説明

リチウム二次電池

【課題】 放熱効率のよい高出力のリチウム二次電池を提供することにある。
【解決手段】 素電池用パッケージ2内に収納してあり、正極と負極の集電材11、12をシールして素電池用パッケージの外部に取り出してある面状のリチウム素電池1と、複数のリチウム素電池1を積層して収納する外パッケージ6と、素電池用パッケージ2の外部に取り出してある正極と負極の集電材11、12と各々電気的に接続してあり、外パッケージ6の外部に配置してある正極と負極の端子113、123と、を備えている、リチウム二次電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム二次電池に関するもので、特に高出力用リチウム二次電池に関するものである。

【背景技術】
【0002】
二次電池において、複数の素電池を一つのパッケージ内に収納し、各素電池の集電材をそのパッケージ内でタブに接続し、タブをパッケージの外部に取り出している(特許文献1参照)。そのため、複数の素電池の電流は、タブに集中するために、高出力の電気を取り出すことができなかった。また、複数の素電池が一つのパッケージ内に収納してあるので、1つの素電池が故障すると、電池全体の故障につながる恐れがある。また、従来、集電材の両面に電極層を形成してあるため、電極層で発生した熱を放出するための経路が少なく、十分に放熱することができなかった。
【特許文献1】特開2004−031269
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
(1)本発明は、高出力のリチウム二次電池を提供することにある。
(2)又は、本発明は、放熱効率のよいリチウム二次電池を提供することにある。
(3)又は、本発明は、安全性の高いリチウム二次電池を提供することにある。

【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、素電池用パッケージ内に収納してあり、正極と負極の集電材をシールして素電池用パッケージの外部に取り出してある面状のリチウム素電池と、複数のリチウム素電池を積層して収納する外パッケージと、素電池用パッケージの外部に取り出してある正極と負極の集電材と各々電気的に接続してあり、外パッケージの外部に配置してある正極と負極の端子と、を備えている、リチウム二次電池にある。

【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
(1)リチウム二次電池の概要
本実施の形態のリチウム二次電池は、正負の電極層とリチウムイオンとの間で電気の受け渡しをし、充放電可能な電池であり、特に、高出力、ハイレートに適用できる構造を有している。リチウム二次電池は、複数のリチウム素電池を積層して外パッケージ内に配置した構成を取っている。これらのリチウム素電池は、素電池用パッケージに収納されている。リチウム素電池の正極集電材と負極集電材は、シール材でシールされて、素電池用パッケージの外部に取り出されている。この取り出された複数の正極集電材と負極集電材は、大電流が流れるように連結部材で電気的に連結されている。正極集電材と負極集電材は、素電池用パッケージ内でタブに接続することなく、素電池用パッケージの外側に直接取り出されているので、正極と負極の集電材を介して、大電流を流すことができ、更に、放熱特性を高めることができる。また、正極と負極の集電材の片面のみに正と負の電極層が形成されているので、電極層が形成されていない集電材の反対面からも放熱することができる。

【0006】
(2)リチウム素電池
リチウム素電池は、リチウムイオンとの間で電気の受け渡しをする正極集電材と負極集電材、リチウムイオンの出し入れをする正電極層と負電極層、リチウムイオンが移動できる電解液などの電解物質を備えたものである。正電極層と負電極層の短絡を防止するために、必要に応じて、正電極層と負電極層間にセパレータが配置される。リチウム素電池は、例えば図1乃至図2のように、素電池用パッケージ2内に正極集電材11、負極集電材12、正電極層111、負電極層121、電解物質3、セパレータを収納し、平面状に形成されている。各リチウム素電池1は、個々に素電池用パッケージに収納され、真空に引かれ、両面から大気圧がかかった状態で押圧されている。この単純な形状であるため、各リチウム素電池は、性能の揃った電池を得ることができる。正極と負極の集電材11、12は、電極層111、121に比べて面積を大きく取り、シール材21、21でシールされ、素電池用パッケージ2から外部に取り出されている。正極集電材11は、素電池用パッケージ2の一方の側面から取り出され、負極集電材12は、他方の側面から取り出される。正電極層111と負電極層121は、各々正極集電材11と正極集電材12の片面に形成される。その場合、電極層で発生する熱は、集電材の全体を流れ放出され、また、電極層の形成されていない集電材の反対面から放出されるので、放熱効率がよくなっている。素電池用パッケージ2は、水や電解液に対して非透過性であり、電解液に対して耐腐食性を有している。素電池用パッケージ2内には、除水材を封入し、電解液内の水分発生を抑え、素電池の高特性を維持する。

【0007】
(3)リチウム二次電池
リチウム二次電池は、例えば図3に示すように、外パッケージ6内に複数のリチウム素電池1を積層して配置してある。リチウム二次電池は、2重のパッケージ2、6で保護されているので、安全性が高く、素電池用パッケージ2が損傷して液漏れが発生しても、外パッケージ6で保護することができる。各リチウム素電池1の正極集電材11と負極集電材12を連結部材5で連結して、外パッケージ6から外部の正極端子113と負極端子123に接続している。リチウム素電池1の正極集電材11と負極集電材12は、各々穴112、122が複数個開けられ、穴にボルトなどの棒状材51を通して、固定材53で押圧されて固定され、相互に電気的に、また、熱的に連結してある。穴112、122の個数や棒状材51の太さは、流れる電流量に応じて決められる。それにより、集電材11、12を介して大電流を外部に流すことができると共に、集電材11、12を介して熱を素電池用パッケージ2や外パッケージ6の外部に効率よく放出することができる。
【0008】
積層されたリチウム素電池1は、図4に示すように、押圧材52で押圧される。押圧材52は、外パッケージ6の筐体の上面と下面で構成してもよい。積層されたリチウム素電池1の間にバネ材など弾性を有する弾性材54を入れることにより、各リチウム素電池1を均一に押圧することができる。また、積層したリチウム素電池1は、積層された両側(上下面)から押圧されるので、個々のリチウム素電池1は、均一に押圧され、しかも、大きな圧力が付与されるので、高出力の均一なリチウム二次電池を得ることができる。また、リチウム素電池1は、個々にパッケージに収納されているので、1個が故障して動作しなくなっても、他のリチウム素電池1は影響を受けないので、リチウム二次電池を使用し続けることができ、安全性の高いリチウム二次電池を得ることができる。

【0009】
(4)集電材
リチウム素電池の正極及び負極の集電材は、面状体であり、従来公知のものを利用することができる。集電材は、例えば、アルミニウム箔や板、ステンレス箔や板、ニッケルとアルミニウムのクラッド材、銅とアルミニウムのクラッド材、あるいはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが好ましい。また、金属表面に、アルミニウムを被覆させた集電材であってもよい。また、場合によっては、2つ以上の金属箔を張り合わせた集電材を用いてもよい。耐蝕性、作り易さ、経済性などの観点からは、アルミニウム箔や板を集電材として用いることが好ましい。

【0010】
(5)正電極層
正電極層は、正極における電極層であり、少なくとも正電極活物質を含んでいる。正電極層の電子伝導性を高めるために導電助材を含める。また、正電極層は、正電極活物質や導電助材を結合するためにバインダーを含める。また、正電極層は、イオン伝導性を高めるためにリチウム塩を含めるとよい。正電極層は、イオンが移動できるように電解物質が入り込み易いとよい。
【0011】
正電極活物質としては、遷移金属とリチウムとの複合酸化物であるリチウム−遷移金属複合酸化物が好適に使用できる。正電極活物質として、具体的には、LiCoOなどのLi・Co系複合酸化物、LiNiOなどのLi・Ni系複合酸化物、スピネルLiMnなどのLi・Mn系複合酸化物、LiFeOなどのLi・Fe系複合酸化物およびこれらの遷移金属の一部を他の元素により置換したものなどが使用できる。これらリチウム−遷移金属複合酸化物は、反応性、サイクル耐久性に優れ、低コストな材料である。そのため、これらの材料を電極に用いることにより、出力特性に優れた電池を形成することができる。この他、正電極活物質は、LiFePOなどの遷移金属とリチウムのリン酸化合物や硫酸化合物、V、MnO、TiS、MoS、MoOなどの遷移金属酸化物や硫化物、PbO、AgO、NiOOHなどが挙げられる。
【0012】
正電極活物質の表面積は、30m/g以上が好ましく、特に、100m/g以上が好ましい。正電極活物質の粒径は、微細なものが好ましい。正電極活物質の粒径は、好ましくは、0.01μm〜20μmであり、より好ましくは、0.01μm〜3μmである。
【0013】
正電極活物質が微細になることより、単位重量あたりの反応サイトが多くなり、大電力であり大電流の二次電池を得ることができる。大電力であり大電流の二次電池は、特に、微細な電極活物質と面状体を使用することにより、より多く達成することができる。面状体により、均一な空間を有する厚い電極層を形成できるので、電極層に均一に電解物質を配置でき、また、バインダーを少なくできる。通常、このような微細な電極活物質を用いてバインダーと共に塗工した電極は、集電材への接着力が弱く、はがれ易く、また、電極活物質の粉落ちが生じやすいが、面状体を用いることにより、剥がれ、粉落ちが無く、電極活物質や導電助剤の粉体の落下などを防止することができる。
【0014】
面状体は、内部に電極活物質を配置して電極層を形成できる構造を有している。面状体は、図2では、正電極層111と負電極層121と同一の形状になっている。面状体は、厚みを有する面状の形状をしている。面状体は、少なくとも電極活物質が内部に存在する繊維質又は多孔質である。面状体は、少なくとも電極活物質が内部に浸入できるとよい。繊維質は、不織布、織布、編み布、紙など繊維の集合体からなる材料を含み、又は多孔質は、発泡などにより多数の連続した孔を有する多孔体からなる材料を含むものである。面状体内には、通常、繊維質又は多孔質の内部の空間に電極活物質、導電助剤、及びバインダー及び電解質が配置される。面状体は、非導電性の性質を有しているとよい。面状体は、導電性を有さない非金属性の性質を有しているとよい。面状体は、電解質を含浸できる含浸性を有しているとよい。含浸性を持たせることにより、電極層全体に均一に電解質を分布することができる。面状体は、電解質を多く吸引できるので、面状体内に在る多数の電極活物質の周囲に満遍なく電解質を配置することができる。
【0015】
面状体は、集電材上に直接接していてもよく、又は、集電材上に離れて配置していても良い。いずれにおいても、面状体は、集電材上に、集電材の面に対向するように配置する。面状体が集電材上に直接接していると、集電材と面状体が面で接着するので、全体の接着強度がより強くなる。面状体は、集電材上にほぼ面平行に配置するとよい。面状体内に電極層を形成することにより、より小さい微粉の電極活物質でも電極層を厚くでき、電極の変形を防止でき、電極の物理強度を向上でき、電極において活物質、導電助剤などの粉末の粉落ちを防止でき、又は、電極をプレスしたときに、面状体により一定以上つぶれない様にでき、活物質間の空隙を保持でき、粒子間の接着強度が上がりバインダーの使用量を減少でき、面全体の強度が鉄筋構造の建物のように、強度を高めることができ、電極層が一体に形成されるので集電材との接着強度が高まり、セパレータ設置工程が不要にでき、面状体の上からプレスするので均一に加圧でき、電極表面が平滑にでき、又は、電極を切断した時、断面の切り口が崩れにくくなると同時に、集電材1のバリが発生しにくくなり内部ショートを防止できるなど、種々の効果を得ることができる。面状体は、本発明の効果が得られる程度に実質的に面状の形状であれば良い。
【0016】
導電助材としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。ただし、これらに限られるわけではない。
【0017】
バインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、SBR、ポリイミドなどが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
【0018】
リチウム塩としては、LiBETI(リチウムビス(パーフルオロエチレンスルホニルイミド);Li(CSONとも記載)、LiBF、LiPF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiBOB(リチウムビスオキサイドボレート)またはこれらの混合物などが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない
【0019】
正電極層の厚さは、特に限定するものではなく、配合量について述べたように、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)により、イオン伝導性を考慮して決定すべきである。一般的な正電極層の厚さは、10μm〜500μm程度である。

【0020】
(6)負電極層
負電極層は、負極における電極層であり、少なくとも負極活物質を含んでいる。負電極層の電子伝導性を高めるために導電助材を含めるとよい。また、負電極層は、負極活物質や導電助材を結合するためにバインダーを含めるとよい。また、負電極層は、イオン伝導性を高めるためにリチウム塩を含めるとよい。負電極層は、イオンが移動できるように電解物質が入り込み易いとよい。なお、負電極層は、負極活物質の種類以外は、基本的に「正電極層」の項で記載した内容と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0021】
負極活物質としては、各種の天然黒鉛、人造黒鉛、例えば繊維状黒鉛、鱗片状黒鉛、球状黒鉛などの黒鉛類、又は各種のリチウム合金類などが挙げられる。具体的には、カーボン、グラファイト、金属酸化物、リチウム−金属複合酸化物などを用いることができるが、好ましくはカーボンまたはリチウム−遷移金属複合酸化物がよい。これらカーボンまたはリチウム−遷移金属複合酸化物は、反応性、サイクル耐久性に優れ、低コストな材料である。そのため、これらの材料を電極に用いることにより、出力特性に優れた電池を形成することができる。なお、リチウム−遷移金属複合酸化物としては、例えば、LiTi12などのリチウム−チタン複合酸化物などを用いることができる。また、カーボンとしては、例えば、黒鉛(グラファイト)、ハードカーボン、ソフトカーボンなどを用いることができる。
【0022】
負電極層として金属リチウム自体を用いることが出来る。箔状の金属リチウムに本願の面状体内部に電極層を形成した正極を組合せて二次電池としても良い。特に表面に非導電性の面が出るように形成した正極はリチウム箔に面状体部分を接触させて対向するように配置して用いると良い。これにより、金属リチウムを用いた二次電池で問題となるデンドライト短絡(充放電に伴うリチウム金属の樹状析出物による内部ショートによる故障事故を防ぐことが出来る。
【0023】
負電極層の厚さは、特に限定するものではなく、正電極層と同様に、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して決定する。一般的な負電極層の厚さは10〜500μm程度である。また、負極活物質の粒径は、微細なものが好ましい。負極活物質の粒径は、好ましくは、0.01μm〜30μmであり、より好ましくは、0.01μm〜10μmであり、より好ましくは、0.01μm〜5μmである。

【0024】
(7)電解物質
電解物質としては、リチウムイオン二次電池に用いられるものであれば制限されるものではない。リチウム塩(前記、正電極層の項で記載)を1)プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)等の環状カーボネート類、2)ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート類、3)テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等のエーテル類、4)γ−ブチロラクトン等のラクトン類、5)アセトニトリル等のニトリル類、6)プロピオン酸メチル等のエステル類、7)ジメチルホルムアミド等のアミド類、8)酢酸メチル、蟻酸メチルの中から選ばれる少なくともから1種類または2種以上を混合した、非プロトン性溶媒等の有機溶媒などに溶解した電解液を用いることが出来る。
【0025】
電解物質としては、正極と負極の間に電解物質層を形成し、電解物質層にポリマー電解物質を用いる場合には、電極層2にもポリマー電解物質が含まれていることが望ましい。電極層における活物質間の空隙にポリマー電解物質を充填することによって、電極層におけるイオン伝導がスムーズになり、リチウムイオン二次電池全体としての出力向上が図れるためである。
【0026】
ポリマー電解物質としては、ポリマーに電解液を保持させたポリマーゲル電解物質と、ポリマー電解物質とリチウム塩などの支持塩のみで構成される全固体ポリマー電解物質と、が挙げられる。
【0027】
全固体ポリマー電解物質としては、特に限定されるものではなく、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、これらの共重合体などが挙げられる。オキシアルキレンセグメント分子鎖中あるいは分岐鎖中に含有するポリマーも好適に使用できる。分岐型ポリエチレンオキシド、分岐型ポリプロピレンオキシド、ヒドロキシプロピル多糖誘導体、ヒドロキシエチル多糖誘導体、ジヒドロキシエチル多糖誘導体、オキシアルキレンセグメントを有するポリウレタン系ポリマー、オキシアルキレンセグメントを有するポリメチルメタクリレートおよびアクリレート系ポリマー、オキシアルキレンセグメントを有するシリコン系ポリマーなどが好適に用いられる。ここにあげたポリマーは、LiBF、LiPF、LiN(SOCF、LiN(SOなどのリチウム塩をよく溶解し得る。これらのリチウム塩を0.5M〜1.5M程度の濃度で固体状態で溶解し、10−5Scm−1以上のイオン導電性を有するポリマーが好ましい。本発明において全固体ポリマー電解物質は、電極特性をより向上させるために、正電極層および負電極層の双方に含まれることが好適である。
【0028】
また、ポリマーゲル電解物質としては、各種のポリマーに電解液を含んでなるものである。ポリマーとしては、上記の全固体ポリマー電解物質を用いることが好ましいが、限定されるものではない。リチウムイオン導伝性を持たないポリマー(ホストポリマー)の骨格中に、同様の電解液を保持させたものも含まれる。
【0029】
ここで、ポリマーゲル電解物質に含まれる電解液(電解物質塩および可塑剤)としては、通常リチウムイオン電池で用いられるものであればよく、例えば、LiBOB(リチウムビスオキサイドボレート)、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON(LiBETI)等の有機酸陰イオン塩の中から選ばれる、少なくとも1種類のリチウム塩(電解物質塩)を含み、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等のエーテル類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトニトリル等のニトリル類;プロピオン酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;酢酸メチル、蟻酸メチルの中から選ばれる少なくともから1種類または2種以上を混合した、非プロトン性溶媒等の有機溶媒(可塑剤)を用いたものなどが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
【0030】
ポリマーゲル電解物質に用いられるリチウムイオン導伝性を持たないポリマーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。なお、PAN、PMMAなどは、どちらかと言うとイオン伝導性がほとんどない部類に入るものであるため、上記イオン伝導性を有するポリマーとすることもできるが、ここではポリマーゲル電解物質に用いられるリチウムイオン導伝性を持たないポリマーとして例示したものである。
【0031】
ポリマーゲル電解物質中のホストポリマーと電解液との比率(質量比)は、使用目的などに応じて決定すればよいが、2:98〜90:10の範囲である。すなわち、電極層の外周部からの電解物質の染み出しについても、絶縁層や絶縁処理部を設けることで効果的にシールすることができる。そのため、上記ポリマーゲル電解物質中のホストポリマーと電解液との比率(質量比)に関しても、比較的電池特性を優先したものとすることができる。

【0032】
(8)セパレータ
セパレータは、正電極層と負電極層間の電気的接触を防止しするものであり、イオンを通過できるものであり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの多孔質材料が使用できる。

【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】リチウム素電池の説明図
【図2】リチウム素電池の断面図
【図3】リチウム電池の構造の説明図
【図4】リチウム素電池の積層構造の説明図
【符号の説明】
【0034】
1・・・リチウム素電池
11・・正極集電材
111・正電極層
112・穴
113・正極端子
12・・負極集電材
121・負電極層
122・穴
123・負極端子
2・・・素電池用パッケージ
21・・孔
3・・・電解物質
4・・・セパレータ
5・・・連結部材
51・・棒状材
52・・押圧材
53・・固定材
54・・弾性材
6・・・外パッケージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素電池用パッケージ内に収納してあり、正極と負極の集電材をシールして素電池用パッケージの外部に取り出してある面状のリチウム素電池と、
複数のリチウム素電池を積層して収納する外パッケージと、
素電池用パッケージの外部に取り出してある正極と負極の集電材と各々電気的に接続してあり、外パッケージの外部に配置してある正極と負極の端子と、を備えている、リチウム二次電池。

【請求項2】
請求項1に記載のリチウム二次電池において、
リチウム素電池の集電材は、片面に電極層が形成してある、リチウム二次電池。

【請求項3】
請求項1に記載のリチウム二次電池において、
積層してある複数のリチウム素電池の間に挿入された弾性材と、
積層してある複数のリチウム素電池の両側を押圧する板材と、を備えている、リチウム二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−339054(P2006−339054A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−163623(P2005−163623)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(503316189)エナストラクト株式会社 (4)
【Fターム(参考)】