説明

モーター及び記録ディスク駆動装置

【課題】多数のシーリング部を形成し、オイルが軸受アセンブリー内から外部に漏出されることを防止することができるモーター及び記録ディスク駆動装置を提供する。
【解決手段】本発明によるモーターは、シャフト、シャフトが内部で回転可能になるようにシャフトを支持する円筒状のスリーブ、シャフトの上端部に締結されて、一面にスリーブの一部分を収容するように円筒状のローター周壁が突出されて形成されるローターケース、及びローター周壁の端に締結されてローター周壁を延長するカバーを含んで、ローター周壁とカバーが形成する内周面と、スリーブの外周面の間にはスリーブの潤滑に用いられる流体の漏出を防止する少なくとも二つのシーリング部が形成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモーター及び記録ディスク駆動装置に関し、より詳細には、流体動圧軸受の流体が外部に排出されることを抑制することができるモーター及び記録ディスク駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録ディスク駆動装置に用いられる小型のスピンドルモーターには、流体動圧軸受アセンブリーが用いられ、前記流体動圧軸受アセンブリーのシャフトとスリーブの間にはオイルが介され、前記オイルから生ずる流体圧力でシャフトを支持する器具である。
【0003】
最近、記録ディスク駆動装置がシャフトが高速で回転することによって、オイルが流体動圧軸受アセンブリー内から外部にあふれる問題点を解決するために、オイルシーリングのための研究が持続的に求められている。
【0004】
従来の場合、流体動圧軸受アセンブリーでシャフトが挿入されるスリーブ内の軸孔の上端または下端をテーパ状に形成して、オイルがテーパシーリングされるようにする方法を主に用いている。
【0005】
しかし、このような従来のテーパシーリング方法だと、シャフトの軸受スパンが短くなって、シャフトがローターを安定的に支持することができなくなるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は多数のシーリング部を形成し、オイルが軸受アセンブリー内から外部に漏出されることを防止することができるモーター及び記録ディスク駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるモーターは、シャフト、シャフトが内部で回転可能になるようにシャフトを支持する円筒状のスリーブ、シャフトの上端部に締結されて、一面にスリーブの一部分を収容するように円筒状のローター周壁が突出されて形成されるローターケース、及びローター周壁の端に締結されてローター周壁を延長するカバーを含んで、ローター周壁とカバーが形成する内周面と、スリーブの外周面の間にはスリーブの潤滑に用いられる流体の漏出を防止する少なくとも二つのシーリング部が形成されることを特徴とする。
【0008】
本発明において、少なくとも二つのシーリング部は一直線上に形成されることを特徴とする。
【0009】
本発明において、ローター周壁に収容されるスリーブは軸方向の上部に外径が拡大される形状で形成されることができる。
【0010】
本発明において、シーリング部は、ローター周壁とスリーブの間の空間に形成される第1シーリング部、及びカバーとスリーブの間の空間に形成される第2シーリング部を含むことができる。
【0011】
本発明において、第1シーリング部はスリーブまたはローター周壁のうち何れか一つの部分に形成されている第1シーリング溝によって形成される空間であることができる。
【0012】
本発明において、第2シーリング部はスリーブの傾斜部またはカバーのうち何れか一つの部分に形成されている第2シーリング溝によって形成される空間であることができる。
【0013】
本発明において、第1シーリング溝は下部に行くほど溝の深さが深く形成されることができる。
【0014】
本発明において、第2シーリング溝は下部に行くほど溝の深さが深く形成されることができる。
【0015】
本発明において、シーリング部はスリーブの外周面またはローター周壁とカバーが形成する内周面のうち少なくとも何れか一つの部分にシーリング部の間隔を拡張する少なくとも一つの拡張溝が形成されることができる。
【0016】
本発明において、カバーは透明な材質からなることが好ましい。
【0017】
また、本発明による記録ディスク駆動装置は、上述の何れか一つのモーター、モーターに搭載される記録ディスクの情報を検出するヘッドを記録ディスクに移送するヘッド移送部、及びモーターとヘッド移送部を収容するハウジングを含んで構成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、流体の排出経路を長くするために連続的に形成される少なくとも二つのシーリング部を備えるため、流体が軸受アセンブリーの外部に漏出されることを二重に防止することができる。
【0019】
従って、流体の漏出によってモーターや記録ディスク駆動装置に問題が発生されることを最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例によるモーターを概略的に図示した断面図である。
【図2】図1のシーリング部を図示した拡大断面図である。
【図3】本発明の他の実施例によるモーターを概略的に図示した断面図である。
【図4】本発明のまた他の実施例によるモーターを概略的に図示した断面図である。
【図5】本発明の実施例によるモーターが装着された記録ディスク駆動装置を概略的に図示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の詳細な説明に先立ち、以下で説明される本明細書及び請求範囲に用いられた用語や単語は通常的かつ辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者が自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則にしたがって本発明の技術的思想にかなう意味と概念に解釈されるべきである。従って、本明細書に記載した実施例と図面に図示された構成は本発明のもっとも好ましい実施例に過ぎず、本発明の技術的思想の全部を代弁しているわけではないため、本出願時点においてこれらを代替することができる多様な均等物と変形例があり得ることを理解しなければならない。
【0022】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。この際、添付の図面で同一の構成要素はできるだけ同一の符号で示していることに留意しなければならない。また、本発明の要旨をぼかす可能性がある公知機能及び構成に対する詳細な説明は省略する。同じ理由から、添付図面において一部の構成要素は誇張されたり省略されたりまたは概略的に図示されていて、各構成要素の大きさは実際の大きさを全面的に反映するものではない。
【0023】
一方、方向に対する用語を定義すると、軸方向は図1を参照してシャフト11を基準に上下方向を意味し、外径または内径方向はシャフト11を基準にローター40の外側端方向、またはローター40の外側端を基準にシャフト11の中心方向を意味する。
【0024】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明の実施例によるモーターを概略的に図示した断面図であり、図2は図1のシーリング部を図示した拡大断面図である。
【0026】
図1及び図2を参照すると、本実施例によるモーター100はハードディスクドライブ(HDD)に適用されるスピンドルモーター100であり、軸受アセンブリー10、ステーター30及びローター40を含んで構成される。
【0027】
軸受アセンブリー10は、シャフト11、スリーブ13及び回路基板60が付着されるベース14を含んで構成される。
【0028】
シャフト(shaft)11は後述するローター40の回転軸を形成する。
【0029】
スリーブ(sleeve)13は、内部に形成されるホールにシャフト11が挿入されて、シャフト11が内部で容易に回転されることができるようにシャフト11との間に油膜を形成してシャフト11を支持する回転支持部材であり、シャフト11の外径部またはスリーブ13の内径部の片側には流体動圧を発生させる複数個のラジアル動圧溝(未図示)が形成されることができる。この際、スリーブ13とシャフト11の間には流体が満たされることができて、流体が潤滑油の役割をすることにより、回転時にスリーブ13との摩擦を減らすようになる。このようなスリーブ13は外周面が後述するベース14の内部に圧入されて固定される。
【0030】
また、本実施例によるスリーブ13は、後述するローター周壁48に収容される部分が軸方向の上部に外径が拡大される形状で形成される。即ち、上端部に行くほど外径が増加する形状となる。従って、本実施例によるスリーブ13は外周面の一部が傾斜面で形成され、以下ではこのように傾斜面で形成される部分を傾斜部13aと称して説明する。
【0031】
ベース14はモーターの全体的な構成要素を支持する支持部材であり、特に、スリーブ13を媒介としてシャフト11が回転可能になるように支持するスリーブ支持部15と、下部面に後述する回路基板60が付着されるプレート部16を含んで構成される。スリーブ支持部15は円筒状で形成され、内部にスリーブ13とシャフト11が挿入される。スリーブ支持部15の外周面には後述するステーター30が安着される。このために、スリーブ支持部15の外周面の外径方向に一部突出されて段差を形成する安着部17が形成される。
【0032】
回路基板60の内部にモーター100に電源を印加する回路パターン(未図示)が形成され、巻線コイル38と電気的に連結されて巻線コイル38に電源を印加する。また、回路基板60の回路パターンのうちグラウンドパターンはベース14と導通されるように形成されることができる。このような回路基板60は、一般的な印刷回路基板(PCB)や軟性回路基板(Flexible PCB)などの多様な基板を必要によって選択的に用いることができる。
【0033】
ステーター(stator)30は、多数の鉄板が積層されて形成されるコア32と、コア32の外周面に巻かれる巻線コイル38を含んで構成されて、ローター40の内部に収容される固定構造物である。
【0034】
巻線コイル38は後述するコア32に巻線されるコイル(coil)であり、電源印加時に電磁気力を発生させる。本実施例による巻線コイル38は導線(未図示)を通じて回路基板60と電気的に連結され、これを通じて外部電源の供給を受けるようになる。しかし、これに限定されず、回路基板60と巻線コイル38が電気的に連結されることができる構成であれば、多様に用いられることができる。
【0035】
ローター(rotor)40はマグネット42とローターケース44を含んで構成される。
【0036】
マグネット(magnet)42は円周方向にN極、S極が相互に着磁され、一定の強さの磁気力を発生する輪状の永久磁石である。
【0037】
ローターケース(rotor case)44はカップ状に形成されて、ローターハブ45、マグネット結合部46及びローター周壁48を含んで構成される。
【0038】
ローターハブ(rotor hub)45はシャフト11の上端部に締結される。
【0039】
マグネット結合部46はマグネット42が締結される部分であり、ローターケース44の内周面に沿って形成される。この際、マグネット42は後述するステーター30のコア32と対向するように配置される。従って、コア32に巻かれた巻線コイルに電源が印加されると、マグネット42と巻線コイルの間の電磁気的相互作用によってローター40が回転するようになる。
【0040】
ローター周壁48は円筒状でローターケース44の一面、即ち下部面で突出されて形成され、スリーブ13の一部分、即ちスリーブ13の上端部の1/3程度を内部に収容するように形成される。ローター周壁48は、後述するカバー50とともに本発明による第1、第2シーリング部70a、70bを形成するようになる。これに対しては後述するシーリング部70a、70bに対する説明でより詳細に説明する。
【0041】
カバー50はローター周壁48の端に締結され、ローター周壁48を延長する。本実施例によるカバー50は円形のリング形状に形成されて、断面は四角形の形状からなり、外部面が角張った形状をなして、接着剤などを通じてローター周壁48の端に付着されることができる。
【0042】
また、カバー50はローター周壁48から内径方向に一定部分突出されるようにローター周壁48に付着される。この際、本実施例によるカバー50は、突出された部分の角がスリーブ13の外周面と非常に隣接して位置されるようにローター周壁48に付着される。この際、上述の角は図面のように角張った形状で形成されることができ、より広い面がスリーブ13の外周面と隣接するように曲線形態で形成されることもできる。
【0043】
このようなカバー50は後述する第2シーリング部70bを形成するためのものであり、これに対しては後述する。また、本実施例によるカバー50は透明な材質からなることが好ましい。カバー50が透明に形成されることによって、スリーブ13とシャフト11の間に注入された流体の流動を肉眼で識別することができるようになる。
【0044】
以上のように構成される本実施例によるモーター100は、スリーブ13の上端面とローターケース44の下部面の間に形成される間隙を通じて流体が移動する通路75(以下、流体移動路)が形成される。流体移動路75は、スリーブ13とシャフト11の間に注入された流体が膨張される時に流体が流入されて移動する通路であり、流体移動路75の端にはシーリング部70a、70bが形成される。
【0045】
ここで、本発明はローター周壁48とカバー50が形成する内周面とスリーブ13の外周面の間に、少なくとも二つのシーリング部70a、70bが形成されることを特徴とする。
【0046】
第1、第2シーリング部70a、70bはスリーブ13の潤滑に用いられる流体の漏出を防止するためのものであり、本実施例によるモーター100は連続的に形成された第1シーリング部70a及び第2シーリング部70bを備える。特に、本実施例による第1シーリング部70aと第2シーリング部70bは、スリーブ13の傾斜面に沿って一直線(図2のC)上に形成されることを特徴とする。
【0047】
第1シーリング部70aはローター周壁48とスリーブ13の傾斜部13aの間の空間に形成される。即ち、ローターケース44から下方に垂直に突出されたローター周壁48と、スリーブ13の傾斜面によって形成される空間によって第1シーリング部70aが形成される。このように、第1シーリング部70aは、スリーブ13の傾斜部13aによって下方に行くほどローター周壁48とスリーブ13の外周面との間隔が次第に広がる形状からなる。これによって、流体移動路75を通じて漏出された流体が第1シーリング部70aに到逹すると、第1シーリング部70aの拡張された間隔によって流体の界面が形成され、流体をシーリング(またはテーパシーリング)することができるようになる。
【0048】
第2シーリング部70bはカバー50とスリーブ13の傾斜部13aの間の空間に形成される。即ち、ローター周壁48を延長してローター周壁48に締結されるカバー50と、スリーブ13の傾斜部13aによって形成される空間によって第2シーリング部70bが形成される。第1シーリング部70aと同様に、第2シーリング部70bはスリーブ13の傾斜面によって下方に行くほどカバー50とスリーブ13の外周面との間隔が次第に広がる形状からなる。これによって、第1シーリング部70aから漏出された流体が第2シーリング部70bに到逹すると、第2シーリング部70bの拡張された間隔によって流体の界面が形成され、流体をシーリング(またはテーパシーリング)することができるようになる。
【0049】
以上のように構成される本実施例によるモーター100において、流体移動路75を通じて漏出された流体をシーリングする方法を説明すると次の通りである。
【0050】
流体が漏出されると、漏出された流体は一次的に第1シーリング部70aに流入される。そして、第1シーリング部70aに流入された流体は第1シーリング部70aで界面(図2のL1)を形成するようになり、これによって漏出された流体はシーリングされる。
【0051】
また、第1シーリング部70aに流体の界面(L1)が形成された状態で、外部から衝撃が加えられたり、スリーブ13内の流体がさらに漏出される場合、流体は第1シーリング部70aから再び漏出される可能性がある。第1シーリング部70aから漏出された流体は第2シーリング部70bに流入される。そして、第2シーリング部70bに流入された流体は第2シーリング部70bで界面(図2のL2)を形成するようになり、これによって漏出された流体は再びシーリングされる。
【0052】
また、本実施例によるモーター100は、流体が漏出されてシーリング部70a、70bに位置しても、ローター40が回転することによって作用される遠心力により、流体はスリーブ13の傾斜部13aに沿って再び流体移動路75に吸い込まれるようになる。
【0053】
このように、本実施例によるモーター100は、一直線上に連続的に配置された第1シーリング部70a及び第2シーリング部70bを通じて二重に流体をシーリングするため、流体がスリーブ13の外部に漏出されることをより効果的に抑制することができる。
【0054】
このように構成される本発明によるモーター100のシーリング部70a、70bは多様な形態で構成されることができる。
【0055】
以下で説明する実施例によるシーリング部と、これを備えるモーターは上述の実施例のモーター(図1の100)と類似の構造で構成され、シーリング部の形態においてのみ差異を有する。従って、同一の構成要素に対する詳細な説明は省略し、シーリング部を中心により詳細に説明する。
【0056】
図3は本発明の他の実施例によるモーターを概略的に図示した断面図である。
【0057】
本実施例によるモーター200は、スリーブ113の外周面とカバー150の形状において上述の実施例のモーター(図1の100)と差異を有する。
【0058】
本実施例によるスリーブ113は、傾斜部(図1の13a)の外周面に第1シーリング溝171aと第2シーリング溝171bが形成される。第1シーリング溝171aと第2シーリング溝171bは、夫々第1シーリング部170aと第2シーリング部170bを形成する空間を確保するために形成される溝であり、夫々スリーブ113の外周面に沿って連続的に形成される。
【0059】
このような第1シーリング溝171aと第2シーリング溝171bは、軸方向の下部に行くほど溝の深さが深く形成される。これによって、第1シーリング部170aと第2シーリング部170bは下部に行くほどより広い空間が形成され、このような空間は第1シーリング部170aや第2シーリング部170bに流入された流体が貯蔵される空間として用いられる。
【0060】
一方、本実施例によるシーリング部170a、170bは、シーリング部170a、170b内に流入された流体の流動を抑制するための少なくとも一つの拡張溝172が形成されることができる。図3の場合、スリーブ113の第1シーリング溝171aと第2シーリング溝171bに夫々拡張溝172が形成された場合を図示している。
【0061】
本実施例による拡張溝172はスリーブ113の外周面に沿って連続的に形成される。このように拡張溝172が形成された場合、拡張溝172によってシーリング部170a、170bの間隔が急激に拡張される。これによって、シーリング部170a、170bに流入された流体は、より広い界面が形成されるため流動され難くなり、これによって流体がシーリング部170a、170bの下部に漏出されることを最小化することができる。
【0062】
一方、本実施例の場合、拡張溝172がスリーブ113の外周面、即ち、第1シーリング溝171aと第2シーリング溝171bに形成される場合を例として説明した。しかし、これに限定されず、第1シーリング部170aと第2シーリング部170bの内部であればどの位置にも形成されることができる。
【0063】
また、本実施例では拡張溝172がスリーブ113の外周面に沿って連続的に形成される場合を例として説明したが、不連続的に多数個が多様な位置に形成されるなど、多様な応用が可能である。
【0064】
本実施例によるカバー150は円形のリング形状であり、上述の実施例のように外部面が角張った形状で形成されず、曲面で形成される。特に、スリーブ113と対向する面は円弧状で形成される。これによって、本実施例によるカバー150は、円弧状で形成された部分のうちもっとも突出された部分がスリーブ113の外周面ともっとも隣接して位置されるようにローター周壁148に付着される。この際、カバー150はスリーブ113の第1シーリング溝171aと第2シーリング溝171bの間に位置する外周面と隣接するように配置され、これによって第2シーリング部170bが形成される。一方、上述の実施例と同様に、本実施例によるカバー150も透明な材質からなることが好ましい。
【0065】
以上のように構成される本実施例によるモーター200は、スリーブ113に形成される第1シーリング溝171aと第2シーリング溝171bを用いるため、第1シーリング部170aや第2シーリング部170bがより広い空間を備えることができて、シーリング効果を高めることができる。
【0066】
図4は本発明のまた他の実施例によるモーターを概略的に図示した断面図である。
【0067】
本実施例によるモーター300のスリーブ213は図2に図示されたスリーブ113と同一に形成されて、ローター周壁248とカバー250が形成する内周面に第1シーリング溝271aと第2シーリング溝271bが形成されることを特徴とする。上述の図3の場合と同様に、第1シーリング溝271aと第2シーリング溝271bは、夫々第1シーリング部270aと第2シーリング部270bを形成する空間を確保するために形成される溝であり、ローター周壁248とカバー250の内周面に沿って連続的に形成される。
【0068】
このような第1シーリング溝271aと第2シーリング溝271bは、軸方向の下部に行くほど溝の深さが深く形成される。これによって、第1シーリング部270aと第2シーリング部270bは、下部に行くほどより広い空間が形成され、このような空間は第1シーリング部270aや第2シーリング部270bに流入された流体が貯蔵される空間として用いられる。
【0069】
以上のように構成される本実施例によるモーター300は、ローター周壁248とカバー250に形成される第1シーリング溝271aと第2シーリング溝271bを用いるため、図3の場合と同様に、第1シーリング部270aや第2シーリング部270bがより広い空間を備えることができて、シーリング効果を高めることができる。
【0070】
一方、本発明によるモーター300は上述の実施例に限定されず、多様な応用が可能である。例えば、第1シーリング溝をスリーブに、そして第2シーリング溝はカバーに形成したり、その反対に形成することも可能である。即ち、第1シーリング部はスリーブの傾斜部またはローター周壁のうち何れか一つの部分に第1シーリング溝を形成することによって構成されることができて、第2シーリング部はスリーブの傾斜部またはカバーのうち何れか一つの部分に第2シーリング溝を形成することによって構成されることができる。また、第1シーリング溝をローター周壁とスリーブの両側に全て形成したり、第2シーリング溝をカバーとスリーブの両側に全て形成することも可能である。
【0071】
図5は本発明の実施例によるモーターが装着された記録ディスク駆動装置を図示した概略斜視図である。
【0072】
図5を参照すると、本発明の実施例による記録ディスク駆動装置1はハードディスク駆動装置であり、モーター100、ヘッド移送部6及びハウジング3を含む。
【0073】
モーター100は以上で説明した本発明によるモーター100、200、300のうち何れか一つであることができて、記録ディスク2を搭載する。
【0074】
ヘッド移送部6は、前記モーター100に搭載された記録ディスク2の情報を検出するヘッド4を、検出しようとする記録ディスク2の面に移送させる。ヘッド4は前記ヘッド移送部6の支持部5上に配置される。
【0075】
ハウジング3は、モーター100とヘッド移送部6を収容する内部空間を形成するために、モーター搭載プレート8と前記モーター搭載プレート8の上部を遮蔽するトップカバー7を含むことができる。
【0076】
以上のような本発明によるモーター及び記録ディスク駆動装置は、上述の実施例に限定されず、本発明の技術的思想内にて当分野の通常の知識を有する者によって多様な変形が可能である。
【0077】
例えば、上述の実施例では二つのシーリング部を形成して用いる場合を例として説明した。しかし、これに限定されず、三つ以上形成することも可能であり、一直線上に形成することができれば、多様な形態と多様な個数で形成されることができる。
【0078】
また、本実施例ではローター周壁とカバーに夫々一つのシーリング部が形成される場合を例として説明したが、これに限定されず、ローター周壁にのみ二つのシーリング部を形成したり、カバーにのみ二つのシーリング部を形成するなど、多様な応用が可能である。
【0079】
また、本実施例では記録ディスク駆動装置(例えば、ハードディスクドライブ)に備えられるモーターを例として説明したが、この他にも流体動圧を用いる軸受を備えるモーターであれば、多様に適用されることができる。
【符号の説明】
【0080】
1 記録ディスク駆動装置
100、200、300 モーター
10 軸受アセンブリー
11 シャフト
13 スリーブ
13a 傾斜部
14 ベース
15 スリーブ支持部
16 プレート部
17 安着部
30 ステーター
32 コア
38 巻線コイル
40 ローター
42 マグネット
44 ローターケース
48、148、248 ローター周壁
50、150、250 カバー
60 回路基板
70a、170a、270a 第1シーリング部
70b、170b、270b 第2シーリング部
75 流体移動路
171a、271a 第1シーリング溝
171b、271b 第2シーリング溝
172 拡張溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト;
前記シャフトが内部で回転可能になるように前記シャフトを支持する円筒状のスリーブ;
前記シャフトの上端部に締結されて、一面に前記スリーブの一部分を収容するように円筒状のローター周壁が突出されて形成されるローターケース;及び
前記ローター周壁の端に締結されて前記ローター周壁を延長するカバー;
を含んで、
前記ローター周壁と前記カバーが形成する内周面と、前記スリーブの外周面の間には前記スリーブの潤滑に用いられる流体の漏出を防止する少なくとも二つのシーリング部が形成されることを特徴とするモーター。
【請求項2】
前記少なくとも二つのシーリング部は一直線上に形成されることを特徴とする請求項1に記載のモーター。
【請求項3】
前記ローター周壁に収容される前記スリーブは、
軸方向の上部に外径が拡大される形状で形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のモーター。
【請求項4】
前記少なくとも二つのシーリング部は、
前記ローター周壁と前記スリーブの間の空間に形成される第1シーリング部;及び
前記カバーと前記スリーブの間の空間に形成される第2シーリング部;
を含むことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のモーター。
【請求項5】
前記第1シーリング部は、
前記スリーブまたは前記ローター周壁のうち何れか一つの部分に形成されている第1シーリング溝によって形成される空間であることを特徴とする請求項4に記載のモーター。
【請求項6】
前記第2シーリング部は、
前記スリーブの傾斜部または前記カバーのうち何れか一つの部分に形成されている第2シーリング溝によって形成される空間であることを特徴とする請求項4または5に記載のモーター。
【請求項7】
前記第1シーリング溝は、
下部に行くほど溝の深さが深く形成されることを特徴とする請求項5に記載のモーター。
【請求項8】
前記第2シーリング溝は、
下部に行くほど溝の深さが深く形成されることを特徴とする請求項6に記載のモーター。
【請求項9】
前記少なくとも二つのシーリング部は、
前記スリーブの外周面または前記ローター周壁と前記カバーが形成する内周面のうち少なくとも何れか一つの部分に前記少なくとも二つのシーリング部の間隔を確張する少なくとも一つの拡張溝が形成されることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載のモーター。
【請求項10】
前記カバーは、
透明な材質からなることを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載のモーター。
【請求項11】
請求項1から10のうち何れか一つに記載のモーター;
前記モーターに搭載される記録ディスクの情報を検出するヘッドを前記記録ディスクに移送するヘッド移送部;及び
前記モーターとヘッド移送部を収容するハウジング;を含む記録ディスク駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−5339(P2012−5339A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249012(P2010−249012)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】