説明

マルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物、その製造方法及びそれを含有する飲食品、飼料、又はこれらの原材料

【課題】 マルトオリゴ糖を含有した乳酸発酵物を単一工程で生成し、そのまま飲食品や飼料などに利用可能なマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物を提供すること。
【解決手段】 デンプンを主とする炭素源を含む培地で、デンプン分解能を有する乳酸菌を、該乳酸菌の増殖を抑制するが該乳酸菌の生菌体が存することができる水素イオン濃度又は温度で培養すると共に乳酸発酵させると、グルコース及びマルトースが消費され、マルトトリオース及び/又はマルトテトラオースが蓄積されることにより、マルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デンプンを主とする炭素源を含む培地でデンプン分解能を有する乳酸菌を培養するとともに乳酸発酵によってマルトオリゴ糖を生成して得られるマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物、その製造方法及びそれを含有する飲食品、飼料、又はこれらの原材料に関する。
【背景技術】
【0002】
デンプン分解能を有する乳酸菌はこれまでにも知られており、そのデンプン分解酵素に関する報告はあるが、乳酸菌の培養によりオリゴ糖を蓄積させたという報告はない(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
マルトオリゴ糖の製造に関しては、食品に利用可能な微生物を利用した方法として、デンプンの糖化後に培養物中に生成する目的のオリゴ糖より低分子の糖を酵母に資化させることによりオリゴ糖を製造する方法がある。
【0004】
例えば、Saccharomyces属の酵母であって、マルトトリオースよりもグルコース及び/又はマルトースを優先的に資化しうる酵母菌体を、優先資化上有効な糖濃度のデンプン糖化液に作用させてマルトトリオース高含有組成物を製造し、酵母菌体の除去工程などを経て、食品又は医薬品の原材料などに利用するマルトトリオース製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この方法では、マルトトリオースを製造するために、デンプン糖化工程なる1次工程と、酵母菌体を添加し発酵させる2次工程を必要とし、さらに食品又は医薬品の原材料などに利用するためには酵母菌体の除去工程などを必要とする場合が多い。
【0006】
また、Saccharomyces属の酵母菌体を、炭素源としてマルトース及び/又はマルトトリオースを含む栄養培地にて好気的に培養し、該酵母菌体内にα―グルコシダーゼ活性を誘導蓄積せしめた後、これを固定化処理して得られた固定化酵母菌体を、オリゴ糖を含有する糖液に添加作用させることにより、糖液中のマルトトリオース、マルトース及びグルコースを資化せしめてマルトテトラオース以上の高純度マルトオリゴ糖を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
この方法では、オリゴ糖を含有する糖液を作る1次工程と、培養し固定化処理した酵母菌体を該糖液に添加し発酵させる2次工程とを必要としている。
【0008】
乳酸菌のデンプン分解能を利用し、他の糖化酵素や麹などの微生物を用いず乳酸菌のみを食品製造に利用したものには、デンプン分解能を有する乳酸菌及びその発酵液で米飯中のデンプンを糖化することにより甘酒様飲料を製造する方法が開示されているが、糖化のみに言及したものでオリゴ糖生成に関する言及は認められない(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
工業的にマルトトリオースを生成するには、ミクロバクテリウム菌体を使用する方法があるが、該ミクロバクテリウム菌体を含有したオリゴ糖含有組成物を、オリゴ糖含有食品としてそのまま摂取するには健康上問題がないということが確立されていないため、該ミクロバクテリウム菌体などを除去する精製工程が必要となり、精製に要する設備費、製造コストが高くなるという問題があった(例えば、特許文献4参照)。
【0010】
また、食品添加物には食品衛生法により食品添加物としての表示が必要であるが、消費者は食の安全安心という意識から、食品添加物による健康への影響を懸念し食品添加物の記載された食品を遠ざけるという傾向がある。
【0011】
【特許文献1】特開2007−215495号公報
【特許文献2】特開昭59−173092号公報
【特許文献3】特許第3557458号公報
【特許文献4】特許第2964042号公報
【非特許文献1】Journal of Fermentation and Bioengineering80巻2月号 124から130ページ、1995年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、健康の維持と増進に役立つ乳酸菌を利用し、マルトオリゴ糖を単一工程で生成し、該マルトオリゴ糖を含有した乳酸発酵物を精製することなく、そのまま飲食品や飼料などに利用可能なマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明において、「乳酸発酵物」とは、乳酸菌の生菌体及び/又は死菌体と、マルトオリゴ糖などのデンプン分解生成物と、乳酸と、並びにデンプン、タンパク質、又はミネラルなどの原料又は材料の由来物との混合物を意味する。
【0014】
本発明において、「原材料」とは、飲食品や飼料に利用される原材料を意味する。
【0015】
本発明において、グルコースをG1、マルトースをG2、マルトトリオースをG3、マルトテトラオースをG4、マルトペンタオースをG5と表すことがある。
【0016】
本発明者らは、鋭意研究した結果、デンプンを主とする炭素源とした培地でデンプン分解能を有する乳酸菌を培養していくと、菌の増殖を抑制するが乳酸菌の生菌体が存することができる条件下ではグルコース及びマルトースは消費され、マルトトリオース及び/又はマルトテトラオースは蓄積されてマルトオリゴ糖を含む乳酸発酵物が生成されることを見いだした。
【0017】
請求項1に係るマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物の製造方法の発明は、デンプンを主とする炭素源を含む培地で、デンプン分解能を有する乳酸菌を、該乳酸菌の増殖は抑制するが該乳酸菌の生菌体が存することができる水素イオン濃度又は温度で培養すると共に乳酸発酵させて、グルコース及びマルトースが消費され、マルトトリオース及び/又はマルトテトラオースが蓄積されて得られるマルトオリゴ糖を含有する乳酸発酵物を得ることを特徴とする。
【0018】
請求項2に係るマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物の製造方法の発明は、請求項1において、乳酸菌の増殖は抑制するが該乳酸菌の生菌体が存することができる水素イオン濃度pH3.5〜pH6好ましくはpH3.5〜pH5.5で、又は温度30°C〜50°C好ましくは40°C〜50°Cで培養することを特徴とする。
【0019】
請求項3に係るマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物の製造方法の発明は、請求項1又は2において、デンプン分解能を有する乳酸菌が、Lactobacillus属、Lactococcus属、Leuconostoc属、又はPediococcus属の乳酸菌であることを特徴とする。
【0020】
請求項4に係るマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物の製造方法の発明は、デンプンを主とする炭素源を含む培地で、デンプン分解能を有するLactobacillus属、Lactococcus属、Leuconostoc属、又はPediococcus属の乳酸菌を、該乳酸菌の増殖は抑制するが該乳酸菌の生菌体が存することのできる水素イオン濃度pH3.5〜pH6好ましくはpH3.5〜pH5.5で、又は温度30°C〜50°C好ましくは40°C〜50°Cで培養すると共に乳酸発酵させて、グルコース及びマルトースが消費され、マルトトリオース及び/又はマルトテトラオースが蓄積されて得られるマルトオリゴ糖を含有する乳酸発酵物を得ることを特徴とする。
【0021】
請求項5に係るマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法で製造したことを特徴とする。
【0022】
請求項6に係るマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物の発明は、デンプンを主とする炭素源を含む培地で、デンプン分解能を有するLactobacillus属、Lactococcus属、Leuconostoc属、又はPediococcus属の乳酸菌を、該乳酸菌の増殖は抑制するが該乳酸菌の生菌体が存することのできる水素イオン濃度pH3.5〜pH6好ましくはpH3.5〜pH5.5で、又は温度30°C〜50°C好ましくは40°C〜50°Cで培養すると共に乳酸発酵させて、グルコース及びマルトースが消費され、マルトトリオース及び/又はマルトテトラオースが蓄積されて得られるマルトオリゴ糖を含有することを特徴とする。
【0023】
請求項7に係る飲食品、飼料、又はこれらの原材料の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法で製造したマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物を使用する飲食品、飼料又は原材料であることを特徴とする。
【0024】
請求項8に係る飲食品、飼料、又はこれらの原材料の発明は、デンプンを主とする炭素源を含む培地で、デンプン分解能を有するLactobacillus属、Lactococcus属、Leuconostoc属、又はPediococcus属の乳酸菌を、該乳酸菌の増殖は抑制するが該乳酸菌の生菌体が存することのできる水素イオン濃度pH3.5〜pH6好ましくはpH3.5〜pH5.5で、又は温度30°C〜50°C好ましくは40°C〜50°Cで培養すると共に乳酸発酵させて、グルコース及びマルトースが消費され、マルトトリオース及び/又はマルトテトラオースが蓄積されて得られるマルトオリゴ糖を含有するマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物を利用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に記載のマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物の製造方法の発明は、デンプン分解能を有する乳酸菌を利用し、培養によって初めてマルトオリゴ糖を蓄積させたという効果がある。
【0026】
また、デンプン糖化工程なる1次工程や酵母菌体を添加し発酵させる2次工程を必要とせず、デンプン分解能を有する乳酸菌の培養によりデンプンの糖化と乳酸発酵を同時に行う単一工程で、マルトオリゴ糖を生成できるという効果がある。
【0027】
さらに、乳酸菌は人体に有益であるため、生成されたオリゴ糖含有組成物から乳酸菌体を除去するなどの精製工程が不必要となり、精製に要する設備費、製造コストが安く抑えられるという効果がある。
【0028】
なお、マルトオリゴ糖を添加物として食品に添加した場合は食品衛生法により食品添加物としての表示が必要であるが、本発明のマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物は食品添加物としての表示は不要である。
【0029】
請求項2に記載のマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物の製造方法の発明は、請求項1の発明と同じ効果がある。さらに、マルトオリゴ糖を、より高含有させた乳酸発酵物を生成できるという効果がある。
【0030】
請求項3に記載のマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物の製造方法の発明は、請求項1又は2の発明と同じ効果がある。
【0031】
請求項4に記載のマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物の製造方法の発明は、請求項1乃至3のいずれかの発明と同じ効果がある。
【0032】
請求項5に記載のマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物の発明は、請求項1乃至3のいずれかの発明と同じ効果がある。
【0033】
請求項6に記載のマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物の発明は、請求項4の発明と同じ効果がある。
【0034】
請求項7に記載のマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物を含有する飲食品、飼料、又はこれらの原材料の発明は、請求項1乃至3のいずれかの発明と同じ効果がある。さらに、マルトオリゴ糖を高含有した乳酸発酵物を食品に利用すると、デンプンの老化を防止させる働きを有するため、例えば、パンや菓子などに利用すると、パンや菓子などの硬化を遅らせるという効果がある。
【0035】
その上、ヨーグルト、飲料や飼料に利用すると、マルトオリゴ糖の添加効果に併せてデンプン原料の利用によって粘度などの食感や甘味の改良ができ、また植物性乳酸菌による乳酸発酵によって風味を変えることもでき、さらに腸内腐敗菌の生育を抑制できるという効果がある。
【0036】
請求項8に記載のマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物を含有する飲食品、飼料、又はこれらの原材料の発明は、請求項4、6又は7のいずれかの発明と同じ効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明で用いる乳酸菌は、デンプン分解能を有し、可溶性デンプンなどを分解して乳酸を生成する乳酸菌であればよく、Lactobacillus属、Lactococcus属、Leuconostoc属、又はPediococcus属のいずれの乳酸菌でもよい。
【0038】
培地には、乳酸菌の培地として一般的なMRS培地の炭素源を、グルコースに代えて乳酸菌が分解できるデンプン、例えば可溶性デンンプン及び/又は変性デンプンなどにしたものを用いる。実施例では、可溶性デンプンに代えたものを用い、該培地をMRS−可溶性デンプン培地と表す。
【0039】
前培養には、MRS−可溶性デンプン培地を用い、乳酸菌を30°C、24時間静置培養した。
【0040】
培養には、全容量2リットルのジャーファーメンター(ミツワ製)を用い、前記前培養した乳酸菌の菌体を10%(v/v)接種し、実容量1リットル、無通気で、乳酸菌の増殖は抑制するが該乳酸菌が生きている水素イオン濃度又は温度で行った。
【0041】
乳酸菌の増殖を抑制するが該乳酸菌が生きている水素イオン濃度で培養する場合は、pHコントローラを使用し、2NのNaOH溶液を用いて水素イオン濃度をpH3.5〜pH6好ましくはpH3.5〜pH5.5に制御し、培養中は100rpmで穏やかに攪拌した。
【0042】
また、乳酸菌の増殖は抑制するが該乳酸菌が生きている温度で培養する場合は、温度を30°C〜50°C好ましくは40°C〜50°Cに制御し、培養中は100rpmで穏やかに攪拌した。
【0043】
前記水素イオン濃度又は温度で培養する場合、生成したオリゴ糖のうちマルトトリオース及び/又はマルトテトラオースが蓄積される。
【0044】
これは、乳酸菌株が生産するデンプン分解酵素により可溶性デンプンが分解されオリゴ糖が生成されるが、これは、デンプン分解酵素がオリゴ糖のうちマルトヘキサオースなどグルコース数が多いものに優先的に作用し、グルコース数がより少ないマルトトリオース及びマルトテトラオースには、該デンプン分解酵素が遅く作用するためと考えられる。
【0045】
そして、乳酸菌の増殖は抑制するが該乳酸菌の生菌体が存することができる水素イオン濃度又は温度に制御すると、生菌体により、グルコース及びマルトースが優先して消費され、遅れてデンプン分解酵素によりマルトトリオース及び/又はマルトテトラオースが分解されると考えられる。
【0046】
最終的には、蓄積されたマルトトリオース及びマルトテトラオースもすべて消費されるが、マルトトリオース及び/又はマルトテトラオースが蓄積されているときに菌体による糖の消費を停止又は抑制することにより、マルトトリオース及び/又はマルトテトラオースを高含有する乳酸発酵物ができる。
【0047】
菌体による糖の消費の停止は、乳酸発酵物の加熱殺菌又は冷凍などにより、また菌体による糖の消費の抑制は冷蔵などにより行う。
【0048】
さらに、マルトオリゴ糖を高含有する乳酸発酵物を利用した飲食品、飼料、又はこれらの原材料を製造することができる。
【0049】
乳酸菌を利用した発酵物を用いた飲食品の例としては、乳酸菌を利用した発酵物を米粉や水などと蒸練したのち混練し、成形し、該成形物を焼成して造る風味ある菓子や、乳酸菌を利用した発酵物をパン生地に添加して造られる風味あるパンなどが知られており、本発明で生成される乳酸発酵物も米粉や水などと蒸練したのち混練し、成形し、該成形物を焼成して風味ある菓子を造ることができ、パン生地に添加して風味あるパンを造ることができるなど、本発明で生成される乳酸発酵物を利用して飲食品、飼料、又はこれらの原材料を造ることができる。
【0050】
マルトトリオース及び/又はマルトテトラオースなどを含有したマルトオリゴ糖を生産するには、一般にデンプン糖化工程の1次工程と発酵工程の2次工程からなる工程で生産するが、本発明は乳酸菌による糖化と乳酸発酵を同時並行して行う単一工程で生産できるという効果がある。
【0051】
マルトオリゴ糖を高含有した乳酸発酵物中の乳酸菌は人体に有益であることから、マルトオリゴ糖を高含有する乳酸発酵物を飲食品、飼料、又はこれらの原材料に利用するに際し、菌体除去などの精製工程を設置する必要がなく、マルトオリゴ糖を高含有した乳酸発酵物を菌体除去などせずにそのまま利用して飲食品、飼料、又はこれらの原材料を製造できるという効果がある。
【0052】
マルトオリゴ糖を高含有した乳酸発酵物を食品に利用すると、デンプンの老化を防止させる働きを有するため、例えば、パンや菓子などに利用すると、パンや菓子などの硬化を遅らせるという効果がある。
【0053】
また、ヨーグルト、飲料や飼料に利用すると、マルトオリゴ糖の添加効果に併せてデンプン原料の利用によって粘度などの食感や甘味の改良ができ、また植物性乳酸菌による乳酸発酵によって風味を変えることができ、さらに腸内腐敗菌の生育を抑制できるという効果がある。
【0054】
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0055】
例えば、実施例で利用した乳酸菌は、本発明者が小麦フスマから分離した乳酸菌であり、該乳酸菌の場合の乳酸菌の増殖は抑制するが該乳酸菌の生菌体が存することが可能な水素イオン濃度や温度を記載しているが、他の乳酸菌を利用した場合における、乳酸菌の増殖を抑制するが該乳酸菌の生菌体が存することが可能な水素イオン濃度や温度が、本発明の実施例により限定されるものでない。
【0056】
次に、各実施例で使用した指標又は測定方法を記載する。
【0057】
生育の指標としては、波長660nmの光学的濁度(O.D.660)を測定した。
【0058】
培養液中の乳酸量は、F−キット(D−乳酸/L−乳酸)(製造元:Roche(ドイツ),輸入元:株式会社J.K.インターナショナル)を用いて測定した。
【0059】
全糖量は、フェノール−硫酸法で測定し、グルコース量として表した。
【0060】
オリゴ糖量の測定には、高速液体クロマトグラフ(HPLC、Shodex Asahipak NH2P−50カラム(4.6×250mm)、HITACHI L−3300RI Monitor、溶離液アセトニトリル/水(60/40)、流速1.0ミリリットル/min、温度30°C)を用いた。
【0061】
菌体外デンプン分解酵素活性の測定は、培養液を遠心分離(6,000rpm、10分間)した後、上清を粗酵素液とし、特に示さない限り37°Cで30分間反応を行った。
【0062】
該反応に使用する反応液量は10ミリリットルで、8g/リットル可溶性デンプン(20g/リットル可溶性デンプン、4ミリリットル)、50mM酢酸緩衝液(100mM酢酸緩衝液pH5.0、5ミリリットル)、10%粗酵素液(培養液上清、1ミリリットル)とし、この場合の反応液のpHは4.5で、反応は沸騰水中で5分間加熱することにより停止させた。
【0063】
また、図4に示す反応液pHの酵素活性に及ぼす影響に関する試験には、各pHの緩衝液に、100mMグリシン−塩酸緩衝液(pH2.2〜3.0)、100mM酢酸緩衝液(pH4.0〜5.5)、又は100mMリン酸緩衝液(pH6.5〜8.0)を用いた。
【0064】
そして、酵素活性は、ヨウ素−デンプン結合色の測定により残存デンプンを測定し、30分間で10mgの可溶性デンプンを分解する酵素量を1unitとして表した。
【実施例1】
【0065】
デンプン分解能を有する乳酸菌は、本発明者が小麦フスマから分離したLactobacillus plantarum A305株を用いた。
【0066】
なお、以下の各実施例において、Lactobacillus plantarum A305株を、A305株と表すことがある。
【0067】
該A305株は、デンプン分解能を有し、可溶性デンプン、α化デンプン、生コムギデンプン、又は米粉などを発酵して乳酸を生成することができる。
【0068】
実施例で用いた培地は、表1に示すように、MRS培地の炭素源をグルコースから可溶性デンプンに代えたものを用いた。
【0069】
【表1】







【0070】
培養には、全容量2リットルのジャーファーメンター(ミツワ製)を用い、前培養液を10%(v/v)接種し、実容量1リットル、37°C、無通気、pH制御なしで行い、培養中は100rpmで穏やかに攪拌した。
【0071】
前記前培養液は、表1に示したMRS−可溶性デンプン培地を用い、A305株を30°C、24時間静置培養したものである。
【0072】
図1に培養時間の経過と全糖量、乳酸量、O.D.660、オリゴ糖量、及びpHの推移の関係を示しており、図1(イ)から、pHは培養初めのpH6.7が8時間後にpH4.1、さらに24時間後にはpH3.7となって、乳酸の生成に伴ってpHが低下している。
【0073】
図1(ロ)によれば、培養液中に、マルトトリオース、マルトテトラオース、及びマルトペンタオースのオリゴ糖は検出されたが、グルコース及びマルトースは検出されなかった。
【0074】
図1(ハ)により、O.D.660(光学的濁度)の推移をみると、培養9時間でA305株菌体の増殖はほぼ最大となって増殖が停止しており、また、全糖量と乳酸量をみれば24時間後にはデンプンが糖として全て消費されて乳酸が生成したことが示されている。
【0075】
A305株の増殖停止の一つの原因は、pHが4.1程度に低下したためである。
【0076】
しかし、糖の消費がすすんでいるのは、生菌体が存しているためであると考えられる。
【0077】
以上により、実施例1より水素イオン濃度を変えていくと水素イオン濃度によっては、マルトトリオース及び/又はマルトテトラオースが主要なマルトオリゴ糖を高含有する乳酸発酵物を製造できることが得られた。
【実施例2】
【0078】
実施例1と同じ乳酸菌及び培地を使用し、実施例1とは異なりpH制御を実施した。炭素源を可溶性デンプン20g/リットルとし、前培養液を10%(v/v)接種し、pH6.5、37°Cで培養を開始し、pHコントローラを使用し、2NのNaOH溶液を用いてpH6.5に制御し、培養中は100rpmで穏やかに攪拌した。
【0079】
前記前培養液は、表1に示したMRS−可溶性デンプン培地を用い、A305株を30°C、24時間静置培養したものである。
【0080】
図2に、炭素源を可溶性デンプン20g/リットルとし、pH6.5、37°Cで培養を開始し、pH6.5に制御した場合の結果を示しているが、図2(ホ)より、糖が残存しているにもかかわらず早期に約7時間目以降は増殖が停止し、糖の消費及び乳酸の生成ともほぼ停止した。
【0081】
また、図2(ニ)より、デンプンの分解産物であるオリゴ糖量をみると、マルトトリオース、マルトテトラオース、及びマルトペンタオースが、3〜4時間目までに少量検出された。
【0082】
これは、中性域pH6.5に制御したpHがデンプンの分解酵素の至適pH域からはずれていたため、酵素が作用できず、炭素源のデンプンを分解して、菌体が利用可能な糖を生成できなかったため、菌の増殖には適するpHにもかかわらず炭素源の欠乏で生育が停止したと考えられる。
【0083】
以上より、A305株の培養において、pH6.5付近ではデンプン分解酵素が作用できずデンプンを分解しにくいため、オリゴ糖の生成が進まないことがわかる。
【実施例3】
【0084】
次に、実施例1と同じ乳酸菌を使用し、デンプン分解酵素の至適pH範囲であるpH4.5又はpH5.0で制御を行った。
【0085】
実施例1と同じ培地で、可溶性デンプン濃度を40g/リットルに変え、前培養液を10%(v/v)接種し、pH5.6、37°Cで培養を開始し、約3時間でpH5.0に低下後はpH5.0に制御してA305株を培養する場合と、約5時間でpH4.5に低下後はpH4.5に制御してA305株を培養する場合を実施した。
【0086】
前記前培養液は、表1に示したMRS−可溶性デンプン培地を用い、A305株を30°C、24時間静置培養したものである。
【0087】
図3(ヘ)及び(ト)において、デンプン分解酵素の至適pHであるpH5.0又はpH4.5にpH制御しA305株を培養した結果をみると、pH5.0制御では、24時間後に糖がほぼ消費され、pH4.5制御では24時間後でも糖がわずかに残存している。
【0088】
また、pH5.0制御の方がpH4.5制御よりオリゴ糖の消費が早かったのは、pH5.0の方がより菌株の増殖に適するpHであったためと考えられる。
【0089】
培養当初にはマルトースの検出が見られるものの約6〜10時間以降には検出されていない。
【0090】
これは、菌体が増殖せず生菌体が存するだけならば、生菌体によりグルコース及びマルトースが消費され、遅れてデンプン分解酵素によりマルトトリオース及びマルトテトラオースが分解されるためと考えられる。
【0091】
また、pH4.5制御の方がpH5.0制御よりピーク時のオリゴ糖の生成量が多くなっているが、これはpH4.5の方がpH5.0に比べると増殖が遅かったため、糖の消費量が少なく、デンプンが分解されて生成したマルトトリオース及びマルトテトラオースの分解が遅れたためと考えられる。
【0092】
以上より、A305株を培養した場合、デンプン分解酵素の至適pH範囲であるpH4.5〜pH5.0に制御すれば、グルコース及びマルトースが菌体により消費され、デンプン分解酵素で分解されにくいマルトトリオース及び/又はマルトテトラオースが蓄積されて得られるマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物を製造することができる。
【0093】
ここで、本発明者は、実施例1〜3の検証の他に、実施例1と同じ乳酸菌を使用し、実施例1と同じ培地ではあるが炭素源として可溶性デンプンをグルコース20g/リットルに代え、pH制御なしの場合も検証を行って、炭素源の違い及びpH制御の有無によるA305株の培養特性を表2及び表3にまとめた。
【0094】
【表2】







【0095】
【表3】








【0096】
表2及び表3において、「*」は培養時の温度37°Cで培養10時間後の値を表し、「#」は培養時の温度37°Cで培養24時間後の値を表す。
【0097】
表2及び表3より、可溶性デンプンを炭素源とした場合はグルコースを炭素源とした場合よりも最大比増殖速度が小さいが、これは、グルコースの場合は菌体がグルコースをそのまますぐ利用できるのに対し、可溶性デンプンの場合は菌体が自ら生成する酵素でデンプンを分解してから利用しなければならないためと考えられる。
【0098】
図1(ハ)より、pH4.1程度になると菌体の増殖が停止すること、及び表3より、pH4.5の場合の方がpH5.0の場合より増殖量を示すO.D.660の最終値が小であるので、pH4.5の場合には菌株の増殖が抑制されていると考えられるので、pH4.5の近傍値であるpH5.0の場合も菌株の増殖が抑制されていると考えられる。
【実施例4】
【0099】
A305株が生産する培養液中のデンプン分解酵素の至適pHを調べるため、基質を可溶性デンプン8g/リットルとし、37°C、デンプン分解酵素活性0.3units/ミリリットルで、30分間反応をさせて酵素活性を測定し、各pHでの反応液中に生成するオリゴ糖量を調べた。
【0100】
なお、本菌株のデンプン分解酵素は菌体外に存することが認められたため、酵素反応には培養液を遠心分離した上清を用いた。
【0101】
図4(チ)及び(リ)において、デンプン分解酵素活性はpH3.5〜5.5のときに高く、マルトトリオース(G3)乃至マルトペンタオース(G5)のオリゴ糖が多く生成されていることから、A305株のデンプン分解酵素の至適pHは3.5〜5.5の酸性域であることがわかる。
【0102】
次に、基質を可溶性デンプン8g/リットルとし、pH4.6、37°C、デンプン分解酵素活性0.4units/ミリリットルで反応させ、酵素反応による生成オリゴ糖量の推移をみると、図5のように、デンプン分解酵素による可溶性デンプンの分解によりグルコース(G1)乃至マルトペンタオース(G5)が生成され、そのうち主要分解物はマルトトリオース(G3)乃至マルトペンタオース(G5)であり、マルトースは生成量は多くないが徐々に生成し、グルコースは低いレベルで検出されている。
【0103】
一方、マルトヘキサオース(G6)以上のオリゴ糖は検出されていない。
【0104】
以上より、A305株の場合、デンプン分解酵素活性の高いpH3.5〜5.5域においては、主要分解物はマルトトリオース(G3)乃至マルトペンタオース(G5)で、グルコース及びマルトースも少量生成されているが、マルトヘキサオース(G6)以上のオリゴ糖は検出されていない。
【実施例5】
【0105】
実施例1と同じ乳酸菌及び培地を使用し、培地量を255ミリリットルとして、前培養液を2%(v/v)接種し、pH制御なしで静置培養し、30°C、35°C、40°C、及び45°Cのそれぞれの温度に制御した場合におけるO.D.660、全糖量、乳酸量、及びオリゴ糖生成量との関係を検証した。
【0106】
前記前培養液は、表1に示したMRS−可溶性デンプン培地を用い、A305株を30°C、24時間静置培養したものである。
【0107】
図6乃至図8において、培養温度45°Cに制御した場合の方が30°C、35°C、又は40°Cに制御した場合と比較して、A305株の生育度(O.D.660)が低いことから増殖が抑制されており、そのため消費される糖が少なくなって残存する全糖量が多く、かつ乳酸の生成量が少なくなることが示されている。
【0108】
また、オリゴ糖生成量と温度との関係は、図9乃至図12において30°C、35°C、40°C、又は45°Cに温度制御した場合を示しているが、いずれの場合もグルコース、マルトース、及びマルトヘキサオース以上のオリゴ糖は検出されず、マルトトリオース、マルトテトラオース、及びマルトペンタオースが検出されている。
【0109】
また30°C、35°C、又は40°Cに温度制御した図9乃至図11においては、マルトトリオース、マルトテトラオース、及びマルトペンタオースとも、培養開始から約10時間後までは増加しているが、その後培養時間の経過とともに減少し、30°C及び35°Cでは24〜30時間で検出されなくなり、40°Cでは48時間経過後には検出されなくなった。
【0110】
しかし、45°Cに温度制御した図12においては、マルトトリオース及びマルトテトラオースは培養開始から72時間経過後でも増加傾向を示し、マルトペンタオースは24時間経過後から約30時間経過後を最大量としその後緩やかに減少しているが72時間経過後も検出されている。
【0111】
これは、30°C、35°C、又は40°Cに制御した場合は、図6より当該温度下では菌体が短時間に増殖していることから、マルトトリオース、マルトテトラオース、及びマルトペンタオースとも、デンプン分解酵素により直ちに分解され菌体により消費されるためである。
【0112】
これに対し、45°Cに制御した場合は、図6より菌体の増殖は抑制されているが生菌体が存していることから、マルトトリオース、マルトテトラオース、及びマルトペンタオースとも、デンプン分解酵素による分解と菌体による消費が遅れて蓄積が進んでいると考えられ、この状況は例えば図3に示すpH制御した場合とほぼ同じ状況である。
【0113】
以上より、A305株の場合、培養温度を45°C付近で制御すると、グルコース及びマルトースが消費され、マルトトリオース及び/又はマルトテトラオースが蓄積されて得られるマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】A305(乳酸菌)株を、pH制御なしで、炭素源を可溶性デンプン20g/リットルとし、37°Cで培養した場合における、(イ)は培養時間とpHの関係を示す図、(ロ)は培養時間とオリゴ糖量の関係を示す図、(ハ)は培養時間と全糖量、乳酸量、生育度を示す図である。
【図2】A305(乳酸菌)株を、pH6.5に制御し、炭素源を可溶性デンプン20g/リットルとし、37°Cで培養した場合における、(ニ)は培養時間とオリゴ糖量の関係を示す図、(ホ)は培養時間と全糖量、乳酸量、生育度を示す図である。
【図3】A305(乳酸菌)株を、炭素源を可溶性デンプン40g/リットルとし、37°Cで培養した場合における、(ヘ)はpH5.0に制御した場合の図、(ト)はpH4.5に制御した場合の図である。
【図4】A305(乳酸菌)株の培養液上清を用い、基質を可溶性デンプン8g/リットルとし、37°Cで、30分間反応した場合における、(チ)は反応液のpHとデンプン分解酵素の相対活性の関係を示す図、(リ)は反応液のpHと反応液中のオリゴ糖量の関係を示す図である。
【図5】A305(乳酸菌)株の培養液上清を用い、基質を可溶性デンプン8g/リットルとし、pH4.6、37°Cで反応した場合における、反応時間と反応液中のオリゴ糖量の関係を示す図である。
【図6】A305(乳酸菌)株を、pH制御なしで、炭素源を可溶性デンプン20g/リットルとし、温度を変えて静置培養した場合の培養時間とO.D.660の関係を示す図である。
【図7】A305(乳酸菌)株を、炭素源を可溶性デンプン20g/リットルとし、温度を変えて静置培養した場合の培養時間と全糖量の関係を示す図である。
【図8】A305(乳酸菌)株を、炭素源を可溶性デンプン20g/リットルとし、温度を変えて静置培養した場合の培養時間と乳酸量の関係を示す図である。
【図9】A305(乳酸菌)株を、炭素源を可溶性デンプン20g/リットルとし、温度30°Cで静置培養した場合の培養時間とオリゴ糖量の関係を示す図である。
【図10】A305(乳酸菌)株を、炭素源を可溶性デンプン20g/リットルとし、温度35°Cで静置培養した場合の培養時間とオリゴ糖量の関係を示す図である。
【図11】A305(乳酸菌)株を、炭素源を可溶性デンプン20g/リットルとし、温度40°Cで静置培養した場合の培養時間とオリゴ糖量の関係を示す図である。
【図12】A305(乳酸菌)株を、炭素源を可溶性デンプン20g/リットルとし、温度45°Cで静置培養した場合の培養時間とオリゴ糖量の関係を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デンプンを主とする炭素源を含む培地で、デンプン分解能を有する乳酸菌を、該乳酸菌の増殖は抑制するが該乳酸菌の生菌体が存することができる水素イオン濃度又は温度で培養すると共に乳酸発酵させて、グルコース及びマルトースが消費され、マルトトリオース及び/又はマルトテトラオースが蓄積されて得られるマルトオリゴ糖を含有する乳酸発酵物を得ることを特徴とするマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物の製造方法。
【請求項2】
乳酸菌の増殖は抑制するが該乳酸菌の生菌体が存することができる水素イオン濃度pH3.5〜pH6好ましくはpH3.5〜pH5.5で、又は温度30°C〜50°C好ましくは40°C〜50°Cで培養することを特徴とする請求項1記載のマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物の製造方法。
【請求項3】
デンプン分解能を有する乳酸菌が、Lactobacillus属、Lactococcus属、Leuconostoc属、又はPediococcus属の乳酸菌であることを特徴とする請求項1又は2記載のマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物の製造方法。
【請求項4】
デンプンを主とする炭素源を含む培地で、デンプン分解能を有するLactobacillus属、Lactococcus属、Leuconostoc属、又はPediococcus属の乳酸菌を、該乳酸菌の増殖は抑制するが該乳酸菌の生菌体が存することのできる水素イオン濃度pH3.5〜pH6好ましくはpH3.5〜pH5.5で、又は温度30°C〜50°C好ましくは40°C〜50°Cで培養すると共に乳酸発酵させて、グルコース及びマルトースが消費され、マルトトリオース及び/又はマルトテトラオースが蓄積されて得られるマルトオリゴ糖を含有する乳酸発酵物を得ることを特徴とするマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかの項に記載した製造方法で製造したことを特徴とするマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物。
【請求項6】
デンプンを主とする炭素源を含む培地で、デンプン分解能を有するLactobacillus属、Lactococcus属、Leuconostoc属、又はPediococcus属の乳酸菌を、該乳酸菌の増殖は抑制するが該乳酸菌の生菌体が存することのできる水素イオン濃度pH3.5〜pH6好ましくはpH3.5〜pH5.5で、又は温度30°C〜50°C好ましくは40°C〜50°Cで培養すると共に乳酸発酵させて、グルコース及びマルトースが消費され、マルトトリオース及び/又はマルトテトラオースが蓄積されて得られるマルトオリゴ糖を含有することを特徴とするマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれかの項に記載した製造方法で製造したマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物を利用することを特徴とする飲食品、飼料、又はこれらの原材料。
【請求項8】
デンプンを主とする炭素源を含む培地で、デンプン分解能を有するLactobacillus属、Lactococcus属、Leuconostoc属、又はPediococcus属の乳酸菌を、該乳酸菌の増殖は抑制するが該乳酸菌の生菌体が存することのできる水素イオン濃度pH3.5〜pH6好ましくはpH3.5〜pH5.5で、又は温度30°C〜50°C好ましくは40°C〜50°Cで培養すると共に乳酸発酵させて、グルコース及びマルトースが消費され、マルトトリオース及び/又はマルトテトラオースが蓄積されて得られるマルトオリゴ糖を含有するマルトオリゴ糖高含有乳酸発酵物を利用することを特徴とする飲食品、飼料、又はこれらの原材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−119350(P2010−119350A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296778(P2008−296778)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(591079487)広島県 (101)
【Fターム(参考)】