メタルマスク洗浄方法及び洗浄治具
【課題】シャワー洗浄を行ってもフレームからメタルメッシュが剥れるのを防ぐことができるメタルマスク洗浄方法及び洗浄治具を提供する。
【解決手段】メタルメッシュと、メタルメッシュの外周部に接着剤で接着されたフレームとを有するメタルマスク10を洗浄する際に、まず、メタルメッシュとフレームの接着部を上部カバー36及び下部カバー34で密閉し、上部カバー36及び下部カバー34を固定治具38で挟んで固定する。次に、接着部が上部カバー36及び下部カバー34で密閉された状態で、接着剤を溶かす洗浄溶剤を用いてメタルマスクを浸漬洗浄又はシャワー洗浄する。
【解決手段】メタルメッシュと、メタルメッシュの外周部に接着剤で接着されたフレームとを有するメタルマスク10を洗浄する際に、まず、メタルメッシュとフレームの接着部を上部カバー36及び下部カバー34で密閉し、上部カバー36及び下部カバー34を固定治具38で挟んで固定する。次に、接着部が上部カバー36及び下部カバー34で密閉された状態で、接着剤を溶かす洗浄溶剤を用いてメタルマスクを浸漬洗浄又はシャワー洗浄する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷機用のメタルマスクを洗浄する方法及びそれに用いる治具に関し、特に接着剤を溶かす洗浄溶剤を用いて浸漬洗浄又はシャワー洗浄を行った場合でもフレームからメタルメッシュが剥れるのを防ぐことができるメタルマスク洗浄方法及び洗浄治具に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷機用のメタルマスクは、メタルメッシュと、メタルメッシュの外周部に接着剤で接着されたフレームとを有する。使用後のメタルマスクは洗浄溶剤に浸漬して洗浄するかシャワー洗浄する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−230864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的には、洗浄溶剤として、インクのみを溶かし接着剤を溶かさないものが選択される。しかし、インクによっては、接着剤を溶かす洗浄溶剤でなければ除去できない場合がある。接着剤を溶かす洗浄溶剤を用いた場合、フレームからメタルメッシュが剥れるという問題があった。そこで、洗浄溶剤を染み込ませた布を用いて人の手により布拭き洗浄していた。しかし、インクがメタルマスクに残って洗浄不良になる場合や、布の毛がメタルマスクに付着して異物になる場合があった。また、布拭き洗浄中に洗浄溶剤を吸気して安全上も問題があった。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、接着剤を溶かす洗浄溶剤を用いて浸漬洗浄又はシャワー洗浄を行った場合でもフレームからメタルメッシュが剥れるのを防ぐことができるメタルマスク洗浄方法及び洗浄治具を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、メタルメッシュと、前記メタルメッシュの外周部に接着剤で接着されたフレームとを有するメタルマスクを洗浄する方法において、前記メタルメッシュと前記フレームの接着部を上部カバー及び下部カバーで密閉し、前記上部カバー及び前記下部カバーを固定治具で挟んで固定する工程と、前記接着部が前記上部カバー及び前記下部カバーで密閉された状態で、前記接着剤を溶かす洗浄溶剤を用いて前記メタルマスクを浸漬洗浄又はシャワー洗浄する工程とを備えることを特徴とするメタルマスク洗浄方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、接着剤を溶かす洗浄溶剤を用いて浸漬洗浄又はシャワー洗浄を行った場合でもフレームからメタルメッシュが剥れるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】スクリーン印刷機用のメタルマスクを示す上面図である。
【図2】図1の中心線A−A´に沿った断面図である。
【図3】図1のメタルマスクの側面図である。
【図4】メタルメッシュの拡大上面図である。
【図5】メタルメッシュの拡大断面図である。
【図6】図2の領域Bを拡大した断面図である。
【図7】図2の領域Cを拡大した断面図である。
【図8】図2の領域Dを拡大した断面図である。
【図9】スクリーン印刷をしている状態を示す上面図である。
【図10】スクリーン印刷をしている状態を示す断面図である。
【図11】図10の一部を拡大した断面図である。
【図12】スクリーン印刷が終わった後のメタルマスクを示す上面図である。
【図13】図12のメタルマスクの中央領域を拡大した断面図である。
【図14】実施の形態1に係る下部カバーを示す上面図である。
【図15】図14のE−E´に沿った断面図である。
【図16】実施の形態1に係る上部カバーを示す下面図である。
【図17】図16のF−F´に沿った断面図である。
【図18】実施の形態1に係る固定治具を示す上面図である。
【図19】実施の形態1に係る固定治具を示す側面図である。
【図20】実施の形態1に係る洗浄治具をメタルマスクに取り付けた状態を示す上面図である。
【図21】図20のG−G´に沿った断面図である。
【図22】図21の破線で囲んだ部分を拡大した断面図である。
【図23】実施の形態1に係る浸漬洗浄を説明するための断面図である。
【図24】実施の形態1に係るシャワー洗浄を説明するための断面図である。
【図25】比較例に係る浸漬洗浄を説明するための断面図である。
【図26】比較例に係るシャワー洗浄を説明するための断面図である。
【図27】図25又は図26のメタルメッシュとフレームの接着部を拡大した図である。
【図28】図25又は図26のメタルメッシュとフレームの接着部を拡大した図である。
【図29】比較例に係る布拭き洗浄を説明するための上面図である。
【図30】実施の形態2に係る固定治具を示す上面図である。
【図31】実施の形態2に係る洗浄治具をメタルマスクに取り付けた状態を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係るメタルマスク洗浄方法及び洗浄治具について図面を参照しながら説明する。
【0010】
まず、メタルマスクについて説明する。図1は、スクリーン印刷機用のメタルマスクを示す上面図である。図2は、図1の線A−A´に沿った断面図である。図3は図1のメタルマスクの側面図である。
【0011】
メタルマスク10は、メタルメッシュ12と、メタルメッシュ12の外周部に接着剤で接着されたフレーム14とを有する。メタルメッシュ12はステンレス鋼(Stainless Used Steel)からなり、フレーム14はアルミやステンレス鋼などからなる。メタルメッシュ12の中央領域16は、乳剤によってパターンニングされ、ウェハ上にインクを転写するために用いられる。メタルメッシュ12の他の領域には乳剤が一面に塗布されている。
【0012】
図4はメタルメッシュの拡大上面図であり、図5はメタルメッシュの拡大断面図である。直線の縦糸のメッシュ線18の上下に、横糸のメッシュ線20が織り込まれている。この織り方は、マスクの厚さがメッシュ線の直径の3倍になるので3D織りと呼ばれる。
【0013】
図6は、図2の領域Bを拡大した断面図である。織り込まれたメッシュ線18,20とフレーム14が接着剤22で接着されている。図7は図2の領域Cを拡大した断面図である。織り込まれたメッシュ線18,20を乳剤24がマスキングしている。図8は図2の領域Dを拡大した断面図である。織り込まれたメッシュ線18,20が乳剤24によってパターンニングされている。
【0014】
続いて、メタルマスクを用いたスクリーン印刷について説明する。図9はスクリーン印刷をしている状態を示す上面図であり、図10はその断面図である。まず、被転写版であるSiウェハ26をメタルマスク10の下に設置する。次に、メタルマスク10の下方向に印圧がかかったスキージ28により、メタルマスク10の中央領域16の右側に塗布されたインク30を左側に押す。そうするとインク30がマスク穴から押し出されSiウェハ26に転写される。スキージ28は、Siウェハ26の左側まで行くとメタルマスク10から離れる。次に、スキージ28によって左方向に移動したインク30をスクレッパ32により右側に戻す。次のSiウェハ26をメタルマスク10の下に設置し、同様の動作を繰り返すことにより、スクリーン印刷が連続して行われる。
【0015】
図11は、図10の一部を拡大した断面図である。このようにスキージ28がメタルメッシュ12を押し下げながら、インク30をSiウェハ26に転写する。
【0016】
図12は、スクリーン印刷が終わった後のメタルマスクを示す上面図である。メタルメッシュ12上にインク30が残っている。図13は、図12のメタルマスクの中央領域を拡大した断面図である。織り込まれたメッシュ線18,20にインク30がこびり付いている。時間が経って乾燥してインク30が固まってしまうと、その破片を転写したり、パターン穴を塞いだりして、印刷不良の原因となる。そこで、印刷を中断する場合や定期的にメタルマスク10を洗浄する必要がある。
【0017】
続いて、実施の形態1に係るメタルマスク洗浄治具について説明する。この洗浄治具は、メタルマスクを洗浄する際にメタルマスクに取り付けるものである。洗浄治具は、下部カバー34と、上部カバー36と、固定治具38とを備える。
【0018】
図14は実施の形態1に係る下部カバーを示す上面図であり、図15は図14のE−E´に沿った断面図である。下部カバー34は、四角い枠状の平板40と、平板40の上面に設けられたシーリング用のOリング42,44とを有する。
【0019】
図16は実施の形態1に係る上部カバーを示す下面図であり、図17は図16のF−F´に沿った断面図である。上部カバー36は、天板46と、内側壁48と、外側壁50と、Oリング52とを有する。天板46の下面の内端部に内側壁48が設けられ、天板46の下面の外端部に外側壁50が設けられている。内側壁48の下面にOリング52が設けられている。
【0020】
図18は実施の形態1に係る固定治具を示す上面図であり、図19はその側面図である。固定治具38は、直線状の固定治具本体54と、締め付けネジ56とを有する。固定治具本体54の断面はコの字状である。固定治具本体54の上面に締め付けネジ56が取り付けられている。平板40、天板46、内側壁48、外側壁50、及び固定治具本体54はアルミやステンレス鋼などからなる。
【0021】
図20は、実施の形態1に係る洗浄治具をメタルマスクに取り付けた状態を示す上面図である。図21は図20のG−G´に沿った断面図である。図22は図21の破線で囲んだ部分を拡大した断面図である。
【0022】
まず、下部カバー34の上にメタルマスク10を置き、その上に上部カバー36を被せてメタルマスク10のフレーム14を密閉する。次に、上部カバー36及び下部カバー34の四辺に直線状の固定治具38を取り付ける。そして、締め付けネジ56を締め付けることで、固定治具38が上部カバー36及び下部カバー34を挟んで固定する。
【0023】
この際に、下部カバー34のOリング42はメタルマスク10の乳剤24が塗布された部分の下面に接する。下部カバー34のOリング44は上部カバー36と接する。上部カバー36のOリング52はメタルマスク10の乳剤24が塗布された部分の上面に接する。これにより上部カバー36及び下部カバー34がメタルメッシュ12とフレーム14の接着部58を密閉する。
【0024】
続いて、実施の形態1に係るメタルマスク洗浄方法について説明する。本実施の形態では、メタルメッシュ12とフレーム14の接着部58が上部カバー36及び下部カバー34で密閉された状態で、接着剤22を溶かす洗浄溶剤60を用いてメタルマスク10を浸漬洗浄又はシャワー洗浄する。
【0025】
図23は、実施の形態1に係る浸漬洗浄を説明するための断面図である。接着部58が上部カバー36及び下部カバー34で密閉された状態のメタルマスク10を、洗浄槽62内に入れられた洗浄用の洗浄溶剤60に浸漬する。
【0026】
図24は、実施の形態1に係るシャワー洗浄を説明するための断面図である。接着部58が上部カバー36及び下部カバー34で密閉された状態のメタルマスク10を、槽64内に入れる。そして、シャワーノズル66によりシャワー状態の洗浄溶剤60をメタルマスク10に噴射する。洗浄溶剤60は、ポンプ68により循環され、配管70を通ってシャワーノズル66に供給される。
【0027】
本実施の形態に係るメタルマスク洗浄方法及び洗浄治具の効果について比較例と比較しながら説明する。
【0028】
図25は比較例に係る浸漬洗浄を説明するための断面図である。図26は比較例に係るシャワー洗浄を説明するための断面図である。図27,28は、図25又は図26のメタルメッシュとフレームの接着部を拡大した図である。図29は比較例に係る布拭き洗浄を説明するための上面図である。
【0029】
洗浄治具を取り付けることなく図25に示す浸漬洗浄又は図26に示すシャワー洗浄を行うと、図27に示すようにメッシュ線18,20とフレーム14を接着する接着剤22が洗浄溶剤60によって溶け出す。そして、図28に示すようにフレーム14からメッシュ線18,20が剥れてしまう。
【0030】
そこで、図29に示すように洗浄溶剤を染み込ませた布72を用いて人の手74により布拭き洗浄すると、インク30がメタルマスク10に残って洗浄不良になる場合や、布72の毛がメタルマスク10に付着して異物になる場合がある。また、布拭き洗浄中に洗浄溶剤60を吸気して安全上も問題がある。
【0031】
これに対して、本実施の形態ではメタルマスク10とフレーム14の接着部58を洗浄治具で密閉して、洗浄溶剤60が侵入しないようにする。これにより、接着剤22を溶かす洗浄溶剤60を用いて浸漬洗浄又はシャワー洗浄を行った場合でも、フレーム14からメタルメッシュ12が剥れるのを防ぐことができる。即ち、洗浄効率の高い浸漬洗浄や洗浄溶剤シャワー洗浄を可能にし、安全上問題となる人の手による拭き洗浄から開放される。
【0032】
実施の形態2.
実施の形態2に係るメタルマスク洗浄治具について説明する。実施の形態1と同様の構成要素又は対応する構成要素には同じ番号を付し、説明を省略する。
【0033】
図30は、実施の形態2に係る固定治具を示す上面図である。実施の形態1に係る固定治具本体54は直線状であったが、実施の形態2に係る固定治具本体76はL字状である。
【0034】
図31は、実施の形態2に係る洗浄治具をメタルマスクに取り付けた状態を示す上面図である。上部カバー36及び下部カバー34の四隅にL字状の固定治具38を取り付ける。そして、締め付けネジ56を締め付けることで、固定治具38が上部カバー36及び下部カバー34の四隅を挟んで固定する。
【0035】
L字状の固定治具38を用いることにより、実施の形態1のような直線状の固定治具38に比べて、上部カバー36及び下部カバー34の位置合わせが容易になる。
【符号の説明】
【0036】
10 メタルマスク
12 メタルメッシュ
14 フレーム
22 接着剤
34 下部カバー
36 上部カバー
38 固定治具
58 接着部
60 洗浄溶剤
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷機用のメタルマスクを洗浄する方法及びそれに用いる治具に関し、特に接着剤を溶かす洗浄溶剤を用いて浸漬洗浄又はシャワー洗浄を行った場合でもフレームからメタルメッシュが剥れるのを防ぐことができるメタルマスク洗浄方法及び洗浄治具に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷機用のメタルマスクは、メタルメッシュと、メタルメッシュの外周部に接着剤で接着されたフレームとを有する。使用後のメタルマスクは洗浄溶剤に浸漬して洗浄するかシャワー洗浄する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−230864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的には、洗浄溶剤として、インクのみを溶かし接着剤を溶かさないものが選択される。しかし、インクによっては、接着剤を溶かす洗浄溶剤でなければ除去できない場合がある。接着剤を溶かす洗浄溶剤を用いた場合、フレームからメタルメッシュが剥れるという問題があった。そこで、洗浄溶剤を染み込ませた布を用いて人の手により布拭き洗浄していた。しかし、インクがメタルマスクに残って洗浄不良になる場合や、布の毛がメタルマスクに付着して異物になる場合があった。また、布拭き洗浄中に洗浄溶剤を吸気して安全上も問題があった。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、接着剤を溶かす洗浄溶剤を用いて浸漬洗浄又はシャワー洗浄を行った場合でもフレームからメタルメッシュが剥れるのを防ぐことができるメタルマスク洗浄方法及び洗浄治具を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、メタルメッシュと、前記メタルメッシュの外周部に接着剤で接着されたフレームとを有するメタルマスクを洗浄する方法において、前記メタルメッシュと前記フレームの接着部を上部カバー及び下部カバーで密閉し、前記上部カバー及び前記下部カバーを固定治具で挟んで固定する工程と、前記接着部が前記上部カバー及び前記下部カバーで密閉された状態で、前記接着剤を溶かす洗浄溶剤を用いて前記メタルマスクを浸漬洗浄又はシャワー洗浄する工程とを備えることを特徴とするメタルマスク洗浄方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、接着剤を溶かす洗浄溶剤を用いて浸漬洗浄又はシャワー洗浄を行った場合でもフレームからメタルメッシュが剥れるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】スクリーン印刷機用のメタルマスクを示す上面図である。
【図2】図1の中心線A−A´に沿った断面図である。
【図3】図1のメタルマスクの側面図である。
【図4】メタルメッシュの拡大上面図である。
【図5】メタルメッシュの拡大断面図である。
【図6】図2の領域Bを拡大した断面図である。
【図7】図2の領域Cを拡大した断面図である。
【図8】図2の領域Dを拡大した断面図である。
【図9】スクリーン印刷をしている状態を示す上面図である。
【図10】スクリーン印刷をしている状態を示す断面図である。
【図11】図10の一部を拡大した断面図である。
【図12】スクリーン印刷が終わった後のメタルマスクを示す上面図である。
【図13】図12のメタルマスクの中央領域を拡大した断面図である。
【図14】実施の形態1に係る下部カバーを示す上面図である。
【図15】図14のE−E´に沿った断面図である。
【図16】実施の形態1に係る上部カバーを示す下面図である。
【図17】図16のF−F´に沿った断面図である。
【図18】実施の形態1に係る固定治具を示す上面図である。
【図19】実施の形態1に係る固定治具を示す側面図である。
【図20】実施の形態1に係る洗浄治具をメタルマスクに取り付けた状態を示す上面図である。
【図21】図20のG−G´に沿った断面図である。
【図22】図21の破線で囲んだ部分を拡大した断面図である。
【図23】実施の形態1に係る浸漬洗浄を説明するための断面図である。
【図24】実施の形態1に係るシャワー洗浄を説明するための断面図である。
【図25】比較例に係る浸漬洗浄を説明するための断面図である。
【図26】比較例に係るシャワー洗浄を説明するための断面図である。
【図27】図25又は図26のメタルメッシュとフレームの接着部を拡大した図である。
【図28】図25又は図26のメタルメッシュとフレームの接着部を拡大した図である。
【図29】比較例に係る布拭き洗浄を説明するための上面図である。
【図30】実施の形態2に係る固定治具を示す上面図である。
【図31】実施の形態2に係る洗浄治具をメタルマスクに取り付けた状態を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係るメタルマスク洗浄方法及び洗浄治具について図面を参照しながら説明する。
【0010】
まず、メタルマスクについて説明する。図1は、スクリーン印刷機用のメタルマスクを示す上面図である。図2は、図1の線A−A´に沿った断面図である。図3は図1のメタルマスクの側面図である。
【0011】
メタルマスク10は、メタルメッシュ12と、メタルメッシュ12の外周部に接着剤で接着されたフレーム14とを有する。メタルメッシュ12はステンレス鋼(Stainless Used Steel)からなり、フレーム14はアルミやステンレス鋼などからなる。メタルメッシュ12の中央領域16は、乳剤によってパターンニングされ、ウェハ上にインクを転写するために用いられる。メタルメッシュ12の他の領域には乳剤が一面に塗布されている。
【0012】
図4はメタルメッシュの拡大上面図であり、図5はメタルメッシュの拡大断面図である。直線の縦糸のメッシュ線18の上下に、横糸のメッシュ線20が織り込まれている。この織り方は、マスクの厚さがメッシュ線の直径の3倍になるので3D織りと呼ばれる。
【0013】
図6は、図2の領域Bを拡大した断面図である。織り込まれたメッシュ線18,20とフレーム14が接着剤22で接着されている。図7は図2の領域Cを拡大した断面図である。織り込まれたメッシュ線18,20を乳剤24がマスキングしている。図8は図2の領域Dを拡大した断面図である。織り込まれたメッシュ線18,20が乳剤24によってパターンニングされている。
【0014】
続いて、メタルマスクを用いたスクリーン印刷について説明する。図9はスクリーン印刷をしている状態を示す上面図であり、図10はその断面図である。まず、被転写版であるSiウェハ26をメタルマスク10の下に設置する。次に、メタルマスク10の下方向に印圧がかかったスキージ28により、メタルマスク10の中央領域16の右側に塗布されたインク30を左側に押す。そうするとインク30がマスク穴から押し出されSiウェハ26に転写される。スキージ28は、Siウェハ26の左側まで行くとメタルマスク10から離れる。次に、スキージ28によって左方向に移動したインク30をスクレッパ32により右側に戻す。次のSiウェハ26をメタルマスク10の下に設置し、同様の動作を繰り返すことにより、スクリーン印刷が連続して行われる。
【0015】
図11は、図10の一部を拡大した断面図である。このようにスキージ28がメタルメッシュ12を押し下げながら、インク30をSiウェハ26に転写する。
【0016】
図12は、スクリーン印刷が終わった後のメタルマスクを示す上面図である。メタルメッシュ12上にインク30が残っている。図13は、図12のメタルマスクの中央領域を拡大した断面図である。織り込まれたメッシュ線18,20にインク30がこびり付いている。時間が経って乾燥してインク30が固まってしまうと、その破片を転写したり、パターン穴を塞いだりして、印刷不良の原因となる。そこで、印刷を中断する場合や定期的にメタルマスク10を洗浄する必要がある。
【0017】
続いて、実施の形態1に係るメタルマスク洗浄治具について説明する。この洗浄治具は、メタルマスクを洗浄する際にメタルマスクに取り付けるものである。洗浄治具は、下部カバー34と、上部カバー36と、固定治具38とを備える。
【0018】
図14は実施の形態1に係る下部カバーを示す上面図であり、図15は図14のE−E´に沿った断面図である。下部カバー34は、四角い枠状の平板40と、平板40の上面に設けられたシーリング用のOリング42,44とを有する。
【0019】
図16は実施の形態1に係る上部カバーを示す下面図であり、図17は図16のF−F´に沿った断面図である。上部カバー36は、天板46と、内側壁48と、外側壁50と、Oリング52とを有する。天板46の下面の内端部に内側壁48が設けられ、天板46の下面の外端部に外側壁50が設けられている。内側壁48の下面にOリング52が設けられている。
【0020】
図18は実施の形態1に係る固定治具を示す上面図であり、図19はその側面図である。固定治具38は、直線状の固定治具本体54と、締め付けネジ56とを有する。固定治具本体54の断面はコの字状である。固定治具本体54の上面に締め付けネジ56が取り付けられている。平板40、天板46、内側壁48、外側壁50、及び固定治具本体54はアルミやステンレス鋼などからなる。
【0021】
図20は、実施の形態1に係る洗浄治具をメタルマスクに取り付けた状態を示す上面図である。図21は図20のG−G´に沿った断面図である。図22は図21の破線で囲んだ部分を拡大した断面図である。
【0022】
まず、下部カバー34の上にメタルマスク10を置き、その上に上部カバー36を被せてメタルマスク10のフレーム14を密閉する。次に、上部カバー36及び下部カバー34の四辺に直線状の固定治具38を取り付ける。そして、締め付けネジ56を締め付けることで、固定治具38が上部カバー36及び下部カバー34を挟んで固定する。
【0023】
この際に、下部カバー34のOリング42はメタルマスク10の乳剤24が塗布された部分の下面に接する。下部カバー34のOリング44は上部カバー36と接する。上部カバー36のOリング52はメタルマスク10の乳剤24が塗布された部分の上面に接する。これにより上部カバー36及び下部カバー34がメタルメッシュ12とフレーム14の接着部58を密閉する。
【0024】
続いて、実施の形態1に係るメタルマスク洗浄方法について説明する。本実施の形態では、メタルメッシュ12とフレーム14の接着部58が上部カバー36及び下部カバー34で密閉された状態で、接着剤22を溶かす洗浄溶剤60を用いてメタルマスク10を浸漬洗浄又はシャワー洗浄する。
【0025】
図23は、実施の形態1に係る浸漬洗浄を説明するための断面図である。接着部58が上部カバー36及び下部カバー34で密閉された状態のメタルマスク10を、洗浄槽62内に入れられた洗浄用の洗浄溶剤60に浸漬する。
【0026】
図24は、実施の形態1に係るシャワー洗浄を説明するための断面図である。接着部58が上部カバー36及び下部カバー34で密閉された状態のメタルマスク10を、槽64内に入れる。そして、シャワーノズル66によりシャワー状態の洗浄溶剤60をメタルマスク10に噴射する。洗浄溶剤60は、ポンプ68により循環され、配管70を通ってシャワーノズル66に供給される。
【0027】
本実施の形態に係るメタルマスク洗浄方法及び洗浄治具の効果について比較例と比較しながら説明する。
【0028】
図25は比較例に係る浸漬洗浄を説明するための断面図である。図26は比較例に係るシャワー洗浄を説明するための断面図である。図27,28は、図25又は図26のメタルメッシュとフレームの接着部を拡大した図である。図29は比較例に係る布拭き洗浄を説明するための上面図である。
【0029】
洗浄治具を取り付けることなく図25に示す浸漬洗浄又は図26に示すシャワー洗浄を行うと、図27に示すようにメッシュ線18,20とフレーム14を接着する接着剤22が洗浄溶剤60によって溶け出す。そして、図28に示すようにフレーム14からメッシュ線18,20が剥れてしまう。
【0030】
そこで、図29に示すように洗浄溶剤を染み込ませた布72を用いて人の手74により布拭き洗浄すると、インク30がメタルマスク10に残って洗浄不良になる場合や、布72の毛がメタルマスク10に付着して異物になる場合がある。また、布拭き洗浄中に洗浄溶剤60を吸気して安全上も問題がある。
【0031】
これに対して、本実施の形態ではメタルマスク10とフレーム14の接着部58を洗浄治具で密閉して、洗浄溶剤60が侵入しないようにする。これにより、接着剤22を溶かす洗浄溶剤60を用いて浸漬洗浄又はシャワー洗浄を行った場合でも、フレーム14からメタルメッシュ12が剥れるのを防ぐことができる。即ち、洗浄効率の高い浸漬洗浄や洗浄溶剤シャワー洗浄を可能にし、安全上問題となる人の手による拭き洗浄から開放される。
【0032】
実施の形態2.
実施の形態2に係るメタルマスク洗浄治具について説明する。実施の形態1と同様の構成要素又は対応する構成要素には同じ番号を付し、説明を省略する。
【0033】
図30は、実施の形態2に係る固定治具を示す上面図である。実施の形態1に係る固定治具本体54は直線状であったが、実施の形態2に係る固定治具本体76はL字状である。
【0034】
図31は、実施の形態2に係る洗浄治具をメタルマスクに取り付けた状態を示す上面図である。上部カバー36及び下部カバー34の四隅にL字状の固定治具38を取り付ける。そして、締め付けネジ56を締め付けることで、固定治具38が上部カバー36及び下部カバー34の四隅を挟んで固定する。
【0035】
L字状の固定治具38を用いることにより、実施の形態1のような直線状の固定治具38に比べて、上部カバー36及び下部カバー34の位置合わせが容易になる。
【符号の説明】
【0036】
10 メタルマスク
12 メタルメッシュ
14 フレーム
22 接着剤
34 下部カバー
36 上部カバー
38 固定治具
58 接着部
60 洗浄溶剤
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタルメッシュと、前記メタルメッシュの外周部に接着剤で接着されたフレームとを有するメタルマスクを洗浄する方法において、
前記メタルメッシュと前記フレームの接着部を上部カバー及び下部カバーで密閉し、前記上部カバー及び前記下部カバーを固定治具で挟んで固定する工程と、
前記接着部が前記上部カバー及び前記下部カバーで密閉された状態で、前記接着剤を溶かす洗浄溶剤を用いて前記メタルマスクを浸漬洗浄又はシャワー洗浄する工程とを備えることを特徴とするメタルマスク洗浄方法。
【請求項2】
前記固定治具はL字状であり、前記上部カバー及び前記下部カバーの四隅を挟んで固定することを特徴とする請求項1に記載のメタルマスク洗浄方法。
【請求項3】
メタルメッシュと、前記メタルメッシュの外周部に接着剤で接着されたフレームとを有するメタルマスクを、前記接着剤を溶かす洗浄溶剤を用いて浸漬洗浄又はシャワー洗浄する際に前記メタルマスクに取り付ける治具において、
前記メタルメッシュと前記フレームの接着部を密閉する上部カバー及び下部カバーと、
前記上部カバー及び前記下部カバーを挟んで固定する固定治具とを備えることを特徴とするメタルマスク洗浄治具。
【請求項4】
前記固定治具はL字状であり、前記上部カバー及び前記下部カバーの四隅を挟んで固定することを特徴とする請求項3に記載のメタルマスク洗浄治具。
【請求項1】
メタルメッシュと、前記メタルメッシュの外周部に接着剤で接着されたフレームとを有するメタルマスクを洗浄する方法において、
前記メタルメッシュと前記フレームの接着部を上部カバー及び下部カバーで密閉し、前記上部カバー及び前記下部カバーを固定治具で挟んで固定する工程と、
前記接着部が前記上部カバー及び前記下部カバーで密閉された状態で、前記接着剤を溶かす洗浄溶剤を用いて前記メタルマスクを浸漬洗浄又はシャワー洗浄する工程とを備えることを特徴とするメタルマスク洗浄方法。
【請求項2】
前記固定治具はL字状であり、前記上部カバー及び前記下部カバーの四隅を挟んで固定することを特徴とする請求項1に記載のメタルマスク洗浄方法。
【請求項3】
メタルメッシュと、前記メタルメッシュの外周部に接着剤で接着されたフレームとを有するメタルマスクを、前記接着剤を溶かす洗浄溶剤を用いて浸漬洗浄又はシャワー洗浄する際に前記メタルマスクに取り付ける治具において、
前記メタルメッシュと前記フレームの接着部を密閉する上部カバー及び下部カバーと、
前記上部カバー及び前記下部カバーを挟んで固定する固定治具とを備えることを特徴とするメタルマスク洗浄治具。
【請求項4】
前記固定治具はL字状であり、前記上部カバー及び前記下部カバーの四隅を挟んで固定することを特徴とする請求項3に記載のメタルマスク洗浄治具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公開番号】特開2011−178126(P2011−178126A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46944(P2010−46944)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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