説明

ミネラルアミノ酸多糖類錯体

本文書は、ミネラル-アミノ酸化合物と多糖類とを含む錯体を提供する。たとえば、本文書はそのような錯体を含有する組成物ならびにそのような錯体を作製および使用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、2008年7月9日に提出された米国特許仮出願第61/079,176号に対する優先権を主張する。
【0002】
技術分野
本文書は、ミネラル-アミノ酸化合物と多糖類とを含む錯体に関し、組成物ならびにそのような錯体を作製および使用する方法を含む。
【背景技術】
【0003】
背景
ミネラルは、良好な健康のためにヒトの食事の一部として必要である。たとえば、カルシウムは骨および歯の主成分であり;鉄はヘモグロビンの本質的な構成成分であり;銅、マグネシウム、および亜鉛は、多様な酵素の補助因子であり;ならびにマンガンおよびセレンは、抗酸化剤として機能して内皮の完全性に寄与しうる。ミネラルの欠乏によって、不良な健康および特異的障害が起こりうる。ヒトの体は、血流内で生物学的に利用可能である金属イオンを提供するために、可溶性型の微量のミネラル、たとえばカルシウム、鉄、銅、および亜鉛を必要とする。しかし、高度に加工されたおよび簡便な食品の増加によって、現在の状況の典型的な食事は、そのようなミネラルの十分なレベルを含有しない可能性があると懸念されている。
【0004】
食物において見いだされる天然に存在するミネラルは、しばしば有機基質内でキレート化または結合されている。しかし、食品サプリメントにおいて見いだされるミネラルはしばしば、無機塩の形、たとえばミネラル硫酸塩の形である。これらの無機ミネラル種はより反応性であり、消化管内で様々な変性疾患または状態に関連しているフリーラジカルの産生を触媒しうる。
【発明の概要】
【0005】
概要
本文書は、ミネラル-アミノ酸化合物と多糖類とを含む錯体を提供する。たとえば、本文書は、そのような錯体を含有する組成物ならびにそのような錯体を作成および用いる方法を提供する。
【0006】
本明細書において、水、1種または複数種のミネラル-アミノ酸化合物、および1種または複数種の多糖類を含む組成物を約100°F〜約180°Fの温度、たとえば160°Fで加熱して、錯体を形成する段階が含まれるプロセスによって調製された錯体が提供される。いくつかの場合において、プロセスにはさらに、錯体を乾燥させる段階が含まれる。特定の場合において、組成物は、約5分〜約30分、たとえば約20分間加熱される。
【0007】
別の局面において、錯体を調製するプロセスが提供される。プロセスには、水、1種または複数種のミネラル-アミノ酸化合物、および1種または複数種の多糖類を含む組成物を約100°F〜約180°Fの温度で加熱して、錯体を形成する段階が含まれる。
【0008】
本明細書においてさらに、2種またはそれ以上のミネラル-アミノ酸多糖類錯体を含む組成物が提供される。いくつかの場合において、2種またはそれ以上のミネラル-アミノ酸多糖類錯体は、カルシウムアミノ酸ポリフルクトース錯体;鉄アミノ酸ポリフルクトース錯体;ヨウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体;マグネシウムアミノ酸ポリフルクトース錯体;亜鉛アミノ酸ポリフルクトース錯体;セレンアミノ酸ポリフルクトース錯体;銅アミノ酸ポリフルクトース錯体;マンガンアミノ酸ポリフルクトース錯体;モリブデンアミノ酸ポリフルクトース錯体;およびホウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体からなる群より選択されうる。いくつかの場合において、組成物にはさらに、ビタミンA;ビタミンC;ビタミンD;ビタミンE;ビタミンK;チアミン;リボフラビン;ナイアシン;ビタミンB6;葉酸;ビタミンB12;ビオチン;パントテン酸;および3価リン(phosphorous)の1種または複数種が含まれる。
【0009】
1つの場合において、組成物の1日量には以下が含まれる:
a.1〜5000 IUビタミンA;
b.30〜240 mgビタミンC;
c.1〜600 IUビタミンD;
d.15〜60 IUビタミンE;
e.0〜56μgビタミンK;
f .1.5〜15 mgチアミン;
g.1.7〜17 mgリボフラビン;
h.20〜100 mgナイアシン;
i.2〜20 mgビタミンB6;
j.200〜800μg葉酸塩;
k.6〜18μgビタミンB12;
1.20〜400μgビオチン;
m.10〜200 mgパントテン酸;
n.200〜1000 mgカルシウム塩または錯体;
0.0〜18 mg鉄アミノ酸ポリフルクトース錯体;
p.0〜300 mg 3価リン;
q.100〜300μgヨウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体;
r.100〜400 mgマグネシウム塩または錯体;
s.5〜30 mg亜鉛アミノ酸ポリフルクトース錯体;
t.35〜150μgセレンアミノ酸ポリフルクトース錯体;
u.1〜5 mg銅アミノ酸ポリフルクトース錯体;
v.1〜5 mgマンガンアミノ酸ポリフルクトース錯体;
w.60〜360μgクロムアミノ酸ポリフルクトース錯体;
x.50〜150μgモリブデンアミノ酸ポリフルクトース錯体;および
y.0〜300μgホウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体。
【0010】
特定の場合において、組成物の1日量には以下が含まれる:
a.3000 IUビタミンA;
b.150 mgビタミンC;
c.200 IUビタミンD;
d.30 IUビタミンE;
e.28μgビタミンK;
f .15 mgチアミン;
g.17 mgリボフラビン;
h.75 mgナイアシン;
i.10 mgビタミンB6;
j.800μg葉酸塩;
k.12μgビタミンB12;
1.300μgビオチン;
m.20 mgパントテン酸;
n.250 mgカルシウム塩または錯体;
0.9 mg鉄アミノ酸ポリフルクトース錯体;
p.65 mg 3価リン;
q.150μgヨウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体;
r.200 mgマグネシウム塩または錯体;
s.15 mg亜鉛アミノ酸ポリフルクトース錯体;
t.105μgセレンアミノ酸ポリフルクトース錯体;
u.3 mg銅アミノ酸ポリフルクトース錯体;
v.2.5 mgマンガンアミノ酸ポリフルクトース錯体;
w.120μgクロムアミノ酸ポリフルクトース錯体;
x.75μgモリブデンアミノ酸ポリフルクトース錯体;および
y.150μgホウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体。
【0011】
別の場合において、組成物の1日量には、以下が含まれる:
a.3000 IUビタミンA;
b.150 mgビタミンC;
c.200 IUビタミンD;
d.30 IUビタミンE;
e.15 mgチアミン;
f.17 mgリボフラビン;
g.75 mgナイアシン;
h.10 mgビタミンB6;
i.600μg葉酸塩;
j.12μgビタミンB12;
k.60μgビオチン;
l.20 mgパントテン酸;
m.250 mgカルシウム塩または錯体;
n.65 mg 3価リン;
o.150μgヨウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体;
p.200 mgマグネシウム塩または錯体;
q.15 mg亜鉛アミノ酸ポリフルクトース錯体;
r.105μgセレンアミノ酸ポリフルクトース錯体;
s.3 mg銅アミノ酸ポリフルクトース錯体;
t.4 mgマンガンアミノ酸ポリフルクトース錯体;
u.120μgクロムアミノ酸ポリフルクトース錯体;
v.75μgモリブデンアミノ酸ポリフルクトース錯体;および
w.150μgホウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体。
【0012】
いくつかの場合において、組成物の1日量には以下が含まれる:
a.3000 IUビタミンA;
b.150 mgビタミンC;
c.200 IUビタミンD;
d.30 IUビタミンE;
e.8.5 mgチアミン;
f.10 mgリボフラビン;
g.75 mgナイアシン;
h.10 mgビタミンB6;
i.1000μg葉酸塩;
j.16μgビタミンB12;
k.300μgビオチン;
l.20 mgパントテン酸;
m.300 mgカルシウム塩または錯体;
n.9 mg鉄アミノ酸ポリフルクトース錯体;
o.65 mg 3価リン;
p.150μgヨウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体;
q.225 mgマグネシウム塩または錯体;
r.15 mg亜鉛アミノ酸ポリフルクトース錯体;
s.105μgセレンアミノ酸ポリフルクトース錯体;
t.3 mg銅アミノ酸ポリフルクトース錯体;
u.2.5 mgマンガンアミノ酸ポリフルクトース錯体;
v.120μgクロムアミノ酸ポリフルクトース錯体;
w.75μgモリブデンアミノ酸ポリフルクトース錯体;および
x.150μgホウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体。
【0013】
他の場合において、組成物の1日量には以下が含まれる:
a.2500 IUビタミンA;
b.80 mgビタミンC;
c.200 IUビタミンD;
d.15 IUビタミンE;
e.0.7 mgチアミン;
f.0.8 mgリボフラビン;
g.9 mgナイアシン;
h.1.05 mgビタミンB6;
i.200μg葉酸塩;
j.3μgビタミンB12;
k.30μgビオチン;
l.5 mgパントテン酸;
m.160 mgカルシウム塩または錯体;
n.5 mg鉄アミノ酸ポリフルクトース錯体;
o.20 mg 3価リン;
p.70μgヨウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体;
q.40 mgマグネシウム塩または錯体;
r.4 mg亜鉛アミノ酸ポリフルクトース錯体;
s.0.5 mg銅アミノ酸ポリフルクトース錯体;
t.0.5 mgマンガンアミノ酸ポリフルクトース錯体;
u.10μgクロムアミノ酸ポリフルクトース錯体;および
v.10μgモリブデンアミノ酸ポリフルクトース錯体。
【0014】
特定の場合において、組成物の1日量には、以下が含まれる:
a.5000 IUビタミンA;
b.160 mgビタミンC;
c.400 IUビタミンD;
d.30 IUビタミンE;
e.1.4 mgチアミン;
f.1.6 mgリボフラビン;
g.18 mgナイアシン;
h.2.1 mgビタミンB6;
i.400μg葉酸塩;
j.6μgビタミンB12;
k.60μgビオチン;
l.10 mgパントテン酸;
m.320 mgカルシウム塩または錯体;
n.10 mg鉄アミノ酸ポリフルクトース錯体;
o.40 mg 3価リン;
p.140μgヨウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体;
q.80 mgマグネシウム塩または錯体;
r.8 mg亜鉛アミノ酸ポリフルクトース錯体;
s.1 mg銅アミノ酸ポリフルクトース錯体;
t.1 mgマンガンアミノ酸ポリフルクトース錯体;
u.20μgクロムアミノ酸ポリフルクトース錯体;および
v.20μgモリブデンアミノ酸ポリフルクトース錯体。
【0015】
他の場合において、組成物の1日量には、以下が含まれる:
a.3500 IUビタミンA;
b.150 mgビタミンC;
c.200 IUビタミンD;
d.45 IUビタミンE;
e.7.5 mgチアミン;
f.8.5 mgリボフラビン;
g.75 mgナイアシン;
h.10 mgビタミンB6;
i.600μg葉酸塩;
j.12μgビタミンB12;
k.60μgビオチン;
l.15 mgパントテン酸;
m.250 mgカルシウム塩または錯体;
n.65 mg 3価リン;
o.150μgヨウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体;
p.200 mgマグネシウム塩または錯体;
q.15 mg亜鉛アミノ酸ポリフルクトース錯体;
r.105μgセレンアミノ酸ポリフルクトース錯体;
s.3 mg銅アミノ酸ポリフルクトース錯体;
t.3 mgマンガンアミノ酸ポリフルクトース錯体;
u.180μgクロムアミノ酸ポリフルクトース錯体;
v.90μgモリブデンアミノ酸ポリフルクトース錯体;および
w.150μgホウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体。
【0016】
いくつかの場合において、組成物の1日量には、以下が含まれる:
a.300 IUビタミンD;
b.750 mgカルシウム塩または錯体;
c.100 mg 3価リン;および
d.150 mgマグネシウム塩または錯体。
【0017】
特定の場合において、組成物の1日量には以下が含まれる:
a.400 IUビタミンD;
b.1000 mgカルシウム塩または錯体;
c.130 mg 3価リン;および
d.200 mgマグネシウム塩または錯体。
【0018】
他の場合において、組成物の1日量には、以下が含まれる:
a.500 IUビタミンD;
b.1250 mgカルシウム塩または錯体;
c.160 mg 3価リン;および
d.250 mgマグネシウム塩または錯体。
【0019】
組成物の前述の1日量のいずれにおいても、カルシウム塩または錯体およびマグネシウム塩または錯体の1つまたは複数には、対応するミネラル-アミノ酸ポリフルクトース錯体が含まれうる。
【0020】
1つの局面において、ミネラル-アミノ酸化合物と多糖類とを含む錯体が提供される。錯体は、ミネラル-アミノ酸化合物と多糖類との錯体を形成していない混合物より遅く、カットオフ分子量3500の透析膜を越えて拡散する。いくつかの場合において、ミネラルは、 Ca、Mg、K、Zn、Cu、Fe、I、Mn、Mo、Se、およびCrからなる群より選択されうる。特定の態様において、アミノ酸は、L-アラニン、L-アルギニン、L-アスパラギン、L-アスパラギン酸、L-システイン、L-グルタミン酸、L-グルタミン、L-グリシン、L-ヒスチジン、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-リジン、L-メチオニン、L-フェニルアラニン、L-プロリン、L-セリン、L-トレオニン、L-トリプトファン、L-チロシン、L-バリン、およびその混合物などの天然のアミノ酸でありうる。いくつかの場合において、多糖類は、セルロース;ポリヘキソース;ポリペントース;ポリデキストロース;デンプン;ポリガラクタン;ポリマンナン;キチン;キトサン;コンドロイチン;ポリフルクトース;イヌリン;ペクチン、およびその誘導体からなる群より選択されうる。特定の場合において、多糖類はセルロース誘導体である。
【0021】
同様に、本発明において溶解度が増加したミネラルを哺乳動物に提供するための方法も提供される。いくつかの場合において、方法には、ミネラルをミネラル-アミノ酸多糖類錯体として哺乳動物に投与して、それによって無機塩として投与されたミネラルより大きい溶解度を有する形でミネラルを哺乳動物に提供する段階が含まれる。特定の場合において、溶解度の増加は、哺乳動物の腸管において起こる。いくつかの場合において、哺乳動物はヒトである。他の場合において、ミネラル-アミノ酸多糖類錯体の溶解度は、ミネラル-アミノ酸として投与されたミネラルより大きい。
【0022】
本開示はまた、低減されたミネラル触媒酸化を有するミネラルと抗酸化剤との混合物を、哺乳動物に提供するための方法を提供する。方法には、ミネラルと抗酸化剤とを含む組成物を哺乳動物に投与する段階が含まれえて、ミネラルは、ミネラル-アミノ酸多糖類錯体の形であり、および哺乳動物内でのミネラル触媒酸化速度は、ミネラルが無機塩として投与された場合のミネラル触媒酸化速度より遅い。いくつかの場合において、抗酸化剤は、アスコルビン酸、トコフェロール、カロチノイド、リポ酸、天然植物フェノールおよびフラボノイド、ならびに多価不飽和脂肪酸からなる群より選択される。他の場合において、ミネラルはCuおよびFeからなる群より選択される。特定の場合において、アミノ酸は天然アミノ酸である。たとえば、アミノ酸は、L-グリシンおよびL-アスパラギン酸からなる群より選択されうる。いくつかの例において、多糖類は、セルロース;ポリヘキソース;ポリペントース:ポリデキストロース;デンプン;ポリガラクタン;ポリマンナン;キチン;キトサン;コンドロイチン;ポリフルクトース;イヌリン;ペクチン;およびその誘導体からなる群より選択される。たとえば、多糖類はイヌリンでありうる。
【0023】
本明細書においてさらに、フリーラジカル形成速度が低減されたミネラルを哺乳動物に提供するための方法が提供される。方法には、ミネラルをミネラル-アミノ酸多糖類錯体として哺乳動物に投与して、それによって無機塩としてミネラルを投与した場合と比較してフリーラジカル形成速度が低減された形でミネラルを哺乳動物に提供する段階が含まれうる。いくつかの場合において、フリーラジカルは反応性酸素種である。
【0024】
それ以外であると定義している場合を除き、本明細書において用いられる科学技術用語は全て、本開示が関係する当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。特許、出願、公開された出願、および他の刊行物は全て、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる。本明細書において1つの用語に複数の定義が存在する場合、それ以外であると明記している場合を除き、本章の定義が優先する。
【0025】
本発明の1つまたは複数の態様の詳細を添付の図面および以下の説明に述べる。本発明の他の特色、目的、および長所は、説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】様々な鉄種の透析速度に関する鉄濃度対時間をプロットする折れ線グラフである。
【図2】イヌリンと錯体を形成したアスパラギン酸マンガン、およびアスパラギン酸マンガンとイヌリンとの単純な混合物のFT-NIRスペクトルに関する吸光度対波長の逆数の折れ線グラフである。
【図3】2',7'-ジクロロジヒドロフルオレセイン酸化の速度論に関する500 nmでの吸光度対時間(秒)の折れ線グラフである。
【図4】異なるpH環境における銅(II)化合物のEPRスペクトルの折れ線グラフである。
【図5】図5Aは、銅の添加後のアスコルビン酸吸光度の損失を時間の関数として示す折れ線グラフであり、図5Bは、アミノ酸多糖類錯体形成が、その硫酸塩型と比較してアスコルビン酸塩の銅触媒酸化を遅らせることを示す折れ線グラフである。
【図6】図6Aは、系に銅を添加した際に形成されたトロロクスフェノキシルラジカルのEPRスペクトルの折れ線グラフであり、図6Bは、この系にCuSO4の様々な量を添加した場合の直線状の用量反応曲線の折れ線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
詳細な説明
本文書は、ミネラル-アミノ酸化合物と多糖類とを含む錯体を提供する。たとえば、本文書は、そのような錯体を含有する組成物、ならびにそのような錯体を作製および使用する方法を提供する。
【0028】
本明細書において記述される錯体は、ミネラル-アミノ酸化合物と多糖類とを含む。いくつかの態様において、ミネラル-アミノ酸化合物と多糖類とはコンジュゲートされる。いくつかの態様において、コンジュゲーションには、共有結合、配位共有結合、ファンデルワールス相互作用、疎水結合、水素結合、またはイオン結合の1つまたは複数が含まれる。
【0029】
ミネラル-アミノ酸化合物には、アミノ酸をキレート化するまたは錯体を形成する(たとえば、塩を形成する)食事上の恩恵を有する任意のミネラルが含まれうる。いくつかの場合において、ミネラル-アミノ酸化合物は、アミノ酸キレート化ミネラルでありうる。いくつかの場合において、ミネラル-アミノ酸化合物はミネラル-アミノ酸錯体または塩でありうる。食事上または健康上の恩恵を有する任意のミネラルを、本明細書において記述される錯体において用いることができる。たとえば、クロム;カルシウム;銅;鉄;マグネシウム;マンガン;モリブデン;カリウム;亜鉛;セレン;およびヨウ素。
【0030】
ミネラルとキレートまたは錯体を形成することができる任意のアミノ酸を、本明細書において記述される錯体において用いることができる。いくつかの場合において、ミネラル-アミノ酸化合物のアミノ酸部分は、1つまたは複数の天然または非天然アミノ酸でありうる。たとえば、アミノ酸は天然アミノ酸でありうる。本明細書において用いられるように、「天然の」アミノ酸という用語は、20個の一般的に存在するアミノ酸の1つを指す。天然アミノ酸は、そのD型またはL型のいずれかでありうる。たとえば、天然のアミノ酸は、L-アラニン、L-アルギニン、L-アスパラギン、L-アスパラギン酸、L-システイン、L-グルタミン酸、L-グルタミン、L-グリシン、L-ヒスチジン、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-リジン、L-メチオニン、L-フェニルアラニン、L-プロリン、L-セリン、L-トレオニン、L-トリプトファン、L-チロシン、L-バリン、およびその混合物からなる群より選択されうる。いくつかの場合において、アミノ酸はL-グリシンおよびL-アスパラギン酸から選択される。
【0031】
多糖類は、互いに連結された任意の群の糖(たとえば、単糖)でありうる。たとえば、多糖類には、セルロース誘導体が含まれうる。いくつかの場合において、多糖類には、ポリヘキソース、ポリペントース、およびその誘導体が含まれうる。いくつかの場合において、多糖類は、ポリデキストロース、デンプン、ポリガラクタン、ポリマンナン、キチン、キトサン、コンドロイチン、ポリフルクトース、ペクチン、およびその誘導体からなる群より選択されうる。いくつかの場合において、多糖類はポリフルクトース(たとえば、イヌリン)でありうる。いくつかの場合において、イヌリンは、約2〜約100の範囲の重合度(たとえば、約2〜10;約12〜15;約20〜30;約25〜45;約30〜40;約50〜75;約45〜65;約50〜55;約70〜80;約75〜90;および約92〜100)を有しうる。
【0032】
本明細書において記述される錯体は、水、1種または複数種のミネラル-アミノ酸化合物、および1種または複数種の多糖類を含む組成物を、約100°F〜約180°F(たとえば、100°F;110°F;120°F;125°F;130°F;140°F;145°F;150°F;160°F;165°F;170°F;175°F;および180°F)の温度で加熱することによって調製されうる。いくつかの場合において、組成物は約140°F〜約180°Fで加熱されうる。いくつかの場合において、組成物は約160°Fで加熱されうる。いくつかの場合において、組成物は、約5分〜約30分(たとえば、約5分;約10分;約15分;約20分;約25分;および約30分)の間加熱されうる。いくつかの場合において、組成物は、約20分間加熱されうる。いくつかの場合において、組成物は、たとえば水分含有量が加熱後に約15%未満(たとえば、約14%未満、約12%未満、約10%未満、約8%未満、約5%未満、および約2%未満)となるまで乾燥されうる。
【0033】
錯体は、10:1〜1:10の範囲(たとえば、10 : 1;6 : 1;5 : 1;4 : 1;3 : 1;2 : 1;1 : 1.5;1 : 1;1 : 1.5;1 : 2;1 : 3;1 : 4;1 : 5;1 : 6;および1 : 10)のミネラル-アミノ酸化合物対多糖類の比率を用いて調製されうる。たとえば、ミネラル-アミノ酸化合物対多糖類の比率は5:1または1:1でありうる。いくつかの場合において、ミネラル-アミノ酸多糖類錯体は、重量比50:30:20を有するアスパラギン酸亜鉛:グリシン酸亜鉛:イヌリン(重合度12〜15)でありうる。いくつかの場合において、ミネラル-アミノ酸多糖類錯体は、重量比25:25:50を有するアスパラギン酸鉄:グリシン酸鉄:イヌリン(重合度2〜10)でありうる。
【0034】
本明細書において記述される錯体は、同じミネラル-アミノ酸化合物と多糖類との単純な混合物とそれらを区別する特性を有しうる。たとえば、ミネラル-アミノ酸化合物と多糖類との錯体は、同じミネラル-アミノ酸化合物と多糖類との錯体を形成していない混合物より遅く、カットオフ分子量3500の透析膜を越えて拡散しうる(実施例2を参照されたい)。錯体はまた、工業標準相関係数によって決定した場合に類似の錯体を形成していない混合物と比較して異なるフーリエ変換近IR(FT-NIR)スペクトルを示しうる(実施例3を参照されたい)。
【0035】
本開示はまた、本明細書において記述される2種またはそれ以上の錯体を含む組成物も提供する。たとえば、組成物は、カルシウム-アミノ酸多糖類錯体;鉄-アミノ酸多糖類錯体;ヨウ素-アミノ酸多糖類錯体;マグネシウム-アミノ酸多糖類錯体;亜鉛-アミノ酸多糖類錯体;セレン-アミノ酸多糖類錯体;銅-アミノ酸多糖類錯体;マンガン-アミノ酸多糖類錯体;モリブデン-アミノ酸多糖類錯体;およびホウ素-アミノ酸多糖類錯体の2種またはそれ以上を含みうる。いくつかの場合において、ミネラル-アミノ酸多糖類錯体には、75%アスパラギン酸塩および25%グリシン酸塩を含むミネラル-アミノ酸化合物が含まれうる。いくつかの場合において、ミネラル-アミノ酸多糖類錯体には、ポリフルクトースが含まれうる。いくつかの場合において、ミネラル-アミノ酸多糖類錯体には、約2〜約100の範囲の重合度を有するイヌリンが含まれうる。いくつかの場合において、ミネラル-アミノ酸多糖類錯体には、約12〜15の重合度を有するイヌリンが含まれうる。
【0036】
いくつかの場合において、組成物にはまた、ビタミンA;ビタミンC;ビタミンD;ビタミンE;ビタミンK;チアミン;リボフラビン;ナイアシン;ビタミンB6;葉酸塩;ビタミンB12;ビオチン;パントテン酸;および3価リンの1種または複数種が含まれうる。
【0037】
いくつかの場合において、組成物は以下を含みうる:

【0038】
本明細書において用いられる「総1日量」という句は、24時間の間に投与された活性成分の量を指す。たとえば、総1日量における亜鉛アミノ酸多糖類錯体の量は、24時間の間に投与された亜鉛の量に基づいて計算されるのであって、24時間の間に投与された亜鉛アミノ酸多糖類錯体の量に基づくのではない。総1日量は、1つまたは複数の錠剤(錠剤2個、錠剤3個、錠剤4個、錠剤5個、および錠剤6個)の形で調製および投与されてもよい。いくつかの場合において、24時間の間に1回または複数回の用量において1つまたは複数の錠剤が投与されうる(たとえば、1回投与、2回投与、3回投与、4回投与、5回投与、および6回投与)が、この場合1回または複数回の用量は総1日量を超えない。
【0039】
いくつかの場合において、組成物は以下でありうる:

【0040】
いくつかの場合において、組成物は以下でありうる:

【0041】
いくつかの場合において、組成物は以下でありうる:

【0042】
いくつかの場合において、組成物は以下でありうる:

【0043】
いくつかの場合において、組成物は以下でありうる:

【0044】
いくつかの場合において、組成物は以下でありうる:

【0045】
いくつかの場合において、組成物は以下でありうる:

【0046】
いくつかの場合において、組成物は以下でありうる:

【0047】
いくつかの場合において、組成物は以下でありうる:

【0048】
いくつかの場合において、組成物は以下でありうる:

【0049】
本明細書において記述されるミネラル-アミノ酸多糖類錯体は、錯体を形成していないミネラル(たとえば、ミネラルの硫酸塩、塩化物、クエン酸塩、またはグルコン酸塩)と比較して腸管におけるフリーラジカルの形成を低減させることができる。いくつかの場合において、ミネラル-アミノ酸多糖類錯体は、鉄-アミノ酸ポリフルクトース錯体または銅-アミノ酸ポリフルクトース錯体でありうる。いくつかの例において、ミネラル-アミノ酸多糖類錯体は、イヌリンと錯体を形成したグリシン酸塩またはアスパラギン酸-鉄または銅種でありうる。いくつかの例において、錯体を形成していないミネラルは無機塩でありうる(たとえば、ミネラル硫酸塩、塩化物、または酸化物)。フリーラジカル形成の低減には、ヒドロキシルラジカル、過酸化物、およびスーパーオキサイドラジカルなどの反応性酸素種(ROS)の形成の低減が含まれうる。ROSは、体内でラジカル連鎖反応を開始することができる。たとえば、食品サプリメントにおいて提供される錯体を形成していないミネラルは、食品サプリメントからの1種または複数種の抗酸化剤(たとえば、アスコルビン酸、トコフェロール、カロチノイド、リポ酸、天然植物フェノールおよびフラボノイド、ならびに多価不飽和脂肪酸)を酸化することができるROSの形成を触媒しうる。しかし、理論に拘束されないが、錯体形成ミネラルは、アミノ酸および/または多糖類によって保護されると考えられ、このようにフリーラジカル形成をあまり触媒することができない。食品サプリメントの形で投与されると、フリーラジカル形成の低減は、食品サプリメント自身に存在する任意の抗酸化剤の酸化を減少させることができる。
【0050】
それゆえに、本明細書においてさらに、低減されたミネラル触媒酸化を有するミネラルと抗酸化剤との混合物を哺乳動物に提供するための方法が提供される。いくつかの例において、方法には、ミネラルと抗酸化剤とを含む組成物を哺乳動物に投与する段階が含まれ、ミネラルは本明細書において記述されるようにミネラル-アミノ酸多糖類錯体の形で存在する。ミネラル-アミノ酸多糖類錯体は、錯体を形成していないミネラルまたは無機塩として投与されるミネラルと比較して、抗酸化剤のミネラル触媒酸化の低減を示すことができる。いくつかの例において、酸化速度の低減は、哺乳動物の腸管において起こる。
【0051】
食品サプリメントに存在する抗酸化剤の安定化以外に、フリーラジカル形成の低減はまた、脂質、タンパク質、およびDNAなどの生体分子の酸化を低減させることができる。いくつかの場合において、生体分子の酸化的損傷によって、毒性および/または病原性産物が含まれる多くの異なる中間ラジカルの形成が起こりうる。これらのラジカル種は、生体分子の構造および/または機能を変化させることができ、いくつかの変性疾患(たとえば、炎症、癌、およびアテローム性動脈硬化症)を誘発することができる。
【0052】
本開示は、本明細書において記述される錯体を用いて、フリーラジカルの形成を低減させる、フリーラジカルの量を低減させる、および哺乳動物または細胞における抗酸化剤の酸化を減少させるための方法を提供する(実施例4〜6、20、および21を参照されたい)。たとえば、錯体は、多糖類と錯体を形成したアミノ酸-鉄または銅化合物でありうる。いくつかの場合において、細胞は、腸管細胞である。いくつかの例において、フリーラジカル形成の低減、フリーラジカル量の低減、および抗酸化剤の酸化の減少は、哺乳動物の腸管において起こる。
【0053】
いくつかの場合、方法をインビトロで用いることができ、たとえばフリーラジカル形成の低減、フリーラジカル量の低減、または抗酸化剤還元の減少は、細胞に本明細書において記述される錯体を接触させることによって行われうる。接触させる段階は、任意でフリーラジカルまたは抗酸化剤が細胞内に存在する、細胞の存在下で行われうるか、または無細胞培地において行われてもよい。フリーラジカルの形成を低減させるそのようなインビトロ法を用いることには、スクリーニングアッセイでの使用が含まれるがこれらに限定されるわけではない(たとえば、アミノ酸-鉄または銅化合物が、フリーラジカル形成の低減に関する活性または効力が未知である化合物と比較される陽性対照または標準として用いられる)。
【0054】
いくつかの場合において、方法をインビボで用いることができ、たとえばフリーラジカル形成の低減、フリーラジカル量の低減、または抗酸化剤酸化の減少は、本明細書において記述される錯体をインビボで細胞に接触させることによって行われうる。接触させる段階は、たとえばフリーラジカル形成を低減させるために有効な量で哺乳動物において錯体(たとえば、多糖類と錯体形成したアミノ酸鉄または銅種)を存在させることによって達成されうる。これは、たとえば、錯体の有効量を哺乳動物に投与することによって、または錯体を含む組成物を哺乳動物に投与することによって達成されうる。
【0055】
フリーラジカル形成およびフリーラジカル量を低減させるそのようなインビボ法の使用には、変性疾患などの疾患または状態(たとえば、炎症、癌、およびアテローム性動脈硬化症)を処置または予防する方法での使用が含まれるがこれらに限定されるわけではない。いくつかの場合において、抗酸化剤は、アスコルビン酸、トコフェロール、カロチノイド、リポ酸、天然植物フェノールおよびフラボノイド、ならびに多価不飽和脂肪酸から選択されうる。
【0056】
本明細書において記述されるミネラル-アミノ酸多糖類錯体はまた、錯体を形成していないミネラルと比較して中性pHで増加した溶解度を有する(実施例23を参照されたい)。いくつかの例において、中性pHは腸管において起こる。理論に拘束されないが、そのような溶解度の増加は、投与後に体によって吸収されるミネラル濃度を増加させうる。
【実施例】
【0057】
実施例1−亜鉛-アミノ酸イヌリン錯体の調製
アスパラギン酸亜鉛100 gおよびグリシン酸亜鉛50 gをイヌリン(重合度12〜15)150 gと混合した。水60 mLを添加した。混合物を撹拌しながら140°Fまで30分間加熱した。次に、混合物を乾燥したトレイに移して、終夜または水分含有量が8%に達するまで乾燥させた。
【0058】
実施例2−透析モデル
ビスグリシン酸第一鉄(10.1%鉄)およびイヌリン(重合度12〜15)の等量試料を水と混合した。試薬が完全に溶解するまで、混合物を3分間振とうさせた。次に溶液を水によって最終濃度2 mg/mLに希釈した。この溶液5 mLを透析チューブ(Fisherbrand(登録商標)再生セルロース、分子量カットオフ=3,500)に移して、5分間放置してから透析を開始した。水100 mLに対する透析を、ゆっくり撹拌しながら行った。2時間の間に10〜15分毎にアリコートを採取した。鉄(II)濃度を、2,4,6-トリ-(2-ピリジル)-s-チラジン(TPTZ)の反応および参照標準物質としてFeSO4を用いて熱量測定により決定した(Benzie, I.F. and Strain, J.J. Anal. Biochem. 1996: 239:70-6を参照されたい)。
【0059】
グリシン酸第一鉄イヌリン錯体を調製するために、等しい重量のイヌリン(4.73%鉄)によって処理したビスグリシン酸第一鉄の試料を調製して(実施例1を参照されたい)、同じように透析した。
【0060】
表1および図1は、様々な時点で双方の試料に関する透析溶液中の鉄(II)濃度(μg/mL)を詳述する。
【0061】
【表1】

【0062】
鉄-アミノ酸イヌリン錯体は、単純な混合物と比較して全ての時点で膜の中に浸透する量が少なかった(表1および図1)。これらの結果は、錯体がより大きい種であり、成分の単なる混合によって形成されたのではないことを示した。
【0063】
実施例3−FT-NIRモデル
フーリエ変換(FT)近赤外線分光法を、Spectrum One NTS V.N3(Perkin Elmer)において行った。アスパラギン酸マンガンイヌリン錯体を、ミネラル-アミノ酸化合物対イヌリンの1:1重量比を用いて調製した(実施例1を参照されたい)。乾燥したアスパラギン酸マンガンを、等量のイヌリン粉末と合わせて、混合物を軽く撹拌して、対照として用いられる均一な粉末を得た(図2を参照されたい)。
【0064】
錯体および混合物は、工業標準計算相関係数に基づく同一性試験に合格しなかった。相関−0.886(合格>0.95);因子−0.679(合格>0.95)。加えて、肉眼的に双方のFT-NIRスペクトルは、スペクトルのいくつかの領域において異なる強度を示した。特に、錯体形成試料のスペクトルにおいて新しいピークが観察された。
【0065】
これらの結果は、錯体形成試料および単純な混合物が異なる化学実体であることを示している。
【0066】
実施例4−アスコルビルラジカル速度論
硫酸第一鉄、ビスグリシン酸第一鉄(FeAAC)、およびビスグリシン酸第一鉄-イヌリン錯体(FeAAC/OF;比率1:10 w/w)を、EPR分光法を用いて分析して、アスコルビン酸ラジカルの生成能、すなわちアスコルビン酸酸化の触媒能を決定した。試料を10 mM HEPES緩衝液(pH 7.2)に、鉄の最終濃度が0.9 mMとなるように溶解した。アスコルビン酸を4.04 mMの濃度で同じ緩衝液に溶解した。
【0067】
鉄溶液をアスコルビン酸溶液と混合して、混合物を測定のために毛細管に移した。30分間の間に多数の読み取りを行った。
【0068】
EPR測定を、50 μL毛細管においてBruker ER-200 X-band EPR分光計を用いて室温で行った。機器の条件には以下が含まれた:マイクロ波周波数9.71 GHz;中心磁場3472 G;掃引幅10 G;掃引時間20秒;変調磁場1.25 G;時定数0.5秒;マイクロ波出力10 mW;および機器増幅率2×106
【0069】
溶液中に存在するアスコルビルラジカルの濃度に相関させることができるアスコルビルラジカルシグナルの相対的な大きさを測定した(表2)。
【0070】
【表2】

【0071】
アスコルビルラジカルは、反応が、硫酸鉄と比較してグリシン酸鉄によって触媒される場合、より長い期間安定化された(表2)。その上、グリシン酸鉄イヌリン錯体は、さらにより大きい程度にアスコルビルラジカルの寿命を増加させた。
【0072】
実施例5−ヒドロキシルラジカル形成
鉄または銅-アミノ酸イヌリン錯体を含む錯体によって触媒されるヒドロキシルラジカル形成速度を、鉄または銅-アミノ酸化合物単独と比較した。
【0073】
ミネラル(CuまたはFe)を、DMPOを含有する10 mM HEPES緩衝液(pH 7.2)に溶解した。鉄および銅をアミノ酸化合物の形で(すなわち、グリシン酸塩;AAC)およびアミノ酸イヌリン錯体(1:9 w/w、AAC/OF)の形で用いた。過酸化水素を測定の90秒前に添加した。反応混合物の最終組成は、金属−800μM、DMPO−18.7 mM、およびH2O2−61 mMであった。
【0074】
スピン捕捉試薬−5,5-ジメチルピロリン-N-オキシド(DMPO)をヒドロキシルラジカルをモニターするために用いた。EPR条件は:マイクロ波周波数9.71 GHz;中心磁場3472 G;掃引幅100 G;掃引時間100秒;変調磁場1.25 G;時定数0.5秒;マイクロ波出力10 mW;および機器増幅率2×106であった。
【0075】
溶液中に存在するヒドロキシルラジカルの濃度に相関させることができるDMPO/ヒドロキシルラジカル付加物の相対的なシグナルの大きさを測定した(表3)。
【0076】
【表3】

【0077】
ミネラル-アミノ酸イヌリン錯体は、ミネラル-アミノ酸化合物単独と比較してヒドロキシルラジカル形成速度の減少を示した(表3)。
【0078】
実施例6−異なる型の銅がDCFの酸化を触媒する能力
様々な型の銅がDCF(2',7'-ジクロロジヒドロフルオレセイン)の酸化を触媒する速度を、硫酸銅、グルコン酸銅イヌリン錯体(AAOC)、およびグルコン酸銅を用いて調べた。全ての銅試料の溶液を20 mM HEPES緩衝液(pH 7.2)中で濃度25μMで調製した。酢酸塩の加水分解を提供するために、DCF保存液を20 mM NaOH中で調製した。DCF保存液を20 mM HEPES緩衝液(pH 7.2)中で濃度0.1 mMとなるように希釈した。各銅溶液0.5 mLをDCF溶液1 mLと混合した。0.1%過酸化水素0.1 mLを添加することによって反応を開始させた。500 nmでのその吸光度を測定することによって、DCFの酸化をモニターした。
【0079】
銅-アミノ酸イヌリン錯体は、銅アミノ酸化合物および硫酸銅種と比較して最も遅いDCF酸化速度を示した(図3)。
【0080】
実施例7−食品サプリメント製剤
ミネラル-アミノ酸ポリフルクトース錯体、具体的にはミネラル-(25:75グリシン酸塩:アスパラギン酸塩)イヌリン錯体を用いて、食品サプリメント製剤を調製した。製剤は、表4において以下に記載される成分を適当な賦形剤と共に組み合わせることによって調製された。次に、組み合わせた製剤を錠剤に打錠した(表4に提供される1日量は錠剤3個の量を表す)。
【0081】
【表4】

【0082】
実施例8−食品サプリメント製剤
ミネラル-アミノ酸ポリフルクトース錯体、具体的にはミネラル-(25:75グリシン酸塩:アスパラギン酸塩)イヌリン錯体を用いて、食品サプリメント製剤を調製した。製剤は、表5において以下に記載される成分を適当な賦形剤と共に組み合わせることによって調製された。次に、組み合わせた製剤を錠剤に打錠した(表5に提供される1日量は錠剤3個の量を表す)。
【0083】
【表5】

【0084】
実施例9−食品サプリメント製剤
ミネラル-アミノ酸ポリフルクトース錯体、具体的にはミネラル-(25:75グリシン酸塩:アスパラギン酸塩)イヌリン錯体を用いて、食品サプリメント製剤を調製した。製剤は、表6において以下に記載される成分を適当な賦形剤と共に組み合わせることによって調製された。次に、組み合わせた製剤を錠剤に打錠した(表6に提供される1日量は錠剤3個の量を表す)。
【0085】
【表6】

【0086】
実施例10−食品サプリメント製剤
ミネラル-アミノ酸ポリフルクトース錯体、具体的にはミネラル-(25:75グリシン酸塩:アスパラギン酸塩)イヌリン錯体を用いて、食品サプリメント製剤を調製した。製剤は、表7において以下に記載される成分を適当な賦形剤と共に組み合わせることによって調製された。次に、組み合わせた製剤を錠剤に打錠した(表7に提供される1日量は錠剤3個の量を表す)。
【0087】
【表7】

【0088】
実施例11−食品サプリメント製剤
ミネラル-アミノ酸ポリフルクトース錯体、具体的にはミネラル-(25:75グリシン酸塩:アスパラギン酸塩)イヌリン錯体を用いて、食品サプリメント製剤を調製した。製剤は、表8において以下に記載される成分を適当な賦形剤と共に組み合わせることによって調製された。次に、組み合わせた製剤を錠剤に打錠した(表8に提供される1日量は錠剤3個の量を表す)。
【0089】
【表8】

【0090】
実施例12−食品サプリメント製剤
ミネラル-アミノ酸ポリフルクトース錯体、具体的にはミネラル-(25:75グリシン酸塩:アスパラギン酸塩)イヌリン錯体を用いて、食品サプリメント製剤を調製した。製剤は、表9において以下に記載される成分を適当な賦形剤と共に組み合わせることによって調製された。次に、組み合わせた製剤を錠剤に打錠した(表9に提供される1日量は錠剤3個の量を表す)。
【0091】
【表9】

【0092】
実施例13−食品サプリメント製剤
ミネラル-アミノ酸ポリフルクトース錯体、具体的にはミネラル-(25:75グリシン酸塩:アスパラギン酸塩)イヌリン錯体を用いて、食品サプリメント製剤を調製した。製剤は、表10において以下に記載される成分を適当な賦形剤と共に組み合わせることによって調製された。次に、組み合わせた製剤を錠剤に打錠した(表10に提供される1日量は錠剤3個の量を表す)。
【0093】
【表10】

【0094】
実施例14−食品サプリメント製剤
ミネラル-アミノ酸ポリフルクトース錯体、具体的にはミネラル-(25:75グリシン酸塩:アスパラギン酸塩)イヌリン錯体を用いて、食品サプリメント製剤を調製した。製剤は、表11において以下に記載される成分を適当な賦形剤と共に組み合わせることによって調製された。次に、組み合わせた製剤を錠剤に打錠した(表11に提供される1日量は錠剤3個の量を表す)。
【0095】
【表11】

【0096】
実施例15−食品サプリメント製剤
ミネラル-アミノ酸ポリフルクトース錯体、具体的にはミネラル-(25:75グリシン酸塩:アスパラギン酸塩)イヌリン錯体を用いて、食品サプリメント製剤を調製した。製剤は、表12において以下に記載される成分を適当な賦形剤と共に組み合わせることによって調製された。次に、組み合わせた製剤を咀嚼錠(chew)に製剤化した(表12に提供される1日量は咀嚼錠3個の量を表す)。
【0097】
【表12】

【0098】
実施例16−食品サプリメント製剤
ミネラル-アミノ酸ポリフルクトース錯体、具体的にはミネラル-(25:75グリシン酸塩:アスパラギン酸塩)イヌリン錯体を用いて、食品サプリメント製剤を調製した。製剤は、表13において以下に記載される成分を適当な賦形剤と共に組み合わせることによって調製された。次に、組み合わせた製剤を錠剤に打錠した(表13に提供される1日量は錠剤3個の量を表す)。
【0099】
【表13】

【0100】
実施例17−マグネシウム-アミノ酸イヌリン錯体の調製
酸化マグネシウム126.8 gをアスパラギン酸670.1 g、グリシン94.5 g、およびイヌリン(重合度8〜13)108.6 gと混合した。水78 mLを添加した。混合物を撹拌しながら120°Fに20分間加熱した。次に、混合物を乾燥したトレイに移して、終夜または組成物の水分含有量が8%に達するまで乾燥させた。
【0101】
実施例18−マルチビタミン/マルチミネラル組成物の酸化速度
市販の2つのマルチビタミン/マルチミネラル組成物の酸化速度を比較した:1つは典型的なミネラル剤形を用い(処方A)、他方はミネラル-アミノ酸多糖類錯体を用いる(処方B)。
【0102】
【表14】

【0103】
銅によって触媒されるアスコルビン酸の酸化を、酸素消費をモニターすることによって評価した。錠剤を粉砕して細粉にした。等量の銅を提供する双方の試料のアリコートを用いた。試料を0.1 N HCl中で1時間インキュベートした後、pHを炭酸ナトリウムによって7.0に調節した。アスコルビン酸を双方の試料において等しい濃度で提供するように添加した。銅の最終濃度は3.9μMであり、アスコルビン酸塩は600 μMであった。クラーク電極を備えた測定セルに各混合物3 mLを入れた。酸素濃度をBioStat Nitric Oxide System(ESA Biosciences,Chelmsford, MA)によってモニターした。処方Aの酸素消費速度は、319 pmol/秒であったが、処方Bの消費速度は75 pmol/秒であった。
【0104】
実施例19−銅錯体のEPR分光法
EPR分光法を用いて異なるpH値での水溶性銅錯体の性質を調べた。全てのEPR測定をBruker ER-200 X-band EPR分光計を用いて行った。毛細管(内径0.5 mm)中の試料(50μL)を室温で調べた。機器の条件には以下が含まれた:マイクロ波周波数9.71 GHz;中心磁場3415 G;掃引速度1000G/100秒;変調振幅2.5 G;時定数0.5秒;マイクロ波出力102 mW;機器増幅率は異なる試料に関して103から3.2×105まで多様であった。酸化カルシウム中のマンガンをEPRパラメータに関する参照として用いた。
【0105】
CuSO4または銅-アミノ酸(グリシン酸塩またはアスパラギン酸塩)イヌリン錯体(CuAAC;5 mM)のいずれかをpH 1で水溶液に溶解すると、EPRスペクトルは一重線(g=2.19;△Hpp=140 G)、図4であった。これらの錯体を、0.5 M過塩素酸に溶解すると類似のスペクトルが観察され、これは銅の水性錯体と一致した。しかし、中性付近のpHでは、ACC錯体のEPRはヒスチジン型錯体に関して予想されるEPRに変化した(Basosi R, Pogni R, Lunga GD. Coordination modes of histidine moiety in copper (II) dipeptide complexes detected by multifrequency ESR. Bull Magn Res 1992; 14:224-8を参照されたい)。このことは、中性pHでは、典型的なアミノ酸が銅(II)に対するリガンドになりうることを示している。
【0106】
実施例20−アスコルビルラジカル速度論
アスコルビルラジカル速度論を実施例4において記述されるように測定して、銅によって触媒されるアスコルビン酸塩の酸化速度がCuSO4または銅-アミノ酸(グリシン酸塩またはアスパラギン酸塩)イヌリン錯体(CuAAC)のいずれかの添加によって影響を受けるか否かを決定した。図5に示されるように、アスコルビン酸塩の中性付近の溶液に銅を導入すると、アスコルビン酸塩ラジカルの濃度の増加が起こった。しかし、このラジカルの喪失速度は、この金属の硫酸塩型と比較してCuAACによって有意に遅くなった。この系におけるアスコルビン酸塩ラジカルの喪失は、アスコルビン酸塩の喪失と平行であろう。このように、これらの結果は、AAC錯体が、アスコルビン酸塩の銅による触媒酸化を遅らせることを示している。
【0107】
実施例21−トロロクスの銅媒介酸化はCuAACによって阻害される
トロロクスは、脂溶性抗酸化剤であるビタミンEの類似体である;α-トコフェロールのフィチルテールは、トロロクスを水溶性にするカルボキシル基に交換されている。これは抗酸化剤能およびフリーラジカルの流れに関して調べるために用いられるツールである。トロロクスの1電子酸化によって、フェノキシラジカルの形成が起こり、これはEPRによって容易に検出される。全てのEPR測定を、Bruker ER-200 X-band EPR分光計を用いて行った。毛細管(内径0.5 mm)中の試料(50μL)を室温で調べた。機器の条件には以下が含まれた:マイクロ波周波数9.71 GHz;中心磁場3472 G;掃引幅60 G;掃引時間50秒;変調振幅1.0 G;時定数0.5秒;マイクロ波出力20 mW;および機器増幅率2×106
【0108】
酸化を開始するためにFenton系を用いて、銅の導入の際のトロロクスフリーラジカルの形成を観察した(図6A)。トロロクスフリーラジカルの濃度は、系に導入されたCu2+の量に直接比例した(図6B)。このように、この系は、抗酸化剤を消費するであろう酸化プロセスの開始における金属の有効性を決定するために優れているように思われる。
【0109】
異なる配位環境または基質を有する銅をこの系に導入すると、トロロクスラジカルのEPRスペクトルの強度は環境によって多様となった。硫酸銅はトロロクスフリーラジカルの強力なEPRシグナルを産生した;銅を配位結合するためにグルコン酸塩が利用できる場合、EPRシグナルは約15%低減された;しかし、銅をAAC錯体の一部として導入すると、EPRシグナル強度は、CuSO4と比較しておよそ50%低減された。これは、アスコルビン酸塩についての観察と一致し、ミネラル-AACが系における酸化的な流れを低減させることを示している。
【0110】
実施例22−ミネラル-アミノ酸多糖類錯体の調製
銅-アミノ酸多糖類錯体を、炭酸銅をグリシンまたはアスパラギン酸の中に懸濁させた後、イヌリンの中に最終比率1:4:01で懸濁させることによって調製した。80℃で10分間撹拌した後、混合物を乾燥器において乾燥させた。
【0111】
FeSO4(1モル)を最初に水中で溶解させることによって、鉄-アミノ酸錯体を調製した後;NaOHを添加して鉄を沈殿させた。グリシンまたはアスパラギン酸(2モル)をFe-固体の懸濁液に添加して、混合物を撹拌した後、乾燥器において乾燥させた。鉄-アミノ酸多糖類錯体を調製するために、グリシンまたはアスパラギン酸(1モル)を鉄固体と共に水中で懸濁させた後、イヌリン0.01モルを添加した。80℃で加熱した後、得られた混合物を乾燥器において乾燥させた。
【0112】
実施例23−ミネラルの溶解度
亜鉛、銅、および鉄の2つの形状を生理的に近い条件で溶解度に関して試験した。ミネラル-アミノ酸多糖類錯体を無機型:酸化亜鉛、硫酸銅、および硫酸鉄と比較した。錠剤20個に等しい量の試料を水20 mLに懸濁した。pHを1〜1.2に調節して、1時間維持し、胃内の環境を模倣した。1時間後、pHを7〜7.2に調節して、さらに1時間維持し、腸管内の環境を模倣した。次いで産物を遠心分離して、上清を分析のために採取した。結果を、溶解したミネラルの百分率として提示して、元素回収データを表15に示す。
【0113】
【表15】

【0114】
他の態様
本発明を、その詳細な説明と共に記述してきたが、前述の記述は説明することを意図しており、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を制限しないと意図される。その他の局面、長所、および改変は以下の特許請求の範囲の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、1種または複数種のミネラル-アミノ酸化合物、および1種または複数種の多糖類を含む組成物を、約100°F〜約180°Fの温度で加熱して錯体を形成させる段階を含むプロセスによって調製される錯体。
【請求項2】
プロセスが錯体を乾燥させる段階をさらに含む、請求項1記載の錯体。
【請求項3】
組成物が約5分〜約30分間加熱される、請求項1記載の錯体。
【請求項4】
組成物が約20分間加熱される、請求項3記載の錯体。
【請求項5】
組成物が約160°Fで加熱される、請求項1記載の錯体。
【請求項6】
水、1種または複数種のミネラル-アミノ酸化合物、および1種または複数種の多糖類を含む組成物を、約100°F〜約180°Fの温度で加熱して錯体を形成させる段階を含む、錯体を調製するプロセス。
【請求項7】
2種またはそれ以上のミネラル-アミノ酸多糖類錯体を含む組成物。
【請求項8】
カルシウムアミノ酸ポリフルクトース錯体;鉄アミノ酸ポリフルクトース錯体;ヨウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体;マグネシウムアミノ酸ポリフルクトース錯体;亜鉛アミノ酸ポリフルクトース錯体;セレンアミノ酸ポリフルクトース錯体;銅アミノ酸ポリフルクトース錯体;マンガンアミノ酸ポリフルクトース錯体;モリブデンアミノ酸ポリフルクトース錯体;およびホウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体の2種またはそれ以上を含む、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
ビタミンA;ビタミンC;ビタミンD;ビタミンE;ビタミンK;チアミン;リボフラビン;ナイアシン;ビタミンB6;葉酸塩;ビタミンB12;ビオチン;パントテン酸;および3価リン(phosphorous)の1種または複数種をさらに含む、請求項7記載の組成物。
【請求項10】
組成物の1日量が以下を含む、請求項7記載の組成物:
(a)1〜5000 IUビタミンA;
(b)30〜240 mgビタミンC;
(c)1〜600 IUビタミンD;
(d)15〜60 IUビタミンE;
(e)0〜56μgビタミンK;
(f )1.5〜15 mgチアミン;
(g)1.7〜17 mgリボフラビン;
(h)20〜100 mgナイアシン;
(i)2〜20 mgビタミンB6;
(j)200〜800μg葉酸塩;
(k)6〜18μgビタミンB12;
(1)20〜400μgビオチン;
(m)10〜200 mgパントテン酸;
(n)200〜1000 mgカルシウム塩または錯体;
(o)0〜18 mg鉄アミノ酸ポリフルクトース錯体;
(p)0〜300 mg 3価リン;
(q)100〜300μgヨウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体;
(r)100〜400 mgマグネシウム塩または錯体;
(s)5〜30 mg亜鉛アミノ酸ポリフルクトース錯体;
(t)35〜150μgセレンアミノ酸ポリフルクトース錯体;
(u)1〜5 mg銅アミノ酸ポリフルクトース錯体;
(v)1〜5 mgマンガンアミノ酸ポリフルクトース錯体;
(w)60〜360μgクロムアミノ酸ポリフルクトース錯体;
(x)50〜150μgモリブデンアミノ酸ポリフルクトース錯体;および
(y)0〜300μgホウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体。
【請求項11】
カルシウム塩または錯体およびマグネシウム塩または錯体の1つまたは複数が、対応するミネラル-アミノ酸ポリフルクトース錯体である、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
組成物の1日量が以下を含む、請求項7記載の組成物:
(a)3000 IUビタミンA;
(b)150 mgビタミンC;
(c)200 IUビタミンD;
(d)30 IUビタミンE;
(e)28μgビタミンK;
(f )15 mgチアミン;
(g)17 mgリボフラビン;
(h)75 mgナイアシン;
(i)10 mgビタミンB6;
(j)800μg葉酸塩;
(k)12μgビタミンB12;
(1)300μgビオチン;
(m)20 mgパントテン酸;
(n)250 mgカルシウム塩または錯体;
(o)9 mg鉄アミノ酸ポリフルクトース錯体;
(p)65 mg 3価リン;
(q)150μgヨウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体;
(r)200 mgマグネシウム塩または錯体;
(s)15 mg亜鉛アミノ酸ポリフルクトース錯体;
(t)105μgセレンアミノ酸ポリフルクトース錯体;
(u)3 mg銅アミノ酸ポリフルクトース錯体;
(v)2.5 mgマンガンアミノ酸ポリフルクトース錯体;
(w)120μgクロムアミノ酸ポリフルクトース錯体;
(x)75μgモリブデンアミノ酸ポリフルクトース錯体;および
(y)150μgホウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体。
【請求項13】
組成物の1日量が以下を含む、請求項7記載の組成物:
(a)3000 IUビタミンA;
(b)150 mgビタミンC;
(c)200 IUビタミンD;
(d)30 IUビタミンE;
(e)15 mgチアミン;
(f)17 mgリボフラビン;
(g)75 mgナイアシン;
(h)10 mgビタミンB6;
(i)600μg葉酸塩;
(j)12μgビタミンB12;
(k)60μgビオチン;
(l)20 mgパントテン酸;
(m)250 mgカルシウム塩または錯体;
(n)65 mg 3価リン;
(o)150μgヨウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体;
(p)200 mgマグネシウム塩または錯体;
(q)15 mg亜鉛アミノ酸ポリフルクトース錯体;
(r)105μgセレンアミノ酸ポリフルクトース錯体;
(s)3 mg銅アミノ酸ポリフルクトース錯体;
(t)4 mgマンガンアミノ酸ポリフルクトース錯体;
(u)120μgクロムアミノ酸ポリフルクトース錯体;
(v)75μgモリブデンアミノ酸ポリフルクトース錯体;および
(w)150μgホウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体。
【請求項14】
組成物の1日量が以下を含む、請求項7記載の組成物:
(a)3000 IUビタミンA;
(b)150 mgビタミンC;
(c)200 IUビタミンD;
(d)30 IUビタミンE;
(e)8.5 mgチアミン;
(f)10 mgリボフラビン;
(g)75 mgナイアシン;
(h)10 mgビタミンB6;
(i)1000μg葉酸塩;
(j)16μgビタミンB12;
(k)300μgビオチン;
(l)20 mgパントテン酸;
(m)300 mgカルシウム塩または錯体;
(n)9 mg鉄アミノ酸ポリフルクトース錯体;
(o)65 mg 3価リン;
(p)150μgヨウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体;
(q)225 mgマグネシウム塩または錯体;
(r)15 mg亜鉛アミノ酸ポリフルクトース錯体;
(s)105μgセレンアミノ酸ポリフルクトース錯体;
(t)3 mg銅アミノ酸ポリフルクトース錯体;
(u)2.5 mgマンガンアミノ酸ポリフルクトース錯体;
(v)120μgクロムアミノ酸ポリフルクトース錯体;
(w)75μgモリブデンアミノ酸ポリフルクトース錯体;および
(x)150μgホウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体。
【請求項15】
組成物の1日量が以下を含む、請求項7記載の組成物:
(a)2500 IUビタミンA;
(b)80 mgビタミンC;
(c)200 IUビタミンD;
(d)15 IUビタミンE;
(e)0.7 mgチアミン;
(f)0.8 mgリボフラビン;
(g)9 mgナイアシン;
(h)1.05 mgビタミンB6;
(i)200μg葉酸塩;
(j)3μgビタミンB12;
(k)30μgビオチン;
(l)5 mgパントテン酸;
(m)160 mgカルシウム塩または錯体;
(n)5 mg鉄アミノ酸ポリフルクトース錯体;
(o)20 mg 3価リン;
(p)70μgヨウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体;
(q)40 mgマグネシウム塩または錯体;
(r)4 mg亜鉛アミノ酸ポリフルクトース錯体;
(s)0.5 mg銅アミノ酸ポリフルクトース錯体;
(t)0.5 mgマンガンアミノ酸ポリフルクトース錯体;
(u)10μgクロムアミノ酸ポリフルクトース錯体;および
(v)10μgモリブデンアミノ酸ポリフルクトース錯体。
【請求項16】
組成物の1日量が以下を含む、請求項7記載の組成物:
(a)5000 IUビタミンA;
(b)160 mgビタミンC;
(c)400 IUビタミンD;
(d)30 IUビタミンE;
(e)1.4 mgチアミン;
(f)1.6 mgリボフラビン;
(g)18 mgナイアシン;
(h)2.1 mgビタミンB6;
(i)400μg葉酸塩;
(j)6μgビタミンB12;
(k)60μgビオチン;
(l)10 mgパントテン酸;
(m)320 mgカルシウム塩または錯体;
(n)10 mg鉄アミノ酸ポリフルクトース錯体;
(o)40 mg 3価リン;
(p)140μgヨウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体;
(q)80 mgマグネシウム塩または錯体;
(r)8 mg亜鉛アミノ酸ポリフルクトース錯体;
(s)1 mg銅アミノ酸ポリフルクトース錯体;
(t)1 mgマンガンアミノ酸ポリフルクトース錯体;
(u)20μgクロムアミノ酸ポリフルクトース錯体;および
(v)20μgモリブデンアミノ酸ポリフルクトース錯体。
【請求項17】
組成物の1日量が以下を含む、請求項7記載の組成物:
(a)3500 IUビタミンA;
(b)150 mgビタミンC;
(c)200 IUビタミンD;
(d)45 IUビタミンE;
(e)7.5 mgチアミン;
(f)8.5 mgリボフラビン;
(g)75 mgナイアシン;
(h)10 mgビタミンB6;
(i)600μg葉酸塩;
(j)12μgビタミンB12;
(k)60μgビオチン;
(l)15 mgパントテン酸;
(m)250 mgカルシウム塩または錯体;
(n)65 mg 3価リン;
(o)150μgヨウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体;
(p)200 mgマグネシウム塩または錯体;
(q)15 mg亜鉛アミノ酸ポリフルクトース錯体;
(r)105μgセレンアミノ酸ポリフルクトース錯体;
(s)3 mg銅アミノ酸ポリフルクトース錯体;
(t)3 mgマンガンアミノ酸ポリフルクトース錯体;
(u)180μgクロムアミノ酸ポリフルクトース錯体;
(v)90μgモリブデンアミノ酸ポリフルクトース錯体;および
(w)150μgホウ素アミノ酸ポリフルクトース錯体。
【請求項18】
組成物の1日量が以下を含む、請求項7記載の組成物:
(a)300 IUビタミンD;
(b)750 mgカルシウム塩または錯体;
(c)100 mg 3価リン;および
(d)150 mgマグネシウム塩または錯体。
【請求項19】
組成物の1日量が以下を含む、請求項7記載の組成物:
(a)400 IUビタミンD;
(b)1000 mgカルシウム塩または錯体;
(c)130 mg 3価リン;および
(d)200 mgマグネシウム塩または錯体。
【請求項20】
組成物の1日量が以下を含む、請求項7記載の組成物:
(a)500 IUビタミンD;
(b)1250 mgカルシウム塩または錯体;
(c)160 mg 3価リン;および
(d)250 mgマグネシウム塩または錯体。
【請求項21】
カルシウム塩または錯体およびマグネシウム塩または錯体の1つまたは複数が、対応するミネラル-アミノ酸ポリフルクトース錯体を含む、請求項12〜20のいずれか一項記載の組成物。
【請求項22】
ミネラル-アミノ酸化合物と多糖類とを含む錯体であって、ミネラル-アミノ酸化合物と多糖類の錯体を形成していない混合物より遅く、カットオフ分子量3500の透析膜を越えて拡散する、錯体。
【請求項23】
ミネラルが、Ca、Mg、K、Zn、Cu、Fe、I、Mn、Mo、Se、およびCrからなる群より選択される、請求項22記載の錯体。
【請求項24】
アミノ酸が天然アミノ酸である、請求項22記載の錯体。
【請求項25】
アミノ酸が、L-アラニン、L-アルギニン、L-アスパラギン、L-アスパラギン酸、L-システイン、L-グルタミン酸、L-グルタミン、L-グリシン、L-ヒスチジン、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-リジン、L-メチオニン、L-フェニルアラニン、L-プロリン、L-セリン、L-トレオニン、L-トリプトファン、L-チロシン、L-バリン、およびその混合物からなる群より選択される、請求項23記載の錯体。
【請求項26】
アミノ酸がL-グリシンおよびL-アスパラギン酸からなる群より選択される、請求項22記載の錯体。
【請求項27】
多糖類が、セルロース;ポリヘキソース;ポリペントース;ポリデキストロース;デンプン;ポリガラクタン;ポリマンナン;キチン;キトサン;コンドロイチン;ポリフルクトース;イヌリン;ペクチン、およびその誘導体からなる群より選択される、請求項22記載の錯体。
【請求項28】
多糖類がセルロース誘導体である、請求項22記載の錯体。
【請求項29】
多糖類がポリフルクトースである、請求項22記載の錯体。
【請求項30】
多糖類がイヌリンである、請求項22記載の錯体。
【請求項31】
多糖類がポリデキストロースである、請求項22記載の錯体。
【請求項32】
ミネラルをミネラル-アミノ酸多糖類錯体として哺乳動物に投与して、それによって無機塩として投与されたミネラルより大きい溶解度を有する形でミネラルを哺乳動物に提供する段階を含む、増加した溶解度を有するミネラルを哺乳動物に提供するための方法。
【請求項33】
溶解度の増加が、哺乳動物の腸管において起こる、請求項32記載の方法。
【請求項34】
哺乳動物がヒトである、請求項32記載の方法。
【請求項35】
ミネラル-アミノ酸多糖類錯体の溶解度がミネラル-アミノ酸として投与されたミネラルより大きい、請求項32記載の方法。
【請求項36】
ミネラルがミネラル-アミノ酸多糖類錯体の形であり、かつ哺乳動物内でのミネラル触媒酸化速度が、該ミネラルが無機塩として投与された場合のミネラル触媒酸化速度より遅い、ミネラルと抗酸化剤とを含む組成物を哺乳動物に投与する段階を含む、低減されたミネラル触媒酸化を有するミネラルと抗酸化剤との混合物を哺乳動物に提供するための方法。
【請求項37】
抗酸化剤が、アスコルビン酸、トコフェロール、カロチノイド、リポ酸、天然植物フェノールおよびフラボノイド、ならびに多価不飽和脂肪酸からなる群より選択される、請求項36記載の方法。
【請求項38】
ミネラルが、CuおよびFeからなる群より選択される、請求項36記載の方法。
【請求項39】
アミノ酸が天然アミノ酸である、請求項36記載の方法。
【請求項40】
アミノ酸がL-グリシンおよびL-アスパラギン酸からなる群より選択される、請求項36記載の方法。
【請求項41】
多糖類が、セルロース;ポリヘキソース;ポリペントース;ポリデキストロース;デンプン;ポリガラクタン;ポリマンナン;キチン;キトサン;コンドロイチン;ポリフルクトース;イヌリン;ペクチン、およびその誘導体からなる群より選択される、請求項36記載の方法。
【請求項42】
多糖類がイヌリンである、請求項41記載の方法。
【請求項43】
ミネラルをミネラル-アミノ酸多糖類錯体として哺乳動物に投与して、それによって無機塩としての該ミネラルの投与と比較してフリーラジカル形成速度が低減された形で該ミネラルを哺乳動物に提供する段階を含む、フリーラジカル形成速度が低減されたミネラルを哺乳動物に提供するための方法。
【請求項44】
フリーラジカルが反応性酸素種である、請求項43記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−527724(P2011−527724A)
【公表日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517623(P2011−517623)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/050111
【国際公開番号】WO2010/006173
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(500472280)メラルーカ インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】