説明

モータ

【課題】内部の圧力を均一にして安定性を高めることができ、高いシール(seal)効果を持つモータを提供する。
【解決手段】本発明のモータは、固定部材と、固定部材と結合して仮想の回転軸を中心として回転する回転部材と、回転部材を支持するように回転部材に結合または取り付けられるプレートと、プレートとの間に所定の空間が形成されるようにプレートの少なくとも一部をカバーするキャップと、及びプレートとキャップとの間の空間に介在される流体と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ(Motor)に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、スピンドルモータ(Spindle motor)は、プロジェクションTV、ホームシアター装備、コンピュータ用ドライブなど精密回転装置を必要とする電子製品に広く使用されている。スピンドルモータは、サイズが小さく、高速回転が可能であり、精密制御が容易く、消費電力が少ないという点など、長所が多いので今後その使用が増大される見込みである。
【0003】
しかし、従来のベアリング構造を有するスピンドルモータの場合、ベアリングを含浸させるオイルが外部に流出されてその機能を低下させる要因として作用する。オイルが流出されると、高速回転機能に問題が発生することになり、高温状態での摩擦により摩耗が生じる。このような状態が持続されると、スピンドルモータの寿命が減少し、騷音と振動が増加して使用上の不便をもたらすだけでなく、スピンドルモータを装着した電子製品の全体動作に異常機能をもたらすことになる。
【0004】
よって、オイルの流出の防止、すなわち、シール(Seal)性能を改善する必要性が提起されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、突起とプレートの平面との間に流体ベアリングの漏洩を防止するラジアルシール(radial seal)を形成し、スリーブに連通孔を形成することにより高い安全性と高いシール(Seal)効果を持つモータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、固定部材と、固定部材と結合されて仮想の回転軸を中心として回転する回転部材と、回転部材を支持するように、回転部材に結合または取り付けられるプレートと、プレートの間にベアリング空間が形成されるようにプレートの少なくとも一部をカバーするキャップと、及びベアリング空間に介在されるキャップベアリングとを含むモータが提供される。
【0007】
固定部材と回転部材の一側面をカバーするベースカバーが追加で結合されることができ、ベースカバーは加圧により固定部材または回転部材に接するように弾性変形される材質からなることが好ましい。
【0008】
固定部材は貫通ホールが形成されたスリーブであり、回転部材は貫通ホールに挿入されるシャフト、またはシャフトを含む結合体であってもよく、プレートはシャフトの断面に相応する第1ホールを備え、シャフトが第1ホールに挿入されるようにシャフトと結合されてスリーブの一側面に取り付けられるドーナツ形状であってもよい。
【0009】
キャップは、プレートの外周面及び平面をカバーする方がよく、プレートの平面をカバーする部分にプレートを向いて突出される突起が形成されることがよい。
【0010】
ベアリング空間を区画するキャップの内周面は、凹状の曲面を含む方がよい。
【0011】
一方、キャップに形成される突起は凸状の曲面であり、突起とキャップの内周面とは曲面で繋がる方がよく、突起とプレートの平面との間にはキャップベアリングの漏洩を防止するラジアルシール(radial seal)が形成されることがよい。
【0012】
スリーブには、プレート及びキャップが取り付けられるスリーブの一側面が陥入、または突出されるようにするステップトエッジ(stepped edge)を形成して、締結を堅固にすることができる。
【0013】
一方、プレートとスリーブとの間の隙間には、キャップベアリングに繋がる第1スラスト(thrust)ベアリングが介在されてもよく、スリーブとシャフトとの間の隙間には、第1スラストベアリングに繋がるラジアル(radial)ベアリングが介在され、スリーブとベースカバーとの間の隙間にはラジアルベアリングに繋がる第2スラスト(thrust)ベアリングが介在されてもよい。
【0014】
第1スラストベアリングと第2スラストベアリングとは連通孔により繋がる方がよく、連通孔は上記スリーブを貫通して形成されてもよい。
【0015】
しかし、スリーブは貫通ホールが形成された内部スリーブと、内部スリーブを収容するように内部スリーブの外周面に結合される外部スリーブとに分けられ、内部スリーブと外部スリーブとの間の隙間に連通孔が形成されてもよい。
【0016】
この場合、連通孔は外部スリーブに形成され、外部スリーブの内周面に長さ方向で形成される溝形状であることが好ましい。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば、固定部材と、固定部材と結合されて仮想の回転軸を中心として回転する回転部材と、回転部材を支持するように回転部材に結合、または取り付けられるプレートと、回転部材と固定部材の一側面をカバーするベースカバーと、プレートの少なくとも一部をカバーするキャップと、を含み、キャップとプレートとの間に、プレートと固定部材との間に、固定部材と回転部材との間に、回転部材とベースカバーとの間に繋がる空間に連続的に充填される流体を含むことを特徴とするモータが提供される。
【0018】
固定部材は貫通ホールが形成されたスリーブを含み、回転部材は貫通ホールに挿入されるシャフトを含むし、プレートはシャフトの断面に相応する第1ホールを備え、シャフトが第1ホールに挿入されるようにシャフトと結合されてスリーブの一側面に取り付けられるドーナツ形状であってもよい。
【0019】
一方、キャップはプレートの外周面及び平面をカバーする形状であってもよく、キャップがプレートの平面をカバーする部分にプレートを向いて突出される突起が形成されてもよい。また、キャップの内周面には凹状の曲面が形成されてもよい。
【0020】
突起とプレートの平面との間には、流体の漏洩を防止するラジアルシール(radial seal)が形成されてもよい。
【0021】
上述したことの以外の異なる側面、特徴、利点が以下の図面、特許請求の範囲を含む発明の詳細な説明により明確になるだろう。
【発明の効果】
【0022】
本発明の好ましい実施例によるモータは、突起とプレートの平面との間に流体ベアリングの漏洩を防止するラジアルシール(radial seal)を形成し、スリーブに連通孔を形成することにより高い安全性と高いシール(Seal)効果を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明によるモータの好ましい実施例を添付図面を参照して詳しく説明するが、添付図面を参照して説明することにおいて、同一であるか対応する構成要素は等しい図面番号を付与し、これに対する重複される説明は略する。
【0024】
一般的にモータは、回転部材と、回転部材の回転運動を支持する固定部材と、及び回転部材と固定部材との間に介在されるベアリングと、を基本として含む。例えば、回転部材としては、シャフト及びシャフトに結合されて共に回転するハブ、プレートなどの結合体があり、固定部材としては、シャフトを取り囲むスリーブなどがある。
【0025】
しかし、回転部材と固定部材とは、構成要素自体により決定されるものではなく、設計により行われる機能に応じて決定されるものである。すなわち、シャフトが固定され、シャフトを取り囲むスリーブが回転する場合もあり、この場合にはシャフトが固定部材となり、スリーブが回転部材となる。
【0026】
以下で説明する本発明の複数の実施例では、固定部材としてスリーブを、回転部材としてシャフト及びこれに結合されるプレートとハブとを提示し、これを基準として説明する。
【0027】
図1は、本発明の好ましい第1実施例によるモータの構造を示す断面図であり、図2は、図1の「A」部分を拡大した拡大断面図であり、図3は、図2の「B」部分を拡大した拡大断面図である。図1ないし図3を参照すると、シャフト10、ベースカバー20、スリーブ30、連通孔37、貫通ホール39、キャップ40、突起41、プレート50、ハブ60、キャップベアリング73、ラジアルシール(radial seal)75、永久磁石91、ベース95、マグネット97、電磁石部99が示されている。
【0028】
シャフト10は、回転運動の中心軸であって、追後説明するハブ60と結合されてハブ60と一体で回転することができ、以下で説明するスリーブ30の貫通ホール39に挿入される。
【0029】
スリーブ30は、シャフト10の外周面をカバーしてシャフト10の回転運動を 安定的に維持させる手段である。スリーブ30の内部には、シャフト10が挿入できるように貫通ホール39が形成されており、シャフト10が貫通ホール39に挿入されカバーされることにより、回転運動時にスリーブ30により支持されることができる。スリーブ30とシャフト10との間の隙間には、以下で説明するラジアル(radial)ベアリングが介在される。
【0030】
ラジアルベアリング74は、流体ベアリングであって、スリーブ30とシャフト10との間の隙間に介在され、シャフト10が回転運動時にシャフト10を支持してシャフト10の回転運動を安定的に維持することができる。ラジアルベアリング74は、シャフト10とスリーブ30との間の隙間にオイル(oil)を注入することで形成することができる。一方、本実施例ではラジアルベアリング74としてオイル(oil)を提示したが、設計上の必要により多様に変更することができる。
【0031】
一方、ラジアルベアリングの作動効率を高めるために、図7に示すように、シャフトの表面に動圧溝12が形成されてもよい。動圧溝12により、モータの作動時にラジアルベアリングをなす流体の流れを所定方向に誘導できるようになり、このような流体の流れにより流体圧、すなわち、動圧をより効率的に提供することができる。
【0032】
このような動圧溝12は、エッチングのような化学的方法を用いて形成してもよく、レーザ加工などのような物理的方法を用いて形成してもよい。また、動圧溝はヘリングボーン(herringbone)の形状、またはスパイラル(spiral)形状に形成されてもよい。
【0033】
本実施例では、動圧溝12がシャフトの表面に形成される場合を提示したが、動圧溝を、シャフトと対向するスリーブの内壁に形成してもよく、動圧溝の模様と大きさ及び個数などは必要により多様に変更して適用することができる。
【0034】
ベースカバー20は、シャフト10の他側で貫通ホール39をカバーできる手段であって、スリーブ30の一側面に結合され、ベースカバー20が結合されるスリーブ30の一側面の形状に相応する形状からなることができる。
【0035】
一方、ベースカバー20は弾性変形される材質を含んで形成される。これにより、本実施例によるモータを組み立てる過程において、ベースカバー20に支持荷重をかけて、シャフト10がスリーブ30の貫通ホール39に容易くて精密に挿入されるようにすることができる。ベースカバー20とスリーブ30との間の隙間には、以下で説明する第2スラスト(thrust)ベアリングが介在されることができる。
【0036】
第2スラスト(thrust)ベアリングは、流体ベアリングであって、ベースカバー20とスリーブ30との間の隙間に介在され、シャフト10を軸方向に支持し、シャフト10の円滑な回転運動を維持できるようにする。
【0037】
第2スラスト(thrust)ベアリングは、スリーブ30とベースカバー20との間の隙間にオイル(oil)を注入することにより形成することができ、上述したラジアルベアリング74に繋がる。すなわち、スリーブ30とベースカバー20との間の隙間と、スリーブ30とシャフト10との間の隙間とは、互いに連通されて、それぞれに注入されるオイルは自由に流動し循環できるようになる。一方、本実施例では第2スラストベアリング72としてオイルを提示したが、設計上の必要により多様に変更することができる。
【0038】
一方、第2スラストベアリングの作動効率を高めるために、ベースカバーと対向するスリーブの内壁、またはベースカバーの表面に動圧溝(図示せず)が形成されてもよい。動圧溝(図示せず)により、モータを作動する際に第2スラストベアリングの流体の流れを所定方向に誘導することができ、このような流体の流れにより流体圧、すなわち、動圧をより効率的に提供できるようになる。このような動圧溝の形成方法及びその形状は前の説明と類似であるため、これに対する説明は略する。
【0039】
プレート50は、中央にシャフト10の断面に相応する第1ホールを備えるドーナツ形状であってもよい。第1ホールにはシャフト10が挿入され結合されるし、プレート50の一側面はスリーブ30の一側面に取り付けられる。
【0040】
プレート50は、シャフト10とは別に製造されてシャフト10に結合されてもよいし、製造時からシャフト10と一体に形成されてもよく、シャフト10の回転運動時にシャフト10と共に回転運動することになる。プレート50とスリーブ30との間の隙間には、以下で説明する第1スラスト(thrust)ベアリングが介在されてもよい。
【0041】
第1スラスト(thrust)ベアリングは、流体ベアリングであって、プレート50とスリーブ30との間の隙間に介在されてもよく、プレート50を支持し、プレート50の回転運動時プレート50とスリーブ30との間の摩擦を減らすことができ、安定的な運動を維持できるようにする。
【0042】
一方、第1スラストベアリングの作動効率を高めるために、プレートと対向するスリーブの上面またはプレートの下面に動圧溝(図示せず)が形成されてもよい。動圧溝(図示せず)により、モータの作動時第1スラストベアリングの流体の流れを所定方向に誘導することができ、このような流体の流れにより流体圧、すなわち、動圧をより効率的に提供できるようになる。このような動圧溝の形成方法及びその形状は、前の説明と類似であるのでこれに対する説明は略する。
【0043】
第1スラスト(thrust)ベアリングは、プレート50とスリーブ30との間の隙間にオイル(oil)を注入することにより形成できるし、上述したラジアルベアリング74に繋がる。すなわち、プレート50とスリーブ30との間の隙間と、スリーブ30とシャフト10との間の隙間とは互いに連通され、それぞれに注入されるオイルは自由に流動して循環できるようになる。これにより、第1スラストベアリング71とラジアルベアリング74及び第2スラストベアリング72は、すべて繋れることができる。一方、本実施例では、第1スラストベアリング71としてオイルを提示したが、設計上の必要により多様に変更することができる。
【0044】
キャップ40は、プレート50の外周縁部45との間にベアリング空間が形成されるようにプレート50の外周面及び一側面をカバーしながら、スリーブ30の一側面に取り付けられる。ここで、プレート50の外周縁部とは、プレート50の一側面の外周部と外周面とを含むプレート50の角部分を意味し、図3の参照番号45により明確に確認できる。
【0045】
キャップ40は、キャップが取り付けられるスリーブ30の一側面の形状に相応する形状を有する。これに対する具体的な例は、後にスリーブ30の一側面の形状を説明しながら並行することにする。
【0046】
一方、キャップのプレート50の一側面をカバーする部分には、プレート50を向いて突出される突起41が形成されてもよい。突起41が形成されることによりキャップ40とプレート50の一側面との間の隙間は、プレート50の直径方向に所定位置で最小となり、最小となる地点を基準として上記隙間が再び増加する形状を有する。
【0047】
突起41により、キャップ40とプレート50の一側面との間の隙間が最小となる地点を形成することができ、これにより、後に説明するキャップベアリング73をなす流体の漏洩を減少することができるし、また流体の流れも制御できるようになる。キャップベアリング73をなす流体の流れに対しては、後で具体的に説明する。
【0048】
また、突起41は凸状の曲面で形成され、ベアリング空間を区画するキャップの内周面に曲面で繋がる。突起41を凸状の曲面で緩く形成することにより、以下で説明するキャップベアリング73をなす流体の流動を円滑にすることができるようになり、究極的にモータの回転運動を安定的に維持することができる。
【0049】
一方、プレート50の外周縁部45とキャップにより区画されるベアリング空間にはキャップベアリング73が介在される。
【0050】
キャップベアリング73は、流体ベアリングであって、ベアリング空間にオイル(oil)を注入して形成することができ、上述した第1スラストベアリング71に繋がる。すなわち、プレート50とスリーブ30との間と、ベアリング空間とは互いに連通され、それぞれに注入されるオイルは自由に流動して循環できるようになる。これにより、第1スラストベアリング71とラジアルベアリング74、第2スラストベアリング72及びキャップベアリング73は、すべて繋がることになる。一方、本実施例ではキャップベアリング73のものとしてオイルを提示したが、設計上の必要により多様に変更することができる。
【0051】
キャップベアリング73は、プレート50の外周面と一側面とを支持し、プレート50の回転運動を安定的に維持することができる。このようなキャップベアリングの機能に対して以下でより具体的に説明する。
【0052】
モータが作動すると、第1スラストベアリング71によりプレート50に動圧が提供され、これによりプレート50は浮上する。このようなプレートの浮上は、モータの作動を不安定にする要因となり得る。
【0053】
このように、プレートが浮上する場合、キャップ40により形成されるベアリング空間に存在する流体(本実施例の場合オイル)の一部は、キャップの凹状の曲面によりプレートより相対的に上側に位置することができ、これによりプレートの浮上を阻止する方向に圧力を供給できるようになる。すなわち、キャップにより形成されるベアリング空間に存在する流体により、プレートは支持されることができる。これにより、プレートは回転運動を安定的に維持できるようになる。
【0054】
このようにキャップ40により形成されるベアリング空間に存在する流体は、プレート50を支持するベアリングとしての機能をすることもできる。しかし、これだけでなく、第1スラストベアリング71をなす流体が蒸発などにより消失される場合、これを補充して供給することができる流体貯蔵所としての機能もすることができる。
【0055】
一方、突起41とプレート50の平面との間には、キャップベアリング73をなすオイルの漏洩を防止するためにラジアルシール(radial seal)75が形成される。ラジアルシール75は、突起41とプレート50の平面との間に形成されてキャップベアリング73をなすオイルの漏洩を防止する栓の役目をする。本実施例によれば、オイルと異なる物質で形成されるものではなく、上述したキャップの形状に応じて毛細管現象及び表面張力を用いることによりオイルの漏洩を防止することができる。
【0056】
ハブ60は、シャフト10の一側に結合され、シャフト10の軸と垂直する方向に延長されて形成されてもよい。ハブ60は、永久磁石91と電磁石部99とを含む動力発生手段から動力の伝達を受けて回転運動をすることができ、ハブ60の回転運動によりシャフト10も回転運動をすることができる。
【0057】
図1の実施例では、動力発生手段としてハブ60と結合された永久磁石91及び永久磁石91に隣接して形成された電磁石部99を提示したが、動力発生手段を構成する構成要素及び各構成要素の結合位置は、設計上の必要により多様に変更することができる。
【0058】
一方、ハブ60の外周面には、必要により多様な回転体が結合されてもよい。例えば、LSU(Laser Scanning Unit)である場合には回転多面鏡が結合されてもよく、ハードディスクドライブである場合にはディスクが結合されてもよい。
【0059】
さらに、図1を参照すると、ハブの端部に結合された永久磁石91に隣接してマグネット97が結合される。この時、マグネット97はハブ60に結合された永久磁石91と互いに引力が発生するように着磁される。これを通して、ハブ60はプレート50に圧力をかけることができるようになり、モータが安定的に作動することができる。このようなモータの作動に対しては、後で具体的に説明する。
【0060】
スリーブ30は、上述したようにシャフト10の外周面をカバーしてシャフト10の安定的な回転運動を維持することができる手段である。スリーブ30の内部にはシャフト10が挿入できるように貫通ホール39が形成され、シャフト10が貫通ホール39に挿入されてカバーされることにより回転運動時スリーブ30によりその外周面が支持される。
【0061】
一方、スリーブ30には、プレート50及びキャップが取り付けられる一側面が突出されるようにステップトエッジ(stepped edge)31が形成されてもよく、または、プレート50及びキャップが取り付けられる一側面が陥入されるようにステップトエッジ(stepped edge)32が形成されてもよい。このようなスリーブ30の一側面の形状に相応するようにキャップが形成されてもよい。
【0062】
図3を参照すると、プレート50及びキャップが取り付けられるスリーブ30の一側面が突出されるようにステップトエッジ31が形成されていることを確認できる。このようなスリーブ30の形状に相応してキャップはプレート50の外周面部及びステップトエッジをすべてカバーする形状で形成されている。これにより、スリーブ30とプレート50及びキャップの結合を容易に行うことができ、かつ堅固に結合されることができる。
【0063】
別の実施例として、図6を参照すると、プレート50及びキャップが取り付けられるスリーブの一側面が陥入されるようにステップトエッジ32が形成されたことを確認できる。このようなスリーブの形状に相応して、キャップ40'はプレート50の外周面部をカバーし、キャップ40'の外周面はステップトエッジ32によりカバーされる形状で形成されている。これにより、スリーブ30とプレート50及びキャップ40'の結合を容易に行うことができ、かつ堅固な結合が可能となる。
【0064】
スリーブ30の所定位置には、第1スラストベアリング71と第2スラストベアリング72とを連結する連通孔37が形成される。連通孔37を通して第1スラストベアリング71をなすオイルと第2スラストベアリング72をなすオイルが円滑に循環できるので、モータ内部の各流体ベアリングに発生する圧力を均一化することができ、かつ内部に存在する気泡などを、循環により排出しやすいラジアルシール75部位に移動させることもできる。図6の点線矢印は、気泡の移動方向を示す。これによりモータの安定性を向上させることができる。
【0065】
別の実施例として、図4を参照すると、スリーブ30は貫通ホール39が形成された内部スリーブ33と、内部スリーブを収容するように内部スリーブの外周面に結合される外部スリーブ34とを含み、内部スリーブ33と外部スリーブ34との間の隙間に連通孔37aが形成されたモータが示されている。
【0066】
内部スリーブ33の材質または構造的特性のため、加工により貫通ホール39を形成しにくい場合、内部スリーブ33及び、内部スリーブを収容するように内部スリーブの外周面に結合される外部スリーブ34が形成されるようにし、内部スリーブ33と外部スリーブ34との間の隙間に連通孔37aが形成されるようにする。このような構造を通しても上述したような、連通孔37を形成して得られる効果を示すことができる。
【0067】
さらに別の実施例として、図5を参照すると、外部スリーブ34に連通孔37bを形成し、外部スリーブ34の内周面に長さ方向で溝を形成することにより連通孔37bを形成したモータを提供することができる。外部スリーブ34の内周面に溝を形成して内部スリーブ33と結合することだけでも連通孔37bを形成することができるので、連通孔37bの形成工程を単純化することができる。溝の形状及び形成位置は、設計上の必要により多様に変更することができる。
【0068】
この他にも、外部スリーブ34を貫通する連通孔を形成することができる。
【0069】
一方、上記したように、キャップ40とプレート50との間のベアリング空間に介在する流体と、プレート50とスリーブ30との間の第1スラストベアリング71をなす流体と、シャフト10とスリーブ30との間のラジアルベアリング74をなす流体と、シャフト10とベースカバー20との間の第2スラストベアリング72をなす流体とは互いに繋がる。互いに繋がって循環できるようになり、圧力を均一化する効果などを示すことができる。
【0070】
これをより効率的に行うために、キャップ40とプレート50との間と、プレート50とスリーブ30との間と、シャフト10とスリーブ30との間と、シャフト10とベースカバー20との間とに繋がる空間に流体を連続的に充填することができる。すなわち、流体が注入されることができる空間に流体を持続的に充填する(full fill)ことにより、流体間の循環が円滑に行われるようにし、流体による圧力が均一に維持されることができる。
【0071】
次に、本実施例によるモータの作動に対して説明する。
【0072】
図3の(a)は、本実施例によるモータの停止時キャップベアリング73を示す断面図であり、(b)は本実施例によるモータの作動時キャップベアリング73を示す断面図である。
【0073】
本実施例によるモータが作動すると、60、シャフト10及びプレート50は回転運動をする。この時、プレート50は浮上し、これによりプレート50とスリーブ30との間の隙間が大きくなり、キャップベアリング73のオイルの一部がプレート50とスリーブ30との間の隙間に引っ張られて入ることになる。
【0074】
これにより、ラジアルシール75もプレート50の外周縁方向に移動することになり、これはオイルの漏洩を防止するシール(Seal)効果が向上される結果に繋がる。
【0075】
この場合、回転運動による遠心力が、さらにオイルにかけられて、シール(seal)効果はさらに向上されることができる。
【0076】
一方、キャップの凹状の曲面に移動したオイルは、重力によりプレートの浮上を阻止する方向に加圧することとなる。これにより、プレートの浮上のため発生し得る不安定な作動を防止することができる。
【0077】
また、ハブの端部に結合された永久磁石と、永久磁石に隣接して介在されたマグネット97との間の引力により、プレートの浮上を抑制することができる。これにより、プレートの浮上のため発生し得る不安定な作動をさらに防止することができる。
【0078】
上記の実施形態の記載から明らかなように、本発明により下記モータが提供される。
固定部材と、固定部材と結合され、仮想の回転軸を中心として回転する回転部材と、回転部材を支持するように、回転部材に結合または取り付けられるプレートと、プレートとの間に所定空間が形成されるようにプレートの少なくとも一部をカバーするキャップと、プレートとキャップとの間の空間に介在される流体とを含むモータ。
【0079】
また、上記モータにおいて、回転部材は、プレートの少なくとも一部に対して、仮想の回転軸の方向に当接するハブを含んでもよい。これにより、プレート浮上を防止する場合に、ハブおよびプレートを介して、回転部材をベースカバーに向かって効率よく押し付けることができる。
【0080】
上述した実施例の以外に、多くの実施例が本発明の請求の範囲内に存在する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の好ましい第1実施例によるモータの構造を示す断面図である。
【図2】図1の「A」部分を拡大した拡大断面図である。
【図3】図2の「B」部分を拡大した拡大断面図である。
【図4】本発明の好ましい第2実施例によるモータの構造を示す断面図である。
【図5】本発明の好ましい第3実施例によるモータの連通孔を示す斜視図である。
【図6】本発明の好ましい第4実施例によるモータの構造を示す断面図である。
【図7】動圧溝が形成された本発明の第1実施例によるモータを示す断面図である。
【符号の説明】
【0082】
10 シャフト
12 動圧溝
20 ベースカバー
30 スリーブ
37 連通孔
40 キャップ
50 プレート
60 ハブ
71 第1スラストベアリング
72 第2スラストベアリング
73 キャップベアリング
74 ラジアルベアリング
75 ラジアルシール(radial seal)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材と、
前記固定部材と結合され、仮想の回転軸を中心として回転する回転部材と、
前記回転部材を支持するように、前記回転部材に結合または取り付けられるプレートと、
前記プレートとの間に所定空間が形成されるように前記プレートの少なくとも一部をカバーするキャップと、
前記プレートと前記キャップとの間の空間に介在される流体と
を含むモータ。
【請求項2】
前記固定部材は、貫通ホールが形成されたスリーブを含み、
前記回転部材は、前記貫通ホールに挿入されるシャフトを含み、
前記プレートは、前記シャフトの断面に相応する第1ホールを備え、前記シャフトが前記第1ホールに挿入されるように前記シャフトと結合されて前記スリーブの一側面に取り付けられるドーナツ形状であることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記キャップは、前記プレートの外周面及び平面をカバーすることを特徴とする請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記キャップは、前記プレートの平面をカバーする部分に前記プレートを向いて突出される突起を含むことを特徴とする請求項3に記載のモータ。
【請求項5】
前記キャップの内周面は、凹状の曲面を含むことを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項6】
前記突起は凸状の曲面であり、前記突起と前記キャップの内周面とは曲面で繋がることを特徴とする請求項4に記載のモータ。
【請求項7】
前記突起と前記プレートの平面との間には前記流体の漏洩を防止するラジアルシール(radial seal)が形成されることを特徴とする請求項4に記載のモータ。
【請求項8】
前記固定部材と前記回転部材の一側面とをカバーするベースカバーをさらに含む請求項1に記載のモータ。
【請求項9】
前記ベースカバーは、加圧により前記固定部材または前記回転部材に接するように弾性変形される材質を含むことを特徴とする請求項8に記載のモータ。
【請求項10】
前記スリーブは、前記プレート及び前記キャップが取り付けられる前記スリーブの一側面が陥入されるようにするステップトエッジ(stepped edge)を含むことを特徴とする請求項3に記載のモータ。
【請求項11】
前記スリーブは、前記プレート及び前記キャップが取り付けられる前記スリーブの一側面が突出されるようにするステップトエッジ(stepped edge)を含むことを特徴とする請求項3に記載のモータ。
【請求項12】
前記プレートと前記スリーブとの間の隙間には第1スラスト(thrust)ベアリングが介在され、前記第1スラストベアリングはキャップベアリングに繋がることを特徴とする請求項12に記載のモータ。
【請求項13】
前記スリーブと前記シャフトの他側面をカバーするベースカバーをさらに含み、
前記スリーブと前記シャフトとの間の隙間には前記第1スラストベアリングに繋がるラジアル(radial)ベアリングが介在され、前記スリーブと前記ベースカバーとの間の隙間には前記ラジアルベアリングに繋がる第2スラスト(thrust)ベアリングが介在されることを特徴とする請求項12に記載のモータ。
【請求項14】
前記第1スラストベアリングと前記第2スラストベアリングとを連結する連通孔をさらに含む請求項13に記載のモータ。
【請求項15】
前記連通孔は、前記スリーブを貫通して形成されることを特徴とする請求項14に記載のモータ。
【請求項16】
前記スリーブは、前記貫通ホールが形成された内部スリーブと、前記内部スリーブを収容するように前記内部スリーブの外周面に結合される外部スリーブとを含み、
前記連通孔は、前記内部スリーブと前記外部スリーブとの間の隙間に形成されることを特徴とする請求項14に記載のモータ。
【請求項17】
前記スリーブは、前記貫通ホールが形成された内部スリーブと、前記内部スリーブを収容するように前記内部スリーブの外周面に結合される外部スリーブとを含み、
前記連通孔は、前記外部スリーブに形成されることを特徴とする請求項14に記載のモータ。
【請求項18】
前記連通孔は、前記外部スリーブの内周面に長さ方向に形成される溝を含むことを特徴とする請求項17に記載のモータ。
【請求項19】
固定部材と、
前記固定部材と結合され仮想の回転軸を中心として回転する回転部材と、
前記回転部材を支持するように、前記回転部材に結合または取り付けられるプレートと、
前記回転部材と前記固定部材の一側面とをカバーするベースカバーと、
前記プレートの少なくとも一部をカバーするキャップとを含み、
前記キャップと前記プレートとの間と、前記プレートと前記固定部材との間と、前記固定部材と前記回転部材との間と、前記回転部材と前記ベースカバーとの間と、に繋がる空間に連続的に充填される流体をさらに含むことを特徴とするモータ。
【請求項20】
前記固定部材は、貫通ホールが形成されたスリーブを含み、
前記回転部材は、前記貫通ホールに挿入されるシャフトを含み、
前記プレートは、前記シャフトの断面に相応する第1ホールを備え、前記シャフトが前記第1ホールに挿入されるように前記シャフトと結合されて前記スリーブの一側面に取り付けられるドーナツ形状であることを特徴とする請求項19に記載のモータ。
【請求項21】
前記キャップは、前記プレートの外周面及び平面をカバーすることを特徴とする請求項20に記載のモータ。
【請求項22】
前記キャップは、前記プレートの平面をカバーする部分に前記プレートを向いて突出される突起を含むことを特徴とする請求項21に記載のモータ。
【請求項23】
前記キャップの内周面は、凹状の曲面を含むことを特徴とする請求項20に記載のモータ。
【請求項24】
前記突起と前記プレートの平面との間には、前記流体の漏洩を防止するラジアルシール(radial seal)が形成されることを特徴とする請求項22に記載のモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−226955(P2010−226955A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151404(P2010−151404)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【分割の表示】特願2007−205713(P2007−205713)の分割
【原出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】