説明

ボリューム装置とそれを用いたモータ制御装置

【課題】 ボリュームつまみが不用意に外れないようにして安全性、操作性、取り付け強度を確保するとともに、カバーの取り付けを行わず部品点数の削減、またコストダウンを目的とする。
【解決手段】 ボリュームつまみ(2)を備え、ボリューム機能を有した電子部品(3)に前記ボリュームつまみを(2)取り付けて、前記ボリュームつまみ(2)を操作することで、ボリューム調整を行う機能を有したボリューム装置(1)において、その取り付け構造が前記電子部品への挿入形式で、前記電子部品(3)への挿入工程が、挿入した後、前記ボリュームつまみ(2)をある程度回転させ、そこからさらに挿入するという二段階の挿入形式にしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボリュームつまみを備え、ボリューム機能を有した電子部品に前記ボリュームつまみを取り付けて、前記ボリュームつまみを操作することで、ボリューム調整を行う機能を有したモータ制御装置(いわゆるインバータ装置)において、ボリュームつまみの取り付け強度を強化し、かつ容易に取り付け可能にする構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インバータ装置には、一般的に、パラメータの選択やデータの設定等をするボリュームつまみが備えられている(例えば、特許文献1)。従来のボリュームつまみの取り付け方法は、図6および図7に示すような構成になっており、図6は完成図で、図7は図6の分解図である。
図6、7において、1はボリューム装置であり、2はボリュームつまみ、3はボリュームつまみを取り付ける電子部品(可変抵抗器)、4はボリュームつまみを収納するケース、5はボリュームつまみ2とケース4を保護するカバーである。
電子部品3にボリュームの機能を有しており、これを操作することでボリューム調整を行う。直接この電子部品3を触ってボリューム調整を行っても問題ないが、操作性や取り付け強度を向上させるため、ボリュームつまみ2を取り付けて、ボリュームつまみ2を操作して、間接的に電子部品3のボリューム調整を行う。しかしこの状態では、ボリュームつまみ2が電子部品3から不用意に外れる場合があり、安全性、操作性、取り付け強度を向上させるため、カバー5を取り付けることで、ボリュームつまみ2とケース4の保護を行い、またこのボリュームつまみ2が電子部品3から外れないように押さえるという役割も果たしている。
このように、従来のボリューム装置1は、単に電子部品3を操作してボリューム調整を行うのは操作性や取り付け強度が不足しているため、ボリュームつまみを取り付けて向上させるが、それだけではボリュームつまみが不用意に外れるため、さらにカバーを取り付けて、安全性、操作性、取り付け強度を確保しているのである。
【特許文献1】特開平9−247948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のボリューム装置は、電子部品にボリュームつまみを取り付けてボリューム調整を行っているが、ボリュームつまみを固定できないため、このボリュームつまみが不用意に外れて、安全性、操作性、取り付け強度を確保することができないという問題があった。また、それを満たすような場合はカバーを取り付けることになるので、部品点数が増え、コストアップとなるというような問題もあった。
【0004】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、ボリュームつまみが不用意に外れないようにして安全性、操作性、取り付け強度を確保するとともに、カバーの取り付けを行わず部品点数の削減、またコストダウンをすることができるボリューム装置とそのボリューム装置を用いたモータ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
請求項1に記載の発明は、ボリュームつまみを備え、ボリューム機能を有した電子部品に前記ボリュームつまみを取り付けて、前記ボリュームつまみを操作することで、ボリューム調整を行う機能を有したボリューム装置において、その取り付け構造が前記電子部品への挿入形式で、前記電子部品への挿入工程が、挿入した後、前記ボリュームつまみをある程度回転させ、そこからさらに挿入するという二段階の挿入形式になっていることを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、前記ボリューム装置に備えた前記ボリュームつまみが、前記電子部品との挿入した嵌合部分と、前記ボリュームつまみの一部分をケースに収納した、取り付け構成であることを特徴とするものである。
また、請求項3に記載の発明は、前記ボリューム装置に備えた前記ボリュームつまみが、前記ボリュームつまみと前記ケースの組み合わせにより、前記二段階の挿入形式となるような構造を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項4に記載の発明は、前記ボリューム装置に備えた前記ボリュームつまみが、前記ボリュームつまみの底面と側面とが接する稜の一部分に飛出し形状を備えていることを特徴とするものである。
また、請求項5に記載の発明は、前記ボリューム装置に備えた前記ボリュームつまみを取り付ける前記ケースが、前記ボリュームつまみを前記電子部品に取り付ける際の挿入方向に挿入させた時、前記ボリュームつまみと前記電子部品とがある程度挿入された、または全く挿入されていない途中段階で、前記ボリュームつまみの前記飛出し形状の部分と前記ケースとが干渉して途中で止まる構造を設け、かつ前記途中段階で止まった状態で前記ボリュームつまみを回転させることができ、前記回転方向に、前記ボリュームつまみの前記飛出し形状の部分と前記ケースとが干渉して回転が途中で止まる構造を設け、前記回転が止まった状態において、前記ボリュームつまみと前記電子部品を取り付ける際の挿入方向に挿入させた時、完全に挿入させることができる構造を有していることを特徴とするものである。
また、請求項5記載の前記ボリューム装置において、前記ボリュームつまみの前記飛出し形状を、底面と側面とが接する稜に少なくとも二箇所以上設け、前記飛出し形状の回転方向の長さを同じにせず、回転方向の長さを又は飛出し形状自体を異ならせたものである。
また、ボリュームつまみを備え、ボリューム機能を有した電子部品に前記ボリュームつまみを取り付けて、前記ボリュームつまみを操作することで、ボリューム調整を行う機能を有したボリューム装置において、その取り付け構造が前記電子部品への挿入形式で、前記電子部品への挿入工程が、挿入した後、前記ボリュームつまみをある程度回転させ、そこからさらに挿入するという二段階の挿入形式のボリューム装置をモータ制御装置の入力操作部に用いたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の発明によると、人為的な作用がなければ外れないようにすることができ、取り付け強度を確保することができる。
また、請求項2に記載の発明によると、ボリュームつまみの固定が電子部品だけではなく、ケースとも取り付けることができ、さらに取り付け強度を強くすることができる。
また、請求項3および請求項4および請求項5に記載の発明によると、電子部品の構造に二段階の挿入形態の構成を作るための特別な構造をなくすことができ、電子部品の形状を簡略化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0008】
図5は、インバータ装置の動作基本部分を大まかにブロックで示したもので、図において、16がモータ制御装置全体を表わしている。このモータ制御装置は、図示のように大別して、コンバータ部18、平滑コンデンサ21、インバータ部19、それに入力操作部20で構成されている。
【0009】
まず、コンバータ部18は、三相ブリッジ形の整流器で構成され、交流電源23から供給された三相交流電力を整流して直流電力に変換する働きをする。平滑コンデンサ21は、コンバータ部18から出力された直流電力を平滑化する働きをする。
【0010】
インバータ部19は、三相の各スイッチングアームで構成され、各アームを構成するスイッチング素子のスイッチング動作により、入力された直流電力を任意の周波数で任意の電圧の三相UVWの交流電力に変換して、図示してない、例えば誘導電動機などの負荷に供給する働きをする。
【0011】
ここで、インバータ部19の各スイッチング素子のスイッチング動作は、図示してない制御部からの制御信号により行なわれる。
入力操作部20は表示部17とボリューム装置1からなり、運転するために必要な負荷電動機22のモータ定数や運転速度などの運転条件の設定を行なう。
【0012】
図1は本発明のボリューム装置をモータ制御装置16の正面に搭載した実施例である。図1において1はボリューム装置、2はボリュームつまみ、17は表示部である。図2〜4は、本発明の実施例におけるボリューム装置1のボリュームつまみ2の取り付け構造を示す図である。図2は本発明の完成図で、図3は図2の分解図である。
【0013】
図3において、12はボリュームつまみを電子部品に挿入方向に取り付ける際に、ある程度挿入された、または全く挿入されていない途中段階においてのボリュームつまみの回転方向である。14はボリュームつまみを電子部品に挿入方向に取り付ける際に、ある程度挿入された、または全く挿入されていない途中段階において、ボリュームつまみを回転させた時に、ボリュームつまみの飛出し形状とケースが干渉して、途中で回転が止まった状態である。15はボリュームつまみを電子部品に挿入方向に取り付ける際に、ある程度挿入された、または全く挿入されていない途中段階において、ボリュームつまみを回転させた時に、ボリュームつまみの飛出し形状とケースが干渉して、途中で回転が止まった状態において、ボリュームつまみを電子部品に完全に取り付ける際の二段階目の挿入方向である。
【0014】
図4はケース4の詳細図である。図4において、11はボリュームつまみを電子部品に挿入方向に取り付ける際に、ボリュームつまみの飛出し形状とケースが干渉して、途中で挿入が止まるようなケースの一部分の構造である。13はボリュームつまみを電子部品に挿入方向に取り付ける際に、ある程度挿入された、または全く挿入されていない途中段階において、ボリュームつまみを回転させた時に、ボリュームつまみの飛出し形状とケースが干渉して、途中で回転が止まるようなケースの一部分の構造である。
【0015】
また、図1はボリューム装置をモータ制御装置(いわゆるインバータ装置)に搭載した実施例である。
図1〜4において、1はボリューム装置であり、2はボリュームつまみ、3はボリュームつまみを取り付ける電子部品、4はボリュームつまみを収納するケースである。ボリュームつまみ2は、底面6と側面7とが接する稜の一部分に飛出し形状8を備えている構造となっている。またケース4は、ボリュームつまみ2を電子部品3に完全に取り付けるまでの取り付け工程においてのある特別な状態において、ボリュームつまみ2の飛出し形状8と干渉が発生するような構造となっている。
【0016】
その特別な状態においての干渉が発生する構造とは、ボリュームつまみ2を電子部品3に取り付ける際の一段階目の挿入方向9で取り付ける際に、ボリュームつまみ2と電子部品3とがある程度挿入された、または全く挿入されていない途中段階10で、ボリュームつまみ2の飛出し形状8とケース4とが干渉して途中で挿入が止まる構造11を設ける。そして途中段階10で止まった状態でボリュームつまみ2を回転させることができ、その回転方向12において、ボリュームつまみ2の飛出し形状8とケース4とが干渉して回転が途中で止まる構造13を設ける。そしてその回転が止まった状態14において、ボリュームつまみ2を電子部品3に取り付ける際の二段階目の挿入方向15に挿入させた時、完全に挿入させることができる構造となっている。
本発明が従来技術と異なる部分は、ボリュームつまみ2の飛出し形状8と、ケース4の構造11と構造13、とを備えた部分である。
【0017】
図1〜4において、ボリュームつまみ2に飛出し形状8を設け、またケース4に構造11と構造13を設けるにより、人為的な作用がなければ外れないようにすることができるため、取り付け強度を確保することができる。よって、カバーを削除することができ、部品点数の削減ができ、またコストダウンもできる。また、電子部品の構造に二段階の挿入形態の構成を作るための特別な構造をなくすことができ、電子部品の形状を簡略化することができる。このことにより、ボリュームつまみ2の飛出し形状8と、ケース4の構造11と構造13の組み合わせにより、取り付け作業時の位置決めを確保することができるため、容易に取り付け作業を行うことができる。
なお、本発明において、ボリュームつまみ2の飛出し形状8を、底面6と側面7とが接する稜の二ヶ所に設けているが、これは別に一ヶ所でも何ヶ所でも問題ない。また、飛出し形状8の回転方向の長さを同じにせず、回転方向の長さ又は飛出し形状自体を異ならせることで、取り付けの誤挿入を防止することもできる。
また、本発明の実施例は、ボリューム装置1をモータ制御装置16に取り付けた構造で説明しているが、これはボリューム装置単体であっても実現可能な構造である。
【0018】
このように、ボリュームつまみ1に飛出し形状8を設け、またケース4に構造11と構造13を設けた構造にしているので、ボリューム装置の安全性、操作性、およびボリュームつまみ1の取り付け強度を確保するとともに、部品点数の削減もでき、またボリュームつまみ1の取り付け作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例を示すボリューム装置をモータ制御装置に搭載した実施例である。
【図2】本発明の実施例を示すボリューム装置の取り付け構成図の完成図である。
【図3】本発明の実施例を示すボリューム装置の取り付け構成図、図2の分解図である。
【図4】本発明の実施例を示すボリューム装置の取り付け構成図のケースの詳細図である。
【図5】モータ制御装置の構成図である。
【図6】従来のボリューム装置の構成図の完成図である。
【図7】従来のボリューム装置の構成図、図6の分解図である。
【符号の説明】
【0020】
1 ボリューム装置
2 ボリュームつまみ
3 電子部品
4 ケース
5 カバー
6 ボリュームつまみの底面
7 ボリュームつまみの側面
8 ボリュームつまみの底面と側面とが接する稜の一部分にある飛出し形状
9 ボリュームつまみを電子部品に取り付ける際の一段階目の挿入方向
10 ボリュームつまみを電子部品に挿入方向に取り付ける際に、ある程度挿入された、または全く挿入されていない途中段階
11 ボリュームつまみの飛出し形状とケースが干渉して、途中で挿入が止まるようなケースの一部分の構造
12 ある程度挿入された、または全く挿入されていない途中段階においてのボリュームつまみの回転方向
13 ある程度挿入された、または全く挿入されていない途中段階において、ボリュームつまみを回転させた時に、ボリュームつまみの飛出し形状とケースが干渉して、途中で回転が止まるようなケースの一部分の構造
14 ボリュームつまみを回転させた時に、ボリュームつまみの飛出し形状とケースが干渉して、途中で回転が止まった状態
15 ボリュームつまみを回転させた時に、ボリュームつまみの飛出し形状とケースが干渉して、途中で回転が止まった状態において、ボリュームつまみを電子部品に完全に取り付ける際の二段階目の挿入方向
16 モータ制御装置
17 表示部
18 コンバータ部
19 インバータ部
20 入力操作部
21 平滑コンデンサ
22 電動機
23 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボリュームつまみを備え、ボリューム機能を有した電子部品に前記ボリュームつまみを取り付けて、前記ボリュームつまみを操作することで、ボリューム調整を行う機能を有したボリューム装置において、
その取り付け構造が前記電子部品への挿入形式で、前記電子部品への挿入工程が、挿入した後、前記ボリュームつまみをある程度回転させ、そこからさらに挿入するという二段階の挿入形式になっていることを特徴とするボリューム装置。
【請求項2】
前記ボリューム装置に備えた前記ボリュームつまみが、前記電子部品との挿入した嵌合部分と、前記ボリュームつまみの一部分をケースに収納した、取り付け構成であることを特徴とする請求項1記載のボリューム装置。
【請求項3】
前記ボリューム装置に備えた前記ボリュームつまみが、前記ボリュームつまみと前記ケースの組み合わせにより、前記二段階の挿入形式となるような構造を備えたことを特徴とする請求項1記載のボリューム装置。
【請求項4】
前記ボリューム装置に備えた前記ボリュームつまみが、前記ボリュームつまみの底面と側面とが接する稜の一部分に飛出し形状を備えていることを特徴とする請求項1記載のボリューム装置。
【請求項5】
前記ボリューム装置に備えた前記ボリュームつまみを取り付ける前記ケースが、前記ボリュームつまみを前記電子部品に取り付ける際の挿入方向に挿入させた時、前記ボリュームつまみと前記電子部品とがある程度挿入された、または全く挿入されていない途中段階で、前記ボリュームつまみの前記飛出し形状の部分と前記ケースとが干渉して途中で止まる構造を設け、かつ前記途中段階で止まった状態で前記ボリュームつまみを回転させることができ、前記回転方向に、前記ボリュームつまみの前記飛出し形状の部分と前記ケースとが干渉して回転が途中で止まる構造を設け、前記回転が止まった状態において、
前記ボリュームつまみと前記電子部品を取り付ける際の挿入方向に挿入させた時、完全に挿入させることができる構造を有していることを特徴とする請求項1記載のボリューム装置。
【請求項6】
前記ボリュームつまみの前記飛出し形状を、底面と側面とが接する稜に少なくとも二箇所以上設け、前記飛出し形状の回転方向の長さを同じにせず、回転方向の長さを又は飛出し形状自体を異ならせることを特徴とする請求項5記載のボリューム装置。
【請求項7】
ボリュームつまみを備え、ボリューム機能を有した電子部品に前記ボリュームつまみを取り付けて、前記ボリュームつまみを操作することで、ボリューム調整を行う機能を有したボリューム装置において、その取り付け構造が前記電子部品への挿入形式で、前記電子部品への挿入工程が、挿入した後、前記ボリュームつまみをある程度回転させ、そこからさらに挿入するという二段階の挿入形式のボリューム装置をモータ制御装置の入力操作部に用いたことを特徴とするモータ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−245689(P2009−245689A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−89758(P2008−89758)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】