説明

ボールバランサを有する洗濯機

【課題】コストの増大、大型化、重量の増大及び信頼性の低下を招くことなく、案内部材に対して転動体を固定できるようにする。
【解決手段】回転体と、回転体を回転駆動する電動機と、回転体の側周部に周回して設けられた案内部材と、案内部材の内部に収容されて偏心荷重によるアンバランスを打ち消す方向に移動する1又は複数の転動体と、電動機を駆動して回転体の回転速度を制御する制御手段とを具備したものであって、回転体が連続的な速度変化又は所定値以下の加速度変化で回転する状態では転動体が前記案内部材に対して移動せず、回転体が所定値以上の加速度変化で回転する状態で転動体が案内部材に対して移動するように、案内部材と転動体との転がり摩擦係数を設定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗濯機の脱水機、遠心分離機など、回転体の偏心荷重および偏心位置が変化する可能性を有する回転システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、洗濯機の脱水プロセスにおいて、個々の洗濯物は回転体であるドラムの内周に沿って不均一な状態、すなわちアンバランスな状態にしばしば置かれる。その結果、脱水中に回転軸には偏った力が加わり、振動が発生する。振動の振幅は回転ドラムの回転速度の2乗に比例して増大し、その振動のために洗濯機自身が動いたり、ある回転速度以上では運転することができなくなってしまうなどの問題が発生する。
【0003】
ボールバランサシステム(図1参照)は、ドラムの内周に取り付けた管状のレース部に回転方向(周方向)に自由度をもつ複数のボールを配置することにより、偏心荷重を生じさせるアンバランス体(ここでは洗濯物(布))に対して自動的にボールが対向位置に移動する力学現象を利用したバランス装置である。図1は、ドラムの前端部及び後端部の2箇所に複数の金属球等の転動体(以下、ボールとも言う)を配置したダブルボールバランサの例を示している。その他に、ドラムの1箇所に金属球を配置したシングルボールバランサも知られており、これらは原理的には同じである。すなわち、脱水過程において経時的に変化する布アンバランス量に刻一刻対応して、複数のボールが位置を変え、自動的にアンバランスを修正できることに、このボールバランサシステムの特長がある。
【0004】
このボールバランサシステムは定常振動を抑制するシステムとしては優秀であるが、共振点を乗り越える際にボールが動くことで振動を増長する恐れがある。これ対して効果的な対策として、アンバランスとの釣合状態でボールを固定するシステムが特許文献1により提案されている。このロック機構は、ボールに接触する接触位置とボールから離間する離間位置との間で移動可能な移動体と、当該移動体を駆動するアクチュエータと、当該アクチュエータを制御するコントローラとを備えている。そして、コントローラがアクチュエータを制御することによって、移動体が接触位置に移動してボールを固定する。このようにボールを固定することによって過渡振動の大幅な低減が見込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2000−501488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ドラムに上記のロック機構を設けることになるため、コストの増加、大型化、重量の増加及び信頼性の低下が懸念される。
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決すべくなされたものであり、コストの増大、大型化、重量の増大及び信頼性の低下を招くことなく、案内部材に対して転動体を固定できるようにすることを主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係るボールバランサを有する回転装置は、水平又は傾斜回転軸周りに回転可能に支持された、偏心荷重が作用する回転体と、前記回転体を回転駆動する電動機と、前記回転体の側周部に周回して設けられた案内部材と、前記案内部材の内部に収容されて前記偏心荷重によるアンバランスを打ち消す方向に移動する1又は複数の転動体と、前記電動機を駆動して前記回転体の回転速度を制御する制御手段とを具備した回転装置であって、前記回転体が連続的な速度変化又は所定値以下の加速度変化で回転する状態では前記転動体が前記案内部材に対して移動せず、前記回転体が所定値以上の加速度変化で回転する状態で前記転動体が前記案内部材に対して移動するように、前記案内部材と前記転動体との転がり摩擦係数を設定していることを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、案内部材と転動体との転がり摩擦係数を設定することにより、連続的な速度変化又は所定値以下の加速度変化で回転する状態では転動体が案内部材に固定され、所定値以上の加速度変化で回転する状態では転動体が案内部材に対して移動することになり、転動体を固定する部品やアクチュエータ等が不要を不要としながらも転動体のロック状態及びアンロック状態を切り換えることができ、コスト低減、サイズダウンによる容量拡大、重量低減、信頼性の向上を可能にすることができる。
【0010】
ここで、案内部材及び転動体の転がり摩擦係数の設定方法としては、案内部材の内面の表面粗さ及び/又は転動体の表面粗さを粗くすることにより、転がり摩擦係数を高くすることが考えられる。また、案内部材の材質粗さ及び/又は転動体の材質粗さを粗くすることにより、転がり摩擦係数を高くすることが考えられる。
【0011】
また本発明に係る回転装置は、水平又は傾斜回転軸周りに回転可能に支持された、偏心荷重が作用する回転体と、前記回転体を回転駆動する電動機と、前記回転体の側周部に周回して設けられた案内部材と、前記案内部材の内部に収容されて前記偏心荷重によるアンバランスを打ち消す方向に移動する1又は複数の転動体と、前記案内部材の内部に貯留された粘性流体と、前記電動機を駆動して前記回転体の回転速度を制御する制御手段とを具備した回転装置であって、前記回転体が連続的な速度変化又は所定値以下の加速度変化で回転する状態では前記転動体が前記案内部材に対して移動せず、前記回転体が所定以上値の加速度変化で回転する状態で前記転動体が前記案内部材に対して移動するように、前記粘性流体の粘度を設定していることを特徴とする。これによっても上記と同様の効果を奏する。
【0012】
回転体が共振回転速度となるときの過渡振動を可及的に抑制するためには、前記制御手段が、前記回転体の回転速度を共振回転速度未満の状態で所定値以上の加速度変化により加振して前記転動体を移動させ、前記回転体の振動が減少傾向であるときに前記回転体の回転速度を連続的な速度変化によって共振回転速度を超えるように制御することが望ましい。
【0013】
共振回転速度を超えた後に、例えば洗濯物の含水量が減る等によって偏心荷重が変化する場合があり、このとき転動体の位置を修正することなく高速回転に突入すると定常振動が悪化することがある。この問題点を好適に解決するためには、前記制御手段が、前記回転体の回転速度を共振回転速度以上の状態で所定値以上の加速度変化により加振して前記転動体を再度移動させるように制御することが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
このように構成した本発明によれば、コストの増大、大型化、重量の増大及び信頼性の低下を招くことなく、案内部材に対して転動体を固定できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ボールバランサシステムの一例を示す模式的内部構造図。
【図2】本発明の一実施形態における洗濯機の内部構造を示す模式的縦断面図。
【図3】同実施形態のボールバランサシステムを示す軸方向から視た模式的内部構造図。
【図4】同実施形態の回転速度及びボールの状態を示す模式図。
【図5】同実施形態においてボールを動かすための加速度を示す模式図。
【図6】同実施形態においてボールを動かすための加速度を示す模式図。
【図7】同実施形態の所定値の加速度変化(パルス波)を設定する方法を示す図。
【図8】従来仕様におけるボール状態の実験結果を示す図。
【図9】本実施形態におけるボール状態の実験結果を示す図。
【図10】変形実施形態における粘性流体の粘度を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0017】
図2は、本実施形態に係るドラム式洗濯機100の概略内部構造を示した縦断面図である。同図中、符号1は中空のボディであり、このボディ1の使用端側(以下、前側とも言う)には、洗濯物を投入するための投入口11と、前記投入口11を閉じるための開閉可能な蓋12とが設けてある。また、ボディ1の内部には、水槽2が配設されており、当該水槽2のさらに内部にはドラム3が設けられている。
【0018】
水槽2は、後端面が底板21によって閉塞され、前端部が開口する概略円筒状をなすものであり、その中心軸Cを水平又は水平から傾斜させ、前側が後側よりも若干高くなる姿勢で、ダンパDや弾性体Sによって揺動可能に支持されている。
【0019】
ドラム3は、水槽2よりも一回り小さい円筒状をなすもので、水槽2と同様、その後端面が底板31によって閉塞され、その前端面は開口している。このドラム3には、厚み方向に貫通する多数の孔33が設けられていて、この孔33を介して水槽2からドラム3内に水が浸入自在に構成されている。
【0020】
このドラム3の前端部及び後端部には、ボールバランサシステム7が付加されている。このボールバランサシステム7は、図3に示すように、ドラム3の側周部に周回して取り付けられた管状をなす案内部材71と、この案内部材71の内部に略ガタなく嵌まり込んで転動する転動体たる複数の金属製ボール72からなるものである。なお、図3に示すように、前記案内部材71の内部には、ボール72の急激な移動を抑制するための油等の粘性流体73が貯留してある。
【0021】
前記水槽2における底板21の外側には、例えばドラム3を回転駆動するための電動機4が取り付けられており、前記電動機4の回転軸41が軸受42を介して当該底板21を貫通し、ドラム3の底板32に固定されている。
【0022】
なお、図2に示す符号5は、洗濯水を供給する給水機構5であり、符号6は、水槽2及びドラム3内の洗濯水を外部に排出するための排水機構である。
【0023】
これらの構成に加えて、この洗濯機100は、電動機4等の回転速度を制御して、ドラム内の洗濯物の重量を算出し、洗い工程や脱水工程を自動で行う制御手段8を、ボディ1の内部における適宜箇所に備えている。
【0024】
この制御手段8は、ハードウェア構成として、CPU、メモリ、I/Oチャネル、ADコンバータ、各種ドライバ回路などを具備した電気回路であり、前記メモリに記憶させたプログラムに従って、前記CPUや周辺機器が協動することで種々の機能を発揮する。なお、制御手段8の制御動作については後述する。
【0025】
しかして本実施形態の洗濯機100では、案内部材71とボール72との間の転がり摩擦係数が以下のように設定されている。
【0026】
つまり、前記転がり摩擦係数は、ドラム3が連続的な速度変化又は所定値以下の加速度変化で回転する状態では、ボール72が案内部材71に対して移動せず、且つ、ドラム3が所定値以上の加速度変化で回転する状態では、ボール72が案内部材71に対して移動するように設定されている。
【0027】
具体的には、案内部材71の材質及びその内面の表面粗さと転動体の材質及びその表面粗さの組み合わせによって転がり摩擦係数を高くしている。
【0028】
例えば材質の組み合わせだけに関して言うと、図4に示すように、銅製の案内部材71とステンレス鋼製のボール72とした場合(転がり摩擦係数:0.00012)よりもアルミニウム製の案内部材71及びステンレス鋼製のボール72として転がり摩擦係数を高くする(転がり摩擦係数:0.001)としている。また、図5に示すように表面粗さと転がり摩擦係数とは比例関係にあるため、表面粗さを大きくすることによって転がり摩擦係数を設定する。
【0029】
このように構成されたドラム式洗濯機100において、前記制御手段8は、脱水工程において、以下の手順でドラムの回転速度を制御する。
【0030】
脱水工程において制御手段8は、まず、停止状態からドラム3の回転速度を徐々に上昇させる。回転速度については、例えば電動機4に取り付けられた回転速度センサ(図示しない)からの出力によって得る。この回転速度センサは、例えばホールICなどを利用したものであるが、その他の方式でも構わない。また、ドラム3の振動を振動センサにより検知する。これにより、振動低減の有無を判断する。この振動センサとしては、例えば、ドラム3や水槽2等に直接設けた加速度センサであるが、その他の方式でも構わない。
【0031】
そして、制御手段8は、図6に示すように、ドラム3の回転速度を共振回転速度手前の第1速度(例えば150〜180[rpm])で、所定値以上の加速度変化(例えば20[rpm/sec])により加振して、ボールをアンバランスを打ち消す最適位置に移動させる。ここで加振前においてボール72は案内部材71に固定されたロック状態であり、加振中においてボール72は案内部材71に対して移動するアンロック状態である。
【0032】
そして、制御手段8は、この加振において振動センサから得られる振動が減少傾向にあるとき加振を停止して、ボール72がロック状態となるようにドラム3の回転速度を制御して共振回転速度(例えば200〜220[rpm])を超えるようにする。具体的には連続的な速度変化により共振回転速度以上の第2速度(例えば500[rpm])とする。この第2回転速度は、高速脱水工程(高速回転域)に入る前の回転速度である。その後、制御手段8は、第2回転速度で、所定値以上の加速度変化(例えば20[rpm/sec])により加振して、再度ボールをアンバランスを打ち消す最適位置に移動させる。
【0033】
ここで、ボール72のロック状態及びアンロック状態を切り換えるのに必要な速度変化について検討する。
【0034】
ボールの移動モーメントTは以下により表される(図3の下図参照)。
T=(m×r×ω×H)+I×dω/dt・・・(1)
ここで右辺第1項は振動による移動モーメントを表し、第2項は速度変化による移動モーメントを表す。また、I:ボールの慣性モーメント、ω:ドラムの回転速度、m:ボール重量、r:ボール半径、H:軸変位量である。
【0035】
回転速度ωによる強制振動であるから軸変位量Hは以下で表される。
H=eω/√{(ω−ω+(cω/m)}・・・(2)
ここで、e:重心の回転位置からの変位、m:ボールの重量、c:ダンピング係数、ω:共振回転速度である。
【0036】
一方で、転がり摩擦モーメントは以下により表される(図3の下図参照)。
M=η×m×R×ω×r・・・(3)
ここで、η:転がり摩擦係数、m:ボール重量、r:ボール半径である。
【0037】
したがって、ロック状態でT<M、アンロック状態でM≧Tとなるように速度変化(dω/dt)を与えればよい。
【0038】
次にボール72を動かすための所定値の加速度変化(パルス波)を設定する方法について説明する(図7参照)。前記第1速度(例えば170rpm程度)にdω/dtの加速度を持ったパルス波を加える。このとき、パルス波を加えた後の回転速度は、共振回転数手前で共振回転速度に入らない程度の回転速度(例えば第1回転速度+10rpm程度)とする必要がある。一方、第1回転速度は、パルス波により加えられる回転速度分低く(例えば160rpm程度)設定することが望ましい。
【0039】
最後に、従来仕様(転がり摩擦係数(銅):0.00012)と本実施形態の使用(転がり摩擦係数(アルミ):0.001)とした場合のボールの状態の実験結果について図8、9を参照して説明する。
【0040】
従来仕様においては、図8に示すように、共振回転数近傍(170rpm)において、T−M>0であり、ボールが共振回転数以外においてもアンロック状態であることが分かる。一方、本実施形態の使用においては、図9の上図に示すように、共振回転数近傍(170rpm)において、T−M<0であり、ボールがロック状態であることが分かる。この状態からドラムの回転速度にパルス波(dω/dt=20[rpm/sec])を与えることで、図9の下図に示すように、T−M>0となりボールがアンロック状態となることが分かる。
【0041】
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態に係るドラム式洗濯機100によれば、ボール72を固定する部品やアクチュエータ等が不要を不要としながらもボール72のロック状態及びアンロック状態を切り換えることができ、コスト低減、サイズダウンによる容量拡大、重量低減、信頼性の向上を可能にすることができる。
【0042】
また、ボール72を動かすタイミングを過渡振動MAX(共振回転数)が発生する直前に設定することで素早くボール72を最適位置に移動させることができる。さらに高回転域突入前にボール72の位置の最適化を再度図ることで、高速回転域での定常振動を抑制することができる。
【0043】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。例えば、前記実施形態では転がり摩擦係数によりボール72のロック状態及びアンロック状態を切り換えるように構成しているが、案内部材71内に収容された粘性流体73の粘度を所定値に設定することによりボール72のロック状態及びアンロック状態を切り換えるように構成しても良い。
【0044】
このとき、粘性流体としては可変粘性流体を用いることが考えられる。可変粘性流体の構成としては、磁性流体を用いて磁界を加えることで粘度を可変に構成すること、電気粘性流体を用いて電界を加えることで粘度を可変に構成すること、或いは、温度粘性流体を用いて温調することで粘度を可変に構成することが考えられる。そして、ボールをロック状態としたい場合には、可変粘性流体の粘度を所定値以上とし、ボールをアンロック状態としたい場合には、可変粘性流体の粘度を所定値以下とする。
【0045】
ここで、ボール72をロックする際の粘度としては、図10に示すように、5000[cSt]以上であることが望ましい。また、ボールをアンロックする際には、粘度を可及的に小さくすることが望ましく、例えば100[cSt]以下であることが望ましい。
【0046】
また、洗濯機のドラムの他に、遠心分離器などのように偏心荷重が作用する回転体に本発明を適用して前記実施形態と同様の効果を奏し得る。
【0047】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0048】
100・・・ドラム式洗濯機(回転装置)
3・・・ドラム(回転体)
4・・・電動機
71・・・案内部材
72・・・ボール(バランス用転動体)
73・・・粘性流体
8・・・制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平又は傾斜回転軸周りに回転可能に支持された、偏心荷重が作用する回転体と、前記回転体を回転駆動する電動機と、前記回転体の側周部に周回して設けられた案内部材と、前記案内部材の内部に収容されて前記偏心荷重によるアンバランスを打ち消す方向に移動する1又は複数の転動体と、前記電動機を駆動して前記回転体の回転速度を制御する制御手段とを具備した回転装置であって、
前記回転体が連続的な速度変化又は所定値以下の加速度変化で回転する状態では前記転動体が前記案内部材に対して移動せず、前記回転体が所定値以上の加速度変化で回転する状態で前記転動体が前記案内部材に対して移動するように、前記案内部材と前記転動体との転がり摩擦係数を設定していることを特徴とする回転装置。
【請求項2】
水平又は傾斜回転軸周りに回転可能に支持された、偏心荷重が作用する回転体と、前記回転体を回転駆動する電動機と、前記回転体の側周部に周回して設けられた案内部材と、前記案内部材の内部に収容されて前記偏心荷重によるアンバランスを打ち消す方向に移動する1又は複数の転動体と、前記案内部材の内部に貯留された粘性流体と、前記電動機を駆動して前記回転体の回転速度を制御する制御手段とを具備した回転装置であって、
前記回転体が連続的な速度変化又は所定値以下の加速度変化で回転する状態では前記転動体が前記案内部材に対して移動せず、前記回転体が所定以上値の加速度変化で回転する状態で前記転動体が前記案内部材に対して移動するように、前記粘性流体の粘度を設定していることを特徴とする回転装置。
【請求項3】
前記制御手段が、前記回転体の回転速度を共振回転速度未満の状態で所定値以上の加速度変化により加振して前記転動体を移動させ、前記回転体の振動が減少傾向であるときに前記回転体の回転速度を連続的な速度変化によって共振回転速度を超えるように制御する請求項1又は2記載の回転装置。
【請求項4】
前記制御手段が、前記回転体の回転速度を共振回転速度以上の状態で所定値以上の加速度変化により加振して前記転動体を再度移動させるように制御する請求項3記載の回転装置。
【請求項5】
前記回転体が洗濯機のドラムであり、前記偏心荷重がドラム内に収容された洗濯物によって生じるものである請求項1、2、3又は4記載の回転装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−122576(P2012−122576A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275293(P2010−275293)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(598045058)株式会社サムスン横浜研究所 (294)
【Fターム(参考)】