説明

ラインフィルタ、ラインフィルタを搭載したスイッチング電源及び画像形成装置

【課題】 スイッチング部からの熱を放熱する放熱部の影響によるノイズを低減し、且つ、Xコンデンサの電荷を放電する放電抵抗による消費電力を低減する。
【解決手段】 スイッチング部の放熱部とトランスの入力側を接続して、前記放熱部に流れる電流をスイッチング手段に還流する第1の電流経路を形成し、整流部と前記トランスとの間のライン間に接続されたコンデンサと、トランスの出力側と、コンデンサを接続した第2の電流経路を形成したラインフィルタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用交流電源から入力される交流電圧を整流し、変換するコンバータに設けられるノイズフィルタとしてのラインフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のラインフィルタは、図4に示すように、商用交流電源に対して挿抜される電源プラグ1と入力された交流電圧を整流する整流部3との間に、第1のノイズフィルタ25と、整流部3とトランス7の間に、第2のノイズフィルタ26を有し、更に、電源プラグ1と整流部3との間に抵抗31を有している(特許文献1参照。)。第1のノイズフィルタ25は、第1のチョークコイル27と第1のXコンデンサ(アクロス・ザ・ライン・コンデンサ)28とアース(グランドともいう)に接続された第1のYコンデンサ(ライン・バイパス・コンデンサ)29、30で構成されている。また、第2のノイズフィルタ26は、第2のチョークコイル32と第2のXコンデンサ33とアースに接続された第2のYコンデンサ34、35で構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平5−2008号公報(第4−5頁、第2図、第6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例では、トランスを駆動するスイッチング部8が動作した際に発生する熱を放熱する放熱部の影響が考慮されていなかった為、以下のような第1の課題が有った。
【0005】
スイッチング部8が動作した際に、スイッチング部8と放熱部が電気的に結合して放熱部とアース2間の浮遊容量を通して電流が流れ、その電流に起因するコモンモードノイズが発生していた。従来例では、この放熱部によってもたらさせるコモンモードノイズに対する対策が考慮されておらず、スイッチング部8が動作した際に発生する熱を放熱する放熱部を有している構成に対しては、追加のノイズ低減策が必要となる。
【0006】
また、上記従来例では、商用交流電源と整流部3(整流ブリッジ3ともいう)との間の抵抗31で、電源供給に寄与しない電力を消費してしまうという第2の課題が有った。この抵抗31は、商用交流電源に挿抜される電源プラグ1の出力ライン間に接続された第1のXコンデンサ28に蓄積されたエネルギー(電荷)を放電して、電源プラグ1が抜かれた際に、ユーザが電源プラグ1の端子に触っても安全な状態にするための放電抵抗である。これは国際安全規格によりEMI(Electromagnetic Interference)フィルタの静電容量が閾値(典型的には、0.1μF)を超える場合、電源の入力端子の両端の電圧をある電源プラグが抜かれてから特定期間内に安全な値まで低減すべきことを規定している。その為、スイッチング部8が動作した際に発生する熱を放熱する放熱部を有する構成に対しては、ノイズフィルタの強化や新たなノイズフィルタの追加によって、電源プラグ1の出力ライン間の容量が増加し、抵抗31の値を大きくする必要があった。その結果、電源供給に寄与しない電力消費(放電抵抗によるもの)が増加してしまった。これは、特にスイッチング部が動作しない状態における消費電力の低減に影響する。
【0007】
上記課題に鑑み、本明の目的は、スイッチング部8が動作によって発生する熱を放熱する放熱部を有する構成において、十分にノイズ低減が可能なラインフィルタを提供することである。また、電源プラグの出力ライン間に接続されたXコンデンサの電荷を放電する放電抵抗に係わる電力消費を低減したラインフィルタを供給することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明のラインフィルタは、交流電圧を整流する整流部と、前記整流部によって整流された電圧を変換して出力するためのトランスと、前記トランスを駆動するスイッチング部と、前記スイッチング部が動作した際に発生する熱を放熱する放熱部を有するスイッチング電源のラインフィルタであって、前記整流部と前記トランスが接続される電圧供給ラインの間に接続された容量素子を有し、前記トランスと前記容量素子との間において、ノイズ電流を流す電流経路を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明のスイッチング電源は、交流電圧を整流する整流部と、前記整流部によって整流された電圧を変換して出力するトランスと、前記トランスを駆動するスイッチング部と、前記トランスから出力される電圧を整流及び平滑して出力する電圧出力部と、前記スイッチング部が動作した際に発生する熱を放熱する放熱部と、前記整流部と前記トランスが接続される電圧供給ラインの間に接続された容量素子と、を有し、前記トランスと前記容量素子との間において、ノイズ電流を流す電流経路を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の画像形成装置は、前記画像形成装置の動作を制御する制御部と、前記制御部に電力を供給するスイッチング電源と、を有し、前記スイッチング電源は、交流電圧を整流する整流部と、前記整流部によって整流された電圧を変換して出力するトランスと、前記トランスを駆動するスイッチング部と、前記トランスから出力される電圧を整流及び平滑して出力する電圧出力部と、前記スイッチング部が動作した際に発生する熱を放熱する放熱部と、前記整流部と前記トランスが接続される電圧供給ラインの間に接続された容量素子と、を有し、前記トランスと前記容量素子との間において、ノイズ電流を流す電流経路を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、スイッチング部の動作によって発生した熱を放熱する放熱部の影響によるノイズを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1におけるラインフィルタの構成を示す図である。
【図2】実施例2におけるラインフィルタの構成を示す図である。
【図3】実施例3におけるラインフィルタの構成を示す図である。
【図4】従来例におけるラインフィルタの構成を示す図である。
【図5】本発明のラインフィルタを搭載したスイッチング電源の適用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、上述した課題を解決するための本発明の具体的な構成について、以下の実施例に基づいて説明する。なお、以下に示す実施例は一例であって、この発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0014】
図1は実施例1のラインフィルタの特徴を示す図である。なお、図1(a)〜(b)に記載された回路は、商用交流電源から入力された交流電圧を整流平滑してトランスに供給し、トランスの1次側をスイッチング部により駆動することによってトランスの2次側に電圧を発生させて2次側に発生した電圧を整流及び平滑して出力するスイッチング電源(ACDCコンバータともいう)の回路である。
【0015】
図1(a)において、1は商用交流電源に挿去される電源プラグ、2は電源プラグ1のアース端子(グランド端子ともいう)に接続されたアース、3は入力される交流電圧を整流する整流部である。4は電源プラグ1と整流部3の間のライン間に接続された第3のコンデンサ、5は整流部3(整流ブリッジ3ともいう)の整流出力ライン間に接続された第4のコンデンサであり、整流部3の直後のライン間に接続されている。6は整流部3から出力された整流電圧を平滑化する第1の平滑コンデンサ、7は第1の平滑コンデンサ6を介して入力された電圧を変換して出力するトランスである。8はトランス7に接続されたスイッチング部、9はスイッチング部8が動作した際に発生する熱を放熱する放熱部である。本実施例では、スイッチング部8としてFETを用いている。また、放熱部9は放熱パターンを設けた構成としている。10はトランス7の出力電圧を整流する整流ダイオード、11は整流ダイオードの出力を平滑化する第2の平滑コンデンサである。12は第1の電流経路であり、放熱部9を流れる電流をスイッチング部8に還流する経路である。13は第4のコンデンサ5とトランス7の間のラインの陽極側に一端を接続した第1のコンデンサ。14は第4のコンデンサ5とトランス7の間のラインの陰極側に一端を接続した第2のコンデンサ。15は第2の電流経路であり、トランス7の出力電流を第1のコンデンサ13と第2のコンデンサ14を介してスイッチング部8に還流する経路である。16は第1のコイルであり、第3のコンデンサと第1のコンデンサ13及び第2のコンデンサ14の間を流れるコモンモード電流18を抑制する。17は第2のコイルであり、トランス7と出力間を流れるコモンモード電流19を抑制する。なお、本実施例では、第1の電流経路と第2の電流経路の二つの電流経路を設けたが、何れか一つを形成する構成であれば、ノイズ電流の低減する効果を得ることができる。
【0016】
次に、図1(b)を用いて本実施例のラインフィルタの動作を説明する。図1(b)において、スイッチング部8の動作に伴って発生した熱を放熱する放熱部9を流れる電流Ihc0は、浮遊容量で結合したアース2とは別に設けた第1の電流経路12を通じてスイッチング部8に還流する。また、スイッチング部8の動作に伴って発生したトランス7の出力側に流れる電流Itc0は、第2の電流経路15及び第1のコンデンサ13、第2のコンデンサ14を通じてスイッチング部8に還流する。ここでは、第1、第2のコンデンサ13、14の両方を通じてスイッチング部8に還流する説明を行ったが、13と14どちらか一方のコンデンサを設けた構成であっても、コンデンサが接続されている経路を通じてスイッチング部8に還流することができる。更に、第1のコイル16よりコモンモード電流18を抑制することで、スイッチング部8の動作に伴って発生したコモンモード電流18が商用交流電源側に流れ出ることを抑制する。また、第2のコイル17によりコモンモード電流19を抑制することで、スイッチング部8の動作に伴って発生したコモンモード電流19が出力側に流れ出ることを抑制する。
【0017】
更に、図1(c)を用いてコモンモード電流の経路を説明する。図1(c)は図1(a)を簡略化し、商用交流電源側の接続を示した図である。第1のコンデンサ4と第2のコンデンサ5はノーマルモードノイズ対策のための回路であるため不図示とし、図1(a)の6〜15の構成要件を四端子回路網36に簡略化した。電源プラグ1が接続される商用交流電源側は、アースと電源ライン間が容量Cs1及びCs2とで結合している。37はアースとライン間を流れるコモンモード電流である。図1(a)、(b)においては、コモンモード電流18とコモンモード電流19を別物として説明したが、実際には、コモンモード電流37と同一である。その為、図1(b)では第1のコイル16と第2のコイル17の2つのコイルで説明を行ったが、どちらか一方のコイルが有れば同様の効果を得ることができる。ここで、図中では第1のコイルとしてコモンモードチョークコイルを、第2のコイルとしてノーマルコイルを一例として挙げているが、コモンモード電流を抑制できるコイルで有ればよく、これに限定されることはない。また、図中では第1のコンデンサ13、第2のコンデンサ14が第1のコイル16と第1の平滑コンデンサ6との間に有るが、第16のコイルとトランス7の間に有ればよく、この構成に限定されるものではない。
【0018】
また、第1(a)図を用いて整流部3周辺のノイズフィルタの説明をする。整流部3が交流電圧を整流している期間内の、更に整流部3の入力側から出力側へ順方向電流が流れる期間においては、第4のコンデンサ5は第3のコンデンサ4と同様のノイズフィルタとして機能する。整流部3の出力側から入力側へ逆方向電流が流れる期間においては、第3のコンデンサ4のみがノイズフィルタとして機能する。ここで、整流部3の出力側から入力側へ逆方向電流が流れるのは、整流部3のリカバリ特性(整流ダイオードのリカバリ特性)による回復電流が主な要因である。第3のコンデンサ4は、逆方向電流に含まれるノイズ成分をバイパスできる容量に設定し、順方向電流に含まれるノイズ成分をフィルタする為の容量を主に第4のコンデンサ5の容量で賄うように設定する。以上のように、電源プラグ1と整流部3の間のライン間の第3のコンデンサ4の容量を小さくして、電源プラグが抜かれた際に、コンデンサ4に蓄積された電荷を放電する放電抵抗を別途設けずに、電源プラグ端子に触っても安全な状態にすることができる。ここでは、第3のコンデンサ4を含めた電源プラグ1と整流部3の間のライン間の静電容量を、国際安全規格に基づき0.1μF以下に設定している。その為に電源プラグ1と整流部3の間のライン間の静電容量を放電する放電抵抗を設ける必要がないので、電源プラグ出力ライン間に接続されたコンデンサに係わる電源供給に寄与しない電力消費を低減することができる。例えば、従来例において第1のXコンデンサ28が1.0uFで有った場合、第3のコンデンサ4を0.1uF、第4のコンデンサ5を0.9uFに設定していた。更に、従来例の第1のXコンデンサ28の最適値が10.1uFの場合、これまで消費電力を考慮してそれより小さい値を設定する必要が有ったが、本実施例では、第3のコンデンサ4を0.1uF、第4のコンデンサ5を10.0uFに設定を行うこともできる。これは、本実施例の構成において、第4コンデンサ5が、整流部3により、電源プラグ1が抜かれた時には電源プラグ出力ライン間に接続されたコンデンサと分離されているためである。
【0019】
以上、説明したように、本実施例によれば、スイッチング部の動作に伴って発生する熱を放熱する放熱部の影響によるノイズを抑制できる。また、Xコンデンサの電荷を放電するための放電部としての放電抵抗を無くすことができるので消費電力を低減することができる。
【実施例2】
【0020】
図2は、実施例2のラインフィルタを示しており、実施例1に変更を加えた回路構成である。以下、実施例2のラインフィルタについて、実施例1と異なる部分を説明する。実施例2のラインフィルタは、図2に示すように、整流部3と第4のコンデンサ5の間にコモンモード電流を抑制するコイルとしてコモンモードチョークコイル20を接続した回路構成である。
【0021】
この回路構成によれば、スイッチング部8の動作に伴って発生したコモンモード電流を抑制する特性を強化することができる。これにより、抑制すべき周波数のコモンモード電流に対して最適化したノイズフィルタを構成することができる。つまり、本実施例では、コモンモード電流を抑制するコイルとしてコモンモードチョークコイルを適用する例で説明したが、コモンモード電流を抑制できるコイルで有ればよく、これに限定されることはない。
【0022】
また、コモンモード電流を抑制するコイルとしてコモンモードチョークコイル20を使用した場合、コモンモードチョークコイル20は結合係数が限りなく1(最大値)に近いが、例えば0.99の場合、0.01分はノーマルモードコイルとしても機能する。つまり、第1のコモンモードチョークコイル20と第1のコイル16に結合係数が1より小さいコモンモードチョークコイルを使用することによって、第1のコモンモードチョークコイル20と第2のコンデンサ5と第1のコイル16をノーマルモードのT型LCフィルタとして、部品点数を増やすことなく機能させることができる。ノーマルモードのフィルタとしての機能とコモンモードのフィルタとしての機能を両立するための結合係数は、適宜、抑制したい電流に応じて設定すればよい。
【0023】
以上説明したように、本実施例においても、スイッチング部の動作に伴って発生する熱を放熱する放熱部の影響によるノイズを抑制できる。また、Xコンデンサの電荷を放電するための放熱部としての放電抵抗を無くすことができるので消費電力を低減することができる。また、コモンモード電流を抑制する機能を強化してコモンモードノイズをできる。
【実施例3】
【0024】
図3には、実施例3のラインフィルタを示しており、実施例1に変更を加えた回路構成である。以下、実施例3のラインフィルタついて実施例1と異なる部分を説明する。実施例3では、図3に示すように、電源プラグ1と整流部3の間にノイズフィルタを追加した構成としている。
【0025】
図3(a)においては、電源プラグ1と整流部3の間に直列接続した第5のコンデンサ21及び第6のコンデンサ22を接続した回路構成としている。ここで、第5のコンデンサ21と第6のコンデンサ22の接続部はアース2に接続している。この回路構成によれば、整流部3とアース2間の浮遊容量によるコモンモード電流の影響が大きい場合に、第5のコンデンサ21と第6のコンデンサ22によりコモンモード電流をアース2にバイパスすることができるで、商用交流電源側にコモンモード電流が流れ出ることを抑制することができる。
【0026】
図3(b)においては、図3(a)に対して、更に、電源プラグ1と第5のコンデンサ21及び第6のコンデンサ22の間にコモンモード電流を抑制するコイルとしてコモンモードチョークコイル23を接続した回路構成としている。この構成によれば、第2のコモンモードチョークコイル23によりコモンモード電流を抑制することで、図3(a)よりもコモンモード電流を商用交流電源側に流れ出ることを抑制することができる。ここでは、コモンモード電流を抑制するコイルとしてコモンモードチョークコイルを用いて説明したが、コモンモード電流を抑制できるコイルで有ればよく、これに限定されることはない。
【0027】
図3(c)においては、図3(b)に対して、更に、コモンモード電流を抑制するコイルとしてのコモンモードチョークコイル23と第3のコンデンサ4の間にノーマルモードチョークコイル24を接続した構成としている。この構成によれば、ノーマルモードチョークコイル24によりラインのインピーダンスが高くなり、その結果、第3のコンデンサ4のノーマルモード電流に対するバイパス性能が向上する。その結果、図3(b)よりもノーマルモード電流を商用交流電源側に流れ出ることを抑制することができる。
【0028】
以上説明したように、本実施例においても、スイッチング部の動作に伴って発生する熱を放熱する放熱部の影響によるノイズを抑制できる。また、Xコンデンサの電荷を放電するための放電部としての放電抵抗を無くすことができるので消費電力を低減することができる。更に、コモンモード電流を抑制するための回路を追加してコモンモードノイズを抑制することができる。更に、ノーマルモード電流を抑制するための回路を追加してノーマルモードノイズを抑制することができる。
【0029】
[本発明のラインフィルタを搭載したスイッチング電源の適用例]
上記のラインフィルタを搭載したスイッチング電源を、例えばプリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置における低電圧電源として適用することができる。画像形成装置における制御部としてのコントローラへの電力供給のための電源として適用可能である。
【0030】
図5(a)に画像形成装置の一例であるレーザビームプリンタの概略構成を示す。レーザビームプリンタ200は、画像形成部210として潜像が形成される像担持体としての感光ドラム211、感光ドラムに形成された潜像をトナーで現像する現像部212を備えている。そして感光ドラム211に現像されたトナー像をカセット216から供給された記録材としてのシート(不図示)に転写して、シートに転写したトナー像を定着器214で定着してトレイ215に排出する。また、図5(b)に画像形成装置の制御部としてのコントローラへのスイッチング電源からの電力供給ラインを示す。上記のラインフィルタを搭載したスイッチング電源は、画像形成装置の画像形成動作を制御するCPU310を有するコントローラ300、または、駆動部としてのモータ312,313に電力を供給する低電圧電源として適用できる。図15(b)に示すように電力を供給する対象が複数ある場合はスイッチング電源からの電圧を変換するDCDCコンバータ312を設けてコントローラ300に供給する構成にすればよい。
【0031】
そして、画像形成装置が動作する場合には、スイッチング部の動作に伴って発生する熱を放熱する放熱部によるノイズの影響を抑制できる。また、画像形成装置が動作をして場合(省電力状態)、コントローラからの指示に応じて装置が省電力状態に移行する際に、スイッチング電源の出力電圧を小さくして軽負荷状態に遷移する。このような軽負荷状態において上記のようなラインフィルタを搭載したスイッチング電源であれば、放電抵抗がないので消費電力を更に低減することができる。なお、適用対象としては、画像形成装置に限らず他の電子機器の低電圧電源としても適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 電源プラグ
2 アース
3 整流部(整流ブリッジ)
4 第3のコンデンサ
5 第4のコンデンサ
6 第1の平滑コンデンサ
7 トランス
8 スイッチング部
9 放熱部(放熱パターン)
10 整流ダイオード
11 第2の平滑コンデンサ
12 第1の電流経路
13 第1のコンデンサ
14 第2のコンデンサ
15 第2の電流経路
16 第1のコイル
17 第2のコイル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧を整流する整流部と、前記整流部によって整流された電圧を変換して出力するためのトランスと、前記トランスを駆動するスイッチング部と、前記スイッチング部が動作した際に発生する熱を放熱する放熱部を有するスイッチング電源のラインフィルタであって、
前記整流部と前記トランスが接続される電圧供給ラインの間に接続された容量素子を有し、
前記トランスと前記容量素子との間において、ノイズ電流を流す電流経路を有することを特徴とするラインフィルタ。
【請求項2】
前記電流経路は、前記放熱部と前記トランスの一次側を接続する第一ラインであることを特徴とする請求項1のラインフィルタ。
【請求項3】
前記電流経路は、前記容量素子と前記トランスの二次側を接続する第二ラインであることを特徴とする請求項1または2に記載のラインフィルタ。
【請求項4】
第一ラインは、前記放熱部と前記トランスの一次側の電源供給ラインのグランド側のラインに接続されることを特徴とする請求項2に記載のラインフィルタ。
【請求項5】
第二ラインは、前記容量素子と前記トランスの二次側の電源供給ラインのグランド側のラインに接続されることを特徴とする請求項3に記載のラインフィルタ。
【請求項6】
前記電圧供給ラインの間に二つの前記容量素子を直列接続しており、
前記整流部に対して前記交流電圧が入力される側の電圧供給ラインの間に接続された第三容量素子と、前記整流部と前記直列接続された二つの容量素子の間に接続された第四容量素子を有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載のラインフィルタ。
【請求項7】
前記第三容量素子の容量は、前記第四容量素子の容量より小さいことを特徴とする請求項6に記載のラインフィルタ。
【請求項8】
前記第四容量素子と前記前記直列接続された二つの容量素子の間に接続されたチョークコイルを有することを特徴とする請求項6に記載のラインフィルタ。
【請求項9】
前記整流部に対して前記交流電圧が入力される側の電圧供給ラインの間に直列に接続された二つの容量素子及びチョークコイルを有することを特徴とする請求項6に記載のラインフィルタ。
【請求項10】
交流電圧を整流する整流部と、
前記整流部によって整流された電圧を変換して出力するトランスと、
前記トランスを駆動するスイッチング部と、
前記トランスから出力される電圧を整流及び平滑して出力する電圧出力部と、
前記スイッチング部が動作した際に発生する熱を放熱する放熱部と、
前記整流部と前記トランスが接続される電圧供給ラインの間に接続された容量素子と、を有し、
前記トランスと前記容量素子との間において、ノイズ電流を流す電流経路を有することを特徴とするスイッチング電源。
【請求項11】
前記電流経路は、前記放熱部と前記トランスの一次側を接続する第一ラインであることを特徴とする請求項10に記載のスイッチング電源。
【請求項12】
前記電流経路は、前記容量素子と前記トランスの二次側を接続する第二ラインであることを特徴とする請求項10又は11に記載のスイッチング電源。
【請求項13】
前記画像形成装置の動作を制御する制御部と、
前記制御部に電力を供給するスイッチング電源と、を有し
前記スイッチング電源は、交流電圧を整流する整流部と、前記整流部によって整流された電圧を変換して出力するトランスと、前記トランスを駆動するスイッチング部と、前記トランスから出力される電圧を整流及び平滑して出力する電圧出力部と、前記スイッチング部が動作した際に発生する熱を放熱する放熱部と、前記整流部と前記トランスが接続される電圧供給ラインの間に接続された容量素子と、を有し、前記トランスと前記容量素子との間において、ノイズ電流を流す電流経路を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
前記電流経路は、前記放熱部と前記トランスの一次側を接続する第一ラインであることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記電流経路は、前記容量素子と前記トランスの二次側を接続する第二ラインであることを特徴とする請求項13または14に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−66373(P2013−66373A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−159516(P2012−159516)
【出願日】平成24年7月18日(2012.7.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】