説明

ポリエーテルに基づくコポリマーを微水溶性ポリマーと組み合わせて含む固体医薬調製物

本発明は、ポリエーテルコポリマー及び少なくとも1種の微水溶性ポリマーからなるポリマーマトリクス中の微水溶性(poorly water-soluble)物質の調製物を含む剤形に関し、前記ポリエーテルコポリマーは30〜80重量%のN-ビニルラクタム、10〜50重量%のビニルアセテートと10〜50重量%のポリエーテルの混合物のラジカル開始重合により得られ、微水溶性活性物質は非晶質物質としてポリマーマトリクス中に存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエーテル存在下におけるビニルアセテート及びN-ビニルラクタムの重合により得られるポリエーテルコポリマー及び微水溶性(すなわち、水に溶けにくい)活性物質を、製剤の安定性及び/又は生物活性物質の放出に影響を与えることができる別のポリマーと組み合わせた固体医薬調製物に関する。さらに、本発明はこれらの調製物の製造方法及びその使用にも関する。
【0002】
対応するポリエーテルコポリマーは微水溶性生物活性物質のための可溶化剤として作用する。
【背景技術】
【0003】
特に生物活性物質の均一な調製物の製造において、疎水性の、すなわち微水溶性の物質の可溶化が実用上非常に重要になってきている。
【0004】
可溶化は、特定の溶媒(特に水)に微溶性又は不溶性の物質を、界面活性化合物、すなわち可溶化剤により溶解性にすることを意味するとして理解される。このような可溶化剤は、微水溶性又は水に不溶の物質をこれらの物質の化学的構造を変えることなく、透明又は最大でも乳白色の水溶液に変換することができる(Roempp Chemie Lexikon, 9th edition, Vol. 5, p. 4203, Thieme Verlag, Stuttgart, 1992を参照)。
【0005】
生成される可溶化物(solubilizate)において、微水溶性又は水に不溶の物質は、水溶液中に形成される界面活性化合物の分子の会合体(例えば疎水性の領域又はミセル)において、コロイド溶液として存在する。得られる溶液は、光学的に透明〜乳白色に見える安定な又は準安定な単相系である。
【0006】
医薬調製物の場合、可溶化剤の使用により、バイオアベイラビリティーさらには薬物の作用を増大させることができる。
【0007】
可溶化剤に対する別の望ましい要件は、微溶性物質と共にいわゆる「固溶体」を形成することである。用語「固溶体」は、物質が、固体マトリクス(例えばポリマーマトリクス)中で、コロイド形態で分散するか、或いは、理想的には分子形態で分散している状態を指す。このような固溶体は、例えば微溶性活性物質の固体医薬投与形態に使用される場合、活性物質の放出を改善する。前記固溶体について重要な要件は、固溶体が比較的長期間保存された場合にも安定である、すなわち活性物質が結晶化しないことである。さらに、固溶体の容量、つまり、できるだけ大きい活性物質含有量を有する安定な固溶体を形成する能力も重要である。
【0008】
固溶体の形成においては、可溶化剤の固溶体を形成する基本的な能力だけでなく、可溶化剤の吸湿性も重要な役割を果たす。周囲空気から水を吸収し過ぎる可溶化剤は、固溶体の潮解及び活性物質の望ましくない結晶化をもたらす。過大な吸湿性は、投与形態への加工の際にも問題を引き起こし得る。
【0009】
多くの公知のポリマー可溶化剤は、特に、活性物質がポリマー中に飽和濃度を越えて存在する場合、安定な固溶体を形成しないという欠点を有する。結果として、系は速度論的に制御され、活性物質が保存中に結晶化する。このことは大きな問題を示す。
【0010】
さらに、公知の可溶化剤及び製剤は、水系、特に生体系における可溶化に関して更なる改良の余地がある。経口バイオアベイラビリティは、多くの場合、副作用なしに一定、再現可能な作用を達成するために望ましい程度まで増大していない。
【0011】
公知の可溶化剤のいくつかは、十分に流動性の粉末ではないので、その粘着傾向により加工可能性に関しても欠点を有する。
【0012】
微水溶性活性物質の医薬調製物の場合の別の問題は放出の制御である。多くの場合、そのような形態の場合に放出を抑制するのは、賦形剤ではなく、活性物質の結晶の性質である。このことは、活性物質の粒径(particle size)の変動、結晶変態の相違及び粒子の形の相違が溶解性に大きな影響を及ぼすことを意味する。これらのパラメータを厳密に確立することは難しいので、いろいろな放出速度が生じる。水溶性活性物質の場合、活性物質の溶解過程は遅延ポリマー(retardant polymer)により制御される拡散過程よりも大幅に速いので、この問題は生じない。
【0013】
放出に関し、即時放出(instant release)(速く放出する)形態、腸内放出(enteric release)(胃に耐性のある)形態および持続放出(遅延型の、徐々に放出する)形態は区別される。1時間後に少なくとも75%を放出する形態は瞬間放出形態として指定される。腸内放出形態の場合、胃液中で僅かな放出が起こる(一般に<10%)が、腸液中で速い放出が起こる。持続放出形態は胃液中と腸液中の両方で遅い放出である。用語「持続放出形態」は放出が3時間後に75%よりも遅い場合に使用される。
【0014】
微水溶性ポリマーは、pHの全範囲にわたり、又は少なくとも特定のpHの範囲で微溶性であるポリマーを意味するとして理解されるべきである。これらには、いわゆる持続放出ポリマー(一般にpH1〜14で不溶である)、酸性で胃に耐性のポリマー(酸性pH範囲で微溶性である)及び塩基性で反腸溶性(reverse enteric)ポリマー(中性〜塩基性pH範囲で微溶性である)が含まれる。溶解性の定義については下記をさらに参照されたい。
【0015】
EP-A 876819には、少なくとも60重量%のN-ビニルピロリドンと長鎖アルキル基を有するアミド又はエステルとのコポリマーの使用が記載されている。
【0016】
EP-A 948957には、例えばアクリル酸などのモノエチレン系不飽和カルボン酸と、例えばC8-C30-アルキル基を有する不飽和カルボン酸のN-アルキル-もしくはN,N-ジアルキルアミドなどの疎水性に変性されたコモノマーとのコポリマーの使用が記載されている。
【0017】
DE-A 19935063には、ビニルラクタム及びビニルアセテートに基づくポリアルキレンオキシド含有グラフトポリマー、並びにそのガス水和物抑制剤としての使用が開示されている。
【0018】
EP-A 953347には、可溶化剤としてのポリアルキレンオキシド含有グラフトポリマーの使用が開示されている。この中で記載され、ビニルアセテート及びポリアルキレンオキシドを含むグラフトポリマーは、粉末ではなく粘着質の液体であることが多く、このことは使用時に欠点となる。
【0019】
WO 2007/051743には、N-ビニルラクタム、ビニルアセテート、及びポリエーテルの水溶性又は水分散性コポリマーを、可溶化剤として、医薬品、化粧品、食品、農薬及び他の技術的応用のために使用することが開示されている。そこには、このようなグラフトポリマーを溶融物中で活性物質と共に加工することもできると非常に一般的に記載されている。
【0020】
WO 2009/013202にはN-ビニルラクタム、ビニルアセテート及びポリエーテルのグラフトポリマーを押出機中で溶融させ、粉末又は液体の活性物質と混合することができることが開示され、実質的に活性物質の融点以下の温度における押出が記載されている。
【0021】
しかし、溶融グラフトポリマーを粉末又は液体活性物質と混合することによる、満足のいくように高く、かつ、同時に安定な活性物質充填(loading)を達成することはできていない。特に、活性物質の安定なX線非晶質状態の達成は満足のいく程度に常に可能ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】EP-A 876819
【特許文献2】EP-A 948957
【特許文献3】DE-A 19935063
【特許文献4】EP-A 953347
【特許文献5】WO 2007/051743
【特許文献6】WO 2009/013202
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の目的は、その調製物が優れたバイオアベイラビリティと共に、目標とする放出の調節を可能にする、微水溶性活性物質の改善された調製物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0024】
その結果、30〜80重量%のN-ビニルラクタム、10〜50重量%のビニルアセテートおよび10〜50重量%のポリエーテルの混合物のフリーラジカル重合により得られるポリエーテルコポリマー、及び少なくとも1種の微水溶性ポリマーのポリマーマトリクス中に微水溶性活性物質を含む調製物を含み、微水溶性活性物質が非晶質形態でポリマーマトリクス中に存在する医薬剤形が見出された。
【0025】
さらに、微水溶性活性物質の調製物の製造方法が見出された。ここで、活性物質は、30〜80重量%のN-ビニルラクタム、10〜50重量%のビニルアセテート及び10〜50重量%のポリエーテルのポリエーテルコポリマーに基づくポリマーマトリクス中に埋め込まれた非晶質形態で存在し、ポリエーテルコポリマーに加えて少なくとも1種の微水溶性ポリマーがポリマーマトリクスに組み込まれており、該ポリマーは微水溶性活性物質と共に十分に混合されている。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ポリマーマトリクス中に存在するポリエーテルコポリマーは、
i)30〜80重量%のN-ビニルラクタム、
ii)10〜50重量%のビニルアセテート、
iii)10〜50重量%のポリエーテル
の混合物(ただし、i)、ii)及びiii)の合計は100重量%である)のフリーラジカル重合により得られる。
【0027】
1つの方法の変形によると、ポリエーテルコポリマーは微水溶性のポリマー及び微水溶性活性物質と完全に混合され、混合物はコポリマーのガラス転移点を超えて加熱される。
【0028】
別の方法の変形によると、ポリマーと活性物質の混合物は有機溶液中で調製され、その後、乾燥される。
【0029】
ポリエーテルコポリマーは水に溶けやすく(freely soluble)、これは20℃で1〜10部の水に1部のコポリマーが溶解することを意味する。
【0030】
本発明の1つの実施形態によると、
i)30〜70重量%のN-ビニルラクタム
ii)15〜35重量%のビニルアセテート
iii)10〜35重量%のポリエーテル
から得られる好ましいポリエーテルコポリマーが使用される。
【0031】
特に好ましくは、使用されるポリエーテルコポリマーは:
i)40〜60重量%のN-ビニルラクタム
ii)15〜35重量%のビニルアセテート
iii)10〜30重量%のポリエーテル
から得ることができる。
【0032】
非常に特に好ましくは、使用されるポリエーテルコポリマーは
i)50〜60重量%のN-ビニルラクタム
ii)25〜35重量%のビニルアセテート
iii)10〜20重量%のポリエーテル
から得ることができる。
【0033】
成分i)、ii)及びiii)の合計が100重量%であるというただし書きは、好ましい及び特に好ましい組成物にも適用される。
【0034】
好適なN-ビニルラクタムはN-ビニルカプロラクタム若しくはN-ビニルピロリドン又はその混合物である。好ましくは、N-ビニルカプロラクタムが使用される。
【0035】
ポリエーテルはグラフトベースとして働く。好ましいポリエーテルはポリアルキレングリコールである。ポリアルキレングリコールは1000〜100000D(ダルトン)、好ましくは1500〜35000D、特に好ましくは1500〜10000Dの分子量を有することができる。分子量はDIN 53240に従って測定されるOH数に基づいて決定される。
【0036】
特に好ましいポリアルキレングリコールはポリエチレングリコールである。さらに、2-エチルオキシラン又は2,3-ジメチルオキシランから得られる、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン又はポリブチレングリコールも同様に好適である。
【0037】
その他の好適なポリエーテルはエチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドから得られるポリアルキレングリコールのランダム又はブロックコポリマー、例えば、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールブロックコポリマーである。ブロックコポリマーはAB型又はABA型であることができる。
【0038】
好ましいポリアルキレングリコールは1個の末端OH基、又は、両方の末端OH基においてアルキル化されているものも含む。好適なアルキル基は分岐又は直鎖C1-〜C22アルキル基、好ましくはC1-C18アルキル基、例えば、メチル、エチル、n-ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、トリデシル又はオクタデシル基である。
【0039】
本発明によるポリエーテルコポリマーの一般的な製造方法は公知である。該製造は好ましくは溶液中、非水性有機溶媒中、又は非水性/水性混合溶媒中のフリーラジカル重合により行われる。好適な製造方法は、例えば、WO2007/051743及びWO2009/013202に記載されており、その製造方法に関する開示は本明細書に参照により組み込まれる。
【0040】
目的とする放出の制御のために、可溶化効果を有するコポリマーは、生物活性物質の放出に影響を与えるのに好適な微水溶性ポリマーと組み合わせて使用される。一般に、放出が影響を受ける度合いは微水溶性ポリマーの濃度によって決まる。
【0041】
ポリエーテルコポリマー対微水溶性ポリマーの比は99:1〜10:90であることができる。好ましくは、その比は90:10〜30:70、特に好ましくは80:20〜40:60である。
【0042】
ポリマーの溶解性について、用語「微水溶性」は以下のように理解されるべきである。本発明によると、用語「微水溶性」は微溶性、さらに、実質的に不溶性である物質を含み、水中で20℃におけるポリマー溶液について、ポリマー1g当り少なくとも100〜1000gの水が必要であることを意味する。実質的に不溶性である物質の場合、物質1g当り少なくとも10000gの水が必要である。
【0043】
微水溶性ポリマーの以下の記載において、用語「微水溶性」は「微溶性」に略される。
【0044】
微水溶性ポリマー
本発明において、微水溶性ポリマーは中性の微溶性ポリマー(持続放出ポリマー)、アニオン性微溶性ポリマー(胃に耐性のポリマー)又は塩基性微溶性ポリマーである。
【0045】
中性微溶性ポリマー
微溶性ポリマーはpH1〜14の全範囲にわたり水に微溶性であるか、膨潤性しかないポリマーを意味するとして理解される。一般に、医薬組成物は1種のみの水に不溶性のポリマーを含む。しかし、2種以上の水に不溶性のポリマーが互いに一緒に又は混合物として存在していてもよい。
【0046】
好適な微溶性ポリマーの例は、中性又は実質的に中性のメタクリレートコポリマーである。これらは特に少なくとも95、特に少なくとも98、好ましくは少なくとも99、特に少なくとも99、特に好ましくは100重量%の、フリーラジカル重合が起こり易く、中性の置換基(特にC1-〜C4-アルキル置換基)を有する(メタ)アクリレートモノマーを含むことができる。
【0047】
中性の基を有する好適な(メタ)アクリレートモノマーは、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートである。メチルメタクリレート、エチルアクリレート及びメチルアクリレートが好ましい。アニオン性の基を有する(メタ)アクリレートモノマー(例えば、アクリル酸及び/又はメタクリル酸)は5未満、好ましくは2を超えない、特に好ましくは1を超えない、或いは0.05〜1重量%の少量で存在し得る。
【0048】
例えば、20〜40重量%のエチルアクリレート、60〜80重量%のメチルメタクリレート及び0〜5重量%未満、好ましくは0〜2又は0.05〜1重量%から得られる中性又は実質的に中性の(メタ)アクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)NE型)が好適である。Eudragit NEは30重量%のエチルアクリレートと70重量%のメチルメタクリレートのコポリマーである。
【0049】
別の好適な微溶性(メタ)アクリレートコポリマーは、例えば、pHに依存せずに溶解性であるか、膨潤性であり、薬剤のコーティングとして好適であるポリマーである。
【0050】
微溶性ポリマーは98〜85重量%のアクリル酸又はメタクリル酸のC1-〜C4-アルキルエステル及び2〜15重量%の第4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーのポリマー又はこの物質群の複数のポリマーの混合物であることができる。
【0051】
さらに、微溶性ポリマーは97〜93重量%より多いアクリル酸又はメタクリル酸のC1-〜C4-アルキルエステル及び3〜7重量%よりも少ない第4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーのポリマー(Eudragit(登録商標)RS型)であってもよい。
【0052】
好ましいアクリル酸又はメタクリル酸のC1-〜C4-アルキルエステルはメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート及びメチルメタクリレートである。
【0053】
2-トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドが第4級アミノ基を有する(メタ)アクリレートモノマーとして特に好ましい。
【0054】
例えば、好適なコポリマーは65重量%のメチルメタクリレート、30重量%のエチルアクリレート及び5重量%の2-トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドを含む(Eudragit RS)。
【0055】
微溶性ポリマーは93〜88重量%のアクリル酸又はメタクリル酸のC1-〜C4-アルキルエステル及び7〜12重量%の第4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーのポリマー(Eudragit RL型)であってもよい。
【0056】
特に好適なコポリマーは、例えば、60重量%のメチルメタクリレート、30重量%のエチルアクリレート及び10重量%の2-トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドを含む(Eudragit(登録商標)RL)。
【0057】
水に不溶性のポリマーはEudragit RS型のポリマー及びEudragit RL型のポリマーの20:1〜1:20の比の混合物であってもよい。
【0058】
Eudragit RS及びEudragit RLの、例えば、20:1〜1:20重量部の比の混合物も特に好適である。
【0059】
さらに、医薬組成物はポリビニルアセテートを微溶性ポリマーとして含むこともできる。好適なポリビニルアセテートは、例えば、ビニルアセテートのホモポリマーである。さらに、微溶性ポリビニルアセテートコポリマーも好適であり、例えば、ビニルアセテートとN-ビニルピロリドンの水に不溶性のコポリマーである。市販の好適なポリビニルアセテートは、例えば、Kollicoat(登録商標)SR 30D又はKollidon(登録商標)SRである。
【0060】
その他の好適な微溶性ポリマーはアルキルセルロース(例えば、エチルセルロース)である。
【0061】
アニオン性微溶性ポリマー
さらに、アニオン性微溶性ポリマーを使用することもできる。アニオン性ポリマーは好ましくは少なくとも5%、特に好ましくは5〜75%のアニオン性基を有するモノマー基を有するポリマーを意味するとして理解される。アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーが好ましい。アニオン性基を有する好適な市販の(メタ)アクリレートコポリマーは、例えば、Eudragit(登録商標)型L、L100-55、S及びFSである。
【0062】
好適なアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、例えば、25〜95重量%のアクリル酸又はメタクリル酸のC1-〜C4-アルキルエステル及び5〜75重量%のアニオン性基を有する(メタ)アクリレートモノマーのポリマーである。アニオン性基の含有量及びpH5.0よりも高いpHにおける別のモノマーの性質によって、適切なポリマーは水溶性であり、従って、腸液にも溶解する。一般に、前記の割合は合計で100重量%である。
【0063】
アニオン性基を有する(メタ)アクリレートモノマーは、例えば、アクリル酸であってもよいが、好ましくはメタクリル酸であることができる。
【0064】
さらに、40〜60重量%のメタクリル酸及び60〜40重量%のメチルメタクリレート又は60〜40重量%のエチルアクリレートのアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーが好適である(Eudragit L又はEudragit L1 00-55型)。
【0065】
Eudragit Lは50重量%のメチルメタクリレート及び50重量%のメタクリル酸のコポリマーである。
【0066】
Eudragit L1 00-55は50重量%のエチルアクリレート及び50重量%のメタクリル酸のコポリマーである。Eudragit L 30D-55は30重量%のEudragit L 100-55を含む分散液である。
【0067】
さらに、20〜40重量%のメタクリル酸及び80〜60重量%のメチルメタクリレートのアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)S型)も好適である。
【0068】
例えば、10〜30重量%のメチルメタクリレート、50〜70重量%のメチルアクリレート及び5〜15重量%のメタクリル酸からなるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標) FS type)がさらに好適である。
【0069】
Eudragit FSは25重量%のメチルメタクリレート、65重量%のメチルアクリレート及び10重量%のメタクリル酸のコポリマーである。Eudragit FS 30 Dは30重量%のEudragit(登録商標)FSを含む分散液である。
【0070】
好ましくは、コポリマーはメタクリル酸、メチルアクリレート及びエチルアクリレートモノマーを前記の割合で大幅に(substantially)〜独占的に(exclusively)含む。
【0071】
しかし、0〜10重量%、例えば1〜5重量%の少量の別のビニル系の共重合可能なモノマー、例えば、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート又はヒドロキシエチルメタクリレートが本質的性質を害することなく、さらに存在することができる。
【0072】
コポリマーはフリーラジカル開始剤及び、適宜、分子量を調節するための連鎖移動剤の存在下で通常の連続的又はバッチ式のフリーラジカル塊状重合、溶液重合、ビーズ重合又は乳化重合法により調製することができる。平均分子量Mw(重量平均、例えば、溶液粘度を測定することにより決定される)は、例えば、80000〜1000000(g/mol)であることができる。水に溶解する開始剤及び(好ましくはアニオン性の)乳化剤の存在下、水相中の乳化重合が好ましい。塊状重合の場合、コポリマーは粉砕(crushing)、押出、造粒又は熱間切断(hot face cutting)により固体形態で加工することができる。
【0073】
さらに、アニオン性ポリマーとして好適なのはヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、塩基性条件下で溶解する胃に耐性のポリマーである。
【0074】
塩基性微溶性ポリマー
さらに、塩基性ポリマー、例えば、塩基性メタ(アクリレート)又はキトサンを使用することもできる。相当する市販のポリマーの例は、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマーである、Eudragit(登録商標)E又はEPOである。
【0075】
固体調製物は公知の方法により調製することができる。
【0076】
1つの実施形態によると、調製物の全成分を最初に好適な溶媒中に一緒に入れて溶液にし、その後、溶媒を除去する。使用することができる溶媒は製薬技術に通常の全ての溶媒、例えばエタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、エチルアセテート、アセトン又はジメチルホルムアミドである。溶媒の除去は可能な全てのタイプの乾燥方法、例えば噴霧乾燥、流動床乾燥、ドラム乾燥、超臨界ガスの使用による乾燥、凍結乾燥、蒸発により達成することができる。
【0077】
好ましい方法によると、固体調製物は押出により調製される。
【0078】
ポリマーを粉末形態、及び、溶液又は分散液の形態の両方で押出機に供給することができる。
【0079】
ポリマーの分散液又は溶液は、押出機中での分散媒体又は溶媒の除去により溶融状態へと変換し、溶融物の冷却により固体形態へと変換することができる。
【0080】
その後、このように得られる溶融物を冷却し、粒状化することができる。この目的で、いわゆる熱間切断又は、例えば、テフロンベルト若しくはチェーンベルト上での空気若しくは不活性ガス下における冷却、続いて冷却された溶融ストランド(strand)の粒状化を行う。しかし、冷却をポリマーが大幅には溶解しない溶媒中で行うこともできる。
【0081】
以下の方法A-Eが原則として使用される:
【表1】

【0082】
原則的に、当業者に公知の通常の押出機のタイプが本発明による方法に好適である。これらの押出機は、ハウジング、変速機を備えた駆動装置、及びスクリューエレメントを備えた押出機シャフトからなる処理装置を含み、この場合モジュール構造が前提とされる。
【0083】
押出機はいずれの場合にも特定の処理装置に配置されるべき複数のセクションからなる。これらのセクションはそれぞれ、最小の独立したユニットとしての1以上のバレル(バレルブロック)、及び本発明の目的に対応するスクリューエレメントを備える付随のスクリューセクションからなる。
【0084】
個々のバレルは加熱可能であるべきである。さらに、バレルは冷却、例えば水による冷却用に設計され得る。個々のバレルブロックは、好ましくは、押出しの方向に沿って異なる温度ゾーンを設定し得るように、独立に加熱及び冷却可能である。
【0085】
押出機は有利には共回転スクリューを有する二軸スクリュー押出機の形態である。スクリューの形状によりせん断の程度が異なり得、製品によって決まる。混練エレメントを特に溶融ゾーンにおいて使用するべきである。逆回転(reverse)混練エレメントを使用することもできる。
【0086】
好適な二軸スクリュー押出機は16〜70mmのスクリュー直径及び25〜40Dの長さを有することができる。
【0087】
押出機全体は個別に温度調節可能であるバレルブロックからなる。最初の2個のバレルは優れた材料吸入量のために温度調節可能であり得る。3個目以降のバレルは、材料に合わせて選択されるべきであり、特に、使用される活性物質の融点とポリマーのガラス転移点によって決まる一定温度に設定することが好ましい。しかし、結果として生じる製品温度は、通常、使用されるスクリューエレメントのせん断の程度によって決まり、場合によっては、設定されたバレル温度よりも20〜30℃高いこともあり得る。
【0088】
周囲圧力で有利に作動する脱気(devolatilization)ゾーンを溶融ゾーンの下流に存在させることができる。
【0089】
使用される丸ダイは0.5〜5mmの直径を有することができる。その他のダイの形状(例えば、スロットダイ)も、特に、より大きい材料スループットが望ましい場合、同様に使用することができる。
【0090】
2個の共回転スクリューは、搬送(conveying)エレメントからなる供給ゾーン(feed zone)の下流で、流量制限器を下流に有する混練ブロックが3番目の加熱ゾーンで既に使用されるように設計される。搬送エレメントを含む短い減圧ゾーンの後、溶融材料は混練ゾーンにおいてさらに完全に混合される。これに下流に混練エレメントを有する搬送エレメントゾーンが続く。下流に混練ゾーンを有する搬送エレメントゾーンが続く。最後に、材料の放出が搬送エレメントゾーンによりなされる。
【0091】
得られた押出物を造粒機により加工してペレットを得ることができ、これらは次にさらに粉砕して(挽いて)粉末を得ることができる。ペレット又は粉末をカプセルに導入するか、或いは通常の錠剤補助剤を使用して圧縮して錠剤を得ることができる。この場合、さらに、放出を制御する別の賦形剤を使用することもできる。
【0092】
さらに、押出中に、水、有機溶媒、緩衝物質又は可塑剤を使用することもできる。特に、水又は揮発性アルコールがこの目的に好適である。この方法は比較的低い温度における反応を可能にする。溶媒又は可塑剤の量は、通常、押出可能材料の0〜30%である。水又は溶媒は押出機中で、大気圧で、又は減圧にして、脱気点を介して除去することができる。或いは、押出物が押出機から出て圧力が大気圧まで減少すると、これらの成分は蒸発する。揮発し難い成分の場合、押出物を、その後、適切な方法で乾燥することができる。
【0093】
製造方法の特定の変形において、熱可塑性材料を押出後直接カレンダー加工(calendered)して最終投与形態を構成する錠剤様圧縮体とすることができる。この変形において、別の成分、例えば、ガラス転移点及び溶融粘度を調節するためのポリマー、崩壊剤(disintegrant)、可溶化剤、可塑剤、染料、香味料、甘味料等を、押出前又は押出中に加えることが適切であり得る。原則として、これらの物質は、押出物を最初に粉砕した後、圧縮して錠剤を与える場合にも使用することができる。
【0094】
高いガラス転移点を有する水溶性ポリマー、例えば、17〜120のK値を有するポリビニルピロリドン、ヒドロキシアルキルセルロース又はヒドロキシアルキル-澱粉を製剤のガラス転移点を調整するために使用することができる。製剤のガラス転移点が過度に高い場合、可塑剤の添加により減少させることができる。原則的に、医薬コーティングにも使用される全ての可塑剤、例えば、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、トリアセチン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール400、ジブチルセバケート、グリセリルモノステアレート、ラウリン酸、セチルステアリルアルコールがこの目的に好適である。
【0095】
さらに、溶融粘度を減少させ、従って、押出温度を減少させる界面活性剤を調製物にさらに組み込むことができる。さらに、これらの物質は起こり得る結晶化に良い影響を与え、製剤の優れた湿潤性及びより早い溶解をもたらすことができる。好適な物質はイオン性及び非イオン性界面活性剤、例えば、Solutol(登録商標)HS 15(マクロゴール15ヒドロキシステアレート)、Tween(登録商標)80、ポリオキシエチル化脂肪酸誘導体、例えば、Cremophor(登録商標) RH40(ポリオキシル40水素化ヒマシ油, USP), Cremophor EL(ポリオキシル35ヒマシ油, USP)、ポロキサマー、ドキュセートナトリウム(docusate sodium)又はラウリル硫酸ナトリウムである。
【0096】
まだ軟らかい可塑性の混合物は、好ましくはダイを通して押し出され、冷却され、粉砕される。原則として、この目的のために公知の全ての通常の技術、例えば熱間切断又は冷間切断が粉砕に好適である。
【0097】
押出物は、例えば回転刃又は空気ジェットを用いて切断され、その後、空気で、又は不活性ガス下で冷却される。
【0098】
押出物を、冷却されたベルト(ステンレス鋼、テフロン、チェーンベルト)上に溶融ストランドとして置き、固化後に粒状化することもできる。
【0099】
次に、場合によって押出物をミル粉砕することができる。調製物は自由流動性のフロワブル水溶性粉末として得られる。好ましくは、20〜250μmの粒径(Particle size)が得られる。
【0100】
さらに、ポリマー及び活性物質を含む可塑性混合物を射出成形により加工することも可能である。
【0101】
驚くべきことに、本発明による製剤は大幅に改善された安定性を有し、すなわち、活性物質が分子形態で分散しているか、或いはコロイド形態で分散した非晶質状態を製剤中で維持し、結晶化しない。結果として、放出性も経時的に変化しない。押出物の粒径が300μmを超える場合、微水溶性ポリマーの放出に対する効果は明らかである。これらの場合、このことは放出が持続性であるか、又は胃に耐性であることを意味し、添加物によって決まる。しかし、驚くべきことに、押出物が粒径100μm以下であるように粉砕されている場合、胃に耐性又は持続放出性のポリマーの使用において、速い放出が達成される。
【0102】
本発明による調製物は活性物質のより高いバイオアベイラビリティを有する。
【0103】
本発明による方法により得られた調製物は、原則として、微水溶性又は不溶性の物質のみが水性調製物に使用される、又は水性媒体中でその効果を示すことになる全ての分野で使用することができる。
【0104】
本発明において、微水溶性物質は、好ましくは、生物活性物質、例えば、ヒト及び動物のための医薬活性物質、化粧品又は農薬活性物質又は栄養補助食品又は食物(dietary)活性物質を意味するとして理解される。
【0105】
さらに、染料、例えば、無機又は有機顔料も可溶化される微溶性物質として好適である。
【0106】
通常、押出温度は50〜260℃、好ましくは70〜200℃である。下限温度は、いずれの場合にも、押し出される混合物の組成と加工される微溶性物質によって決まる。少なくとも混合物の一部は選択した温度において可塑化できなければならない。上限温度は活性物質又はポリマーの分解により決まる。
【0107】
使用される医薬活性物質は水に不溶であるか、又は難溶性である物質であり、DAB 9の定義に従う。
【0108】
DAB 9(German Pharmacopeia(ドイツ薬局方))によると、物質の溶解性は以下のように分類される:難溶性(sparingly soluble)(30〜100部の溶媒に溶解する);微溶性(100〜1000部の溶媒に溶解する);実質的に不溶性(10000部よりも多い溶媒に溶解する)(いずれの場合にも20℃で溶解する物質1部に対する)
活性物質は任意の適用分野のものであってもよい。
【0109】
ベンゾジアゼピン、降圧剤、ビタミン、細胞増殖抑制剤、特に、タキソール、麻酔薬、神経弛緩薬、抗鬱剤、抗ウイルス薬、例えば、抗HIV薬、抗生物質、抗真菌剤(antimycotic)、抗認知症薬、殺菌剤、化学療法薬、泌尿器病薬、血小板凝集阻害薬、スルホンアミド、鎮痙薬、ホルモン、免疫グロブリン、血清、甲状腺治療薬、向精神薬、抗パーキンソン病薬及び他の抗運動過剰症薬、眼科用薬、神経障害治療薬、カルシウム代謝調節剤、筋弛緩剤、脂質低下薬、肝治療薬、冠状動脈治療薬、心臓病薬、免疫治療薬、調節ペプチド及びその阻害剤、睡眠薬、鎮静薬、婦人科疾患治療薬、痛風治療薬、繊維素溶解薬、酵素製品及び輸送蛋白、酵素阻害薬、催吐薬、血流刺激薬、利尿薬、診断用薬、副腎皮質ステロイド薬、コリン作用薬、胆治療薬、抗喘息薬、気管支拡張薬、β-受容体遮断薬、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、アテローム性動脈硬化症治療薬、抗炎症剤、抗凝固薬、抗高血圧薬、抗低血糖症薬、降圧剤、抗繊維素溶解薬、抗癲癇薬、抗嘔吐薬、解毒薬、抗糖尿病薬、抗不整脈薬、抗貧血薬、抗アレルギー薬、駆虫薬、鎮痛薬、強壮薬、アルドステロン拮抗薬、やせ薬を例として挙げることができる。
【0110】
前記医薬調製物の中で、経口投与可能な製剤が特に好ましい。
【0111】
医薬調製物中のポリエーテルコポリマー及び微溶性ポリマーの混合物の含有量は、活性物質によって、1〜99重量%、好ましくは5〜80重量%、特に好ましくは10〜70重量%である。
【0112】
医薬投与形態(例えば、錠剤)の調製について、通常の医薬賦形剤を押出物に加えることができる。
【0113】
それらはフィラー(filler)、可塑剤、可溶化剤、結合剤、シリケート及び崩壊剤(disintegrant)及び吸着剤、潤滑剤(lubricant)、流動性向上剤(flow improver)、染料、安定剤、例えば、酸化防止剤、湿潤剤、防腐剤、離型剤(mold release agent)、アロマ又は甘味料、好ましくはフィラー、可塑剤及び可溶化剤からなる群からの物質である。
【0114】
添加することができるフィラーは、例えば、無機フィラー、例えば、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素の酸化物、炭酸チタン若しくは炭酸カルシウム、リン酸カルシウム若しくはリン酸マグネシウム又は有機フィラー、例えばラクトース、スクロース、ソルビトール、マンニトールである。
【0115】
好適な可塑剤は、例えば、トリアセチン、トリエチルシトレート、グリセリルモノステアレート、低分子量ポリエチレングリコール又はポロキサマーである。
【0116】
11よりも大きいHLB値(親水性-親油性(lipophilic)バランス)を有する界面活性物質、例えば40エチレンオキシドユニット(unit)によりエトキシル化された水素化ヒマシ油(Cremophor(登録商標) RH 40)、35エチレンオキシドユニットによりエトキシル化されたヒマシ油(CremophorEL)、ポリソルベート80、ポロキサマー、ドキュセートナトリウム又はラウリル硫酸ナトリウムが追加の可溶化剤として好適である。
【0117】
アルミニウム、カルシウム、マグネシウム及びスズのステアリン酸塩、並びにケイ酸マグネシウム、シリコーン等を潤滑剤として使用することができる。
【0118】
例えば、タルク又はコロイド状シリカを流動性向上剤として使用することができる。
【0119】
例えば、微結晶セルロースが結合剤として好適である。
【0120】
遅延放出をさらに調節するために、別の微水溶性ポリマーを錠剤用混合物に加えることもできる。
【0121】
崩壊剤は架橋ポリビニルピロリドン又は架橋カルボキシメチル澱粉ナトリウムであることができる。安定剤はアスコルビン酸又はトコフェロールであることができる。
【0122】
染料は、例えば、投与形態を着色するための酸化鉄、二酸化チタン、トリフェニルメタン染料、アゾ染料、キノリン染料、インジゴチン染料、カロチノイド、光透過率を増大させ、染料の使用を減少させるための不透明剤(opacifying agent)、例えば、二酸化チタン又はタルクである。
【0123】
化粧品及び医薬品における使用に加えて、本発明により製造された調製物は食品分野における使用、例えば、微水溶性又は水に不溶の栄養物、補助剤又は添加物(例えば、脂溶性ビタミン又はカロチノイド)の組み込みのためにも好適である。カロチノイドで着色された飲料を例として挙げることができる。
【0124】
本発明により得られる調製物の農芸化学(agrochemistry)における使用は、とりわけ、殺有害生物剤(pesticide)、除草剤、殺菌剤又は殺虫剤を含む製剤、特に、噴霧又は散水(watering)用製剤として使用される作物保護剤の調製物を含むことができる。
【0125】
微溶性物質のいわゆる固溶体を本発明による方法を用いて得ることができる。本発明によると、微溶性物質の結晶画分(fraction)が全く観測されない系が固溶体として指定される。
【0126】
安定な固溶体の視覚的評価において、非晶質成分は全く存在しない。視覚的評価は40×の倍率で偏光フィルタのあり、又はなしで光学顕微鏡を使用して行うことができる。
【0127】
さらに、調製物は結晶化度又は非晶質性についてXRD(X線回折)及びDSC(示差走査熱量測定)により調査することもできる。
【0128】
本発明により得られる調製物は、前記のように、非晶質形態(生物活性物質の結晶性画分が5重量%未満であることを意味する)で存在する。好ましくは、非晶質状態はDSC又はXRDにより検査される。かかる非晶質状態はX線非晶質状態としても指定され得る。
【0129】
本発明による方法は、微溶性物質の非晶質状態について高い活性物質充填及び優れた安定性を有する安定な調製物の製造を可能にする。
【0130】
本発明による方法は高い活性物質充填率を有する安定な調製物の製造を可能にする。
【実施例】
【0131】
ポリマー1の調製
攪拌装置で、初期投入混合物からフィード2の一部分量を差し引いたものをN2雰囲気下で、77℃に加熱した。内部温度が77℃に達したとき、フィード2の一部を添加し、15分間予備重合を行った。その後、フィード1を5時間で、フィード2を2時間で計量投入した。全てのフィードを計量投入した後、続いて、反応混合物をさらに3時間重合した。この重合の後、溶液を50重量%の固形分に調節した。
【0132】
初期投入混合物:エチルアセテート25g
PEG 6000 104.0g
フィード2 1.0g
フィード1:ビニルアセテート 240g
フィード2:ビニルカプロラクタム 456g
エチルアセテート 240g
フィード3:tert-ブチルペルピバレート(脂肪族混合物中75重量%濃度) 10.44g
エチルアセテート 67.90g.
その後、溶媒を噴霧法により除去し、粉末生成物を得た。エタノール中の1重量%濃度の溶液として測定したK値は16であった。
【0133】
以下の実施例に記載される製剤の調製に使用される二軸式押出機はスクリュー直径16mmであり、長さ40Dであった。全体の押出機は8個の個々にサーモスタット可能なバレルブロックから構成された。最初の2個のバレルは優れた材料吸入量の目的のため、20℃及び70℃でそれぞれサーモスタット可能であった。3個目以降のバレルは一定温度に設定された。
【0134】
調製した固溶体を、以下の装置と条件を使用して、XRD(X線回折法)及びDSC(示差走査熱量測定)により結晶化度及び非晶質性を調べた。
【0135】
XRD
測定装置:9個のチューブ試料交換装置を備えたD8 Advance回折計(Bruker/AXS)
測定法: 反射におけるθ-θ配置
2θ角度範囲: 2〜80°
ステップ幅(Step width): 0.02°
1角度ステップ(angle step)当りの測定時間: 4.8s
発散スリット: 0.4mmの差し込み開口部を備えたゴベル(Gobel)ミラー
散乱防止(Antiscattering)スリット: ソーラー(Soller)スリット
検出器: Sol-X検出器
温度:室温
発生器設定:40kV/50mA
DSC
DSC Q 2000(TA-Instruments)
パラメータ:
試料重量(Weight taken)約8.5mg
加熱速度:20K/min。
【0136】
活性物質の放出をUSP装置(パドル式2)、37℃、50rpm(BTWS 600, Pharmatest)により行った。押出物を造粒機により長さ3mmに粉砕し、硬ゼラチンカプセルへ導入した。放出される活性物質の検出をUV分光法(Lamda-2, Perkin Elmer)により行った。
【0137】
実施例1
ポリマー1 1200g、Eudragit E PO 400g及びセレコキシブ(Celecoxib)(融点162℃)400gをタービュラ(Turbula)混合容器に量り入れ、タービュラミキサーT10B中で10分間混合した。
【0138】
混合物を以下の条件で押出した:
1個目のバレルのゾーン温度:20℃; 2個目のバレルのゾーン温度:40℃
3個目以降のバレルのゾーン温度:140℃
スクリュー速度 200rpm
スループット: 500g/h
ダイ直径 3mm
固溶体をXRD及びDSCにより調べたところ、非晶質であることが見出された。0.1規定HCl中で1時間後、95%の活性物質が放出されていた。
【0139】
30℃/70%相対湿度で6ヶ月保存した後でも、調製物は非晶質であった。
【0140】
実施例2
ポリマー1 800g、Eudragit E PO 800g及びナプロキセン(Naproxen)(融点157℃)400gをタービュラ混合容器に量り入れ、タービュラミキサーT10B中で10分間混合した。
【0141】
混合物を以下の条件で押出した:
・1個目のバレルのゾーン温度:20℃; 2個目のバレルのゾーン温度:40℃
・3個目以降のバレルのゾーン温度:120℃
・スクリュー速度 200rpm
・スループット: 600g/h
・ダイ直径 3mm
固溶体をXRD及びDSCにより調べたところ、非晶質であることが見出された。0.1規定HCl中で1時間後、89%の活性物質が放出されていた。
【0142】
実施例3
ポリマー1 1200g、Eudragit E PO 400g、ラウリル硫酸ナトリウム 40g及びイトラコナゾール(融点166℃)400gをタービュラ混合容器に量り入れ、タービュラミキサーT10B中で10分間混合した。
【0143】
混合物を以下の条件で押出した:
・1個目のバレルのゾーン温度:20℃;2個目のバレルのゾーン温度:40℃
・3個目以降のバレルのゾーン温度:140℃
・スクリュー速度 200rpm
・スループット: 800g/h
・ダイ直径 3mm
固溶体をXRD及びDSCにより調べたところ、非晶質であることが見出された。0.1規定HCl中で1時間後、99%の活性物質が放出されていた。
【0144】
30℃/70%相対湿度で6ヶ月保存した後でも、調製物は非晶質であった。
【0145】
実施例4
ポリマー1 600g、Kollidon SR 1000g及びフェノフィブラート(融点81℃)400gをタービュラ混合容器に量り入れ、タービュラミキサーT10B中で10分間混合した。
【0146】
混合物を以下の条件で押出した:
・1個目のバレルのゾーン温度:20℃;2個目のバレルのゾーン温度:40℃
・3個目以降のバレルのゾーン温度:110℃
・スクリュー速度 200rpm
・スループット: 1000g/h
・ダイ直径 3mm
固溶体をXRD及びDSCにより調べたところ、非晶質であることが見出された。0.1規定HCl中、2時間後の活性物質の放出は20%未満であった。pH6.8に再緩衝した後、これをさらに10時間置き、その後、全体で80%の活性物質が放出された。
【0147】
30℃/70%相対湿度で6ヶ月保存した後でも調製物は非晶質であった。
【0148】
実施例5
ポリマー1 600g、Eudragit S 100 1000g及びシンナリジン(融点122℃)400gをタービュラ混合容器に量り入れ、タービュラミキサーT10B中で10分間混合した。トリエチルシトレートを押出機に往復ピストンポンプで供給した。
【0149】
混合物を以下の条件で押出した:
・1個目のバレルのゾーン温度:20℃;2個目のバレルのゾーン温度:40℃
・3個目以降のバレルのゾーン温度:130℃
・スクリュー速度 100rpm
・スループット: 800g/h
・液体計量投入(metering):80g/h
・ダイ直径 3mm
固溶体をXRD及びDSCにより調べたところ、非晶質であることが見出された。0.1規定HCl中、2時間後の活性物質の放出は10%未満であった。pH6.8に再緩衝した後、100%が放出された。
【0150】
30℃/70%相対湿度で6ヶ月保存した後でも調製物は非晶質であった。
【0151】
実施例6
ポリマー1 400g、Eudragit E PO 1200g及びカルバマゼピン(融点192℃)400gをタービュラ混合容器に量り入れ、タービュラミキサーT10B中で10分間混合した。
【0152】
混合物を以下の条件で押出した:
・1個目のバレルのゾーン温度:20℃;2個目のバレルのゾーン温度:40℃
・3個目以降のバレルのゾーン温度:160℃
・スクリュー速度 200rpm
・スループット: 600g/h
・ダイ直径 3mm
固溶体をXRD及びDSCにより調べたところ、非晶質であることが見出された。0.1規定HCl中で1時間後、95%の活性物質が放出されていた。
【0153】
30℃/70%相対湿度で6ヶ月保存した後でも調製物は非晶質であった。
【0154】
実施例7
ポリマー1 600g、Eudragit L 100-55 1000g及びロペラミド(融点223℃)400gをタービュラ混合容器に量り入れ、タービュラミキサーT10B中で10分間混合した。
【0155】
混合物を以下の条件で押出した:
・1個目のバレルのゾーン温度:20℃;2個目のバレルのゾーン温度:40℃
・3個目以降のバレルのゾーン温度:170℃
・スクリュー速度 200rpm
・スループット: 1000g/h
・ダイ直径 3mm
固溶体をXRD及びDSCにより調べたところ、非晶質であることが見出された。0.1規定HCl中で2時間後、活性物質の放出は10%未満であった。pH6.8に再緩衝した後、98%が放出された。
【0156】
30℃/70%相対湿度で6ヶ月保存した後でも調製物は非晶質であった。
【0157】
実施例8
ポリマー1 600g、Eudragit RS PO 500g、Eudragit RL PO 500g及びクロトリマゾール(融点148℃)400gをタービュラ混合容器に量り入れ、タービュラミキサーT10B中で10分間混合した。
【0158】
混合物を以下の条件で押出した:
・1個目のバレルのゾーン温度:20℃;2個目のバレルのゾーン温度:40℃
・3個目以降のバレルのゾーン温度:150℃
・スクリュー速度 100rpm
・スループット: 700g/h
・ダイ直径 3mm
固溶体をXRD及びDSCにより調べたところ、非晶質であることが見出された。リン酸緩衝液pH6.8中の活性物質の放出は2時間後、20%であった。10時間後、最初に使用された活性物質の84%が放出されていた。
【0159】
30℃で6ヶ月保存後でも調製物は非晶質であった。
【0160】
実施例9
ポリマー1 600g、HPMCAS(ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート)1000g及びシンナリジン(融点122℃)400gをタービュラ混合容器に量り入れ、タービュラミキサーT10B中で10分間混合した。
【0161】
混合物を以下の条件で押出した:
・1個目のバレルのゾーン温度:20℃;2個目のバレルのゾーン温度:40℃
・3個目以降のバレルのゾーン温度:140℃
・スクリュー速度 100rpm
・スループット: 800g/h
・ダイ直径 3mm
固溶体をXRD及びDSCにより調べたところ、非晶質であることが見出された。0.1規定HCl中、2時間後の活性物質の放出は10%未満であった。pH6.8に再緩衝した後、90%が放出された。
【0162】
30℃/70%相対湿度で6ヶ月保存した後でも調製物は非晶質であった。
【0163】
実施例10
ポリマー1 600g、Eudragit RS PO 500g、Eudragit RL PO 500g及びピロキシカム(融点199℃)400gをタービュラ混合容器に量り入れ、タービュラミキサーT10B中で10分間混合した。
【0164】
混合物を以下の条件で押出した:
・1個目のバレルのゾーン温度:20℃;2個目のバレルのゾーン温度:40℃
・3個目以降のバレルのゾーン温度:170℃
・スクリュー速度 100rpm
・スループット: 700g/h
・ダイ直径 3mm
固溶体をXRD及びDSCにより調べたところ、非晶質であることが見出された。リン酸緩衝液pH6.8中の活性物質の放出は、2時間後20%であった。10時間後、最初に使用された活性物質の93%が放出されていた。
【0165】
30℃/70%相対湿度で6ヶ月保存した後でも調製物は非晶質であった。
【0166】
実施例11
ポリマー1 600g、エチルセルロース1000g及びフェロジピン(融点145℃)400gをタービュラ混合容器に量り入れ、タービュラミキサーT10B中で10分間混合した。Eudragit NE 40Dを押出機に往復ピストンポンプで供給した。
【0167】
混合物を以下の条件で押出した:
・1個目のバレルのゾーン温度:20℃;2個目のバレルのゾーン温度:40℃
・3個目以降のバレルのゾーン温度:140℃
・スクリュー速度 100rpm
・スループット:800g/h
・液体計量投入:60g/h
・ダイ直径 3mm
固溶体をXRD及びDSCにより調べたところ、非晶質であることが見出された。リン酸緩衝液pH6.8中の活性物質の放出は、2時間後31%であった;10時間後、最初に使用された活性物質の79%が放出されていた。
【0168】
30℃/70%相対湿度で6ヶ月保存した後でも調製物は非晶質であった。
【0169】
実施例12
ポリマー1 600g、Eudragit RS PO 1000g及びイトラコナゾール(融点166℃)400gをタービュラ混合容器に量り入れ、タービュラミキサーT10B中で10分間混合した。
【0170】
混合物を以下の条件で押出した:
・1個目のバレルのゾーン温度:20℃;2個目のバレルのゾーン温度:40℃
・3個目以降のバレルのゾーン温度:150℃
・スクリュー速度 100rpm
・スループット: 800g/h
・ダイ直径 3mm
固溶体をXRD及びDSCにより調べたところ、非晶質であることが見出された。リン酸緩衝液pH6.8中の活性物質の放出は2時間後27%であった。10時間後、最初に使用された活性物質の82%が放出されていた。
【0171】
30℃/70%相対湿度で6ヶ月保存した後でも調製物は非晶質であった。
【0172】
実施例13
ポリマー1 400g、Eudragit RL PO 1200g及びカルバマゼピン(融点192℃)400gをタービュラ混合容器に量り入れ、タービュラミキサーT10B中で10分間混合した。
【0173】
混合物を以下の条件で押出した:
・1個目のバレルのゾーン温度:20℃;2個目のバレルのゾーン温度:40℃
・3個目以降のバレルのゾーン温度:160℃
・スクリュー速度 100rpm
・スループット: 800g/h
・ダイ直径 3mm
固溶体をXRD及びDSCにより調べたところ、非晶質であることが見出された。2時間後、HCl中の活性物質の放出は20%未満であった。pH6.8に再緩衝した後、10時間後、75%が放出された。
【0174】
30℃/70%相対湿度で6ヶ月保存した後でも調製物は非晶質であった。
【0175】
実施例14
ポリマー1 1200g、Eudragit E PO 400g、ドキュセートナトリウム(docusate sodium) 20g及びフェノフィブラート(融点81℃)400gをタービュラ混合容器に量り入れ、タービュラミキサーT10B中で10分間混合した。
【0176】
混合物を以下の条件で押出した:
・1個目のバレルのゾーン温度:20℃;2個目のバレルのゾーン温度:40℃
・3個目以降のバレルのゾーン温度:120℃
・スクリュー速度 100rpm
・スループット: 800g/h
・ダイ直径 3mm
固溶体をXRD及びDSCにより調べたところ、非晶質であることが見出された。HCl中、2時間後の活性物質の放出は83%であった。
【0177】
30℃で6ヶ月保存後でも調製物は非晶質であった。
【0178】
実施例15
ポリマー1 600g、Kollidon SR 500g、エチルセルロース500g、Cremophor RH40 20g及びクロトリマゾール(融点148℃)400gをタービュラ混合容器に量り入れ、タービュラミキサーT10B中で10分間混合した。
【0179】
Kollidon SR:80重量%のポリビニルアセテート、19重量%のポリビニルピロリドンk30、0.8重量%のラウリル硫酸ナトリウム、0.2重量%の二酸化ケイ素の物理的混合物
混合物を以下の条件で押出した:
・1個目のバレルのゾーン温度:20℃;2個目のバレルのゾーン温度:40℃
・3個目以降のバレルのゾーン温度:160℃
・スクリュー速度 100rpm
・スループット: 700g/h
・ダイ直径 3mm
固溶体をXRD及びDSCにより調べたところ、非晶質であることが見出された。0.1規定HCl中、2時間後の活性物質の放出は20%未満であった。pH6.8に再緩衝した後、10時間後、87%が放出された。
【0180】
30℃/70%相対湿度で6ヶ月保存した後でも調製物は非晶質であった。
【0181】
実施例16
ポリマー1 600g、HPMCAS 1000g及びフェノフィブラート(融点81℃)400gをタービュラ混合容器に量り入れ、タービュラミキサーT10B中で10分間混合した。
【0182】
混合物を以下の条件で押出した:
・1個目のバレルのゾーン温度:20℃;2個目のバレルのゾーン温度:40℃
・3個目以降のバレルのゾーン温度:120℃
・スクリュー速度 100rpm
・スループット: 800g/h
・ダイ直径 3mm
固溶体をXRD及びDSCにより調べたところ、非晶質であることが見出された。0.1規定HCl中、2時間後の活性物質の放出は10%未満であった。pH6.8に再緩衝した後、100%が放出された。
【0183】
実施例17
実施例7から得られた押出物をエアージェットミルによって粒径25μm未満に粉砕した。0.1規定HCl中、1時間後の活性物質の放出は82%であった。
【0184】
実施例18
実施例15から得られた押出物をエアージェットミルによって粒径20μm未満に粉砕した。0.1規定HCl中、1時間後の活性物質の放出は79%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエーテルコポリマー及び少なくとも1種の微水溶性ポリマーのポリマーマトリクス中に微水溶性活性物質を含む調製物を含む剤形であって、ポリエーテルコポリマーが30〜80重量%のN-ビニルラクタム、10〜50重量%のビニルアセテートと10〜50重量%のポリエーテルの混合物のフリーラジカル重合により得られ、微水溶性活性物質が非晶質形態でポリマーマトリクス中に存在する、前記剤形。
【請求項2】
微水溶性ポリマーとして、水中溶解度がpH依存性であるポリマーを含む、請求項1に記載の剤形。
【請求項3】
アクリル酸若しくはメタクリル酸若しくはそのエステル又はこれらのモノマーの混合物に基づく微水溶性ポリマーを含む、請求項1又は2に記載の剤形。
【請求項4】
微水溶性ポリマーとして、ビニルアセテートのホモ-又はコポリマーを含む、請求項1に記載の剤形。
【請求項5】
微水溶性ポリマーとしてエチルセルロースを含む、請求項1に記載の剤形。
【請求項6】
ポリエーテルコポリマー対微水溶性ポリマーの比が99:1〜10:90である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項7】
ポリエーテルコポリマー対微水溶性ポリマーの比が90:10〜30:70である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項8】
ポリエーテルコポリマー対微水溶性ポリマーの比が80:20〜40:60である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項9】
ポリマーマトリクスが別の可溶化剤を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の微水溶性活性物質の剤形のための調製物の製造方法であって、非晶質形態で存在する活性物質が30〜80重量%のN-ビニルラクタム、10〜50重量%のビニルアセテート及び10〜50重量%のポリエーテルのポリエーテルコポリマーに基づくポリマーマトリクスに埋め込まれ、ここで、ポリエーテルコポリマーに加えて、少なくとも1種の微水溶性ポリマーがポリマーマトリクスに組み込まれ、該ポリマーが微水溶性活性物質と十分に混合される、前記製造方法。
【請求項11】
ポリマーと活性物質の混合物がポリエーテルコポリマーのガラス転移点を超えて加熱される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ポリマーと活性物質の混合を押出機中で行う、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
ポリマーと活性物質の混合を有機溶液中で行い、その後、有機溶媒を除去する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
有機溶媒が噴霧乾燥により除去される、請求項13に記載の方法。

【公表番号】特表2012−526765(P2012−526765A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510270(P2012−510270)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056447
【国際公開番号】WO2010/130728
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】