説明

ラジカル重合性基を含有するアルコキシアミン

本発明は、エチレン性で不飽和のラジカル重合性基を含有する新規なアルコキシアミン開始剤/調節剤に関する。化合物は、複雑なポリマー構造を調製するのに有用である。本発明の更なる態様は、重合性組成物、並びにアルコキシアミン開始剤/調節剤を含む重合法、前記重合法により得られる高分子開始剤及び高分子開始剤によって重合する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン性で不飽和のラジカル重合性基を含有する新規なアルコキシアミン開始剤/調節剤に関する。化合物は、複雑なポリマー構造を調製するのに有用である。本発明の更なる態様は、重合性組成物、並びにアルコキシアミン開始剤/調節剤を含む重合法、前記重合法により得られる高分子開始剤及び高分子開始剤によって重合する方法である。
【0002】
ニトロキシド仲介フリーラジカル重合(NMP)は、過去数年の間に徹底した学術的及び産業的な研究の対象となってきた。例えば、Hawker et al., J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 3831-3838 は、グラフトポリマーのナノスケールの特徴を設計する際の、ニトロキシド仲介フリーラジカル重合の使用を記載している。JP2003 268027は、ブロック又はグラフトコポリマーの調製に有用なポリマーアルコキシアミン開始剤を記載している。
【0003】
NMPの制御は、いわゆる休眠種を形成するため、成長するラジカルをニトロキシで可逆的にキャッピングすること(capping)による。この分野は、最近、Hawker CJ, Bosman AW, Harth E, Chem. Rev. 101: 3661(2001)によって論評されている。もともと広く使用され、容易に入手可能な2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジノキシル(TEMPO)は、スチレン及びその誘導体でほどよく作用するが、アクリレートのような他のモノマーの制御された重合用には不満足なものである。Marque S, Sobek J, Fischer H, Kramer A, Nesvadba P, Wunderlich W, Macromolecules 36:3440 (2003)で記載されたように、高度に立体障害されたピペラジノン、ピペリジン又は7員及び8員それぞれのジアゼパノンから誘導された、最近開発された環状ニトロキシド又は関連するアルコキシアミンによって、優れた結果が得られた。他の種類は、ジオキサチアゾカン、又はアゾパノン及びアゾカノンである。他方、例えばスチレン、アクリレートアクリルアミド、アクリロニトリル、1,3−ジエン又は無水マレイン酸のような広範囲なモノマーのNMPの成功は、N−t−ブチル−1−ジエチルホスホノ−2,2−ジメチルプロピルニトロキシド、N−t−ブチル−イソプロピルフェニルメチル−ニトロキシドのような開鎖状β−ヒドリドニトロキシド、及び関連するアルコキシアミンによって、並びに程度は低いがジ−t−ブチル−ニトロキシド(DTBN)によって達成された。
単純なホモポリマーを調製する他に、より複雑なポリマー構造の合成も非常に興味深い。数多くの例が記載されてきた。例えば、WO01/02345及びWO03/004471は、ポリアルキルピペリジン、ポリアルキルピペラジノン及びポリアルキルモルホリノンに基づく多官能アルコキシアミン、並びに例えば星形ポリマーのような複雑なポリマー構造の調製のためのそれらの使用を開示している。
【0004】
しかし、例えばスチレン、アクリル、メタクリル及びジエン型のモノマーのような広範囲なモノマーから出発する複雑なポリマー構造の調製に有用な、新規で容易に入手可能なアルコキシアミン開始剤の必要性が依然として存在する。本発明は、例えばアクリレート又はメタクリレート基を持つアルコキシアミンを提供する。これらの基の従来のラジカル重合又は共重合は、例えばブロック(コ)ポリマー、櫛形(コ)ポリマー、星形(コ)ポリマー、樹枝状(コ)ポリマー又は超分岐鎖状(コ)ポリマー(hyperbranched(co)polymer)のような複雑なポリマー構造を作製するために使用できる高分子開始剤の調製を可能にする。
【0005】
本発明の一つの態様は、式(I)、(II)又は(III):
【0006】
【化57】

【0007】
〔式中、Qは、下記式:
【0008】
【化58】

【0009】
であり、
ここで、
Rは、独立して、H又はC1〜C4アルキルであり;
Dは、O又はNR3であり;
式(I)において、m及びnは、独立して、0又は1の数であり、ここで両方のうちの少なくとも一方が1であり;
式(I)において、m=0であり、そしてn=1である場合、
Xは、下記式:
【0010】
【化59】

【0011】
であり、
ここで、
*は、基が酸素原子に結合している場所を示し;
Aは、O又はNR3であり;
1は、O又はNR3基で中断されていてもよいC1〜C25アルキレンか、O及び/又はNR3基を環に含有することができるC5〜C7シクロアルキレンか、これらは両方とも非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン、又は基−COO(C1〜C18アルキル)により置換されており、或はフェニレンであり;
追加的に−A−B1−は、直接結合であることができるか;或いは
Aが−O−であり、そしてDがNR3である場合、B1は直接結合であることができるか;又は
AがNR3であり、そしてDがO又はNR3である場合、B1は直接結合であることができ;
Eは、直接結合又は−C(O)−基であり;
1、R2及びR3は、独立して、H、非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン又は基−COO(C1〜C18アルキル)により置換されているC1〜C18アルキルか、非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン又は基−COO(C1〜C18アルキル)により置換されているC5〜C7シクロアルキルか、非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、C1〜C8アルキル、ハロゲン又は基−COO(C1〜C18アルキル)により置換されているフェニルであり;
基:
【0012】
【化60】

【0013】
は、下記式:
【0014】
【化61】

【0015】
であり、
ここで、
Aは、上記と同義であり;
AがOである場合、E1は−CH2−であり、
AがNR3である場合、E1は、−C(O)−、−CH2−又は直接結合であり;
4、R5、R6は、独立して、C1〜C18アルキル、C5〜C7シクロアルキル、C7〜C9フェニルアルキル又はフェニルであり;
7、R8は、独立して、H、C1〜C18アルキル、C5〜C7シクロアルキル、C7〜C9フェニルアルキル又はC1〜C18アシルであり;
Lは、直接結合、O又はNR7であり;
9、R10は、独立して、H又はC1〜C18アルコキシであり、
9がHである場合、R10は、追加的に、OH、−O−(C1〜C18)アシル、−NR3−(C1〜C18)アシル又はN(R32であるか;
或いは
9及びR10は、それらが結合しているC原子と一緒になって環状ケタール基:
【0016】
【化62】

【0017】
を形成し、ここで、kは、0、1又は2であり、そしてR15は、C1〜C18アルキル、−CH2−OH又は−CH2−O−(C1〜C18)アシルであるか;或いは
9及びR10は、一緒になって、基=O又は=N−A=R7を形成し;
11、R12、R13及びR14は、互いに独立して、C1〜C4アルキルであり;
式(I)において、m=1であり、そしてn=1である場合、
Xは、上記と同義であり;
基:
【0018】
【化63】

【0019】
は、下記式:
【0020】
【化64】

【0021】
であり、
ここで、
A及びBは、上記と同義であり;
式(I)において、m=1であり、そしてn=0である場合、
Xは、下記式:
【0022】
【化65】

【0023】
であり、
ここで、Aは、O、NR3又は直接結合であり、そしてE、R1及びR2は、上記と同義であり;
3は、Hか、O又はNR3基で中断されていてもよいC1〜C25アルキルか、O及び/又はNR3基を環に含有することができるC5〜C7シクロアルキルか、これらは両方とも非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン、又は基−COO(C1〜C18アルキル)若しくはC1〜C18アルコキシにより置換されており、或はフェニルであり;
基:
【0024】
【化66】

【0025】
は、下記式:
【0026】
【化67】

【0027】
であり、
ここで、
A及びBは、上記と同義であり;
式(II)において、
Xは、下記式:
【0028】
【化68】

【0029】
であり、
ここで、
*は、Xが酸素原子に結合している場所を示しそしてA、B1、E、R1及びR2は、上記と同義であり;
基:
【0030】
【化69】

【0031】
は、下記式:
【0032】
【化70】

【0033】
であり、
ここでAは、上記と同義であり;
1は、2〜18個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸から、芳香族ジカルボン酸から、又は脂肪族−芳香族ジカルボン酸から誘導される二価基であり;
式(III)において、
1は、下記式:
【0034】
【化71】

【0035】
の基であり、
ここで、B2は、直接結合か、O又はNR3基で中断されていてもよいC1〜C25アルキレンか、O及び/又はNR3基を環に含有することができるC5〜C7シクロアルキレンか、これらは両方とも非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン、又は基−COO(C1〜C18アルキル)により置換されており、或はフェニレンであり、ここでB2が直接結合の場合、一方のAはOであり、他方のAはNR3であり;
A、B1、R1及びR2は、上記と同義であり;そして
基:
【0036】
【化72】

【0037】
は、下記式:
【0038】
【化73】

【0039】
である〕で示される化合物である。
【0040】
1〜C18アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−エチルブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−メチルペンチル、1,3−ジメチルブチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、1,1,3−トリメチルヘキシル、1,1,3,3−テトラメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、1−メチルウンデシル、ドデシル、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル又はオクタデシルのような、分岐鎖状又は非分岐鎖状の基である。
【0041】
1〜C25アルキレンは、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、デカメチレン、ドデカメチレン、オクタデカメチレン又はエイコサメチレンのような、分岐鎖状又は非分岐鎖状の基である。C1〜C12アルキレン、特にC1〜C8アルキレンが好ましい。
【0042】
1〜C25アルキレンは、O又はNR3基で中断されていてもよく、例えば、−CH2−O−CH2−、−CH2−NH−CH2−、−CH2−N(CH3)−CH2−、−CH2−O−CH2CH2−O−CH2−、−CH2−(O−CH2CH2−)2O−CH2−、−CH2−(O−CH2CH2−)3O−CH2−又は−CH2−(O−CH2CH2−)4O−CH2−である。
【0043】
5〜C7シクロアルキレンは、2個の自由原子価と少なくとも1個の環単位を有する飽和炭化水素基であり、典型的には、シクロペンチレン、シクロへキシレン又はシクロヘプチレンである。シクロへキシレンが好ましい。
【0044】
O及び/又はNR3基を環に含有することができるC5〜C7シクロアルキレンは、例えば、下記式:
【0045】
【化74】

【0046】
の基である。
【0047】
炭素原子8個までを持つアルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ又はオクトキシのような、分岐鎖状又は非分岐鎖状の基である。
【0048】
ハロゲンは、典型的にはクロロ、ブロモ又はヨードである。クロロが好ましい。
【0049】
5〜C7シクロアルキルは、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルである。
【0050】
7〜C9フェニルアルキルは、非置換であってもよいか、又は1〜3個のC1〜C4アルキル基によりフェニル部分で置換されていてもよく、典型的には、ベンジル、α−メチルベンジル、α,α−ジメチルベンジル、2−フェニルエチル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジル、2,4−ジメチルベンジル、2,6−ジメチルベンジル又は4−tert−ブチルベンジルである。ベンジルが好ましい。
【0051】
1〜C18アシルは、例えば、ベンゾイル又はC1〜C18アルカノイルである。炭素原子18個までを持つアルカノイルは、分岐鎖状又は非分岐鎖状の基であり、典型的には、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル又はオクタデカノイルである。炭素原子2〜12個、例えば2〜6個のアルカノイルが好ましい。アセチルが特に好ましい。
【0052】
2〜18個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸から誘導される二価基は、例えば、シュウ酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、ピメリン酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、二量体酸(オレイン酸のような不飽和脂肪族ジカルボン酸の二量体化生成物)、アルキル化されたマロン及びコハク酸、例えばオクタデシルコハク酸から誘導される。
【0053】
2〜18個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸から誘導される二価基は、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、o−フタル酸、及び1,3−、1,4−、2,6−又は2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4′−ベンゾフェノンジカルボン酸、1,1,3−トリメチル−5−カルボキシル−3−(p−カルボキシルフェニル)インダン、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、ビス−p−(カルボキシルフェニル)メタン又はビス−p−(カルボキシルフェニル)エタンから誘導される。
【0054】
例えば、式(I)、(II)又は(III)の化合物において、
Qは、下記式:
【0055】
【化75】

【0056】
であり、
ここで、
Rは、独立して、H又はC1〜C4アルキルであり;
Dは、O又はNR3である。
【0057】
特定の実施態様において、化合物は、式(I)、(II)又は(III):
【0058】
【化76】

【0059】
〔式中、Qは、下記式:
【0060】
【化77】

【0061】
であり、
ここで、
Rは、独立して、H又はC1〜C4アルキルであり;
Dは、O又はNR3であり;
式(I)において、m及びnは、独立して、0又は1の数であり、ここで両方のうちの少なくとも一方が1であり;
式(I)において、m=0であり、そしてn=1である場合、
Xは、下記式:
【0062】
【化78】

【0063】
であり、
ここで、
*は、基が酸素原子に結合している場所を示し;
Aは、O又はNR3であり;
1は、O又はNR3基で中断されていてもよいC1〜C25アルキレンか、O及び/又はNR3基を環に含有することができるC5〜C7シクロアルキレンか、これらは両方とも非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン、又は基−COO(C1〜C18アルキル)により置換されており、或はフェニレンであり;
追加的に−A−B1−は、直接結合であることができるか;或いは
Aが−O−であり、そしてDがNR3である場合、B1は直接結合であることができるか;又は
AがNR3であり、そしてDがO又はNR3である場合、B1は直接結合であることができ;
Eは、直接結合又は−C(O)−基であり;
1、R2及びR3は、独立して、H、非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン又は基−COO(C1〜C18アルキル)により置換されているC1〜C18アルキルか、非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン又は基−COO(C1〜C18アルキル)により置換されているC5〜C7シクロアルキルか、非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、C1〜C8アルキル、ハロゲン又は基−COO(C1〜C18アルキル)により置換されているフェニルであり;
基:
【0064】
【化79】

【0065】
は、下記式:
【0066】
【化80】

【0067】
であり、
ここで、
Aは、上記と同義であり;
AがOである場合、E1は−CH2−であり、
AがNR3である場合、E1は、−C(O)−、−CH2−又は直接結合であり;
7は、H、C1〜C18アルキル、C5〜C7シクロアルキル、C7〜C9フェニルアルキル又はC1〜C18アシルであり;
9、R10は、独立して、H又はC1〜C18アルコキシであり、
9がHである場合、R10は、追加的に、OH、−O−(C1〜C18)アシル、−NR3−(C1〜C18)アシル又はN(R32であるか;
或いは
9及びR10は、それらが結合しているC原子と一緒になって環状ケタール基:
【0068】
【化81】

【0069】
を形成し、ここで、kは、0、1又は2であり、そしてR15は、C1〜C18アルキル、−CH2−OH又は−CH2−O−(C1〜C18)アシルであるか;或いは
9及びR10は、一緒になって、基=O又は=N−A=R7を形成し;
11、R12、R13及びR14は、互いに独立して、C1〜C4アルキルであり;
式(I)において、m=1であり、そしてn=1である場合、
Xは、上記と同義であり;
基:
【0070】
【化82】

【0071】
は、下記式:
【0072】
【化83】

【0073】
であり、
ここで、
A及びBは、上記と同義であり;
式(I)において、m=1であり、そしてn=0である場合、
Xは、下記式:
【0074】
【化84】

【0075】
であり、
ここで、Aは、O、NR3又は直接結合であり、そしてE、R1及びR2は、上記と同義であり;
3は、Hか、O又はNR3基で中断されていてもよいC1〜C25アルキルか、O及び/又はNR3基を環に含有することができるC5〜C7シクロアルキルか、これらは両方とも非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン、又は基−COO(C1〜C18アルキル)若しくはC1〜C18アルコキシにより置換されており、或はフェニルであり;
基:
【0076】
【化85】

【0077】
は、下記式:
【0078】
【化86】

【0079】
であり、
ここで、
A及びB1は、上記と同義であり;
式(II)において、
Xは、下記式:
【0080】
【化87】

【0081】
であり、
ここで、
*は、Xが酸素原子に結合している場所を示し、そしてA、B1、E、R1及びR2は、上記と同義であり;
基:
【0082】
【化88】

【0083】
は、下記式:
【0084】
【化89】

【0085】
であり、
ここでAは、上記と同義であり;
1は、2〜18個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸から、芳香族ジカルボン酸から、又は脂肪族−芳香族ジカルボン酸から誘導される二価基であり;
式(III)において、
1は、下記式:
【0086】
【化90】

【0087】
の基であり、
ここで、B2は、直接結合か、O又はNR3基で中断されていてもよいC1〜C25アルキレンか、O及び/又はNR3基を環に含有することができるC5〜C7シクロアルキレンか、これらは両方とも非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン、又は基−COO(C1〜C18アルキル)により置換されており、或はフェニレンであり、ここでB2が直接結合の場合、一方のAはOであり、他方のAはNR3であり;
A、B1、R1及びR2は、上記と同義であり;そして
基:
【0088】
【化91】

【0089】
は、下記式:
【0090】
【化92】

【0091】
である〕で示される化合物である。
【0092】
好ましくは、式(Ia):
【0093】
【化93】

【0094】
〔式中、
Qは、下記式:
【0095】
【化94】

【0096】
であり
ここでRは、独立して、H又はC1〜C4アルキルか;
Xは、下記式:
【0097】
【化95】

【0098】
であり、
ここで、
*は、Xが酸素原子に結合している場所を示し;
Aは、O又はNR3であり;
1は、O又はNR3基で中断されていてもよいC1〜C25アルキレンか、O及び/又はNR3基を環に含有することができるC5〜C7シクロアルキレンか、これらは両方とも非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン、又は基−COO(C1〜C18アルキル)により置換されており、或はフェニレンであり;
追加的に−A−B1−は、直接結合であることができるか;或いは
Aが−O−であり、そしてDがNR3である場合、B1は直接結合であることができるか;又は
AがNR3であり、そしてDがO又はNR3である場合、B1は直接結合であることができ;
Eは、直接結合であり;
1、R2は、H又はCH3であり;
3は、H、C1〜C18アルキル、C5〜C6シクロアルキル又はフェニルであり;
基:
【0099】
【化96】

【0100】
は、下記式:
【0101】
【化97】

【0102】
であり、
ここで、
Aは、上記と同義であり;
AがOである場合、E1は−CH2−であり、
AがNR3である場合、E1は、−C(O)−、−CH2−又は直接結合であり;
4、R5は、メチルであり;
7、R8は、独立して、H、C1〜C18アルキル、C5〜C7シクロアルキル、ベンジル又はC1〜C18アシルであり;
Lは、直接結合、O又はNR7であり;
9、R10は、独立して、H又はC1〜C18アルコキシであり、
9がHである場合、R10は、追加的に、OH、−O−(C1〜C18)アシル、−NR3−(C1〜C18)アシル又はN(R32であるか;
或いは
9及びR10は、それらが結合しているC原子と一緒になって環状ケタール基:
【0103】
【化98】

【0104】
を形成し、ここで、kは、0、1又は2であり、そしてR15は、C1〜C18アルキル、−CH2−OH又は−CH2−O−(C1〜C18)アシルであるか;或いは
9及びR10は、一緒になって、基=O又は=N−A=R7を形成し;
11、R12、R13及びR14は、互いに独立して、C1〜C4アルキルである〕
で示される化合物である。
【0105】
例えば、式(Ia):
【0106】
【化99】

【0107】
で示される化合物において、
Qは、下記式:
【0108】
【化100】

【0109】
であり、
ここでRは、H又はC1〜C4アルキルであり;
Xは、下記式:
【0110】
【化101】

【0111】
であり、
ここで、
*は、Xが酸素原子に結合している場所を示し;
Aは、O又はNR3であり;
1は、O又はNR3基で中断されていてもよいC1〜C25アルキレンか、O及び/又はNR3基を環に含有することができるC5〜C7シクロアルキレンか、これらは両方とも非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン、又は基−COO(C1〜C18アルキル)により置換されており、或はフェニレンであり;
追加的に−A−B1−は、直接結合であることができるか;或いは
Aが−O−であり、そしてDがNR3である場合、B1は直接結合であることができるか;又は
AがNR3であり、そしてDがO又はNR3である場合、B1は直接結合であることができ;
Eは、直接結合であり;
1、R2は、H又はCH3であり;
3は、H、C1〜C18アルキル、C5〜C6シクロアルキル又はフェニルであり;
基:
【0112】
【化102】

【0113】
は、下記式:
【0114】
【化103】

【0115】
であり、
ここで、
Aは、上記と同義であり;
AがOである場合、E1は−CH2−であり、
AがNR3である場合、E1は、−C(O)−、−CH2−又は直接結合であり;
7は、H、C1〜C18アルキル、C5〜C7シクロアルキル、ベンジル又はC1〜C18アシルであり;
9、R10は、独立して、H又はC1〜C18アルコキシであり、
9がHである場合、R10は、追加的に、OH、−O−(C1〜C18)アシル、−NR3−(C1〜C18)アシル又はN(R32であるか;
或いは
9及びR10は、それらが結合しているC原子と一緒になって環状ケタール基:
【0116】
【化104】

【0117】
を形成し、ここで、kは、0、1又は2であり、そしてR15は、C1〜C18アルキル、−CH2−OH又は−CH2−O−(C1〜C18)アシルであるか;或いは
9及びR10は、一緒になって、基=O又は=N−O=R7を形成し;
11、R12、R13及びR14は、互いに独立して、C1〜C4アルキルである。
【0118】
特に好ましいのは、式(Ia):
【0119】
【化105】

【0120】
〔式中、
Qは、下記式:
【0121】
【化106】

【0122】
であり;
Xは、下記式:
【0123】
【化107】

【0124】
であり、
ここで、
*は、Xが酸素原子に結合している場所を示し;
Aは、O又はNR3であり;
1は、C1〜C18アルキレン又はフェニレンであり;
1、R2は、H又はCH3であり;
3は、H、C1〜C4アルキル又はフェニルであり;
基:
【0125】
【化108】

【0126】
は、下記式:
【0127】
【化109】

【0128】
であり、
9、R10は、独立して、H又はC1〜C18アルコキシであるか、又は
9がHである場合、R10は、追加的に、OH、−O−(C1〜C18)アシル、−NR3−(C1〜C18)アシル又はN(R32であるか;
或いは
9及びR10は、それらが結合しているC原子と一緒になって環状ケタール基:
【0129】
【化110】

【0130】
を形成し、ここで、kは、0、1又は2であり、そしてR15は、C1〜C18アルキル、−CH2−OH又は−CH2−O−(C1〜C18)アシルであるか;或いは
9及びR10は、一緒になって、基=O又は=N−O=R7を形成する〕
で示される化合物である。
【0131】
特に好ましいものは、式(Ia):
【0132】
【化111】

【0133】
〔式中、
Qは、下記式:
【0134】
【化112】

【0135】
であり;
Xは、下記式:
【0136】
【化113】

【0137】
であり、
ここで、
*は、Xが酸素原子に結合している場所を示し;
Aは、O又はNR3であり;
1は、C1〜C4アルキレン又はフェニレンであり:
1、R2は、H又はCH3であり;
3は、H、C1〜C4アルキル又はフェニルであり;
基:
【0138】
【化114】

【0139】
は、下記式:
【0140】
【化115】

【0141】
である〕で示される化合物である。
【0142】
特定の個別の化合物は、下記:
a) アクリル酸2−[2−(2,6−ジエチル−4−ヒドロキシ−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−1−イルオキシ)−プロピオニルオキシ]−エチルエステル
b) アクリル酸2−[2−(2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−4−オキソ−ピペリジン−1−イルオキシ)−プロピオニルオキシ]−エチルエステル
c) アクリル酸2−[2−(2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−4−オキソ−ピペリジン−1−イルオキシ)−2−メチル−プロピオニルアミノ]−エチルエステル
d) アクリル酸1−(1−{6−[2−(4−アクリロイルオキシ−2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−1−イルオキシ)−プロピオニルアミノ]−ヘキシルカルバモイル}−エトキシ)−2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−4−イルエステル
e) 2−メチル−アクリル酸2−[2−(2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−4−オキソ−ピペリジン−1−イルオキシ)−プロピオニルアミノ]−エチルエステル
f) アクリル酸2−[2−(4−tert−ブチル−2,2−ジエチル−6,6−ジメチル−3−オキソ−ピペラジン−1−イルオキシ)−プロピオニルアミノ]−エチルエステル
g) アクリル酸2−(2−{N−tert−ブチル−N−[1−(ジエトキシ−ホスホリル)−2,2−ジメチル−プロピル]−アミノオキシ}−プロピオニルアミノ)−エチルエステル
h) アクリル酸2−[2−(4−アクリロイルオキシ−2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−1−イルオキシ)−プロピオニルアミノ]−エチルエステル
i) テレフタル酸ビス−{1−[1−(2−アクリロイルオキシ−エチルカルバモイル)−エトキシ]−2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−4−イル}エステル
j) 2−メチル−アクリル酸2−[2−(2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−4−オキソ−ピペリジン−1−イルオキシ)−プロピオニルオキシ]−エチルエステル
k) 2−メチル−アクリル酸1−[1−(2−アクリロイルオキシ−エトキシカルボニル)−エトキシ]−2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−4−イルエステル
l) アクリル酸2−[2−(4−アクリロイルオキシ−2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−1−イルオキシ)−プロピオニルオキシ]−エチルエステル
m) アクリル酸2−{(2−アクリロイルオキシ−エチル)−[2−(2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−4−オキソ−ピペリジン−1−イルオキシ)−プロピオニル]−アミノ}−エチルエステル
である。
【0143】
本発明の化合物は、全て、エチレン性不飽和結合と、追加的に−O−N<基とを有する。したがって、それらは、従来のラジカル重合法において、モノマーとして、好ましくは更なるエチレン性不飽和モノマーと一緒に使用することができ、制御されたラジカル重合法では開始剤/調節剤として使用することができる。
【0144】
両方の方法は、互いに独立してか、又は連続した方法で実施することができる。
【0145】
本発明の化合物が制御された重合法で使用される場合、得られるポリマー又はコポリマーは、典型的には、1.0〜2.0、好ましくは1.1〜1.7、とりわけ1.1〜1.5の多分散性指数を有する。
【0146】
本発明の更なる態様は、
a)少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーと、
b)ラジカル重合開始剤と、
c)上記で記載された式(I)、(II)又は(III)の化合物と
を含む重合性組成物である。
【0147】
成分a)のエチレン性不飽和モノマーは、多様なモノマーから選択することができる。 例えば、イソプレン、1,3−ブタジエン、α−C5〜C18アルケン、スチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン又は式:CH2=C(Ra)−(C=Z)−Rbの化合物であり、ここで、Raは、水素又はC1〜C4アルキルであり、Rbは、NH2、O-(Me+)、非置換C1〜C18アルコキシ、少なくとも1つのN及び/若しくはO原子で中断されているC2〜C100アルコキシ、又はヒドロキシ置換C1〜C18アルコキシ、非置換C1〜C18アルキルアミノ、ジ(C1〜C18アルキル)アミノ、ヒドロキシ置換C1〜C18アルキルアミノ若しくはヒドロキシ置換ジ(C1〜C18アルキル)アミノ、−O−CH2−CH2−N(CH32又は−O−CH2−CH2−N+H(CH32An-であり;
An-は、一価有機又は無機酸のアニオンであり;
Meは、一価金属原子又はアンモニウムイオンである
Zは、酸素又は硫黄である。
【0148】
少なくとも1個のO原子により中断されているC2〜C100アルコキシとしてのRaについての例は、下記式:
【0149】
【化116】

【0150】
〔式中、Rcは、C1〜C25アルキル、フェニル又はC1〜C18アルキルにより置換されているフェニルであり、Rdは、水素又はメチルであり、そしてvは、1〜50の数である〕で示されるものである。これらのモノマーは、例えば、対応するアルコキシル化アルコール又はフェノールのアクリル化により、非イオン性界面活性剤から誘導される。反復単位は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又は両方の混合物から誘導されうる。
【0151】
適切なアクリレート又はメタクリレートモノマーの更なる例が下記に示されている。
【0152】
【化117】

【0153】
ここで、An-及びRaは、上記で定義された意味を有し、そしてReは、メチル、ベンジル又はベンゾイルベンジルである。An-は、好ましくはCl-、Br-又は-3S−O−CH3である。
【0154】
更なるアクリレートモノマーは、下記式:
【0155】
【化118】

【0156】
であり、
Me+は、アルカリ金属カチオン又はアンモニウムカチオンである。
【0157】
アクリレート以外の適切なモノマーの例は、下記式:
【0158】
【化119】

【0159】
である。
【0160】
好ましくは、Raは、水素又はメチルであり、Rbは、NH2、グリシジル、非置換の又はヒドロキシ置換されているC1〜C4アルコキシ、非置換C1〜C4アルキルアミノ、ジ(C1〜C4アルキル)アミノ、ヒドロキシ置換C1〜C4アルキルアミノ又はヒドロキシ置換ジ(C1〜C4アルキル)アミノであり、そしてZは、酸素である。
【0161】
例えば、エチレン性不飽和モノマーは、エチレン、プロピレン、n−ブチレン、i−ブチレン、スチレン、置換スチレン、共役ジエン、アクロレイン、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、無水マレイン酸、(アルキル)アクリル酸無水物、(アルキル)アクリル酸塩、(アルキル)アクリル酸エステル、(アルキル)アクリロニトリル、(アルキル)アクリルアミド、ビニルハロゲン化物又はビニリデンハロゲン化物からなる群より選択される。
【0162】
例えば、エチレン性不飽和モノマーは、スチレン、置換スチレン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert.ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アリクリアミド、メタクリルアミド又はジメチルアミノプロピル−メタクリルアミドである。
【0163】
非常に適切なモノマーは、例えば、スチレン、アクリル又はメタクリル酸のC1〜C8アルキルエステル、例えば、N−ブチルアクリレート若しくはメタクリレート、アクリロニトリル又はメタクリロニトリル、とりわけ、スチレン、アクリロニトリル及びn−ブチルアクリレートである。
【0164】
上記のモノマーの混合物、とりわけ、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/ブチルアクリレート、スチレン/メチルメタクリレート及びスチレン/ブチルメタクリレートの使用も可能である。
【0165】
好ましいのは、エチレン性不飽和モノマーが、式:CH2=C(Ra)−(C=Z)−Rbの化合物であり、ここで、Zが、O又はSであり;
aが、水素又はC1〜C4アルキルであり;
bが、NH2、O-(Me+)、グリシジル、非置換C1〜C18アルコキシ、少なくとも1つのN及び/若しくはO原子で中断されているC2〜C100アルコキシ、又はヒドロキシ置換C1〜C18アルコキシ、非置換C1〜C18アルキルアミノ、ジ(C1〜C18アルキル)アミノ、ヒドロキシ置換C1〜C18アルキルアミノ若しくはヒドロキシ置換ジ(C1〜C18アルキル)アミノ、−O−CH2−CH2−N(CH32又は−O−CH2−CH2−N+H(CH32An-であり;
An-が、一価有機又は無機酸のアニオンであり;
Meが、一価金属原子又はアンモニウムイオンである
重合性組成物である。
【0166】
例えば、ラジカル重合開始剤、成分b)は、アゾ化合物、過酸化物、過酸エステル又はヒドロペルオキシドである。
【0167】
具体的な好ましいラジカル開始剤は、2,2′−アゾビスイソブチルニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチル−ブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1′−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2′−アゾビス(イソブチルアミド)二水和物、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、ジメチル−2,2′−アゾビスイソブチレート、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)、遊離塩基又は塩酸塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)、遊離塩基又は塩酸塩、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル〕プロピオンアミド}若しくは2,2′−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド;アセチルシクロヘキサンスルホニルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカルボネート、t−アミルペルネオデカノエート、t−ブチルペルネオデカノエート、t−ブチルペルピバレート、t−アミルペルピバレート、ビス(2,4−ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、ジイソノナノニルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジオクタノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ビス(2−メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジコハク酸ペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペル2−エチルヘキサノエート、ビス−(4−クロロベンゾイル)−ペルオキシド、t−ブチルペルイソブチレート、t−ブチルペルマレイネート、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボネート、t−ブチルペルイソノナオエート、2,5−ジメチルヘキサン2,5−ジベンゾエート、t−ブチルペルアセテート、t−アミルペルベンゾエート、t−ブチルペルベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)プロパン、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシド、3−t−ブチルペルオキシ3−フェニルフタリド、ジ−t−アミルペルオキシド、α,α′−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、3,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,5−ジメチル1,2−ジオキソラン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチルヘキシン−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシド、3,3,6,6,9,9−ヘキサメチル1,2,4,5−テトラオキサシクロノナン、p−メタンヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンモノ−α−ヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド又はt−ブチルヒドロペルオキシドである。
【0168】
本発明の更なる態様は、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー又はオリゴマーのフリーラジカル重合によりオリゴマー、コオリゴマー、ポリマー又はコポリマー(ブロック、ランダム又はグラフト)を調製する方法であって、モノマー又はモノマー/オリゴマーを、
a)フリーラジカル開始剤;及び
b)上記で記載された式(I)、(II)又は(III)の化合物
の存在下で(共)重合することを含む方法である。
【0169】
重合は、熱又は、マイクロ波からγ線までの電磁放射線を適用することによって実施される。
【0170】
重合は、通常、大気圧下で、例えば10分間〜16時間、好ましくは1時間〜8時間実施される。
【0171】
典型的には、重合は、加熱により実施され、0℃〜160℃、例えば20℃〜160℃、例えば50℃〜140℃の温度で行われる。
【0172】
成分b)の量は、全てのエチレン性不飽和化合物の合計の重量に基づき、例えば、1重量%〜100重量%の非常に広い範囲で変わることができる。多くの場合、10%〜70%が望ましい。
【0173】
ラジカル重合法はそれ自体既知であり、有機溶媒の存在下、又は水の存在下、又は有機溶媒と水の混合物中、バルクで実施することができる。グリコール、又は脂肪酸のアンモニウム塩のような更なる共溶媒又は界面活性剤が、存在してもよい。他の適切な共溶媒が本明細書下記で記載されている。
【0174】
有機溶媒が使用される場合、適切な溶媒又は溶媒の混合物は、典型的には、純粋なアルカン(ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン)、ハロゲン化炭化水素(クロロベンゼン)、アルカノール(メタノール、エタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル)、エステル(酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル又は酢酸ヘキシル)及びエーテル(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル)、アニソール、tert−ブチル−ベンゼン又はこれらの混合物である。
【0175】
上記で記載された重合が実施される場合、幾つかの−O−N<基をポリマー主鎖に結合している、ポリマー又はオリゴマーが得られた。これらの基は、種々の開始ラジカルから出発する制御されたラジカル重合をポリマー主鎖で実施するために使用することができ、複雑なポリマー構造を得ることができる。
【0176】
したがって、本発明の更なる態様は、上記で記載された方法により得られるポリマー又はオリゴマー高分子開始剤である。
【0177】
また、本発明の態様は、制御されたフリーラジカル重合(CFRP)により櫛形、星形、テーパー状(tapered)又は分岐鎖状のポリマー又はコポリマーを調製する方法であって、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーを、上記で記載された方法で得られるポリマー高分子開始剤の存在下で重合することを含む方法である。
【0178】
典型的には、重合法は、加熱により実施され、80〜160℃の温度で行われる。
【0179】
更なる態様は、エチレン性不飽和モノマーの重合のためのラジカル開始剤としての、上記で記載された通りの方法で得られるポリマー高分子開始剤の使用である。
【0180】
式(I)、(II)及び(III)の化合物について挙げた定義及び選択は、本発明の他の態様にも当てはまる。
【0181】
本発明により調製されるポリマーは、以下の用途で有用である:
接着剤、洗剤、分散剤、乳化剤、界面活性剤、消泡剤、定着剤、腐蝕抑制剤、粘度向上剤、潤滑剤、レオロジー改質剤、増粘剤、架橋剤、紙処理、水処理、電子材料、ペイント、コーティング、写真、インク材料、画像用材料、高吸収性物質(superabsorbant)、化粧品、毛髪用製品、防腐剤、殺生剤用材料、又はアスファルト、皮革、織物、セラミック及び木材用の改質剤。
【0182】
本発明の重合は「リビング」重合であるため、実質的に随意に開始及び停止させることができる。更に、ポリマー生成物は官能性アルコキシアミン基を保持し、リビング物において重合を続けることを可能にする。したがって、本発明の一つの実施態様において、一旦、第1のモノマーが最初の重合工程で消費されると、第2のモノマーが添加され、第2の重合工程において第2のブロックを成長するポリマー鎖に形成することができる。したがって、同一の又は異なるモノマーにより追加の重合を実施して、マルチブロックコポリマーを調製することが可能である。
【0183】
以下の実施例は本発明を説明する。
【実施例】
【0184】
調製例A1〜A13
例A1:アクリル酸2−[2−(2,6−ジエチル−4−ヒドロキシ−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−1−イルオキシ)−プロピオニルオキシ]−エチルエステル(化合物1、表.1)
A)アクリル酸2−(2−ブロモ−プロピオニルオキシ)−エチルエステル
アクリル酸2−(2−ブロモ−プロピオニルオキシ)−エチルエステルの合成を、Macromolecules, 1197, 30, 5192-94で報告されているように行った。
【0185】
B)化合物1、表.1
トルエン1000ml中の2,6−ジエチル−1−ヒドロキシ−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−4−オン99.6g(0.46mol)(US 6,353,107 B1、実施例2に記載のように調製)、CuBr 66.3g(0.46mol)及び銅29.4g(0.46mol)の撹拌溶液に、N,N,N′,N′′,N′′−ペンタメチル−ジエチレントリアミン(PMDTA)160g(0.92mol)を加えた。次に褐色の懸濁液を10℃に冷却し、トルエン250ml中のアクリル酸2−(2−ブロモ−プロピオニルオキシ)−エチルエステル116g(0.46mol)を、温度を15℃未満に保ちながら滴下した。反応混合物を室温で更に12時間撹拌し、次に濾過した。濾液を水(3×500ml)で、次にEDTAの10%溶液(3×500ml)で洗浄し、NaSO4で乾燥し、蒸発した。残渣をヘキサン:エーテル(7:3)を用いるシリカゲルのクロマトグラフィーに付して、標記化合物165gを僅かに黄色の油状物として得た。
【0186】
【表1】

【0187】
例A2:アクリル酸2−[2−(2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−4−オキソ−ピペリジン−1−イルオキシ)−プロピオニルオキシ]−エチルエステル(化合物2、表.1)
例1B)と同様に、2,6−ジエチル−1−オキシ−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−4−オン42.46g(0.20mol)、アクリル酸2−(2−ブロモ−プロピオニルオキシ)−エチル50.22g(0.20mol)、CuBr 28.7g(0.20mol)、銅12.7g(0.20)及びPMDTA 69.3g(0.40mol)を反応させて、標記化合物54.8gを無色の油状物として得た。
【0188】
【表2】

【0189】
例A3:アクリル酸2−[2−(2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−4−オキソ−ピペリジン−1−イルオキシ)−2−メチル−プロピオニルアミノ]−エチルエステル(化合物3、表.1)
B)2−ブロモ−N−(2−ヒドロキシ−エチル)−2−メチル−プロピオンアミド
テトラヒドロフラン(THF)50ml中のエタノールアミン12.2g(0.2mol)の撹拌溶液に、α−臭化イソブチリル23.0g(0.1mol)を0℃で加えた。次に、混合物を室温で12時間撹拌し、次にTHFを蒸発した。残渣に水20ml及びNaCl 7gを加えた。混合物を、t−ブチル−メチルエーテル及び酢酸エチル各25mlで抽出し、抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発して、標記化合物19.9gを無色の油状物として得た。
【0190】
【表3】

【0191】
C)2−(2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−4−オキソ−ピペリジン−1−イルオキシ)−N−(2−ヒドロキシ−エチル)−2−メチル−プロピオンアミド
酢酸エチル(50ml)中の2−ブロモ−N−(2−ヒドロキシ−エチル)−2−メチル−プロピオンアミド13.85g(0.066mol)及び2,6−ジエチル−1−オキシ−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−4−オン12.74g(0.06mol)(US 6,353,107 B1、実施例3に記載のように調製)の撹拌溶液に、CuCl 11.8g(0.12mol)をアルゴン下で加えた。撹拌懸濁液に、N,N,N′,N′′,N′′−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDTA)20.8g(0.12mol)を温度を35℃未満に保ちながら滴下した。混合物を室温で更に4時間撹拌し、次に濾過した。濾液を水(3×50ml)で、次にEDTAの1%溶液で洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発した。残渣をヘキサン:酢酸エチル(1:1〜1:3)を用いるシリカゲルのクロマトグラフィーに付して、標記化合物17.5gを無色の油状物として得た。
【0192】
【表4】

【0193】
D)化合物3、表.1
アクリロイルクロリド(1.67g、0.0185mol)を、トルエン30ml中のB)で調製された中間体6.22g(0.018mol)及びトリエチルアミン2.6ml(0.01852mol)の溶液に40℃未満で滴下した。2.5時間後に追加のトリエチルアミン1.2ml及びアクリロイルクロリド0.6mlを加えた。混合物を1時間撹拌し、次に水4×10mlで洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発した。残渣を、ヘキサン:酢酸エチル(2:1)を用いるシリカゲルのクロマトグラフィーに付して、標記化合物6.45gを粘性の無色の油状物として得た。
MS(APCl):計算値 C213625(396.53)、実測値 M=396
【0194】
例A4:アクリル酸1−(1−{6−[2−(4−アクリロイルオキシ−2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−1−イルオキシ)−プロピオニルアミノ]−ヘキシルカルバモイル}−エトキシ)−2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−4−イルエステル(化合物4、表.1)
アクリロイルクロリド(0.27g、3.0mmol)を、酢酸エチル30ml中の2−(2,6−ジエチル−4−ヒドロキシ−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−1−イルオキシ)−N−{6−[2−(2,6−ジエチル−4−ヒドロキシ−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−1−イルオキシ)−プロピオニルアミノ]−ヘキシル}−プロピオンアミド(WO 03/004471 A1、実施例A3に記載のように調製)0.98g(1.5mmol)及びトリエチルアミン0.3g(3.0mmol)の溶液に、20℃未満で滴下した。混合物を室温で12時間撹拌し、次に、水3×10mlで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、蒸発した。残渣を、ヘキサン:酢酸エチル(3:2)を用いるシリカゲルのクロマトグラフィーに付して、標記化合物0.33gを粘性の僅かに黄色の油状物として得た。
MS(APCl):計算値 C427448(763.08)、実測値 M=762.55
【0195】
例5:2−メチル−アクリル酸2−[2−(2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−4−オキソ−ピペリジン−1−イルオキシ)−プロピオニルアミノ]−エチルエステル(化合物5、表.1)
A)2−クロロ−N−(2−ヒドロキシ−エチル)−プロピオンアミド
エタノールアミン(13.45g、0.22mol)を、2−クロロプロピオン酸メチルエステル21.5ml(0.2mol)に加えた。室温で60時間放置した後に、混合物が凝固した。固体を酢酸エチルで粉砕し、結晶を濾別し、乾燥して、標記化合物27.75gを白色の結晶、融点64℃として得た。
【0196】
【表5】

【0197】
B)2−(2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−4−オキソ−ピペリジン−1−イルオキシ)−N−(2−ヒドロキシ−エチル)−プロピオンアミド
例3B)と同様に、2,6−ジエチル−1−オキシ−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−4−オン30.35g(0.143mol)、2−クロロ−N−(2−ヒドロキシ−エチル)−プロピオンアミド24.35g(0.157mol)、CuCl 28.3g(0.286mol)及びPMDTA 49.55g(0.286mol)を反応させて、標記化合物44.8gを無色の樹脂として得た。
【0198】
【表6】

【0199】
C)化合物5、表.1
例3C)と同様に、2−(2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−4−オキソ−ピペリジン−1−イルオキシ)−N−(2−ヒドロキシ−エチル)−プロピオンアミド15.76g(0.024mol)、メタクリロイルクロリド3.0g(0.028mol)及びトリエチルアミン4.2mlを反応させて、標記化合物6.08gを無色の樹脂として得た。
MS(APCl):計算値 C213625(396.53)、実測値 M=396
【0200】
例6:アクリル酸2−[2−(4−tert−ブチル−2,2−ジエチル−6,6−ジメチル−3−オキソ−ピペラジン−1−イルオキシ)−プロピオニルアミノ]−エチルエステル(化合物6、表.1)
A)2−(4−tert−ブチル−2,2−ジエチル−6,6−ジメチル−3−オキソ−ピペラジン−1−イルオキシ)−N−(2−ヒドロキシ−エチル)−プロピオンアミド
例3B)と同様に、2−クロロ−N−(2−ヒドロキシ−エチル)−プロピオンアミド5.0g(0.033mol)、PMDETA 10.4g(0.033mol)、CuCl 5.94g(0.06mol)及び1−tert−ブチル−3,3−ジエチル−4−オキシ−5,5−ジメチル−ピペラジン−2−オン7.66g(0.03mol)(US6,479,608 B1に記載のように調製)を反応させて、標記化合物9.18gを無色の樹脂として得た。
【0201】
【表7】

【0202】
B)化合物6、表.1
例3C)と同様に、2−(4−tert−ブチル−2,2−ジエチル−6,6−ジメチル−3−オキソ−ピペラジン−1−イルオキシ)−N−(2−ヒドロキシ−エチル)−プロピオンアミド7.68g(0.0207mol)、アクリロイルクロリド2.1g(0.023mol)及びトリエチルアミン3.4ml(0.023mol)を反応させて、標記化合物6.75gを無色の樹脂として得た。
MS(APCl):計算値 C223935(425.57)、実測値 M=425
【0203】
例7:アクリル酸2−(2−{N−tert−ブチル−N−[1−(ジエトキシ−ホスホリル)−2,2−ジメチル−プロピル]−アミノオキシ}−プロピオニルアミノ)−エチルエステル(化合物7、表.1)
A)(1−{tert−ブチル−[1−(2−ヒドロキシ−エチルカルバモイル)−エトキシ]−アミノ}−2,2−ジメチル−プロピル)−ホスホン酸ジエチルエステル
例3B)と同様に、PMDTA 9.7g(0.056mol)、CuCl 5.54g(0.056mol)、2−クロロ−N−(2−ヒドロキシ−エチル)−プロピオンアミド4.7g(0.031mol)及び[1−(tert−ブチル−アミノ−N−オキシル)−2,2−ジメチル−プロピル]−ホスホン酸ジエチルエステル8.3g(0.028mol)(P. Tordo et al. :Macromolecules 33.1141(2000)により記載のように調製)を反応させて、標記化合物9.9gを無色の油状物として得た。
【0204】
【表8】

【0205】
C)化合物7、表.1
例3C)と同様に、(1−{tert−ブチル−[1−(2−ヒドロキシ−エチルカルバモイル)−エトキシ]−アミノ}−2,2−ジメチル−プロピル)−ホスホン酸ジエチルエステル8.43g(0.0205mol)、アクリロイルクロリド2.08g(0.025mol)及びトリエチルアミン3.2ml(0.025mol)を反応させて、標記化合物を2つのジアステレオマー:無色の油状物4.79g及び白色の固体3.5g、融点95〜98℃として得た。
各異性体のMS(APCl):M=464、C214127について計算値 M=464.54
【0206】
例8:アクリル酸2−[2−(4−アクリロイルオキシ−2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−1−イルオキシ)−プロピオニルアミノ]−エチルエステル(化合物8、表.1)
A)2−(2,6−ジエチル−4−ヒドロキシ−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−1−イルオキシ)−N−(2−ヒドロキシ−エチル)−プロピオンアミド
例3B)と同様に、PMDTA 11.1g(0.064mol)、CuCl 6.33g(0.064mol)、2−クロロ−N−(2−ヒドロキシ−エチル)−プロピオンアミド5.33g(0.07mol)及び2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−1−オキシル(US 6,353,107 B1、実施例2に記載のように調製)7.72g(0.032mol)を反応させて、標記化合物11.57gを無色の油状物として得た。
【0207】
B)化合物8、表.1
例3C)と同様に、2−(2,6−ジエチル−4−ヒドロキシ−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−1−イルオキシ)−N−(2−ヒドロキシ−エチル)−プロピオンアミド8.25g(0.025mol)、トリエチルアミン7.8ml(0.056mol)及びアクリロイルクロリド5.0g(0.055mol)を反応させて、標記化合物7.5gを無色の樹脂として得た。
MS(APCl):計算値 C233826(438.57)、実測値 M=438
【0208】
例9:テレフタル酸bis−{1−[1−(2−アクリロイルオキシ−エチルカルバモイル)−エトキシ]−2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−4−イル}エステル(化合物9、表.1)
a.A)テレフタル酸bis−(2,6−ジエチル−1−オキシル−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−4−イル)エステル
ピリジン30ml中の2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−1−オキシル25.72g(0.12mol)及びジクロロメタン80mlの溶液に、テレフタロイルクロリド12.2g(0.06mol)及び4−ジメチルアミノピリジン0.3gを加えた。72時間室温で撹拌した後の混合物を、ジクロロメタン100mlで希釈し、水で洗浄した(3×50ml)。有機相をMgSO4で乾燥し、蒸発し、ヘキサン:酢酸エチル(4:1)を用いるシリカゲルのクロマトグラフィーに付して、標記化合物31.85gを赤色の樹脂として得た。
【0209】
B)テレフタル酸bis−{2,6−ジエチル−1−[1−(2−ヒドロキシ−エチルカルバモイル)−エトキシ]−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−4−イル}エステル
例3B)と同様に、PMDTA 10.4g(0.06mol)、CuCl 5.94g(0.06mol)、2−クロロ−N−(2−ヒドロキシ−エチル)−プロピオンアミド5.0g(0.033mol)及びテレフタル酸bis−(2,6−ジエチル−1−オキシル−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−4−イル)エステル8.38g(0.015mol)を反応させて、標記化合物6.25gを無色の樹脂として得た。
【0210】
【表9】

【0211】
C)化合物9、表.1
例3C)と同様に、テレフタル酸bis−{2,6−ジエチル−1−[1−(2−ヒドロキシ−エチルカルバモイル)−エトキシ]−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−4−イル}エステル6.0g(0.0076mol)、トリエチルアミン2.65ml(0.0091mol)及びアクリロイルクロリド1.65g(0.0091mol)を反応させて、標記化合物4.5gを無色の樹脂として得た。
【0212】
【表10】

【0213】
例10:2−メチル−アクリル酸2−[2−(2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−4−オキソ−ピペリジン−1−イルオキシ)−プロピオニルオキシ]−エチルエステル(化合物10、表.1)
例1B)と同様に、2,6−ジエチル−1−オキシ−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−4−オン10.61g(0.05mol)、2−メチル−アクリル酸2−(2−ブロモ−プロピオニルオキシ)−エチルエステル13.25g(0.05mol)、CuCl 9.89g(0.1mol)及びPMDTA 17.33g(0.1mol)を反応させて、標記化合物16.0gを黄色の油状物として得た。
MS(APCl):計算値 C2135NO6(397.52)、実測値 M=397
【0214】
例11:2−メチル−アクリル酸1−[1−(2−アクリロイルオキシ−エトキシカルボニル)−エトキシ]−2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−4−イルエステル(化合物11、表.1)
例4)と同様に、化合物1(例1Bより)2.5g(6.5mmol)、トリエチルアミン0.73g(7.2mmol)及びメタクリロイルクロリド0.75g(7.2mmol)を反応させて、標記化合物1.4gを無色の油状物として得た。
MS(APCl):計算値 C2439NO7(453.58)、実測値 M=453
【0215】
例12:アクリル酸2−[2−(4−アクリロイルオキシ−2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−1−イルオキシ)−プロピオニルオキシ]−エチルエステル(化合物12、表.1)
例4)と同様に、化合物1(例1Bより)2.5g(6.5mmol)、トリエチルアミン0.73g(7.2mmol)及びアクリロイルクロリド0.65g(7.2mmol)を反応させて、標記化合物1.6gを無色の油状物として得た。
MS(APCl):計算値 C2337NO7(439.55)、実測値 M=439
【0216】
例13:アクリル酸2−{(2−アクリロイルオキシ−エチル)−[2−(2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−4−オキソ−ピペリジン−1−イルオキシ)−プロピオニル]−アミノ}−エチルエステル(化合物13、表.1)
A)2−クロロ−N,N−bis−(2−ヒドロキシ−エチル)−プロピオンアミド
ジエタノールアミン(10.51g、0.1mol)を2−クロロプロピオン酸メチルエステル12.25(0.1mol)に加えた。混合物を室温で24時間撹拌した。形成したメタノールを蒸発して、標記化合物18.8gを僅かに黄色の油状物として得た。
【0217】
【表11】

【0218】
B)アクリル酸2−[(2−アクリロイルオキシ−エチル)−(2−クロロ−プロピオニル)−アミノ]−エチルエステル
例4)と同様に、2−クロロ−N,N−bis−(2−ヒドロキシ−エチル)−プロピオンアミド17.0g(0.087mol)、トリエチルアミン19.4g(0.19mol)及びアクリロイルクロリド17.32g(0.19mol)を反応させて、標記化合物8.2gを黄色の油状物として得た。
【0219】
【表12】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)、(II)又は(III):
【化1】


〔式中、Qは、下記式:
【化2】


であり、
ここで、
Rは、独立して、H又はC1〜C4アルキルであり;
Dは、O又はNR3であり;
式(I)において、m及びnは、独立して、0又は1の数であり、ここで少なくとも両方のうちの一方が1であり;
式(I)において、m=0であり、そしてn=1である場合、
Xは、下記式:
【化3】


であり、
ここで、
*は、基が酸素原子に結合している場所を示し;
Aは、O又はNR3であり;
1は、O又はNR3基で中断されていてもよいC1〜C25アルキレンか、O及び/又はNR3基を環に含有することができるC5〜C7シクロアルキレンか、これらは両方とも非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン、又は基−COO(C1〜C18アルキル)により置換されており、或はフェニレンであり;
追加的に−A−B1−は、直接結合であることができるか;或いは
Aが−O−であり、そしてDがNR3である場合、B1は直接結合であることができるか;又は
AがNR3であり、そしてDがO又はNR3である場合、B1は直接結合であることができ;
Eは、直接結合又は−C(O)−基であり;
1、R2及びR3は、独立して、H、非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン又は基−COO(C1〜C18アルキル)により置換されているC1〜C18アルキルか、非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン又は基−COO(C1〜C18アルキル)により置換されているC5〜C7シクロアルキルか、非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、C1〜C8アルキル、ハロゲン又は基−COO(C1〜C18アルキル)により置換されているフェニルであり;
基:
【化4】


であり;
ここで、
Aは、上記と同義であり;
AがOである場合、E1は−CH2−であり、
AがNR3である場合、E1は、−C(O)−、−CH2−又は直接結合であり;
4、R5、R6は、独立して、C1〜C18アルキル、C5〜C7シクロアルキル、C7〜C9フェニルアルキル又はフェニルであり;
7、R8は、独立して、H、C1〜C18アルキル、C5〜C7シクロアルキル、C7〜C9フェニルアルキル又はC1〜C18アシルであり;
Lは、直接結合、O又はNR7であり;
9、R10は、独立して、H又はC1〜C18アルコキシであり、
9がHである場合、R10は、追加的に、OH、−O−(C1〜C18)アシル、−NR3−(C1〜C18)アシル又はN(R32であるか;
或いは
9及びR10は、それらが結合しているC原子と一緒になって環状ケタール基:
【化5】


を形成し、ここで、kは、0、1又は2であり、そしてR15は、C1〜C18アルキル、−CH2−OH又は−CH2−O−(C1〜C18)アシルであるか;或いは
9及びR10は、一緒になって、基=O又は=N−A=R7を形成し;
11、R12、R13及びR14は、互いに独立して、C1〜C4アルキルであり;
式(I)において、m=1であり、そしてn=1である場合、
Xは、上記と同義であり;
基:
【化6】


は、下記式:
【化7】


であり;
ここで、
A及びBは、上記と同義であり;
式(I)において、m=1であり、そしてn=0である場合、
Xは、下記式:
【化8】


であり;
ここで、Aは、O、NR3又は直接結合であり、そしてE、R1及びR2は、上記と同義であり;
3は、Hか、O又はNR3基で中断されていてもよいC1〜C25アルキルか、O及び/又はNR3基を環に含有することができるC5〜C7シクロアルキルか、これらは両方とも非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン、又は基−COO(C1〜C18アルキル)若しくはC1〜C18アルコキシにより置換されており、或はフェニルであり;
基:
【化9】


は、下記式:
【化10】


であり;
ここで
A及びB1は、上記と同義であり;
式(II)において、
Xは、下記式:
【化11】


であり、
ここで、
*は、Xが酸素原子に結合している場所であり、そしてA、B1、E、R1及びR2は、上記と同義であり;
基:
【化12】


は、下記式:
【化13】


であり;
ここでAは、上記と同義であり;
1は、2〜18個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸から、芳香族ジカルボン酸から、又は脂肪族−芳香族ジカルボン酸から誘導される二価基であり;
式(III)において、
1は、下記式:
【化14】


の基であり、
ここで、B2は、直接結合か、O又はNR3基で中断されていてもよいC1〜C25アルキレンか、O及び/又はNR3基を環に含有することができるC5〜C7シクロアルキレンであり、これらは両方とも非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン、又は基−COO(C1〜C18アルキル)、又はフェニレンにより置換されており、ここでB2が直接結合の場合、一方のAはOであり、他方のAはNR3であり;
A、B1、R1及びR2は、上記と同義であり;そして
基:
【化15】


は、下記式:
【化16】


である〕で示される化合物。
【請求項2】
式(I)、(II)又は(III)において、
Qが、下記式:
【化17】


であり;
Rが、独立して、H又はC1〜C4アルキルであり;そして
Dが、O又はNR3である
請求項1記載の化合物。
【請求項3】
式(I)、(II)又は(III):
【化18】


〔式中、Qは、下記式:
【化19】


であり、
ここで、
Rは、独立して、H又はC1〜C4アルキルであり;
Dは、O又はNR3であり;
式(I)において、m及びnは、独立して、0又は1の数であり、ここで両方のうちの少なくとも一方が1であり;
式(I)において、m=0であり、そしてn=1である場合、
Xは、下記式:
【化20】


であり、
ここで、
*は、基が酸素原子に結合している場所を示し;
Aは、O又はNR3であり;
1は、O又はNR3基で中断されていてもよいC1〜C25アルキレンか、O及び/又はNR3基を環に含有することができるC5〜C7シクロアルキレンか、これらは両方とも非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン、又は基−COO(C1〜C18アルキル)により置換されており、或はフェニレンであり;
追加的に−A−B1−は、直接結合であることができるか;或いは
Aが−O−であり、そしてDがNR3である場合、B1は直接結合であることができるか;又は
AがNR3であり、そしてDがO又はNR3である場合、B1は直接結合であることができ;
Eは、直接結合又は−C(O)−基であり;
1、R2及びR3は、独立して、H、非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン又は基−COO(C1〜C18アルキル)により置換されているC1〜C18アルキルか、非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン又は基−COO(C1〜C18アルキル)により置換されているC5〜C7シクロアルキルか、非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、C1〜C8アルキル、ハロゲン又は基−COO(C1〜C18アルキル)により置換されているフェニルであり;
基:
【化21】


は、下記式:
【化22】


であり;
ここで、
Aは、上記と同義であり;
AがOである場合、E1は−CH2−であり、
AがNR3である場合、E1は、−C(O)−、−CH2−又は直接結合であり;
7は、H、C1〜C18アルキル、C5〜C7シクロアルキル、C7〜C9フェニルアルキル又はC1〜C18アシルであり;
9、R10は、独立して、H又はC1〜C18アルコキシであり、
9がHである場合、R10は、追加的に、OH、−O−(C1〜C18)アシル、−NR3−(C1〜C18)アシル又はN(R32であるか;
或いは
9及びR10は、それらが結合しているC原子と一緒になって環状ケタール基:
【化23】


を形成し、ここで、kは、0、1又は2であり、そしてR15は、C1〜C18アルキル、−CH2−OH又は−CH2−O−(C1〜C18)アシルであるか;或いは
9及びR10は、一緒になって、基=O又は=N−A=R7を形成し;
式(I)において、m=1であり、そしてn=1である場合、
Xは、上記と同義であり;
基:
【化24】


であり;
ここで、
A及びBは、上記と同義であり;
式(I)において、m=1であり、そしてn=0である場合、
Xは、下記式:
【化25】


であり、
ここで、Aは、O、NR3又は直接結合であり、そしてE、R1及びR2は、上記と同義であり;
3は、Hか、O又はNR3基で中断されていてもよいC1〜C25アルキルか、O及び/又はNR3基を環に含有することができるC5〜C7シクロアルキルであり、これらは両方とも非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン、又は基−COO(C1〜C18アルキル)若しくはC1〜C18アルコキシ、又はフェニルにより置換されており;
基:
【化26】


は、下記式:
【化27】


であり、
ここで、
A及びB1は、上記と同義であり;
式(II)において、
Xは、下記式:
【化28】


であり、
ここで、
*は、Xが酸素原子に結合している場所を示し、そしてA、B1、E、R1及びR2は、上記と同義であり;
基:
【化29】


は、下記式:
【化30】


であり、
ここでAは、上記と同義であり;
1は、2〜18個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸から、芳香族ジカルボン酸から、又は脂肪族−芳香族ジカルボン酸から誘導される二価基であり;
式(III)において、
1は、下記式:
【化31】


の基であり、
ここで、B2は、直接結合か、O又はNR3基で中断されていてもよいC1〜C25アルキレンか、O及び/又はNR3基を環に含有することができるC5〜C7シクロアルキレンか、これらは両方とも非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン、又は基−COO(C1〜C18アルキル)により置換されており、或はフェニレンであり、ここでB2が直接結合の場合、一方のAはOであり、他方のAはNR3であり;
A、B1、R1及びR2は、上記と同義であり;そして
基:
【化32】


は、下記式:
【化33】


の基である〕で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
式(Ia):
【化34】


〔式中、
Qは、下記式:
【化35】


であり、
ここでRは、独立して、H又はC1〜C4アルキルであり;
Xは、下記式:
【化36】


であり、
ここで、
*は、Xが酸素原子に結合している場所を示し;
Aは、O又はNR3であり;
1は、O又はNR3基で中断されていてもよいC1〜C25アルキレンか、O及び/又はNR3基を環に含有することができるC5〜C7シクロアルキレンであり、これらは両方とも非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン、又は基−COO(C1〜C18アルキル)、又はフェニレンにより置換されており;
追加的に−A−B1−は、直接結合であることができるか;或いは
Aが−O−であり、そしてDがNR3である場合、B1は直接結合であることができるか;又は
AがNR3であり、そしてDがO又はNR3である場合、B1は直接結合であることができ;
Eは、直接結合であり;
1、R2は、H又はCH3であり;
3は、H、C1〜C18アルキル、C5〜C6シクロアルキル又はフェニルであり;
基:
【化37】


は、下記式:
【化38】


であり、
ここで、
Aは、上記と同義であり;
AがOである場合、E1は−CH2−であり、
AがNR3である場合、E1は、−C(O)−、−CH2−又は直接結合であり;
4、R5は、メチルであり;
7、R8は、独立して、H、C1〜C18アルキル、C5〜C7シクロアルキル、ベンジル又はC1〜C18アシルであり;
Lは、直接結合、O又はNR7であり;
9、R10は、独立して、H又はC1〜C18アルコキシであり、
9がHである場合、R10は、追加的に、OH、−O−(C1〜C18)アシル、−NR3−(C1〜C18)アシル又はN(R32であるか;
或いは
9及びR10は、それらが結合しているC原子と一緒になって環状ケタール基:
【化39】


を形成し、ここで、kは、0、1又は2であり、そしてR15は、C1〜C18アルキル、−CH2−OH又は−CH2−O−(C1〜C18)アシルであるか;或いは
9及びR10は、一緒になって、基=O又は=N−A=R7を形成し;
11、R12、R13及びR14は、互いに独立して、C1〜C4アルキルである〕
で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
式(Ia):
【化40】


〔式中、
Qは、下記式:
【化41】


であり、
ここでRは、H又はC1〜C4アルキルであり;
Xは、下記式:
【化42】


であり、
ここで、
*は、Xが酸素原子に結合している場所を示し;
Aは、O又はNR3であり;
1は、O又はNR3基で中断されていてもよいC1〜C25アルキレンか、O及び/又はNR3基を環に含有することができるC5〜C7シクロアルキレンか、これらは両方とも非置換であるか、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン、又は基−COO(C1〜C18アルキル)により置換されており、或はフェニレンであり;
追加的に−A−B1−は、直接結合であることができるか;或いは
Aが−O−であり、そしてDがNR3である場合、B1は直接結合であることができるか;又は
AがNR3であり、そしてDがO又はNR3である場合、B1は直接結合であることができ;
Eは、直接結合であり;
1、R2は、H又はCH3であり;
3は、H、C1〜C18アルキル、C5〜C6シクロアルキル又はフェニルであり;
基:
【化43】


は、下記式:
【化44】


であり、
ここで、
Aは、上記と同義であり;
AがOである場合、E1は−CH2−であり、
AがNR3である場合、E1は、−C(O)−、−CH2−又は直接結合であり;
7は、H、C1〜C18アルキル、C5〜C7シクロアルキル、ベンジル又はC1〜C18アシルであり;
9、R10は、独立して、H又はC1〜C18アルコキシであり、
9がHである場合、R10は、追加的に、OH、−O−(C1〜C18)アシル、−NR3−(C1〜C18)アシル又はN(R32であるか;
或いは
9及びR10は、それらが結合しているC原子と一緒になって環状ケタール基:
【化45】


を形成し、ここで、kは、0、1又は2であり、そしてR15は、C1〜C18アルキル、−CH2−OH又は−CH2−O−(C1〜C18)アシルであるか;或いは
9及びR10は、一緒になって、基=O又は=N−O=R7を形成し;
11、R12、R13及びR14は、互いに独立して、C1〜C4アルキルである〕
で示される、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
式(Ia):
【化46】


〔式中、
Qは、下記式:
【化47】


であり;
Xは、下記式:
【化48】


であり、
ここで、
*は、Xが酸素原子に結合している場所を示し;
Aは、O又はNR3であり;
1は、C1〜C18アルキレン又はフェニレンであり;
1、R2は、H又はCH3であり;
3は、H、C1〜C4アルキル又はフェニルであり;
基:
【化49】


は、下記式:
【化50】


であり、
9、R10は、独立して、H又はC1〜C18アルコキシであるか、又は
9がHである場合、R10は、追加的に、OH、−O−(C1〜C18)アシル、−NR3−(C1〜C18)アシル又はN(R32であるか;
或いは
9及びR10は、それらが結合しているC原子と一緒になって環状ケタール基:
【化51】


を形成し、ここで、kは、0、1又は2であり、そしてR15は、C1〜C18アルキル、−CH2−OH又は−CH2−O−(C1〜C18)アシルであるか;或いは
9及びR10は、一緒になって、基=O又は=N−O=R7を形成し;
11、R12、R13及びR14は、互いに独立して、C1〜C4アルキルである〕
で示される、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
式(Ia):
【化52】


〔式中、
Qは、下記式:
【化53】


であり;
Xは、下記式:
【化54】


であり、
ここで、
*は、Xが酸素原子に結合している場所を示し;
Aは、O又はNR3であり;
1は、C1〜C4アルキレン又はフェニレンであり:
1、R2は、H又はCH3であり;
3は、H、C1〜C4アルキル又はフェニルであり;
基:
【化55】


は、下記式:
【化56】


である〕で示される、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
下記:
a) アクリル酸2−[2−(2,6−ジエチル−4−ヒドロキシ−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−1−イルオキシ)−プロピオニルオキシ]−エチルエステル
b) アクリル酸2−[2−(2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−4−オキソ−ピペリジン−1−イルオキシ)−プロピオニルオキシ]−エチルエステル
c) アクリル酸2−[2−(2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−4−オキソ−ピペリジン−1−イルオキシ)−2−メチル−プロピオニルアミノ]−エチルエステル
d) アクリル酸1−(1−{6−[2−(4−アクリロイルオキシ−2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−1−イルオキシ)−プロピオニルアミノ]−ヘキシルカルバモイル}−エトキシ)−2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−4−イルエステル
e) 2−メチル−アクリル酸2−[2−(2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−4−オキソ−ピペリジン−1−イルオキシ)−プロピオニルアミノ]−エチルエステル
f) アクリル酸2−[2−(4−tert−ブチル−2,2−ジエチル−6,6−ジメチル−3−オキソ−ピペラジン−1−イルオキシ)−プロピオニルアミノ]−エチルエステル
g) アクリル酸2−(2−{N−tert−ブチル−N−[1−(ジエトキシ−ホスホリル)−2,2−ジメチル−プロピル]−アミノオキシ}−プロピオニルアミノ)−エチルエステル
h) アクリル酸2−[2−(4−アクリロイルオキシ−2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−1−イルオキシ)−プロピオニルアミノ]−エチルエステル
i) テレフタル酸ビス−{1−[1−(2−アクリロイルオキシ−エチルカルバモイル)−エトキシ]−2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−4−イル}エステル
j) 2−メチル−アクリル酸2−[2−(2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−4−オキソ−ピペリジン−1−イルオキシ)−プロピオニルオキシ]−エチルエステル
k) 2−メチル−アクリル酸1−[1−(2−アクリロイルオキシ−エトキシカルボニル)−エトキシ]−2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−4−イルエステル
l) アクリル酸2−[2−(4−アクリロイルオキシ−2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−1−イルオキシ)−プロピオニルオキシ]−エチルエステル
m) アクリル酸2−{(2−アクリロイルオキシ−エチル)−[2−(2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−4−オキソ−ピペリジン−1−イルオキシ)−プロピオニル]−アミノ}−エチルエステル
である、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
a)少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーと、
b)ラジカル重合開始剤と、
c)請求項1記載の式(I)、(II)又は(III)の化合物と
を含む、重合性組成物。
【請求項10】
エチレン性不飽和モノマーが、エチレン、プロピレン、n−ブチレン、i−ブチレン、スチレン、置換スチレン、共役ジエン、アクロレイン、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、無水マレイン酸、(アルキル)アクリル酸無水物、(アルキル)アクリル酸塩、(アルキル)アクリル酸エステル、(アルキル)アクリロニトリル、(アルキル)アクリルアミド、ビニルハロゲン化物又はビニリデンハロゲン化物からなる群より選択される、請求項9記載の重合性組成物。
【請求項11】
エチレン性不飽和モノマーが、式:CH2=C(Ra)−(C=Z)−Rbの化合物であり、ここで、Zが、O又はSであり;
aが、水素又はC1〜C4アルキルであり;
bが、NH2、O-(Me+)、グリシジル、非置換C1〜C18アルコキシ、少なくとも1つのN及び/若しくはO原子で中断されているC2〜C100アルコキシ、又はヒドロキシ置換C1〜C18アルコキシ、非置換C1〜C18アルキルアミノ、ジ(C1〜C18アルキル)アミノ、ヒドロキシ置換C1〜C18アルキルアミノ若しくはヒドロキシ置換ジ(C1〜C18アルキル)アミノ、−O−CH2−CH2−N(CH32又は−O−CH2−CH2−N+H(CH32An-であり;
An-が、一価有機又は無機酸のアニオンであり;
Meが、一価金属原子又はアンモニウムイオンである
請求項10記載の重合性組成物。
【請求項12】
ラジカル重合開始剤が、アゾ化合物、過酸化物、過酸エステル又はヒドロペルオキシドである、請求項9記載の重合性組成物。
【請求項13】
少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー又はオリゴマーのフリーラジカル重合によりオリゴマー、コオリゴマー、ポリマー又はコポリマー(ブロック、ランダム又はグラフト)を調製する方法であって、モノマー又はモノマー/オリゴマーを、
a)フリーラジカル開始剤;及び
b)請求項1記載の式(I)、(II)又は(III)の化合物
の存在下で(共)重合することを含む、方法。
【請求項14】
重合が、熱又は、マイクロ波からγ線までの電磁放射線を適用することによって実施される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
重合が、加熱により実施され、0〜160℃の温度で行われる、請求項13記載の方法。
【請求項16】
成分b)の量が、全てのエチレン性不飽和化合物の合計の重量に基づき、1重量%〜100重量%である、請求項13記載の方法。
【請求項17】
請求項13記載の方法によって得られる、ポリマー又はオリゴマー高分子開始剤。
【請求項18】
制御されたフリーラジカル重合(CFRP)により櫛形、星形、テーパー状(tapered)又は分岐鎖状のポリマー又はコポリマーを調製する方法であって、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーを、請求項13記載の方法で得られるポリマー高分子開始剤の存在下で重合することを含む、方法。
【請求項19】
重合が、加熱により実施され、80〜160℃の温度で行われる、請求項18記載の方法。
【請求項20】
エチレン性不飽和モノマーの重合のためのラジカル開始剤としての、請求項13記載の方法で得られるポリマー高分子開始剤の使用。

【公表番号】特表2008−500307(P2008−500307A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513909(P2007−513909)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052260
【国際公開番号】WO2005/118651
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】