説明

マスク保護装置、露光装置、及びデバイス製造方法

【課題】露光用のマスクを安定に接地可能とする。
【解決手段】レチクルRを収容するレチクルポッド20であって、レチクルRを収容可能なインナーポッド41と、インナーポッド41を収容可能なアウターポッド39と、インナーポッド41に設けられて、レチクルRの接地領域8Aに接触可能な導電性の可動な接触部132Aと、インナーポッド41のアウターポッド39との接触部であるベースプレート53と接触部132Aとを導通する板ばね154とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光用のマスクを保護するマスク保護装置、マスク保護装置を備える露光装置、及び露光装置を用いるデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
露光光として波長が100nm程度以下の極端紫外光(以下、EUV(Extreme Ultraviolet)光と呼ぶ。)を使用する露光装置では、光学系は基本的に反射部材より構成され、原版パターンが形成されたレチクルも反射型である。また、EUV光を使用する露光装置は真空環境下に設置されるため、レチクル及びレチクルのパターンが転写される半導体ウエハ(以下、単にウエハという。)を保持するためにそれぞれ静電チャックが使用される。真空中でレチクルを静電チャックに吸着するために、レチクルの裏面に通常は導電膜が形成されている。
【0003】
また、レチクルに異物が付着するのを防止するとともに、大気環境と真空環境との間でレチクルを安全に搬送するために、レチクルはレチクルポッドと呼ばれる保護装置に収容されて搬送される。レチクルの搬送中にレチクルが帯電すると、パターンの静電破壊及びレチクルのパターン面に対する異物の静電付着が生じる恐れがある。これらを防止するため、レチクルの裏面に対向する位置に表面が平坦な導電部を設け、レチクルの搬送中にその導電部を介してレチクル裏面の導電膜、ひいてはレチクルの基板を接地可能としたレチクルポッドが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0087638号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のように、レチクルポッドの一部に設けられた表面が平坦な導電部を介してレチクル裏面の導電膜を接地する方式では、平面同士の接触を利用しているため、振動等によってレチクル裏面の導電膜の安定な接地が困難となる恐れがある。
さらに、レチクルにおいて最も異物の付着を避けたい面はパターン面(表面)であるため、レチクルの搬送中に、レチクルのパターン面も直接、かつ安定に接地可能とすることが好ましい。
【0006】
本発明の態様は、このような事情に鑑み、露光用のマスクを安定に接地可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、マスクを収容可能なマスク保護装置が提供される。このマスク保護装置は、前記マスクを収容可能な第1収容容器と、前記第1収容容器を収容可能な第2収容容器と、前記第1収容容器及び前記第2収容容器の少なくとも一方に設けられて、前記マスクの導電性膜に接触可能な導電性の可動部材と、前記可動部材と、前記第1収容容器及び前記第2収容容器の少なくとも一方とを導通する第1導通部材と、を備えるものである。
【0008】
また、第2の態様によれば、露光ビームでパターンを照明し、前記露光ビームで前記パターン及び投影光学系を介して物体を露光する第1の露光装置が提供される。この第1の露光装置は、本発明のマスク保護装置と、前記マスク保護装置から取り出されたマスクを吸着して保持可能なマスクステージと、を備えるものである。
【0009】
また、第3の態様によれば、露光ビームでパターンを照明し、前記露光ビームで前記パターン及び投影光学系を介して物体を露光する第2の露光装置が提供される。この第2の露光装置は、マスクを吸着して保持可能なマスクステージと、前記マスクの導電性膜に接触可能な導電性の可動部材と、前記可動部材を接地する導通部材と、を備えるものである。
【0010】
また、第4の態様によれば、本発明の露光装置を用いて物体にパターンを形成することと、そのパターンが形成されたその物体を処理することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態の露光装置及びレチクルの搬送系を示す平面図である。
【図2】(A)は第1の実施形態のレチクルを示す図、(B)は図2(A)の一部を示す拡大側面図、(C)はレチクルの接地領域に導通部材を接触させた状態を示す拡大側面図、(D)は変形例のレチクルの要部を示す拡大側面図である。
【図3】第1の実施形態のレチクルポッドを示す断面図である。
【図4】レチクル及びレチクルポッドの各部材を分離した状態を示す斜視図である。
【図5】第1の実施形態の露光装置を示す断面図である。
【図6】(A)はアウターポッドオープナーを示す正面図、(B)はアウターポッドのアウタードームとアウタードアとを分離した状態を示す正面図である。
【図7】(A)はインナーポッドオープナーを示す断面図、(B)はインナーポッドのカバー部材とベースプレートとを分離した状態を示す断面図、(C)はレチクルを静電チャックで吸着する状態を示す図である。
【図8】(A)は第2の実施形態のレチクルポッドを示す断面図、(B)はインナーポッドからアウターポッドを取り外した状態を示す断面図である。
【図9】(A)は変形例のレチクルポッドを示す断面図、(B)は真空環境下のインナーポッドを示す断面図である。
【図10】電子デバイスの製造工程の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
以下、第1の実施形態につき図1〜図7を参照して説明する。
図1は、本実施形態の露光装置EXの一部、及び露光装置EXにレチクルを搬送するレチクル搬送系を示す。露光装置EXは、露光光として波長が100nm程度以下のEUV(Extreme Ultraviolet)光を使用するEUV露光装置である。露光光としては、一例として、波長5〜20nm、例えば波長6.7nm又は13.5nm等の軟X線が用いられる。
【0013】
図1において、レチクル搬送系は、露光装置EXが収容される露光チャンバ100に隣接して配置されている。レチクル搬送系は、露光チャンバ100に隣接して配置され、真空ロボット15が収容されたロボットチャンバ17と、ロボットチャンバ17の第1側面に配置された真空レチクルライブラリ19と、ロボットチャンバ17の第2側面に配置されたインナーポッドオープナー21とを備えている。露光チャンバ100及びロボットチャンバ17の内部は真空環境であり、真空レチクルライブラリ19及びインナーポッドオープナー21は、ロボットチャンバ17と一体化されたサブチャンバ内の真空環境に配置されている。
【0014】
また、レチクル搬送系は、ロボットチャンバ17の第3側面に配置されたロードロック室23と、ロードロック室23の外部の大気環境下に配置されたアウターポッドオープナー31、及び大気レチクルライブラリ35と、第1及び第2の大気ロボット33,29とを備えている。ロードロック室23は、第1のゲートバルブ27を介して大気中に連通し、第2のゲートバルブ25を介してロボットチャンバ17に連通している。オープナー21,31のステージ、及びロボット15,29,33のインナーポッドと接触する部分は導電性を有する材料で作られており、接地ラインを介して接地されている。
【0015】
レチクル搬送系において、大気レチクルライブラリ35には、露光装置EXで使用されるEUV光用の反射型のレチクルRが、レチクルポッド20に収容されて保護された状態で設置されている。レチクルポッド20は、レチクルRを収容するインナーポッド41と、インナーポッド41を収容するアウターポッド39とから構成されるいわゆる二重ポッドである(詳細後述)。アウターポッド39は、大気環境下でレチクルRを保護し、インナーポッド41は、主に真空環境下(減圧雰囲気中)でレチクルRを保護する。
【0016】
図2(A)は、本実施形態のレチクルRのパターン面を示し、図2(B)は、レチクルRの一部の拡大側面図を示す。図2(B)において、レチクルRは、例えば石英よりなるほぼ矩形又は正方形の平板状の基板9と、基板9の表面であるパターン面9aに形成されたモリブデン(Mo)とケイ素(Si)とからなる導電性の多層膜10と、多層膜10上に形成されたホウ化窒化タンタル(TaBN)よりなる導電性の第1吸収膜11と、第1吸収膜11上に形成されたホウ化酸化タンタル(TaBO)よりなる絶縁性の第2吸収膜12と、を有する。また、基板9の裏面9bに金属よりなる導電膜13が形成されている。レチクルRは、導電膜13を介して露光装置の静電チャック(不図示)に吸着される。
【0017】
レチクルRの多層膜10は、EUV光を反射する反射膜であり、吸収膜11,12は、EUV光を吸収する吸収層(アブソーバ)である。図2(A)において、多層膜10及び吸収膜11,12が形成された領域(ほぼ基板9のパターン面9aを覆う領域)のうち、中央部のほぼ矩形又は正方形のパターン領域PA内に、吸収膜11,12を部分的に除去することによって転写用の原版パターン(回路パターン)及びアライメントマーク(不図示)が形成されている。また、多層膜10及び吸収膜11,12が形成された領域のうち、パターン領域PAを囲む周辺の枠状の非パターン領域NPA内の4箇所の角部の領域が、絶縁性の第2吸収膜12を除去することによって接地領域8A,8B,8C,8Dとされている。接地領域8A〜8Dでは、導電性の第1吸収膜11が露出しているため、接地領域8A〜8Dを接地することによって、レチクルRのパターン面9aを安定に接地できる。本実施形態では、多層膜10も導電性であるため、接地領域8A〜8Dでは、第2吸収膜12とともに第1吸収膜11も除去しておいてもよい。
【0018】
なお、多層膜10は、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、ランタン(La)等の物質と、Si、ベリリウム(Be)又は4ホウ化炭素(B4C)等の物質とを組み合わせた他の多層膜でもよい。また、第1吸収膜11は、Ta、ニッケル(Ni)又はクロム(Cr)等の他の導電性の材料より形成してもよい。さらに、第2吸収膜12は、EUV光以外の波長を用いるパターン検査機において、多層膜と吸収膜の検出コントラストを得るために形成されるものである。本実施形態では、ホウ化酸化タンタル(TaBO)を用いているが、これ以外の材料を用いてもよい。また、裏面の導電膜13は、例えば、窒化クロム(CrN)やクロム(Cr)等が使われるが、これ以外の材料を用いても良い。
【0019】
次に、図3は、図2(A)のレチクルRを図1のレチクルポッド20に収容した状態を示す断面図、図4は、レチクルR及びレチクルポッド20の各部材を分離した状態を示す斜視図である。図3において、レチクルポッド20は、レチクルRを収容するインナーポッド41と、インナーポッド41を収容するアウターポッド39とから構成されている。アウターポッド39は、インナーポッド41が載置される矩形の平板状のアウタードア38と、アウタードア38上のインナーポッド41を覆うようにアウタードア38に載置される、底面が開いた矩形の箱状のアウタードーム37とを有する。アウタードア38の周縁部に低い段差部38aが形成され、アウタードア38の上面の複数箇所(例えば3箇所)に凸の台座部38bが形成されている。段差部38aにアウタードーム37の下端のフランジ部が載置され、台座部38b上にインナーポッド41が載置される。アウタードーム37及びアウタードア38は、一例としてポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、又はカーボン含有ポリカーボネート等の導電性の合成樹脂から形成されている。さらに、一例として、台座部38bはアウタードア38と一体的に形成されており、台座部38bの上面とアウタードア38の底面とは電気的に導通している。一例として、アウタードア38は大気ロボット33等の金属製の部材148の上面に載置され、部材148は接地ライン150を介して接地されている。
【0020】
また、インナーポッド41は、レチクルRが載置される矩形の平板状のベースプレート53と、ベースプレート53上のレチクルRを覆うようにベースプレート53に載置される、底面が開いた矩形の箱状のカバー部材51と、を有する。カバー部材51及びベースプレート53は、一例としてチタン(Ti)、アルミニウム(Al)、又はステンレス等の金属から形成されている。従って、本実施形態では、カバー部材51及びベースプレート53は導電性である。また、ベースプレート53の上面の複数箇所(例えば3箇所)に、金属よりも可撓性の高い例えば合成樹脂等の材料からなる柔構造の支持部材152が貼着されている。支持部材152上にレチクルRのパターン面が載置される。
【0021】
図4に示すように、ベースプレート53には3つの長方形の開口よりなる窓部53aが形成され、カバー部材51の一対の対向する側面には、カバー部材51を支持するためのフランジ部51aが形成されている。窓部53aは、レチクルRのプリアライメントマーク等を検出するために使用される。
図3において、ベースプレート53の上面に凹部53bが形成され、凹部53bにボルトによって金属製の板ばね154が固定され、板ばね154の先端部に円柱状の金属製の導通部材130Aが固定されている。導通部材130Aの先端に、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、又はカーボン含有ポリイミド等の導電性の合成樹脂からなり、金属よりも可撓性の高い半球状の接触部132Aが、例えば導電性の接着剤等を介して固定されている。接触部132Aは、板ばね154によってベースプレート53からレチクルRに向かって付勢されている。本実施形態のレチクルRのパターン面には、導電性の第1吸収膜11が露出した接地領域8A〜8Dが設けられており、接触部132Aが接地領域8Aに接触するように、凹部53b及び板ばね154の位置が設定されている。
【0022】
また、カバー部材51の内面に凹部51bが形成され、凹部51bにボルトによって金属製の板ばね156が固定され、板ばね156の先端部に導通部材130Aと同様の導通部材130Bが固定され、導通部材130Bの先端に接触部132Aと同様の金属よりも可撓性の高い導電性の接触部132Bが固定されている。接触部132Bは、板ばね156によってカバー部材51からレチクルRの裏面の導電膜13に向かって付勢されている。接触部132Bは、導通部材130B、板ばね156及びカバー部材51を介してベースプレート53に導通している。同様に、接触部132Aは、導通部材130A及び板ばね154を介してベースプレート53に導通し、ベースプレート53は、台座部38b、アウタードア38、及び部材148を介して接地されている。従って、本実施形態において、アウタードア38が接地されている場合には、アウターポッド39内のインナーポッド41内に収容されたレチクルRのパターン面(第1吸収膜11)及び裏面(導電膜13)は、それぞれ接触部132A及び132Bを介して接地されており、パターンの静電破壊及び異物の静電付着が確実に防止されている。
【0023】
また、接触部132A,132Bは、金属よりも柔軟な導電性樹脂より形成されているため、接触部132A,132Bがそれぞれ接地領域8A及び導電膜13に接触する際又はそれらから離れる際に、破壊によって第1吸収膜11又は導電膜13の微小な破片(粉末)が異物として発生することがない。従って、それらの異物がレチクルRのパターン面に付着することによる回路不良、及びそれらの異物がレチクルRの裏面に付着することによる静電チャック時の平面度不良を防止できる。
【0024】
次に、本実施形態の露光光としてEUV光を使用する露光装置EXの構成につき説明する。
図5は、露光装置EXの全体構成を概略的に示す断面図である。図5において、露光装置EXは、露光光ELをパルス発生するレーザプラズマ光源106と、露光光ELでレチクルR(マスク)のパターン面の照明領域を照明する照明光学系ILSと、レチクルRを移動するレチクルステージRSTと、レチクルRの照明領域内のパターンの像をレジスト(感光材料)が塗布されたウエハ(半導体ウエハ)Wの表面に投影する投影光学系POとを備えている。さらに、露光装置EXは、ウエハWを移動するウエハステージWSTと、装置全体の動作を統括的に制御する主制御系(不図示)等とを備えている。
【0025】
EUV光の気体による吸収を防止するため、露光装置EXはほぼ全体として箱状の露光チャンバ100内に収容され、露光チャンバ100内の空間を真空排気するための大型の真空ポンプ104が備えられている。一例として、露光チャンバ100内の気圧は10-5Pa程度、露光チャンバ100内で投影光学系POを収容するサブチャンバ(不図示)内の気圧は10-5〜10-6Pa程度である。
【0026】
以下、図5において、ウエハステージWSTが載置される面(露光チャンバ100の底面)の法線方向にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面(本実施形態ではほぼ水平面に平行な面)内で図5の紙面に垂直にX軸を、図5の紙面に平行にY軸を取って説明する。本実施形態では、露光時にレチクルR及びウエハWは投影光学系POに対してY方向(走査方向)に同期して走査される。
【0027】
先ず、レーザプラズマ光源106は、高出力のレーザ光源(不図示)と、このレーザ光源から露光チャンバ100の窓部材114を介して供給されるレーザ光を集光する集光レンズ108と、キセノン等のターゲットガスを噴出するノズル112と、集光ミラー110とを備えた、ガスジェットクラスタ方式の光源である。レーザプラズマ光源106からパルス発光された露光光ELは、照明光学系ILSに入射する。照明光学系ILSは、ミラー116,118,120,122,124、開口絞り(不図示)、及び視野絞り(不図示)を有し、露光光ELでレチクルRのパターン面の例えば円弧状の照明領域を下方から斜めに均一な照度分布で照明する。
【0028】
次に、レチクルRは、レチクルステージRSTの底面に静電チャック126を介して吸着保持されている。レチクルステージRSTは、レーザ干渉計(不図示)の計測値に基づいて、露光チャンバ100の外面のXY平面に平行なガイド面に沿って、例えば磁気浮上型2次元リニアアクチュエータよりなる駆動系(不図示)によって少なくともY方向に所定ストロークで駆動される。レチクルステージRSTを露光チャンバ100側に覆うようにパーティション102Rが設けられ、パーティション102R内は不図示の真空ポンプによって大気圧と露光チャンバ100内の気圧との間の気圧に維持されている。
【0029】
また、レチクルRの裏面の導電膜13(図2(B)参照)が静電チャック126に吸着されており、導電膜13は、静電チャック126内の接地機構(不図示)を介して接地されている。さらに、露光装置EXは、静電チャック126に吸着されたレチクルRのパターン面(表面)を接地するための接地機構128を備えている。接地機構128は、レチクルステージRSTに固定された支持部材142と、支持部材142に一端が固定された金属製の板ばね140と、板ばね140の他端に固定された導通部材130と、導通部材130の先端に固定されてレチクルRのパターン面に接触可能な導電性の接触部132と、を有する。導通部材130及び接触部132は、それぞれ図3の導通部材130A及び接触部132Aと同じ材料から形成されている。接触部132は、導通部材130、板ばね140、及び接地ライン144を介して接地されている。板ばね140によって、接触部132はレチクルR側に付勢されており、接触部132をレチクルRから離脱させるための駆動機構(不図示)も備えられている。
【0030】
図2(C)に示すように、接地機構128の接触部132は、レチクルRのパターン面の接地領域8Aの導電性の第1吸収膜11に接触している。レチクルRのパターン面は、接触部132を介して接地されている。接触部132は、金属よりも柔軟な導電性樹脂より形成されているため、接触部132が接地領域8Aに接触する際又はそれらから離れる際に、破壊によって第1吸収膜11の微小な破片(粉末)が異物として発生することがない。なお、大気圧中でのそのような異物の飛散距離はほぼ10mm程度以下であるのに対して、露光チャンバ100内のように高真空の状態では、そのような異物の飛散距離は数10m以上であり、パターン領域PA内のパターンにも付着する恐れがある。例えば、露光チャンバ100内で異物が漂うことによって、その異物がパターン領域PA内のパターンにも付着する恐れがある。
【0031】
しかしながら、本実施形態では、金属よりも柔軟な接触部132を介してレチクルRの接地領域8Aを接地しているため、レチクルRのパターン面を接地することによる異物の発生を大きく抑制することができ、パターン不良を大きく低減できる。
図5において、レチクルRの照明領域で反射された露光光ELが、投影光学系POに向かう。投影光学系POは、一例として、6枚のミラーM1〜M6を不図示の鏡筒で保持することによって構成され、物体面(レチクルRのパターン面)側に非テレセントリックで、像面(ウエハWの表面)側にほぼテレセントリックの反射光学系であり、投影倍率は1/4倍等の縮小倍率である。レチクルRの照明領域で反射された露光光ELが、投影光学系POを介してウエハWの表面の露光領域に、レチクルRのパターンの一部の縮小像を形成する。
【0032】
また、ウエハWは、静電チャック(不図示)を介してウエハステージWSTの上部に吸着保持されている。ウエハステージWSTは、XY平面に沿って配置されたガイド面上に配置されている。ウエハステージWSTは、レーザ干渉計(不図示)の計測値に基づいて、例えば磁気浮上型2次元リニアアクチュエータよりなる駆動系(不図示)によって少なくともX方向及びY方向に所定ストロ−クで駆動される。露光の際にウエハWのレジストから生じるガスが投影光学系POのミラーM1〜M6に悪影響を与えないように、ウエハWはパーティション102Wの内部に配置される。パーティション102Wには露光光ELを通過させる開口が形成され、パーティション102W内の空間は、別の真空ポンプ(不図示)により真空排気されている。この他に、レチクルR及びウエハWのアライメント系(不図示)も設けられている。
【0033】
ウエハWの1つのダイ(ショット領域)を露光するときには、露光光ELが照明光学系ILSによりレチクルRの照明領域に照射され、レチクルRとウエハWとは投影光学系POに対して投影光学系POの縮小倍率に従った所定の速度比でY方向に同期して移動する(同期走査される)。その後、ウエハステージWSTを駆動してウエハWをX方向、Y方向にステップ移動した後、ウエハWの次のダイに対してレチクルRのパターンが走査露光される。このようにステップ・アンド・スキャン方式でウエハWの複数のダイに対して順次レチクルRのパターンが露光される。
【0034】
次に、図1のレチクル搬送系の動作の一例につき説明する。大気レチクルライブラリ35に置かれたレチクルポッド20(アウターポッド39)は、第1の大気ロボット33によりアウターポッドオープナー31に搬送される。このアウターポッドオープナー31において、アウターポッドIDリーダ43によりアウターポッド39のバーコードが読み取られ、アウターポッド39が識別される。その後、アウターポッド39が開かれてインナーポッド41が取り出される。
【0035】
図6(A)に示すように、搬送されたアウターポッド39は、アウターポッドオープナー31の接地されたステージ164上に載置される。この状態から実線の矢印A1で示すようにステージ164を下降させることにより、アウタードーム37のフランジ部が支持部材160の上端の係止部材162に載置され、図6(B)に示すように、レチクルRが収容されたインナーポッド41が現れる。レチクルRは、図3の接触部132A,132B及び台座部38b等を介して接地されているため、パターンの静電破壊及び異物の静電付着は確実に防止される。
【0036】
その後、ステージ164上のインナーポッド41は、図1の第2の大気ロボット29によって取り出される。なお、露光に使用されたレチクルRが収容されたインナーポッド41をアウターポッド39内に収容する場合には、図6(B)に示すようにステージ164上にインナーポッド41を載置する。その後、図6(A)に点線の矢印A2で示すように、ステージ164を上昇させればよい。
【0037】
図1において、第2の大気ロボット29によって取り出されたインナーポッド41は、温度補償ランプ45により2〜3℃程度昇温される。昇温されたインナーポッド41は、第2の大気ロボット29により、第1のゲートバルブ27のみが開いた状態のロードロック室23に搬送される。なお、アウターポッドオープナー31からロードロック室23に至る順路は大気圧の清浄雰囲気とされている。
【0038】
ロードロック室23では、ゲートバルブ27及び25を閉じた状態でインナーポッド41ごと真空引きが行われる。ロードロック室23内が所定の真空状態になると、第2のゲートバルブ25のみが開かれ、インナーポッド41が真空ロボット15により真空レチクルライブラリ19に搬送される。真空レチクルライブラリ19には、例えば5枚程度のレチクルRがそれぞれインナーポッド41に収容された状態で保存される。レチクルRは、温度調節機構(不図示)により所定の温度に維持される。インナーポッド41に収容された状態のレチクルRは、レチクルIDリーダ47により識別される。露光装置EXで使用されるレチクルRは、真空ロボット15によりインナーポッド41に収容された状態でインナーポッドオープナー21に搬送される。
【0039】
インナーポッドオープナー21において、インナーポッド41が開かれレチクルRが現れる。本実施形態では、図7(A)に示すように、インナーポッドオープナー21に搬送されたインナーポッド41は、接地されたステージ49上に載置される。実線の矢印A3で示すように、ステージ49を下降させることにより、図7(B)に示すように、カバー部材51のフランジ部51aが支持部材55の上端の係止部材57に載置され、レチクルRが現れる。
【0040】
ステージ49の下方には、レチクルRのプリアライメントを行うための画像処理方式の1対のアライメント系59が配置されている。アライメント系59により、ステージ49に形成された貫通穴49a及びベースプレート53に設けられた窓部53aを通して、レチクルRのパターン面に設けられたプリアライメントマークRM1,RM2を検出することで、レチクルRの2次元的な位置を検出することができる。このとき、レチクルRに設けられたバーコード等のレチクルIDを、窓部53aを通して検出することで、レチクルIDを識別できる。
【0041】
プリアライメントの終了したレチクルRは、図7(C)に示すように、インナーポッド41のベースプレート53に載置された状態で、真空ロボット15の搬送アーム61により露光装置EXのレチクルステージRSTに搬送される。レチクルステージRSTには、静電チャック126が吸着面126aを下向きにして取り付けられている。そして、搬送アーム61によりベースプレート53を介してレチクルRの裏面を静電チャック126の吸着面126aに押圧した状態で、静電チャック126をオンにすることにより、レチクルRが静電チャック126に吸着される。その後、図5の接地機構128によりレチクルRの接地領域8Aが接地され、この状態で露光が行われる。
【0042】
レチクルRの吸着後、搬送アーム61は、ベースプレート53をインナーポッドオープナー21まで搬送し、図7(B)に示すように、下降位置にあるステージ49上にベースプレート53を載置する(この状態では、レチクルRは載置されていない。以下、同様。)。そして、図7(A)の点線の矢印A4で示すように、ステージ49を上昇させることで、カバー部材51とベースプレート53とが密着する。閉じられたインナーポッド41は、例えばそのままの状態で露光中、インナーポッドオープナー21内に待機する。
【0043】
露光が終了し、レチクルステージRSTのレチクルRの交換を行う際には、搬送アーム61上にベースプレート53を載置し、図7(C)に示すように、ベースプレート53をレチクルRの交換位置の近傍まで移動する。そして、静電チャック126に吸着されているレチクルRから接地機構128の接触部132を離し、搬送アーム61を介してレチクルRにベースプレート53を当接し、静電チャック126をオフにしてベースプレート53上にレチクルRを受け渡す。搬送アーム61も接地されているため、レチクルRのパターン面は再び接地される。この後、搬送アーム61によりベースプレート53及びレチクルRをインナーポッドオープナー21に搬送し、図7(B)に示すように、下降位置にあるステージ49上にベースプレート53を載置する。その後、ステージ49を上昇させることで、ベースプレート53上のレチクルRを覆うように、ベースプレート53上にカバー部材51が密着し、インナーポッド41内にレチクルRを保持した状態でインナーポッド41が閉じられる。また、レチクルRの裏面の導電膜13もカバー部材51を介して接地される。
【0044】
上述のように、本実施形態のレチクルポッド20は、レチクルRを収容可能なインナーポッド41と、インナーポッド41を収容可能なアウターポッド39と、インナーポッド41に設けられて、レチクルRの接地領域8A(導電性の第1吸収膜11)に接触可能な導電性の可動な接触部132Aと、インナーポッド41のアウターポッド39との接触部であるベースプレート53(インナーポッド41)と接触部132Aとを導通する板ばね154とを備えている。
【0045】
このレチクルポッド20によれば、アウターポッド39を接地しておき、レチクルRを収容したインナーポッド41をアウターポッド39内に収容することによって、レチクルRを安定に接地できる。
また、本実施形態の露光光としてEUV光を用いる露光装置EXは、本実施形態のレチクルRを吸着して保持可能なレチクルステージRSTと、レチクルステージRSTに設けられて、レチクルRの接地領域8Aに接触可能な導電性の可動の接触部132と、接触部132を接地する接地ライン144とを備えている。
【0046】
露光装置EXによれば、レチクルステージRSTに保持されたレチクルRの基板9を安定に接地できる。従って、レチクルRのパターンの静電破壊を防止でき、パターン面等に対する異物の静電付着を防止できる。
なお、レチクルステージRSTに可動の接触部132の代わりに、導電性で接地された簾状の部材を支持し、この簾状の部材をレチクルRの接地領域8Aに接触可能としてもよい。これによっても、レチクルRを安定に接地できる。
【0047】
また、本実施形態のレチクルポッド20は、露光装置EXの構成部材とみなすことも可能である。この場合、露光装置EXは、レチクルポッド20と、レチクルポッド20で搬送されたレチクルRを保持するレチクルステージRSTとを備えている。この場合には、レチクルステージRSTには、必ずしも可動の接触部132又はこれに代わる部材を設ける必要はない。
【0048】
また、本実施形態のレチクルポッド20においては、図3の接触部132Aはインナーポッド41に支持されているため、例えばインナーポッド41を真空ロボット15で搬送しているときにも、レチクルRの基板9を安定に接地できる。なお、インナーポッド41のベースプレート53に開口を設け、接触部132Aをアウターポッド39のアウタードア38で板ばね等を介して可動に支持し、接触部132Aでその開口を通してレチクルRの接地領域8Aに接触してもよい。この場合にも、インナーポッド41がアウターポッド39に収容されている期間には、レチクルRの基板9を安定に接地できる。また、例えばレチクルRの接地領域8A,8Bに接触可能な2つの接触部132Aを備え、一つの接触部132Aをベースプレート53で可動に支持し、他方の接触部132Aをアウタードア38で可動に支持するようにしてもよい。
【0049】
また、本実施形態では、インナーポッド41のレチクルRの基板9の裏面に対向するカバー部材51にも、可動の接触部132Bが設けられているため、基板9の裏面の導電膜13も安定に接地できる。なお、例えば基板9の側面に裏面の導電膜13とパターン面の多層膜10(導電膜)とを導通する導電膜を形成しておいてもよい。これによって、カバー部材51側の接触部132B等を省略可能である。
【0050】
また、本実施形態では、レチクルRの接地領域8A〜8Dは基板9の4つの角部の近傍に配置されているが、例えばレチクルRの種類毎に接地領域の位置を変えてもよい。これに応じて、露光装置EX側の接地機構128には、図2(D)の変形例に示すように、接触部132の位置を調整する調整機構を設けることが好ましい。
ベースプレート53に置かれた支持部材152にカーボン含有ポリイミド等の導電性樹脂を用い、対応するレチクルパターン面に導電性の膜が露出することにより、パターン面導通機構を成す凹部53b、板ばね154、導通部材130Aを省略することが可能である。
【0051】
図2(D)において、レチクルRの基板9のパターン領域の外側の一つの辺部内に第1吸収膜11が露出した接地領域8Eが設けられている。接地領域8Eの位置の情報は、例えばレチクルRの照明条件等の情報とともに露光装置EXの主制御系(不図示)に供給される。露光装置EX側では、レチクルステージRSTに設けた支持部材142にガイド部材144が固定され、ガイド部材144に沿って駆動部(不図示)によって駆動可能にスライド部146が配置され、スライド部146に、板ばね140Aを介して導通部材130及び接触部132が取り付けられている。接触部132は、図5の接地ライン144を介して接地されている。そして、スライド部146を移動して接地領域8Eに対向する位置に接触部132を移動し、解除機構(不図示)を用いて板ばね140Aで接触部132をレチクルR側に付勢することで、接触部132が接地領域8Eに接触して、レチクルRの基板9が安定に接地される。
【0052】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態につき図8(A)、図8(B)を参照して説明する。本実施形態のレチクルポッドも図1の露光装置EXで使用されるレチクルR1を収容しており、図1のレチクル搬送系で搬送される。ただし、本実施形態では、露光装置EXの接地機構128は必ずしも設ける必要がない。なお、図8(A)及び図8(B)において図2(B)及び図3に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0053】
図8(A)は、本実施形態のレチクルR1を収容する二重ポッド方式のレチクルポッド20Aを示す断面図である。図8(A)において、レチクルR1の基板9のパターン面には露光光を反射する導電性の多層膜10と、露光光を吸収する導電性及び絶縁性の第1吸収膜11及び第2吸収膜12とが形成され、パターン領域内で吸収膜11,12を部分的に除去することで転写用のパターンが形成されている。ただし、本実施形態のレチクルR1には、第1吸収膜11又は多層膜10を露出させた接地領域は設けられていない。
【0054】
また、レチクルポッド20Aは、レチクルR1を収容するインナーポッド41Aと、インナーポッド41Aを収容するアウターポッド39Aとから構成されている。アウターポッド39Aは、アウタードア38と、アウタードア38の台座部38b上のインナーポッド41Aを覆うようにアウタードア38に載置されるアウタードーム37とを有する。一例として、アウタードーム37及びアウタードア38は導電性樹脂から形成されている。図8(A)では、アウタードア38は金属製の部材148及び接地ライン150を介して接地されている。
【0055】
インナーポッド41Aは、レチクルR1が支持部材152を介して載置されるベースプレート53と、レチクルR1を覆うようにベースプレート53に載置されるカバー部材51とを有する。一例として、カバー部材51及びベースプレート53は金属製である。
本実施形態では、インナーポッド41Aのベースプレート53の周辺付近において、レチクルR1の基板9に設けられた第2吸収膜12に対向する位置に開口部53cが形成され、開口部53cの近傍でベースプレート53にボルトによって固定された金属製の板ばね71Aの先端に、尖端をレチクルR1に向けた円錐状で導電性の導通ピン72Aが固定されている。導通ピン72Aは開口部53c内に上下方向に変位可能に支持されている。導通ピン72Aは、一例として、チタン等の金属から形成された本体部の先端に、導電性ダイヤモンド又は導電性ジルコニア等の導電性セラミックス等の金属よりも硬い導電性の材料から形成された微小な半球状の部材を固定したものである。導電性ダイヤモンドは、例えばダイヤモンドにホウ素をドープしたものである。導通ピン72A及び板ばね71Aから導通機構70Aが構成されている。
【0056】
アウターポッド39Aのアウタードア38において、ベースプレート53の開口部53cに対向する位置に凹部38cが形成され、凹部38cにボルトによって固定された板ばね75の先端部に、導通ピン72AをレチクルR1側に付勢するように付勢部材76が固定されている。付勢部材76及び板ばね75から付勢機構74が構成されている。付勢機構74は、導通ピン72AをレチクルR1の自重よりも僅かに小さい程度の力でレチクルR1側に付勢する。導通ピン72AがレチクルRに接触する位置は、レチクルの回路パターン領域(例えば、104mm×132mm)より外側とし、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格で定義されているクオリティエリアQA(例えば、142mm×142mm)の外側であることが望ましい。
【0057】
付勢機構74で導通ピン72Aの先端部をレチクルR1に付勢することによって、導通ピン72Aは容易にレチクルR1の基板9の第2吸収膜12を通過して(破壊して)導電性の第1吸収膜11、又はその下の導電性の多層膜10に到達する。この状態で、レチクルR1のパターン面は、導通機構70A及びベースプレート53を介してアウタードア38に導通している。ただし、導通ピン72Aに外部から付勢力が作用していない状態では、板ばね71Aの復元力によって導通ピン72AはレチクルR1に接触しない位置に退避している(図8(B)参照)。
【0058】
また、インナーポッド41Aのカバー部材51において、レチクルR1の裏面の導電膜13に対向する位置に開口部51bが形成され、開口部51bの近傍のカバー部材51にボルトによって固定された金属製の板ばね71Bの中央部に、尖端をレチクルR1に向けた円錐状で導電性の導通ピン72Bが固定されている。導通ピン72Bは開口部51b内に上下方向に変位可能に支持されている。導通ピン72Bは、導通ピン72Aと同様の材料から形成されている。導通ピン72B及び板ばね71Bから導通機構70Bが構成されている。導通ピン72BがレチクルRに接触する位置は、SEMI規格で定義されているクオリティエリアQA(例えば、142mm×142mm)の外側、かつ導電膜の最小コーティング領域(例えば、146mm×146mm)の内側であることが望ましい。
【0059】
アウターポッド39Aのアウタードーム37の内面において、カバー部材51の開口部51bにほぼ対向する位置に付勢部材78が固定され、付勢部材78は、導通機構70Bの板ばね71Bの自由端をレチクルR1側に付勢する。これによって、導通ピン72BはレチクルR1の導電膜13に接触するように付勢される。付勢部材78で導通ピン72Bの先端部をレチクルR1の導電膜13側に付勢することによって、仮に導電膜13の表面に酸化膜が形成されていても、導通ピン72Bは容易にその酸化膜を通過して(破壊して)導電膜13に到達する。この状態で、レチクルR1の裏面は導通機構70B、カバー部材51、及びベースプレート53を介してアウタードア38に導通している。ただし、導通ピン72Bに外部から付勢力が作用していない状態では、板ばね71Bの復元力によって導通ピン72BはレチクルR1に接触しない位置に退避している(図8(B)参照)。
【0060】
従って、本実施形態において、レチクルR1を収容するインナーポッド41Aがアウターポッド39A内に収容されており、かつアウタードア38が接地されている状態では、インナーポッド41A内に収容されたレチクルR1のパターン面(第1吸収膜11又は多層膜10)及び裏面(導電膜13)は、それぞれ導通機構70A及び70Bを介して接地されており、パターンの静電破壊及び異物の静電付着が確実に防止される。
【0061】
次に、図1のレチクル搬送系で本実施形態のレチクルポッド20A(レチクルR1)を搬送する動作の一例につき説明する。大気レチクルライブラリ35に置かれたレチクルポッド20A(アウターポッド39A)は、第1の大気ロボット33によりアウターポッドオープナー31に搬送される。図6(A)に示すように、搬送されたアウターポッド39Aは、接地されたステージ164上に載置される。この状態では、レチクルR1は、図8(A)の導通機構70A,70B及び台座部38b等を介して接地されている。
【0062】
そして、矢印A1で示すようにステージ164を下降させることにより、アウタードーム37のフランジ部が支持部材160の上端の係止部材162に載置され、図6(B)に示すように、レチクルR1が収容されたインナーポッド41Aが現れる。このとき、図8(B)に示すように、付勢部材78がカバー部材51に設けられた板ばね71Bから離れるため、板ばね71Bの復元力で導通ピン72Bは矢印A6で示す上方に退避する。その結果、レチクルR1の基板9の裏面(導電膜13)は電気的に浮いた状態になるが、新たに静電気が帯電することがないため、異物の静電付着等は実質的に生じない。
【0063】
その後、ステージ164上のインナーポッド41Aは、図1の第2の大気ロボット29によって取り出される。このとき、図8(B)に示すように、ベースプレート53に設けられた導通ピン72Aから付勢機構74が離れるため、板ばね71Aの復元力で導通ピン72Aが矢印A5で示す下方に退避する。その結果、レチクルR1の基板9のパターン面(多層膜10)も電気的に浮いた状態になるが、新たに静電気が帯電することがないため、パターンの静電破壊等は実質的に生じない。
【0064】
図1の第2の大気ロボット29によって取り出されたインナーポッド41Aは、ロードロック室23及び真空ロボット15を介して、真空環境下で例えばインナーポッドオープナー21に搬送される。図7(A)に示すように、インナーポッドオープナー21に搬送されたインナーポッド41Aは、接地されたステージ49上に載置される。矢印A3で示すように、ステージ49を下降させることにより、図7(B)に示すように、カバー部材51のフランジ部51aが支持部材55の上端の係止部材57に載置され、レチクルR1が現れる。この際に、アライメント系59を用いたレチクルR1のプリアライメント及びレチクルIDの識別が行われる。
【0065】
プリアライメントの終了したレチクルR1は、図7(C)に示すように、ベースプレート53に載置された状態で、真空ロボット15の搬送アーム61により露光装置EXのレチクルステージRSTに搬送される。そして、レチクルR1が静電チャック126に吸着されて、露光が行われる。露光終了後、レチクルR1を大気レチクルライブラリ35に戻すときには、図7(A)〜図7(C)の動作と逆の工程によって、レチクルR1はインナーポッド41A内に収容される。その後、インナーポッド41Aは、ロードロック室23を経て第2の大気ロボット29により、図6(B)に示すように、大気環境下でアウターポッドオープナー31の接地されたステージ164上に載置される。このとき、図8(B)に矢印A7で示すように、アウタードア38の付勢部材76がインナーポッド41Aのベースプレート53側の導通ピン72Aを上方に付勢する。この結果、導通ピン72AがレチクルR1のパターン面の第2吸収膜12を通過して(破壊して)導電性の第1吸収膜11(又は多層膜10)に到達する。これにより、基板9のパターン面が導通機構70A、ベースプレート53、及びアウタードア38を介して接地される。
【0066】
その後、図6(A)の矢印A2で示すように、ステージ164を上昇させることで、図8(B)に矢印A8で示すように、アウタードーム37の付勢部材78がインナーポッド41Aのカバー部材51側の板ばね71Bを介して導通ピン72Bを下方に付勢する。この結果、仮にレチクルR1の基板9の裏面の導電膜13の表面に酸化膜が形成されていても、導通ピン72Bが基板9の裏面の酸化膜を通過して(破壊して)導電膜13に到達する。これにより、基板9の裏面が導通機構70B、カバー部材51、ベースプレート53、及びアウタードア38を介して接地される。従って、レチクルR1のパターンの静電破壊及び異物の静電付着が安定に防止される。
【0067】
このように本実施形態では、導通ピン72A,72BのレチクルR1の第1吸収膜11(又は多層膜10)及び導電膜13に対する接触及び離脱は、大気環境下でのみ行われる。そして、真空環境下では、導通ピン72A,72BはレチクルR1から離れた状態が維持される。この場合、導通ピン72A,72Bの先端がレチクルR1の第1吸収膜11(多層膜10)又は導電膜13に接触する際、又はそれらの先端がそれらの部材から離脱する際には、第1吸収膜11又は酸化膜等の破壊によって微小な破片(粉末)が異物として発生する恐れがある。大気圧中でのそのような異物の飛散距離はほぼ10mm程度以下であるのに対して、露光チャンバ100内のように真空の状態では、そのような異物の飛散距離は数10m以上であり、レチクルR1のパターン領域内のパターンにも付着する恐れがある。また、レチクルR1がインナーポッド41Aに収容された状態でかつ真空の状態で、導通ピン72A,72Bの接触又は離脱を行う場合、異物の飛散距離は数10mm以上であり、レチクルR1のパターン領域内のパターンにも付着する恐れがある。
【0068】
従って、本実施形態のように、導通ピン72A,72BのレチクルR1に対する接触及び離脱を常に大気環境下でのみ行うことによって、仮に異物が発生してもその異物の飛散距離は短いため、その異物がパターン領域に達することはなく、転写されるパターンの不良を防止できる。
このように本実施形態のレチクルポッド20Aは、レチクルR1を収容可能なインナーポッド41Aと、インナーポッド41Aを収容可能なアウターポッド39Aと、インナーポッド41Aに設けられて、レチクルR1のパターン面の導電性の第1吸収膜11(又は多層膜10)及び裏面の導電膜13にそれぞれ接触可能な1対の可動の導電性の導通ピン72A,72Bと、導通ピン72A,72Bとベースプレート53(インナーポッド41A)とを導通する板ばね71A,71Bと、を備えている。
【0069】
さらに、レチクルポッド20Aにおいて、アウターポッド39Aのアウタードア38は導電性であり、ベースプレート53とアウタードア38とを導通する導電性の台座部38bが設けられている。本実施形態では、台座部38bはアウタードア38と一体化されている。
本実施形態によれば、インナーポッド41Aに設けられた導電性の可動の導通ピン72A,72BをレチクルR1に接触させることによって、アウターポッド39Aのアウタードア38を介してレチクルR1を安定に接地できる。
【0070】
また、本実施形態のレチクルポッド20Aは、本実施形態の図1の露光装置EXの構成部材とみなすことも可能である。この場合、露光装置EXは、レチクルポッド20Aから取り出されたレチクルR1を吸着して保持可能なレチクルステージRSTを備えている。露光装置EXによれば、真空環境下では、レチクルR1に対する導通ピン72A,72Bの接触及び離脱がないため、真空環境下では異物が発生することがなく、レチクルR1のパターンを高精度にウエハWに露光できる。
【0071】
なお、上述の実施形態では、レチクルR1のパターン面には絶縁性の第2吸収膜12が形成されているが、第2吸収膜12は形成されていなくてもよい。例えば、第1吸収膜として、回路パターン検査機において、多層膜に対して十分な検出コントラストを得るための性質を含む材料を用いればよい。
また、上述の実施形態では、レチクルR1に接触する導通ピン72A,72Bはインナーポッド41Aに支持されている。なお、導通ピン72A,72Bの少なくとも一方を例えば板ばね等を介してアウターポッド39A側のアウタードア38及びアウタードーム37に取り付けてもよい。
【0072】
また、上述の実施形態では、インナーポッド41Aには、レチクルR1の両面に可動の導通ピン72A,72Bが設けられているため、レチクルR1の両面を個別に安定に接地可能である。なお、例えばレチクルR1の基板9の側面にパターン面の多層膜10と裏面の導電膜13とを導通する導電膜を形成しておく場合には、基板9のパターン面側の導通機構70A(導通ピン72A)又は裏面側の導通機構70B(導通ピン72B)を省略することが可能である。
【0073】
また、図8(A)において、例えばアウターポッド39Aのアウタードア38の板ばね75に対向する位置に開口を設け、板ばね75をアウタードア38の外側から底面側に戻すことができる機構を設けてもよい。これによって、インナーポッド41Aがアウターポッド39A内に収容されている状態で、必要に応じて導通ピン72AをレチクルR1から離脱させることができる。同様に、アウタードーム37側にも付勢部材78を外側に退避できる機構を設け、必要に応じて導通ピン72BをレチクルR1から離脱させることができるようにしてもよい。
【0074】
次に、本実施形態の変形例につき図9(A)及び図9(B)を参照して説明する。なお、図9(A)及び図9(B)において図8(A)及び図8(B)に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図9(A)はその変形例のレチクルポッド20Bを示す断面図、図9(B)はその変形例のインナーポッド41Bを示す断面図である。図9(A)において、レチクルポッド20Bは、レチクルR1を収容するインナーポッド41Bと、インナーポッド41Bを収容するアウターポッド39Bとから構成される二重ポッドである。この変形例では、一例として、アウターポッド39Bのアウタードーム37及びアウタードア38はそれぞれ導電性樹脂より形成され、インナーポッド41Bのカバー部材51及びベースプレート53はそれぞれ金属より形成されている。
【0075】
また、インナーポッド41Bのベースプレート53の周辺部において、レチクルR1の基板9のパターン面の第2吸収膜12に対向する位置に開口部53dが設けられ、開口部53dを囲むように、ベースプレート53に断面が輪帯状で厚さ方向に可撓性を持つ薄い金属製のベローズ80Aが固定され、ベローズ80Aの底面に固定された金属製の支持板81Aの上面に、開口部53dを通してレチクルR1の基板9に接触可能に導通ピン72Aが固定されている。ベローズ80A、支持板81A、及び導通ピン72Aから導通機構70Cが構成されている。ベローズ80Aは内部に空気が封入された状態で気密化されており、大気圧下では、ベローズ80Aが収縮するため、ベローズ80Aによって導通ピン72Aは基板9のパターン面の第2吸収膜12を通過して(破壊して)第1吸収膜11(又はさらに多層膜10)に到達する。このため、基板9のパターン面は、導通機構70Cを介してベースプレート53に導通する。
【0076】
また、インナーポッド41Bのカバー部材51において、複数箇所の支持部材152で囲まれた領域内でレチクルR1の基板9の裏面の導電膜13に対向する位置に開口部51cが設けられている。その開口部51cを囲むように、カバー部材51にベローズ80Aと同様の厚さ方向に可撓性を持つベローズ80Bが固定され、ベローズ80Bの上面に固定された金属製の支持板81Bの底面に、開口部51cを通してレチクルR1の基板9に接触可能に導通ピン72Bが固定されている。ベローズ80B、支持板81B、及び導通ピン72Bから導通機構70Dが構成されている。ベローズ80Bも内部に空気が封入された状態で気密化されており、大気圧下では、ベローズ80Bが収縮するため、仮に基板9の裏面の導電膜13の表面に酸化膜が形成されていても、ベローズ80Bによって導通ピン72Bはその酸化膜を通過して(破壊して)導電膜13に到達する。このため、基板9の裏面は、導通機構70D及びカバー部材51を介してベースプレート53に導通する。
【0077】
この変形例では、大気圧環境下で、レチクルR1を収容するインナーポッド41Bがアウターポッド39B内に収容され、かつアウターポッド39Bが接地ライン150を介して接地されているときには、レチクルR1の基板9のパターン面及び裏面は、それぞれ導通機構70C,70D、ベースプレート53、及び台座部38bを含むアウタードア38を介して安定に接地される。従って、レチクルR1のパターンの静電破壊及び異物の静電付着が防止される。
【0078】
そして、アウターポッド39Bを図1のアウターポッドオープナー31に搬送し、アウターポッド39Bから取り出したインナーポッド41Bを第2の大気ロボット29の接地された搬送アームで受け取った状態でも、インナーポッド41B内のレチクルR1の基板9のパターン面及び裏面はその搬送アームを介して安定に接地されている。さらに、そのインナーポッド41Bを図1のロードロック室23内に搬送し、ロードロック室23内を真空にする過程で、ベローズ80Aの厚さが次第に大きくなり、図9(B)に矢印A5で示すように、導通ピン72Aが下方に退避する。これと並行して、ベローズ80Bの厚さも次第に大きくなり、図9(B)に矢印A6で示すように、導通ピン72Bが上方に退避する。従って、導通ピン72A,72BがレチクルR1から離脱して、レチクルR1の基板9のパターン面及び裏面がそれぞれ電気的に浮いた状態になるが、新たに静電気が帯電することがないため、パターンの静電破壊及び異物の静電付着は実質的に生じない。
【0079】
その後、飛散距離の大きい真空環境下ではレチクルR1に対する導通ピン72A,72Bの接触及び離脱は行われないため、レチクルR1のパターン領域に対する異物の付着等も防止されている。その後、露光装置EXでレチクルR1の使用が終わり、図1の真空ロボット15でレチクルR1が収容されたインナーポッド41Bをロードロック室23内に搬送し、ロードロック室23内を大気圧に戻す過程で、ベローズ80Aが次第に収縮し、導通ピン72AがレチクルR1の第2吸収膜12を通過して第1吸収膜11又は多層膜10に接触する。これと並行して、ベローズ80Bも次第に収縮し、図9(A)に示すように、導通ピン72BがレチクルR1の導電膜13に接触する。従って、レチクルR1の基板9のパターン面及び裏面が導通ピン72A,72B、ベースプレート53、及び接地されたテーブル(不図示)を介して接地される。また、導通ピン72A,72BをレチクルR1に接触させるときに第1吸収膜11の破壊等で異物が発生しても、真空環境下よりも異物の飛散距離が短いためその影響は少ない。
【0080】
なお、この変形例において、ベローズ80A,80Bの材料としては、金属の他に合成樹脂を使用することも可能である。
また、この変形例においても、例えばレチクルR1の側面に多層膜10と導電膜13とを導通させる導電膜を形成しておくことにより、導通機構70C(導通ピン72A)又は導通機構70D(72B)を省略できる。
【0081】
また、上記の第1、第2の実施形態の露光装置EX(又は露光方法)を用いて半導体デバイス等の電子デバイス(又はマイクロデバイス)を製造する場合、電子デバイスは、図10に示すように、電子デバイスの機能・性能設計を行うステップ221、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ222、デバイスの基材である基板(ウエハ)を製造してレジストを塗布するステップ223、前述した実施形態の露光装置EX(又は露光方法)によりマスクのパターンを基板(感応基板)に露光する工程、露光した基板を現像する工程、現像した基板の加熱(キュア)及びエッチング工程などを含む基板処理ステップ224、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)225、並びに検査ステップ226等を経て製造される。
【0082】
言い換えると、このデバイスの製造方法は、上記の実施形態の露光装置(又は露光方法)を用いて基板(ウエハ)にパターンを形成することと、そのパターンが形成された基板を処理すること(ステップ224)とを含んでいる。上記の実施形態の露光装置によれば、レチクルR,R1のパターンの静電破壊及び異物の静電付着が有効に防止できるため、電子デバイスを高精度に製造できる。
【0083】
また、上記の実施形態では露光装置として、EUV露光装置が使用されているが、露光光として紫外光を使用する露光装置、又は露光光として電子線を用いる電子線露光装置等でも、上記の実施形態のレチクルR、及びレチクルポッド20,20A,20Bを使用してもよい。
このように、本発明は上述の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。
【符号の説明】
【0084】
EX…露光装置、R,R1…レチクル、PO…投影光学系、W…ウエハ、RST…レチクルステージ、8A〜8D…接地領域、9…基板、10…多層膜、11…第1吸収膜、12…第2吸収膜、13…導電膜、20,20A,20B…レチクルポッド、39,39A,39B…インナーポッド、41,41A,41B…アウターポッド、72A,72B…導通ピン、130A,130B…導通部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクを収容可能なマスク保護装置であって、
前記マスクを収容可能な第1収容容器と、
前記第1収容容器を収容可能な第2収容容器と、
前記第1収容容器及び前記第2収容容器の少なくとも一方に設けられて、前記マスクの導電性膜に接触可能な導電性の可動部材と、
前記可動部材と、前記第1収容容器及び前記第2収容容器の少なくとも一方とを導通する第1導通部材と、
を備えることを特徴とするマスク保護装置。
【請求項2】
前記可動部材は、前記マスクに接触可能な導電性の樹脂部を有することを特徴とする請求項1に記載のマスク保護装置。
【請求項3】
前記可動部材と前記第1収容容器及び前記第2収容容器の少なくとも一方とを連結する連結部材を有し、
前記連結部材は、前記第1導通部材を兼ねることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のマスク保護装置。
【請求項4】
前記第1収容容器に前記可動部材が設けられ、
前記第1導通部材は、前記可動部材と前記第1収容容器とを導通し、
前記第2収容容器は、前記第1収容容器と前記第2収容容器の外面の少なくとも一部の領域とを導通する第2導通部材を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のマスク保護装置。
【請求項5】
前記可動部材は、
前記マスクのパターン面と接触可能な第1接触部と、
前記パターン面の裏面に接触可能な第2接触部と、を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のマスク保護装置。
【請求項6】
前記可動部材は、前記第1収容容器に設けられることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のマスク保護装置。
【請求項7】
前記第1収容容器の周囲の気圧が所定値より高くなったときに、前記可動部材を前記マスクに接触させ、前記第1収容容器の周囲の気圧が前記所定値より低くなったときに、前記可動部材を前記マスクから離脱させる変位装置をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のマスク保護装置。
【請求項8】
前記マスクを収容した前記第1収容容器が前記第2収容容器内に収容されて、前記第2収容容器が閉じられるときに前記可動部材を前記マスクに接触させて、前記第2収容容器が開けられるときに、前記可動部材を前記マスクから離脱させる変位装置をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のマスク保護装置。
【請求項9】
前記可動部材は、前記マスクを収容した第1収容容器が前記第2収容容器内に収容されて、前記マスクに接触した後、前記第2収容容器の外部からの操作によって前記マスクから離脱可能であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のマスク保護装置。
【請求項10】
露光ビームでパターンを照明し、前記露光ビームで前記パターン及び投影光学系を介して物体を露光する露光装置において、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のマスク保護装置と、
前記マスク保護装置から取り出されたマスクを吸着して保持可能なマスクステージと、
を備えることを特徴とする露光装置。
【請求項11】
露光ビームでパターンを照明し、前記露光ビームで前記パターン及び投影光学系を介して物体を露光する露光装置において、
マスクを吸着して保持可能なマスクステージと、
前記マスクの導電性膜に接触可能な導電性の可動部材と、
前記可動部材を接地する導通部材と、
を備えることを特徴とする露光装置。
【請求項12】
前記露光ビームはEUV光であることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の露光装置。
【請求項13】
請求項10から請求項12のいずれか一項に記載の露光装置を用いて物体にパターンを形成することと、
前記パターンが形成された前記物体を処理することと、
を含むデバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−255958(P2012−255958A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129845(P2011−129845)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「次世代半導体材料・プロセス基盤(MIRAI)プロジェクト」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】