説明

ポリウレタンフォーム製造装置

【課題】 発泡剤として液化二酸化炭素を用いるポリウレタンフォーム製造装置を提供する。
【解決手段】 本発明のポリウレタンフォーム製造装置は、ポリイソシアネートを主成分とするA液と、ポリオールを主成分とするB液と、発泡剤として混合される液化二酸化炭素と、を用いて施工現場でポリウレタンフォームを製造する装置であり、液化二酸化炭素容器11と、加圧ガス供給用配管22と、加圧ガス容器12と、加圧ガス供給用配管に設けられた加圧ガス用流路開閉弁221及び加圧ガス用ブロー弁222と、液化二酸化炭素供給用配管21と、液化二酸化炭素計量手段34と、液化二酸化炭素供給用配管に設けられた液化二酸化炭素用ブロー弁211と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンフォーム製造装置に関する。更に詳しくは、液化二酸化炭素容器と、液化二酸化炭素を加圧するための加圧ガスが充填された加圧ガス容器と、液化二酸化炭素供給用配管に設けられた液化二酸化炭素用ブロー弁とを備え、液化二酸化炭素の計量時における気化が抑えられ、所定量の液化二酸化炭素をフォーム原料に供給することができ、所定の発泡度等を有するフォームを施工現場において製造することができるポリウレタンフォーム製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ポリウレタンフォームは、断熱ボードの形成、吹付工法による建築現場での断熱壁の形成、吹付工法による人工盛土の形成等の広範な分野で用いられている。このポリウレタンフォームは、通常、ポリオール成分と、ポリイソシアネート成分と、発泡剤とを含有するフォーム原料を使用し、各々の成分を計量し、圧送して、それぞれの成分を衝突させて撹拌する、又は混合した後、撹拌する、等の方法で均一な混合物とし、これをスプレーガン等から吐出させ、吐出されたフォーム原料が反応、固化しながら発泡することによって製造されている。
【0003】
発泡剤としてはフロンが用いられてきたが、フロンはオゾン層破壊等の問題で使用が規制されている。また、これから使用が予定されている代替フロンはオゾン層は破壊しないが、温暖化係数が極めて大きいという問題がある。そのため、ポリウレタンフォームの発泡剤として、水又は二酸化炭素が検討されている。しかし、水のみを発泡剤とした場合は、ポリウレタンフォームを十分に発泡させ、密度の小さい、軽量なフォームとするためには、多量の水を用いなければならない。この場合、ポリイソシアネートと水との反応による発熱によって、フォームに亀裂が生じることがあり、蓄熱による焼けなどの品質低下が発生することもある。更に、軽量化のために多量の水を用いることで、ポリウレタンフォームに過剰の尿素結合が形成され、フォームが脆くなってしまうこともある。また、発泡剤として水を用いたときは、フォーム原料の粘度が高く、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とが十分に混合されず、フォームのセル形状が不均一になることもある。
【0004】
更に、二酸化炭素を発泡剤とする場合は、液化された二酸化炭素を使用し、これを計量して所定量を供給する必要があるが、二酸化炭素は沸点が低く、気化し易いため、ボンベ等の液化二酸化炭素が充填された容器から計量ポンプにより圧送しようとすると、気化した二酸化炭素が混入し易く、所定量を圧送することができないことがある。特に、計量ポンプの吸引側では圧力が低下する傾向があり、液化二酸化炭素がより気化し易く、所定量の液化二酸化炭素を圧送することができないことがある。このような液化二酸化炭素の気化を抑えるため、ボンベ等の容器と計量ポンプとを接続する流路に、二酸化炭素を液体のまま保持するための冷却手段が設けられた液化二酸化炭素の定量供給装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−82050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の装置では、液化二酸化炭素を冷却するための熱交換器等の冷却手段を設けることが必須である。このような装置では、施工現場への搬送が容易ではなく、施工現場でのポリウレタンフォームの製造に用いる装置としては現実的ではない。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、液化二酸化炭素の気化が防止され、又は少なくとも抑えられ、所定量の二酸化炭素をフォーム原料に供給することができ、それによって所定の発泡度等を有するフォームを施工現場において製造することができるポリウレタンフォーム製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下のとおりである。
1.ポリイソシアネートを主成分とするA液と、ポリオールを主成分とするB液と、液化二酸化炭素容器から供給される発泡剤としての液化二酸化炭素と、を混合して施工現場でポリウレタンフォームを製造するに際し、該A液と該B液との混合前に、該液化二酸化炭素を該A液及び/又は該B液に混合し、該ポリウレタンフォームを製造する装置において、液化二酸化炭素容器と、一端側が該液化二酸化炭素容器に接続された加圧ガス供給用配管と、該加圧ガス供給用配管の他端側に接続された加圧ガス容器と、該加圧ガス供給用配管に設けられた加圧ガス用流路開閉弁及び加圧ガス用ブロー弁と、一端側が該液化二酸化炭素容器に接続された液化二酸化炭素供給用配管と、該液化二酸化炭素供給用配管に配設された液化二酸化炭素計量手段と、該液化二酸化炭素供給用配管に設けられた液化二酸化炭素用ブロー弁と、を備えることを特徴とするポリウレタンフォーム製造装置。
尚、上記「ポリイソシアネートを主成分とするA液」を、以下、「ポリイソシアネート成分」という。また、上記「ポリオールを主成分とするB液」を、以下、「ポリオール成分」という。
2.一端側が上記液化二酸化炭素供給用配管又は上記液化二酸化炭素容器に接続された液化二酸化炭素移送用配管と、該液化二酸化炭素移送用配管の他端側に接続された−10℃以下の液化二酸化炭素が充填された真空断熱容器と、を備える上記1.に記載のポリウレタンフォーム製造装置。
3.上記液化二酸化炭素容器に、液化二酸化炭素と液化炭化水素との混合液体が充填された上記1.又は2.に記載のポリウレタンフォーム製造装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明のポリウレタンフォーム製造装置によれば、液化二酸化炭素用ブロー弁を開放して液化二酸化炭素をブローすることにより、液化二酸化炭素を液体のまま安定に保持することができ、且つ計量手段等を冷却することができる。これにより、計量手段に所定量の液化二酸化炭素が供給されるため、所定の発泡倍率等を有するフォームとすることができる。
また、一端側が液化二酸化炭素供給用配管又は液化二酸化炭素容器に接続された液化二酸化炭素移送用配管と、液化二酸化炭素移送用配管の他端側に接続された−10℃以下の液化二酸化炭素が充填された真空断熱容器とを備える場合は、液化二酸化炭素を液体のままより安定に計量手段に供給することができ、特に正確に所定の発泡倍率等を有するフォームとすることができる。
更に、断熱容器に、液化二酸化炭素と液化炭化水素とが充填された場合は、この液化炭化水素の可燃性を液化二酸化炭素により抑えることができ、所定の発泡倍率等を有するフォームとすることができるとともに、フォーム製造時の安全性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、例えば、図1乃至図10を用いて本発明を詳細に説明する。
本発明のポリウレタンフォーム製造装置は、ポリオール成分に液化二酸化炭素が供給される場合を図示する図1のように、液化二酸化炭素容器11、液化二酸化炭素供給用配管21、第1液化二酸化炭素計量手段34、第1液化二酸化炭素用ブロー弁211、加圧ガス供給用配管22、加圧ガス容器12、加圧ガス用流路開閉弁221及び加圧ガス用ブロー弁222を備える。この製造装置は、ポリオール成分が収容された原料容器31、ポリオール成分供給用配管32、ポリオール成分計量手段33、第1混合器35、ポリオール成分・液化二酸化炭素混合物供給用配管36、ポリイソシアネート成分が収容された原料容器41、ポリイソシアネート成分供給用配管42、ポリイソシアネート成分計量手段43、及びポリイソシアネート成分供給用配管47、を更に備える。
【0010】
液化二酸化炭素は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分の両方に供給することもできる。この場合、図2のように、上記の各々の構成部材の他、第2液化二酸化炭素計量手段44、第2液化二酸化炭素用ブロー弁212、第2混合器45、及びポリイソシアネート成分・液化二酸化炭素混合物供給用配管46、を更に備える。
【0011】
液化二酸化炭素はポリイソシアネート成分に供給することもできる。この場合、図3のように、液化二酸化炭素容器11、液化二酸化炭素供給用配管21、第2液化二酸化炭素計量手段44、第2液化二酸化炭素用ブロー弁212、加圧ガス供給用配管22、加圧ガス容器12、加圧ガス用流路開閉弁221及び加圧ガス用ブロー弁222を備える。この製造装置は、ポリオール成分が収容された原料容器31、ポリオール成分供給用配管32、ポリオール成分計量手段33、第2液化二酸化炭素計量手段44、第2混合器45、ポリイソシアネート成分・液化二酸化炭素混合物供給用配管46、ポリイソシアネート成分が収容された原料容器41、ポリイソシアネート成分供給用配管42、ポリイソシアネート成分計量手段43、及びポリオール成分供給用配管37、を更に備える。
【0012】
液化二酸化炭素が充填された上記「液化二酸化炭素容器11」としては、一般に提供されている、耐圧性が高く、且つ小型のガスボンベ等の容器、及び真空断熱が施された容器等が挙げられる。ガスボンベ等の容器を液化二酸化炭素容器11として用いる場合、特に、施工現場で用いるときは、液化二酸化炭素の昇温を抑えるため、その外表面を樹脂発泡体等からなる断熱材により被覆し、断熱性を十分に高くすることが好ましい。このガスボンベ等の容器としては、例えば、直径が100〜150mm、通常120〜140mm、高さ(長さ)が700〜1100mm、通常800〜1000mmと小型であり、且つその重量も5〜20kg、通常10〜15kgと軽量な容器を用いることができる。
【0013】
液化二酸化炭素容器11として用いられるガスボンベ等の容器は、その耐圧が10MPa以上、特に15MPa以上(通常、25MPa以下)であり、高い耐圧性を有する。また、上記のように軽量であり、建築現場等の施工現場への搬送が容易である。更に、施工現場における1日の作業に必要な液化二酸化炭素量は、通常、1〜5kgであり、ガスボンベ等の容器は小型ではあるが、所要量の液化二酸化炭素を確保することができる。
【0014】
一方、真空断熱が施された容器は、内部が減圧された二重壁を有しており、十分に断熱性の高い液化二酸化炭素容器11とすることができる。しかし、一般に提供されている真空断熱容器は、例えば、直径が450〜650mm、通常500〜600mm、高さ(長さ)が1400〜1700mm、通常1500〜1650mmと大型であり、且つその重量も100kgを越え、特に150kgを越える重量物であることもある。また、充填されている液化二酸化炭素も、120〜200kg、通常140〜180kgと相当に大量である。そのため、施工現場への搬送の面では不利であるが、充填された液化二酸化炭素が昇温し易い環境において製造装置を使用する場合などに好適である。
尚、「液化二酸化炭素が昇温する」とは、液化二酸化炭素が−10℃を越えて高くなることを意味する。以下、同様である。
【0015】
液化二酸化炭素容器11としては十分な断熱性を有するものが用いられるが、製造装置が用いられる環境によっては充填された液化二酸化炭素が昇温し、第1及び/又は第2液化二酸化炭素計量手段34、44において、一部が気化することがある。この液化二酸化炭素の気化は二酸化炭素の供給量の変動の原因となる。そこで、上記「加圧ガス容器12」が配設され、この加圧ガス容器12から液化二酸化炭素容器11に加圧ガスを供給し、加圧することで、液化二酸化炭素をより安定に液体のまま保持することができる。この加圧ガス容器12としては、一般に提供されているガスボンベ等の容器を用いることができ、例えば、直径が170〜250mm、通常200〜240mm、高さ(長さ)が1100〜1450mm、通常1200〜1350mmと真空断熱容器に比べて小型であり、且つその重量も30〜60kg、通常35〜50kgと軽量な容器を用いることができる。
【0016】
加圧ガスは、加圧ガス供給用配管22により液化二酸化炭素容器11に供給される。この加圧ガス供給用配管22には、加圧ガス用流路開閉弁221及び加圧ガス用ブロー弁222が設けられており、加圧ガス用流路開閉弁221の開閉により加圧ガスの供給と遮断とが調整される。液化二酸化炭素容器11に充填された液化二酸化炭素が昇温したときは、加圧ガス用ブロー弁222を開放して加圧ガスをブローすることで、液化二酸化炭素を降温させることができ、これにより液化二酸化炭素を液体のまま安定に保持することができる。
【0017】
加圧ガス容器に充填される加圧ガスは、液化二酸化炭素に溶解したり、液化二酸化炭素と反応したりすることのないガスであればよく、特に限定されない。この加圧ガスとしては、窒素ガス並びにヘリウム及びアルゴン等の不活性ガスなどを用いることができる。尚、加圧ガスとして二酸化炭素ガスを用いることもできる。
【0018】
上記「液化二酸化炭素計量手段」(ポリオール成分に混合する液化二酸化炭素を計量するための第1液化二酸化炭素計量手段34、及びポリイソシアネート成分に混合する液化二酸化炭素を計量するための第2液化二酸化炭素計量手段44)としては、計量ポンプ等を用いることができる。この計量ポンプとしては、ギヤーポンプ、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ等の液体の計量、供給に用いられる一般的なポンプを用いることができる。
【0019】
この製造装置には、第1液化二酸化炭素計量手段34により計量された液化二酸化炭素と、ポリオール成分計量手段33により計量されたポリオール成分とを混合するための第1混合器35、及び第2液化二酸化炭素計量手段44により計量された液化二酸化炭素と、ポリイソシアネート成分計量手段43により計量されたポリイソシアネート成分とを混合するための第2混合器45が配設される。これらの混合器としては、スタティックミキサ等の液体の混合に用いられる一般的な混合器を用いることができる。
【0020】
液化二酸化炭素が充填された液化二酸化炭素容器11と、第1液化二酸化炭素計量手段34、及び第2液化二酸化炭素計量手段44との間の距離は特に限定されないが、150cm以下、特に100cm以下、更に60cm以下(通常、5cm以上である。)であることが好ましい。この距離が150cm以下であれば、配管内における液化二酸化炭素の昇温を防止する、又は少なくとも抑えることができ、第1液化二酸化炭素計量手段34及び第2液化二酸化炭素計量手段44における液化二酸化炭素の定量性が損なわれることがなく、好ましい。
【0021】
更に、本発明のポリウレタンフォーム製造装置では、液化二酸化炭素供給用配管21に液化二酸化炭素用ブロー弁が設けられている。即ち、液化二酸化炭素供給用配管21の、液化二酸化炭素容器11と第1液化二酸化炭素計量手段34との間及び/又は第1液化二酸化炭素計量手段34と第1混合器35との間、に第1液化二酸化炭素用ブロー弁211が設けられている。更に、液化二酸化炭素供給用配管21の、液化二酸化炭素容器11と第2液化二酸化炭素計量手段44との間及び/又は第2液化二酸化炭素計量手段44と第2混合器45との間、に第2液化二酸化炭素用ブロー弁212が設けられている。液化二酸化炭素用ブロー弁は1本の液化二酸化炭素供給用配管に1個又は2個設けることができるが、1個設けられておれば、液化二酸化炭素の気化を防止することができる。また、この液化二酸化炭素用ブロー弁211、212は、第1液化二酸化炭素計量手段34と第1混合器35との間、及び第2液化二酸化炭素計量手段44と第2混合器45との間に設けることが好ましい。
【0022】
ポリウレタンフォームの製造を開始する際、第1、第2液化二酸化炭素計量手段34、44の温度は、雰囲気温度とほぼ同温度であり、季節及び昼夜等により変化するが、通常、0〜40℃である。そのため、計量手段の内部で液化二酸化炭素の一部が気化することがあり、定量性が低下することがある。そこで、製造開始時、上記の液化二酸化炭素用ブロー弁211、212を開放して液化二酸化炭素をブローすることにより、計量手段等を冷却し、その後、ブロー弁を閉止して製造を継続することで、液化二酸化炭素の気化を防止することができ、計量手段の定量性を維持することができる。
【0023】
また、この製造装置では、図4〜6のように、加圧ガス容器12と、−10℃以下の液化二酸化炭素が充填された真空断熱容器13とを配設することもできる。この場合、断熱性に優れた真空断熱容器13から液化二酸化炭素容器11に液化二酸化炭素を移送し、必要に応じて、この液化二酸化炭素に、加圧ガス容器12から加圧ガスを供給し、加圧することで、液化二酸化炭素をより安定に液体のまま保持することができる。
【0024】
この真空断熱容器13を備える製造装置を用いる場合、液化二酸化炭素は液化二酸化炭素移送用配管23により液化二酸化炭素容器11に移送することができる。液化二酸化炭素移送用配管23は、液化二酸化炭素供給用配管21に接続されていてもよく、液化二酸化炭素容器11に接続されていてもよい。液化二酸化炭素移送用配管23には絞り弁231が設けられており、液化二酸化炭素の移送量を調整することができる。また、液化二酸化炭素移送用配管23が液化二酸化炭素供給用配管21に接続されているときは、絞り弁231と、液化二酸化炭素供給用配管21の液化二酸化炭素移送用配管23が接続された個所より下流側に設けられた開閉弁の開閉と、によって液化二酸化炭素の移送と供給とを調整することができる。
【0025】
液化二酸化炭素供給用配管21と液化二酸化炭素移送用配管23とは、三方弁213により接続することもできる。この場合、三方弁213を、液化二酸化炭素容器11と真空断熱容器13とを接続する流路に設定し、真空断熱容器13に充填された液化二酸化炭素の所定量を液化二酸化炭素容器11に移送し、その後、三方弁213を、液化二酸化炭素容器11と液化二酸化炭素供給用配管21とを接続する流路に設定し、液化二酸化炭素を第1、第2化二酸化炭素計量手段34、44に供給することができる。
【0026】
更に、本発明のポリウレタンフォーム製造装置では、液化二酸化炭素容器11に、液化二酸化炭素と液化炭化水素との混合液体が充填されていてもよい。この液化炭化水素は特に限定されないが、直鎖又は分岐脂肪族炭化水素及び脂環式炭化水素等の液化物を用いることができる。直鎖又は分岐脂肪族炭化水素としては、プロパン、ブタン、iso−ブタン、ペンタン、iso−ペンタン、ヘプタン等が挙げられる。脂環式炭化水素としては、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。この液化炭化水素としては、沸点がポリウレタンフォームの製造に適している液化シクロペンタン(沸点;49.3℃)及び/又は液化n−ペンタン(沸点;36.0℃)が好ましい。また、シクロペンタンとn−ペンタン、特にシクロペンタンは熱伝導率が小さく、より優れた断熱性を有するポリウレタンフォームとすることができ、この点でも好ましい。
【0027】
液化炭化水素は発泡剤として有用であるが、引火性があるため、防火のための対策が必要である。しかし、この対策をとることは、特に、建築現場等における施工現場では容易ではない。本発明では、この引火性のある液化炭化水素と不燃性の液化二酸化炭素との混合液体とすることで、液化炭化水素の引火性を十分に抑えることができる。この混合液体における液化二酸化炭素と液化炭化水素との質量割合は特に限定されないが、混合液体を100質量%とした場合に、液化二酸化炭素が20質量%以上、100質量%未満、即ち、液化炭化水素が80質量%以下である混合液体とすることができる。
【0028】
また、これらの製造装置は、図8〜10のように、ポリオール成分・液化二酸化炭素混合物供給用配管36内のポリオール成分、及びポリイソシアネート成分・液化二酸化炭素混合物供給用配管46内のポリイソシアネート成分、の各々を加熱するための原料加熱器5、並びに各々の成分を更に加熱するための第1ヒーターホース61及び第2ヒーターホース62を備えていることが好ましい。このような装置であれば、原料加熱器5により原料を加熱し、その後、それぞれを第1ヒーターホース61及び第2ヒーターホース62により加熱して降温を抑え、次いで、スプレーガン7から吐出させ、反応させてポリウレタンフォームを製造することができる。この製造装置は、それぞれの成分の降温が抑えられるため、建物の断熱壁の施工現場、人工盛土の施工現場等において有用である。
【0029】
本発明の装置を用いてポリウレタンフォームを製造する方法は特に限定されず、例えば、図1に記載の製造装置を用いて、以下のようにして製造することができる。
液化二酸化炭素容器11に充填された液化二酸化炭素を、液化二酸化炭素供給用配管21内を流通させて第1液化二酸化炭素計量手段34に供給し、計量して、所定量の液化二酸化炭素を送出し、第1混合器35に供給する。一方、原料容器31に収容されたポリオール成分を、ポリオール成分供給用配管32内を流通させてポリオール成分計量手段33に供給し、計量して、所定量のポリオール成分を第1混合器35に供給する。第1混合器35では、液化二酸化炭素とポリオール成分とを混合し、その後、混合物を、ポリオール成分・液化二酸化炭素混合物供給用配管36に送出する。更に、原料容器41に収容されたポリイソシアネート成分を、ポリイソシアネート成分供給用配管42内を流通させてポリイソシアネート成分計量手段43に供給し、計量して、所定量のポリイソシアネート成分をポリイソシアネート成分供給用配管47に送出する。次いで、液化二酸化炭素が供給されたポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とを混合し、反応させてポリウレタンフォームを製造する。
【0030】
このフォームは、図8のように、ポリオール成分・液化二酸化炭素混合物供給用配管36内のポリオール成分、及びポリイソシアネート成分供給用配管47内のポリイソシアネート成分を、原料加熱器5により加熱し、その後、それぞれを第1ヒーターホース61及び第2ヒーターホース62により加熱して降温を抑え、次いで、スプレーガン7から吐出させ、反応させて製造することもできる。この方法は、建物の断熱壁の施工現場、人工盛土の施工現場等において有用である。この方法では、液化二酸化炭素が混合されたポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とは、スプレーガン7のガンヘッド内で、所謂、衝突混合により混合され、その後、吐出され、反応して、フォームが製造される。
【0031】
ポリウレタンフォームは、図2に記載の製造装置を用いて、以下のようにして製造することもできる。
液化二酸化炭素容器11に充填された液化二酸化炭素を、液化二酸化炭素供給用配管21内を流通させ、中間部で分岐された液化二酸化炭素供給用配管21の一方の分岐管から第1液化二酸化炭素計量手段34に供給し、他方の分岐管から第2液化二酸化炭素計量手段44に供給し、各々の計量手段により計量して、所定量の液化二酸化炭素を送出し、第1混合器35及び第2混合器45の各々に供給する。そして、第1混合器35では、液化二酸化炭素とポリオール成分とを混合し、第2混合器45では、液化二酸化炭素とポリイソシアネート成分とを混合し、その後、それぞれの混合物を、ポリオール成分・液化二酸化炭素混合物供給用配管36、及びポリイソシアネート成分・液化二酸化炭素混合物供給用配管46に各々送出する。次いで、液化二酸化炭素が供給されたポリオール成分と、液化二酸化炭素が供給されたポリイソシアネート成分とを混合し、反応させてポリウレタンフォームを製造する。
【0032】
このフォームは、図9のように、ポリオール成分・液化二酸化炭素混合物供給用配管36内のポリオール成分、及びポリイソシアネート成分・液化二酸化炭素混合物供給用配管46内のポリイソシアネート成分の各々を、原料加熱器5により加熱し、その後、それぞれを第1ヒーターホース61及び第2ヒーターホース62により加熱して降温を抑え、次いで、スプレーガン7から吐出させ、反応させて製造することもできる。この方法は、前記のように、建物の断熱壁の施工現場、人工盛土の施工現場等において有用である。この方法では、液化二酸化炭素が混合されたポリオール成分と、液化二酸化炭素が混合されたポリイソシアネート成分とは、スプレーガン7のガンヘッド内で、所謂、衝突混合により混合され、その後、吐出され、反応して、フォームが製造される。
【0033】
このように、液化二酸化炭素を、ポリオール成分とポリイソシアネート成分の各々に配合する場合は、より多量の液化二酸化炭素を含有するフォーム原料とすることができ、密度の低い、軽量なフォームとすることができる。
【0034】
ポリウレタンフォームは、図3に記載の製造装置を用いて、以下のようにして製造することもできる。
液化二酸化炭素容器11に充填された液化二酸化炭素を、液化二酸化炭素供給用配管21内を流通させて第2液化二酸化炭素計量ポンプ44に供給し、計量して、所定量の液化二酸化炭素を送出し、第2混合器45に供給する。一方、原料容器41に収容されたポリイソシアネート成分を、ポリイソシアネート成分供給用配管42内を流通させてポリイソシアネート成分計量手段43に供給し、計量して、所定量のポリイソシアネート成分を第2混合器45に供給する。第2混合器45では、液化二酸化炭素とポリイソシアネート成分とを混合し、その後、混合物を、ポリイソシアネート成分・液化二酸化炭素混合物供給用配管46に送出する。また、原料容器31に収容されたポリオール成分を、ポリオール成分供給用配管32内を流通させてポリオール成分計量ポンプ33に供給し、計量して、所定量のポリオール成分をポリオール成分供給用配管37内に送出する。次いで、液化二酸化炭素が供給されたポリイソシアネート成分と、ポリオール成分とを混合し、反応させてポリウレタンフォームを製造する。
【0035】
このフォームは、図10のように、ポリイソシアネート成分・液化二酸化炭素混合物供給用配管46内のポリイソシアネート成分、及びポリオール成分供給用配管37内のポリオール成分を、原料加熱器5により加熱し、その後、それぞれを第1ヒーターホース61及び第2ヒーターホース62により加熱して降温を抑え、次いで、スプレーガン7から吐出させ、反応させて製造することもできる。この方法は、前記のように、建物の断熱壁の施工現場、人工盛土の施工現場等において有用である。この方法では、液化二酸化炭素が混合されたポリイソシアネート成分と、ポリオール成分とは、スプレーガン7のガンヘッド内で、所謂、衝突混合により混合され、その後、吐出され、反応して、フォームが製造される。
尚、上記の施工現場では、比較的反応の早いフォーム原料を用いることが好ましい。
【0036】
上記の製造方法において、製造開始時、液化二酸化炭素用ブロー弁211、212を開放して液化二酸化炭素をブローすることにより、計量手段等を冷却し、その後、ブロー弁を閉止して製造を継続することで、液化二酸化炭素の気化を防止することができ、計量手段の定量性を維持することができる。
【0037】
また、上記の製造方法において、液化二酸化炭素容器11として用いることができる真空断熱が施された容器は、特に優れた断熱性を有しているが、前記のように、通常、その耐圧は3〜7MPaであり、最高使用圧力は1.5〜3.5MPaであって、液化二酸化炭素が昇温した場合に、液化二酸化炭素を液体のまま保持するため十分に高い圧力を負荷することはできない。一方、液化二酸化炭素容器11としては、前記のように、最大25MPaの耐圧性を有するガスボンベ等の耐圧容器を用いることができる。更に、加圧ガス容器12としても、前記のように、最大25MPaの耐圧性を有するガスボンベ等の耐圧容器を用いることができる。従って、液化二酸化炭素容器11に充填された液化二酸化炭素が昇温した場合に、加圧ガスによって十分に高い圧力を負荷することができ、液化二酸化炭素を液体のまま安定に保持することができる。
【0038】
液化二酸化炭素容器11に供給される加圧ガスの圧力は、液化二酸化炭素の温度によって設定することができ、特に限定されないが、3.5〜6.0MPa、特に4.0〜5.5MPa、更に4.0〜5.0MPaとすることができる。この加圧ガスの圧力が6.0MPaであれば、充填された液化二酸化炭素の温度が20℃にまで昇温しても、また、圧力が5.5MPaであれば18℃にまで昇温しても、更に、圧力が5.0MPaであれば12℃にまで昇温しても、液化二酸化炭素を液体のまま保持することができる。また、加圧ガス容器12に充填された加圧ガスの圧力も、所定圧力の加圧ガスを液化二酸化炭素容器11に供給することができる限り特に限定されない。この加圧ガスの圧力は、加圧ガス容器12に取り付けられた調圧弁により所定圧力に調整することができる。
【0039】
建築現場等における断熱壁の形成などの施工現場では、通常、作業用車両の荷台に、上記の製造装置一式の他、コンプレッサー及び発電機等を積載して搬送し、現場で施工し、フォームを形成することになる。この際、1日の作業に必要な液化二酸化炭素は、通常、前記のように1〜5kgであり、この観点では、前記のように大量の液化二酸化炭素が充填され、大型で、且つ重量のある真空断熱容器を液化二酸化炭素容器11として現場に持ち込む必要はない。即ち、液化二酸化炭素容器11、加圧ガス容器12及び真空断熱容器13を備える製造装置を使用し、工場等において、真空断熱容器13に充填された液化二酸化炭素の所定量を予め液化二酸化炭素容器11に移送し、この液化二酸化炭素容器11と加圧ガス容器12とを現場に持ち込めばよく、真空断熱容器13を持ち込まなくても施工にはまったく支障はない。更に、液化二酸化炭素が昇温したときは、加圧ガス供給用配管22に設けられた加圧ガス用ブロー弁222を開放し、加圧ガスをブローすることで、液化二酸化炭素を降温させることができる。
【0040】
以上、詳述したポリウレタンフォームの製造方法で、発泡剤として用いられる液化二酸化炭素の供給量は、必要とされる発泡倍率及びフォームの用途等により調整することができる。この液化二酸化炭素の供給量は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との合計、即ち、フォーム原料の全量を100質量%とした場合に、0.5〜4質量%とすることができ、1〜3.5質量%、特に1.5〜3質量%とすることが好ましい。このように液化二酸化炭素を発泡剤として用いることにより、後記のように発泡剤として使用されることが多い水のみを用いた場合に比べてフォームの密度を低下させることができる。即ち、発泡倍率を高くすることができる。例えば、水のみを用いたときに40〜45kg/mであるフォームの密度を、フォーム原料の全量に対して0.5〜4質量%の液化二酸化炭素を発泡剤として併用することで、30〜35kg/mと低くすることができる。
尚、液化二酸化炭素は、通常、水等の発泡剤と併用されるが、フォームの密度が80kg/m以上、特に100〜200kg/mであり、高発泡を必要としない場合は、発泡剤として液化二酸化炭素のみを用いることもできる。
【0041】
フォーム原料には、ポリオール、ポリイソシアネート、液化二酸化炭素の他、液化二酸化炭素以外の発泡剤、触媒、架橋剤、整泡剤等を配合することができる。
ポリオールは、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールのいずれでもよく、各種のポリオールを用いることができる。また、ポリエーテルポリオールにビニル基を含有する化合物をグラフト重合させたポリマーポリオールを用いることもできる。更に、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、尿素分散型ポリエーテルポリオール等を用いることもできる。これらのポリオールのうちでは、アルキレンオキサイドを付加させたポリエーテルポリオールが好ましい。
【0042】
発泡剤、触媒、架橋剤、整泡剤等は、ポリオール成分に配合してもよいし、ポリイソシアネート成分に配合してもよいが、発泡剤、触媒及び架橋剤はポリオール成分に配合されることが多く、整泡剤はポリイソシアネート成分に配合されることが多い。
発泡剤としては、通常、水が用いられる。この水の配合量は、ポリオールを100質量部とした場合に、2〜8質量部、特に3〜6質量部とすることができる。
【0043】
また、触媒としては、金属触媒及びアミン触媒を用いることができる。施工現場で用いる触媒としては、比較的反応が速いアミン触媒が用いられることが多く、アミン触媒と金属触媒とを併用することもできる。
金属触媒としては、スタナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテート及びオクテン酸鉛等が挙げられる。この金属触媒の配合量は、ポリオールを100質量部とした場合に、0.2〜2質量部とすることができる。金属触媒は1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0044】
更に、アミン触媒としては、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルプロパン−1,3−ジアミン、テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルグアニジン、N−メチルモルフォリン、ジメチルメチレンジアミン及びジメチルアミノエタノール等が挙げられる。このアミン触媒の配合量は、ポリオールを100質量部とした場合に、0.5〜3質量部、特に1〜2.5質量部とすることができる。アミン触媒は1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0045】
また、架橋剤としては、ジオール、トリオール、テトラオール、ジアミン及びアミノアルコール等を用いることができる。ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。トリオールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。テトラオールとしては、ベンタエリスリトール等が挙げられる。更に、ジアミンとしては、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。アミノアルコールとしては、ジエタノールアミン等が挙げられる。この架橋剤の配合量は、ポリオールを100質量部とした場合に、1〜10質量部とすることができる。架橋剤は1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0046】
更に、整泡剤としては、線状又は分枝ポリエーテル−シロキサン共重合体を用いることができる。特に、フォームの連泡性を高めるためには整泡力の低い線状ポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体を用いることがより好ましい。この整泡剤の配合量は、ポリオールを100質量部とした場合に、0.5〜2質量部とすることができる。整泡剤は1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0047】
また、ポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート、1,5ナフタレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)及びこれらの変性体を用いることができる。ポリイソシアネートとしては、汎用性及び流動性の観点からは、クルードMDIが好ましい。更に、耐熱性の観点からは、カルボジイミド変性MDIが好ましい。ポリイソシアネートは、通常、イソシアネートインデックスが105〜120となる配合量とすることができる。ポリイソシアネートは1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0048】
フォーム原料には、難燃剤を配合することもできる。特に、建物の断熱壁等に用いる場合は、難燃剤を配合することが好ましい。この難燃剤としては、水酸化アルミニウム、金属/アミン複合体、アンモニウムポリフォスフェート、フォスフィン、トリス(2,3−ジクロロプロピル)フォスフォネート、ネオペンチル臭化ポリエーテル、ジブロモプロパノール及びジブロモネオペンチルグリコール等が挙げられる。難燃剤としては、ハロゲンを有さないリン酸エステル系難燃剤がより好ましい。
【実施例】
【0049】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1
下記の組成のフォーム原料を使用し、ポリオール成分に、発泡剤として液化二酸化炭素を供給し、反応させて、石綿スレート板からなる壁材の表面に厚さ30mmのポリウレタンフォーム層を形成し、断熱壁とした。
[1]フォーム原料の組成
(1)ポリオール;ポリプロピレングリコール系ポリエーテルポリオール(三洋化成株式会社製、商品名「No.33」)、及びエチレンジアミン系ポリエーテルポリオール(旭硝子株式会社製、商品名「FD−508」)
(2)触媒;トリエチレンジアミン(三共エアプロダクツ株式会社製、商品名「DABCO 33LV」、ポリオールの合計を100質量部とした場合に2質量部配合した。)、及びジブチルチンジラウレート(日東化成株式会社製、商品名「ネオスタンU−100」、ポリオールの合計を100質量部とした場合に1質量部配合した。)
(3)発泡剤;液化二酸化炭素、フォーム原料を100質量%とした場合に、4質量% となるように供給した。
;水、ポリオールの合計を100質量部とした場合に4質量部配合した。
(4)整泡剤;線状ポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製、商品名「SH−190」、ポリオールの合計を100質量部とした場合に0.5質量部配合した。)、及びポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製、商品名「SH−193」、ポリオールの合計を100質量部とした場合に0.5質量部配合した。)
(5)難燃剤;トリスクロロプロピルフォスフェート(大八化学工業株式会社製、商品名「TMCPP」、ポリオールの合計を100質量部とした場合に20質量部配合した。)
(6)ポリイソシアネート;クルードMDI(BASF INOACポリウレタン株式会社製、商品名「M−20」、イソシアネートインデックスが110となる配合量とした。)
尚、ポリオールとポリイソシアネートとを除く他の成分は、すべてポリオールに配合し、ポリオール成分とした。
【0050】
[2]断熱壁の形成
以下、図1及び図8を参照して断熱壁の製造方法を説明する。
この実施例1では、液化二酸化炭素容器11[直径135mm、高さ(長さ)900mm、耐圧24.5MPa、容器重量11kg、内容積10リットルのガスボンベであり、温度−20℃、圧力約2MPaの液化二酸化炭素が8kg充填されている。]と、加圧ガス容器12[直径220mm、高さ(長さ)1300mm、耐圧25MPa、容器重量46kg、内容積41リットルのガスボンベであり、圧力6MPaの二酸化炭素ガスが充填されている。]と、を備える製造装置を用いた。
【0051】
上記の製造装置を使用し、先ず、加圧ガス容器12に付設された加圧ガス用流路開閉弁221を開け(加圧ガス用ブロー弁222は閉じておく。)、圧力4MPaに調整された二酸化炭素ガスを液化二酸化炭素容器11に供給し、液化二酸化炭素容器11の上部空間を4MPaに加圧した。次いで、液化二酸化炭素容器11に充填された液化二酸化炭素を、内圧によって液化二酸化炭素供給用配管21(ステンレス鋼製、内径5mm、長さ50cm)内に送出し、第1液化二酸化炭素計量ポンプ34に供給し、計量して、100ml/分の送出速度で液化二酸化炭素供給用配管21(この計量ポンプより下流の配管は樹脂製であり、内径5mm、長さ50cmである。)内に送出し、移送させ、第1混合器35に供給した。
【0052】
一方、原料容器31に収容された上記組成のポリオール成分を、ポリオール成分供給用配管32(樹脂製、内径12.7mm、長さ4m)内を流通させてポリオール成分計量ポンプ33に供給し、計量して、2500ml/分の送出速度で第1混合器35に供給した。その後、第1混合器35により調製された混合物を、ポリオール成分・液化二酸化炭素混合物供給用配管36(ステンレス鋼製、内径6.4mm、長さ20cm)内に送出した。
【0053】
また、原料容器41に収容された上記ポリイソシアネートを、ポリイソシアネート成分供給用配管42(樹脂製、内径12.7mm、長さ4m)内を流通させてポリイソシアネート成分計量ポンプ43に供給し、計量して、2500ml/分の送出速度でポリイソシアネート成分供給用配管47(ステンレス鋼製、内径6.4mm、長さ20cm)内に送出した。次いで、ポリオール成分・液化二酸化炭素混合物供給用配管36内のポリオール成分、及びポリイソシアネート成分供給用配管47内のポリイソシアネート成分を、原料加熱器5により40℃に加熱し、その後、それぞれを第1ヒーターホース61及び第2ヒーターホース62により保温して40℃に維持し、次いで、スプレーガン7(ガスマー株式会社製、型式「Dガン」)から、石綿スレート板からなる壁材の表面に吐出させ、反応させて、ポリウレタンフォームからなる断熱層を形成した。
【0054】
尚、液化二酸化炭素供給用配管21の、第1液化二酸化炭素計量ポンプ34の出口から10cmの位置に第1液化二酸化炭素用ブロー弁211を設け、断熱層形成開始時に、このブロー弁211を10秒間開放して液化二酸化炭素をブローした。これにより、ブロー前に12℃であった第1液化二酸化炭素計量ポンプ33の表面の温度が−20℃に低下した。その後、ブロー弁211を閉止し、ポリウレタンフォームの製造を開始した。これにより、安定した製造を継続することができた。
【0055】
[3]ポリウレタンフォーム層の評価
上記のようにして形成したポリウレタンフォーム層の密度、セル径及び難燃性を下記のようにして評価したところ、密度は32kg/m、セル径は0.2mm、難燃性は合格であった。
(1)密度(kg/m);JIS A 9526により測定した。
(2)セル径(mm);光学顕微鏡によって倍率200倍で観察し、撮影した写真を用いて10個のセルの径を計測し、それらの平均値を算出し、セル径とした。
(3)難燃性;JIS A 9526により測定した。
【0056】
実施例2
実施例1の[1]と同様の組成のフォーム原料を用いて、以下のようにして断熱壁を形成した(図4及び8参照)。
[1]断熱壁の形成
この実施例2では、実施例1と同じ液化二酸化炭素容器11及び加圧ガス容器12と、真空断熱容器13[直径530mm、高さ(長さ)1540mm、耐圧4.34MPa(最高使用圧力2.5MPa)、容器重量146kg、内容積175リットルのガスボンベであり、温度−20℃、圧力約2MPaの液化二酸化炭素が160kg充填されている。]と、を備える製造装置を用いた。
【0057】
上記の製造装置を使用し、先ず、液化二酸化炭素移送用配管23に設けられた絞り弁231を開き、その後、三方弁213の流路を、液化二酸化炭素容器11と真空断熱容器13とを接続する流路とし、真空断熱容器13に充填された液化二酸化炭素のうちの5kgを、内圧によって液化二酸化炭素容器11に移送した。次いで、絞り弁231及び三方弁213を閉じ、その後、加圧ガス容器12に付設された加圧ガス流路開閉弁221を開け(加圧ガス用ブロー弁222は閉じておく。)、圧力4.5MPaに調整された二酸化炭素ガスを液化二酸化炭素容器11に供給し、液化二酸化炭素容器11の上部空間を4.5MPaに加圧した。次いで、三方弁213の流路を、液化二酸化炭素容器11と液化二酸化炭素供給用配管21とを接続する流路とし、液化二酸化炭素供給用配管21(材質及び寸法は実施例1の場合と同じである。)内に液化二酸化炭素を送出し、第1液化二酸化炭素計量ポンプ34に供給して計量し、100ml/分の送出速度で液化二酸化炭素供給用配管21(材質及び寸法は実施例1の場合と同じである。)内に送出し、移送させ、第1混合器35に供給した。
【0058】
一方、原料容器31に収容された上記組成のポリオール成分を、ポリオール成分供給用配管32(材質及び寸法は実施例1の場合と同じである。)内を流通させてポリオール成分計量ポンプ33に供給し、計量して、2500ml/分の送出速度で第1混合器35に供給した。その後、第1混合器35により調製された混合物を、ポリオール成分・液化二酸化炭素混合物供給用配管36(材質及び寸法は実施例1の場合と同じである。)内に送出した。
【0059】
また、原料容器41に収容された上記ポリイソシアネートを、ポリイソシアネート成分供給用配管42(材質及び寸法は実施例1の場合と同じである。)内を流通させてポリイソシアネート成分計量ポンプ43に供給し、計量して、2500ml/分の送出速度でポリイソシアネート成分供給用配管47(材質及び寸法は実施例1の場合と同じである。)内に送出した。次いで、ポリオール成分・液化二酸化炭素混合物供給用配管36内のポリオール成分、及びポリイソシアネート成分供給用配管47内のポリイソシアネート成分を、原料加熱器5により40℃に加熱し、その後、それぞれを第1ヒーターホース61及び第2ヒーターホース62により保温して40℃に維持し、次いで、スプレーガン7(ガスマー株式会社製、型式「Dガン」)から、石綿スレート板からなる壁材の表面に吐出させ、反応させて、ポリウレタンフォームからなる断熱層を形成した。
【0060】
尚、実施例1と同様にして、断熱層形成開始時に第1液化二酸化炭素用ブロー弁211を10秒間開放して液化二酸化炭素をブローした。これにより、ブロー前に12℃であった第1液化二酸化炭素計量ポンプ33の表面の温度が−20℃に低下した。その後、ブロー弁211を閉止し、ポリウレタンフォームの製造を開始した。これにより、安定した製造を継続することができた。
【0061】
[2]ポリウレタンフォーム層の評価
上記のようにして形成したポリウレタンフォーム層の密度、セル径及び難燃性を実施例1の[3]と同様にして評価したところ、密度は32kg/m、セル径は0.2mm、難燃性は合格であった。
【0062】
尚、本発明では、上記の実施例の記載に限られず、本発明の範囲内において種々変更した実施例とすることができる。例えば、液化二酸化炭素供給用配管21を2本備え、そのうちの1本の一端側が液化二酸化炭素容器11に接続され、他端側が第1液化二酸化炭素計量ポンプ34に接続されており、他の1本の一端側が液化二酸化炭素容器11に接続され、他端側が第2液化二酸化炭素計量ポンプ44に接続されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】ポリオール成分に液化二酸化炭素が混合されるポリウレタンフォームの製造装置の概略を示す説明図である。
【図2】ポリオール成分及びポリイソシアネート成分に液化二酸化炭素が混合されるポリウレタンフォームの製造装置の概略を示す説明図である。
【図3】ポリイソシアネート成分に液化二酸化炭素が混合されるポリウレタンフォームの製造装置の概略を示す説明図である。
【図4】図1の製造装置において更に真空断熱容器を備えるポリウレタンフォームの製造装置の概略を示す説明図である。
【図5】図2の製造装置において更に真空断熱容器を備えるポリウレタンフォームの製造装置の概略を示す説明図である。
【図6】図3の製造装置において更に真空断熱容器を備えるポリウレタンフォームの製造装置の概略を示す説明図である。
【図7】液化二酸化炭素容器と、加圧ガス容器と、真空断熱容器との接続の様子を拡大して示す説明図である。
【図8】図1の製造装置に更にヒーターホース、スプレーガン等が配設されたポリウレタンフォームの製造装置の概略を示す説明図である。
【図9】図2の製造装置に更にヒーターホース、スプレーガン等が配設されたポリウレタンフォームの製造装置の概略を示す説明図である。
【図10】図3の製造装置に更にヒーターホース、スプレーガン等が配設されたポリウレタンフォームの製造装置の概略を示す説明図である。
【符号の説明】
【0064】
11;液化二酸化炭素容器、12;加圧ガス容器、13;真空断熱容器、21;液化二酸化炭素供給用配管、211;第1液化二酸化炭素用ブロー弁、212;第2液化二酸化炭素用ブロー弁、213;三方弁、22;加圧ガス供給用配管、221;加圧ガス用流路開閉弁、222;加圧ガス用ブロー弁、23;液化二酸化炭素移送用配管、231;絞り弁、31;ポリオール成分が収容された原料容器、32;ポリオール成分供給用配管、33;ポリオール成分計量ポンプ、34;第1液化二酸化炭素計量手段(第1液化二酸化炭素計量ポンプ)、35;第1混合器、36;ポリオール成分・液化二酸化炭素混合物供給用配管、37;ポリオール成分供給用配管、41;ポリイソシアネート成分が収容された原料容器、42;ポリイソシアネート成分供給用配管、43;ポリイソシアネート成分計量ポンプ、44;第2液化二酸化炭素計量手段(第2液化二酸化炭素計量ポンプ)、45;第2混合器、46;ポリイソシアネート成分・液化二酸化炭素混合物供給用配管、47;ポリイソシアネート成分供給用配管、5;原料加熱器、61;第1ヒーターホース、62;第2ヒーターホース、7;スプレーガン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネートを主成分とするA液と、ポリオールを主成分とするB液と、液化二酸化炭素容器から供給される発泡剤としての液化二酸化炭素と、を混合して施工現場でポリウレタンフォームを製造するに際し、該A液と該B液との混合前に、該液化二酸化炭素を該A液及び/又は該B液に混合し、該ポリウレタンフォームを製造する装置において、
液化二酸化炭素容器と、
一端側が該液化二酸化炭素容器に接続された加圧ガス供給用配管と、
該加圧ガス供給用配管の他端側に接続された加圧ガス容器と、
該加圧ガス供給用配管に設けられた加圧ガス用流路開閉弁及び加圧ガス用ブロー弁と、 一端側が該液化二酸化炭素容器に接続された液化二酸化炭素供給用配管と、
該液化二酸化炭素供給用配管に配設された液化二酸化炭素計量手段と、
該液化二酸化炭素供給用配管に設けられた液化二酸化炭素用ブロー弁と、を備えることを特徴とするポリウレタンフォーム製造装置。
【請求項2】
一端側が上記液化二酸化炭素供給用配管又は上記液化二酸化炭素容器に接続された液化二酸化炭素移送用配管と、該液化二酸化炭素移送用配管の他端側に接続された−10℃以下の液化二酸化炭素が充填された真空断熱容器と、を備える請求項1に記載のポリウレタンフォーム製造装置。
【請求項3】
上記液化二酸化炭素容器に、液化二酸化炭素と液化炭化水素との混合液体が充填された請求項1又は2に記載のポリウレタンフォーム製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−192720(P2006−192720A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−6916(P2005−6916)
【出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(000113517)BASF INOACポリウレタン株式会社 (9)
【Fターム(参考)】