説明

ポリウレタン及び電子写真装置用ベルト

【課題】
トナー像の担持性に優れ、ラフ紙等の凹凸への追従性を有する上に、ベルトを小径プーリーに巻いたままの状態で長期間休転した後、等における巻き癖の発生を防止することができるポリウレタン、及び、これを用いて得られる電子写真装置用ベルトを提供する。
【解決手段】
動歪0.1%、周波数10Hzの条件で測定した動的粘弾性の温度分散より求めたtanδの主分散のピーク温度が100〜200℃に存在し、25℃でガラス領域であり、かつ、同条件より求めた貯蔵弾性率E’が−55〜−20℃の領域に転移があるポリウレタン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン及び電子写真装置用ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から電子写真装置用の中間転写ベルトや転写搬送ベルトとしては、ポリイミド樹脂フィルムやポリカーボネート樹脂フィルム等の樹脂フィルムを使用したものが一般的であった。しかし、このような樹脂フィルムを用いたベルトは、表面が硬く、トナー像保持性が充分でなく、また、紙表面の凹凸への追従性に劣るため、カラー画像の色ズレや紙への転写性に問題を有するものであり、ベルト表面に、ある程度の弾性を付与することが要求されていた。
【0003】
ベルト表面に弾性を付与して画質を向上したものとして、樹脂フィルム上に弾性層を積層した電子写真装置用ベルトが提案されている。しかし、フィルムと弾性層との間に、接着層を形成することが必要なため、工程が煩雑であったこと、異なる材質の積層構造では収縮率の差が大きいため、ベルトにソリが生じること等の問題点を有するものであった。このため、近年、高硬度(即ち、ポリウレタンからなる)芯体層上に低硬度ポリウレタンの弾性層を設けた電子写真装置用ベルトが提案されている。
【0004】
特許文献1には、液状の熱硬化ポリウレタンを硬化して成るJIS A硬度30〜95度の弾性層と液状の熱硬化ポリウレタン又は熱硬化ポリウレアを硬化して成るJIS D硬度75〜90度の芯体層との2層構造から成る電子写真用ベルトが開示されている。
【0005】
特許文献2には、ポリオールと、低分子量の芳香族アミンと、2官能基及び3官能基を有する脂肪族イソシアネートとから形成されるポリウレタンから成る芯体層と弾性層とを含む少なくとも2層構造から成る電子写真装置用ベルトが開示されている。
【0006】
特許文献3には、ポリオール化合物と、同一芳香環上に塩素基と2以上のアミノ基を有する低分子芳香族アミン化合物と、2官能及び3官能の脂肪族イソシアネートとの反応によって構成されるポリウレタン樹脂を含む芯体層と平均官能基数、2〜3のポリオール化合物とイソシアネート化合物との反応によって形成されるポリウレタンを含む弾性層とを有する電子写真装置用ベルトが開示されている。
【0007】
これら特許文献1〜3に開示されている電子写真用ベルトは、芯体層と弾性層との間に接着層を設ける必要がなく、芯体層及び弾性層がともにポリウレタンからなるものであるため、ベルトにソリが生じるという問題点も有さないものである。
【0008】
しかしながら、近年、電子写真装置の小型化、低コスト化、高画像化の観点から、ベルトユニットがコンパクトになり、プーリー径がますます小さくなる傾向があり、また、巻き癖を防止するためのベルトの離接機構、即ちユニット状態で輸送される時や画像出ししない時にベルトのテンションを緩めておく機構を装置中に設けない傾向もある。更に、ベルトの色ズレを補正するために、ベルト表面にレーザーを照射し、その反射光で色ずれを防止するセンサーを設ける等の工夫がされるようになってきている。
【0009】
ベルトの離接機構を設けない場合には、ベルトが小径プーリーに巻かれたままの状態で長期休転された後、駆動されることになる。このため、ベルトの巻き癖が大きいとプーリーへの巻き癖が付いたまま、プーリー間の直線部に移動しようとするため、スムーズな回転に至るのに時間を要し、その結果、色ズレを防止するセンサーが誤作動を起こし、高画質な画像を得ることができないという問題が発生する。
【0010】
従って、従来の芯体よりも一層巻き癖の小さい芯体が要求されているが、上述した特許文献1〜3で開示されている電子写真用ベルトにおける芯体では、充分に巻き癖を防止することができなかった。
【0011】
特許文献4には、特定の疎水性が高いポリエーテルポリオールがポリオール成分であるポリウレタンからなる基材を少なくとも1層有する電子写真装置用導電性部材が開示されている。しかし、ここで開示されている電子写真装置用導電性部材は、環境変動や長期使用でもベルト寸法が伸び縮みしないものとして開示されているものであり、充分に巻き癖を防止することができないものであった。
【特許文献1】特開2001−34078号公報
【特許文献2】特開2001−142311号公報
【特許文献3】特開2001−356612号公報
【特許文献4】特開2002−148949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記現状に鑑み、トナー像の担持性に優れ、ラフ紙等の凹凸への追従性を有する上に、ベルトを小径プーリーに巻いたままの状態で長期間休転した後、等における巻き癖の発生を防止することができるポリウレタン、及び、これを用いて得られる電子写真装置用ベルトを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、動歪0.1%、周波数10Hzの条件で測定した動的粘弾性の温度分散より求めたtanδの主分散のピーク温度が100〜200℃に存在し、25℃でガラス領域であり、かつ、同条件より求めた貯蔵弾性率E’が−55〜−20℃の領域に転移があるものであることを特徴とするポリウレタンである。
【0014】
上記ポリウレタンを形成するポリオール成分は、カーボネート結合を含有する部分と、炭素数5〜12の直鎖部分を有するポリカーボネートポリオールであることが好ましい。
【0015】
上記直鎖部分は、炭素数8〜9で側鎖を有するもの及び/又は異性体を含むものであることが好ましい。
上記直鎖部分は、1,9−ノナンジオール及びメチルオクタンジオール由来のものであることが好ましい。
【0016】
上記ポリウレタンを形成する硬化剤成分は、芳香族ジアミンであり、イソシアネート成分が2〜3官能の脂肪族イソシアネートであることが好ましい。
【0017】
本発明はまた、上記ポリウレタンに導電性フィラーを分散含有させてなり、薄肉円筒状に形成したことを特徴とする電子写真装置用ベルトでもある。
上記薄肉円筒状のベルト基材の外周に、更に、JIS−A硬度で30〜80度である弾性表面層を積層形成したものであることが好ましい。
【0018】
上記弾性表面層及び上記ベルト基材は、ともに遠心成形法で接着剤を用いず一体に積層形成したものであることが好ましい。
上記電子写真装置用ベルトは、中間転写ベルト又は転写搬送ベルトであることが好ましい。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】
本発明のポリウレタンを用いて得られる電子写真装置用ベルトは、巻き癖の発生が防止されたものである。このため、例えば、上記ポリウレタンを用いて得られた電子写真装置用ベルトを小径プーリーに巻いたままの状態で長期間休転した後において、巻き癖の発生を小さくすることができる。従って、このような電子写真装置用ベルトを小径プーリーに巻いたままの状態で長期間休転した後に、駆動させた場合であっても、色ズレセンサーの誤作動を充分防止することができ、高画質な画像を得ることができる。
【0020】
電子写真装置用ベルトは、常に1〜数十kgのテンションをかけて使用されるために、このテンションで伸びないことが重要である。即ち、少なくとも装置の使用温度領域において、電子写真装置用ベルトに用いられるポリウレタンがガラス状態を示す(ガラス転移点以下である)ことが必要である(一般に5〜50℃)。
【0021】
電子写真装置用ベルトの芯体として使用する場合、特に剛直な物性が必要であり、ハードセグメント含有量を多くすることが必要である。つまり、従来のポリウレタン系エラストマーは、ポリオール成分からなるソフトセグメントが海で、低分子量延長剤とポリイソシアネートとからなるハードセグメントが島である海島構造をとるのが一般的であるが、本発明においては、ハードセグメント含有量を増やすことで、従来と逆の構造、即ち、ハードセグメントが海で、ポリオールが島であるようなポリウレタンが好適に使用される。この場合、得られるポリウレタンにおいて、0.1%動歪、周波数10Hzの条件で測定した動的粘弾性の温度分散から得られる貯蔵弾性率(E’)がtanδの主分散温度を示す高温領域(100〜200℃)まで転移領域がなくなるのが通常である。
【0022】
電子写真装置用ベルトを小径プーリーに巻いたままの状態で長期間休転した際等に発生する巻き癖は、ポリマーがガラス状態であるために発生しやすくなると推察される。このため、本発明においては、島を形成するポリオール成分の分子運動性を若干確保することにより、ガラス領域にわずかなゴム状態を導入し、その結果として、巻き癖の発生を防止することができる。本発明のポリウレタンは、動歪0.1%、周波数10Hzの条件で測定した動的粘弾性の温度分散より求めたtanδの主分散のピーク温度が100〜200℃に存在し、25℃でガラス領域であるというだけでなく、同条件より求めた貯蔵弾性率E’が−55〜−20℃の領域に転移を有するものである。このような高剛性特性とゴム的特性を併せもつポリウレタンは、5〜50℃程度の温度では、張力に対する伸びが小さく、変形に対する回復性に優れたものになる。
【0023】
上記tanδの主分散のピーク温度を100〜200℃のような高い温度域にし、しかも貯蔵弾性率E’が−55〜−20℃に転移を有するようにするには、例えば、ポリオール成分にポリカーボネート結合を含有する部分を、炭素数5〜12の直鎖部分を介在させて適切な間隔で配置した構成とし、分子量を800〜2000にすると同時にハードセグメントの凝集力を高くし数を増やすようにして物性をコントロールすればよい。tanδのピーク温度が100℃未満になると、熱による温度寸法変化を抑えることが不充分となるおそれがある。200℃を超えると、硬くなりすぎて、屈曲で割れが発生しやすくなる。
【0024】
上記ポリウレタンは、25℃でガラス領域であるものである。このようなポリウレタンを用いて得られる電子写真装置用ベルトは、機内温度50℃(0〜60℃)の使用温度領域において、弾性率が急激に変化することが防止され、ベルトの伸び率に影響を与えることを防止することができる。
【0025】
上記ポリウレタンは、動歪0.1%、周波数10Hzの条件で測定した動的粘弾性の温度分散より求めた貯蔵弾性率E’が、−55〜−20℃の領域に転移を有するものである。このような領域に転移を有するものを用いることにより、ガラス領域にゴム領域を導入することができ、結果として、電子写真装置用ベルトの巻き癖を防止することができる。上記転移が−20℃より高くなると、分子運動性が乏しく巻き癖が改良できないおそれがある。この転移はポリオールの運動に基づくものであるため、低温域になるほど好ましいが、−55℃より低い極低温域の転移は、通常得られないので−55〜−20℃とされる。
【0026】
上記ポリウレタンを形成するポリオール成分は、カーボネート結合を含有する部分と、炭素数5〜12の直鎖部分とを有することが好ましい。カーボネート結合を有することにより、エステル結合に比べて疎水性にすることができ、吸湿による影響を取り除くことができる。また、このようなカーボネート結合を含有する部分と、炭素数5〜12の直鎖部分とを有するポリオールを用いることにより、貯蔵弾性率E’が、−55〜−20℃の領域に転移があるポリウレタンを得ることができる。直鎖部分の炭素数が5未満になると、−55〜−20℃の領域にE’の転移が存在しなくなるおそれがある。12を超えると、カーボネート結合が少なくなりすぎ、物性が充分に発現しないおそれがある。より好ましくは6〜9である。なお、直線部分とは、−CH−CH−CH−等で示される直線的な部分である。
【0027】
上記ポリウレタンを形成するポリオール成分は、ポリカーボネートポリオールと称されるものであり、カーボネート結合を含有する部分と、炭素数9のジオール由来の炭化水素鎖部分とを有するものであることが好ましい。上記炭素数9のジオール由来の炭化水素鎖部分を有するポリカーボネートポリオール用いることにより、貯蔵弾性率E’が−55〜−20℃の領域に転移があるポリウレタンを得ることができ、このポリウレタンを用いて得られる電子写真装置用ベルトを巻いたままの状態で小径プーリーに長期間休転した場合等において、巻き癖の発生を小さくすることができる。なお、炭化水素鎖部分とは、側鎖を有する場合も含まれる。
【0028】
上記ポリカーボネートポリオールの炭素数9のジオール由来の炭化水素鎖部分は、側鎖を有するもの及び/又は異性体(直鎖部の炭素数は8)を含むものが好ましい。側鎖を有するジオール由来の炭化水素鎖部分を有することにより、低温での結晶性を低下させ、ポリウレタンの分子運動性を確保することができるため、得られるポリウレタンの貯蔵弾性率E’を、−55〜−20℃の領域に転移があるものにできる。そして、このようなポリウレタンを用いて得られる電子写真装置用ベルトは、巻き癖が発生しにくいものになる。
【0029】
上記炭化水素鎖部分が側鎖を有する場合、上記側鎖を有する炭化水素鎖の含有量は、上記炭素数9のジオール由来の炭化水素鎖部分のうち、30〜90%であることが好ましい。30%未満であると、巻き癖の発生の防止効果が発揮されないおそれがあり、90%を超えると、低温で結晶化して分子運動性を確保できないおそれがある。より好ましくは、35〜85%である。
【0030】
上記炭素数9のジオール由来の炭化水素鎖部分は、1,9−ノナンジオール及びメチルオクタンジオール由来の炭化水素鎖であることが好ましい。
【0031】
上記炭素数9のジオール由来の炭化水素鎖部分を有するポリカーボネートポリオールの市販品としては、例えば、クラポールC−1065N(クラレ社製、水酸基価114.8KOHmg/g、1,9−ノナンジオール/メチルオクタンジオール質量比65/35)、クラポールC−2065N(クラレ社製、水酸基価58.1KOHmg/g、1,9−ノナンジオール/メチルオクタンジオール質量比65/35)、クラポールC−1015N(クラレ社製、水酸基価112KOHmg/g、1,9−ノナンジオール/メチルオクタンジオール質量比15/85)等を挙げることができる。
【0032】
上記ポリカーボネートポリオールの数平均分子量は、800〜2000であることが好ましい。800未満であると、低温での弾性がなくなるおそれがある。2000を超えると、分子運動性が高くなりすぎて、ベルトとして必要な引張弾性率を確保できなくなるおそれがある。より好ましくは、1000〜1800である。
【0033】
上記ポリウレタンを形成するポリオール成分としては、上記ポリカーボネートポリオールであることが好ましいが、必要に応じてそれ以外のポリオール成分を含有してもよい。その他のポリオールとしては、例えば、ポリオレフィンポリオール、アジペートエステルの縮合エステルで部分的にアルコールに3官能を用いたもの、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトンエステルの2官能と多官能のブレンド品等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0034】
上記ポリウレタン形成において、上記ポリオール以外の活性水素含有化合物として芳香族ジアミンを用いてイソシアネート成分と反応させて、ハードセグメントにウレタン結合よりも凝集力の強いウレア結合を導入し、ソフトセグメントとハードセグメトを相分離させ、海島構造をより明確化にし、しかもソフトセグメントの運動性を確保できるようにする。
【0035】
上記芳香族ジアミンとしては、例えば、4−クロロ−3,5−ジアミノベンゾイックアシッドイソブチルエステル、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、ジメチルチオトルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジエチル−ジフェニルメタン、2,2′,3,3′−テトラクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、トリメチレンビス−4−アミノベンゾエート等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
上記芳香族ジアミンのなかでも、1つの芳香環に塩素基と2つのアミノ基とを有する芳香族アミン化合物が特に好ましい。これにより、反応性及び剛直性をより向上させることができる。塩素基が存在しない場合、イソシアネート基とアミノ基との反応が早く、ポットライフだけでなく、ソフトセグメント成分を形成するポリオール成分との反応差が大きくなり、ポットライフは早いが脱型性に劣るといった面が生じるおそれがある。また、芳香環が2つあるような構造のアミン化合物では、リジッドな芳香環のために、ベルト自体が硬くなりすぎて、耐屈曲性に劣るおそれがある。
【0037】
上記1つの芳香環に塩素基と2つのアミノ基とを有する芳香族アミン化合物としては、例えば、4−クロロ−3,5−ジアミノベンゾイックアシッドイソブチルエステルが好ましい。市販品としてはバイテック1604(住化バイエルウレタン社製)、CDAB(ワイ・エス・ツー社)等を挙げることができる。
【0038】
上記芳香族ジアミンは、分子量が200〜1000であることが芳香族環を有するハードセグメントが形成できるので好ましい。
【0039】
上記ポリウレタンの形成において、上記芳香族ジアミンの配合量は、上記ポリカーボネートポリオール中に存在するOH基に対して、当量以上で、10倍以下であることが好ましい。当量未満であると、必要な弾性率が得られないおそれがある。10倍を超えると、ハードセグメントが多すぎるため、−55〜20℃の領域での貯蔵弾性率(E’)の転移が消滅するとともに伸びが著しく低下し、脆くなってしまうおそれがある。3〜10倍であることがより好ましい。
【0040】
上記ポリウレタンを形成するイソシアネート成分としては、2〜3官能の脂肪族イソシアネートが好ましい。芳香族ジアミンとの反応が芳香族イソシアネートに比較して遅く、混合液のポットライフが適度に長く、遠心成形型への注入作業がやり易くなる。更に、耐屈曲性、巻き癖性、張力安定性を考慮すると、ハードセグメントを形成する成分は、ウレタン結合よりアミノ基とイソシアネート基との反応で得られるウレア結合を導入する方が、その凝集力面からみて有効である。ウレタン結合のみで形成すると、耐屈曲性には優れるものの、ベルトに必要な張力が得られず、ベルトに伸びが生じてしまい、使用することができないおそれがある。
【0041】
上記2官能の脂肪族イソシアネートとしては、例えば、へキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リシンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等を挙げることができる。なかでも、衛生面、反応性、ハードセグメントの凝集性の面から、イソホロンジイソシアネートやノルボルナンジイソシアネートが特に好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記2官能の脂肪族イソシアネートの市販品としては、例えば、コスモネートNBDI(三井武田ケミカル社製)、デスモジュールI(住化バイエルウレタン社製)等を挙げることができる。
【0042】
上記3官能の脂肪族イソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ビウレット体、アダクト体の変性体等を挙げることができる。耐熱性の面から、イソシアヌレート体が好ましい。なかでも、粘度、2官能脂肪族イソシアネート化合物との相溶性等の点から、ヘキサメチレンジイソシアネートの変性体が特に好ましい。ここで、ヘキサメチレンジイソシアネートの変性体とは、一方のイソシアネート基をヌレート変性したもの、ビューレット変性したもの、プレポリマー変性したもの等をいう。上記3官能の脂肪族イソシアネートの市販品としては、スミジュールN3300、スミジュールN3200、デスモジュールTP LS 2010/1(以上、住化バイエルウレタン社製)等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
上記2官能の脂肪族イソシアネートだけではなく、更に、上記3官能の脂肪族イソシアネートを加えることによって、ポリウレタンの構造中に適度の架橋点を形成し、ベルトの耐屈曲性、巻き癖、張力のバランスをとることができる。
【0044】
上記2官能の脂肪族イソシアネートと上記3官能の脂肪族イソシアネートとを用いる場合において、上記2官能の脂肪族イソシアネートと上記3官能の脂肪族イソシアネートとの混合比(質量比)は、イソシアネートの平均官能基数で2.01〜2.30となるように混合することが好ましい。2.01未満であると、架橋を導入した効果がほとんど現れず、2.30を超えると、化学架橋が優位になり、ハードセグメントの凝集力が小さくなり、ハードセグメントとソフトセグメントの相分離が充分に進行せず、E’の低温域の転移領域が生じなくなるおそれがある。上記平均官能基数は、2.05〜2.25であることがより好ましい。本発明のポリウレタンは、巻き癖の防止の観点から、1,9−ノナンジオール及びメチルオクタンジオールをポリオール成分とするポリカーボネートポリオール、4−クロロ−3,5−ジアミノベンゾイックアシッドイソブチルエステル、ノルボルナンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体を形成成分として有するものであることが特に好ましい。
【0045】
本発明の電子写真装置用ベルトは、カーボンブラック等の導電性フィラーを分散含有させたポリウレタンを薄肉円筒状に形成してなるので、小径プーリーに巻付けた状態で長期間休転した後、再駆動する場合であっても巻き癖が防止されているため、色ずれセンサーが誤作動することがなく、高画質な画像を得ることができる。
【0046】
導電性フィラーをポリウレタンに分散させる方法としては、例えば、上記ポリオール成分に3本ロール等でカーボンブラック等の導電性フィラーを混練りし、均一に分散したマスターバッチを調製することが好ましい。
【0047】
上記電子写真装置用ベルトは、上述の導電性フィラーを分散含有させたポリウレタンを薄肉円筒状に形成したもので、単層のものの他、ベルト基材の外周に、更に、JIS−A硬度で30〜80度である弾性表面層を積層形成した2層又はそれ以上の多層に形成したものを含む。弾性表面層の硬度が30度未満であると、弾性表面層にタックを生じたり、トナーの保持性が良すぎて転写効率が低下するおそれがある。80度を超えると、紙の凹凸への追従性が低下し、シャープな画像が得られないおそれがある。上記弾性表面層をJIS−A硬度で30〜80度にするには、ポリオール成分やイソシアネート成分の種類を変えたり、[NCO]/[OH]のモル比を調整して行う。
【0048】
上記ベルト基材及び上記弾性表面層を積層形成した電子写真装置用ベルトにおいて、ベルトとしての張力を保持し、ベルトの安定走行性の面から、ベルト基材はできるだけ薄い方が好ましく、例えば、上記ベルト基材の厚さは、下限0.05mm、上限0.3mmであることが好ましい。0.05mm未満であると、基材の強度が不足し、耐久性に劣るおそれがある。0.3mmを超えると、基材が曲げ難くなり、小径プーリーに巻きつけることができなくなるおそれがある。より好ましくは、0.08〜0.25mmである。
【0049】
また、上記弾性表面層の厚さは、下限0.05mm、上限1.0mmであることが好ましい。0.05mm未満であると、弾性表面層の効果が充分に発現しないおそれがある。1.0mmを超えると、ベルトが厚くなりすぎて色ズレを生じやすくなる。より好ましくは、0.1mm〜0.9mmである。
【0050】
上記積層形成した電子写真装置用ベルトは、弾性表面層、次いでベルト基材の順に遠心成形法で成形することができる。即ち、弾性表面層を構成する原料液を遠心成形機に流し込み、遠心力をかけながら加熱して半硬化させた後、ベルト基材を構成する原料液を、先の遠心成形機において形成した弾性表面層の上(内側)に流し込み、一緒に加熱硬化させることにより製造することができる。弾性表面層とベルト基材を構成する樹脂がともにポリウレタンであるため、接着剤なしで両層の接着一体化でき、繰り返し屈曲を受けて層間剥離することがない。また、弾性表面層とベルト基材層とが同じ系統のポリウレタンからなるため収縮率に大きな差がなく、得られたベルトにソリや曲がりが生じにくい。
【0051】
ベルト芯体層及び上記弾性表面層を積層形成した本発明の電子写真装置用ベルトは、弾性表面層の外側に、更に、表面被覆層を有するものであってもよい。上記表面被覆層は、例えば、フッ素系成分を含有する樹脂塗料等をコーティングすること等によって形成することができる。上記表面被覆層を形成することにより、トナーとの離型性、クリーニング性等を向上させることができる。
【0052】
以下、本発明のポリウレタンを用いて得られる電子写真装置用ベルト(図1、図2、図3)、それを中間転写ベルト、転写搬送ベルトとして用いた電子写真装置(図4、図5)を図を用いて説明する。
【0053】
図1は、本発明の電子写真装置用ベルト1の斜視図であり、薄肉円筒状に形成された単層からなる。図2は、ベルト基材2の外側に、弾性表面層3を設けた2層構造のベルトである。図3は、弾性表面層3の外側に、更に、表面被覆層4を有する3層構造のベルトである。
【0054】
図4は、本発明の電子写真装置用ベルトを中間転写ベルト16として用いた電子写真装置の感光体11周辺の側面図である。感光体11は、帯電部で一様に帯電され、露光部にてレーザー光や反射光によって露光され、静電潜像が形成される。感光体11は、矢符方向に回転し、第1の現像ローラに接触し(現像部14)、黄色成分が現像される。第2〜第4の現像ローラとは接触せず移動し、感光体11は、中間転写ベルト16に接触する。中間転写ベルト16は、プーリー12、13に掛け渡され矢符方向に移動し、感光体11上の黄色の像が中間転写ベルト16に転写される。感光体11は、クリーニングブレードで、残った黄色トナーが除去され、除電される。
【0055】
上記と同様、帯電→露光→現像部と感光体11とが回転移動して、マゼンタ色用現像ローラのみに接触し、感光体11上にマゼンタ色のトナー像が形成されそのまま転写部に移動し、中間転写ベルト16に転写され、黄色像に重ね合わされる。
【0056】
同様にして、シアン色のトナー像が感光体11上に形成され、中間転写ベルト16上で重ね合わされる。最後に黒色のトナー像が感光体11上に形成され、中間転写ベルト16上に重ね合わされ中間転写ベルト16上にカラー像が形成される。中間転写ベルト16上のカラー像は、ローラ15とプーリー13との間に供給されるシート体、例えば、紙上に転写され、定着装置で定着される。中間転写ベルト16は、カラー像を紙に転写した後、クリーニングブレードによって残ったトナーが除去される。
【0057】
図5は、本発明の電子写真装置用ベルトを転写搬送ベルト16’として用いた電子写真装置の感光体11周辺の側面図である。図4と同様、感光体11は、帯電部、露光部、現像部14と回転移動することにより黒色のトナー像を形成・担持し、転写搬送ベルト16’上に送られた紙と接触して、紙上に転写され、そのまま転写搬送ベルト16’によって定着部に搬送され、定着される。転写搬送ベルト16’は、プーリー12、13に掛け渡され矢符方向に移動する。感光体11は、図4と同様にクリーニングブレードで残ったトナーを除去され、除電される。
【0058】
図4及び図5において、中間転写ベルト及び転写搬送ベルトは、外径10〜20mmの小径ローラー状プーリーに巻いたままの状態で長期間休転されたり、保管されたりするので、巻き癖が問題視される。
【発明の効果】
【0059】
本発明のポリウレタンは、ポリオールの構成、ソフトセグメントとハードセグメントの構成、化学結合の構成を特殊にすることにより、ベルトとして必要な弾性率を保持しつつ、巻き癖も改良したものである。また、トナー像の担持性、凹凸への追従性にも優れたものである。従って、例えば、中間転写ベルト又は転写搬送ベルトであるとして好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」、「%」は特に断りのない限り「質量部」、「質量%」を意味する。
【0061】
実施例1〜4
(弾性表面層形成液の調製)
平均官能基数2.3のポリエステルポリオールであるニッポラン4032(日本ポリウレタン工業製、水酸基価=60KOHmg/g)に、予め導電性カーボンであるケッチェンブラックを1質量%となるように添加して3本ロールで混練り分散することにより、導電材含有ポリオールを得た。これを100℃で12時間減圧脱水した後100部に対し、トリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、「コロネート T−80」)9.8部を混合して弾性表面層形成液を調製した。硬さの調整は、〔NCO〕/〔OH〕モル比の変更及びイソシアネート種の変更で行った。
【0062】
(ベルト基材形成液の調製)
炭素数9でメチル基を側鎖として有する炭化水素鎖部分を有するポリカーボネートジオール、「クラポールC−1065N」(クラレ社製、水酸基価=114.8KOHmg/g、1,9−ノナンジオール/メチルオクタンジオール質量比65/35)、「クラポールC−2065N(クラレ社製、水酸基価=58.1KOHmg/g、1,9−ノナンジオール/メチルオクタンジオール質量比65/35)、「クラポールC−1015N」(クラレ社製、水酸基価=112KOHmg/g、1,9−ノナンジオール/メチルオクタンジオール質量比=15/85)を用いた。
【0063】
芳香族ジアミンとしては、4−クロロ−3,5−ジアミノベンゾイックアシドイソブチルエステルとして、「バイテック1604」(住化バイエルウレタン社製 分子量=242)を用いた。
【0064】
イソシアネートとしては、2官能脂肪族イソシアネートとして、ノルボルナンジイソシアネート(三井武田ケミカル社製、「コスモネートNBDI」、NCO=40.8%)を使用した。また、3官能イソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(住化バイエルウレタン社製、「スミジュールN3300」、NCO=21.8%)を用いた。これらの材料を表1に示す割合で混合することにより、ベルト基材用形成液を得た。なお、導電性カーボンであるケッチェンブラックを弾性表面層と同様にしてポリオール中に1%含有させた。
【0065】
(シームレスベルトの成形)
遠心成形機を用い、金型径180mm、幅350mmの金型にて、先ず、弾性表面層用形成液を500rpmの金型回転数において投入した後、すぐに2500rpmの高速回転に移り、10分後に500rpmに回転数を落とし、125℃で2分間半硬化させた後、表1に示す配合で、弾性表面層と同一条件にてベルト基材用形成液を投入し、ベルトを得た。なお、実施例1〜3では、弾性表面層を有さないベルトを製造した。
【0066】
比較例1〜3
(ベルト基材形成液の調製)
芳香族系ポリエステルポリオールとして、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとテレフタル酸とからなるポリオール「クラレポリオールP1020」(クラレ社製、水酸基価=113.9KOHmg/g)、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとイソフタル酸とからなるポリオール「クラレポリオールP1030」(クラレ社製、水酸基価=113.6KOHmg/g)、1,4−シクロヘキサンジメタノールからなるポリカーボネートポリオールとして、「UC−CARB100」(宇部興産社製、水酸基価=110.8KOHmg/g)を用いた。芳香族ジアミン、脂肪族イソシアネートは、実施例1と同様のものを表2に示した配合で用いた。
【0067】
(シームレスベルトの成形)
実施例のベルトの成形方法と同様にして、ベルトを製造した。
【0068】
〔評価方法〕
上記実施例、比較例で得られた薄肉円筒状のベルトのより幅30mmにカットした試料ベルトを用いて巻き癖を評価し、結果を表1、2に示した。また、上記実施例、比較例で得られたベルト基材(ポリウレタン)の動歪0.1%、周波数10Hzの条件で測定した貯蔵弾性率E’の温度分散のデータを図6、図7に示した。
【0069】
(巻き癖の評価)
図8の測定装置に示すように、試料ベルト41(長さ550mm×幅30mm)を固定プーリー46とスライドプーリー47の2つのプーリー(ともに外径20mm)に巻き掛け、おもり(1kg)によりベルトに張力を与え、そのまま24時間保持した。保持後取り外したベルトをプーリーに巻きついていた部分を中心に約100mm長さにカットし、図9で示すように定盤の上にのせ、ハイトゲージで頂点高さtを測定した。測定した頂点高さt(mm)を巻き癖として表1、2に示した。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
その結果、実施例で得られたベルトは、比較例で得られたものに比べて、巻き癖が1/2程度に改良されていることがわかる。図6、図7から、実施例で使用したポリウレタンは、ポリオールとして所定炭素数の炭化水素鎖部分とカーボネート結合部分を有するポリカーボネートポリオールを用い、芳香族ジアミンを用いて凝集力が大きいウレア結合を導入して、貯蔵弾性率E’が−55〜−20℃の領域に転移があり、かつ、tanδのピーク温度が100〜200℃にあるという、比較例1〜3の従来のポリウレタンでは不可能であった特性を兼ね備えていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明のポリウレタンは、電子写真装置用ベルトに用いることができるものであり、上記ポリウレタンを用いて得られた電子写真装置用ベルトは、例えば、中間転写ベルト又は転写搬送ベルトとして好適に使用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の電子写真装置用ベルト1の斜視図の一例である。
【図2】本発明の電子写真装置用ベルト1の斜視図の一例である。
【図3】本発明の電子写真装置用ベルト1の斜視図の一例である。
【図4】本発明の電子写真装置用ベルトを中間転写ベルト16として用いた電子写真装置の感光体11周辺の側面図の一例である。
【図5】本発明の電子写真装置用ベルトを転写搬送ベルト16’に用いた電子写真装置の感光体11周辺の側面図の一例である。
【図6】実施例で使用したポリウレタンの貯蔵弾性率E’の温度分散のデータを示した図である。
【図7】比較例で使用したポリウレタンの貯蔵弾性率E’の温度分散のデータを示した図である。
【図8】巻き癖の発生に使用した装置の概略図である。
【図9】巻き癖である頂点高さの測定装置の概略図である。
【符号の説明】
【0075】
1 電子写真装置用ベルト
2 ベルト基材
3 弾性表面層
4 表面被覆層
11 感光体
12、13 プーリー
14 現像部
15 転写ローラ
16 中間転写ベルト
16’ 転写搬送ベルト
41 ベルト
42 おもり
43 ダイヤルゲージ
44 定盤
45 ハイトゲージ
46 固定プーリー
47 スライドプーリー
48 スライドベアリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動歪0.1%、周波数10Hzの条件で測定した動的粘弾性の温度分散より求めたtanδの主分散のピーク温度が100〜200℃に存在し、25℃でガラス領域であり、かつ、同条件より求めた貯蔵弾性率E’が−55〜−20℃の領域に転移があるものであることを特徴とするポリウレタン。
【請求項2】
ポリウレタンを形成するポリオール成分は、カーボネート結合を含有する部分と、炭素数5〜12の直鎖部分とを有するポリカーボネートポリオールである請求項1記載のポリウレタン。
【請求項3】
前記直鎖部分は、炭素数8〜9で側鎖を有するもの及び/又は異性体を含むものである請求項2記載のポリウレタン。
【請求項4】
前記直鎖部分は、1,9−ノナンジオール及びメチルオクタンジオール由来のものである請求項2記載のポリウレタン。
【請求項5】
ポリウレタンを形成する硬化剤成分は、芳香族ジアミンであり、イソシアネート成分が2〜3官能の脂肪族イソシアネートである請求項1、2、3又は4記載のポリウレタン。
【請求項6】
請求項1、2、3、4又は5記載のポリウレタンに導電性フィラーを分散含有させてなり、薄肉円筒状に形成したことを特徴とする電子写真装置用ベルト。
【請求項7】
薄肉円筒状のベルト基材の外周に、更に、JIS−A硬度で30〜80度である弾性表面層を積層形成したものである請求項6記載の電子写真装置用ベルト。
【請求項8】
弾性表面層及びベルト基材は、ともに遠心成形法で接着剤を用いず一体に積層形成したものである請求項7記載の電子写真装置用ベルト。
【請求項9】
電子写真装置用ベルトは、中間転写ベルト又は転写搬送ベルトである請求項6、7又は8記載の電子写真装置用ベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−22227(P2006−22227A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−202165(P2004−202165)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】