説明

リニアアクチュエータ

【課題】完全に伸縮する時間を低減でき、リニア運動の安定性及び精確度が向上するリニアアクチュエータを提供する。
【解決手段】内管40と、中管30と、外管20とを枢着して構成され、各管体には、円弧部と、案内部とが成形してあり、外管20には、ねじ軸22と、固定ロッド24、25とが軸方向に設けてあり、前記固定ロッド24、25は、それぞれ中管30と内管40とに貫入され、その端部に引き具242、252がそれぞれ設けてあり、引き具の端部がそれぞれ内管40に固定され、中管30の軸方向に設けられる押えコラム35がねじ軸22と螺合し、押えコラム35と中管30とには案内ホイルA、Bがそれぞれ枢着してあり、これらの案内ホイルA、Bには引き具242、252がそれぞれ巻き付けてあり、ねじ軸22と押えコラム35とが回転されて相対運動すると、各管体が移動され、案内ホイル及び引き具を使用すると、三つの管体を同期に伸縮することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータに係り、特に、リニアアクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
非一緒移動式アクチュエータ90は、図1に示すように、台座91と、第一胴体92と、第二胴体93と、第三胴体94と、モータ95と、第一ねじ軸96と、第二ねじ軸97と、第三ねじ軸98と、を含む。
【0003】
前記第一胴体92は、収容空間921を有し、一端が台座91の頂側に固定される。
【0004】
前記第二胴体93は、貫入空間931を有し、前記第一胴体92の収容空間921内に枢着される。
【0005】
前記第三胴体94は、貫入空間941を有し、前記第二胴体93の貫入空間931内に枢着され、モータ95が前記第三胴体94の一端に固定される。
【0006】
前記第一ねじ軸96は、中空であり、外ねじ壁961を有し、一端が前記台座91の頂側に固定される。
【0007】
前記第二ねじ軸97は、中空であり、第一内ねじ壁971および第二内ねじ壁972を有し、前記第二内ねじ壁972が前記第一ねじ軸96の外ねじ壁961と螺合し、前記第二ねじ軸97は、一端が前記第二胴体93の収容空間921の開放端に取付けられ、他端が前記第三胴体94の貫入空間931の開放端に取付けられる。
【0008】
前記第三ねじ軸98は、中空であり、第一外ねじ壁981を有し、前記第一外ねじ壁981が前記第二ねじ軸97の第一内ねじ壁971に対応し、前記第三ねじ軸98の一端が前記モータ95の出力軸と連結する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、非一緒移動式アクチュエータ90は次のような欠点があった。
(1)第三胴体94が限界まで移動しないと、第二胴体93を駆動不能であるので、アクチュエータ全体を完全に伸びるまで時間がかなり掛かられる。
【0010】
(2)第三ねじ軸98が限界まで回転した後に、始めて第二ねじ軸97を回転可能であるので、第一胴体92と第二胴体93と第三胴体94とが各ねじ軸96,97,98に駆動され、なお、それらの胴体は、円形断面であるため、回転し易く、これにより、リニア運動が影響され、安定性が低下になり、精確度が降下する。
【0011】
本発明の主な目的は、ねじ軸および押えコラムにより各管体を相対運動すると共に、複数の案内ホイル及び複数の引き具を使用することにより、外管と中管と内管とを同期に伸縮可能であり、完全に伸縮する時間を低減可能であるリニアアクチュエータを提供することにある。
【0012】
本発明の次の目的は、円弧部および案内部により、外管と中管と内管とが移動しながら回転することを回避可能であり、リニア運動の安定性および精確度が向上するリニアアクチュエータを提供することにある。
【0013】
本発明の別の目的は、二つの調整ネジにて二つの固定ロッドの高さを調整するだけで、第一引き具と第二引き具とのテンションを制御可能であるリニアアクチュエータを提供することにある。

【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するためになされた本願の発明は、その上で互いに連接している円弧部と案内部とが環設してあり、一端に蓋が設けてあり、前記蓋の軸方向には、ねじ軸と、第一固定ロッドと、第二固定ロッドとが設けてあり、前記第一固定ロッドの端部に第一引き具が設けてあり、前記第二固定ロッドの端部に第二引き具が設けてある外管と、
前記外管の内部に枢着され、その上で互いに連接している円弧部と案内部とが環設してあり、前記円弧部と案内部とがそれぞれ前記外管の円弧部と案内部と当接し、その一端には前記外管の蓋に応じて蓋が設けてあり、前記蓋の一側にはねじ穴が開設された押えコラムが成形してあり、前記押えコラムは、前記外管のねじ軸と螺合し、その上で案内ホイルが枢着してあり、また、前記蓋には前記外管の二つの固定ロッドを挿通する貫通孔が複数に開設してあり、前記蓋の他側には案内ホイルが枢着してある中管と、
前記中管の内部に枢着され、その上で互いに連接している円弧部と案内部とが環設してあり、前記円弧部と案内部とがそれぞれ前記中管の円弧部と案内部と当接し、その一端には前記中管の蓋に応じて蓋が設けてあり、前記蓋には前記中管の蓋に設けられた押えコラムと貫通孔とに対応する貫通孔が複数に開設してあり、前記中管の押えコラムが一つの前記貫通孔を挿通し、前記外管の第一固定ロッドが他の前記貫通孔を挿通し、前記第一引き具は、一端が前記第一固定ロッドに位置決められ、他端がその蓋に組付けられ、その両端の間が一つの案内ホイルを架け渡し、また、前記外管の第二固定ロッドが一つの貫通孔を挿通し、前記第二引き具は、一端が前記第二固定ロッドに位置決められ、他端がその蓋に組付けられ、その両端の間が他の案内ホイルを巻き付ける内管と、を含むことを特徴とするリニアアクチュエータであることを要旨としている。
【0015】
本願の発明では、前記外管の二つの固定ロッドがそれぞれ調整ネジにて前記蓋に締付けられることを特徴とする請求項1に記載のリニアアクチュエータであることを要旨としている。
【0016】
本願の発明では、前記外管の円弧部と案内部とが離間して設けられ、前記中管の円弧部と案内部とが離間して設けられ、前記内管の円弧部と案内部とが離間して設けられることを特徴とする請求項1に記載のリニアアクチュエータであることを要旨としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明のリニアアクチュエータによれば、次のような効果がある。
(1)ねじ軸および押えコラムにより各管体を相対運動すると共に、複数の案内ホイル及び複数の引き具を使用することにより、外管と中管と内管とを同期に伸縮可能であり、完全に伸縮する時間を低減可能である。
【0018】
(2)円弧部および案内部により、外管と中管と内管とが移動しながら回転することを回避可能であり、リニア運動の安定性および精確度が向上する。
【0019】
(3)二つの調整ネジにて二つの固定ロッドの高さを調整するだけで、第一引き具と第二引き具とのテンションを制御可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0021】
まず、図4乃至図8を参照する。本発明のリニアアクチュエータ10は、外管20と、中管30と、内管40と、を含む。
【0022】
前記外管20は、壁面に三つの円弧部201と三つの案内部202とが離間して設けてあり、一つの円弧部201が二つの案内部202の間に位置し、前記外管20の一端に底蓋21が設けてあり、前記底蓋21の軸方向にねじ軸22が枢着してあり、前記ねじ軸22の一端の半径方向にギア23が成形され、前記ギア23が動力に駆動可能であり、第一調整ネジ241と第二調整ネジ251とにより、第一固定ロッド24と第二固定ロッド25とが前記外管20の底蓋21に締付けられ、第一固定ロッド24の頂端にはベルトである第一引き具242が固定してあり、第二固定ロッド25の頂端にはワイヤである第二引き具252が固定してある。
【0023】
前記中管30は、壁面に三つの円弧部301と三つの案内部302とが離間して設けてあり、前記外管20の内部に枢着され、その上で互いに連接している円弧部301と案内部302とがそれぞれ前記外管20の円弧部201と案内部202と当接し、その一端には底蓋31が組付けてあり、前記底蓋31には、第一貫通孔32と、第二貫通孔33と、第三貫通孔34とが開設してあり、前記第一貫通孔32の一側にはねじ穴351が開設された押えコラム35が軸方向に成形してあり、前記押えコラム35は、そのねじ穴351が前記外管20のねじ軸22と螺合し、その上で第一案内ホイルAが軸方向に枢着してあり、また、前記外管20の第一固定ロッド24が第二貫通孔33を挿通し、前記外管20の第二固定ロッド25が第三貫通孔34を挿通し、前記外管20において、底蓋31の底面には第二案内ホイルBが軸方向に枢着してある。
【0024】
前記内管40は、壁面に三つの円弧部401と三つの案内部402とが離間して設けてあり、前記中管30の内部に枢着され、その上で互いに連接している円弧部401と案内部402とがそれぞれ前記中管30の円弧部301と案内部302と当接し、その一端には底蓋41が組付けてあり、前記底蓋41には、第一貫通孔42と、第二貫通孔43と、第三貫通孔44とが開設してあり、前記第一貫通孔42が底蓋31にある押えコラム35に対応し、前記第二貫通孔43が第二貫通孔33に対応し、前記第三貫通孔44が第三貫通孔34に対応し、前記中管30の押えコラム35が第一貫通孔42を挿通し、これにより、押えコラム35の第一案内ホイルAが内管40内に収容されるようになり、外管20の第一固定ロッド24が第二貫通孔43を挿通し、前記第一引き具242は、一端が第一固定ロッド24に位置決められ、他端が内管40の底蓋41の頂側に固定され、且つその両端の間が第一案内ホイルAを巻き付け、外管20の第二固定ロッド25が第三貫通孔44を挿通し、前記第二引き具252は、一端が第二固定ロッド25に位置決められ、他端が内管40の底蓋41の底側に固定され、且つその両端の間が第二案内ホイルBを巻き付ける。
【0025】
次に、図5乃至図8を参照しながら本発明の作動方式および機能を詳細に説明する。
【0026】
ねじ軸22の外ねじがねじ穴351の内ねじと螺合する状態で、ねじ軸22がねじ穴351に沿って回転して押えコラム35を移動し、これにより、中管30の円弧部301及び案内部302が外管20の円弧部201及び案内部202に沿って上に移動すると共に、押えコラム35の第一案内ホイルAが第一引き具242に沿って回転するようになり、第一引き具242の一端が第一固定ロッド24に拘束されるので、第一引き具242の他端が内管40の底蓋41を引き動き、これにより、内管40の円弧部401及び案内部402が中管30の円弧部301及び案内部302に沿って上に移動し、なお、内管40が上に移動すると、内管40は第二引き具252の一端を引き動き、第二引き具252の他端が第二固定ロッド25に拘束されるので、第二案内ホイルBは第二引き具252に沿って回転し中管30の移動を補助する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】従来のものの組合状態の概略図である。
【図2】従来のものの伸びた状態の概略図1である。
【図3】従来のものの伸びた状態の概略図2である。
【図4】本発明の外観図である。
【図5】本発明の伸びていない状態の概略図1である。
【図6】本発明の伸びていない状態の概略図2である。
【図7】本発明の伸びた状態の概略図1である。
【図8】本発明の伸びた状態の概略図2である。
【符号の説明】
【0028】
10 リニアアクチュエータ 20 外管
21 底蓋 22 ねじ軸
23 ギア 24 第一固定ロッド
25 第二固定ロッド 30 中管
31 底蓋 32 第一貫通孔
33 第二貫通孔 34 第三貫通孔
35 押えコラム 40 内管
41 底蓋 42 第一貫通孔
43 第二貫通孔 44 第三貫通孔
90 非一緒移動式アクチュエータ 91 台座
92 第一胴体 93 第二胴体
94 第三胴体 95 モータ
96 第一ねじ軸 97 第二ねじ軸
98 第三ねじ軸 201 円弧部
202 案内部 241 第一調整ネジ
242 第一引き具 251 第二調整ネジ
252 第二引き具 301 円弧部
302 案内部 351 ねじ穴
401 円弧部 402 案内部
921 収容空間 931 貫入空間
941 貫入空間 961 外ねじ壁
971 第一内ねじ壁 972 第二内ねじ壁
981 第一外ねじ壁 A 第一案内ホイル
B 第二案内ホイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その上で互いに連接している円弧部と案内部とが環設してあり、一端に蓋が設けてあり、前記蓋の軸方向には、ねじ軸と、第一固定ロッドと、第二固定ロッドとが設けてあり、前記第一固定ロッドの端部に第一引き具が設けてあり、前記第二固定ロッドの端部に第二引き具が設けてある外管と、
前記外管の内部に枢着され、その上で互いに連接している円弧部と案内部とが環設してあり、前記円弧部と案内部とがそれぞれ前記外管の円弧部と案内部と当接し、その一端には前記外管の蓋に応じて蓋が設けてあり、前記蓋の一側にはねじ穴が開設された押えコラムが成形してあり、前記押えコラムは、前記外管のねじ軸と螺合し、その上で案内ホイルが枢着してあり、また、前記蓋には前記外管の二つの固定ロッドを挿通する貫通孔が複数に開設してあり、前記蓋の他側には案内ホイルが枢着してある中管と、
前記中管の内部に枢着され、その上で互いに連接している円弧部と案内部とが環設してあり、前記円弧部と案内部とがそれぞれ前記中管の円弧部と案内部と当接し、その一端には前記中管の蓋に応じて蓋が設けてあり、前記蓋には前記中管の蓋に設けられた押えコラムと貫通孔とに対応する貫通孔が複数に開設してあり、前記中管の押えコラムが一つの前記貫通孔を挿通し、前記外管の第一固定ロッドが他の前記貫通孔を挿通し、前記第一引き具は、一端が前記第一固定ロッドに位置決められ、他端がその蓋に組付けられ、その両端の間が一つの案内ホイルを架け渡し、また、前記外管の第二固定ロッドが一つの貫通孔を挿通し、前記第二引き具は、一端が前記第二固定ロッドに位置決められ、他端がその蓋に組付けられ、その両端の間が他の案内ホイルを巻き付ける内管と、を含むことを特徴とする、
リニアアクチュエータ。
【請求項2】
前記外管の二つの固定ロッドがそれぞれ調整ネジにて前記蓋に締付けられることを特徴とする、請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項3】
前記外管の円弧部と案内部とが離間して設けられ、前記中管の円弧部と案内部とが離間して設けられ、前記内管の円弧部と案内部とが離間して設けられることを特徴とする、請求項1に記載のリニアアクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−121647(P2009−121647A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298972(P2007−298972)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(506171037)大銀微系統股▲ふん▼有限公司 (40)
【Fターム(参考)】