説明

マイクロミキサー

【課題】高粘度流体や異粘性流体均一に混合でき、酸性溶液等を流通させた場合でも腐食が起こりにくいマイクロミキサーの提供。
【解決手段】第一の微小管状流路を有するプレート5に第二の流体を流通する第二の微小管状流路を有するプレート7が積層した積層部11と、第一の微小管状流路の出口と第二の微小管状流路の出口とに通じ、流体が混合する混合部とを有し、プレートが金属材からなり、第一のプレートと第二のプレートの少なくとも一方が、流体供給路に通ずる微小管状流路の入り口部と、混合部に通ずる微小管状流路の出口部とを有し、該入り口部の微小管状流路が1本の流路で、出口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が、入り口部における1本の微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積より小さい断面積を有するプレートで、しかも、微小管状流路及び混合部がフッ素樹脂で被覆されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高粘度流体どうしを混合する場合や、低粘度流体とその流体よりも粘度が10倍程度高い流体を混合する場合でも均一に混合でき、しかも、流体として酸性の溶液等を流通させた場合でも溶液による腐食が起こりにくいマイクロミキサーに関する。
【背景技術】
【0002】
晶析等による微粒子製造工程や化学反応工程において、少なくとも二種類以上の流体の混合を目的として各種静止ミキサーが提案されている。なかでも混合する流体をマイクロ流路内に供給するマイクロミキサーが効率的な混合装置として注目されている。
【0003】
マイクロミキサーは、少なくとも二種類以上の流体を流路幅が10μmから1000μm程度のマイクロ流路で微小な流れに分割し、しかる後に混合するための機構を有している。マイクロミキサー内に供給された流体は、微小な流れに分割されたことで拡散距離が短くなり、その混合速度が速くなるため、従来の静止ミキサーに比べて短時間で効率的に混合される。
【0004】
マイクロミキサーの構造としては、例えばY字型の流路を有する構造のミキサー(Y字マイクロミキサー)が知られている。Y字型マイクロミキサーは一枚のプレートに第1流体を流す流路と第2流体を流す流路とが鋭角的、即ちY字型に交差し、1本の合流路となる構造を有している。このミキサーに供給された各流体は、流路の交差部において層流状態で合流し、相互拡散により混合される。
【0005】
上記Y字型マイクロミキサーに低粘度流体とその流体よりも粘度が10倍程度高い流体(異粘性流体)を同流量で流通した場合、二種類の流体の圧損が同じになろうとする。すなわち、粘度が低い流体は流速が速くなり、マイクロ流路の使用断面比率が小さくなる。高い粘度流体はその逆になることで圧損が同じになる。粘度差がある程度大きく場合、粘度が低い流体は極端に小さな断面の中を高速の流速で流れることになりになり、間欠送りなど不安定な流れの原因になる。このため安定した流体の流通ができず、流体を均一に混合できない問題がある。
【0006】
また、合流部のマイクロ流路を二種類の流体の粘度差に応じて流路断面積を大きくした場合でも、液体の相互拡散時間が長くなり、流体の混合性は低下する。このようにマイクロ流路内での液体の相互拡散では低粘度同士の混合では問題はない場合が多いが、異粘性流体や高粘度流体では混合性を低下する問題が多く発生する可能性が高い。
【0007】
前記Y字型マイクロミキサー以外の他のマイクロミキサーとしては、例えば、混合対象である反応物Aが流れる微細チャンネルが形成されたプレートと、反応物Bが流れる微細チャンネルが形成されたプレートとが積層された構造を有する積層型マイクロミキサーが知られている(例えば、特許文献1参照)。該積層型マイクロミキサーが有する各微細チャンネルは、プレートの上面からみて鋭角をなす状態で配置され、各流体は各微細チャンネルの出口に設けられた合流室で合流し、混合される。
【0008】
特許文献1に記載された積層された構造と、流体を合流させる合流室とを設けたマイクロミキサー(出口混合型マイクロミキサー)は、上下に積層配置した二枚のプレートの、それぞれのプレートにマイクロ流路を形成し、形成されたそれぞれのマイクロ流路は共通の出口である混合室に向かい交差している構造を有する。また、該流路幅及び深さは250μm以下であり、低粘度で瞬時に混合し易い流体を対象としており、高粘度流体同士や異粘性流体に対応したミキサーではない。その為、特許文献1に記載されたミキサーに高粘度流体や異粘性流体を流通した場合、圧損や詰まり等が発生し、流通が困難となり、十分に混合できなくなる恐れがある。しかも、特許文献1において積層型マイクロミキサーが金属材、例えばステンレス鋼、アルミ等からなっている場合、流体として酸性の溶液等を流通させると、金属材の腐食が起こる問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表平9−512742号公報(12頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、高粘度流体どうしを混合する場合や、低粘度流体とその流体よりも10倍程度高い流体を混合する場合でも混合効率が良好で、均一に混合でき、しかも、流体として酸性の溶液等を流通させた場合でも溶液による腐食が起こりにくいマイクロミキサーを提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一般的に、マイクロミキサーにフッ素樹脂を含有する層を被覆することで酸性の溶液等を流通させた場合でも溶液による腐食が起こりにくくなることは知られている。本発明者らは上記知見を基に鋭意検討した結果、混合対象である反応物Aが流れる微細チャンネルが形成されたプレートと、反応物Bが流れる微細チャンネルが形成されたプレートとが積層された構造を有する積層型マイクロミキサーにおいて、少なくとも一方のプレートが、流体供給路と連通する微小管状流路の入り口部と、混合部に連通する微小管状流路の出口部とを有し、該入り口部の微小管状流路が1本の流路であり、しかも、出口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が、入り口部における1本の微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積より小さい断面積とすることにより、高粘度流体どうしを混合する場合や、低粘度流体とその流体よりも粘度が10倍程度高い流体を混合する場合でも混合効率が良好で、均一に混合できること、酸性の溶液等を流通させた場合でも溶液による腐食が起こりにくいように微小管状流路及び混合室内部をフッ素樹脂を含有する層を被覆しても、溶液の均一な混合が可能であること等を見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、 第一の流体が流通する流体供給路と連通する第一の微小管状流路を有する第一のプレートに第二の流体が流通する流体供給路と連通する第二の流体を流通する第二の微小管状流路を有する第二のプレートが積層した積層部と、第一の微小管状流路の出口と第二の微小管状流路の出口とに連通し、第一の流体と第二の流体とが混合する混合部とを有するマイクロミキサーであり、第一のプレートと第二のプレートが金属材からなり、第一のプレートと第二のプレートの少なくとも一方が、流体供給路に通ずる微小管状流路の入り口部と、混合部に連通する微小管状流路の出口部とを有し、該入り口部の微小管状流路が1本の流路で、出口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が、入り口部における1本の微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積より小さい断面積を有するプレートで、しかも、第一の微小管状流路、第二の微小管状流路及び混合部がフッ素樹脂を含む樹脂層で被覆されていることを特徴とするマイクロミキサーを提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のマイクロミキサーは微小管状流路の入り口部における流体断面積に比べて出口部における流体断面積が小さくなるように微小流路が形成され、しかも微小管状流路と混合部がフッ素樹脂を含有する樹脂層で被覆されている。その為、微小流路を流れる流体は圧力損失の影響を受けず、流体の流速を高めることができ、乱流となり混合効率を向上させることができるとともに、流体による腐食もおきにくい利点がある。また、フッ素樹脂の被覆は、顔料等混合部で微粒子が生成する場合は混合部での微粒子の堆積による閉塞防止等に効果がある。よって、本発明のマイクロミキサーはステンレス鋼等の金属材を腐食させやすい流体を混合する場合で高粘度流体どうしを混合する場合、低粘度流体とその流体よりも粘度が著しく高い流体を混合する場合などに得に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一実施形態のマイクロミキサーの概略図。
【図2】マイクロミキサーが有する積層体の分解斜視図。
【図3】マイクロミキサーの構成部材である第一のプレートの斜視図。
【図4】マイクロミキサーの構成部材である別例の第一のプレートの斜視図。
【図5】マイクロミキサーの構成部材である別例の第一のプレートの斜視図。
【図6】マイクロミキサーの構成部材である別例の第一のプレートの斜視図。
【図7】マイクロミキサーの構成部材である第二のプレートの斜視図。
【図8】マイクロミキサーの構成部材である別例の第二のプレートの斜視図。
【図9】熱交換媒体が流通する流路を設けたプレートを有するマイクロミキサーが有する積層体の分解斜視図
【図10】別途のマイクロミキサーの概略図
【図11】実施例で用いた製造装置を模式的に示す概略構想図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のマイクロミキサーを具体化した一実施形態を図1〜図10に従って説明する。図1は、マイクロミキサーの一例を示す概略図である。
【0016】
マイクロミキサーは、中空状のケースCを有し、このケースCの中には第一の流体(F1)が流通する流体供給路と連通する第一の微小管状流路を有する第一のプレートに第二の流体(F2)が流通する流体供給路と連通する第二の流体を流通する第二の微小管状流路を有する第二のプレートが積層した積層部を有する積層体110が固定されている。
【0017】
マイクロミキサーは、第一のプレートと第二のプレートが積層した積層部に加え、例えば、図1に示すように熱交換媒体を流通させる熱交換媒体流路を有する温調プレートが積層してあるミキサーが好ましい。
【0018】
更に、流体F1と流体F2の熱交換を行う熱媒体H11が流れる熱交換媒体流路を有する温調プレートが積層体110に積層されている事が、流体F1及び流体F2の温度を均一化でき、流体F1と流体F2の温度の差による混合効率の低下を減少できることから好ましい。
【0019】
前記マイクロミキサーのケースCの左端C1には、第1の流体(F1)をケースC内に供給する第1流体供給部1Aが設けられ、ケースCの下部右端C2には、第2の流体(F2)をケースC内に供給する第2流体供給部2Aが設けられている。以下、これらの各流体供給部1A,2Aを区別しないで説明する場合には、単に流体供給部1として説明する。
【0020】
流体供給部1Aは、ケースCの左端部に形成された開口部1Bと、開口部1Bに連結されたコネクタ1Cとを有している。コネクタ1Cは、第1の流体(F1)が流通する流体供給路に通じており、従って、この流体供給路は第一のプレートの第一の微小管状流路に通じている。そして、この流体供給路は第1の流体(F1)を貯留するタンクや、加圧ポンプ、このポンプに連結された管路等を含む圧送機構と接続されており、第1の流体(F1)はその機構により加圧状態でコネクタ1C側に圧送されるようになっている。開口部1BとケースC内に固定された積層体11の側面11aには空間が設けられ、該空間は上記圧送機構から送出された第1の流体(F1)を一時貯留する貯留部S1として機能する。
【0021】
流体供給部2Aは、ケースCの下部右端に形成された開口部2Bと、開口部2Bに連結されたコネクタ2Cとを有している。コネクタ2Cは、第2の流体(F2)が流通する流体供給路に通じており、従って、この流体供給路は第二のプレートの第二の微小管状流路と連通している。そして、この流体供給路は第2の流体(F2)を貯留するタンクや、加圧ポンプ、このポンプに連結された管路等を含む圧送機構と接続されており、第2の流体(F2)はその機構により加圧状態でコネクタ3B側に圧送されるようになっている。開口部1BとケースC内に固定された積層体11の側面11b(記載漏れか)には空間が設けられ、該空間は上記圧送機構から送出された第2の流体(F2)を一時貯留する貯留部S2として機能する。
【0022】
また、ケースCの下部左端C3には、熱媒H1をケースC内に供給する熱媒供給部3Aが形成されている。熱媒供給部3Aは、上記流体供給部1A、2Aと同様に開口部3B、コネクタ3Cを有している。熱媒供給部3Aに供給された熱媒H1は、積層体11内に形成された流路を通過し、ケースCの上端C4に形成された熱媒送出部4AからケースC外部へ送出される。熱媒送出部4Aは、上記流体供給部1A、2Aと同様に開口部4B、コネクタ4Cをそれぞれ有している。
【0023】
また、ケースCの右端C4は、ケースCの右端部に形成された開口部5Bと開口部5Bに連結されたコネクタ5Cからなる送出部5Aを有している。開口部5BとケースC内に固定された積層体11の側面11cには空間が設けられ、該空間は、第一の微小管状流路の出口と第二の微小管状流路の出口とに通じ、第一の流体と第二の流体とが混合する混合部S3として機能する。S3の体積としては、発生する圧力損失、高粘度流体及び異粘性流体の安定した通流、混合力、装置的強度を考慮する。各流体の粘性や目的とする混合度合等に応じて変更可能である。特に第一の流体と第二の流体との粘度差が大きい、例えば、10倍以上の場合、安定した流通を行うために混合部S3の断面積を大きくすることが、第一の流体と第二の流体との均一な混合体が得られることから好ましい。加えて、第一の流体と第二の流体との粘度差が大きく、高粘度流体の流量が低粘度流体の流量を比べて大きい場合は、さらに混合部の断面積を大きくする必要がある。
【0024】
前記混合部S3の第一の微小管状流路の出口と第二の微小管状流路の出口とに通じる断面の面積は第一の流体と第二の流体との安定した流通を行うためから1.0mm以上が好ましい。
【0025】
また、前記混合部S3の第一の微小管状流路の出口と第二の微小管状流路の出口とに通じる断面の面積が、第一の微小管状流路の出口の断面積と第二の微小管状流路の出口の断面積の合計に対して2〜200倍であるマイクロミキサーが、流通が安定し、混合部S3部でも滞留がない良好な混合が達成できることから好ましく、4〜100倍がより好ましい。
【0026】
第一の流体(F1)及び第二の流体(F2)は、各流体供給部1A、2AからケースC内部に供給され、積層体11に形成された第1の微小管状流路及び第2の微小管状流路にそれぞれ流通する。そして、第1の微小管状流路の出口に到達した第一の流体(F1)及び第2の微小管状流路の出口に到達した第二の流体(F2)は、これらの出口部に通ずる混合部S3へと排出され、混合される。得られた混合流体(F3)は、送出部5AからケースC外部へ送出される。尚、マイクロミキサーのケースCや各流体供給部1A、2A、送出部5Aの位置等は上記構成に限定されず、適宜変更可能である。
【0027】
次に、上記積層体11について説明する。図2に示すように、積層体11は、長方形状の各カバープレートP1、P2との間に、流路が形成されたプレート群13を備えている。
【0028】
プレート群13は、2枚の第一のプレート5と2枚の第二のプレート7とが積層されて構成されている。本実施形態では第一のプレートと第二のプレートとが交互に積層された積層体を形成している。
【0029】
カバープレートP1、P2、第一のプレート5及び第二のプレート7は、その外形が同じ長方形状に形成されている。また、カバープレートP1、P2、第一のプレート5及び第二のプレート7の材質は特に限定されず、例えばステンレス、アルミ、ニッケル合金等の金属材が挙げられ、中でもステンレスが流路を形成するための加工が容易で、各プレートを液漏れ等が生じ難い密着状態で互いに固定できる材質であることから好ましい。また、各プレートを同じ材質から形成しても良いし、異なる材質で形成してもよい。例えば、各プレートをステンレス鋼から形成し、パッキン剤により密着状態で固定してもよい。各プレートの加工方法は、例えば切削、エッチング、フォトリソグラフィー、レーザーアプレーション等の公知の各種方法のうち、その材質に応じた好適な方法を選択できる。
【0030】
次に、第一のプレート5と第二のプレート7について詳述する。図3に示すように第一のプレート5には矩形且つ板状の第一の微小管状流路形成部6Aを有している。
【0031】
第一の微小管状流路形成部6Aは、その上面6aにおける短手方向(図中Y方向)の中央部に1本以上の第一の微小管状流路6を有している。第一の微小管状流路6は第一の微小管状流路形成部6Aの左側端6bから右側端6cに向かって溝状に形成されており、左側端6b、右側端6c及び上面6aにおいて開口している。左側端6bの開口は第一の微小管状流路6の入口6dであって、右側端5cの開口は第一の微小管状流路6の出口6eとなる。入口6dは、第1の流体F1が供給される上記第1流体供給部1Aに連通している。
【0032】
第一の微小管状流路6は、通流方向に直交する方向における断面が矩形状をなす流路であって、左側端6bから右側端6cまで延びている。第一の微小管状流路6の幅及び深さは、流体の温度分布の均一性や装置的強度を確保するために例えば幅0.1mm以上100mm以下、深さ0.1mm以上5mm以下の範囲にすると好ましく、幅0.1mm以上20mm以下、深さ0.1mm以上2mm以下の範囲がより好ましい。さらに幅0.1mm以上20mm以下、深さ0.1mm以上1mm以下の範囲がより好ましい。すなわち、大径部16の形状としては、圧損が大きくなりすぎず、流路閉塞が生じにくく、流路の加熱・冷却の迅速な制御が可能であって、流体の流速を高めることができ、せん断力が作用し、微乱流を伴う状態での分子拡散となり混合効率を向上させることができる流路形状であれば良い。
【0033】
また、第一の微小管状流路6f内を液密状に流通する流体の断面積としては、0.01〜500mmが好ましく、0.01〜40mmがより好ましい。さらに0.01〜20mmがより好ましい。
【0034】
また、第一の微小管状流路6内を液密状に流通する流体の断面積としては、0.01〜500mmが好ましく、0.01〜40mmがより好ましい。さらに0.01〜20mmがより好ましい。
【0035】
図3において第一の微小管状流路6は5本配置されているが、本数には特に制限はない。複数本配置する場合、各々の微小管状流路6の幅及び深さは同一でも良いし異なっていても良い。また、第一の微小管状流路6の入口と出口の流路幅は同一であっても良いし、異なっていても良い。第一プレートの更なる例示を図4に示す。
【0036】
前記マイクロミキサーの中でも、前記第一のプレート(5)が、流体供給路に通ずる微小管状流路の入り口部と、混合部に通ずる微小管状流路の出口部とを有し、しかも、出口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が、入り口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積より小さい断面積を有するプレートであり、第二のプレートが、流体供給路に通ずる微小管状流路の入り口部と、混合部に通ずる微小管状流路の出口部とを有し、該入り口部の微小管状流路が1本の流路で、しかも、出口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が、入り口部における1本の微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積より小さい断面積を有するプレートであるミキサーが、混合効率が良好なことから好ましい。このような第一のプレートとして、例えば、図5に示すプレート等を例示することができる。
【0037】
図5に示す第一のプレート5には矩形且つ板状の第一の微小管状流路形成部6Aを有している。第一の微小管状流路形成部6Aは、その上面6aにおける短手方向(図中Y方向)の中央部に1本以上の第一の微小管状流路6を有している。第一の微小管状流路6は第一の微小管状流路形成部6Aの左側端6bから右側端6cに向かって溝状に形成されており、左側端6b、右側端6c及び上面6aにおいて開口している。左側端6bの開口は第一の微小管状流路6の入口6dであって、右側端6cの開口は第一の微小管状流路6の出口6eとなる。入口6dは、第1の流体F1が供給される上記第1流体供給部1Aに連通している。
【0038】
また、図5において、第一の微小管状流路6は、流路径の大きい大径部6fと流路径の小さい小径部6gと、大径部6fから小径部6gへの径変化を穏やかにするテーパー部6hが設けられている。
【0039】
大径部6fは、通流方向に直交する方向における断面が矩形状をなす流路であって、左側端6bから右側端6cの手前まで延びている。大径部6fの幅及び深さは、流体の温度分布の均一性や装置的強度を確保するために、例えば幅0.1mm以上100mm以下、深さ0.1mm以上5mm以下の範囲にすると好ましく、幅0.1mm以上20mm以下、深さ0.1mm以上2mm以下の範囲がより好ましい。さらに幅0.1mm以上20mm以下、深さ0.1mm以上1mm以下の範囲がより好ましい。すなわち、大径部16の形状としては、圧損が大きくなりすぎず、流路閉塞が生じにくく、流路の加熱・冷却の迅速な制御が可能であって、流体の流速を高めることができ、せん断力が作用し、微乱流を伴う状態での分子拡散となり混合効率を向上させることができる流路形状であれば良い。
【0040】
また、第一の微小管状流路6f内を液密状に流通する流体の断面積としては、0.01〜500mmが好ましく、0.01〜40mmがより好ましい。さらに0.01〜20mmがより好ましい。
【0041】
小径部6gも断面矩形状に形成された流路であって、右側端6fの手前から右側端6cに向かって延びている。小径部6gは、少なくとも大径部16の断面積よりも小さい断面積となればよいが、例えば幅0.1mm以上20mm以下、深さ0.1mm以上5mm以下の範囲、幅0.1mm以上5mm以下、深さ0.1mm以上2mm以下の範囲がより好ましい。さらに幅0.1mm以上5mm以下、深さ0.1mm以上1mm以下の範囲がより好ましい。すなわち、小径部6gの形状としては、圧損が大きくなりすぎず、流路閉塞が生じにくく、流路の加熱・冷却の迅速な制御が可能であって、特に流体の流速を高めることができ、せん断力が作用し、微乱流を伴う状態での分子拡散となり混合効率を向上させることができる流路形状であれば良い。
【0042】
また、図5における第一の微小管状流路6g内を液密状に流通する流体の断面積としては、0.01〜100mmが好ましく、0.01〜10mmがより好ましい。さらに0.01〜5mmがより好ましい。
【0043】
図5における第一の微小管状流路6gを流通する際の流体の速度は流体に作用するせん断力が高まることから0.1m/秒以上が好ましく、0.3m/秒以上がより好ましい。更に好ましくは1.0m/秒以上で3.0m/秒以上が特に好ましい。特に、高粘度同士の流体を混合する場合や粘度の大きく異なる粘度の流体を混合する場合の流速は1.0m/秒以上が好ましい。
【0044】
図5において第一の微小管状流路6は3本配置されているが、本数には特に制限はない。複数本配置する場合、各々の微小管状流路6の幅及び深さは同一でも良いし異なっていても良い。また、第一の微小管状流路6の入口と出口の流路幅は同一であっても良いし、異なっていても良い。第一プレートの更なる例示を図6に示す。
【0045】
第一の微小管状流路に流通させる流体の粘度は2000mPa・s以下が好ましく、1000mPa・s以下がより好ましい。さらに好ましくは500mPa・s以下である。
【0046】
次に、第二のプレート7について詳述する。図7に示すように第二のプレート7には矩形且つ板状の第二の微小管状流路形成部7Aを有している。
【0047】
第二の微小管状流路形成部7Aは、その上面7aに1本の第二の微小管状流路8を有している。第二の微小管状流路8は、第二の微小管状流路形成部7Aの下側端7bから短手方向(7c方向、図中Y方向)に向かって溝状に形成され、更に、Y方向の中央付近で1回右端方向に直角に屈曲しており、下側端7b、右側端7d及び上面7aにおいて開口している。下側端7bの開口は第二の微小管状流路8の入口8aであって、右側端7dの開口は第一の微小管状流路6の出口8bとなる。入口8aは、第2の流体F1が供給される上記第2流体供給部2Aに連通している。
【0048】
本発明で用いる第二のプレートが有する微小管状流路は、出口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が、入り口部における1本の微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積より小さい断面積である。このような構造を有することにより、第二の流体F2は入り口部において大径部の入口8aを流れ、小径部8bに流入する。小径部に流入した各流体第二の流体F2は、入口に流入したときの流速よりも大きな流速で出口8bに流入し、混合部(図1におけるS3)流入する。その結果、第一の流体F1と第二の流体F2との混合速度を高めることができる。特に、第一の流体F1、第二の流体F2のうち少なくとも一方が、流動性が低く混合しにくい流体である場合、即ち高粘度流体である場合や、互いに粘度が大きく異なる場合等に特に効果を発揮することができる。
【0049】
前記大径部の幅及び深さは、流体の温度分布の均一性や装置的強度を確保するために、例えば幅0.1mm以上100mm以下、深さ0.1mm以上5mm以下の範囲にすると好ましく、幅0.1mm以上20mm以下、深さ0.1mm以上2mm以下の範囲がより好ましい。すなわち、大径部の形状としては、圧損が大きくなりすぎず、流路閉塞が生じにくく、流路の加熱・冷却の迅速な制御が可能であって、混合性能を向上させることができる流路形状であれば良い。
【0050】
また、大径部を液密状に流通する流体の断面積としては、0.01〜500mmが好ましく、0.01〜40mmがより好ましい。
【0051】
前記小径部の断面積は、少なくとも大径部の断面積よりも小さい断面積となればよい。小径部の幅及び深さは例えば幅0.1mm以上20mm以下、深さ0.1mm以上5mm以下の範囲、幅0.1mm以上5mm以下、深さ0.1mm以上2mm以下の範囲がより好ましい。さらに幅0.1mm以上5mm以下、深さ0.1mm以上1mm以下の範囲がより好ましい。すなわち、小径部6gの形状としては、圧損が大きくなりすぎず、流路閉塞が生じにくく、流路の加熱・冷却の迅速な制御が可能であって、特に流体の流速を高めることができ、せん断力が作用し、微乱流を伴う状態での分子拡散となり混合効率を向上させることができる流路形状であれば良い。
【0052】
また、小径部を液密状に流通する流体の断面積としては、0.01〜100mmが好ましく、0.01〜10mmがより好ましい。さらに0.01〜5mmがより好ましい。
【0053】
第二の微小管状流路8bを流通する際の流体の速度は流体に作用するせん断力が高まることから0.1m/秒以上が好ましく、0.3m/秒以上がより好ましい。更に好ましくは1.0m/秒以上で3.0m/秒以上が特に好ましい。特に、高粘度同士の流体を混合する場合や粘度の大きく異なる粘度の流体を混合する場合の流速は1.0m/秒以上が好ましい。
【0054】
第二の微小管状流路に流通させる流体の粘度は2000mPa・s以下が好ましく、1000mPa・s以下がより好ましい。さらに好ましくは500mPa・s以下である。
【0055】
また、第二のプレートは図7に示したように混合部に通ずる出口部が流体の進行方向に平行して設置された複数個の壁で分割され、複数本の流路が形成されているもの以外に、例えば、図8に例示するように1本の流路でもかまわない。ここで、壁の数は、例えば、0〜250個であり、1〜50個がより好ましい。また、第二のプレート上に形成される第二の微小管状流路の数は図5に示すように1本でも良いし、図8に示すように複数本有っても良い。
【0056】
マイクロミキサーは第二のプレートが有する微小管状流路の入り口部を増やすことが容易な為、多種類の流体の混合流体を得る事も可能である。マイクロミキサーに多種類の流体を流通させる場合、例えば、少なくとも1枚の第一のプレートと少なくとも2枚の第二のプレートとが積層した積層部で、該積層部が第二のプレートが有する微小管状流路の入り口部が設置された側面と別の側面に第一のプレートが有する微小管状流路の入り口部が設置された積層部を有するマイクロミキサーを好ましく例示できる。このようなマイクロミキサーとしては、例えば、図9に示すマイクロミキサーを例示する事ができる。
【0057】
マイクロミキサーには熱交換用の媒体を流通させる温調プレートを積層しても良い。温調プレートと第一のプレートと第二のプレートとを積層したマイクロミキサーを例えば、図10に示す。
【0058】
温調プレート12は、図10に示すように、一方の面12aに温調プレート12の長手方向に沿って複数本配列された主流路13aが所定の間隔だけ離れて設けられている。主流路13aの断面積は、反応流路に対して熱を伝えることができれば特に限定されるものではないが概ね0.1〜4.0(mm)の範囲である。更に好ましくは0.3〜1.0(mm)である。主流路13aの本数は、熱交換効率を考慮して適宜の本数を採用することができ、特に限定されるものではないが、プレート当たり、例えば1〜1000本、好ましくは10〜100本である。
【0059】
温調流路12は、図10に示す様に、温調プレート12の長手方向に沿って複数本配列された主流路13aと、主流路13aの上流側及び下流側端部で主流路13aに連通する供給側流路13bおよび排出側流路13cとを備えていてもよい。
【0060】
図10では供給側流路13bと排出側流路13cは2回直角に屈曲して温調プレートの側面12d、12eからそれぞれ外部に開口している。温調流路12の各流路の本数は、温調流路12の主流路13a部分のみが複数本配列され、供給側流路13bおよび排出側流路13cはそれぞれ1本で構成されている。
【0061】
以上のように構成された積層体11において、第1流体供給部1AからケースC内へ加圧状態で供給された第1の流体(F1)は、貯留部S1に一時貯留された後、積層体110に複数設けられた第一の微小管状流路6へ分割される。また、第2流体供給部2AからケースC内へ加圧状態で供給された第2の流体(F2)貯留部S2に一時貯留された後、積層体11に複数設けられてもよい第二の微小管状流路8へ分割される。
【0062】
第一のプレート5の各第一の微小管状流路6に流入した第1の流体(F1)は、第一の微小管状流路6の出口6eへと通じ、混合部S3へと送出される。また、第二のプレート7の各第二の微小管状流路8に流入した第2の流体(F2)は、大径部から小径部にかけて流速を高めながら送出され、出口8bから混合部S3へ送出される。
【0063】
流速を高めながら混合部S3へ送出された第2の流体(F2)は、混合部S3に送出された第2の流体(F2)と混合する。このとき第2の流体(F2)の速度が高まっているため混合部S3における混合効率は向上する。
【0064】
第1の流体(F1)と第2の流体(F2)は、混合部S3において乱流を生じさせながら混じり合い、得られた混合流体(F3)は混合流体の送出部5Aに向かって流れる。そして、送出部5AからケースC外へ向かって送出される。
【0065】
本発明のマイクロミキサーは第一の微小管状流路、第二の微小管状流路及び混合部がフッ素樹脂を含む樹脂層で被覆されている。フッ素樹脂としては、例えば、PTFE=ポリテトラフルオロエチレン(4フッ化)、PFA=テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、FEP=テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(4.6フッ化)、ETFE=テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、PVDF=ポリビニリデンフルオライド(2フッ化)、PCTFE=ポリクロロトリフルオロエチレン(3フッ化)、ECTFE=クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体等が挙げられる。本発明で用いるフッソ樹脂としては、耐酸性、ピンホールが発生しにくい点からFEPが好ましい。また、耐酸性、200℃以上の高温対応に優れることから、PFAが好ましい。
【0066】
フッ素樹脂を微小管状流路や混合部にスプレーコート法により塗布し焼成することで結着された塗膜は、焼成後の厚さで10〜100μmの膜厚とするのが好ましい。より好ましくは20〜70μmである。20〜70μmとすることにより、ピンホールの発生を防ぎ、母材である金属が腐食する危険が減少し、且つ、温度制御の効率も良好とすることができる。
【0067】
本発明において、第一の微小管状流路、第二の微小管状流路及び混合部に加え、全ての箇所、例えば、プレセスプレート流路内及び他の表裏及びサイド、温調プレート流路内及び他の表裏及びサイド、流体供給部等にフッ素樹脂を塗膜することができる。但し、プロセスプレートでは熱伝導を考えた場合流路内及びプレートサイドがより好ましい。温調プレートについては、プレートサイドのみがより好ましい。プロセスプレート、温調プレートのサイドについては、各プレートを積層後にコーティングするのが好ましい。後でコーティングすることにより、各プレートの積層時に隙間を塞ぐ効果がある。この時流路がコーティング材で塞がれないように適宜処理を行う。また、プレートのコーティング材の塗工ムラがある場合は機械的研磨をおこなってよい。流路内のフッ素樹脂については、流路寸法を確保するために、機械加工等でフッ素樹脂を切削加工してもよい。また、フッ素樹脂の密着性を高めるためにブラスト加工を前処理として行うことが好ましい。
【0068】
更に、本発明のマイクロミキサーは、上記の一例以外に、図10に示すようにE液を流通させる第一のプレート1枚と、A液、B液、C液及びD液をそれぞれ流通させる第二のプレート4枚を積層し、5種類の溶液を混合するマイクロミキサーとすることができる。
【0069】
上記実施形態によれば、本発明のマイクロミキサーは以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、マイクロミキサーは、第一の微小管状流路を有する第一のプレートに第二のプレートが積層した積層部と混合部とを有し、更に、第一のプレートと第二のプレートの少なくとも一方が、該入り口部の微小管状流路が1本の流路であり、しかも、出口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が、入り口部における1本の微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積より小さい断面積である。このような構成とすることにより、第一の流体と第二の流体との混合効率を高めることができ、各高粘度流体又は互いに粘度が異なる異粘度流体であっても効率よく混合することができる。しかも、微小管状流路と混合部がフッ素樹脂を含む樹脂層で被覆されている為、酸性の溶液を流通しても微小管状流路と混合部が腐食しにくい。
【実施例】
【0070】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に述べる。例中、%は特に断りがない限り重量基準である。
【0071】
<実施例1で使用した反応デバイス>
実施例1では、図11に示す反応デバイスを用いた。このデバイスにおいて、用いたマイクロミキサーは図1に示すマイクロミキサーで、積層部が図2に示す積層部を有するマイクロミキサーを用いた。
【0072】
マイクロミキサーはドライエッチング加工により第一の微小管状流路が形成された第一のプレート5が1枚と、同じくエッチング加工により第二の微小管状流路が形成された第二のプレート7が1枚と、温調プレート12が2枚とを、プレート5、プレート7、温調プレート12が図2のように交互に積層されており、更にこの積層体を2枚のカバープレートで挟み込んでいる。プレートの材質はSUS304である。板厚はプレート5、プレート7が0.4mmである。温調プレート12が1.0mmである。第一のプレート5の微小管状流路の断面寸法は幅0.4mm×深さ0.2mm×長さ38mmであり、微小管状流路本数は10本である。第二のプレート7は微小管状流路の大径部8aの断面寸法は幅1.2mm×深さ0.2mm×長さ20mmである。小管状流路の小径部8bは幅0.4mm×深さ0.2mm×長さ2mmであり、微小管状流路本数は10本である。温調プレート12の断面寸法は幅1.2×深さ0.5×長さ40mmである。
【0073】
マイクロミキサーの微小流路及び混合部の被覆はスプレーコート法により膜厚が30μmになるようにフッ素樹脂を塗布し、400度にて焼成することにより行った。
【0074】
図11に示す反応デバイスにて第一の流体と第二の流体との混合溶液を得る過程を観察することにより本発明の混合装置の性能を評価した。図11おいて、第一の流体を入れるタンク61の流出口とプランジャーポンプ63の流入口とが、第一の流体が通る配管を介して接続されており、また、第二の流体を入れるタンク62の流出口とプランジャーポンプ64の流入口とが、第二の流体が通る配管を介して接続されている。プランジャーポンプ63の流出口及びプランジャーポンプ64の流出口からは、それぞれプランジャーポンプ63またはプランジャーポンプ64を通して第一の流体又は第二の流体が通る配管が伸びており、これらの配管はマイクロミキサーの流入口に接続されている。
【0075】
このマイクロミキサーで第一の流体と第二の流体とが混合され、混合流体が形成される。混合流体はマイクロミキサーに接続された配管を通して受け容器68へ回収される。
【0076】
第1流体である20℃における粘度が24mPa・sの硫酸溶液(顔料含有率12質量%)と第2流体である20℃における粘度が1mPa・sに調整した水との混合流体を得る実験を行った。熱交換器は流通後の水飴の温度が60℃となるように熱媒体の温度を調整した。水と水飴をプランジャーポンプにて流速10g/minの条件でそれぞれ流通させた。その結果、脈動なく混合できることを確認した。その後、水にて該混合装置の洗浄を行い。装置を分解し流路を目視で確認したとろろ、腐食は見られなかったし、混合部での顔料の付着をなかった。
【符号の説明】
【0077】
C:マイクロミキサー1のケース
C1:ケースCの左端
C2:ケースCの下部右端
C3:ケースCの下部左端
C4:ケースCの上端
F1:第一の流体
F2:第二の流体
F3:第一の流体と第二の流体の混合流体
H1:熱媒
S1:第1の流体(F1)を一時貯留する貯留部
S2:第2の流体(F2)を一時貯留する貯留部
S3:混合部
1A:第1流体供給部
1B:ケースCの左端部に形成された開口部
1C:開口部2Bに連結されたコネクタ
2A:第2流体供給部
2B:ケースCの下部右端に形成された開口部
2C:開口部2Bに連結されたコネクタ
3A:熱媒H1をケースC内に供給する熱媒供給部
3B:ケースCの下部左端に形成された開口部
3C:開口部3Bに連結されたコネクタ
4A:熱媒送出部
4B:ケースCの上部右端に形成された開口部
4C:開口部4Bに連結されたコネクタ
5 :第一のプレート
5A:開口部5Bとコネクタ5Cからなる送出部
5B:ケースCの右端部に形成された開口部
5C:開口部5Bに連結されたコネクタ
6 :第一の微小管状流路
6A:第一の微小管状流路形成部
6a:第一の微小管状流路形成部6Aの上面
6b:第一の微小管状流路形成部6Aの左側端
6c:第一の微小管状流路形成部6Aの右側端
6d:第一の微小管状流路6の入口
6e:第一の微小管状流路6の出口
6f:第一の微小管状流路6の大径部
6g:第一の微小管状流路6の小径部
6h:第一の微小管状流路6のテーパ部
7 :第二のプレート
7A:第二の微小管状流路形成部
7a:第二の微小管状流路形成部7Aの上面
7b:第二の微小管状流路形成部7Aの下側端
7c:第二の微小管状流路形成部7Aの下側端7bから短手方向にある端
7d:第二の微小管状流路形成部7Aの右側端
8 :第二の微小管状流路
8a:第二の微小管状流路8の入口
8b:第一の微小管状流路6の出口
11:流体混合構造体としての積層体、
12:温調プレート
12a:温調プレート12の面
13a:温調プレート12の長手方向に沿って複数本配列された主流路
13b:主流路13aに連通する供給側流路
13c:主流路13aに連通する排出側流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の流体が流通する流体供給路と連通する第一の微小管状流路を有する第一のプレートに第二の流体が流通する流体供給路と連通する第二の流体を流通する第二の微小管状流路を有する第二のプレートが積層した積層部と、第一の微小管状流路の出口と第二の微小管状流路の出口とに連通し、第一の流体と第二の流体とが混合する混合部とを有するマイクロミキサーであり、第一のプレートと第二のプレートが金属材からなり、第一のプレートと第二のプレートの少なくとも一方が、流体供給路に通ずる微小管状流路の入り口部と、混合部に連通する微小管状流路の出口部とを有し、該入り口部の微小管状流路が1本の流路で、出口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が、入り口部における1本の微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積より小さい断面積を有するプレートで、しかも、第一の微小管状流路、第二の微小管状流路及び混合部がフッ素樹脂を含む樹脂層で被覆されていることを特徴とするマイクロミキサー。
【請求項2】
前記金属材がステンレス鋼またはアルミニウムである請求項1記載の請求項1記載のマイクロミキサー。
【請求項3】
前記フッ素樹脂がテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体またはテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体である請求項1記載の請求項1記載のマイクロミキサー。
【請求項4】
前記入り口部における1本の微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が0.01〜40mmであり、出口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が0.01〜10mmである請求項1記載のマイクロミキサー。
【請求項5】
前記積層部に、更に、熱交換媒体を流通させる熱交換媒体流路を有する温調プレートが積層されている請求項1記載のマイクロミキサー。
【請求項6】
前記混合部の第一の微小管状流路の出口と第二の微小管状流路の出口とに通じる断面の面積が、第一の微小管状流路の出口の断面積と第二の微小管状流路の出口の断面積の合計に対して2〜50倍である請求項1記載のマイクロミキサー。
【請求項7】
前記フッ素樹脂を含む樹脂層の厚さが、20〜70μmである請求項1または3記載のマイクロミキサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−170915(P2012−170915A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36973(P2011−36973)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】