説明

ポジ型感放射線性樹脂組成物

【課題】100cm×100cm以上の大型基板にスリットコーターで塗布するのに好適なレジストとなるポジ型感放射線性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(A)フェノール性水酸基を有する重合体を100重量部と、(B)キノンジアジド基含有化合物を10〜50重量部と、(C)溶剤を、前記フェノール性水酸基を有する重合体(A)および前記キノンジアジド基含有化合物(B)の合計100重量部に対して100〜9900重量部と、(D)界面活性剤を0.01〜5重量部とを含有するポジ型感放射線性樹脂組成物であって、前記キノンジアジド基含有化合物(B)として特定の化合物を含有し、前記界面活性剤(D)としてポリエーテル変性ポリシロキサン化合物を含有し、スリットコーター塗布に用いられることを特徴とするポジ型感放射線性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精密微細加工にフォトリソグラフィー技術を用いる、いわゆるフォトファブリケーションに、好適に用いられる組成物および該組成物を用いたパターン形成方法に関する。より詳しくは、本発明は、半導体、電子部品やディスプレイパネル、タッチパネル等の配線形成、電極形成等のフォトファブリケーション分野で用いられるドライエッチング加工用のマスク剤として好適なポジ型感放射線性樹脂組成物および該ポジ型感放射線性樹脂組成物を用いて得られるパターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年ディスプレイパネルの大型化、低コスト化が急速な勢いで進んでいる。その中で、大型基板上で簡便な工程で安定して配線形成することが可能な技術が必要とされている。フォトリソグラフィー技術によりレジスト膜をパターニングしたのち、ドライエッチング法により配線形成する技術は従来半導体の分野で使用されており、比較的容易で生産性の高いプロセスとして普及しており、その技術をディスプレイパネル等の分野で応用する流れが出てきている。
【0003】
大型基板上で安定したドライエッチング加工をするためには、基板の表面全体にわたってレジストパターンが同一の形状で形成される必要がある。そのためには、塗膜の膜厚が均一で、露光マージン、現像マージンなどのパターニング工程のマージンが広いことが重要となる。
【0004】
なお、露光マージンとは、一定現像時間(推奨現像時間)において、規格CD値の±10%以内にレジストパターンが出来る露光量の幅のことを指す。現像マージンとは、一定露光量(推奨露光量)において、規格CD値の±10%以内にレジストパターンが出来る現像時間の幅のことを指す。
【0005】
大型基板上でレジストを塗布するには、スピンコーターのような回転型の塗布装置では基板の重量により回転中に基板が外れる等、安全上の問題があるため、スリットコーターで均一に塗布出来るレジストが求められる。しかしながら、スリットコーターで塗布する場合、レジストが塗布後基板端から中央に向けて引ける、いわゆる"ヒケ"の現象が大きな問題となる。ここで特開2003−233174号公報には、特定の配合比でノボラック樹脂及び特定の2種のキノンジアジドエステル化合物に感度向上を目的として特定のフェノール化合物を添加したポジ型ホトレジスト組成物が開示されている。該組成物を用いれば、500×600mm2以上の大型ガラス基板にスピンコート法で塗布した際の加熱
ムラや現像ムラが改善される。
【0006】
しかし、100cm×100cm以上の大型基板を用いる場合、もはや前記のようなスピンコート法に適用されるポジ型ホトレジスト組成物では、塗布性や面内の均一性などの諸特性が不十分である他に安全上の問題等から、"ヒケ"を防止しつつ、大型基板表面上に均一にポジ型感放射線性樹脂組成物を塗布することは困難である。
【特許文献1】特開2003−233174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の問題を解決するため、本発明は塗布後基板端から中央に引ける現象が起こらない、100cm×100cm以上の大型基板にスリットコーターで塗布するのに好適なレジストとなるポジ型感放射線性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、このような状況に鑑みて鋭意研究した結果、特定の組成を有するポジ型感放射線性樹脂組成物が、スリットコーターでも均一な塗布膜を形成し、"ヒケ"が起こらず、100cm×100cm以上の大型基板上でも安定したパターン形状を得られるに十分な広いパターニング工程のマージンを持ち、大型基板にスリットコーターで塗布するのに好適なレジストとなることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]
(A)フェノール性水酸基を有する重合体を100重量部と、(B)キノンジアジド基含有化合物を10〜50重量部と、(C)溶剤を、前記フェノール性水酸基を有する重合体(A)および前記キノンジアジド基含有化合物(B)の合計100重量部に対して100〜9900重量部と、(D)界面活性剤を0.01〜5重量部とを含有するポジ型感放射線性樹脂組成物であって、
前記キノンジアジド基含有化合物(B)として、下記一般式(I)で表される化合物aを含有し、前記界面活性剤(D)としてポリエーテル変性ポリシロキサン化合物を含有し、スリットコーター塗布に用いられることを特徴とするポジ型感放射線性樹脂組成物。
【0010】
【化1】

【0011】
(上記一般式(I)においてR1,R2,R3はそれぞれ独立に水素原子または下記式(III
)で表される基であり、R1,R2,R3の全てが水素であることは無い。)
【0012】
【化2】

【0013】
[2]
前記キノンジアジド基含有化合物(B)として、下記一般式(II)で表される化合物bを更に含有することを特徴とする上記[1]に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【0014】
【化3】

【0015】
(上記一般式(II)においてR4,R5,R6、R7,R8はそれぞれ独立に水素原子または
下記式(III)で表される基であり、R4,R5,R6、R7,R8の全てが水素であることは無い。)
【0016】
【化4】

【0017】
[3]
前記化合物aと前記化合物bとの重量の比(化合物a/化合物b)が、3/1〜1/3であることを特徴とする上記[2]に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【0018】
[4]
前記キノンジアジド基含有化合物(B)100重量部に対して、前記化合物aと前記化合物bとが合計で30〜100重量部含有されることを特徴とする上記[2]または[3]に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【0019】
[5]
(i)上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポジ型感放射線性樹脂組成物を基板表面
にスリットコーターにより塗布する工程と、
(ii)該基板表面に塗布されたポジ型感放射線性樹脂組成物を、UV光での露光および/または電子線での描画によってパターン露光する工程と、
(iii)該パターン露光工程を経たポジ型感放射線性樹脂組成物を現像することによっ
て、レジストパターンを形成する工程とを含むことを特徴とするレジストパターン形成方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、100cm×100cm以上の大型基板にスリットコーターで塗布するのに好適なレジストとなるポジ型感放射線性樹脂組成物および該ポジ型感放射線性樹脂組成物を用いたレジストパターン形成方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明について具体的に説明する。
[ポジ型感放射線性樹脂組成物]
本発明に係るポジ型感放射線性樹脂組成物は、(A)フェノール性水酸基を有する重合体と、(B)キノンジアジド基含有化合物と、(C)溶剤と、(D)界面活性剤とを特定の割合で含有するポジ型感放射線性樹脂組成物であって、前記キノンジアジド基含有化合物(B)として特定の化合物(化合物a)を含有し、前記界面活性剤(D)としてポリエーテル変性ポリシロキサン化合物を含有することを特徴としている。以下、本発明のポジ
型感放射線性樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
【0022】
<(A)フェノール性水酸基を有する重合体>
フェノール性水酸基を有する重合体(A)は、キノンジアジド基含有化合物(B)からなる感光剤との組み合わせで使用することにより、g線、i線の波長領域に感度を有するポジ型のレジストとして機能する。フェノール性水酸基を有する重合体(A)としては、以下に示すノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレンおよびその誘導体が挙げられる。これらは単独で使用することもできるが、混合して使用してもよい。
【0023】
(ノボラック樹脂)
本発明において用いられるノボラック樹脂はアルカリ可溶であり、m−クレゾールと他の1種以上のフェノール類(以下、これらを合わせて単にフェノール類とも呼ぶ)とをアルデヒド化合物と縮合して得られる樹脂であって、m−クレゾールの割合が全フェノール類中の40〜90質量%であるノボラック樹脂である。
【0024】
ノボラック樹脂の原料に用いられる前記他のフェノール類としては、具体的には、たとえば、o−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノールおよび2,3,5−トリメチルフェノール等を挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
これらのうちでは、p−キシレノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、3,4−キシレノールおよび2,3,5−トリメチルフェノールが好ましい。
また、m−クレゾールと他の1種以上のフェノール類との好ましい組み合わせとしては、m−クレゾール/2,3−キシレノール、m−クレゾール/p−クレゾール、m−クレゾール/2,4−キシレノール、m−クレゾール/2,3−キシレノール/3,4−キシレノール、m−クレゾール/2,3,5−トリメチルフェノールおよびm−クレゾール/2,3−キシレノール/2,3,5−トリメチルフェノール等を挙げることができる。
【0026】
また、縮合させるアルデヒド化合物としては、たとえばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、グリオキサール、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド等を挙げることができる。これらのうち、特に、ホルムアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒドを好適に用いることができる。
【0027】
これらのアルデヒド類も単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。このようなアルデヒド化合物を、前記他のフェノール類1モルに対し、好ましくは0.4〜
2モル、より好ましくは0.6〜1.5モルの量で使用する。
【0028】
フェノール類とアルデヒド化合物との縮合反応には、通常、酸性触媒が使用される。この酸性触媒としては、たとえば塩酸、硝酸、硫酸、ギ酸、シュウ酸、酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等を挙げることができる。このような酸性触媒は、通常、フェノール類1モルに対し、1×10-5〜5×10-1モルの量で使用できる。
【0029】
縮合反応においては、通常、反応媒質として水が使用されるが、反応初期から不均一系になる場合は、反応媒質としてたとえばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類を用いることができる。これらの反応媒質は、通常、反応原料1
00重量部当り、20〜1,000重量部の量で使用される。
【0030】
縮合反応の温度は、原料の反応性に応じて、適宜調整することができるが、通常10℃〜200℃である。
反応方法としては、フェノール類、アルデヒド化合物、酸性触媒等を一括して仕込む方法、および酸性触媒の存在下にフェノール類、アルデヒド化合物等を反応の進行とともに加えていく方法等を適宜採用することができる。
【0031】
縮合反応終了後のノボラック樹脂の回収方法としては、系内に存在する未反応原料、酸性触媒および反応媒質等を除去するために、反応温度を130℃〜230℃に上昇させ、減圧下で揮発分を除去し、ノボラック樹脂を回収する方法や、得られたノボラック樹脂をエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、乳酸エチル、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、ジオキサン、メタノール、酢酸エチル等の良溶媒に溶解したのち、水、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の貧溶媒を混合し、次いで、析出する樹脂溶液層を分離し、高分子量のノボラック樹脂を回収する方法がある。
【0032】
また、前記ノボラック樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう。)は、ポジ型感放射線性樹脂組成物を製膜する際の作業性、レジストとして使用する際の現像性、感度および耐熱性の点から、2,000〜20,000であることが好ましく、3,000〜15,000であることが特に好ましい。
【0033】
<(B)キノンジアジド基含有化合物>
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、キノンジアジド基含有化合物(B)を特定の割合で含有し、該キノンジアジド基含有化合物(B)として,下記一般式(I)で表される化合物aを含有することを特徴としている。
【0034】
【化5】

【0035】
上記一般式(I)においてR1,R2,R3はそれぞれ独立に水素原子または下記式(III)
で表される基であり、R1,R2,R3の全てが水素であることは無い。
【0036】
【化6】

【0037】
上記一般式(I)において、例えばR1が式(III)で表される基であり、R2およびR3
が水素の場合には、化合物aは以下のような化合物である。
【0038】
【化7】

【0039】
このような化合物は、たとえば下記式(IV)で表される化合物とナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリドを接触させてエステル化反応させることにより得ることができる。
【0040】
【化8】

【0041】
キノンジアジド基含有化合物(B)が化合物aを含有することにより、ポジ型感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布し、ポジ型感放射線性樹脂組成物を露光、現像して得られるレジストパターンの形状を、精密にコントロールすることができる。
【0042】
また、本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は解像性を向上させる観点から、前記キノンジアジド基含有化合物(B)として、下記一般式(II)で表される化合物bを更に含有することが好ましい。
【0043】
【化9】

【0044】
上記一般式(II)においてR4,R5,R6、R7,R8はそれぞれ独立に水素原子または下
記式(III)で表される基であり、R4,R5,R6、R7,R8の全てが水素であることは無い。
【0045】
【化10】

【0046】
上記一般式(II)において、例えばR4が式(III)で表される基であり、R5,R6、R7,R8が水素の場合には、化合物bは以下のような化合物である。
【0047】
【化11】

【0048】
このような化合物は、たとえば下記式(V)で表される化合物とナフトキノン−1,2
−ジアジド−5−スルホニルクロリドを接触させてエステル化反応させることにより得ることができる。
【0049】
【化12】

【0050】
上述のとおり、本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物はキノンジアジド基含有化合物(B)として化合物aを含有するが、解像性を向上させる観点から化合物aは4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−1,3−ベンゼンジオール1.0モルと、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリド1.0モルとのエステル化反応生成物であることが好ましい。
【0051】
また、本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は前述のように化合物bを含有することが好ましいが、解像性を向上させる点から化合物bは4,6−ビス[1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]−p−クレゾール1.0モルと、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリド2.0モルとのエステル化反応生成物であることが特に好ましい。
【0052】
前記化合物aと化合物bとの重量の比(化合物a/化合物b)は、解像性を向上させる観点から好ましくは3/1〜1/3、より好ましくは1/1である。
また、前記キノンジアジド基含有化合物(B)100重量部に対する化合物aと化合物bとの含有量の合計は、感度、解像性を向上させる観点から好ましくは30〜100重量部、より好ましくは40〜90重量部である。
【0053】
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、キノンジアジド基含有化合物(B)として上記の化合物aおよび化合物b以外のその他のキノンジアジド基含有化合物を単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。
【0054】
その他の前記キノンジアジド基含有化合物としては、ポリヒドロキシベンゾフェノン類、(ポリ)ヒドロキシフェニルアルカン類、ビス[(ポリ)ヒドロキシフェニル]アルカン類、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン類またはそのメチル置換体、ビス(シクロヘキシルヒドロキシフェニル)ヒドロキシフェニルメタン類またはそのメチル置換体、あるいは、4,4'−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]
フェニル]エチリデン]ジフェノールや7−ヒドロキシ−4−(4'−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−2−(2',4'−ジヒドロキシ)フェニルクマリン、4−[1−(4−ヒ
ドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−1,3−ベンゼンジオール、4,6−ビス[1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)メチル]−p−クレゾール、4,6−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−1−ヒドロキシ−3−メトキシベンゼン、あるいは、ノボラック樹脂、ピロガロール−アセトン樹脂、p−ヒドロキシスチレンのホモポリマーまたはこれと共重合しうるモノマーとの共重合体、あるいは、水酸基またはアミノ基を有する化合物等;と、
キノンジアジド基含有スルホン酸またはナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリド等;と
の完全エステル化合物、部分エステル化合物、アミド化物または部分アミド化物等を挙げることができる。
【0055】
具体的には、前記ポリヒドロキシベンゾフェノン類として、
2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4'−トリヒドロキシベンゾフェ
ノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,6−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシ−2'−メチルベンゾフェノン、2,3,4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3',4,4',6−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2',3,4,4'−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2',3,4,5−ペンタヒドロキシベンゾフェ
ノン、2,3',4,4',5',6−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、2,3,3',4,4',5'−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン等を、
前記ビス[(ポリ)ヒドロキシフェニル]アルカン類として、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジ
ヒドロキシフェニル)−2−(2',4'−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2',3',4'−トリヒドロキシフェニル)
プロパン等を、
前記トリス(ヒドロキシフェニル)メタン類またはそのメチル置換体として、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン等を、
前記ビス(シクロヘキシルヒドロキシフェニル)ヒドロキシフェニルメタン類またはそのメチル置換体として、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン等を、
前記水酸基またはアミノ基を有する化合物として、フェノール、p−メトキシフェノール、ジメチルフェノール、ヒドロキノン、ナフトール、ピロカテコール、ピロガロール、ピロガロールモノメチルエーテル、ピロガロール−1,3−ジメチルエーテル、没食子酸、アニリン、p−アミノジフェニルアミン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン等を、
キノンジアジド基含有スルホン酸として、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホン酸、オルトアントラキノンジアジドスルホン酸等を挙げることができる。
【0056】
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物におけるキノンジアジド基含有化合物(B)の含有量は、フェノール性水酸基を有する重合体(A)100重量部に対して10〜50重量部であり、好ましくは15〜40重量部、より好ましくは20〜35重量部である。
【0057】
<(C)溶剤>
溶剤(C)としては、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等を挙げることができる。
【0058】
さらに、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等の高沸点溶剤を用いることもできる。
【0059】
これらの溶剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうちでは、2−ヒドロキシプロピオン酸エチルが好ましい。
これらの溶剤は、得られるポジ型感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布する際に、5μm以下の厚さで塗布する時には、ポジ型感放射線性樹脂組成物の固形分濃度が通常1重量%〜50重量%、好ましくは5重量%〜25重量%になる範囲で使用される。すなわち、前記フェノール性水酸基を有する重合体(A)およびキノンジアジド基含有化合物(B)の合計100重量部に対して、前記溶剤は、通常100〜9900重量部、好ましくは300〜1900重量部の量で使用される。
【0060】
<(D)界面活性剤>
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、塗布性、消泡性、レベリング性等を向上させる、塗布直後の塗膜のひけを抑制する目的で界面活性剤(D)を含有し、特に塗布直後の塗膜のひけを抑制する目的を達成するために界面活性剤(D)としてポリエーテル変性ポリシロキサン化合物を含有することを特徴としている。
【0061】
界面活性剤(D)としてポリエーテル変性ポリシロキサン化合物を含有することにより、ポジ型感放射線性樹脂組成物のスリットコーターによる塗布性が著しく向上し、スリットコーターで一旦塗膜が基板に塗布された後に、塗膜端部から中央部にレジストが移動する、いわゆる"ヒケ"を、100cm×100cm以上の大型基板においても解消すること
ができる。
【0062】
前記ポリエーテル変性ポリシロキサン化合物としては、たとえばKL−245、KL−270(共栄社化学(株)製)、下記一般式(VI)で表される重合体が挙げられる。
【0063】
【化13】

【0064】
上記式中、R13は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、nは1〜20の整数であり、x、yはそれぞれ独立に2〜100の整数である。
上記一般式(VI)で表されるポリエーテル変性シロキサン化合物としてはSH−28PA、SH8400、SH−190、同−193、SF−8428(東レ・ダウコーニング社(株)製)が挙げられる。これらは1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0065】
その他の界面活性剤としては、たとえばBM−1000、BM−1100(BM ケミー社製)、メガファックF142D、同F172、同F173、同F183(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−430、同FC−431(住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145(旭硝子(株)製)、SZ−6032(東レシリコーン(株)製)、NBX−15(ネオス(株)製)等の名称で市販されているフッ素系界面活性剤;
SF−8418、SF−8427、SF−8428、SF−8416(東レ・ダウコーニング社製)等の名称で市販されているシリコン系界面活性剤;
またノニオンS−6、ノニオン0−4、プロノン201、プロノン204(日本油脂(株)製)、エマルゲンA−60、同A−90、同A−500(花王(株)製)、KL−600(共栄社化学(株)製)等の名称で市販されているノニオン系界面活性剤などを挙げることができ、これらは1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0066】
これらの界面活性剤(D)は前記フェノール性水酸基を有する重合体(A)100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.01〜2重量部の量で使用される。
<(E)その他の成分>
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、その他の成分として、以下のものを含有してもよい。
【0067】
(多核フェノール化合物)
多核フェノール化合物は本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物の必須成分ではないが、含有させることでポジ型感放射線性樹脂組成物のアルカリ溶解性が向上し、レジストパターンの形状をより精密にコントロールすることができる。ここで多核フェノール化合物とは、独立に存在するベンゼン環を2個以上有し、かつ、該ベンゼン環の一部に水酸基が結合したフェノール性水酸基を1分子中に2個以上有する化合物を意味する。具体的には、たとえば、4,4'−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチ
ル]フェニル]エチリデン]ジフェノール、2,2−ビス(1,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、4,6−ビス〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕−1,3−ベンゼンジオール、1,1−ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)アセトン等が挙げられる。
【0068】
これらの多核フェノール化合物が本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物に含有される場合には、多核フェノール化合物は、フェノール性水酸基を有する重合体(A)100重量部に対して、通常5〜40重量部、好ましくは10〜30重量部の量で使用される。上記の範囲で含有させることにより、特にレジストパターンの形状を精密にコントロールすることができる。
【0069】
[本発明のレジストパターン形成方法]
本発明のレジストパターン形成方法は、以下の工程を含むことを特徴としている。
(i)本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物をスリットコーターにより基板表面に塗布す
る工程
(ii)該基板表面に塗布されたポジ型感放射線性樹脂組成物をUV光での露光および/または電子線での描画によってパターン露光する工程
(iii)該パターン露光工程を経たポジ型感放射線性樹脂組成物を現像することによって
、レジストパターンを形成する工程。
【0070】
100cm×100cm以上の大型基板上にレジストパターンを形成するには、スリットコーターによりポジ型感放射線性樹脂組成物を基板表面に塗布することが必要である。スピンコーターなど基板を回転させて塗布する装置では、基板の重量により回転中に基板が外れる等安全上の問題があるため、大型基板表面上に均一にポジ型感放射線性樹脂組成物を塗布することが困難である。
【0071】
そして、本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は上述のようにフェノール性水酸基を有する重合体(A)、キノンジアジド基含有化合物(B)、溶剤(C)および界面活性剤(D)を特定の割合で含有し、界面活性剤(D)としてポリエーテル変性ポリシロキサン化合物を含有しているため、いわゆる"ヒケ"を、100cm×100cm以上の大型基板においても解消することができ、キノンジアジド基含有化合物(B)として特定の化合物を含有しているため、微細なレジストパターンを形成することができる。
【実施例】
【0072】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、特にことわりの無い限り、部は重量部、%は重量%を示す。
[調製例]ポジ型感放射線性樹脂組成物の調製
以下の(A)〜(E)成分を用いて、ポジ型感放射線性樹脂組成物((1−1)〜(1−13))を調製した。
【0073】
<(A)フェノール性水酸基を有する重合体(ノボラック樹脂)の合成>
合成例1
m−クレゾール、2,3−キシレノール、3,4−キシレノールを重量比60:30:10の割合で混合し、これにホルマリンを加え、シュウ酸触媒を用いてプロピレングリコールモノメチルエーテルを反応溶剤として100℃で6時間加熱後、反応生成物を乳酸エチルに溶解させ水を混合し、樹脂層を回収することで重量平均分子量8000のノボラック樹脂を得た。この樹脂をノボラック樹脂A−1とする。
【0074】
合成例2
m−クレゾールとp−クレゾールを重量比50:50の割合で混合し、これにホルマリン
を加え、シュウ酸触媒を用いて合成例1と同様に縮合反応させて重量平均分子量5000のノボラック樹脂を得た。この樹脂をノボラック樹脂A−2とする。
【0075】
<(B)キノンジアジド基含有化合物>
以下の化合物を使用した。
B−1:4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−1,3−ベンゼンジオール(下記式参照)1.0モルと、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリド1.0モルとのエステル化反応生成物((株)三宝化学研究所)、
【0076】
【化14】

【0077】
B−2:4,6−ビス[1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]−p−クレゾール(下記式参照)1.0モルと、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリド2.0モルとのエステル化反応生成物((株)三宝化学研究所)、
【0078】
【化15】

【0079】
B−3:4,6−ビス[1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]−p−クレゾール1.0モルと、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリド3.0モルとのエステル化反応生成物((株)三宝化学研究所)、
B−4:4,6−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−1−ヒドロキシ−3−メトキシベンゼン(下記式参照)1.0モルとナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリド2.0モルとのエステル化反応生成物((株)三宝化学研究所)、
【0080】
【化16】

【0081】
B−5:4,4'−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル
]フェニル]エチリデン]ジフェノール(下記式参照)1.0モルと、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリド1.0モルとのエステル化反応生成物((株)三宝化学研究所)。
【0082】
【化17】

【0083】
<(C)溶剤>
溶剤(C)として以下のものを使用した。
C−1:2−ヒドロキシプロピオン酸エチル。
【0084】
<(D)界面活性剤>
以下のものを使用した。
D−1:SH8400(東レ・ダウコーニング社製) ポリエーテル変性ポリシロキサン、
D−2:KL−270(共栄社製) ポリエーテル変性ポリシロキサン、
D−3:KL−245(共栄社製) ポリエーテル変性ポリシロキサン、
D−4:NBX−15(ネオス(株)製) ジグリセリンEO付加物ペルフルオロノネニルエーテル。
【0085】
<(E)その他の成分>
以下のものを使用した。
E−1:1,1−ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)アセトン。
【0086】
<ポジ型感放射線性樹脂組成物(組成物(1−1)〜(1−13))の調製>
(組成物(1−1)の調製)
ノボラック樹脂A−1を78部、キノンジアジド基含有化合物B−1を6部、B−3を3部、B−4を11部、界面活性剤D−2を0.01部、多核フェノール化合物E−1:22部、C−1を260部添加し混合溶解した後、孔径1μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、組成物(1−1)を調製した。
【0087】
(組成物(1−2)〜(1−13)の調製)
表1に示す材料を用いて組成物(1−1)と同様の手順で調製した。
【0088】
【表1】

【0089】
[実施例1〜9、比較例1〜4]
<塗布性評価1>
調製例により得られたポジ型感放射線性樹脂組成物をスリットコーターで100cm×100cmガラス基板に塗布、ホットプレートで乾燥後、基板端からの塗膜の引けを観察し以下の基準で評価し、評価結果を◎、○、△、×で示した。結果を表2に示す。
【0090】
塗布性1 ◎:基板端からの塗膜の引けが全く観察されない。
○:基板端からの塗膜の引けが1mm未満である。
△:基板端からの塗膜の引けが1mm以上5mm未満である。
【0091】
×:基板端からの塗膜の引けが5mm以上である。
<塗布性評価2>
調製例により得られたポジ型感放射線性樹脂組成物をスリットコーターで100cm×100cmガラス基板に塗布、ホットプレートで乾燥後、基板端から5mmの位置と中心部の膜厚差を観察し以下の基準で評価し、評価結果を◎、○、△、×で示した。結果を表2に示す。
【0092】
塗布性2 ◎:基板端から5mmの位置と中心部の膜厚差が±2%未満である。
○:基板端から5mmの位置と中心部の膜厚差が±2%以上±5%未満であ
る。
【0093】
△:基板端から5mmの位置と中心部の膜厚差が±5%以上±10%未満で
ある。
×:基板端から5mmの位置と中心部の膜厚差が±10%以上である。
【0094】
<パターニング性評価>
(レジスト塗膜形成)
調製例により得られたポジ型感放射線性樹脂組成物を5cm×5cmのガラス基板に、スリットコーターで塗布後、ホットプレートにて100℃、1分間ベークして、レジスト膜を得た。
【0095】
(露光、現像)
上記の要領で作製した基板のうち塗布性良好な基板をマスクを介して露光した後、アルカリ現像し、パターニング評価を実施した。評価条件は以下の通り。
【0096】
露光機:Mask Aligner MA150、
(ズース・マイクロテックス社製、コンタクトアライナー)、
露光量:200mJ/cm2 (420nm付近)、
露光様式:ハードコンタクト露光、
現像:2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中で、ディップすることにより行った。なお、現像時間は60秒で行った。
【0097】
(パターニング性評価)
露光、現像した基板について、光学顕微鏡、SEMにて、L/S=3um/3umパターンのレジスト部分を観察し以下の基準で評価した。結果を表2に示す。その際のレジストパターン寸法結果についても表2に示した。
【0098】
パターニング性 ◎:パターン飛びが全く観察されず、マスク寸法の規格±10%未満
でパターンが形成出来ている。
○:パターン飛びが全く観察されないが、マスク寸法の規格±10%
以上±20%以下の寸法でパターンが形成されている。
【0099】
△:パターンの一部が基板から剥がれている。
×:全てのパターンが基板から剥がれている。
<ドライエッチング耐性>
レジストをドライエッチング後、L/S=3um/3umパターンを光学顕微鏡で観察し以下の基準で評価した。結果を表2に示す。
ドライエッチング耐性 ◎:レジストの剥がれが全く観察されない。
【0100】
×:レジストの剥がれが観察される。
【0101】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)フェノール性水酸基を有する重合体を100重量部と、
(B)キノンジアジド基含有化合物を10〜50重量部と、
(C)溶剤を、前記フェノール性水酸基を有する重合体(A)および前記キノンジアジド基含有化合物(B)の合計100重量部に対して100〜9900重量部と、
(D)界面活性剤を0.01〜5重量部と
を含有するポジ型感放射線性樹脂組成物であって、
前記キノンジアジド基含有化合物(B)として、下記一般式(I)で表される化合物aを含有し、
前記界面活性剤(D)としてポリエーテル変性ポリシロキサン化合物を含有し、
スリットコーター塗布に用いられることを特徴とするポジ型感放射線性樹脂組成物。
【化1】

(上記一般式(I)においてR1,R2,R3はそれぞれ独立に水素原子または下記式(III
)で表される基であり、R1,R2,R3の全てが水素であることは無い。)
【化2】

【請求項2】
前記キノンジアジド基含有化合物(B)として、下記一般式(II)で表される化合物bを更に含有することを特徴とする請求項1に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【化3】

(上記一般式(II)においてR4,R5,R6、R7,R8はそれぞれ独立に水素原子または
下記式(III)で表される基であり、R4,R5,R6、R7,R8の全てが水素であることは無い。)
【化4】

【請求項3】
前記化合物aと前記化合物bとの重量の比(化合物a/化合物b)が、3/1〜1/3であることを特徴とする請求項2に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【請求項4】
前記キノンジアジド基含有化合物(B)100重量部に対して、前記化合物aと前記化合物bとが合計で30〜100重量部含有されることを特徴とする請求項2または3に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【請求項5】
(i)請求項1〜4のいずれかに記載のポジ型感放射線性樹脂組成物を基板表面にスリ
ットコーターにより塗布する工程と、
(ii)該基板表面に塗布されたポジ型感放射線性樹脂組成物を、UV光での露光および/または電子線での描画によってパターン露光する工程と、
(iii)該パターン露光工程を経たポジ型感放射線性樹脂組成物を現像することによっ
て、レジストパターンを形成する工程と
を含むことを特徴とするレジストパターンの形成方法。

【公開番号】特開2009−151266(P2009−151266A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155421(P2008−155421)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】