脂肪分布を変化させるための医薬の製造において、有効量の糖蜜またはその抽出物と、適当な担体との併用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2008−542307(P2008−542307A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513874(P2008−513874)
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【国際出願番号】PCT/AU2006/000769
【国際公開番号】WO2006/128259
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(506381821)ホリズン サイエンス ピーティーワイ リミテッド (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【国際出願番号】PCT/AU2006/000769
【国際公開番号】WO2006/128259
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(506381821)ホリズン サイエンス ピーティーワイ リミテッド (7)
【Fターム(参考)】
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