説明

ポリシロキサンブロックコポリマー

【課題】共有結合した末端ハロゲンを含まず、触媒として使用された遷移金属を好ましくは可能な限り容易かつ完全に除去することができるポリシロキサンブロックコポリマーを提供すること。
【解決手段】本発明は、式A[LB(S)Q](式中、Aは、ポリシロキサンブロックであり、Lは、2価の有機結合基であり、Bは、ラジカル重合性モノマーから構成されるポリマーブロックであり、Sは、硫黄原子であり、Qは、1価の有機基であり、mは、1〜50の整数である)のポリシロキサンブロックコポリマー、その製造方法、および化粧またはパーソナルケアにおけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリシロキサンブロックコポリマー、特に、化粧およびパーソナルケア用配合物に使用するのに好適なものに関する。さらに本発明は、原子移動ラジカル重合(以下、略してATRPと称する)によるポリシロキサンブロックコポリマーの製造およびポリシロキサンブロックコポリマーを含む対応する配合物の製造に加えて、化粧およびパーソナルケア用途におけるこれらの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の非常に特有な面は、末端ハロゲン原子が試剤を添加することによって除去されており、場合により、ポリマー末端の官能化を達成することができるポリシロキサン含有コポリマーが製造および使用されることにある。末端ハロゲン原子の除去と同時に、同じ製法工程において遷移金属化合物が析出によって除去され、これにより、反応生成物から遷移金属化合物を簡便に除去することが可能になる。
【0003】
化粧およびパーソナルケア用配合物、例えば、整髪スプレー、ヘアコンディショナー、フォーム、ジェル、シャンプー等は、数多くの有利な効果、例えば、皮膜形成性、増粘性、知覚可能な特性(手触りの改善等)、整髪性等を生じさせるために、樹脂、ゴム、および粘着性ポリマーを含有している場合が多い。
【0004】
この種の配合物に用いられるポリマーは、これらに限定されるものではないが、特に、多くの異なるモノマーから構成されていてもよい有機またはシリコーン含有直鎖またはグラフトコポリマーである。この場合、ポリマーブロックは、交互、ランダム、ブロック状配置、分岐もしくは超分岐、またはホモポリマーブロックであってもよい。
【0005】
グラフトポリマーは、毛髪または皮膚を処理するための化粧用配合物中の皮膜形成性ポリマーとして周知である。このグラフトポリマーは、典型的には、高分子骨格およびこの骨格にグラフトした1種またはそれ以上のマクロモノマーを有しており、そのため、完成したポリマーに所望される全体の性質を確立することを目的として、高分子骨格およびグラフトされたマクロモノマーの物理的および化学的性質(例えば、ガラス転移温度や水溶性等)を互いに独立に調節することが可能である。
【0006】
国際公開第95/01383号パンフレットおよび国際公開第95/01384号パンフレットの明細書には、水およびアルコール溶解性または分散性のグラフトコポリマーをヘアおよびスキンケア用組成物に使用することが開示されており、このコポリマーは、モノマーAおよびモノマーBのランダム共重合により生成される、骨格および1種またはそれ以上の高分子側鎖を有している。モノマーAは、疎水性を有するように選択され、マクロモノマーBは、長い親水性部分を有している。欧州特許第0412704号、欧州特許第0408313号、および欧州特許第0412707号には、シリコーンをグラフトしたアクリレートコポリマーをヘアケア用途に使用することが開示されている。米国特許第4,988,506号には、グラフトポリシロキサンコポリマーをヘアケア用途に使用することが記載されている。
【0007】
ブロックコポリマーは、グラフトコポリマーよりもポリマー組成を制御しやすいという利点がある。このことは、ポリマーが特定の物理的および化学的性質を有する領域を有するように調整することが所望される場合は特に決定的かつ重要であり、例えば、ヘアスプレー用途に用いられるポリマーが「ハード」および「ソフト」セグメントを交互に有することにより保持性および手触りが改善される。
【0008】
米国特許第5,468,477号には、シリコーンセグメントおよびビニルポリマーセグメントを含むビニルシリコーングラフトコポリマーまたはブロックコポリマーを含む化粧用組成物が開示されている。このブロックまたはグラフトコポリマーは、連鎖移動剤として機能するメルカプト官能化シリコーンをビニル系モノマーとラジカル重合させることにより製造される。この方法によって製造されるポリマーは早期に連鎖停止反応が起こることから、一般に低分子量であるとともにシリコーン含有量が低い。さらに、分子内架橋反応が起こることによってポリマーの組成が制御できなくなる。したがって、複数の鎖長および様々な分子構成が混ざった多分散系が得られる。
【0009】
ブロックコポリマーを合成するための代替的な手法は、有機ポリシロキサンマクロ開始剤(organopoysiloxane macroinitiator)を使用することである。これは、ラジカルを形成することができる基を含む有機ポリシロキサンである。この種の化合物は、米国特許第5,523,365号に記載されている。コポリマーを製造するための使用は国際公開第98/48771号パンフレットおよび米国特許第6074628号に開示されている。この方法の欠点は、かなりの使用量を必要とする(そうしない場合は、最終生成物のシリコーン単位の含有量が少なくなり過ぎる)分解爆発しやすい危険な有機シロキサンマクロ開始剤を用いて作業することにある。さらに、マクロ開始剤の工業生産は極めて難しく、多大な安全対策費用が伴う。さらに、大量の未反応のシリコーン油を抽出により時間をかけて分離しなければならないので、反応は非効率である。この方法の規模を拡大することはできるが、常に高い難易度が伴う。
【0010】
国際公開第00/71606号パンフレットには、ポリシロキサンブロックコポリマーの製造方法が記載されており、ここでは、構成が制御されたブロックコポリマーを製造するために、触媒としての銅塩を用いた原子移動ラジカル重合(ATRP)に有機ポリシロキサンマクロ開始剤が使用されている。これらを、化粧およびパーソナルケア用組成物、特に毛髪処理用配合物に使用することが記載されている。しかしながら、この明細書には、生成したポリマーの銅含有量は一切開示されていない。さらに、生成したポリマーは末端に臭素原子を有している。
【0011】
ATRPは、多くのポリマーおよびコポリマー、例えば、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、コポリマー等を合成するための多様性のある方法である。1990年代にATRP法を最初に開発したのがMatyjaszewski教授であり、このことは特に、J. Am. Chem. Soc., 1995, 117, p.5614および国際公開第97/18247号パンフレットに記載されている。ATRPの特に有利な点は、分子量だけでなく分子量分布も制御できることにある。リビング重合であるため、例えば、ランダムコポリマーだけでなくブロックコポリマー構造等の標的のポリマー構成を構築することも可能である。適切な開始剤を用いることにより、例えば、変わったブロックコポリマーや星型ポリマーも得ることができる。重合機構に関する理論的な原理は、特に、Hans Georg Elias, Makromolekuele(Macromolecules), Volume 1, 6th Edition, Weinheim 1999, p.344に説明されている。
【0012】
ATRP法は、低濃度においてのみ存在する生長ラジカルポリマー鎖およびより高い酸化状態にある遷移金属化合物(例えば、銅II)と、休止状態にある、優先的に存在するハロゲンまたは擬ハロゲン末端を有するポリマー鎖および対応するより低い酸化状態にある遷移金属化合物(例えば、銅I)の組合せとの酸化還元平衡に基づいている。これは、(擬)ハロゲンで適切に置換された開始剤で開始される実際の形態(actual form)のATRPだけでなく、平衡が確立される際にのみハロゲンがポリマー鎖に結合しているリバース(reverse)ATRPにも当てはまる。
【0013】
どの方法を選択するかに拘わらず、反応停止後は必ず各鎖末端にハロゲン原子が残存する。ところが、この有機結合したハロゲン、特に有機化合物に結合した臭素をそのままにしておくと、ATRP法により製造されたポリマーを化粧および/またはパーソナルケア用配合物に使用する際に不都合が生じる。ハロゲン含有化合物はアレルギーを引き起こす可能性がある。さらに、有機ハロゲン化合物は体内で代謝されにくく、脂肪組織内に蓄積されやすい。
【0014】
同様に、ATRPに使用される遷移金属化合物、その中でも特に、圧倒的多数のポリマー合成に使用されているCu化合物も、たとえ低濃度であっても銅が生成物を濃く着色するため、化粧またはパーソナルケア用配合物に用いるには都合が悪い。さらに、銅化合物は、皮膚に接触すると刺激および感作作用を示す可能性がある。
【0015】
したがって、末端ハロゲン原子および遷移金属化合物を除去する簡便かつ効率的な方法に多大な関心が寄せられている。特に、ポリマー精製効率および費用効果を可能な限り高くするために、両者を同じ製法工程で実施する方法が望ましい。
【0016】
末端ハロゲン原子を除去する方法は、特に以下の場所に記載されている。
【0017】
米国特許出願第2005/0900632号には、金属アルコキシドを用いることによりハロゲンを置換し、形成された金属ハロゲン化物を析出させる方法が開示されている。しかし、この手順には、金属アルコキシドの入手性が極めて限られており、費用がかかり、ポリマーを精製した後でなければこの方法が実施できないという欠点がある。
【0018】
Macromol. Rapid Commun., 1997, 18, pp.1057-66においては、ハロゲン原子の置換にアジドが用いられており、Macromol. Sci. Pure Appl. Chem., 1999, 36, pp.653-666においては、ハロゲン原子を置換するためのホスフィンが記載されている。しかしながら、どちらの方法も転化が完全ではなく、費用が嵩み、毒物学的に非常に許容し難い。したがって、化粧またはパーソナルケア用配合物に使用するには適していない。さらに、これらの方法はまた、生成物をワークアップした後のポリマー類似反応(polymer-analogous reaction)にしか用いることができない。
【0019】
Auke Snijderは、「湿気硬化型コーティングに用いるためのATRPによるテレケリックポリマー(Telechelic polymers for moisture-curable coatings by ATRP)」、(Technical University of Eindhoven, Eindhoven, 2002)と題した論文に、ポリマー鎖末端をメルカプトエタノールを用いることによってOH基で官能化することを記載している。この場合、末端臭素原子の除去は、目的の副次的効果としか見なされていない。したがって、この反応は、試剤であるメルカプトエタノールを用いた場合についてしか記載されていない。官能化されていないかまたは酸−、アミン−、もしくはエポキシ官能化されたメルカプタンを用いた置換については述べられていない。本発明とのさらなる違いは、ポリマー類似処理にある。ここに記載した明細書においては、置換反応は、ATRP生成物が第2反応段階で精製された後にしか実施されない。
【0020】
国際公開第00/34345号パンフレットおよびHeutsら(Macromol. Chem. Phys., 1999, 200, pp.1380-1385)は、まず最初にn−ドデシルメルカプタンまたはオクチルメルカプタンを添加してATRPを実施する方法について記載している。どちらの場合においても、より熱的に安定な、ハロゲンを含まないと推定されるポリマーが記載されているが、分子量分布の幅が1.6を超え、したがって、ラジカル重合された材料と大差がない点が指摘される。したがって、生成物の分布が狭く、かつポリマー構成が制御されるというATRPの利点はもはや得られない。これとは別に、ここに記載されている手順は、遷移金属化合物の析出については触れていない。
【0021】
国際公開第2005/098415号パンフレットには、ポリスチレンの末端ハロゲン原子を後段(in turn)すなわちポリマーの精製後にポリマー類似置換することが記載されている。この場合、1つの鎖末端だけがチオ尿素で置換され、続いて水酸化ナトリウムで反応を停止させることにより硫化ナトリウム基が得られる。2段階という性質に加えて、1つの末端しか置換されないこともポリマーの精製後に反応を実施することも不利である。
【0022】
Schoenら(Macromolecules, 2001, 34, 5394-5397)は、ハロゲンを水素で置換するために銅に対し2倍当量過剰で用いられるアミン配位子を使用することについて記載している。この方法の欠点は、配位子を非常に高濃度で使用することにあり、これが生成物を変色させる可能性があることに加えて、銅の除去が阻害されることにある。さらに、この方法は、工業規模ではほとんど実施できない塊状(bulk)ATRPに関してしか記載されていない。
【0023】
遷移金属化合物をポリマーまたはポリマー溶液から除去する方法が、特に以下の場所に記載されている。
【0024】
したがって、例えば、抽出法を用いることにより低分子量化合物を溶液からだけでなく固体ポリマーからも除去することができる。この種の方法の1つが、一般論として、例えば国際公開第02/28916号パンフレットに記載されている。ところが、公開された明細書には、遷移金属化合物の除去に関する記載がない。しかしながら、遷移金属錯体をポリマー溶液から実質的に完全に、すなわち含有量が2ppm未満となるように除去するには、単なる抽出は適していない。
【0025】
抽出の特殊な形態が、ポリマー溶液からの水性液−液抽出である。したがって、例えば、ポリフェニレンオキシドの合成に用いられた銅触媒は、重合後にポリマー溶液から水性抽出によって除去される(Ullmanns Encylopedia of Industrial Chemistry, 5th revised edition 1992, Vol. A21, p. 606 f参照)。この方法の欠点は、多くの極性ポリマーが懸濁または乳化安定剤として作用する可能性があり、それにより、2種の液相の分離が妨げられることにある。したがって、この方法は、ポリメタクリル酸メチルのワークアップに用いることはできない。さらなる欠点は、この種の方法を工業生産規模にするには非常に複雑な移行を行うしかないことにある。
【0026】
実験室規模においては、遷移金属化合物(例えば、銅触媒)のポリマー溶液からの分離は、ほとんどの場合、酸化アルミニウムに吸着させた後に好適な析出剤中でポリマーを析出させるかまたは吸着工程を経ずに直接析出させることによって行われる。好適な析出剤は、特に、メタノール等の非常に極性の高い溶媒である。しかしながら、適切な配位圏を得るためには、ヘキサンやペンタン等の特に無極性の析出媒体を使用することも可能である。しかし、このような手順は様々な理由により不利である。まず、析出後のポリマーは形態が均一(例えば粒状など)ではない。このため、分離、したがってさらなるワークアップが困難である。さらに、析出工程の際には、析出剤と、分離しなければならない溶媒、触媒残渣、およびさらなる構成成分(残留モノマー等)との混合物が大量に形成される。このような混合物は、次工程で費用をかけて分離しなければならない。総じて、析出工程は工業生産に移行することはできず、実験室規模でのみ合理的に用いることができる。
【0027】
さらに、固体触媒を液体ポリマー含有溶液から分離する方法が周知である。この場合、触媒はそれ自体が不溶になる(例えば、酸化された結果)かまたは重合の前もしくは後に固体吸着剤もしくは膨潤した不溶な樹脂に結合される。ポリマーを含む液相は、濾過または遠心分離によって不溶な物質から分離される。
【0028】
中国特許第121011号には、ATRP法の後に吸着剤(特に、活性炭または酸化アルミニウム)をポリマー溶液に添加した後、濾過によって分離する方法が開示されている。この場合の欠点は、極めて多量の吸着剤を用いないと完全に分離できないことにある。
【0029】
酸化アルミニウムの使用については特開2002−363213号においても特許請求されている。特開2005−015577号、特開2004−1449563号においては、塩基性または酸性シリカが用いられている。特開2003−096130号、特開2003−327620号、特開2004−155846号においては、ほとんどの場合は多段濾過法において、酸性ハイドロタルサイト、塩基性ハイドロタルサイト、またはハイドロタルサイトの組合せが吸着剤として用いられている。この場合も多量の無機材料が使用される。
【0030】
この方法の欠点は、この種の吸着剤が比較的高価であることおよび再生処理が非常に複雑なことにある。
【0031】
独国特許第10015583号においては、無極性溶媒中におけるATRP法が記載されており、ここでは、遷移金属錯体が、反応中またはその後に酸化されることによって不溶形態に変換され、濾去することが可能になる。しかしながら、この種の方法は、比較的極性の無いポリマーを製造する場合にしか適していない。極性ポリマーまたはコポリマー、例えば、ポリメタクリル酸メチルまたはポリシロキサン−ポリメタクリル酸エステルコポリマーを製造する場合は、ポリマーが溶媒に溶解しない。したがって、この手順は、非常に限られた範囲の非常に特定的な重合でのみ使用することができる。
【0032】
当業者は、どの方法においても、工程に単に付随するだけの析出剤を添加しない析出では触媒除去が不完全なものにしかならないことを容易に認識することができる。したがって、ほとんどの先行技術の方法は、通常は吸着剤として機能する助剤を添加する多段法である。
【0033】
したがって、重合溶液からポリマー鎖末端のハロゲンだけでなく遷移金属も同時に1回で簡便かつ効率的に可能な限り完全に除去する先行技術による方法は当業者に知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
したがって、本発明の目的は、共有(有機)結合した末端ハロゲン、特に、共有結合した末端臭素(いわゆる「有機臭素」)を含まず、触媒として使用された遷移金属を好ましくは可能な限り容易かつ完全に除去することができるポリシロキサンブロックコポリマーの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0035】
驚くべきことに、この目的は、重合で得られた重合混合物にメルカプト官能化化合物を添加することによって達成できることが見出された。メルカプト官能性化合物を添加することにより、有機結合した、特に末端ハロゲンを全く含まないかまたはごく少量だけ含むポリシロキサンブロックコポリマーが得られる。さらに、メルカプト官能性化合物を添加することは、触媒として使用された遷移金属が析出し、したがって、単純な濾過によって分離できることを意味する。
【0036】
したがって、本発明は、式A[LB(S)Q](式中、Aは、ポリシロキサンブロックであり、Lは、単位AおよびBを結合する2価の有機基であり、Bは、ラジカル重合されたモノマーMから構成されるポリマーブロックであり、Sは、硫黄原子であり、Qは、1価の有機基であり、mは、1〜50の整数である)のポリシロキサンブロックコポリマー、その使用、およびこのポリシロキサンブロックコポリマーを有する組成物を提供する。
【0037】
本発明はまた、本発明によるポリシロキサンブロックコポリマーの製造方法であって、
A)重合工程において、少なくとも1個の有機結合したハロゲン原子Xを有する式A[LX](式中、Aは、ポリシロキサンブロックであり、Lは、2価の有機基であり、mは、1〜50の整数である)のポリシロキサンマクロ開始剤を、遷移金属を表す触媒の存在下でラジカル重合性モノマーMと反応させる工程と、
B)化合物Q−SH(式中、Qは、1価の置換または無置換の有機基である)を工程A)の重合混合物に添加する工程と
を含む方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明によるポリシロキサンブロックコポリマー、その製造方法、およびその使用を実施例を用いて以下に説明するが、本発明をこれらの例示的な実施形態に限定することを意図するものではない。範囲、一般式、または化合物の分類を以下に示す場合、これらは、明確に述べられた対応する範囲または化合物群だけでなく、個々の値(範囲)または化合物を抽出することにより得ることができるあらゆる部分範囲および化合物群の一部も包含することを意図している。本明細書の範囲内に文書を引用した場合は、これらの内容全体が本発明の開示内容に属するものとする。
【0039】
本発明による式A[LB(S)Q]のポリシロキサンブロックコポリマーは、Aがポリシロキサンブロックであり、Lが単位AおよびBを結合する2価の有機基(結合基)であり、Bがラジカル重合性モノマーから構成されるポリマーブロックであり、Sが硫黄原子であり、Qが置換または無置換の1価の有機基であり、mが1〜50、好ましくは2〜10の整数、好ましくは2、3、または4であることを特徴とする。
【0040】
単位Aは、好ましくは、式(I)
【化1】

(式中、
bは、0〜10、好ましくは5未満の数、特に好ましくは0であり、
aは、1〜500、好ましくは1〜250、特に好ましくは1〜100の数であり、
は、同一であっても異なっていてもよい、R基または結合基Lであり、ただし、少なくとも1個のR基はL基であり、好ましくは最大50個のR基がL基であり、
は、1〜18個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり、特に好ましくはメチルまたはアリール基、好ましくはフェニルであり、ここで、R基は、置換または無置換であってもよい)で表される分岐または非分岐の置換または無置換のポリシロキサン基である。
【0041】
L基は、例えば、非分岐または分岐の置換または無置換の有機基、特に、1〜60個の炭素原子、好ましくは1〜20個の炭素原子、特に好ましくは3〜10個の炭素原子を有する炭化水素基であってもよい。L基には、両端が炭素原子に結合している2価の基、例えば、−O−、−C(O)O−、CONR、NRC(O)、−C(O)−等(ここで、Rは、1〜18個の炭素原子を含む1価の置換または無置換の直鎖または分岐基である)が挿入されていてもよい。L基は、特に好ましくは、少なくとも1個の−C(O)単位を含む。
【0042】
ポリマーブロックBは、ラジカル重合性モノマーMから構成される。ラジカル重合性モノマーは、以下(工程A))に記載するラジカル重合性モノマーMから選択してもよい。好ましくは、ポリマーブロックBは、メタクリル酸エステルおよびメタクリル酸ならびにこれらの誘導体の群から選択されるモノマーから構成される。モノマーMは、特に好ましくは、置換または無置換のメタクリル酸またはその誘導体からなる群から選択される。好ましく使用されるモノマーMとしては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸オクチル、エタクリル酸メチル、エタクリル酸エチル、エタクリル酸n−ブチル、エタクリル酸イソブチル、エタクリル酸t−ブチル、エタクリル酸2−エチルヘキシル、エタクリル酸デシル、エタクリル酸オクチル、アクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピル、メタクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸モノグリセリル、メタクリル酸モノグリセリル、エタクリル酸モノグリセリル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリルアミド、メタクリルアミド、エタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジ−n−ブチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−ドクデシル(docdecyl)メタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、四級化N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、四級化N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、四級化アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、四級化メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、エタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸グリセリル、アクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸2−メトキシエチル、エタクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−エトキシエチル、メタクリル酸2−エトキシエチル、エタクリル酸2−エトキシエチル、マレイン酸、マレイン酸のモノエステル、マレイン酸のジエステル、無水マレイン酸、マレイミド、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸のモノエステル、イタコン酸のジエステル、無水イタコン酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、メチルビニルエーテル、メチルビニルケトン、ビニルピリジン、ビニルフラン、スチレンスルホン酸塩、アリルアルコール、クエン酸アリル、酒石酸アリル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルカプロラクタム、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0043】
単位Bは、好ましくは数平均分子量が1000g/mol〜200000g/mol、好ましくは数平均分子量が4000g/mol〜120000g/mol、特に好ましくは4000g/mol〜75000g/molである。
【0044】
単位Bは、特に好ましくはポリメタクリル酸エステル単位であり、好ましくは数平均分子量が1000g/mol〜200000g/mol、好ましくは数平均分子量が4000g/mol〜120000g/mol、特に好ましくは数平均分子量が4000g/mol〜75000g/molである。
【0045】
本発明によるポリシロキサンブロックコポリマーのQ基は、好ましくは1〜20個、好ましくは2〜15個の炭素原子を有する、好ましくはアルキル基、アルコール基、または酸基である。SQ基は、特に好ましくは、チオグリコール酢酸基、メルカプトプロピオン酸基、メルカプトエタノール基、メルカプトプロパノール基、メルカプトブタノール基、メルカプトヘキサノール基、チオグリコール酸オクチル基、メチルメルカプタン基、エチルメルカプタン基、ブチルメルカプタン基、ドデシルメルカプタン基、イソオクチルメルカプタン基、またはtert−ドデシルメルカプタン基である。この場合、これらの基はさらなる置換基を保持していてもよい。
【0046】
本発明によるポリシロキサンブロックコポリマーは、好ましくは数平均分子量が5000g/mol〜1000000g/mol、好ましくは10000g/mol〜500000g/mol、特に非常に好ましくは10000g/mol〜250000g/molである。
【0047】
本発明によるポリシロキサンブロックコポリマーの有機結合した、特に末端ハロゲン、特に臭素は、好ましくは5質量ppm未満、好ましくは2質量ppm未満である。ポリシロキサンは、特に好ましくは、有機結合したハロゲンを有しないかまたは少なくとも有機結合したハロゲンを検出できない量しか有しない。
【0048】
本発明によるポリシロキサンブロックコポリマーは様々な方法で製造してもよい。好ましくは、本発明によるポリシロキサンブロックコポリマーは、以下に記載する方法により得ることができる。
【0049】
本発明によるポリシロキサンブロックコポリマーを製造するための本発明による方法は、
A)重合工程において、少なくとも1個の有機結合したハロゲン原子Xを有する式A[LX](式中、Aは、ポリシロキサンブロックであり、Lは、2価の有機基であり、mは、1〜50、好ましくは2〜10の整数、好ましくは2、3、または4である)のポリシロキサンマクロ開始剤である原子移動ラジカル開始剤を、遷移金属を有する触媒の存在下でラジカル重合性モノマーと反応させる工程と、
B)化合物Q−SH(式中、Qは、1価の有機基である)を工程A)の重合混合物に添加する工程と
を含むことを特徴とする。
【0050】
工程A)
使用可能な式A[LX]のポリシロキサンマクロ開始剤は、式A[LX]を満たすあらゆるラジカル開始剤である。式A[LX]のポリシロキサンマクロ開始剤は、例えば、まず最初に好適なラジカル開始剤をポリシロキサンの反応基と反応(例えば、求核置換反応)させることによって得ることができる。
【0051】
この反応において使用されるポリシロキサンは、好ましくは、O、N、またはS原子を有する少なくとも1種の官能基を有し、これらの原子の求核攻撃に好適なポリシロキサンである。
【0052】
式A[LX]のポリシロキサンマクロ開始剤の製造に使用されるポリシロキサンは、直鎖、分岐、または超分岐であってもよいが、ただしこれらは、上述の基の少なくとも1種で官能化されている。好ましく使用されるポリシロキサンは、式(Ia)
【化2】

(式中、
bは、0〜10、好ましくは5未満の数、より好ましくは0であり、
aは、1〜500、好ましくは1〜250、より好ましくは1〜100の数であり、
は、同一であっても異なっていてもよい、RまたはR基であり、ただし、少なくとも1個のR基はR基であり、
は、1〜18個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基またはアリール基、好ましくはフェニルであり、R基は、置換または無置換であってもよく、
は、一般式(II)
−T−Y (II)
の基であり、
Tは、1〜60個の炭素原子、好ましくは1〜20個の炭素原子、特に好ましくは3〜10個の炭素原子を有する、場合により分岐の置換または無置換の2価の炭化水素基であり、
Yは、−OH、−SH、−NH、およびNHR(式中、Rは、1〜18個の炭素原子を含む、置換または無置換の直鎖または分岐の1価の基である)からなる群から選択される)のポリシロキサンから選択される。
【0053】
2価のT基は、両端が炭素原子に結合した2価の基、例えば、−O−、−C(O)O−、CONR、NRC(O)、または−C(O)−(式中、Rは、1〜18個の炭素原子を有する、置換または無置換の直鎖または分岐の1価の基である)等が挿入されていてもよい。
【0054】
使用されるラジカル開始剤は、好ましくは、少なくとも1個のC(O)X基(式中、Xは、求核攻撃において、ポリシロキサンの官能基のO、N、またはS原子で置換されることができ、かつ遷移金属触媒の存在下でラジカルを形成することができる少なくとも1種の有機結合したハロゲン原子を含む脱離基である)を含む化合物である。
【0055】
ラジカル開始剤としては、式(III)
−C(O)X (III)
(式中、Rは、有機ハロゲン基であり、Xは、脱離基である)の化合物を使用することが好ましい。好ましくは、脱離基は、ハロゲン原子(F、Cl、Br、またはI)である。有機ハロゲン基という用語は、一般に、少なくとも1種のハロゲン原子(F、Cl、Br、またはI)も含む、直鎖、分岐、また環式(芳香族または脂肪族)の置換または無置換の炭素含有構造単位を意味するものと理解される。
【0056】
式A[LX]のポリシロキサンマクロ開始剤を製造するためのラジカル開始剤としては、式(IV)
C(R)(R)Z−(R−C(O)Z (IV)
(式中、
、Zは、互いに独立に、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素、好ましくは臭素であり、ここで、好ましくはZ=Z、特に好ましくはZ=Z=臭素であり、
、Rは、互いに独立に、水素、分岐または非分岐の1価の有機基、特に1〜18個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子、特に好ましくは1〜3個の炭素原子を有するアルキル基またはアリール基からなる群から選択され、ここで、Rおよび/またはR基は、置換または無置換であってもよく、
rは、0または1、好ましくは0であり、
は、場合により分岐の置換または無置換の2価の有機基、好ましくは1〜20個の炭素原子を有するアルキル基である)の化合物を使用することが特に好ましい。
【0057】
官能性ポリシロキサンおよびラジカル開始剤の求核置換反応は、この種の反応に典型的な当業者に周知の反応条件下で実施してもよい。
【0058】
製法工程A)における実際の反応は、遷移金属を有する触媒、好ましくは遷移金属塩の存在下でおけるポリシロキサンマクロ開始剤とラジカル重合性モノマーMとの反応(重合)を含み、ここでポリシロキサン含有コポリマーが得られる。
【0059】
製法工程A)は、ATRPとして実施してもよい。この場合、ポリシロキサンマクロ開始剤の有機ハロゲン基が開始剤として機能し、ラジカル重合性モノマーMおよび触媒が存在することによって、ラジカル重合されたモノマーから形成された少なくとも1個のブロックBとポリシロキサンマクロ開始剤との間に共有結合が形成される。このラジカル重合性モノマーから形成されたブロックは、式A[LB(S)Q]に従うポリシロキサンコポリマーのブロックBを形成し、ポリシロキサンマクロ開始剤がブロックAを形成する。
【0060】
ATPRに好適な触媒は、例えば、明示的に引用される、例えばChem. Rev. 2001, 101, p.2921ffにさらに詳細に記載されている遷移金属化合物である。一般に、移動可能な原子基(例えば、ハロゲン)を有する開始剤またはポリマー鎖と酸化還元サイクルを形成することができるあらゆる遷移金属化合物を使用することが可能である。好ましくは、使用される触媒は、銅、鉄、コバルト、クロム、マンガン、モリブデン、銀、亜鉛、パラジウム、ロジウム、白金、ルテニウム、イリジウム、イッテルビウム、サマリウム、レニウム、および/またはニッケル化合物、特に、遷移金属が酸化状態Iで存在するものから選択される。銅化合物が好ましく使用される。好ましくは、CuO、CuBr、CuCl、CuI、CuN、CuSCN、CuCN、CuNO、CuNO、CuBF、Cu(CHCOO)、またはCu(CFCOO)、およびこれらの混合物から選択される銅化合物が使用される。
【0061】
製法工程A)をATRPとして実施する別法として、製法工程A)を、いわゆるリバースATRPとして実施することもできる。この変形方法においては、遷移金属化合物をより高い酸化状態の、例えば、CuBr、CuCl、CuO、CrCl、Fe、またはFeBr等で使用してもよい。このような場合は、例えば、AIBN等の古典的なラジカル形成剤を利用して反応を開始してもよい。この場合、遷移金属化合物は古典的なラジカル形成剤から生成したラジカルと反応するため、まず最初に還元される。リバースATRPは、特に、明示的に引用されるMacromolecules, 1995, 28, p.7572 ffにおいてWangおよびMatyjaszewskiによって記載されている。
【0062】
リバースATRPの1つの変形は、酸化状態がゼロの金属をさらに使用することである。より酸化状態の高い遷移金属化合物を用いることによって均化(comproportionation)が進むことにより反応速度が増大する。この方法は、明示的に引用される国際公開第98/40415号パンフレットにより詳細に記載されている。
【0063】
金属化合物の反応溶液中への溶解性を高めると同時に、安定、したがって重合不活性な有機金属化合物の形成を防止するためには、反応混合物に配位子を添加すると有利であろう。さらに、配位子を添加することにより、遷移金属化合物による移動可能な原子基の引き抜きを促進することが可能である。好適な配位子の一覧が、例えば、国際公開第97/18247号パンフレット、国際公開第97/47661号パンフレット、または国際公開第98/40415号パンフレットに示されている。好ましくは、配位子として使用される化合物は、ほとんどの場合、1個またはそれ以上の窒素、酸素、リン、および/または硫黄原子を配位性構成要素として有している。この場合、窒素含有化合物が特に好ましい。窒素含有キレート配位子が特に非常に好ましい。特に好適な配位子の例は、例えば、2,2’−ビピリジン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、トリス(2−アミノエチル)アミン(TREN)、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、または1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミンである。同様に多くの他の配位子が使用できることが当業者に理解されるであろう。
【0064】
これらの配位子は、その場で金属化合物と配位化合物を形成させてもよいし、あるいはこれらをまず最初に配位化合物として生成させた後、反応混合物に添加してもよい。
【0065】
配位子対遷移金属の比率は、配位子の配位座数(denticity)および遷移金属の配位数に依存する。好ましくは、製法工程A)においては、配位子は、配位子対遷移金属のモル比が100:1〜0.1:1、好ましくは6:1〜0.1:1、特に好ましくは3:1〜1:1となるような量で使用される。
【0066】
工程A)の重合は、希釈剤なしで実施してもよいし、あるいは溶液中で実施してもよい。工程A)の重合は、乳化重合、ミニエマルション重合、もしくはマイクロエマルション重合、または懸濁重合として実施してもよい。
【0067】
工程A)が溶媒の存在下で実施される場合、好ましくは、ハロゲンを含まない溶媒、好ましくはトルエン、キシレン、酢酸エステル(好ましくは、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸プロピル)、ケトン(好ましくは、エチルメチルケトン、アセトン)、エーテル、脂肪族化合物(好ましくは、ペンタン、ヘキサン)、またはアルコール(好ましくは、シクロヘキサノール、ブタノール、ヘキサノール)が使用される。水または水および水と相溶性のある溶媒の混合物も同様に好適な溶媒である。
【0068】
工程A)の重合は、大気圧、大気圧よりも低い圧力、または大気圧を超える圧力で実施してもよく、大気圧が好ましい。重合は、−20℃〜200℃、好ましくは0℃〜130℃、特に好ましくは30℃〜120℃の温度範囲で実施してもよい。
【0069】
工程A)で使用されるラジカル重合性モノマーMは、好ましくはエチレン性不飽和モノマーである。
【0070】
本発明に記載される「重合性」モノマーとは、ATRPを用いて重合可能なもの意味するものと理解される。好ましくは、ATRPにおいてポリマー鎖長およびポリマー構成を周知の様態で制御することができ、モル質量分布の多分散性(重量平均分子質量対数平均分子質量の比率)に関する分布が狭いポリマーを得ることが可能である。
【0071】
「エチレン性」不飽和モノマーは、少なくとも1個の重合可能な炭素−炭素二重結合を有し、この二重結合が、モノ−、ジ−、トリ−、またはテトラ置換されていてもよいモノマーを意味するものと理解される。個々のモノマーまたはモノマー混合物のいずれかを使用することも可能である。モノマーは、好ましくは、ポリシロキサンブロックコポリマーに所望される物理的および化学的性質に対応するように選択される。
【0072】
重合に使用してもよい好適なエチレン性不飽和モノマーMは、一般式(V)
H(R)C=C(R10)(C(O)G) (V)
(式中、RおよびR10基は、互いに独立に、水素、C〜C10非分岐または分岐アルキル基、メトキシ、エトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、2−メトキシエチル、または2−エトキシエチルからなる群から選択してもよい)で表すことができる。G基は、−ヒドロキシ、O(M)1/v、−OR11、−NH、−NHR11、および−N(R11)(R12)からなる群から選択してもよく、ここで、Mは、金属イオン(アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン等)、アンモニウムイオン、置換アンモニウムイオン(モノ−、ジ−、トリ−、またはテトラアルキルアンモニウムイオン等)の群から選択されるv価の対イオンであり、R11およびR12基は、それぞれ独立に、水素、C〜C40直鎖もしくは分岐アルキル鎖、ポリエーテル基、ポリエーテルアミン基(場合により、ヒドロキシ、アミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、およびジ(C〜Cアルキル)アミノからなる群から選択される1種またはそれ以上の置換基で置換されている)、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル、2−ヒドロキシエチル、2−メトキシエチル、および2−エトキシエチルからなる群から選択してもよい。モノマーの非限定的な代表例には、保護および無保護のアクリル酸およびメタクリル酸に加えて、これらの酸の塩およびエステルおよびアミドも包含される。
【0073】
この塩は、任意の所望の無毒性金属、アンモニウム、または置換アンモニウム対イオンから誘導されたものであってもよい。エステルは、C〜C40直鎖、C〜C40分岐アルキル鎖、またはC〜C40炭素環式アルコールから、2〜8個の炭素原子および2〜8個のヒドロキシ基を含む多官能性アルコールから、アミノアルコールおよびポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールまたは他のポリエーテル基およびヒドロキシ官能化ポリエーテルから(非限定的な例として、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセロール、および1,2,6−ヘキサントリオールが挙げられる)、アミノアルコールから(非限定的な例として、アミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、およびこれらの四級化物が挙げられる)、またはエーテルアルコールから(非限定的な例として、メトキシエタノールおよびエトキシエタノールが挙げられる)誘導されたものであってもよい。
【0074】
アミドは、無置換、N−アルキルもしくはN−アルキルアミノモノ置換、またはN,N−ジアルキルもしくはN,N−ジアルキルアミノジ置換であってもよく、アルキルまたはアルキルアミノ基は、C〜C40直鎖またはC〜C40分岐またはC〜C40環式単位から誘導されたものである。さらに、アルキルアミノ基は四級化されていてもよい。
【0075】
同じく使用してもよいモノマーは、保護または無保護のアクリルおよび/またはメタクリル酸、これらの塩、エステル、およびアミドであり、アクリル酸および/またはメタクリル酸の第2および第3位の炭素は、互いに独立に置換されていてもよい。置換基は、C〜Cアルキル基、ヒドロキシル、−CN、および−COOHからなる群から選択してもよく、例えば、メタクリル酸、エタクリル酸、および3−シアノアクリル酸である。上述したこれらの置換されたアクリルおよびメタクリル酸の塩、エステル、アミドも同様に使用してもよい。
【0076】
さらに、使用してもよいモノマーMとしては、1〜40個の炭素原子を含む直鎖カルボン酸、3〜40個の炭素原子を含む分岐カルボン酸、または3〜40個の炭素原子を含む炭素環式カルボン酸のビニルおよびアリルエステル、少なくとも1個のビニルまたはアリル基で置換されたピリジン(例えば、ビニルピリジンまたはアリルピリジン)、少なくとも1個の不飽和炭素−炭素二重結合を有する炭化水素(例えば、スチレン、アルファ−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、シクロヘキサジエン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、パラ−メチルスチレン)、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0077】
使用されるラジカル重合性モノマーBは、好ましくは、置換または無置換のメタクリル酸またはその誘導体である。好ましくは、使用されるモノマーMとしては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、オクチルアクリオレート(octyl acryolate)、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸オクチル、エタクリル酸メチル、エタクリル酸エチル、エタクリル酸n−ブチル、エタクリル酸イソブチル、エタクリル酸t−ブチル、エタクリル酸2−エチルヘキシル、エタクリル酸デシル、エタクリル酸オクチル、アクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピル、メタクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸モノグリセリル、メタクリル酸モノグリセリル、エタクリル酸モノグリセリル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリルアミド、メタクリルアミド、エタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジ−n−ブチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−ドデシルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、四級化N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、四級化N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、四級化アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、四級化メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、エタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸グリセリル、アクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸2−メトキシエチル、エタクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−エトキシエチル、メタクリル酸2−エトキシエチル、エタクリル酸2−エトキシエチル、マレイン酸、マレイン酸のモノエステル、マレイン酸のジエステル、無水マレイン酸、マレイミド、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸のモノエステル、イタコン酸のジエステル、無水イタコン酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、メチルビニルエーテル、メチルビニルケトン、ビニルピリジン、ビニルフラン、スチレンスルホン酸塩、アリルアルコール、クエン酸アリル、酒石酸アリル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルカプロラクタム、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0078】
モノマーは、特に好ましくは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸オクチル、N−オクチルアクリルアミド、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0079】
特に非常に好ましいモノマーは、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0080】
ATRPにおける重合は、例えば、当業者に周知のように、遷移金属を酸化することにより停止してもよい。これは、例えば、重合混合物中に酸素を通気する(例えば、空気を通気する)ことにより行ってもよい。
【0081】
工程B)
工程A)の重合混合物への硫黄化合物Q−SHの添加は、例えば、重合反応を停止した後またはその途中に行ってもよい。化合物Q−SHの添加は、直接行ってもよいし、あるいは化合物Q−SHを得るかまたは放出させるのに好適な化合物を添加することも可能である。
【0082】
硫黄化合物Q−SHは、重合工程A)で得られた重合混合物またはワークアップ後の重合混合物に直接添加してもよい。好ましくは、製法工程A)で得られた重合混合物に先にワークアップすることなく直接添加される。
【0083】
硫黄化合物Q−SHは、鎖末端(有機結合したハロゲン)を基準として、最小過剰量がわずか1.6当量、好ましくは1.2当量、特に好ましくは1〜1.1当量となるように使用される。メルカプト官能化硫黄化合物を添加した結果、これと置換されることによって末端ハロゲン原子が除去されると推測される。さらに、同じ工程において、ポリマー溶液から単純な濾過によって分離することができるように遷移金属化合物が析出される。この最小過剰量により、ポリマー溶液中の残留硫黄含有量が本質的にごく少量にしかならず、これは、その後に続く濾過工程を一部修正し、例えば、活性炭等の吸着剤を混合物に添加するかまたは活性炭フィルターを濾材として用いることによって容易に除去することができる。
【0084】
少なくとも当量の硫黄化合物Q−SHを添加することにより、ハロゲンを含まないかまたは実質的にハロゲンを含まない本発明によるポリシロキサンブロックコポリマーを得ることが可能になる。さらに、この工程は、銅含有量が5質量ppm未満、特に好ましくは2質量ppm未満である末端チオエーテル基を有するポリシロキサンブロックコポリマーを得ることが可能になることを意味する。
【0085】
硫黄化合物Q−SHは、1個またはそれ以上のSH基を有していてもよい。本発明による方法において好ましく用いられる硫黄化合物Q−SHは、チオグリコール酢酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトブタノール、メルカプトヘキサノール、チオグリコール酸オクチル、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、イソオクチルメルカプタン、またはtert−ドデシルメルカプタンである。
【0086】
ここに記載した硫黄化合物は、ポリマー溶液に添加した場合、ここに記載した末端ハロゲン原子の反応以外は、重合停止後のポリマーにさらなる影響を与える可能性がないことが当業者に容易に理解される。このことは、特に、分子量分布、単位AおよびBの数平均分子量、さらなる官能性、ガラス転移温度、および部分結晶性ポリマーの場合における融解温度、ならびにポリマー構成(分岐やブロック構造等)に関し当てはまる。
【0087】
本発明による組成物は、本発明による少なくとも1種のポリシロキサンブロックコポリマーを有することを特徴とする。本発明による組成物は、例えば、化粧用組成物またはパーソナルケア用組成物であってもよい。
【0088】
本発明による組成物は、例えば、毛髪処理用、毛髪処理用コンディショナー組成物として、毛髪後処理組成物として、および毛髪構造改善用に使用してもよい。特に、本発明による組成物は、毛髪処理用、特に、ヘアコンディショナーとして使用してもよい。しかしながら、本発明によるポリシロキサンブロックコポリマーは、例えば、ヘアスプレー組成物、整髪用組成物、ムース、ジェル、ローション、スプレー、シャンプー、リンス、ハンドおよびボディローション、顔用保湿剤、サンクリーム(suncream)、抗ニキビ用配合物、老化防止用配合物、局所鎮痛剤、マスカラ等の多種多様な種類の製品にも使用してもよいが、この一覧は例示的なものであって網羅的なものではない。この種の製品を配合するために必要とされる担体物質およびさらなる成分は、製品の種類に応じて変化し、当業者であれば容易に選択することができる。以下の文に、本発明による組成物中に存在してもよい数種の可能な担体物質およびさらなる成分を記載する。
【0089】
担体物質:
本発明による組成物は、例えば、毛髪上で使用するのに好適な担体または異なる担体の混合物を含んでいてもよい。配合物中の担体の含有量は、0.5重量%〜99.5重量%、好ましくは5.0重量%〜99.5重量%、特に好ましくは10.0重量%〜98重量%である。「毛髪上で使用するのに好適な」という表現は、担体が毛髪を傷つけない、毛髪の美的外観に悪影響を及ぼさない、またはその下の皮膚に炎症を起こさないことを意味する。本発明におけるヘアケア用組成物に適用するのに好適な担体としては、例えば、ヘアスプレー、ムース、トニック、ジェル、シャンプー、コンディショナー、またはリンスに使用されるものが挙げられる。好適な担体の選択は、使用されるブロックコポリマーおよび配合された製品を適用面に残留させるかどうか(例えば、ヘアスプレー、ムース、トニック、またはジェル)または適用後に再び洗い流すかどうか(例えば、シャンプー、コンディショナー、リンス)に依存する。
【0090】
使用される担体は、ヘアケア用組成物に慣用されている幅広い範囲の化合物を含んでいてもよい。担体は、使用されるコポリマーを溶解または分散させるために溶媒を含んでいてもよく、水、C〜Cアルコール、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基を有する酢酸アルキル、およびこれらの混合物が好ましい。担体は、アセトン、炭化水素(例えば、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、デセン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、フレオン等)、および揮発性シリコーン誘導体(例えば、シクロメチコン等)等の、さらなる範囲のさらなる物質を含んでいてもよい。配合物が、例えば、ヘアスプレー、トニック、ジェル、ムース等のヘアケア用組成物である場合、好ましい溶媒は、水、エタノール、揮発性シリコーン誘導体、およびこれらの混合物を含む。このような混合物に用いられる溶媒は、互いに相溶性であっても非相溶性であってもよい。ムースおよびエアゾールヘアスプレーも同様に、材料を泡として(ムースの場合)または微細な均一な噴霧として(エアゾールヘアスプレーの場合)適用するための任意の従来の噴射剤を含んでいてもよい。好適な噴射剤の例としては、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジフルオロエタン、ジメチルエーテル、プロパン、n−ブタン、もしくはイソブタン、またはこれらの混合物からなる群からの材料が挙げられる。低粘度のトニックまたはヘアスプレー製品は、乳化剤も含んでいてもよい。好適な乳化剤の例としては、非イオン性、カチオン性、アニオン性界面活性剤、またはこれらの混合物が挙げられる。このような乳化剤が使用される場合、組成物は、乳化剤を、0.01%〜7.5%の濃度で含む。噴射剤の含有量は所望通りに調整してもよいが、一般には、ムース組成物の場合は3%〜30%であり、エアゾールヘアスプレーの場合は15%〜50%である。
【0091】
噴霧に好適な容器は当業者に周知であり、従来の非エアゾールポンプ式スプレーすなわち噴霧器、上述の噴射剤を含むエアゾール容器または缶に加えて、噴射剤として圧縮空気を使用するポンプ式エアゾール(pump aerosol)容器も挙げられる。
【0092】
本発明による(ヘアケア)用組成物がコンディショナーまたはリンスである場合、担体は多種多様なコンディショニング化合物を含んでいてもよい。ヘアケア用組成物がシャンプーである場合は、担体は、界面活性剤、懸濁助剤、および増粘剤を含んでいてもよい。
【0093】
担体は、様々な外観を有していてもよく、例えば、担体は、例えば、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、水中油中水型およびシリコーン中水中油型エマルジョン等のエマルジョンであってもよい。エマルジョンの粘度は、100cps〜200000cpsの範囲を包含してもよい。このようなエマルジョンはまた、機械式ポンプ容器を用いて噴霧するかまたは慣用の噴射剤を含む大気圧を超える圧力のエアゾール容器を用いて噴霧するかのいずれかであってもよい。担体はまた、ムースの形態で適用してもよい。他の好適な局所用担体としては、油、アルコール、シリコーン等の非水性液体溶媒(例えば、鉱物油、エタノール、イソプロパノール、ジメチコン、シクロメチコン等)、水系液体単相溶媒(例えば、水/アルコール溶媒系)、ならびにこれらの非水性および水系単相溶媒を増粘した変形体(例えば、好適なゴム、ワックス、樹脂、ポリマー、塩、および類似の物質を添加することにより固体または半固体物質まで溶媒の粘度を増大させたもの)が挙げられる。
【0094】
さらなる成分:
本発明による組成物、特に、本発明による発明的な化粧およびパーソナルケア用組成物には多種多様なさらなる成分を使用してもよい。特にその例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
−日焼け止め剤、例えば、p−メトキシケイヒ酸2−エチルヘキシル、p−アミノ安息香酸2−エチル−N,N−ジメチル、p−アミノ安息香酸、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、オクトクリレン、オキシベンゾン、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、4,4’−メトキシ−t−ブチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、3−ベンジリデンカンファー、3−(4−メチルベンジリデン)カンファー、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、酸化鉄、およびこれらの混合物等。
−フケ防止有効成分、例えば、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛、ピロクトン、二硫化セレン、硫黄、コールタール等。
−ヘアケア用コンディショナー組成物、例えば、炭化水素、液状シリコーン、およびカチオン性材料。炭化水素は非分岐または分岐であってもよく、10〜16個の炭素原子、好ましくは12〜16個の炭素原子を含む。好適な炭化水素の例は、デカン、ドデカン、テトラデカン、トリデカン、およびこれらの混合物である。シリコーン含有コンディショナーの例としては、特に、環式または直鎖のポリジメチルシロキサン、フェニル−およびアルキルフェニルシリコーン、ならびにシリコーンポリオールが挙げられる。本組成物中に使用してもよいカチオン性コンディショナーとしては、第四級アンモニウム塩または脂肪酸アミンの塩が挙げられる。
−ヘアシャンプーおよびコンディショナー組成物用界面活性剤。シャンプーの場合、界面活性剤の含有量は、好ましくは組成物の10%〜30%、特に好ましくは12%〜25%である。コンディショナーの場合、界面活性剤の好ましい含有量は約0.2%〜3%である。本組成物中に使用してもよい界面活性剤としては、アニオン性、非イオン性、両イオン性、カチオン性、および両性界面活性剤が挙げられる。
−カルボン酸基を有する高分子増粘剤。この架橋または未架橋ポリマーは、1種またはそれ以上のアクリル酸の誘導体、置換アクリル酸、これらのアクリル酸および置換アクリル酸の塩およびエステルを含み、架橋ポリマーの場合、架橋剤は2個以上の炭素−炭素二重結合を含む。高分子増粘剤の例は、カルボマー、アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10〜C30)架橋コポリマー、およびこれらの混合物からなる群から選択されるものである。本発明の組成物は、カルボン酸基を有する高分子増粘剤を0.025%〜1%、好ましくは0.05%〜0.75%、特に好ましくは0.10%〜0.50%含んでいてもよい。
−本発明の組成物に関し記載された多種多様な担体物質を乳化するための乳化剤。好適な乳化剤の種類としては、モノラウリン酸ポリエチレングリコール20ソルビタン(ポリソルベート20)、ポリエチレングリコール5大豆ステロール、ステアレス−20、セテアレス−20、ジステアリン酸PPG−2メチルグルコースエーテル、セテス−10、ポリソルベート80、リン酸セチル、セチルリン酸カリウム、セチルリン酸ジエタノールアミン、ポリソルベート60、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸PEG−100、およびこれらの混合物が挙げられる。乳化剤は、個々に使用しても2種以上の乳化剤の混合物として使用してもよい。化粧またはパーソナルケア用組成物は、乳化剤を、0.15〜10%、好ましくは1%〜7%、特に好ましくは1%〜5%の含有量で含んでいてもよい。
−ビタミン類およびその誘導体(例えば、アスコルビン酸、ビタミンE、酢酸トコフェロール、レチノール酸、レチノール、レチノイド等)。
−カチオン性ポリマー(例えば、カチオン性グアー誘導体、例えば、Rhone-PoulencからJaguar Cの商品名で入手可能なグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドおよびヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヒドロキシエチルセルロースの第四級アンモニウム塩、例えば、fro, Amerchol Corp.のUcare Polymer JR/LR/LK/KGの商品名で入手可能なポリクオタニウム−10等))。
−防腐剤、酸化防止剤、キレート剤および錯化剤、真珠光沢剤、香料、芳香剤、染料、顔料、毛髪栄養剤、精油等の美容成分(esthetic component)。
−当業者に明らかな添加剤(しかし、本明細書においてはより詳細な一覧は示さない)。
【0095】
以下に示す実施例は本発明を例示的に説明するものであるが、本発明すなわち本文および特許請求の範囲全体によって生じる本出願の範囲を実施例に特定された実施形態に限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0096】
実施例1:
雰囲気中、撹拌機、温度計、環流冷却器、窒素導入管、および滴下漏斗を取り付けた三ツ口フラスコに、まずアクリル酸n−ブチル102.8g、メタクリル酸ジメチルアミノエチル6.3g、酢酸ブチル145.6g、酸化銅(I)2.1g、およびPMDETA(N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン)5.4gを導入した。この溶液を80℃で15分間撹拌した。次いで、同じ温度で、式(VI)(n=28)のマクロ開始剤56.0gを添加した。
【化3】

当業者であれば、上述の式(VI)が理想的な構造式であることを認識する。生成物中には、より高級および低級の類似体もさらに存在する。
【0097】
重合時間である4時間の間、80℃で撹拌を実施した。次いで、大気中の酸素を約15分間導入することにより反応を停止し、n−ドデシルメルカプタン5.7gを添加した。緑色だった溶液が自然に赤色に変化し、赤色の析出物が形成された。この析出物を、大気圧を超える圧力でBekoからの濾材(型式:KD−10)を通して濾過することにより濾去した。ロータリーエバポレーターを用いて、温度100℃、2ミリバールで、淡黄色の濾液から溶媒を除去した。淡黄色の粘性のある残渣が所望の生成物である。
【0098】
分析:
銅含有量:<1質量ppm(Horiba Jobin YvonからのACTIVAシリーズの機器を用いてICP−OESにより測定)
有機臭素含有量:<2質量ppm(ポリマーの化学的消化およびイオンクロマトグラフィーによる臭素含有量測定による)
【0099】
実施例2:
雰囲気中、撹拌機、温度計、環流冷却器、窒素導入管、および滴下漏斗を取り付けた三ツ口フラスコに、まずメタクリル酸n−ラウリル74.4g、メタクリル酸ジメチルアミノエチル4.6g、酢酸ブチル150.0g、酸化銅(I)3.1g、およびPMDETA(N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン)7.9gを導入した。この溶液を80℃で15分間撹拌した。次いで、同じ温度で、式(VI)(n=28)のマクロ開始剤60.0gを添加した。
【0100】
重合時間である5時間の間、80℃で撹拌を実施した。次いで、大気中の酸素を約15分間導入することにより反応を停止し、n−ドデシルメルカプタン8.0gを添加した。緑色だった溶液が自然に赤色に変化し、赤色の析出物が形成された。この析出物を、大気圧を超える圧力でBekoからの濾材(型式:KD−10)を通して濾過することにより濾去した。ロータリーエバポレーターを用いて、温度100℃、2ミリバールで、淡黄色の濾液から溶媒を除去した。淡黄色の粘性のある残渣が所望の生成物である。
【0101】
分析:
銅含有量:<1質量ppm(Horiba Jobin YvonからのACTIVAシリーズの機器を用いてICP−OESにより測定)
有機臭素含有量:<2質量ppm(ポリマーの化学的消化およびイオンクロマトグラフィーによる臭素含有量測定による)
【0102】
実施例3:
雰囲気中、撹拌機、温度計、環流冷却器、窒素導入管、および滴下漏斗を取り付けた三ツ口フラスコに、まずアクリル酸n−ブチル81.3g、メタクリル酸ジメチルアミノエチル10.0g、酢酸ブチル147.0g、酸化銅(I)1.8g、およびPMDETA(N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン)4.5gを導入した。この溶液を80℃で15分間撹拌した。次いで、同じ温度で、式(VI)(n=48)のマクロ開始剤60.0gを添加した。
【0103】
重合時間である4時間の間、80℃で撹拌を実施した。次いで、大気中の酸素を約15分間導入することにより反応を停止し、n−ドデシルメルカプタン4.5gを添加した。緑色だった溶液が自然に赤色に変化し、赤色の析出物が形成された。この析出物を、大気圧を超える圧力でBekoからの濾材(型式:KD−10)を通して濾過することにより濾去した。ロータリーエバポレーターを用いて、温度100℃、2ミリバールで、淡黄色の濾液から溶媒を除去した。淡黄色の粘性のある残渣が所望の生成物である。
【0104】
分析:
銅含有量:<1質量ppm(Horiba Jobin YvonからのACTIVAシリーズの機器を用いてICP−OESにより測定)
有機臭素含有量:<2質量ppm(ポリマーの化学的消化およびイオンクロマトグラフィーによる臭素含有量測定による)
【0105】
実施例4:
雰囲気中、撹拌機、温度計、環流冷却器、窒素導入管、および滴下漏斗を取り付けた三ツ口フラスコに、まずアクリル酸n−ブチル55.2g、メタクリル酸ジメチルアミノエチル6.8g、酢酸ブチル150.0g、酸化銅(I)1.2g、およびPMDETA(N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン)3.1gを導入した。この溶液を80℃で15分間撹拌した。次いで、同じ温度で、式(VI)(n=133)のマクロ開始剤60.0gを添加した。
【0106】
重合時間である4時間の間、80℃で撹拌を実施した。次いで、n−ドデシルメルカプタン3.1gを約15分間で添加した。緑色だった溶液が自然に赤色に変化し、赤色の析出物が形成された。この析出物を、大気圧を超える圧力でBekoからの濾材(型式:KD−10)を通して濾過することにより濾去した。ロータリーエバポレーターを用いて、温度100℃、2ミリバールで、淡黄色の濾液から溶媒を除去した。淡黄色の粘性のある残渣が所望の生成物である。
【0107】
分析:
銅含有量:<1質量ppm(Horiba Jobin YvonからのACTIVAシリーズの機器を用いてICP−OESにより測定)
有機臭素含有量:<2質量ppm(ポリマーの化学的消化およびイオンクロマトグラフィーによる臭素含有量測定による)
【0108】
実施例5:
雰囲気中、撹拌機、温度計、環流冷却器、窒素導入管、および滴下漏斗を取り付けた三ツ口フラスコに、まずアクリル酸n−ブチル81.1g、メタクリル酸ジメチルアミノエチル5.0g、酢酸ブチル140.0g、酸化銅(I)1.8g、およびPMDETA(N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン)4.4gを導入した。この溶液を80℃で15分間撹拌した。次いで、同じ温度で、式(VII)(n=20)のマクロ開始剤53.2gを添加した。
【化4】

【0109】
重合時間である4時間の間、80℃で撹拌を実施した。次いで、n−ドデシルメルカプタン4.4gを約15分間で添加した。緑色だった溶液が自然に赤色に変化し、赤色の析出物が形成された。この析出物を、大気圧を超える圧力でBekoからの濾材(型式:KD−10)を通して濾過することにより濾去した。ロータリーエバポレーターを用いて、温度100℃、2ミリバールで、淡黄色の濾液から溶媒を除去した。淡黄色の粘性のある残渣が所望の生成物である。
【0110】
分析:
銅含有量:<1質量ppm(Horiba Jobin YvonからのACTIVAシリーズの機器を用いてICP−OESにより測定)
有機臭素含有量:<2質量ppm(ポリマーの化学的消化およびイオンクロマトグラフィーによる臭素含有量測定による)
【0111】
実施例6:
雰囲気中、撹拌機、温度計、環流冷却器、窒素導入管、および滴下漏斗を取り付けた三ツ口フラスコに、まずアクリル酸n−ブチル33.1g、メタクリル酸ジメチルアミノエチル4.1g、酢酸ブチル150g、酸化銅(I)2.9g、およびPMDETA(N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン)7.4gを導入した。この溶液を80℃で15分間撹拌した。次いで、同じ温度で、式(VI)(n=68)のマクロ開始剤102.4gを添加した。
【0112】
重合時間である4時間の間、80℃で撹拌を実施した。次いで、大気中の酸素を約15分間導入することにより反応を停止し、n−ドデシルメルカプタン7.5gを添加した。緑色だった溶液が自然に赤色に変化し、赤色の析出物が形成された。この析出物を、大気圧を超える圧力でBekoからの濾材(型式:KD−10)を通して濾過することにより濾去した。ロータリーエバポレーターを用いて、温度100℃、2ミリバールで、淡黄色の濾液から溶媒を除去した。淡黄色の粘性のある残渣が所望の生成物である。
【0113】
分析:
銅含有量:<2質量ppm(Horiba Jobin YvonからのACTIVAシリーズの機器を用いてICP−OESにより測定)
有機臭素含有量:<3質量ppm(ポリマーの化学的消化およびイオンクロマトグラフィーによる臭素含有量測定による)
【0114】
ヘアコンディショナーとしての適用
適用性に関連する評価を行うために、官能試験に用いられる毛束にパーマネントウエーブ処理および脱色処理による標準化された方法で予め損傷を与えておく。この目的には、理美容業に慣用される製品が使用される。試験手順、使用される基本材料に加えて評価基準の詳細は独国特許出願公開第10327871号に記載されている。
【0115】
試験配合物:
表1に示す組成を有する簡単なヘアリンスを用いてポリシロキサンコポリマーを試験した。
【0116】
【表1】

【0117】
実施例1〜5に記載するポリシロキサンブロックコポリマーを「コンディショナー」と称する。
【0118】
予め損傷しておいた毛束にコンディショニング試料を用いて標準化された処理を施した。
【0119】
上述したように予め損傷させた毛束を上述したコンディショニングリンスを用いて以下のように処理した:
毛束を流温水で湿らせた。余分な水分を手で優しく絞り出した後、リンスを適用して丁寧に毛髪内に作用させた(1ml/毛束(2g))。1分間置いてから、毛髪を1分間濯いだ。官能評価の前に、大気湿度50%、25℃の空気中で毛髪を少なくとも12時間乾燥させた。
【0120】
試験結果が配合物の(通常存在する)成分に影響を受けることを防ぐために、試験配合物が簡単な組成になるように意図して選択した。規定の原料に加えて、かつ/または規定の原料に替えて、本発明による配合物は、さらなる原料も含んでいてもよい。特に、さらなる原料を組み合わせることによってコンディショニング効果が相乗的に改善される可能性がある。この種の原料は上述されている。
【0121】
評価基準
1〜5段階の評点(1が最も評価が低く、5が最も評価が高い)に従い官能評価を行った。個々の試験基準についてそれぞれ別々に評価した。試験基準は、もつれにくさ、湿潤時の櫛通り、湿潤時の手触り、乾燥時の櫛通り、乾燥時の手触り、光沢、ボリュームである。
【0122】
ポリシロキサンブロックコポリマーのコンディショニング性に関する試験結果を表2に示す。対照試料は本発明によるポリシロキサンブロックコポリマーを含まないものとした。
【0123】
官能試験において、ポリシロキサンブロックコポリマーが毛髪コンディショニング性を有することを示している。これらはコンディショナーを含まない対照の比較値よりも大幅に優れている。
【0124】
【表2】

【0125】
ヘアスプレーとしての配合物:
表3に列挙した組成に従い、実施例6からのポリシロキサンブロックコポリマーを、揮発性有機化合物の質量分率が80%である非エアゾールヘアスプレー配合物(いわゆる80%VOC非エアゾールヘアスプレー)に添加した。
【0126】
【表3】

【0127】
RESYN 28-293ポリマー:(INCI名:VA/クロトン酸エステル/ネオデカン酸ビニルコポリマー(VA/Crotonates/Vinyl Neodecanoate Copolymer))は、National Starchの製品である。
AMP-95:(INCI名:アミノメチルプロパノール(Aminomethyl Propanol))は、ANGUS Chemical Companyの製品である。
ABIL B 8843:(INCI名:PEG−14ジメチコン(PEG-14 Dimethicone))は、Goldschmidt GmbHの製品である。
SDアルコール40:エタノール。
【0128】
表3の配合物をヘアスプレーとして適用すると、処理された毛髪がより高い柔軟性を示し、本発明によるポリシロキサンブロックコポリマーを含まない配合物よりも手触りがよく感じられた。
【0129】
整髪ジェルとしての配合物:
表4に列挙した組成に従い、実施例6からのポリシロキサンブロックコポリマーを整髪ジェル用配合物に添加した。
【0130】
【表4】

【0131】
AMP-95:(INCI名:アミノメチルプロパノール(Aminomethyl Propanol))は、Angusからの製品である。
Carbopol ETD 2020:(INCI名:アクリレーツ/アクリル酸C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー)は、Noveonからの製品である。
【0132】
表4の配合物は、プリンのような稠度を有するゲルを形成し、これを整髪ジェルとして適用すると、毛髪内で十分な安定性を示すと同時に柔軟性も得られ、手触りもよくなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式A[LB(S)Q](式中、Aは、ポリシロキサンブロックであり、Lは、単位AおよびBを結合する2価の有機基であり、Bは、ラジカル重合されたモノマーMから構成されるポリマーブロックであり、Sは、硫黄原子であり、Qは、1価の有機基であり、mは、1〜50の整数である)のポリシロキサンブロックコポリマー。
【請求項2】
Aが、式(I)
【化1】

(式中、
bは、0〜10の数であり、
aは、1〜500の数であり、
は、同一であっても異なっていてもよい、R基または結合基Lであり、ただし、少なくとも1個のR基はL基であり、最大50個のR基がL基であり、
は、1〜18個の炭素原子を有するアルキル基であり、R基は、置換または無置換であってもよい)で表される分岐または非分岐の置換または無置換のポリシロキサン基である、請求項1に記載のポリシロキサンブロックコポリマー。
【請求項3】
Lが、少なくとも1個の−C(O)−単位を有する、1〜60個の炭素原子を有する分岐または非分岐の置換または無置換の炭化水素基である、請求項1または2に記載のポリシロキサンブロックコポリマー。
【請求項4】
Bが、数平均分子量が1000g/mol〜200000g/molのポリメタクリル酸エステル単位である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリシロキサンブロックコポリマー。
【請求項5】
Qが、好ましくは1〜20個の炭素原子を有する、アルキル基、アルコール基、または酸基である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリシロキサンブロックコポリマー。
【請求項6】
前記ブロックコポリマーの数平均分子量が、5000g/mol〜1000000g/molである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリシロキサンブロックコポリマー。
【請求項7】
前記ブロックコポリマーが、末端ハロゲンを5質量ppm未満有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリシロキサンブロックコポリマー。
【請求項8】
請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法により得ることができる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリシロキサンブロックコポリマー。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリシロキサンブロックコポリマーの製造方法であって、
A)重合工程において、少なくとも1個の有機結合したハロゲン原子Xを有する式A[LX](式中、Aは、ポリシロキサンブロックであり、Lは、2価の有機基であり、mは、1〜50の整数である)のポリシロキサンマクロ開始剤である原子移動ラジカル開始剤を、遷移金属を有する触媒の存在下でラジカル重合性モノマーMと反応させる工程と、
B)化合物Q−SH(式中、Qは、1価の有機基である)を工程A)の重合混合物に添加する工程と
を含む方法。
【請求項10】
ラジカル重合性モノマーとして、置換または無置換のメタクリル酸またはその誘導体が使用される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
化合物Q−SHとして、チオグリコール酢酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトブタノール、メルカプトヘキサノール、チオグリコール酸オクチル、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、イソオクチルメルカプタン、またはtert−ドデシルメルカプタンが使用される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の少なくとも1種のポリシロキサンブロックコポリマーを含む組成物。
【請求項13】
前記組成物が、化粧用組成物またはパーソナルケア用組成物である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
毛髪処理用、毛髪処理用コンディショナー組成物として、毛髪後処理組成物として、および毛髪構造改善用の、請求項12または13に記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2010−540704(P2010−540704A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526228(P2010−526228)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060461
【国際公開番号】WO2009/043629
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】