説明

モジュール基板およびその製造方法

【課題】フィルドめっきによるブラインドビアの表面金属層がランドを有しているモジュール基板にあって、小径化した半導体装置の端子に設けたバンプとモジュール基板のランドとの接続信頼性と、ランドとブラインドビアとの接続信頼性とを同時に満たすモジュール基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】モジュール基板表面には、ランドを含む配線パターンとソルダレジストと設け、ランドの中心部の高さがソルダレジストの高さと同じかそれより高く、かつランドの周辺部の高さと前記ランド以外の前記配線パターンの高さがソルダレジストの高さより低いモジュール基板およびその製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュール基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モジュール基板は、半導体装置を含めひとつの機能単位を基板上に実装するためのプリント配線板で、半導体装置は半導体装置の下面の端子に設けたバンプと、モジュール基板表面に設けたランドにより、はんだ等を介して接続される。そして、このバンプとランドとの接続信頼性を向上させるために、半導体装置とモジュール基板との間の隙間を埋めて接着固定化するために、アンダーフィル材と呼ばれている接着樹脂を設けている。
【0003】
ところで、半導体装置の高密度化に伴いその端子も小径化してきているため、その半導体装置を基板上に実装するためのモジュール基板のランドも小径化に対応する必要がある。
ところが、モジュール基板の中でも、フィルドめっきによるブラインドビアの表面金属層がランドになっているモジュール基板の場合、ランドを小径化すると、ランドとブラインドビアとのレジストレーションが悪化し、ランドとブラインドビアの電気的接続信頼性が悪化しやすくなってしまう。
【0004】
そのため、特許文献1に開示された関連技術によれば、ランド自体は小径化せずに、ランドの表面周辺に絶縁層を設けることにより、ランドの開口径を小さくすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−152376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、モジュール基板表面に設けたランドの表面周辺に絶縁層を設けることにより、ランドの開口径を小さくした場合、その絶縁層のランド表面周辺の盛り上がりにより、半導体装置とモジュール基板との隙間を埋めるアンダーフィル材が、ランドと半導体装置の端子に設けたバンプとの接続部分周辺に浸透しにくく、そのため半導体装置の端子に設けたバンプとモジュール基板のランドとの接続信頼性に問題を生じやすい。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決して、小径化した半導体装置の端子に設けたバンプとモジュール基板のランドとの接続信頼性と、ランドとブラインドビアとの接続信頼性とを同時に満たすモジュール基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、フィルドめっきによるブラインドビアの表面金属層がランドを有しているモジュール基板にあって、モジュール基板表面には、前記ランドを含む配線パターンとソルダレジストと設け、前記ランドの中央部の高さがソルダレジストの高さと同じかそれより高く、かつ前記ランドの周辺部の高さと前記ランド以外の前記配線パターンの高さがソルダレジストの高さより低いモジュール基板を提供するものである。
また、フィルドめっきによるブラインドビアの表面金属層がランドを有しているモジュール基板の製造方法にあって、
フィルドめっきによるブラインドビアを設ける工程と、
前記ランドとなる中央部を残して前記表面金属層をハーフエッチングする工程と、
前記ランドの幅をブラインドビアの幅より広く残しながら、エッチングして配線パターンに前記表面金属層を加工する工程と、
ソルダレジストの高さを、前記ランドの中心部の高さと同じかそれより低く、かつ前記ランドの周辺部の高さと前記ランド以外の前記配線パターンの高さより高くして設ける工程と、を有するモジュール基板の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、フィルドめっきにより充填されたブラインドビアのめっき充填穴が、モジュール基板のランドの外にはみだすランド切れをおこさずランド内で接することが容易にできる。また、半導体装置の端子と接続するランドの開口部であるランドの中心部の高さがソルダレジストの高さと同じかそれより高いので、半導体装置とモジュール基板との隙間を埋めるアンダーフィル材の浸透が容易にできる。
そのため、小径化した半導体装置の端子に設けたバンプとモジュール基板のランドとの接続信頼性と、ランドとブラインドビアとの接続信頼性とを同時に満たすモジュール基板およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のモジュール基板と半導体装置の、接続前の概略断面図を示している。
【図2】本発明のモジュール基板製造方法を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明におけるフィルドめっきは、従来の電解フィルドめっき液を使用して形成しためっきをさし、ブラインドビアに使用される。ブラインドビアのビアホールの表面高さは、ビアホール外周辺の上層の表面の高さと同じであることが好ましい。
電解フィルドめっき液は、一般に硫酸銅めっき浴中にめっき成長を抑制する抑制剤と、めっき成長を促進する促進剤とを添加したものである。
めっき抑制剤は、物質の拡散則に伴い、ビアホール内部には吸着し難く、基板表面には吸着し易いことを応用して、ビアホール内部と比較して基板表面のめっき成長速度を遅くすることで、ビアホール内部を銅によって充填させ、ビアホール直上部分とビアホール直上部分以外の部分とで、基板表面を平滑に電解めっきする効果があると言われている。めっき抑制剤としては、ポリアルキレングリコールなどのポリエーテル化合物、ポリビニルイミダゾリウム4級化物、ビニルピロリドンとビニルイミダゾリウム4級化物との共重合体などの窒素含有化合物などを用いることができる。
めっき促進剤は、ビアホールの底面、側面、基板表面に、一様に吸着し、続いて、ビアホール内部ではめっきの成長に伴い、表面積が減少していき、ビアホール内の促進剤の分布が密になることを利用して、ビアホール内部のめっき速度が基板表面のめっき速度より速くなり、ビアホール内部を銅によって充填させ、ビアホール直上部分とビアホール直上部分以外の部分とで、基板表面を平滑に電解めっきする効果があると言われている。めっき促進剤としては、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸ナトリウムもしくは2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウムで表される硫黄化合物、もしくはビス−(3−スルフォプロピル)−ジスルファイドジソディウム等で表される硫黄化合物を用いることができる。これらめっき促進剤は、ブライトナー(光沢剤)と呼ばれる銅めっき液に添加する添加物の一種でもある。
上記めっき抑制剤やめっき促進剤は、1種、もしくは2種以上を混合して用いる。これらの水溶液の濃度は特に限定されないが、数質量ppm〜数質量%の濃度で用いることができる。
【0012】
本発明におけるブラインドビアは、モジュール基板の外層と内層との層間を接続する穴(すなわち非貫通ビアホール)を使用して、上下の層間の電気的な導通をとる一般的にプリント配線板で使用する導通構造体をさす。
この非貫通ビアホールを形成する方法としては、例えばフォトプロセスによって外層の金属箔層にエッチング穴を設けた後、このエッチング穴の直径よりも大きなレーザー光を照射して、エッチング穴の下の樹脂層部分だけを除去して上下の層間を接続する穴を形成し、レーザー加工残差の有機物であるスミアを除去するデスミア処理をおこなってから、この穴内に無電解めっきと電解めっきによりビアホールを形成する(コンフォーマル加工)。または、例えば絶縁基板上に回路金属層を設け、それを覆うように絶縁層を積層後、ビアホール用の穴を形成し、この穴内に無電解めっきと電解めっきによりビアホールを形成する。
【0013】
本発明における表面金属層は、フィルドめっきによるブラインドビアを形成したときの外層部分の金属部分をさす。
【0014】
本発明におけるランドは、上記ブラインドビアの表面金属層を加工した導電パターンの外部接続部分で、表面部分は、半導体装置の端子に設けたバンプと、はんだ等を介し接続し、底面部分は、ブラインドビアのビアホールの開口部分と連続的に接している。
ランドの形状は周辺部より中央部が高い2段高さで、中央部の表面で、半導体装置の端子に設けたバンプとはんだ等を介し接続する。中央部は実際の作製精度によりなり、必ずしもランドの中心でなくてもよい。
【0015】
本発明におけるソルダレジストは、通常のソルダレジストインクにより、モジュール基板の表面に設けたもので、ソルダレジストの高さは、ランドの中心部の高さと同じかそれより低く、かつランドの周辺部の高さとランド以外の配線パターンの高さより高くして設ける。
ソルダレジストとは、はんだ付けの際にはんだブリッジ、はんだむらによる部品端子の接続不良を防ぐための絶縁性の材料であって、不要な部分へのはんだの付着を防止するとともに、外的環境から導体部分を保護する目的で使用される材料である。従って、はんだ時のポストフラックスへの耐性や240〜260℃の溶融半田での耐熱性を始めとして、耐溶剤性、耐薬品性、耐湿性および絶縁抵抗、誘電率などの電気特性が優れていなければならない。
ソルダレジスト材料の種類として、ソルダレジストインクを用いたスクリーン印刷、または感光性ソルダレジストインクもしくはソルダレジストフィルムを用いた露光・現像法で形成することができる。スクリーン印刷用の加熱硬化型の絶縁性樹脂組成物が使用できる。また、マスクパターンを使用した紫外線露光型のもの、または密着性や耐湿性を向上させた紫外線露光と加熱硬化させる液状現像型のものが使用できる。
スクリーン印刷用の加熱硬化型の絶縁性樹脂組成物は、プリント配線板の絶縁材料として用いられる公知慣例の樹脂組成物を用いることができる。通常、厚さが15μmから100μm程度の、耐熱性、耐薬品性の良好な熱硬化性樹脂がベースとして用いられ、フェノ−ル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、フッ素樹脂等の樹脂の1種類または2種類以上を混合して用い、必要に応じてタルク、クレー、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の無機質粉末充填剤、ガラス繊維、アスベスト繊維、パルプ繊維、合成繊維、セラミック繊維等の繊維質充填剤を添加したものである。
また、紫外線露光型のものは、100nm〜380nmの紫外線を照射し、ラジカル重合あるいは光カチオン重合により硬化させるインクである。このインクは、樹脂成分としては加熱乾燥型のエッチングレジストと同様の樹脂成分を用い、フィラーとしてはシリカ、タルクなどを用い、着色顔料としてはシアニングリーン、シアニンブルー、酸化チタン、カーボンブラックなどを用い、溶剤としてエポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどの各種(メタ)アクリレート系オリゴマー、(メタ)アクリル酸エステル類などの反応性希釈モノマーを用い、光重合開始剤が添加される。
紫外線露光と加熱硬化させる液状現像型のものは、エポキシ樹脂の部分アクリル化樹脂、線状ポリマーとアクリルオリゴマーとを組み合わせた樹脂などのエポキシ樹脂や各種ポリマーを変性した光重合型のものや、カルコン基とエポキシ基とを共有して樹脂による光二量化型などを単独またはエポキシ樹脂などの加熱硬化型の樹脂を併用した樹脂組成物と、シリカ、タルクなどのフィラーと、光重合開始剤と、硬化剤と、フタロシアニングリーンや有機染料などの着色剤、有機溶剤などからなる。
工法としては、平行光露光装置を利用した非接触露光型と、乾燥皮膜を得た後にフィルムを密着して露光する接触露光型とがあり、接触露光型は現在使用されている既存の設備を使用することができるものが多いため普及度が高い。又、現像方法によっても、溶剤現像型と、弱アルカリ溶液による水現像型とがあるが、現像液、現像機のコストや環境面から弱アルカリ性溶液による水現像型が現在普及している。
【0016】
本発明におけるハーフエッチングは、湿式のエッチング方法で、絶縁物上に設けた金属層を途中までエッチングして除去したもので、エッチング液による化学エッチング、または電気がかけられる場合には電解エッチングを行うことができる。
化学エッチングしては、塩酸、硫酸などの無機酸、有機酸等の単独または混合したものや、無機酸に過酸化水素、トリアゾール、ハロゲン化物、ニカワ等を添加したものが使用できる。
電解エッチングしては、硫酸、塩酸、スルファミン酸などの酸性浴や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ピロリン酸、シアン浴などのアルカリ浴が使用できる。
また、これらの酸またはアルカリ系の溶液に、必要により添加剤を加える。添加剤は化学エッチングに使用されているものと同様のもの、または通常光沢めっき液に使用する市販の添加剤等々が使用できる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明のモジュール基板と半導体装置の、接続前の概略断面図を示している。
モジュール基板1は、内層回路2を形成した内層材3と、プリプレグ4と、その表面に上層配線パターン5とを有し、内層回路2と上層配線パターン5との接続用にフィルドめっきによるブラインドビア6を設けている。このブラインドビア6の表面金属層がランド7を有していて、モジュール基板1表面には、ランド7を含む上層配線パターン5とソルダレジスト8と設け、ランドの中央部7aの高さがソルダレジスト8の高さと同じかそれより高く、かつランドの周辺部7bの高さとランド7以外の上層配線パターン5の高さが、ソルダレジスト8の高さより低い構造になっている。
また、半導体装置9の下面には、下面の端子10を設け、下面の端子10には、モジュール基板1と接続するはんだボールのバンプ11を設けている。そして、ソルダレジスト8から露出したランドの中央部7aとはんだボールのバンプ11とが接続される。
【0018】
図2は、本発明のモジュール基板の製造方法の、製造工程の概略断面図を示している。
図2(a)は、ブラインドビア用の穴を設けた状態を、図2(b)は、ブラインドビア用の穴に電解フィルドめっきを充填した後の状態を、図2(c)は、ブラインドビア上にエッチンクレジストを形成した状態を、図2(d)は、その後、ハーフエッチングした状態を、図2(e)は、上層配線パターン形成用のエッチングレジストレジストを形成した状態を、図2(f)は、上層配線パターン部以外の銅をエッチング除去した状態を、図2(g)は、モジュール基板の表面にソルダレジストを設けた状態を、図2(h)は、ランドが露出するように研磨した状態を示している。
【0019】
以下、図2を詳しく説明すると、まず、図2(a)に示すように、内層回路2を形成した内層材3に、プリプレグ4とその上層に上層配線パターン用の金属箔12とを積層一体化し、その上層配線用の金属箔12を穴形状にパターニングした後、パターニングした部分にレーザーによりブラインドビア用の穴13を設ける。
内層回路2を形成した内層材3に、プリプレグ4とその上層に金属箔12とを積層一体化する方法は、内層材3とプリプレグ4と、金属箔12とを積層プレスする方法や、片面金属箔付樹脂を内層材3にラミネートとする方法を用いる。内層材3の絶縁層の厚みは10μmから100μm程度、望ましくは20μmから60μmがよく、金属箔12の厚みは5μmから9μmである。片面金属箔付樹脂の作製に用いる樹脂、金属箔12としての銅箔は、積層板の時と同様のものを用い、樹脂ワニスを金属箔12にキスコーター、ロールコーター、コンマコーター等を用いて塗布するか或いはフィルム状の樹脂を金属箔12にラミネートして行う。樹脂ワニスを金属箔12に塗布する場合は、その後、加熱ならびに乾燥させるが、条件は100℃〜200℃の温度で1分〜30分とするのが適当であり、加熱、乾燥後の樹脂組成物中における残留溶剤量は、0.2質量%〜10質量%程度が適当である。フィルム状の樹脂を金属箔12にラミネートする場合は、50℃〜150℃、0.1MPa〜5MPaの条件で真空或いは大気圧の条件が適当である。
また、ブラインドビア形成に用いることができるレーザーとしては、COやCO、エキシマ等の気体レーザーやYAG等の固体レーザーがある。COレーザーが容易に大出力を得られることから、φ50μm以上のブラインドビアの加工に適している。φ50μm以下の微細なブラインドビアを加工する場合は、より短波長で集光性のよいYAGレーザーが適しているが、内層回路2の銅箔を貫通しないよう注意する必要がある。
【0020】
次に、図2(b)に示すように、金属箔12上及びブラインドビア用の穴13内部に触媒核を付与後、無電解めっき層14を生成し、その上に電解フィルドめっき液による電解めっき層15を形成する。
【0021】
次に、図2(c)に示すように、電解フィルドめっき液によるめっき層15のブラインドビア上に、ランド中央部形成用のエッチンクレジスト16を形成する。ランド中央部形成用のエッチンクレジスト16に使用できる樹脂には、PMER P−LA900PM(東京応化株式会社製、商品名)のような液状レジストや、HW−425(日立化成工業株式会社、商品名)、RY−3025(日立化成工業株式会社、商品名)等のドライフィルムがある。
【0022】
次に、図2(d)に示すように、ランド中央部形成用のエッチンクレジスト16を設けた後、ハーフエッチングにより金属箔12と無電解めっき層14と電解フィルドめっき液によるめっき層15よりなる上層の金属層17を途中まで除去する。このことにより、ランドの中央部7aを形成することができる。
例えば塩化鉄第二鉄水溶液や過硫酸アンモニウム、硫酸−過酸化水素水混合水溶液などのエッチング液により、上層の金属層17の厚さが少なくとも70%以下になるまで、最大で厚さが15%程度になるまでエッチングにより除去する。好ましくは60%から30%程度になるまでエッチングにより除去する。エッチング量が多いほど上層の金属層17の厚さが薄くなるので、配線精度が向上する。エッチング量が少ないとランド高さと上層の金属層17の高さ差が少なくなり、上層の金属層17を被覆するソルダレジストの高さ精度が厳しくなる。また、エッチング量が多すぎると、上層の金属層17が断線または配線抵抗増加しやすくなる。
【0023】
次に、図2(e)に示すように、上層の金属層17の表面に、ランド7を含む上層配線パターン形成用のエッチングレジスト18を設ける。
上層配線パターン形成用のエッチングレジスト18に使用できる樹脂には、図2(c)と同様に、PMER P−LA900PM(東京応化株式会社製、商品名)のような液状レジストや、HW−425(日立化成工業株式会社、商品名)、RY−3025(日立化成工業株式会社、商品名)等のドライフィルムがある。
【0024】
次に、図2(f)に示すように、ランド7を含む上層配線パターン5以外の上層の金属層17をエッチング除去する。その後、アルカリ性剥離液や硫酸あるいは市販のレジスト剥離液を用いて上層配線パターン形成用のエッチングレジストレジスト18の剥離を行う。このことにより、ランドの周辺部7bを含む上層配線パターン5を形成する。
【0025】
次に、図2(g)に示すように、モジュール基板1の表面にソルダレジスト8を設ける。ソルダレジスト8の厚さは、ランドの周辺部7bを含む上層配線パターン5の絶縁が保てる程度とし、ランド中心部の厚さと同じ程度の厚さが好ましい。
ソルダレジスト8は、通常のソルダレジスト8で、ソルダレジストインクを用いたスクリーン印刷、および感光性ソルダレジストインクまたはソルダレジストフィルムを用いた露光・現像法で形成することができる。
【0026】
次に、図2(h)に示すように、ランド7が露出するようにソルダレジスト8を研磨する。研磨により、ソルダレジスト8の高さは、ランドの中央部7aの高さと同じかそれより低く、かつランドの周辺部7bの高さとランド7以外の上層配線パターン5の高さより高くする。最後に必要に応じて、ソルダレジスト8から露出したランド7表面に、5μm程度のニッケルめっき後、0.05μmから0.3μm程度の金めっきを設ける。
研磨の方法は、例えばバフロールによる機械研磨を行う。バフの番手は削る穴埋めインクによって違うが、600番、800番、1000番、あるいはそれらを組み合わせて使用する。また、研磨電流は0.1A〜2.0A程度で研磨を行うが、削る穴埋めインクの量によって電流値も調整する。好ましくは1.0〜1.4A程度である。
【0027】
なお、ランドの中央部7aは、ハーフエッチングによりアンダーカットされて上に狭い台形状になっていることが好ましい。その方が、その後ソルダレジスト8を設けるときに、ランドの中央部7a上のルダレジスト8が周辺に流れ易くなり、その後の研磨工程が容易になる。また、ランドの中央部7aは、ランドの周辺部7bからはみ出さないように、また真下のブラインドビアと導通が取れるようにすればよく、ランドの周辺部7bを可能な限り広くすることにより、寸法公差を広くすることができる。
【実施例1】
【0028】
ガラスエポキシ材に厚さ18μmの銅箔を張り合わせた銅張積層板(日立化成工業株式会社製 MCL−E−679FG)を、エッチングによりパターンニングを行い、内層材を形成した。
次に、内層銅箔の凹凸の形成方法としては、CZ処理(メックエッチボンドCZ−8100 メック株式会社製商品名)により、表面粗さが3μm〜5μmの凹凸を設けた。
その内層材にプリプレグ(日立化成工業株式会社製 GEA−679FG)とその上層に上層配線パターン用の銅箔(三井金属鉱業株式会社製 MT18S5DH)とを積層一体化し、その上層配線パターン用の銅箔をエッチングにより銅箔を除去し、レーザー穴あけ加工用のコンフォーマルマスクを形成した。
次に、銅箔を除去し樹脂が露出しているコンフォーマルマスクの部分へ、COレーザー(日立ビアメカニクス株式会社製 レーザー加工条件:周波数1000Hz、パルス幅15μsec、サイクル数4回を照射し、樹脂を燃焼分解して除去することにより、ブラインドビア用の穴を形成した。
デスミア処理は、膨潤部にスウェリングディップセキュリガントP(株式会社アドテックジャパン製商品名)約500ml/lと苛性ソーダ(信越化学製)pH9.5〜pH11.8を使用、エッチング部にNaMnO約60g/lを使用、還元部にリダクションセキュリガントP(株式会社アドテックジャパン製商品名)約70ml/lと98%HSO(古河機械金属製)約50ml/lを使用した株式会社アドテック製デスミア水平ラインをライン速度1.0m/min.で、2pass処理(2回処理)を行った。
次に、銅箔上及びブラインドビア用の穴内部に、パラジウムコロイド触媒であるHS201B(日立化成工業株式会社製、商品名)を使用して触媒核を付与後、CUST2000(日立化成工業株式会社製、商品名)を使用して厚さ0.5μmの下地無電解めっき層を穴内及び表面銅箔上に形成した。
次に、電解フィルドめっき(メルテックス株式会社製)により、厚み約30μmのめっきを下地無電解めっき層上に行った。
その後、ドライフィルムH−9040(日立化成工業株式会社、商品名)を使用して、めっきを完了した基板上全面にラミネートを行い、厚さ40μmのレジストを形成する。そのレジスト上に直描機により回路を焼付け、現像・塩化鉄によるエッチング・アルカリ性剥離液を用いてレジストの剥離の各処理をおこなうフォト法にてブラインドビア用の穴上に、ランド中央部形成用のエッチンクレジストを形成した。
次に、化学エッチング液(メック株式会社製 HE−7000Y)により、銅部分の厚さが20μmになるようにハーフエッチングを行い、ランド中心部以外の銅厚を薄くした。
その後、ドライフィルムH−9040(日立化成工業株式会社、商品名)を使用して、基板上全面にラミネートを行い、厚さ40μmのランドを含む上層配線パターン形成用のレジストを形成する。そのレジスト上に直描機により回路を焼付け、現像・塩化鉄によるエッチング・アルカリ性剥離液を用いてレジストの剥離の各処理をおこなうフォト法にて、ランドの周辺部を含む上層配線パターン形成を行った。
その後、CZ処理(メックエッチボンドCZ−8100 メック株式会社製商品名)により、表面粗さが1μm〜2μmの凹凸を設けた。ロールコーターによりソルダレジスト(太陽インキ株式会社製 PSR3000AUS308RC)を塗布し、80℃30分仮乾燥を行ったのち、自動露光機を使用して露光量550mJ/cmで焼付けを行い、現像機により、ランド中心部の厚さと同じ程度の厚さ約35μmのソルダレジスト形成を行った。
その後、バフロール(ジャブロ工業株式会社製 #600番、#800番)を使用し、研磨電流1.2Aで基板表面上を機械研磨を行った。
研磨は、ランドの周辺部の高さとランド以外の配線パターンの高さより高くするように、またランドの中央部の高さから5μm程度低くした。次に、露出したランド表面に、5μm程度のニッケルめっき後、0.1μm程度の金めっきを設けた。最後に各モジュール基板に切り分けた。
作成したモジュール基板は、ワークサイズのどの場所においても、フィルドめっきにより充填されたブラインドビアのめっき充填穴がモジュール基板のランドの外にはみだすランド切れをおこさずランド内で接することができた。また、半導体装置とモジュール基板との隙間を埋めるアンダーフィル材の浸透が容易であった。
【符号の説明】
【0029】
1…モジュール基板、2…内層回路、3…内層材、4…プリプレグ、5…上層配線パターン、6…ブラインドビア、7…ランド、7a…ランドの中央部、7b…ランドの周辺部、8…ソルダレジスト、9…半導体装置、10…下面の端子、11…バンプ、12…金属箔、13…ブラインドビア用の穴、14…無電解めっき層、15…電解フィルドめっき液によるめっき層、16…ランド中央部形成用のエッチンクレジスト、17…上層の金属層、18…上層配線パターン形成用のエッチングレジスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルドめっきによるブラインドビアの表面金属層がランドを有しているモジュール基板にあって、モジュール基板表面には、前記ランドを含む配線パターンとソルダレジストと設け、前記ランドの中央部の高さがソルダレジストの高さと同じかそれより高く、かつ前記ランドの周辺部の高さと前記ランド以外の前記配線パターンの高さがソルダレジストの高さより低いモジュール基板。
【請求項2】
フィルドめっきによるブラインドビアの表面金属層がランドを有しているモジュール基板の製造方法にあって、
フィルドめっきによるブラインドビアを設ける工程と、
前記ランドとなる中心部を残して前記表面金属層をハーフエッチングする工程と、
前記ランドの幅をブラインドビアの幅より広く残しながら、エッチングして配線パターンに前記表面金属層を加工する工程と、
ソルダレジストの高さを、前記ランドの中央部の高さと同じかそれより低く、かつ前記ランドの周辺部の高さと前記ランド以外の前記配線パターンの高さより高くして設ける工程と、を有するモジュール基板の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−204730(P2011−204730A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67805(P2010−67805)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】