ラングミュア−ブロジェット膜及び該膜を用いたパターン形成体とその製造方法。
【課題】100nm以下の規則的なパターン構造を有するLB膜、及び該LB膜を鋳型材として利用して、2次元的な構造を持つパターン形成体を提供する。
【解決手段】LB膜形成分子としてフッ素化脂肪酸を用いるとともに、アルコール/水混合液をLB膜作製時における下層液として利用することで、20〜100nmの規則的なドメイン構造を有するLB膜を得え、さらに、該ドメイン構造を有するLB膜を鋳型材として、最終的に2次元的な構造を有するパターン形成体を得る。
【解決手段】LB膜形成分子としてフッ素化脂肪酸を用いるとともに、アルコール/水混合液をLB膜作製時における下層液として利用することで、20〜100nmの規則的なドメイン構造を有するLB膜を得え、さらに、該ドメイン構造を有するLB膜を鋳型材として、最終的に2次元的な構造を有するパターン形成体を得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、規則的に配列した微細パターン構造を持つラングミュア−ブロジェット膜、及び該膜を鋳型材として用いて、基板表面に微細構造のパターンを得る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、半導体分野やマイクロ分析分野を中心に幅広い分野において、マイクロ電子デバイスやマイクロプローブ、マイクロチャネルなどの用途に応じて、材料表面に任意の微細構造のパターン化がなされている。
これまで、材料表面に微細パターン形成体を作製する方法としては、リソグラフィー法、電子ビーム法が最も一般的な方法とされてきた。
リソグラフィー法、特に、フォトリソグラフィー法では、微細構造を効率よく作製できるため、広く利用されている。しかし、回折限界により100nm以下、特に50nm以下の構造を作製するのは、困難である。このような背景から、これらの手法の代替となるパターン化技術の開発が進められてきた。
また、電子ビーム法では、100nm以下の微細構造を得られることができるが、実際に材料の広い範囲にパターンを施すためには、時間、応力を要してきた。
【0003】
100nm以下の微細構造を表面に持つ材料の作製方法として、メソ多孔体を用いた方法(特許文献1〜4)、自己組織化ポリマーを用いた方法(非特許文献1)、インプリント法(特許文献5他多数)、自己組織化膜(SAM膜)(非特許文献2)、ナノ粒子など粒子状物質を配列する方法(特許文献6〜8)などもある。
【0004】
ラングミュア−ブロジェット膜(以下、「LB膜」という。)は、単分子膜の表面コーティング技術として広く利用されている方法であり、LB形成分子が気液界面上に先ず展開され、その展開膜がトラフによって凝縮されて高度にパッキングした凝縮膜に変化するものであり、実際は、これを適当な基板に移しとって用いる。該LB膜をパターン化に利用する方法は多数あるが、多くの方法は、水平方向に均一なLB膜を用いて、物理的に加工することによってパターン化したものである(特許文献9、10他多数)。
【0005】
LB膜自体の相分離を鋳型材に用いて、パターン化へ利用することも少数ながら報告されている。
例えば、松本らは(特許文献11参照)は、部分フッ素化長鎖脂肪酸を用いて、固体基板上に形成したLB膜に加熱処理を施し、有機溶媒で洗浄することにより、ナノサイズの直線構造又は螺旋構造を有するラングミュア膜が得られることを報告している。さらに、該方法で得られた直線構造又は螺旋構想を鋳型に用いて、金からなる100〜150nmの直線構造、あるいは、500nm程度の螺旋構造を有するものを得ている。
また、非特許文献にも、相分離LB膜を利用して、鋳型材として作製することが報告されているが、すべて500nm以上の大きさを有するものである(非特許文献3〜8)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−145831号公報
【特許文献2】特開2005−246369号公報
【特許文献3】特開2006−327854号公報
【特許文献4】特開2008−239483号公報
【特許文献5】特開2010−18666号公報
【特許文献6】特表2007−500606号公報
【特許文献7】特開2007−109705号公報
【特許文献8】特開平8−57406号公報
【特許文献9】特開2009−294683号公報
【特許文献10】特開平10−335717号公報
【特許文献11】特開2006−171131号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Angewandte Chemie International Edition, Vol. 45, 6649-6652(2006)
【非特許文献2】Langmuir, Vol. 24, 1682-1685(2008)
【非特許文献3】Biophysical Journal, Vol. 67, p1229-1237 (1994)
【非特許文献4】Langmuir, Vol. 11, p1341-1346 (1995)
【非特許文献5】Langmuir, Vol. 20, p8728-8734 (2004)
【非特許文献6】Nature Vol. 403, p173-175 (2000)
【非特許文献7】Advanced Materials Vol. 14, p1812-1815 (2002)
【非特許文献8】Advanced Materials Vol. 19, p3668-3671 (2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のとおり、これまで、100nm以下のパターン鋳型材として利用できる100nm以下のLB膜は報告されていない。
また、上記特許文献11の方法では、100〜150nmの直線構造が得られるももの、そのパターンのサイズは、膜形成分子として用いる部分フッ素化長鎖脂肪酸のフッ素化の程度に依存するところが大きく、その調整が困難であるという問題もある。
【0009】
本発明は、こうした従来技術における課題を鑑みてなされたものであって、100nm以下の規則的なパターン構造を有するLB膜及び該LB膜を簡便に得る方法を提供し、さらには、得られたパターンを鋳型材として利用して、2次元的な構造を持つ無機酸化膜、及びその製造方法を提供することを目的とするものでる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、LB膜中の相分離に伴い形成される分子が局在する部分(以下、「ドメイン構造」という。)により、100nm以下の規則的なパターン構造を有する膜が得られ、そのパターン材料を鋳型材として利用して、2次元的な構造を持つ無機酸化膜が得られるという知見を得た。
すなわち、本発明者らは、LB膜形成分子としてフッ素化脂肪酸を用いるとともに、アルコール/水混合液をLB膜作製時における下層液として利用することで、20〜100nmの規則的なドメイン構造を有するLB膜を作製できること、及びこのような構造を持つLB膜を鋳型材として、その周囲に無機前駆体を吸着することで、最終的にパターン化された無機膜を作製することができることを見いだしたものである。
【0011】
本発明はこれらの知見に基づいて完成に至ったものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1] ラングミュア−ブロジェット膜形成分子としてフッ素化脂肪酸を用いるとともに、アルコール/水混合液をラングミュア−ブロジェット膜作製時における下層液として利用することで、20〜100nmの規則的なドメイン構造を有するラングミュア−ブロジェット膜を得ることを特徴とするラングミュア−ブロジェット膜の製造方法。
[2] ラングミュア−ブロジェット膜形成分子としてフッ素化脂肪酸を用いるとともに、アルコール/水混合液をLB膜作製時における下層液として用いることで得られた、20〜100nmの規則的なドメイン構造を有するラングミュア−ブロジェット膜。
[3] 上記[2]のラングミュア−ブロジェット膜からなることを特徴とするパターン形成用の鋳型材。
[4] 上記[3]の鋳型材に用いることを特徴とするパターン形成体の製造方法。
[5] 前記鋳型材の周囲に無機前駆体を吸着させ、その後酸化して無機膜とすることを特徴とする上記[4]のパターン形成体の製造方法。
[6] 上記[3]の鋳型材を用いて形成され、20〜100nmmの2次元構造を有することを特徴とするパターン形成体。
[7] 無機前駆体の酸化物からなることを特徴とする上記[6]のパターン形成体。
【発明の効果】
【0012】
本発明のLB膜による微細パターン化用鋳型材は、シリカ(SiO2)に限らず、様々な無機材料のパターン形成体の作製に利用可能である。また、本発明により、その微細パターンは、100nm以下の範囲で大きさを変更可能である。その結果、多様な無機パターン形成体の作製が可能である。これにより、マイクロデバイスやマイクロセンサーなどの材料素子として利用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のLB膜の製造方法、及び得られたLB膜を鋳型材に用いたパターン形成体の製造方法を模式的に示す図。
【図2】用いるフッ素化脂肪酸の炭素数と、形成されるLB膜のドメイン構造の対数標記した大きさの関係を示す図。
【図3】実施例1で得られたLB膜の原子間力顕微鏡像。
【図4】実施例2で得られたLB膜の原子間力顕微鏡像。
【図5】実施例3で得られたLB膜の原子間力顕微鏡像。
【図6】実施例4で得られたLB膜の原子間力顕微鏡像。
【図7】実施例5で得られた無機膜の原子間力顕微鏡像。
【図8】実施例6で得られた無機膜の原子間力顕微鏡像。
【図9】実施例7におけるチタン前駆体の蒸着方法を模式的に示す図。
【図10】実施例7で得られた無機膜の原子間力顕微鏡像。
【図11】実施例8で得られたLB膜の原子間力顕微鏡像。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明のLB膜の製造方法、及び得られたLB膜を鋳型材に用いたパターン形成体の製造方法を模式的に示す図である。
本発明の第1、2の発明は、LB膜の製造方法及び該方法により得られたLB膜に係るものであって、膜形成分子としてフッ素化脂肪酸を用いるとともに、アルコール/水混合液をLB膜作製時における下層液として用いることで得られた、20〜100nmの規則的なドメイン構造を有するLB膜であることを特徴とするものである。
図に示すとおり、LB膜形成分子としてフッ素化脂肪酸を用いるとともに、アルコール/水混合液をLB膜作製時における下層液として利用することで、相分離により、気液界面に20〜100nmの規則的なドメイン構造を有するLB膜が形成される。
【0015】
また、本発明の第3、4の発明は、上記の20〜100nmの規則的なパターンを有するLB膜を鋳型材に用いて、2次元的な構造を持つパターン形成体を得る方法及び得られたパターン形成体に係るものであって、具体的には、図に示すとおり、得られたLB膜を基板に移しとることにより基板上に該LB膜をコーティングし、さらにこれに無機前駆体をコーティングし、洗浄及び反応の工程を経て、パターン化された無機膜を得るものである。
【0016】
本発明においてLB膜形成分子として用いるフッ素化脂肪酸は、CnF2n+1COOHで示されるパーフルオロ脂肪酸が用いられ、好ましくは、その炭素数nが、10から20のものが用いられるものであり、本発明では、フッ素系界面活性剤として市販されているものをそのまま使用することができるという利点を有する。
図2は、用いるフッ素化脂肪酸の炭素数と、形成されるLB膜のドメイン構造の大きさの関係を示すものである。
本発明は、該図に示すごとく、用いるフッ素化脂肪酸の炭素数により、形成されるドメイン構造の大きさを制御できることを最大の特徴とするものである。
【0017】
本発明では、LB膜形成用分子として上記のフッ素化脂肪酸を用いるとともに、下層液としてアルコール/水混合液を用いて、規則正しいドメイン構造を形成するが、本発明に用いるアルコールとしては、特に限定されないが、好ましくは炭素数が6以下の、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール等の低級アルコール、或いは、これらの混合物であり、中でも、2−プロパノール、2−ブタノールが好ましく、特に、2−プロパノールが好ましい。
本発明に用いるアルコール/水混合液におけるアルコールと水の混合割合は、アルコールのモル分率で0.01以下が用いられ、好ましくは、0.002〜0.007である。
【0018】
本発明において得られたLB膜を鋳型材とするものであれば、無機膜の形成方法は特に限定されないが、好ましくは、無機前駆体を用いて、これを鋳型材であるLB膜のドメイン構造間に吸着させた後、反応することにより無機膜に変換し、同時に鋳型材を除去して、パターン化した無機膜を得るのが好ましい。
【0019】
本発明において用いられる無機膜前駆体としては、無機前駆体がドメイン構造の間に吸着するものであれば、特に限定されないが、たとえば、形成される無機膜がSiO2である場合、パーヒドロポリシラザンなどが用いられ、洗浄後、酸化により無機膜に変化される。
【0020】
本発明において、パーヒドロポリシラザンを無機膜前駆体として吸着させた後、酸化により酸化により無機膜に変換するが、酸化方法としては、酸化剤により方法が好ましく用いられ、該酸化剤として過酸化水素が用いられる。
【0021】
本発明において得られたLB膜を用いて、無機膜を形成するために、金属アルコキシドを用いてもよく、TiO2を形成する場合、チタンテトライソプロポキシドをLB膜のドメイン構造の間に蒸着させた後、洗浄することにより無機膜を得るのが好ましい。
【0022】
本発明において用いられる基板は、特に限定されない。
すなわち、前述の特許文献11に記載の方法では、得られたLB膜を基板上に形成した後、加熱して鋳型を得え、得られた鋳型をシランカップリング剤溶液に浸漬した後、金を真空蒸着させているが、前述のごとく、無機膜前駆体を用いて無機膜を形成する場合には、基板が加熱されることがないので、種々の基板を用いることが可能である。
本発明においては、原子間力顕微鏡像の観察が容易である点から、好ましくはマイカ基板が用いられる。
【実施例】
【0023】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例では、従来公知のLB膜作製装置を用いて、以下のようにして、装置上にラングミュア単分子膜を形成後、基板にコーティングすることでLB膜を作製した。
まず、少量の塩化マグネシウム(5mM)を含む水溶液と2−プロパノールを98:2の割合で混合し、ラングミュア単分子膜を形成するための下層液(サブフェイズ)として、この混合液を利用した。
一方、ヘキサンとテトラヒドロフランの混合溶媒(体積比9:1)にパーフルオロオクタデカン酸(C17F35COOH)を溶解させ、1mg/mlの展開溶液とした。
LB膜作製装置に、前記混合液を流し入れ、その後、マイカ基板を含浸し、前記展開溶液を、該装置に満たした下層溶液上に展開した。
得られた水面上のラングミュア単分子膜を所定(9mN/m)の表面圧まで圧縮した。ついで、予め浸しておいたマイカ基板を引き上げ、1層のLB膜を形成させた。得られた膜には、約96nmのドメインが規則的なヘキサゴナル構造のパターンを持つ鋳型材が形成された。図3は、その原子間力顕微鏡像である。
【0024】
(実施例2)
ヘキサンとテトラヒドロフランの混合溶媒(体積比9:1)にパーフルオロヘキサデカン酸(C15F31COOH)を溶解させ、1mg/mlの展開溶液を得た。
実施例1と同様に、所定の表面圧(14mN/m)まで圧縮した上で、LB膜をマイカ基板上に作製した。得られた膜は、約58nmの多角形ドメインが配列したパターンを持つ鋳型材が形成された。図4は、その原子間力顕微鏡像である。
【0025】
(実施例3)
実施例2と同様にしてヘキサンとテトラヒドロフランの混合溶媒にパーフルオロテトラデカン酸(C13F27COOH)を溶解させ、1mg/mlの展開溶液を得た。
実施例1と同様に、所定の表面圧(17mN/m)まで圧縮した上で、LB膜をマイカ基板上に作製した。得られた膜は、約35nmの多角形ドメインが配列したパターンを持つ鋳型材が形成された。図5は、その原子間力顕微鏡像である。
【0026】
(実施例4)
実施例2の混合溶媒にパーフルオロドデカン酸(C11F23COOH)を溶解させ、1mg/mlの展開溶液を得た。
実施例1と同様に、所定の表面圧(25mN/m)まで圧縮した上で、LB膜をマイカ基板上に作製した。得られた膜は、約20nmの多角形ドメインが配列したパターンを持つ鋳型材が形成された。図6は、その原子間力顕微鏡像である。
【0027】
(実施例5)
0.4%パーヒドロポリシラザンをキシレン溶媒に混合した溶液の中に、実施例1で得られたLB膜鋳型材を60時間浸し、パーヒドロポリシラザンを吸着させた。パーヒドロポリシラザンが吸着した膜を取り出した後、キシレンで3回以上洗浄した。さらに膜を30%過酸化水素とエタノールの混合液(体積比1:99)に浸した。これにより、表面に吸着したパーヒドロポリシラザンは、シリカ(SiO2)となり、同時にこの過程で、鋳型材であるパーフルオロオクタデカン酸のLB膜は、除去された。
得られた膜は、ハニカム状の構造を有するパターン形成体であることがわかった。図7は、その原子間力顕微鏡像である。
本実施例は、LB膜鋳型材が機能していることを示唆するものである。
【0028】
(実施例6)
実施例2で得られたLB膜鋳型材を、実施例5同様にパーヒドロポリシラザン溶液に浸した。さらに実施例5と同様に洗浄、および過酸化水素で酸化した。
得られた膜が、LB膜鋳型材によって形成されたパターン形成体であることがわかった。図8は、本実施例で得られた膜の原子間力顕微鏡像である。
【0029】
(実施例7)
実施例1で得られたLB膜鋳型材を、チタンテトライソプロポキシド溶液を少量入れた容器の中に入れ、チタンテトライソプロポキシド蒸気に曝した状態で、30度で1時間保持した。図9は、チタンテトライソプロポキシドを蒸着させる製造方法を模式的に示す図である。チタンテトライソプロポキシドが吸着した膜を取り出した後、水で洗浄した。これにより、チタンテトライソプロポキシドは、チタニア(TiO2)となり、同時にこの過程で、鋳型材であるパーフルオロオクタデカン酸のLB膜は、除去された。
得られた膜が、LB膜鋳型材によって形成されたパターン形成体であることがわかった。図10は、本実施例で得られた膜の原子間力顕微鏡像である。
【0030】
(実施例8)
実施例3と同様にしてヘキサンとテトラヒドロフランの混合溶媒にパーフルオロテトラデカン酸(C13F27COOH)を溶解させ、1mg/mlの展開溶液を得た。
少量の塩化マグネシウム(5mM)を含む水溶液と2−ブタノールを98:2の割合で混合し、ラングミュア単分子膜を形成するための下層液として、この混合液を利用した。
LB膜作製装置に、前記混合液を流し入れ、その後、マイカ基板を含浸し、前記展開溶液を、該装置に満たした下層溶液上に展開した。
得られた水面上のラングミュア単分子膜を所定(17mN/m)の表面圧まで圧縮した。ついで、予め浸しておいたマイカ基板を引き上げ、1層のLB膜を形成させた。得られた膜は、約35nmの多角形ドメインが配列したパターンを持つ鋳型材が形成された。図11は、その原子間力顕微鏡像である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、規則的に配列した微細パターン構造を持つラングミュア−ブロジェット膜、及び該膜を鋳型材として用いて、基板表面に微細構造のパターンを得る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、半導体分野やマイクロ分析分野を中心に幅広い分野において、マイクロ電子デバイスやマイクロプローブ、マイクロチャネルなどの用途に応じて、材料表面に任意の微細構造のパターン化がなされている。
これまで、材料表面に微細パターン形成体を作製する方法としては、リソグラフィー法、電子ビーム法が最も一般的な方法とされてきた。
リソグラフィー法、特に、フォトリソグラフィー法では、微細構造を効率よく作製できるため、広く利用されている。しかし、回折限界により100nm以下、特に50nm以下の構造を作製するのは、困難である。このような背景から、これらの手法の代替となるパターン化技術の開発が進められてきた。
また、電子ビーム法では、100nm以下の微細構造を得られることができるが、実際に材料の広い範囲にパターンを施すためには、時間、応力を要してきた。
【0003】
100nm以下の微細構造を表面に持つ材料の作製方法として、メソ多孔体を用いた方法(特許文献1〜4)、自己組織化ポリマーを用いた方法(非特許文献1)、インプリント法(特許文献5他多数)、自己組織化膜(SAM膜)(非特許文献2)、ナノ粒子など粒子状物質を配列する方法(特許文献6〜8)などもある。
【0004】
ラングミュア−ブロジェット膜(以下、「LB膜」という。)は、単分子膜の表面コーティング技術として広く利用されている方法であり、LB形成分子が気液界面上に先ず展開され、その展開膜がトラフによって凝縮されて高度にパッキングした凝縮膜に変化するものであり、実際は、これを適当な基板に移しとって用いる。該LB膜をパターン化に利用する方法は多数あるが、多くの方法は、水平方向に均一なLB膜を用いて、物理的に加工することによってパターン化したものである(特許文献9、10他多数)。
【0005】
LB膜自体の相分離を鋳型材に用いて、パターン化へ利用することも少数ながら報告されている。
例えば、松本らは(特許文献11参照)は、部分フッ素化長鎖脂肪酸を用いて、固体基板上に形成したLB膜に加熱処理を施し、有機溶媒で洗浄することにより、ナノサイズの直線構造又は螺旋構造を有するラングミュア膜が得られることを報告している。さらに、該方法で得られた直線構造又は螺旋構想を鋳型に用いて、金からなる100〜150nmの直線構造、あるいは、500nm程度の螺旋構造を有するものを得ている。
また、非特許文献にも、相分離LB膜を利用して、鋳型材として作製することが報告されているが、すべて500nm以上の大きさを有するものである(非特許文献3〜8)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−145831号公報
【特許文献2】特開2005−246369号公報
【特許文献3】特開2006−327854号公報
【特許文献4】特開2008−239483号公報
【特許文献5】特開2010−18666号公報
【特許文献6】特表2007−500606号公報
【特許文献7】特開2007−109705号公報
【特許文献8】特開平8−57406号公報
【特許文献9】特開2009−294683号公報
【特許文献10】特開平10−335717号公報
【特許文献11】特開2006−171131号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Angewandte Chemie International Edition, Vol. 45, 6649-6652(2006)
【非特許文献2】Langmuir, Vol. 24, 1682-1685(2008)
【非特許文献3】Biophysical Journal, Vol. 67, p1229-1237 (1994)
【非特許文献4】Langmuir, Vol. 11, p1341-1346 (1995)
【非特許文献5】Langmuir, Vol. 20, p8728-8734 (2004)
【非特許文献6】Nature Vol. 403, p173-175 (2000)
【非特許文献7】Advanced Materials Vol. 14, p1812-1815 (2002)
【非特許文献8】Advanced Materials Vol. 19, p3668-3671 (2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のとおり、これまで、100nm以下のパターン鋳型材として利用できる100nm以下のLB膜は報告されていない。
また、上記特許文献11の方法では、100〜150nmの直線構造が得られるももの、そのパターンのサイズは、膜形成分子として用いる部分フッ素化長鎖脂肪酸のフッ素化の程度に依存するところが大きく、その調整が困難であるという問題もある。
【0009】
本発明は、こうした従来技術における課題を鑑みてなされたものであって、100nm以下の規則的なパターン構造を有するLB膜及び該LB膜を簡便に得る方法を提供し、さらには、得られたパターンを鋳型材として利用して、2次元的な構造を持つ無機酸化膜、及びその製造方法を提供することを目的とするものでる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、LB膜中の相分離に伴い形成される分子が局在する部分(以下、「ドメイン構造」という。)により、100nm以下の規則的なパターン構造を有する膜が得られ、そのパターン材料を鋳型材として利用して、2次元的な構造を持つ無機酸化膜が得られるという知見を得た。
すなわち、本発明者らは、LB膜形成分子としてフッ素化脂肪酸を用いるとともに、アルコール/水混合液をLB膜作製時における下層液として利用することで、20〜100nmの規則的なドメイン構造を有するLB膜を作製できること、及びこのような構造を持つLB膜を鋳型材として、その周囲に無機前駆体を吸着することで、最終的にパターン化された無機膜を作製することができることを見いだしたものである。
【0011】
本発明はこれらの知見に基づいて完成に至ったものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1] ラングミュア−ブロジェット膜形成分子としてフッ素化脂肪酸を用いるとともに、アルコール/水混合液をラングミュア−ブロジェット膜作製時における下層液として利用することで、20〜100nmの規則的なドメイン構造を有するラングミュア−ブロジェット膜を得ることを特徴とするラングミュア−ブロジェット膜の製造方法。
[2] ラングミュア−ブロジェット膜形成分子としてフッ素化脂肪酸を用いるとともに、アルコール/水混合液をLB膜作製時における下層液として用いることで得られた、20〜100nmの規則的なドメイン構造を有するラングミュア−ブロジェット膜。
[3] 上記[2]のラングミュア−ブロジェット膜からなることを特徴とするパターン形成用の鋳型材。
[4] 上記[3]の鋳型材に用いることを特徴とするパターン形成体の製造方法。
[5] 前記鋳型材の周囲に無機前駆体を吸着させ、その後酸化して無機膜とすることを特徴とする上記[4]のパターン形成体の製造方法。
[6] 上記[3]の鋳型材を用いて形成され、20〜100nmmの2次元構造を有することを特徴とするパターン形成体。
[7] 無機前駆体の酸化物からなることを特徴とする上記[6]のパターン形成体。
【発明の効果】
【0012】
本発明のLB膜による微細パターン化用鋳型材は、シリカ(SiO2)に限らず、様々な無機材料のパターン形成体の作製に利用可能である。また、本発明により、その微細パターンは、100nm以下の範囲で大きさを変更可能である。その結果、多様な無機パターン形成体の作製が可能である。これにより、マイクロデバイスやマイクロセンサーなどの材料素子として利用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のLB膜の製造方法、及び得られたLB膜を鋳型材に用いたパターン形成体の製造方法を模式的に示す図。
【図2】用いるフッ素化脂肪酸の炭素数と、形成されるLB膜のドメイン構造の対数標記した大きさの関係を示す図。
【図3】実施例1で得られたLB膜の原子間力顕微鏡像。
【図4】実施例2で得られたLB膜の原子間力顕微鏡像。
【図5】実施例3で得られたLB膜の原子間力顕微鏡像。
【図6】実施例4で得られたLB膜の原子間力顕微鏡像。
【図7】実施例5で得られた無機膜の原子間力顕微鏡像。
【図8】実施例6で得られた無機膜の原子間力顕微鏡像。
【図9】実施例7におけるチタン前駆体の蒸着方法を模式的に示す図。
【図10】実施例7で得られた無機膜の原子間力顕微鏡像。
【図11】実施例8で得られたLB膜の原子間力顕微鏡像。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明のLB膜の製造方法、及び得られたLB膜を鋳型材に用いたパターン形成体の製造方法を模式的に示す図である。
本発明の第1、2の発明は、LB膜の製造方法及び該方法により得られたLB膜に係るものであって、膜形成分子としてフッ素化脂肪酸を用いるとともに、アルコール/水混合液をLB膜作製時における下層液として用いることで得られた、20〜100nmの規則的なドメイン構造を有するLB膜であることを特徴とするものである。
図に示すとおり、LB膜形成分子としてフッ素化脂肪酸を用いるとともに、アルコール/水混合液をLB膜作製時における下層液として利用することで、相分離により、気液界面に20〜100nmの規則的なドメイン構造を有するLB膜が形成される。
【0015】
また、本発明の第3、4の発明は、上記の20〜100nmの規則的なパターンを有するLB膜を鋳型材に用いて、2次元的な構造を持つパターン形成体を得る方法及び得られたパターン形成体に係るものであって、具体的には、図に示すとおり、得られたLB膜を基板に移しとることにより基板上に該LB膜をコーティングし、さらにこれに無機前駆体をコーティングし、洗浄及び反応の工程を経て、パターン化された無機膜を得るものである。
【0016】
本発明においてLB膜形成分子として用いるフッ素化脂肪酸は、CnF2n+1COOHで示されるパーフルオロ脂肪酸が用いられ、好ましくは、その炭素数nが、10から20のものが用いられるものであり、本発明では、フッ素系界面活性剤として市販されているものをそのまま使用することができるという利点を有する。
図2は、用いるフッ素化脂肪酸の炭素数と、形成されるLB膜のドメイン構造の大きさの関係を示すものである。
本発明は、該図に示すごとく、用いるフッ素化脂肪酸の炭素数により、形成されるドメイン構造の大きさを制御できることを最大の特徴とするものである。
【0017】
本発明では、LB膜形成用分子として上記のフッ素化脂肪酸を用いるとともに、下層液としてアルコール/水混合液を用いて、規則正しいドメイン構造を形成するが、本発明に用いるアルコールとしては、特に限定されないが、好ましくは炭素数が6以下の、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール等の低級アルコール、或いは、これらの混合物であり、中でも、2−プロパノール、2−ブタノールが好ましく、特に、2−プロパノールが好ましい。
本発明に用いるアルコール/水混合液におけるアルコールと水の混合割合は、アルコールのモル分率で0.01以下が用いられ、好ましくは、0.002〜0.007である。
【0018】
本発明において得られたLB膜を鋳型材とするものであれば、無機膜の形成方法は特に限定されないが、好ましくは、無機前駆体を用いて、これを鋳型材であるLB膜のドメイン構造間に吸着させた後、反応することにより無機膜に変換し、同時に鋳型材を除去して、パターン化した無機膜を得るのが好ましい。
【0019】
本発明において用いられる無機膜前駆体としては、無機前駆体がドメイン構造の間に吸着するものであれば、特に限定されないが、たとえば、形成される無機膜がSiO2である場合、パーヒドロポリシラザンなどが用いられ、洗浄後、酸化により無機膜に変化される。
【0020】
本発明において、パーヒドロポリシラザンを無機膜前駆体として吸着させた後、酸化により酸化により無機膜に変換するが、酸化方法としては、酸化剤により方法が好ましく用いられ、該酸化剤として過酸化水素が用いられる。
【0021】
本発明において得られたLB膜を用いて、無機膜を形成するために、金属アルコキシドを用いてもよく、TiO2を形成する場合、チタンテトライソプロポキシドをLB膜のドメイン構造の間に蒸着させた後、洗浄することにより無機膜を得るのが好ましい。
【0022】
本発明において用いられる基板は、特に限定されない。
すなわち、前述の特許文献11に記載の方法では、得られたLB膜を基板上に形成した後、加熱して鋳型を得え、得られた鋳型をシランカップリング剤溶液に浸漬した後、金を真空蒸着させているが、前述のごとく、無機膜前駆体を用いて無機膜を形成する場合には、基板が加熱されることがないので、種々の基板を用いることが可能である。
本発明においては、原子間力顕微鏡像の観察が容易である点から、好ましくはマイカ基板が用いられる。
【実施例】
【0023】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例では、従来公知のLB膜作製装置を用いて、以下のようにして、装置上にラングミュア単分子膜を形成後、基板にコーティングすることでLB膜を作製した。
まず、少量の塩化マグネシウム(5mM)を含む水溶液と2−プロパノールを98:2の割合で混合し、ラングミュア単分子膜を形成するための下層液(サブフェイズ)として、この混合液を利用した。
一方、ヘキサンとテトラヒドロフランの混合溶媒(体積比9:1)にパーフルオロオクタデカン酸(C17F35COOH)を溶解させ、1mg/mlの展開溶液とした。
LB膜作製装置に、前記混合液を流し入れ、その後、マイカ基板を含浸し、前記展開溶液を、該装置に満たした下層溶液上に展開した。
得られた水面上のラングミュア単分子膜を所定(9mN/m)の表面圧まで圧縮した。ついで、予め浸しておいたマイカ基板を引き上げ、1層のLB膜を形成させた。得られた膜には、約96nmのドメインが規則的なヘキサゴナル構造のパターンを持つ鋳型材が形成された。図3は、その原子間力顕微鏡像である。
【0024】
(実施例2)
ヘキサンとテトラヒドロフランの混合溶媒(体積比9:1)にパーフルオロヘキサデカン酸(C15F31COOH)を溶解させ、1mg/mlの展開溶液を得た。
実施例1と同様に、所定の表面圧(14mN/m)まで圧縮した上で、LB膜をマイカ基板上に作製した。得られた膜は、約58nmの多角形ドメインが配列したパターンを持つ鋳型材が形成された。図4は、その原子間力顕微鏡像である。
【0025】
(実施例3)
実施例2と同様にしてヘキサンとテトラヒドロフランの混合溶媒にパーフルオロテトラデカン酸(C13F27COOH)を溶解させ、1mg/mlの展開溶液を得た。
実施例1と同様に、所定の表面圧(17mN/m)まで圧縮した上で、LB膜をマイカ基板上に作製した。得られた膜は、約35nmの多角形ドメインが配列したパターンを持つ鋳型材が形成された。図5は、その原子間力顕微鏡像である。
【0026】
(実施例4)
実施例2の混合溶媒にパーフルオロドデカン酸(C11F23COOH)を溶解させ、1mg/mlの展開溶液を得た。
実施例1と同様に、所定の表面圧(25mN/m)まで圧縮した上で、LB膜をマイカ基板上に作製した。得られた膜は、約20nmの多角形ドメインが配列したパターンを持つ鋳型材が形成された。図6は、その原子間力顕微鏡像である。
【0027】
(実施例5)
0.4%パーヒドロポリシラザンをキシレン溶媒に混合した溶液の中に、実施例1で得られたLB膜鋳型材を60時間浸し、パーヒドロポリシラザンを吸着させた。パーヒドロポリシラザンが吸着した膜を取り出した後、キシレンで3回以上洗浄した。さらに膜を30%過酸化水素とエタノールの混合液(体積比1:99)に浸した。これにより、表面に吸着したパーヒドロポリシラザンは、シリカ(SiO2)となり、同時にこの過程で、鋳型材であるパーフルオロオクタデカン酸のLB膜は、除去された。
得られた膜は、ハニカム状の構造を有するパターン形成体であることがわかった。図7は、その原子間力顕微鏡像である。
本実施例は、LB膜鋳型材が機能していることを示唆するものである。
【0028】
(実施例6)
実施例2で得られたLB膜鋳型材を、実施例5同様にパーヒドロポリシラザン溶液に浸した。さらに実施例5と同様に洗浄、および過酸化水素で酸化した。
得られた膜が、LB膜鋳型材によって形成されたパターン形成体であることがわかった。図8は、本実施例で得られた膜の原子間力顕微鏡像である。
【0029】
(実施例7)
実施例1で得られたLB膜鋳型材を、チタンテトライソプロポキシド溶液を少量入れた容器の中に入れ、チタンテトライソプロポキシド蒸気に曝した状態で、30度で1時間保持した。図9は、チタンテトライソプロポキシドを蒸着させる製造方法を模式的に示す図である。チタンテトライソプロポキシドが吸着した膜を取り出した後、水で洗浄した。これにより、チタンテトライソプロポキシドは、チタニア(TiO2)となり、同時にこの過程で、鋳型材であるパーフルオロオクタデカン酸のLB膜は、除去された。
得られた膜が、LB膜鋳型材によって形成されたパターン形成体であることがわかった。図10は、本実施例で得られた膜の原子間力顕微鏡像である。
【0030】
(実施例8)
実施例3と同様にしてヘキサンとテトラヒドロフランの混合溶媒にパーフルオロテトラデカン酸(C13F27COOH)を溶解させ、1mg/mlの展開溶液を得た。
少量の塩化マグネシウム(5mM)を含む水溶液と2−ブタノールを98:2の割合で混合し、ラングミュア単分子膜を形成するための下層液として、この混合液を利用した。
LB膜作製装置に、前記混合液を流し入れ、その後、マイカ基板を含浸し、前記展開溶液を、該装置に満たした下層溶液上に展開した。
得られた水面上のラングミュア単分子膜を所定(17mN/m)の表面圧まで圧縮した。ついで、予め浸しておいたマイカ基板を引き上げ、1層のLB膜を形成させた。得られた膜は、約35nmの多角形ドメインが配列したパターンを持つ鋳型材が形成された。図11は、その原子間力顕微鏡像である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラングミュア−ブロジェット膜形成分子としてフッ素化脂肪酸を用いるとともに、アルコール/水混合液をラングミュア−ブロジェット膜作製時における下層液として利用することで、20〜100nmの規則的なドメイン構造を有するラングミュア−ブロジェット膜を得ることを特徴とするラングミュア−ブロジェット膜の製造方法。
【請求項2】
ラングミュア−ブロジェット膜形成分子としてフッ素化脂肪酸を用いるとともに、アルコール/水混合液をLB膜作製時における下層液として用いることで得られた、20〜100nmの規則的なドメイン構造を有するラングミュア−ブロジェット膜。
【請求項3】
請求項2に記載されたラングミュア−ブロジェット膜からなることを特徴とするパターン形成用の鋳型材。
【請求項4】
請求項3に記載された鋳型材に用いることを特徴とするパターン形成体の製造方法。
【請求項5】
前記鋳型材の周囲に無機前駆体を吸着させ、その後反応して無機膜とすることを特徴とする請求項4に記載のパターン形成体の製造方法。
【請求項6】
請求項3に記載された鋳型材を用いて形成され、20〜100nmの2次元構造を有することを特徴とするパターン形成体。
【請求項7】
無機前駆体の酸化物からなることを特徴とする請求項6に記載されたパターン形成体。
【請求項1】
ラングミュア−ブロジェット膜形成分子としてフッ素化脂肪酸を用いるとともに、アルコール/水混合液をラングミュア−ブロジェット膜作製時における下層液として利用することで、20〜100nmの規則的なドメイン構造を有するラングミュア−ブロジェット膜を得ることを特徴とするラングミュア−ブロジェット膜の製造方法。
【請求項2】
ラングミュア−ブロジェット膜形成分子としてフッ素化脂肪酸を用いるとともに、アルコール/水混合液をLB膜作製時における下層液として用いることで得られた、20〜100nmの規則的なドメイン構造を有するラングミュア−ブロジェット膜。
【請求項3】
請求項2に記載されたラングミュア−ブロジェット膜からなることを特徴とするパターン形成用の鋳型材。
【請求項4】
請求項3に記載された鋳型材に用いることを特徴とするパターン形成体の製造方法。
【請求項5】
前記鋳型材の周囲に無機前駆体を吸着させ、その後反応して無機膜とすることを特徴とする請求項4に記載のパターン形成体の製造方法。
【請求項6】
請求項3に記載された鋳型材を用いて形成され、20〜100nmの2次元構造を有することを特徴とするパターン形成体。
【請求項7】
無機前駆体の酸化物からなることを特徴とする請求項6に記載されたパターン形成体。
【図2】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−177645(P2011−177645A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43829(P2010−43829)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】
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