説明

リピータ装置及びその制御方法

【課題】本発明は、通信品質を劣化させずに回り込みによる異常発振を検出することを目的とする。
【解決手段】本発明は、基地局と移動局間で送受信される無線周波数信号を中継するリピータ装置において、受信した無線周波数信号を増幅する増幅器と、受信した無線周波数信号の入力レベルを測定する検出器と、予め設定された過入力しきい値を記憶するメモリとを具え、増幅器の動作中に前記検出器が測定した入力レベルが、過入力しきい値以上である場合にのみ増幅器を停止して異常発振か否かの判定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムに用いられるリピータ装置、特に、異常発振を検出するリピータ装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などを用いる移動通信システムが広く普及している。移動通信システムでは、電波が届きにくい建物の奥や地下などでも利用できるようにするため、無線周波数信号を増幅して送信するリピータ装置を使用している。リピータ装置は、基地局から送信される下りの無線周波数信号を増幅して移動局へ送信し、移動局から送信される上りの無線周波数信号を増幅して基地局へ送信する。
【0003】
しかし、リピータ装置の増幅器の利得が一定のままでは、強い信号が入力された場合にも信号を増幅させてしまい、受信機の処理能力を超えてしまうため、リピータ装置は、入力信号の強さに応じて利得を調整する機能を有する。
【0004】
一般に、リピータ装置は、受信した信号を増幅して同一周波数で送信するため、送信信号が受信アンテナに回り込み、異常発振を引き起こしてしまうことがある。また、装置の設置に関する制約から、送受信のアンテナ間のアイソレーションに比して増幅器の利得が高い場合にも、異常発振が生じる。さらに、リピータ装置の設置時は異常発振していなくても、運用中のリピータ装置の利得の変化により異常発振が生じる場合がある。異常発振が起きると、増幅器が正常に動作できなくなり、装置の故障を引き起こす場合があり、通信システムに影響を与えることになる。
【0005】
このような異常発振を検出するリピータ装置に関する技術として、送信信号の周波数を受信信号の周波数からわずかにオフセットさせて送信し、受信信号に含まれるオフセット周波数成分を検出することにより、送信アンテナと受信アンテナとの間の電波の回り込み量を測定し、異常発振を検出する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。また、電波の空き時間を利用し、リピータ装置からの送信を動作させた場合と、停止させた場合の受信レベルの差から、異常発振を検出する技術が開示されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−30473号公報
【特許文献2】US2005/00118949A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、異常発振の検出を行うために送信信号の周波数を受信信号の周波数からオフセットさせて送信するので、本来の送信信号とは異なってしまい、信号が擾乱されることにより通信品質が劣化してしまう場合があるという問題がある。
【0008】
また、特許文献2に記載の技術では、異常発振の検出動作のたびに、リピータ装置からの送信を停止させるため、通信不能となる状態が頻発することになり、通信システムに与える影響が大きいという不都合がある。
【0009】
さらに、異常発振の検出動作時に、リピータ装置の近くに信号強度の大きい信号を発する移動局が存在する場合などに、受信信号の入力レベルが検出器の入力限界を超えてしまい、異常発振検出動作時に異常発振を検出できない場合があるという問題がある。
【0010】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、これらの課題を解決又は軽減するリピータ装置及びその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、基地局と移動局間で送受信される無線周波数信号を中継するリピータ装置において、前記受信した無線周波数信号を増幅する増幅器と、前記受信した無線周波数信号の入力レベルを測定する検出器と、予め設定された過入力しきい値を記憶するメモリとを具え、前記増幅器の動作中に前記検出器が測定した前記入力レベルが、前記過入力しきい値以上である場合にのみ前記増幅器を停止して異常発振か否かの判定を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明に係るリピータ装置において、前記メモリがさらに、予め設定された異常発振検知しきい値を記憶しており、前記異常発振か否かの判定は、前記増幅器の動作中に前記検出器が測定した前記入力レベルから前記増幅器の停止中に前記検出器が測定した前記入力レベルを引いた値が、前記異常発振検知しきい値以上である場合に異常発振であると判定することにより行われることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るリピータ装置において、前記メモリがさらに、予め設定された再試行回数を記憶しており、前記増幅器の動作中に前記検出器が測定した前記入力レベルから前記増幅器の停止中に前記検出器が測定した前記入力レベルを引いた値が、前記異常発振検知しきい値未満である場合に、前記増幅器を作動させて前記過入力及び前記異常発振か否かの判定を前記再試行回数まで繰り返すことを特徴とする。
【0014】
本発明に係るリピータ装置において、前記過入力及び異常発振か否かの判定は、所定期間経過毎に行われることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るリピータ装置において、前記過入力及び異常発振か否かの判定は、前記リピータ装置の利得が変更された時に行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、増幅器が増幅動作を行っている状態で過入力の検出を行い、過入力であると判定された場合のみ増幅器の増幅を停止させて異常発振の検出を行うため、移動通信システムが正常に動作していると期待される時には、異常発振の検出動作によって増幅器の増幅動作を停止させることがないため、頻繁な停止による通信品質の劣化を避けることができる。また、本発明は、受信した無線周波数信号の入力レベルを測定することによって異常発振の検出を行っているため、信号の周波数をオフセットする必要がなく、これによる通信品質の低下が生じることがない。
【0017】
また、受信した無線周波数信号の入力レベルが過入力であっても異常発振を検出できない場合に、所定回数分、異常発振の検出を再試行するようにすると、例えば、リピータ装置の近くに強い無線周波数信号を発する移動局が存在することにより一時的に過入力となる場合などにおける異常発振の検出漏れを低減することができる。
【0018】
また、過入力及び異常発振か否かの判定を定期的に行うようにすると、異常発振を遅滞なく検出することができ、通信への影響を最小限に抑えることができる。
【0019】
さらに、リピータ装置の利得の変更時に異常発振の検出を行うようにすると、利得の変更によって起こりうる異常発振に直ちに対処することが可能であり、この場合の基地局と移動局間の通信に与える影響を最小限にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の一実施例に係るリピータ装置とこれを含む移動通信システム全体の概略構成を示す。
【図2】図2は、本発明の一実施例に係るリピータ装置が具える制御部16の構成を示す。
【図3】図3は、本発明の一実施例に係るリピータ装置のメモリ21が記憶する異常発振検知パラメータのイメージを示す。
【図4】図4は、図1のリピータ装置による過入力及び異常発振の検出手順のフローチャートを示す。
【図5】図5は、リピータ装置のメモリ21が記憶する異常発振検知パラメータの変更手順のフローチャートを示す。
【図6】図6は、リピータ装置1による利得変更時の動作を説明するためのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る電子機器の実施形態について図を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0022】
図1に、本発明の一実施例に係るリピータ装置とこれを含む移動通信システム全体の概略構成が示されている。移動通信システムは、リピータ装置1と、基地局2と、移動局3とを具えて構成されている。移動局3は、携帯電話機その他の通信端末であり、例えば、PDA(Personal Digital Assistance)等の携帯可能な通信端末やパーソナルコンピュータ等のコンピュータ装置であってもよい。図1に示す基地局2及び移動局3の構成は、当業者によく知られている構成であり、その詳細は省略する。
【0023】
リピータ装置1は、第1及び第2のデュプレクサ10、13と、第1及び第2の検出器11、14と、第1及び第2の増幅器12、15と、制御部16とを具える。このリピータ装置1は、基地局2から受信した無線周波数信号を増幅して移動局3へ送信し、移動局3から受信した無線周波数信号を増幅して基地局2へ送信する。また、リピータ装置1は、送信電力が適正な値となるよう定期的に増幅器の利得を変更し、設定を行う。
【0024】
第1のデュプレクサ10は、基地局2から受信した無線周波数信号と基地局2へ送信する無線周波数信号の入出力及び分配を行い、第2のデュプレクサ13は、移動局3から受信する無線周波数信号と移動局3へ送信する無線周波数信号の入出力及び分配を行う。第1の検出器11は、基地局2から受信した無線周波数信号の入力レベルを測定し、第2の検出器14は、移動局3から受信した無線周波数信号の入力レベルを測定する。第1の増幅器12は、基地局2から受信した無線周波数信号を増幅し、第2の増幅器15は、移動局3から受信した無線周波数信号を増幅する。増幅器12、15は、正常に通信を行うことができる信号では増幅動作を行わないしきい値が予め設定されて増幅動作を適宜行うように構成されているが、これに限定されるものではない。
【0025】
図2に、制御部16の構成を示す。制御部16は、CPU20と、メモリ21と、PC30と通信を行うためのUSBポート22とを具え、検出器11、14及び増幅器12、15の制御を行う。メモリ21には異常発振の検出処理に用いるパラメータが記憶されている。また、制御部16は、送信電力が適正な値となるよう増幅器の利得を変更、設定する。この利得の変更及び設定は、当業者によく知られている方法であり、制御部16のAGC(Automatic Gain Control)機能などによって行われても良く、これに限定されるものではない。
【0026】
図3に、メモリ21が記憶する異常発振検知パラメータのイメージを示す。異常発振検知パラメータは、監視時間211と、過入力しきい値212と、再試行回数213と、異常発振検知しきい値214とを含む。具体的には、監視時間211は、過入力及び異常発振か否かの判定を行う監視動作を実行する監視周期である。過入力しきい値212は、受信した無線周波数信号の入力レベルを過入力であるか否かを判定するためのしきい値である。再試行回数213は、受信した無線周波数信号が過入力であるにもかかわらず、異常発振が検出されない場合に、過入力及び異常発振の検出動作を再試行する回数である。異常発振検知しきい値214は、増幅器の増幅を動作させた場合に測定した受信無線周波数信号の入力レベル(第1の測定値)と、増幅器の増幅を停止した場合の受信無線周波数信号の入力レベル(第2の測定値)の差(比較値)から異常発振であるか否かを判定するためのしきい値である。これらの発振検知パラメータは、リピータ装置が移動通信システム内に設置される際に、リピータ装置が正常に動作できる値に設定されるが、リピータ装置の設置後の建物の増設などの後発的要因や動作状況に応じて適宜変更するようにしてもよい。これらの発振検知パラメータは、PC30からUSB22、CPU20を介して、又は遠隔制御によって変更可能としてもよい。
【0027】
次に、図4を参照して、図1のリピータ装置が、基地局2への上り無線周波数信号を監視して異常発振を検出する動作を説明する。
【0028】
図4は、図1のリピータ装置による過入力及び異常発振の検出手順のフローチャートを示す。図4において、まず、制御部16は、増幅器15が増幅動作をおこなっているか否かを判断する(ステップ100)。増幅器15が増幅動作を行っていない場合(ステップ100:NO)には、異常発振は生じないため異常発振の検出を終了する。
【0029】
増幅器15が増幅動作を行っている場合(ステップ100:YES)には、検出器14によって移動局3から受信する上り無線周波数信号の入力レベル(第1の測定値)を測定し(ステップ101)、この第1の測定値がメモリ21に記憶された過入力しきい値を超えているか否かを判定する(ステップ102)。第1の測定値が過入力しきい値を超えていない場合(ステップ102:NO)には、異常発振は生じていないとして異常発振の検出を終了する。
【0030】
第1の測定値が過入力しきい値を超えている場合(ステップ102:YES)には、過入力であると判定される。この場合、制御部16は増幅器15の増幅動作を停止し(ステップ103)、再度、検出器14によって移動局3から受信する上り無線周波数信号の入力レベル(第2の測定値)の測定を行う(ステップ104)。続いて、メモリ21に記憶された第1の測定値から第2の測定値を引いた値(比較値)を計算し、この比較値が予めメモリ21に記憶された異常発振検知しきい値よりも大きいか否かを判定する(ステップ105)。比較値が、異常発振検知しきい値よりも大きい場合(ステップ105:YES)には、異常発振であると判定する(ステップ106)。異常発振であると判定したら、制御部は、増幅器15の増幅動作を停止させたままにする。異常発振を検出した後は、増幅動作を停止させた状態で、アラーム音を発したり、ランプを点灯させるなどして、異常発振であることを周囲に知らせるようにしてもよい。
【0031】
比較値が異常発振検知しきい値よりも小さい場合(ステップ105:NO)には、増幅器15の増幅動作を再開する(ステップ107)。続いて、異常発振の検出動作回数をカウントアップし(ステップ108)、カウント値が、予めメモリ21に記憶された再試行回数未満であるか否かを判定する(ステップ109)。カウント値が、再試行回数未満である場合(ステップ109:YES)には、ステップ101からのステップを繰り返す。
【0032】
再試行回数に達した場合(ステップ109:NO)には、異常発振ではないと判定し、異常発振の検出動作を終了する。異常発振の検出動作終了後は、監視時間の経過を待って、再び異常発振の検出動作を行い、定期的に異常発振の検査を行う。
【0033】
このように、本発明では、過入力が検出されたときのみ、増幅器の増幅動作を停止して異常発振の有無を確認するため、通信への影響を最小限に抑えつつ、適切に異常発振を検出することができる。また、過入力が検出された場合には、異常発振の検出を所定回数繰り返すようにしたため、例えば、一時的にリピータ装置の近くに強い電波を発する端末がある場合などの異常発振の検出漏れを減らすことができる。
【0034】
次に、異常発振検知パラメータを変更する方法を図5参照しながら説明する。図5は、リピータ装置のメモリ21が記憶する異常発振検知パラメータの変更手順のフローチャートである。図5において、まず、管理者がPC30を操作し、USBポート22を介してCPU20へ発振検知パラメータの変更を要求すると、CPU20がこれを検出する(ステップ200)。
【0035】
発振検知パラメータの変更要求を受けた場合(ステップ200:YES)、CPU20は、メモリ21に記憶された発振検知パラメータを変更する(ステップ201)。続いて、CPU20は、発振検知パラメータの変更完了の応答をUSBポート22を介してPC30に通知する(ステップ202)。発振検知パラメータが変更されると、リピータ装置は、変更後の発振検知パラメータに基づいて異常発振の検出動作を行う。
【0036】
このように、本発明では、発信検知パラメータを適宜変更することができるため、リピータ装置の動作状況や設置環境などに合わせて、効率よく異常発振を検出するように設定することができる。
【実施例2】
【0037】
次に、本発明に係るリピータ装置の制御方法の別の実施例について、図6を参照しながら説明する。このリピータ装置1は、利得を変更した場合に過入力や異常発振の検出動作を行うよう構成されており、他の構成要素については前述した第1実施例と同様である。図6は、リピータ装置1による増幅器15の利得変更時における過入力及び異常発振の検出動作を説明するためのフローチャートである。
【0038】
まず、リピータ装置1は、現在の利得が適切か否かを判断するにあたり増幅器15が増幅動作を行っているか判断する(ステップ300)。増幅動作を行っていない場合(ステップ300:NO)には、利得の変更は行わず、過入力及び異常発振の検出動作も行わない。
【0039】
増幅動作を行っている場合(ステップ300:YES)には、検出器11によって下りの受信無線周波数信号の入力レベルを測定する(ステップ301)。制御部16は、測定された入力レベルの値に基づいて、増幅器12に設定する利得を計算する(ステップ302)。続いて、現在設定されている利得値と計算された利得値が異なるか否かを判定する(ステップ303)。現在設定されている利得値と計算された利得値が同じである場合(ステップ303:NO)、利得の変更は行わず、過入力及び異常発振の検出動作は行わない。
【0040】
現在設定されている利得値と計算された利得値が異なる場合(ステップ303:YES)、増幅器12の利得が再設定され(ステップ304)、上述した過入力及び異常発振の検出動作を開始する。
【0041】
具体的には、検出器14によって移動局3から受信する上り無線周波数信号の入力レベル(第1の測定値)を測定し(ステップ305)、この第1の測定値がメモリ21に記憶された過入力しきい値を超えているか否かを判定する(ステップ306)。第1の測定値が過入力しきい値を超えていない場合(ステップ306:NO)には、過入力及び異常発振の検出動作を終了する。
【0042】
第1の測定値が過入力しきい値を超えている場合(ステップ306:YES)には、過入力であると判定される。この場合、制御部16は増幅器15の増幅動作を停止し(ステップ307)、再度、検出器14によって移動局3から受信する上り無線周波数信号の入力レベル(第2の測定値)の測定を行う(ステップ308)。続いて、メモリ21に記憶された第1の測定値から第2の測定値を引いた値(比較値)を計算し、比較値が予めメモリ21に記憶された異常発振検知しきい値よりも大きいか否かを判定する(ステップ309)。比較値が、異常発振検知しきい値よりも大きい場合(ステップ309:YES)には、異常発振であると判定する(ステップ310)。異常発振であると判定すると、増幅器15の増幅動作は停止させたままにする。異常発振を検出した後は、増幅動作を停止させた状態で、アラーム音を発したり、ランプを点灯させるなどして、異常発振であることを周囲に知らせるようにしてもよい。
【0043】
比較値が異常発振検知しきい値よりも小さい場合(ステップ309:NO)には、増幅器15の増幅動作を再開する(ステップ311)。続いて、異常発振の検出動作回数をカウントアップし(ステップ312)、異常発振の検出動作回数が、予めメモリ21に記憶された再試行回数未満であるか否かを判定する(ステップ313)。再試行回数未満である場合(ステップ313:YES)には、ステップ305からのステップを繰り返す。
【0044】
再試行回数に達した場合(ステップ313:NO)には、異常発振ではないと判定し、カウンタ値をリセットして異常発振の検出動作を終了する。
【0045】
このように、増幅器の利得を変更した場合に、異常発振の有無を確認するようにすると、利得変更が適切ではなかった場合の異常発振の発生を迅速に検出し、対処することができる。
【0046】
以上に本発明のいくつかの実施例について、詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、様々な変形例・変更例として実現することができる。
【0047】
例えば、上述した実施形態では、リピータ装置における監視動作は、定期的あるいは利得変更時に行うようにしているが、これらを組み合わせて、定期的に加え、さらに利得変更時に過入力及び異常発振の検出動作を行うようにしてもよい。
【0048】
上述した実施形態においては、基地局への影響を最小限にし、移動通信システムに与える影響を低減するために、上りの無線周波数信号のみを用いて異常発振を検出する構成を示した。一方、下りの無線周波数信号については、一部の移動局のみに影響を与えるのみであるため、過入力及び異常発振の検出を行っていないが、必要に応じて行うようにしてもよい。同様に、上述した実施形態において、下りの無線周波数信号用の増幅器の利得変更時における過入力及び異常発振の検出動作を示したが、上りの無線周波数信号用の増幅器の利得変更時に行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、例えば、移動通信システムに適用され、通信事業などに利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 リピータ装置
2 基地局
3 移動局
10 第1のデュプレクサ
11 第1の検出器
12 第1の増幅器
13 第2のデュプレクサ
14 第2の検出器
15 第2の増幅器
16 制御部
20 CPU
21 メモリ
22 USBポート
30 PC
211 監視時間
212 過入力しきい値
213 再試行回数
214 異常発振検知しきい値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と移動局間で送受信される無線周波数信号を中継するリピータ装置において、
前記受信した無線周波数信号を増幅する増幅器と、
前記受信した無線周波数信号の入力レベルを測定する検出器と、
予め設定された過入力しきい値を記憶するメモリとを具え、前記増幅器の動作中に前記検出器が測定した前記入力レベルが、前記過入力しきい値以上である場合にのみ前記増幅器を停止して異常発振か否かの判定を行うことを特徴とするリピータ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のリピータ装置において、前記メモリがさらに、予め設定された異常発振検知しきい値を記憶しており、前記異常発振か否かの判定は、前記増幅器の動作中に前記検出器が測定した前記入力レベルから前記増幅器の停止中に前記検出器が測定した前記入力レベルを引いた値が、前記異常発振検知しきい値以上である場合に異常発振であると判定することにより行われることを特徴とするリピータ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のリピータ装置において、前記メモリがさらに、予め設定された再試行回数を記憶しており、前記増幅器の動作中に前記検出器が測定した前記入力レベルから前記増幅器の停止中に前記検出器が測定した前記入力レベルを引いた値が、前記異常発振検知しきい値未満である場合に、前記増幅器を作動させて前記過入力及び前記異常発振か否かの判定を前記再試行回数まで繰り返すことを特徴とするリピータ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリピータ装置において、前記過入力及び異常発振か否かの判定は、所定期間経過毎に行われることを特徴とするリピータ装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のリピータ装置において、前記過入力及び異常発振か否かの判定は、前記リピータ装置の利得が変更された時に行われることを特徴とするリピータ装置。
【請求項6】
基地局と移動局間で送受信される無線周波数信号を中継するリピータ装置の制御方法であって、前記リピータ装置が、前記受信した無線周波数信号の入力レベルを測定する検出器と、必要に応じて前記受信した無線周波数信号を増幅する増幅器と、予め設定された過入力しきい値を記憶しているメモリとを具え、前記方法が、前記増幅器の動作中に前記検出器が測定した前記入力レベルが、前記過入力しきい値以上である場合にのみ前記増幅器を停止して異常発振か否かの判定を行うことを特徴とする異常発振検出方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、前記メモリがさらに、予め設定された異常発振検知しきい値を記憶しており、前記異常発振か否かの判定は、前記増幅器の動作中に前記検出器が測定した前記入力レベルから前記増幅器の停止中に前記検出器が測定した前記入力レベルを引いた値が、前記異常発振検知しきい値以上である場合に異常発振であると判定することにより行われることを特徴とする異常発振検出方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記メモリがさらに、予め設定された再試行回数を記憶しており、前記増幅器の動作中に前記検出器が測定した前記入力レベルから前記増幅器の停止中に前記検出器が測定した前記入力レベルを引いた値が、前記異常発振検知しきい値未満である場合に、前記増幅器を作動させて前記過入力及び前記異常発振か否かの判定を前記再試行回数まで繰り返すことを特徴とする異常発振検出方法。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか1項に記載の方法において、前記過入力及び異常発振か否かの判定は、所定期間経過毎に行われることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれか1項に記載の方法において、前記過入力及び異常発振か否かの判定は、前記リピータ装置の利得が変更された時に行われることを特徴とする方法。
【請求項11】
基地局と移動局間で送受信される無線周波数信号を中継するリピータ装置を制御するプログラムにおいて、前記リピータ装置が、前記受信した無線周波数信号を増幅する増幅器と、前記受信した無線周波数信号の入力レベルを測定する検出器と、予め設定された過入力しきい値を記憶するメモリとを具えるとともに、前記プログラムは、前記増幅器の動作中に前記検出器が測定した前記入力レベルが、前記過入力しきい値以上である場合にのみ前記増幅器を停止して異常発振か否かの判定を行う手順を前記リピータ装置に実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムにおいて、前記メモリがさらに、予め設定された異常発振検知しきい値を記憶しており、前記異常発振か否かの判定は、前記増幅器の動作中に前記検出器が測定した前記入力レベルから前記増幅器の停止中に前記検出器が測定した前記入力レベルを引いた値が、前記異常発振検知しきい値以上である場合に異常発振であると判定することにより行われることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムにおいて、前記メモリがさらに、予め設定された再試行回数を記憶しており、前記増幅器の動作中に前記検出器が測定した前記入力レベルから前記増幅器の停止中に前記検出器が測定した前記入力レベルを引いた値が、前記異常発振検知しきい値未満である場合に、前記増幅器を作動させて前記過入力及び前記異常発振か否かの判定を前記再試行回数まで繰り返すことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−15359(P2011−15359A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160048(P2009−160048)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】