説明

ポンプ

【課題】ポンプの停止時において、ポンプ室の流体が吐出口から漏れ出ないようにする。
【解決手段】容積変化により搬送流体を駆動するポンプ室2と、吸入口15aと、吐出口16aと、ポンプ室2を駆動する駆動手段5と、少なくとも1つの逆止弁17(18)と、を有するポンプにおいて、駆動手段5を停止したときに、ポンプ室2内の搬送流体の流れを遮断するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、所定の搬送流路に沿って流体を搬送するためのポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ダイヤフラムを用いて流体を所定の搬送流路に搬送するポンプとして、例えば、ケース本体内に形成されたポンプ室と、ケース本体内に挟持されるダイヤフラムとを備え、ダイヤフラムの運動(振動)によってポンプ室の容積(体積)を変えることで、ポンプ室内の流体を所定の方向に搬送するものがある(例えば特許文献1参照)
【0003】
このポンプのポンプ室には、搬送流体の吸入口、吐出口(排出口)が形成されており、吸入口、吐出口には逆止弁が設けられていて、ポンプは、搬送流体を一方向のみに搬送するようになっている。
【特許文献1】特開2005−240871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、従来のポンプを用いて、吐出口に接続された配管から、液体を下方に流すような場合には、ポンプを停止させたときに、この配管に残っている流体の自重によって、配管から流れ出ようとし、これに伴って、ポンプ室内の流体も吐出口から、配管を通じて外部に流れ出るおそれがある。
【0005】
この場合において、吐出口は、逆止弁によって封止されているものの、この逆止弁は、流体の逆方向の流れを完全に防止するが、正方向の流れに対しては機能せず、前記配管内の流体の自重によって、吐出口を介してポンプ室から流れ出ようとする流体を封止できない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ポンプ停止時において、ポンプ室の流体が吐出口から漏れ出ないようにするポンプを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためのものであって、容積変化により搬送流体を駆動するポンプ室と、吸入口と、吐出口と、ポンプ室を駆動する駆動手段と、少なくとも1つの逆止弁と、を有するポンプにおいて、駆動手段を停止したときに、ポンプ室内の搬送流体の流れを遮断するように構成されてなることを特徴とする。
【0008】
かかる構成によれば、駆動手段を停止したときに、ポンプ室内の搬送流体の流れを遮断することから、ポンプ室内の搬送流体が吐出口を介してポンプ室から漏出することを防止できるようになる。また、このポンプはダイヤフラム式のものが望ましい。
【0009】
また、本発明に係るポンプは、ポンプ室内の搬送流体の流れを遮断する状態を駆動手段の停止状態においても維持するための押圧手段を有する構成を採用できる。
【0010】
かかる構成によれば、駆動手段の停止時において、押圧手段によって、ポンプ室内において搬送流体の流れを遮断する状態を維持できるようになり、ポンプ停止時におけるポンプ室からの搬送流体の漏出を確実に防ぐことができる。
【0011】
また、本発明に係るポンプは、前記ダイヤフラムは、ポンプ室の駆動手段を停止したときに、ポンプ室の一部が流路の一部を遮断するように形成される弁体を有する構成を採用できる。
【0012】
かかる構成によれば、ポンプ室の一部としての弁体がポンプ室に係る流路の一部を遮断することにより、ポンプ室内の搬送流体の流れが遮断され、ポンプ停止時に、吐出口を介して搬送流体がポンプ室から漏出することを確実に防止できるようになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ポンプ停止時において、ポンプ室の流体が吐出口から漏れ出ないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。図1〜図3は、本発明に係るポンプ1の第1実施形態を示している。第1実施形態において、ポンプ1は、内部にポンプ室2を形成するためのケース本体3と、ケース本体3内に組み込まれるとともに搬送流体を圧送するダイヤフラム(流体圧送手段)4と、ダイヤフラム4を駆動するための駆動手段5と、ダイヤフラム4を所定方向に押圧するための押圧手段6とを備える。
【0015】
ポンプ1は、駆動手段5によってこのダイヤフラム4を駆動して所定の運動(振動)をさせることで、所定の位置に形成された吸入口15aからポンプ室2内に所定の搬送流体を吸入し、所定の位置に形成された吐出口16aを介してポンプ室2の搬送流体を吐出するように構成される。
【0016】
ケース本体3は、第1ケース部材11、第2ケース部材12、および第3ケース部材13を有する。第1ケース部材11には、ポンプ室2を形成するための凹部14と、ポンプ室2に搬送流体を吸入させるための吸入部15と、ポンプ室2の搬送流体を吐出するための吐出部16が設けられている。
【0017】
吸入部15および吐出部16は筒状に構成されていて、第1ケース部材11の一方の面(凹部14が形成される面とは反対の面)から突出して形成されている。吸入部15と吐出部16は、その先端部(一端部)が開口し、その基部(他端部)がポンプ室2と連通している。前記吸入口15aは、この吸入部15の基部に形成され、吐出口16aは、この吐出部16の基部に形成されている。
【0018】
吸入部15は、その内部に逆止弁17を有する。この逆止弁17は、球体(弁体)17aと、この球体17aを付勢する付勢手段としてのコイルバネ17bとを有する。吸入部15は、逆止弁17により、吸入部15からポンプ室2への流体の流れのみを許容し、ポンプ室2から吸入部15へ流体が逆流しないようになっている。
【0019】
吐出部16は、その内部に逆止弁18を有する。この逆止弁18は、吸入部15の逆止弁17と同様に、球体(弁体)18aと、この球体18aを付勢する付勢手段としてのコイルバネ18bとを有する。吐出部16は、逆止弁により、ポンプ室2から吐出部16への流体の流れのみを許容し、吐出部16からポンプ室2への流体の逆流を防止できるようになっている。
【0020】
したがって、吸入部15、吐出部16に設けられた逆止弁17,18により、ポンプ1は、吸入部15、ポンプ室2、吐出部16の順で一方向のみに流体を搬送できるようになっている。吸入部15、吐出部16には、所定の配管が接続されて搬送流体の搬送流路が形成されることになるが、ポンプ1は、この搬送流路の中途部(位置)に設けられることになる。ポンプは、この搬送流路の一方向に搬送流体を搬送することになる。
【0021】
第2ケース部材12は、筒部19とフランジ部20とを有する筒形状とされている。図1に示すように、この第2ケース部材12内には、ダイヤフラム4を第1ケース部材11に対して固定するための固定部材21が設けられている。この固定部材21は、筒状に形成されており、その筒心方向の一端部が、第1ケース部材とによってダイヤフラムを挟んで固定するようになっている。
【0022】
第3ケース部材13は、板状に構成されており、その一方の面側に、第2ケース部材12のフランジ部20が嵌合する凹部23が形成されている。この第3ケース部材13のほぼ中央部には、第2ケース部材12の筒部19を挿通するための挿通孔24が形成されている。
【0023】
ケース本体3は、第3ケース部材13の挿通孔24に第2ケース部材12の筒部19が挿通されるとともに、第3ケース部材13と第2ケース部材12のフランジ部20とを重ね、これらと第1ケース部材11とを対向するようにして互いに当接させ、そして、第1ケース部材11、第2ケース部材12、および第3ケース部材13を一体に連結して固定することにより構成される。
【0024】
また、ケース本体3内では、第1ケース部材11と固定部材21とによってダイヤフラム4の半径方向の端部を挟むことによって、ダイヤフラム4が第1ケース部材11に固定され、このダイヤフラム4と第1ケース部材11の凹部14とによってポンプ室2が主構成されている。
【0025】
前記ダイヤフラム4は、伸張可能な合成樹脂その他の弾性体によって円形に構成されている。このダイヤフラム4は、ダイヤフラム4は、上述の如くポンプ室2の一部を構成するものであり、駆動手段5によって駆動されて所定の運動(振動)をし、これによってポンプ室2の体積を増減させることで、吸入口15a側からポンプ室2に流体を吸入し、ポンプ室2の流体を吐出口16aから吐出させることができる。
【0026】
ポンプ室2は、第1ケース部材11の凹部14の底面と、ダイヤフラム4の厚さ方向の一方の面とが対向するように構成されている。なお、以下、前記凹部14の底面に相当するポンプ室2の壁面を対向壁面26といい、この対向壁面26に対向するダイヤフラム4の一方の面を内面27という。
【0027】
本実施形態では、前記駆動手段5としてソレノイドが採用されている。ソレノイドは、ダイヤフラム4を押圧する心材31と、この心材31を作動させる電磁コイル32と、コイルバネ33と、ケース本体3内に心材31と電磁コイル32とを収納する収納空間を形成するための仕切り部材34と有する。
【0028】
心材31は、磁性体により構成されており、第1構成部材35と第2構成部材36とを有する。第1構成部材35は、軸部37(円柱部)と、ダイヤフラム4に取り付けられるフランジ部38とを有する。
【0029】
また、第2構成部材36は、筒部41とフランジ部42と有する。第2構成部材36の筒部41には、第1構成部材35の軸部37が挿通され、両者は一体となっている。第2構成部材36の筒部41の内径は、フランジ部42が形成されている一端部側が小さく、他端部側が大きくなっており、筒部41の内面中途部には、段差ができている。第1構成部材35の軸部37は、第2構成部材36の筒部41のうち、その内径の小さい部分において密着している。したがって、この第2構成部材36の筒部41のうち、その内径の大きな部分と、第1構成部材35の軸部37との間には隙間44が生じている。
【0030】
仕切り部材34は、第1仕切り部材51と第2仕切り部材52とを有する。第1仕切り部材51は、筒部53とフランジ部54とを有する。第1仕切り部材51の筒部53の外周には電磁コイル32が巻き付けられている。第2仕切り部材52は、円板状に構成され、その中央部に、第1仕切り部材51の筒部53を挿通する挿通孔55が形成されている。前記電磁コイル32は、この第2仕切り部材52と第1仕切り部材51のフランジ部54との間に位置している。
【0031】
図1に示すように、第2構成部材36は、第1仕切り部材51の筒部53内に挿通されており、この筒部53の軸心方向に沿って往復スライド運動可能となっている。なお、第2構成部材36のフランジ部42には、第1仕切り部材51のフランジ部54と対向する側の面に、円環状の緩衝材61が設けられている。この緩衝材61は、第2構成部材36が往復スライド運動をしているときに、そのフランジ部42が第1仕切り部材51のフランジ部54と接触したときの衝撃を吸収し、帯磁を防止するためのものである。
【0032】
コイルバネ33は、その一部が、心材31の第1構成部材35と第2構成部材36との隙間44に入れられている。このコイルバネ33の一端部は、第2構成部材36内の段差の部分に形成される、軸方向を向いた壁面63に当接している。コイルバネ33の他端部は、第2ケース部材12の内壁面64に当接している。
【0033】
このコイルバネ33は、自然長の状態から収縮されて、心材31と第2ケース部材12(筒部19の内壁面64)との間に配置されている。したがって、このコイルバネ33は、その弾性復元力によって、心材31を、第2ケース12の筒部19に形成された内壁面64から離れる方向、すなわち、第1ケース部材11の凹部14に向かう方向に、押圧している。
【0034】
駆動手段5は、ポンプ1外に設けられた駆動源(例えば電源)から電磁コイル32に電力が供給されることによって生じる電磁力と、コイルバネ33の弾性力の相互作用により、第1仕切り部材51の筒部53内において、心材31を所定のストロークで往復動させる。これにより、心材31に連結されたダイヤフラム4は、所定の運動(振動)を行うことができる。
【0035】
本実施形態では、駆動手段5として用いられている前記コイルバネ33は、ポンプ1の運転時に、駆動手段5の一部として機能するが、ポンプ1を運転していないときは、ダイヤフラム4を所定の方向に押圧するための押圧手段6として機能する。
【0036】
具体的には、このコイルバネ33は、上述のように心材31をポンプ室2(凹部14)に向けて付勢している。したがって、ダイヤフラム4は、このコイルバネ33によって、このダイヤフラム4が対向するポンプ室2の対向壁面(第1ケース部材11の凹部14の底面)26に向かう方向(近づく方向)に押圧されている。
【0037】
ポンプ1を運転しない場合には、前記電磁コイル32の電磁力が心材31に作用せず、この心材31は、コイルバネ33の弾性復元力によって、ポンプ室2側に向かって押圧され、ポンプ室2側に移動する。これによって、ダイヤフラム4は、心材31に押圧されて、ポンプ室2の対向壁面26に向かって伸張する。バネの弾性復元力は、ダイヤフラム4の内面が対向壁面26に当接するまで伸張するように設定されている。そして、バネの弾性復元力は、ダイヤフラム4の内面が対向壁面26に当接したとき、これによって生じるダイヤフラム4の弾性復元力よりも大きくなるように設定されている。
【0038】
以下、上記構成のポンプ1の作用について説明する。
【0039】
まず、ポンプ1を運転すると、駆動手段5は、ダイヤフラム4を駆動して所定の運動(振動)をさせ、このダイヤフラム4の動きによって、ポンプ室2の体積が変化することで、吸入口15aから流体をポンプ室2に吸入し、そして、このポンプ室2の流体を吐出口16aから吐出することにより、吐出部16に接続された流路に沿って流体を搬送することができる。
【0040】
また、ポンプ1の運転を停止すると、駆動手段が停止する。すなわち、心材31は、電磁コイル32の電磁力が作用しなくなるため、前記コイルバネ33によって押圧され、ポンプ室2に向かう方向に移動する。このとき、ダイヤフラム4は、心材31によってポンプ室2の対向壁面26に向かって押圧される。これにより、ダイヤフラム4は伸張し、このダイヤフラム4の内面が、この対向壁面26に密着する(図3参照)。
【0041】
このとき、ダイヤフラム4の内面27は、対向壁面26側に形成されている吸入口15aおよび吐出口16aを覆って閉塞する(以下、この状態を「閉塞状態」という)。すなわち、このダイヤフラム4の内面27は、ポンプ1の停止時(駆動手段5の停止時)において、吸入口15aおよび吐出口16aを閉塞する閉塞面となっている(以下、この閉塞面にも符号27を用いる)。この閉塞面27の面積は、当然に、吸入口15a、吐出口16aの開口面積より大きく設定されている。このように、ダイヤフラム4は、ポンプ運転時は、搬送流体を圧送する圧送手段として機能するが、ポンプ停止時は、その一部(閉塞面27)が吸入部15a、吐出部16aを塞ぐ弁体として機能する。
【0042】
タイヤフラム4が閉塞状態にあるとき、押圧手段6としてのコイルバネ33は、その弾性復元力が、この閉塞状態におけるダイヤフラム4の弾性復元力よりも大きいため、ポンプ1停止時は、常にこの閉塞状態(流路の遮断状態)が維持されることになる。
【0043】
ポンプ1は、このダイヤフラム4の閉塞面27によって吐出口16a、吸入口15aを閉塞することにより、ポンプ停止時におけるポンプ室2の流体の流れを遮断することができる。換言すれば、ポンプ1は、その一部(閉塞面27)が搬送流体の流路の一部を遮断する弁体(ダイヤフラム4)を有する。したがって、例えば、吐出部16に接続された配管から流体を下方に流下させるような場合であっても、配管内に残る流体に作用する重力によってこのポンプ室2から流体が漏れ出るということを防止できる。
【0044】
なお、吐出部15に設けられている逆止弁18は、その付勢手段(コイルバネ)18bによって、球体(弁体)18aが、吐出口16aを、ポンプ室2とは反対側から閉塞するが、吐出部16に接続された配管から流体を落下する状況でこのポンプ1を使用する場合には、ポンプ1の停止時に、この配管に残る流体(液体)の自重によって作用する負圧により、この逆止弁18による吐出口16aの閉塞が解除され、ポンプ室2の流体が外部に漏出してしまう。したがって、上記のように、ダイヤフラム4の閉塞面27によって吐出口16aを確実に閉塞することが望ましい。
【0045】
また、別の観点からみると、ポンプ1停止時は、押圧手段6(コイルバネ33)の作用によって、ダイヤフラム4の閉塞面(内面)27がポンプ室2の対向壁面26に当接することにより、ポンプ室2の体積をほぼ0にすることができる。すなわち、このとき、ポンプ室2の流体は、ポンプ室2の流体は、このようなダイヤフラム4の動きによって、そのほとんどが吐出口16aから排出される。このように、ダイヤフラム4は、ポンプ1停止後において、ポンプ室2の流体のほとんど全てを吐出口16aから強制的に排出させる排出手段としても機能する。
【0046】
図4、図5は、本発明に係るポンプ1の第2実施形態を示している。第2実施形態に係るポンプ1は、第1実施形態と同様に、ケース本体3、ダイヤフラム4、駆動手段5、押圧手段6を有する。ダイヤフラム4は、第1実施形態と同様のものが用いられており、駆動手段5には、心材31と電磁コイル32がユニット化されたソレノイドが用いられている。また、このソレノイドの心材31の一端部には、心材31とダイヤフラム4とを連結する連結部材70が設けられている。
【0047】
ケース本体3は、第1ケース部材11、第2ケース部材12を有し、第1実施形態で示した第3ケース部材13を有していない。第1ケース部材11は、第1実施形態と同様のものが用いられている。第2ケース部材12は、第1実施形態と同様に、筒部19とフランジ部20と有する。この第2ケース部材12は、そのフランジ部20が第1ケース部材11とともにダイヤフラム4を挟持するように構成され、このフランジ部20を第1ケース部材11に固定することにより、ダイヤフラム4を第1ケース部材11に固定できるようになっている。
【0048】
また、この第2ケース部材12の筒部19内には、駆動手段5を固定する固定部71が形成されている。この第2ケース部材12は、ボルト等の固定手段を介して、駆動手段5を固定部71の内面に固定して支持するようになっている。固定部71のほぼ中央部には、駆動手段5の心材31の端部が挿通される挿通孔72が形成されている。
【0049】
押圧手段6は、第2ケース部材12の筒部19に設けられている。第1実施形態では、押圧手段6として、コイルバネ33が用いられていたが、この第2実施形態では、板状バネ状の弾性体74が用いられる。この板状バネ状の弾性体74には、第2ケース部材12の筒部19に取り付けるための取付部75が設けられている。この弾性体74は、第2ケース部材12の固定部71の挿通孔72に挿通されて突出している駆動手段5の心材31の端部に当接している。この弾性体74は、弾性変形した状態で、この心材31の端部に当接しており、これによって心材31をポンプ室2に向かう方向に押圧している。
【0050】
この第2実施形態においても、ポンプ1の運転時には、駆動手段5によってダイヤフラム4を運動(振動)させ、所定の搬送流体を吸入部15、ポンプ室2、吐出部16の順に搬送できる。また、ポンプ1は、運転を停止したときに、押圧手段6によってダイヤフラム4が押圧されることにより、第1実施形態と同様に、ダイヤフラム4の閉塞面(内面)27は、ポンプ室2の対向壁面26に当接、密着して、吸入口15a、吐出口16aを閉塞する。これによって、ポンプ室2内の流体が吐出部16から漏れ出ないようになっている。
【0051】
第2実施形態のその他の部分は、第1実施形態とほぼ同様の構成であり、第2実施形態が第1実施形態と共通する要素には、第1実施形態と共通の符号を付して、その説明を割愛する。
【0052】
図6は、本発明に係るポンプ1を用いたポンプ装置81を示している。このポンプ装置81は、ポンプ1と、流体用のタンク82と、ポンプ1を駆動する駆動源(例えば電源)83と、タイマ(図示せず)と、これらを収納するケース84とを有する。
【0053】
ケース84は、ケース本体86と、ケース本体86に対して開閉自在なカバー87とを有する。タンク82は、合成樹脂等によって、収縮可能な袋状に構成されている。駆動源83は、図6(c)に示すように、ケース本体86の下部に配置されており、この駆動源83の上側にタンク82が配置されている(図6(b)参照)。
【0054】
ポンプ1の吸入部15とタンク82とは、接続管88によって連結されており、タンク82に収容された液体を吸入部15を介してポンプ室2に吸入できるようになっている。また、ポンプ1の吐出部16には、ポンプ室2から吐出された流体を流出させる流出管89が接続されている。流出管89は、ケース本体86の側壁に貫通形成された挿通孔に挿通され、その端部がケース本体86外に出ている。このポンプ装置81には、接続管88、ポンプ1、および流出管89によって、タンク82内の流体を流出管88の端部まで搬送するための搬送流路が構成されている。そして、このポンプ装置81は、この搬送流路の中途部に設けられたポンプ1を介して、タンク82内の流体を流出管89の端部から流出させるようになっている。
【0055】
タイマは、ケース本体86内またはケース本体86の外面に取り付けられており、一定時間毎、または設定された時刻に、ポンプ1を始動させることができる。
【0056】
このポンプ装置81は、例えば、薬液(液体)を下方に流下させる薬液流下装置として用いられる。すなわち、タンク82には、例えば、所定の薬液が収容されており、この薬液流下装置は、例えば、小便器および小便器配水管(以下「小便器等」という)に付着している尿石を除去し、または、小便器等に尿石等が付着することを防止するために、所定のタイミングで、流出管89を介して薬液を小便器等の壁面等に沿って流すことができる。このように使用する場合には、薬液は小便器等の壁面の上部位置から下方に薬液を流すことが望ましく、したがって、流出管89の端部をケースよりも下方位置に設けて、その端部から薬液を下方に流下させることが望ましい。
【0057】
なお、本発明は上記の実施形態に限らず、種々の変形・変更が可能である。
【0058】
例えば、上記の実施形態では、ダイヤフラム4の閉塞面(内面)が吸入口15a、吐出口16aを閉塞するように構成された例を示したが、この閉塞面が吐出口16aのみを閉塞する、換言すれば、少なくとも吐出口16aを閉塞するような構成であってもよい。
【0059】
また、上記の実施形態では、押圧手段6として、コイルバネ33、板バネ状の弾性体74を例示したが、これに限らず、例えば弾性を有する合成樹脂等の材料によって形成された膜体その他の種々のものを用いることができる。また押圧手段6は弾性体に限らず、所要の圧力で、ダイヤフラム4を押圧できるものであればよい。
【0060】
上記実施形態では、逆止弁17,18の球体17a,18aを付勢する付勢手段として、コイルバネ17b,18bを例示したが、これに限らず、球体を17a,18bを付勢する力を有する弾性体、その他の種々の部材を用いることができる。
【0061】
上記の実施形態では、ポンプ室の搬送流体を圧送する手段として、ダイヤフラムを例示したが、これに限らず、ピストンその他の種々の手段を採用してもよい。この場合、このピストン等は、その端面によって、吸入口、吐出口を閉塞する弁体として用いられる。
【0062】
上記の実施形態では、2つの逆止弁が設けられているポンプを例示したが、これに限らず吸入口側、または吐出口側のいずれか一方に1つ(すなわち少なくとも1つ)の逆止弁を設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第1実施形態に係るポンプの断面図である。
【図2】同じくポンプの組み立て図である。
【図3】同じくダイヤフラムがポンプ室2内の流体の流れを遮断した状態を示す断面図である。
【図4】第2実施形態に係るポンプの組立図である。
【図5】同じくダイヤフラムがポンプ室内の流体の流れを遮断した状態を示す断面図である。
【図6】ポンプを用いたポンプ装置を示す斜視図であり、(a)はその斜視図、(b)は、(a)の状態からカバーを取り外した状態を示す斜視図、(c)は、(b)の状態からさらに液体タンクを除いた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0064】
1…ポンプ、2…ポンプ室、3…ケース本体、4…ダイヤフラム、11…第1ケース部材、12…第2ケース部材、13…第3ケース部材、14…凹部、15…吸入部、15a…吸入口、16…吐出部、16a…吐出口、17…逆止弁、17a…球体、17b…コイルバネ、18…逆止弁、18a…球体、18b…コイルバネ、19…筒部、20…フランジ部、21…固定部材、23…凹部、24…挿通孔、26…対向壁面、27…ダイヤフラムの内面(閉塞面)、31…心材、32…電磁コイル、33…コイルバネ、34…仕切り部材、35…第1構成部材、36…第2構成部材、37…軸部、38…フランジ部、41…筒部、42…フランジ部、44…隙間、51…第1仕切り部材、52…第2仕切り部材、53…筒部、54…フランジ部、55…挿通孔、61…緩衝材、63…壁面、64…第2ケース部材の内壁面、71…固定部、72…挿通孔、74…板バネ状の弾性体、75…取付部、81…ポンプ装置、82…タンク、83…駆動源、84…ケース、86…ケース本体、87…カバー、88…接続管、89…流出管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容積変化により搬送流体を駆動するポンプ室と、
吸入口と、吐出口と、
ポンプ室を駆動する駆動手段と、
少なくとも1つの逆止弁と、を有するポンプにおいて、
駆動手段を停止したときに、ポンプ室内の搬送流体の流れを遮断するように構成されてなることを特徴とするポンプ。
【請求項2】
容積変化により搬送流体を駆動するポンプ室と、
吸入口と、吐出口と、
ポンプ室を駆動する駆動手段と、
少なくとも1つの逆止弁と、を有するダイヤフラム式ポンプにおいて、
駆動手段を停止したときに、ポンプ室内の搬送流体の流れを遮断するように構成されてなることを特徴とするポンプ。
【請求項3】
ポンプ室内の搬送流体の流れを遮断する状態を駆動手段の停止状態においても維持するための押圧手段を有する請求項1または2に記載のポンプ。
【請求項4】
ポンプ室の駆動手段を停止したときに、ポンプ室の一部が流路の一部を遮断するように形成される弁体を有する請求項1または2に記載のポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−77912(P2010−77912A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247659(P2008−247659)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(591206142)京都リフレ新薬株式会社 (18)
【Fターム(参考)】