モジュールの製造方法
【課題】生産性の良好なモジュールを得ることを目的とするものである。
【解決手段】複数個の子基板32が連結部で連結された親基板32bの両面に電子部品33a、33bを装着し、その後で連結部を切断して子基板32同士を分離し、その後でこれら分離された子基板32同士の間に隙間が形成されるように、子基板32を配線基板36へ実装するとともに、それぞれの子基板32と配線基板36とをスペーサ37を介して接続し、その後で子基板32の下面側と子基板32と配線基板36との間に対し樹脂部35を同時に形成し、その後で隙間に対応する位置の樹脂部35と配線基板36とを切除するので、生産性の良好なモジュール31を実現できる。
【解決手段】複数個の子基板32が連結部で連結された親基板32bの両面に電子部品33a、33bを装着し、その後で連結部を切断して子基板32同士を分離し、その後でこれら分離された子基板32同士の間に隙間が形成されるように、子基板32を配線基板36へ実装するとともに、それぞれの子基板32と配線基板36とをスペーサ37を介して接続し、その後で子基板32の下面側と子基板32と配線基板36との間に対し樹脂部35を同時に形成し、その後で隙間に対応する位置の樹脂部35と配線基板36とを切除するので、生産性の良好なモジュール31を実現できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に電子部品が実装され、これらの電子部品が樹脂によって封止されたモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来のモジュール1について図面を用いて説明する。図14は、従来のモジュール1の断面図である。従来のモジュール1における基板2の上面側には電子部品3aが実装され、下面側には電子部品3bとスペーサ4が実装されている。そしてこの電子部品3aや電子部品3bは樹脂部5によって埋設されている。ただし、スペーサ4の下面には、モジュール1をマザー基板(図示せず)へ装着するための装着パッド(図示せず)が形成されており、この装着パッドは樹脂部5から露出する構成となっている。
【0003】
次にこのようなモジュール1の製造方法について、図面を用いて説明する。最初に基板2の上面側に電子部品3aを実装する。その後に、真空印刷などによって、基板2の上面側に樹脂部5を形成し、電子部品3aを埋設する。図15は、下面側の実装工程における従来のモジュールの断面図である。図15においてこの工程では、上面に樹脂部5を形成した後で、下面側に電子部品3bやスペーサ4を実装する。なお従来のスペーサ4はロの字型であり、中央部が中空となっている。そしてこの中空部に対応する位置に電子部品3bが実装されている。
【0004】
次に図16は、下面側の樹脂埋設工程における従来のモジュールの断面図である。図16に示すように、電子部品3bを実装した後で、真空印刷法などによって、下面側に樹脂部5を形成し、電子部品3bを埋設する。なお、このときスペーサ4は樹脂部5で覆われている。
【0005】
図17は、研磨工程における従来のモジュールの断面図である。図17において、下面側に樹脂部5を形成した後で、スペーサ4の下面に形成された装着パッドが樹脂部5から露出するように、下面側の樹脂部5の表面を研磨する。そして、この研磨工程の後で、所定の位置で、樹脂部5や基板2を切断することにより、モジュール1が完成する。ここでは樹脂部5を真空印刷によって形成したが、これはトランスファ成形であっても良い。
【0006】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−112335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら従来のモジュールの製造方法では、表裏のそれぞれに樹脂部5を形成する工程が必要であり、またスペーサ4の下面の装着パッドを露出させるために研磨工程も必要としていた。したがって、このような従来の製造方法ではモジュールの製造に非常に工数が大きくなる。これにより従来のモジュール1の製造方法では、生産性が悪く、モジュール1の製造コストも大きくなるという課題を有していた。
【0009】
そこで本発明は、この問題を解決したもので、安価なモジュールを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、複数個の前記子基板が連結部で連結された親基板に電子部品を装着し、その後で前記連結部を切断して前記子基板同士を分離し、その後でこれら分離された前記子基板同士の間に隙間が形成されるように、前記子基板を前記配線基板へ実装して、前記それぞれの子基板と前記配線基板とを接続部を介して接続し、その後で前記基板の下面側と前記基板と前記配線基板との間に対し前記樹脂部を同時に形成し、その後で少なくとも前記隙間に対応する位置の前記樹脂部と前記配線基板とを切除するものである。これにより所期の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明によれば、両面に導体層が形成された子基板と、少なくともこの子基板の一方の面に実装された複数個の電子部品と、前記子基板の両面に設けられるとともに、前記電子部品を覆う樹脂部と、前記樹脂部の少なくとも上面に設けられた配線基板と、この配線基板の上面に設けられた装着パッドと、この装着パッドと前記子基板との間を電気的に接続するスペーサとが設けられたモジュールの製造方法において、複数個の前記子基板が連結部で連結された親基板に前記電子部品を装着し、その後で前記連結部を切断して前記子基板同士を分離し、その後でこれら分離された前記子基板同士の間に隙間が形成されるように、前記子基板を前記配線基板へ実装して、前記それぞれの子基板と前記配線基板とを接続部を介して接続し、その後で前記基板の下面側と前記基板と前記配線基板との間に対し前記樹脂部を同時に形成し、その後で少なくとも前記隙間に対応する位置の前記樹脂部と前記配線基板とを切除するものであり、これにより接続部によって子基板と配線基板とが接続された状態で、基板の下面側と基板と配線基板との間に樹脂部が形成される。従って、基板の下面側と基板と配線基板との間の樹脂部は同時に形成でき、また従来のような研磨工程は不要であるので、生産性が良好なモジュールの製造方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1におけるモジュールの断面図
【図2】同、モジュールの製造フローチャート
【図3】同、実装工程おけるモジュールの側面図
【図4】同、接続工程におけるモジュールの側面図
【図5】同、樹脂部形成工程におけるモジュールの断面図
【図6】同、分割工程におけるモジュールの断面図
【図7】同、樹脂部形成装置の概略断面図
【図8】同、樹脂部形成工程の製造フローチャート
【図9】同、軟化工程における樹脂部形成装置の断面図
【図10】同、浸漬工程における樹脂部形成装置の断面図
【図11】同、圧縮流入工程における樹脂部形成装置の断面図
【図12】同、第3の例におけるモジュールの断面図
【図13】同、分割工程におけるモジュールの断面図
【図14】従来のモジュールの断面図
【図15】同、下面側の実装工程における従来のモジュールの断面図
【図16】下面側の樹脂埋設工程における従来のモジュールの断面図
【図17】同、研磨工程における従来のモジュールの断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本実施の形態におけるモジュールの製造方法について説明する。
【0014】
(実施の形態1)
以下本実施の形態におけるモジュール31について図面を用いて説明する。図1は、本実施の形態におけるモジュール31の断面図である。図1において、子基板32の両面には、導体パターンが配線されており、この子基板32の下面には電子部品33aが実装され、上面には電子部品33bが実装されている。なお、本実施の形態では、子基板32は厚みが1.2mmの4層基板であり、電子部品33aや電子部品33bは半導体素子やチップ部品が含まれている。なお、半導体はフェイスダウンにて子基板32へフリップチップ実装されている。本実施の形態では、子基板32の両面に電子部品が実装されているが、これはいずれか一方であってもかまわない。
【0015】
樹脂部35は、子基板32の両面を覆い、この樹脂部35内には電子部品33a、電子部品33bや子基板32が埋設されている。本実施の形態における樹脂部35には、熱硬化性樹脂のエポキシ基材が用いられている。ここで、樹脂部35の上面には配線基板36が設けられ、配線基板36と子基板32とが対向するように配置されている。そして、配線基板36の上面には、モジュール31が装着されるマザー基板(図示せず)と接続するための装着パッド34が形成されている。なお、本実施の形態において、配線基板36には、厚みが0.1mmの両面基板が用いられている。したがって、価格が安価であるので、低価格なモジュール31を実現できる。
【0016】
スペーサ37(接続部の一例として用いた)は樹脂製であり、このスペーサ37の一方の端部が配線基板36へ固定されるとともに、他方端が子基板32へ固定されている。本実施の形態におけるスペーサ37は四角柱形状であるが、これは円柱形状などのように上下面に平坦部を有した形状であれば良い。なお、このスペーサ37も、電子部品33bと同様に樹脂部35内に埋設されている。ただし、スペーサ37の高さは子基板32の上面に装着された電子部品33bの高さより高くしておく。つまり、電子部品33bと配線基板36との間にも樹脂部35が介在している。そして、本実施の形態において子基板32と配線基板36において、スペーサ37が装着される位置には、それぞれ接続パッド32aと接続パッド36aとが形成されており、スペーサ37と接続パッド32aやスペーサ37と接続パッド36aとがはんだ38によって接続される。そしてこれにより、子基板32(電子部品33a、または電子部品33bなどで形成される電子回路)と装着パッド34とがスペーサ37を介して電気的に接続される。
【0017】
なお、本実施の形態におけるスペーサ37は樹脂製であるので、スペーサ37の上下面にはそれぞれ接続パッド37aが形成されている。これにより、接続パッド32aと接続パッド37aとの間や、接続パッド36aと接続パッド37aとの間が、はんだ38によって接続される。なお、スペーサ37の上下の接続パッド37a同士は、導電体(例えばスルーホール)によって電気的に接続されている。ここで本実施の形態では、接続部として樹脂製のスペーサ37を用いたが、これには金属片(例えば、黄銅などの金属板を切断して形成)や銅などによる金属製のボールなどを用いてもかまわない。このように導電性の金属片やボールは、非常に安価であるので、安価なモジュール31を得ることができる。
【0018】
次に本実施の形態におけるモジュール31の製造方法について、図面を用いて説明する。図2は本実施の形態におけるモジュールの製造フローチャートであり、図3は、同、実装工程におけるモジュールの側面図であり、図4は、同接続工程におけるモジュールの側面図である。図2から図4において、図1と同じものには同じ符号を用いており、その説明は簡略化している。
【0019】
図2、図3において、組み立て工程41には、実装工程41aと、分割工程41bと接続工程41cとを含んでいる。実装工程41aでは、子基板32同士が連結部32cによって連結された親基板32bの状態で行われる。この工程では、親基板32bの両面にクリーム状のはんだ38を塗布し、部品装着機などにより電子部品33aや電子部品33bを実装する。そしてリフロー加熱を行うことにより、親基板32bの両面に電子部品33a、電子部品33bが実装される。なお、この実装工程41aでは、スペーサ37も電子部品33bと同時に装着される。ここで、本実施の形態においてスペーサ37は、離散的に実装している。これにより、後述する樹脂部形成工程42(図8に示す)において樹脂35a(図8に示す)が、配線基板36と子基板32との間に容易に充填できる。
【0020】
分割工程41bは実装工程41aの後で、親基板32bにおける連結部32cを切除し、子基板32同士を分離する工程である。次に、接続工程41cは分割工程41bの後で、配線基板36と子基板32とを接続する工程であり、配線基板36にスペーサ37が装着された子基板32を装着し、子基板32と配線基板36との間がスペーサ37を介して電気的に接続されるようにする。このとき、子基板32同士は、所定の隙間39を有するように装着する。これにより、後述する樹脂部形成工程42(図8に示す)において樹脂35a(図8に示す)は隙間39より配線基板36と子基板32との間へと進入できるので、配線基板36と子基板32との間に樹脂35aを容易に充填できる(以降この組み立て工程41が完了した状態を組み立て済み基板44という)。
【0021】
なお本実施の形態において、配線基板36には両面(あるいは多層)基板を用いているので、配線基板36の下面側にも電子部品33cを装着できる。これにより、さら小型のモジュール31を実現できることとなる。そしてこれは、接続工程41cの前に、配線基板36へ電子部品33cを装着する工程を設ければ良い。ここで本実施の形態における接続工程41cでは、実装工程41aでスペーサ37を子基板32へ実装したが、これは電子部品33cなどと同時に、あらかじめ配線基板36の所定の位置へスペーサ37を固定しておいても良い。そしてこの場合、スペーサ37が固定された配線基板36を子基板32へ接続することとなる。
【0022】
図5は、本実施の形態における樹脂部形成工程のモジュールの断面図である。図5において、図1から図4と同じものには、同じ符号を用いており、その説明は簡略化している。図5において、樹脂部形成工程42は組み立て工程41の後で、子基板32の下面および、子基板32と配線基板36との間とに樹脂部35を同時に形成する。これにより電子部品33a、電子部品33bや電子部品33c、さらにはスペーサ37が樹脂部35によって埋設される。なお、この樹脂部を形成する工程には、トランスファ成形、真空印刷による成形方法や本実施の形態における成形方法(後に詳しく説明する)など、いずれの成形方法を用いてもかまわない。
【0023】
図6は、本実施の形態における分割工程のモジュールの断面図である。図6において、図1から図5と同じものには、同じ符号を用いており、その説明は簡略化している。図6において、分割工程43は樹脂部形成工程42の後で、子基板32同士の隙間39に対応する位置において、樹脂部35と配線基板36とを切断することで、モジュール31を完成する。なお本実施の形態において、子基板32の外周側にも樹脂部35が形成される。そこで、この分割工程43では、子基板32の外側方向の樹脂部35と配線基板36も切断を行うことで、所定のサイズのモジュール31を得る。
【0024】
次に本実施の形態における樹脂部形成工程42について、図面を用いて詳細に説明する。最初に樹脂部形成工程42において、樹脂部35を形成するための樹脂部形成装置51について説明する。図7は、本実施の形態における樹脂部形成装置の概略断面図である。図7において、搭載部52は、配線基板36が搭載されるものであり、子基板32(電子部品33a)が下方を向く方向で、配線基板36が装着される。ここで、搭載部52には吸着する構成(図示せず)が設けられており、この搭載部52に配線基板36が吸着されて保持されることとなる。
【0025】
この搭載部52の下方には、樹脂35a(図8に示す)が投入される空間を有した樹脂槽53が設けられている。ここで、樹脂槽53は上下方向へと可動する。また、樹脂槽53の底部53aは、樹脂槽53全体の動きとは独立して、単独に垂直(図7において上下の)方向へ可動できる構造となっている。そしてこれら搭載部52や樹脂槽53には加熱手段(図示せず)が設けられており、これらによって樹脂35a(さらには配線基板36、子基板32)を加熱する。また、樹脂部形成装置51にはコンプレッサ(図示せず)などが設けられ、樹脂槽53内や樹脂槽53と搭載部52との間の空気を吸引することで、樹脂部35の形成をほぼ真空状態下で行うことができるようになっている。これにより溶融した樹脂35aを脱泡し、樹脂部35中のボイドを防止できる。
【0026】
図8は本実施の形態における樹脂部形成工程の製造フローチャートである。上記のような樹脂部形成装置51を用いた場合の樹脂部形成工程42について、図8の工程の順序に従って、詳細に説明する。なお、図8において、図1から図7と同じものには同じ符号を用い、その説明は簡略化している。
【0027】
図9は軟化工程における樹脂部形成装置の断面図である。なお図9において、図1から図8と同じものには同じ符号を用い、その説明は簡略化している。図8、図9において、軟化工程61は組み立て工程41の後で、配線基板36が固定された子基板32(組み立て済み基板44)を搭載部52へ搭載するとともに、樹脂槽53内へ非流動状態(未溶融の固体またはゲル状)の樹脂35aを投入し、加熱して樹脂35aを流動可能な状態となるまで軟化させる。そしてこの処理に並行して、樹脂35aと搭載部52(配線基板36と子基板32や子基板32と樹脂35a)との間の空間54の空気が吸引される。この吸引は空間54がほぼ真空状態となるまで行われ、樹脂35aが完全に溶融を完了した後に止められる。ここで、搭載部52へ搭載された組み立て済み基板44は子基板32(電子部品33a搭載面)が下方を向くように搭載部52へ搭載される。なお本実施の形態における樹脂槽53や搭載部52は予め樹脂35aが溶融する温度にまで加熱しているので、短時間に樹脂35aを軟化させることができる。
【0028】
また本実施の形態において、樹脂槽53へ投入前の樹脂35aは粒状であり、計量容器などによって計量された所定量の樹脂35aが樹脂槽53へと投入される。ここで樹脂35aは、第1の温度範囲内では流動性を有せず、この第1の温度より高い第2の温度範囲内では流動性を生じ、この第2の温度より高い温度で硬化する熱硬化性樹脂を用いる。このように樹脂35aを樹脂槽53へ投入する段階で、樹脂35aは粒状であるので、精度良く計量することができる。また、計量や投入の自動化も容易である。
【0029】
発明者らはこの樹脂部形成装置51を用いて、以下のような手順で軟化工程61を行った。予め加熱手段によって搭載部52と樹脂槽53との温度を樹脂35aが溶融する(流動性を生じる)温度以上であり、樹脂35aが硬化する温度範囲未満の温度(第2の温度範囲)となるように加熱しておく。本実施の形態における樹脂35aは、約140℃未満の温度では流動性が小さく、約140℃から約175℃において最も軟化して流動性を生じ、それを超える温度で硬化する(第3の温度範囲)エポキシ系の熱硬化性樹脂を用いている。したがって本実施の形態では、搭載部52と樹脂槽53との温度を第2の温度範囲上限の175℃に設定している。
【0030】
図8において、浸漬工程62は軟化工程61の後で、流動可能な状態に溶融した樹脂35aの中に、電子部品33aや電子部品33bを浸漬し、配線基板36の下面を溶融した樹脂35aの液面へと接触させる工程である。
【0031】
例えばこの工程は、以下のようにして行われる。図10は、浸漬工程における樹脂部形成装置の断面図である。図10において、樹脂槽53と底部53aとをほぼ同じ速度で上方(図9矢印方向)へ移動させて、配線基板36が樹脂槽53と搭載部52との間に挟まれるようにする。そしてこれにより、配線基板36は樹脂槽53内に収容されることとなる。このとき、樹脂槽53と配線基板36の下面との間に隙間が生じないようにすることが必要であり、そのために樹脂槽53において、配線基板36の下面と当接する箇所にはゴムパッキン(図示せず)などが設けられる。そして、樹脂槽53は規定の位置(樹脂槽53が配線基板36と当接する位置)まで上昇した後に停止する。ただしこの状態では、図10に示すように樹脂35aの液面は、配線基板36の下面とはまだ接触しないようにしてある。これにより、樹脂35aが樹脂槽53から溢れ出すことを少なくできる。
【0032】
ただしこのとき、電子部品33bと子基板32との間の隙間が樹脂35aの液面より下となる(電子部品33bと子基板32との間の隙間が樹脂35a内に浸漬される)ようにすることが望ましい。これは、少なくとも電子部品33bと子基板32との間の隙間が樹脂35a内に浸漬されるようにすることで、樹脂35aを電子部品33bと子基板32との間(さらに電子部品33aと子基板32との間)などの狭い隙間へ入り込ませるためである。そしてこれによって、後述する圧縮流入工程63において、電子部品33a(あるいは電子部品33b)と子基板32との間の非常に狭い隙間へ、樹脂35aを確実に充填させることができることとなる。なお、本実施の形態における浸漬工程62では、電子部品33bの上面が樹脂35aで覆われる程度まで浸漬している。
【0033】
浸漬工程62では、底部53aは樹脂槽53の移動が停止した後も上方へと移動を続ける。これによって、樹脂35aの液面と配線基板36の下面とが接触することとなる。なお、この浸漬工程62において、樹脂35aを子基板32と配線基板36との間の隙間へ充填することが必要である。そこで、本実施の形態では、子基板32同士の間に隙間39を設け、また子基板32と樹脂槽53との間にも樹脂35aが流れ込むための通路(隙間)が設けられている。これにより、子基板32同士の間の隙間39や、子基板32の側面と樹脂槽53の内面との間の通路を通って、樹脂35aが子基板32と配線基板36との間に流れ込むこととなる。
【0034】
さらに、スペーサ37を離散的配置することにより、樹脂35aは、スペーサ37同士の間の隙間を通り、子基板32と配線基板36との間にスムーズに充填される。このように浸漬工程62では、子基板32が浸漬されるだけであるので、樹脂35aの流れが小さく、樹脂35aによる子基板32や電子部品33a、電子部品33bへのストレスも小さくできる。したがって、電子部品33a、電子部品33b自身の破壊や、電子部品33a、電子部品33bと子基板32間の接続が破壊しにくくできる。さらには、子基板32の上下において、樹脂35aに含まれるフィラーの密度などの差(樹脂35aの組成の差)が生じにくくできる。したがって、子基板32や配線基板36の反りなども小さくできる。
【0035】
図11は、圧縮流入工程63における樹脂部形成装置51の断面図である。浸漬工程62において配線基板36の下面と樹脂35aとが接触するので、図11に示すように、浸漬工程62が完了すれば、一見樹脂35aの充填は完了したように見える。ところが、電子部品33aと子基板32との間や電子部品33bと子基板32との間の隙間は非常に狭いため、中には樹脂35aが充填されていない箇所も存在している。
【0036】
そこで、浸漬工程62の後で圧縮流入工程63を行う。この圧縮流入工程63では底部53aによって樹脂35aに対し上方へと(図9矢印方向へ)加重を加え、樹脂35aを圧縮し、この圧力によって未充填の隙間へ樹脂35aを強制的に流入させる。このとき、樹脂槽53と配線基板36とで囲まれた空間は、電子部品33a(あるいは電子部品33b)と子基板32との間の隙間の未充填の箇所を除き、樹脂35aによって埋まっている。したがって、樹脂35aを圧縮しても底部53aはほとんど上昇することはなく、樹脂35aの圧力のみが上昇することとなる。そして、この圧力が規定値となるまで加圧を続け、その圧力を維持する。なお、この圧縮流入工程63において樹脂35aの温度は、第2の温度範囲内とすることが重要である。これにより、電子部品33aと子基板32との間や電子部品33bと子基板32との間の隙間へ確実に樹脂35aを充填させることができる。
【0037】
なお、本実施の形態において電子部品33a(あるいは電子部品33b)と子基板32との接続ははんだであり、錫、銀系の鉛フリーはんだを用いている。本実施の形態におけるはんだの融点は約200℃である。このようにはんだの融点が第2の温度範囲より高いはんだを用いている。したがって、圧縮流入工程63(あるいは浸漬工程62)においてはんだが溶融することもないので、電子部品33a(あるいは電子部品33b)と子基板32間の電気的接続が外れたりしにくくできる。
【0038】
硬化工程64は、圧縮流入工程63の後で、樹脂35aの温度が第2の温度範囲を超える温度(第3の温度範囲)となるまでさらに加熱することによって、樹脂35aを硬化する。これによって、子基板32の下と、子基板32と配線基板36との間とに同時に樹脂部35が形成されることとなる。なお、少なくとも樹脂35aの流動性がなくなるまでの間は、この硬化工程64においても圧縮流入工程63で加えられた圧力を維持する。これにより、確実に電子部品33a(あるいは電子部品33b)と子基板32との間の隙間に、ボイドなどが残りにくくできる。
【0039】
以上のような製造方法により、浸漬工程62において、溶融した樹脂35aが入った樹脂槽53の中に組み立て済み基板44を浸漬するだけで、子基板32の下と、子基板32と配線基板36との間に同時に樹脂部35を形成できる。従って、非常に生産性が良好である。また、配線基板36の外周が搭載部52と樹脂槽53との間に挟まれた状態で、配線基板36(の装着パッド34側)が搭載部52に搭載(吸着)されて、樹脂部35が形成される。これにより、配線基板36と搭載部52との間には樹脂35aが流れ込まず、装着パッド34上には樹脂35aが付着しない。したがって、従来のように装着パッド34を露出させるための研磨などの必要もなく、生産性が良好である。また、トランスファ成形のように、狭い隙間へ溶けた樹脂35aを流し込む必要がない。これにより、子基板32と配線基板36との間の樹脂部35を形成するために、子基板32(組み立て済み基板44)に対して加わるストレスを小さくできる。したがって、子基板32の傾きや変形などを小さくできる。
【0040】
さらに圧縮流入工程63においては、電子部品33aの下側や、電子部品33bと配線基板36との間にはすでに樹脂35aが存在している。またそして、その樹脂35aを圧縮することで、電子部品33aの下側の樹脂部35を形成するものである。したがって、トランスファ成形のように、狭い隙間へ溶けた樹脂35aを流し込む必要がない。つまり、たとえ電子部品33a下部や、電子部品33bと配線基板36との間における樹脂部35の厚みが薄くても、確実に樹脂部35を形成できることとなり、安価な薄型のモジュール31を得ることができる。
【0041】
本実施の形態において、電子部品33a下側の樹脂部35の厚みは0.08mmであるが、確実に樹脂35aを充填できている。したがって、従来のトランスファ成形に比べて、電子部品33a下部における樹脂部35の厚みを薄くでき、厚みの薄いモジュール31を実現できる。また、電子部品33bと配線基板36との間は0.08mmであるが、確実に樹脂35aを充填できている。そして配線基板36の厚みは、0.1mmであるので、トランスファ成形に比べても、子基板32の下側の厚みは大差なく、厚みの薄いモジュール31を実現できる。そして本実施の形態では、厚みが0.8mmのモジュール31を実現している。
【0042】
また、圧縮流入工程63で圧力を加えるので、電子部品33a(あるいは電子部品33b)と子基板32との間の非常に狭い隙間にも確実に樹脂35aを充填できる。さらにまた、電子部品33aや電子部品33bには、圧縮流入工程63においてのみ圧力が加わるので、電子部品33a、電子部品33bへかかる応力を小さくできる。したがって、電子部品33a(あるいは電子部品33b)や子基板32の変形が小さくなる。
【0043】
また、浸漬工程62では電子部品33a(あるいは電子部品33b)が浸漬されるのみであり、圧縮流入工程63で樹脂35aに流れが発生するので、樹脂35aの流れる距離は、トランスファ成形に比べて非常に短い。したがって、硬化後において樹脂35aの流れの不均一さなどによる内部応力も小さくできる。これによって、さらに電子部品33a(あるいは電子部品33b)、子基板32や樹脂部35自身の歪(変形)などを小さくできる。
【0044】
特に本実施の形態では電子部品33a(あるいは電子部品33b)には集積回路を含み、これらは子基板32へフェイスダウンにてフリップチップ実装しているので、電子部品33a(あるいは電子部品33b)と子基板32との間が非常に近くなる。したがって、電子部品33a(あるいは電子部品33b)に形成された回路と子基板32との間には大きな浮遊容量を持つこととなり、特にこの浮遊容量のばらつきは、集積回路に構成された回路の特性に大きな影響を与えることがある。特に、モジュール31が高周波装置であり、子基板32上や電子部品33a(もしくは電子部品33b)上に高周波回路が形成される場合には、特にこの浮遊容量による影響が重要となる。また、本実施の形態における集積回路は、はんだバンプにより子基板32へ接続されているが、圧接により子基板32と接続されているような場合においては、集積回路の歪を小さくできるので、圧接力が小さくなりにくくできる。したがって、集積回路と子基板32との間の接続信頼性の高いモジュール31を実現できる。
【0045】
そしてこのようなモジュール31上に高周波回路を形成するような場合、集積回路の歪を小さくすることは、非常に重要である。これは、実装工程41aにおける高周波特性の検査において、合格範囲と判断したものにおいても、集積回路や子基板32や樹脂部35自身の歪が大きいと、上記理由などによって、樹脂部35を形成した後に不合格となる恐れがあるためである。そして、樹脂部35が形成された後においては、修理することが非常に困難であるので、廃棄する以外に方策はなく、歩留まりが非常に悪化することとなる。そこで、以上のような製造方法を用い、樹脂35aの流れる距離を小さくすることで、樹脂35a内部に残る残留応力を小さくし、集積回路、子基板32や樹脂部35自身などにかかる応力を小さくする。これにより、樹脂部35形成後での高周波特性のばらつきを小さくでき、歩留まりの良好なモジュール31を実現できる。
【0046】
さらに加えて、この残留応力を小さくすることは、モジュール31の特性の長期信頼性にも大きな影響を及ぼす。つまり、温度変化などによって、樹脂部35や子基板32に伸縮が生じ、樹脂部35内の内部応力の分布が変化すると考えられる。これにより、集積回路や子基板32や樹脂部35などの歪量が変化し、その結果集積回路と子基板32との間の浮遊容量の値が製造段階の値より変化することが考えられる。また、集積回路が圧接により子基板32へ接続されている場合には、温度変化により圧接力が変化することも考えられる。そこで、上記製造方法により、内部応力を小さくできるので、温度変化などに対しても長期にわたり安定した特性を維持できるモジュール31を実現できる。
【0047】
そしてもちろん、圧縮流入工程63で樹脂35aを強制的に隙間へ充填するので、印刷法やポッティングなどによる方法に比べ、電子部品33a(あるいは電子部品33b)と子基板32との間にも確実に樹脂35aを充填できることは言うまでもない。したがって、非常に信頼性も良好なモジュール31を実現できる。
【0048】
そして以上のように、圧縮圧力で電子部品33a(あるいは電子部品33b)が破壊することを少なくでき、また電子部品33a(あるいは電子部品33b)の変形も小さくできるので、電子部品33a(あるいは電子部品33b)の厚みも薄くすることができる。したがって、従来のトランスファ成形に比べて薄型のモジュール31を実現できる。
【0049】
発明者らは上記製造方法を用い、約0.8mmの厚みで電子部品が両面に実装されたモジュール31の実現に成功している。この場合、子基板32の厚みが0.1mm、電子部品33a、電子部品33bの厚みが0.25mmと非常に薄いが、変形も小さく、特性ばらつきの小さなモジュール31を実現できている。そして、電子部品33aの下部の樹脂部35の厚みや、電子部品33bと配線基板36との間が0.07mmと非常に薄いが、厚みの安定した樹脂部35を形成できている。
【0050】
なお、樹脂部35や配線基板36の表面にめっきやスパッタなどにより、金属膜を形成すれば、モジュール31上に形成された回路をシールドすることができる。これにより、モジュール31で生じる高周波ノイズや、高周波信号が外部へ放射されにくくできる。また逆に、外部の回路から高周波信号やノイズなどがモジュール31の回路へ妨害を与えにくくできる。これは、同じ筐体の中に種々の回路が搭載されるような機器(たとえばテレビ、パソコン、携帯電話)などに用いると特に有用である。これにより回路で生じるノイズ信号などによる妨害(回路の誤動作など)を少なくできる。そしてこの場合に、子基板32(あるいは配線基板36)のグランドパターンと金属膜とを接続することにより、さらにしっかりとシールドすることができる。
【0051】
次に第2の例のモジュール31について説明する。本実施の形態では硬い(非可撓性の)配線基板36を用いたが、これに代えて可撓性基材を用いても良い。そしてその場合に、組み立て工程41において可撓性基材とスペーサ37との間を剥離可能な粘着剤により接続しておくと良い。そして、樹脂部形成工程42(あるいは分割工程43)の後で、可撓性基材を剥がす。これにより、スペーサ37の接続パッド37a(スペーサ37が金属製である場合には、スペーサ37自身)が、樹脂部35から露出することとなり、接続パッド37a(あるいはスペーサ37自身の上端面)が、モジュール31の装着パッド34を形成することとなる。そしてこのようにすれば、さらに厚みの薄いモジュール31を実現することができる。なお、可撓性基材を剥がす工程は、樹脂部形成工程42と分割工程43との間に設けると良い。これは、樹脂部形成工程42において可撓性基材の外周部には、樹脂部35が形成されない領域が形成される。そこで、この外周部を摘んで可撓性基材を剥がせば容易に可撓性基材を剥がすことができる。したがって、非常に生産性の良い薄型のモジュール31を得ることができる。
【0052】
図12は、本実施の形態における第3の例のモジュールの断面図である。図12において、第3の例におけるモジュール31は、第1の例のモジュール31に対し、樹脂部35側面と配線基板36の側面と子基板32の側面とが連続した同一平面上に形成されている。また、それらの樹脂部35と配線基板36の側面には、金属膜71が形成されている。さらに、子基板32は多層基板であり、内層にグランドパターン72aが形成されている。また、配線基板36にも多層基板が用いられ、その内層にはグランドパターン72bが形成されている。これによって、子基板32の側面にはグランドパターン72aの露出部が形成され、配線基板36の側面にはグランドパターン72bの露出部が形成される。そして、これらの露出部においてグランドパターン72aやグランドパターン72bと金属膜71とが接続されている。
【0053】
これにより、子基板32の下面に形成された回路は、金属膜71とグランドパターン72aとによって囲まれることとなる。したがって、子基板32の下面に形成された回路をしっかりとシールドすることができる。また、グランドパターン72aによって子基板32の上面に形成された回路と、下面に形成された回路とを電気的に分離・シールドすることもできる。したがって、子基板32の上下に形成された回路間の干渉を少なくできる。また、配線基板36にもグランドパターン72bが形成されているので、子基板32の上面に形成された回路もしっかりとシールドできる。
【0054】
ここでこのグランドパターン72bは配線基板36の全面に設けておき、配線基板36の周縁部においてグランドパターン72bと金属膜71とが接続されている。これにより、子基板32の上面に形成された回路は、グランドパターン72aとグランドパターン72bと金属膜71とによって囲まれるので、子基板32の上面に形成された回路をしっかりとシールドできる。
【0055】
次にこの第3の例におけるモジュール31の製造方法について説明する。図13は本実施の形態の分割工程における第3の例のモジュールの断面図である。なお、図13において図1から図12と同じものには同じ符号を用い、その説明は簡略化している。図13に示したように、本例におけるモジュール31の分割工程43では、樹脂部35と配線基板36の切断と同時に子基板32も同時に切断される。これによって、樹脂部35と子基板32や配線基板36の側面には切断面が形成され、これらの切断面は連続した同一平面上に形成されることとなる。さらに、本例の分割工程43において子基板32の側面には、グランドパターン72aが露出するとともに、配線基板36の側面にはグランドパターン72bが露出する。つまり樹脂部35の側面にグランドパターン72aやグランドパターン72bの端部が露出することとなる。
【0056】
金属膜形成工程(図示せず)は、分割工程43の後で樹脂部35表面や子基板32(連結部32c)と配線基板36の側面(切断面)に金属膜71を形成する工程である。本実施の形態における金属膜形成工程は、スパッタによって金属膜71を形成している。そしてこの金属膜形成工程によって、子基板32や配線基板36から露出したグランドパターン72aやグランドパターン72bと金属膜71とが接続される。なお、この第3の例のモジュール31における配線基板36に代えて、第2の例のように可撓性基材を用いてさらに薄型のモジュール31を得ることもできる。
【0057】
第4の例のモジュール31は、第1または第3の例のモジュール31の配線基板36(あるいは第2の例のモジュール31の可撓性基材)に段差部が形成される。そして、配線基板36(あるいは可撓性基材)において、段差部の上側には金属膜71の不形成部が形成されている点が異なる。
【0058】
そしてこの第4の例のモジュール31の製造方法において、樹脂部形成工程42までの工程は他の例のモジュール31と同じである。本例では、樹脂部形成工程42の後で、隙間39に対応する位置において、樹脂部35に溝を形成する工程を有している。この工程では、樹脂部35のみでなく、配線基板36(あるいは可撓性基材)の一部まで達する深さの溝が形成される。つまりこの状態において、樹脂部35は切除されて分離されるが、配線基板36(あるいは可撓性基材)によって連結された状態となる。そしてこれによれば、樹脂部35や子基板32の側面(切断面)と配線基板36の側面上部(切断面)とが、連続した同一平面上に形成されることとなる。なお、この例において配線基板36を用いた場合、グランドパターン72bと金属膜71とを接続するために、溝はグランドパターン72bが樹脂部35(配線基板36)側面から露出される深さとする。
【0059】
さらにこの例におけるモジュール31の製造方法では、溝形成工程の後に金属膜形成工程が行われる。これにより樹脂部35の表面(樹脂部35の下面と側面)と子基板32の側面および、配線基板36(あるいは可撓性基材)における溝の内周面(つまり樹脂部35下面と、加工された溝の内周面全体)に金属膜71が形成される。これにより、グランドパターン72a(グランドパターン72b)と金属膜71とが接続されることとなる。そしてこのように、この例におけるモジュール31では、金属膜形成工程が、配線基板36(あるいは可撓性基材)で連結された状態で行うことができるので、非常に生産性が良好である。
【0060】
最後に金属膜形成工程の後で、分割工程43が行われ、加工された溝において子基板32(モジュール31)同士が分離される。配線基板36を用いたモジュール31の場合、段差部の下側には、金属膜71の不形成部が形成されることとなる。このとき、溝の幅よりも細い幅のダイシング歯を使って分割すれば、配線基板36には樹脂部35よりも突出した形状の段差部が形成されることとなる。これにより、たとえスパッタのような薄い金属膜71であっても、金属膜71へ傷などをつけなくできる。あるいは逆に段差部を凹んだ形状としてもよい。この場合、分割工程において溝の幅よりも太い幅のダイシング歯によって加工する。ただしこの場合には、配線基板36の下面側から加工することにより、金属膜71へ傷などをつけないようにできる。そしてこのように段差部を凹んで形成すれば、突出する箇所がなく、小さなモジュール31を実現できる。
【0061】
一方、可撓性基材を用いたモジュール31における分割工程43では、可撓性基材を剥離するだけでそれぞれのモジュール31を容易に分離できる。
【0062】
第5の例におけるモジュール31が、他の例に対して異なる点は、配線基板36に両面基板を用いている点と、スペーサ37の上下面のそれぞれには複数の接続パッド37aが形成されている点である。そして、このような場合、グランドパターン72bは配線基板36の下面に形成する。これによって、配線基板36にクラックなどを生じにくくできる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明にかかるモジュールの製造方法は、小型・薄型のモジュールを生産性良く製造可能であり、携帯電話などの小型、薄型化が要求される機器に用いられるモジュール等に用いると有用である。
【符号の説明】
【0064】
31 モジュール
32 子基板
32a 接続パッド
32b 親基板
32c 連結部
33a 電子部品
33b 電子部品
34 装着パッド
35 樹脂部
36 配線基板
37 スペーサ
38 はんだ
39 隙間
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に電子部品が実装され、これらの電子部品が樹脂によって封止されたモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来のモジュール1について図面を用いて説明する。図14は、従来のモジュール1の断面図である。従来のモジュール1における基板2の上面側には電子部品3aが実装され、下面側には電子部品3bとスペーサ4が実装されている。そしてこの電子部品3aや電子部品3bは樹脂部5によって埋設されている。ただし、スペーサ4の下面には、モジュール1をマザー基板(図示せず)へ装着するための装着パッド(図示せず)が形成されており、この装着パッドは樹脂部5から露出する構成となっている。
【0003】
次にこのようなモジュール1の製造方法について、図面を用いて説明する。最初に基板2の上面側に電子部品3aを実装する。その後に、真空印刷などによって、基板2の上面側に樹脂部5を形成し、電子部品3aを埋設する。図15は、下面側の実装工程における従来のモジュールの断面図である。図15においてこの工程では、上面に樹脂部5を形成した後で、下面側に電子部品3bやスペーサ4を実装する。なお従来のスペーサ4はロの字型であり、中央部が中空となっている。そしてこの中空部に対応する位置に電子部品3bが実装されている。
【0004】
次に図16は、下面側の樹脂埋設工程における従来のモジュールの断面図である。図16に示すように、電子部品3bを実装した後で、真空印刷法などによって、下面側に樹脂部5を形成し、電子部品3bを埋設する。なお、このときスペーサ4は樹脂部5で覆われている。
【0005】
図17は、研磨工程における従来のモジュールの断面図である。図17において、下面側に樹脂部5を形成した後で、スペーサ4の下面に形成された装着パッドが樹脂部5から露出するように、下面側の樹脂部5の表面を研磨する。そして、この研磨工程の後で、所定の位置で、樹脂部5や基板2を切断することにより、モジュール1が完成する。ここでは樹脂部5を真空印刷によって形成したが、これはトランスファ成形であっても良い。
【0006】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−112335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら従来のモジュールの製造方法では、表裏のそれぞれに樹脂部5を形成する工程が必要であり、またスペーサ4の下面の装着パッドを露出させるために研磨工程も必要としていた。したがって、このような従来の製造方法ではモジュールの製造に非常に工数が大きくなる。これにより従来のモジュール1の製造方法では、生産性が悪く、モジュール1の製造コストも大きくなるという課題を有していた。
【0009】
そこで本発明は、この問題を解決したもので、安価なモジュールを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、複数個の前記子基板が連結部で連結された親基板に電子部品を装着し、その後で前記連結部を切断して前記子基板同士を分離し、その後でこれら分離された前記子基板同士の間に隙間が形成されるように、前記子基板を前記配線基板へ実装して、前記それぞれの子基板と前記配線基板とを接続部を介して接続し、その後で前記基板の下面側と前記基板と前記配線基板との間に対し前記樹脂部を同時に形成し、その後で少なくとも前記隙間に対応する位置の前記樹脂部と前記配線基板とを切除するものである。これにより所期の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明によれば、両面に導体層が形成された子基板と、少なくともこの子基板の一方の面に実装された複数個の電子部品と、前記子基板の両面に設けられるとともに、前記電子部品を覆う樹脂部と、前記樹脂部の少なくとも上面に設けられた配線基板と、この配線基板の上面に設けられた装着パッドと、この装着パッドと前記子基板との間を電気的に接続するスペーサとが設けられたモジュールの製造方法において、複数個の前記子基板が連結部で連結された親基板に前記電子部品を装着し、その後で前記連結部を切断して前記子基板同士を分離し、その後でこれら分離された前記子基板同士の間に隙間が形成されるように、前記子基板を前記配線基板へ実装して、前記それぞれの子基板と前記配線基板とを接続部を介して接続し、その後で前記基板の下面側と前記基板と前記配線基板との間に対し前記樹脂部を同時に形成し、その後で少なくとも前記隙間に対応する位置の前記樹脂部と前記配線基板とを切除するものであり、これにより接続部によって子基板と配線基板とが接続された状態で、基板の下面側と基板と配線基板との間に樹脂部が形成される。従って、基板の下面側と基板と配線基板との間の樹脂部は同時に形成でき、また従来のような研磨工程は不要であるので、生産性が良好なモジュールの製造方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1におけるモジュールの断面図
【図2】同、モジュールの製造フローチャート
【図3】同、実装工程おけるモジュールの側面図
【図4】同、接続工程におけるモジュールの側面図
【図5】同、樹脂部形成工程におけるモジュールの断面図
【図6】同、分割工程におけるモジュールの断面図
【図7】同、樹脂部形成装置の概略断面図
【図8】同、樹脂部形成工程の製造フローチャート
【図9】同、軟化工程における樹脂部形成装置の断面図
【図10】同、浸漬工程における樹脂部形成装置の断面図
【図11】同、圧縮流入工程における樹脂部形成装置の断面図
【図12】同、第3の例におけるモジュールの断面図
【図13】同、分割工程におけるモジュールの断面図
【図14】従来のモジュールの断面図
【図15】同、下面側の実装工程における従来のモジュールの断面図
【図16】下面側の樹脂埋設工程における従来のモジュールの断面図
【図17】同、研磨工程における従来のモジュールの断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本実施の形態におけるモジュールの製造方法について説明する。
【0014】
(実施の形態1)
以下本実施の形態におけるモジュール31について図面を用いて説明する。図1は、本実施の形態におけるモジュール31の断面図である。図1において、子基板32の両面には、導体パターンが配線されており、この子基板32の下面には電子部品33aが実装され、上面には電子部品33bが実装されている。なお、本実施の形態では、子基板32は厚みが1.2mmの4層基板であり、電子部品33aや電子部品33bは半導体素子やチップ部品が含まれている。なお、半導体はフェイスダウンにて子基板32へフリップチップ実装されている。本実施の形態では、子基板32の両面に電子部品が実装されているが、これはいずれか一方であってもかまわない。
【0015】
樹脂部35は、子基板32の両面を覆い、この樹脂部35内には電子部品33a、電子部品33bや子基板32が埋設されている。本実施の形態における樹脂部35には、熱硬化性樹脂のエポキシ基材が用いられている。ここで、樹脂部35の上面には配線基板36が設けられ、配線基板36と子基板32とが対向するように配置されている。そして、配線基板36の上面には、モジュール31が装着されるマザー基板(図示せず)と接続するための装着パッド34が形成されている。なお、本実施の形態において、配線基板36には、厚みが0.1mmの両面基板が用いられている。したがって、価格が安価であるので、低価格なモジュール31を実現できる。
【0016】
スペーサ37(接続部の一例として用いた)は樹脂製であり、このスペーサ37の一方の端部が配線基板36へ固定されるとともに、他方端が子基板32へ固定されている。本実施の形態におけるスペーサ37は四角柱形状であるが、これは円柱形状などのように上下面に平坦部を有した形状であれば良い。なお、このスペーサ37も、電子部品33bと同様に樹脂部35内に埋設されている。ただし、スペーサ37の高さは子基板32の上面に装着された電子部品33bの高さより高くしておく。つまり、電子部品33bと配線基板36との間にも樹脂部35が介在している。そして、本実施の形態において子基板32と配線基板36において、スペーサ37が装着される位置には、それぞれ接続パッド32aと接続パッド36aとが形成されており、スペーサ37と接続パッド32aやスペーサ37と接続パッド36aとがはんだ38によって接続される。そしてこれにより、子基板32(電子部品33a、または電子部品33bなどで形成される電子回路)と装着パッド34とがスペーサ37を介して電気的に接続される。
【0017】
なお、本実施の形態におけるスペーサ37は樹脂製であるので、スペーサ37の上下面にはそれぞれ接続パッド37aが形成されている。これにより、接続パッド32aと接続パッド37aとの間や、接続パッド36aと接続パッド37aとの間が、はんだ38によって接続される。なお、スペーサ37の上下の接続パッド37a同士は、導電体(例えばスルーホール)によって電気的に接続されている。ここで本実施の形態では、接続部として樹脂製のスペーサ37を用いたが、これには金属片(例えば、黄銅などの金属板を切断して形成)や銅などによる金属製のボールなどを用いてもかまわない。このように導電性の金属片やボールは、非常に安価であるので、安価なモジュール31を得ることができる。
【0018】
次に本実施の形態におけるモジュール31の製造方法について、図面を用いて説明する。図2は本実施の形態におけるモジュールの製造フローチャートであり、図3は、同、実装工程におけるモジュールの側面図であり、図4は、同接続工程におけるモジュールの側面図である。図2から図4において、図1と同じものには同じ符号を用いており、その説明は簡略化している。
【0019】
図2、図3において、組み立て工程41には、実装工程41aと、分割工程41bと接続工程41cとを含んでいる。実装工程41aでは、子基板32同士が連結部32cによって連結された親基板32bの状態で行われる。この工程では、親基板32bの両面にクリーム状のはんだ38を塗布し、部品装着機などにより電子部品33aや電子部品33bを実装する。そしてリフロー加熱を行うことにより、親基板32bの両面に電子部品33a、電子部品33bが実装される。なお、この実装工程41aでは、スペーサ37も電子部品33bと同時に装着される。ここで、本実施の形態においてスペーサ37は、離散的に実装している。これにより、後述する樹脂部形成工程42(図8に示す)において樹脂35a(図8に示す)が、配線基板36と子基板32との間に容易に充填できる。
【0020】
分割工程41bは実装工程41aの後で、親基板32bにおける連結部32cを切除し、子基板32同士を分離する工程である。次に、接続工程41cは分割工程41bの後で、配線基板36と子基板32とを接続する工程であり、配線基板36にスペーサ37が装着された子基板32を装着し、子基板32と配線基板36との間がスペーサ37を介して電気的に接続されるようにする。このとき、子基板32同士は、所定の隙間39を有するように装着する。これにより、後述する樹脂部形成工程42(図8に示す)において樹脂35a(図8に示す)は隙間39より配線基板36と子基板32との間へと進入できるので、配線基板36と子基板32との間に樹脂35aを容易に充填できる(以降この組み立て工程41が完了した状態を組み立て済み基板44という)。
【0021】
なお本実施の形態において、配線基板36には両面(あるいは多層)基板を用いているので、配線基板36の下面側にも電子部品33cを装着できる。これにより、さら小型のモジュール31を実現できることとなる。そしてこれは、接続工程41cの前に、配線基板36へ電子部品33cを装着する工程を設ければ良い。ここで本実施の形態における接続工程41cでは、実装工程41aでスペーサ37を子基板32へ実装したが、これは電子部品33cなどと同時に、あらかじめ配線基板36の所定の位置へスペーサ37を固定しておいても良い。そしてこの場合、スペーサ37が固定された配線基板36を子基板32へ接続することとなる。
【0022】
図5は、本実施の形態における樹脂部形成工程のモジュールの断面図である。図5において、図1から図4と同じものには、同じ符号を用いており、その説明は簡略化している。図5において、樹脂部形成工程42は組み立て工程41の後で、子基板32の下面および、子基板32と配線基板36との間とに樹脂部35を同時に形成する。これにより電子部品33a、電子部品33bや電子部品33c、さらにはスペーサ37が樹脂部35によって埋設される。なお、この樹脂部を形成する工程には、トランスファ成形、真空印刷による成形方法や本実施の形態における成形方法(後に詳しく説明する)など、いずれの成形方法を用いてもかまわない。
【0023】
図6は、本実施の形態における分割工程のモジュールの断面図である。図6において、図1から図5と同じものには、同じ符号を用いており、その説明は簡略化している。図6において、分割工程43は樹脂部形成工程42の後で、子基板32同士の隙間39に対応する位置において、樹脂部35と配線基板36とを切断することで、モジュール31を完成する。なお本実施の形態において、子基板32の外周側にも樹脂部35が形成される。そこで、この分割工程43では、子基板32の外側方向の樹脂部35と配線基板36も切断を行うことで、所定のサイズのモジュール31を得る。
【0024】
次に本実施の形態における樹脂部形成工程42について、図面を用いて詳細に説明する。最初に樹脂部形成工程42において、樹脂部35を形成するための樹脂部形成装置51について説明する。図7は、本実施の形態における樹脂部形成装置の概略断面図である。図7において、搭載部52は、配線基板36が搭載されるものであり、子基板32(電子部品33a)が下方を向く方向で、配線基板36が装着される。ここで、搭載部52には吸着する構成(図示せず)が設けられており、この搭載部52に配線基板36が吸着されて保持されることとなる。
【0025】
この搭載部52の下方には、樹脂35a(図8に示す)が投入される空間を有した樹脂槽53が設けられている。ここで、樹脂槽53は上下方向へと可動する。また、樹脂槽53の底部53aは、樹脂槽53全体の動きとは独立して、単独に垂直(図7において上下の)方向へ可動できる構造となっている。そしてこれら搭載部52や樹脂槽53には加熱手段(図示せず)が設けられており、これらによって樹脂35a(さらには配線基板36、子基板32)を加熱する。また、樹脂部形成装置51にはコンプレッサ(図示せず)などが設けられ、樹脂槽53内や樹脂槽53と搭載部52との間の空気を吸引することで、樹脂部35の形成をほぼ真空状態下で行うことができるようになっている。これにより溶融した樹脂35aを脱泡し、樹脂部35中のボイドを防止できる。
【0026】
図8は本実施の形態における樹脂部形成工程の製造フローチャートである。上記のような樹脂部形成装置51を用いた場合の樹脂部形成工程42について、図8の工程の順序に従って、詳細に説明する。なお、図8において、図1から図7と同じものには同じ符号を用い、その説明は簡略化している。
【0027】
図9は軟化工程における樹脂部形成装置の断面図である。なお図9において、図1から図8と同じものには同じ符号を用い、その説明は簡略化している。図8、図9において、軟化工程61は組み立て工程41の後で、配線基板36が固定された子基板32(組み立て済み基板44)を搭載部52へ搭載するとともに、樹脂槽53内へ非流動状態(未溶融の固体またはゲル状)の樹脂35aを投入し、加熱して樹脂35aを流動可能な状態となるまで軟化させる。そしてこの処理に並行して、樹脂35aと搭載部52(配線基板36と子基板32や子基板32と樹脂35a)との間の空間54の空気が吸引される。この吸引は空間54がほぼ真空状態となるまで行われ、樹脂35aが完全に溶融を完了した後に止められる。ここで、搭載部52へ搭載された組み立て済み基板44は子基板32(電子部品33a搭載面)が下方を向くように搭載部52へ搭載される。なお本実施の形態における樹脂槽53や搭載部52は予め樹脂35aが溶融する温度にまで加熱しているので、短時間に樹脂35aを軟化させることができる。
【0028】
また本実施の形態において、樹脂槽53へ投入前の樹脂35aは粒状であり、計量容器などによって計量された所定量の樹脂35aが樹脂槽53へと投入される。ここで樹脂35aは、第1の温度範囲内では流動性を有せず、この第1の温度より高い第2の温度範囲内では流動性を生じ、この第2の温度より高い温度で硬化する熱硬化性樹脂を用いる。このように樹脂35aを樹脂槽53へ投入する段階で、樹脂35aは粒状であるので、精度良く計量することができる。また、計量や投入の自動化も容易である。
【0029】
発明者らはこの樹脂部形成装置51を用いて、以下のような手順で軟化工程61を行った。予め加熱手段によって搭載部52と樹脂槽53との温度を樹脂35aが溶融する(流動性を生じる)温度以上であり、樹脂35aが硬化する温度範囲未満の温度(第2の温度範囲)となるように加熱しておく。本実施の形態における樹脂35aは、約140℃未満の温度では流動性が小さく、約140℃から約175℃において最も軟化して流動性を生じ、それを超える温度で硬化する(第3の温度範囲)エポキシ系の熱硬化性樹脂を用いている。したがって本実施の形態では、搭載部52と樹脂槽53との温度を第2の温度範囲上限の175℃に設定している。
【0030】
図8において、浸漬工程62は軟化工程61の後で、流動可能な状態に溶融した樹脂35aの中に、電子部品33aや電子部品33bを浸漬し、配線基板36の下面を溶融した樹脂35aの液面へと接触させる工程である。
【0031】
例えばこの工程は、以下のようにして行われる。図10は、浸漬工程における樹脂部形成装置の断面図である。図10において、樹脂槽53と底部53aとをほぼ同じ速度で上方(図9矢印方向)へ移動させて、配線基板36が樹脂槽53と搭載部52との間に挟まれるようにする。そしてこれにより、配線基板36は樹脂槽53内に収容されることとなる。このとき、樹脂槽53と配線基板36の下面との間に隙間が生じないようにすることが必要であり、そのために樹脂槽53において、配線基板36の下面と当接する箇所にはゴムパッキン(図示せず)などが設けられる。そして、樹脂槽53は規定の位置(樹脂槽53が配線基板36と当接する位置)まで上昇した後に停止する。ただしこの状態では、図10に示すように樹脂35aの液面は、配線基板36の下面とはまだ接触しないようにしてある。これにより、樹脂35aが樹脂槽53から溢れ出すことを少なくできる。
【0032】
ただしこのとき、電子部品33bと子基板32との間の隙間が樹脂35aの液面より下となる(電子部品33bと子基板32との間の隙間が樹脂35a内に浸漬される)ようにすることが望ましい。これは、少なくとも電子部品33bと子基板32との間の隙間が樹脂35a内に浸漬されるようにすることで、樹脂35aを電子部品33bと子基板32との間(さらに電子部品33aと子基板32との間)などの狭い隙間へ入り込ませるためである。そしてこれによって、後述する圧縮流入工程63において、電子部品33a(あるいは電子部品33b)と子基板32との間の非常に狭い隙間へ、樹脂35aを確実に充填させることができることとなる。なお、本実施の形態における浸漬工程62では、電子部品33bの上面が樹脂35aで覆われる程度まで浸漬している。
【0033】
浸漬工程62では、底部53aは樹脂槽53の移動が停止した後も上方へと移動を続ける。これによって、樹脂35aの液面と配線基板36の下面とが接触することとなる。なお、この浸漬工程62において、樹脂35aを子基板32と配線基板36との間の隙間へ充填することが必要である。そこで、本実施の形態では、子基板32同士の間に隙間39を設け、また子基板32と樹脂槽53との間にも樹脂35aが流れ込むための通路(隙間)が設けられている。これにより、子基板32同士の間の隙間39や、子基板32の側面と樹脂槽53の内面との間の通路を通って、樹脂35aが子基板32と配線基板36との間に流れ込むこととなる。
【0034】
さらに、スペーサ37を離散的配置することにより、樹脂35aは、スペーサ37同士の間の隙間を通り、子基板32と配線基板36との間にスムーズに充填される。このように浸漬工程62では、子基板32が浸漬されるだけであるので、樹脂35aの流れが小さく、樹脂35aによる子基板32や電子部品33a、電子部品33bへのストレスも小さくできる。したがって、電子部品33a、電子部品33b自身の破壊や、電子部品33a、電子部品33bと子基板32間の接続が破壊しにくくできる。さらには、子基板32の上下において、樹脂35aに含まれるフィラーの密度などの差(樹脂35aの組成の差)が生じにくくできる。したがって、子基板32や配線基板36の反りなども小さくできる。
【0035】
図11は、圧縮流入工程63における樹脂部形成装置51の断面図である。浸漬工程62において配線基板36の下面と樹脂35aとが接触するので、図11に示すように、浸漬工程62が完了すれば、一見樹脂35aの充填は完了したように見える。ところが、電子部品33aと子基板32との間や電子部品33bと子基板32との間の隙間は非常に狭いため、中には樹脂35aが充填されていない箇所も存在している。
【0036】
そこで、浸漬工程62の後で圧縮流入工程63を行う。この圧縮流入工程63では底部53aによって樹脂35aに対し上方へと(図9矢印方向へ)加重を加え、樹脂35aを圧縮し、この圧力によって未充填の隙間へ樹脂35aを強制的に流入させる。このとき、樹脂槽53と配線基板36とで囲まれた空間は、電子部品33a(あるいは電子部品33b)と子基板32との間の隙間の未充填の箇所を除き、樹脂35aによって埋まっている。したがって、樹脂35aを圧縮しても底部53aはほとんど上昇することはなく、樹脂35aの圧力のみが上昇することとなる。そして、この圧力が規定値となるまで加圧を続け、その圧力を維持する。なお、この圧縮流入工程63において樹脂35aの温度は、第2の温度範囲内とすることが重要である。これにより、電子部品33aと子基板32との間や電子部品33bと子基板32との間の隙間へ確実に樹脂35aを充填させることができる。
【0037】
なお、本実施の形態において電子部品33a(あるいは電子部品33b)と子基板32との接続ははんだであり、錫、銀系の鉛フリーはんだを用いている。本実施の形態におけるはんだの融点は約200℃である。このようにはんだの融点が第2の温度範囲より高いはんだを用いている。したがって、圧縮流入工程63(あるいは浸漬工程62)においてはんだが溶融することもないので、電子部品33a(あるいは電子部品33b)と子基板32間の電気的接続が外れたりしにくくできる。
【0038】
硬化工程64は、圧縮流入工程63の後で、樹脂35aの温度が第2の温度範囲を超える温度(第3の温度範囲)となるまでさらに加熱することによって、樹脂35aを硬化する。これによって、子基板32の下と、子基板32と配線基板36との間とに同時に樹脂部35が形成されることとなる。なお、少なくとも樹脂35aの流動性がなくなるまでの間は、この硬化工程64においても圧縮流入工程63で加えられた圧力を維持する。これにより、確実に電子部品33a(あるいは電子部品33b)と子基板32との間の隙間に、ボイドなどが残りにくくできる。
【0039】
以上のような製造方法により、浸漬工程62において、溶融した樹脂35aが入った樹脂槽53の中に組み立て済み基板44を浸漬するだけで、子基板32の下と、子基板32と配線基板36との間に同時に樹脂部35を形成できる。従って、非常に生産性が良好である。また、配線基板36の外周が搭載部52と樹脂槽53との間に挟まれた状態で、配線基板36(の装着パッド34側)が搭載部52に搭載(吸着)されて、樹脂部35が形成される。これにより、配線基板36と搭載部52との間には樹脂35aが流れ込まず、装着パッド34上には樹脂35aが付着しない。したがって、従来のように装着パッド34を露出させるための研磨などの必要もなく、生産性が良好である。また、トランスファ成形のように、狭い隙間へ溶けた樹脂35aを流し込む必要がない。これにより、子基板32と配線基板36との間の樹脂部35を形成するために、子基板32(組み立て済み基板44)に対して加わるストレスを小さくできる。したがって、子基板32の傾きや変形などを小さくできる。
【0040】
さらに圧縮流入工程63においては、電子部品33aの下側や、電子部品33bと配線基板36との間にはすでに樹脂35aが存在している。またそして、その樹脂35aを圧縮することで、電子部品33aの下側の樹脂部35を形成するものである。したがって、トランスファ成形のように、狭い隙間へ溶けた樹脂35aを流し込む必要がない。つまり、たとえ電子部品33a下部や、電子部品33bと配線基板36との間における樹脂部35の厚みが薄くても、確実に樹脂部35を形成できることとなり、安価な薄型のモジュール31を得ることができる。
【0041】
本実施の形態において、電子部品33a下側の樹脂部35の厚みは0.08mmであるが、確実に樹脂35aを充填できている。したがって、従来のトランスファ成形に比べて、電子部品33a下部における樹脂部35の厚みを薄くでき、厚みの薄いモジュール31を実現できる。また、電子部品33bと配線基板36との間は0.08mmであるが、確実に樹脂35aを充填できている。そして配線基板36の厚みは、0.1mmであるので、トランスファ成形に比べても、子基板32の下側の厚みは大差なく、厚みの薄いモジュール31を実現できる。そして本実施の形態では、厚みが0.8mmのモジュール31を実現している。
【0042】
また、圧縮流入工程63で圧力を加えるので、電子部品33a(あるいは電子部品33b)と子基板32との間の非常に狭い隙間にも確実に樹脂35aを充填できる。さらにまた、電子部品33aや電子部品33bには、圧縮流入工程63においてのみ圧力が加わるので、電子部品33a、電子部品33bへかかる応力を小さくできる。したがって、電子部品33a(あるいは電子部品33b)や子基板32の変形が小さくなる。
【0043】
また、浸漬工程62では電子部品33a(あるいは電子部品33b)が浸漬されるのみであり、圧縮流入工程63で樹脂35aに流れが発生するので、樹脂35aの流れる距離は、トランスファ成形に比べて非常に短い。したがって、硬化後において樹脂35aの流れの不均一さなどによる内部応力も小さくできる。これによって、さらに電子部品33a(あるいは電子部品33b)、子基板32や樹脂部35自身の歪(変形)などを小さくできる。
【0044】
特に本実施の形態では電子部品33a(あるいは電子部品33b)には集積回路を含み、これらは子基板32へフェイスダウンにてフリップチップ実装しているので、電子部品33a(あるいは電子部品33b)と子基板32との間が非常に近くなる。したがって、電子部品33a(あるいは電子部品33b)に形成された回路と子基板32との間には大きな浮遊容量を持つこととなり、特にこの浮遊容量のばらつきは、集積回路に構成された回路の特性に大きな影響を与えることがある。特に、モジュール31が高周波装置であり、子基板32上や電子部品33a(もしくは電子部品33b)上に高周波回路が形成される場合には、特にこの浮遊容量による影響が重要となる。また、本実施の形態における集積回路は、はんだバンプにより子基板32へ接続されているが、圧接により子基板32と接続されているような場合においては、集積回路の歪を小さくできるので、圧接力が小さくなりにくくできる。したがって、集積回路と子基板32との間の接続信頼性の高いモジュール31を実現できる。
【0045】
そしてこのようなモジュール31上に高周波回路を形成するような場合、集積回路の歪を小さくすることは、非常に重要である。これは、実装工程41aにおける高周波特性の検査において、合格範囲と判断したものにおいても、集積回路や子基板32や樹脂部35自身の歪が大きいと、上記理由などによって、樹脂部35を形成した後に不合格となる恐れがあるためである。そして、樹脂部35が形成された後においては、修理することが非常に困難であるので、廃棄する以外に方策はなく、歩留まりが非常に悪化することとなる。そこで、以上のような製造方法を用い、樹脂35aの流れる距離を小さくすることで、樹脂35a内部に残る残留応力を小さくし、集積回路、子基板32や樹脂部35自身などにかかる応力を小さくする。これにより、樹脂部35形成後での高周波特性のばらつきを小さくでき、歩留まりの良好なモジュール31を実現できる。
【0046】
さらに加えて、この残留応力を小さくすることは、モジュール31の特性の長期信頼性にも大きな影響を及ぼす。つまり、温度変化などによって、樹脂部35や子基板32に伸縮が生じ、樹脂部35内の内部応力の分布が変化すると考えられる。これにより、集積回路や子基板32や樹脂部35などの歪量が変化し、その結果集積回路と子基板32との間の浮遊容量の値が製造段階の値より変化することが考えられる。また、集積回路が圧接により子基板32へ接続されている場合には、温度変化により圧接力が変化することも考えられる。そこで、上記製造方法により、内部応力を小さくできるので、温度変化などに対しても長期にわたり安定した特性を維持できるモジュール31を実現できる。
【0047】
そしてもちろん、圧縮流入工程63で樹脂35aを強制的に隙間へ充填するので、印刷法やポッティングなどによる方法に比べ、電子部品33a(あるいは電子部品33b)と子基板32との間にも確実に樹脂35aを充填できることは言うまでもない。したがって、非常に信頼性も良好なモジュール31を実現できる。
【0048】
そして以上のように、圧縮圧力で電子部品33a(あるいは電子部品33b)が破壊することを少なくでき、また電子部品33a(あるいは電子部品33b)の変形も小さくできるので、電子部品33a(あるいは電子部品33b)の厚みも薄くすることができる。したがって、従来のトランスファ成形に比べて薄型のモジュール31を実現できる。
【0049】
発明者らは上記製造方法を用い、約0.8mmの厚みで電子部品が両面に実装されたモジュール31の実現に成功している。この場合、子基板32の厚みが0.1mm、電子部品33a、電子部品33bの厚みが0.25mmと非常に薄いが、変形も小さく、特性ばらつきの小さなモジュール31を実現できている。そして、電子部品33aの下部の樹脂部35の厚みや、電子部品33bと配線基板36との間が0.07mmと非常に薄いが、厚みの安定した樹脂部35を形成できている。
【0050】
なお、樹脂部35や配線基板36の表面にめっきやスパッタなどにより、金属膜を形成すれば、モジュール31上に形成された回路をシールドすることができる。これにより、モジュール31で生じる高周波ノイズや、高周波信号が外部へ放射されにくくできる。また逆に、外部の回路から高周波信号やノイズなどがモジュール31の回路へ妨害を与えにくくできる。これは、同じ筐体の中に種々の回路が搭載されるような機器(たとえばテレビ、パソコン、携帯電話)などに用いると特に有用である。これにより回路で生じるノイズ信号などによる妨害(回路の誤動作など)を少なくできる。そしてこの場合に、子基板32(あるいは配線基板36)のグランドパターンと金属膜とを接続することにより、さらにしっかりとシールドすることができる。
【0051】
次に第2の例のモジュール31について説明する。本実施の形態では硬い(非可撓性の)配線基板36を用いたが、これに代えて可撓性基材を用いても良い。そしてその場合に、組み立て工程41において可撓性基材とスペーサ37との間を剥離可能な粘着剤により接続しておくと良い。そして、樹脂部形成工程42(あるいは分割工程43)の後で、可撓性基材を剥がす。これにより、スペーサ37の接続パッド37a(スペーサ37が金属製である場合には、スペーサ37自身)が、樹脂部35から露出することとなり、接続パッド37a(あるいはスペーサ37自身の上端面)が、モジュール31の装着パッド34を形成することとなる。そしてこのようにすれば、さらに厚みの薄いモジュール31を実現することができる。なお、可撓性基材を剥がす工程は、樹脂部形成工程42と分割工程43との間に設けると良い。これは、樹脂部形成工程42において可撓性基材の外周部には、樹脂部35が形成されない領域が形成される。そこで、この外周部を摘んで可撓性基材を剥がせば容易に可撓性基材を剥がすことができる。したがって、非常に生産性の良い薄型のモジュール31を得ることができる。
【0052】
図12は、本実施の形態における第3の例のモジュールの断面図である。図12において、第3の例におけるモジュール31は、第1の例のモジュール31に対し、樹脂部35側面と配線基板36の側面と子基板32の側面とが連続した同一平面上に形成されている。また、それらの樹脂部35と配線基板36の側面には、金属膜71が形成されている。さらに、子基板32は多層基板であり、内層にグランドパターン72aが形成されている。また、配線基板36にも多層基板が用いられ、その内層にはグランドパターン72bが形成されている。これによって、子基板32の側面にはグランドパターン72aの露出部が形成され、配線基板36の側面にはグランドパターン72bの露出部が形成される。そして、これらの露出部においてグランドパターン72aやグランドパターン72bと金属膜71とが接続されている。
【0053】
これにより、子基板32の下面に形成された回路は、金属膜71とグランドパターン72aとによって囲まれることとなる。したがって、子基板32の下面に形成された回路をしっかりとシールドすることができる。また、グランドパターン72aによって子基板32の上面に形成された回路と、下面に形成された回路とを電気的に分離・シールドすることもできる。したがって、子基板32の上下に形成された回路間の干渉を少なくできる。また、配線基板36にもグランドパターン72bが形成されているので、子基板32の上面に形成された回路もしっかりとシールドできる。
【0054】
ここでこのグランドパターン72bは配線基板36の全面に設けておき、配線基板36の周縁部においてグランドパターン72bと金属膜71とが接続されている。これにより、子基板32の上面に形成された回路は、グランドパターン72aとグランドパターン72bと金属膜71とによって囲まれるので、子基板32の上面に形成された回路をしっかりとシールドできる。
【0055】
次にこの第3の例におけるモジュール31の製造方法について説明する。図13は本実施の形態の分割工程における第3の例のモジュールの断面図である。なお、図13において図1から図12と同じものには同じ符号を用い、その説明は簡略化している。図13に示したように、本例におけるモジュール31の分割工程43では、樹脂部35と配線基板36の切断と同時に子基板32も同時に切断される。これによって、樹脂部35と子基板32や配線基板36の側面には切断面が形成され、これらの切断面は連続した同一平面上に形成されることとなる。さらに、本例の分割工程43において子基板32の側面には、グランドパターン72aが露出するとともに、配線基板36の側面にはグランドパターン72bが露出する。つまり樹脂部35の側面にグランドパターン72aやグランドパターン72bの端部が露出することとなる。
【0056】
金属膜形成工程(図示せず)は、分割工程43の後で樹脂部35表面や子基板32(連結部32c)と配線基板36の側面(切断面)に金属膜71を形成する工程である。本実施の形態における金属膜形成工程は、スパッタによって金属膜71を形成している。そしてこの金属膜形成工程によって、子基板32や配線基板36から露出したグランドパターン72aやグランドパターン72bと金属膜71とが接続される。なお、この第3の例のモジュール31における配線基板36に代えて、第2の例のように可撓性基材を用いてさらに薄型のモジュール31を得ることもできる。
【0057】
第4の例のモジュール31は、第1または第3の例のモジュール31の配線基板36(あるいは第2の例のモジュール31の可撓性基材)に段差部が形成される。そして、配線基板36(あるいは可撓性基材)において、段差部の上側には金属膜71の不形成部が形成されている点が異なる。
【0058】
そしてこの第4の例のモジュール31の製造方法において、樹脂部形成工程42までの工程は他の例のモジュール31と同じである。本例では、樹脂部形成工程42の後で、隙間39に対応する位置において、樹脂部35に溝を形成する工程を有している。この工程では、樹脂部35のみでなく、配線基板36(あるいは可撓性基材)の一部まで達する深さの溝が形成される。つまりこの状態において、樹脂部35は切除されて分離されるが、配線基板36(あるいは可撓性基材)によって連結された状態となる。そしてこれによれば、樹脂部35や子基板32の側面(切断面)と配線基板36の側面上部(切断面)とが、連続した同一平面上に形成されることとなる。なお、この例において配線基板36を用いた場合、グランドパターン72bと金属膜71とを接続するために、溝はグランドパターン72bが樹脂部35(配線基板36)側面から露出される深さとする。
【0059】
さらにこの例におけるモジュール31の製造方法では、溝形成工程の後に金属膜形成工程が行われる。これにより樹脂部35の表面(樹脂部35の下面と側面)と子基板32の側面および、配線基板36(あるいは可撓性基材)における溝の内周面(つまり樹脂部35下面と、加工された溝の内周面全体)に金属膜71が形成される。これにより、グランドパターン72a(グランドパターン72b)と金属膜71とが接続されることとなる。そしてこのように、この例におけるモジュール31では、金属膜形成工程が、配線基板36(あるいは可撓性基材)で連結された状態で行うことができるので、非常に生産性が良好である。
【0060】
最後に金属膜形成工程の後で、分割工程43が行われ、加工された溝において子基板32(モジュール31)同士が分離される。配線基板36を用いたモジュール31の場合、段差部の下側には、金属膜71の不形成部が形成されることとなる。このとき、溝の幅よりも細い幅のダイシング歯を使って分割すれば、配線基板36には樹脂部35よりも突出した形状の段差部が形成されることとなる。これにより、たとえスパッタのような薄い金属膜71であっても、金属膜71へ傷などをつけなくできる。あるいは逆に段差部を凹んだ形状としてもよい。この場合、分割工程において溝の幅よりも太い幅のダイシング歯によって加工する。ただしこの場合には、配線基板36の下面側から加工することにより、金属膜71へ傷などをつけないようにできる。そしてこのように段差部を凹んで形成すれば、突出する箇所がなく、小さなモジュール31を実現できる。
【0061】
一方、可撓性基材を用いたモジュール31における分割工程43では、可撓性基材を剥離するだけでそれぞれのモジュール31を容易に分離できる。
【0062】
第5の例におけるモジュール31が、他の例に対して異なる点は、配線基板36に両面基板を用いている点と、スペーサ37の上下面のそれぞれには複数の接続パッド37aが形成されている点である。そして、このような場合、グランドパターン72bは配線基板36の下面に形成する。これによって、配線基板36にクラックなどを生じにくくできる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明にかかるモジュールの製造方法は、小型・薄型のモジュールを生産性良く製造可能であり、携帯電話などの小型、薄型化が要求される機器に用いられるモジュール等に用いると有用である。
【符号の説明】
【0064】
31 モジュール
32 子基板
32a 接続パッド
32b 親基板
32c 連結部
33a 電子部品
33b 電子部品
34 装着パッド
35 樹脂部
36 配線基板
37 スペーサ
38 はんだ
39 隙間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面に導体層が形成された子基板と、少なくともこの子基板の一方の面に実装された複数個の電子部品と、前記子基板の両面に設けられるとともに、前記電子部品を覆う樹脂部と、前記樹脂部の少なくとも上面に設けられた配線基板と、この配線基板の上面に設けられた装着パッドと、この装着パッドと前記子基板との間を電気的に接続する接続部とが設けられたモジュールの製造方法において、複数個の前記子基板が連結部で連結された親基板に前記電子部品を装着し、その後で前記連結部を切断して前記子基板同士を分離し、その後でこれら分離された前記子基板同士の間に隙間が形成されるように、前記子基板を前記配線基板へ実装するとともに、前記それぞれの子基板と前記配線基板とを接続部を介して接続し、その後で前記基板の下面側と前記基板と前記配線基板との間に対し前記樹脂部を同時に形成し、その後で少なくとも前記隙間に対応する位置の前記樹脂部と前記配線基板とを切除するモジュールの製造方法。
【請求項2】
少なくとも両面に導体層が形成された子基板と、この子基板の両面に実装された複数個の電子部品と、前記子基板の両面に設けられるとともに、前記電子部品を覆う樹脂部と、この樹脂部の上面に露出した装着パッドと、この装着パッドと前記子基板との間を電気的に接続する接続部とが設けられたモジュールの製造方法において、複数個の前記子基板が連結部で連結された親基板の両面に前記電子部品を装着し、その後で前記連結部を切断して前記子基板同士を分離し、その後でこれら分離された前記子基板同士の間に隙間が形成されるように、前記それぞれの子基板と可撓性基材とを接続部を介して接着し、その後で前記基板の下面側と前記基板と前記可撓性基材との間に対し前記樹脂部を同時に形成し、その後で前記可撓性基材を前記樹脂部から剥がすとともに、少なくとも前記隙間に対応する位置の前記樹脂部を切除して、前記それぞれのモジュールを分離するモジュールの製造方法。
【請求項3】
可撓性基材を樹脂部から剥がす工程の後で、隙間に対応する位置の樹脂部が切除される請求項2に記載のモジュールの製造方法。
【請求項4】
前記樹脂部を形成する工程では、樹脂槽の上方に子基板が下側となる向きで載置し、前記樹脂槽へ投入された非流動状態の前記樹脂が流動可能となるまで軟化させ、その後で前記電子部品を前記軟化した樹脂へ浸漬するとともに、前記配線基板の下面を前記樹脂の液面へ接触させ、その後で前記樹脂を圧縮するとともに加熱して前記樹脂を硬化させ、前記基板上に前記樹脂部を形成する請求項1または2に記載のモジュールの製造方法。
【請求項5】
前記親基板に前記接続部を装着する工程では、前記接続部は子基板において離散的に配置される請求項4に記載のモジュールの製造方法。
【請求項6】
配線基板へ子基板を実装する工程では、配線基板の下面に電子部品が装着される請求項1に記載のモジュールの製造方法。
【請求項1】
両面に導体層が形成された子基板と、少なくともこの子基板の一方の面に実装された複数個の電子部品と、前記子基板の両面に設けられるとともに、前記電子部品を覆う樹脂部と、前記樹脂部の少なくとも上面に設けられた配線基板と、この配線基板の上面に設けられた装着パッドと、この装着パッドと前記子基板との間を電気的に接続する接続部とが設けられたモジュールの製造方法において、複数個の前記子基板が連結部で連結された親基板に前記電子部品を装着し、その後で前記連結部を切断して前記子基板同士を分離し、その後でこれら分離された前記子基板同士の間に隙間が形成されるように、前記子基板を前記配線基板へ実装するとともに、前記それぞれの子基板と前記配線基板とを接続部を介して接続し、その後で前記基板の下面側と前記基板と前記配線基板との間に対し前記樹脂部を同時に形成し、その後で少なくとも前記隙間に対応する位置の前記樹脂部と前記配線基板とを切除するモジュールの製造方法。
【請求項2】
少なくとも両面に導体層が形成された子基板と、この子基板の両面に実装された複数個の電子部品と、前記子基板の両面に設けられるとともに、前記電子部品を覆う樹脂部と、この樹脂部の上面に露出した装着パッドと、この装着パッドと前記子基板との間を電気的に接続する接続部とが設けられたモジュールの製造方法において、複数個の前記子基板が連結部で連結された親基板の両面に前記電子部品を装着し、その後で前記連結部を切断して前記子基板同士を分離し、その後でこれら分離された前記子基板同士の間に隙間が形成されるように、前記それぞれの子基板と可撓性基材とを接続部を介して接着し、その後で前記基板の下面側と前記基板と前記可撓性基材との間に対し前記樹脂部を同時に形成し、その後で前記可撓性基材を前記樹脂部から剥がすとともに、少なくとも前記隙間に対応する位置の前記樹脂部を切除して、前記それぞれのモジュールを分離するモジュールの製造方法。
【請求項3】
可撓性基材を樹脂部から剥がす工程の後で、隙間に対応する位置の樹脂部が切除される請求項2に記載のモジュールの製造方法。
【請求項4】
前記樹脂部を形成する工程では、樹脂槽の上方に子基板が下側となる向きで載置し、前記樹脂槽へ投入された非流動状態の前記樹脂が流動可能となるまで軟化させ、その後で前記電子部品を前記軟化した樹脂へ浸漬するとともに、前記配線基板の下面を前記樹脂の液面へ接触させ、その後で前記樹脂を圧縮するとともに加熱して前記樹脂を硬化させ、前記基板上に前記樹脂部を形成する請求項1または2に記載のモジュールの製造方法。
【請求項5】
前記親基板に前記接続部を装着する工程では、前記接続部は子基板において離散的に配置される請求項4に記載のモジュールの製造方法。
【請求項6】
配線基板へ子基板を実装する工程では、配線基板の下面に電子部品が装着される請求項1に記載のモジュールの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−84766(P2012−84766A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231234(P2010−231234)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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